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特表2023-509719オーディオ信号の特性を変換する方法及び関連する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】オーディオ信号の特性を変換する方法及び関連する装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541809
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2021050058
(87)【国際公開番号】W WO2021140089
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】2000060
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522270000
【氏名又は名称】イノバシオン エレクトロ アコースティーク
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェソン ウィリアン トールノ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ピエール ミシェル サンタニ
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AB01
5D220AB08
(57)【要約】
オーディオ信号の複数の特性を変換する方法及び関連する装置が開示されている。本発明は、オーディオ信号の複数の特性の組み合わせられた変換用の方法及び関連する装置に関する。変更は、信号が制御ユニットによって選択されたプロファイルに基づいて類型化されることを許容している。本発明による方法及び装置は、特にラウドスピーカーの分野のために意図されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気-音響トランスデューサ用のオーディオ信号(IN)を変換する方法であって、
前記信号は、前記オーディオ信号に特定の特性を提供するために、制御モジュールによって選択(110、112)された通常のプロファイルの関数として複数の信号特性を使用して組み合わせられた方式で変更されており(106、108)、前記信号特性は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅分散/スピーカー、ダイナミクス圧縮/膨張、指向性、サンプリング、インパルス応答におけるラウドスピーカーのグループの電気的極性に対応する絶対位相、すべての周波数が同相である基準点の変位を含むリストから選択されており、且つ、前記制御モジュールは、音楽トラックの判定された音楽スタイルの情報の関数として通常のプロファイルの選択を自動的に適合させていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号の前記変換は、レコーディングデータにマッチングするために前記信号を線形化するための少なくとも1つの補正アクション及び選択されたタイププロファイルの関数として前記信号を類型化するための変更アクションから構成された1つ又は複数のステップにおいて実行されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号の前記変換は、プロセッサを使用してデジタル方法に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記信号の前記変換は、電気及び/又は電子コンポーネントを使用してアナログ方法に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記信号の前記変換は、チューニング済みの構造、音響レンズ、及び/又は前記装置の幾何学的特性の変換を使用して1つ又は複数の機械的手段に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記制御モジュールは、ユーザーによって手動的に動作している、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記制御モジュールは、前記信号を認識するための且つ通常のプロファイルを識別するためのリモートサービス上において含まれている情報の関数として自動的に適合している、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記装置によって識別されたユーザー選好の関数として自動的に適合している、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
音響トランスデューサ(3)用のオーディオ信号を変換する装置(1、2、3、4、6)であって、
前記装置は、前記オーディオ信号に特定の特性を付与するために、制御モジュールによって選択(110、112)された通常のプロファイルの関数として複数の信号特性を使用して組み合わせられた方式で前記信号を変更(106、108)するように構成されており、前記信号特性は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅分散/スピーカー、ダイナミクス圧縮/膨張、指向性、サンプリング、インパルス応答においてスピーカーのグループの電気的極性に対応する絶対位相、すべての周波数が同相である基準点の変位を有するリストから選択されており、且つ、前記制御モジュールは、音楽トラックの判定された音楽スタイルの情報の関数として通常のプロファイルの選択を自動的に適合させていることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカー用のオーディオ信号のいくつかの特性を組み合わせられた方式で変換する方法及び関連する装置に関する。装置は、帯域のすべて又は一部分について、プロセッサ及び増幅器を有する。プロセッサは、信号特性の変換モードの選択を許容する制御モジュールに接続されている。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカーは、一般には、すべてのタイプの電気及び機械-音響トランスデューサを意味している。
