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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ねじり減衰装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20230302BHJP
   F16D 13/64 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
F16F15/134 D
F16F15/134 A
F16D13/64 A
F16D13/64 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540608
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2020086558
(87)【国際公開番号】W WO2021136668
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】1915801
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503041177
【氏名又は名称】ヴァレオ アンブラヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、ファフェ
(72)【発明者】
【氏名】アントワン、ビグルー
(72)【発明者】
【氏名】マチュー、マレー
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056CX12
3J056CX23
3J056CX28
3J056CX37
3J056CX43
3J056CX84
3J056CX86
(57)【要約】
第1のハウジング(17)が設けられた第1の回転トルク伝達要素(7)と、第2の回転トルク伝達要素(9、10)と、第1の端部(131)と反対側の第2の端部(132)とを備える、第1のハウジング(17)内に取り付けられた第1のばね(13)を備える弾性装置(11)と、第1の圧縮タブ(32)を備える第1のフランジ(30’’)と、第1の圧縮タブ(42)を備える第2のフランジ(40’’)と、を備え、第1の回転要素(7)が正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、第1のフランジ(30’’)の第1の圧縮タブを介して、第1のばね(13)の第1の端部(131)を第1のばねの第2の端部に向かって移動させ、第1の回転要素(7)が負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、第2のフランジ(40’’)の第1の圧縮タブを介して、第1のばね(13)の第2の端部(132)を第1のばねの第1の端部に向かって移動させる、ねじり減衰装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジング(17)が設けられた第1の回転トルク伝達要素(7)と、
第2の回転トルク伝達要素(9、10)と、
前記第1の回転要素(7)と前記第2の回転要素(9、10)との間に介在し、変形すると、回転軸(X)を中心とした前記第1の回転要素(7)と前記第2の回転要素(9、10)との相対回転を可能にする弾性装置(11)であって、第1の端部(131)と反対側の第2の端部(132)とを備える、前記第1のハウジング(17)内に取り付けられた少なくとも1つの第1のばね(13)を備え、前記第1の回転要素(7)が、前記弾性装置のばねが圧縮されない休止位置と、前記弾性装置の少なくとも1つの前記ばねが圧縮される作動位置との間を移動可能である、弾性装置(11)と、
円周方向に前記第1のばね(13)の前記第1の端部(131)と前記第1の回転要素(7)との間に配置された第1の圧縮タブ(32)を備える第1のフランジ(30;30’;30’’)と、
円周方向に前記第1のばね(13)の前記第2の端部(132)と前記第1の回転要素(7)との間に配置された第1の圧縮タブ(42)を備える第2のフランジ(40;40’’)と、を備え、
前記第1の回転要素(7)が前記休止位置から正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、前記第1のフランジ(30;30’;30’’)の前記第1の圧縮タブを介して、前記第1のばね(13)の前記第1の端部(131)を前記第1のばねの前記第2の端部に向かって移動させ、
前記第1の回転要素(7)が前記休止位置から負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、前記第2のフランジ(40;40’’)の前記第1の圧縮タブを介して、前記第1のばね(13)の前記第2の端部(132)を前記第1のばねの前記第1の端部に向かって移動させる、車両ドライブトレイン用のねじり減衰装置(1)。
【請求項2】
前記第1のフランジ(30;30’;30’’)の前記第1の圧縮タブ(32)が、前記第1のばね(13)を半径方向に保持するように設計された少なくとも1つの保持要素(35、55、36、56)を備えることを特徴とする請求項1に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項3】
前記弾性装置(11)が、第1の端部(141)と反対側の第2の端部(142)とを備える、前記第1のハウジング(17)内に取り付けられた第2のばね(14)をさらに備えることと、
前記第2のフランジ(40;40’’)の前記第1の圧縮タブ(42)が、円周方向に前記第2のばね(14)の前記第2の端部(142)と前記第1の回転要素(7)との間に配置されていることと、
前記第1の回転要素(7)が前記休止位置から前記負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、前記第2のフランジ(40;40’’)の前記第1の圧縮タブを介して、前記第2のばね(14)の前記第2の端部(142)を前記第2のばねの前記第1の端部に向かって移動させることと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項4】
前記第1のばね(13)と前記第2のばね(14)とが、前記第1のばね(13)の前記第2の端部と前記第2のばね(14)の前記第1の端部とを接続する位相調整要素(50)を介して直列に配置されることを特徴とする請求項3に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項5】
前記第1の回転要素(7)に、第2のハウジング(18)が設けられていることと、
前記弾性装置(11)が、前記第1のばね(13)と半径方向に対向する第3のばね(15)と、前記第2のばね(14)と半径方向に対向する第4のばね(16)とをさらに備え、前記第3のばねと前記第4のばねとが、前記第2のハウジング(18)内に取り付けられており、各々が第1の端部(151、161)と反対側の第2の端部(152、162)とを備えることと、
前記第1のフランジ(30;30’;30’’)と前記第2のフランジ(40;40’’)とが、円周方向に前記第1の回転要素(7)と、それぞれ前記第3のばね(15)の前記第1の端部(151)または前記第4のばね(16)の前記第2の端部との間に配置された第2の圧縮タブ(33、43)を各々備えることと、
前記第1の回転要素(7)が前記休止位置から前記正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、前記第1のフランジ(30;30’;30’’)の前記第2の圧縮タブを介して、前記第3のばね(15)の前記第1の端部(151)を前記第3のばねの前記第2の端部に向かって移動させることと、
