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特表2023-509815原水の凝固処理のための凝固剤の用量を定める及び調整する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】原水の凝固処理のための凝固剤の用量を定める及び調整する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20230101AFI20230303BHJP
【FI】
C02F1/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525716
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050186
(87)【国際公開番号】W WO2021140150
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】2000225
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518155247
【氏名又は名称】スエズ・グループ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファヨラ,アルチュール
(72)【発明者】
【氏名】コドロン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュタインマン,デルフィーヌ
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015BB06
4D015CA01
4D015CA14
4D015DA04
4D015DA06
4D015DA08
4D015DA12
4D015DA13
4D015DA16
4D015EA03
4D015EA12
4D015EA32
4D015FA01
4D015FA22
(57)【要約】
本発明は、浄化水を与えるために原水の凝固処理の手段中へ注入される凝固剤の用量を定める及び調整する方法であって、
- 凝固剤の最適用量を定めるステップであって、前記定めるステップは、原水中の有機物の量に関する情報を提供するための、及び浄化水に関して定められる有機パラメーターのターゲット値の関数である少なくとも1つの有機パラメーターを利用するステップと;
- 浄化水の有機パラメーターの実際の値を測定するステップと;
- 浄化水に関する有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差を決定するステップと;
- この差が下限閾値未満であるか又は上限閾値よりも大きい場合に、注入される凝固剤の用量を調整するステップであって、前記調整ステップは、凝固剤の定められた最適用量から出発し、
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が上限閾値よりも大きい場合に凝固剤の用量を増加させるステップ;又は
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が下限閾値未満である場合に凝固剤の用量を低減するステップ
を含むステップと
を含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化水(ED)を与えるために原水(EB)の凝固処理の手段中へ注入される、凝固剤(COAG)の、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を定める及び調整する方法であって、
- 凝固剤の最適用量([COAG]OPT)を定めるステップであって、前記定めるステップは、原水中の有機物の量に関する情報を提供するための、及び前記浄化水(ED)に関して定められる有機パラメーターのターゲット値(PORG_ED)の関数である少なくとも1つの有機パラメーター(PORG)を利用するステップと;
- 前記浄化水の前記有機パラメーターの実際の値(P’ORG_ED)を測定するステップと;
- 前記浄化水に関する前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差を決定するステップと;
この差が下限閾値(SINF)未満であるか又は上限閾値(SSUP)よりも大きい場合;
- 前記処理手段中へ注入される、凝固剤(COAG)の、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を調整するステップであって、前記調整ステップは、凝固剤の前記定められた最適用量([COAG]OPT)から出発し、
- 前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の前記差が前記上限閾値(SSUP)よりも大きい場合に凝固剤の前記用量を増加させるステップ;又は
- 前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の前記差が前記下限閾値(SINF)未満である場合に凝固剤の前記用量を低減するステップ
を含むステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記原水の前記有機パラメーター(PORG_EB)の時間的変動(VAREB)を決定するステップであって、前記変動が定められる変動限界(LVAR)よりも大きい場合、前記調整ステップはブロックされ、注入される凝固剤の前記用量はその場合に凝固剤の前記最適用量([COAG]OPT)であるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整ステップは、比例積分微分制御器(PID)などの、閉制御ループを用いる、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記閉制御ループは、前記比例積分微分制御器(PID)であり、ここで、増倍率は、前記凝固剤及び/又は前記第2の試薬の効能に、凝固/浄化手段の容積に、及び/又は前記原水の流量に依存する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記浄化水のpH(pHED)を測定するステップを更に含み、前記調整ステップは、前記浄化水の前記pHがpH閾値(pHmin)未満である場合に、凝固剤の前記用量の増加をブロックするステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
凝固剤の前記増加する用量は、最大凝固剤値([COAG]max)未満であり、前記最大値は、例えば、凝固剤の最大経済的許容量(DMEA)と関係している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
凝固剤の前記低減する用量は、最小凝固剤値([COAG]min)よりも大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 浄化水(ED)に関するターゲット濁度値ターゲット(TURB_ED)を定めるステップと;
- 前記浄化水に関する前記ターゲット濁度値(TURB_ED)を達成するために前記原水(EB)に添加される凝固剤の第2の用量([COAG2])を決定するステップであって;
凝固剤の前記低減する用量は凝固剤の前記第2の用量([COAG2])以上であるステップと
を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの有機パラメーター(PORG)は、好ましくは254nmでの、UV吸光度、溶解有機炭素(DOC)、又は前記パラメーターの組合せから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が上限閾値(SSUP)よりも大きい場合に、前記調整ステップは、例えば粉状活性炭(CAP)のような、注入される第2の試薬(REAC)を添加するステップを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
例えば粉状活性炭(CAP)のような、注入される第2の試薬(REAG)の用量を定めるステップであって、第2の試薬の用量を定める前記ステップが、前記調整ステップの前であるステップを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記調整ステップは、
- 前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記上限閾値(SSUP)よりも大きい場合に、前記第2の試薬(REAC)を増加させるステップ、及び/又は
- 前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記下限閾値(SINF)未満である場合に、前記第2の試薬(REAC)を低減するステップ
を更に含む、請求項10又は11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記上限閾値(SSUP)よりも大きい場合に、前記調整ステップは、
- 凝固剤(COAG)の前記用量を凝固剤の最大経済的許容量(DMEA)まで増加させるステップ;
次いで、凝固剤の用量がDMEAを達成した場合に、及び前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記上限閾値(SSUP)よりも大きいままである場合に、前記調整ステップは、とりわけ前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記上限閾値(SSUP)よりも大きいままである限り、例えば粉状活性炭(CAP)のような、前記第2の試薬(REAG)を添加するステップを更に含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記下限閾値(SINF)未満である場合に、前記調整ステップは、
- 前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記下限閾値(SINF)未満のままである限り、例えば粉状活性炭(CAP)のような、前記第2の試薬(REAG)の前記用量を低減するステップ;
次いで、前記第2の試薬(REAG)の前記用量がゼロである場合及び前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記下限閾値(SINF)未満のままである場合、前記調整ステップは、とりわけ前記有機パラメーターの前記実際の値(P’ORG_ED)と前記ターゲット値(PORG_ED)との間の差が前記下限閾値(SINF)未満のままである限り、凝固剤(COAG)の前記用量を低減するステップを更に含む、
請求項12又は13に記載の方法
【請求項15】
凝固剤(COAG)の前記低減する用量は、凝固剤の前記第2の用量([COAG2])以上である、請求項8と組み合わせられた請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するためのプログラム・コード命令を含むコンピュタープログラムプロダクトであって、前記プログラムはコンピューターで動作するコンピュタープログラムプロダクト。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を用いて、浄化水(ED)を与えるために原水(EB)の凝固処理の手段中へ注入される、凝固剤(COAG)の用量、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を定める及び調整するためのシステム。
【請求項18】
少なくとも前記原水を凝固させるステップを含む原水処理プロセスであって、注入される凝固剤の前記用量は、請求項1~15のいずれか一項から選択される方法によって定められる及び調整される凝固剤の前記用量である原水処理プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の処理の、より具体的には原水から有機物を除去するための凝固の分野にある。より具体的には、本発明は、有機物を除去するために原水に添加される凝固剤の用量を定める及び調整する方法に関する。
【0002】
本発明は、本方法のステップを実行するためのプログラム・コード命令を含むコンピュタープログラムプロダクトであって、前記プログラムは、コンピューターで動作するプロダクトに更に関する。