【0003】
(特許文献1)から、デジタル信号処理を有する音響ラウドスピーカーシステムが知られている。
【0004】
システムは、センサを利用して出力信号を入力信号と比較している。この比較は、出力信号が入力信号に準拠するように、補正を実施するために使用されている。
【0005】
このイコライザ装置は、補正対象のラウドスピーカーのそれぞれの帯域幅に適合された係数による特定の周波数帯域における信号のゲイン(dB)の変更を許容している。
【0006】
この装置の主要な欠点は、ゲインパラメータ(dB)に対してしか機能しないという点にある。この補正は、ゲイン/周波数比の線形性の実現を可能にしているが、位相及び時間等の信号の複雑な構造を特徴付けるすべてのその他のパラメータとの関係において不満足な状態に留まっている。実際に、位相及び時間の非線形性は、オリジナルの忠実な再生を許容してはいない。
【0007】
(特許文献2)から、ラウドスピーカー用の周波数特性補正装置が知られている。そして、(特許文献3)からは、これに関係する方法が知られている。これらは、周波数スペクトル全体にわたる信号のゲイン(dB)及び位相の変更を許容している。デジタル自動適応型システムは、振幅/周波数曲線及び位相/周波数曲線を線形化するようにそれぞれの周波数ごとに介入している。この装置は、センサの支援を伴って信号を継続的に補正している。
【0008】
継続的な補正の主要な欠点は、処理の遅延であり、且つ、その結果、その再生時間が処理時間未満である信号に対しては機能しない。
【0009】
これに加えて、部屋内のノイズ等のスプリアス信号が処理に干渉し得る。
【0010】
(特許文献4)から、オーディオ信号の形質導入、レコーディング、及びライブ再生によって生成される調波及び位相の不正確性を補正するアナログ信号処理装置が知られている。
【0011】
補正は、再生されたオーディオ信号の写実性を回復するように自動的且つ継続的に適用されている。
【0012】
永久的且つ不断の補正は、異なる処理を必要としている聴取されている音楽のタイプの適合を許容してはいない。
【0013】
(特許文献5)から、再生装置に分配されるコンテンツストリームへのアクセスと、判定されたプロファイルのそれに対する供給を許容するコンテンツの識別と、を許容する方法が知られている。
【0014】
識別されたプロファイルに応じて、方法は、コンテンツストリームの再生に関係するイコライゼーションパラメータの変更を許容している。
【0015】
この方法は、ユーザーのプロファイルにリンクされた又はユーザー設定による、再生の際に識別された、オーディオサポートにおいて入手可能な情報との関係におけるイコライゼーションの適合を可能にしている。
【0016】
この方法の主要な欠点は、イコライゼーション補正、換言すれば、周波数の関数としての(dBを単位として表現された)ゲインの補正、しか提供していないという点にある。この補正は、位相及び時間等の信号の複雑な構造を特徴付けているすべてのその他のパラメータとの関係においては、不満足な状態に留まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,697,492号明細書
【特許文献2】特許第2571091号公報
【特許文献3】特許第2530474号公報
【特許文献4】カナダ国特許第2098319号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/073574号明細書
【発明の概要】
【0018】
従って、本発明は、これらの欠点の改善を目的としている。更に詳しくは、これは、
ゲイン、
位相、
時間、
歪、
帯域幅、
ラウドスピーカーによる帯域幅分配、
ダイナミクス圧縮/膨張、
指向性、
サンプリング、
インパルス応答におけるラウドスピーカーグループの電気的極性に対応する絶対位相、
すべての周波数が同相である基準点のシフト、
等の信号の複雑な構造の特性のすべての変更を許容する方法及び関係する装置の提供を目的としている。
【0019】
これらの変更の組合せは、通常のプロファイルの関数としての正確且つ瞬間的な方式でのサウンドの類型化、補償、又は改善を可能にしている。
【0020】
類型化は、一般に、オーディオ信号に対する特定の特徴の付与を意味している。
【0021】
方法は、オーディオ信号のいくつかの特性の組み合わせられた方式による変換を可能にしており、且つ、1つ又は複数のステージにおいて実行され得る一連のアクションに分割されている。
【0022】
第1のアクションは、ラウドスピーカーのコンポーネント及びアーキテクチャに固有の欠陥を考慮することにより、出力信号の線形化を目的とした補正を生成するというものである。ラウドスピーカーにより、本発明者らは、閉鎖された又は開放型の構造内において設置された1つ又は複数のラウドスピーカーのグループ分けを意味している。
【0023】
次いで、判定されたプロファイルに応じて、第2のアクションは、信号特性の全体に関係する変更を適用するというものである。
【0024】
これら2つの信号変換アクションは、単一のステップにおいて実行することが可能であり、これにより、すべての選択された変換の直接的な適用が許容されている。
【0025】
また、これらの変更は、いくつかのステップにおいて適用することも可能であり、これにより、類型化、補償、又は改善を追加するための変更アクションから信号を中立化させるために補正アクションを分離することが許容される。従って、アクションのそれぞれのものの制御が相対的に容易になる。その一方で、これは、変更公式の標準化を許容しており、その理由は、これらが、信号の中立的状態において適用されているからである。
【0026】
本発明は、ラウドスピーカー用のオーディオ信号のいくつかの特性を組み合わせられた方式で変換する方法に関し、方法は、以下のアクションを有する。
【0027】
第1の補正アクションは、基準テンプレートの関数として補正対象の欠陥を判定するために1つ又は複数のラウドスピーカーの出力信号を計測し、且つ、次いで、補正公式を生成するというものである。次いで、この補正公式は、ゲイン、位相、時間のイコライゼーション及び歪の極小化等のすべての特性を線形化するように適用されている。従って、このようにして適用される補正は、使用されるラウドスピーカーに応じて異なり得る。