前記第1の回転要素(7)が前記休止位置から前記負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素(7)が、前記第2のフランジ(40;40’’)の前記第2の圧縮タブを介して、前記第4のばね(16)の前記第2の端部(162)を前記第4のばねの前記第1の端部に向かって移動させることと、を特徴とする請求項3または請求項4に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項6】
前記第2の回転要素(9、10)が円周方向止め具(21)を備えること、または前記第1のフランジ(30;30’;30’’)の前記第1の圧縮タブ(32)と前記第2のフランジ(40;40’’)の前記第2の圧縮タブ(43)とが止め具(23)を各々備え、1つもしく複数の前記止め具が、所定の初期位置を越える前記負の方向への前記第1のフランジ(30;30’;30’’)の移動を防止し、所定の初期位置を越える前記正の方向への前記第2のフランジ(40;40’’)の移動を防止するようにそれぞれ設計されること、を特徴とする請求項5に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項7】
前記第1のフランジ(30;30’)および/または前記第2のフランジ(40)が、前記回転軸(X)を中心に回転可能であり、前記第1の圧縮タブを形成する単一の一体型バランスディスク(31、41)を備えること、または前記回転軸(X)を中心に回転可能な単一のバランスディスク(31’)と、前記単一のバランスディスク(31’)に固定された、前記第1の圧縮タブ(32、42)を形成するエンドピース(37’)と、を備えること、を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項8】
前記第1のフランジ(30;30’;30’’)と前記第2のフランジ(40;40’’)とが、軸方向に前記第1の回転要素(7)の両側に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項9】
前記第1のフランジ(30’’)および/または前記第2のフランジ(40’’)が、第1のバランスディスクと、前記第1のバランスディスクと共に回転する第2のバランスディスク(31’’、41’’)と、前記第1の圧縮タブ(32、42)を形成するエンドピース(37’’)と、を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項10】
前記第1のフランジ(30’’)の前記第1のバランスディスクと前記第2のフランジ(40’’)の前記第1のバランスディスクとが、前記第1の回転要素(7)の一方の側に軸方向に配置されていることと、前記第1のフランジ(30’’)の前記第2のバランスディスクと前記第2のフランジ(40’’)の前記第2のバランスディスクとが、前記第1の回転要素(7)の他方の側に軸方向に配置されていることと、を特徴とする請求項9に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項11】
前記第1の回転要素(7)および前記第2の回転要素(9、10)のうちの1つが、ハブ(5)に回転可能に結合されており、前記第1のフランジおよび/または前記第2のフランジが、前記ハブによって回転案内されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のねじり減衰装置(1)。
【請求項12】
前記装置が、前記第1の回転要素または前記第2の回転要素に対して前記正の方向または前記負の方向に擦るように配置され、前記第1のフランジまたは前記第2のフランジによって回転駆動される摩擦ワッシャ(63)を備える摩擦システム(60)をさらに備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のねじり減衰装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動装置におけるトルクの伝達の分野に関し、車両ドライブトレイン用のねじり減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両は、一般に、ドライブトレインの様々な要素に組み込まれ得るそのようなねじり減衰装置を有する。例えば、デュアル・マス・エンジン・フライホイールや、クラッチディスクや、トルクリミッタは、エンジンの非周期的挙動および他のねじり振動を除去するためのねじり減衰装置を含む場合がある。この除去は、通常、ねじりにおいて作用し、トルクの伝達中に、ドライブトレインの上流に結合された第1の回転トルク伝達要素とドライブトレインの下流に結合された第2の回転トルク伝達要素との相対回転運動を可能にするばね・ダンパ組み合わせである1つまたは複数のねじりダンパによって行われる。相対回転は、直列に配置されたばねによって可能とされ得る。トルクの移動中、特に移動が0°に近いとき、第1の回転トルク伝達要素と第2の回転トルク伝達要素との間でこれらのばねの圧縮を可能にするこれらのばねの耐荷力の移転が生じる。この移転は相対運動を引き起こし、したがって、遠心力の影響下で、ばねを損傷する可能性がある半径方向の摩擦を引き起こし、減衰装置の濾過性能を大幅に低下させる。さらに、耐荷力のこれらの移転は、ノイズの原因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、遠心力に反応しにくいそのような装置を提案することによって先行技術のねじり減衰装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のため、本発明は、
第1のハウジングが設けられた第1の回転トルク伝達要素と、
第2の回転トルク伝達要素と、
第1の回転要素と第2の回転要素との間に介在し、変形すると、回転軸を中心とした第1の回転要素と第2の回転要素との相対回転を可能にする弾性装置であって、第1の端部と反対側の第2の端部とを備える、第1のハウジング内に取り付けられた少なくとも1つの第1のばねを備え、第1の回転要素が、弾性装置のばねが圧縮されない休止位置と、弾性装置の少なくとも1つのばねが圧縮される作動位置との間を移動可能である、弾性装置と、
円周方向に第1のばねの第1の端部と第1の回転要素との間に配置された第1の圧縮タブを備える第1のフランジと、
円周方向に第1のばねの第2の端部と第1の回転要素との間に配置された第1の圧縮タブを備える第2のフランジと、を備え、
第1の回転要素が休止位置から正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素が、第1のフランジの第1の圧縮タブを介して、第1のばねの第1の端部を第1のばねの第2の端部に向かって移動させ、
第1の回転要素が休止位置から負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素が、第2のフランジの第1の圧縮タブを介して、第1のばねの第2の端部を第1のばねの第1の端部に向かって移動させる、車両ドライブトレイン用のねじり減衰装置に関する。
【0005】
このようにして、トルクの伝達中の耐荷力の移転の抑制により、ばねまたは前記ばねと接触する部品の摩耗を低減し、装置の動作中のノイズを低減することが可能になる。また耐荷力の移転の抑制により、最適な減衰性能を得るために、半径方向の摩擦を低減すること、または無くすことさえも可能になる。ばねを案内する第1のフランジおよび第2のフランジの存在により、第1の回転要素および第2の回転要素が、ばね、または第1の回転要素と少なくとも1つのばねとの間の任意の中間要素を保持することなく、もっぱらトルクを伝達することが可能になる。これにより、特に第1の回転要素を標準化することが可能になる。またこれにより、前記第1の回転要素の強度を補強することも可能になる。
【0006】
