(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】キットおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6844 20180101AFI20230303BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230303BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z ZNA
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538921
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 GB2020053362
(87)【国際公開番号】W WO2021130495
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521027629
【氏名又は名称】バイオフィデリティ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】フレイリング,キャメロン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ストラレク-ヤヌツキーヴィッチ,マグダレーナ
(72)【発明者】
【氏名】バームフォース,バーナビー・ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB01
4B029BB20
4B029CC01
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4B063QA01
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4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR13
4B063QR14
4B063QR15
4B063QR16
4B063QR20
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS26
4B063QX02
(57)【要約】
改善されたポリヌクレオチド検出のために使用可能なキットおよびデバイスを本明細書に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記オリゴヌクレオチドA
0;
(b)リガーゼ;
(c)A
0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A
1を生成可能な加ピロリン酸分解酵素;
(d)加ピロリン酸分解反応を駆動するイオン供給源であって、任意選択でイオンがピロリン酸イオンである、前記イオン供給源;および
(e)適切な緩衝剤
を含むキット。
【請求項2】
陽性および陰性対照をさらに含む、請求項1に請求されるキット。
【請求項3】
A
0の5’端が5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対して耐性にされており、そしてキットが5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項4】
デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、ポリメラーゼおよび試料中に存在するターゲットポリヌクレオチド配列の最初の増幅のための緩衝剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項5】
dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼ、dUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含む、請求項4に請求されるキット。
【請求項6】
プロテイナーゼをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項7】
連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項8】
スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項9】
連結プローブオリゴヌクレオチドCおよびスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項10】
連結プローブオリゴヌクレオチドCが、該オリゴヌクレオチドを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含み、そしてキットが3’-5’エキソヌクレアーゼをさらに含む、請求項7または9に請求されるキット。
【請求項11】
Dが、A
1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA
1の5’端のいずれかに相補的な領域を含む、請求項8、9または10に請求されるキット。
【請求項12】
Dが、3’修飾により、またはDの3’端およびA
1またはCの対応する領域の間のミスマッチを通じてのいずれかで、A
1に対して伸長を経ることが不可能である、請求項11に請求されるキット。
【請求項13】
A
0の一部に実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド、増幅酵素、dNTP、および1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項14】
各々異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々同定領域を含む、複数のA
0をさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項15】
-A
1上の隣接配列に相補的である2つまたはそれより多い連結連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが一方のLCRプローブの5’リン酸へのアニーリングに成功すると、もう一方のLCRプローブの3’OHにすぐ隣接する、前記プローブオリゴヌクレオチド;および
-1つまたはそれより多いリガーゼ
をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項16】
増幅酵素が加ピロリン酸分解酵素と同じである、請求項13に請求されるキット。
【請求項17】
-連結プローブオリゴヌクレオチドC;
-スプリントオリゴヌクレオチドD
をさらに含み;
ここで、Cは5’リン酸を有し、A
1およびEが共に連結されてA
2を形成可能であるように、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’端がCの5’に相補的であり、そしてDの5’端がA
1の3’端に相補的である
請求項1~12のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項18】
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1がA
2に相補的であり、そしてA
2にアニーリングした際、HO1のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO1;および
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2が開いたHO1に相補的であり、そしてHO1にアニーリングした際、HO2のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO2
をさらに含む、請求項17に請求されるキット。
【請求項19】
複数のHO1およびHO2をさらに含む、請求項18に請求されるキット。
【請求項20】
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドA;
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドB;ならびに
-フルオロフォア・消光剤対を含む基質
をさらに含み;
ここで、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームは、A
2の存在下で、オリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒性の多構成要素核酸酵素(MNAザイム)を形成するように、A
2の隣接領域に相補的である
請求項1~12のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項21】
部分的に二本鎖である核酸構築物をさらに含み、ここで:
-一方の鎖は少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A
2の領域に相補的であり、そしてこの鎖は「基質」鎖と称されてもよく;そして
-他方の鎖は、少なくとも1つの消光剤を含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A
2の存在下で、部分的に二本鎖鎖形成した核酸構築物が、実質的により大きな二本鎖部分を有するように、基質鎖が相補的である領域に隣接するA
2の領域に相補的である
請求項1~12のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項22】
少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含む、請求項21に請求されるキット。
【請求項23】
-連結部位を含むA
2の領域に相補的なオリゴヌクレオチドであって、その蛍光が互いに対するあるいは1つまたはそれより多い蛍光消光剤に対する近接のいずれかによって消光されるように配置された1つまたは複数のフルオロフォアを含む、前記オリゴヌクレオチド;
-二本鎖特異的DNA消化酵素
をさらに含み;
ここで、A
2の存在下で、フルオロフォアが互いからまたは対応する消光剤から分離され、そして蛍光シグナル、そしてしたがってA
2の存在が検出可能であるように、標識オリゴヌクレオチドが消化される
請求項1~12のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項24】
ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項25】
ピロホスファターゼをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項26】
RNAテンプレートからDNAを形成するための酵素をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に請求されるキット。
【請求項27】
第一の領域および第二の領域の間の流体経路を含むデバイスであって、第一の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、1つまたはそれより多いウェルが:
ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記オリゴヌクレオチドA
0;
A
0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A
1を生成可能な加ピロリン酸分解酵素;加ピロリン酸分解反応を順方向に駆動するイオン供給源であって、任意選択でイオンがピロリン酸イオンである、前記イオン供給源;および
A
1を連結してオリゴヌクレオチドA
2を生成可能な1つまたはそれより多いリガーゼ
を含み;
第二の領域が1つまたはそれより多いウェルを含む、
前記デバイス。
【請求項28】
A
0の5’端が5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対して耐性であり、そして第一の領域のウェルが5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含む、請求項27のデバイス。
【請求項29】
流体経路によって第一の領域に連結されている、1つまたはそれより多いウェルを含む第三の領域をさらに含み、そして第三の領域の1つまたはそれより多いウェルが:
dNTP;
少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;および
増幅酵素
を含む、請求項27または28のいずれか一項のデバイス。
【請求項30】
第三の領域のdNTPが、dUTP、dGTP、dCTPおよびdATPであり;
増幅酵素が、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼであり;そして
第三の領域の1つまたはそれより多いウェルが、ウラシル-DNA N-グリコシラーゼをさらに含む、
請求項29のデバイス。
【請求項31】
第一および第三の領域の間に位置し、1つまたはそれより多いウェルを含む第四の領域をさらに含み、1つまたはそれより多いウェルがプロテイナーゼを含む、請求項29または請求項30のデバイス。
【請求項32】
第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルが、リガーゼ、および連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含む、請求項27~31のいずれか一項のデバイス。
【請求項33】
第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルが、リガーゼ、およびA
0の領域に相補的であるスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含む、請求項27~31のいずれか一項のデバイス。
【請求項34】
第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルが、リガーゼ、スプリントオリゴヌクレオチドDおよび連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含む、請求項27~31のいずれか一項のデバイス。
【請求項35】
連結プローブオリゴヌクレオチドCが、該オリゴヌクレオチドを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含む、請求項32または請求項34のデバイス。
【請求項36】
Dが、A
1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA
1の5’端のいずれかに相補的な領域を含む、請求項33、34、または35のいずれか一項のデバイス。
【請求項37】
第一の領域の1つまたはそれより多いウェルが、各々異なるターゲット配列に対して選択的である、少なくとも1つまたはそれより多い異なるA
0を含む、請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項38】
第二の領域のウェルが:
dNTP;
緩衝剤;
増幅酵素;
1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブ;および
A
1またはその一部、あるいはA
1の多数コピーまたはその一部の多数コピーに由来するシグナルを検出するための手段
を含む、請求項37のデバイス。
【請求項39】
第二の領域のウェルが:
-A
1上の隣接配列に相補的である2つまたはそれより多い連結連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが一方のLCRプローブの5’リン酸へのアニーリングに成功すると、もう一方のLCRプローブの3’OHにすぐ隣接する、前記プローブオリゴヌクレオチド;および
-1つまたはそれより多いリガーゼ
をさらに含む、請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項40】
第二の領域のウェルが:
-連結プローブオリゴヌクレオチドC;
-スプリントオリゴヌクレオチドD
をさらに含み;
ここで、Cは5’リン酸を有し、A
1およびCが共に連結されてオリゴヌクレオチドA
2を形成可能であるように、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’端がCの5’に相補的であり、そしてDの5’端がA
1の3’端に相補的である
請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項41】
第二の領域のウェルが:
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1がA
2に相補的であり、そしてA
2にアニーリングした際、HO1のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO1;および
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2が開いたHO1に相補的であり、そしてHO1にアニーリングした際、HO2のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO2
をさらに含む、請求項40のデバイス。
【請求項42】
第二の領域のウェルが:
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドA;
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドB;ならびに
-フルオロフォア・消光剤対を含む基質
をさらに含み;
ここで、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームは、A
2の存在下で、オリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒性の多構成要素核酸酵素(MNAザイム)を形成するように、A
2の隣接領域に相補的である
請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項43】
第二の領域のウェルが、部分的に二本鎖である核酸構築物をさらに含み、ここで:
-一方の鎖は少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A
2の領域に相補的であり、そしてこの鎖は「基質」鎖と称されてもよく;
-他方の鎖は、少なくとも1つの消光剤を含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A
2の存在下で、部分的に鎖形成した核酸構築物が、実質的により二本鎖を形成するように、基質鎖が相補的である領域に隣接するA
2の領域に相補的であり;そして
第二の領域のウェルは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含む
請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項44】
第二の領域の1つまたはそれより多いウェルが:
連結部位を含むA
2の領域に相補的なオリゴヌクレオチドであって、その蛍光が互いに対するあるいは1つまたはそれより多い蛍光消光剤に対する近接のいずれかによって消光されるように配置された1つまたは複数のフルオロフォアを含む、前記オリゴヌクレオチド;
二本鎖特異的DNA消化酵素
をさらに含み;
ここで、A
2の存在下で、フルオロフォアが互いからまたは対応する消光剤から分離され、そして蛍光シグナル、そしてしたがってA
2の存在が検出可能であるように、標識オリゴヌクレオチドが消化される
請求項27~36のいずれか一項のデバイス。
【請求項45】
1つまたはそれより多い領域の1つまたはそれより多いウェルが、ピロホスファターゼをさらに含む、請求項27~44のいずれか一項のデバイス。
【請求項46】
1つまたはそれより多い領域の1つまたはそれより多いウェルが、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含む、請求項27~45のいずれか一項に請求されるようなデバイス。
【請求項47】
第一の領域の1つまたはそれより多いウェルが、RNAテンプレートからDNAを形成するための酵素をさらに含む、請求項27~46のいずれか一項に請求されるようなデバイス。
【請求項48】
第一および第二の領域が組み合わされている、請求項27~47のいずれか一項に請求されるようなデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、感染性疾患および移植臓器拒絶の同定に用いられるものを含めて、複数の診断マーカーの存在に関して試験する際の使用に適した、キットおよびデバイスに関する。これらはまた、確実に、そして低コストで、マーカーパネルを同定しなければならないコンパニオン診断試験にも有用である。
【発明の概要】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、確実に検出され、そして/または定量化されうるレベルまで、実験室試料および診断試料に存在するDNAまたはRNAを増幅するための、周知であり、そして強力な技術である。しかし、低レベルのこうした分子を含有する分析物試料を調べる目的のために適用した場合、いくつかの限界に悩まされる。第一に、この技術は、単一ターゲット分子と同程度に少ない分子を検出可能であるが、試料中に存在する他の核酸配列の望ましくない増幅のため、偽陽性結果を生じる傾向がある。このため、反応を開始するために用いるオリゴヌクレオチドプライマーの選択が重要となり;これは次に、必要なレベルの特異性を持つプライマーを設計することを比較的複雑にする。その結果、現在、市場で入手可能であるPCRに基づく多くの試験は、限定された特異性を有する。
【0003】
第二の欠点は、PCRに基づく方法の多重化が、実際のところ、プライマー-プライマー相互作用の回避のために、最大、数十のターゲット配列(しばしば10以下)に限定され、比較的狭い操作ウィンドウの必要性を生じることである。
【0004】
別の問題は、PCR反応は、指数関数方式でサイクリングするため、ターゲットの定量化が困難なことであり;反応効率の小さな変動が、生成される検出可能な物質の量に多大な影響を有する。したがって、適切な対照および較正が整っていても、定量化は、典型的には、ほぼ1/3からほぼ3倍の正確さに限定される。
【0005】
最後に、PCR増幅法による研究のためにターゲティングされる領域中の突然変異は、望ましくない副作用を有しうる。例えば、ターゲット生物が、試験プライマーによってターゲティングされる遺伝子領域中の突然変異を経て、複数の偽陰性が生じたため、FDAに認可された試験が撤回されなければならなかった例があった。逆に、特定の一塩基多型(SNP)を増幅のためにターゲティングした場合、野生型変異体が存在すると、PCR法は、しばしば、偽陽性を生じるであろう。これを回避するには、非常に注意深いプライマー設計が必要であり、そしてさらに多重化の有効性が限定される。癌試験/スクリーニングまたはコンパニオン診断において一般的な要件であるような、SNPパネルに関する検索の際には、これは特に関連する。
【0006】
US2006/110765A1(Wangら)は、典型的には非効率的であり、そしてそれほど特異的な反応ではない、ミスマッチ部位での酵素的切断を解説する。さらに、試料中の類似の配列に対する、Wangらに開示されるようなプローブのオフターゲットハイブリダイゼーションは、ミスマッチ部位での切断の使用のため、偽陽性結果を生じる。同じ位または近傍の位の2つの異なる遺伝子変異体は、すべて、同じプローブの切断および増幅を生じるため、こうした変異体の間を区別することもまた不可能である。Wangらの解説は、したがって、低感度および低特異性の反応スキームを生じるであろう。対照的に、本発明によって開示するような方法の技術的効果は、ミスマッチによって有効にブロックされうる、dsDNAに対する高い特異性を持つ、迅速で効率的な方法を提供する。さらに、本発明の方法は、ターゲティングされる遺伝子変異体に非常に特異的であり、同じ位または近傍の位での異なる変異体間の区別を可能にする。
【0007】
US2009/239283 A1(Liuら)は、加ピロリン酸分解(pyrophosphorolysis)によって除去される伸長不能3’端の使用を解説し、これは3’ブロッキング修飾を除去可能なカスタムポリメラーゼの遺伝子操作を必要とする。対照的に、本発明は、存在するポリメラーゼに生得的な天然加ピロリン酸分解活性を利用し、そして3’ブロッキング修飾を使用しない。Liuらに開示されるような方法はまた、続く増幅を可能にするため、プローブの一部からの末端塩基のみの除去に頼り、そして3’ブロッキング修飾の使用によって、この態様に限定される。対照的に、本発明で開示する方法は、反応を引き起こすためにプローブからの複数の塩基の進行性除去が必要である態様を可能にし、末端塩基の望ましくない除去を生じうる、バックグラウンドDNAまたは他のプローブのいずれかに対する一過性のオフターゲットアニーリングに対して、反応を実質的によりロバストにする。
【0008】
発明のサマリー
本発明者らは、現在、これらの制限の多くを克服するため、本発明者らの以前の特許(PCT/GB2019/052017を参照されたい)に使用した加ピロリン酸分解法を用いて本発明者らの経験の上に構築された、新規方法で使用するためのキットおよびデバイスを開発している。開発を行うにあたり、一本鎖オリゴヌクレオチド基質、あるいはブロッキング基またはヌクレオチドミスマッチを含む二本鎖基質では効率的に進行しない反応である、加ピロリン酸分解の二本鎖特異性を利用している。したがって、本発明にしたがって:
(a)ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記オリゴヌクレオチドA0;
(b)リガーゼ;
(c)A0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能な加ピロリン酸分解酵素;
(d)A0の一部に実質的に相補的である、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;
(e)増幅酵素;
(f)適切な緩衝剤
を含むキットを提供する。
【0009】
および:
第一の領域、第二の領域および第三の領域の間の流体経路
を少なくとも含むデバイスであって、
第一の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
dNTP;
少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;
試料中に存在するDNAの最初の増幅のための増幅酵素
を含み、そして
第二の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記オリゴヌクレオチドA0;
A0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能な加ピロリン酸分解酵素;
ピロリン酸イオンの少なくとも1つの供給源;
リガーゼ
を含み、そして
第三の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
dNTP;
緩衝剤;
増幅酵素;
A1またはその一部、あるいはA1の多数コピーまたはその一部の多数コピーに由来するシグナルを検出するための手段
を含み;そして
第二の領域のウェルまたは第三の領域のウェルが、A0の一部に実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む
前記デバイス。
【0010】
本発明の方法を適用してもよい分析物は、探しているターゲットポリヌクレオチド配列(単数または複数)を含む核酸、例えば天然存在または合成のDNAまたはRNA分子である。1つの態様において、分析物は、典型的には、該分析物および他の生物学的物質を含有する水溶液中に存在し、そして1つの態様において、分析物は、試験の目的のための関心対象ではない他のバックグラウンド核酸分子と共に存在するであろう。いくつかの態様において、分析物は、これらの他の核酸構成要素に比較して、少量で存在するであろう。好ましくは、例えば、分析物が細胞性物質を含有する生物学的標本に由来する場合、方法の工程(b)を実行する前に、これらの他の核酸および外来性の生物学的物質のある程度またはすべては、試料調製技術、例えば濾過、遠心分離、クロマトグラフィまたは電気泳動を用いて、除去されているであろう。適切には、分析物は、哺乳動物被験体(特にヒト患者)から採取された生物学的試料、例えば血液、血漿、痰、尿、皮膚または生検に由来する。1つの態様において、存在するいずれの細胞も破壊することによって分析物を放出させるため、生物学的試料は、溶解に供されるであろう。他の態様において、分析物は、試料自体の中で、すでに遊離した形で;例えば血液または血漿中に循環している細胞不含DNAとして存在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】単純化されたポリヌクレオチド配列検出法に関するプロトコル。
【
図2】前増幅工程中に5’-3’エキソヌクレアーゼ消化工程が起こる場合、およびこの消化工程がプロトコルの加ピロリン酸分解/連結工程に移動した場合(プロトコル3~5におけるようなもの)に検出される蛍光のレベル(特定のターゲット分析物配列の存在に相当する)を比較するグラフ。この例では、5’-3’エキソヌクレアーゼはラムダである。
