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特表2023-509871ウチデロン半水和物単結晶、並びにその調製方法及び応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ウチデロン半水和物単結晶、並びにその調製方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/06 20060101AFI20230303BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C07D417/06
A61K31/427
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538911
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2021085903
(87)【国際公開番号】W WO2021204188
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】202010282801.7
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522239258
【氏名又は名称】北京華昊中天生物医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522239269
【氏名又は名称】成都華昊中天薬業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】唐莉
(72)【発明者】
【氏名】孔日祥
(72)【発明者】
【氏名】邱栄国
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063CC80
4C063DD62
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC82
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、ウチデロン多結晶型に関し、具体的に、ウチデロン半水和物結晶(A)、並びにその調製方法及び医薬組成物の調製における結晶性ウチデロンの使用に関し、特に、哺乳動物、特にヒトの腫瘍の成長を抑制し、固形腫瘍を治療するための医薬組成物の調製におけるその使用に関する。本発明に係る結晶型は、安定しており、高温及び高湿に耐え、しかも調製方法が多様で簡単であり、新薬の産業化生産に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶であるウチデロン半水和物結晶(A)であって、その不斉構造単位が4個のウチデロン分子(結晶学的に独立なもの1)と2個の水分子とから構成される半水和物結晶型である、ウチデロン半水和物結晶(A)。
【請求項2】
単結晶の回折パターンが図8に示すものである、請求項1に記載のウチデロン半水和物結晶(A)。
【請求項3】
単結晶であるウチデロン半水和物結晶(A)であって、そのX線粉末回折パターンにおいて、反射角2θである約6.1、7.2、12.1、12.7、14.4、15.5、17.2、18.3、18.6、19.0、20.1、20.4、21.3、23.5、24.4、25.6、26.1、29.1、33.4において特徴的なピークを有する、ウチデロン半水和物結晶(A)。
【請求項4】
前記単結晶のX線粉末回折パターンが図1に示すものである、請求項3に記載のウチデロン半水和物結晶(A)。
【請求項5】
前記単結晶が、長尺シート状の結晶であり、当該結晶が、三斜晶系P1空間群に属し、その単位格子のパラメータが{a=6.37029(4)Å,b=14.67305(10)Å,c=29.54548(12)Å,α=81.3294(4)o,β=86.3641(4)o,γ=86.6019(5)o,V=2721.14(3)Å3}、Z値が4である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウチデロン半水和物結晶(A)。
【請求項6】
DSC熱分析を用いる場合、10℃/分の加熱速度で122±3℃に吸熱ピークが現れる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のウチデロン半水和物結晶。
【請求項7】
