(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】原子炉の熱出力のリアルタイム精密測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20230302BHJP
G21C 17/02 20060101ALI20230302BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G21C17/00 210
G21C17/02 400
G01T1/167 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541960
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2021050305
(87)【国際公開番号】W WO2021140220
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】301033396
【氏名又は名称】マックス-プランク-ゲゼルシャフト ツール フォーデルング デル ヴィッセンシャフテン エー.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】リンドナー、 マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】バック、 クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハケンムラー、 ジャニナ
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、 ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】マネシュグ、 ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ストレッカー、 ハーバート
【テーマコード(参考)】
2G075
2G188
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075CA08
2G075DA08
2G075FA05
2G075FB09
2G188AA20
2G188BB04
2G188BB15
2G188CC28
2G188EE12
2G188EE25
2G188FF28
(57)【要約】
原子力発電所の一次冷却回路(30)の近くで生体遮蔽(10)の外側に設置されたガンマ線感知検出器(60)内でガンマ線カウント数を測定することと、ガンマ線感知検出器(60)内で測定されたガンマ線カウント数に基づいて原子力発電所の熱出力を特定することとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の一次冷却回路(30)の近くで生体遮蔽(10)の外側に設置されたガンマ線感知検出器(60)内でガンマ線カウント数を測定することと、
前記ガンマ線感知検出器(60)内で測定されたガンマ線カウント数に基づいて前記原子力発電所の熱出力を特定することと
を含む方法。
【請求項2】
中性子放射化又は中性子捕獲によって放出されるガンマ線カウント数を前記ガンマ線感知検出器(60)内で測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
数分以下のオーダーの短い半減期を有しかつ前記原子炉又は前記冷却水内の中性子吸収イベントによって生成される同位体によって引き起こされる崩壊に関連するガンマ線カウント数を前記ガンマ線感知検出器(60)内で測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
N16崩壊のガンマ線カウント数を測定することと、前記ガンマ線感知検出器(60)内で測定された前記N16崩壊のガンマ線カウント数に基づいて前記原子力発電所の熱出力を特定することとを含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガンマ線感知検出器(60)の測定信号が最大になるように、前記ガンマ線感知検出器(60)を前記原子炉の一次冷却回路(30)の近くに設置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガンマ線感知検出器(60)の測定信号が最大になるように、前記ガンマ線感知検出器(60)を可能な限り前記生体遮蔽(10)の近くに設置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記原子力発電所の熱出力を特定することは、前記ガンマ線感知検出器(60)で得られたガンマ線カウント数に基づいてかつ較正測定から得られた較正値に基づいて前記原子力発電所の熱出力を特定することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原子力発電所の熱出力を特定することは、前記ガンマ線感知検出器(60)で得られたガンマ線カウント数に基づいてかつ前記原子炉の幾何学的モデルに基づいて前記原子力発電所の熱出力を特定することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ゲルマニウムダイオード(61)又はシリコンダイオードを用いて前記ガンマ線感知検出器(60)内のガンマ線カウント数を測定することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
