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特表2023-509768ペダル式車両の駆動機構を制御するための方法及び装置
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  • 特表-ペダル式車両の駆動機構を制御するための方法及び装置 図1
  • 特表-ペダル式車両の駆動機構を制御するための方法及び装置 図2
  • 特表-ペダル式車両の駆動機構を制御するための方法及び装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ペダル式車両の駆動機構を制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20230302BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541956
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2021050325
(87)【国際公開番号】W WO2021140238
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】102020200227.4
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインマン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】バウムゲルトナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マネバルト,メルリン・マルティン
(57)【要約】
ペダル駆動機構を使用して運転者によって少なくとも部分的に駆動可能な車両の追加の電気又はモータ駆動機構を制御するために企図されている方法及び装置が請求される。ここで、車両とは、例えば電動自転車など、運転者によって作動されるペダルクランクを備えるあらゆるタイプの車両であると理解されるべきである。ここで、駆動機構の制御を導出するために、少なくとも第1の回転運動変数が検出されることが企図され、第1の回転運動変数は、ペダルの回転運動又は運転者によるペダルクランクのペダリング運動、特にそれらの時間的変化を表す。ここで、第1の回転運動変数は、単一のセンサを使用して、又は複数のセンサのセンサ変数を組み合わせることによって検出され得る。その後、駆動機構は、第1の回転運動変数から得られる第2の回転運動変数に依存して制御又は調整される。このために、運転者のペダリング運動を表す第1の回転運動に対して追加的に、少なくとも1つの時間定数が考慮に入れられることが企図され、この時間定数は、制御又は調整される駆動機構の遅延時間に影響を与える。ここで、本発明の核心は、第1の回転運動変数から導出された第2の回転運動変数が元の第1の回転運動変数と比較されることにある。この比較の結果によっては、次いで、第2の回転運動変数の計算に使用される時間定数が変えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル式車両、特に電動自転車の駆動機構(160)を制御するための方法であって、
少なくとも1つの第1のセンサ(120、130)を使用して、運転者によるペダルの回転運動を表す第1の回転運動変数を検出し、
前記駆動機構(160)を制御するために、前記第1の回転運動変数及び時間定数に依存して第2の回転運動変数を生成し、前記時間定数が、前記駆動機構(160)の遅延時間を特定する、方法において、
前記第2の回転運動変数と前記第1の回転運動変数との比較に依存して前記時間定数を変える
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第2の回転運動変数が、前記第1の回転運動変数のローパスフィルタリング(230、310)を使用して生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の回転運動変数と前記第1の回転運動変数との比較に依存して、少なくとも第1及び第2の時間定数(T_up、T_down)の間で変わり、前記少なくとも第1及び第2の時間定数(T_up、T_down)が事前設定されていることが特に企図されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の回転運動変数が前記第2の回転運動変数に依存して設定される閾値よりも大きいとき、第1の時間定数(T_up)を選択し、前記第1の回転運動変数が前記閾値以下であるとき、第2の時間定数(T_down)を選択し、前記第1の時間定数が前記第2の時間定数(T_down)よりも小さいことが特に企図されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値が、生成された前記第2の回転運動変数に対応することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記閾値が、
