(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】インサート及びこれを含む切削工具組立体
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20230303BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20230303BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
B23C5/20
B23B27/14 C
B23C5/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538442
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2020016755
(87)【国際公開番号】W WO2021145554
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508151781
【氏名又は名称】デグテック エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】パク,チャンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェソン
【テーマコード(参考)】
3C022
3C046
【Fターム(参考)】
3C022KK03
3C022KK06
3C022KK12
3C022LL01
3C022LL02
3C022LL03
3C046CC06
(57)【要約】
被削材を切削するための工具に組み立てられるように構成されたインサートは、互いに垂直な第1仮想垂直軸及び第1仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部を含む上面と、互いに垂直な第2仮想垂直軸及び第2仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部を含み、高さ方向で上面の下側に形成される下面とを含む。高さ方向の下側に突出する下側リッジ部が下面に形成され、下面の中心に対して対称の第2及び第4下側コーナー部を横切る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材を切削するための工具に組み立てられるように構成されたインサートにおいて、
互いに垂直な第1仮想垂直軸及び第1仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部を含む上面と、
互いに垂直な第2仮想垂直軸及び第2仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部を含み、高さ方向で前記上面の下側に形成される下面と、を含み、
前記第1上側コーナー部及び前記第1下側コーナー部は、前記工具の長手方向での上側及び前記工具の半径方向での内側にそれぞれ配置され、
前記第1乃至第4上側コーナー部は、前記第1上側コーナー部に対して反時計方向に順に配置され、
前記第1乃至第4下側コーナー部は、前記第1下側コーナー部に対して反時計方向に順に配置され、
前記高さ方向の下側に突出する下側リッジ部が前記下面に形成され、前記下面の中心に対して対称の前記第2及び第4下側コーナー部を横切る、
インサート。
【請求項2】
切削エッジが前記第1乃至第4上側コーナー部のそれぞれに形成される、
請求項1に記載のインサート。
【請求項3】
前記高さ方向の上側に突出する上側リッジ部が前記上面に形成され、前記上面の中心に対して対称の前記第1及び第3上側コーナー部を横切る、
請求項1に記載のインサート。
【請求項4】
第1メイン切削エッジが前記第1及び第3上側コーナー部のそれぞれに形成され、前記被削材の表面に対して傾斜をなす第1ランピング切削エッジが前記第2及び第4上側コーナー部のそれぞれに形成される、
請求項3に記載のインサート。
【請求項5】
前記上面及び前記下面は、前記高さ方向に垂直で前記高さ方向での中心を通る長手方向の中心線の上側及び下側にそれぞれ形成され、
前記長手方向の中心線と前記第1及び第3上側コーナー部との間の第1厚さは、前記長手方向の中心線と前記第2及び第4上側コーナー部との間の第2厚さより大きい、
請求項4に記載のインサート。
【請求項6】
前記上側リッジ部を通る延長線と前記第1仮想水平軸との間の角度は30°~50°の間である、
請求項3に記載のインサート。
【請求項7】
第2ランピング切削エッジが前記第1及び第3下側コーナー部のそれぞれに形成され、前記被削材の表面に対して傾斜をなす第2メイン切削エッジが前記第2及び第4下側コーナー部のそれぞれに形成される、
請求項4に記載のインサート。
【請求項8】
前記第2及び第4上側コーナー部は、第1及び第2平面部をそれぞれ含み、前記第1及び第2平面部のそれぞれは平らな表面からなり、
前記第1及び第3下側コーナー部は、第3及び第4平面部をそれぞれ含み、前記第3及び第4平面部のそれぞれは平らな表面からなる、
