(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】側鎖官能化オルガノシロキサンポリマー、それらのコーティング組成物および疎氷性コーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 183/02 20060101AFI20230303BHJP
C09D 183/12 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C09D183/02
C09D183/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535077
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020064671
(87)【国際公開番号】W WO2021119530
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522227853
【氏名又は名称】アダプティブ サーフェス テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Adaptive Surface Technologies,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ペインク,グルミンダー カウル
(72)【発明者】
【氏名】トレメリング,グラント ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】カトリ,チェタン アニルーダ
(72)【発明者】
【氏名】ガルヘナージ,テルカ パサン
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DL021
4J038DL072
4J038DL131
4J038GA12
4J038JC39
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA06
4J038MA10
4J038PB05
4J038PB07
(57)【要約】
開示は、ポリアルキレンオキシド(POA)、ならびに/または反応性およびもしくは非反応性基を含む様々な他のモジュール側鎖を有するポリアルキレンオキシド結合双性イオン部分を含む、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物に関する。また、本開示はさらに、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物に関する。開示の疎氷性ポリマー配合物は、1つ以上の開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物、1つ以上の結合剤樹脂、および/または1つ以上の潤滑液、を含む。本開示はさらに、開示の疎氷性ポリマー組成物を含む物品に関し、それによって疎氷特性を有する物品を提供する。本要約は、特定の技術分野内で検索するためのスキャニングツールとして意図されており、本開示を限定するようには意図されていない。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
(a)第1の末端および第2の末端と、
(b)前記第1の末端を前記第2の末端に接続するポリシロキサン骨格と、
(c)前記ポリシロキサン骨格に共有結合した第1の複数の側鎖、および前記ポリシロキサン骨格に共有結合した第2の複数の側鎖と、を含み、前記第1の複数の側鎖における前記側鎖が、前記第2の複数の側鎖の化学構造とは異なる化学構造を有し、
前記第1の複数の側鎖が、ポリアルキレングリコール側鎖を含み、
前記第1の複数の側鎖および前記第2の複数の側鎖が、前記ポリシロキサン骨格に共有結合した繋がれた末端、および前記繋がれた末端に対向する自由末端を含み、
前記第1の複数の側鎖および前記第2の複数の側鎖の一方または両方の前記自由末端が、反応性末端基を含む、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項2】
以下の式による構造を有する側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、トリアルキルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、双性イオン(zwitterinoic)基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリアルキルシラン、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、アルコキシシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項3】
nが、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25から選択される、請求項2に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項4】
nが、約10である、請求項3に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項5】
a+b+c+d+e+f>1である、請求項請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項6】
cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項7】
aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項8】
aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項9】
bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項10】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項11】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項12】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項13】
aが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項14】
f=0であり、a、b、c、d、およびeのうちの少なくとも1つまたは組み合わせが、ゼロではない、請求項2~5のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項15】
R
1が、C1-C12アルキル、アリール、またはC1-C12フルオロアルキルである、請求項2~14のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項16】
R
1が、C1-C6アルキル、アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである、請求項15に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項17】
R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインである、請求項2~23のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項18】
R
4が、ホスホリルコリンである、請求項17に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項19】
R
4が、スルホベタインである、請求項17に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項20】
R
4が、カルボキシベタインである、請求項17に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
【請求項21】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項2~20のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(C1-C12)-Si(C1-C6)
3。
【請求項22】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項21に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(CH
2)
3-Si(C1-C3)
3、または-(CH
2)
6-Si(C1-C3)
3。
【請求項23】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項21に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(CH
2)
3-Si(CH
3)
3。
【請求項24】
前記トリアルコキシシランが、以下の構造を有する、請求項2~23のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(C1-C12)-Si(OC1-C6)
3。
【請求項25】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項24に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(CH
2)
3-Si(OC1-C3)
3、または-(CH
2)
6-Si(OC1-C3)
3。
【請求項26】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項24に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物:
-(CH
2)
3-Si(OCH
3)
3。
【請求項27】
基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、前記疎氷性ポリマー配合物が、
ベース樹脂組成物であって、(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)前記1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む請求項1~26のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、
前記ベース樹脂組成物が硬化して前記硬化樹脂を形成するときに、前記化合物が前記硬化樹脂に組み込まれるように、前記化合物中の前記反応性末端基が、前記1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物。
【請求項28】
前記基材が、金属、ガラス、ポリマー、シリコーンポリマー、ポリオレフィン、エラストマー、複合材料、木材、またはそれらの組み合わせである、請求項27に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項29】
前記金属が、アルミニウム、鉄、鋼、またはそこに金属合金を含むそれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項30】
前記ベース樹脂組成物が硬化して前記硬化樹脂を形成するときに、前記側鎖官能化オルガノシロキサン化合物が、前記表面に向かって層状化する、請求項27~29のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項31】
前記ベース樹脂組成物が硬化して前記硬化樹脂を形成するときに、前記側鎖官能化オルガノシロキサン化合物中の前記側鎖のうちの少なくとも一部が、前記表面で動的濡れ挙動を提示する遊離側鎖である、請求項27~30のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項32】
前記表面を水に曝露させる最初の2分間にわたって測定すると、前記動的濡れ挙動が、前記表面に対する水接触角の減少を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項33】
潤滑液をさらに含み、それとともに硬化して硬化組成物を形成するときに、前記潤滑液が前記硬化組成物内に組み込まれるそのような方式で、前記潤滑液が、前記ベース樹脂と化学的かつ物理的に適合する、請求項27~32のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項34】
前記潤滑液が、両親媒性潤滑液、双性イオン性潤滑剤、部分的にフッ素化された潤滑剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項33に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項35】
前記潤滑液が、そこに結合した1つ以上のポリアルキレングリコール側鎖を有するポリシロキサンを含む、請求項33または34に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項36】
前記潤滑液が、そこに結合した1つ以上の部分的にまたは完全にフッ素化されたアルキル側鎖を有するポリシロキサンを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項37】
前記潤滑液が、約2000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項33~36のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項38】
前記潤滑液が、約3000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項39】
前記潤滑液が、約4000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項40】
前記潤滑液が、約5000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項41】
前記潤滑液が、約6000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項42】
前記潤滑液が、約7000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項43】
前記潤滑液が、約2000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項44】
前記潤滑液が、約3000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項45】
前記潤滑液が、約4000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項46】
前記潤滑液が、約5000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項47】
前記潤滑液が、約6000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項48】
前記潤滑液が、約7000g/モル~約10000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項49】
前記潤滑液が、約2000g/モル~約7000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項50】
前記潤滑液が、約3000g/モル~約7000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項51】
前記潤滑液が、約4000g/モル~約7000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項52】
前記潤滑液が、約5000g/モル~約7000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項53】
前記潤滑液が、約6000g/モル~約7000g/モルの平均分子量を有する、請求項37に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項54】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項33~53のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項55】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約25重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項56】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項57】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項58】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項59】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項60】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項61】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項62】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項63】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項64】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項65】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約25重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項66】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項67】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項68】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約10重量%の量で存在する、請求項54に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項69】
両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%の量で存在する、請求項33~68のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項70】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項71】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項72】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項73】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項74】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項75】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項76】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項77】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約10重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項78】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約8重量%~約20重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項79】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約8重量%~約15重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項80】
前記両親媒性潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約8重量%~約10重量%の量で存在する、請求項69に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項81】
基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、前記疎氷性ポリマー配合物が、