【0003】
本発明は、同様に、少なくとも1つの凝固ステップを含む水処理プロセスに関する。1
【背景技術】
【0004】
凝固(又は凝固-浄化)は、水が含有する懸濁物(濁度)及び有機物の除去を可能にする公知の水処理プロセスである。この処理は、廃水、河川水及びより一般的に任意のタイプの水に適用することができる。
【0005】
一般的に言えば、第1のステップは、凝固剤、通常、金属塩を、「原水」(EB)と称される流入水に添加することによって実施される。一般に、原水は、反応器又はたらいに導入され、凝固剤が前記反応器又はたらいに添加される。次いで、第2のステップは、通常、ポリマーによる凝固粒子の凝集を伴う。最後に、粒子の沈降の第3のステップは、粒子が分離されることを可能にする。これらのステップの終了時、結果として生じた流出水は、「浄化水」(ED)と称される。
【0006】
しかしながら、原水は、多かれ少なかれ気候条件又は人間の活動のために品質の速い変動を受け得る。これらの変動は、水の物理化学的特性のみならず、有機物の組成も変更する。したがって、原水の処理を順応させるために、使用される凝固剤用量を変更することが必要である。これの理由は、使用される凝固剤用量が、濁度並びに有機物、地表水及び地下水中、より幅広く全てのタイプの水中に一般に存在する有機物質の複雑なマトリックスに依存性であることである。このマトリックスは、水の起源又は他に例えば集水域排水による汚染に起因し得る。更に、季節変動、pH及び他の外部パラメーターが有機物の量又は品質に影響を及ぼし得る。
【0007】
有機物の除去度は、したがって、非常に変わりやすく、且つ予測するのが困難であるその品質に関連している。
【0008】
実験室アッセイ、典型的にはジャーテストの実施は、現在、濁度及び有機物を排除するための最適処理条件、とりわけ凝固剤用量及び凝固pHを決定する最も信頼できる方法である。凝固pHは、凝固剤の効能を高めるために調整されるpHである。pHの調整は、一般に反応器又はたらいに酸を添加することにより、凝固剤が導入される反応器又はたらいにおいて一般に行われる。しかしながら、これらのアッセイは、時間がかかり、且つとりわけ原水の品質が速く変動する場合、事業会社のニーズに応答することができるため、連続的に実施することが不可能である。
【0009】
一般に、したがって、オペレーターは、安全マージンを採用して、品質目標が満たされることを保証するために過剰の凝固剤用量を使用する。この過剰投与は、不利なことに、試薬コストと、発生するより多い量のスラッジを考えると、スラッジの処理コストとの両方の観点から余分な運転費用を生じさせる。
【0010】
この問題を克服するために、凝固から出る水の所望の品質目標を達成するために注入される凝固剤用量の決定を可能にするシステムが適所に存在する。これらのシステムは、2つのタイプのものである:
- フィードバック制御システム:凝固剤用量は、凝固プロセスを出る水の品質に対して調整される;
- 予測システム:凝固剤用量は、凝固プロセスに入る水の品質に対して定められる(用いられるパラメーター:濁度、254nmでのUV吸光度、全有機炭素TOC等)。
【0011】
フィードバック制御システムには、凝固をモニター及び最適化するためにゼータ電位を利用するシステムが含まれる(Critchley et al.,Automatic coagulation control at water-treatment plants in the north-west region of England,1990)。ゼータ電位は、例えば、SCD(荷電電流計)分析装置を用いて水の電荷が測定されることを可能にする。凝固の物理化学機構によれば、凝固の最適点は、0のゼータ電位に対応する。しかしながら、流量の速い変動及び非最適化混合条件は、不安定である応答、したがって信頼性の低い結果を生じさせ得る。更に、測定は、pH及び無機化の変化に敏感であり、分析装置は、これらの変更を相殺するために頻繁に較正されなければならない。結果は、比較的信頼できないシステムである。最後に、このシステムは、凝固の終わりにおける所望の水質の目標、凝固の下流ステップに応じて、とりわけこれらのステップの期待される性能レベルに応じて変わり得る目標を考慮することができない。
【0012】
予測システムには、データ履歴をベースとするモデルが含まれる。これらのモデルは、人工神経ネットワークなどの人工知能を用い得、このネットワークは、プラントからの履歴データ及び任意選択的にセンサーから得られたデータ(典型的には処理プロセスにおける様々な段階での水の品質を特徴付けるための)を供給される。本システムの人工知能は、過去の事象から学習し、本モデルから最良の応答を得るために計算規則を更新することを可能にする。
【0013】
本モデルには、古典的な一次、二次、対数及び指数方程式を参照する古典的回帰のモデルが含まれる。凝固剤用量の計算を可能にするパラメーターは、データ履歴に基づいて定められる。しかしながら、これらのモデルの正確さは、それらが簡単な方程式に基づくため、非常に良好であるわけではない一方、凝固現象は、複雑な現象である。
【0014】
本モデルには、刊行物‘MLP,ANFIS,and GRNN based real-time coagulant dosage determination and accuracy comparison using full-scale data of a water treatment plant’,Chan Moon Kim and Manukid Parnichkun,Journal of Water Supply,Research and Technology-AQUA-66.1-2017に記載されているような他のより複雑なモデルが含まれる。本モデルは、濁度を排除するための最適凝固剤用量の計算を可能にする最良統計的モデルを定めるために、プラント履歴から得られた一連の数千のデータ点に基づく。研究された3つのモードの人工知能(MLP、ANFIS及びGRNN)は、プラントで観察される結果に適している応答を示し、3つのツールの組合せは、モデルの正確さが幅広い原水濁度(0~450NTU)にわたって高められることを可能にする。
【0015】
データ履歴の基づくこれらのモデルの主な欠点は、それらが各サイトに特有であることである。更に、モデルが前のデータに基づいており、処理前の水の品質に基づいていないことを考慮すると、凝固剤用量の真の最適化を実施することは、可能ではない。更に、これらの履歴ベースのモデルは、過去を再現することができるにすぎず、それを最適化することができない。それらは、これが最良のコストで適合水を配送するための最適用量であることを保証することなく、過去に行われたように注入される凝固剤用量を示す。
【0016】
他のより複雑なモデルは、多様な水に関するジャーテストなどの実験室テストの結果を使用し得る。これらの結果は、流入水の品質に応じて使用される凝固剤の量を決定する方程式定数を定めるために使用される。
【0017】
例として、mEnCo(高められた凝固のモデル化)と命名される最適化モデルがAustralian Cooperative Research Centre for Water Quality and Treatmentによってオーストラリアで開発された。数学的方程式は、溶解有機炭素(DOC)と凝固剤用量との間の関係を与える。これらの方程式において統合される定数は、多様なオーストラリアの水から得られたジャーテストの結果を用いて決定されなければならない。mEnCoモデルは、多数のオーストラリアのプラントにわたって良好な結果を提供するが、このモデルが依然として1つのプラント又は少なくとも1つのタイプの原水に高度に特有である場合が残る。
【0018】
別のタイプの予測モデルは、有機物の除去に適用される吸着の法則に基づく凝固モデルを表す刊行物‘Predicting DOC removal during enhanced coagulation’,Edwards,Journal-American Water Works Association,89(5),78-89,1997に記載されている。本モデルのアルゴリズムは、凝固中の物理化学的現象を説明する。Edwardsモデルは、有機物を3つのフラクション:
- 金属水酸化物上に吸着できないフラクション(凝固に不活性なフラクション)、
- 凝固剤用量及び凝固pHの関数として凝固によって除去することができる極性フラクション、
- 凝固剤用量の関数としてのみ凝固によって除去することができる非極性フラクション
に分類したKastl et al.(2004)によって改良された。
【0019】
本モデルは、モデルが動作することを可能にする定数を決定するための5つの未知パラメーター:最大収着能、吸着定数、フミン酸のフラクション、非極性フラクション及びフミン酸のpKaを有する5つの方程式に基づく。これらの5つのパラメーターは、特定の条件(凝固用量及び凝固pH)下でジャーテストアッセイを実施することによって決定される。これらの5つのパラメーターは、有機マトリックス(電荷、疎水性、サイズ、タイプ等)に依存性であり、したがって各タイプの有機マトリックスに関して決定されなければならない。
【0020】
入力及び出力データは、2つの可能な選択肢とともに以下に記載される:
- 入力:原水の有機物含有量(DOC)、凝固pH、及び浄化水において達成されるべきDOC目標、出力として得られる:凝固剤用量;
- 入力:原水の有機物含有量(DOC)、凝固pH+凝固剤用量、出力として得られる:浄化水のDOC含有量
【0021】
しかしながら、Edwards及びKastlモデルは、次の欠点を示す:本モデルは、各サイトに特有であり、モデルが順応することを可能にする定数は、時間のかかる実験室アッセイによって決定されなければならない。
【0022】
これらの様々な予測モデルの例から、
- モデルは、凝固剤用量の計算を可能にする方程式の定数を定めるためのデータ履歴の統計的研究に基づき、その場合、可能な最適化は、存在しないか;又は
- モデルは、用量の計算を可能にする方程式の定数を定めるための実験室アッセイに基づき、その場合、モデルの実行は、時間がかかるか
のいずれかであることが理解される。
【0023】
更に、これらのモデルは、一般に、1つのプラント又は少なくとも原水のタイプに特有である。最後に、これらのシステムは、一般に正確さに欠ける。
【0024】
より正確なシステムは、したがって、微粒子含有量の尺度として水の濁度並びにまた原水に溶解した有機物の尺度として水の紫外線吸光度(UV吸光度)及び溶解有機炭素(DOC)を考慮することにより、原水を処理するための化学薬品用量を計算するための方法を記載している特許出願国際公開第2009002192号パンフレットに記載されているように開発された。これらの測定により、特に微粒子含有量及び溶解有機物の含有量の合計を用いて、水に添加される化学薬品の用量を予測することが可能である。
【0025】
それにもかかわらず、これらの方法の正確さは、最大凝固効果を得ながら最小可能量の凝固剤を使用するための向上を必要とする。これの理由は、これらの方法が経験による及び/又は実験によるものであり、化学的でないことである。それらは、実際に、凝固性能レベルに特に影響を及ぼす、水の品質を評価するために必須のパラメーターを全て考慮できるわけではない。
【0026】
本発明は、先行技術方法及び凝固剤投与システムの欠点を克服することを狙っている。
【0027】
本発明は、水処理プロセスのために使用される凝固剤の量の最適化及び調整を可能にする方法;換言すれば、とりわけ凝固剤の過剰投与を回避しながら最適凝固剤用量の決定、及び凝固処理プロセスの全体にわたって、最適用量を維持する、又はこの最適化を改善さえするように最適用量のかじ取りを可能にする方法を指向する。本探求は、より特に、処理のための水の品質がプロセス中に変動する場合に使用される凝固剤の量のかじ取りを可能にする方法の探求である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本探求は、それ故、得られる及び維持される原水での使用のためのより間違いのない、信頼できる及び最適の量の凝固剤を可能にする方法であって、この方法は、速くて、簡単で及び有効であり、並びに1つのサイトに及び/又は所与の原水の1つのタイプに特有ではなく、且つ自動化に適している方法に関してである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