請求項7に記載のインサート。
【請求項9】
前記下面は、前記下側リッジ部の両側に形成されて前記高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面を含み、
前記第1下側支持面から延びた延長線と前記第2下側支持面から延びた延長線との間の角度は130°~150°の間である、
請求項1に記載のインサート。
【請求項10】
前記上面の前記第1仮想水平軸に沿う長さは、前記上面の前記第1仮想垂直軸に沿う長さより長く、
前記下面の前記第2仮想水平軸に沿う長さは、前記下面の前記第2仮想垂直軸に沿う長さより長い、
請求項1に記載のインサート。
【請求項11】
切削工具組立体において、
被削材を切削するように構成されたインサートと、
インサートポケットを有する工具ホルダーであって、前記インサートが前記インサートポケットに安着するように前記工具ホルダーの端部に前記インサートポケットが形成される、前記工具ホルダーと、
前記インサートを前記インサートポケットに固定させるように構成されたスクリューと、を含み、
前記インサートは、
互いに垂直な第1仮想垂直軸及び第1仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部を含む上面と、
互いに垂直な第2仮想垂直軸及び第2仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部を含み、高さ方向で前記上面の下側に形成される下面と、を含み、
前記第1上側コーナー部及び前記第1下側コーナー部は、前記工具ホルダーの長手方向での上側及び前記工具ホルダーの半径方向での内側にそれぞれ配置され、
前記第1乃至第4上側コーナー部は、前記第1上側コーナー部に対して反時計方向に順に配置され、
前記第1乃至第4下側コーナー部は、前記第1下側コーナー部に対して反時計方向に順に配置され、
前記インサートは、前記下面が前記インサートポケットに向かうように配置され、
前記高さ方向の下側に突出する下側リッジ部が前記下面に形成され、前記下面の中心に対して対称の前記第2及び第4下側コーナー部を横切る、
切削工具組立体。
【請求項12】
前記工具ホルダーは回転軸を中心に回転するように構成され、
前記インサートポケットは、前記工具ホルダー内で前記回転軸から半径方向の外側に形成され、
前記インサートが前記インサートポケットに固定された状態で、前記第3上側コーナー部は、前記第2上側コーナー部より半径方向の外側に配置される、
請求項11に記載の切削工具組立体。
【請求項13】
前記インサートポケットは、前記下側リッジ部を収容するように形成されたリッジ溝を含み、
前記インサートポケットは、前記リッジ溝の両側に形成されて前記高さ方向の上側に傾いた第1及び第2底面をさらに含み、
前記インサートポケットは、前記高さ方向で前記第1及び第2底面の上側に形成された半径方向面及び軸方向面をさらに含む、
請求項11に記載の切削工具組立体。
【請求項14】
前記下面は、前記下側リッジ部の両側に形成されて前記高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面を含み、
前記第1下側支持面は、前記第1底面と接触するように構成され、
前記第2下側支持面は、前記第2底面と接触するように構成され、
前記インサートの前記第1及び第2上側コーナー部の間の第1側面は、前記半径方向面と接触するように構成され、
前記インサートの前記第1及び第4上側コーナー部の間の第2側面は、前記軸方向面と接触するように構成される、
請求項13に記載の切削工具組立体。
【請求項15】
ミリング加工時に、前記インサートに作用する移送分力は、前記第1底面と前記半径方向面によって支持される、
請求項13に記載の切削工具組立体。
【請求項16】
ランピング切削加工時に、前記インサートに作用する移送分力は、前記第1底面と前記軸方向面によって支持される、
請求項13に記載の切削工具組立体。
【請求項17】
長方形の切削インサートにおいて、
第1乃至第4上側コーナー部を含み、前記第1乃至第4上側コーナー部は、前記第1上側コーナー部に対して反時計方向に順に配置される上面と、
前記切削インサートの高さ方向で前記上面の下側に形成され、前記高さ方向で前記第1乃至第4上側コーナー部のうち対応する1つの下側にそれぞれある第1乃至第4下側コーナー部を含む下面と、
前記第1及び第3上側コーナー部に形成されるメイン切削エッジと、
前記第2及び第4上側コーナー部に形成されるランピング切削エッジと、
前記上面及び前記下面を連結する第1乃至第4側面と、
前記切削インサートの180°の回転対称の中心となる高さ方向の中心線を有し前記上面及び前記下面の間で貫通する開口と、を含み、
前記下面は、
前記高さ方向で下側に突出して前記第2及び第4下側コーナー部の間で対角線方向に延びる下側リッジ部と、
前記下側リッジ部の対向する側に形成され、前記下側リッジ部から前記高さ方向で上側に傾斜して前記下側リッジ部に沿って鈍角を限定する第1及び第2下側支持面と、を含む、
長方形の切削インサート。
【請求項18】
前記下側リッジ部に沿って前記第1及び第2下側支持面によって限定される前記鈍角は130°~150°の間である、