原子力発電所の熱出力を測定するための、原子力発電所の一次冷却回路(30)の近くで生体遮蔽(10)の外側に設置されるガンマ線感知検出器の使用。
【請求項11】
前記ガンマ線感知検出器はゲルマニウムダイオード(61)又はシリコンダイオードを含む、請求項10に記載のガンマ線感知検出器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉の熱出力を測定する技術分野、特に原子炉の熱出力のリアルタイム精密測定の分野に言及する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の熱出力の制御と測定は、原子炉の安全な運転のための重要な課題である。原子炉の熱出力は、原子炉内の核分裂連鎖反応によって急速に増加する可能性があるため、制御と安全のためには、原子炉の熱出力のリアルタイムの遅延を最小限に抑えてリアルタイムデータを持つことが非常に重要である。
【0003】
原子力発電所の熱出力のリアルタイム測定の問題に対する一般的なアプローチは、以前から行われており、本明細書で言及する。例えば、原子炉の熱出力を測定する3つの標準方法が知られている。1つの標準方法は、いわゆる炉内/炉外計装であり、2つ目の標準方法は二次冷却サイクルのエンタルピーを測定することであり、3つ目の標準方法は、中性子によって活性化される小さな金属球で原子炉内の小さなパイプを満たし、これらの球を時々取り出し、活性を測定することである。
【0004】
さらに、特許文献1には、中性子の入射に応じてアルファ線を発生させる中性子コンバータと、中性子コンバータから発生したアルファ線を入力として受信してシンチレーションを放射及び送信するシンチレータと、異なる伝送路を通してシンチレーションを受信する2つの受光部と、飛行時間法によりシンチレーションが受光部に到達する時間に応じて中性子分布を測定する信号処理部とを含む中性子粒子測定装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、運転中の原子力発電所、損傷を受けた原子力発電所、又は停止中の原子力発電所の圧力容器内又は圧力容器外の放射線検出コンポーネントの近似画像を生成するための放射線監視診断ホドスコープシステムが開示されている。
【0006】
特許文献3には、原子炉の動作範囲全体にわたってパルス出力を提供するためにその感度を自動的に変化させる固体半導体中性子検出器が開示している。感度は、半導体表面の活性領域に荷電粒子を放出するコンバータ層の厚さ又は構成を変えることによって変化する。
【0007】
この既知の技術では、原子炉の熱出力は、原子炉容器内でしか測定できない核分裂反応による中性子を測定することによって特定されるため、検出器を容器の内部又は近くに設置するか、二次回路の熱流を監視する必要がある。これらの計算で最も関連性の高いパラメータは、給水の質量流量と、補正を含む蒸気発生器の比エンタルピー上昇である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5774515号明細書
【特許文献2】米国特許第8946645号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0026374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この既知の技術を踏まえて、本発明の目的は、精度及びリアルタイムの要求に関して、原子力発電所の熱出力を測定するための革新的な技術を提供することである。
【0010】
また、前述の標準装置は高価で扱いにくく、又は非常に複雑である。移動可能で扱いやすく、メンテナンスが容易で、便利な検出器と方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、本開示は、原子炉のオン時間中もアクセス可能な、原子炉炉心の生体遮蔽の外側に設置されたガンマ線感知検出器を用いて原子力発電所の熱出力を測定することを含む方法を提供する。
【0012】
第2の態様によれば、本開示は、原子力の熱出力を測定するためのガンマ線感知検出器の使用を提供する。
【0013】
さらなる態様は、従属請求項、以下の説明及び図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