これらの欠点が修正されることを可能にする本発明は、浄化水を与えるために原水の凝固処理の手段中へ注入される、凝固剤の、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を定める及び調整する方法であって、
- 凝固剤の最適用量を定めるステップであって、前記定めるステップは、原水中の有機物の量に関する情報を提供するための、及び浄化水に関して定められる有機パラメーターのターゲット値の関数である少なくとも1つの有機パラメーターを利用するステップと;
- 浄化水の有機パラメーターの実際の値を測定するステップと;
- 浄化水に関する有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差を決定するステップと;この差が下限閾値未満であるか又は上限閾値よりも大きい場合:
- 処理手段中へ注入される、凝固剤の、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を調整するステップであって、前記調整ステップは、凝固剤の定められた最適用量から出発し
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が上限閾値よりも大きい場合に凝固剤の前記用量を増加させるステップ;又は
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が下限閾値未満である場合に凝固剤の前記用量を低減するステップ
を含むステップと
を含む、方法を含む。
【0030】
本発明は、定められた最適凝固用量と、注入される凝固剤用量を調整するための閉制御ループとの組合せを含み、制御ループの出発点は、凝固剤の前記最適用量である。これは、凝固処理プロセスの全体にわたって改善される凝固剤の用量の最適化を可能にする。
【0031】
本発明による方法はまた、以下に後で説明されるように、少なくとも1種の第2の試薬の最適用量を定めるステップを組み込み得る。
【0032】
調整ステップは、少なくとも1種の第2の試薬の投与に関して、前記第2の試薬の最適用量は必ずしもあらかじめ定められることなく、以下に後で説明されるように作用し得る。
【0033】
凝固剤(及び、適切な場合には、第2の試薬)は、凝固/浄化反応器又はたらいなどの、凝固処理手段中への注入を意図される。
【0034】
凝固剤の注入は、(調整ステップが関与していない若しくは停止している場合)凝固剤の定められた最適用量に等しい、又は(調整ステップが関与している場合)凝固剤の定められた最適用量に対して増加した若しくは低減した、用量の凝固剤の注入を意味する。
【0035】
本説明の全体にわたり、原水(EB)は、凝固プロセスの流入水(上流)であり、及び浄化水(ED)は、凝固プロセスの流出水(下流)であると定義される。
【0036】
本説明の全体にわたり、有機物は、水中の微粒子含有量又は懸濁物に向けられる、濁度と対照的に溶解した有機物を指す。
【0037】
一実施形態によれば、少なくとも1つの有機パラメーターは、好ましくは254nmでの、UV吸光度、溶解有機炭素、好ましくは254nmでの、UV吸光度と、DOC(溶解有機炭素)との間の比率、又は前記パラメーターの組合せから選択される。UV吸光度は、DOCの測定よりも簡単な及び一般にコスト効果の高い測定を提供する。
【0038】
一実施形態によれば、有機パラメーターは、複数の有機パラメーター、典型的にはUV吸光度及びDOCを含む。
【0039】
一実施形態によれば、定めるステップは、原水のミネラル負荷に関する情報を提供するための少なくとも1つのミネラルパラメーターを更に利用する。少なくとも1つのミネラルパラメーターは、完全アルカリ滴定力価、塩化物イオンの濃度、ナトリウムイオンの濃度、硫酸イオンの濃度、カルシウムイオンの濃度、マグネシウムイオンの濃度、ケイ酸イオンの濃度、導電率、又は前記パラメーターの組合せから選択され得る。
【0040】
ミネラルパラメーターは、好ましくは、複数のミネラルパラメーター、典型的には完全アルカリ滴定力価、塩化物イオンの濃度及び/又はナトリウムイオンの濃度を含む。
【0041】
一実施形態によれば、少なくとも1つの有機パラメーターの、原水及び/又は浄化水に関する値は、例えば溶解有機炭素センサー(好ましくはプレ濾過ステップあり)、UVセンサー(好ましくはプレ濾過ステップあり)、又はそのような測定の組合せによって行われるインライン測定のような、原水及び/又は浄化水の測定によって決定される。
【0042】
一実施形態によれば、少なくとも1つのミネラルパラメーターの、原水に関する値は、例えば導電率センサーによって行われるインライン測定、若しくは完全アルカリ滴定力価分析装置、イオン濃度分析装置によって行われるサンプリング測定、又はそのような測定の組合せのように、原水の測定によって決定される。
【0043】
そのようなセンサーはまた、水処理プロセスの全体にわたって(原水、浄化水に関して、及び更に本説明において本明細書で以下に説明されるような、処理水に関しても)水の品質を有利にモニターし得る。
【0044】
凝固剤の(及び、適切な場合には、第2の試薬の)用量は、凝固/浄化処理手段に自動的に添加され、それによって前記用量を調整するステップを容易にし、全体手順を自動的に実施し得る。
【0045】
調整ステップは、浄化水の有機物量の変動の場合に、凝固剤の用量の自動的調節を可能にする。凝固剤(及び第2の試薬)が凝固/浄化たらい又は反応器へ注入される場合の反応の非線形性を考えると、調整ステップは、勝手に用いることができず、調整ステップの開始時に考慮に入れられる凝固剤の用量である、凝固剤の最適用量を定める先行ステップと結び付けて考えられなければならない。本発明は、オペレーター側の行動を最小限に抑えて、凝固/浄化手段中への凝固剤の(及び第2の試薬の)注入のための可能な最も自動的なかじ取りを提供する。オペレーターは、警戒の場合にのみ介入しなければならない可能性があり、これらの場合は、調整ステップに組み込まれ得る。
【0046】
調整ステップは、有利には、水処理の又は一般に産業の分野で既に用いられている自動化論理体系を実行し得る。それは、閉制御ループを用いる。
【0047】
一実施形態によれば、調整ステップは、PID(比例積分微分)制御器を用いる。
【0048】
一実施形態によれば、閉制御ループの設定点値は、浄化水中の有機物のターゲット値であり、その作用変数は、凝固手段中へ注入される試薬(凝固剤及び/又は粉状活性炭などの第2の試薬)の用量である。ループがPID制御器である場合、この制御器は、実際の有機物値とターゲット値との間の差、並びにまた時間の関数としてこの差の積分及び微分を計算する。作用変数、換言すれば注入される試薬の用量の減少又は増加のシグナルを得るために、3つの増倍率:差に対する第1、その積分に対する第2、及びその微分に対する第3増倍率が組み合わせられる。
【0049】
増倍率は、以下の特性に従って定められる:
- 反応の振幅に影響を与える、試薬の効能及び/又は凝固/浄化手段の容積(この容積は、試薬の希釈倍率に影響を及ぼす):したがって、この差に関連した増倍率は、試薬の効能に及び/又は凝固/浄化手段の容積に依存する;
- 凝固/浄化手段における水理学的滞留時間に影響を及ぼす、水の流量(より低い流量は、より長い滞留時間を生じさせ、逆もまた同様である);試薬が凝固/浄化手段の上流で注入される瞬間と、浄化水へのその効果が検出される瞬間との間の反応時間は、それ故、流量の関数として変化し得る:それ故、微分に関連した増倍率及び積分に関連した増倍率は、水の流量に依存する。
【0050】
1つの有利な実施形態によれば、調整ステップは、原水の有機パラメーターの時間的変動を決定するステップであって、前記変動が定められた変動限界よりも大きい場合にブロックされている凝固剤の用量を調整するステップを更に含み、注入される凝固剤の用量は、その場合に凝固剤の最適用量であるステップを更に含む。「ブロックする」とは、調整ステップが関与していない若しくは停止していることを意味する。この実施形態は、調整ステップ、又はより正確には、浄化水中の有機物への凝固剤の用量を調整するステップの影響が、最適調整を可能にするのに十分に速くない限りにおいて有利である。
【0051】
1つの有利な実施形態によれば、本方法は、浄化水のpHを測定するステップ、浄化水のpHがpH閾値未満である場合に凝固剤の用量の増加をブロックするステップを含む調整ステップを更に含む。「ブロックする」とは、用量が増加させられない(例えば、pHが調整の開始から閾値未満である)こと、又は用量がもはや増加させられないことを意味する。
【0052】
凝固剤の増加する用量は、好ましくは、最大凝固剤値未満である。この最大値は、凝固剤の最大経済的許容量(DMEA)に関係があり得るか又はそれに等しくさえあり得る。
【0053】
凝固剤の低減する用量は、好ましくは、最小凝固剤値よりも大きい。
【0054】
本方法が浄化水に関するターゲット濁度値を定めるステップ及び浄化水に関するターゲット濁度値を達成するために原水中へ注入される凝固剤の第2の用量を決定するステップを含む場合、凝固剤の低減する用量は、好ましくは、凝固剤の前記第2の用量以上である。
【0055】
一実施形態によれば、調整ステップは、有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が上限閾値よりも大きい場合に、例えば粉状活性炭(CAP)のような、第2の試薬を凝固手段に添加するステップを更に含む。
【0056】
一実施形態によれば、本方法は、例えば粉状活性炭(CAP)のような、注入される第2の試薬の最適用量を定めるステップであって、第2の試薬の最適用量を定める前記ステップが、調整ステップの前であるステップを含み得る。
【0057】
第2の試薬は、好ましくは、浄化水のpHを下げないように選択され;例えば、粉状活性炭(CAP)である。
【0058】
一実施形態によれば、調整ステップは、
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、上限閾値よりも大きい場合に第2の試薬を増加させるステップ、及び/又は
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、下限閾値未満である場合に第2の試薬を低減するステップ
を更に含む。この実施形態は、上に記載された2つの場合、すなわち、第2の試薬の最適用量が調整ステップの前に定められる場合(その場合には、用量は、増加させられ得るか若しくは低減され得る)、又は調整ステップが第2の試薬を添加する場合(その場合には、第2の試薬の注入を続行すること或いは下限閾値未満に戻った場合に用量を低減することが可能である)に当てはまる。
【0059】
1つの特定の実施形態によれば、調整ステップは、有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、上限閾値よりも大きい場合に:
- 凝固剤の用量を凝固剤の最大経済的許容量(DMEA)まで増加させるステップ
を含み;
次いで、凝固剤の用量がDMEAを達成する場合、及び有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、上限閾値よりも大きい場合に、調整ステップは、(とりわけ、有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、上限閾値よりも大きいままである限り)例えば粉状活性炭のような、第2の試薬を添加するステップを更に含む。
【0060】
1つの特定の実施形態によれば、調整ステップは、有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、下限閾値未満である場合に:
- 有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、下限閾値未満のままである限り、例えば粉状活性炭のような、第2の試薬の用量を低減するステップを含み;
次いで、第2の試薬の用量がゼロである場合、及び有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、下限閾値未満のままである場合、調整ステップは、(とりわけ、有機パラメーターの実際の値とターゲット値との間の差が、下限閾値未満のままである限り)凝固剤の用量を低減するステップを更に含む。
【0061】
より特に、凝固剤の用量は、浄化水に関するターゲット濁度値を得るために定められた第2の凝固剤用量以上のままである限り、低減され得る。