請求項17に記載の長方形の切削インサート。
【請求項19】
前記切削インサートは両面型で、
前記切削インサートは、
前記第2及び第4下側コーナー部に形成されるメイン切削エッジと、
前記第1及び第3下側コーナー部に形成されるランピング切削エッジと、
前記高さ方向で上側に突出して前記第1及び第3上側コーナー部の間で対角線方向に延びる上側リッジ部と、
前記上側リッジ部の対向する側に形成され、前記上側リッジ部から前記高さ方向で下側に傾斜して前記上側リッジ部に沿って鈍角を限定する第1及び第2上側支持面と、を含む、
請求項18に記載の長方形の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インサート及びこれを含む切削工具組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切削工具は、主に鉄系または非鉄系金属の切削に用いられ、使用時に、様々な工作機械に固定される。切削工具を用いて金属を切削する方式として、例えば、回転する金属製の被削材に切削工具の切削エッジを接触させて切削が行われる方式が知られている。もう1つの方式として、切削エッジを有する切削インサートを工具ホルダーに固定させ、工具ホルダーを工作機械に固定させた後、工具ホルダーの回転を通じて切削インサートを回転させながら予め固定された被削材に切削インサートを接触させて被削材を所望の形状に切削する方式が知られている。
【0003】
被削材と直接的に接触する切削インサートは、切削加工において重要な要素の1つである。また、切削インサートの材質及び形状が切削工具の寿命及び加工品質に影響を及ぼす。また、切削インサートを用いて被削材の作業対象の部分を切削して除去させる際、チップの形で発生する金属片を切削領域から安全に排出させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の多様な実施例は、上面のリッジ部と下面のリッジ部が対角線方向で互いに交差するように形成されたインサート、及びこれを含む切削工具組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面による実施例は、被削材を切削するための工具に組み立てられるように構成されたインサートに関わる。例示的な実施例によるインサートは、互いに垂直な第1仮想垂直軸及び第1仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部を含む上面と、互いに垂直な第2仮想垂直軸及び第2仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部を含み、高さ方向で上面の下側に形成される下面とを含む。第1上側コーナー部及び第1下側コーナー部は、工具の長手方向での上側及び工具の半径方向での内側にそれぞれ配置される。第1乃至第4上側コーナー部は、第1上側コーナー部に対して反時計方向に順に配置される。第1乃至第4下側コーナー部は、第1下側コーナー部に対して反時計方向に順に配置される。高さ方向の下側に突出する下側リッジ部が下面に形成され、下面の中心に対して対称の第2及び第4下側コーナー部を横切る。
【0006】
一実施例において、切削エッジが第1乃至第4上側コーナー部のそれぞれに形成される。
【0007】
一実施例において、高さ方向の上側に突出する上側リッジ部が上面に形成され、上面の中心に対して対称の第1及び第3上側コーナー部を横切る。
【0008】
一実施例において、第1メイン切削エッジが第1及び第3上側コーナー部のそれぞれに形成され、被削材の表面に対して傾斜をなす第1ランピング切削エッジが第2及び第4上側コーナー部のそれぞれに形成される。
【0009】
一実施例において、上面及び下面は、高さ方向に垂直で高さ方向での中心を通る長手方向の中心線の上側及び下側にそれぞれ形成される。長手方向の中心線と第1及び第3上側コーナー部との間の第1厚さは、長手方向の中心線と第2及び第4上側コーナー部との間の第2厚さより大きい。
【0010】
一実施例において、上側リッジ部を通る延長線と第1仮想水平軸との間の角度は30°~50°の間である。
【0011】
一実施例において、第2ランピング切削エッジが第1及び第3下側コーナー部のそれぞれに形成され、被削材の表面に対して傾斜をなす第2メイン切削エッジが第2及び第4下側コーナー部のそれぞれに形成される。
【0012】
一実施例において、第2及び第4上側コーナー部は、第1及び第2平面部をそれぞれ含み、第1及び第2平面部のそれぞれは平らな表面からなる。また、第1及び第3下側コーナー部は、第3及び第4平面部をそれぞれ含み、第3及び第4平面部のそれぞれは平らな表面からなる。
【0013】
一実施例において、下面は、下側リッジ部の両側に形成されて高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面を含む。第1下側支持面から延びた延長線と第2下側支持面から延びた延長線の間の角度は130°~150°の間である。
【0014】