実施形態は、添付の図面に関して例として説明されている。
【
図1】原子炉の一次水冷回路の近くかつ原子炉の鋼強化コンクリート生体遮蔽の外側に位置する、ゲルマニウムダイオードを含むガンマ線感知検出器を備えた沸騰水型原子炉タイプを使用する原子力発電所の機能構造を概略的に示す。
【
図2】原子炉の鋼強化コンクリート製シールド生体遮蔽の外側に位置する、ゲルマニウムダイオードを含むガンマ線感知検出器を備えた加圧水型原子炉タイプを使用する原子力発電所のシールド生体遮蔽の内側の機能構造を概略的に示す。
【
図3】
図1の原子力発電所で原子力発電所の熱出力を特定するために使用されるガンマ線感知検出器60の一実施形態を概略的に記載する。
【
図4】本発明による装置の測定データと基準診断のデータを示す。
【
図5】実施形態のガンマ線感知検出器が、原子力発電所の熱出力の高精度リアルタイム測定を提供し、したがってリアルタイム診断を可能にすることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下でより詳細に説明する実施形態は、原子力発電所の一次冷却回路の近くで生体遮蔽の外側に設置されたガンマ線感知検出器内でガンマ線カウント数を測定することと、ガンマ線感知検出器内で測定されたガンマ線カウント数に基づいて原子力発電所の熱出力を特定することとを含む方法を開示する。原子力発電所は、核分裂反応のエネルギーで水を加熱するあらゆる種類の原子炉である可能性がある。測定される熱出力は、原子力発電所の燃料棒内での核分裂反応によって原子炉容器内で放出される時間当たりの熱エネルギー量に関連している可能性がある。
【0016】
本開示は、安価で、非常に信頼性が高く、正確で、原子炉の生体遮蔽の外側に位置することができるため、原子炉運転中にいつでも安全にアクセスできる、移動可能で、コンパクトで、取り扱いが容易で、メンテナンスが容易で、便利なリアルタイム検出器及び方法を可能にする。生体遮蔽内での操作は必要ないため、原子炉運転中にアクセスすることができる。この技術はまた非侵襲的であり、原子炉複合施設内で許可されている技術のすべての制限を満たしている。この技術は実証されており、あらゆるタイプの原子炉(BWR、PWR、…)の役に立ち、動力炉から小型の研究用原子炉まで、あらゆる原子炉のサイズに広く使用することができる。
【0017】
原子力発電所の生体遮蔽(「一次遮蔽」とも呼ばれる)は、放射線及び放射性同位体が環境に流出するのを防ぐ鉛バリア又は鋼強化コンクリート壁など、あらゆるバリアであり得る。生体遮蔽は主に中性子を吸収するが、ガンマ線も吸収し、原子炉運転中に原子力発電所のスタッフがその外側で(「二次」室内で)を自由に移動できることを保証する。スタッフは原子炉が停止している場合にのみ炉心の内部に入ることができる。検出器が原子炉の生体遮蔽の外側にある状態で測定が行われるため、ガンマ線感知検出器は、フルパワーの原子炉運転中でも追加の安全対策なしでアクセス可能であり得る。以下でより詳細に説明する実施形態は、原子炉において原子炉容器へのアクセスを必要とせずに熱出力を特定することができるという技術的効果を提供することができる。したがって、検出器を設置、較正又は保守する際に、原子炉の生体遮蔽は、原子炉のオン時間中も技術スタッフの障壁とならない。生体遮蔽は、技術スタッフが検出器にアクセスするのを妨げない。
【0018】
「ガンマ線カウント数」という用語は、ガンマ線感知検出器内で測定されるガンマ光子イベントの数をカウントすることを意味する。具体的には、ガンマ線感知検出器は、ガンマ線感知分光計、すなわち、入射光子を検出し、それらのエネルギーを特定してガンマ線スペクトルを生成することができるデバイスであり得る。実施形態によれば、ガンマ線分光計は、エネルギービンごとに同じエネルギーの光子がいくつ検出されたかに関する情報を提供する。この情報は、例えば二次元エネルギーカウント
図N(E)で視覚化することができる。
【0019】
この方法はさらに、中性子吸収によって放出されたガンマ線カウント数をガンマ線感知検出器内で測定することを含むことができる。「中性子吸収」という用語は、同位体が入ってくる中性子を捕捉して吸収する核過程を表す。中性子吸収による崩壊率は、原子炉の熱出力と直接的に相関がある。この方法は、例えば、鉄骨鉄筋コンクリート構造物内の原子炉の一次水冷の冷却水の原子炉内での中性子吸収によって生じる短寿命同位体の崩壊の測定に基づくことができる。
【0020】
この方法はさらに、短い半減期を有する同位体によって引き起こされる崩壊に関連するガンマ線カウント数をガンマ線感知検出器内で測定することを含むことができる。顕著なガンマ線活性をもたらす半減期を有する同位体を、実施形態の目的のために使用することができる。例えば、半減期は数分以下の大きさであり、原子炉又は冷却水内の中性子吸収イベントによって生成される。
【0021】