【0028】
第2のアクションは、所与のプロファイルに対して適合させるために予め取得された中立信号を変更するステップから構成されている。変更は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅歪/ラウドスピーカー、ダイナミックレンジ圧縮/膨張、指向性、サンプリング、インパルス応答に伴うラウドスピーカーのグループの極性に対応する基準位相、及びすべての周波数が同相である基準点の変位等の1つ又は複数の基準を通じて実行することができる。
【0029】
本発明の有利な、但し、必須ではない、態様によれば、このような方法は、任意の技術的に許容可能な組合せにおいて含まれる以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
【0030】
制御モジュールは、ユーザーによって手動的に動作させることができる。
【0031】
制御モジュールは、音楽トラック上において含まれている音楽スタイル情報に基づいて通常のプロファイルを選択することにより、自動的に調節することができる。
【0032】
制御モジュールは、信号を認識し且つ通常のプロファイルを識別するリモートサービスにおいて含まれている情報に基づいて自動的に適合させることできる。
制御モジュールは、装置によって識別されたユーザーの選好に従って自動的に適合することができる。
【0033】
制御モジュールは、気温、大気圧、又は湿度等の天候状態を計測する装置内において又はリモートサイトにおいて存在しているセンサから受け取られた情報に従って自動的に適合することができる。
【0034】
また、本発明は、帯域のすべて又は一部分について信号変換モジュールを有するラウドスピーカー用のオーディオ信号のいくつかの特性を組み合わせられた方式で変換する関連する装置にも関する。変換モジュールは、判定されたプロファイルに応じて信号特性の変換モードを選択するために制御モジュールに接続されている。
【0035】
本発明の有利な、但し、必須ではない、態様によれば、このような装置は、任意の技術的に許容可能な組合せにおいて含まれる以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
【0036】
信号の変換は、プロセッサを使用してデジタル方法に従って実現することができる。
【0037】
信号の変換は、電気的且つ/又は電子的コンポーネントを使用してアナログ方法に従って実現することができる。
【0038】
信号の変換は、チューニング済みの構造、音響レンズ、及び/又は装置の幾何学的特性の変換を使用して1つ又は複数の機械的手段によって実現することができる。
【0039】
本発明の更なる特徴及び利点については、その理解のために添付の図面が参照されている以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明による装置の概略図である。
図2図2は、一般的な信号変換方法のステップを示す。
図3図3は、図2の方法を使用したオーディオ信号の周波数特性の変換を示す。
図4図4は、図2の方法を使用したオーディオ信号の位相特性の変換を示す。
図5図5は、図2の方法を使用したオーディオ信号の時間特性の変換を示す。
図6図6は、図2の方法を使用したオーディオ信号の帯域幅特性の変換を示す。
図7図7は、図2の方法を使用したオーディオ信号の圧縮/膨張特性の変換を示す。
図8図8は、図2の方法を使用したオーディオ信号の歪特性の変換を示す。
図9図9は、図2の方法を使用したオーディオ信号の指向性特性の変換を示す。
図10図10は、図2の方法を使用したオーディオ信号のサンプリング特性の変換を示す。
図11図11は、図2の方法を使用したオーディオ信号の絶対位相特性の変換を示す。
図12図12は、図2の方法を使用したオーディオ信号のすべての周波数の基準点特性の変換を示す。
図13図13は、図2の方法を使用したカットオフ周波数の変更を伴うオーディオ信号の変換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1を参照すれば、本発明による装置は、少なくとも1つの周波数帯域について、有線又は無線方式でアナログ又はデジタルであり得るオーディオ信号を受け取っている(例えば、別個のフィルタの形態における)デジタル又はアナログ信号プロセッサ1等のプロセッサ1を有する。図1においては、この取得されたオーディオ信号は、INとマーキングされている。
【0042】
この信号プロセッサ1は、電気又は電子コンポーネントを使用してアナログ方式で又はデジタル信号プロセッサ(DSP)又はマイクロ制御モジュール等のプロセッサを使用してデジタル方式で処理を実行することができる。この信号のパワーは、増幅器2によってアナログ又はデジタル方式で増幅されている。アナログ-デジタルドメイン変換のケースにおいては、アナログ信号からデジタル信号に信号を変換するために、図には示されていないコンバータを追加しなければならない。
【0043】
この電気信号は、ラウドスピーカー3等の、機械-音響トランスデューサとも呼称される、電気-音響トランスデューサにより、最終的に音響信号に変換されている。
【0044】
図1の例におけると同様に、実装形態の例によれば、装置は、それぞれの周波数帯域B1、Bnごとに、このようなプロセッサ1、このような増幅器2、及びこのようなトランスデューサ3を含む信号処理チェーンを含むことができる。
【0045】
従って、このケースにおいては、装置は、それぞれの周波数帯域B1、Bnごとに専用のプロセッサ1、増幅器2、及びトランスデューサ3を含んでいることを理解されたい。
【0046】
或いは、この代わりに、装置は、すべての周波数帯域について共通のプロセッサ1、増幅器2、及びトランスデューサ3を含んでいる。
【0047】
装置は、装置に適用される信号の変更を自動的に又は手動的に選択し且つこれを得るための、或いは、無効化される、モードデコーダとも呼称される制御モジュール4によって完成している。ユーザーによる選択は、例えば、マンマシンインターフェイスを有する選択モジュール7を通じて実行することができる。
【0048】