ベース樹脂組成物であって、(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約40重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)前記1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~26のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、
前記化合物が前記硬化樹脂に組み込まれるように、前記化合物中の81個の反応性末端基が、前記1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物。
【請求項82】
前記基材が、金属、ガラス、ポリマー、シリコーンポリマー、ポリオレフィン、エラストマー、複合材料、木材、またはそれらの組み合わせである、請求項81に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項83】
前記金属が、アルミニウム、鉄、鋼、またはそこに金属合金を含むそれらの組み合わせを含む、請求項82に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項84】
約0.5重量パーセント~約25重量パーセントの潤滑液をさらに含み、それとともに硬化して硬化組成物を形成するときに、前記潤滑液が前記硬化組成物内に組み込まれるそのような方式で、前記潤滑液が、前記ベース樹脂と化学的かつ物理的に適合する、請求項81~83のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項85】
前記潤滑液が、両親媒性潤滑液、双性イオン性潤滑剤、部分的にフッ素化された潤滑剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項86】
前記潤滑液が、そこに結合した1つ以上のポリアルキレングリコール側鎖を有するポリシロキサンを含む、請求項81~85のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項87】
前記潤滑液が、そこに結合した1つ以上の部分的にまたは完全にフッ素化されたアルキル側鎖を有するポリシロキサンを含む、請求項81~86のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項88】
前記潤滑液が、約2000g/モル~約14000g/モルの平均分子量を有する、請求項81~87のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項89】
前記部分的にフッ素化された潤滑液が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約25重量%の量で存在する、請求項81~88のいずれか一項に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項90】
基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、前記疎氷性ポリマー配合物が、
ベース樹脂組成物であって、(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約15重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上のシリコーン前駆体、および(ii)前記1つ以上の異なるシリコーン前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約0.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~26のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、
前記ベース樹脂組成物が硬化して前記硬化樹脂を形成するときに、前記化合物が前記硬化樹脂に組み込まれるように、前記化合物中の前記反応性末端基が、前記1つ以上の異なるシリコーン前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物。
【請求項91】
前記基材が、金属、ガラス、ポリマー、シリコーンポリマー、ポリオレフィン、エラストマー、複合材料、木材、またはそれらの組み合わせである、請求項90に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項92】
前記金属が、アルミニウム、鉄、鋼、またはそこに金属合金を含むそれらの組み合わせを含む、請求項91に記載の疎氷性ポリマー配合物。
【請求項93】
ベース樹脂組成物と、約1重量パーセント~約25重量パーセントの、前記ベース樹脂組成物に共有結合した請求項1~26のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティング。
【請求項94】
前記ベース樹脂組成物が、架橋シリコーン樹脂を含む、請求項93に記載のコーティング。
【請求項95】
シリカゾルゲルと、約1重量パーセント~約25重量パーセントの、前記シリカゾルゲルに共有結合した、請求項1~26のいずれか一項に記載の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月11日出願の米国仮出願第62/946,944号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、コーティングおよび表面に関し、具体的には、疎氷性であるコーティングおよび表面に関する。
【背景技術】
【0003】
表面上への氷の形成および蓄積は、エネルギー供給および輸送産業にとって非常に大きな懸念を課す(参照1)。冷蔵庫における着霜は、エネルギー消費の増加を引き起こし、航空機の氷結は、生命を脅かす事故を引き起こし得、電力ケーブル上への氷の蓄積は、冬の数か月間、電力供給を中断する電線の断絶をもたらし得、露出した機能または通信設備/センサの氷結は、効率の低減をもたらす。
【0004】
表面を氷が付かないように維持するためのいくつかの戦略が模索されている。これらの方法は、電熱源または赤外線源を通じて加熱すること、機械的液体または凍結防止液体を使用して除氷すること、ならびに氷結防止特性を有するコーティングおよび表面を工学的に設計することを含む。最近では、よりエネルギー効率が高く持続可能なアプローチと見なされるので、氷をはじくようにコーティングまたは表面を工学的に設計することに焦点が当たっている。研究者は、氷をはじく機能を作製するための設計原理として、弾性、界面エネルギー現象、液体を含浸させた滑りやすい多孔質表面(SLIPS)、両親媒性、タンパク質、オルガノゲル、および刺激応答性表面などの凍結防止剤を模索してきたことが、文献に示されている(参照1)。
【0005】
疎氷性表面についての従来の考え方は、表面の濡れ、粗さ、および弾性係数に関連すると考えられていた。しかしながら、氷の形成および付着は、表面および環境要因に対してはるかに複雑かつ繊細であることを、最近の研究は示唆している。これらの要因は、氷の形成および蓄積に有意な影響を有するが、形成に対する影響と蓄積に対する影響とを区別するのはさらに困難である。超疎水性コーティングおよび表面は、当初、疎氷性表面として模索されていた。超疎水性コーティングは、当初、氷に変化する水滴を流し落とすことに有望性を示したが(参照2)、毛管現象(Cassie Backster状態からWenzel状態への移行)を引き起こすいずれの事象も、超疎水性の喪失、および水と表面との間の接触の増加をもたらし、同じ表面化学を有する滑らかな表面と比較して、着氷強度の増加を生じる。高圧、湿度、蒸気堆積、および表面の油による汚染はすべて、水の存在下ではWenzel状態をもたらす。Gregory,et al.は、EP3006590A1において疎氷特性を有する超疎水性コーティングについて記載しており、ポリマー粒子の熱噴霧堆積によって基材上に疎水性コーティングを形成するための方法について詳述している。同様に、US2015/0252199A1は、少なくとも1つのケイ素有機成分、セラミック粒子、窒化ホウ素粒子、および溶媒、ならびにまたポリテトラフルオロエチレンおよび/またはグラファイトからなる、コンプレッサブレード用の疎氷性コーティングについて記載している。しかしながら、堅牢性が有意に改善される場合であってさえも、これらのコーティングは依然として、表面粗さに依存し、厳しい環境下では毛管現象を受け得る。
【0006】
また、氷疎性表面としての低表面エネルギーコーティングが、模索されている。低表面エネルギーポリマーならびにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリジメチルシロキサン(PDMS)などの材料をコーティングに組み込み、次いで、25~15Nmの範囲の表面エネルギーを有する表面を作製する。これらのコーティングは、高い水接触角、したがって低い接触面積、ならびに氷と界面との間のイオン相互作用の低減を示しており、水を流し落とす高い力および低い除氷力をもたらす。低表面エネルギーコーティングは、低い着氷性を有し得るが、氷の蓄積を低減することはできない。コーティングは、氷へと形成される水滴の蓄積をもたらす、表面上で結露するであろう水分を流し落とすことを排除しない。したがって、そのようなコーティング系は、追加の洗浄機構の統合を必要とする。
【0007】
従来の方法では、低表面エネルギーの疎氷性コーティングを作製するために、シリコーンおよびフルオロなどの低表面エネルギーポリマーの使用も模索してきた。Berry et al.(US10266723B2)は、物体、具体的には航空機または他の車両の表面への着氷能力の低減が可能な、シロキサンポリマー、ポリイソシアネートおよび/またはポリオール、ポリアミンおよび/または反応性コーティングを含むポリウレタン組成物について記載している。同様に、US6797795B2およびEP3122796B1は、アクリル骨格を有するポリシロキサン(アミド-ウレイド)およびポリシロキサンポリオールを含む、氷の形成を阻害する基材の表面について記載している。US5045599Aは、低表面エネルギーを有するフルオロ/シリコーンコーティングを提示し、a)フルオロオレフィンで作製されたコポリマー、b)シリコーン化合物、およびc)ポリイソシアネートで構成される氷結防止組成物について記載している。
【0008】
液体を含浸させた滑りやすい多孔質表面(SLIPS)は、化学的に適合する潤滑液でコーティングされた、化学的に官能化されたナノレベルの粗さを有する表面コーティングを使用して作製される(参照3)。SLIPS表面は、潤滑剤上層に起因して非常に滑らかであり、潤滑剤と非混和性である水を含む汚れは、容易に滑り落ちるであろう。氷結防止用途のためのSLIPSを検査した出版物がいくつか存在する(参照4)。液体上層が、最初に氷の核形成、ならびに経時的に氷が表面に付着する性質を遅延させることが前提であった。表面上に氷が蓄積している場合、氷を除去するのに必要なせん断力は有意に小さいか、または温度が変化する場合、加熱変化の温度および時間は低減される。過酷な環境条件下で長期間、液体上層を維持することは、滑りやすい表面にとっては困難であり得る。Golovin,et alは、低界面靭性材料が、凍結領域から独立して容易に氷を分離するのに役立つことについて記載している(参照5)。しかしながら、これらのコーティング戦略は、コーティングの氷界面間の亀裂のある程度の開始が効果的であることを必要とするであろう(参照5-6)。
【0009】
Aizenberg J.et al.(US2018/0362875A1)は、金属含有表面を修飾して金属含有表面を粗くし、粗くした金属含有表面上に潤滑層を配置することによって、滑りやすい表面を有する物品を調製する方法について開示しており、潤滑層が、粗くした金属含有表面上で実質的に安定化されている。表面は非常に滑らかであり、非常に低い着氷値を示している。同様に、Carter(US2015/0299503A1)は、有機ポリマーマトリックス層が表面に適用される物品上に凍結防止溶液を固定することについて記載しており、有機ポリマーマトリックス層が、最大100オングストロームの孔径を有し、最大99.75重量%の量で水性氷点抑制剤溶液を吸収し化学的に結合することが可能である、最大50%の多孔質ポリマー固体を含むホモポリマーを含む。しかしながら、これらの戦略は、表面上の液体層を定期的に補充することを必要とする。したがって、アプローチは、補給間隔およびプロセスの複雑性に応じて、コストを抑制することができる。
【0010】
両親媒性表面は、表面上に疎水性および親水性化学部分を有し、不均質な表面形態を作製すると考えられている。モデルの両親媒性コーティングは、氷の氷点を減少させ、着氷強度を低減することが示されている。Upadhyay et al(参照7)は、ポリウレタン系コーティング中にPEG-PDMSポリマーを使用して作製した両親媒性表面が、低い着氷強度を示したが、親水性および疎水性バランスの調整が着氷性を低減するのに重要であったことを示している。Rodriguez A.R.et al.は、疎氷性コーティングのための、低表面エネルギー材料と親水性材料との組み合わせを提示している(US2019/0176188A1)。セグメント化コポリマーは、フルオロポリマーから選択される軟質セグメント、ポリエステルまたはポリエーテルから選択される第2の軟質セグメント、1つ以上のイソシアネート種の反応形態の硬質セグメント、ポリオールまたはポリアミン鎖延長剤で構成されていた。加えて、軟質セグメントおよび硬質セグメントは、5~100nmのサイズの領域に相分離されている。
【0011】
さらに、WO2018/001889A1は、一部の結合剤構成成分が、低い着氷値を示すポリエーテルまたはポリエステルの特徴を有し得る、ポリシロキサンに基づく組成物について記載している。いくつかの研究では、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)およびポリ(スルホベタインメタクリレート)などの親水性ポリマーを使用して、疎氷性表面を作製している。著者らは、氷の形成を遅延させるのに役立つ、緊密に結合した水の水性潤滑層の形成について記載している。しかしながら、これらの材料は、氷結の緩和のための実用的な解決策を進歩させるには、高価であるか、または規模を拡大することが困難であるかのいずれかである。US10377916B2は、分子の柔軟性を呈する少なくとも1つモノマー種を含む氷結防止コーティングを提供し得る実施形態について記載している。そのような種は、双性イオンの特徴を有し得る。しかしながら、知識の及ぶ限り、ポリアルキレンオキシド結合双性イオン部分を有する表面活性ポリマーが、シリコーン(>65%のポリシロキサン)、またはゾルゲル(>10%のゾルゲル)、またはポリウレタン(<40%のポリシロキサン)、またはエポキシ(<40%のポリシロキサン)結合剤系に組み込まれた場合、疎氷特性を示すという証拠はない。
【0012】
堅牢、効果的、かつ経済的に実行可能な疎氷性表面材料を対象とする研究の進歩にもかかわらず、これらすべての要件に好適に解決策を提供する材料は依然として不足している。本開示によって、これらのニーズおよび他のニーズが満たされる。
【発明の概要】
【0013】
本明細書に具体化され広義に記載される開示の目的によると、一態様では、本開示は、ポリアルキレンオキシド(POA)、ならびに/または反応性およびもしくは非反応性基を含む様々な他のモジュール側鎖を有するポリアルキレンオキシド結合双性イオン部分を含む、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物に関する。様々なさらなる態様では、本開示はさらに、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物に関する。開示の疎氷性ポリマー配合物は、1つ以上の開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物、1つ以上の結合剤樹脂、および/または1つ以上の潤滑液、を含む。本開示はさらに、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物および/または疎氷性ポリマー組成物を含む物品に関し、それによって疎水特性を有する物品を提供する。
【0014】
開示されるのは、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、(i)第1の末端および第2の末端と、(ii)第1の末端を第2の末端に接続するポリシロキサン骨格と、(iii)ポリシロキサン骨格に共有結合した第1の複数の側鎖およびポリシロキサン骨格に共有結合した第2の複数の側鎖と、を含み、第1の複数の側鎖における側鎖が、第2の複数の側鎖の化学構造とは異なる化学構造を有し、第1の複数の側鎖が、ポリアルキレングリコール側鎖を含み、第1の複数の側鎖および第2の複数の側鎖が、ポリシロキサン骨格に共有結合した繋がれた末端、および繋がれた末端に対向する自由末端を含み、第1の複数の側鎖および第2の複数の側鎖の一方または両方の自由末端が、反応性末端基を含む、側鎖官能価オルガノシロキサン化合物である。
【0015】
また開示されるのは、以下の式による構造を有する側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、アリル基のトリメチルシラン(allylic trimethyl silane)、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインなどの双性イオン(zwitterinoic)基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリメチルシラン、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物である。
【0016】
また開示されるのは、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物である。
【0017】
また開示されるのは、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約40重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物である。
【0018】
また開示されるのは、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約40重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上のシリコーン前駆体、および(ii)1つ以上の異なるシリコーン前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物である。
【0019】
また開示されるのは、ベース樹脂組成物と、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの、ベース樹脂組成物に共有結合した、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティングである。
【0020】
また開示されるのは、シリカゾルゲルと、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの、シリカゾルゲルに共有結合した、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティング組成物である。
【0021】
本開示の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明の検討により、当業者には明らかであるか、または明らかになるであろう。本明細書には、すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および有益点が含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。加えて、記載された態様のすべての任意選択および好ましい特色および変更は、本明細書で教示される本開示のすべての態様において使用可能である。さらに、従属請求項の個々の特色、ならびに記載された態様のすべての任意選択および好ましい特色および変更は、組み合わせ可能であり、互換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面の構成要素は必ずしもスケールに比例せず、代わりに本開示の原理を明確に例証することに重点が置かれる。さらに、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【0023】
【
図1】典型的な表面グラフト技法における水組織の概略的な表現を示す。
図1Aは、基材表面上のポリ双性イオンブラシを示す。
図1Bは、ポリオキシアルキレン結合双性イオン(POA-ZW)側鎖官能化SAPを含有するコーティング上の水組織を示す。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、水に曝露すると、POA鎖が伸長して双性イオン基が露出し、表面グラフトと比較してより強力な水和効果が作り出されると考えられる。
図1Cは、
図1A~1Bに示される様々な概略的構造の略語解を示す。
【
図2】
図2は、代表的な開示の試験表面の平均見かけ着氷強度(kPa)の代表的なデータを示す。
【
図3】