この方法はさらに、N16崩壊のガンマ線カウント数を測定することを含むことができる。N16崩壊は、中性子が照射された水の中で起こる特殊なプロセスである。ここでは水の酸素16原子が、陽子を放出することによって入ってくる中性子を吸収する。残りの原子はこの場合、質量数16の窒素原子である。窒素16は不安定であり、電子を放出することによって7.14sの半減期で酸素16に崩壊する(ベータ崩壊)。この酸素16原子は励起されるため、6.1MeVの特性エネルギーの放射脱励起によって光子を放出する。これらの光子は、本発明に従って原子炉の熱出力を特定する目的で測定することができる。N16崩壊のガンマ線カウント数を測定することにより、5MeVから10MeVのエネルギーを有する高エネルギーガンマ線に対して高い検出器効率が有利な可能性がある。
【0022】
原子力発電所の一次冷却回路は、原子炉の原子炉容器に冷却水を供給する冷却回路であり得る。例えば、一次冷却回路の水が原子力発電所の燃料棒を浸す場合がある。一次冷却回路は炉心から始まるが、生体遮蔽から出て蒸気圧発生器につながる。
【0023】
一次冷却回路の一部と蒸気発生器は生体遮蔽の外側にあり、これらはまだかなりの放射線を放出するため、これらの部分は、スタッフがすぐ近くでも作業できるように、通常約1mのコンクリートでさらに特別にシールドされている。これは、「第2の」シールドと呼ばれることもある。
【0024】
実施形態によれば、ガンマ線感知検出器は、原子炉の一次冷却回路の近くに設置することができる。具体的には、ガンマ線感知検出器は、ガンマ線感知検出器の測定信号が最大になるように、可能な限り一次冷却回路の近くに設置することができる。一次冷却回路に近いことは、ガンマ線感知検出器の測定信号を増大させるのに役立つ。例えば、(「第2」シールドに関連した約1メートルのコンクリートを間に挟んで)一次冷却回路の任意のセクションまで約5メートル以下の距離は、高いガンマ線強度を提供し得る。したがって、好適な測定場所の選択は、生体遮蔽のすぐ近くに限定されず、格納容器の内部の多くの場所に拡張することができる。
【0025】
ガンマ線感知検出器は、例えば、ガンマ線感知検出器の測定信号が最大になるように、それぞれ可能な限り生体遮蔽の近くに、生体遮蔽の外側にありながら可能な限り一次冷却回路の近くに設置することができる。例えば、ガンマ線感知検出器は、一次冷却回路を外部環境から分離する原子力発電所の生体遮蔽の鋼強化コンクリート壁に直接設置することができる。しかしながら、代替的な実施形態では、ガンマ線感知検出器は、有意な測定結果を得るのに十分なガンマ線感知検出器の測定信号が存在する生体遮蔽の外側の任意の位置に設置することができる。
【0026】
この方法はさらに、ガンマ線感知検出器で得られたガンマ線カウント数に基づいてかつ較正測定から得られた較正値に基づいて原子力発電所の熱出力を特定することを含むことができる。この較正測定は、当業者に知られている原子力発電所の熱出力を特定するための従来の標準技術によって、例えば二次回路内の熱流を測定することによって行うことができる。
【0027】
この方法はさらに、ガンマ線感知検出器で得られたガンマ線カウント数に基づいてかつ原子炉の幾何学的モデルに基づいて原子力発電所の熱出力を特定することを含むことができる。このような幾何学的モデルは、原子炉容器の幾何学的寸法、冷却水の内部での中性子吸収の可能性、冷却回路に対する検出器の位置、ガンマ線放射の指向性、一次冷却回路の内部のポンピング速度、核分裂によって放出される中性子の数、及び使用される検出器の検出器効率を考慮することができる。
【0028】
この方法はさらに、ゲルマニウムダイオード又はシリコンダイオードを有するガンマ線感知検出器、又は他のイオン化/シンチレーション検出器もしくはボロメータ分光計内でガンマ線カウント数を測定することを含むことができる。以下の開示は、原子力発電所の安全境界の内側であるが原子力発電所の生体遮蔽の外側において電気的低温冷却で動作する、大きなゲルマニウムダイオード(例えば2kg)を含むガンマ線感知検出器を提供する。
【0029】
この方法は、リアルタイムで原子力発電所の熱出力を非常に正確に、非侵襲的に、安全に、安定的にかつ効率的に測定することを可能し得る。
【0030】
さらに、実施形態はまた、本発明によって提供される、原子力発電所の熱出力を測定するための、原子力発電所の一次冷却回路(30)の近くで生体遮蔽(10)の外側に設置されるガンマ線感知検出器の使用も開示する。後述するように、電気的低温冷却システムで冷却された従来のガンマ線感知検出器を、実施形態でより詳細に説明するように原子力発電所の熱出力の特定に用いることができる。このガンマ線感知検出器の使用は、ゲルマニウムダイオード又はシリコンダイオードを含むガンマ線感知検出器、又は他のイオン化/シンチレーション検出器もしくはボロメータ分光計を指す場合がある。
【0031】