スケーリング係数による前記第2の回転運動変数のスケーリングによって、又は
前記第2の回転運動変数への絶対値又は可変値の付加によって
設定され、
前記スケーリング係数又は前記絶対値もしくは可変値が、前記車両のドライビングダイナミクスセンサ変数又は運転変数に依存して事前設定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動機構(160)を制御するために、前記運転者による前記ペダルの前記作動を表す作動変数に依存して前記第2の回転運動変数を追加的に生成することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記時間定数が前記作動変数に依存して変えられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記駆動機構を制御するために、前記第2の回転運動変数をオフセットで修正し、前記オフセットが、前記作動変数及び前記時間定数(T_up、T_down)に依存して設定されることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の回転運動変数又は作動変数が、前記運転者が前記ペダルに加えるトルクを表すことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の回転運動変数又は前記作動変数が、前記運転者によって前記ペダルを踏んだときに生成されるペダリング頻度を表すことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ペダル式車両、特に電動自転車の駆動機構(160)を制御するための装置であって、制御デバイス(100)を備え、前記制御デバイス(100)が、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施し、前記制御デバイス(100)が、
少なくとも1つの第1のセンサ(120、130)を使用して、運転者によるペダルの回転運動を表す第1の回転運動変数を検出し、
前記駆動機構(160)を制御するために、前記第1の回転運動変数及び時間定数に依存して第2の回転運動変数を生成し、前記時間定数が、前記駆動機構(160)の遅延時間を特定する、装置において、
前記制御デバイス(100)が、
前記第2の回転運動変数と前記第1の回転運動変数との比較を実行し、
前記比較に依存して前記時間定数を変える
ことを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それ以外の場合にはペダルを使用して運転者によって駆動される車両の補助駆動機構を制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大抵は電動式の駆動機構による電動自転車の補助は、通常、運転者のペダリング頻度又はペダリングトルクに依存して行われる。ここで、推進力は、ペダリング速度又はペダリングパワーに応じて駆動機構によって制御される。つまりペダルクランクの円運動、及び大抵は不均一な運転者のペダリング運動により、時間平均値を中心に変動する測定変数が制御のために検出され、その測定変数に基づいて駆動機構による補助が制御又は調整される。特にペダリングパワーの場合、測定変数であるトルクは、強い波の正弦曲線の形を取る。
【0003】
このようにして検出された強い波の正弦曲線に依存して、駆動機構による補助が時間遅延なしに直接調整されると、同様に不均一な補助駆動又はモータトルクが発生し、運転者によって生成される推進力に追加的に加えられるであろう。その結果、電動自転車の反応及び動きが一部ぎくしゃくするであろう。さらに、上り坂での駆動トルクのそのような直接の導出ではさらなる欠点がもたらされる。例えば、ペダルの位置が死点に達する(一方のペダルが完全に上にあり、他方のペダルが完全に下にある)と、チェーンリング、ひいては駆動後輪にトルクがまったく加わらないか又はごくわずかのみ加わり、それにより速度が低下し、そのため運転者が場合によっては停車又は降車しないといけなくなる状況が生じ得る。
【0004】
このため、ペダルに対する検出された(波状の)運転者トルクに依存した遅延時間定数を使用して、駆動機構の制御及び操作が行われる。しかし、選択された時間定数によっては、この方法はシステムの慣性をもたらし、これは、特定の運転状況では不利になる可能性がある。つまり、例えば発進時又は動的加速時に長すぎる時間定数を選択した場合、遅延を伴ってのみ所望の補助が実現されることが起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明により、時間定数、ひいては駆動機構の遅延時間を運転状況に適切に適合させるための解決策を提案すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