【
図3】本発明者らは、ある範囲の異なるPPL酵素を用いて、本発明のプロトコル3の方法を試験した。
図3(A)は、Mako、KlenowおよびBsuを用いた1%MAF T790Mの検出を示す。
図3(B)は、異なるPpi濃度範囲で、Bst LFを用いた0.5%MAF T790Mの検出を示す。4つの酵素はすべて、広範な最適化を伴わなくても非常によく働いた。
【
図4】4つの異なる加ピロリン酸分解(PPL)酵素:Mako、Klenow、BsuおよびBst LFを用い、本発明のプロトコル4の方法を用いた、1%MAF、T790Mの検出に関する結果。
【
図5】プロトコル1およびプロトコル4にしたがって検出される、0.5%、0.10%および0.05%MAFエクソン19 del_6223の検出される蛍光(特定のターゲット分析物配列の存在に相当する)のレベルを示すグラフ。
【
図6】本発明者らは、プロトコル4にしたがって、0.10%、0.50%および1%MAFでのEGFRエクソン20 T790Mを検出した。
【
図7】RCA工程においてエキソヌクレアーゼの存在を伴うおよび伴わない、1%MAFでのEGFRエクソン20 T790Mの検出を示す。
【
図8】本発明者らは、0.5%MAF EGFRエクソン20 T790Mに関して検出されるシグナルの強度に対して、PPL:RCA混合比がどのような影響を有するかを調べ、その結果を
図8に示す。見て取れるように、1:2のPPL:RCA混合比は最低のシグナル強度を生じるが、最も早い時点でシグナルを生じる。これに続いて時間的に近いのが1:4 PPL:RCA混合物であり、これはより高いシグナル強度を有する。最大のシグナル強度は、反応の最も遅い時点で、1:8 PPL:RCA混合物に関して見られる。
【
図9】
図9は、SybrGreenI(50℃および60℃)およびSyto82(50℃および60℃)を用い、プロトコル4にしたがって行った比較実験の結果を示す。
【
図10】本発明者らは、プロトコル4にしたがって、RCAに関する、2つの異なる酵素、BST L.FおよびBST 2.0WSの使用を調べた。
【
図11】本発明者らは、異なるPPL:RCA反応混合比で、RCA反応に対する異なるPPL酵素の効果を調べた。この結果は、
図11(A)1:4 PPL:RCAおよび
図11(B)1:8 PPL:RCAで見られうる。すべてのPPL酵素は、BST L.F.以外は、1:4 PPL:RCA比でRCA反応に影響を及ぼす。1:8 PPL:RCA比では、BST L.FおよびKlenow以外のすべての酵素がRCA反応に影響を及ぼす。
【
図12】オリゴヌクレオチド3および4が両方存在する場合、反応中で蛍光シグナルがより迅速に現れることを示し、オリゴヌクレオチド3の加ピロリン酸分解および連結が第一の反応混合物で生じていることを示す、実施例11に関する蛍光測定結果。
【
図13】同じ反応における1%アレル割合でのT790MおよびC797S_2389突然変異の検出。
【
図14】0.5%アレル割合での1つのウェル中で同時の3つの突然変異:G719X_6239、G719X_6252、G719X_6253の検出。
【
図15】分析物ターゲット配列に対して、A
2を形成するA
1の環状化の模式図。A
0はA
0の3’端から3’-5’方向にターゲットに対して進行性に消化されて、部分的に消化された鎖A
1を形成し、これを工程(A)および(B)に示す。この進行性消化は、A
0/A
1の5’端に相補的なターゲット領域を明らかにし、そして次いで、A
1の5’端がこの領域にハイブリダイズする。これを工程(C)に示す。次いで、A
1は共に連結されて、環状化A
2を形成する。工程(D)。
【
図16】A
1を形成するA
0の加ピロリン酸分解が起こり、その後、ターゲット配列に対して、A
2を形成するA
1の環状化が続く態様からの結果を示す、実施例14に関する蛍光測定結果。
【
図17】一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0は、ターゲットポリヌクレオチド配列にアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖であり、そしてA
0の3’端がターゲットポリヌクレオチド配列と二本鎖複合体を形成する、第一の中間産物を生成する。本発明のこの単純化された態様において、ターゲットにアニーリングしていないA
0が、どのように方法のさらなる工程に関与しないかを例示するため、存在するA
0の2つの分子および1つのターゲットポリヌクレオチド配列がある。この例示的例において、A
0の3’端はターゲットポリヌクレオチド配列にアニーリングする一方、A
0の5’端はアニーリングしない。A
0の5’端は、5’化学ブロッキング基、共通プライミング配列およびバーコード領域を含む。部分的に二本鎖である第一の中間産物は、加ピロリン酸分解酵素の存在下で、A
0の3’端から3’-5’方向で、加ピロリン酸分解を経て、部分的に消化された鎖A
1、分析物、およびターゲットにアニーリングしなかった未消化A
0分子を生じる。
【
図18】A
1は、一本鎖トリガーオリゴヌクレオチドBにアニーリングし、そしてA
1鎖は、Bに対して5’-3’方向に伸長されてオリゴヌクレオチドA
2を生成する。この例示的例において、トリガーオリゴヌクレオチドBは5’化学ブロックを有する。いずれの未消化A
0もトリガーオリゴヌクレオチドBにアニーリングするが、Bに対して5’-3’方向に伸長されて、方法の後半部分のターゲットである配列を生成することは不可能である。この例では、A
2は少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングされて、そしてA
2またはA
2の領域の多数コピーが生成される。
【
図19】A
1はスプリントオリゴヌクレオチドDにアニーリングし、そして次いでその3’および5’端での連結によって環状化される。ここで環状化されたA
2は少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングされて、そしてA
2またはA
2の領域の多数コピーが生成される。この例示的例において、スプリントオリゴヌクレオチドDは、3’修飾(この例では化学物質)により、またはDの3’端およびA
2の対応する領域の間のヌクレオチドミスマッチを通じてのいずれかで、A
1に対して伸長することが不可能である。
【
図20】スプリントオリゴヌクレオチドDの3’領域は、A
1の3’領域にアニーリングする一方、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’領域は、連結プローブCの5’領域にアニーリングする。したがって、A
1、C、および任意選択で5’-3’方向でのA
1の伸長によって形成されてCの5’端と出会う中間領域で構成される、第二の中間産物A
2が形成される。この例示的例において、連結プローブCは、3’化学ブロッキング基を有し、したがって、3’-5’エキソヌクレアーゼを用いて、いずれの非連結A
1も消化することも可能である。A
2を、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングし、そして多数コピーのA
2またはA
2の領域を生成する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの側面において、試料中に存在する所定の核酸分析物におけるターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法であって:
(a)
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0;
ii.加ピロリン酸分解酵素;および
iii.リガーゼ
を含む第一の反応混合物に、1つまたはそれより多い核酸分析物を導入し、
ここで、A0は3’端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖A1を生成し、そしてA1は連結を経てA2を形成する;
(b)先の工程の産物由来のシグナルを検出する、ここで、産物はA2またはその一部、あるいはA2の多数コピーまたはその一部の多数コピーであり、そしてそこから分析物中のポリヌクレオチドターゲット配列の存在または非存在を推測する
工程を含む、前記方法を提供する。
【0013】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、ピロリン酸イオンの供給源をさらに含む。
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、A0の一部に実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)をさらに含む。
【0014】
いくつかの態様において、dNTPは任意選択である。
いくつかの態様において、第一の反応混合物は増幅酵素をさらに含む。
いくつかの態様において、工程(a)の産物を、工程(b)の前に第二の反応混合物に導入し、前記の第二の反応混合物は、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドおよびdNTPを含む。
【0015】
いくつかの態様において、第二の反応混合物は増幅酵素をさらに含む。
いくつかの態様において、1つまたはそれより多い核酸分析物を、第一および第二の反応混合物に同時に導入してもよい。
【0016】
いくつかの態様において、1つまたはそれより多い核酸分析物を、第一および第二の反応混合物に連続して導入してもよい。
いくつかの態様において、dNTPはホットスタートdNTPである。
【0017】
ホットスタートdNTPは、3’末端で熱不安定性保護基で修飾されているdNTPである。この修飾が存在することで、熱活性化工程を用いてヌクレオチド保護基が除去されるまで、DNAポリメラーゼヌクレオチド取り込みが遮断される。
【0018】
いくつかの態様において、工程(a)中、分析物は一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0にアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖であり、そしてA0の3’端が分析物ターゲット配列と二本鎖複合体を形成する、第一の中間産物を生成する。
【0019】
いくつかの態様において、工程(a)中、第一の中間産物は、A0の3’端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解されて、部分的に消化された鎖A1および分析物を生成する。
【0020】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み、そして部分的に消化された鎖A1が3’端でCの5’端に連結されて、オリゴヌクレオチドA2を生成する。
【0021】
いくつかの態様において、部分的に消化された鎖A1は、その3’および5’端の連結を通じて環状化される。
いくつかの態様において、A1の連結は:
工程(a)中;または
工程(b)中;または
工程(a)および(b)の間
に起こる。
【0022】
1つの態様において、A
1は分析物ターゲット配列に対して環状化される。この態様において、A
1を形成する、A
0の3’端から3’-5’方向へのA
0の進行性消化によって明らかになるターゲット領域は、A
0/A
1の5’端に相補的である。この態様において、リガーゼを用いて、A
1の3’および5’端を連結して、環状化オリゴヌクレオチドA
2を形成してもよい。これは例えば、
図15に示される。1つの態様において、A
0/A
1の5’端は、長さ5~50ヌクレオチドの領域に渡って、ターゲットに相補的である。1つの態様において、これは長さ5~25ヌクレオチドである。1つの態様において、これは長さ5~20ヌクレオチドである。1つの態様において、これは長さ5~15ヌクレオチドである。1つの態様において、これは長さ5~12ヌクレオチドである。1つの態様において、これは長さ5~10ヌクレオチドである。
【0023】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含み、そしてA0の5’端は5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対して耐性を与えられている。
【0024】
いくつかの態様において、所定の核酸分析物の増幅後および第一の反応混合物(工程(a))の添加前に、試料をプロテイナーゼでさらに処理する。
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含む。
【0025】
いくつかの態様において、工程(b)の前または工程(b)中、先の工程の産物をピロホスファターゼで処理する。
いくつかの態様において、工程(b)の前または工程(b)中、先の工程の産物をエキソヌクレアーゼで処理する。
【0026】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドCは、3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾をさらに含む。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドCは、5’-3’エキソヌクレアーゼ消化から保護する5’修飾をさらに含む。
【0027】
いくつかの態様において、第一または第二の反応混合物は、スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含む。
いくつかの態様において、Dは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含む。
【0028】
いくつかの態様において、Dは、3’修飾により、またはDの3’端およびA1の対応する領域の間のミスマッチを通じてのいずれかで、A1に対して伸長を経ることが不可能である。
【0029】
いくつかの態様において、A0の加ピロリン酸分解を実行して、部分的に消化された鎖A1を形成する酵素はまた、A2を増幅する。
いくつかの態様において、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを用いて、検出を達成する。
【0030】
いくつかの態様において、A2のアンプリコン生成から生じる、経時的なシグナル増加を用いて、分析物中のターゲット配列の濃度を推測する。
いくつかの態様において、各々異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々同定領域を含む、複数のプローブA0であって、そしてA2由来のアンプリコンには、この同定領域が含まれ、そしてしたがって、分析物中に存在するターゲット配列が、同定領域(単数または複数)の検出を通じて推測されることでさらに特徴づけられる、前記A0を使用する。