自動モードにおいて、装置は、米国特許出願公開第2015/073574号明細書を参照すれば、Gracenoto(登録商標)又はShazam(登録商標)又は任意の等価なサービス等のリモートサービス5からプロファイルを受け取ることが可能であり、或いは、内部データベースを使用して又は人工知能に起因して認識システムを通じてプロファイルを選択することもできる。
【0049】
任意選択により、装置は、装置の物理的特性を変更するための機械又は音響システム6によって完成し得る。この変更システム6は、例えば、音響負荷の音量の変更により、1つ又は複数のディフレクタから構成された音響レンズの適用により、又は共振器の特性の変更により、或いは、任意の等価な手段により、実現することができる。
【0050】
一般に、システム6は、機械-音響プロセッサ6-1及び機械-音響アクチュエータ6-2を含むことができる。
【0051】
一般に、本発明による装置は、以下の特性から非限定的な方式で選択されたオーディオ信号のいくつかの特性の組み合わせられた変換を許容している。
-ゲイン、
-位相、
-時間、
-歪、
-帯域幅、
-帯域幅分布/ラウドスピーカー、
-ダイナミクス圧縮/膨張、
-指向性、
-サンプリング、
-インパルス応答におけるラウドスピーカーグループの電気的極性(接続極性)に対応する絶対位相、
-すべての周波数が同相である基準点の変位
【0052】
オーディオ信号の特性のこれらの変更のいくつかのものの組合せは、通常のプロファイルに従って正確且つ瞬時に対応するサウンドを類型化、補償、又は改善することを可能にしている。「類型化」により、本発明者らは、オーディオ信号に特定の特性を付与することを意味している。
【0053】
図2のフロー図は、本発明の一実施形態による補正アクション及び別の変更アクションを統合した信号を変換する一般的な方法を示している。
【0054】
例えば、変換方法のステップの実行は、本発明による装置の制御モジュール4によって制御されている。
【0055】
方法は、ラウドスピーカーの出力信号を計測することにより、ステップ100において始まっている。この計測は、コンピュータに接続された生成器、マイクロフォン、及び信号処理システムから構成されたシステムの支援を伴って、装置の設計の時点において研究室において実行することが可能であり、この場合に、コンピュータは、情報取得及び処理ソフトウェアを実行している。
【0056】
次いで、ステップ102において、入力信号と基準テンプレートの間の差の分析により、補正対象の欠陥が定義されている。この基準テンプレートは、ゲイン、位相、時間、及び歪等の関係する特性の理想的な曲線を表している。
【0057】
次いで、ステップ104において、この分析及び選択された基準に基いて、補正公式が生成されている。選択された処理のタイプに応じて、これは、デジタル処理用のアルゴリズム、電気及び/又は電子コンポーネントの組から構成されたアナログ処理計画、又は機械システム6を制御するためのアルゴリズムの適用を含むことができる。
【0058】
次いで、システムは、ステップ106において、そのオリジナルの中立性を再現するために、信号のすべての特性を線形化するように補正公式を適用している。選択された処理のタイプに応じて、公式は、デジタル処理のケースにおいては、プロセッサ1により、アナログ処理のケースにおいては能動的又は受動的フィルタリングにより、或いは、装置の幾何学的特性を変換し得る機械システム6により、直接的に適用することができる。
【0059】
信号が線形状態においてレンダリングされたら、ステップ108において、選択されたプロファイルに従って特性を類型化するために、変更公式が適用されている。これらの公式は、例えば、音楽のタイプ、サウンドレコーディングのタイプ、再生又は雰囲気のタイプ等の求められているそれぞれのプロファイルに応じて、フィードバックにより、予め生成されている。これらの公式は、例えば、ユーザーによって手動モードにおいて選択されたプロファイルに応じてプロファイルの先行する取得(ステップ110)の後に、或いは、制御モジュール4による自動モードの際に、選択されている。自動モードにおいては、装置は、リモートサービス5から、或いは、内部データベースから(ステップ112)、プロファイルを受け取ることができる。
【0060】
次いで、ステップ114において、この信号のパワーは、増幅器2の1つ又は複数により、アナログ又はデジタル方式で増幅されている。
【0061】
最終的に、ステップ116において、この電気信号は、ラウドスピーカー3により、或いは、任意の等価なトランスデューサにより、音響信号に変換されている。
【0062】
任意選択により、制御モジュール4は、気温、大気圧、又は湿度等の天候状態を計測する装置内において又はリモートサイトにおいて存在しているセンサによって受け取られた情報の関数として自動的に調節している。
【0063】
図3は、一例として付与された計測されたオーディオ信号について、この変換の様々なステージにおける周波数(横軸)の関数としての信号の振幅曲線(縦軸)の変換を示す曲線を表している。
【0064】
図3の挿入図(a)は、上述のステップ100において計測された信号の一例を表している。例えば、この信号は、装置コンポーネントの固有の特性に起因して理想的なものではない。最新技術においても、すべてのスピーカーは、自身が処理する信号を歪ませている。
【0065】
図3の挿入図(b)は、例えば、ステップ106を適用した後の、この同一の補正済みの曲線を示している。これは、周波数の関数として可能な限り等しくすべての振幅を平らにするという目的によって定義されている。アナログ処理のケースにおいては、補正は、例えば、タンク回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号のゲインを補正することになるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械処理のケースにおいては、空洞、共振器、バッフル、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0066】