独立請求項によれば、ペダル駆動機構を使用して運転者によって少なくとも部分的に駆動可能な車両の追加の電気又はモータ駆動機構を制御するために企図されている方法及び装置が主張される。ここで、車両とは、例えば電動自転車など、運転者によって作動されるペダルクランクを備えるあらゆるタイプの車両であると理解されるべきである。ここで、駆動機構の制御を導出するために、少なくとも第1の回転運動変数が検出されることが企図され、第1の回転運動変数は、ペダルの回転運動又は運転者によるペダルクランクのペダリング運動、特にそれらの時間的変化を表す。ここで、第1の回転運動変数は、単一のセンサを使用して、又は複数のセンサのセンサ変数を組み合わせることによって検出され得る。その後、駆動機構は、第1の回転運動変数から得られる第2の回転運動変数に依存して制御又は調整される。第2の回転運動変数を導出するために、運転者のペダリング運動を表す第1の回転運動変数に対して追加的に、少なくとも1つの時間定数が考慮に入れられることが企図され、この時間定数は、制御又は調整される駆動機構の遅延時間に影響を与える。ここで、本発明の核心は、第1の回転運動変数から導出された第2の回転運動変数が元の第1の回転運動変数と比較されることにある。この比較の結果によっては、次いで、第2の回転運動変数の計算又は生成のために使用される時間定数が変えられる。
【0007】
駆動機構の制御又は調整を導出するためのそのような手順における利点は、第2の回転運動変数に関する導出の結果に依存して異なる時間定数が使用され得ることにある。2つの回転運動変数の差が大きすぎる場合には、時間定数を増減させて、車両の推進力に対する駆動機構の応答を加速又は減速させることができる。これは、発進状況又は上り坂もしくは下り坂で特に有意である。
【0008】
本発明の一形態では、第2の回転運動変数が、第1の回転運動変数のローパスフィルタリング又は平滑化によって生成されることが企図されている。ここでは、1次のローパスフィルタリングが使用され得る。
【0009】
時間定数の変化は、特に事前設定された2つの限度値の間であり、連続的に可変であり得る。しかし、代替として、固定時間定数が事前設定されていることも可能であり、その結果、方法は、少なくとも2つの時間定数の間で選択することができる。時間定数の事前設定は、方法がアクセスするデータベースに記憶されていてもよい。時間定数の選択は、比較のみに基づいて行うか、又は追加の基準に関連して、例えばさらなる動作データもしくはドライビングダイナミクスパラメータを考慮して行うことができる。
【0010】
本発明を実施するために、第1の回転運動変数が閾値を超えるとき、第1の時間定数が選択されることが企図されていてもよい。それ以外の場合には、第2の時間定数が選択される。ここでは、第1の時間定数が第2の時間定数よりも小さく、特に1桁小さいことが企図されていてもよい。
【0011】
ここで、閾値は、第2の回転運動変数に依存して選択され得る。最も単純な場合には、閾値は第2の回転運動変数に対応する。閾値のこの選択により、駆動機構の制御の導出によって企図されているであろうよりも高いペダリング要件を運転者がペダルに及ぼしていることが認識され得る。
【0012】
閾値を設定するためのさらなる方法は、第2の回転運動変数をスケーリング係数でスケーリングするか、又は第2の回転運動変数に固定値又は可変値を追加することにある。例えば、スケーリングの際、ペダリング要件が小さい場合、すなわち第1の回転運動変数が小さい場合には、時間定数、ひいては駆動機構の制御の変更に対する感度が高くなる一方、ペダリング要件が高い場合、すなわち第1の回転運動変数が高い場合には、制御の変更を達成するためにペダリング要件のより大きな変更が必要であることが達成され得る。閾値の設定のために第2の回転運動変数に付加される可変値を使用する場合も同様であると思われる。それに対して、第2の回転運動変数に付加するために絶対値又は固定値を使用する場合、この固定値は、第2の回転運動変数がより高い場合には、第2の回転運動変数がより低い場合に比べて重要性が低いため、逆の効果が期待される。
【0013】
有利には、スケーリング係数又は絶対値もしくは可変値は、車両の運転変数又はドライビングダイナミクスセンサ変数、特に運転者によって生成されるか又は影響を及ぼすことができるセンサ変数に依存して事前設定させる。ここでは、自転車の速度もしくは加速度、ロール、ピッチ角、ヨーレート、さらには自転車もしくは運転者の質量、及び/又はペダリング速度もしくはペダリング頻度の考慮も考えられ得る。
【0014】