さらに、第1のフランジおよび第2のフランジは、トルクの移動の伝達に対するいかなる反作用にも対抗しない。このようにして、前記フランジは、より簡単に寸法決めすることができ、より安価に製造される。
【0007】
正の方向は、反時計回り方向とも呼ばれる三角法の正の方向である。負の方向は、時計回りとも呼ばれる三角法の負の方向である。正の方向は負の方向と反対である。
【0008】
トルク伝達装置は、以下の追加の特徴を個別にまたは組み合わせて有し得る。
【0009】
第1のフランジの第1の圧縮タブは、第1のばねを半径方向に保持するように設計された少なくとも1つの保持要素を備える。保持要素は、ばねが遠心力を受けたときにばねを半径方向に保持するように設計される。保持要素は、ばねの損失を回避することを可能にする。保持要素は、第1の回転要素が休止位置から正の方向に移動可能であるとき、第1のフランジによる第1のばねの第1の端部の移動を容易にする。保持要素は、前記第1の圧縮タブに固定された端部と自由端との間で第1のばねの方向に第1の圧縮タブから半径方向に延在するスタッドである。保持要素は、前記第1の圧縮タブに固定された端部と自由端との間で第1の圧縮タブの上端から半径方向に延在する外縁部である。保持要素は、スタッドおよび外縁部である。
【0010】
弾性装置は、第1の端部と反対側の第2の端部とを備える、第1のハウジング内に取り付けられた第2のばねをさらに備え、第2のフランジの第1の圧縮タブは、円周方向に第2のばねの第2の端部と第1の回転要素との間に配置され、第1の回転要素が休止位置から負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素は、第2のフランジの第1の圧縮タブを介して、第2のばねの第2の端部を第2のばねの第1の端部に向かって移動させる。
【0011】
このようにして、弾性装置のばねの数を増やすことにより、上述の利点をさらに維持しながら減衰性能を高めることが可能になる。
【0012】
第1のばねと第2のばねとは、第1のばねの第2の端部と第2のばねの第1の端部とを接続する位相調整要素を介して直列に配置される。
【0013】
第1の回転要素に、第2のハウジングが設けられ、弾性装置は、第2のハウジング内に取り付けられ、第1の端部と反対側の第2の端部とを備える、第1のばねと半径方向に対向する第3のばねをさらに備え、第1のフランジと第2のフランジとは、円周方向に第1の回転要素と、それぞれ第3のばねの第1の端部または第3のばねの第2の端部との間に配置された第2の圧縮タブを各々備え、第1の回転要素が休止位置から正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素は、第1のフランジの第2の圧縮タブを介して、第3のばねの第1の端部を第3のばねの第2の端部に向かって移動させ、第1の回転要素が休止位置から負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素は、第2のフランジの第2の圧縮タブを介して、第3のばねの第2の端部を第3のばねの第1の端部に向かって移動させる。
【0014】
ばねは、よって、対で直径方向に対向する。言い換えると、ばねは、対で半径方向に整列されるか、または、ばねは、回転軸に対して対で反対側にある。フランジの各々は、よって、2つの直径方向に対向するばねの一端に連結される。
【0015】
装置のこの構成により、回転速度の影響下で、1つの同じフランジの第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブがばねの質量から2つの遠心力を受けることが可能になる。これら2つの遠心力は、同じ大きさを有するが反対方向である。このようにして、これら2つの遠心力に関連した変形は互いに相殺され、第1の回転要素の回転が正の方向から負の方向に、またはその逆に変化しても、半径方向の力は、第1の回転要素および/または第2の回転要素にもはや作用しない。よって、装置内の遠心力のバランスをとることにより、摩擦、したがって摩擦に関連した濾過性能の低下を無くすことが可能になる。装置は、遠心力の悪影響に反応しにくくなる。
【0016】
第1の回転要素に、第2のハウジングが設けられ、
弾性装置は、第1のばねと半径方向に対向する第3のばねと、第2のばねと半径方向に対向する第4のばねとをさらに備え、第3のばねと第4のばねとは、第2のハウジング内に取り付けられ、各々が第1の端部と反対側の第2の端部とを備え、
第1のフランジと第2のフランジとは、円周方向に第1の回転要素と、それぞれ第3のばねの第1の端部または第4のばねの第2の端部との間に配置された第2の圧縮タブを各々備え、
第1の回転要素が休止位置から正の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素は、第1のフランジの第2の圧縮タブを介して、第3のばねの第1の端部を第3のばねの第2の端部に向かって移動させ、第1の回転要素が休止位置から負の方向に回転可能であるとき、前記第1の回転要素は、第2のフランジの第2の圧縮タブを介して、第4のばねの第2の端部を第4のばねの第1の端部に向かって移動させる。
【0017】
ばねは、よって、対で直径方向に対向する。フランジの各々は、よって、2つの直径方向に対向するばね、例えば、第1のフランジ用の第1のばねと第3のばね、および第2のフランジ用の第2のばねと第4のばねの一端に連結される。
【0018】
装置のこの構成により、回転速度の影響下で、1つの同じフランジの第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブがばねの質量から2つの遠心力を受けることが可能になる。これら2つの遠心力は、同じ大きさを有するが反対方向である。このようにして、これら2つの遠心力に関連した変形は互いに相殺され、第1の回転要素の回転が正の方向から負の方向に、またはその逆に変化しても、半径方向の力は、第1の回転要素および/または第2の回転要素にもはや作用しない。よって、装置内の遠心力のバランスをとることにより、摩擦、したがって摩擦に関連した濾過性能の低下を無くすことが可能になる。装置は、遠心力の悪影響に反応しにくくなる。
【0019】
第1のフランジは、第1のフランジが第1のばねを圧縮しない所定の初期位置と、第1のフランジが第1のばねを圧縮する移動終了位置との間を正の方向に移動可能である。この移動は、第1のフランジの所定の移動範囲である。第2のフランジは、第2のフランジが第2のばねを圧縮しない所定の初期位置と、第2のフランジが第2のばねを圧縮する移動終了位置との間を負の方向に移動可能である。この移動は、第2のフランジの所定の移動範囲である。
【0020】
第2の回転要素は円周方向止め具を備えるか、または第1のフランジの第1の圧縮タブと第2のフランジの第2の圧縮タブとは止め具を各々備え、1つもしくは複数の前記止め具は、所定の初期位置を越える負の方向への第1のフランジの移動を防止し、所定の初期位置を越える正の方向への第2のフランジの移動を防止するようにそれぞれ設計される。
【0021】
このようにして、第2の回転要素が止め具を備えるとき、止め具は、第1のフランジおよび第2のフランジを止めることによって、それらの両方が、それらの所定の移動範囲、具体的にはそれらの所定の初期位置とそれらの移動終了位置との間を越えて進まないことを確実にする。止め具は、移動終了要素である。
【0022】
止め具は、円周方向に第1のフランジの第1の圧縮タブと第2のフランジの第2の圧縮タブとの間に配置される。
【0023】
第2の回転要素は、2つの止め具を備える。第1の止め具は、所定の移動範囲を越える第1のフランジの第1の圧縮タブの移動を防止し、第2のフランジの第2の圧縮タブの移動を防止するように設計される。第2の止め具は、所定の移動範囲を越える第1のフランジの第2の圧縮タブの移動を防止し、第2のフランジの第1の圧縮タブの移動を防止するように設計される。第1のフランジおよび第2のフランジの移動の制御が改善される。
