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特表2023-509843熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法
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  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図1A
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図1B
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図1C
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図2A
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図2B
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図3
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図4
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図5
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図6
  • 特表-熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】熱を発生させるためのメディカル・デバイスおよびそれを用いる処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20230303BHJP
【FI】
A61F7/08 334H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535247
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020064105
(87)【国際公開番号】W WO2021119192
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/946,135
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517290752
【氏名又は名称】キャンデサント・バイオメディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Candesant Biomedical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ハント,ニケット
(72)【発明者】
【氏名】ウォー,ジェイコブ エム
(72)【発明者】
【氏名】エルキンズ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン,ジェシー
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA05
4C099CA07
4C099CA09
4C099CA11
4C099GA02
4C099JA04
4C099LA06
4C099LA22
(57)【要約】
熱に基づいたメディカル処理またはコスメ処理のためのデバイスが供される。かかるデバイスは、不透過性のバック層、バック層と接触している接着剤層を含んでいる。デバイスは、単一のフリー・アルカリ金属およびアルカリ金属同士の合金から選択され、接着剤層の少なくとも一部と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属を含んでいる。デバイスは、接着剤層および処理領域と接触しているリリース・ライナーを含んでいる。また、そのようなデバイスを含む熱デリバリー・システムまたは熱デリバリー・キット、および、その使用のための方法もまた供される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
不透過性のバック層;
バック層と接触している接着剤層;
単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層の少なくとも一部と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属;ならびに、
接着剤層および処理領域と接触しているリリース・ライナー
を有して成る、デバイス。
【請求項2】
熱デリバリー・システムであって、
不透過性の保護コンテナー;および
不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイス
を有して成り、
デバイスが、バック層、接着剤層、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、接着剤層と接触している除去可能なリリース・ライナーを有して成る、熱デリバリー・システム。
【請求項3】
キットであって、
水不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスを有して成る熱デリバリー・システム;
任意に設けられるワイプ;および
デバイスを処分するための手段
を有して成り、
デバイスが、バック層、接着剤層、ならびに、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属を有して成る、キット。
【請求項4】
多汗症を処理するための方法であって、
不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスであって、バック層、接着剤層、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、処理領域と接触しているリリース・ライナーを有して成るデバイスを有して成る熱デリバリー・システムを提供すること;
リリース・ライナーの除去のために除去する又は指示を出すこと;ならびに
被術者の皮膚にデバイスを適用し、それによって、処理領域が処理サイトの皮膚と接触することになるように適用する又は指示を出すこと
を含んで成り、
皮膚上の湿気または皮膚における湿気がアルカリ金属と反応して熱を発生させ、処理サイトの汗生成を減じる、方法。
【請求項5】
処理領域が長さおよび幅、もしくは直径を有しており、バック層が、処理領域の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、処理領域の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~4のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項6】
リリース・ライナーが、処理領域の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、処理領域の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項7】
リリース・ライナーが、バック層の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、バック層の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~6のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項8】
リリース・ライナーが、接着剤層の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、接着剤層の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~7のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項9】
リリース・ライナーおよびバック層は、実質的に同じ長さおよび幅を有するか、あるいは、実質的に同じ直径を有しており、その双方の場合において、リリース・ライナーおよびバック層は、処理領域の長さおよび幅よりも大きいか、または、処理領域の直径よりも大きい、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項10】
リリース・ライナーは、(i)接着剤層と接触しており、(ii)処理領域をカバーしている、請求項1~9のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項11】
リリース・ライナーが、接着剤層の境界に至るまで又は接着剤層の境界を超えるように延在しており、処理領域をカバーしている、請求項1~10のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項12】
リフト・タブが、接着剤層のエッジ部分とリリース・ライナーとの間に材料を挿入することにより形成されている、請求項1~11のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項13】
リフト・タブ材料は対向するサイドを有しており、対向するサイドの一方が、接着剤層に対して非付着性を呈する材料でコートされている、請求項12に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項14】
リフト・タブ材料は対向するサイドを有しており、対向するサイドの一方が、接着剤層に対して付着性を呈する材料でコートされている、請求項12または13に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項15】
バック層が透明である、請求項1~14のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項16】
バック層が透明な接着剤がコートされたポリオレフィンである、請求項1~15のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項17】
バック層のポリオレフィンがポリエチレンであり、接着剤がアクリレート接着剤である、請求項16に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項18】
接着剤が感圧接着剤である、請求項16または16に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項19】
リリース・ライナーが、対向するサイドを備える熱可塑性ポリオレフィン材料またはポリエステル材料であって、対向するサイドの一方が剥離性コーティング材料でコートされている、請求項1~18のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項20】
ポリオレフィン材料がポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項19に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項21】
ポリエステル材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項19に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項22】
剥離性コーティング材料がシリコーンを含んで成る、請求項19~21のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項23】
アルカリ金属が、純粋ナトリウムおよび純粋カリウムから選択される、請求項1~22のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項24】
アルカリ金属が、ナトリウムおよびカリウムから選択される純粋アルカリ金属同士の合金である、請求項1~23のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項25】
アルカリ金属および合金が塩または酸化物でない、請求項1~24のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項26】
アルカリ金属が連続的な層である、請求項1~25のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項27】
アルカリ金属が粒子集団である、請求項1~25のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項28】
バック層が対向するサイドを有し、バック層の一方のサイドに接着剤層がコートされており、接着剤層が感圧接着剤層である、請求項1~27のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項29】
感圧接着剤層が疎水性接着剤から構成される、請求項28に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項30】
疎水性接着剤は、アクリル酸モノマーまたはアクリレート・モノマーから形成される、請求項29に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項31】
アクリレート・モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、および2-クロロエチルビニルエーテルから成る群から選択される、請求項30に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項32】
疎水性接着剤は、ポリアクリレートである、請求項29~31のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項33】
アルカリ金属が、感圧接着剤層に付着している、請求項28~32のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項34】
アルカリ金属は、感圧層と接触している接着剤マトリックスに設けられているか又は前記接着剤マトリックスに埋め込まれている、請求項28~32のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項35】
処理領域が幾何学形状を有すると共に、バック層が幾何学形状を有し、処理領域の幾何学形状がバック層の幾何学形状と異なる、請求項1~34のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項36】