さらに、少なくとも2つの閾値が使用され、これらの閾値では、それぞれ異なるスケーリング係数又は絶対値もしくは可変値が、基礎となる第2の回転運動変数を修正することが考えられ得る。この場合、各閾値に到達するか又は各閾値を超えるために、個別の時間定数を選択可能であるであろう。したがって、例えば、第3、第4、又は第5の時間定数が企図されている可能性があり、これらの時間定数はそれぞれ、駆動機構の制御時に異なる遅延時間を生成する。代替として又は追加として、使用される時間定数が、第1又は第2の回転運動変数に依存して設定されることが企図されていてもよい。
【0015】
追加として、駆動機構の制御が導出される第2の回転運動変数の生成が、運転者によるペダルのさらなる作動変数を考慮に入れることが企図されていてもよい。当然、ペダル作動の考慮がまた、第2の回転運動変数からの制御の導出時に初めて行われることも企図されていてもよい。
【0016】
さらに、使用される時間定数の少なくとも1つが、同様にペダルの作動変数に依存して変えられることも考えられ得る。
作動変数は、第2の回転運動変数にオフセットを適用するために使用され得る。追加として、オフセットはまた事前設定された時間定数に依存して選択され得る。
【0017】
第1の回転運動変数は、運転者がペダルに加えるトルクと、運転者によって生成されるペダリング頻度又はケイデンスとの両方を表すことができる。それに対応して、作動変数は、運転者によって及ぼされるか又は生成されるそれぞれ別の物理的変数を表すことができる。
【0018】
さらなる利点は、例示的実施形態の以下の説明又は従属特許請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による方法を実施する装置の構造を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の第1の例示的実施形態の実行を概略的に示す図である。
図3】本発明の第2の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
冒頭で既に述べたように、通常、ペダル式車両、例えば電動自転車の追加の駆動機構の制御は、運転者によるペダルの作動に依存して行われる。ここで、ペダリング頻度又はペダリング速度と、運転者ペダリングトルクの形での作動力との両方を、企図される駆動機構の追加推進力による所望の補助に関する尺度として利用することができる。
【0021】
以下、本発明により、運転者要求に依存した(補助)駆動機構160による補助の適合を改良する方法及び装置が記載されるものとする。このために、対応する装置、例えば電気駆動機構の制御に関して一般的であるような人間-機械インターフェース(英語ではHuman-Machine-Interface、HMI)の制御デバイス100が、様々なセンサ変数を検出し、これらのセンサ変数に基づいて駆動機構160を制御することが企図される。ここでは、制御デバイス100が、制御に関連する対応するデータベース又は変数が記憶されているメモリ110を備えることが企図されていてもよい。制御の導出を実行するために、制御デバイス100は、運転者要求又は運転者によるペダルの作動を検出する。これは、トルクセンサ120を使用して、さらには自転車のペダルクランクにあるペダリング頻度センサ130を使用して達成され得る。
【0022】
さらに、さらなるセンサ140及び/又は150は車両、自転車、又は運転者に取り付けられていてもよく、これらのセンサは、ドライビングダイナミクス変数又は運転変数を検出する。ここでは、とりわけ、速度、加速度、ヨーレート、ロール、道路勾配、さらには心拍数を検出するためのセンサを参照されたい。さらに、例えば進路上にある他の交通参加者又は障害物を検出するために、例えばビデオセンサ機構又は超音波を使用して車両又は自転車の周囲環境を検出することも可能であり得る。
【0023】
運転者によるペダルクランクの作動を介してこのようにして得られたセンサ変数を出発点として、制御デバイスは、運転者によって自身のペダリングパワーを使用して生成される推進力に対して追加推進力が生成されるように駆動機構を制御することができる。ここでは、補助レベル、すなわち運転者の要望の増強は事前設定されていてもよく、又は運転者によって選択されてもよい。ドライビングダイナミクス及び動作又は周囲環境パラメータに関する追加の情報により、追加的に補助の適合が行われ得る。
【0024】