【0031】
いくつかの態様において、同定領域(単数または複数)の検出は、分子プローブを用いて、または配列決定を通じて行われる。
いくつかの態様において、方法の最終工程は:
i.1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを用いて、工程(b)の産物を標識し;
ii.産物の蛍光シグナルを測定し;
iii.産物を一組の変性条件に曝露し;そして
変性条件への曝露中、産物の蛍光シグナルにおける変化を監視することによって、分析物中のポリヌクレオチドターゲット配列を同定する
工程をさらに含む。
【0032】
いくつかの態様において、1つまたはそれより多い核酸分析物は、複数の反応体積に分けられ、各体積は、異なるターゲット配列を検出するために導入される、1つまたはそれより多いプローブオリゴヌクレオチドA0を有する。
【0033】
いくつかの態様において、異なるプローブA0は、共通のプライミング部位を含み、単一のプライマーまたは単一の組のプライマーをA2の領域の増幅に用いることを可能にする。
【0034】
いくつかの態様において、試料中に存在する所定の核酸分析物中のターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法であって:
(a)試料中に存在する所定の核酸分析物を増幅し;
(b)
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0;
ii.加ピロリン酸分解酵素;および
iii.リガーゼ
を含む第一の反応混合物に、工程(a)の産物を導入し、
ここで、A0は3’端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解されて、少なくとも部分的に消化された鎖A1を生成し、そしてA1は連結を経てA2を形成する;
(c)先の工程の産物由来のシグナルを検出する、ここで、産物はA2またはその一部、あるいはA2の多数コピーまたはその一部の多数コピーであり、そしてそこから分析物中のポリヌクレオチドターゲット配列の存在または非存在を推測する
工程を含む、前記方法を提供する。
【0035】
本発明にしたがって、所定の核酸分析物において、ターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法を提供する。本発明の多様な方法を適用してもよい分析物を、分析物を増幅するように設計された一連の予備的工程によって、上述の生物学的試料から調製してもよく、そして典型的には有意に過剰に存在するバックグラウンドゲノムDNAから分析物を分離してもよい。この方法は、一般的に、一本鎖ターゲット分析物の産生に適用可能であり、そしてしたがって、本発明の第一の側面の方法と共に組み込まれているかまたは第一の側面の方法の部分をさらに含む場合以外の状況で有用である。したがって、(1)分析物(単数または複数)および任意選択でバックグラウンドゲノムDNAを含む生物学的試料を、増幅サイクルに供することによって、分析物(単数または複数)のアンプリコンを産生する工程によって特徴づけられる、ターゲットポリヌクレオチド領域を含む核酸の少なくとも1つの一本鎖分析物を調製するための方法を提供する。
【0036】
いくつかの好ましい態様において、ポリメラーゼ、ヌクレオシド三リン酸および少なくとも1つの対応するプライマー対の存在下で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、増幅を行い、ここで、プライマーの1つには、5’-3’エキソヌクレアーゼブロッキング基が含まれ、そして(2)任意選択で、工程(1)の産物を、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼで消化する。1つの態様において、方法は、(3)工程(2)の産物をプロテイナーゼと反応させて、ポリメラーゼを破壊し、そしてその後、(4)工程(3)の産物を、50℃を超える温度に加熱することによって、プロテイナーゼを脱活性化する工程をさらに含んでもよい。
【0037】
いくつかの好ましい態様において、工程(1)~(4)を、本発明の第一の側面の方法の工程(a)の前に行って、生物学的試料由来のターゲット配列を検出する統合法を生じる。別の態様において、生物学的試料は、工程(1)を実行する前に、細胞溶解を経ている。
【0038】
工程(1)のいくつかの態様において、ヌクレオシド三リン酸は、天然存在DNAに特徴的な4つのデオキシヌクレオシド三リン酸の混合物である。好ましい態様において、デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物は、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)の代わりに、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)を含み、そして酵素dUTP-DNAグリコラーゼ(UDG)の存在下で工程(1)をさらに行って、先のアッセイ由来のいずれの混入アンプリコンも除去する。さらに別の態様において、高忠実度ポリメラーゼ、例えば商標名Phusion(登録商標)またはQ5の下で販売されるものの1つを工程(1)で用いる。さらに別の態様において、ポリメラーゼは、KAPA HiFiウラシル+DNAポリメラーゼであってもよい。
【0039】
高忠実度DNAポリメラーゼは、いくつかの安全装置を有して、DNAをコピーする間の誤りの作製および増幅の両方に対して保護する。こうした酵素は、重合中、正しくないヌクレオシド三リン酸に対して、正しいヌクレオシド三リン酸に有意な結合優先性を有する。正しくないヌクレオチドがポリメラーゼ活性部位に結合すると、活性部位複合体の最適以下の構造のため、取り込みが遅くなる。この遅延時間は、ポリメラーゼ進行前に正しくないヌクレオチドが解離する機会を増加させ、それによって正しいヌクレオシド三リン酸でプロセスが再び始まることを可能にする。正しくないヌクレオチドが挿入された場合、プルーフリーディングDNAポリメラーゼが追加の防御線となる。誤って対形成した塩基によって引き起こされる攪乱(perturbation)が検出され、そしてポリメラーゼは成長中のDNA鎖の3’端を、プルーフリーディング3’→5’エキソヌクレアーゼドメイン内に移動させる。ここで、正しくないヌクレオチドが3’→5’エキソヌクレアーゼ活性によって除去され、この際、鎖は再びポリメラーゼドメインに戻され、ここで重合が続きうる。
【0040】
いくつかの態様において、ヌクレオシド三リン酸は、合成または修飾デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物である。
いくつかの態様において、ヌクレオシド三リン酸は、4つのデオキシヌクレオシド三リン酸および合成または修飾デオキシヌクレオチド三リン酸の混合物である。
【0041】
いくつかの態様において、限定された量のプライマーおよび過剰な増幅サイクルを用いて、工程(1)を行う。これによって、分析物の最初の量に関わらず、固定された量のアンプリコンが産生されることを意味する。したがって、続く工程前の分析物定量化に関する必要性が回避される。工程(2)の必要性を取り除く利点を有する、工程(1)の別の態様において、プライマー対であって、2つのプライマーの一方が他方より過剰に存在し、1つのプライマーが完全に利用されたら、一本鎖アンプリコンの生成を生じる、前記プライマー対の存在下で、増幅を行う。
【0042】
工程(2)のいくつかの好ましい態様において、ホスホロチオエート連結、反転(inverted)塩基、DNAスペーサーおよび当該技術分野に一般的に知られる他のオリゴヌクレオチド修飾より選択される、エキソヌクレアーゼブロッキング基で、5’プライマーをブロッキングする。別の態様において、対のもう一方のプライマーは、5’端にリン酸基を有する。
【0043】
いくつかの態様において、工程(3)において、使用するプロテイナーゼはプロテイナーゼKであり、そして80~100℃の温度で、最大30分間加熱することによって、工程(4)を実行する。1つの態様において、工程(3)において、使用するプロテイナーゼはプロテイナーゼKであり、55℃の温度に5分間加熱することによって、工程(3)を実行し、そして95℃の温度に10分間加熱することによって、工程(4)を実行する。別の態様において、工程(2)の後の何らかの時点で、反応媒体をホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼで処理して、存在しうるいずれの残渣ヌクレオシド三リン酸も除去する。
【0044】
いくつかの態様において、分析物中のターゲットポリヌクレオチド配列は、癌性腫瘍細胞のDNAまたはRNA内の遺伝子または染色体領域であり、そして1つまたはそれより多い突然変異;例えば1つまたはそれより多い一塩基多型(SNP)の形の突然変異の存在によって特徴づけられるであろう。したがって、本発明は、疾患の再発の監視および/または治療の際に有用であろう。治療後に疾患から解放されたと宣言されている患者を長期間監視し、疾患の再発を検出してもよい。これは、非侵襲性に行われる必要があり、そして血液試料からのターゲット配列の高感度検出を必要とする。同様に、いくつかの癌に関しては、治療後、患者において残存する残渣癌細胞がある。患者血液中に存在するこれらの細胞(または細胞不含DNA)のレベルを、本発明を用いて監視すると、疾患の再発または現在の療法の失敗、そして代替療法へのスイッチの必要性の検出が可能になる。
【0045】
いくつかの態様において、ターゲットポリヌクレオチド配列の検出は、疾患治療中の患者試料の反復試験を可能にし、療法に対する耐性の発展を早期に検出することを可能にするであろう。例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、例えばゲフィチニブ、エルロチニブは、非小細胞肺癌(NSCLC)の第一選択の治療として一般的に用いられる。治療中、腫瘍は、しばしば、治療に対する耐性を与える、EGFR遺伝子中の突然変異(例えばT790M、C797S)を発展させるであろう。これらの突然変異の早期検出は、患者の代替療法への転換を可能にする。
【0046】
いくつかの態様において、分析物中のターゲットポリヌクレオチド配列は、胎児起源のDNAまたはRNA内の遺伝子または染色体領域にあり、そして1つまたはそれより多い突然変異;例えば1つまたはそれより多い一塩基多型(SNP)の形の突然変異の存在によって特徴づけられるであろう。したがって、本発明は、他の利用可能な試験技術よりも、妊娠のより初期の段階で、非常に低いアレル割合の突然変異を検出するために使用可能である。
【0047】
別の態様において、ターゲットポリヌクレオチド配列は、得られる遺伝情報以外は健康である個体に由来する遺伝子またはゲノム領域であってもよく、価値あるコンパニオン診断情報を生成することを補助し、ヒト集団内の1つまたはそれより多い定義される群に渡って医学的または療法的結論を引き出すことを可能にしうる。
【0048】
さらに別の態様において、ターゲットポリヌクレオチド配列は、感染性疾患、または特定の療法での治療に対する感染性疾患の耐性に特徴的であってもよく;例えば細菌またはウイルスの遺伝子または染色体領域に特徴的なポリヌクレオチド配列、あるいは療法に対する耐性を与えるその中の突然変異である。
【0049】
いくつかの態様において、ターゲットポリヌクレオチド配列は、ドナーDNAに特徴的であってもよい。移植された臓器が患者によって拒絶される場合、この臓器由来のDNAは、患者の血流内に脱落する。このDNAを早期検出すれば、拒絶の早期検出が可能になるであろう。これは、ドナー特異的マーカーのカスタムパネルを用いて、またはあるものはドナー中に存在し、そしてあるものはレシピエントに存在する、集団に一般的であることが知られる変異体のパネルを用いることによって、達成可能である。したがって、長期に渡る臓器レシピエントのルーチンの監視が、請求する方法によって可能である。
【0050】
さらに別の態様において、プローブ(以下を参照されたい)の異なる組み合わせを用いる多様なバージョンの方法を平行して使用して、複数のターゲット配列;例えば、癌の供給源、癌の指標または感染の複数の供給源に関して、分析物を同時にスクリーニングすることが可能になる。このアプローチでは、方法の平行適用によって得られる増幅された産物を、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または配列特異的分子プローブ、例えば分子ビーコン、ヘアピンプローブ等で構成される検出パネルと接触させる。したがって、本発明の別の側面において、ターゲットポリヌクレオチド配列に関して選択的である1つまたはそれより多い化学的および生物学的プローブと、あるいは増幅されたプローブ領域を同定するための配列決定の使用と組み合わせた、少なくとも1つのプローブおよび任意選択で1つの連結オリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0051】
いくつかの態様において、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0は、プライミング領域および検出しようとするターゲットポリヌクレオチド配列に相補的である3’端を含む。この手段によって、少なくとも部分的に二本鎖である第一の中間産物を生成する。1つの態様において、過剰なA0の存在下で、そして分析物および任意の他の核酸分子を含有する水性媒体中で、この工程を行う。
【0052】
工程(a)中、第一の中間産物の二本鎖領域は、そのA0鎖の3’端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される。その結果、A0鎖は次第に消化されて、部分的に消化された鎖を生成し;以後これをA1と称する。プローブオリゴヌクレオチドが誤って非ターゲット配列にハイブリダイズした場合、加ピロリン酸分解反応が、いずれのミスマッチでも停止し、方法の続く工程が進行することを防ぐ。別の態様において、A1が、分析物またはその中のターゲット領域と安定な二重鎖を形成するために十分な相補性を欠くようになるまで、この消化を続ける。この時点で、多様な鎖は次いで、融解によって分離し、それによって、一本鎖型のA1を生じる。典型的な加ピロリン酸分解条件下では、この分離は、分析物およびA0の間に、6~20の間の相補性ヌクレオチドが存在する場合に起こる。
【0053】
別の態様において、A1が、加ピロリン酸分解酵素が結合するために、または加ピロリン酸分解反応が続くために、分析物またはその中のターゲット領域と、十分な相補性を欠くまで、消化は続く。これは典型的には、分析物およびプローブの間に、6~20の間の相補性ヌクレオチドがある場合に起こる。いくつかの態様において、これは、6~40の間の相補性ヌクレオチドが残っている際に起こる。