図1は、沸騰水型原子炉タイプの原子力発電所の機能構造の一実施形態を概略的に示す。ゲルマニウムダイオードを含むガンマ線感知検出器が、一次水冷回路の近くでかつ原子炉の鋼強化コンクリート生体遮蔽の外側に配置されている。なお、ゲルマニウムは本発明に関連するエネルギー範囲において非常に良好な検出能力を有するため、ゲルマニウムダイオードを使用することが望ましい。それでもなお、検出ダイオードは、他の材料、好ましくは半導体材料、例えばシリコンで作ることができる。ガンマ線検出に有益と思われ、1~10MeVのエネルギーに対して当業者にとって十分に高い検出器効率を有する任意の材料を使用することができる。
【0032】
原子力発電所では、二酸化ウランのペレットを充填した典型的にはジルコニウム合金で作られた燃料棒21が、水で満たされた容器20内に設置される。ウランはU235で濃縮されている。いわゆるMOX元素にもプルトニウムが含まれている。燃料棒21の内部で、燃料棒21を加熱させる核分裂連鎖反応が起こっている。容器は生体遮蔽10によって囲まれている。生体遮蔽10は、生体遮蔽10の内部の放射能が原子炉の周囲に流出しないようにする。生体遮蔽10は、大部分が厚い鋼強化コンクリート壁及び鉛バリアを含む。
【0033】
一次ポンプ35が一次冷却回路30から容器20に水を圧送する。加熱された燃料棒21は、燃料棒を冷却する一次冷却回路30の水に浸される。この冷却プロセスは、一次ポンプ35によって容器20から管31を通してタービン33及び34まで圧送される蒸気を生成し、タービン33及び34は蒸気を使用して電気を生成する。蒸気は凝縮器40の二次冷却回路50によって冷却され、凝縮する。凝縮器40の後、一次冷却回路30の凝縮水は、一次ポンプ35によって管32を通して容器20内に圧送して戻される。
【0034】
二次冷却回路50は、二次ポンプ55によって川100からの冷水を、管51を通して凝縮器40に圧送することによって実現される。川からの冷水はタービン33及び34から来る蒸気によって加熱される。次に、二次冷却回路50の加熱された冷却水は、管52を通して冷却塔53に圧送される。冷却塔53において、加熱された水は蒸発することができる。第二冷却回路の残りの温水は、管54を通して川100に圧送して戻される。このようにして、一次冷却回路からの汚染水が環境に入り込まないことが保証される。
【0035】
ガンマ線感知検出器60が、生体遮蔽の外側にかつ一次冷却回路30の近くに、好ましくは流出管31の近くに設置される。ガンマ線感知検出器60は、電気的に低温冷却された、例えば2kgの質量を有する大きなゲルマニウムダイオードを含む。ガンマ線感知検出器60の一実施形態を、
図4に関して以下でより詳細に説明する。ガンマ線感知検出器60は、
図3に関して以下でより詳細に説明するような一次冷却回路30の水中で生成される光子を測定する。
【0036】
ガンマ線感知検出器60が生体遮蔽の外側にかつ一次冷却回路30の近くに設置されているため、熱出力を測定するプロセスは非侵襲的である。さらに、ガンマ線感知検出器60は、メンテナンスをほとんど必要としない。検出器60が生体遮蔽の外側に設置されているため、通常運転中にメンテナンスが可能である。実際の経験から、本実施形態で説明したようにガンマ線感知検出器を配置及び設置することにより検出器のメンテナンスがほとんど必要とされないことが予想される。これと比較して、従来の炉外及び炉内の計装(最新技術で知られている中性子検出器)は定期的な較正が必要であり、長期間経過すると、このような検出器に放射線障害が発生する。電気的な低温冷却は、毎週液体窒素が補充されるこのような検出器の冷却に取って代わる。これにより、時間が節約され、原子力発電所の安全領域における安全規則が順守される。
【0037】
さらに、ガンマ線感知検出器60が生体遮蔽の外側に設置されているため、ガンマ線感知検出器60は、以前の検出器よりも長期的な観点で信頼性が高く安定している。例えば、熱出力の公式シミュレーション計算のデータは数時間欠落していることがある。しかしながら、上記の検出器のセットアップは、通常、低消費電力及び高速計算時間で信頼性の高い方法で測定を継続し、原子力発電所の安全性を向上させる。
【0038】
図1の実施形態では、1つのガンマ線感知検出器60のみが示されている。しかしながら、代替的な実施形態では、例えば冗長性の理由から、原子力発電所ごとにゲルマニウム検出器のネットワークを設置することができる。この検出器は費用対効果が高いため、原子力発電所ごとにいくつかのゲルマニウム検出器を設置しても、費用は管理可能である。
【0039】
図1の実施形態では、ガンマ線感知検出器60は、原子力発電所の原子炉の生体遮蔽10の近くに設置される。ガンマ線感知検出器60は、好ましくは、ガンマ線感知検出器60の測定信号が最大になるように可能な限り生体遮蔽の近くに設置される。しかしながら、代替的な実施形態では、ガンマ線感知検出器60は、有意な測定結果を得るのに十分なガンマ線感知検出器60の測定信号が存在する生体遮蔽10の外側の任意の位置に設置することができる。例えば、毎秒100ガンマ線カウント以上の測定信号は、原子力発電所の熱出力に関する重要な決定を可能にする可能性がある。