図3の挿入図(c)は、ステップ108を適用した後の変更済みの曲線の一例である。この振幅変更マップは、サウンドレコーディング又は再生の世界におけるフィードバックから生まれている。アナログ処理のケースにおいては、変更は、例えば、タンク回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、例えば、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号のゲインを補正することになるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空洞、共振器、バッフル、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0067】
図4は、図3の信号を示す曲線を表しており、これにより、上述の変換の様々なステップにおける周波数(横軸)の関数としてのこの信号の位相曲線(縦軸)の変換ステップを示している。
【0068】
図4の挿入図(a)は、ステップ100において計測された信号を表している。この場合にも、この信号は、装置コンポーネントの固有の特性に起因して理想的なものではない。最新技術においても、すべてのスピーカーは、自身が処理する信号を歪ませている。
【0069】
図4の挿入図(b)は、ステップ106の後の補正済みの、この同一の曲線を表している。これは、周波数の関数として可能な限り等しくすべての位相を平らにするという目的により、定義されている。アナログ処理のケースにおいては、補正は、例えば、位相回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号の位相を補正することになるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空洞、共振器、バッフル、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0070】
図4の挿入図(c)は、ステップ108の後の変更済みの曲線の一例である。この位相変更マップは、スタジオ又は再生スピーカーの位相変動を近似するように定義されている。アナログ処理のケースにおいては、変更は、例えば、位相回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号の位相を補正することになる、例えば、DSP等の、デジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空洞、共振器、ディフレクタ、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0071】
図5は、一例として付与されている計測されたオーディオ信号について、この変換の様々なステップにおける周波数(横軸)の関数としての信号の時間曲線(縦軸)の変換を示す曲線を表している。
【0072】
図5の挿入図(a)は、上述のステップ100において計測された信号の一例を表している。例えば、この信号は、装置コンポーネントの固有の特性に起因して理想的なものではない。最新技術においても、すべてのトランスデューサは、自身が処理する信号を歪ませている。
【0073】
図5の挿入図(b)は、例えば、ステップ106を適用した後のこの同一の補正済みの曲線を表している。これは、可能な限り均等に周波数の関数として時間を平らにするという目的によって定義されている。アナログ処理のケースにおいては、補正は、例えば、時間に伴うその変更を有する位相回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号の時間を補正することになるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空間内のラウドスピーカーの物理的シフトと、恐らくは、空洞、共振器、バッフル、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造と、が使用されることになる。
【0074】
図5の挿入図(c)は、ステップ108を適用した後の変更済みの曲線の一例である。この変更マップは、スタジオ又は再生スピーカーの時間変動を近似するように定義されている。アナログ処理のケースにおいては、例えば、位相回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、処理されているそれぞれの周波数ごとに信号の時間を補正することになる、例えば、DSP等の、デジタル信号プロセッサによって適用されることになる。
【0075】
更に正確には、処理の目的は、信号の周波数分解(或いは、分析)において帯域のそれぞれごとに時間を補正するというものである。
【0076】
機械的処理のケースにおいては、空間内のラウドスピーカーの物理的シフトと、恐らくは、空洞、共振器、バッフル、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造と、が使用されることになる。
【0077】
図6は、図2の方法を使用した帯域幅曲線変換を示すために、一例として付与されたオーディオ信号の周波数応答信号曲線を表している。実線は、その固有の性能によってトランスデューサによって通常提供される周波数応答に対応する第1応答信号を表している。
【0078】
対照的に、点線は、短縮又は延長された応答曲線に個々に対応する2つの変更済みの信号を表している。
【0079】
その一方で、この曲線は、ラウドスピーカーを保護するために、且つ、スペクトルの残りの部分を汚染する機械的な歪を制限するために、低音及び高音のレベルにおいて短縮することができる(狭めることができる)。アナログ処理のケースにおいては、帯域幅の短縮は、例えば、高域通過及び/又は低域通過回路等の、フィルタ等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、高域通過及び/又は低域通過フィルタリングアルゴリズムを実行するDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空洞、共振器、音響短絡、及び/又はアブゾーバ等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0080】
