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特表2023-509718圧縮機の流出領域、このタイプの流出領域を有する圧縮機、及び圧縮機を有する過給機
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  • 特表-圧縮機の流出領域、このタイプの流出領域を有する圧縮機、及び圧縮機を有する過給機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】圧縮機の流出領域、このタイプの流出領域を有する圧縮機、及び圧縮機を有する過給機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20230302BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F02B39/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541807
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2021050171
(87)【国際公開番号】W WO2021140142
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】20150566.6
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ ダニエル
【テーマコード(参考)】
3G005
3H130
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA05
3G005GB16
3G005GB17
3G005GB88
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB50
3H130AC14
3H130BA66B
3H130BA98B
3H130CA06
3H130CA08
3H130EB01B
3H130EB05A
3H130ED04A
3H130ED04B
(57)【要約】
本発明は、圧縮機(20)、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機の流出領域(10)に関する。流出領域(10)は、シュラウド側側壁(12)及びハブ側側壁(13)によって定められる流路(11)を有する。ハブ側側壁(13)は、圧縮機ホイール出口の領域(14)において輪郭を有し、輪郭は、流れ方向(1)において流路(11)の断面積が減少し、最小部を通過し、再度増大するように設計されている。圧縮機ホイール出口の領域(14)において、流路(11)は、圧縮機ホイール出口縁(4)からディフューザ領域(16)のディフューザベーン入口縁まで延びる長さLを有する。ディフューザ領域(16)は、圧縮機ホイール出口の領域(14)に隣接し、多数のディフューザベーン(17)を有する。本発明はさらに、本発明による流出領域(10)を有する圧縮機(20)、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機、及び圧縮機(20)を有するターボ過給機に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(20)、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機の流出領域(10)であって、
前記流出領域(10)は、シュラウド側側壁(12)及びハブ側側壁(13)によって定められる流路(11)を有し、
前記ハブ側側壁(13)は、圧縮機ホイール出口の領域(14)において輪郭を有し、前記輪郭は、流れ方向(1)において前記流路(11)の断面積が減少し、最小部を通過し、再度増大するように設計されており、
前記圧縮機ホイール出口の領域(14)において、前記流路(11)は、圧縮機ホイール出口縁(4)からディフューザ領域(16)のディフューザベーン入口縁まで延びる長さLを有し、
前記ディフューザ領域(16)は、前記圧縮機ホイール出口の領域(14)に隣接し、多数のディフューザベーン(17)を有する、流出領域(10)。
【請求項2】
前記輪郭は、S字状領域(15)を有する、請求項1に記載の流出領域(10)。
【請求項3】
前記S字状領域(15)は、少なくとも3つのセグメント、詳細には線セグメント及び/又は曲線セグメントによって形成される、請求項2に記載の流出領域(10)。
【請求項4】
前記ハブ側側壁(13)及び/又は前記シュラウド側側壁(12)は、前記圧縮機ホイール出口(14)の領域において連続する輪郭形状を有する、請求項1から3のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項5】
前記S字状領域(15)は、前記ディフューザ領域の入口よりも前記圧縮機ホイール出口縁の近く配置され、詳細には前記圧縮機ホイール出口縁の下流で前記流路(11)の長さLの50%以内に配置されている、請求項2から4のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項6】