【0024】
止め具は、第2の回転要素に形成された打ち抜き部である。このように、止め具は、単純な設計のものであり、安価でコンパクトである。
【0025】
第1のフランジの第1の圧縮タブと第2のフランジの第2の圧縮タブとが止め具を各々備える場合、第1のフランジの第1の圧縮タブの止め具は、負の方向への前記第1のフランジの移動を止めることによって、第1のフランジがその所定の移動範囲、具体的にはその所定の初期位置とその移動終了位置との間を越えて進まないことを確実にし、第2のフランジの第1の圧縮タブの止め具は、正の方向への前記第2のフランジの移動を止めることによって、第2のフランジがその所定の移動範囲、具体的にはその所定の初期位置とその移動終了位置との間を越えて進まないことを確実にする。止め具は、移動終了要素である。
【0026】
第1のフランジの第2の圧縮タブおよび第2のフランジの第2の圧縮タブは、止め具を各々備える。第1のフランジの第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブの止め具は、所定の移動範囲を越える第1のフランジの移動を防止するように設計される。第2のフランジの第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブの止め具は、所定の移動範囲を越える第1のフランジの移動を防止するように設計される。第1のフランジおよび第2のフランジの移動の制御が改善される。
【0027】
止め具の各々は、第1のフランジの第1のタブと第2のフランジの第1のタブとにそれぞれ形成された肩部である。このように、止め具は、単純な設計のものであり、安価でコンパクトである。
【0028】
第1のフランジおよび/または第2のフランジは、回転軸を中心に回転可能であり、第1の圧縮タブを形成する単一の一体型バランスディスクを備える。このように、第1のフランジおよび/または第2のフランジは、たった1つの部品で作られ、それによって製造コストを削減し、装置の取り付けを容易にすることが可能になる。
【0029】
第1の圧縮タブは、傾斜U字形状を有する。この形状は、スーツケースコーナとも呼ばれる。この形状は、主壁と、主壁に対して半径方向の2つの側壁と、を備える。第1の圧縮タブの傾斜U字形状は、打ち抜き部によって作られる。第1の圧縮タブの傾斜U字形状は、ばねとの良好な界面を確保することを可能にする。
【0030】
第2の圧縮タブは、第1の圧縮タブと同じ形状を有する。
【0031】
第1のフランジおよび/または第2のフランジは、回転軸を中心に回転可能な単一のバランスディスクと、前記単一のバランスディスクに固定された、第1の圧縮タブを形成するエンドピースと、を備える。単一のバランスディスクは金属で作られる。エンドピースは、プラスチックで作られ、単一のバランスディスク上にオーバーモールドされる。このようにして、第1のフランジおよび/または第2のフランジは、限られた数の部品で作られ、それによって、その価格を制限し、様々な部品をそれらの機能に適合させることが可能になる。
【0032】
第1のフランジおよび/または第2のフランジは、単一のバランスディスクに固定された、第2の圧縮タブを形成する第2のエンドピースを備える。
【0033】
第1のフランジと第2のフランジとは、軸方向に第1の回転要素の両側に配置される。言い換えると、第1の回転要素は、軸方向に第1のフランジと第2のフランジとの間に介在する。装置の軸方向バルクがそれによって最適化される。
【0034】
第1のフランジおよび/または第2のフランジは、第1のバランスディスクと、第1のバランスディスクと共に回転する第2のバランスディスクと、第1の圧縮タブを形成するエンドピースと、を備える。
【0035】
第1のバランスディスクは、第2のバランスディスクにリベット留めされる。このようにして、2つのバランスディスクを互いに固定することを可能にする連結手段は堅牢であり、容易に製造することができる。
【0036】
第1のバランスディスクおよび第2のバランスディスクは、回転軸を中心に回転可能である。
【0037】
第1のバランスディスクと第2のバランスディスクとは、厳密に同一である。このように、1つの基準がありさえすればよく、それによって製造コストが削減される。
【0038】
第1のバランスディスクおよび/または第2のバランスディスクは、打ち抜き金属シートである。
【0039】
第1のフランジおよび/または第2のフランジは、第2の圧縮タブを形成する第2の打ち抜き部を備える。第2の打ち抜き部は、第1の打ち抜き部と同一である。このように、1つの基準がありさえすればよく、それによって製造コストが削減される。
【0040】
第1のフランジの第1のバランスディスクと第2のフランジの第1のバランスディスクとは、第1の回転要素の一方の側に軸方向に配置され、第1のフランジの第2のバランスディスクと第2のフランジの第2のバランスディスクとは、第1の回転要素の他方の側に軸方向に配置される。このようにして、フランジは優れた機械的強度を有する。
【0041】
第1の回転要素および第2の回転要素の一方は、ハブに回転可能に結合され、第1のフランジおよび/または第2のフランジは、前記ハブによって回転案内される。
【0042】
装置は、第1の回転要素または第2の回転要素に対して正の方向または負の方向に擦るように配置され、第1のフランジまたは第2のフランジによって回転駆動される摩擦ワッシャを備える摩擦システムをさらに備える。
【0043】
よって、摩擦システムは、正の方向の摩擦と負の方向の摩擦とを区別することを可能にする。
【0044】
摩擦ワッシャは、第2の回転要素に対して正の方向または負の方向に擦るように配置され、摩擦システムは、第2のフランジが回転可能であるときに摩擦ワッシャが作動ワッシャによって駆動されることを確実にするように摩擦ワッシャ内のノッチと相互作用する軸方向フィンガを備えた作動ワッシャをさらに備える。
【0045】
この摩擦は、特にハイブリッド車両の始動中に負の方向に特に大きいため、摩擦システムは負の方向に特に効果的である。摩擦システムは、より少ない部品を有し、より堅牢である。
【0046】
摩擦システムは、第2の回転要素と共に回転する軸方向支持体と、第2の回転要素の方向に摩擦ワッシャに対して軸力を加えるように軸方向支持体と摩擦ワッシャとの間に配置された弾性ワッシャと、をさらに備える。
【0047】
本発明の最終的な主題は、本発明の別の態様によれば、車両を推進するための燃焼エンジンおよび/または電気モータと、本発明によるねじり減衰装置と、を備える車両推進ユニットである。
【0048】
この説明および特許請求の範囲において、一方の部分についての「圧縮された」または「圧縮」という用語、および他方の部分についての「プレストレスを与えられた」または「プレストレス」という用語は、これらがばねに言及する場合、以下のように使用される。
【0049】
ばねのプレストレスとは、このばねが、ばねの初期長よりも小さいハウジング内に取り付けられ、したがって、ばねの弾性により、ばねがハウジングの壁のうちの少なくとも1つに対して力を加えることを指し、
【0050】
ばねの圧縮とは、このばねが2つの可動部分をくっつけることによって圧縮されることを指す。
【0051】
ばねのプレストレスは、したがって、ねじり減衰装置が休止していても、トルクが伝達されることなく有効である。ばねの一部分の圧縮はトルク伝達の過程でのみ行われ、互いに対して移動可能な部分が、ばねのハウジングの形状を変更し、ばねを圧縮する。
【0052】
「車両」とは、乗用車だけでなく産業車両も含む自動車を意味すると理解されるべきであり、これは特に重量物運搬車、公共輸送車両または農業車両だけでなく、ある地点から別の地点に生物および/または物体を移動させることを可能にする任意の輸送ユニットも含む。
【0053】
次に、添付の図面を参照して、本発明の好ましい例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明によるねじり減衰装置の分解図である。