一実施例において、上面の第1仮想水平軸に沿う長さは上面の第1仮想垂直軸に沿う長さより長い。下面の第2仮想水平軸に沿う長さは下面の第2仮想垂直軸に沿う長さより長い。
【0015】
本開示の一側面による実施例は、切削工具組立体に関わる。例示的な実施例による切削工具組立体は、被削材を切削するように構成されたインサートと、インサートポケットを有する工具ホルダーであって、インサートがインサートポケットに安着するように工具ホルダーの端部にインサートポケットが形成される工具ホルダーと、インサートをインサートポケットに固定させるように構成されたスクリューと、を含む。インサートは、互いに垂直な第1仮想垂直軸及び第1仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部を含む上面と、互いに垂直な第2仮想垂直軸及び第2仮想水平軸で区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部を含み、高さ方向で上面の下側に形成される下面とを含む。第1上側コーナー部及び第1下側コーナー部は、工具の長手方向での上側及び工具の半径方向での内側にそれぞれ配置される。第1乃至第4上側コーナー部は、第1上側コーナー部に対して反時計方向に順に配置される。第1乃至第4下側コーナー部は、第1下側コーナー部に対して反時計方向に順に配置される。インサートは下面がインサートポケットに向かうように配置される。高さ方向の下側に突出する下側リッジ部が下面に形成され、下面の中心に対して対称の第2及び第4下側コーナー部を横切る。
【0016】
一実施例において、工具ホルダーは回転軸を中心に回転するように構成され、インサートポケットは、工具ホルダー内で回転軸から半径方向の外側に形成される。インサートがインサートポケットに固定された状態で、第3上側コーナー部は、第2上側コーナー部より半径方向の外側に配置される。
【0017】
一実施例において、インサートポケットは、下側リッジ部を収容するように形成されたリッジ溝を含む。インサートポケットは、リッジ溝の両側に形成されて高さ方向の上側に傾いた第1及び第2底面をさらに含む。インサートポケットは、高さ方向で第1及び第2底面の上側に形成された半径方向面及び軸方向面をさらに含む。
【0018】
一実施例において、下面は、下側リッジ部の両側に形成されて高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面を含む。第1下側支持面は、第1底面と接触するように構成される。第2下側支持面は、第2底面と接触するように構成される。インサートの第1及び第2上側コーナー部の間の第1側面は、半径方向面と接触するように構成される。インサートの第1及び第4上側コーナー部の間の第2側面は、軸方向面と接触するように構成される。
【0019】
一実施例において、ミリング加工時に、インサートに作用する移送分力は、第1底面と半径方向面によって支持される。
【0020】
一実施例において、ランピング切削加工時に、インサートに作用する移送分力は、第1底面と軸方向面によって支持される。
【発明の効果】
【0021】
本開示の多様な実施例によれば、インサートの下面のV状の突出部(下側リッジ部)により、ミーリングカッターの回転方向の切削、半径方向の切削、及び軸方向の切削のような3次元切削においても、インサートは安定的に工具ホルダーに締結され得る。これにより、インサートで高速移送(high speed feeding)及び高傾斜切削(high angle cutting)を可能にし、被削材切削の生産性が向上し得る。
【0022】
本開示の多様な実施例によれば、上面に形成されたリッジ部または下面に形成されたリッジ部によりインサートが工具ホルダーに安定的に締結され得る。従って、高速移送または高傾斜切削を行っても、工具ホルダー内でインサートの位置変化を最小化することができ、インサート自体の破損と工具ホルダーからインサートが離脱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に含まれ本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の各実施例を例示する。
【0024】
【
図1】本開示の一実施例による切削工具組立体を示す斜視図である。
【0025】
【
図2】
図1に示す切削工具組立体の分解斜視図である。
【0026】
【
図3】
図2の方向とは異なる方向から見た、
図1に示す切削工具組立体の構成を示す分解斜視図である。
【0027】
【
図4】
図1に示す切削工具組立体が加工に用いられる際、インサートが受ける力を示す図である。
【0028】
【
図5】
図1に示す切削工具組立体を一般切削加工に用いる状態を示す図である。
【0029】
【
図6】ランピング切削加工に用いられる、
図1に示す切削工具組立体を示す図である。
【0030】
【
図7】本開示の一実施例によるインサートを示す斜視図である。
【0031】
【
図8】
図7に示すインサートの上面を示す上面図である。
【0032】
【
図9】
図7に示すインサートの下面を示す斜視図である。
【0033】