【0062】
したがって、本発明は、組み合わせられる試薬用量を定める2つの手段:予測手法タイプの用量を定める1つの手段、及び原水の品質が多かれ少なかれ速く変動するかどうかにとりわけ従って、換言すれば原水の品質が十分に安定しているかどうかに従って、用量を調整する1つの手段を可能にする。原水の品質が十分に安定していない限り、予測手法が優位になる。
【0063】
調整ステップが作動する場合、それは、一度に1つの試薬のみ(凝固剤又は第2の試薬)を制御する。更に、予測手法は、とりわけどちらの試薬(凝固剤又は第2の試薬)が調整ステップによって優先して作用されるかを決定するためにアクティブであり続け得る。予測手法は、更に、注入される凝固剤の最小用量を決定するために、とりわけ浄化水に関する濁度を達成するためにアクティブであり続ける。
【0064】
凝固剤の最適用量を定めるステップは、手動で実施され得、第三者によって提供され得、又は所与のプラントにおける経験から公知の用量であり得る。それはまた、予測手法によって決定され得る。
【0065】
凝固剤の最適用量を定めるステップの実施形態(予測手法)
一実施形態によれば、凝固剤の最適用量を定めるステップは、予測手法である。
【0066】
一実施形態によれば、定めるステップは、原水の凝固キャパシティに関する情報を提供するための第1の有機パラメーター、原水中の有機物の量に関する情報を提供するための第2の有機パラメーター、及び原水のミネラル負荷に関する情報を提供するための少なくとも1つのミネラルパラメーターを利用する。
【0067】
一実施形態によれば、第1有機パラメーター及びミネラルパラメーターは、原水に関する水のクラスを定めることを可能にする。
【0068】
1つの特定の実施形態によれば、予測手法は、以下のステップ:
- 第1の有機パラメーターの、原水に関する値を決定するステップ;
- ミネラルパラメーターの、原水に関する値を決定するステップ;
- 第1の有機パラメーターの及びミネラルパラメーターの、原水に関して決定された値の関数として、原水に関して、水のクラスを決定するステップであって、水のクラスは、第1の有機パラメーターの第1の範囲の値と、ミネラルパラメーターの第2の範囲の値とによって特徴付けられるステップ;
- 第2の有機パラメーターの、原水に関する値を決定するステップ;
- 第2の有機パラメーターの、浄化水に関するターゲット値を定めるステップ;
- 第2の有機パラメーターと、原水に添加される凝固剤の用量との間の関係を確立するための関数を選択するステップであって、前記関数は、原水に関して決定された水のクラスに関して及び第2の有機パラメーターの、原水に関して決定された値に関して選択されるステップ;
- 第2の有機パラメーターの、浄化水に関して定められたターゲット値に対応する凝固剤の第1の用量を決定するために、選択された関数を利用するステップであって、凝固剤の第1の用量は凝固剤の最適用量であるステップ
を含む。
【0069】
したがって、この実施形態において、予測手法は、
- 凝固プロセスの下流のステップ(例えば、オゾン化又は粒状活性炭上での濾過のステップ)の性能レベルを統合することによって、且つ次いで目標が浄化水において達成されるために「厳密に」必要な用量を定めることによって、
- 原水に関する少なくとも1つの有機パラメーター及び少なくとも1つのミネラルパラメーターを考慮することによって、
- 各水のクラスが、(凝固させられる水の能力に関する情報を提供する)少なくとも1つの第1の有機パラメーターの少なくとも1つの第1の範囲の値と、(水のミネラル負荷に関する情報を提供する)少なくとも1つの第2のミネラルパラメーターの第2の範囲の値とによって特徴付けられる、水のクラスを利用することによって、
- 第1の有機パラメーター及びミネラルパラメーターに従って原水の水のクラスを決定することによって、
- 決定された水のクラスに関して、凝固剤の第1の用量と、原水中に存在する有機物との間の結び付けを可能にし、且つ浄化水における目標を達成するための関数を利用することによって
凝固剤の最適用量を決定する。
【0070】
各水のクラスにおいて、そのような関数は、第2の有機パラメーターと、原水に添加される凝固剤の用量との間の関係を確立することができる関数を、各水のクラスに関して並びに第2の有機パラメーターの、原水に関する、所与の値に関して提供することができる少なくとも1つのデータベースにおいて好ましくは入手可能である。
【0071】
データベースは、本説明では、収納スペース(容器、メモリー等)と定義される。データベースは、様々な水に関するアッセイで供給され得る。それは、予測手法の利用中に供給され得る。
【0072】
水のクラスは、これらの水のクラスを決定するために利用される判定基準に応じて、原水が、多かれ少なかれ明確に定義されたカテゴリーへ分類されることを可能にする。水のクラスは、原水のミネラリティの少なくとも1つのパラメーターが最低でも考慮されることを可能にする。
【0073】
更に、予測手法は、以下に後で説明されるように、凝固pHの影響を組み込み得る。
【0074】
更に、予測手法は、以下に後で説明されるように、設定目標を達成するために最もコストのかからない試薬(とりわけ凝固剤用量と粉状活性炭用量及び/又は酸用量との間の)の組合せの探求を組み込み得る。
【0075】
水のクラスの決定は、既に決定されている - 例えば、データベースに収納されている水のクラスの利用を含み得る。
【0076】
この種の予測手法は、凝固剤のより正確な且つより誤りのない量が原水での使用のために得られることを可能にし、この量は、1つのサイトに特有ではなく、処理される水の特性の関数として確立される。
【0077】
1つの有利な実施形態によれば、予測手法は、凝固pHを決定するステップであって、関数は、凝固pHに関しても選択される、ステップを更に含む。これは、特に最適凝固pHを決定するために、異なる凝固pH値をシミュレートすることによって、凝固剤の第1の最適用量を得ることを可能にする。
【0078】
関数が、少なくとも1つのデータベースにおいて入手可能である場合、このデータベースは、第2の有機パラメーターと、原水に添加される凝固剤用量との間の関係を確立するための関数を - 各水のクラスに関して、第2の有機パラメーターの、原水に関する所与の値に関して、且つ凝固pH値に関して - 提供することができる。
【0079】
一実施形態によれば、予測手法は、複数の水のクラスを決定する予備ステップであって、各水のクラスは、水の凝固能力に関する情報を提供するための少なくとも1つの第1の有機パラメーターの少なくとも1つの第1の範囲の値と、水のミネラル負荷に関する情報を提供するための少なくとも1つのミネラルパラメーターの第2の範囲の値とによって特徴付けられる、予備ステップを更に含む。水のクラスがデータベースに収納されている場合、前記データベースは、それ故、本方法の利用中に供給され得る。
【0080】
水のクラスCLは、例えば、原水中の非凝固性有機物と、第2の有機パラメーター(PORG2)の、原水に関する値(PORG2_EB)との間の関係が第1の一次関係Ri1の集合体によって定められる原水の集合体である。
【0081】
水のクラスCLは、例えば、水中の非凝固性有機物と凝固pH pHとの間の関係が、例えば二次の多項式のような、第2の一次関係、指数関係又は多項式関係Ri2によって定められる原水の集合体でもある。
【0082】
水のクラスCLは、例えば、DMEAと、第2の有機パラメーターPORG2の、原水に関する値との間の関係が第3の一次関係Ri3の集合体によって定められ、且つDMEAが凝固pH pHと無関係である原水の集合体でもある。
【0083】
凝固剤の最大経済的許容用量(DMEA)は、本説明では、それ超でそのコストと比較して凝固剤の添加にもはやいかなる利益もない凝固剤の用量であると定義される。これが可能である場合、それは、凝固剤処理のコストが、UV吸光度として表される、凝固による有機物の同じ低減のための代わりの、一般により高価な試薬(粉状活性炭「CAP」で例示される)での処理のコストよりも大きくなる凝固剤の用量であるとして計算され得る。
【0084】
1つの好ましい実施形態によれば、関数は、次のタイプ:
[数1]
y=Ae-B[x]+C
(式中、yは、第2の有機パラメーターであり、xは、凝固剤の量であり、式中、係数A、B及びCは、第2の有機パラメーターの、原水に関する値に関して且つ凝固pHに関して、水のクラスに従った所与の関係によって決定することができる)
の水のクラスの集合体のための指数関数である。
【0085】
換言すれば、関数は、全てのクラスに関して同じタイプのものであるが、この関数の係数は、クラスに従って異なる。更に、これらの係数は、原水の第2の有機パラメーターの及び/又は凝固pHの関数として前記係数を与える関係によって、1つの水のクラスに関して決定される。
【0086】
1つの特定の実施形態によれば、係数Cは、第2の有機パラメーターの、原水に関する所与の値に関して且つ所与の凝固pHに関して、非凝固性有機物の値であるものとして定義される。
【0087】
1つの特定の実施形態によれば、係数Cは、第1の一次関係により、第2の有機パラメーターの、原水に関する値に結び付けられる。
【0088】
1つの特定の実施形態(先行実施形態の代わりの又は先行実施形態を補完する)によれば、係数Cは、第2の一次関係、多項式関係又は指数関係により、凝固pHに結び付けられる。
【0089】
1つの特定の実施形態によれば、係数Aは、第2の有機パラメーターの、原水に関して決定された値マイナス係数Cに等しい。
【0090】
1つの特定の実施形態によれば、係数Bは、関数の第2の微分値、係数A及び第2の有機パラメーターの、原水に関して決定された値から推定される。例えば、関数の第2の微分値は、0.0001~0.0009である。
【0091】
1つの特定の実施形態によれば、関数の第2の微分値は、最大経済的許容量に等しい凝固剤用量のために達成され、前記最大経済的許容量は、凝固剤用量であって、それに基づいて、凝固剤での処理のコストが代わりの試薬による処理のコストよりも大きくなる、凝固剤用量であり、且つ第2の有機パラメーターの、原水に関して決定された値の関数としての第3の一次関係によって決定可能である。
【0092】
第1及び/若しくは第2の関係並びに/又は第3の関係は、好ましくは、データベースにおいて各水クラスに関して入手可能である。
【0093】
前記データベースは、様々な水に関するアッセイによって供給され得る。それは、本方法の使用中に供給され得る。
【0094】
一実施形態によれば、予測手法は、例えば紛状活性炭若しくは酸、又は別の凝固剤さえのような、第2の試薬の用量を決定すること、及び第2の試薬ありで第2の有機パラメーターの、浄化水に関して定められた、ターゲット値を達成するために添加される凝固剤の第1の用量を決定することを更に含む。
【0095】
予測手法は、有利には、第2の試薬ありで決定される凝固剤の第1の用量を、第2の試薬なしで決定される凝固剤の第1の用量と比較するステップを含む。これは、第2の試薬を添加すること、又はより多くの凝固剤を用いること、又は凝固剤と第2の試薬との間の最良のトレードオフを計算することがより有利であるかどうかに関する知識を提供する。
【0096】
1つの有利な実施形態によれば、予測手法は、
- 浄化水に関するターゲット濁度値を定めるステップ;
- 浄化水に関するターゲット濁度値を達成するために原水に添加される凝固剤の第2の用量を決定するステップ;
- 凝固剤の第1の用量と凝固剤の第2の用量との比較を含む、原水に添加される凝固剤の最適用量を決定するステップであって、添加される凝固剤の前記最適用量は、凝固剤の第1の用量と凝固剤の第2の用量との間の最大用量であるステップ
を更に含む。
【0097】
利点は、有機物又は濁度が支配的であるかどうかにかかわらず、原水の品質の変動に順応することである。
【0098】
本発明による方法の様々なステップ、とりわけ上に記載される様々なステップは、好ましくは、コンピュータープログラムに実装され、それによって、リアルタイムで計算される、凝固剤の正しい用量の取得、及び原水処理プロセスに全体にわたって凝固剤の最適用量のインライン調整を可能にする速い、簡単な及び効果的な方法を提供する。
【0099】
本発明の別の主題は、本発明による方法のステップを実行するためのプログラム・コード命令を含むコンピュタープログラムプロダクトであって、前記プログラムはコンピューターで動作する。