【0040】
図1に示すような発電所構造物の概念は、一次冷却回路の水が蒸発してタービン33と34を駆動するので、沸騰水型原子炉(BWR)と呼ばれる。発電所構造物の第2の概念、いわゆる加圧水型原子炉(PWR)もある。加圧水型原子炉(PWR)では、水が蒸発できないように一次冷却回路が圧力下で保持される。代わりに、一次冷却循環と二次冷却循環との間に中間冷却回路が組み込まれている。一次冷却回路の水は蒸気発生器で中間冷却回路の水を加熱し、蒸気発生器で中間冷却循環の水が蒸発し、発生した蒸気がタービンを駆動する。その後、中間冷却循環の蒸気は、
図1に示す機構と同様の二次冷却循環によって凝縮器で冷却される。本発明は、BWRとPWRの両方の原子力発電所にも小型の科学用原子炉にも配置可能である。
図2は、加圧水型原子炉タイプにおける本発明の利用を示す。
【0041】
原子力発電所の原子炉において燃料棒(
図1の21)内での最も一般的な2つの核分裂反応は、
【数1】
及び
【数2】
である。
【0042】
それぞれの核分裂反応は、中性子吸収によって引き起こされ、それ自体が新しい中性子を発生させる。一般に、それぞれの核分裂反応は消費するよりも多くの自由中性子を発生させる。したがって、それぞれの自由中性子が新たな核分裂反応を引き起こすと、これが核分裂反応のカスケードにつながり、ますます多くのエネルギーが放出される。
【0043】
原子力発電所の原子炉内では、核連鎖反応は、それぞれの連鎖反応から平均して1つの中性子のみが新たな核分裂反応を引き起こすようにすることによって制御される。これは、他の非核分裂性原子を用いて過剰な中性子を吸収することによって行われる。中性子吸収に使用されるこのような物質は、例えばCd-113又はBor-10であり得る。中性子を減速させるための材料も使用される。これらの物質は減速材と呼ばれる。このような減速材物質は、グラファイト、又は容器内の一次冷却回路の水でもあり得る。
【0044】
原子力発電所の熱出力の特定のために、原子力発電所の熱出力生成に関連する任意の光子を使用することができる。特に、中性子吸収によって放出される光子は、原子力発電所によって生成される熱出力に関する決定を可能にする。特に、原子力発電所の熱出力の特定には、妥当な短い半減期(例えば5分以下)を有しかつ原子炉又は冷却水内の中性子吸収イベントによって生成される同位体によって引き起こされる崩壊を利用することができる。
【0045】
例えば、原子力発電所の熱出力を特定するために、N16崩壊によって生じる光子を測定することができる。
【0046】
図2は、加圧水型原子炉タイプの原子力発電所の生体遮蔽の内側の機能構造の一実施形態を概略的に示す。ゲルマニウムダイオードを含むガンマ線感知検出器60が、原子炉の鋼強化コンクリート生体遮蔽の外側に配置されている。炉心は鋼強化コンクリートで作られた内側生体遮蔽11によって囲まれ、原子炉容器20は燃料棒を冷却する水で満たされている。水は主冷却ポンプ35によってループ管31、32及び37を通して圧送される。原子炉容器からの温水は、ループ管31を通って蒸気発生器36に圧送され、蒸気発生器36で温水は中間冷却循環の水を蒸発させることによって冷却され、発生した蒸気が発電のためにタービン33、34を駆動する。冷却された水はその後、蒸気発生器36から冷却ポンプ35を通ってループ管37及び32を通って圧送されて原子炉容器20に戻される。
【0047】
炉心及び一次冷却回路は、鋼強化コンクリートで作られた外側生体遮蔽10によって囲まれている。外側生体遮蔽内の領域38全体は、原子炉の運転中は領域38内の致死量の放射能のためアクセスできない。既に述べたように、原子炉容器内の中性子束はN16原子を発生させ、N16原子は急速に崩壊し、それによって光子を発生させる。これらの光子は、両方の生体遮蔽10、11を離れることができるため、管内で発生しかつ外側生体遮蔽を通過するだけで検出される可能性が高くなる崩壊による光子と共に、原子力発電所の原子炉の外側生体遮蔽10の近くに設置されたガンマ線感知検出器60によって測定することができる。ガンマ線感知検出器60は、好ましくは、ガンマ線感知検出器60の測定信号が最大になるように可能な限り外側生体遮蔽の近くに設置される。しかしながら、代替的な実施形態では、ガンマ線感知検出器60は、重要な測定結果を得るのに十分なガンマ線感知検出器60の測定信号が存在する外側生体遮蔽10の外側の任意の位置に設置することができる。例えば、毎秒100ガンマ線カウント以上の測定信号は、原子力発電所の熱出力に関する重要な決定を可能にする可能性がある。ガンマ線感知検出器60は領域38の外側にあるので、原子炉の運転中にアクセス可能である。
【0048】