その一方で、この曲線は、サウンド信号の回復を改善するために、可能な限り延長(拡幅)することができる。アナログ処理のケースにおいては、帯域幅の延長は、共振回路等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、補正は、ゲインを伴ってフィルタリングアルゴリズムを稼働させるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。機械的処理のケースにおいては、空洞、共振器、及び/又は音響ホーン等のチューニング済みの構造が使用されることになる。
【0081】
図7には、一例として付与された信号の圧縮又は膨張特性の図2に示されている方法を利用した変換を示す曲線が概略的に表されている。これらの曲線においては、出力信号OUT(縦軸)は、入力信号IN(横軸)の関数として表されている。
【0082】
図7の挿入図(a)は、計測された信号の圧縮の後に得られた圧縮曲線を示している。圧縮モードにおいては、検討対象の回路の増幅比は、入力信号の増大の関数として負になる時点まで減少している。従って、非常に顕著なレベル制御効果が存在している。アナログ処理のケースにおいては、信号圧縮は、入力レベルに応じて可変ゲインを有する増幅器のようなコンプレッサ回路等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、信号圧縮は、圧縮アルゴリズムを稼働させるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。
【0083】
図7の挿入図(b)は、計測された信号の膨張の後に得られた膨張曲線を表している。膨張モードにおいては、検討対象の回路の増幅比は、入力信号が増大するのに伴って増大している。従って、これは、その軽快さを改善するために、圧縮された信号のダイナミクスを回復するという効果を有する。アナログ処理のケースにおいては、信号の膨張は、入力レベルに従って可変ゲインを有する増幅器のようなエクスパンダ回路等の機能によって適用されることになる。デジタル処理のケースにおいては、信号膨張は、膨張アルゴリズムを稼働させるDSP等のデジタル信号プロセッサによって適用されることになる。
【0084】
図8は、一例として付与された計測されたオーディオ信号について、図2の方法を利用して歪特性を変更することによって得られた信号変換を示す曲線を表している。
【0085】
図8の挿入図(a)は、基本周波数Fと大きな歪レートを誘発するその調波Hnから構成されたスペクトル分析を表している。大きな歪レートは、オリジナルの信号内には存在していない望ましくない信号の追加を意味している。この大きな歪レートは、主には、再生システム内の電気及び機械的欠陥に起因するものであるか、或いは、システムの位相及び時間非線形性によるものである。また、サウンドを着色するために、オリジナルには存在していない欠陥をシミュレートするように、信号の歪のレートを増大させることも可能である。着色とは、一般的には、オーディオ信号に対して特定の特性を付与することを意味している。制御された歪は、例えば、高性能ラウドスピーカーの調波歪特性にアプローチすることを可能にしている。アナログ処理のケースにおいては、歪の増大は、複数の周波数を選択された基本波に追加することにより、得られることになる。デジタル処理のケースにおいては、歪の増大は、調波周波数を生成するアルゴリズムを稼働させるDSP等のデジタル信号プロセッサによって実現されることになる。
【0086】
図8の挿入図(b)は、基本波及び変換の後の弱化した歪レートを誘発するその調波から構成されたスペクトル分析を表している。小さな歪レートは、オリジナルに相対的に近接した再生信号を意味している。アナログ処理のケースにおいては、歪の弱化は、フィルタリング機能又は位相及び時間補正に起因した望ましくない周波数の抑圧によって得られることになる。デジタル処理のケースにおいては、歪の低減は、フィルタリング及び/又は位相及び時間補正アルゴリズムを稼働させるDSP等のデジタル信号プロセッサによって得られることになる。
【0087】
図9は、異なる指向性特性によるラウドスピーカーからのサウンドの様々な向きを表している。
【0088】
図9の挿入図(a)は、壁M上におけるサウンドの散乱を強調表示し、これにより、直接的なサウンドと干渉する反響したサウンドの百分率を増大させる、開放水平方向指向性図を表している。
【0089】
図9の挿入図(b)及び(c)は、壁M上の反響を制限するための相対的に閉鎖された指向性パターンを表している。聴取者Aは、反響したサウンドよりも多くの直接的なサウンドを聴取することになる。この結果は、ラウドスピーカー及び導波路の追加並びに/或いはその間の時間及び位相変動の制御等の機械-音響及び電気的解決策の組合せによって実現されている。
【0090】
図10は、時間(横軸)の関数としてサンプリングされた信号の振幅(縦軸)を示す曲線S1、S2を表している。参照符号Sは、サンプリングの前の対応するアナログ信号を示している。
【0091】
図10の挿入図(a)は、時間及び量子化における粗いサンプリングの曲線S1を表している。例えば、これは、44.1kHzのサンプリング周波数を有する16ビットフォーマットによって特徴付けられたCD規格である。
【0092】
図10の挿入図(b)は、時間及び量子化における相対的に微細なサンプリングの曲線S2を表している。この変換は、例えば、16ビットから24ビットに変化するようにビットの数を増大させることにより、且つ、例えば、サンプリング周波数が44.1kHzから192kHzに変化するようにサンプル/時間の単位を増大させることにより、実行されている。この変換は、増分のサイズを低減する補間によって信号を追加することにより、歪のレートの低減を可能にしている。従って、聴取の快適さが増大する。この変換は、ASRCという頭文字で呼称される非同期サンプルレートコンバータにより、デジタル的に実行されている。
【0093】
図11に表されている方法においては、絶対位相の位置決めが示されており、これは、インパルス応答に対するラウドスピーカーグループの電気極性に対応しており、これにより、サウンドシーンの深さの感覚を変更している。
【0094】
図11の挿入図(a)は、サウンドの近傍の知覚のための負のインパルス応答I-を表している(位置P1)。
【0095】
図11の挿入図(b)は、シーンの深さの増大した知覚のための正のインパルス応答I+を表している(位置P2)。
【0096】