【0100】
本発明の別の主題は、浄化水を与えるために原水の凝固処理の手段中へ注入される、凝固剤の、及び任意選択的に少なくとも第2の試薬の用量を定める及び調整するためのシステムであって、前記システムは、本発明による方法を用いるシステムである。
【0101】
本発明の別の主題は、少なくとも、原水を凝固させるステップを含む原水処理プロセスであって、注入される凝固剤の用量は、本発明による方法によって定められる及び調整される凝固剤の用量であるプロセスである。
【0102】
本発明の他の特性、詳細、及び利点は、実例として示される及び限定されない、添付の図に関連して行われる、説明を読むことから明らかになるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1】予測手法を利用する、凝固剤の最適用量を定めるステップに関する第1の実施形態を例示する。
図2】凝固剤の注入用量の関数としての水のUV吸光度の計算を可能にする関数を表す。
図3】Cl及びNaイオンの濃度、完全アルカリ滴定力価(TAC)、及びUV254nm/DOC比率(SUVA)の関数と定義される、水のクラスへの水の分割の例を表す。
図4A】1つの水のクラスに関して、原水のUV吸光度の関数として及び凝固pHの関数として、非凝固性有機物の値の計算を可能にする第1及び第2の関係を表す。
図4B】1つの水のクラスに関して、原水のUV吸光度の関数として及び凝固pHの関数として、非凝固性有機物の値の計算を可能にする第1及び第2の関係を表す。
図5】凝固剤の最大経済的許容量(DMEA)の計算の方法を概略的に表す。
図6】1つの水のクラスに関して、原水のUV吸光度の関数としてDMEAの計算を可能にする一連の第3の一次関係を表す。
図7】凝固ステップ及び下流ステップを含む水処理プロセスを例示する。
図8A】他の試薬の統合を可能にする、凝固剤の第1の用量を決定するステップの1つの特定の実施形態を例示する。
図8B】他の試薬の統合を可能にする、凝固剤の第1の用量を決定するステップの1つの特定の実施形態を例示する。
図9】予測手法を利用する、凝固剤の最適用量を定めるステップの第2の実施形態を例示する。
図10】凝固剤の第2の用量の決定を可能にする第4の関係を例示する。
図11】凝固剤の最適用量を定めるステップの第2の実施形態を例示する。
図12A】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図12B】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図13】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図14】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図15】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図16】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図17】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図18】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図19】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図20】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図21】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図22】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図23】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図24】凝固剤の最適用量を定めるステップ(予測手法)と組み合わせて、異なる例及び調整のためのステップ(制御ループ)の変形に従って、本発明による方法を用いるシステムを例示する。
図25】本発明に従った方法の1つの特定の実施形態を用いるシステムの簡略化されたフローチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本説明では、本発明は、原水の例を用いて説明される。しかしながら、本発明は、有機物及び/又は濁度を含有する任意の他の液体にも適用され得る。
【0105】
凝固剤は、アルミニウム塩又は鉄塩をベースとする溶液であり得、好ましくは次の化合物:硫酸アルミニウム;(ポリ)塩化アルミニウム;アルミン酸塩;塩化第二鉄;硫酸第二鉄;鉄酸ナトリウム若しくはカリウムイオン、又は前記化合物の組合せを含む。1つの市販の凝固剤溶液は、例えば、8.2%のアルミナAlの硫酸アルミニウム、又は41%のFeClの塩化第二鉄である。
【0106】
最適凝固用量を定めるステップ(予測手法)
図1は、原水に添加される凝固剤の最適用量を定めるステップの第1の実施形態を例示し、本方法は、続いてまた記載される、以下のステップ:
- 水の凝固する能力に関する情報を提供するための第1の有機パラメーター(PORG1)の値(PORG1_EB)を、原水に関して、決定するステップ110;
- 水のミネラル負荷に関する情報を提供するためのミネラルパラメーター(PMIN)の値(PMIN2_EB)を、原水に関して、決定するステップ120;
- 第1の有機パラメーターの及びミネラルパラメーターの、原水に関して決定された、値の関数として水のクラス(CLEB)を、原水に関して決定するステップ130であって、水のクラスは、第1の有機パラメーター(PORG1)の第1の範囲の値と、ミネラルパラメーター(PMIN)の第2の範囲の値とによって特徴付けられる、ステップ130;
- 第2の有機パラメーター(PORG2)の値(PORG2_EB)を、原水に関して決定するステップ140であって、前記第2のパラメーターは、水中の有機物の量に関する情報を提供するためのものであるステップ140;
- 第2の有機パラメーター(PORG2)のターゲット値(PORG2_ED)を、浄化水に関して定めるステップ150;
- 第2の有機パラメーター(PORG2)と、原水に添加される凝固剤の用量([COAG])との間の関係を確立するための関数(f)を選択するステップ160であって、前記関数は、原水に関して決定された水のクラス(CLEB)に関して及び第2の有機パラメーター(PORG2)の、原水に関して決定された値(PORG2_EB)に関して選択されるステップ160;
- 第2の有機パラメーター(PORG2)の、浄化水に関して定められたターゲット値(PORG2_ED)に対応する凝固剤の第1の用量([COAG1])を決定するために、選択された関数(f)を用いるステップ170
を含む予測手法である。
【0107】
この第1の実施形態によれば、凝固剤の最適用量は、凝固剤の第1の用量である。
【0108】
1つの特定の実施形態例によれば、第2の有機パラメーターPORG2は、m-1単位で表される、254nmでのUV吸光度である。それは、本説明の全体にわたって「UV」と呼ばれ得る。
【0109】
UV吸光度(典型的には254nmでのUV)は、水中に含有される有機物を評価するための物理的測定値である。UV吸光度は、UV分光光度計(典型的には254nmでの)を用いて測定され、ここで、サンプルは、例えば、1cm、3cm、5cm又は10cmの-cm範囲の厚さのUV透明石英セルに入れられる。測定は、TOC(全有機炭素)の測定及び更にDOC(溶解有機炭素)よりも簡単であり、一般にコスト効果が高い。測光法によるこの方法は、1cmの厚さのセル中の水のサンプルを通して、選択された波長(典型的には254nm)での光度の損失に対応するm-1単位での結果を与える。このようにして検出される有機物は、とりわけ、フミン酸などの芳香環及び二重結合を含有する。これらの芳香族有機物質は、凝固によって特に効果的に除去される。
【0110】
別の実施形態例によれば、第2の有機パラメーター(PORG2)はDOCである。
【0111】
各水のクラスCLに関して、UV又はDOCは、凝固剤の用量の関数(f)である。
【0112】
読取りをより容易にするために、本説明の残りは、問題の測定が代わりにDOCのもの又は別の第2の有機パラメーターのものであり得ることを条件として、用語UV吸光度又はUVを用いる。
【0113】
様々なステップは、非限定的な例及び実施形態によって、本説明ではより後に詳述される。
【0114】
複数の水クラスを決定する予備ステップ105が更に存在し得る。
【0115】
凝固pHに関して、更に関数fが選択される状態において、凝固pHを決定するステップ145が更に存在し得る。
【0116】
図1に示されない他のステップが追加され得る。それらは、特に、本説明の残りにおいて記載される。
【0117】
図2は、選択ステップ160中に選択される関数fが、指数関数:
[数2]
【数1】
(式中、COAGは、ppm単位で表される添加される凝固剤の用量である)
である好ましい実施形態を例示する。
【0118】
関数fを選択するステップ160は、したがって、係数A、B、Cを決定するステップを含む。
【0119】
係数Cは、凝固剤用量が最大効率閾値に達した場合、典型的には凝固剤用量が、市販の溶液のppmとして表される200ppm超の溶液である場合、UV吸光度の観点から表される残留有機物(本説明では「残留UV」又は「非凝固性UV」とも呼ばれる)に対応する。
【0120】
は、凝固剤用量が最大効率閾値に達した場合、典型的には凝固剤用量が、市販の溶液のppmとして表される200ppm超の溶液である場合、凝固によって除去される、例えばUV吸光度の観点から表される有機物に対応する。
【0121】
更に、A、C及びUVEBは、次の方程式:
[数3]
UVEB=A+C
(式中、UVEBは、UV吸光度の観点から表される原水中の有機物である)
によって結び付けられる。
【0122】
は、指数関数の本質を与える係数である。
【0123】
、B及びCは、各水クラスCLに関して与えられる関係によって得られ、これらの関係(Ri1、i2及びRi3)は、A、B及びCが、凝固pH(pH)及びUV吸光度の観点から表される原水中の有機物(UVEB)から推定されることを可能にする。これらの関係は、好ましくは、水クラスに関連したデータベースにおいて入手可能である。
【0124】
関数fを選択するために、とりわけ式[数1]の指数関数の場合に係数を決定するために、原水が属する水クラスを決定すること(決定ステップ130)が必要である。
【0125】
1つの好ましい実施形態例によれば、原水は、その以下の有機及びミネラルマトリックスの分析による水のクラスで特定される:
- 有機マトリックスは、次のパラメーター:(m-1の単位で表される、254nmでのUV吸光度と、mg/l単位で表されるDOCとの間の比率である)SUVA及び任意選択的に液体クロマトグラフィー(液体クロマトグラフィー-有機炭素検出のためのLC-OCD)によるDOCの分布によって定められる;
- ミネラルマトリックスは、次のミネラルパラメーター:完全アルカリ滴定力価(TAC)、塩化物イオン及び/又はナトリウムイオンの濃度並びに任意選択的に導電率、ケイ酸イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンの濃度並びにイオン平衡によって定義される。
【0126】
有機及びミネラルマトリックスのパラメーターの値(決定ステップ110及び120)は、インライン分析若しくはサンプリングによって決定され得るか、又は処理される原水に関して既に利用可能なデータの回収を含み得る。
【0127】
好ましい実施形態例によれば、第1の有機パラメーター(PORG1)は、したがって、少なくともSUVAを含み、ミネラルパラメーター(PMIN)は、したがって、少なくともTAC並びにまた塩化物イオン及び/又はナトリウムイオンの濃度を含む。
【0128】
図3又は下の表1は、Cl及び/又はNaイオンの濃度、TAC並びに比率UV254nm/DOC(SUVA)の関数として定められる、水のクラスのミネラル及び有機マトリックスの例を示す。水のクラスは、次の閾値の関数として定められる。
【0129】
【表1】
【0130】