図3は、原子炉の一次冷却の冷却水中でのN16原子の生成と崩壊を概略的に示す。燃料棒21を浸す一次冷却回路30の水は、燃料棒21の冷却と核分裂反応の中性子の減速の両方に使用される。そのため、水分子H
2Oには核分裂反応による多数の中性子が照射される。
【0049】
水分子内の酸素原子は、99.72%の確率で、8個の中性子と8個の陽子とで構成されるO16原子である。O16原子は、陽子を放出しながら中性子を吸収することによりN16に変わる可能性がある。
【数3】
【0050】
水分子H2Oに核分裂反応による中性子が照射されると、冷却水中の酸素原子の一部がN16原子に変換される。中性子吸収確率は利用可能な自由中性子の数とは無関係であるため、生成されるN16原子の数は燃料棒21内の核分裂反応の数に比例する。それぞれの核分裂がほぼ同じ量のエネルギーを放出するので、時間あたりの核分裂反応の数は燃料棒21の熱出力に(平均的に)比例する。このため、一次冷却回路の水中のN16原子の数は、原子炉の熱出力に比例する。
【0051】
N16は、7.13秒の半減期を有する放射性同位体である。図示のように、N16は電子と光子の放出下で崩壊してO16原子に戻る。
【数4】
【0052】
放出される光子のエネルギーは約6.1MeVである。光子は遮蔽するのが困難であるため、原子炉の厚い鋼強化コンクリート壁の生体遮蔽10を透過することができる。したがって、放出される光子は、生体遮蔽の外側で測定可能である。高エネルギーのガンマ線カウント数を測定することにより、ガンマ線感知検出器60を生体遮蔽の外側に設置することが可能である。検出器は、生体遮蔽の中を通る高エネルギーのガンマ光子の検出に基づいて、N16崩壊率を測定することができる。好ましくは、検出器60は、原子炉容器20の近くにある一次冷却回路30の管部分の近くに設置される。現代の原子力発電所では、一次冷却回路内のポンピング速度が非常に高いため、一次冷却回路の広い領域がガンマ線感知検出器60を設置するのに適している。
【0053】
提案された原子力発電所の熱出力を測定する方法は、ガンマ検出率と熱出力の比例関係を利用している。
【数5】
【0054】
比例係数fPは、基準診断によって測定するか又は原子炉の数値幾何学的モデルによって計算することができる。
【0055】
すなわち、原子力発電所の熱出力の特定は、ガンマ線感知検出器で得られたガンマ線カウント数に基づきかつ較正測定から得られた較正値に基づくことができる。
【0056】
代替的に、原子力発電所の熱出力の特定は、ガンマ線感知検出器で得られたガンマ線カウント数に基づきかつ原子炉の幾何学的モデルに基づくことができる。このような幾何学的モデルは、原子炉容器の幾何学的寸法、冷却水中の中性子吸収の確率、冷却回路に対する検出器の位置、ガンマ線の指向性、及び使用される検出器の検出器効率を考慮することができる。
【0057】
ただし、較正測定又は幾何学的モデルを使用しなくても(すなわち、比例係数fPを知らなくても)、熱出力に関する相対的な報告が可能であることに注意する必要がある。例えば、検出器60内の検出率が倍になった場合、熱出力も倍になったと結論付けることができる。
【0058】
図4は、原子力発電所の熱出力を特定するために
図1の原子力発電所で使用されるガンマ線感知検出器60の一実施形態を概略的に示す。上記の
図1に関して説明したように、ガンマ線感知検出器60は、生体遮蔽(
図1の10)の外側にかつ一次冷却回路(
図1の30)の近く、好ましくは流出管31の近くに設置される。ガンマ線感知検出器60は、例えば2kgの質量を有する大きなゲルマニウムダイオード61を含む半導体検出器である。ガンマ線感知検出器60は比較的コンパクトである。ガンマ線感知検出器60は質量が小さいため(例えば15~20kg)、1人か2人で簡単に動かすことができる。また、検出器は通常運転中に動かすことが可能である。さらに、検出器はスペースをほとんど必要としない。検出器は、クライオスタットアームを完全に取り外すことで、さらに最適化することができる。信号対バックグラウンド比が高いため、本発明による検出器には鉛、銅又はポリエチレンで作られた追加の生体遮蔽も必要ない(
図4及び対応する説明を参照)。ゲルマニウムダイオード61は、電気的な低温冷却63で電気的に冷却される。放射線検出器の用途で知られ、原子炉サイトの管理によって許可されている既知のクライオスタットの構成、デュワーのサイズ及びパルス管冷却器の構成は、本実施形態の検出器に使用することができる。検出信号を増幅するために前置増幅器62が設けられる。
【0059】
ゲルマニウムダイオード61は、
図4に関して以下でより詳細に説明するような一次冷却回路(