【0054】
A1の5’および3’端に相補性を有するスプリントオリゴヌクレオチドDを使用する(以下を参照されたい)、別の態様において、消化は、A1およびターゲットの間の相補性の長さが、オリゴDがA1から分析物分子を置換することがエネルギー的に好ましい時点まで減少するまで続く。これは、典型的には、A1および分析物分子の間の相補性領域が、オリゴDおよびA1の3’端の間の相補性領域と類似であるかまたはそれより短い際に起こるが、A1の5’端にすでにハイブリダイズしていてもよい、オリゴDの分子内ハイブリダイゼーションの好ましさ(favourability)のため、A1および分析物分子の間の相補性がこれより長い場合もまた、起こりうる。
【0055】
A
1の連結がスプリントとして分析物分子を用いて行われる(
図16を参照されたい)、別の態様において、A
1の3’および5’端が隣接し、そしてニックによってのみ分離されるように、A
1の5’端が分析物分子にハイブリダイズ可能であるまで消化は続き、この時点で、これらはリガーゼによって共に連結され、そして消化はもはや進行不能である。
【0056】
適切には、加ピロリン酸分解は、加ピロリン酸分解活性を示す少なくとも1つのポリメラーゼおよびピロリン酸イオンの供給源の存在下、20~90℃の範囲の温度で、反応媒体中で行われる。ポリヌクレオチド消化に適用されるような加ピロリン酸分解反応に関するさらなる情報は、例えばJ. Biol. Chem. 244(1969) pp.3019-3028または本発明者らの以前の特許出願に見出されうる。
【0057】
いくつかの態様において、加ピロリン酸分解工程は、過剰なポリピロリン酸の供給源の存在によって駆動され、適切な供給源には、3またはそれより多いリン原子を含有する化合物が含まれる。
【0058】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、過剰なポリピロリン酸の供給源を含む。
いくつかの態様において、加ピロリン酸分解工程は、過剰な修飾ピロリン酸の供給源の存在によって駆動される。適切な修飾ピロリン酸には、架橋酸素の代わりに置換された他の原子または基を持つもの、あるいは他の酸素上に置換基または修飾基を含むピロリン酸(またはポリピロリン酸)が含まれる。当業者は、本発明の使用に適した修飾ピロリン酸の多くのこうした例があることを理解するであろうし、その限定されない選択は:
【0059】
【0060】
である。
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、過剰な修飾ポリピロリン酸の供給源を含む。
【0061】
いくつかの好ましい態様において、ピロリン酸イオンの供給源は、PNP、PCPまたはトリポリリン酸(PPPi)である。
さらに、限定されるわけではないが、加ピロリン酸分解工程(b)で用いるためのピロリン酸イオンの供給源の例は、WO2014/165210およびWO00/49180に見られうる。
【0062】
いくつかの態様において、過剰な修飾ピロリン酸の供給源は、Y-Hとして示されることも可能であり、式中、Yは一般式(X-O)2P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))n-に対応し、式中、nは1~4の整数であり;各Z-は、-O-、-NH-または-CH2-より独立に選択され;各Bは独立にOまたはSのいずれかであり;X基は、-H、-Na、-K、アルキル、アルケニル、または複素環基より独立に選択され、但し、ZおよびBの両方が-O-に対応し、そしてnが1である場合、少なくとも1つのX基はHでない。
【0063】
いくつかの態様において、Yは、一般式(X-O)2P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))n-に対応し、式中、nは1、2、3または4である。別の態様において、Y基は、一般式(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-に対応し、式中、X基の1つは-Hである。さらに別の好ましい態様において、Yは、一般式(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-X)--に対応し、式中、X基の少なくとも1つは、メチル、エチル、アリルまたはジメチルアリルより選択される。
【0064】
別の態様において、Yは、一般式(H-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-、式中、Zは、-NH-または-CH2-である、あるいは(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-X)--、式中、X基はすべて、-Naまたは-Kのいずれかであり、そしてZは-NH-または-CH2-のいずれかである、のいずれかに対応する。
【0065】
他の態様において、Yは、一般式(H-O)2P(=B)-O-P(=B)(O-H)-に対応し、式中、各B基は、独立に、OまたはSのいずれかであり、少なくとも1つはSである。
【0066】
Yの好ましい態様の特定の例には、式(X1-O)(HO)P(=O)-Z-P(=O)(O-X2)のものが含まれ、式中、ZはO、NHまたはCH2であり、そして(a)X1はγ,γ-ジメチルアリルであり、そしてX2は-Hであるか;または(b)X1およびX2はどちらもメチルであるか;または(c)X1およびX2はどちらもエチルであるか;または(d)X1はメチルであり、そしてX2はエチルであるかまたはその逆である。
【0067】
いくつかの態様において、検出のために分子プローブを用いようとする場合、プローブオリゴヌクレオチドA0は、ターゲット配列に相補的な領域の5’側にオリゴヌクレオチド同定領域を含むように設定され、そして使用される分子プローブは、この同定領域にアニーリングするよう設計される。1つの態様において、A0の3’領域のみが、ターゲットにアニーリング可能であり;すなわち他の領域はいずれも、加ピロリン酸分解工程を行う温度で、安定な二重鎖が存在するために十分な、分析物との相補性を欠く。ここで、そして全体に、用語「十分な相補性」によって、所定の領域が分析物上の所定の領域と相補性を有する限りにおいて、相補性領域は長さ10ヌクレオチドより長いことを意味する。
【0068】
本発明の方法のさらなる側面において、任意の先の態様の加ピロリン酸分解工程を、二本鎖特異的エキソヌクレアーゼを用いたエキソヌクレアーゼ消化工程で置き換える、代替態様を提供する。当業者は、二本鎖特異的エキソヌクレアーゼには、とりわけ、3’-5’方向に読むもの、例えばエキソIII、および5’-3’方向に読むもの、例えばラムダエキソが含まれることを理解するであろう。
【0069】
エキソヌクレアーゼ消化工程が二本鎖特異的5’-3’エキソヌクレアーゼを利用する、本発明のいくつかの態様において、ターゲット分析物に相補的であるのはA0の5’端であり、そして共通プライミング配列およびブロッキング基は、ターゲットに相補的な領域の3’側に位置する。検出のために分子プローブを用いようとする、さらなる態様において、プローブオリゴヌクレオチドA0は、ターゲット配列に相補的な領域の3’側に、オリゴヌクレオチド同定領域を含むように設定され、そして使用する分子プローブは、この同定領域にアニーリングするように設計される。
【0070】
エキソヌクレアーゼ消化工程が二本鎖特異的5’-3’エキソヌクレアーゼを利用する、本発明の態様において、存在するいずれの他の核酸分子も消化する一方、A0および部分的に消化された鎖A1を含むいずれの物質も損なわれない(intact)ままに残す目的のため、3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼを、任意選択で反応混合物に添加してもよい。適切には、エキソヌクレオリシスに対するこの耐性は、本出願の別の箇所に記載するように達成される。
【0071】
本発明の1つの好ましい態様において、A0の5’端またはプライミング領域の5’側の内部部位は、エキソヌクレオリシスに耐性を与えられる。この手段によって、そして加ピロリン酸分解工程の後でまたはそれと同時に、存在するいずれの他の核酸分子も消化する一方、A0および部分的に消化された鎖A1を含むいずれの物質も損なわれないままに残す目的のため、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼを、任意選択で、反応媒体に添加してもよい。適切には、エキソヌクレオリシスに対するこの耐性は、必要なポイントで、オリゴヌクレオチドA0内に1つまたはそれより多いブロッキング基を導入することによって達成される。1つの態様において、これらのブロッキング基は、ホスホロチオエート連結および当該技術分野に一般的に用いられる他の主鎖修飾、C3スペーサー、リン酸基、修飾塩基等より選択されてもよい。
【0072】
いくつかの態様において、同定領域は、ユニークな配列を有し、そして増幅された構成要素A2に適用される配列特異的分子プローブを用いて、間接的に同定されるか、またはこれらの構成要素の配列決定によって直接同定されるように適応されている、バーコード領域を含むかまたはこうしたバーコード領域内に包埋されているであろう。使用してもよい分子プローブの例には、限定されるわけではないが、分子ビーコン、TaqMan(登録商標)プローブ、Scorpion(登録商標)プローブ等が含まれる。
【0073】
すべての態様において、複数の、典型的には数百万のコピーが作製されるように、A2鎖またはその望ましい領域が増幅を経るようにされる。これは、A2および続いてそれに由来する任意のアンプリコンの領域を、例えば順方向/逆方向またはセンス/アンチセンス対の形で提供され、これらの上の相補領域にアニーリング可能である、一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングすることによって、達成される。プライミングされた鎖は次いで、増幅のための起点になる。増幅法には、限定されるわけではないが、熱サイクリングおよび等温法、例えばポリメラーゼ連鎖反応、レコンビナーゼポリメラーゼ増幅およびローリングサークル増幅が含まれ;これらのうち最後のものは、A2が環状化されている場合に適用可能である。これらの手段のいずれによっても、A2の領域の多くのアンプリコンコピーおよびいくつかの場合、その配列相補体が迅速に生成されうる。これらの増幅法のいずれかを実行するための正確な方法論は、一般の当業者に周知であり、そして使用する正確な条件および温度管理体制は、一般文献で容易に入手可能であり、そちらを参照されたい。特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の場合、方法論は、一般的に、ポリメラーゼおよび多様な単一ヌクレオシド三リン酸の供給源を用いて、相補鎖が産生されるまで、5’-3’方向にA2鎖に対してプライマーオリゴヌクレオチドを伸長し;産生された二本鎖産物を脱ハイブリダイズし、A2鎖および相補鎖を再生し;A2鎖およびそのアンプリコンのいずれも再プライミングして、そしてその後、これらの伸長/脱ハイブリダイズ/再プライミング工程を複数回反復して、信頼可能に検出されうるレベルまで、A2アンプリコンの濃度を増大させる工程を含む。
【0074】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含み、そして部分的に消化された鎖A1が、3’端でCの5’端に連結される一方、別の態様において、A1は、その3’および5’端の連結を通じて環状化され;
各場合でオリゴヌクレオチドA2を形成する。
【0075】
1つの態様において、A1の連結は:
工程(a)中;または
工程(b)中;または
工程(a)および(b)の間
に起こる。
【0076】
1つの態様において、A1は、連結前に、任意選択で5’-3’方向に伸長される。
いくつかの態様において、この任意選択の伸長および連結は、ターゲットオリゴヌクレオチドに対して行われる一方、別の態様において、これらは、伸長および/または連結前に、A1がアニーリングするさらなるスプリントオリゴヌクレオチドDの添加を通じて行われる。1つの態様において、Dは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含む。別の態様において、Dは、3’端修飾のため、またはDの3’端およびA1の対応する領域の間のヌクレオチドミスマッチを通じて、A1に対して伸長不能である。
【0077】
いくつかの態様において、連結プローブCは、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’端領域の少なくとも一部に、またはターゲットオリゴヌクレオチドに相補的な5’領域を有する。こうした手段によって、第二の中間産物が形成され、ここで、A2鎖は、A1、Cおよび任意選択で、Cの5’端と出会うように5’-3’方向でA1の伸長によって形成される中間領域で構成される。こうした態様において、工程(c)で使用されるプライマー(以下を参照されたい)は、少なくとも、A1のCへの連結が起こる部位を含むA2の領域を増幅するように選択される。この態様において、本発明者らは、3’-5’エキソヌクレアーゼを用いて、増幅前に、いずれの連結されていないA1も消化可能であるように、C上に3’ブロッキング基を含めることが好適であることを見出している。連結前のA1の伸長に使用可能な適切なポリメラーゼには、限定されるわけではないが、Hemo KlenTaq、MakoおよびStoffel断片が含まれる。
【0078】
いくつかの態様において、第一の反応混合物は、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含み、加ピロリン酸分解反応によって産生されたヌクレオシド三リン酸を加水分解することによって除去し、それにより、加ピロリン酸分解反応を続けることが可能であり、そして順方向重合反応によって打ち負かされないことを確実にする。
【0079】
いくつかの態様において、工程(b)の前または工程(b)中、先の工程の産物をピロホスファターゼで処理して、ピロリン酸イオンを加水分解し、さらなる加ピロリン酸反応が起こることを防止し、そして順方向重合反応を支持する。
【0080】
いくつかの態様において、工程(b)の前または工程(b)中、先の工程の産物をエキソヌクレアーゼで処理する。
いくつかの態様において、A0の加ピロリン酸分解を行って、部分的に消化された鎖A1を形成する酵素はまた、A2を増幅する。当業者は、多くのこうした酵素が存在することを認識するであろう。
【0081】