原水EBに関して決定される水クラスCLEBに関して、前記水クラスに関して与えられる関係REB1、EB2及びREB3が得られ、前記関係は、係数AEB、BEB及びCEBを、凝固pH(pH)及びUV吸光度の観点から表される原水中の有機物(UVEB)から推定することを可能にする。
【0131】
図4A及び4Bは、非凝固性有機物の値をそれらから計算することが可能である第1及び第2の関係REB1及びREB2を表し、これは、2つの変数:原水EBに関して決定された水クラスCLEBに関して、原水のUV吸光度(曲線の形態の関係が所与の凝固pHに関して与えられる)及び凝固pH(曲線の形態の関係が原水のUV吸光度の所与の値に関して与えられる)の関数である。これは、係数CEBが決定されることを可能にする。
【0132】
非凝固性有機物を原水のUV吸光度(又はDOC)の関数として計算するために、原水のUV吸光度、UVEBの閾値(S、S)の関数として離散的に変わる係数a、a、a、b、b、bの利用可能な1つ以上の第1の一次関係REB1(例では3つが例示される)が存在する。
【0133】
図4Aは、3つの第1の一次関係:
[数4]
y=ax+b(閾値S4まで);
[数5]
y=ax+b(閾値S4及びS5間);
[数6]
y=ax+b(閾値5の後)
を示す。
【0134】
水クラスに応じて、単一の第1の一次関係又は少なくとも2つの第1の一次関係が存在し得る。
【0135】
凝固pH pHの関数としての非凝固性有機物を計算するために、水クラスに従って利用可能な第2の一次の指数関係又は多項式関係REB2も存在する。前記第2の関係は、水クラスに従って同様に与えられる係数a、b、cを有する。
【0136】
図4Bは、タイプ:
[数7]
y=αx+b
の第2の、一次関係を表す。
【0137】
水のクラスに応じて、第2の関係は、代わりに、指数関数的:
[数8]
【数2】
であり得る。
【0138】
更に代わりに、第2の関係は、例えば二次の多項式のような、多項式:
[数9]
y=α+bx+c
であり得る。
【0139】
したがって、決定される水クラスCLEBに関して、原水のUV、UVEB(又はDOC)及び凝固pH、pHの決定は、係数a、a、a、b、b、b、a、b、c及び次いで非凝固性有機物を決定することを可能にし、そのようにしてCEBを与える。係数a、a、a、b、b、bは、この場合凝固pHの関数である。固定した非調整の凝固pHに関して与えられる係数a、a、a、b、b、bのみを決定することが可能であろう。
【0140】
EBは、方程式[数3]:UVEBマイナスCEBによって得られる。
【0141】
原水のUV、UVEB(又はDOCEB)の決定(決定ステップ140)及びまた凝固pH(pH)の任意選択的な決定(決定ステップ145)は、インライン測定若しくはサンプリングによって実施され得、且つ/又は処理される原水に関して既に利用可能なデータの回収を含み得る。
【0142】
本明細書で以下に説明されるような係数Bを決定するための凝固剤のDMEA(最大経済的許容用量)も決定される。
【0143】
DMEAは、本説明では、それ超で凝固剤の添加がそのコストと比較してもはや有利ではない用量であると定義される。それは、特に、凝固剤での処理のコストが、CAP又は凝固剤(COAG)用量の関数として、UVの観点から表される、除去される有機物の単位当たり原水の1立方メートル当たりのユーロ単位でのコスト(COST)を提供する、図5に例示されるように、UV吸光度の観点から表される、有機物の同じ低減のための代わりの、一般により高価な試薬(例として粉状活性炭、CAP)での処理のコストよりも大きくなる凝固剤の用量を決定することによって得られ得る。点線はCAPに対応し、実線の曲線は凝固剤に対応する。2つの交差点がDMEAを与える。本説明の残りでは、これは、DMEAを決定するために用いられる方法ではない。
【0144】
更に、本発明者らは、DMEAが凝固pH(pH)と無関係であること、しかし、それが、図6に示されるように、原水のUV吸光度(又はDOC)の関数であることを見出した。それは、したがって、先行段落に記載された方法とは異なる方法で得られ得る。
【0145】
図6は、決定された水クラスCLEBに関して、原水のUV吸光度、UVEB(又は原水のDOC、DOCEB)の関数として(市販の溶液のppm単位で与えられる)DMEAの計算を可能にする一連の第3の一次関係REB3を表す。それらの係数a、a、a、b、b、bが原水のUV吸光度の閾値(S、S)の関数として離散的に変わる、多数の第3の一次関係が存在する。
【0146】
原水のUV、UVEB(又はDOCEB)の決定は、係数a、a、a、b、b、b及びしたがって原水のDMEAの決定を可能にする。
【0147】
更に、本発明の好ましい実施形態によれば、DMEAは、関数fの変曲点に対応する凝固剤用量であり、それは、係数Bが得られることを可能にするものである。
【0148】
DMEAは、前記関数の二次導関数の絶対値αで数学的に定義され、この絶対値は、例えば0.0001~0.0009である、すなわち:
[数10]
【数3】
である。
【0149】
所与の水のクラスCLEBに関して、値αEBは、例えば、原水のUVの関数として第2の微分値の例を示す、下の表2に示されるようなUVESの閾値σの関数としてのように、原水のUV、UVEBの(又はDOCEBの)値の関数として決定される。
【0150】
【表2】
【0151】
水のクラスCLEB、及び原水のUV、UVEB(又はDOCEB)に関して、係数BEBは、AEB及びDMEAの事前の決定を前提として、原水に関して表される(EBに等しいiの)、関係[数10]によって決定される。
[数11]
【数4】
【0152】
したがって、原水に関して決定された水のクラスCLEB、並びにUVEB及び凝固pH pHに関して、指数関数:
[数12]
【数5】
(式中、係数AEB、BEB及びCEBは、決定されている)
が得られる。
【0153】
この関数fEBを用いて、とりわけ:
- 浄化水のUV吸光度(UVED)に関するターゲット値に達するために適用される第1の凝固剤用量
を計算することが可能である。
【0154】
望ましい浄化水(ED)中の残留有機物の最大値に対応する、浄化水のUV吸光度(UVED)の又は浄化水のDOC値(DOCED)のターゲット値を定める(定めるステップ150)。
【0155】
したがって、第1の凝固剤用量は、関数fEBによって推定される(利用ステップ170)。
【0156】
係数A、B及びCは、各タイプの凝固剤に関して与えられる。
【0157】
浄化水中の残留有機物に関するターゲット値は、凝固プロセスの下流のステップの関数として更に定められ得る(ステップ150)。例えば、それは、処理水(ET)中の残留有機物に関するターゲット値の関数としてステップ300において定められ得る。処理水は、水処理プラントの出口で得られる水であると定義される。
【0158】
したがって、図7に例示されるように、処理水中の残留有機物がUV吸光度によって表され、且つプラント出口で満たされるべき目標(UVET)及びポスト凝固ステップにおける有機物の除去の性能(%POST-COAG)から出発する場合、浄化水において満たされるべき品質目標は、次のとおり計算される。
[数13]
【数6】
【0159】
ポスト凝固性能は、浄化水及び処理水に関するインラインセンサー又はスポット測定に基づいて計算され得る。
【0160】
ステップ200によれば、浄化水ED及び処理水ETのUVセンサーから得られたデータは、ポスト凝固処理ステップにおけるUVの百分率除去の計算を可能にする。この百分率の情報を用いて、プラント出口で目標(処理水のUV)が満たされることを可能にするために、ステップ300におけるターゲット浄化UVを計算することが可能である。
【0161】
原水中の有機物のレベル及び凝固の終わりに満たされるべきUV目標の情報を用いて、このステップは、設定目標を達成するために適用される最適凝固剤用量を計算することを可能にする。
【0162】
本予測方法は、凝固/浄化プロセスの性能を向上させるために、且つ/又は浄化水中の有機物の除去目標に達するために、例えば粒状活性炭(CAP)のような別の試薬の用量を決定するステップを更に含み得る。
【0163】
本予測方法は、ターゲット凝固pHを得るために必要とされる酸の用量を計算するステップを更に含み得る。これは、典型的には、酸を凝固たらい又は反応器に添加することにより、凝固pHを下げることによって有機物の除去を向上させることが可能であるからである。本方法は、特に、この新しい凝固pHに対応する関数fの新しい係数を回収すること及びそのようにして浄化水中の有機物の除去目標を達成するために添加される凝固剤の量を再計算することを可能にする。
【0164】
図8A及び8Bに例示されるように、本予測方法は、凝固剤、別の試薬及び/又は添加酸の組合せの選択の最良の経済的利益を得ることも可能にする。
【0165】
図8Aは、
- 7のpHでの凝固剤の(破線曲線A);
- 6.2のpHでの凝固剤の(連続曲線B);
- 浄化水のターゲットUVを達成するために、凝固pHが6.2であるときに添加される凝固剤及び/又はCAPの(矢印C)
添加用量の関数としての水のUVを例示する(UVED)。
【0166】
図8Bは、図8Aにおいて例示される各投与の比較コストを示し、
- 点線がDMEAの限界に対応する、曲線Aに対応するヒストグラム;DMEAの限界の上は、浄化水のUV目標を達成するために添加される凝固剤のコストであり;
- 点線がDMEAの限界に対応する、曲線Bに対応するヒストグラム;DMEAの限界の上は、6.2のpHを達成するための製品のコスト(黒色での)を追加して、浄化水のUV目標を達成するために添加される凝固剤のコストであり;
- 6.2のpHを達成するための製品のコスト(黒色での)及び浄化水のUV目標を達成するために添加されるCAPのコストを追加して、曲線Cに対応するヒストグラム。
【0167】
CAP及び酸を凝固剤に添加することによる、浄化水のUV目標を達成するための総コストは、この場合、CAPなし及び酸なしで浄化水のUV目標を達成することに関してより低い。
【0168】
酸が凝固pHを下げるために添加される場合、本予測方法は、浄化水中の有機物の除去目標を達成するために添加される凝固剤の量を再計算することにより、添加される凝固剤の量の低下、この差の利益を計算すること及び添加される酸のコストと比較することを可能にする。このようにして、酸を添加すること、又はより多くの凝固剤を適用すること、又は2つの間の最良の折衷を計算することがより有利であるかどうかを知ることが可能になる。
【0169】
更に、粉末活性炭が添加される場合、本予測方法は、浄化水における有機物の除去目標を達成するために添加される凝固剤の量を再計算することにより、添加される凝固剤の量の低下、この差の利益を計算すること及び添加されるCAPのコストと比較することを可能にする。このようにして、CAP添加すること、又はより多くの凝固剤を適用すること、又は2つの間の最良の折衷を計算することがより有利であるかどうかを知ることが可能になる。
【0170】
更に、CAPの添加と酸の添加とを組み合わせること、並びにCAP及び酸が添加される場合の経済的利益(又は損失)の計算を計算することが可能である。予測手法によって、次いで、最低のコストを達成するために利用可能な試薬の最良の組合せを得ることが可能である。
【0171】
図9は、予測手法による凝固剤の最適用量を定めるステップの第2の実施形態を例示する。例示される実施形態において、予測手法は、以下のステップ:
- 浄化水に関してターゲット濁度値(TURB_ED)を定めるステップ180;
- 浄化水に関するターゲット濁度値(TURB_ED)を達成するために原水(EB)に添加される凝固剤の第2の用量([COAG2])を決定するステップ190;
- 凝固剤の第1の用量([COAG1])と凝固剤の第2の用量([COAG2])との比較を含む、原水に添加される凝固剤の最適用量([COAG]OPT)を決定するステップ200であって、前記最適用量は、凝固剤の第1の用量([COAG1])と凝固剤の第2の用量([COAG2])との間の最大用量であるステップ200
を更に含む。
【0172】
この第2の予測手法実施形態によれば、第2の有機パラメーターは、好ましくは、UVである。
【0173】
図10は、第2の凝固剤の用量が決定されることを可能にする第4の関係を例示する。第4の関係は、少なくとも5NTU未満、好ましくは3NTU未満の浄化水における濁度値を達成するために添加される凝固剤の用量を与える。
【0174】
第4の関係は、原水の濁度(TURBEB)及び原水の温度(TEB)の関数である。