テトラヒドロフラン/n-ヘプタン1:5又はジクロロメタン/n-ヘプタン1:10の混合溶媒により得られる、ウチデロン半水和物結晶(A)の調製方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のウチデロン半水和物結晶及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は、哺乳動物、特にヒトの固形腫瘍を治療するために用いられる、請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4S,7R,8S,9S,13Z,16S-4,8-ジヒドロキシ-5,5,7,9,13-ペンタメチル-16-[E-1-メチル-2-(2-メチル-1,3-チアゾール-4-イル)-プロプ-1-エン-2-イル]-ヘキサデカン含酸素複素環-13-エン-2,6-ケトンラクトン(即ち、ウチデロン、utidelone)の半水和物結晶、並びにその調製方法及び医薬組成物の調製における用途に関し、特に、抗腫瘍薬を調製するための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ウチデロンは、エポチロン(epothilone)類化合物である。エポチロンは、微生物の粘液細菌の代謝によって産生された16員環マクロライド系天然細胞毒性化合物であり、明らかな抗腫瘍活性を持つパクリタキセルと類似した作用機序を有し、いずれも、チューブリン重合を誘発して超安定状態を形成させ、微小管の脱重合を抑制し、有糸分裂を阻害し、腫瘍細胞の増殖を阻止し、さらに細胞のアポトーシスを引き起こす。エポチロンは、p-糖タンパク質発現型の多剤耐性腫瘍細胞系で強い抗腫瘍活性を示し、且つパクリタキセルよりも優れた水溶性を有する。エポチロンは、多くの点でパクリタキセルよりも優れており、パクリタキセルに代わる新世代の製品であると考えられる。
【0003】
ウチデロンは、エポチロンファミリーの一員であり、4S,7R,8S,9S,13Z,16S-4,8-ジヒドロキシ-5,5,7,9,13-ペンタメチル-16-[E-1-メチル-2-(2-メチル-1,3-チアゾール-4-イル)-プロプ-1-エン-2-イル]-ヘキサデカン含酸素複素環-13-エン-2,6-ケトンラクトンと命名され、以下のような構造式を有する。
【0004】
ウチデロンは、乳癌、肺癌、腸癌及び胃癌などの消化管腫瘍、卵巣癌及び子宮頸癌などの婦人科腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、食道癌、膵臓腺癌、胆管癌、皮膚癌、脳癌及び肝癌などの固形腫瘍を治療するために使用されてもよい。同一の薬物であっても、結晶型の違いによって、吸湿性、安定性及びバイオアベイラビリティなどの面で明らかな違いを有することにより、薬物の治療効果に影響を与える。結晶型に対する検討は、ウチデロンの医薬組成物の開発への応用にとって非常に重要である。これまで、ウチデロンに関連する結晶型について報告されていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、ウチデロンの安定性が極めて高い結晶型を提供する。本発明は、ウチデロンの単結晶を提供し、半水和物の結晶型(半水和物結晶、結晶型A)であり、X-線回折パターンを図1、DSCを図6、単結晶の回折パターンを図8に示す。
【0006】
本発明の他の態様によれば、ウチデロン半水和物結晶の調製方法を提供する。前記調製方法は、ウチデロンを溶媒に溶解し、2~25℃で静置又は撹拌した後に結晶化させるステップを含む。前記溶媒は、n-ヘプタン及びテトラヒドロフランの混合液、又はジクロロメタン及びn-ヘプタンの混合液である。この混合溶媒により高純度の単結晶を得ることができる。
【0007】
本発明の1つの具体的な実施形態によれば、以下の通り、その調製方法を説明する。初期サンプルであるウチデロン化合物を3.0mg秤量して3mLのガラスフラスコ内に入れ、下記の表1に記載された系の混合溶媒を0.2mL加え、ボルテックスして超音波を適切にかけた後、固体サンプルが完全に溶解していることが観察された。その後、上記の3mLのガラスフラスコに蓋をして密封し、室温で静置した。5日後、系内においていずれも針状の白色固体又はシート状の結晶サンプルが析出した。XRPD検出によって、この調製方法で調製された化合物の結晶型は、半水和物結晶型であり、即ち、4個のウチデロン分子に2個の水分子が含まれる半水和物結晶型である。前記結晶型AのX線粉末回折パターンは、図1とほぼ一致する。X線回折による構造解析によって、本発明の結晶性ウチデロン半水和物は、単一の長尺シート状の結晶である。単結晶X線回折によるキャラクタリゼーションの結果によって、この結晶が三斜晶系P1空間群に属し、その単位格子のパラメータが{a=6.37029(4)Å,b=14.67305(10)Å,c=29.54548(12)Å,α=81.3294(4)o,β=86.3641(4)o,γ=86.6019(5)o,V=2721.14(3)Å3}、Z値が4であることが示されている。ウチデロン半水和物の結晶構造、結果解析及びリファインメント(refinement)されたパラメータの試験の詳細を表2に示す。
【0008】
前記結晶構造は、不斉構造単位であり、この結晶の不斉構造単位は、4個のウチデロン分子(結晶学的に独立なもの)と2個の水分子とから構成され、即ち、この結晶が化合物としてのウチデロンの半水和物であることが示される。
【0009】
単結晶構造データから、化合物としてのウチデロンの立体化学構造が成功的に実証されており、その分子中のキラル中心の絶対配置が{C3(S),C6(R),C7(S),C8(S),C16(S)である。