処理領域が卵状形状を有し、バック層が矩形状の形状を有する、請求項1~35のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項37】
処理領域がエリアを有すると共に、バック層がエリアを有し、処理領域のエリアがバック層のエリアよりも少なくとも10%小さい、請求項1~36のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項38】
請求項3および5~37のいずれかに記載のキットであって、デバイスを処分するための手段が、デバイスを受容するように構成されたキャビティ、および、キャビティ内にデバイスが受容されるように構成された開口部を有して成るディスポーザル・コンテナーであって、開口部が閉鎖可能な開口部であるか、密閉できるようになっており、
ディスポーザル・コンテナーが、
(i)アルカリ金属を溶解させる溶媒;
(ii)水素または水素のスカベンジャーの排出のための手段;および
(iii)水源または外部の水源から水を受ける機構
のうちの1以上を有して成る、キット。
【請求項39】
溶媒が水と混和性を有する、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
デバイスを処分するための手段は、デバイスを受容するディスポーザル・コンテナーであり、コンテナーが、アルカリ金属のための反応物またはアルカリ金属の可溶化剤にアルカリ金属を制御可能にさらすことを許容する要素を有して成る、請求項38または39に記載のキット。
【請求項41】
アルカリ金属の反応物または可溶化剤が、アルコールおよびグリコールから選択される溶媒である、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
アルコールが、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ステアリル・アルコール、およびトリス(トリメチルシリル)メタノールから選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
グリコールがプロピレン・グリコールである、請求項41または42に記載のキット。
【請求項44】
キットが、実質的に乾燥しているワイプを有して成る、請求項3および5~43のいずれかに記載のキット。
【請求項45】
キットは、熱デリバリー・システムを用いる処理の前または後における処理サイトへの適用のための溶媒または試薬を更に有して成る、請求項3および5~44のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
溶媒または試薬は、コンテナーにてワイプとは別個になっている、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
溶媒または試薬は、予め湿らされたワイプが供されるように、ワイプ上またはワイプ内に存在する、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
キットは第2のワイプを有して成る、請求項44~47のいずれかに記載のキット。
【請求項49】
キットは、熱デリバリー・システムを用いる処理後の処理表面への適用のための第2の溶媒または第2の試薬を更に有して成る、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
第2の溶媒または第2の試薬は、コンテナーにて第2のワイプとは別個になっている、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
第2の溶媒または第2の試薬は、予め湿らされた第2のワイプが供されるように、第2のワイプ上または第2のワイプ内に存在する、請求項49に記載のキット。
【請求項52】
第2の溶媒または第2の試薬が弱酸である、請求項49~51のいずれかに記載のキット。
【請求項53】
弱酸がクエン酸または酢酸である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記適用のため適用する又は指示を出すことによって、少なくとも約2週間の期間において処理サイトの汗生成が一時的に非永久的に減じられる、請求項4~37のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記提供、前記除去および前記適用の少なくとも1つを繰り返すことを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記の繰り返しを、毎月、1か月おき、または3カ月ごとに行う、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
純粋アルカリまたは合金は、約0.0254~2.54mm(0.001インチ~0.10インチ)の厚さを有する箔の形態である、請求項1~56のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項58】
リリース・ライナーは、酸素、液体水および/または水蒸気に対して不透過性を有する、請求項1~57のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項59】
皮膚処理表面または粘膜処理表面を処理するための方法であって、
対象において処理が必要とされる処理面皮膚または処理面粘膜を特定すること、
不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスであって、バック層、接着剤層、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、処理領域と接触しているリリース・ライナーを有して成るデバイスを有して成る熱デリバリー・システムを提供すること;
リリース・ライナーの除去のために除去する又は指示を出すこと;
任意に、第1のワイプでもって処理表面を拭取りに付すこと又は拭取りの指示を出すこと;
処理表面にデバイスを適用し、それによって、処理領域が処理表面と接触し、処理表面上の湿気または処理表面における湿気がアルカリ金属と反応して処理に要する量の熱を生じることになるように、適用する又は指示を出すこと;ならびに
任意に、前記適用のために適用する又は指示を出すことの後に、第2のワイプでもって処理表面を拭取りに付すこと、
を含んで成る、方法。
【請求項60】
皮膚処理表面または粘膜処理表面を処理するための方法であって、
本明細書で説明されるキットを提供すること
任意に、キットに供された第1のワイプでもって皮膚処理表面または粘膜処理表面を拭取りに付すこと又は拭取りの指示を出すこと;
処理表面にデバイスを適用し、それによって、デバイスの処理領域が処理表面と接触し、処理表面上の湿気または処理表面における湿気がアルカリ金属と反応して処理に要する量の熱を生じることになるように、適用する又は指示を出すこと;および
任意に、前記適用のために適用する又は指示を出すことの後に、キットに供された第2のワイプでもって処理表面を拭取りに付す又は拭取りの指示を出すこと
を含んで成る、方法。
【請求項61】
第1のワイプおよび第2のワイプは、それらの双方が存在する場合、互いに同じである、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
第1のワイプおよび第2のワイプは、それらの双方が存在する場合、互いに異なる、請求項59または60に記載の方法。
【請求項63】
第2のワイプは、試薬または溶媒で湿らされているか、あるいは、試薬または溶媒を含んで成る、請求項59~62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
第1のワイプは実質的に乾燥している、請求項59~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
溶媒または試薬はキットに供されているか、あるいは第1のワイプに供されている、請求項59~64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
第1のワイプのための溶媒または試薬は実質的に非水性である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
溶媒または試薬が、キットに供されているか、あるいは第2のワイプに供されている、請求項59~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
溶媒または試薬が弱酸である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
弱酸がクエン酸または酢酸である、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年12月10日に出願の米国仮出願第62/946,135号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本願明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書で説明する技術は、メディカルおよび/またはコスメのため選択された処理領域で熱を発生させることを含む治療法にてアルカリ金属パッチを使用および処分する方法ならびにデバイスに一般に関する。
【背景技術】
【0003】
自己熱源として発熱反応に依存するデバイスは、例えば処分可能なハンド・ウォーマーおよびフット・ウォーマーの形態で消費者に知られている。このようなデバイスは、水または酸素が反応混合物内に導入された際に熱を生じる反応混合物を含んでいる。
【0004】
熱を生じるデバイスは、創傷部の焼灼のための組織または細胞のアブレーションなど医療状況で用いられている。焼灼(cauterization)は、血液流れを止め、創傷部の表面の封止援助のために用いられる医学的手法である。焼灼を行う種々の常套デバイスには、創傷部にて切られた血管の凝固を急速に助力しつつ組織を破壊する作用を有する電子焼灼機およびレーザ焼灼機が挙げられる。このような焼灼デバイスは、熱源として発熱化学反応に依存するものではない。
【0005】
表面を無菌にするために熱を使用することもできる。例えば、手術器具(例えば、加圧滅菌器)、ならびに患者の皮膚または外科医の手など他の表面を滅菌するために、様々なデバイスおよび方法が使用されており、非加熱式のデバイスとして、無菌ワイプ、抗菌溶液およびその類が挙げられる。器具の滅菌技術では、器具の細菌および他の病原菌を死滅させるための補助として、典型的には、長時間の間、熱を用いる。ヒトの皮膚または他の表面で使用される滅菌技術は適用される物質と病原菌自体との化学的相互作用に依存し、病原菌を死滅させる。
【0006】
バンデージ(bandages)(包帯)等の医療系は、従来から、創傷に圧力を付与することにより、かつ血液中の血小板およびフィブリンが関わる血液の自然な凝固プロセスを補助することにより、出血を緩和するように使用される。バンデージはまた、さらなる細菌および他の有害物質が開放する創傷に入り込むのを補助的に防止するために使用される。創傷を覆うために使用されるバンデージは、一般的には、バンデージに直接的に結合されるか、またはバンデージにより創傷に結合される滅菌性の部分、例えば、ガーゼパッドまたは他の滅菌性構造体を含む。
【0007】
人の皮膚または組織など処理サイトにおける又は当該処理サイト上の反応物との発熱反応により熱を生じることができる反応物を含んで成るデバイスが望まれる。かかるデバイスは、種々の用途で使用されることが望まれ、例えば、心臓の破裂に対応する或る疾患の処理、皮膚病気の処理、および処理のため肌エリアの滅菌・殺菌のため等にそのようなデバイスの使用が望まれる。
【発明の概要】
【0008】
第1態様において、不透過性バック層(またはバッキング層もしくは裏当て層、backing layer)、および、バック層と接触している接着剤層を有して成るデバイスが供される。かかるデバイスは、単一のアルカリ金属およびアルカリ金属同士の合金から選択され、接着剤層の少なくとも一部と直接的または間接的に接しているアルカリ金属であって、処理領域(treatment region)を規定するアルカリ金属、ならびに、接着剤層および処理領域と接触しているリリース・ライナー(または剥離ライナー、release liner)を有して成る。
【0009】
第2態様において、水、酸素またはそれらの双方に対して実質的に不透過なコンテナー(または袋もしくは容器、container)、および、コンテナーに取出し可能(または取除きもしくは除去可能)に配置されるデバイスを有して成る熱デリバリー・システムが供される。かかる熱デリバリー・システムにおけるデバイスは、バック層、バック層と接触している接着剤層、ならびに、単一のアルカリ金属およびアルカリ金属同士の合金から選択されるアルカリ金属を有して成る。そのようなアルカリ金属は、接着剤層と接しているところ、処理領域を規定する。また、熱デリバリー・システムにおけるデバイスは、接着剤層と接触している除去可能(または取外し可能)なリリース・ライナーを有して成る。
【0010】
第3態様において、水、酸素またはそれらの双方に実質的に不透過なコンテナーに取出し可能に配置されるデバイスを含む熱デリバリー・システムを含むキットであって、デバイスが、バック層、接着剤層、ならびに、単一のアルカリ金属およびアルカリ金属同士の合金から選択され、接着剤層と接しているアルカリ金属であって、処理領域を規定するアルカリ金属を含む、キットが供される。かかるキットは、オプションとして1以上のワイプ(または拭取り用部材、拭取りのための部材、巾、布巾、布材もしくは布部材、wipe)(オプションとしては溶媒(もしくは溶剤もしくは媒体、solvent)または試薬を含むワイプ)を有して成る。また、キットは、デバイスを処分するための手段を有して成る。
【0011】
更に別の態様において、水、酸素またはそれらの双方に対して実質的に不透過なコンテナーに取出し可能に配置されるデバイスを提供することを含む、多汗症を処理するための方法が供される。かかる方法におけるデバイスは、バック層、接着剤層、ならびに、単一のアルカリ金属およびアルカリ金属同士の合金から選択され、接着剤層と接しているアルカリ金属であって、処理領域を規定するアルカリ金属を含んでいる。また、かかる方法におけるデバイスは、処理領域と接触しているリリース・ライナーを有して成る。かかる方法は、リリース・ライナーが除去されるべく除去すること又はインストラクションを出すこと;ならびに、被術者(または人の対象者、human subject)の皮膚(または肌、skin)又は組織にデバイスを適用し、それによって、処理領域が処理サイト(treatment site)の皮膚又は組織と接触することになるように適用すること又はインストラクションを出すことを含んで成り、皮膚又は組織上の湿気または皮膚又は組織における湿気がアルカリ金属と反応して熱(または熱量)を発生させ、処理サイトの汗生成(または汗の発生もしくは汗生成物、production of sweat)を減じる(またはそのような処理サイトの汗生成が減じられる量の熱を発生させる)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1A~1Cは、幾つかの態様に従った、メディカル用途および/またはコスメ用途で人体の処理サイトと接触させるためのデバイスであって、所望の処理領域で熱を生じさせるためのデバイスの平面図(図1A)および断面図(図1B図1C)を示している。