図2】第1のフランジおよび第2のフランジが所定の初期位置にある、ねじり減衰装置の部分斜視図である。
図3】第1のフランジが移動終了位置にある、ねじり減衰装置の部分斜視図である。
図4】第2のフランジが移動終了位置にある、ねじり減衰装置の部分斜視図である。
図5】摩擦システムを備える、ねじり減衰装置の部分断面図である。
図6】止め具を備える、ねじり減衰装置の部分斜視図である。
図7】フランジの第1の変形実施形態の斜視図である。
図8】フランジの第2の変形実施形態の斜視図である。
図9】第3の変形実施形態によるフランジを備える、ねじり減衰装置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
この説明および特許請求の範囲において、「外部」および「内部」という用語、ならびに「軸方向」および「半径方向」という向きは、説明で与えられた定義に従って、減衰装置の要素を指定するために使用される。回転軸Xは、「軸方向」の向きを決定する。「半径方向」の向きは、回転軸Xと直交する。「円周方向」の向きは、回転軸Xと直交し、半径方向と直交する。「外部」および「内部」という用語は、回転軸Xに関してある構成要素の別の構成要素対する相対位置を定義するために使用され、よって、前記軸に近い構成要素は、半径方向に外周に配置された外部構成要素に対して内部と記述される。さらに、表される角度および角度セクタは、回転軸Xに関して定義される。
【0056】
図1に、ねじり減衰装置1を示す。
【0057】
減衰装置1は、周辺トルク伝達部材と、この例ではハブ5によって構成される中央トルク伝達部材と、を備え得る。
【0058】
周辺トルク伝達部材は、例えば、通常動作中に、回転軸Xを中心に回転することによってトルクを伝達し、このトルクが特定の値を超えるとこの伝達を制限するように意図されたトルクリミッタ(図示せず)の摩擦ディスクであってもよい。
【0059】
周辺トルク伝達部材は、例えば第1の組のリベットによって、この例では「ウェブ」7と呼ばれるディスクによって構成される第1の回転トルク伝達要素に固定され得る。装置1は、ウェブ7を備え得る。
【0060】
ハブ5は、第2の組のリベット2によって、この例では「ガイドワッシャ」9、10と呼ばれる1対のディスクによって構成される第2の回転トルク伝達要素に固定され得る。ガイドワッシャ9、10は、装置1のためのカバーを形成し得る。第1のガイドワッシャ9は、ハブ5の側面に対して固定され、第2のガイドワッシャ10は、ハブ5の反対側の側面に対して固定される。装置1は、ガイドワッシャ9、10を備え得る。
【0061】
ウェブとガイドワッシャとの役割は逆転されて、ウェブが第2の回転要素になり、ガイドワッシャが第1の回転要素になってもよい。
【0062】
減衰装置1は、ウェブ7とガイドワッシャ9、10との間に介在する弾性減衰装置11を有する。弾性装置11は、一方の部分のウェブ7と他方の部分のガイドワッシャ9、10とが、弾性装置11の圧縮に伴って互いに対して回転することができるように設計される。
【0063】
減衰装置1は、例えば車両のエンジンと車輪との間のトルク伝達ドライブトレインに取り付けられることが意図される。周辺トルク伝達部材を、弾性的に荷重がかけられた圧力ディスクによって、エンジンフライホイールに固定されて取り付けられた支持ディスクに押し付けることができる。ハブ5は、伝達シャフトに連結され得る。エンジン要素は、周辺トルク伝達部材を、したがって周辺トルク伝達部材に固定されたウェブ7を回転させる。ウェブ7は、第1のフランジ30および第2のフランジ40の一方を介して弾性装置11を圧縮し、第1のフランジ30および第2のフランジ40の他方を介してガイドワッシャ9、10に、したがってガイドワッシャに固定されたハブ5にトルクを伝達する。ウェブ7とガイドワッシャ9、10との間でトルクを伝達することにより、弾性装置11の弾性特性は、非周期的挙動および他の望ましくないねじり運動を除去する。
【0064】
装置1は、乾燥状態で、またはグリースもしくは油が存在する環境で動作することができる。
【0065】
減衰装置1は、トルクが周辺トルク伝達部材からハブ5に直接伝達されることを可能にし、ウェブ7とガイドワッシャ9、10との間の所定の相対回転角度を超えて弾性装置11を迂回する、第1の移動終了止め具と相補的な第2の移動終了止め具とをさらに備える。
【0066】
第1の移動終了止め具は、この例では、ハブ5の外周に配置された外歯によって構成され、相補的な第2の移動終了止め具は、この例では、ウェブ7の中心にある内歯4によって構成される。
【0067】
弾性減衰装置11は、第1のばね13を備える。第1のばね13は、直線状であってもよい。代替として、第1のばね13は湾曲していてもよい。
【0068】
弾性減衰装置11は、第3のばね15をさらに備え得る。第3のばね15は、直線状であってもよい。代替として、第3のばね15は湾曲していてもよい。第1のばね13は、回転軸Xに対して第3のばね15と直径方向に対向してもよい。
【0069】
第1のばね13は、第1の端部131と第2の端部132との間に延在する。第3のばね15は、第1の端部151と第2の端部152との間に延在する。
【0070】
ウェブ7は、第1のハウジング17を画定する第1の開口部を備える。第1のばね13は、第1のハウジング17内に取り付けられ得る。ウェブ7は、第2のハウジング18を画定する第2の開口部をさらに備え得る。第3のばね15は、第2のハウジング18内に取り付けられ得る。
【0071】
ウェブ7のハウジング17、18の各々は、第1の支持ゾーン19と、反対側の第2の支持ゾーン20と、を有する。
【0072】
ウェブ7は、2つの直径方向に対向するアーム6を備える。アーム6の各々は、第1のハウジング17と第2のハウジング18との間に仕切りを形成することができる。ばね13、15は、アーム6の間に取り付けられる。
【0073】
ガイドワッシャ9、10は、ばね13、15が取り付けられることを可能にする開口部12を各々有する。前記開口部の縁部は、ばね13、15から離間している。
【0074】
弾性装置11の機能は、単一のばねによって、または任意の数のばねによって提供することができ、それらのばねは直列であるかまたは並列であり得る。
【0075】
ウェブ7は、弾性装置11のばね13、15が圧縮されない休止位置と、弾性装置11のばね13、15が圧縮される作動位置との間で回転可能であり得る。
【0076】
装置1は、第1のフランジ30と第2のフランジ40とをさらに備える。
【0077】
第1のフランジ30および第2のフランジ40は、回転軸Xを中心に回転可能とすることができる。第1のフランジ30および第2のフランジ40は、ハブ5によって案内され得る。第1のフランジ30および第2のフランジ40は、ウェブ7の両側に軸方向に取り付けられ得る。
【0078】
第1のフランジ30は、ガイドワッシャ9、10またはウェブ7を直接、半径方向に中心としていてもよい。代替として、第1のフランジ30は、ガイドワッシャ9、10またはウェブ7を間接的に半径方向に中心としていてもよい。
【0079】
第2のフランジ40は、ガイドワッシャ9、10またはウェブ7を直接、半径方向に中心としていてもよい。代替として、第2のフランジ40は、ガイドワッシャ9、10またはウェブ7を間接的に半径方向に中心としていてもよい。
【0080】
第1のフランジ30は、少なくとも1つのバランスディスク31と、第1の圧縮タブ32と、第2の圧縮タブ33と、を備える。
【0081】
バランスディスク31は、打ち抜き金属シートであり得る。
【0082】