前記流路(11)は、圧縮機ホイール出口断面積A2及びディフューザ入口断面積A3を有し、比率A3/A2は、0.80≦A3/A2≦1.2の範囲、詳細には0.90≦A3/A2≦1.1の範囲から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項7】
隙間(3)が前記ハブ側側壁(13)に、詳細には前記圧縮機ホイール出口に形成される、請求項1から6のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項8】
前記流れ方向において前記圧縮機ホイール出口よりも下流側において、前記S字状領域(15)は、最初に前記シュラウド側側壁(12)に面する凸状曲率を有し、次に前記シュラウド側側壁(12)に面する凹状曲率を有する、請求項2から7のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項9】
前記シュラウド側側壁(12)は、前記圧縮機ホイール出口の領域において、前記ハブ側側壁(13)に対して排他的に凸状となるように設計されている、請求項8に記載の流出領域(10)。
【請求項10】
前記輪郭は、前記S字状領域(15)に接続する接線である、請求項2から9のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項11】
前記流路(11)の前記流れ方向における断面積の最小値は、R2<rMin≦R2+0.8×(R3-R2)、詳細にはR2<rMin≦R2+0.6×(R3-R2)の範囲から選択される半径方向の位置rMinに存在し、ここでR2は圧縮機ホイール出口半径であり、R3は前記圧縮機ホイール(21)の前記回転軸(2)から前記ディフーザー領域への入口(5)の半径方向距離である、請求項1から10のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項12】
前記圧縮機ホイール出口断面積A2に対する前記流路(11)の前記断面積の前記最小値の比率VQは、0.8≦VQ<1、詳細には0.9≦VQ<1の範囲から選択される、請求項1から11のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項13】
前記S字状領域(15)は、前記シュラウド側側壁(12)に面する凸状曲率から前記シュラウド側側壁(12)に面する凹状曲率への曲率の変化点を有し、前記変化点は、R2<rKW≦R2+0.8(R3-R2)、詳細にはR2<rKW≦R2+0.6×(R3-R2)の範囲から選択される半径方向位置rKWに存在し、ここでR2は前記圧縮機ホイール出口半径であり、R3は前記圧縮機ホイール(21)の前記回転軸(2)から前記ディフーザー領域への入口(5)の前記半径方向距離である、請求項8から12のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項14】
前記凸状曲率は、R2<rKmax≦R2+0.75×(R3-R2)、詳細にはR2<rKmax≦R2+0.5×(R3-R2)から選択される半径方向位置rKmaxで最大曲率を有し、前記凹状曲率は、R2+0.15×(R3-R2)≦rKmin<R3、詳細にはR2+0.25×(R3-R2)≦rKmin<R3の範囲から選択される半径方向位置rminで最小曲率を有し、ここでR2は前記圧縮機ホイール出口半径であり、R3は前記圧縮機ホイール(21)の前記回転軸(2)から前記ディフーザー領域への入口(5)の前記半径方向距離である、請求項8から13のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項15】
前記流路の断面積は、前記流路の子午線断面積であり、詳細には、前記流路の断面積は、前記主流れ方向に対して法線方向に延び、前記主流れ方向は、前記シュラウド側側壁(12)と前記ハブ側側壁(13)との中心線に沿って延在する、請求項1から14のいずれかに記載の流出領域(10)。
【請求項16】
圧縮機(20)、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機であって、圧縮機ホイール(21)と、請求項1から15のいずれかに記載の流出領域(10)とを有する圧縮機(20)。
【請求項17】
前記圧縮機ホイール(21)は、圧縮機ホイール入口半径R1及び圧縮機ホイール出口半径R2を有し、比率R1/R2は、0.65≦R1/R2の範囲、詳細には0.7≦R1/R2の範囲から選択される、請求項16に記載の圧縮機(20)。
【請求項18】
前記圧縮機ホイール(21)の回転軸(2)から半径方向距離R3に配置されるディフューザ領域(16)を有し、前記圧縮機ホイール出口半径R2に対する前記半径方向距離R3の比率は、1.05≦R3/R2≦1.30、詳細には1.10≦R3/R2≦1.25の範囲から選定される、請求項16又は17に記載の圧縮機(20)。
【請求項19】