【0013】
図2図2A~2Bは、幾つかの態様に従った、熱を生じさせるためのデバイスの態様の展開図を示しており、マルチプルな材料層(または複数の材料層、multiple layers of materials)を示している。
【0014】
図3図3は、幾つかの態様に従った、熱発生デバイスが適用され得る人体および処理サイトを示している。
【0015】
図4図4は、幾つかの態様に従った、熱発生デバイスを有して成るシステムを示している。
【0016】
図5図5は、幾つかの態様に従った、熱を用いるメディカル処理またはコスメ処理のための熱発生デバイスを含むキットを示している。
【0017】
図6図6は、幾つかの態様に従った、使用後に熱発生デバイスを処分するためのキットを示している。
【0018】
図7図7は、幾つかの態様に従った、熱発生デバイスを用いるメディカル処理またはコスメ処理のための方法の工程を示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で開示されるデバイスは、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、またはそれらの組合せの合金)を含み、多汗症(多量の汗、hyperhidrosis)または他のメディカル上の皮膚状態もしくは見た目(もしくは“美”としての)皮膚状態など、ある肌状態の効率的な処理のためのアプローチを可能する。処理サイトの皮膚または組織における湿気又は当該皮膚または組織上の湿気とアルカリ金属との反応は、治療用途またはコスメ用途にてある量の熱を生じる。
【0020】
また、デバイスは、表面(人の皮膚表面もしくは組織表面、または、外科器具、実験台頂面、ペトリ皿などの他の表面)を実質的に減菌・殺菌したり、あるいは、実質的に無菌にしたりするのに用いることができる。医療機関(例えば、病院、クリニック、医院など)の制御された環境で使用されるか、あるいは、実験室もしくは家庭の場で使用されるかのいずれであろうとも、デバイスの安全で容易な処分ためのアプローチが供される。
【0021】
デバイスにおいては、アルカリ金属は熱の発生にとって十分な量で存在しており、そのような熱発生は、アルカリ金属が水または別の酸化剤と接した際に生じる。典型的には、以下で説明するように、アルカリ金属は、それが処理表面に適用された際に水または別の酸化剤と接する。本明細書中で用いる「アルカリ金属」は、本質的または実質的にフリー形態(または結合していない形態もしくは遊離した形態、free from)であるか、その純粋形態(pure form)もしくは正味の形態(neat form)である周期表の1A族に属する一価(単価)の金属またはそのような金属同士の合金を意図している。このようなアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムが挙げられる。理解され得るように、フリー・アルカリ金属の反応性に起因して、フリー・アルカリ金属の一部が酸素と反応して酸化物を形成する。したがって、本明細書においてフリー形態のアルカリ金属、純粋形態のアルカリ金属といった言及は、フリー又は純粋なアルカリ金属が酸化されているごく一部含んで成り得ることは考慮される。また、もしアルカリ金属が水存在下で発熱反応を経るものであるのであれば、「アルカリ金属」または特定の金属のうちの1つ(例えば、カリウム金属またはナトリウム金属)の言及には、その酸化物、過酸化物、超酸化物(superoxide)、水酸化物が包含される。「アルカリ金属の塩」といった言及には、水可溶性であって、一般に水と発熱するように反応しない化合物であって、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属と他の元素との化合物が意図されている。アルカリ金属の合金は、2以上の純粋アルカリ金属またはフリー・アルカリ金属の組合せが意図されている。
【0022】
アルカリ金属が水と反応するに際して、例えば、アルカリ金属が湿気、汗または別の水源と接触するデバイスの使用に際しては、エネルギー(例えば熱)が水とアルカリ金属との発熱反応に起因して生じる。或る態様では、デバイスにて存在する、デバイス上に存在する若しくはそうでなければデバイスに関連する湿気、汗またはアルカリ金属との反応のための他の水源は、デバイス自体と別個のもの(separate)である。エネルギーは、人の皮膚または体表面などの処理表面へと移り、臨床的利点(clinical benefit)またはコスメ的利点(cosmetic benefit)をもたらす。幾つかの態様では、デバイス(明細書では「パッチ(または当て部材、片状部材もしくは当て用の片状部材、patch)」とも称される)は、シングル・ユース(または単回使用もしくは一回きりの使用、single-use)のために構成されており、処分可能となっている。シングル・ユースでは、アルカリ金属の一部が未反応となっている場合があり得、例えば、アルカリ金属の一部が水と反応できるような状態が維持されている。したがって、幾つかの態様では、常套的な手法で処分すべく(例えば、流すことができる又はゴミ・コンテナーに入れて置くことができる溶液へと混合して処分すべく)、アルカリ金属の未使用または未反応な部分を安全なものとなるように反応させる簡易かつ安全な方法を有することが望ましい。
【0023】
ある態様においては、アルカリ金属はカリウムまたはナトリウムである。別の実施態様では、アルカリ金属は、しばしば、フリー金属(free metal)とも呼ばれている純粋アルカリ金属(neat alkali metal)、例えば、カリウム・フリー金属またはナトリウム・フリー金属である。他の実施態様においては、アルカリ金属は酸化物形態のカリウムまたはナトリウムである。例えば、ナトリウム一酸化物(NaO)およびナトリウム過酸化物(Na)ならびにナトリウム超酸化物(NaO)が挙げられる。ナトリウム金属は酸素および水との反応性が高い軟質金属である。ナトリウム金属はその軟質性に起因して様々な形態に切削、分割および成形され得る。カリウム金属は同様にして、酸素および水との反応性がナトリウム金属よりも高い軟質金属である。ある態様では、アルカリ金属は、室温(例えば約25℃)にて固体状または半固体状となっている。
【0024】
別の実施態様においては、アルカリ金属は、例えば、ナトリウムとカリウムの合金などの合金である。ナトリウム金属およびカリウム金属は化合して、室温で液体のナトリウム/カリウム合金(NaK)を形成できる。室温で液体のNaKは約40重量%~約90重量%のカリウムを含有する。ナトリウムとカリウムとの共晶はカリウム約77%およびナトリウム約23%で起こり、当該共晶点において当該液体金属は水よりも密度が低い。共晶組成物は本開示のデバイスの様々な態様において使用されてよく、安定な合金を形成する比率のナトリウムおよびカリウムのあらゆる組み合わせも、同様に、使用されてよい。従って、用語「NaK」はナトリウムおよびカリウム合金に言及するために本明細書にて使用されるのであって、このような用語は、本明細書中で使用されるように、50/50原子混合物だけでなく、また共晶組成物だけでなく、考えられるあらゆるナトリウムとカリウムの組み合わせを示す。ある態様において、アルカリ金属の合金は、室温(例えば約25℃)にて固体状または半固体状となっている。
【0025】
アルカリ金属化合物(例えば、ナトリウムNa、カリウムK)と水(例えば「反応物」または「可溶化剤」)との反応は、以下の化学式で表され得る。

【0026】
式1の反応(Naが単に例示の目的で一例として挙げている)は、高い発熱反応である。本明細書で開示されている方法およびデバイスは、上記の熱発生(例えばエネルギー)効果を患者の所望の処理領域にて治療目的に利用している。さらに、本明細書で開示されているデバイスまたはパッチの使用後において、幾つかの態様では、使用済みデバイスもしくはパッチのアルカリ金属残留物を、金属水酸化物、金属アルコキシド、または塩(例えば、NaClなどのアルカリハライドおよびその類)などの別の非自然発火性の物質へと変換する種々の解決策が供される。
【0027】
図1A~1Cは、熱を発生させるためのデバイス10の態様に係る平面図および断面図(図1B図1C)を示す。デバイス10は、バック層12、当該バック層と接触する接着層剤14、および、アルカリ金属16を有して成るウェアラブルなパッチの形態を有している。ある態様において、アルカリ金属は、本質的に又は実質的に純粋な単一のフリー金属(free metal)、アルカリ金属同士の合金(またはアロイ)から選択される(なお、合金中の各アルカリ金属はフリー・アルカリ金属である)。幾つかの態様において、アルカリ金属またはアルカリ合金は、本質的に又は実質的に純粋な又はフリーのアルカリ金属であって、当該フリー・アルカリ金属は重量基準で少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%のフリー・アルカリ金属および残りが酸化された形態もしくは水酸化物の形態のアルカリ金属であることが意図されている。アルカリ金属は接着剤層の少なくとも一部と接して(または接触して)おり、処理領域(treatment region)18を規定している。処理領域18は、図1Aにファントム(または鎖線、phantom)で示されており、図1Aの平面図においては、バック層12は、それが透明でない限り、アルカリ金属16を遮ったようになっている。本態様におけるパッチは、接着剤層と接触しているリリース・ライナー20を有して成る。ある態様では、アルカリ金属、接着剤層およびバック層は、実質的に平面状の処理デバイスであって、人体の表面などの処理表面へと適用される処理デバイスを成している。処理デバイスにおける各層(アルカリ金属、接着剤層、バック層)は、デバイスの適用および使用の間は他方に接触した状態となっている。ある態様では、デバイスは、シリンジ(syringe)またはニードル(または針、needle)とはなっていない。
【0028】
幾つかの態様において、アルカリ金属16は、純粋ナトリウムおよび純粋カリウムから選択される。幾つかの態様において、アルカリ金属は、ナトリウムおよびカリウムから選択される純粋アルカリ金属(またはフリー・アルカリ金属同士)の合金を含むものであってよい。幾つかの態様において、アルカリ金属および合金は、部分的に酸化物の形態となっていてよい。例えば、幾つかの態様において、少量のアルカリ金属の酸化は不可避であり得る。幾つかの態様において、アルカリ金属はマトリックスに組み込まれた粒子集団(または粒子の集まりもしくは粒子集合体、a population of particles)を含んでいるところ、図1Bで見られるように、アルカリ金属が接着剤マトリックス14であり得るマトリックスに組み込まれた粒子集団を含んでいる。他の態様では、図1Cで示されるように、アルカリ金属16は、接着剤層14と直接的に接している。他の態様では、図示しないが、アルカリ金属16および接着剤層14はそれらの間に配置された1以上の介在層によって間接的(非直接的)に接している。ある態様では、アルカリ金属16は、第1表面および第2表面を有する連続的な層またはフィルム(もしくは以下で説明される箔)である。サポート材料が、当該第1表面および第2表面の一方に固定される。例えば、接着剤ラミネート形態(adhesive laminate)のサポート材料が、アルカリ金属層の一方の側に直接的に置かれ、それによって、アルカリ金属層と接着剤ラミネートとのコンポジットが形成される。バック層12は、それ自体が接着剤およびバック材料(例えば、ペーパー、ファブリック、不織布、箔、発泡フォーム(または発泡体、foam)、プラスチック・フィルム、ポリマー・フィルム)のラミネートであり得るところ、コンポジットに固定されてデバイスが形成される。
【0029】
幾つかの態様において、アルカリ金属の層は箔であり、アルカリ金属が金属シートの形態となっている。幾つかの態様では、アルカリ金属16は所望形状の連続的な層である。ある態様において、アルカリ金属の層は、約0.01~8mm、0.01~6mm、0.01~5mm、0.015~5mm、0.02~5mm、0.02~4.5mm、0.02~4mm、0.02~3.5mm、0.02~3mm、0.02~2.5mm、0.025~5mm、0.025~4.5mm、0.025~4mm、0.025~3.5mm、0.025~3mm、0.025~2.5mm、0.03~5mm、0.03~4.5mm、0.03~4mm、0.03~3.5mm、0.03~3mm、または0.03~2.5mmの厚さ有している。他の態様では、層は、いずれの所望の厚さを有していたり、あるいは、いずれの所望の幾何学的形状(例えば、卵形・楕円形、ひし形、平行四辺形、塩、三日月形、三角形、八角形、七角形、矩形、およびそのような類の形)を有していたりする。パッチは、標的体部またはその一部と似ている又はそれを模したような形状を有していてよい。それゆえ、ある態様では、パッチは、手のひら、指、ハンド、脇の下、足の裏、またはそのようなものの一部として形作られている。別の態様では、パッチは、複数の個別のパッチ部分から構成されており、その各々が個々の形状の有していて、当該部分が所望形状と似ている又はそれを模したように配置されるべく構成されている。所望の形状は上述した形状などの幾何学形状であってよく、あるいは、ボディ部分の形状であってよい。個々に形状が設けられる部分・部材は、それらが集合的に配置された際に所望形状を達成できるのであれば、同じ形状または異なる形状であってよい。
【0030】
アルカリ金属層の形状または寸法は、以下で説明するように、熱処理が受けられるべく皮膚表面、組織表面または他の表面に接触する(または接する)ことが意図される処理領域(treatment region)を規定する。ある態様では、処理領域は長さおよび幅を有し、あるいは、処理領域が直径を有しているところ、バック層は、処理領域の長さおよび幅よりも大きい長さ(若しくはより長い長さ)および幅を有し、あるいは、バック層が処理領域の直径よりも大きい直径(若しくはより長い直径)を有している。かかる態様は図1A図1Cで示されるデバイスの種々の態様で示されており、バック層12が、卵形状の処理領域18の長さlおよび幅wよりも大きい長さlおよび幅wを有している。ある態様では、バック層の1以上の寸法(例えば、長さ、幅、および/または直径)は、バック層の1以上の寸法(例えば、処理領域の長さ、幅、および/または直径)よりも10%、15%、20%、25%または30%大きく、例えば処理領域の長さ、幅、および/または直径の1以上の寸法よりも10%、15%、20%、25%または30%大きい。ある態様において、デバイスは平面的な(もしくは平面状の、planar)デバイスとなっている。ある態様では、アルカリ金属と接している接着剤層は、平面的な(もしくは平面状の、planar)接着剤層である。