第1の圧縮タブ32と第2の圧縮タブ33とは、ばね13、15の一方の端部の一方がそれに当接するように設計された支持面34を各々備え得る。第1の圧縮タブ32と第2の圧縮タブ33とは、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面34から半径方向に延在するスタッド35をさらに各々備え得る。スタッド35は、ばねの一方を半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。スタッド35は、ばねの一方が遠心力を受けるときにそのばねを半径方向に保持するように設計され得る。スタッド35はさらに、ばね13、15の一方を軸方向に保持するように設計され得る。第1の圧縮タブ32と第2の圧縮タブ33とは、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面34の上端から半径方向に延在する外縁部36をさらに各々備え得る。縁部36は、ばねの一方を半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。縁部36は、ばねの一方が遠心力を受けるときにそのばねを半径方向に保持するように設計され得る。
【0083】
第1のフランジ30の第1の圧縮タブ32は、円周方向に第1のばね13の第1の端部131とウェブ7との間に配置され得る。より詳細には、第1のフランジ30の第1の圧縮タブ32は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第1のハウジング17の第1の支持ゾーン19に当接し得る。装置1のこの休止状態は、ウェブ7が休止位置にある状態である。ウェブ7の休止位置は、ウェブ7がばね13、15から離間している位置である。すなわち、ウェブ7は、ばね13、15のいずれも圧縮しない。装置1のこの休止状態は、第1のフランジ30が所定の初期位置にある状態である。第1のフランジ30の第1の圧縮タブ32の支持面34は、第1のばね13の第1の端部131に当接し得る。
【0084】
第1のフランジ30の第2の圧縮タブ33は、円周方向に第3のばね15の第1の端部151とウェブ7との間に配置され得る。より詳細には、第1のフランジ30の第2の圧縮タブ33は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第2のハウジング18の第1の支持ゾーン19に当接し得る。装置1のこの休止状態では、第1のフランジ30は所定の初期位置にあり、ウェブ7は休止位置にある。第1のフランジ30の第2の圧縮タブ33の支持面34は、第3のばね15の第1の端部151に当接し得る。
【0085】
回転軸Xを中心に回転可能なバランスディスク31は、単一のバランスディスクであってもよい。バランスディスク31は一体であってもよい。バランスディスク31は、第1の圧縮タブ32および第2の圧縮タブ33を形成し得る。第1の圧縮タブ32と第2の圧縮タブ33とは、傾斜U字形状を有し得る。この形状は、スーツケースコーナとも呼ばれる。この形状は、主壁と、主壁に対して半径方向の2つの側壁と、を備える。側壁の一方は、縁部36を形成し得る。第1の圧縮タブの傾斜U字形状は、打ち抜き部によって作られる。
【0086】
第2のフランジ40は、少なくとも1つのバランスディスク41と、第1の圧縮タブ42と、第2の圧縮タブ43と、を備える。
【0087】
バランスディスク41は、打ち抜き金属シートであり得る。
【0088】
第1の圧縮タブ42と第2の圧縮タブ43とは、ばね13、15の一方の端部の一方がそれに当接するように設計された支持面44を各々備え得る。第1の圧縮タブ42と第2の圧縮タブ43とは、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面44から半径方向に延在するスタッド45をさらに各々備え得る。スタッド45は、ばねの一方を半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。スタッド45は、ばねの一方が遠心力を受けるときにそのばねを半径方向に保持するように設計され得る。スタッド45はさらに、ばね13、15の一方を軸方向に保持するように設計され得る。第1の圧縮タブ42と第2の圧縮タブ43とは、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面44の上端から半径方向に延在する外縁部46をさらに各々備え得る。縁部46は、ばねの一方を半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。縁部46は、ばねの一方が遠心力を受けるときにそのばねを半径方向に保持するように設計され得る。
【0089】
第1のフランジ40の第1の圧縮タブ42は、円周方向に第1のばね13の第2の端部132とウェブ7との間に配置され得る。より具体的には、第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第1のハウジング17の第2の支持ゾーン20に当接し得る。装置1のこの休止状態では、第2のフランジ40は所定の初期位置にあり、ウェブ7は休止位置にある。第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42の支持面44は、第1のばね14の第2の端部132に当接し得る。
【0090】
第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43は、円周方向に第3のばね15の第2の端部152とウェブ7との間に配置され得る。より具体的には、第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第2のハウジング18の第2の支持ゾーン20に当接し得る。装置1のこの休止状態では、第2のフランジ40は所定の初期位置にあり、ウェブ7は休止位置にある。第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43の支持面44は、第3のばね15の第2の端部122に当接し得る。
【0091】
ばね13、14、15、16のうちの少なくとも1つに対する圧縮タブのうちの1つの迎え角は、0~20°(度)である。
【0092】
回転軸Xを中心に回転可能なバランスディスク41は、単一のバランスディスクであってもよい。バランスディスク41は一体であってもよい。バランスディスク41は、第1の圧縮タブ42および第2の圧縮タブ43を形成し得る。第1の圧縮タブ42と第2の圧縮タブ43とは、傾斜U字形状を有し得る。この形状は、スーツケースコーナとも呼ばれる。この形状は、主壁と、主壁に対して半径方向の2つの側壁と、を備える。側壁の一方は、縁部46を形成し得る。第1の圧縮タブの傾斜U字形状は、打ち抜き部によって作られる。
【0093】
軸方向に、第1のフランジ30、ウェブ7、次いで第2のフランジ40がある。
【0094】
弾性減衰装置11は、第2のばね14と第4のばね16とをさらに備え得る。ばね13、14、15、16は、円周方向に配置されてもよい。ばね13、14、15、16は、直列に配置されてもよい。ばね14、16は、直線状であってもよい。代替として、ばね14、16は、湾曲していてもよい。第2のばね14は、回転軸Xに対して第4のばね16と直径方向に対向してもよい。
【0095】
第2のばね14は、第1の端部141と第2の端部142との間に延在する。第4のばね16は、第1の端部161と第2の端部162との間に延在する。
【0096】
第1のばね13および第2のばね14は、ウェブ7の第1のハウジング17内に取り付けられ得る。第3のばね15および第4のばね16は、ウェブ7の第2のハウジング18内に取り付けられ得る。ばね13、14、15、16は、ウェブ7のアーム6の間に取り付けられる。
【0097】
ガイドワッシャ9、10の開口部12は、ばね13、14、15、16を取り付けることを可能にする。前記開口部の縁部は、ばね13、14、15、16から離間している。
【0098】