【0175】
したがって、図10は、少なくとも5NTU未満、好ましくは3NTU未満の浄化水濁度を得るために必要とされる凝固剤の用量を原水の濁度(TURBEB)に結び付ける、例えば四次の、2つの第4の多項式関係であって、その係数は、原水の温度(TEB)の関数として変わる多項式関係:
- 原水の温度が閾値θ未満である場合、多項式:
[数14]
y=α+b+c+dx+e
(破線曲線);又は
- 原水の温度が閾値θよりも大きい場合、多項式:
[数15]
y=α+b+c+dx+e
(連続曲線)
を例示し;ここで、係数a及びaは異なり、並びに/又は係数b及びbは異なり、並びに/又は係数c及びcは異なり、並びに/又は係数d及びdは異なり、並びに/又は係数e及びeは異なる。
【0176】
代わりに、浄化水濁度を与えるために必要とされる凝固剤用量は、次のような対数式:
[数16]
y=A×(Inx)+B
(式中、Aは、反応の全体の振幅を表し、Bは、水の温度によって調整可能である係数であり、Cは、高い濁度での曲線の崩壊の調整を可能にする係数である)
によって与えられ得る。
【0177】
この式は、多項式が用いられる場合に現れる振動を引き起こすエッジ効果を回避する限りより正確であり得る。
【0178】
凝固剤の第2の用量は、インライン濁度センサーを用いて原水の濁度を測定することによって、及び温度センサーを用いて温度を測定することによって、及び濁度を取り除くために必要とされる凝固剤の用量を定めるために上で定められた関数を用いることによって得られる。
【0179】
図11は、浄化水中の有機物の目標(UVとして表される)を与えるために計算された凝固剤の第1の用量[COAG1]が、浄化水に関する濁度目標を低減するために計算された凝固剤の第2の用量[COAG2]よりも大きい場合における予測手法の第2の実施形態を例示する。この場合に凝固剤の最適用量は、設定された目標に従って有機物の及び濁度の両方の低減を可能にする、凝固剤の第1の用量である。
【0180】
本発明によれば、原水処理プロセスに関して、インラインセンサー又は現場測定は、原水中に及び浄化水中に、或いは処理プロセスの異なるレベルでの水中に含有される有機物の量を決定するために、水の少なくとも1つの有機パラメーターを測定することを可能にする。そのようなセンサー又は現場測定は、有利には、全体水処理プロセスに沿ってインラインで水の品質をモニターし得る。定めるステップにおいて定められる凝固剤の最適用量は、これらの測定の結果に応じて実行される、調整ステップによって凝固/浄化処理プロセスにおいて調整される。
【0181】
特に測定は、浄化水(ED)中に含有される有機物の量((第2の)有機パラメーター)の実際の値を決定するために実施され、この実際の値は、浄化水中の有機物の量((第2の)有機パラメーター)に関するターゲット値と比較される。好ましくは、複数の実際の値を決定し、それらをターゲット値とプロセス中に比較するために、浄化水中の有機物について多数の測定が実施される。浄化水は、一般に、水処理プラントにおいて連続的に測定される。
【0182】
浄化水中の有機物の量、一般にm-1の単位で表される254nmでのUV吸光度の測定は、凝固/浄化を実施するために用いられるデバイス(反応器、たらい)に従って異なる戦略上の場所で実施され得:
- 原水が床を通過し、床の上方に浄化形態でそこから出るようにされる汚泥床凝固/浄化たらい(一般にCAPを含む)に関しては、少なくとも1つのUVセンサーを汚泥床の上方に配置することが有利であり;
- 他の場合には、UVセンサーは、凝固剤/試薬の混合の地点になどの、凝固/浄化たらい中の更に上流に配置され得る。
【0183】
当業者は、凝固剤投与量と、投与量の典型である浄化水の測定値との間の関連を最適化するために1つ以上のUV(又はDOC)センサーの設置を順応させる方法を知るであろう。
【0184】
好ましくは、更に、経時的に原水中の有機物の量((第2の)有機パラメーター)について、前記原水中の有機物の量の時間的変動を決定するために、多数の測定が行われる。これの理由は、1つの有利な実施形態によれば、定められた閾値を超えた変動の場合に、調整ステップは関与せず、凝固剤の用量は、予測手法によって決定されたような凝固剤の最適用量のままであることである。原水は、一般に、水処理プラントで連続的に測定される。
【0185】
最後に、好ましくは、少なくとも1つの測定は、浄化水のpHについて実施される。
【0186】
凝固剤は、有利には、調整ループに連結された計量供給タイプのポンプによって注入される。同じことが、ループに連結された他の試薬(例えば、CAP)に関して当てはまる。
【0187】
凝固剤の用量を調整するステップ(遡及的な方法)
本明細書で以下の説明において、浄化水又は原水中の有機物の量(MO)のキャラクタリゼーションを可能にする有機パラメーターPORGは、本説明の残りにおいてm-1単位で表される及び「UV」で示される254nmでのUV吸光度である。調整ステップは、それ故、UVを用いて記載される。記載されるものと同じステップは、代わりに、UVをDOCで、又は水中の有機物の量(MO)のキャラクタリゼーションを可能にする任意の他の有機パラメーターで置き換えることによって記載することができよう。
【0188】
図12A~24は、調整ステップ(調整ループ)によって及び/又は凝固剤の用量を定めるステップ(予測手法)によって管理される異なる場合に従って、本発明による方法を実行するシステムを例示する:
- EB及びEDは、それぞれ、原水及び浄化水を意味し;
- FeClは、凝固剤を意味し;
- CAPは、粉状活性炭(第2の試薬)を意味し;
- 「MO用量」は、浄化水に関する有機物(MO)のターゲット値を達成するために定められるような凝固剤の第1の用量(ppm単位での)を意味し;MOは、UV吸光度又は「UV」で測定され;
- 「濁度用量」は、浄化水に関するターゲット濁度値を達成するために定められるような凝固剤の第2の用量(ppm単位での)を意味し;
- 「PID」は、調整ステップにおいて用いられる調整ループを意味する。
【0189】
凝固剤の第1の用量[COAG1]又は凝固剤の第2の用量[COAG2]の中で最大値は、凝固剤の最適用量が定められることを可能にする。凝固剤の最適用量は、一般に、図12A(ここで、[COAG1]は、[COAG2]よりも大きい)において例示されるように凝固剤の第1の用量(すなわち、浄化水に関するターゲットMO値を達成するために定められるように凝固剤の用量)である。
【0190】
図12A及び12Bは、凝固剤の第1の用量(MOによって決定される)のみが調整ループのために利用され、凝固剤の第2の用量(濁度によって決定される)が利用されない好ましい実施形態を例示する。これの理由は、[COAG2]が[COAG1]よりも大きい場合に、調整ループが実行されないことが見られることである。
【0191】
図12A、12B及びそれに続く図において例示される例によれば、浄化水中の有機物の測定(UV吸光度による測定)は、制御パラメーターとして役立つ。浄化水中のMOの測定は、実際に、凝固剤の注入(凝固剤の混合、量、及びタイプ)に直結しており、だからそれを凝固剤の制御にとって好適なパラメーターにする。逆に、浄化水の濁度は、より変動する因子の結果であり、因子の例は、水理条件、沈降デバイスを出る水の濁度にまた影響を及ぼす、沈降デバイスのタイプ及びジオメトリー等である。濁度は、それ故、凝固剤に関する制御パラメーターとしてあまり好適ではない。本明細書で以下に記載されるように、原水中のMOの時間的変動、及び/又は浄化水のpHなどの、他の制御パラメーターが追加され得る。
【0192】
図13~24において、予測手法の関数(得られた水のUVをppm単位での添加された凝固剤の量に結び付ける関数)は、フレームに入れられ、中心に置かれている。関数は、例えば、上に記載されたような関数f(fEB)(式数2及び数12)である。この関数は、凝固剤の最適用量が、浄化水中のターゲットMO値に関して定められることを可能にする。MOは、制御パラメーターである。予測関数の左にあるフレームに入れられた曲線は、UV吸光度によって測定される原水(EB)のMOの経時変化を示す。右にあるフレーム中の曲線は、UV吸光度によって測定される浄化水(ED)のMOの経時進展を示す。この曲線が肉太のフレーム中にある場合、これは、調整ループ(PID)が動作中であることを意味する。予測関数が肉太のフレームである場合、これは、凝固剤の用量が予測手法によって定められた用量であることを意味する。
【0193】
図13は、原水が経時的にMOの高い変動を示さない場合、及び浄化水中の測定されるMOが、凝固剤の最適用量[COAG]OPTを決定するために予測手法において利用されるターゲット値に関連した下限閾値(SINF)と上限閾値(SSUP)との間にある場合を例示する。凝固剤の最適用量は、それ故、維持され、第2の用量が第1の用量よりも大きい場合、凝固剤の第1の用量[COAG1]又は凝固剤の第2の用量[COAG2]であり得る。換言すれば、調整ループは関与しない。
【0194】
下限閾値(SINF)の例は-0.2m-1であり得、上限閾値(SSUP)の例は0.2m-1であり得る。浄化水中のターゲットUV値は、2~5m-1間で変わり得る。
【0195】
図14は、原水が経時的にMOの高い変動(定められた限界(LVAR)よりも大きい)を示す場合、及び浄化水中の測定されるMOが予測手法において利用されるターゲット値に関連した上限閾値(SSUP)よりも大きくなる場合を例示する。この高い時間的変動のせいで、予測手法は、効力を生じ、凝固剤の最適用量は、したがって維持される。調整ループは関与しない。これの理由は、調整、又はより具体的には、浄化水への凝固剤の用量の調整の効果が、実際に、最適制御を可能にするほど十分に一般に速くないことである。
【0196】
変動限界(LVAR)の例は、1分当たり0.1m-1であり得、この変動は、10分の期間にわたって測定され得る。
【0197】
図15は、原水が経時的にMOの小さい変動(VAREB)(定められた限界(LVAR)よりも低い)を示す場合、及び浄化水中の測定されるMOが予測手法において用いられるターゲット値に関連した上限閾値(SSUP)よりも大きくなる場合を例示する。この場合に、調整ループは、凝固剤の用量を増加させる。凝固剤の用量は、例えば、上記にもっと早い段階で定められたDMEAの値である、所与の値まで増加させられ得る。DMEAは、図6に関連して定められた第3の関係を用いて計算され得る。DMEAの値を超えるとすぐに、調整ループは、ただ単にオペレーターへの情報である、第1のレベル(Lev 1)の警報を発し得る。その一方で、凝固剤の用量が、オペレーターによって定められる値XでDMEAを超える場合、第2のレベル(Lev 2)の警報は、介入 - 例えば、予備の試剤の導入 - のきっかけになり得る。調整ループはまた、ある種の閾値を超えた凝固剤の添加をブロックし得る。
【0198】
図16に例示されるように、浄化水中の測定されるMOが上限閾値(SSUP)未満に戻った場合、たとえそれが下限閾値(SINF)未満になった(示されていないこと)としても、調整ループは、凝固剤の用量を低減させ得るが、この用量は、(浄化水の濁度ターゲットの達成のために決定された)凝固剤の第2の用量[COAG2]よりも大きいままである。更に、調整ループは、凝固剤の用量が、凝固剤の最適用量[COAG]OPTマイナスオペレーターによって定められる値Yよりも低くなった場合に、オペレーターへの情報である、第1のレベル(Lev 1)の警報を発し得る。
【0199】
更に、浄化水のpHEDが好ましくは測定される。これの理由は、凝固剤の添加が、浄化水のpH、次いで水処理プロセス全てにおけるpHを低くし得え、それが、処理水の品質に影響を与え得ることである。調整ループは、それ故、測定されたpHEDが閾値pHmin未満になった場合、凝固剤の添加をブロックし得る。これは、図17に例示される。第2のレベル(Lev 2)の警報は、介入 - 例えば、予備の試剤の導入 - のきっかけになり得る。
【0200】
図18に例示されるように、調整ループは、原水がMOの高い時間的変動(VAREB)(定められた限界(LVAR)よりも大きい)を示す場合に停止させられ、たとえ浄化水中の測定されるMOが依然として上限閾値(SSUP)よりも大きいとしても停止させられる。注入される凝固剤の用量は、それ故、再び、予測手法によって定められた凝固剤の最適用量[COAG]OPTになる。
【0201】