図2による第1の例示的実施形態では、まず、ステップ200又はモジュールにおいて、運転者によって加えられた又は生成された運転者トルクM_inが、検出されたセンサ変数に基づいて確定される。典型的には、これは、自転車のペダルクランクにあるトルクセンサ120を使用して直接的又は間接的に検出される第1の回転運動変数である。代替として、ここでペダリング頻度を使用して、現在の運転者の要望に関する値をそこから導出することもできる。このようにして確定された第1の回転運動変数はローパスフィルタ230に供給され、ローパスフィルタ230は、時間定数Tを使用して第2の回転運動変数M_outを生成し、出力240を介して出力する。この第2の回転運動変数は、駆動機構160の制御を導出するために使用される。次に、本発明により、時間定数Tの設定が記載される。これに関し、最も単純な場合には、2つの時間定数T_up及びT_downが企図され、これらの時間定数は、対応してステップ210及び220を介して例えばメモリ110から読み取られる。検出された第1の回転運動変数M_in及び以前の確定に由来する第2の回転運動変数と共に、ステップ250で、事前設定された時間定数T_up又はT_downのどちらがステップ230でのローパスフィルタリングに使用されるかが決定される。このために、ステップ250で、第2の回転運動変数と第1の回転運動変数との比較が行われる。第1の回転運動変数M_in>M_outの場合、すなわち運転者の現在のペダル要求が、駆動機構を制御するためのローパスフィルタ処理された企図された基準よりも高い場合、事前設定された時間定数T_upが選択され、それ以外の場合にはさらなる事前設定された時間定数T_downが選択される。したがって、時間定数T_upが時間定数T_downよりも小さく選択されることによって、運転者の要望の変更に対する駆動機構の応答を加速させることができる。ここで、典型的には、時間定数T_upは、時間定数T_downよりも大幅に小さく、例えば少なくとも1桁小さい。任意選択で、例えば第1と第2の回転運動変数との比較を出発点とする複数の閾値が使用されることによって、複数の時間定数から選択できることも企図することができる。
【0025】
さらに、ドライビングダイナミクス変数又は運転変数及び運転者パラメータに依存して時間定数がデータベースから引き出されるか又は選択されることが企図されていてもよい。代替として又は任意選択で、時間定数は、ドライビングダイナミクス変数又は運転変数などのさらなる境界条件によっては選択、設定、又は特定される2つの極値間の連続値を取ることもできる。
【0026】
図3の第2の例示的実施形態では、第2の回転運動変数の導出を改良し、このようにして改良された操縦性を運転者に与えるために、ペダルクランクの追加の作動変数を利用することが企図されている。
【0027】
このために、第1の例示的実施形態と同様に、第1のステップ200で運転者トルクM_inが確定され、ローパスフィルタ310で処理される。ローパスフィルタ310の結果は加算器350に利用可能にされ、加算器350は、修正された第2の回転運動変数M_outを出力モジュール340に利用可能にする。第1の例示的実施形態で既に述べたように、ローパスフィルタ310の結果は、回転運動変数M_in及びM_outを比較するためのステップ320に利用可能にされる。追加的に、ステップ320は、対応するステップ300で検出されるペダルのさらなる作動変数を検出する。この第2の例示的実施形態では、運転者のペダリング頻度又はケイデンスが第2の作動変数として検出され得る。時間定数を特定、選択するか、もしくは変えるために、又は少なくとも2つの所定数の時間定数から対応する時間定数を選択するために、ステップ320で作動変数を追加的に利用することもできる。ステップ320での比較の結果は、第1の例示的実施形態に応じたローパスフィルタ310と、オフセット補正係数を確定するためのステップ330との両方に利用可能にされる。ステップ330でオフセット補正係数を確定するために、ステップ300からの作動変数、及びステップ320からの選択、事前設定、又は特定された時間定数Tが追加的に利用される。次いで、このようにして決定されたオフセット補正係数は、修正された回転運動変数M_outを生成するために加算器350に送られ、この修正された回転運動変数M_outが、駆動機構を制御するための基礎を提供する。
【0028】
オフセット補正係数の特定により、入力トルクの増加と減少とに関する異なる時間定数がさらにより良く考慮され得る。したがって、運転者のペダリング挙動を表すさらなる変数の使用によって、入力トルクの増加と減少とに関する時間定数の差が補償され得る。
【0029】
さらに、そのような補正係数による制御は、低いペダリング頻度に関してはより敏感に調整されることができ、高いペダリング頻度ではシステムがよりゆっくりと反応する。
さらなる一例示的実施形態では、ステップ330でスケーリング係数が導出されることが企図されていてもよく、このスケーリング係数は、ステップ360で、加算器の代わりに、ローパスフィルタ310によって生成される第2の回転運動変数に対して適用される。ここで、スケーリング係数は同様に、時間定数に対して追加的に、ドライビングダイナミクス変数、運転変数、又は運転者パラメータに依存して特定され得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】