図1の30)の水中でのN16崩壊によって生じる光子を測定する。検出信号は、検出信号をデジタルデータに変換する検出器インターフェースモジュール64(DIM)に提供される。検出器インターフェースモジュール64(DIM)は、大きなゲルマニウムダイオード61によって捕捉されたガンマ線スペクトルを記述するデータを出力する。ガンマ線スペクトルはいくつかのピークを含む。検出器インターフェースモジュール64によって生成されたデジタルデータは、さらなる処理及び可視化のためにコンピューティングデバイス65(PC)に提供される。具体的には、検出器インターフェースモジュール64から得られたスペクトルデータは、ガンマ線の総計数率を得るためにスペクトルの所定の部分にわたって統合される。一実施形態によれば、特にスペクトル中の6.1MeVのラインの計数率は、6.1MeV付近、すなわち所定の幅(例えば6.1MeV±0.1MeV)の6.1MeV前後のスペクトル間隔におけるすべてのイベントの計数率を積分することによって特定される。このガンマ線の計数率は、例えばベクレル(Bq)又はギガベクレル(GBq)で表すことができる。
【0060】
なお、本発明に関連するエネルギー範囲において非常に良好な検出能力を有するゲルマニウム用のゲルマニウムダイオードを使用することが好ましい。それでもなお、検出ダイオードは、他の材料、好ましくは半導体材料、例えばシリコンで作ることができる。当業者にとってガンマ線検出に有益と思われる任意の材料を使用することができる。
【0061】
コンピューティングデバイス65において、ギガベクレル(GBq)で表されるガンマ線の計数率は、ガンマ線感知検出器60によって監視される原子力発電所の一次冷却回路(
図1の30)内の冷却水の量/流量に関連している可能性がある。上記のようにガンマ線感知検出器60を配置及び設置することによって、高い信号強度が得られる。例えば、1GBq/リットルのN16活性が、主冷却管の数メートル脇で得られる可能性がある。したがって、通常の原子炉運転中にアクセス可能な場所(生体遮蔽の外側)にある厚さ数メートルの鋼強化コンクリート壁の後ろで、光子の高い信号強度が利用可能である。
【0062】
前述のように、ガンマ線感知検出器60によって測定される活性は中性子出力/束に比例し、したがって原子力発電所の熱出力に比例する。したがって、測定された活性は、原子力発電所の相対的な熱出力に関する情報を提供する。絶対熱出力に関する情報は、例えば原子炉容器内の核分裂反応による中性子を測定することによって、ガンマ線感知検出器によって提供される測定値を従来の手段で得られる診断測定値に関連付けることによって得ることができる。このような測定結果は、従来の原子力発電所の監視から得られる。ガンマ線感知検出器60の位置及び構成ごとに、1つの診断測定のみで、活性測定から原子力発電所の絶対熱出力に関する情報を得ることができるように測定を較正することができる。
【0063】
図5は、1週間の時間間隔中に上記のガンマ線感知検出器で得られた測定データのグラフを示す。7日間の時間間隔がグラフのX軸に、1日あたり24個の時間ビン(1ビンあたり1時間)で示されている。ビンごとに、そのようなエネルギーを有する光子の正規化された計数率(原子炉によって生成される熱出力に比例する)とその測定誤差がグラフのY軸に示される。正規化は、計数率の中央値に関して行われる。
図3のグラフは、従来の測定プロセス、例えば二次水ループシステムのエンタルピーに基づく従来の方法、及び熱出力の公式シミュレーション計算と同じ時間間隔で行われた基準診断のデータも示している。図に示すように、測定された計数率は基準診断のデータと非常によく似ている。
【0064】
図5のグラフは、実施形態のガンマ線感知検出器が原子力発電所の熱出力の高精度リアルタイム測定を提供し、したがってリアルタイムの診断を可能にすることを示す。一次冷却回路の水中のN16は、主冷却管内で炉心から高速(10m/s以上)で輸送され、その間にN16原子は7.13秒の半減期で崩壊する。これにより、生成された熱出力に比例する炉心内の核分裂による中性子束のリアルタイム画像が得られる。
図5に示すように、高精度の測定が提供される。熱出力測定の1%の精度が、数時間のタイムビンで実現できる。これは、典型的な3GWの熱出力の場合と、ガンマ線感知検出器が約1.5mの鋼強化コンクリートの後ろで主冷却管から約4m離れた場所にある状況を指している。テスト設定は、約10分の時間ビンを用いたリアルタイム監視が数パーセントの精度で現実的になることを示している(
図4も参照)。さらに、検出器は較正が容易である。
【符号の説明】
【0065】
10 外側生体遮蔽
11 内側生体遮蔽
20 原子炉容器
21 燃料棒
30 一次冷却回路
31 原子炉容器から温水を輸送する管
32 原子炉容器に冷水を輸送する管
33 タービン
34 タービン
35 一次ポンプ
40 凝縮器
50 二次冷却回路
51 川から凝縮器に冷水を輸送する管
52 復水器から温水を輸送する管
53 冷却塔
54 川に温水を輸送する管
55 二次ポンプ
60 本発明による検出器
61 ゲルマニウムダイオード
62 前置増幅器
63 低温冷却
64 検出器インターフェースモジュール
65 プロセッサ
100 川(冷却水の供給源)
【国際調査報告】