【0031】
処理領域の寸法は、体の処理サイト(treatment site)に対して選択および最適化できることを理解できるであろう。例えば、処理領域は、腋窩(腕の下)、胸、手のひら、足の裏、脚の付け根(または股間)、または額となる処理サイトと接触するようになって(または設計されて)いてよい。デバイスの処理領域は、デバイスの他の層と同じ幾何学形状(geometry)もしくは異なる幾何学形状を有していてよく、あるいは、デバイスの他の層と同じ寸法(dimension)もしくは異なる寸法を有していてよい。例えば、処理領域が幾何学形状を有し、バック層が幾何学形状を有するところ、処理領域の幾何学形状がバック層の幾何学形状と異なっていてよい。例えば、幾つかの態様において、処理領域が卵状形状(oval geometry)を有し、バック層が矩形状の形状(rectangular geometry)を有している。処理領域があるエリア(または面積)を有し、バック層が、処理領域とオーバーラップするものの、それと同じになっていなくてよいエリア(または面積、area)を有している。例えば、幾つかの態様において、処理領域のエリアは、バック層のエリアよりも少なくとも10%小さくなっている。
【0032】
デバイスのリリース・ライナーは、処理領域の長さおよび幅と同じ若しくはより大きい長さおよび幅を有しているか、あるいは、処理領域の直径よりと同じか若しくはより大きい直径を有している。図2Aを参照すると、デバイス22が、バック層24、バック層24と直接的または間接的に接触する接着剤層26、および、接着剤層の少なくとも一部と接するアルカリ金属28から構成されている。接着剤層上にてアルカリ金属が分散または延在するエリアが、処理領域30を規定しており、それは図2Aの態様では円形領域となっている。リリース・ライナー32の寸法は、接着剤層26と実質的に同じ寸法を有するようになっている。この態様において、リリース・ライナー32の寸法は、バック層と実質的に同じ寸法を有するようになっている。リリース・ライナー32は、バック層の寸法dと実質的に同じ寸法dを有している。リリース・ライナーは、処理領域30および接着剤層26が露出されるべく、デバイスのユーザーによって除去される。接着剤層は、処理領域が規定されることになるように処理領域の周りの周縁接着剤であってよく、あるいは、処理領域が規定されることになるように接着剤層の一部にアルカリ金属箔またはアルカリ金属粒子がラミネートされもしくは組み込まれた連続的な接着剤層であってもよい。図2Bの態様では、デバイス36は、バック層38、接着剤マトリックス40、アルカリ金属箔42、および、リリース・ライナー44から構成される。リリース・ライナー44は、長さlおよび幅wを有しており、バック層38が、リリース・ライナーの長さl未満の長さlを有している。バック層38は、リリース・ライナーの幅wと実質的に同じ幅wを有している。幾つかの態様では、リリース・ライナーは、接着剤層の長さおよび幅より大きい長さおよび幅を有しているか、あるいは、接着剤層の直径より大きい直径を有している。幾つかの態様では、リリース・ライナーとバック層とは、実質的に同じ長さおよび幅を有しているか、あるいは、実質的に同じ直径を有しているところ、双方のケースにおいては、それらは処理領域の長さおよび幅より大きいか、若しくは処理領域の直径よりも大きくなっている。幾つかの態様では、リリース・ライナーは、接着剤層と接触して(または接して)いてよく、処理領域を覆っていてよい。さらに、幾つかの態様では、リリース・ライナーは、接着剤層の境界に至るまで又はそれを超えるように延在していてよく、処理領域を覆っていてよい。
【0033】
図2Bのデバイスは、リリース・タブ(または剥離用タブ、release tab)またはリフト・タブ(または持上げタブ、lift tab)46を含んでおり、デバイスからリリース・ライナーの容易な分離がされるようになっている。ある一方の態様において、タブ46は、非付着性材料(または非接着性材料)で覆われた接着剤層の一部に相当する。他方の態様において、タブ46は、上側サイド48および下側サイド50などの対向するサイド(または側面もしくは側部)を有するペーパーまたは材料を用いて形成され、かかる場合、上側サイドおよび下側サイドの一方または双方が、接着剤層に対して非付着性または付着性を呈する材料(または非接着性材料もしくは接着性材料)で処理されている。
【0034】
本明細書で説明されるデバイスのバック層は、水不透過性、酸素不透過性、または水および酸素の双方に関して不透過性の材料から一般に形成される。バック層は、透明であってよく、あるいは有色であってもよい。幾つかの態様において、バック層は、体の所望の部分にウェアラブルなデバイスを収容すべく伸縮自在となっている。ある態様において、伸縮自在なバック層は、水、酸素もしくはその双方に対して不透過性を有しており、織物または不織布と不透過性材料とからなるラミネートであるところ、織物または不織布が、1以上の方向にて少なくとも約2.5%、3%、3.5%、4%または5%長くまたは幅広くなることが可能となっている。例えば、幾つかの態様では、バック層は透明な接着剤がコートされたポリオレフィン(transparent, adhesive coated polyolefin)となっている。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ならびに、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴムなどのオレフィン・エラストマーであり得る。バック層は、アクリレート接着剤などの接着剤を含んで成るものであってよい。バック層は、対向するサイド(または側面もしくは側部)を有しており、接着剤層が、バック層の一方のサイドにコート(または被覆)されている。
【0035】
本明細書に説明されるデバイスの接着剤層は、一般に感圧接着剤(pressure-sensitive adhesive)である。感圧接着剤層は、疎水性接着剤を含んでなるものであってよい。疎水性接着剤は、アクリル酸モノマーまたはアクリレート・モノマーから形成される。アクリレート・モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、および2-クロロエチルビニルエーテル(または2-コロルエチルビニルエーテル)から成る群から選択される。疎水性接着剤はポリアクリレートである。
【0036】
アルカリ金属は、接着剤層に対してラミネートされ、接着剤層内に組み込まれ、接着剤層内に埋め込まれ、あるいは、接着剤層と接触状態にされている。幾つかの態様では、アルカリ金属は、メディカル処理またはコスメ処理のため患者または対象物・対象者の皮膚と接触すべく、接着剤層に又は接着剤層上に位置付けられている。アルカリ金属は、箔層として感圧接着剤層に対して付着していてよい。アルカリ金属は、感圧層と接している(または接触している)接着剤マトリックスまたはその上に分散していてよく、あるいは、当該接着剤マトリックスに埋め込まれたりそれ上に組み込まれたりしていてよい。
【0037】
本明細書に説明されるデバイスのリリース・ライナーは、一般的には、対向するサイド(または側面もしくは側部)を有する熱可塑性ポリオレフィン材料またはポリエステル材料であるところ、一方のサイドが剥離性(またはリリース可能な、releasable)コーティング材料で被覆されている。ポリオレフィン材料としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンが含まれ得る。幾つかの態様では、ポリエステル材料がポリエチレンテレフタレートとなっている。幾つかの態様では、剥離性コーティング材料がシリコーンを含んで成る。
【0038】
上述したように、幾つかの態様において、デバイスまたはリリース・ライナーは、リフト・タブ(lift tab)を含んでいてよく、それによって、所望のボディ・エリアにおけるウェアラブルなパッチの配置が助力される。リフト・タブは、接着剤層のエッジ部分とリリース・ライナーとの間に材料を挿入することにより形成され得る。幾つかの態様において、リフト・タブ材料は対向するサイド(または側面もしくは側部)を有するところ、対向するサイドの一方が、接着剤層に対して非付着性を呈する材料でコートされている。また、リフト・タブ材料は対向するサイドを有するところ、対向するサイドの少なくとも一方が、接着剤層に対して付着性を呈する材料でコートされていてもよい。
【0039】
図3は、幾つかの態様に従った、本明細書で説明されるデバイスが適用され得る人体60およびマルチプルな(または多数の)処理領域を示している。処理領域は、腕の脇下(arm pit)62、胸(chest)64、ならびに、額および目の下領域、頬、あごなどの顔の領域66(例えば、コスメ用途)を含んでいてよい。幾つかの態様において、本明細書で開示されるデバイスは、腕68、脚70、手72および足74などの四肢(extremity)に適用することができる。より一般的には、本明細書で開示されているように、熱を用いるメディカル処理またはコスメ処理のためのデバイスは、創傷部(wound)、傷口(cut)、発疹部(rash)、および体の表面のいずれの部分における他の皮膚の損傷(cutaneous lesion)に対して使用され得る。また、当該デバイスは、粘膜組織を含め、傷を受けておらず、損傷のないような皮膚または組織にも適用されるものであってもよい。
【0040】
図4は、コンテナー82、および、熱を用いるメディカル処理またはコスメ処理のための本明細書で説明されるデバイス84を含むシステム80を示している。コンテナーは、ユーザーによって開口可能であり、例えばコンテナーのエッジまたはサイド(もしくは側面もしくは側部)に沿って設けられた封止される(sealed)開口部86などを通じた開口が可能となっている。デバイス84は、コンテナー内にて取出し可能に配置される(またはコンテナー内から取り除くことができる若しくは除去できるように配置される)。コンテナーは、好ましくは保護コンテナー(protective container)となっており、コンテナーが水および/または酸素に不透過性であることに起因して、コンテナーが酸素および/または水(湿気)との接触からデバイスを保護する。封止される開口部86は、それが水および/または酸素不透過であるように封止される。幾つかの態様では、リムーバブルなシール(removable seal)は、ジップロック(zip-lock)などのハーメチック封止を含んでいる。デバイスは、本明細書で説明されるバック層、接着剤層、ならびに、単一のフリー・アルカリ金属および2以上のフリー・アルカリ金属同士から構成される合金から選択されるアルカリ金属を含むウェアラブルなパッチであってよい。また、システムは、使用のためのインストラクション(指示)88を含んでいてよく、例えば、ハンドリング指示、ユーザーが行うデバイスの適用および処分のガイドが含まれた印刷形態のインストラクション(指示)88を含んでいてよい。幾つかの態様では、インストラクション88は、ユーザーがスマートフォンでスキャンしてネットワーク源にアクセスできる印刷されたバーコードまたはクイック・レスポンス(QR)コードを含むものであってよい。ネットワーク源は、デバイスのための識別情報、ハンドリング・インストラクション、処分インストラクション、および/または、ユーザーの興味または関連する他のデータ、例えば、在庫データ、健康および材料の安全の情報、ならびにデバイスの使用方法などを含むものであってよい。
【0041】
図5は、図4の保護コンテナー94に設ける本明細書で説明される熱発生デバイス92から構成されるキット90を示している。不透過性コンテナーは、リムーバブルな又は開口可能なシール96を有して成っていてよく、それによって、ユーザーがデバイスにアクセスすることができ、オプション的(又は任意)には使用のためのインストラクション98にアクセスすることができる。キットは、ワイプ100および/または溶媒(もしくは溶剤もしくは媒体、solvent)102をオプション的(又は任意)に含んでいるところ、ワイプと溶媒とは(図示されるように)別個になっていてよく、あるいは、互いに組み合わされていてよい(例えば、溶媒がワイプ上に供されていたり又はワイプ内に供されていたりしてよい)。ある態様では、キットにおいてデバイスが用いられて熱処理するに先立って対象者・対象物の処理サイトを洗浄(またはクリーニング)および/または処理するためのワイプおよび/または溶媒がキットに供されている。ある態様では、不要物(または廃棄物、waster)または湿気を処理表面から吸収できる実質的に乾燥したワイプがキットに供されていてよい。ワイプは、例えば、処分可能な吸収パッドもしくは基材(または基板、substrate)、織物、編み物もしくは不織のクロスまたはファブリック、天然繊維もしくは合成繊維の物品、ならびに、水を吸収する他の物品である。別の態様では、洗浄試薬または溶媒で予め湿らされたワイプがキットに含まれている。ユーザーまたは医療提供者による開口のために、予め湿らされたワイプがパウチにてパッケージ化されていたり、あるいは液密パッケージング・ユニットでパッケージ化されていたりしてよい。ある態様において、洗浄試薬または溶媒は、処理サイトへの適用に際して発泡したり泡立ったりはしない。処理サイトを処理もしくは洗浄するための溶媒または試薬は、例えば、ちり・ほこり(dirt)、破片物(debris)、油(oil)、化粧品(cosmetics)および/またはバクテリアを除去する皮膚への適用に適したいずれの溶媒または試薬であってよい。ある態様では、予め湿らされたワイプは、実質的に水がない状態である。ワイプは溶媒または試薬で予め湿らされ得たり、あるいはコンテナー内の溶媒または試薬でワイプが予め湿らされ得たりするところ、そのような溶媒または試薬はイソプロピルアルコールまたはエタノールなどのアルコールであってよい。
【0042】