図3は、本明細書に記載の着霜緩和試験に使用する、代表的なPeltierプレート温度プロファイルを示す。簡単に述べると、基材を20分間チャンバ内で初期環境温度(3.5℃)まで平衡化させ、その後、プレート上に温度傾斜を課した。示されるように、熱プロファイルは、1℃/分の速度で3.5℃~-10.5℃の傾斜、続いて-10.5℃で10分間保持、最後に1℃/分で3.5℃に戻す傾斜からなった。
【
図4】着霜緩和試験中に得た代表的な写真画像を示す。
図4Aは、着霜開始時の写真画像である。
図4Bは、表面の着霜の完了を示す写真画像である。これらは、着霜の発生および着霜の完成について記録した時間および温度での代表的な写真である。
【
図5】試験表面を使用する着霜緩和試験から得た、代表的なデータを示す。
図5Aは、図に示されるように、試験表面での着霜の開始および着霜の完了の平均時間のデータを示す。データは、代表的な開示の材料が、アルミニウム6061対照を上回ること、すなわち、代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物でコーティングされた表面上の着霜の完了には、アルミニウム6061対照と比較して、より長い時間がかかることを示している。
図5Bは、表面の氷の形成速度を示す。データは、代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物でコーティングされた表面が、アルミニウム6061対照を上回ること、すなわち、代表的な開示の組成物を含む表面での表面の氷の形成速度は、アルミニウム6061対照と比較して、より遅いことを示している。
【
図6】
図6は、時点α(t=15分)およびβ(t=25分;時点αおよびβについては
図3を参照されたい)における、平均的な霜の厚さの代表的なデータを示す。最初の15分以内に、アルミニウム6061は、霜が蓄積した一方で、代表的な開示の組成物を含む表面は、まったく蓄積しなかった。
【
図7】試験表面上の液体水滴の代表的な写真画像を示す。
図7Aは、時点αで得た試験表面(代表的な開示の組成物、ASTコーティングプロトタイプ600037を含む)の写真画像を示し、液体水滴が表面上にあることを示す。対照的に、時点αで得た試験表面(対照表面、アルミニウム6061)の
図7Cの写真画像、およびアルミニウム6061表面上のすべての水が、全体的に着霜していることを示すことを示す。
図7Bは、時点βで得た試験表面(代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物#600037を含む)の写真画像を示し、25分間の氷の蓄積後、基礎表面がそのままであることを示す。対照的に、
図7Dは、時点βで得た試験表面(対照表面、アルミニウム6061)の写真画像を示し、表面上の氷被覆がより均一であることを示す。
図7E~7Hは、表面の断面を示し、それぞれ、
図7A~7Dの各々の霜の厚さを測定するために使用する。尺度バーを各画像の左下に示す。
【
図8】試験表面から水を流し落とすことについての代表的なデータを示す。
図8Aは、図に表示されているように、試験表面からの水の流し落としの平均時間についてのデータを示す。データは、霜が融解すると、代表的な開示の組成物を含む試験表面は、アルミニウム6061を有する対照表面と比較して、表面からより速く水を流し落としたことを示している。
図8Bは、図に表示されているように、試験表面からの水の流し落としの速度を示す。データは、アルミニウム6061と比較して、代表的な開示の組成物を含む試験表面が、より速い速度で水を流し落としたことを示している。
【
図9】
図9は、表面上の霜が融解した後の、水を流し落とす事象を撮影した経時的な写真画像のパネルを示す。試験表面は、代表的な開示の組成物(#600037)を含み、対照表面(アルミニウム6061)と比較する。データは、代表的な開示の組成物(#600037)上の水の流し落としが、表面上の水のはっきりとした脱濡れに関連する一方で、対照表面(アルミニウム6061)上では、表面上の水の脱濡れは、あまり明らかではないことを示している。対照表面(アルミニウム6061)は、親水性であり、それによって水が表面を容易に濡らすことを可能にする。対照的に、代表的な開示の組成物(#600037)は、疎水性であり、それによって水をはじく。
【
図10】着霜緩和試験における、プレート温度プロファイルおよび相対湿度プロファイルに関する代表的なデータを示す。
図10Aは、プレート温度プロファイルおよび相対湿度プロファイルを示す。環境チャンバを窒素でパージし、プレートを-20℃まで冷却する。プレートを-20℃で平衡化させ、湿気をチャンバに導入し、70%のRHで平衡化させた。オーブンに湿気を導入した後、表面を-20℃で30分間維持する。
図10Bは、開示の疎氷性ポリマー組成物#600037でコーティングされた表面での、結露着霜の代表的な写真画像であり、まず水が表面上で結露し、次いで着霜に移行する表面上の結露着霜の存在を示す。
図10Cは、
図10Bに示される領域からの拡大を示す。
図10Dは、対照表面アルミニウム6061上に着霜が堆積し、表面上の水滴が直接霜に昇華したことを示す代表的な写真画像である。
図10Eは、
図10Dに示される領域からの拡大を示す。
【
図11】示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対する添加剤濃度の変化の影響に関する、示差走査熱量測定(DSC)を使用して得た代表的なデータを示す。
図11Aは、異なる添加剤濃度を有するAM-26を含む配合物での氷点の落ち込みを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図11Bは、異なる添加剤濃度を有するAM-48を含む配合物での氷点の落ち込みを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図11Cは、異なる添加剤濃度を有するAM-59を含む配合物での氷点の落ち込みを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
【
図12】
図12は、示されるコーティングを用いた、水の着霜の落ち込みに対する両親媒性添加剤の効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
【
図13】
図13Aは、示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対するPEG-ZWグラフトの効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す代表的なものを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図13Bは、
図13Aに示される配合物中で使用した側鎖官能化オルガノシラン化合物の化学構造を
図13Bに示す。
【
図14】
図14Aは、示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対する双性イオン部分の効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す代表的なものを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図14Bは、
図14Aに示される配合物中で使用した側鎖官能化オルガノシラン化合物の化学構造を
図14Bに示す。
【
図15】動的着霜試験で使用した装置の構成要素の代表的な概略図を示す。
図15Aは、動的着霜試験を実施するために使用した氷剥離測定遠心分離機スタンドを示す。回転するモーターに取り付けた試験クーポンを収容する試験ビームが存在した。機器は、環境チャンバ内に維持する。
図15Bは、動的着霜試験に使用したアルミニウム試験クーポン(直径1インチ)を示す。
【
図16】
図16は、動的着霜試験における剥離時間の代表的なデータを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
【
図17】本明細書で以下に記載の粗さ試験を使用して得た代表的なデータを示す。
図17Aは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する時間に対するRaの観点からの表面粗さに関するデータを示す。
図17Bは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する時間に対するRzの観点からの表面粗さに関するデータを示す。データは、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面が、対照表面と比較して、霜の形成の開始が遅いことを示している。
【
図18】本明細書で以下に記載の着霜緩和試験を使用して得た代表的なデータを示す。
図18Aは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する着霜開始時間に対する温度に関するデータを示す。温度が減少するにつれて、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面での、着霜が生じる時間が減少するが、これは結露着霜に関連したままである一方で、対照表面は堆積着霜を示すことを、データは示している。
図18Bは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面上の平均液滴サイズに温度が関連するデータを示す。データは、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面では、依然として表面上の水滴が測定可能である一方で、対照表面は30秒以内に霜の層に覆われることを示している。
【
図19】
図17A~17Bおよび
図18A~18Bに示されるデータを得るために使用した着霜緩和試験において、粗さパラメータ、Ra、およびRzを決定するための代表的なデータを示す。
図19Aは、試験される試料の面積の代表的な深さプロファイルを示す。
図19Bは、
図19Bから抽出したラインプロファイルデータを示す。粗さパラメータR
a(平均粗さ)およびR
z(最高ピークと最低谷との間の差)は、図に示されるパラメータに基づいて計算する。
【0024】
開示の追加の利点は、この後の発明を実施するための形態の一部に記載され、一部は発明を実施するための形態から明らかになるか、または開示を実施することによって知ることができる。本開示の利点は、特許請求の範囲で具体的に指摘する要素および組み合わせによって、実現し達成することができる。以上の概要および以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求されるように、本開示を制限するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示をより詳細に説明する前に、本開示は説明された特定の態様に限定されず、したがって、もちろん変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明する目的のためであり、限定することは意図されないことも理解されたい。当業者は、本明細書で説明される態様の多くの変形形態および適応形態を認識するであろう。これらの変形形態および適応形態は、本開示の教示に含まれるように意図され、また本明細書の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
【0026】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許は、それらの刊行物が関連して引用される方法および/または材料を開示および説明するために引用される。すべてのそのような刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。そのような参照による組み込みは、引用された刊行物および特許に記載されている方法および/または材料に明示的に限定され、引用された刊行物および特許からのいかなる語彙的定義にも及ばない。本明細書においても明示的に繰り返されない引用された刊行物および特許における任意の語彙的定義は、そのように扱われるべきではなく、添付の特許請求の範囲に出現する任意の用語を定義するものとして読み取られるべきではない。いずれかの刊行物の引用は、出願日前のその刊行物の開示のためのものであり、本開示が、先行開示によってそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供された刊行物の日付は、独立して確認を要し得る実際の刊行日とは異なっている可能性がある。
【0027】
本明細書に記載されるものと同様または等しい任意の方法および材料が、本開示の実施または試験にも使用され得るが、好ましい方法および材料が、以下に記載される。当技術分野において周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に記載されていない場合がある。本開示の態様は、指示がない限り、ナノテクノロジー、有機化学、材料科学、および工学などの技法を用いるであろうが、これらは先行技術の範囲内である。そのような技法は、文献で十分に説明されている。
【0028】
比、濃度、量、および他の数値データは、本明細書では範囲形式で表され得ることに留意される必要がある。このような範囲形式は便宜性と簡潔さのために用いられているのであって、そのため、範囲の端点として明示されている数値を包含するだけでなく、すべての個々の数値や当該範囲内に包含される部分範囲も、各々の数値および部分範囲が明示されているかの如く、包含すると、柔軟に解釈されるべきであると理解されたい。例えば、「約0.1%~約5%」の数値範囲は、約0.1%~約5%の明示的に列挙された値だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、および4%)ならびにサブ範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)も包含すると解釈されるべきである。記載された範囲が制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除く範囲も本開示に含まれ、例えば、語句「x~y」は、「x」~「y」の範囲、ならびに「x」超~「y」未満の範囲を含む。範囲はまた、上限、例えば、「約x以下、約y以下、約z以下」として表すことができ、「約x」、「約y」、および「約z」という特定の範囲と、「x未満」、「y未満」、および「z未満」という範囲とを包含すると解釈されるべきである。同様に、「約x以上、約y以上、約z以上」という表現は、「約x」、「約y」、および「約z」という特定の範囲と、「x超」、「y超」、および「z超」という範囲とを包含すると解釈されるべきである。いくつかの態様では、「約」という用語は、数値の有意な数字に従って、従来の四捨五入を含むことができる。加えて、「x」および「y」が数値である「約「x」~「y」」という語句は、「約「x」から約「y」」を含む。
【0029】
定義
定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。さらに、一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、本明細書の文脈および関連する技術分野におけるその意味と合致した意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明白に定義されていない限りは、理想的または過度に形式張った意味に解釈されるべきではないことも理解されたい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「a」および「an」という冠詞は、明細書および特許請求の範囲に記載の本発明の態様において任意の特色に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」および「an」の使用は、そのような限定が具体的に記述されない限り、意味を単一の特色に限定するものではない。単数または複数の名詞もしくは名詞句に先行する冠詞「前記(the)」は、特定の具体的な特徴(単数)または特定の具体的な特徴(複数)を表し、それが使用される文脈に応じて、単数または複数の含意を有し得る。
【0031】
有する、含む(including)、または含む(comprising)などの言語が特定の構成要素またはプロセスステップを説明するために使用される本出願を通じて、特定の構成要素またはプロセスステップから本質的になるか、またはそれらからなる、他の態様が存在することが企図される。
【0032】
本文脈で使用される「実質的に含まない」という用語は、反応生成物および/またはコーティング組成物が、上の化合物またはその誘導体もしくは残留物のうちのいずれかを1000パーツパーミリオン(ppm)未満を含有することを意味し、「本質的に含まない」は、100ppm未満を意味し、「完全に含まない」は、20パーツパービリオン(ppb)未満を意味する。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、およそ、その領域内、大方、またはほぼ、を意味する。「約」という用語が数値を伴って使用される場合、記載の数値の上下の境界を延長することによって、その値は修正される。例えば、いくつかの態様では、「約」という用語は、本明細書では、記載の値の±20%、±15%、または±10%の変動によって記載の値の上下の数値を修正するために使用される。いくつかの態様では、「約」という用語は、数値の有意な数字に従って、実験測定値および/または従来の四捨五入における、従来の不確定性を反映し得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、同義的に使用され得る「疎氷性(ice phobic)」または「疎氷性(ice-phobic)」は、水の氷点の落ち込みを低減する、氷の核形成を遅延する、水をはじく、および/または表面上の見かけ着氷性を有意に低減する組成物、材料、配合物、またはコーティングを指す。
【0034】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルを指す。
【0035】
いくつかの態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格に30以下の炭素原子(例えば、直鎖ではC1-C30、分岐鎖ではC3-C30)、20以下の炭素原子、12以下の炭素原子、または7以下の炭素原子を有する。同様に、いくつかの態様では、シクロアルキルは、その環構造に3~10個の炭素原子を有し、例えば、環構造に5、6、または7つの炭素を有する。本明細書、実施例、および特許請求の範囲を通じて使用される「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことを意図し、後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を1つ以上の置換基で置き換えたアルキル部分を指す。そのような置換基としては、限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート(hosphinate)、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられる。
【0036】
炭素の数が指定されない限り、本明細書で使用される「低級アルキル」は、上に定義されるアルキルを意味するが、その骨格構造に1~10個の炭素、または1~6個の炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を有する。本出願を通じて好ましいアルキル基は、低級アルキルである。いくつかの態様では、本明細書でアルキルとして示される置換基は、低級アルキルである。
【0037】
当業者によって、炭化水素鎖上で置換された部分は、適切である場合、それら自体が置換され得ることが理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、チオール、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル、およびスルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、-CF3、-CNなどを挙げることができる。シクロアルキルは、同様の様式で置換され得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、直鎖もしくは分岐鎖、または環状炭素含有ラジカル、またはそれらの組み合わせを指し、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する。好適なヘテロ原子としては、限定されないが、O、N、Si、P、Se、B、およびSが挙げられ、リン原子および硫黄原子は、任意選択的に酸化され、窒素ヘテロ原子は、任意選択的に四級化される。ヘテロアルキルは、アルキル基について上に定義されるように置換され得る。
【0039】
「アルキルチオ」という用語は、上に定義されるアルキル基を指し、そこに硫黄ラジカルが結合している。いくつかの態様では、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、および-S-アルキニルのうちの1つによって表される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、およびエチルチオが挙げられる。「アルキルチオ」という用語はまた、シクロアルキル基、アルケンおよびシクロアルケン基、ならびにアルキン基を包含する。「アリールチオ」は、アリールまたはヘテロアリール基を指す。アルキルチオ基は、アルキル基について上に定義されるように置換され得る。