【0010】
DSC(示差走査熱量測定法)による検討から明らかなように、結晶性ウチデロン半水和物は、DSCで2つの特徴的なシグナルを有し、1つ目の50~110℃での比較的広い吸熱シグナルが、ウチデロン半水和物が脱水した無水の形態によるものであり、2つ目の122±3℃での比較的鋭い吸熱ピークが、物質の融解によるものである(図4)。結晶性ウチデロン無水物は、DSCで1つの特徴的なシグナルのみを有し、122±3℃での比較的鋭い吸熱ピークが、物質の融解によるものである(図5)。
【0011】
本発明は、結晶性ウチデロンに関し、赤外(IR)スペクトルによりキャラクタリゼーションを行う。測定は、10~20mgのウチデロン半水和物を用いて300mgの臭化カリウム中で行う。図6のIRスペクトルによるキャラクタリゼーションによって、ウチデロン半水和物結晶型は、波数IR(KBr)vmax3506、2968、2938、2901、1726、1680、1456、1246、971cm-1に吸収帯を有する。
【0012】
本発明に係るウチデロン半水和物結晶型は、良好な高温安定性及び高湿安定性を有し、貯蔵及び生産条件下でその特定の物理的性質を保持することに寄与する。
【0013】
結晶性ウチデロンは、粉末状ウチデロンよりも高い高湿安定性を有し、高湿条件下で、半水和物結晶が、非常に安定であり、水分含有量に明らかな変化がない。また、結晶性ウチデロンがより高い高温安定性を有し、60℃で1年以上保存しても、40℃で3年以上保存しても物質変化がなく、高温で長期保存安定性を有する。
【0014】
結晶Aは、最も安定な結晶として確定され、この結晶は、通常の貯蔵条件下で長期的に安定しており、且つ化学的に安定している。
【0015】
他の態様によれば、本発明は、医薬組成物における、少なくとも1つのウチデロン結晶型の応用を提供する。
【0016】
ウチデロンの抗腫瘍薬としての性能に基づいて、本発明の他の態様は、ウチデロンを用いて疾患を治療するための医薬組成物を調製することに関する。前記医薬組成物は、結晶性ウチデロンの半水和物結晶を含んでいる。本発明は、前記医薬組成物を含む、非経口投与される注射液の組み合わせ、さらに、10~50mgの多結晶型化合物を含有するカプセル剤又は錠剤の薬物の組み合わせである経口製剤を提供する。上記の哺乳動物、特にヒトに対して治療効果を有する有効量の本発明の医薬組成物、結晶性ウチデロンの多結晶型を提供する。好ましくは癌治療用の医薬組成物を調製するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ウチデロン半水和物結晶のX線粉末回折パターンである。
図2】ウチデロンの無水物結晶のX線粉末回折パターンである。
図3】ウチデロンの混合結晶のX線粉末回折パターンである。
図4】結晶性ウチデロン半水和物のDSC図である。
図5】結晶性ウチデロン無水物結晶のDSC図である。
図6】ウチデロン半水和物のIR吸収スペクトルである。
図7】ウチデロン無水物結晶のIR吸収スペクトルである。
図8】ウチデロン化合物の単結晶の回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例
以下の実施例は、本発明の結晶性ウチデロン及びその調製方法をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明の内容は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
100mgのウチデロンを100mLのガラスフラスコ内に入れ、6mLのテトラヒドロフラン/n-ヘプタン(1:5、v/v)の混合溶媒を加え、ボルテックスして超音波で均一に混合し、サンプルが完全に溶解することが観察された。その後、このガラスフラスコに蓋をして密封し、室温で放置し、5日後に長尺シート状の単結晶サンプルが観察され、結晶を収集し、その後、真空で吸引濾過した後、30~35%のエタノール溶液で結晶を洗浄した。さらに、この結晶を乾燥装置に置いて水分含有量が1.8~3%になるまで乾燥させた。X線回折パターンのデータ(図1)から、生成された結晶が0.5半水和物結晶(A)であり、単一の結晶格子を有することが示された。ウチデロン単結晶の回折パターンを図8に示す。
X線回折パターンを図1に示す。
【実施例2】
【0020】
乾燥されたウチデロンの固体7.5gを100%エタノールで、その濃度が20mL/gになるように溶解した後、0.2μmのフィルムで無菌化濾過し、濾液を撹拌しながら40%水を徐々に加え、少量の種晶を加えてから30分間撹拌を続けた。その後、エタノールの濃度が50%になるように残りの水を溶液に加えた。攪拌中、冷水浴を用いて結晶の溶液の温度を4℃まで下げ、2~12時間撹拌を続けた。結晶を真空で吸引濾過し、その後4℃の冷却した30%エタノール水溶液で迅速に洗浄し、その後、真空乾燥装置で48時間乾燥させた。製品6gが得られた。この製品のX線回折パターンを図2に示し、その主な特徴的なピークの反射角2θは、約12.4、17.5、20.4、21.6、23.8、24.8、25.8、33.9に位置し、半水和物結晶と異なる。