前記ハブ側側壁(13)の前記輪郭は、S字状領域(15)を備え、前記S字状領域(15)は、前記流れ方向において、前記圧縮機ホイール(21)の前記回転軸(2)から距離RSにある端部を備え、Rs、前記圧縮機ホイール出口半径R2、及び前記圧縮機ホイール(21)の前記回転軸(2)からのディフーザー領域(16)の半径距離R3は、条件0.4≦(RS-R2)/(R3-R2)≦1.0を満たすように選択される、請求項16から18のいずれかに記載の圧縮機(20)。
【請求項20】
請求項16から19のいずれかに記載の圧縮機(20)を有するターボ過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、詳細には半径流圧縮機及び斜流圧縮機の分野に関する。詳細には、本発明は、このような圧縮機の圧縮機ホイールの下流側かつディフューザ領域の上流側の流出領域に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、内燃機関の出力を向上させるために、内燃機関の排気管にタービンを備え、内燃機関の上流側に圧縮機を備えた排気ターボ過給機が標準的に使用されている。ここでは、内燃機関の排気ガスは、タービン内で膨張される。このようにして得られた仕事は、シャフトによって圧縮機に伝えられ、圧縮機は内燃機関に供給される空気を圧縮する。内燃機関の燃焼プロセスに供給される空気を圧縮するために排気ガスのエネルギーを使用することによって、燃焼プロセス及び内燃機関の効率を最適化することが可能である。
【0003】
高排出量の圧縮機ホイールを有する圧縮機、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機は、圧縮機ホイール入口半径R1と圧縮機ホイール出口半径R2の比率が大きく、例えばR1/R2>0.75である。一般的に、流れはインペラ領域又はインペラ及びディフューザ領域でそれぞれ半径方向に偏向され、これは大きな流れの偏向及びシュラウド輪郭の大きな曲率につながる。
【0004】
さらに、一般的に高い圧力比も要求されるため、遠心負荷を機械的な材料の限界より低く維持するために、圧縮機ホイールのハブ設計は、細く設計することが望ましい。細い設計のハブは、一般的に、圧縮機ホイールハブ輪郭の小さな出口角(半径方向に関して測定される)をもたらす。
【0005】
ディフューザにおける子午線経路が従来の設計である場合(例えば、ハブで完全に半径方向に、シュラウドでピンチ(曲率連続)を有する)、これは最初に圧縮機ホイール出口下流の流れ断面の顕著な先細りにつながる。これは,一般的にディフューザ入口,詳細にはディフューザベーンの前縁でのマッハ数の増大につながる、これを回避するために、ディフューザ、詳細にはディフューザベーンをさらに下流に配置することができる。従来技術から知られている別の改善策は、例えば、ハブの輪郭上に経路凹部である。しかしながら、公知の解決策は、効率、全体容積、及び圧縮機のコストに関して、特定の欠点を有することが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術から知られている欠点の少なくとも1つに関して改善された圧縮機、圧縮機及びターボ過給機の流出領域を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、独立請求項1に記載の圧縮機、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機の流出領域が提供される。さらに、本明細書に記載される実施形態による流出領域を有する圧縮機、及びそのような圧縮機を有するターボ過給機が提供される。
【0008】
本発明の更なる態様、利点及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付図面に見出すことができる。
【0009】
本発明の1つの態様では、圧縮機、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機の流出領域が提供される。流出領域は、シュラウド側側壁及びハブ側側壁によって定められる流路を有する。ハブ側側壁は、圧縮機ホイール出口の領域において輪郭を有し、輪郭は、流れ方向において流路の断面積が減少し、最小部を通過し、再度増大するように設計されている。圧縮機ホイール出口の領域において、流路は、圧縮機ホイール出口縁からディフューザ領域のディフューザベーン入口縁まで延びる長さLを有する。ディフューザ領域は、圧縮機ホイール出口の領域に隣接し、多数のディフューザベーンを有する。
【0010】