【0040】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、上記のアルキルに長さおよび可能な置換が類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する不飽和脂肪族基を指す。
【0041】
本明細書で使用される「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、上に定義されるアルキル基を指し、そこに酸素ラジカルが結合している。代表的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。「エーテル」は、酸素原子によって共有結合した2つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、アルコキシルであるか、またはアルコキシルに類似しており、-O-アルキル、-O-アルケニル、および-O-アルキニルなどのうちの1つによって表され得る。アロキシ(aroxy)は、-O-アリールまたはO-ヘテロアリールによって表され得、アリールおよびヘテロアリールが、以下で定義される通りである。アルコキシおよびアロキシ基は、アルキルについて上記のように置換され得る。
【0042】
「アミン」および「アミノ」という用語は、当該技術分野において認識されており、非置換アミンおよび置換アミンの両方、例えば、以下の一般式によって表すことができる部分を指し、
式中、R
9、R
10、およびR’
10が、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、-(CH
2)
m-R
8を表すか、またはR
9およびR
10が、それらが結合するN原子と一緒になって、環構造中に4~8つの原子を有する複素環を完成し、R
8が、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環、または多環を表し、mが、ゼロであるか、または1~8の範囲の整数である。いくつかの態様では、R
9またはR
10のうちの1つのみが、カルボニルであり得、例えば、R
9、R
10、および窒素は一緒にイミドを形成しない。なお他の態様では、「アミン」という用語は、例えば、R
9およびR
10のうちの1つがカルボニルを表す、アミドを包含しない。追加の態様では、R
9およびR
10(および任意選択的にR’
10)は、各々独立して、水素、アルキルもしくはシクロアクリ、アルケニルもしくはシクロアルケニル、またはアルキニルを表す。したがって、本明細書で使用される「アルキルアミン」という用語は、そこに結合した置換(アルキルについて上記の)または非置換アルキルを有する上記のアミン基、すなわち、R
9およびR
10のうちの少なくとも1つがアルキル基であることを意味する。
【0043】
「アミド」という用語は、アミノ置換カルボニルとして当技術分野で認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含み、
式中、R
9およびR
10が、上に定義される通りである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、C5-C10員芳香族、複素環式、縮合芳香族、縮合複素環式、二芳香族、または二複素環式環系を指す。広義には、「アリール」としては、本明細書で使用される場合、ゼロ~4つのヘテロ原子を含み得る、5、6、7、8、9、および10員単環芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。環構造内にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」とも称され得る。芳香族環は、1つ以上の環の位置が、限定されないが、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ(または四級アミノ)、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CN、およびそれらの組み合わせを含む1つ以上の置換基で置換され得る。
【0045】
「アリール」という用語はまた、2つ以上の環式環を有する多環式環系が挙げられ、2つ以上の炭素が、2つの隣接する環に共通であり(すなわち、「縮合環」)、環のうちの少なくとも1つが芳香族であり、例えば、他の環式の1つの環または複数の環が、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/または複素環であり得る。複素環式環の例としては、限定されないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドリチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、およびキサンテニルが挙げられる。環のうちの1つ以上は、「アリール」について上に定義されるように置換され得る。
【0046】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アリール基(例えば、芳香族または複素芳香族基)で置換されたアルキル基を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「炭素環」という用語は、環の各原子が炭素である芳香族または非芳香族環を指す。
【0048】
「複素環」または「複素環式」は、本明細書で使用される場合、3~10個の環原子、好ましくは5~6つの環原子を含有する単環式または二環式環の環炭素または窒素を介して結合した環式ラジカルを指し、炭素および1~4つのヘテロ原子からなり、各々、非過酸化物の酸素、硫黄、およびN(Y)からなる群から選択され、Yが、存在しないか、またはH、O、(C1-C10)アルキル、フェニル、もしくはベンジルであり、任意選択的に1~3つの二重結合を含有し、かつ任意選択的に1つ以上の置換基で置換されている。複素環式環の例としては、限定されないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキセパニル(oxepanyl)、オキセタニル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドリチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、およびキサンテニルが挙げられる。複素環式基は、任意選択的に、アルキルおよびアリールについて上に定義されるように、1つ以上の位置が、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、および-CNで置換され得る。
【0049】
「カルボニル」という用語は、当該技術分野で認識されており、以下の一般式によって表すことができるそのような部分を含み、
式中、Xが、結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、R
11が、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、またはアルキニルを表し、R’
11が、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、またはアルキニルを表す。Xが、酸素であり、R
11またはR’
11が、水素ではない場合、式は、「エステル」を表す。Xが、酸素であり、R
11が、上で定義される通りである場合、部分は、本明細書ではカルボキシル基と称され、特にR
11が、水素である場合、式は、「カルボン酸」を表す。Xが、酸素であり、R’
11が、水素である場合、式は、「ホルメート」を表す。概して、上式の酸素原子が、硫黄によって置き換えられる場合、式は、「チオカルボニル」基を表す。Xが、硫黄であり、R
11またはR’
11が、水素ではない場合、式は、「チオエステル」を表す。Xが、硫黄であり、R
11が、水素である場合、式は、「チオカルボン酸」を表す。Xが、硫黄であり、R’
11が、水素である場合、式は、「チオホルメート」を表す。一方、Xが、結合であり、R
11が、水素ではない場合、上式は、「ケトン」基を表す。Xが、結合であり、R
11が、水素である場合、上式は、「アルデヒド」基を表す。
【0050】
本明細書で使用される「モノエステル」という用語は、カルボン酸の一方が、エステルとして官能化され、他方のカルボン酸が、遊離カルボン酸またはカルボン酸の塩である、ジカルボン酸の類似体を指す。モノエステルの例としては、限定されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、およびマレイン酸のモノエステルが挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄、およびセレンである。他のヘテロ原子としては、ケイ素およびヒ素が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NO2を意味し、「ハロゲン」という用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを示し、「スルフヒドリル」という用語は、-SHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は、-OHを意味し、「スルホニル」という用語は、-SO2-を意味する。
【0053】
本明細書で使用される「置換された」という用語は、本明細書に記載の化合物のすべての許容的な置換基を指す。最も広い見地において、許容的な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐状および非分岐状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基としては、限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシル基、または任意の数の炭素原子、好ましくは1~14個の炭素原子を含有する任意の他の有機群が挙げられ、任意選択的に、線状、分岐状、または環式構造形式の酸素、硫黄、または窒素群などの1つ以上のヘテロ原子を含む。代表的な置換基としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、C3-C20環式、置換C3-C20環式、複素環式、置換複素環式、アミノ酸、ペプチド、ならびにポリペプチド基が挙げられる。
【0054】
窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載の有機化合物の任意の許容的な置換基を有し得る。「置換」または「置換された」は、そのような置換が、置換された原子および置換基の許容される原子価に従って、置換が安定な化合物、すなわち、再配列、環化、排除などによる変化を自発的に受けない化合物を生じるような、言外の条件を含むことが理解される。
【0055】
広い見地において、許容的な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐状および非分岐状、炭素環式および複素環式、ならびに芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基としては、例えば、以下で説明されるものが挙げられる。許容的な置換基は、適切な有機化合物に対し、1つ以上であり得、かつ同じ場合も異なる場合もある。窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載の有機化合物の任意の許容的な置換基を有し得る。
【0056】
様々な態様では、置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、ホスフェート、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンから選択され、これらの各々は、1つ以上の好適な置換基で任意選択的に置換される。いくつかの態様では、置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ケトン、ホスフェート、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンから選択され、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、カルボキシ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ケトン、ホスフェート、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、およびチオケトンの各々が、1つ以上の好適な置換基でさらに置換され得る。
【0057】
置換基の例としては、限定されないが、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、チオケトン、エステル、ヘテロシクリル、-CN、アリール、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキサミド、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアロール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、シアノ、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキルなどが挙げられる。いくつかの態様では、置換基は、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択される。
【0058】
本明細書で使用される場合、化学的な化合物の「類似体(analog)」または「類似体(analogue)」は、例として、別の構造に類似するが、必ずしも異性体ではない化合物である(例えば、5-フルオロウラシルは、チミンの類似体である)。
【0059】
本明細書で使用される場合、化合物の「誘導体」は、化合物と同じかまたは同様のコア構造を有するが、1つ以上の原子または官能基の置換、欠失、および/または付加を含む、少なくとも1つの構造的差異を有する任意の化合物を指す。「誘導体」という用語は、誘導体が、出発材料または中間体のいずれかとして親化合物から合成されることを意味しないが、これは場合による。「誘導体」という用語は、アルキル、アシル、もしくはアミノ基、または上記の置換基によるHの置き換えを含み得る。誘導体としては、親化合物中のカルボキシル基が誘導体化されて、塩、メチル、およびエチルエステル、または他のタイプのエステルもしくはヒドラジドが形成された化合物を挙げることができる。誘導体としては、親化合物中のヒドロキシル基が誘導体化されて、O-アシルまたはO-アルキル誘導体が形成された化合物が挙げられる。誘導体としては、親化合物中の水素結合供与基が、OH、NH、またはSHなどの別の水素結合供与基で置き換えられた化合物を挙げることができる。誘導体は、親化合物中の水素結合求引基を、エステル、エーテル、ケトン、カーボネート、三級アミン、イミン、チオン、スルホン、三級アミド、およびスルフィドなどの別の水素結合求引基で置き換えることを含み得る。
【0060】
指示がない限り、「ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマー(例えば、2つ以上の異なるモノマーのポリマー)、ならびにオリゴマーの両方を含む。同様に、指示がない限り、ポリマーの部類を示す用語の使用は、ホモポリマー、コポリマー、およびグラフトコポリマーを含むことが意図される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「分子量」という用語は、概して、材料の質量または平均質量を指す。ポリマーまたはオリゴマーの場合、分子量は、バルクポリマーの相対平均鎖長または相対鎖質量を指し得る。実施する際には、ポリマーおよびオリゴマーの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)またはキャピラリー粘度測定を含む様々な方式で推定または特徴評価することができる。GPC分子量は、数平均分子量(Mn)とは対照的に、重量平均分子量(Mw)として報告される。キャピラリー粘度測定は、濃度、温度、および溶媒条件の特定の組を使用して、希釈ポリマー溶液から決定した固有の粘度として、分子量の推定値を提供する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は、概して、分子量が2000g/mol未満、1500g/mol未満、1000g/mol未満、800g/mol未満、または500g/mol未満である有機分子を指す。小分子は、非ポリマーおよび/または非オリゴマーである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、水と容易に相互作用する強い極性基を有する物質を指す。親水性ポリマーとしては、アクリルアミドなどのアクリル酸ホモポリマーおよびコポリマー、ならびに無水マレイン酸ポリマーおよびコポリマー;アリルアミン、エチレンイミン、オキサゾリンなどのアミン官能性ポリマー、ならびにそれらの主鎖または側鎖にアミン基を含有する他のポリマーを挙げることができる。親水性という用語は、ポリマーまたはオリゴマーを指すために使用される場合、25℃でのハンセン溶解度空間内の水と比較して、1以下の相対的エネルギー差(RED=Ra/R0、式中、Ra=ポリマー/溶媒HSP距離、R0=ポリマー溶解度球の半径)を有するポリマーまたはオリゴマーを意味し得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、水に対する親和性を欠き、水をはじき、吸収しない傾向、ならびに水に容易に溶解しないか、または水と混合しない傾向がある物質を指す。疎水性という用語は、ポリマーまたはオリゴマーを指すために使用される場合、25℃でのハンセン溶解度空間内の水と比較して、1超の相対的エネルギー差(RED=Ra/R0、式中、Ra=ポリマー/溶媒HSP距離、R0=ポリマー溶解度球の半径)を有するポリマーまたはオリゴマーを意味し得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「両親媒性」という用語は、親水性および親油性(疎水性)特性を組み合わせた分子を指す。本明細書で使用される「両親媒性材料」は、疎水性またはより疎水性のオリゴマーまたはポリマー(例えば、生分解性オリゴマーまたはポリマー)と、親水性またはより親水性のオリゴマーまたはポリマーとを含有する材料を指す。両親媒性という用語は、1つ以上の疎水性オリゴマーセグメントと、1つ以上の親水性オリゴマーセグメントとを有するポリマーまたはオリゴマーを指し得、これらの用語は上に定義される通りである。
【0066】
本明細書で使用される場合、「表面活性ポリマー」および「SAP」という用語は、互換可能に使用され得、小分子界面活性剤と同様の特性を有する両親媒性ポリマー分子を指す。SAPは、1つのポリマー分子内に疎水性部分と親水性部分との両方を有する。SAPの一例は、骨格からグラフトされた1つ以上の親水性側鎖(例えばPEG)を有する疎水性骨格(例えば、ポリシロキサン)を有するポリマーアーキテクチャである。SAPの別の例は、疎水性セグメントと親水性セグメントとを含む、ブロックコポリマーアーキテクチャである。結合剤またはフィルムを形成する系に導入されたSAPは、結合剤から自発的に分離して、層状化したフィルムまたはコーティングを形成する傾向があり、表面にそれら自体が存在する。プロセスは、結合剤における相溶性の不適合または溶解性の不足、固化中の最小の界面エネルギーに起因する相分離、密度差に起因する浮力、およびそれらの組み合わせによって推進される。したがって、SAPは、結合剤単独では提供することができない、フィルムまたはコーティングの表面に新しい物理的または化学的特性を付与するように設計され、使用され得る。
【0067】
SAP:側鎖官能化オルガノシロキサン化合物。
本開示は、そのような部分を有する多様なモジュラー、カスタマイズ可能なオルガノシロキサン化合物、表面活性基、ポリアルキレンオキシド(POA)、ポリアルキレンオキシド基、ポリアルキレンオキシド結合双性イオン(POA-ZW)、およびポリシロキサン骨格上の側鎖として含まれる反応性官能基について記載している。さらに、記載の化合物が、コーティング系に組み込まれると、そのような表面活性ポリマーは、硬化中に層状化する強い傾向を示す。したがって、生じるコーティングは、表面上に活性基が存在することが可能であり、効果的な疎水特性をもたらす。いくつかの態様では、1つ以上の潤滑油を1つ以上のSAPと組み合わせることによって、疎氷特性をさらに向上することができる。
【0068】
様々な態様では、開示のSAPは、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含み、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物が、(i)第1の末端および第2の末端と、(ii)第1の末端を第2の末端に接続するポリシロキサン骨格と、(iii)ポリシロキサン骨格に共有結合した第1の複数の側鎖およびポリシロキサン骨格に共有結合した第2の複数の側鎖と、を含み、第1の複数の側鎖における側鎖が、第2の複数の側鎖の化学構造とは異なる化学構造を有し、第1の複数の側鎖が、ポリアルキレングリコール側鎖を含み、第1の複数の側鎖および第2の複数の側鎖が、ポリシロキサン骨格に共有結合した繋がれた末端、および繋がれた末端に対向する自由末端を含み、第1の複数の側鎖および第2の複数の側鎖の一方または両方の自由末端が、反応性末端基を含み得る。