スピーカーグループ接続の極性を反転させることにより、一方から他方にスイッチングすることができる。
【0097】
図12に表されている方法には、基準位相の位置決めが示されている。
【0098】
図12は、基準位相のいくつかの可能な位置C1、C2、C3を示している。基準位相は、ラウドスピーカーHP等の装置との関係における望ましい位置に応じて、0度(deg)における直線である。例えば、この位置は、増大したシーン深さの知覚のために大きく又は小さく離隔した負の距離に位置し得る。また、これは、シーンの近傍の感覚を付与するために大きく又は小さく離隔した正の距離であってもよい。
【0099】
この変換は、選択された距離において正しい位相を再算出するDSP等のプロセッサによってデジタル的に実行することができる。
【0100】
図13は、1つ又は複数のカットオフ周波数の変位に対応する帯域幅分布/ラウドスピーカーの異なるケースを表している。
【0101】
図13の挿入図(a)は、分布レートを増大させる且つ装置の指向性を減少させる低音(低周波数)に向かってシフトされたクロスオーバー周波数FC1を表している。
【0102】
図13の挿入図(b)は、機械的且つ電気的パワー処理及び/又は指向性限度を考慮することによって異なるラウドスピーカーの間の使用のエリアを均衡させるための均一に分散した帯域幅(カットオフ周波数FC2が基本的に周波数帯域の中間において配置されている)を表している。
【0103】
次いで、図13の挿入図(c)は、これらの周波数を受け取るように意図されたラウドスピーカーを保護するためのオーディオ帯域の高い周波数に向かってシフトされたクロスオーバー周波数FC3を表しており、この結果、ラウドスピーカーは、相対的に少ないエネルギーを受け取っている。その一方において、これは、装置の指向性を増大させている。
【0104】
すべての3つのケースにおいて、クロスオーバー周波数及びスロープのシフトは、いずれもアナログ及びデジタルの両方において、フィルタのタイプ及びそのパラメータ化を変更することにより、実現されている。
【0105】
多くの実施形態において、制御モジュールは、トラックの特定の音楽スタイルに関する情報の関数として通常のプロファイルの選択を自動的に適合させている。換言すれば、制御モジュールは、再生された信号の音楽ジャンルを自動的に認識するように構成されている。この結果、制御モジュールは、再生されている音楽のタイプを判定することが可能であり、且つ、レコーディング条件及び再生されている作品のタイプに適するように、その設定を自動的に調節することができる。この説明は、特に、システムが2つの別個の能動的マルチチャネルスピーカー(右/左)を含むケースに適用可能である。
【0106】
例えば、音楽認識は、信号をサンプリングし、次いで、Shazam又はGracenote(登録商標)、又はその他のもの等のオンラインサービス又はアプリケーション等の1つ又は複数の可能な手段によって信号を分析することにより、且つ/又は、音楽サンプルを検出し、且つ、これをインターネット接続を介してリモートデータベース又はローカルデータベース内に保存された基準と比較することにより、実行されている。また、音楽のタイプの判定は、音楽ファイル(例えば、MP3フォーマットのID3タグ)内において含まれている情報を介して、或いは、音楽の1つ又は複数の特性(テンポ、調波コンテンツ、等)に基づいた判定アルゴリズム等の任意のその他の判定の手段により、実行することができる。
【0107】
例えば、認識方法は、認識がレシーバ(スピーカー)内において実行されるのか又はトランスミッタ内において実行されるのかに応じて異なり得る。無線リンクにおいて、認識がレシーバ内において実行される場合には、レシーバの間における設定のなんらかの不一致を回避するために、レシーバの間に同期が存在していなければならない。使用されることになるモデルは、好ましくは、マスタ/スレーブとなり、この場合に、「マスタ」装置は、適用される音楽及び設定のタイプを判定すること及び「スレーブ」装置と結果を共有することの責任を担うことになり、スレーブ装置は、そのそれぞれにおいて保存されることになる要求された設定プログラムを適用することになる。また、分析をトランスミッタ内において実行することが可能であり、この結果、トランスミッタは、「マスタ」の状態をとることになる。音楽ジャンルが識別されたら、制御モジュールは、識別された音楽ジャンルに対応する通常のプロファイルを選択している。通常のプロファイルは、信号の1つ又は複数の特性用の設定又は「公式」の組であることが可能であり、且つ、これらの設定の組合せは、ラウドスピーカーの振る舞いを変更している。従って、単一のラウドスピーカーは、異なって設計された又は異なるタイプの音楽のために意図された別のものであるかのように音響的に振る舞ることができる。ラウドスピーカーは、ラウドスピーカー製造者によって予め定義された且つユーザーによって後から更新されるいくつかの(例えば、4つの)基本設定と共に供給することができる、
【0108】
実際に、設定は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅分布/スピーカー、ダイナミクス圧縮、指向性、絶対位相、イコライゼーションという要素のいくつか又はすべてを含むことができる。
【0109】
例えば、現代音楽(current music)と呼称される音楽ジャンルに対応する通常のプロファイルは、以下の設定を有することができる。
-ゲイン:高周波数チャネル内の信号のゲインが増大している。
-位相:様々なフィルタによって誘発される位相回転が維持されている(これらは、補正されることにならない)。接続において望ましいエネルギーを維持するために位相曲線の調節が必要になるように、低音及び高音信号の間のフィルタのカットオフ周波数がシフトされている。
-時間:音響負荷及びフィルタリングに固有の時間ステップも、維持されている(補正なし)。
-歪:フィルタリング、スロープ、又はタイプの選択肢が、ラウドスピーカーの機械的な歪のみならず、位相及び時間歪の制御又は制限を許容している。
-帯域幅:高域通過フィルタは、60Hz未満の周波数において信号をカットしている。