従って、従来技術に対して改善された流出領域が有利に提供される。詳細には、ハブ側側壁の輪郭の可変性によって、流路の有利な断面形状(減少-最小-増大)を実現することができるので、ディフューザ領域の上流側の流れを、シュラウド側で剥離させることなく大幅に減速させることができる。有利には、最初にシュラウド上の曲率を確認し、次にハブ輪郭(ハブ側側壁の輪郭)によって断面積の特性を調整することができる。これにより、よりコンパクトな設計及びより高い効率が可能になる。従って、流れの分離のリスクは、本発明による流出領域によって低減することができ、これは圧縮機の効率に有利な効果をもたらす。詳細には、本発明による流出領域は、有利には、コンパクトな設置スペース内で、圧縮機ホイール出口流を大きく減速させ、流れをスロットリング時に早期分離/不安定化する傾向を持たせることなく、より均一にすることを可能にする。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載の実施形態による圧縮機ホイールと流出領域とを備える圧縮機、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機が提供される。従って、改善された効率を有する圧縮機を有利に提供することができる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、本明細書に記載の実施形態による圧縮機を有するターボ過給機が提供され、従来技術よりも改善されたターボ過給機が有利に提供される。
【0013】
本発明は、図面に示され、そこからさらなる利点及び変更が得られる例示的な実施形態を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書に記載される実施形態による、圧縮機、詳細には斜流圧縮機の流出領域の概略図を示す。
図2】本明細書に記載されるさらなる実施形態による、斜流圧縮機の流出領域の概略図を示す。
図3】本明細書に記載されるさらなる実施形態による、半径流圧縮機の流出領域の概略図を示す。
図4】本明細書に記載されるさらなる実施形態による、半径流圧縮機の流出領域の概略図を示す。
図5】本明細書に記載されるさらなる実施形態による、斜流圧縮機の流出領域の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から5を参照して本開示による圧縮機20の流出領域10及び圧縮機20を説明する。圧縮機は、半径流圧縮機又は斜流圧縮機とすることができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、流出領域10は、シュラウド側側壁12及びハブ側側壁13によって定められた流路11を含む。圧縮機ホイール出口の領域14において、ハブ側側壁13は、流れ方向1において、流路の断面積、特に子午線断面積が減少し、最小部を通過し、再び増大するように設計された輪郭を有する。換言すると、ハブ側側壁13は、流れ方向1において、流路11の流れ断面が徐々に低減し、最小部を通過し、ディフューザ領域16に入る前に再び広がるように設計されている。詳細には、ハブ側側壁13の輪郭形状は、流れ方向1において、反対側のシュラウド側側壁12からの距離が減少し、最小部を通過し、その後再び増大するように設計されている。圧縮機ホイール出口の領域14において、流路11は、図1から5に示すように、長さLを有する。流路11の長さLは、圧縮機ホイール出口縁4からディフューザ領域16への入口5まで、詳細にはディフューザ領域16のディフューザベーン入口縁の所まで延びている。ディフューザ領域16は、圧縮機ホイール出口の領域14に隣接しており、複数のディフューザベーン17を有する。
【0016】
従って、圧縮機ホイールの下流の流れを最初により均一にし、次により大きく減速させ、流れの分離のリスクを低減することができ、これは圧縮機の効率、全体容積及びコストに有利な影響を与える。
【0017】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、ハブ側側壁13の輪郭は、S字状領域15を有する。詳細には、ハブ側側壁の輪郭は、圧縮機ホイール出口とディフューザ入口との間にS字状の子午線輪郭形状を有する。S字状領域15は、例えば、図3に例示されるように、少なくとも3つのセグメントS1、S2、S3によって形成することができる。図4は、4つのセグメントS1、S2、S3、S4を有する例示的な実施形態を示す。各セグメントは、線セグメント及び/又は曲線セグメントとすることができる。従って、S字状領域15は、多角形のS字輪郭によって提供することができることを理解されたい。もしくは、S字状領域15は、連続的な輪郭形状を有することもできる。輪郭形状は、正接連続又は非正接連続とすることができる。例えば、S字状領域15は、図1、2及び5に例示されるように、流れ方向において右の曲率及び左の曲率を有することができる。換言すると、S字状領域15は、シュラウド側側壁12に面する凸状曲率及び凹状曲率を有することができる。詳細には、流れ方向における圧縮機ホイール出口よりも下流側では、S字状領域15は、まずシュラウド側側壁12に面する凸状曲率を有し、次いでシュラウド側側壁12に面する凹状曲率を有する。シュラウド側側壁12は、典型的には、圧縮機ホイール出口の領域においてハブ側側壁13に対して排他的に凸状となるように設計されている。詳細には、シュラウド側側壁12は、ハブ側側壁13に対して、圧縮機ホイール出口からディフューザ領域への入口まで排他的凸状となるように設計される。
【0018】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図1、2及び5に例示されるように、ハブ側側壁13は、圧縮機ホイール出口の領域14において連続する輪郭形状を有する。代替的に又は追加的に、図1から5に例示されるように、シュラウド側側壁12は、圧縮機ホイール出口の領域14において連続する輪郭形状を有することができる。シュラウド側側壁12は、典型的には、流れ方向1において左に湾曲する。