【0069】
さらなる態様では、開示のSAPは、以下の式による構造を有する開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、トリアルキルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、双性イオン基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリアルキルシラン、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、アルコキシシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む。
【0070】
さらなる態様では、開示のSAPは、以下の式による構造を有する開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、トリアルキルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインなどの双性イオン基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリアルキルシラン、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む。
【0071】
さらなる態様では、開示のSAPは、以下の式による構造を有する開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、アリル基のトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインなどの双性イオン基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリメチルシラン、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む。
【0072】
さらなる態様では、開示のSAPは、以下の式による構造を有する開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、アリル基のトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり、R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインなどの双性イオン基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり、nが、約6~約25の整数であり、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10である、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物を含む。
【0073】
さらなる態様では、R1は、C1-C12アルキル、アリール、またはC1-C12フルオロアルキルである。なおさらなる態様では、R1は、C6-C12アルキル、アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、C6-C12アルキル、アリール、またはC6-C12フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、C1-C6アルキル、アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである。なおさらなる態様では、R1は、C1-C3アルキル、アリール、またはC1-C3フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、メチル、エチル、アリール、またはC-C6フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、メチル、アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、メチル、エチル、アリール、またはC-C3フルオロアルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、メチル、アリール、またはC1-C3フルオロアルキルである。
【0074】
さらなる態様では、R1は、C1-C12アルキルである。なおさらなる態様では、R1は、C1-C6アルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、C6-C12アルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、C1-C3アルキルである。さらにさらなる態様では、R1は、メチルまたはエチルである。なおさらなる態様では、R1は、メチルである。
【0075】
本明細書で使用される場合、「アルキルシラン」は、本明細書で以下に記載の「トリアルキルシラン」を含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「アルコキシシラン」は、本明細書で以下に記載の「トリアルコキシシラン」を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「フルオロアルキル」は、C1-C12フルオロアルキル、C6-C12フルオロアルキル、C1-C6フルオロアルキル、およびC1-C3フルオロアルキルのうちのいずれかを含む。フルオロアルキルは、モノフルオロ、ジフルオロ、およびトリフルオロ置換を含むことを理解されたい。
【0078】
さらなる態様では、R2は、C1-C12アルキル、トリ(C1-C6アルキル)シラン、C1-C12アリル基のトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルである。なおさらなる態様では、R2は、C1-C6アルキル、トリ(C1-C3アルキル)シラン、C1-C6アリル基のトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルである。
【0079】
さらなる態様では、R3は、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、C1-C12アルキルエステル、またはC1-C12アルキルエーテルを含む反応性または非反応性基である。さらなる態様では、R3は、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、C1-C6アルキルエステル、またはC1-C6アルキルエーテルなどの反応性または非反応性基である。
【0080】
さらなる態様では、R3は、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、C1-C12アルキルエステル、またはC1-C12アルキルエーテルを含む反応性基である。さらなる態様では、R3は、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、C1-C6アルキルエステル、またはC1-C6アルキルエーテルなどの反応性基である。
【0081】
さらなる態様では、R4は、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインである。なおさらなる態様では、R4は、ホスホリルコリンである。さらにさらなる態様では、R4は、スルホベタインである。さらにさらなる態様では、R4は、カルボキシベタインである。
【0082】
さらなる態様では、R6は、トリアルキルシラン基、C1-C12アルキル、C5-C12アリール、またはC1-C12フルオロアルキルである。さらなる態様では、R6は、トリメチルシラン基、C1-C6アルキル、C5-C6アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである。「トリアルキルシラン基」という用語は、以下の構造を有するアルカンジイルトリアルキルシラン部分を含むことが理解される:
-(C1-C12)-Si(C1-C6)3。
本開示は、前述の属内の任意のトリメチルシラン基、例えば、-(C1-C6)-Si(C1-C3)3、-(C1-C3)-Si(CH3)3などを企図する。場合によっては、トリアルキルシラン基は、例えば、以下の構造などを有するトリメチルシラン基である:
-(C1-C12)-Si(CH3)3または-(CH2)3-Si(CH3)3。
【0083】
「トリアルコキシシラン基」という用語は、以下の構造を有するアルカンジイルトリアルキルシラン部分を含むことが理解される:
-(C1-C12)-Si(OC1-C6)3。
本開示は、前述の属内の任意のトリメチルシラン基、例えば、(C1-C3)-Si(CH3)3、-(C1-C3)-Si(CH3)3などを企図する。場合によっては、トリアルコキシシラン基は、例えば、以下の構造などを有するトリメトキシシラン基である:
-(C1-C12)-Si(OCH3)3または-(CH2)3-Si(OCH3)3。
【0084】
さらに、いかなる特定の理論にも束縛されること望むものではないが、当該SAPのポリオキシアルキレン側鎖は、疎氷特性を向上する水相(
図1A~1Cを参照されたい)内に(その回転半径まで)さらに伸長することができるので、ポリアルキレンオキシド鎖の末端に存在する双性イオン基を有することは、コーティング/水界面における双性イオン基の効果的な露出を可能にすると考えられる。
【0085】
そのような表面活性ポリマーは、追加のポリオキシアルキレンおよびまたは双性イオン側鎖、追加のポリシロキサン側鎖、ならびにコーティング結合剤系への共有結合のための反応性基を含む側鎖を含有し得る。いかなる特定の理論にも束縛されること望むものではないが、SAPは、コーティングの硬化中および水への曝露時に、表面に近接して移動し得、POAおよびまたはPOA-ZW部分は、水とコーティングとの界面で水に向かって動的に整列すると考えられる。これは、水に曝露するとコーティング表面の適切な水和を促進し、その結果として、コーティングは、疎氷特性を示すことができる。加えて、POAおよびまたはPOA-ZW側鎖の水素結合能力はまた、凍結が遅延されたまたは氷点の落ち込んだコーティングおよび表面を提供し得る。
【0086】
そのようなSAPは、コーティングトップコート、タイエコート、またはプライマーに配合され得る。そのようなSAPは、シロキサン、エポキシ、ウレタン、ゾルゲル、または他の結合剤系を含むコーティングに組み込まれ得る。
【0087】
いくつかの態様では、化合物は、疎氷性コーティングに使用するための、表面を分割するためのポリシロキサンセグメントを含有する、直接結合したポリオキシアルキレン-双性イオン部分を含有する。
【0088】
いくつかの態様では、化合物は、ポリオキシアルキレン-双性イオン部分を含有し、任意選択的に、コーティング系と実質的に反応性の1つ以上の反応性基を有する追加の双性イオンセグメントおよびポリオキシアルキレンセグメントを含有する。
【0089】
いくつかの態様では、化合物は、疎氷性コーティングおよび材料に含まれる。
【0090】
いくつかの態様では、化合物は、他のポリオキシアルキレン-双性イオン部分含有SAPを含む疎氷性コーティングに含まれる
【0091】
いくつかの態様では、化合物は、ポリオキシアルキレン-双性イオン部分を含有する油を含む疎氷性コーティングに含まれる。
【0092】
いくつかの態様では、化合物は、ポリシロキサンまたはポリフルオロアルキル化合物などの低表面エネルギー共添加剤を含む疎氷性コーティングに含まれる。
【0093】
本開示の反応性表面活性ポリマーは、以下の構造によって表すことができ、
式中、R
1が、メチル、アルキル、アリール、フルオロアルキルであり得、R
2が、アルキル、アリル基のトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり得、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルなどの反応性または非反応性基であり得、R4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインなどの双性イオン基であり得、R5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり得、R6が、メチル、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり得、R7が、アルキルシラン、ヒドキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートなどの反応性基であり得る。
図1では、nは、約6~約25の整数、例えば、約6~15または約10であり得、aは、0~30であり得、bは、0~20であり得、cは、0~20であり得、dは、0~20であり得、eは、0~50であり得、fは、0~10であり得る。
【0094】
いくつかの態様では、開示の反応性表面活性ポリマーとしては、a+b+c+d+e+f>1である上の構造よる化合物が挙げられる。さらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーとしては、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である化合物が挙げられる。代表的な好ましい組み合わせとしては、aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である
図1による化合物が挙げられる。なおさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である化合物を含む。さらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーとしては、bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である化合物が挙げられる。さらにさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である化合物を含む。さらにさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である化合物を含む。なおさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である化合物を含む。さらにさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、aが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である化合物を含む。さらにさらなる態様では、開示の反応性表面活性ポリマーは、f=0であり、a、b、c、d、およびeのうちの少なくとも1つまたは組み合わせが、ゼロではない化合物を含む。
【0095】
図1A~1Cは、典型的な表面グラフト技法における水組織の概略的な表現を示す。
図1Aは、基材表面上のポリ双性イオンブラシを示す。
図1Bは、ポリオキシアルキレン結合双性イオン(POA-ZW)側鎖官能化SAPを含有するコーティング上の水組織を示す。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、水に曝露すると、POA鎖が伸長して双性イオン基が露出し、表面グラフトと比較してより強力な水和効果が作り出されると考えられる。
図1Cは、
図1A~1Bに示される様々な概略的構造の略語解を示す。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物は、表面に向かって移動する傾向を提供し、結合剤樹脂および/または潤滑液と適切な硬化性混合物に組み合わせると、側鎖を効果的に提示する。
【0096】
疎氷性ポリマー配合物
様々な態様では、本開示は、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物に関する。
【0097】
さらなる態様では、本明細書で開示されるのは、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約40重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上の異なるポリマー前駆体、および(ii)1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物である。
【0098】
さらなる態様では、本明細書で開示されるのは、基材上で硬化して、疎氷性であり、氷の形成に耐性があり、かつ/または着氷に耐性がある表面を形成することが可能な疎氷性ポリマー配合物であって、疎氷性ポリマー配合物が、(a)(i)硬化して硬化樹脂を形成することが可能な、約40重量パーセント~約90重量パーセントの1つ以上のシリコーン前駆体、および(ii)1つ以上の異なるシリコーン前駆体と反応することが可能な反応性末端基を含む、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、ベース樹脂組成物を含み、ベース樹脂組成物が硬化して硬化樹脂を形成するときに、化合物が硬化樹脂に組み込まれるように、化合物中の反応性末端基が、1つ以上の異なるポリマー前駆体と反応する、疎氷性ポリマー配合物である。
【0099】
疎氷性ポリマー配合物を含む物品
開示の疎氷性ポリマー配合物は、物品の表面を形成するために使用されるか、または基材もしくは物品の表面上にコーティングを形成して、物品に疎水特性を提供するために使用することができる。さらなる態様では、開示の物品は、ベース樹脂組成物と、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの、ベース樹脂組成物に共有結合した、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティングを含み得る。なおさらなる態様では、開示の物品は、シリカゾルゲルと、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントの、シリカゾルゲルに共有結合した、開示の側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティング組成物を使用してコーティングされ得る。
【0100】
様々な態様では、物品は、空気中の水分を含む環境に遭遇するか、または環境に露出される表面を有する構成要素を含み、かつ物品の性能または機能が、開示の疎氷性ポリマー配合物を含むコーティングを含む疎氷性表面を構成要素に提供することによって改善され得るようなものである。場合によっては、物品は、限定されないが、航空機構成要素または風力タービン構成要素の表面を含む空気力学的物品である。開示の疎氷性ポリマー配合物によって向上することができる、すなわち、疎氷性表面または特徴を提供することができる物品構成要素の例としては、限定されないが、ファンブレードおよびエアスプリッター、ならびに航空機の胴体、航空機の翼、航空機のプロペラブレード、航空機の熱交換器などの航空機エンジン構成要素、風力タービンのブレード、海上構造物、船舶、橋、自動車およびトラックなどの車両、ガスタービン、電力線、布、織物、冷蔵庫および冷凍庫などの家庭用品、無線アンテナまたは携帯電話の電波塔などの通信設備、太陽光パネル、変圧器などの発電設備、スポーツ設備、ゴム、プラスチック、道路標識、信号、歩道、車両、除雪設備、ならびに沖合の石油およびガス構造物が挙げられる。開示の疎氷性ポリマー配合物を含むコーティングを含み得る構成要素を有する物品のさらなる非限定的な例としては、スキー、スノーボード、そり(sleigh)、そり(sled)、スケート、および多くの他のウィンタースポーツ設備が挙げられる。さらなる態様では、開示の疎氷性ポリマー配合物は、スキー、スノーボード、そり(sleigh)、そり(sled)、スケート、および多くの他のウィンタースポーツ設備をコーティングするために使用され得る。
【0101】
本開示の目的のために、「コーティング」という言葉は、本明細書の態様に記載のコーティングで物品または基材の表面の少なくとも一部分を覆うことを指し、物品または基材が、本明細書の実施形態のコーティングを含浸されるか、または浸透される場合を含み得る。いくつかの態様では、疎氷性コーティングは、物品上に、コーティングされ、含浸され、適用され、被覆され、広げられ、滴下され、浸透され、飽和され、覆われ、スピンコーティングされ、スプレーされ、(例えば、エアロゾル化配合物を介して)スプレー、ブラッシング、ローリング、浸漬などされて、コーティングされた物品を形成することができる。
【0102】
参考文献
参考文献は、以下の付番された参考文献のうちの1つ以上に対応する括弧によって囲まれた参照番号の形式を使用して、本明細書を通して引用される。例えば、本明細書の直後の参照番号1および2の引用は、開示において(参照1および2)として示されるであろう。
参照1:Jamil,M.I.;Ali,A.;Haq,F.;Zhang,Q.;Zhan,X.;Chen,F.,Icephobic Strategies and Materials with Superwettability:Design Principles and Mechanism.Langmuir 2018,34(50),15425-15444.