【
図10】
図7に示すインサートの側面を示す側面図である。
【0034】
【
図11】対角線方向から見た、
図7に示すインサートを示す側面図である。
【0035】
【
図12】
図1における工具ホルダーに締結されたインサートの拡大斜視図である。
【0036】
【
図13】
図12に示すインサートの下面が工具ホルダー内で支持される構成を説明するための図である。
【0037】
【
図14A】比較例による切削工具組立体の性能と本開示の一実施例による切削工具組立体の性能を比較するための図である。
【0038】
【
図14B】比較例による切削工具組立体の性能と本開示の一実施例による切削工具組立体の性能を比較するための図である。
【0039】
【
図15】本開示のもう1つの実施例によるインサートを示す斜視図である。
【0040】
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が以下に提示される実施例やこれら実施例に対する具体的説明に限定されるわけではない。
【0042】
本開示における全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解される意味または定義を含む。本開示における全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示の範囲を制限するために選択されたわけではない。
【0043】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等の表現は、当該表現が含まれる語句または文章において異なって言及されない限り、他の実施例を含む可能性を有する開放型用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0044】
本開示で記述された単数形の表現は異なって言及しない限り複数形の表現を含み得、これは請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0045】
本開示の多様な実施例で見られる、「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0046】
ここで用いられた「上側」、「上」等の方向用語は、添付図面において上面が下面に対して位置する方向に基づく。「下側」、「下」等の方向用語は上側方向または上方向の反対方向を意味する。添付図面に示す切削インサートは異なって配向することもあり、前記方向用語は、それに合わせて解釈され得る。
【0047】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付図面で、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略される。しかし、構成要素の技術が省略されても、そのような構成要素が一実施例に含まれないものとして意図されるわけではない。
【0048】
図1は、本開示の一実施例による切削工具組立体1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す切削工具組立体1の分解斜視図である。
図3は、
図2の方向とは異なる方向から見た、
図1に示す切削工具組立体の構成を示す分解斜視図である。
【0049】
切削工具組立体1はミリングマシンに用いられ得る。切削工具組立体1はミリングマシンに設けられ、それ自体で回転しながら被削材を切削するように構成され得る。切削工具組立体1は工具ホルダー20と、インサート100と、スクリュー30と、を含み得る。
【0050】
工具ホルダー20は、例えば、回転体の形状を有し得、回転軸RAを中心に回転するように構成され得る。工具ホルダー20の端部には少なくとも1つのインサートポケット200が形成され得る。インサートポケット200は工具ホルダー20内で回転軸RAから半径方向の外側に延びるように形成され得る。インサート100はスクリュー30によってインサートポケット200に安着し得る。スクリュー30はインサート100を貫通してインサートポケット200の底部に締結され得る。
【0051】
図1~
図3を参照すると、3つのインサートポケット200が工具ホルダー20の端部に形成され得、3つのインサート100がこれに対応するように提供され得る。インサートポケット200は周方向に互いに120°の角度差を置いて配置され得る。インサート100はメイン切削エッジ(main cutting edge)と、被削材の表面に対して傾斜をなすランピング切削エッジ(ramping cutting edge)を有し得る。インサートポケット200にインサート100が固定された状態では、メイン切削エッジがランピング切削エッジより半径方向の外側に向かうように配置され得る。これに関わる詳細は、後述する。
【0052】
図4は、
図1に示す切削工具組立体1が加工に用いられる際、インサート100が受ける力を示す図である。
図5は、
図1に示す切削工具組立体1を一般切削加工に用いる状態を示す図である。
図6は、ランピング切削加工に用いられる、