アンプリコンを検出し、そして得られる情報を用いて、元来の分析物にポリヌクレオチドターゲット配列が存在するかまたは存在しないか、および/またはそれに関連する特性を推測する。例えば、この手段によって、癌性腫瘍細胞に特徴的であるターゲット配列を、探している特定のSNPを参照して検出してもよい。別の態様において、ウイルスまたは細菌のゲノム(その新規突然変異を含む)に特徴的であるターゲット配列を検出してもよい。例えば、オリゴヌクレオチド結合色素、配列特異的分子プローブ、例えば蛍光標識分子ビーコンまたはヘアピンプローブを含めて、アンプリコンまたは同定領域を検出する多くの方法を使用してもよい。あるいは、当該技術分野に使用されるかまたは報告される直接配列決定法の1つを用いて、A2アンプリコンの直接配列決定を行ってもよい。オリゴヌクレオチド結合色素、蛍光標識ビーコンまたはプローブを使用する場合、刺激性電磁放射の供給源(レーザー、LED、ランプ等)、および放出された蛍光を検出し、そしてそこから、特に設計されたアルゴリズムを用いて、マイクロプロセッサまたはコンピュータによって分析可能であるデータストリームを含むシグナルを生成するように配置された光検出装置を含む配置を用いて、アンプリコンを検出することが好適である。
【0082】
いくつかの態様において、検出は、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを用いて達成される。こうした態様において、A2のアンプリコン生成から生じる、経時的なシグナルの増加を用いて、分析物中のターゲット配列の濃度を推測する。1つの態様において、方法の最終工程は:
i.1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを用いて、工程(b)の産物を標識し;
ii.産物の蛍光シグナルを測定し;
iii.一組の変性条件に産物を曝露し;そして
変性条件への曝露中、産物の蛍光シグナルの変化を監視することによって、分析物中のポリヌクレオチドターゲット配列を同定する
工程をさらに含む。
【0083】
いくつかの態様において、複数のプローブA0であって、各々、異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々、同定領域を含み、そしてA2のアンプリコンにこの同定領域が含まれることでさらに特徴づけられ、そしてしたがって分析物中に存在するターゲット配列が、同定領域(単数または複数)の検出を通じて推測される、前記プローブA0を使用する。こうした態様において、同定領域(単数または複数)の検出は、分子プローブを用いて、または配列決定を通じて行われる。
【0084】
いくつかの態様において、1つまたはそれより多い核酸分析物は、複数の反応体積に分けられ、各体積は、異なるターゲット配列を検出するために導入される、1つまたはそれより多いプローブオリゴヌクレオチドA0を有する。
【0085】
異なるプローブA0を用いるいくつかの態様において、異なるプローブA0は、1つまたはそれより多い共通のプライミング部位を含み、単一のプライマーまたは単一のプライマーセットを増幅に用いることを可能にする。
【0086】
本発明の別の側面において、本発明の任意の先の態様の工程によって特徴づけられる所定の核酸分析物において、ターゲットポリヌクレオチド配列を同定する方法であって、A2またはA2の領域の多数コピーが、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド蛍光結合色素または分子プローブを用いて標識されている、前記方法を提供する。これらの多数コピーの蛍光シグナルを測定し、そして多数コピーを一組の変性条件に曝露する。ターゲットポリヌクレオチド配列は、変性条件への曝露中、多数コピーの蛍光シグナルの変化を監視することによって同定される。
【0087】
いくつかの態様において、温度を変化させる、例えば二本鎖が解離し始める点まで温度を増加させることによって、変性条件を提供してもよい。さらにまたはあるいは、また、条件が酸性であるかまたはアルカリ性であるようにpHを変化させることによって、あるいは添加剤または剤、例えば強酸または強塩基、濃縮無機塩または有機溶媒、例えばアルコールを添加することによって、変性条件を提供してもよい。
【0088】
本発明の別の側面において、哺乳動物被験体、特にヒト患者を、感染性疾患、癌の存在に関して、あるいはコンパニオン診断情報を生成する目的のために、スクリーニングするための、上記の方法の使用を提供する。
【0089】
本発明のさらなる側面において、上述のような方法で使用するための対照プローブを提供する。本発明の態様には、単数または複数の特異的ターゲット配列の存在が、蛍光シグナルの生成によって解明されるものが含まれる。こうした態様において、試料中に存在する非ターゲットDNAから生成される、あるレベルのシグナルが必然的に存在しうる。所定の試料に関して、このバックグラウンドシグナルは、「真」のシグナルよりも後に開始するが、この開始は、試料間で多様でありうる。低濃度の単数または複数のターゲット配列の存在の正確な検出は、したがって、その非存在下で、どのシグナルが予期されるかの知識に頼る。企図される試料に関しては参照が入手可能であるが、患者由来の真の「ブラインド」試料に関しては当てはまらない。対照プローブ(E0)を利用して、各アッセイプローブに関する予期されるバックグラウンドシグナルプロファイルを決定する。対照プローブは、試料中に存在しないと予期される配列をターゲットとし、そして次いで、このプローブから生成されるシグナルを用いて、ターゲット配列の非存在下での試料からのシグナル生成の予期される速度を推測してもよい。
【0090】
したがって:
a.ターゲット配列に少なくとも部分的にミスマッチしている3’端領域を有する第二の一本鎖プローブオリゴヌクレオチドE0を用いて、試料の別個のアリコットを用いるかまたは同じアリコット中でそして第二の検出チャネルを用いるかのいずれかで、方法の工程を、続いてまたは同時にのいずれかで反復し;
b.試料中のいずれのターゲット分析物も非存在下で、A0から生成されると予期されるバックグラウンドシグナルを推測し;そして
c.(a)で推測される、予期されるバックグラウンドシグナルとターゲット分析物の存在下で観察される実際のシグナルの比較を通じて、分析物中のポリヌクレオチドターゲット配列の存在または非存在を推測する
工程によって特徴づけられる先に記載する方法いずれかにしたがって、所定の核酸分析物中のターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法を提供する。
【0091】
いくつかの態様において、対照プローブ(E0)およびA0を試料の別個の部分に添加する一方、別の態様において、E0およびA0を試料の同じ部分に添加し、そして異なる検出チャネル(例えば異なる有色色素)を用いて、それぞれのシグナルを測定する。次いで、E0によって生成されたシグナルを利用して、試料中のポリヌクレオチドターゲット配列の非存在下で、A0によって生成されると予期されるバックグラウンドシグナルを推測し、そしてこれに関して修正してもよい。例えば、バックグラウンドシグナルの修正は、A0から観察されるものから、E0から観察されるシグナルを減算することを伴うか、または多様な条件下で、A0およびE0によって生成される相対シグナルの較正曲線を用いた、A0から観察されるシグナルの較正を通じてもよい。
【0092】
いくつかの態様において、単一のE0を用いて、産生されうるアッセイプローブすべてを較正してもよい。
いくつかの態様において、別個のE0を用いて、最初の増幅工程で生成された試料DNAの各アンプリコンを較正してもよい。各アンプリコンは、関心対象の複数の突然変異/ターゲット配列を含有してもよいが、単一アンプリコンに対してアッセイプローブのすべてを較正するために、単一のE0で十分であろう。
【0093】
さらなる態様において、各ターゲット配列に関して、別個のE0を用いてもよい。例えば、C>T突然変異をターゲティングする場合、患者に生じていることが知られていない同じ部位のC>G突然変異をターゲティングするE0を設計してもよい。多様な条件下で、E0によって生成されるシグナルプロファイルを較正反応において評価して、そしてこれらのデータを用いて、変異体が存在しない場合のC>T変異体をターゲティングするアッセイプローブから予期されるシグナルを推測してもよい。
【0094】
本発明の方法のいくつかの態様は、
図17~20に見られうる。
図17において、一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0は、ターゲットポリヌクレオチド配列にアニーリングして、少なくとも部分的に二本鎖であり、そしてA
0の3’端がターゲットポリヌクレオチド配列と二本鎖複合体を形成する、第一の中間産物を生成する。本発明のこの単純化された態様において、ターゲットにアニーリングしなかったA
0が、方法のさらなる工程に、どのように関与しないかを例示するため、存在するA
0の2つの分子および1つのターゲットポリヌクレオチド配列がある。この例示的例において、A
0の3’端はターゲットポリヌクレオチド配列にアニーリングする一方、A
0の5’端はアニーリングしない。A
0の5’端は5’化学ブロッキング基、共通プライミング配列およびバーコード領域を含む。
【0095】
部分的に二本鎖である第一の中間産物は、加ピロリン酸分解酵素の存在下で、A0の3’端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解を経て、部分的に消化された鎖A1、分析物およびターゲットにアニーリングしなかった未消化A0分子を生成する。
【0096】
図18において、A
1を一本鎖トリガーオリゴヌクレオチドBにアニーリングさせて、そしてA
1鎖をBに対して5’-3’方向に伸長してオリゴヌクレオチドA
2を生成する。この例示的例において、トリガーオリゴヌクレオチドBは5’化学ブロックを有する。未消化A
0のいずれかがトリガーオリゴヌクレオチドBにアニーリングするが、Bに対して5’-3’方向に伸長して、方法のより後の部分に関するターゲットである配列を生成することは不可能である。この例では、A
2を少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングして、そして多数コピーのA
2またはA
2の領域を生成する。
【0097】
図19において、A
1をスプリントオリゴヌクレオチドDにアニーリングさせて、そして次いで、その3’および5’端の連結によって環状化する。ここで環状化されているA
2を少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングして、そして多数コピーのA
2またはA
2の領域を生成する。この例示的例において、スプリントオリゴヌクレオチドDは、3’修飾(この例においては化学物質)のため、またはDの3’端およびA
2の対応する領域の間のヌクレオチドミスマッチを通じて、A
1に対して伸長することは不可能である。
【0098】
図20において、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’領域は、A
1の3’領域にアニーリングする一方、スプリントオリゴヌクレオチドDの5’領域は連結プローブCの5’領域にアニーリングする。したがって、A
1、C、および任意選択でCの5’端と出会うように5’-3’方向でA
1の伸長によって形成される中間領域で構成される、第二の中間産物A
2が形成される。この例示的例において、3’-5’エキソヌクレアーゼを用いて、いずれの連結されていないA
1も消化可能であるように、連結プローブCは、3’化学ブロッキング基を有する。
【0099】
A2を少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドでプライミングして、そして多数コピーのA2またはA2の領域を生成する。
ブロッキングオリゴヌクレオチドの導入によって、本発明の方法の特異性を改善してもよい。例えば、野生型DNAの少なくとも一部にハイブリダイズするようにブロッキングオリゴヌクレオチドを導入して、ターゲットポリヌクレオチド配列に対してのみ、A0のアニーリングを促進し、そして野生型へのアニーリングは促進しないようにしてもよい。あるいはまたはさらに、ブロッキングオリゴヌクレオチドを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の特異性を改善して、存在するいずれの野生型配列の増幅も防止してもよい。用いられる一般的な技術は、PCRプライマー間でアニーリングし、そしてPCRポリメラーゼによって置換されるかまたは消化されることが不可能である、オリゴヌクレオチドを設計することである。オリゴヌクレオチドは、非ターゲット(通常、健康な)配列にアニーリングするように設計される一方、ターゲット(突然変異体)配列にはミスマッチ(しばしば一塩基で)である。このミスマッチは、2つの配列に対して異なる融解温度を生じ、オリゴヌクレオチドは、PCR伸長温度では、非ターゲット配列にアニーリングしたままである一方、ターゲット配列からは解離するように設計される。
【0100】
ブロッキングオリゴヌクレオチドは、しばしば、PCRポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性による消化を防止するか、またはターゲットおよび非ターゲット配列の間の融解温度差異を増進させるような修飾を有してもよい。
【0101】
ロックト核酸(LNA)または他の融解温度改変修飾のブロッキングオリゴヌクレオチド内への取り込みは、ターゲットおよび非ターゲット配列に対するオリゴヌクレオチドの融解温度の差異を有意に増加させうる。
【0102】
したがって、ブロッキングオリゴヌクレオチドを用いる本発明の態様を提供する。ブロッキングオリゴヌクレオチドは、消化されずまた置換されないことを確実にするために、加ピロリン酸分解(PPL)反応に耐性でなければならない。これは、いくつかの異なる方法で、例えば3’端のミスマッチを通じるか、あるいはホスホロチオエート結合またはスペーサーなどの修飾を通じるかのいずれかで、達成可能である。
【0103】
ブロッキングオリゴヌクレオチドを用いる、本発明のこうした態様または側面において、所定の核酸分析物において、ターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法は、分析物ターゲット配列を一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0にアニーリングさせて、少なくとも部分的に二本鎖であり、そしてA0の3’端が分析物ターゲット配列と二本鎖複合体を形成する第一の中間産物を生成するのと同じ工程の前にまたはこうした工程中に、非ターゲットポリヌクレオチド配列の少なくともサブセットに、一本鎖ブロッキングオリゴヌクレオチドをアニーリングさせることによって特徴づけられる。
【0104】