参照2:Richard,D.;Clanet,C.;Quere,D.,Contact time of a bouncing drop.Nature 2002,417(6891),811-811.
参照3:Wong,T.-S.;Kang,S.H.;Tang,S.K.Y.;Smythe,E.J.;Hatton,B.D.;Grinthal,A.;Aizenberg,J.,Bioinspired self-repairing slippery surfaces with pressure-stable omniphobicity.Nature 2011,477(7365),443-447.
参照4:Kim,P.;Wong,T.-S.;Alvarenga,J.;Kreder,M.J.;Adorno-Martinez,W.E.;Aizenberg,J.,Liquid-Infused Nanostructured Surfaces with Extreme Anti-Ice and Anti-Frost Performance.ACS Nano 2012,6(8),6569-6577.
参照5:Golovin,K.;Dhyani,A.;Thouless,M.D.;Tuteja,A.,Low-interfacial toughness materials for effective large-scale deicing.Science 2019,364(6438),371.
参照6:He,Z.;Xiao,S.;Gao,H.;He,J.;Zhang,Z.,Multiscale crack initiator promoted super-low ice adhesion surfaces.Soft Matter 2017,13(37),6562-6568.
参照7:Upadhyay,V.;Galhenage,T.;Battocchi,D.;Webster,D.,Amphiphilic icephobic coatings.Progress in Organic Coatings 2017,112,191-199.
【0103】
先述から、本明細書の態様が、明らかでありかつ構造に固有である他の利点と一緒に上に記載されるすべての目標および目的を獲得するように十分に適合されることが分かるであろう。
【0104】
特定の要素およびステップが互いに関連して考察されているが、本明細書で提供される任意の要素および/またはステップは、明白な規定にかかわらず任意の他の要素および/またはステップと組み合せ可能であるものとして企図され、これらは依然として本明細書で提供される範囲内にあることが理解される。
【0105】
ある特定の特徴および部分組み合わせは有用であり、これが他の特徴および部分組み合わせに関係なく用いられ得ることが理解されよう。これは、特許請求の範囲によって企図され、また特許請求の範囲内に入る。
【0106】
多くの可能な態様が、その範囲から逸脱することなく行われ得るが、本明細書に記載されているか、または添付の図面および詳細な説明で示されたすべての事柄は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0107】
また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明する目的のためであり、限定することは意図されないことも理解されたい。当業者は、本明細書で説明される態様の多くの変形形態および適応形態を認識するであろう。これらの変形形態および適応形態は、本開示の教示に含まれるように意図され、また本明細書の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
【0108】
本開示の態様を説明してきたが、概して、以下の実施例は、いくつかの追加的な本開示の態様を説明するものである。本開示の態様は、以下の実施例ならびに対応する文および図面に関連して説明されるが、本開示の態様をこの説明に限定する意図はない。それとは逆に、意図されているのは、本開示の趣旨および範囲内に含まれるすべての代替物、変更、および等価物を網羅することである。
【実施例】
【0109】
本開示の態様を説明してきたが、概して、以下の実施例は、いくつかの追加的な本開示の態様を説明するものである。本開示の態様は、以下の実施例ならびに対応する文および図面に関連して説明されるが、本開示の態様をこの説明に限定する意図はない。対照的に、意図されているのは、本開示の態様の趣旨および範囲内に含まれるすべての代替物、変更、および等価物を網羅することである。
【0110】
材料。
以下の表1は、本明細書の実施例で使用した材料のうちのいくつかについて記載している。
【0111】
AM-24の合成
水素化物樹脂(50.537g、HMS-992、水素化物化学当量65)を、正のアルゴン雰囲気下に維持した丸底フラスコに移した。次いで、39.091gのアリルトリメチルシラン(SIA0555.0、水素化物化学当量114.26)、10.109gのアリルトリエトキシシラン、202.292gの無水トルエンを反応フラスコに添加した。反応温度が80℃近くに達するまで内容物を混合させた。次に、追加の4.994gのキシレンと混合したキシレン中2%の146.8mgの、触媒であるPtジビニル錯体を反応物に添加した。内容物を1時間撹拌した。1時間の反応の後、384.313gの無水トルエン、続いて199.610gのアリルPEG(化学当量500)を反応混合物に添加した。15分の混合の後、追加の4.0038gのキシレンと混合したキシレン中2%の301.7mgのPtジビニル錯体を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌させた。チェイサー(0.4808gのキシレン中で希釈した24.9mgの同じ触媒)を添加し、15分間撹拌し続けた。樹脂(AM-24)を室温まで冷却し、アルゴンアルゴン雰囲気下で保管した。
【0112】
AM-26の合成
反応は、アルゴン下で実行した。10.179gのCOP、130mLの無水THF、および8.083gのトリエチルアミンを反応フラスコ内に混合させた。フラスコを0℃まで冷却した。35.634gのアリルPEG(化学当量500)を滴加した。完全に添加した後、0℃で1時間、次いで室温で2時間、反応混合物を撹拌させた。濾過を通じて沈殿物を除去し、揮発性物質を蒸発させた。リンNMRは、COPとアリルPEGのヒドロキシル基との反応に対応する19.1ppmでのピークを示す。60mLの無水アセトニトリルに残留物を溶解させ、24.011gのトリエチルアミンを添加した。混合物を80℃で約7日間加熱する。リンNMRは、双性イオン(POA-ZW-1)でキャップされたアリルPEGを形成する開環構造に対応する0.87ppmでのピークを示す。
【0113】
反応フラスコ内で、4.736gの水素化物樹脂(HMS-301化学当量250)、0.950gのアリルトリエトキシシランおよび11.255gの無水トルエンを合わせた。混合物を撹拌し、80℃まで加熱した。0.2913gのキシレンに溶解させた8.4mgのPt触媒を含有する触媒混合物をフラスコに添加した。混合物を1時間撹拌し、次いで、20.511gのトルエン、および第1のステップで合成した11.061gのPOA-ZW-1を添加した。加えて、0.8018gのキシレンに溶解させた26.1mgのPt触媒を添加した。混合物を1時間反応させた。3mLのDMFおよび22.7mgのPt触媒を含有するチェイサーを添加した。次いで、混合物を2時間加熱し、次いで室温まで冷却し、アルゴン下で保管した。
【0114】
AM-48の合成
アルゴン下で実行した反応。水素化物樹脂(10.070g、HMS-301、水素化物化学当量250)を、正のAr雰囲気下で保管した丸底フラスコに移した。2.093gのアリルトリエトキシシラン、15.637gの無水トルエンを反応フラスコに添加した。反応温度が80℃付近に達するまで内容物を混合させ、次いで触媒(キシレン中2%の16.5mgのPtジビニル錯体)を添加し、反応物に添加した追加の0.8045gのキシレンと混合した。反応は、含有物を1時間撹拌させ、1時間後、30.306gの無水トルエンを添加し、続いて、15.138gのアリルPEG(化学当量500)を反応混合物に添加した。15分の混合の後、0.9112gのキシレンと混合したキシレン中2%の29.0mgのPtジビニル錯体を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌させ、合成の第1相を終了した。樹脂を氷水で冷却し、次いで続いて3.287gのトリエチルアミンを撹拌しながら反応混合物に添加し、次いで続いて4.43gのCOPを反応混合物に滴加した。完全に添加した後、反応物を室温で1時間撹拌した。濾過によって沈殿物を除去し、温度が50℃を超えない高真空下で揮発性物質を除去した。リンNMRは、COPとアリルPEGのヒドロキシル基との反応を示す18.5ppmでのピークを示した。次に、60mLの無水アセトニトリルおよび5.937gのN,N-ジメチルブチルアミンを添加し、混合物を85℃で24時間加熱した。この段階でのリンNMRは、0.369ppmでの大きなピーク、および85%を上回る開環に対応する18.5ppmでの小さなピークを示し、したがって、PEG鎖の末端に双性イオン種が形成された。追加の1.876gのN,N-ジメチルブチルアミンを添加し、混合物を85℃でさらに7時間加熱した。NMRを介して構造を確認した。
【0115】
AM-55の合成
水素化物樹脂(8.964g、HMS-301、水素化物化学当量250)を、正のAr雰囲気下で保管した丸底フラスコに移した。37.931gのPolyglykol AM/20-20および94.623gの無水トルエンを添加し、混合物を80℃に加熱する。追加の1.2182gのキシレンと混合したキシレン中2%の25.4mgのPtジビニル錯体を添加し、温度を5℃以内に維持するように反応物に添加した。1時間撹拌する。2.060gのアリルトリメチルシランを添加する。混合し、追加の0.7952gのキシレンと混合したキシレン中2%の7.1mgのPtジビニル錯体を添加する。1時間撹拌する。樹脂(AM-55)を、アルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。
【0116】
AM-58の合成
水素化物樹脂(100.238g、HMS-301、水素化物化学当量250)を、正のAr雰囲気下で保管した丸底フラスコに移した。22.897gのアリルトリメチルシラン(SIA0555.0、水素化物化学当量114.26)、241.515gの無水トルエンを反応フラスコに添加した。反応温度が80℃近くに達するまで内容物を混合させた。次に、追加の3.9983gのキシレンと混合したキシレン中2%の98.8mgの、触媒であるPtジビニル錯体を反応物に添加した。内容物を1時間撹拌した。1時間の反応の後、191.943gの無水トルエン、続いて100.404gのアリルPEG(化学当量500)を反応混合物に添加した。15分の混合の後、追加の3.5375gのキシレンと混合したキシレン中2%の100.2mgのPtジビニル錯体を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌させた。樹脂をアルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。
【0117】
混合物を、ドライアイス/アセトンで0~5℃の間に冷却する。(水素化カルシウムで蒸留した)26.456gのトリエチルアミンを添加する。0~5℃の反応温度を維持しながら激しく撹拌しながら、28.690gの2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシドを滴加する。さらに100mLの無水トルエンを添加する。この温度で2時間撹拌する。中程度の多孔性のエアフリーファネルを使用して、無水条件下で濾過する。油浴温度を45℃に設定して、高真空下で揮発性物質を除去する。
【0118】
380gの乾燥アセトニトリル、25.752gの乾燥ジメチルブチルアミンを添加する。混合物を73℃の不活性雰囲気下で加熱する。開環に続いてリンNMRを行った。
31P NMRから明らかなように、約85%の環構造が開放されたときに、反応を停止させた。樹脂(AM-58)を不活性雰囲気下で保管した。
【0119】
AM-59の合成
水素化物樹脂(100.117g、HMS-301、水素化物化学当量250)を、正のAr雰囲気下で保管した丸底フラスコに移した。11.653gのアリルトリメチルシラン(SIA0555.0、水素化物化学当量114.26)、20.525gのアリルトリエトキシシラン、258.026gの無水トルエンを反応フラスコに添加した。反応温度が80℃近くに達するまで内容物を混合させた。次に、追加の3.7725gのキシレンと混合したキシレン中2%の98.7mgの、触媒であるPtジビニル錯体を反応物に添加した。内容物を1時間撹拌した。1時間の反応の後、201.154gの無水トルエン、続いて100.487gのアリルPEG(化学当量500)を反応混合物に添加した。15分の混合の後、追加の3.5394gのキシレンと混合したキシレン中2%の101.5mgのPtジビニル錯体を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌させた。樹脂をアルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。
【0120】
混合物を、ドライアイス/アセトンで0~5℃の間に冷却する。(水素化カルシウムで蒸留した)26.939gのトリエチルアミンを添加する。0~5℃の反応温度を維持しながら激しく撹拌しながら、28.546gの2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシドを滴加する。さらに100mLの無水トルエンを添加する。この温度で2時間撹拌する。中程度の多孔性のエアフリーファネルを使用して、無水条件下で濾過する。油浴温度を45℃に設定して、高真空下で揮発性物質を除去する。
【0121】