別の態様では、キットは、当該キットにてデバイスが用いられた熱処理後に対象者・対象物の処理サイトを洗浄(又はクリーニング)するためのクレンザー(または洗浄剤、cleanser)およびワイプをオプション的(又は任意)に有して成る。クレンザーおよびワイプはキットにて別個の要素として存在してよく、例えば、クレンザーと別個のワイプ(例えば、ガーゼ、織物の若しくは不織のファブリック、または吸収剤基材)とを備えるバイアルまたはボトルが供されてよい。クレンザーおよびワイプは組み合わされて、クリーニング・ワイプ(または洗浄ワイプ、cleaning wipe)を形成してよく、その場合、ワイプ上に又はワイプ内にクレンザーが供される。クリーニング・ワイプは、封止・封入される流体密コンテナーにてパッケージ化されていてよく、当該コンテナーはユーザーがクリーニング・ワイプを取り除くために開くことができ、そして、クリーニング・ワイプはクレンザーで部分的に又は十分に飽和させられていてもよい。ある態様において、キットは、当該キットにおいてデバイスが用いられて熱処理するに先立って対象者・対象物の処理サイトを洗浄および/または処理するためのワイプおよび溶媒(組み合わされた要素として、又は、別個の要素としてのワイプおよび溶媒)、ならびに、キットにてデバイスが用いられた熱処理後に対象者・対象物の処理サイトを洗浄するための第2のクレンザーおよびワイプ(組み合わされた要素として、又は、別個の要素としての第2のクレンザーおよびワイプ)を有して成る。別の態様では、キットは、キットにおいてデバイスが用いられて熱処理するに先立って及びその熱処理後の双方で対象者・対象物の処理サイトを洗浄および/または処理するのに適した単一のワイプおよび溶媒(組み合わされた要素として、又は、別個の要素としての単一のワイプおよび溶媒)を有して成る。別の態様では、単一のワイプおよび溶媒(組み合わされた要素として、又は、別個の要素としての単一のワイプおよび溶媒)は、キットにてデバイスが用いられて熱処理するに先立って又はその熱処理後のいずれか一方で対象者・対象物の処理サイトを洗浄および/または処理するのに適したものとなっている。
【0043】
ある態様において、キットは、ワイプ、および、デバイスによる処理に際して生じ、処理の間で皮膚または粘膜の表面にもたらされる反応生成物(上述した物)を中和する溶媒または試薬(組み合わされた要素として、又は、互いに別個の要素としてのワイプ、および溶媒または試薬)を有して成る。特に、水酸化物は、デバイスの使用に際して生じ、処理サイトに存在し続ける場合がある。例えば、反応生成物は、ナトリウム水酸化物またはカリウム水酸化物であり得、デバイスで使用されるアルカリ金属に基づくナトリウム水酸化物またはカリウム水酸化物であり得る。本明細書で説明されるキットおよび方法は、水酸化物反応生成物を除去、中和および/またはそのpHを減じる溶媒または試薬を含んで成っていてよい。溶媒または試薬の例としては、クエン酸および酢酸などの弱酸が挙げられる。
【0044】
幾つかの態様において、キットは、使用後にデバイスを処分するためのディスポーザル・コンテナー104を有して成る。ディスポーザル・コンテナー104は、使用済みデバイスを受容する寸法を有する封止可能な(または封入可能な、sealable)コンパートメント106、および、試薬コンパートメント108を有して成る。試薬コンパートメントは、試薬110を含有するか、あるいは、試薬110を受容および含有するように構成されている。当該試薬110は、キャリアーに置かれていたり、あるいは、試薬コンパートメントに直接的に置かれていたりしてよい。ある態様では、以下で更に説明されるように、ワイプ100および溶媒102がディスポーザル・コンテナーにおける使用のためキットに供されており、ワイプは試薬である溶媒のためのキャリアーである。かかる態様では、溶媒に浸されたワイプは、ユーザーによってディスポーザル・コンテナーの試薬コンパートメント108内に置くことができる。壁部112は、封止可能なコンパートメント106を試薬コンパートメント108から分けているところ、壁112が好ましくは試薬に対して不透過性を呈する。壁部は、試薬透過可能領域114を含んでいてよい。試薬透過可能領域114は、例えば、キャリアー(ワイプ)に置かれた試薬の通過を許容する多孔質膜などであり、そのような透過・通過によって、使用済みデバイスが一旦配置された際に封止可能なコンパートメントへと試薬が進入することが許容される。ある態様において、試薬は、室温以上で気化する溶媒であり、試薬分子が壁部の透過可能領域を横断するように透過して封止可能なコンパートメントへと入っていくことができる。試薬は、デバイスにおける未反応のアルカリ金属と反応する試薬として選択され、それによって、未反応なアルカリ金属と反応およびそれを中和化して安全な処分が許容される。幾つかの態様では、封止可能なコンパートメントは、アルカリ金属と試薬溶媒との反応に起因して生じるガス(例えばH、式1参照)を封止可能なコンパートメントから排出させることができる一方向バルブ116を含んでいる。
【0045】
図6を参照して、キットのディスポーザル・コンテナーについて更に説明する。図6は、使用後の未反応アルカリ金属を有して成る使用済みデバイスを処分するためのディスポーザル・キット120を示している。ディスポーザル・キットは、シングル・ユースの処分ユニットとして構成されていてよい(例えば、使用済みパッチが中和化された後でキットの少なくとも一部がユーザーにより処分される)。幾つかの態様において、ディスポーザル・キットは、ディスポーザル・キット自体が廃棄される前にマルチプルな(又は複数の)使用済みデバイスを受容および中和化するように構成されていてよい。更に他の態様において、ディスポーザル・キットは、ディスポーザル・キットからの使用済パッチの取出しを安全に実施できると例えばインディケーター手段により伝えられた際にディスポーザル・キットから取出されるされることになるマルチプルな使用済みデバイスを受容および中和化するように構成されていてよい。かかる態様では、使用され、中和化されたアルカリ・デバイスは、ディスポーザル・キットから取り出されて安全に廃棄されることになり得、それによって、更なる使用済みデバイスの継続的な導入が許容される。
【0046】
キット120は、キャビティ124を規定する壁部、および、キャビティ内へのデバイスの受容を可能とするように構成された開口部126を備えたディスポーザル・コンテナー122を有して成る。幾つかの態様において、処分可能なコンテナーは、水および/または空気に実質的に不透過性を呈し、閉鎖可能または再封止可能な開口部128を有している。幾つかの態様において、閉鎖可能または再封止可能な開口部128は、ディスポーザル・コンテナーに使用済みデバイス103を封入(または封止)すべく、スライド式ロック(例えばジップロック・トップ)またはスクリュー・キャップ(またはねじキャップもしくはネジ蓋、screw cap)を含んでいる。幾つかの態様では、ディスポーザル・コンテナーは、水透過性材料から少なくとも一部形成(または製造)される。幾つかの態様において、ディスポーザル・コンテナーは、ポリエチレンもしくはポリプロピレン・バイアル、または、ポリオレフィン・バックを含んでいてよい。さらに、幾つかの態様において、ディスポーザル・コンテナーは、少なくとも1以上の壁部(例えば正面側の壁部および背面側の壁部)を含んでいてよいところ、底壁部が正面側および背面側の壁部に取り付けられている。幾つかの態様において、ディスポーザル・コンテナーは、2つの側壁部を更に含み、各側壁部が正面側および背面側の壁部ならびに底壁部に取り付けられており、そのような壁部の少なくとも1つは可撓性を有している。幾つかの態様において、壁部の少なくとも1つは、円形であったり、あるいは、湾曲状(またはカーブ状)となっており、ディスポーザル・コンテナーが環状・輪状のキャビティを含んでいる。幾つかの態様では、コンテナーにおいて壁の少なくとも1つは、金属、金属箔(例えば、ステンレス鋼)、ポリオレフィン(例えばポリエチレンテレフタレート)、または、金属スパッタされたプラスチック・フィルム(metal-sputtered plastic film)を含んでいてよい。
【0047】
幾つかの態様において、ディスポーザル・コンテナーは、使用済デバイスの未使用の未反応アルカリ金属と化学的に反応し、安全な処分のため当該未使用な未反応アルカリ金属を中和させる反応物(またはリアクタント、反応物質もしくは反応剤またはそれらの部材もしくは部分、reactant)132を含んでいる。反応物は、水と混和性を有し、アルカリ金属を溶解させる溶媒であってよい。溶媒は、アルコールまたはグリコールを含んでいてよい。かかる場合、アルコールは、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ステアリル・アルコール、およびトリス(トリメチルシリル)メタノールから選択されるアルコールであってよく、グリコールは例えばプロピレン・グリコールであってよい。幾つかの態様において、反応物は、実質的に無水R-OH(~99%)溶液(Rは特定されない化学基である)であってよい。例えば、幾つかの態様において、反応物は、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、または、より予測可能なものであって遅い反応性を有するより重い通常のものとは異なる立体障害(sterically hindered)のアルコールを含んでいてよい。幾つかの態様では、反応物は、低粘度またはゲル状の溶液を含んでいてよく、アルカリ金属と反応させられる。幾つかの態様では、水または水溶液は、スポンジ、多孔質体または吸収ポリマー基材(または基板)などのキャリアー上に含まれているか、あるいは、かかるキャリアー内に含まれている。幾つかの態様では、吸収ポリマー基材(または基板)は架橋親水性合成ポリマーを含んで成るヒドロゲル(hydrogel)であってよい。幾つかの態様では、反応物は、トリグリセリド、または無水フォーム(または無水発泡体、anhydrous foam)を含んでいてよく、あるいは、無水エタノール中にてナトリウムまたは関連するする金属もしくは合金と反応した際にアルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、二フッ化ナトリウム(または酸性フッ化物ナトリウムもしくはフッ化水素ナトリウム、sodium difluoride)、フルオロケイ酸ナトリウム(sodium fluorosilicate)、メタホウ酸ナトリウム(sodium metaborate)、パラ過ヨウ素酸ナトリウム(sodium paraperiodate)、ステアリン酸ナトリウム(sodium stearate)、ナトリウムジルコニウムグリコレート(またはジルコニウムグリコール酸ナトリウム、sodium zirconium glycolate)、および、過レニウム酸ナトリウム(sodium perrhenate)(NaReO)から選択される化合物を生じることになる対イオン(counter ion)との化合物を含んでいてよい。ナトリウムまたは他のアルカリ金属の添加は、ノナヒドリドレネート(nonahydridorhenate)を生じることになる。これは、不活性塩を生じる正常に振る舞う反応である。幾つかの態様では、レニウム(Rh)化合物は、テクネチウム(Tc)またはマンガン(Mn)などより手頃な物質と置き換わってもよい。
【0048】
さらに、幾つかの態様において、キットは、外部源から水を受容する機構を含んでいてよい。幾つかの態様において、反応物は、ナトリウムと反応させた際にアルギン酸ナトリウム(NaC)、二フッ化カリウム(または酸性フッ化物カリウムもしくはフッ化水素カリウム)(KHF)、二フッ化ナトリウム(NaHF)、フルオロケイ酸ナトリウム(NaSiF)、メタホウ酸ナトリウム(NaBO)、パラ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)、ステアリン酸ナトリウム(NaOOCC1735)およびナトリウムジルコニウムグリコレート(NaZrH(HCOCOO))から選択される化合物を生じることになる対イオンとの化合物であってよい。
【0049】
幾つかの態様において、外部源から水を受ける(または受け取る)機構は、水透過性または湿気透過性のポリマー膜であり、図6で134として示されている。水に加えて又は水と塩との溶液に加えて、化学反応(式1)の速度を制限するのに使用され得る溶液としては、プロピレン・グリコール(PG)、アルコール、10M NaOHなどの高モルNaOH(水溶液)が挙げられ、それらは制御された手法でナトリウムと遅行的に(または遅く、slowly)反応する。
【0050】
付加的には、幾つかの態様において、反応物は、二酸化炭素を含んでいてよく、それにより、アルカリ金属のカーボネート(または炭酸塩、carbonate)が形成される。COは、ガス状形態であってよい。あるいは、少なくとも1つのコンパートメントが二酸化炭素を放出する物質で充填されてもよい。付加的に、四塩化炭素およびジクロロメタンはナトリウムと激しく反応し、使用済みナトリウムが消費(expend)されるべく使用され得る。
【0051】
幾つかの態様では、アルカリ金属反応(式1参照)後における生成物を中和することが有益となり得る。塩基性が高い(highly basic)アルカリ水酸化物(例えば、NaOH、式1参照)は、苛性(caustic)を有し、処分には危険を伴い得る。したがって、幾つかの態様では、反応溶液にバッファー、酸、または同様の化合物が含まれてよく、それによって、反応生成物(例えば、式1の右側)が中和または制御される。
【0052】
第1キャビティの1以上の壁は、水素を選択的に透過させる膜134(図6)を含んでいてよい。かかる半透過膜(または半透過性膜)は、ポリマー膜、多孔質膜、濃厚金属膜(または高密金属膜、dense metal membrane)またはイオン伝導性膜であってよい。多孔質膜の例としては、セラミック膜、カーボン膜、および金属膜が挙げられる。ポリマー膜の例としては、芳香族ポリイミド、ポリスルホン、セルロース・アセテート(または酢酸セルロース)、ポリエチレン、および、テトラブロモポリカーボネート(tetrabromopolycarbonate)が挙げられる。濃厚金属膜の例としては、パラジウム膜、および、パラジウム系合金膜が挙げられる。水素透過性膜は、ポリマー・マトリックスに分散したナノ粒子から成るハイブリット膜であってよく、例えば、プリアリナ・エー(Pulyalina A.)らの「ポリマー(10(8)):828(2018)」に記載されているようなものであってよい。幾つかの態様は、水蒸気またはスチームを保持しつつも水素を逃がすことができる。幾つかの態様において、アルカリ・パッチは、反応物(例えば、PG溶液)に部分的または全体的に浸漬されてよい。幾つかの態様は、高い湿度レベルが供されるように、コンテナー内の環境制御を含んでいる。後者のため、水蒸気またはスチームに対してより高い速度(または割合、rate)で水素をベント(または通気または排気)させる膜またはコンテナーが望まれ得る。
【0053】