-帯域幅分布/ラウドスピーカーは、その接続周波数において低音及び中音域信号のオーバーラップを生成するような方式で選択されている。例えば、150Hzにおいて選択された接続周波数の場合に、低音トランスデューサは、200Hz超の周波数においてカットされることになり、且つ、中音域トランスデューサは、100Hzにおいて開始することになる。
-圧縮:ピークと平均振幅の間のダイナミクスの差が制限されることになる。
-指向性:中音域と高音の間のカットオフ周波数が1オクターブだけ上方にシフトされている。
-絶対位相:スピーカーの極性は、反転されていない。
-イコライゼーション:
42.5Hzにおいて、+2.5dBであり、Qファクタ=3.4であり、
200Hzにおいて、-0.5dBであり、Qファクタ=2.2であり、
3400Hzにおいて、+1.5dBであり、Qファクタ=0.71であり、
20000Hzにおいて、+5.0dBであり、Qファクタ=0.50である。
【0110】
その他の例が可能である。
【0111】
例えば、アコースティックと呼称される音楽ジャンルに対応する通常のプロファイルは、以下の設定を含むことができる。
-ゲイン:信号のゲイン設定は、周波数帯域の間に振幅の差が存在しないように選択されている。
-位相:負荷及び様々なフィルタによって生成される位相回転は、(例えば、DSPによる)補正を利用して除去されている。
-時間:信号処理遅延は、これらの信号がいずれも同一の全体遅延を伴ってその個々のトランスデューサによって放出されるように、それぞれの周波数帯域ごとに調節されている。
-歪:フィルタリングの選択肢及びその他の特性(タイプ、スロープ、等)は、可能な限りトランスデューサの機械的な歪のレートを制限すること及び位相及び時間歪を除去することを可能にすることになる。
-帯域幅:帯域幅制限なし。
-それぞれのトランスデューサに割り当てられる周波数帯域の分布は、アレイの指向性、歪、及びモバイル機器の質量の間のトレードオフによってガイドされている。
-圧縮:ダイナミックレンジ限度は、適用されていない。
-指向性:指向性は、オン及びオフ軸状態において制御されている。
-サンプリング:デジタル処理の際の最大値におけるオーバーサンプリング。トランスデューサの極性は、インパルス応答が正となるように反転されている。
-基準点:位相及び時間曲線は、信号が放出される瞬間からまっすぐである(スピーカーの前面)。
-イコライゼーションは、可能な限り周波数応答振幅曲線を線形化するように選択されている。
【0112】
その他の例を検討することができる。
【0113】
本発明は、記述及び図示されている実施形態に決して限定されるものではなく、且つ、当業者は、自身の意のままに本発明を変形する方法について知ることになろう。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気-音響トランスデューサ用のオーディオ信号(IN)を変換する方法であって、
前記信号は、前記オーディオ信号に特定の特性を提供するために、制御モジュールによって選択(110、112)された通常のプロファイルの関数として複数の信号特性を使用して組み合わせられた方式で変更されており(106、108)、前記信号特性は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅分散/スピーカー、ダイナミクス圧縮/膨張、指向性、サンプリング、インパルス応答におけるラウドスピーカーのグループの電気的極性に対応する絶対位相、すべての周波数が同相である基準点の変位を含むリストから選択されており、且つ、前記制御モジュールは、音楽トラックの判定された音楽スタイルの情報の関数として通常のプロファイルの選択を自動的に適合させていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号の前記変換は、レコーディングデータにマッチングするために前記信号を線形化するための少なくとも1つの補正アクション及び選択されたタイププロファイルの関数として前記信号を類型化するための変更アクションから構成された1つ又は複数のステップにおいて実行されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号の前記変換は、プロセッサを使用してデジタル方法に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記信号の前記変換は、電気及び/又は電子コンポーネントを使用してアナログ方法に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記信号の前記変換は、チューニング済みの構造、音響レンズ、及び/又は前記装置の幾何学的特性の変換を使用して1つ又は複数の機械的手段に従って実行されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記制御モジュールは、ユーザーによって手動的に動作している、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記制御モジュールは、前記信号を認識するための且つ通常のプロファイルを識別するためのリモートサービス上において含まれている情報の関数として自動的に適合している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記装置によって識別されたユーザー選好の関数として自動的に適合している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
音響トランスデューサ(3)用のオーディオ信号を変換する装置(1、2、3、4、6)であって、
前記装置は、前記オーディオ信号に特定の特性を付与するために、制御モジュールによって選択(110、112)された通常のプロファイルの関数として複数の信号特性を使用して組み合わせられた方式で前記信号を変更(106、108)するように構成されており、前記信号特性は、ゲイン、位相、時間、歪、帯域幅、帯域幅分散/スピーカー、ダイナミクス圧縮/膨張、指向性、サンプリング、インパルス応答においてスピーカーのグループの電気的極性に対応する絶対位相、すべての周波数が同相である基準点の変位を有するリストから選択されており、且つ、前記制御モジュールは、音楽トラックの判定された音楽スタイルの情報の関数として通常のプロファイルの選択を自動的に適合させていることを特徴とする装置。
【国際調査報告】