図19は、凝固剤の用量がオペレーターによって定められる値XだけDMEAを超える場合、及び第2のレベル(Lev 2)の警報が、介入 - 例えば、予備の試剤の導入 - のきっかけになり得る場合を例示する。凝固剤の用量は、オペレーターの決断に従って、更に増加させられてもよいし、又はそのときブロックされてもよい。
【0202】
図20は、CAPの用量が添加される場合、又はCAPの用量が増加させられるが、凝固剤FeClの用量の増加、又は更なる増加が全くない場合を例示する。この場合は、例えば、DMEA、又はDMEAプラス上にもっと早い段階で定められた値Xが達成されている場合、或いは浄化水のpHEDが定められた閾値pHmin未満になっている場合に利用され得る。CAPの用量は、好ましくは、用量CAPmaxまで増加させられる。
【0203】
浄化水中の測定されるMOが、例えばCAPの添加のせいで、再びターゲット値に関連した上限閾値(SSUP)未満になる場合、調整ループは、図21に例示されるように、維持される。CAPの用量は再び低減され得る。
【0204】
逆に、原水がMOの高い時間的変動(VAREB)(定められた限界(LVAR)よりも大きい)を示し、且つたとえ浄化水中の測定されるMOが依然として上限閾値(SSUP)よりも大きいとしても、そうである場合、調整ループは、図22に例示されるように、停止させられる。この高い時間的変動のせいで、予測手法が優位になり、凝固剤の最適用量は、それ故維持される。
【0205】
逆に、原水がMOの高い時間的変動を示さず、且つ浄化水中の測定されるMOが上限閾値(SSUP)よりも大きいままである限り、調整ループは維持され、CAPの用量は、図23に例示されるように、好ましくは、オペレーターによって定められる最大値CAPmaxまで増加し得る。ループは、CAPの用量がこの最大値を超えた場合に、ただ単にオペレーターへの情報である、第1のレベル(Lev 1)の警報、又はオペレーターの介入ありの第2のレベル(Lev 2)の警報さえも発し得る。
【0206】
浄化水中の測定されるMOが、予測手法に利用されるターゲット値に関連した下限閾値(SINF)未満になる場合、調整ループは、CAPの用量及び/又は凝固剤の用量[COAG]を低減する。調整ループが、CAPの用量を、ゼロ(そのポイントで第1のレベルLev1の警報が調整ループによって発せられる)になるまで減らし、その後調整ループが凝固剤の用量を低減する場合が、図24に例示される。それは、これが浄化水中の測定されるMOを再び上昇させる場合であり得、この場合がそのとき上に記載されたように調整ループによって管理される場合の1つであることを意味する。
【0207】
浄化水のUVの測定から、原水のUVの変動の測定及び/又は計算に関して、浄化水のUVと浄化水のターゲットUVとの間の差の計算から、浄化水のpHEDの測定から出発して、及び凝固剤の定められた最適用量から出発して、調整ステップの例は、次の通りである:
- 原水のUVの変動VAREBが限界LVARよりも大きい場合(及び大きい限り)、調整ステップは、そのとき関与しないか又は停止させられ、注入される凝固剤の用量は、予測手法によって決定されたような凝固剤の最適用量であり;
- 測定されたUVEDとターゲットUVEDとの間の差が、下限閾値SINFと上限閾値SSUPとの間にある場合、調整ステップは関与せず、注入される凝固剤の用量は、予測手法によって決定されたような最適凝固剤用量であり;
- 測定されたUVEDとターゲットUVEDとの間の差が、上限閾値SSUPよりも大きいか又は下限閾値SINF未満である場合、及び原水のUVの変動VAREBが限界LVAR未満である場合、調整ステップは関与し;
- 測定されたUVEDとターゲットUVEDとの間の差が、上限閾値SSUPよりも大きい場合、
- 凝固剤の用量[COAG]は、それが凝固剤の最大用量[COAG]maxよりも低い限り、及び/若しくは浄化水のpHEDが定められた閾値pHmin未満である限り、及び/若しくはその差が上限閾値SSUPよりも大きい限り増加させられ;並びに/又は
- CAP(若しくは他の第2の試薬)の用量は、それがCAPの最大容量CAPmax未満である限り、及び/若しくはその差が上限閾値SSUPよりも大きい限り、増加させられ;
- 測定されたUVEDとターゲットUVEDとの間の差が、下限閾値SINF未満である場合、
- CAP(若しくは他の第2の試薬)の用量は、それがゼロの値に達する限り、及び/若しくはその差が下限閾値SINF未満である限り下げられ;並びに/又は
- 凝固剤の用量[COAG]は、それが最小凝固剤用量[COAG]minよりも大きい限り及び/若しくはその差が下限閾値SINF未満である限り下げられる。
【0208】
調整ステップが関与している場合、凝固剤の用量は、したがって、定められた限界を超えた原水のUVの変動の場合において、或いはオペレーター介入の場合においてを除いて、前記調整ステップによって決定され、凝固剤の最適用量を(及び同様にCAPの用量に関して)定めるステップによって決定されない。しかしながら、調整ステップは、測定されたUVEDとターゲットUVEDとの間の差が、N時間(Nは、オペレーターによって定められ、例えば6~24時間である)後に下限閾値SINFと上限閾値SSUPとの間に戻って予測モデルに制御を渡すとすぐに、タイムラグを定めることを含み得る。
【0209】
更に、調整ステップは、以下の特徴:
- 凝固剤の用量最大は、DMEAに又はDMESプラスオペレーターによって定められる値Xに等しいものであり得る;
- 凝固剤の用量最小は、浄化水中のターゲット濁度を達成するために定められるような凝固剤の第2の用量[COAG2]に、又は[COAG2]以上のままでありながら、凝固剤の第1の用量[COAG1]マイナスオペレーターによって定められる値Yに等しい値に等しいものであり得る;
- 凝固剤の用量は、優先して増加させられ得、及びそのときCAPの用量は、(CAPが一般により高価であるという、及び、凝固剤の用量最大に達しているので、又は浄化水のpHが閾値未満であるので、凝固剤を追加することがもはや可能ではない場合にのみそれが使用され得るという事実を考慮するために)必要ならば次に追加され又は増加させられ得る;
- CAPの用量は、優先して低減され得、及びそのとき凝固剤の用量は、(CAPが一般により高価であるという事実を考慮するために)必要ならば順繰りに減らされ得る;
- CAPは、別の第2の試薬、好ましくは浄化水のpHの低下を引き起こさない試薬であり得る;
- 調整ステップは、凝固剤の又は第2の試薬の用量に関する閾値の超過の場合に、pHの超過の場合に、原水のMOの高い変動の場合等に、(情報に関する又は計画された介入に関する)異なるレベルでの1つ以上の警報を含み得る
の一部又は全てを含み得る。
【0210】
調整ステップが作動する場合、それは、一度に1つの試薬のみ(凝固剤又は第2の試薬、典型的にはCAP)を制御する。その結果として、予測手法は、アクティブのままであり、それは、制御の範囲を定めるために及びどの試薬が制御によって調整されるかを定めるためにモニタリング機能を特に遂行し続ける。
【0211】
これは、凝固剤の、任意選択的に第2の試薬の用量を定める及び調整する方法の1つの特定の実施形態を実行するシステムの簡略化されたフローダイヤグラムを表す、図25に例示される。
【0212】
システムは、第1に、原水中の有機物(MO)の測定の変動を決定する。速い変動の場合には、凝固剤の用量は、予測手法によって決定される。換言すれば、調整ループ(BR)は作動しない。所与の時間間隔内に、有機物の値の測定があらかじめ定められた値超だけ増加する又は減少する場合、変動は速いと考えられる。
【0213】
その一方で、原水中の有機物(MO)の測定の変動が遅い場合、システムは、そのとき、浄化水中の測定されるMOが定められた上限及び下限閾値の間にあるかどうかを決定する。もしこれが本当なら、調整ループ(BR)は作動せず、凝固剤の用量は、予測手法によって定められる。
【0214】
その一方で、浄化水中の測定されるMOが、定められた上限及び下限閾値の間にない場合、調整ループ(BR)はそのとき、原水中の測定されるMOの関数として、具体的には原水中のMOが「低い」範囲内にあるか又は「高い」範囲内にあるかどうかに従って、凝固剤又は第2の試薬、この場合CAPのいずれかに作用する。
【0215】
原水の測定されたMOが低い範囲内にある場合、調整ループ(BR)は、凝固剤に作用し、CAPの用量はゼロである。
【0216】
原水の測定されたMOが高い範囲内にあり、CAP並びに凝固剤の添加を必要とする場合に、調整ループ(BR)は、CAPに作用し、凝固剤の用量は、予測手法によって定められる。
【0217】
浄化水中の測定されるMOが、上限閾値未満に、及び下限閾値未満さえに戻った場合に、調整ループは、優先してCAPに、それの用量を低減するために作用し、次いで任意選択的に(CAPの用量がゼロに低減した場合に)その値が再び上限閾値を超えて上がらない限り、前記用量を低減するために、それが凝固剤の用量に作用することが指摘されるべきである。凝固剤の用量は、好ましくは、浄化水中のターゲット濁度を達成するために予測手法によって定められるような凝固剤の第2の用量を超えてとどまるように低減される。
【0218】
高い範囲と低い範囲とを分離する原水中の閾値MOは、パラメーター化され得る。それは、特に、DMEAの関数として定められ得る。
【0219】
したがって、1つの特定の実施形態において、予測手法は、DMEAを定期的に又は連続的にさえ計算する。DMEAは、原水中のMOの量の関数として、例えば原水のUVとして計算され、それは、上に記載された方法の1つによって計算され得る。思い出させるために、DMEAは、原水中の所与の量のMOに関して、それを超えて凝固剤を提供し続けることよりもむしろCAPを添加することが経済的により有利になる、凝固剤の最大用量であると定義される。
【0220】
調整ループによって提案されるような凝固剤の用量がDMEA未満であるかDMEAよりも大きいかに応じて、2つの構成が可能である。
【0221】
調整ループによって提案されるような凝固剤の用量がDMEA未満である場合、システムは第1の構成にある。
【0222】
この第1の構成では、凝固剤のみが必要とされ、浄化水中のMOの観点から目標を達成するために調整ループは凝固剤を制御する。更に、この調整によって発生するような凝固剤の用量は、浄化水のターゲット濁度を達成するために必要とされる凝固剤の第2の用量に対応する閾値によって下端で制限されるままであり、この閾値は、予測手法によってもっぱら決定される。
【0223】
DMEAが達成されるまで調整ループが凝固剤の用量を増加させる場合に、システムは第2の構成に移行する。
【0224】
この第2の構成では、CAPの用量並びに凝固剤が添加され、調整ループは、浄化水中のMOの観点から目標を達成するためにCAPを制御する。凝固剤の用量は、予測手法によってDMEAに調整される。CAPのゼロの用量に達するまで、調整ループがCAPの用量を減らす場合、システムは、第1の構成に再び戻る。
【0225】
換言すれば、調整ループが作動する場合でさえも、調整ループが、特に、第1の構成から第2の構成に移行すること(及び逆もまた同様)を可能にするので、予測手法は、常にアクティブである。これの理由は、示されたように、予測手法が凝固剤の用量(DMEA)を決定し、それから、その上にCAPを添加することが必要であることである。これは、凝固剤又はCAPのいずれかに作用する、調整の変化をもたらす。
【0226】
調整ステップは、例えば、1つ(以上)の警報を以下の場合:
- 調整によって補正されるような凝固剤の用量と凝固剤の最適用量との間の絶対差が値ΔCOAGよりも大きい場合;
- 調整によって補正されるCAPの用量とCAPの最適用量との間の絶対差が値ΔCAPよりも大きい場合
の1つ以上に組み込み得る。
【0227】
警報は、オペレーターに:
- 浄化水の及び/又は原水のMOを測定するセンサー(UV、DOC)の状態;
- CAPの調製のモード;
- 原水の品質
又は調整ステップに影響を与え得る又は調整ステップをゆがめさえする任意の他のパラメーター
を検証させ得る。
【0228】
本詳細な説明において示されている様々な実施形態、変形及び実現の例は、(特に明記しない限り又は明らかに矛盾しない限り)互いに組み合わせ得る。
【0229】
本発明は、更に、上に記載された実施形態に限定されず、クレームの範囲内に入る任意の実施形態にまで及ぶ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】