414gの乾燥アセトニトリル、27.267gの乾燥ジメチルブチルアミンを添加する。混合物を73℃の不活性雰囲気下で加熱する。開環に続いてリンNMRを行った。
31P NMRから明らかなように、約85%の環構造が開放されたときに、反応を停止させた。樹脂(AM-59)を不活性雰囲気下で保管した。
【0122】
AM-67の合成
アルゴン下で実行した反応。水素化物樹脂(115.008g、HMS-301、水素化物化学当量250)を、正のAr雰囲気下で保管した丸底フラスコに移した。23.445gのアリルトリエトキシシラン、32.861gのアリルトリメチルシラン、および381.370gの無水物を反応フラスコに添加した。反応温度が80℃付近に達するまで内容物を混合させ、次いで触媒(キシレン中2%の127.1mgのPtジビニル錯体を添加し、反応物に添加した追加の3.3937gのキシレン)と混合した。反応は、含有物を1時間撹拌させ、1時間後、28.875gのアリルPEG(化学当量500)を反応混合物に添加した。15分の混合の後、0.9247gのキシレンと混合したキシレン中2%の33.2mgのPtジビニル錯体を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌させ、合成の第1相を終了した。樹脂を氷水で冷却し、次いで続いて7.39gのトリエチルアミンを撹拌しながら反応混合物に添加し、次いで続いて8.276gのCOPを反応混合物に滴加した。完全に添加した後、反応物を室温で1時間撹拌した。濾過によって沈殿物を除去し、温度が50℃を超えない高真空下で揮発性物質を除去した。リンNMRは、COPとアリルPEGのヒドロキシル基との反応を示す18.5ppmでのピークを示した。次に、240.47gの無水アセトニトリルおよび10.714gのN,N-ジメチルブチルアミンを添加し、混合物を85℃で48時間加熱した。この段階でのリンNMRは、PEG鎖の末端への双性イオン構造の形成に対応する0.369ppmでの大きなピークを示した。揮発性物質を真空下で蒸発させ、浴の温度を徐々に70℃まで増加させた。樹脂を室温に戻し、252gの無水トルエンを添加した。
【0123】
例示的な疎氷性ポリマー配合物
例示的な疎氷性ポリマー配合物を、表2に示される材料および量を使用して調製した。これらの実施例は、一次結合剤として、固体含有量による>65%のシリコーン(PDMS)を含有する結合剤樹脂中に、SAPおよび潤滑剤を用いて調製した配合物を含む。配合物は、シリコーン網、顔料、充填剤、潤滑油、および表面活性ポリマーを合わせることによって調製した。スパチュラまたはスピードミキサを使用して、内容物を完全に混合した。次いで、反応性架橋剤(ポリ(ジエトキシシロキサン))および触媒(DBTDL)を混合物に添加した。スパチュラまたはスピードミキサを使用して、内容物を完全に混合した。次いで、配合物を基材上に直接または推奨されるタイコート上に適用した。
【0124】
さらに例示的な疎氷性ポリマー配合物を、表3に示される材料および量を使用して調製した。これらの実施例は、固体含有量による40%のシリカゾルゲルである結合剤樹脂中に、SAPを用いて調製した配合物を含む。表面活性ポリマーおよび結合剤を合わせることによって、配合物を調製した。製造業者のガイドラインに従って、溶液を撹拌し、十分に加水分解させた。次いで、配合物を基材上に直接または推奨される接着促進剤上に適用した。
【0125】
着氷試験
試験は、ニューハンプシャー州ハノーバーに本社を置くCold Regions Research and Engineering Laboratory(CRREL)研究開発センターで行った。アルミニウム試料を、各コーティングの変形物でコーティングする。試料を冷たいプレートに取り付け、DI水を使用して試料上に直接氷を成長させる(上下逆の設定では、氷が凍結して成長するにつれて試料を移動させる)。約1cmの厚さまで氷が形成されたら、せん断力によって氷を表面から押し剥がす。氷を剥ぎ取るのに必要な最大の力を記録する。
図2は、代表的な開示の試験表面の平均見かけ着氷強度(kPa)の代表的なデータを示す。データは、テフロンおよびフルオロポリマー(低表面エネルギー)が最も高い見かけ着氷を有することを示す一方で、AM-26を含むコーティング変形物100153は、より低い見かけ着氷を示している。加えて、コーティング100153上で-8℃で凍結した氷は、極めて脆弱であり、<20kPaの着氷値をもたらすことが報告された。同じコーティング上で-15℃で凍結した氷は、ほぼ30kPaの平均着氷値を有することが報告された。したがって、本明細書に記載のコーティング系は、氷形成温度を低減することができる。
図2は、開示の疎氷性ポリマー配合物でコーティングされた代表的な表面と比較した、例示的な試験表面の平均見かけ着氷強度(kPa)のグラフである。実験配合物100153の見かけ着氷(kPa)は、標準的なテフロンよりも有意に低い。実験配合物600025の見かけ着氷値は、テフロン表面のものよりも低い。
【0126】
着霜緩和試験
試験は、ニューハンプシャー州ハノーバーに本社を置くCold Regions Research and Engineering Laboratory(CRREL)研究開発センターで行った。アルミニウム試料を、各コーティングの変形物でコーティングする。試験前に試験片を水ですすいだ。すべての試験は、12℃(精度:±1℃)および70%のRH(精度:±5%)を維持するように設定した、温度および湿度を制御したチャンバ(Model MK115、Binder,Inc.)で実施した。垂直から45°離れて配置したPeltierプレートに試験片を取り付け、着霜を達成するのに必要な温度変化をプレートに課した。2つの異なるデジタル顕微鏡プローブを試験片表面に垂直に配置し、霜の形成を監視した。RTD(精度:±0.1℃)を取り付けた表面を使用して、試験を通じて温度を監視した。コーティングされた試料およびコーティングされていない試料の粗さパラメータを、光学深度プロファイリング技法を使用して測定する。
【0127】
図3は、本明細書に記載の着霜緩和試験に使用する、代表的なPeltierプレート温度プロファイルを示す。簡単に述べると、基材を20分間チャンバ内で初期環境温度(3.5℃)まで平衡化させ、その後、プレート上に温度傾斜を課した。示されるように、熱プロファイルは、1℃/分の速度で3.5℃~-10.5℃の傾斜、続いて-10.5℃で10分間保持、最後に1℃/分で3.5℃に戻す傾斜からなった。
【0128】
図4A~4Bは、着霜緩和試験中に得た代表的な写真画像を示す。
図4Aは、着霜が、光沢のある透明な液滴から光沢のない不透明な液滴への移行に関連することを示す画像を示す。
図4Bは、表面に光沢のある液滴が残っていない場合の表面の着霜の完了を示す画像を示す。これらは、着霜の開始および着霜の完了について記録した時間および温度で撮影した、表面の中心の代表的な顕微鏡画像である。
【0129】
図5A~5Bは、試験表面を使用する着霜緩和試験から得た、代表的なデータを示す。
図5Aは、図に示されるように、試験表面での着霜の開始および着霜の完了の平均時間のデータを示す。データは、代表的な開示の材料が、アルミニウム6061対照を上回ること、すなわち、代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物でコーティングされた表面上の着霜の完了には、アルミニウム6061対照と比較して、より長い時間がかかることを示している。
図5Bは、表面の氷の形成速度を示す。データは、代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物でコーティングされた表面が、アルミニウム6061対照を上回ること、すなわち、代表的な開示の組成物を含む表面での表面の氷の形成速度は、アルミニウム6061対照と比較して、より遅いことを示している。
【0130】
図6は、時点α(t=15分)およびβ(t=25分;時点αおよびβについては
図3を参照されたい)における、平均的な霜の厚さの代表的なデータを示す。最初の15分以内に、アルミニウム6061は、霜が蓄積した一方で、代表的な開示の組成物を含む表面は、まったく蓄積しなかった。
【0131】
図7A~7Hは、試験表面上の液体水滴の代表的な写真画像を示す。
図7Aは、時点αで得た試験表面(代表的な開示の組成物、ASTコーティングプロトタイプ600037を含む)の写真画像を示し、液体水滴が表面上にあることを示す。対照的に、時点αで得た試験表面(対照表面、アルミニウム6061)の
図7Cの写真画像、およびアルミニウム6061表面上のすべての水が、全体的に着霜していることを示すことを示す。
図7Bは、時点βで得た試験表面(代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物#600037を含む)の写真画像を示し、25分間の氷の蓄積後、基礎表面がそのままであることを示す。対照的に、
図7Dは、時点βで得た試験表面(対照表面、アルミニウム6061)の写真画像を示し、表面上の氷被覆がより均一であることを示す。
図7E~7Hは、表面の断面を示し、それぞれ、
図7A~7Dの各々の霜の厚さを測定するために使用する。尺度バーを各画像の左下に示す。
【0132】
図7Eでは、画像は、表面が霜で覆われておらず、表面上に測定可能な霜が存在しないことを示す、透明/光沢のある液滴が存在することを示している。対照的に、
図7Gに示される画像は、断面が、光沢がない/不透明であることを示し、霜が蓄積し始め、厚さが測定可能であることを示している。
図7Fおよび
図7Gでは、それぞれ、代表的な開示の疎氷性ポリマー配合物#600037およびアルミニウム6061の断面を示すことによって、時点βにおいて、霜の厚さが同様であるが、氷からの反射がより顕著であるので、アルミニウム上の霜がより厚いことを示している。画像は、代表的な開示の氷疎性ポリマー配合物#600037を含むコーティングが、より微妙かつ灰色であることを示し、アルミニウム6061において霜の成長が厚くないことを示している。
【0133】
図8A~8Bは、試験表面から水を流し落とすことについての代表的なデータを示す。
図8Aは、図に表示されているように、試験表面からの水の流し落としの平均時間についてのデータを示す。データは、霜が融解すると、代表的な開示の組成物を含む試験表面は、アルミニウム6061を有する対照表面と比較して、表面からより速く水を流し落としたことを示している。
図8Bは、図に表示されているように、試験表面からの水の流し落としの速度を示す。データは、アルミニウム6061と比較して、代表的な開示の組成物を含む試験表面が、より速い速度で水を流し落としたことを示している。
【0134】
図9は、表面上の霜が融解した後の、水を流し落とす事象を撮影した経時的な写真画像のパネルを示す。試験表面は、代表的な開示組成物(#600037)を含み、対照表面(アルミニウム6061)と比較する。配合物#600037でコーティングされた表面および対照表面アルミニウム6061の両方における流し落としの開始は、表面上に形成された水層の反射によって示される。配合物#600037は、アルミニウム6061よりも疎水性であり、表面上の水の明確な脱濡れを示す一方で、アルミニウム6061では、これほど明確ではない。水の流し落としが完了した後、配合物#600037上に残る水の円形の小さな液滴(サブミクロンサイズ)が存在する一方で、アルミニウム6061上の水滴は、ミリメートルサイズであり、形状は非常に不規則である。凍結解凍サイクルが存在する用途では、水の流し落としは、その後のサイクルにおける成長の緩和に役立つ。
【0135】
図10A~10Eは、着霜緩和試験における、プレート温度プロファイルおよび相対湿度プロファイルに関する代表的なデータを示す。
図10Aは、プレート温度プロファイルおよび相対湿度プロファイルを示す。環境チャンバを窒素でパージし、プレートを-20℃まで冷却する。プレートを-20℃で平衡化させ、湿気をチャンバに導入し、70%のRHで平衡化させた。オーブンに湿気を導入した後、表面を-20℃で30分間維持する。
図10Bは、開示の疎氷性ポリマー組成物#600037でコーティングされた表面での、結露着霜の代表的な写真画像であり、まず水が表面上で結露し、次いで着霜に移行する表面上の結露着霜の存在を示す。
図10Cは、
図10Bに示される領域からの拡大を示す。
図10Dは、対照表面アルミニウム6061上に着霜が堆積し、表面上の水滴が直接霜に昇華したことを示す代表的な写真画像である。
図10Eは、
図10Dに示される領域からの拡大を示す。配合物#600037でコーティングされた表面では、凍結の開始は3分20秒で生じ、表面が完全に凍結する、すなわち、すべての結露した水滴が霜に移行するのに3分10秒かかる。対照表面アルミニウム6061では、堆積が3分15秒で最初に検出され、霜の結晶が表面上に存在するのに2分5秒かかる。液滴が成長して霜に移行する前に流れ落ちる可能性があるので、結露凍結は用途において好ましい。これは、堆積着霜とは異なる。
【0136】
図18A~18Bは、本明細書に記載の着霜緩和試験を使用して得た代表的なデータを示す。
図18Aは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する着霜開始時間に対する温度に関するデータを示す。温度が減少するにつれて、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面での、着霜が生じる時間が減少するが、これは結露着霜に関連したままである一方で、対照表面は堆積着霜を示すことを、データは示している。
図18Bは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面上の平均液滴サイズに温度が関連するデータを示す。データは、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面では、依然として表面上の水滴が測定可能である一方で、対照表面は30秒以内に霜の層に覆われることを示している。
【0137】
粗さ試験