【実施例3】
【0021】
ウチデロン半水和物結晶の高温安定性の測定
安定性試験:以下の条件で半水和物結晶の安定性試験を行う。貯蔵条件1:2~25℃、密封状態で3年以上貯蔵し、NMR、HPLC、X線粉末回折及び赤外スペクトル分析などによって、半水和物結晶が安定していることが実証された(含有量の変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がない)。
【0022】
貯蔵条件2:25℃、60%±10%RHで、非密封で3日以上保存し、引き続きサンプルを25℃で1年保存した後、NMR、HPLC、X線粉末回折及び赤外スペクトル分析などによって、性能が安定して一致していることが実証された(含有量の変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がない)。
【0023】
貯蔵条件3:40℃の密封状態で2年以上貯蔵し、NMR、HPLC、X線粉末回折及び赤外スペクトル分析などによって、製品がいずれも安定して一致していることが実証された(含有量の変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がない)。
【0024】
貯蔵条件4:60℃で1年以上貯蔵し、NMR、HPLC、X線粉末回折及び赤外スペクトル分析などによって、製品はいずれも安定して一致していることが実証された(含有量の変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がない)。
【実施例4】
【0025】
ウチデロン半水和物結晶の高湿安定性及び強光安定性の測定実施例1で得られた半水和物結晶サンプルを相対湿度90%±5%条件下で10日放置し、5日目及び10日目にサンプルを採取したところ、サンプルが安定し、すなわち、含有量に明らかな変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がなく、水分含有量もほとんど変化しなかった。
【0026】
これに対して、無水結晶サンプルを相対湿度90%±5%条件下で10日放置し、5日目及び10日目にサンプルを採取したところ、水分含有量が増加し、吸湿が顕著であった。
【0027】
実施例1で得られた半水和物結晶サンプルをライトボックス内に入れ、照度4500lx±500lxの条件下で10日放置した。サンプルが安定し、すなわち、含有量に明らかな変化がなく、分解不純物が発生しなく、外観と物理化学的性質の変化がなく、水分含有量もほとんど変化しなかった。
【実施例5】
【0028】
ウチデロン半水和物結晶の溶解度試験による、良好な溶解度
実施例1で得られた半水和物結晶のサンプルを0.1N塩酸溶液に入れたところ、サンプルが安定し、即ち、明らかな分解不純物が発生しなかった。溶解度>5mg/mLであった。
【0029】
約25mgの実施例1で得られた半水和物結晶サンプルは、10%エタノール、5%プロピレングリコール、45%ヒマシ油及び40%コーン油からなる自己乳化型溶液中で良好な安定性を有し、明らかな分解不純物が観察されなく、100mLの水に完全に溶解することができ、溶解度が良好であり、1時間内に固形物が析出しなかった。
【実施例6】
【0030】
半水和物結晶として結晶性ウチデロン医薬組成物が静脈内投与された場合のPKに対する検討この実施例によって、結晶性ウチデロン組成物が、乳癌、腸癌、肝癌、胃癌、肺癌などの固形腫瘍を治療するための医薬組成物の調製に使用可能であり、その治療効果が優れることが十分に実証された。
【0031】
結晶性ウチデロン(結晶型A又は結晶型Aを含有する混合結晶)を、50%v/v無水エタノール(USP)、30%v/vプロピレングリコール(USP)及び20%v/vポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor EL又はELP)可溶化剤でウチデロン注射液に調製した。製品の水分含有量が低く、安定性が高かった。
【0032】
被験者に対し、ウチデロン40mg/mを点滴静脈注射し、1日1回、5日間連続投与し、1日目及び5日目に投与後の血漿中のウチデロンの消失半減期t1/2は、それぞれ8.6±0.1hと8.2±1.1hであり、MRTは、それぞれ4.5±0.8hと5.1±0.7hであり、1日目及び5日目に投与後のAUC(0-24)は、それぞれ4178.3±1008.5h・ng/mLと4547.4±1628.1h・ng/mLであった。血漿クリアランスCLは、それぞれ9.2±2.7L/h/mと8.9±3.9L/h/mであった。見かけの分布容積は、それぞれ114.0±35.2L/mと109.1±62.6L/mであった。全てのパラメータの初回と最終の投与は、統計学的に有意な差がないので、40mg/m連続投与した後、薬物の体内蓄積及び代謝促進の誘発がなく、ウチデロンの体内での代謝的な処置に変化がないことが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】