図1に示す切削工具組立体1を示す図である。インサート100は回転軸RAを中心に回転しながら被削材Wを切削することができる。
【0053】
図6を参照すると、回転軸RAに平行な方向は工具ホルダー20の長手方向LDと定義され得る。また、回転軸RAに垂直な方向は工具ホルダー20の半径方向RDと定義され得る。
【0054】
図5に示す座標系を参照すると、一般切削加工(general cutting process)では、切削工具組立体1が回転軸RAに垂直なX軸またはY軸方向には移動するが、回転軸RAに平行なZ軸方向には移動しない。ここで、X軸方向は切削工具組立体1の移送方向(feed direction)になり得る。従って、被削材Wはインサート100のメイン切削エッジと主に接触するようになり、ランピング切削エッジと接触する比率が少ない。
図4を参照すると、メイン切削エッジに作用するメイン切削力(main cutting force)F1が、ランピング切削エッジに作用するランピング切削力(ramping cutting force)F2より大きいこともある。
【0055】
図6に示す座標系を参照すると、ランピング切削加工(ramping cutting process)では、切削工具組立体1が回転軸RAに垂直なX軸またはY軸方向にも移動し、回転軸RAと平行なZ軸方向にも移動する。例えば、ランピング切削時にランピング角度は1°~2°の間になり得る。即ち、切削工具組立体1がX軸に移動する速度に比べてZ軸に移動する速度が顕著に低い。従って、被削材Wはインサート100のランピング切削エッジと主に接触するようになり、被削材Wのメイン切削エッジと接触する比率が低くなる。
図4を参照すると、メイン切削エッジに作用するメイン切削力F1が、ランピング切削エッジに作用するランピング切削力F2より大きいこともある。
【0056】
図7は、本開示の一実施例によるインサート100を示す斜視図である。
図8は、
図7に示すインサート100の上面を示す上面図である。
図9は、
図7に示すインサート100の下面を示す斜視図である。
図10は、
図7に示すインサート100の側面を示す側面図である。
図11は、対角線方向から見た、
図7に示すインサート100を示す側面図である。
【0057】
図7を参照すると、インサート100は両面型(double-sided)インサートから構成され得、上面101と、下面102と、第1乃至第4側面103,104,108,109とを含み得る。インサート100は幅方向中心を通る高さ方向の中心線M1と、高さ方向中心を通る長手方向の中心線M2とを有し得る。高さ方向の中心線M1と長手方向の中心線M2とが交差する地点は、インサート100の質量の中心になり得る。上面101及び下面102は長手方向の中心線M2の上側及び下側にそれぞれ形成される。インサート100は高さ方向の中心線M1に沿って貫通した開口150を有し得る。
図2に示すスクリュー30が開口150を貫通し得る。
【0058】
図8を参照すると、上面101は、互いに垂直な第1仮想水平軸HA1及び第1仮想垂直軸VA1に区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4上側コーナー部110,120,130,140を含み得る。上面101の第1仮想水平軸HA1の方向に沿った長さは、上面101の第1仮想垂直軸VA1の方向に沿った長さより長いこともある。上面101の中心に対して対称の第1及び第3上側コーナー部110,130を横切り、高さ方向で上側に突出する上側リッジ部105が上面101に形成され得る。
【0059】
図8を参照すると、インサート100において、第1側面103は、第1及び第2上側コーナー部110,120間に形成された側面を称し、第2側面104は、第1及び第4上側コーナー部110,140間に形成された側面を称し、第3側面108は、第3及び第4上側コーナー部130,140間に形成された側面を称し、第4側面109は、第2及び第3上側コーナー部120,130間に形成された側面を称する。
【0060】
一方、インサート100がインサートポケット200に固定されている際(
図5参照)、第2及び第3上側コーナー部120,130は、第1及び第4上側コーナー部110,140より工具ホルダー20の端部に近く位置し得る。また、第3上側コーナー部130は、第2上側コーナー部120より半径方向の外側に配置され得る。
【0061】
図9を参照すると、下面102は上面101に対して高さ方向で下側に形成される。下面102は、互いに垂直な第2仮想垂直軸VA2及び第2仮想水平軸HA2に区分されたそれぞれの四分面に形成された第1乃至第4下側コーナー部160,170,180,190を含み得る。下面102の第2仮想水平軸HA2の方向に沿った長さは、下面102の第2仮想垂直軸VA2の方向に沿った長さより長いこともある。下面102の中心に対して対称の第2及び第4下側コーナー部170,190を横切り、高さ方向の下側に突出する下側リッジ部106が下面102に形成され得る。
【0062】
第1乃至第4上側コーナー部110,120,130,140のそれぞれの高さ方向の下側には、第1乃至第4下側コーナー部160,170,180,190が順に位置する。従って、インサート100の上側または下側から見た方向を基準に、上側リッジ部105と下側リッジ部106は対角線方向に交差する。