ブラシ仕上げしたアルミニウム6061を4cm×6cmの試料に切断した。試料を、本明細書で上に記載の600037でコーティングした。深さプロファイルを構築するために、光学方法を使用して試料の粗さを測定し、構築した。これらのプロファイルを使用して、表面粗さパラメータを計算した。
図19A-19Bは、
図17A~17Bおよび
図18A~18Bに示されるデータを得るために使用した着霜緩和試験において、粗さパラメータ、Ra、およびRzを決定するための代表的なデータを示す。
図19Aは、試験される試料の面積の代表的な深さプロファイルを示す。
図19Bは、
図19Bから抽出したラインプロファイルデータを示す。粗さパラメータR
a(平均粗さ)およびR
z(最高ピークと最低谷との間の差)は、図に示されるパラメータに基づいて計算する。
【0138】
図17A~17Bは、本明細書に記載の粗さ試験を使用して得た代表的なデータを示す。
図17Aは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する時間に対するRaの観点からの表面粗さに関するデータを示す。
図17Bは、対照表面(アルミニウム6061)と比較した、代表的な開示組成物(#600037)でコーティングされた表面での、表面が着霜する時間に対するRzの観点からの表面粗さに関するデータを示す。データは、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面が、対照表面と比較して、霜の形成の開始が遅いことを示している。特定の理論に束縛されること望むものではないが、代表的な開示の組成物(#600037)でコーティングされた表面は、表面粗さを減少させ、表面欠陥を覆うことによって表面をより滑らかにし(すなわち、表面欠陥を緩和し)、開示の疎氷性ポリマー配合物によって提供される疎水性-双性イオン表面と組み合わせて、表面上の霜の形成を改善する、すなわち、霜の形成の開始までの時間を増加させると考えられる。
【0139】
水の氷点の落ち込みを測定するための示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(TA Instruments Discovery DSC)を使用して、開示の疎氷性ポリマー配合物を含むコーティングの存在に起因する水の氷点の落ち込みを測定した。コーティングを標準的なアルミニウムDSCパンに直接キャスティングし、関連する条件で硬化させた。次いで、8μLの水をパンに添加し、密封した。試験前に、試料を室温で24時間維持した。以下のサイクルを試料に施した:10℃/分で20℃~-50℃、-50℃で10分間保持、10℃/分で-50℃~20℃の傾斜。融解開始温度は、加熱曲線から報告する。これらの研究で使用した配合物は、以下の表4~6に記載する(使用した材料および量)。
【0140】
図11A~11Cは、示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対するゾル-ゲルA中の添加剤濃度の変化の影響に関する、示差走査熱量測定(DSC)を使用して得た代表的なデータを示す。
図11Aは、表4に示される異なる添加剤濃度を有するAM-26を含む配合物を用いた氷点落ち込みを示す。
図11Bは、表4に示される異なる添加剤濃度を有するAM-48を含む配合物を用いた氷点落ち込みを示す。
図11Cは、表4に示される異なる添加剤濃度を有するAM-59を含む配合物を用いた氷点落ち込みを示す。データは、AM-26およびAM-48の最適濃度が5%であることを示し、これは氷の最も早い融解を示している。この研究では、AM-59は融点を減少させるが、しかしながら、AM-26およびAM-48は、これらの条件下でより効果的であると思われる。
【0141】
図12は、示されるコーティングを用いた、水の着霜の落ち込みに対する両親媒性添加剤の効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。データは、両親媒性添加剤の効果が結合剤化学に依存することを示している。この実施例では、2つの添加剤の組み合わせ(400068)が、氷の融点を減少させた。
【0142】
図13Aは、示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対するPEG-ZWグラフトの効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す代表的なものを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図13Aに示される配合物中で使用した側鎖官能化オルガノシラン化合物の化学構造を
図13Bに示す。データは、より多くのPEG-ZWグラフトが、水の氷点の落ち込みの改善と関係することを示している。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、より多くのPEG-ZWグラフトが、より大きな領域の形成を可能にし、それによって、表面濃度を増加させ、水の氷点の落ち込みを改善すると考えられる。
【0143】
図14Aは、示されるコーティングを用いた、氷点の落ち込みに対する双性イオン部分の効果に関する、DSCを使用して得た代表的なデータを示す代表的なものを示す(図で示される配合物の明細の開示については、実施例を参照されたい)。
図14Aに示される配合物中で使用した側鎖官能化オルガノシラン化合物の化学構造を
図14Bに示す。データは、双性イオン部分の存在が、双性イオン部分を有さない同じ添加剤と比較して、水の氷点落ち込みの改善に関連することを示している。
【0144】
動的着霜試験
Adverse Environment Research Test Systems(AERTS)を使用して、ペンシルベニア州立大学で動的着霜試験を実施した。氷剥離測定遠心分離スタンドを使用して、試験を実施した。冷却チャンバを-8℃まで冷却し、制御可能な湿度を有する暖かい空気を冷却チャンバに注入して、試料への霜の蓄積を促進させた。直径1インチの対照円形クーポン(アルミニウム6061)を、配合物600000および600037でコーティングした。試験ビームにクーポンを取り付けた。試験ビームを2000rpmで4分間回転させて、表面上に霜を付着させた。次いで、表面を1℃/分の速度で背面から加熱した。表面から氷が流れ落ちるまでの時間を測定した。
【0145】
図15A~15Bは、動的着霜試験で使用した装置の構成要素の代表的な概略図を示す。
図15Aは、動的着霜試験を実施するために使用した氷剥離測定遠心分離機スタンドを示す。回転するモーターに取り付けた試験クーポンを収容する試験ビームが存在した。機器は、環境チャンバ内に維持する。
図15Bは、動的着霜試験に使用したアルミニウム試験クーポン(直径1インチ)を示す。
【0146】
図16は、示される開示の配合物でコーティングされたクーポンを用いた動的着霜試験における、剥離の時間の代表的なデータを示す。データは、AM-48を含む配合物#600037でコーティングされたクーポンが、いかなる添加剤も含有しなかった配合物#600000でコーティングされたクーポンよりも有意に早く氷を剥離したことを示している。配合物#600000で使用されるものなどの疎水性結合剤は概して良好な性能を示すが、AM-48を使用することによる追加の利点があるように思われる。特定の理論に束縛されること望むものではないが、AM-48などの添加剤は、表面特徴を改善し、少なくとも氷剥離の観点ではより良好な性能を生じると考えられる。
【0147】
本開示の上記の態様は、可能性のある実装の例に過ぎず、開示の原理の明確な理解のためにのみ記載されていることが、強調されるべきである。本開示の精神および原理から実質的に逸脱することなく、本開示の上記の態様に多くの変形および修正を行うことができる。すべてのそのような修正および変形は、本明細書において、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカゾルゲルと、約1重量パーセント~約25重量パーセントの、前記シリカゾルゲルに共有結合した、側鎖官能化オルガノシロキサン化合物と、を含む、コーティング組成物であって、
前記側鎖官能化オルガノシロキサン化合物が、
(a)第1の末端および第2の末端と、
(b)前記第1の末端を前記第2の末端に接続するポリシロキサン骨格と、
(c)前記ポリシロキサン骨格に共有結合した第1の複数の側鎖、および前記ポリシロキサン骨格に共有結合した第2の複数の側鎖と、を含み、前記第1の複数の側鎖における前記側鎖が、前記第2の複数の側鎖の化学構造とは異なる化学構造を有し、
前記第1の複数の側鎖が、ポリアルキレングリコール側鎖を含み、
前記第1の複数の側鎖および前記第2の複数の側鎖が、前記ポリシロキサン骨格に共有結合した繋がれた末端、および前記繋がれた末端に対向する自由末端を含み、
前記第1の複数の側鎖および前記第2の複数の側鎖の一方または両方の前記自由末端が、反応性末端基を含む、コーティング組成物。
【請求項2】
以下の式による構造を有する前記側鎖官能化オルガノシロキサン化合物であって、
式中、R
1が、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
2が、アルキル、トリアルキルシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル、ポリジフェニルシロキサン、またはペルフルオロポリエーテルであり、R
3が、OH、アミン、NCO、エポキシ、アミド、カルバメート、アルキルエステル、またはアルキルエーテルとしてから選択される反応性または非反応性基であり、R
4が、双性イオン(zwitterinoic)基であり、R
5が、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールであり、R
6が、トリアルキルシラン、アルキル、アリール、またはフルオロアルキルであり、R
7が、アルキルシラン、アルコキシシラン、ヒドロキシル、アミン、アミド、エポキシ、NCO、またはカルバメートから選択される反応性基であり、nが、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25から選択され、aが、0~30であり、bが、0~20であり、cが、0~20であり、dが、0~20であり、eが、0~50であり、fが、0~10であり、a+b+c+d+e+f>1である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
nが、約10である、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物化合物。
【請求項5】
aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
aが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、cが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
aが、少なくとも1であり、bが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、fが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
aが、少なくとも1であり、dが、少なくとも1であり、eが、少なくとも1である、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
f=0であり、a、b、c、d、およびeのうちの少なくとも1つまたは組み合わせが、ゼロではない、請求項2または3に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
R
1が、C1-C12アルキル、アリール、またはC1-C12フルオロアルキルである、請求項2~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
R
1が、C1-C6アルキル、アリール、またはC1-C6フルオロアルキルである、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
R
4が、ホスホリルコリン、スルホベタイン、またはカルボキシベタインである、請求項2~14のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
R
4が、ホスホリルコリンである、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
R
4が、スルホベタインである、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
R
4が、カルボキシベタインである、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項2~18のいずれか一項に記載のコーティング組成物:
-(C1-C12)-Si(C1-C6)
3。
【請求項20】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項19に記載のコーティング組成物:
-(CH
2)
3-Si(C1-C3)
3、または-(CH
2)
6-Si(C1-C3)
3。
【請求項21】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項19に記載のコーティング組成物:
-(CH
2)
3-Si(CH
3)
3。
【請求項22】
前記トリアルコキシシランが、以下の構造を有する、請求項2~21のいずれか一項に記載のコーティング組成物:
-(C1-C12)-Si(OC1-C6)
3。
【請求項23】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項22に記載のコーティング組成物:
-(CH
2)
3-Si(OC1-C3)
3、または-(CH
2)
6-Si(OC1-C3)
3。
【請求項24】
前記トリアルキルシランが、以下の構造を有する、請求項22に記載のコーティング組成物:
-(CH
2)
3-Si(OCH
3)
3。
【国際調査報告】