【0019】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、S字状領域15は、ディフューザ領域の入口5よりも圧縮機ホイール出口縁4に近い位置に配置される。例えば、S字状領域15は、圧縮機ホイール出口縁の下流側の流路11の長さLの50%以内に配置することができる。典型的には、S字形状によって提供されるハブ側側壁13の曲率の変化点は、ディフューザ領域の入口5よりも圧縮機ホイール出口縁4に近い位置に配置される。曲率の変化点の位置は、シュラウド側側壁12に面するハブ側側壁13の凸状曲率が、シュラウド側側壁12に面するハブ側側壁13の凹状曲率に結合する転換点となる位置である。詳細には、曲率の変化点の位置は、曲率の符号が変化する位置である。詳細には、流路11のS字状領域15によって形成される流路断面の最小部は、圧縮機ホイール出口縁よりも下流側の流路11の長さLの50%以内に配置することが可能である。換言すると、流路断面の最小部は、典型的には、ディフューザ領域の入口5よりも圧縮機ホイール出口縁4に近い位置に配置される。
【0020】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、流路11は、圧縮機ホイール出口断面積A2及びディフューザ入口断面積A3を有し、比率A3/A2は、0.80≦A3/A2≦1.2の範囲、詳細には0.90≦A3/A2≦1.1の範囲から選択される。典型的には、圧縮機ホイール出口断面積A2は、圧縮機ホイール出口縁4の下流側の円筒面(圧縮機ホイール出口縁が回転軸と平行に延在する)又は円錐外側面(圧縮機ホイール出口縁が回転軸に対して傾斜する)である。同様に、ディフューザ入口断面A3は、円筒面(ディフューザ入口縁が回転軸に平行に延びる)又は円錐面(ディフューザ入口縁が回転軸に対して傾斜する)とすることができる。これに関連して、流れ方向に減少し、最小部を通過し、再び増大する流路の断面積は、円筒形断面積及び/又は円錐形断面積とすることができることが指摘される。
【0021】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図2から5に例示されるように、ハブ側側壁13、詳細には圧縮機ホイール出口に隙間3(例えば、漏れ流れ開口)を形成することができる。
【0022】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、流路11の流れ方向の断面積の最小部は、半径方向の位置rMinに存在し、この位置はR2<rMin≦R2+0.8×(R3-R2)、詳細にはR2<rMin≦R2+0.6×(R3-R2)の範囲から選択される。R2は圧縮機ホイール出口半径、R3は圧縮機ホイール21の回転軸2からのディフューザ領域への入口5の半径方向の距離である。
【0023】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、圧縮機ホイール出口断面積A2に対する流路11の断面積の最小値の比率VQは、0.8≦VQ<1、詳細には0.9≦VQ<1の範囲から選択することができる。
【0024】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、S字状領域15は、シュラウド側側壁12に面する凸状曲率からシュラウド側側壁12に面する凹状曲率への曲率の変化点を有し、これは、R2<rKW≦R2+0.8×(R3-R2)、詳細にはR2<rKW≦R2+0.6×(R3-R2)の範囲から選ばれた半径位置rKWに存在する。R2は圧縮機ホイール出口半径、R3は圧縮機ホイール21の回転軸2からのディフューザ領域への入口5の半径距離である。
【0025】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、凸状曲率は、半径方向位置rKmaxにおいて最大曲率を有し、これは、R2<rKmax≦R2+0.75×(R3-R2)、詳細にはR2<rKmax≦R2+0.5×(R3-R2)の範囲から選択される。最大曲率は、曲率の最大の正の値を意味すると理解される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、凹状曲率は、半径方向位置rKminにおいて最小曲率を有し、これは、R2+0.15×(R3-R2)≦rKmin<R3、詳細にはR2+0.25×(R3-R2)≦rKmin<R3の範囲から選択される。最小曲率値は、曲率の最大の負の値を意味すると理解される。これに関連して、rKmaxがR2<rKmax≦R2+0.75×(R3-R2)の範囲から選択され、rKminがR2+0.15×(R3-R2)≦rKmin<R3の範囲から選択される場合、rKmax及びrKminは典型的にはrKmax<rKminであるように選択されることが指摘される。
【0026】
本出願において、流路の断面積は流路の子午線断面積、詳細には主流れ方向に対して法線方向に延びる流路の断面積であることが指摘される。主流れ方向は、シュラウド側側壁12とハブ側側壁13との間の中心線に沿って延在する。