弾性減衰装置11は、ばね13、14、15、16を位相調整するための位相調整要素50をさらに備える。位相調整要素50は、軸方向に2つの位相調整ディスク52の間に直径方向に対向して取り付けられた2つのスペーサ51を備える。第1のスペーサ51は、円周方向に第1のばね13と第2のばね14との間に取り付けられ得る。第2のスペーサ51は、円周方向に第3のばね15と第4のばね16との間に取り付けられ得る。
【0099】
各スペーサ51は、2つのエンドピース53を備え得る。2つのエンドピースは同一であってもよい。2つのエンドピースは、一体部品を形成してもよい。エンドピース53の各々は、焼結鋼で作られ得る。エンドピース53の各々は、それに当接するばねの端部の一方を有するように設計された支持面54を備え得る。エンドピース53の各々は、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面54から半径方向に延在するスタッド55をさらに備え得る。スタッド55は、ばねのうちの1つを半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。スタッド55は、ばねのうちの1つが遠心力を受けるときにそのばねを半径方向に保持するように設計され得る。スタッド55はさらに、ばね13、14、15、16のうちの1つを軸方向に保持するように設計され得る。エンドピース53の各々は、前記支持面に固定された端部と自由端との間で支持面54の上端から半径方向に延在する外縁部56をさらに備え得る。縁部56は、ばね13、14、15、16のうちの1つを半径方向に保持するように設計された保持要素であり得る。スタッド56は、ばね13、14、15、16のうちの1つが遠心力を受けたときにそのばねが半径方向に保持されるように設計され得る。
【0100】
第1のスペーサ51の第1のエンドピース53は、第1のばね13の第2の端部132と接触してもよく、第1のスペーサの第2のエンドピース53は、第2のばね14の第1の端部141と接触してもよい。第2のスペーサ51の第1のエンドピース53は、第3のばね15の第2の端部152と接触してもよく、第2のスペーサの第2のエンドピース53は、第4のばね16の第1の端部161と接触してもよい。
【0101】
位相調整ディスク52とエンドピース53の各々とは、リベット57によって互いに固定され得る。
【0102】
第1の圧縮タブ32および第2の圧縮タブ33の支持面34は、支持面34に当接するばね13、14、15、16のうちの1つの端部の一方を有するように各々設計され得る。スタッド35は、ばね13、14、15、16のうちの1つを軸方向に保持するように設計され得る。縁部36は、ばね13、14、15、16のうちの1つを半径方向に保持するように設計され得る。
【0103】
第1の圧縮タブ42および第2の圧縮タブ43の支持面44は、支持面44に当接するばね13、14、15、16のうちの1つの端部の一方を有するように各々設計され得る。スタッド45は、ばね13、14、15、16のうちの1つを軸方向に保持するように設計され得る。縁部46は、ばね13、14、15、16のうちの1つを半径方向に保持するように設計され得る。
【0104】
弾性装置11が4つのばね13、14、15、16を備える場合、第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42は、円周方向に第2のばね14の第2の端部142とウェブ7との間に配置され得る。より具体的には、第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第1のハウジング17の第2の支持ゾーン20に当接し得る。装置1のこの休止状態では、第2のフランジ40は所定の初期位置にあり、ウェブ7は休止位置にある。第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42の支持面44は、第2のばね14の第2の端部142に当接し得る。
【0105】
第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43は、円周方向に第4のばね16の第2の端部162とウェブ7との間に配置され得る。より具体的には、第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43は、装置1が休止状態にあるときにウェブ7の第2のハウジング18の第2の支持ゾーン20に当接し得る。装置1のこの休止状態では、第2のフランジ40は所定の初期位置にあり、ウェブ7は休止位置にある。第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43の支持面44は、第4のばね16の第2の端部162に当接し得る。
【0106】
第1のフランジ30’の第2の変形実施形態は、第1のフランジ30の第1の変形実施形態と以下の点で異なる。
【0107】
第1のフランジ30’は、2つのエンドピース37’をさらに備え得る。2つのエンドピース37’は、前記単一のバランスディスク31’に固定される。第1のエンドピース37’は、第1の圧縮タブ32を形成し得る。第2のエンドピース37’は、第2の圧縮タブ33を形成し得る。単一のバランスディスク31’は、金属で作られ得る。エンドピース37’の各々は、プラスチックで作られてもよく、単一のバランスディスク31’のアーム上にオーバーモールドされる。
【0108】
この第2の変形例の特徴は、第2のフランジにも適用される。
【0109】
第1のフランジ30’’の第3の変形実施形態は、第1のフランジ30の第1の変形実施形態と以下の点で異なる。
【0110】
第1のフランジ30’’は、2つのバランスディスク31’’と2つのエンドピース37’’とを備え得る。第1のバランスディスクは、第2のバランスディスクと共に回転し得る。第1のバランスディスク31’’と第2のバランスディスク31’’とは、厳密に同一である。2つのエンドピース37’’は、前記単一のバランスディスク31’’に固定される。第1のエンドピース37’’は、第1の圧縮タブ32を形成し得る。第2のエンドピース37’’は、第2の圧縮タブ33を形成し得る。第2の打ち抜き部は、第1の打ち抜き部37’’と同一である。2つのバランスディスク31’’は、打ち抜き金属シートで作られ得る。エンドピース37’’の各々は、焼結鋼で作られ得る。第1のバランスディスクは、第2のバランスディスクにリベット留めされる。打ち抜き部37’’は、2つのバランスディスク31’’にリベット留めされ得る。
【0111】
この第3の変形例の特徴は、第2のフランジ40’’にも適用される。
【0112】
第1のフランジ30’’の第1のバランスディスク31’’と第2のフランジ40’’の第1のバランスディスク41’’とは、ウェブ7の一方の側に軸方向に配置され、第1のフランジ30’’の第2のバランスディスク31’’と第2のフランジ40’’の第2のバランスディスク41’’とは、ウェブ7の他方の側に軸方向に配置される。
【0113】
減衰装置1は、ばね13、14、15、16のエネルギーを消散させ、振動現象を回避するように意図された摩擦システム60をさらに備え得る。摩擦システム60は、第3の組のリベット62によって第2のガイドワッシャ10に対して固定された軸方向支持体61を有する。軸方向支持体61と第2のガイドワッシャ10との間には、摩擦ワッシャ63、介在ワッシャ64、および弾性ワッシャ65が配置され、弾性ワッシャ65は介在ワッシャ64を介して摩擦ワッシャ63に荷重を加える。
【0114】
軸方向支持体61もまた、ガイドワッシャ10と一体で作られ得る。
【0115】
加えて、第2のフランジ40は、第2のガイドワッシャ10の他方の側に設けられる。第2のフランジ40は、少なくとも1つの歯部をさらに備え得る。歯部は、軸方向フィンガ49、好ましくは4つの軸方向フィンガ49を備える追加の摩擦ワッシャを作動させるように設計される。追加の摩擦ワッシャは、プラスチックで作られ得る。追加の摩擦ワッシャは、4つの軸方向フィンガ49が第2のガイドワッシャ10に形成された4つの対応する溝8を通るように取り付けられ得る。4つの軸方向フィンガ49は、摩擦ワッシャ63のノッチ69に各々挿入される。よって、第2のフランジ40は摩擦ワッシャ69に回転可能に結合される。