ある態様において、水蒸気はパウチの第1キャビティに入り込み、アルカリ金属との反応が進行する(式1参照)。水素は、水素透過性の膜または材料を介してパウチから排出される。アルカリ金属が酸化され、高モル水酸化水和物(またはハイドロオキサイド・ハイドレート、hydroxide hydrate)、またはアルカリ水酸化物(例えばNaOH、式1参照)のクラスト(crust)もしくは層を使用済みパッチに残し得るところ、そのようなものは、第1キャビティで安全に封入(または封止)される。別の態様では、水素透過性膜は、少なくとも約10%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、75%の水素の透過速度(もしくは透過割合)または拡散速度(もしくは拡散割合)を有しているか、あるいは、水蒸気またはスチームの透過速度よりも高い透過速度・拡散速度を有している。
【0054】
幾つかの態様において、コンテナーにおける少なくとも第1キャビティは、壁を含んでいてよく、壁の少なくとも一部が、水素透過性膜または水素透過性材料(たとえば、上記で述べたようなもの等の合成ポリマー、及びその類)を含んでいる。幾つかの態様において、半透過膜は、水蒸気またはスチームに対して透過性を有するものであってよい。半透過膜は、コンテナーの底壁に配置されてよい。反応物とアルカリ金属との相互作用により放出される水素は、水素透過性膜を介してコンテナーから自由に排出されてよく、大気中に放出されてよい。使用済みパッチを含む封止・封入されたコンテナーは、規定の手続きを用いて安全に廃棄され得る。幾つかの態様では、コンテナーは、水源を含んでいてよく、または、外部の水源からの水(例えば、式1の左側の反応物)を受容する機構を含んでいてよい。ある態様では、使用済みパッチは、アルカリ金属またはその合金との反応のための水利用を制限し、それにより爆発を回避する手法でアルカリ金属またはその合金が水または水性溶液(または水溶液、aqueous solution)にさらされる。幾つかの態様では、反応物は、使用済みパッチを含むキャビティへと水(液体形態または気体形態の水)を遅く透過させる予め選択された拡散勾配を有する膜を含んでいてよい。幾つかの形態では、反応物は、プロピレン・グリコール(PG)+水、塩+水、または、アルコール+水などの水性溶液を含んでいる。幾つかの態様において、反応物は、水を伴って、制御された反応が供されるように制限された速度(または割合)でキャビティ内へと入り込むことを遅行的に(slowly)可能にするスポンジを含んでいてよい。
【0055】
幾つかの態様において、反応物は、焼結金属、多孔質ポリマー、多孔質プラスチック、または吸収ポリマー基材・基板(例えば、架橋親水性合成ポリマーを含むヒドロゲル)に組み込まれた水または水溶液を含んでいてよい。より具体的には、焼結金属は、使用済みパッチにて反応物溶液とアルカリ金属との間で律速界面(または律速インターフェースもしくは速度制限界面、rate-limiting interface)を形成する。さらに、金属が比較的大きい熱質量(thermal mass)を有するので、焼結金属は、反応するアルカリ金属の温度をその融点未満および水素の自己発火温度(または自然発火温度)未満に制限でき得る。焼結金属、プラスチック材料またはそれらの組合せは、蛇行パス(またはねじ曲りパス若しくは複雑なパス)/多孔パスを供していてよく、使用済みパッチを含むキャビティ内への水進入速度(または水進入割合)が制限されるようになっていてよい。幾つかの態様では、反応物は、ビーズ、フィルムまたはシートを含んでいてよく、それらは、ヒドロゲル、吸収ポリマー、高吸収ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、シリコーン、または、水もしくは水性溶液を含む適当な基材(または基板、substrate)のいずかの組合せから成っていてよい。
【0056】
幾つかの態様において、反応物は、プロピレン・グリコール(PG)の溶液を含んでいてよい。プロピレン・グリコールは、水と混和性を有する点で利点を有する。またそれは難燃性(または不燃性)で、使用に安全である。幾つかの態様において、反応物は、パッチの効果的な溶解のために、100%PG溶液を含んでいてよく、あるいは、PG/HOの他の比率(または比)を有していてよい。パッチがアルカリ金属箔シート(例えば、金属または合金が約0.0254mm~1.3mmまたは約0.1mm~0.3mm)を有する態様に対しては、100%PG溶液に浸漬させる際、アルカリを完全に溶解させるのに約30分間から24時間要することとなり得る。使用済みパッチのアルカリ層の溶解は、水性PG溶液(またはPG水溶液)中の水の量が増すとより速くなる。幾つかの態様において、水性PG溶液中の水のレベルをおよそ10%未満に維持することが望ましい場合があり、それによって、過剰な発熱およびアルカリ金属の溶融に起因する小さな金属ビーズの形成が回避される。アルカリ金属ビーズが溶液の表面に浮かぶ場合、かかるビーズと溶液、空気、および水蒸気との反応が継続され、ある場合では生じた水素が発火し得ることになる。
【0057】
幾つかの態様では、所望の反応速度を得るために、PG/水の溶液濃度が調整(例えば“チューン”、tune)されてよい。例えば、幾つかの態様では、水素生成の速度がコンテナーから水素が排出される速度よりも速くならないようにPG/水の溶液濃度を調整・チューンすることができる。水素は非常に小さい分子であり、それゆえ、含有させておくこと(contain)が難しい。標準的なコンテナー、例えば、スライド式シール(例えばジップロック(Ziploc)登録商標)または封止可能なフラップを有するポリエチレン・バッグなどの標準的なコンテナーは、使用済みパッチおよび溶媒を首尾よく含んでいてよく、水素の通過を可能とする(または膜もしくはタイベック(Tyvek)バッグを上述したように用いることができる)。しかしながら、反応が速すぎるほどの進行を伴う場合、コンテナーからの排出速度を超える速度で水素が形成され得る。したがって、幾つかの態様では、溶液のPGと水との比の慎重な選択が水素生成を遅くするものであってよく、コンテナーからの排出速度に匹敵(またはマッチ、match)する速度にまで水素生成を遅くするものであってよい。
【0058】
幾つかの態様では、反応物、またはディスポーザル・キットの少なくとも一部は、アルカリ金属との反応がいつ完了したかを示す色変化材料(color changing material)を含んでいてよい。より具体的には、反応物、またはディスポーザル・キットの一部は、反応がいつ完了したかを知覚可能な様式で物理的に変化する材料を含んでいてよい。熱によって、溶液のpHによって、または、そこに含まれる反応生成物によって、あるいは、その類によって物理的な変化が引き起こされ得るものであってよい。色変化は、反応がいつ完了したか及びディスポーザル・キットを処分するのがいつ安全かをユーザーに示すことが可能である。
【0059】
幾つかの態様では、ディスポーザル・キットは、高い熱容量(または大きい熱容量)を有する過剰の溶液を含んでいてよく、あるいは、コンテナーは、高い熱容量を有する金属または他の材料から形成された壁の少なくとも一部を含んでいてよい。
【0060】
幾つかの態様において、ディスポーザル・キットは、ラベルまたはリーフレット(または説明書、leaflet)を含んでいてよい(例えば、そのようなラベルまたはリーフレットは、一方の壁の外側にスタンプされていたり、コンテナーの内側に緩く配置されていたり、あるいは、ストリングを介して取り付けられていたりしてよい)。ラベルまたはリーフレットは、使用のための指示セット136を含んでいてよい。幾つかの態様において、指示は、コンテナーに直接的にプリントされていてよく、あるいは、使用済みパッチの接着部分に配された材料に設けられ(またはプリントされ)ていてもよい。
【0061】
図7は、幾つかの態様に従った、熱を組織に適用するメディカル処理またはコスメ処理のための方法150の工程を示すフロー・チャートである。当該方法150は、ウェアラブルなパッチなど、本開示と合致するデバイスのいずれか1つを用いて実施することができる。幾つかの態様において、方法150は、本明細書で開示したような、ウェアラブルなデバイス、貯留コンテナー、ディスポーザル・コンテナー、溶媒、および、試薬を含むシステムならびにキットの使用を含んでいる。さらに、幾つかの態様において、本開示と合致する方法は、本明細書で開示したような1つ以上の工程をいずれの順番で含んでよく、あるいは、そのような工程を逐次的に、同時に、繰り返し、もしくは時間的に一部オーバーラップするように含んでいてよい。
【0062】
工程152は、不透過性の保護コンテナー(または保護不透過性コンテナーもしくは不透過性を呈する保護コンテナー、protective, impermeable container)に取出し可能に配置されたデバイスを含む熱デリバリー・システム(heat delivery system)を供することを含んでいる。デバイスは、バック層、接着剤層、ならびに、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択されるアルカリ金属を含んでいてよい。アルカリ金属は処理領域を規定する。幾つかの態様において、熱デリバリー・システムは、処理領域に接触するリリース・ライナーを含んでいる。
【0063】
工程154は、リリース・ライナーが除去されるべく除去すること又はインストラクションを出すことを含んでいる。
【0064】
工程156は、対象者・対象物の表面の処理サイトにデバイスが適用されるべく適用すること又はインストラクションを出すことを含んでいる。例えば、処理サイトは、被術者の皮膚表面または粘膜表面であり得る。表面へのデバイス適用によって、処理される表面を有する処理領域がデバイスに接触することになる。処理される表面(例えば、皮膚、粘膜組織)上の湿気又は処理される表面(例えば、皮膚、粘膜組織)における湿気は、アルカリ金属と反応して、処理のための量を伴った熱が発生する。ある態様では、このような処理は、被術者の皮膚表面からの汗の生成(又は汗生成物)を減じる又は排除する。
【0065】
方法は、提供、除去および適用の初期工程後の時間において1以上の回数で工程152、154または156を繰り返す工程158をオプション的(又は任意)に含んでいる。ある態様では、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間または12週間といった初期工程後の時間にて繰り返す工程が含まれる。
【0066】
ある態様では、図7に示される方法は、多汗症(多量の汗、hyperhidrosis)の処理のためであるところ、デバイスを用いる処理が、皮膚処理サイトの下の腺からの汗の生成(または汗生成物)を減じる又は排除する。
【0067】
ある態様において、デバイスの処理表面への適用で生じた熱の量は、接触ポイントでの水の量によって制御されたり、そのような接触ポイントでの水の量に比例したり、および/または制限される。ある態様では、アルカリ金属(例えば、ナトリウム・フリー金属、カリウム・フリー金属、フリー・アルカリ金属同士の合金)が十分に消費された際に発熱反応が停止するので、生じる熱の量は、反応に関与した金属の量によって直接的に算出され制御され得る。ある態様において、発熱反応は、処理表面における水が消費された際に停止する。生じた熱の量は、アルカリ金属の量によって制御可能であり、および/または、アルカリ金属との反応に利用可能な水の量によって制御可能である。
【0068】
本明細書で使用されているように、一連の項目の前に付されている「少なくとも1つ(at least one of)」といったフレーズであって、当該項目を区別するために「および(and)」または「または(or)」の用語と共に付されている「少なくとも1つ」は、列挙(またはリスト、list)の各部材(例えば各項目)を変更するというよりもむしろ、全体として列挙を変更する。「少なくとも1つ」といったフレーズは、少なくとも1つの項目の選択を必ずしも要するものではなく、むしろ、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、および/または、項目のいずれかの組合せの少なくとも1つ、および/または、項目の各々の少なくとも1つを含む意味を許容する。例示すると、「A、BおよびCの少なくとも1つ」または「A、BまたはCの少なくとも1つ」といった各用語は、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ、そして、A、BおよびCのいずれかの組合せ、ならびに/または、A、BおよびCの各々の少なくとも1つのことを指している。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる観点でいえば、「含む(include)」、「有する(have)」またはその類の用語は、請求項で移行語として用いられる用いられる際に解釈されるような「有して成る/含んで成る(include)」の用語と同様な手法で包括的に(他の要素をも含み得るように)捉えられるものである。本明細書において「例示/例示的(exemplary)」といった用語は、「例(example)、事例(instance)またはイラストレーション/図例(illustration)として供する」ことを意味するものとして用いられている。「例示/例示的(exemplary)」として本明細書で説明しているいずれの態様であっても、他の態様と比べてより好適である又は有利であると必ずしも解されるものではない。
【0070】
単数の要素は、他で特段言及されていない限りは「単一および唯一(one and only one)」であるというよりもむしろ「1またはそれによりも多い/1以上(one or more)」であることが意図されている。本開示にて説明される種々の構成の要素に等しい全ての構造的または機能的な均等物・均等事項であって、当業者に知られている又は後刻に当業者に知られる均等物・均等事項は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、主題の技術によって包含されるものであることが意図される。さらに、本明細書で開示する事項は、かかる開示が上記説明に明示的に記載されている否かに拘わらず公共に供されるものがないことを意図している。
【0071】
本明細書は多くの具体的な事項を含んでいるものの、これらは特許請求として規定される範囲を制限するものとして解されるべきでなく、むしろ、主題のある特定の実施に関する説明と解されるべきである。別個の態様に関する文脈で本明細書にて説明している或る特徴は、単一の態様において組合せにて実施できるものである。逆に、単一態様に関する文脈で説明している種々の特徴は、別個にマルチプルな態様(または複数の態様)で実施できるか、あるいは、いずれかの適当なサブ・コンビネーションで実施できる。さらに、特徴は或る組合せで作用するものとして上述され得、そういうものとして初期にクレーム化され得るものの、クレーム化される組合せからの1以上の特徴は、あるケースでは当該組合せから除すことができ、クレーム化された組合せがサブ・コンビネーション又はサブ・コンビネーションのバリエーションに向けられ得る(またはそれを対象とし得る)。