いくつかの態様において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’端でのミスマッチを通じて加ピロリン酸分解反応に耐性であるように作製される。別の態様において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’ブロッキング基の存在を通じて耐性であるように作製される。別の態様において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、スペーサーまたは他の内部修飾の存在を通じて耐性であるように作製される。さらなる態様において、ブロッキングオリゴヌクレオチドには、融解温度を増加させる修飾または修飾ヌクレオチド塩基の両方が含まれ、そして加ピロリン酸分解に耐性を与えられる。
【0105】
本明細書において「ホスファターゼ酵素」への言及は、本発明の方法によって産生されるヌクレオシド三リン酸を加水分解によって除去する能力を持つ任意の酵素またはその機能性断片を指す。これには、リン酸モノエステルをリン酸イオンおよびアルコールに切断する能力を持つ任意の酵素またはその機能性断片が含まれる。
【0106】
本明細書において、「ピロホスファターゼ酵素」への言及は、ピロリン酸の1つのイオンの2つのリン酸イオンへの変換を触媒する能力を持つ任意の酵素またはその機能性断片を指す。
【0107】
これにはまた、無機ピロホスファターゼおよび無機ジホスファターゼも含まれる。限定されない例は、熱安定性無機ピロホスフェート(pyrophosphate)(TIPP)である。
【0108】
いくつかの態様において、ピロホスファターゼの使用が任意選択である、任意の先に記載する態様の修飾型を提供する。
本発明のいくつかの態様において、試料中に存在する所定の核酸分析物において、ターゲットポリヌクレオチド配列を検出する方法で使用するためのキットであって:
(a)ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記プローブオリゴヌクレオチドA0;
(b)リガーゼ;
(c)第一の中間産物をA0の端から3’-5’方向に消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能な、加ピロリン酸分解酵素;
(d)A0の一部に実質的に相補的である、少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;
(e)増幅酵素;および
(f)適切な緩衝剤
を含む、前記キットを提供する。
【0109】
1つの態様において、A0の3’端は、ターゲットポリヌクレオチド配列に完全に相補的である。
1つの態様において、リガーゼは、一本鎖連結活性を実質的に欠く。
【0110】
いくつかの態様において、キットは、ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記プローブオリゴヌクレオチドA0;
(a)リガーゼ;
(b)A0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能である、加ピロリン酸分解酵素;
(c)適切な緩衝剤
を含む。
【0111】
いくつかの態様において、キットは別に:
-A1上の隣接配列に相補的である2つまたはそれより多い連結連鎖反応(ligation chain reaction)(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが一方のLCRプローブの5’リン酸へのアニーリングに成功すると、もう一方のLCRプローブの3’OHにすぐ隣接する、前記プローブオリゴヌクレオチド;および
-1つまたはそれより多いリガーゼ
をさらに含む。
【0112】
いくつかの態様において、A2の存在下で、2つのLCRプローブはA2へのアニーリングに成功し、そして共に連結されて1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、これが続いて第二ラウンドの共有連結の新規ターゲットとして働き、関心対象のターゲット、この場合はA2の幾何的増幅を導く。連結された産物またはアンプリコンは、A2に相補的であり、そして増幅の次のサイクルにおいてターゲットとして機能する。したがって、特異的ターゲットDNA配列の指数関数的増幅は、過剰なLCRプローブの存在下での変性、ハイブリダイゼーション、および連結の反復サイクルを通じて達成される。このことから、A2の存在、そしてしたがってターゲットポリヌクレオチド配列の存在が推測される。
【0113】
いくつかの態様において、A2の存在下で、2つのPCRプローブはA2へのアニーリングに成功し、そして共に連結されて1つのオリゴヌクレオチド分子を形成し、これが次いで第二ラウンドの共有連結の新規ターゲットとして働き、関心対象のターゲット、この場合はA2の幾何的増幅を導き、これが次いで検出される。
【0114】
いくつかの態様において、キットは別に:
-連結プローブオリゴヌクレオチドC;
-スプリントオリゴヌクレオチドD
をさらに含んでもよく;
ここで、Cは5’リン酸を有し、A1およびCが共に連結されてA2を形成可能であるように、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’端はCの5’に相補的であり、そしてDの5’端はA1の3’端に相補的である。
【0115】
いくつかの態様において、キットは:
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1がA2に相補的であり、そしてA2にアニーリングした際、HO1のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO1;および
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2が開いたHO1に相補的であり、そしてHO1にアニーリングした際、HO2のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO2
をさらに含んでもよい。
【0116】
いくつかの態様において、キットは、複数のHO1およびHO2をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、別に、基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドA;
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドB;ならびに
-フルオロフォア-消光剤対を含む基質
をさらに含んでもよく;
ここで、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームは、A2の存在下で、オリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒性の多構成要素核酸酵素(MNAザイム)を形成するように、A2の隣接領域に相補的である。
【0117】
いくつかの態様において、キットは別に、部分的に二本鎖である核酸構築物をさらに含んでもよく、ここで:
-一方の鎖は少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の領域に相補的であり、そしてこの鎖は「基質」鎖と称されてもよく;
-他方の鎖は、少なくとも1つの消光剤を含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の存在下で、部分的に二本鎖形成した核酸構築物が、実質的により二本鎖を形成するように、基質鎖が相補的である領域に隣接するA2の領域に相補的である。
【0118】
言い換えると、部分的に二本鎖である核酸構築物は、A2の存在下で、よりサイズが大きい二本鎖部分を有する。
いくつかの態様において、キットは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含んでもよい。
【0119】
いくつかの態様において、酵素は、ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、そしてRNA塩基はウラシルである。
いくつかの態様において、キットは、別に:
-連結部位を含むA2の領域に相補的なオリゴヌクレオチドであって、その蛍光が互いに対するあるいは1つまたはそれより多い蛍光消光剤に対する近接のいずれかによって消光されるように配置された1つまたは複数のフルオロフォアを含む、前記オリゴヌクレオチド;
-二本鎖特異的DNA消化酵素
をさらに含んでもよく;
ここで、A2の存在下で、フルオロフォアが互いからまたは対応する消光剤から分離され、そして蛍光シグナル、そしてしたがってA2の存在が検出可能であるように、標識オリゴヌクレオチドが消化される。
【0120】
いくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素はエキソヌクレアーゼである。
いくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素は、プルーフリーディング活性を持つポリメラーゼである。
【0121】
いくつかの態様において、キットのフルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリーの色素、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアラインファミリー色素、およびキレートランタニドファミリー色素より選択されてもよい。
【0122】
いくつかの態様において、キットのフルオロフォアは、任意の商業的に入手可能な色素から選択されてもよい。
いくつかの態様において、キットの消光剤は、商標名Black HoleTM、EclipseTM. Dark、Qx1J、およびIowa BlackTMの下で入手可能なものより選択されてもよい。
【0123】
いくつかの態様において、キットの消光剤は、任意の商業的に入手可能な消光剤より選択されてもよい。
いくつかの態様において、キットは、1つまたはそれより多い部分的に二本鎖であるDNA構築物をさらに含んでもよく、各構築物は、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤を含有する。いくつかの態様において、構築物が部分的に二本鎖である場合、1つまたはそれより多いフルオロフォアの十分な消光が起こるように、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤は十分に近接して位置する。
【0124】
いくつかの態様において、構築物は、それ自体に折り重なる(looped back on itself)自己相補領域を持つDNA一本鎖である。
いくつかの態様において、構築物はプライマー対の一方のプライマーを含む。
【0125】
いくつかの態様において、キットは、プライマー対のもう一方のプライマーをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、構築物の一本鎖セクションの一部がA2にハイブリダイズし、そしてDNAポリメラーゼによってA2に対して伸長される。いくつかの態様において、プライマー対のもう一方のプライマーが、次いで、伸長された構築物にハイブリダイズする。このプライマーは次いで、構築物に対して伸長されて、自己相補領域を置換する。したがって、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い色素は、蛍光シグナルが検出されるために十分に分離され、A2の存在を示す。
【0126】
こうした態様において、構築物はSunriseプライマーとして知られてもよい。
いくつかの態様において、構築物は2つの別個のDNA鎖を含む。
いくつかの態様において、構築物の一本鎖セクションの一部がA2にハイブリダイズし、そしてDNAポリメラーゼによってA2に対して伸長される。いくつかの態様において、プライマー対のもう一方のプライマーが、次いで、伸長された構築物にハイブリダイズする。このプライマーは次いで、構築物に対して、二本鎖セクションの方向に伸長され、DNA鎖の短い方を置換し、そしてしたがって1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い色素は、蛍光シグナルが検出されるために十分に分離され、A2の存在を示す。
【0127】
こうした態様において、構築物は、Molecular Zipperとして知られてもよい。
当業者は、SunriseプライマーおよびMolecular Zipperの両方に関して、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤対が、それぞれの構築物各々内の多様な位に位置することが可能であることを認識するであろう。重要な特徴は、各対が互いに十分に近接して位置し、A2の非存在下で、すなわち伸長および鎖置換が起こらない場合、蛍光シグナルが放出されないことである。
【0128】
1つの態様において、キットはピロリン酸イオンの供給源をさらに含む。
ピロリン酸イオンの適切な供給源(単数または複数)は先に記載する通りである。
いくつかの態様において、キットは、適切な陽性および陰性対照をさらに含む。
【0129】
いくつかの態様において、キットは、先に記載する通りである1つまたはそれより多い対照プローブ(E0)をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、先に記載する通りである1つまたはそれより多いブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含んでもよい。
【0130】
いくつかの態様において、キットは、1つまたはそれより多い対照プローブ(E0)および1つまたはそれより多いブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、A0の5’端は、5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を与えられてもよく、そしてキットは5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含んでもよい。
【0131】
いくつかの態様において、キットは、連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、スプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含んでもよい。
【0132】
いくつかの態様において、キットはCおよびDの両方を含んでもよい。
連結プローブCは、該プローブを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含んでもよい。
【0133】
Dは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含んでもよい。