【0116】
ガイドワッシャ9、10の少なくとも一方は、止め具21を備え得る。止め具21は、所定の初期位置を越える負の方向への第1のフランジ30の移動を防止し、所定の初期位置を越える正の方向への第2のフランジ40の移動を防止するように設計される。止め具21は、円周方向に第1のフランジ30の第1の圧縮タブ32と第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43との間に配置され得る。
【0117】
止め具21は、ガイドワッシャ9、10の少なくとも一方に形成された打ち抜き部であり得る。
【0118】
ガイドワッシャ9、10の少なくとも一方は、2つの止め具21を備え得る。
【0119】
代替として、第1のフランジおよび第2のフランジの圧縮タブ32、33、42、43は、止め具23を各々備えていてもよい。止め具23は、所定の初期位置を越える負の方向への第1のフランジ30の移動を防止し、所定の初期位置を越える正の方向への第2のフランジ40の移動を防止するように設計される。より詳細には、第1のフランジ30に位置する止め具23は、所定の初期位置を越える負の方向への第1のフランジ30の移動を防止するように設計される。第2のフランジ40に位置する止め具23は、所定の初期位置を越える正の方向への第2のフランジ40の移動するのを防止するように設計される。
【0120】
止め具23の各々は、フランジの圧縮タブ上にそれぞれ形成された肩部であり得る。
【0121】
装置1の取り付けは、図2の図に示されている。この図2は、休止状態、すなわち、いかなるトルクも伝達せず、ばね13、14、15、16に荷重がかかっていない装置1を示している。各ばね13、14、15、16は、その端部の一方で、圧縮タブ32、33、42、43内に取り付けられ、その端部の他方で、スペーサ51の一方に対して取り付けられる。各圧縮タブ32、33、42、43は、もっぱらウェブ7だけを圧迫する。このようにして、第1の対のばね13、14は、例えば、もっぱら、ウェブ7の第1のハウジング17の第1の支持ゾーン19だけを圧迫する第1のフランジ30の第1の圧縮タブ32と、例えば、もっぱら、ウェブ7の第1のハウジング17の第2の支持ゾーン20だけを圧迫する第2のフランジ40の第1の圧縮タブ42との間に取り付けられる。加えて、第2の対のばね15、16は、例えば、もっぱら、ウェブ7の第2のハウジング18の第1の支持ゾーン19だけを圧迫する第1のフランジ30の第2の圧縮タブ33と、例えば、もっぱら、ウェブ7の第2のハウジング18の第2の支持ゾーン20だけを圧迫する第2のフランジ40の第2の圧縮タブ43との間に取り付けられる。
【0122】
よって、ばね13、14、15、16は、第1の支持ゾーン19と第2の支持ゾーン20との間で対でプレストレスを受ける。各対のばね13、14、15、16の間で、位相調整ディスク52によって軸Xを中心に回転可能なスペーサ51は、対のばね13、14、15、16の直列接続を、また一方の対と他方の対との位相調整、すなわち角度調整も確実にする。
【0123】
休止角度位置は、以下を特徴とする初期位置である。
【0124】
ウェブ7が、ガイドワッシャ9、10に対して、ウェブ7が休止位置にある、休止角度位置とも呼ばれる所定の初期位置と、ウェブ7が作動位置にある、すなわち、歯3、6が当接するまでウェブ7が正の方向に可能な限り回転した移動終了位置との間の角度セクタ内に位置する角度位置にあることによって定義される第1のトルク極性。
【0125】
ウェブ7が、ガイドワッシャ9、10に対して、ウェブ7が休止位置にある、休止角度位置とも呼ばれる所定の初期位置と、ウェブ7が作動位置にある、すなわち、歯3、6が当接するまでウェブ7が正の方向に可能な限り回転した移動終了位置との間の角度セクタ内に位置する角度位置にあることによって定義される第2のトルク極性。
【0126】
これらの2つのトルク極性は、ねじり減衰装置1の以下の2つの動作モードに対応する。
【0127】
一般に「後退モード」と呼ばれる、例えば、車両における、車輪からエンジンに向かうトルクの伝達(例えば、エンジン制動段階)に対応する、トルクが中央トルク伝達要素から周辺トルク伝達要素に向かって伝達されるモード、これは第2のトルク極性に対応する。
【0128】
一般に「前進モード」と呼ばれる、例えば、車両におけるエンジンから車輪に向かうトルクの伝達(例えば、加速段階)に対応する、トルクが周辺トルク伝達要素から中央トルク伝達要素に向かって伝達されるモード、これは第1のトルク極性に対応する。
【0129】
図3は、第1のトルク極性におけるディスク1に関する。図2の休止角度位置に関して、ウェブ7は、その移動終了位置まで正の方向に(矢印D)回転している。この位置で、ばね13、14、15、16は、ウェブ7の第1の支持ゾーン19と第2のフランジ40の圧縮タブ42、43との間で圧縮される。
【0130】
図4は、第2のトルク極性におけるディスク1に関する。図2の休止角度位置に関して、ウェブ7はここでは、その移動終了位置まで負の方向に(矢印I)回転している。この位置で、ばね13、14、15、16は、ウェブ7の第2の支持ゾーン20と第1のフランジ30の圧縮タブ32、33との間で圧縮される。
【0131】
摩擦装置60の動作は、ねじり減衰装置1がこれらのトルク極性の一方で動作しているか、それとも他方で動作しているかによって異なる。
【0132】
ねじり減衰装置1が第1のトルク極性に従って荷重を受けているとき、これは、図3では、ガイドワッシャ10が静止したままである矢印Dの方向のウェブ7の移動と同等である。ウェブ7は、次いで、第1の支持ゾーン19を介して、第1のフランジ30の圧縮タブ32、33を駆動し、第1のばね13および第3のばね15をスペーサ51の一方に対してそれぞれ圧縮し、これらのスペーサ51は、第2のフランジ40の第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブに対して第2のばねおよび第4のばねをそれぞれ圧縮する。ウェブ7の第2の支持ゾーン20は、次いで、第2のフランジ40の圧縮タブ42、43から離れる。摩擦システム60は作動していない。第2のフランジ40に荷重をかけるものがないので、第2のフランジ40は移動しない。
【0133】
対照的に、ねじり減衰装置1が第2のトルク極性に従って荷重を受けているとき、これは、ガイドワッシャ10が静止したままである矢印Iの方向のウェブ7の移動と同等である。ウェブ7は、次いで、第2の支持ゾーン20を介して、第2のフランジ40の圧縮タブ42、43を駆動し、第2のばね14および第4のばね16をスペーサ51の一方に対してそれぞれ圧縮し、これらのスペーサ51は、第1のフランジ30の第1の圧縮タブおよび第2の圧縮タブに対して第1のばねおよび第3のばねをそれぞれ圧縮する。ウェブ7の第1の支持ゾーン19は、次いで、第1のフランジ30の圧縮タブ32、33から離れる。第2のフランジ40の移動が摩擦ワッシャ63の移動を駆動し、したがって摩擦ワッシャ63がガイドワッシャ10に対して介在ワッシャ64を擦るので、摩擦システム60は作動している。
【0134】
よって摩擦システム60は、第1のトルク極性に従って非動作状態になり、第2のトルク極性に従って作動される。
【0135】
ねじり減衰装置1の他の変形実施形態を、本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。例えば、ねじり減衰装置が取り付けられるシステムは、クラッチディスクなどのねじり減衰を必要とするトルク伝達ドライブトレイン内の任意のシステムであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】