【0072】
本明細書の主題は、特定の要旨(aspect)の観点で説明したものの、他の要旨であっても実施することができ、添付の特許請求の範囲内に含まれる。例えば、操作は図面にて特定の順番で表している。しかしながら、これは、所望の結果が達成されるべく、示された特定の順番で又は順次的な順番でそのような操作が行われることを要するとして理解されるべきでなく、あるいは、示された操作の全てが行わるべきと理解されるべきではない。特許請求の範囲に記載された作用・行為(またはアクション、action)は、異なる順番でなされ得るものであり、そうでありながらも依然に所望の結果が達成され得る。1つの例として、添付の図面に表されているプロセスは、所望の結果の達成のため、必ずしも示されている特定の順番または順次的な順番を要しない。ある状況・環境においては、マルチタスクに並行に処理することは有利となり得る。さらに、上述の要旨における種々のシステム要素(または系の要素)の分離は、全ての要旨でかかる分離を要すると理解されるべきではなく、上述したプログラム要素およびシステムが、一般的に、単一のソフトウェア製品へと一体的に統合され得たり、あるいは、マルチプルな(または複数の)ソフトウェア製品へとパッケージ化され得たりする。他のバリエーションは、添付の特許請求の範囲内に含まれる。
【0073】
ある要旨において、方法は、操作、インストラクション(指示)または機能であり得、その逆であってもよい。ある要旨において、ある請求項は、他の1つ以上の請求項の単語(例えば、インストラクション、操作、機能または要素)、1つ以上の用語・言葉、1つ以上の文、1つ以上のフレーズ、1つ以上の段落、および/または1つ以上の請求項の幾つか又は全てを含むように補正され得るものである。
【0074】
上述の記載は、本技術の種々の要旨の例示が意図されている。本明細書で提示されている例(または実施例)により添付の特許請求の範囲が制限されることは意図されていない。本発明は十分に説明されており、当業者にとっては、添付の特許請求の範囲の概念または範囲から逸脱することなく本発明に対して多くの変更および改変を施せることが理解できるであろう。
【0075】
ハードウエアおよびソフトウェアの相互変更・相互交換を示すために、種々の例示的なブロック、モジュール、要素、方法、操作、インストラクション(指示)およびアルゴリズムなどの項目(または要素、item)を、それらの機能の点で一般的に説明してきた。そのような機能が、ハードウエア、ソフトウェア、またはハードウエアとソフトウェアとの組合せとして実施されるか否かは、特定の用途、および全体的なシステムに課される設計制約に依存する。専門家(skilled artisans)は、各々の特定の用途のため種々の方法で説明された機能を成し得る又は実施し得る。
【0076】
本明細書で使用されているように、一連の項目の前に付されている「少なくとも1つ(at least one of)」といったフレーズであって、当該項目を区別するために「および(and)」または「または(or)」の用語と共に付されている「少なくとも1つ」は、列挙(またはリスト、list)の各部材(例えば各項目)を変更するというよりもむしろ、全体として列挙を変更する。「少なくとも1つ」といったフレーズは、少なくとも1つの項目の選択を必ずしも要するものではなく、むしろ、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、および/または、項目のいずれかの組合せの少なくとも1つ、および/または、項目の各々の少なくとも1つを含む意味を許容している。例示すると、「A、BおよびCの少なくとも1つ」または「A、BまたはCの少なくとも1つ」といった各用語は、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ、そして、A、BおよびCのいずれかの組合せ、ならびに/または、A、BおよびCの各々の少なくとも1つのことを指している。
【0077】
本明細書において「例示/例示的(exemplary)」といった用語は、「例(example)、事例(instance)またはイラストレーション/図例(illustration)として供する」ことを意味するものとして用いられている。「例示/例示的(exemplary)」として本明細書で説明されているいずれの態様であっても、他の態様と比べてより好適である又は有利であると必ずしも解されない。要旨(an aspect, the aspect)、別の要旨、幾つかの要旨、1つ以上の要旨、実施(an implementation, the implementation)、別の実施、幾つかの実施、1つ以上の実施、態様(an embodiment, the embodiment)、別の態様、幾つかの態様、1つ以上の態様、構成(a configuration, the configuration)、別の構成、幾つかの構成、1つ以上の構成、主題技術、開示、本開示、それらの他のバリエーションとなる表現、およびその類の表現・フレーズは、便宜的なものであり、そのような表現・フレーズに関連する開示が主題技術に本質的であることを暗に意味しておらず、あるいは、当該開示が主題技術の全ての構成に適用されるといったことを暗に意味していない。このような表現・フレーズに関連する開示は、全ての構成または1つ以上の構成に適用され得る。かかる表現・フレーズに関連する開示は、1以上の例を提供し得る。要旨または幾つかの要旨などといった表現・フレーズは、1以上の要旨を指しているものであり得、その逆もまたしかりであり、これは他の上述の表現・フレーズに対しても同様に当てはまる。
【0078】
単数の要素は、他で特段言及されていない限りは「単一および唯一(one and only one)」であるというよりもむしろ「1またはそれによりも多い/1以上(one or more)」であることが意図されている。男性に関する代名詞(例えば「彼の」(his)など)は、女性および中性的な性別(例えば「彼女またはそれの」(her and its)など)を含んでおり、その逆もしかりである。「幾つか/ある(some)」といった用語は、1以上であることを指している。下線部および/またはイタリック体のタイトル・サブタイトル(見出し・副見出し)などは、あくまでも便宜的に用いられるものであり、主題となる技術を制限せず、当該主題技術の説明の解釈に関連して参酌されるものではない。“第1”および“第2”などの関連性を示す用語は、ある物・事項(entity)または作用(アクション)を別の物・事項または作用(アクション)と区別するために用いられ得るものであり、かかる物・事項または作用(アクション)間における現実的な関係または順番がそのようであることを必ずしも要しておらず、あるいは、そのような現実的な関係または順番を暗に意味していない。本開示にて説明される種々の構成の要素に等しい全ての構造的または機能的な均等物・均等事項であって、当業者に知られている又は後刻に当業者に知られる均等物・均等事項は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、主題の技術によって包含されるものであることが意図される。さらに、本明細書で開示する事項は、かかる開示が上記説明に明示的に記載されている否かに拘わらず公共に供されるものがないことを意図している。要素が「~のための手段(means for)」を用いて明示的に記載されたり、あるいは方法クレームで「~のための工程(step for)」を用いて規定されていたり等が為されていない限り、米国特許法第112条第6パラグラフ(35 U.S.C.)の条項下でクレーム要素が解釈されることはない。
【0079】
本明細書は多くの具体的な事項を含んでいるものの、これらは特許請求として規定される範囲を制限するものとして解されるべきでなく、むしろ、主題のある特定の実施に関する説明として解されるべきである。別個の態様の文脈で本明細書で説明されている或る特徴は、単一の態様にて組合せで実施できるものである。逆に、単一態様の文脈で説明されている種々の特徴は、別個にマルチプルな(又は複数の)態様で実施できるか、あるいは、いずれかの適当なサブ・コンビネーションで実施できる。さらに、特徴は或る組合せで作用するものとして上述されているものであり得、そういうものとして初期に説明され得るものの、説明される組合せからの1以上の特徴は、あるケースでは当該組合せから除すことができ、説明される組合せは、サブ・コンビネーション又はサブ・コンビネーションのバリエーションに向けられ得るものである(またはそれを対象とし得る)。
【0080】
タイトル、背景、図面の簡単な説明、要約、および、図面は、本開示に組み込まれているところ、制限的な記載として供されず本開示の例示的な例として供されている。そのようなタイトル、背景、図面の簡単な説明、要約、および、図面は、特許請求のクレーム範囲および意味を制限するものとして用いられないことは理解され得ることがある。さらに、詳細な説明において、記載・説明は、例示的な例を供し得るものであり、種々の特徴は、本開示の合理化の目的で種々の実施にて共にグループ化されることが理解され得る。本開示の方法は、説明される主題が各クレームで明示的に規定している特徴よりも多い特徴を要するといった意図を反映しているとは解釈されない。むしろ、クレームによりもたらされるように、本発明の主題は、単一の開示の構成または操作の全ての特徴よりも少ないものとして存在する。クレームの事項は、各クレームが別個に説明される主題として独自に設けられているが、詳細な説明に組み込まれる。
【0081】
特許請求の範囲は、本明細書で説明される要旨への制限を意図しておらず、クレーム用語と十分な範囲で見合うものの享受を意図し、法的に均等なあらゆる物・事項が包含されることが意図されている。そうではあるものの、クレームは、適用可能な特許法の要件を満たさない主題を含むことまで意図しておらず、あるいは、そのように特許法の要件を満たさない主題を含むと解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
水、酸素、または水と酸素との双方に対して不透過性のバック層;
バック層と接触している接着剤層;
単一の純粋アルカリ金属および複数の純粋アルカリ金属の合金から選択され、接着剤層の少なくとも一部と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属;ならびに、
接着剤層および処理領域と接触しているリリース・ライナー
を有して成る、デバイス。
【請求項2】
熱デリバリー・システムであって、
水、酸素、または水と酸素との双方に対して不透過性の保護コンテナー;および
不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイス
を有して成り、
デバイスが、バック層、接着剤層、単一の純粋アルカリ金属および複数の純粋アルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、接着剤層と接触している除去可能なリリース・ライナーを有して成る、熱デリバリー・システム。
【請求項3】
キットであって、
水に対して不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスを有して成る熱デリバリー・システム;
任意に設けられるワイプ;および
デバイスを処分するための手段
を有して成り、
デバイスが、バック層、接着剤層、ならびに、単一の純粋アルカリ金属および複数の純粋アルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属を有して成る、キット。
【請求項4】
多汗症を処理するための方法であって、
水に対して不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスであって、バック層、接着剤層、単一の純粋アルカリ金属および複数の純粋アルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、処理領域と接触しているリリース・ライナーを有して成るデバイスを有して成る熱デリバリー・システムを提供すること;
リリース・ライナーの除去のために除去する又は指示を出すこと;ならびに
被術者の皮膚にデバイスを適用し、それによって、処理領域が処理サイトの皮膚と接触することになるように適用する又は指示を出すこと
を含んで成り、
皮膚上の湿気または皮膚における湿気がアルカリ金属と反応して熱を発生させ、処理サイトの汗生成を減じる、方法。
【請求項5】
処理領域が長さおよび幅、もしくは直径を有しており、バック層が、処理領域の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、処理領域の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~4のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項6】
リリース・ライナーが、処理領域の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、処理領域の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項7】
リリース・ライナーが、バック層の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、バック層の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~6のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項8】
リリース・ライナーが、接着剤層の長さおよび幅よりも大きい長さおよび幅を有するか、または、接着剤層の直径よりも大きい直径を有する、請求項1~7のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項9】
リリース・ライナーおよびバック層は、実質的に同じ長さおよび幅を有するか、あるいは、実質的に同じ直径を有しており、その双方の場合において、リリース・ライナーおよびバック層は、処理領域の長さおよび幅よりも大きいか、または、処理領域の直径よりも大きい、請求項1~5のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項10】
リリース・ライナーは、(i)接着剤層と接触しており、(ii)処理領域をカバーしている、請求項1~9のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項11】