【0063】
図5を参照すると、第1上側コーナー部110と第1下側コーナー部160は、工具ホルダー20の長手方向LDでの上側と工具ホルダー20の半径方向RDでの内側にそれぞれ配置される。第1乃至第4上側コーナー部110,120,130,140は、第1上側コーナー部110に対して反時計方向に順に配置される。第1乃至第4下側コーナー部160,170,180,190は、第1下側コーナー部160に対して反時計方向に順に配置される。
【0064】
上面101で、第1及び第3上側コーナー部110,130には、それぞれメイン切削エッジ111,131が形成され得、第2及び第4上側コーナー部120,140には、それぞれランピング切削エッジ121,141が形成され得る。下面102で、第2及び第4下側コーナー部170,190には、それぞれメイン切削エッジ171,191が形成され得、第1及び第3下側コーナー部160,180には、それぞれランピング切削エッジ161,181が形成され得る。また、上側リッジ部105はメイン切削エッジ111,131にわたって形成され得、下側リッジ部106はメイン切削エッジ171,191にわたって形成され得る。
【0065】
第2及び第4上側コーナー部120,140は、それぞれ第1及び第2平面部122,142を含み得、第1及び第2平面部のそれぞれは平らな表面からなり得る。第1及び第3下側コーナー部160,180は、それぞれ第3及び第4平面部162,182を含み得、第3及び第4平面部のそれぞれは平らな表面からなり得る。従って、第1及び第2平面部122,142が高さ方向で第1及び第3上側コーナー部110,130の下側に位置し得る。また、第3及び第4平面部162,182が高さ方向で第2及び第4下側コーナー部170,190の上側に位置し得る。
【0066】
図8を参照すると、上側リッジ部105を通る延長線L1と第1仮想水平軸HA1の間の角度A1は30°~50°の間であることもある。これと同様に、下側リッジ部106を通る延長線L2と第2仮想水平軸HA2の間の角度A2は30°~50°の間であることもある。
【0067】
図8及び
図9を参照すると、上側リッジ部105を通る延長線L1と下側リッジ部106を通る延長線L2は異なる方向に(即ち、交差方向に)配置され得る。
図8に示す矢印は、一般ミリング加工で大きな力がメイン切削エッジ131に加えられる状況を示す。延長線L1と延長線L2が同一方向に配置されれば、下面102の円形の部分C1はリッジ形状または谷間形状を有し、この場合、一般ミリング加工時の安定性が減少し得る。これに対して、本開示の一実施例によれば、延長線L1と延長線L2が互いに交差する方向に配置されるので、また、下面120の円形の部分C1が概ね平らな表面からなるので、インサート100は工具ホルダー20によって安定的に支持され得る。従って、一般ミリング加工における安定性が向上する。
【0068】
図10を参照すると、長手方向の中心線M2と第1及び第3上側コーナー部110,130との間の第1厚さT1は、長手方向の中心線M2と第2及び第4上側コーナー部120,140との間の第2厚さT2より大きいこともある。従って、インサート100はランピング切削加工時にランピング角度に対応してより円滑に切削を実行することができる。
【0069】
図9を参照すると、下面102は、下側リッジ部106の両側に形成され高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面151,152を含み得る。
図11を参照すると、第1下側支持面151から延びた延長線L3と第2下側支持面152から延びた延長線の間の角度Bは130°~150°の間であることもある。
【0070】
図12は、インサート100が
図1における工具ホルダーに締結された状態を示す拡大斜視図である。
図13は、
図12に示すインサート100の下面102が工具ホルダー内で支持される構成を説明するための図である。
【0071】
インサートポケット200はインサート100と接触する底面210を含み得る。底面210には下側リッジ部106を収容するように形成されたリッジ溝215が形成され得る。底面210は、リッジ溝215の両側に形成され高さ方向の上側に傾いた第1及び第2底面211,212をさらに含み得る。また、インサートポケット200は高さ方向で第1及び第2底面211,212の上側に形成された半径方向面(radial surface)213及び軸方向面(axial surface)214をさらに含み得る。
【0072】
インサート100の第1下側支持面151はインサートポケット200の第1底面211と接触するように構成され得る。インサート100の第2下側支持面152はインサートポケット200の第2底面212と接触するように構成され得る。インサート100がスクリュー30によってインサートポケット200に固定されている際、インサート100の第1側面103はインサートポケット200の半径方向面213と接触するように構成され得、インサート100の第2側面104はインサートポケット200の軸方向面214と接触するように構成され得る。