【0027】
本開示の別の態様によれば、本明細書に記載される実施形態による圧縮機ホイール21と流出領域10とを備える圧縮機20、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機が提供される。
【0028】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、圧縮機ホイール21は、圧縮機ホイール入口半径R1及び圧縮機ホイール出口半径R2を有する。圧縮機ホイール出口半径R2に対する圧縮機ホイール入口半径R1の比率は、典型的には0.65≦R1/R2の範囲から、詳細には0.7≦R1/R2の範囲から選択される。
【0029】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つ実施形態によれば、圧縮機は、圧縮機ホイール21の回転軸2から半径方向距離R3で配置されるディフューザ領域16を備える。典型的には、圧縮機ホイール出口半径R2に対する半径方向距離R3の比率は、1.05≦R3/R2≦1.30の範囲から、詳細には1.10≦R3/R2≦1.25の範囲から選択される。
【0030】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、ハブ側側壁13の輪郭は、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによるS字状領域15を備える。図5に例示されるように、S字状領域15は、流れ方向において圧縮機ホイール21の回転軸2から距離RSの位置に端部を有することができる。詳細には、距離RS、圧縮機ホイール出口半径R2、及び圧縮機ホイール21の回転軸2からのディフューザ領域16の半径距離R3は、条件0.4≦(RS-R2)/(R3-R2)≦1.0を満たすように選択することができる。これに関連して、S字状領域15の端部は、シュラウド側側壁12に面する凹状曲率がゼロに戻る位置であることに留意されたい。
【0031】
本開示に鑑みて、別の態様によれば、本明細書に記載の実施形態による圧縮機20、詳細には半径流圧縮機又は斜流圧縮機を備えるターボ過給機を提供することが可能である。これに関連して、半径流圧縮機の例示的な実施形態(図2、3及び4)に関連して説明した特徴は、斜流圧縮機の例示的な実施形態(図1及び5)に移行すること、及びその逆も可能であることに留意されたい。
【0032】
本明細書に記載される実施形態は、特に、高排出量の半径流圧縮機又は斜流圧縮機に対して有利である。従来技術と比較して、圧縮機ホイールの流出流が有利に案内され、より均一にされ、小さな設置スペースでより大きく減速させることが可能である。ディフューザにガイドベーンアレイ(ディフューザベーン)を使用する場合、ガイドベーンをインペラに近づけるか又はディフューザベーン入口縁のマッハ数レベルをさらに低下させることが可能である。マッハ数の低減及びディフューザベーンの流れの均一化は,効率の向上につながる。流れの均一化及びシュラウド側の輪郭曲率の低減の可能性は,安定性の向上につながる。設置スペースを小さくすることで、製造コスト及び製品のコストを低減することができる。
【0033】
換言すると、本明細書に記載される実施形態は、以下の利点を有することができる。連続的な、詳細には正接連続的な、並びに非連続的な、詳細には非正接連続的なハブ輪郭形状が可能であり、これは流れの分離のリスクを低減し、効率の点で有利である。子午線図におけるシュラウド輪郭の曲率は、流路面積を過度に減少させることなく減少させることができる。従って、流れの半径方向成分が平均的に過度に加速されることなく、シュラウドでの流れの分離のリスクを低減することができる。ディフューザ(圧縮機ホイールの下流側)における表面形状は、シュラウド側での運動量交換が促進され(シュラウド曲率を小さくすることで、及びハブとシュラウド輪郭で形成されるピンチ領域によって)、ハブにおける流れ(例えばディフューザベーン前縁の上流側)が最大限に減速されるように、意図的に設計することが可能である。従って、圧縮機ホイール出口の流れは、大幅に減速することができ、スロットリング時に流れが早期に分離して不安定になる傾向を有することなく、コンパクトな設置スペース内でより均一にすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 流れ方向
2 回転軸
3 隙間
4 圧縮機ホイール出口縁
5 ディフューザ領域への入口
10 流出領域
11 流路
12 シュラウド側側壁
13 ハブ側側壁
14 圧縮機ホイール出口の領域
15 S字状輪郭
16 ディフューザ領域
17 ディフューザベーン
20 圧縮機
21 圧縮機ホイール
1 圧縮機ホイール入口半径
2 圧縮機ホイール出口半径
3 回転軸からディフューザ領域への入口の半径方向の距離
S S字状領域の端部の回転軸からの流れ方向の半径距離
S1、S2、S3、S4 ハブ側壁輪郭のセグメント
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】