リリース・ライナーが、接着剤層の境界に至るまで又は接着剤層の境界を超えるように延在しており、処理領域をカバーしている、請求項1~10のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項12】
リフト・タブが、接着剤層のエッジ部分とリリース・ライナーとの間に材料を挿入することにより形成されている、請求項1~11のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項13】
リフト・タブ材料は対向するサイドを有しており、対向するサイドの一方が、接着剤層に対して非付着性を呈する材料でコートされている、請求項12に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項14】
リフト・タブ材料は対向するサイドを有しており、対向するサイドの一方が、接着剤層に対して付着性を呈する材料でコートされている、請求項12または13に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項15】
バック層が透明である、請求項1~14のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項16】
バック層が透明な接着剤がコートされたポリオレフィンである、請求項1~15のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項17】
バック層のポリオレフィンがポリエチレンであり、接着剤がアクリレート接着剤である、請求項16に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項18】
接着剤が感圧接着剤である、請求項16または16に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項19】
リリース・ライナーが、対向するサイドを備える熱可塑性ポリオレフィン材料またはポリエステル材料であって、対向するサイドの一方が剥離性コーティング材料でコートされている、請求項1~18のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項20】
ポリオレフィン材料がポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項19に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項21】
ポリエステル材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項19に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項22】
剥離性コーティング材料がシリコーンを含んで成る、請求項19~21のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項23】
アルカリ金属が、純粋ナトリウムおよび純粋カリウムから選択される、請求項1~22のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項24】
アルカリ金属が、ナトリウムおよびカリウムから選択される純粋アルカリ金属同士の合金である、請求項1~23のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項25】
アルカリ金属および合金が塩または酸化物でない、請求項1~24のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項26】
アルカリ金属が連続的な層である、請求項1~25のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項27】
アルカリ金属が粒子集団である、請求項1~25のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項28】
バック層が対向するサイドを有し、バック層の一方のサイドに接着剤層がコートされており、接着剤層が感圧接着剤層である、請求項1~27のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項29】
感圧接着剤層が疎水性接着剤から構成される、請求項28に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項30】
疎水性接着剤は、アクリル酸モノマーまたはアクリレート・モノマーから形成される、請求項29に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項31】
アクリレート・モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、および2-クロロエチルビニルエーテルから成る群から選択される、請求項30に記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項32】
疎水性接着剤は、ポリアクリレートである、請求項29~31のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項33】
アルカリ金属が、感圧接着剤層に付着している、請求項28~32のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項34】
アルカリ金属は、感圧層と接触している接着剤マトリックスに設けられているか又は前記接着剤マトリックスに埋め込まれている、請求項28~32のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項35】
処理領域が幾何学形状を有すると共に、バック層が幾何学形状を有し、処理領域の幾何学形状がバック層の幾何学形状と異なる、請求項1~34のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項36】
処理領域が卵状形状を有し、バック層が矩形状の形状を有する、請求項1~35のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項37】
処理領域がエリアを有すると共に、バック層がエリアを有し、処理領域のエリアがバック層のエリアよりも少なくとも10%小さい、請求項1~36のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項38】
請求項3および5~37のいずれかに記載のキットであって、デバイスを処分するための手段が、デバイスを受容するように構成されたキャビティ、および、キャビティ内にデバイスが受容されるように構成された開口部を有して成るディスポーザル・コンテナーであって、開口部が閉鎖可能な開口部であるか、密閉できるようになっており、
ディスポーザル・コンテナーが、
(i)アルカリ金属を溶解させる溶媒;
(ii)水素または水素のスカベンジャーの排出のための手段;および
(iii)水源または外部の水源から水を受ける機構
のうちの1以上を有して成る、キット。
【請求項39】
溶媒が水と混和性を有する、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
デバイスを処分するための手段は、デバイスを受容するディスポーザル・コンテナーであり、コンテナーが、アルカリ金属のための反応物またはアルカリ金属の可溶化剤にアルカリ金属を制御可能にさらすことを許容する要素を有して成る、請求項38または39に記載のキット。
【請求項41】
アルカリ金属の反応物または可溶化剤が、アルコールおよびグリコールから選択される溶媒である、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
アルコールが、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ステアリル・アルコール、およびトリス(トリメチルシリル)メタノールから選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
グリコールがプロピレン・グリコールである、請求項41または42に記載のキット。
【請求項44】
キットが、実質的に乾燥しているワイプを有して成る、請求項3および5~43のいずれかに記載のキット。
【請求項45】
キットは、熱デリバリー・システムを用いる処理の前または後における処理サイトへの適用のための溶媒または試薬を更に有して成る、請求項3および5~44のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
溶媒または試薬は、コンテナーにてワイプとは別個になっている、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
溶媒または試薬は、予め湿らされたワイプが供されるように、ワイプ上またはワイプ内に存在する、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
キットは第2のワイプを有して成る、請求項44~47のいずれかに記載のキット。
【請求項49】
キットは、熱デリバリー・システムを用いる処理後の処理表面への適用のための第2の溶媒または第2の試薬を更に有して成る、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
第2の溶媒または第2の試薬は、コンテナーにて第2のワイプとは別個になっている、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
第2の溶媒または第2の試薬は、予め湿らされた第2のワイプが供されるように、第2のワイプ上または第2のワイプ内に存在する、請求項49に記載のキット。
【請求項52】
第2の溶媒または第2の試薬が弱酸である、請求項49~51のいずれかに記載のキット。
【請求項53】
弱酸がクエン酸または酢酸である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記適用のため適用する又は指示を出すことによって、少なくとも約2週間の期間において処理サイトの汗生成が一時的に非永久的に減じられる、請求項4~37のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記提供、前記除去および前記適用の少なくとも1つを繰り返すことを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記の繰り返しを、毎月、1か月おき、または3カ月ごとに行う、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
純粋アルカリまたは合金は、約0.0254~2.54mm(0.001インチ~0.10インチ)の厚さを有する箔の形態である、請求項1~56のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項58】
リリース・ライナーは、酸素、液体水および/または水蒸気に対して不透過性を有する、請求項1~57のいずれかに記載のデバイス、システム、キットまたは方法。
【請求項59】
皮膚処理表面または粘膜処理表面を処理するための方法であって、
対象において処理が必要とされる処理面皮膚または処理面粘膜を特定すること、
水に対して不透過性の保護コンテナーに取出し可能に配置されるデバイスであって、バック層、接着剤層、単一のアルカリ金属および複数のアルカリ金属の合金から選択され、接着剤層と接しており、処理領域を規定するアルカリ金属、ならびに、処理領域と接触しているリリース・ライナーを有して成るデバイスを有して成る熱デリバリー・システムを提供すること;
リリース・ライナーの除去のために除去する又は指示を出すこと;
任意に、第1のワイプでもって処理表面を拭取りに付すこと又は拭取りの指示を出すこと;
処理表面にデバイスを適用し、それによって、処理領域が処理表面と接触し、処理表面上の湿気または処理表面における湿気がアルカリ金属と反応して処理に要する量の熱を生じることになるように、適用する又は指示を出すこと;ならびに
任意に、前記適用のために適用する又は指示を出すことの後に、第2のワイプでもって処理表面を拭取りに付すこと、
を含んで成る、方法。
【請求項60】
皮膚処理表面または粘膜処理表面を処理するための方法であって、
本明細書で説明されるキットを提供すること
任意に、キットに供された第1のワイプでもって皮膚処理表面または粘膜処理表面を拭取りに付すこと又は拭取りの指示を出すこと;
処理表面にデバイスを適用し、それによって、デバイスの処理領域が処理表面と接触し、処理表面上の湿気または処理表面における湿気がアルカリ金属と反応して処理に要する量の熱を生じることになるように、適用する又は指示を出すこと;および
任意に、前記適用のために適用する又は指示を出すことの後に、キットに供された第2のワイプでもって処理表面を拭取りに付す又は拭取りの指示を出すこと
を含んで成る、方法。
【請求項61】
第1のワイプおよび第2のワイプは、それらの双方が存在する場合、互いに同じである、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
第1のワイプおよび第2のワイプは、それらの双方が存在する場合、互いに異なる、請求項59または60に記載の方法。
【請求項63】
第2のワイプは、試薬または溶媒で湿らされているか、あるいは、試薬または溶媒を含んで成る、請求項59~62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
第1のワイプは実質的に乾燥している、請求項59~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
溶媒または試薬はキットに供されているか、あるいは第1のワイプに供されている、請求項59~64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
第1のワイプのための溶媒または試薬は実質的に非水性である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
溶媒または試薬が、キットに供されているか、あるいは第2のワイプに供されている、請求項59~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
溶媒または試薬が弱酸である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
弱酸がクエン酸または酢酸である、請求項68に記載の方法。
【国際調査報告】