【0073】
切削抵抗は、切削が進められる際にインサートが受ける抵抗を意味する。切削抵抗は互いに垂直な3つの分力(主分力、移送分力、及び背分力)として作用し得る。主分力が最も大きく、背分力は主分力より小さく、移送分力は背分力より小さい。主分力は切削方向に平行な分力として参照され得、移送分力は切削工具組立体の移送方向に反対となる方向に作用する分力として参照され得、背分力は切削深さの反対方向の分力として参照され得る。
【0074】
インサートの下面が平らな表面だけで構成される場合には、ミーリングカッター(milling cutter)の半径方向に作用する力が工具ホルダーの半径接触面(radial contact surface)により支持され、加工中にインサートの工具ホルダーに対する締結を堅固に維持することができる。しかし、ランピング切削加工等の状況でミーリングカッターの半径方向の逆方向に作用する力に対しては別途の支持面が存在しない。インサートがスクリューだけで支持されるので、スクリューの変形、破損、インサートの脱落等の問題が発生し得る。本開示の実施例によれば、インサート100の下面102がこの平らな表面だけで構成されない。従って、前記のような問題点の解決が可能である。
【0075】
インサート100が一般ミリング加工で用いられる際、インサート100に作用する主分力は、第1底面211及び第2底面212によって支持され得る。インサート100に対して切削工具の半径方向に作用する力である移送分力は、第2底面212によって主に支持され、半径方向面213によって追加で支持され得る。一方、インサート100に作用する背分力は、第2底面212及び軸方向面214によって支持され得る。
【0076】
インサート100をランピング切削加工で用いる場合、インサート100に作用する主分力は、一般ミリング加工の場合と同様に、第1底面211及び第2底面212によって支持され得る。一般ミリング加工とは異なって、インサート100に対して切削工具の半径方向に作用する力である移送分力は、第1底面211及び軸方向面214によって支持され得る。一方、インサート100に作用する背分力は、第2底面212及び軸方向面214によって支持され得る。
【0077】
図14A及び
図14Bは、比較例による切削工具組立体の性能と本開示の一実施例による切削工具組立体1の性能を比較するための図である。
【0078】
図14Aは、比較例による切削工具組立体のスクリュー応力(σ)及び総変形量(total displacement)を示し、
図14Bは、本開示の一実施例による切削工具組立体1のスクリュー応力(σ)及び総変形量(total displacement)を示す。スクリュー応力(σ)はスクリューに作用する負荷を示し、総変形量はインサートが初期位置から移動した程度を示す。
【0079】
本開示の一実施例による切削工具組立体1のスクリュー応力が比較例による切削工具組立体のスクリュー応力に比べて略30%程度減少したことが確認できる。従って、スクリューに作用する負荷が飛躍的に減少する。従って、長時間高強度の加工を行ってもスクリューの破損を防止することができる。
【0080】
本開示の一実施例による切削工具組立体1の総変形量が比較例による切削工具組立体の総変形量に比べて略40%程度減少したことが確認できる。従って、加工中に総変形量が飛躍的に減少し得る。従って、長時間高強度の加工を行っても切削の精密性を維持することができる。
【0081】
図15は、本開示のもう1つの実施例によるインサート300を示す斜視図である。
図16は、
図15に示すインサート300の下面を示す斜視図である。前述の実施例で説明した内容に対する重複説明は省略する。
【0082】
インサート300は単面型インサートから構成され得る。インサート300は、上面301から下面302まで貫通する開口350を有し得る。従って、インサート300の上面301にだけ切削エッジが形成され得、下面302には切削エッジが形成されていないこともある。一方、上面301の第1乃至第4上側コーナー部310,320,330,340のそれぞれには切削エッジが形成され得る。
【0083】
下面302は工具ホルダー20のインサートポケット200に安着する機能を行うことができる。下面302は、第1乃至第4下側コーナー部360,370,380,390を含み得る。第2下側コーナー部360及び第4下側コーナー部390を横切る下側リッジ部306が形成され得る。下面302は、下側リッジ部306の両側に形成され高さ方向の上側に傾いた第1及び第2下側支持面351,352を含み得る。
【0084】
一部実施例が説明されたものの、これらの実施例は単に例として提示され、本開示の範囲を制限するようには意図されない。実際に、ここに説明された実施例は各種の他の形態で具現され得る。また、本開示の思想から逸脱せず、ここに説明された実施例の形態における多様な省略、置換及び変更が行われ得る。添付の請求項及びその等価物は、本開示の思想内にあるこのような形態または修正をカバーするように意図される。
【国際調査報告】