いくつかの態様において、Dは、3’修飾により、あるいはDの3’端およびA1またはCの対応する領域の間のミスマッチを通じて、A1に対して伸長を経ることが不可能であってもよい。
【0134】
いくつかの態様において、キットは、dNTP、ポリメラーゼ、および試料中に存在するターゲットポリヌクレオチド配列の最初の増幅に適した緩衝液をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼ、dUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含んでもよい。
【0135】
いくつかの態様において、キットは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、ピロホスファターゼをさらに含んでもよい。ピロホスファターゼはホットスタートであってもよい。
【0136】
いくつかの態様において、キットはプロテイナーゼをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含んでもよい。
【0137】
いくつかの態様において、キットは、各々異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々同定領域を含む、複数のA0をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットはRNAテンプレートからDNAを形成するための酵素をさらに含んでもよい。
【0138】
いくつかの態様において、酵素は逆転写酵素である。
いくつかの態様において、キットの1つまたはそれより多い酵素はホットスタートであってもよい。
【0139】
いくつかの態様において、キットの1つまたはそれより多い酵素は熱安定性であってもよい。
いくつかの態様において、キットは、適切な洗浄および緩衝試薬をさらに含んでもよい。
【0140】
いくつかの態様において、(e)の増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
いくつかの態様において、増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
【0141】
キットは、本明細書に記載するような処理にしたがって、ポリヌクレオチドの一部を単離し、そして/または精製するための精製デバイスおよび試薬をさらに含んでもよい。適切な試薬は当該技術分野に周知であり、そしてこれには、ゲル濾過カラムおよび洗浄緩衝液が含まれる。
【0142】
いくつかの態様において:
(a)ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記プローブオリゴヌクレオチドA0;
(b)リガーゼ;
(c)A0の端から3’-5’方向に第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能である、加ピロリン酸分解酵素;
(d)適切な緩衝剤
を含むキットを提供する。
【0143】
いくつかの態様において、キットは、ピロリン酸イオンの供給源をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、適切な陽性および陰性対照を含んでもよい。
【0144】
キットのいくつかの態様において、A0の5’端は5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対して耐性にされており、そしてキットは5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含んでもよい。
【0145】
いくつかの態様において、キットは、dNTP、ポリメラーゼおよび試料中に存在するターゲットポリヌクレオチド配列の最初の増幅に適した緩衝剤をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼ、dUTPおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含んでもよい。
【0146】
いくつかの態様において、キットはプロテイナーゼをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含んでもよい。
【0147】
いくつかの態様において、キットはスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、キットは、連結プローブオリゴヌクレオチドCおよびスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含んでもよい。
【0148】
キットのいくつかの態様において、オリゴヌクレオチドCは、該オリゴヌクレオチドを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含む。
キットのいくつかの態様において、Dは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含む。
【0149】
キットのいくつかの態様において、Dは、3’修飾により、またはDの3’端およびA1またはCの対応する領域の間のミスマッチを通じてのいずれかで、A1に対して伸長を経ることが不可能である。
【0150】
いくつかの態様において、キットは、A0の一部に実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド、増幅酵素およびdNTPをさらに含む。
いくつかの態様において、キットは、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含む。
【0151】
いくつかの態様において、キットは、各々異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々同定領域を含む、複数のA0をさらに含む。
いくつかの態様において、キットは:
-A1上の隣接配列に相補的である2つまたはそれより多い連結連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが一方のLCRプローブの5’リン酸へのアニーリングに成功すると、もう一方のLCRプローブの3’OHにすぐ隣接する、前記プローブオリゴヌクレオチド;および
-1つまたはそれより多いリガーゼ
をさらに含む。
【0152】
いくつかの態様において、キットは、1つまたはそれより多いポリメラーゼをさらに含む。
キットのいくつかの態様において、1つまたはそれより多いポリメラーゼは、加ピロリン酸分解酵素と同じである。
【0153】
いくつかの態様において、キットは:
-連結プローブオリゴヌクレオチドC;
-スプリントオリゴヌクレオチドD
をさらに含み;
ここで、Eは5’リン酸を有し、A1およびEが共に連結されてA2を形成可能であるように、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’端はEの5’に相補的であり、そしてDの5’端はA1の3’端に相補的である。
【0154】
いくつかの態様において、キットは:
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1がA2に相補的であり、そしてA2にアニーリングした際、HO1のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO1;および
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2が開いたHO1に相補的であり、そしてHO1にアニーリングした際、HO2のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO2
をさらに含む。
【0155】
いくつかの態様において、キットは複数のHO1およびHO2をさらに含む。
いくつかの態様において、キットは:
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドA;
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドB;ならびに
-フルオロフォア・消光剤対を含む基質
をさらに含み;
ここで、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームは、A2の存在下で、オリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒性の多構成要素核酸酵素(MNAザイム)を形成するように、A2の隣接領域に相補的である。
【0156】
いくつかの態様において、キットは部分的に二本鎖である核酸構築物をさらに含み、ここで:
-一方の鎖は少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の領域に相補的であり、そしてこの鎖は「基質」鎖と称されてもよく;そして
-他方の鎖は、少なくとも1つの消光剤を含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の存在下で、部分的に鎖形成した核酸構築物が、実質的により二本鎖を形成するように、基質鎖が相補的である領域に隣接するA2の領域に相補的である。
【0157】
いくつかの態様において、キットは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含む。
キットのいくつかの態様において、酵素はウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、そしてRNA塩基はウラシルである。
【0158】
いくつかの態様において、キットは:
-連結部位を含むA2の領域に相補的なオリゴヌクレオチドであって、その蛍光が互いに対するあるいは1つまたはそれより多い蛍光消光剤に対する近接のいずれかによって消光されるように配置された1つまたは複数のフルオロフォアを含む、前記オリゴヌクレオチド;
-二本鎖特異的DNA消化酵素
をさらに含み、
ここで、A2の存在下で、フルオロフォアが互いからまたは対応する消光剤から分離され、そして蛍光シグナル、そしてしたがってA2の存在が検出可能であるように、標識オリゴヌクレオチドが消化される。
【0159】
キットのいくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素はエキソヌクレアーゼである。
キットのいくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素は、プルーフリーディング活性を持つポリメラーゼである。
【0160】
キットのいくつかの態様において、フルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリーの色素、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアラインファミリー色素、およびキレートランタニドファミリー色素より選択される。
【0161】
キットのいくつかの態様において、消光剤は、商標名Black HoleTM、EclipseTM. Dark、Qx1J、およびIowa BlackTMの下で入手可能なものより選択される。
【0162】
いくつかの態様において、キットは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含む。
いくつかの態様において、キットは、ピロホスファターゼをさらに含む。
【0163】
いくつかの態様において、キットは、RNAテンプレートからDNAを形成するための酵素をさらに含む。
キットのいくつかの態様において、酵素は逆転写酵素である。
【0164】
キットのいくつかの態様において、1つまたはそれより多い酵素はホットスタートである。
キットのいくつかの態様において、1つまたはそれより多い酵素は熱安定性である。
【0165】
いくつかの態様において、キットは、適切な洗浄および緩衝試薬をさらに含んでもよい。
本発明の1つの態様において:
第一の領域、第二の領域および第三の領域の間の流体経路
を少なくとも含むデバイスであって:
第一の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
dNTP;
少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;
試料中に存在するDNAの最初の増幅のための増幅酵素
を含み;そして
第二の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記プローブオリゴヌクレオチドA0;
A0の端から3’-5’方向に第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能である、加ピロリン酸分解酵素
を含み;そして
第三の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、各ウェルが:
dNTP;
緩衝剤;
増幅酵素;
A2またはその一部、あるいはA2の多数コピーまたはその一部の多数コピー由来のシグナルを検出するための手段
を含み;そして
第二の領域のウェルまたは第三の領域のウェルが、A0の一部に実質的に相補的である少なくとも1つの一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、
前記デバイスを提供する。
【0166】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、第三の領域の1つまたはそれより多いウェル内に位置する。
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの第三の領域内に位置する。
【0167】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの隣接領域内に位置する。
いくつかの態様において、第一の領域の各ウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATPおよびdCTPであってもよく、そして各ウェルは、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含んでもよい。
【0168】
いくつかの態様において、第三の領域の各ウェルのdNTPは、dUTP、dGTP、dATPおよびdCTPであってもよく、そして各ウェルは、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼおよびウラシル-DNA N-グリコシラーゼ(UDG)をさらに含んでもよい。
【0169】
いくつかの態様において、第二の領域の各ウェルは、ピロリン酸イオンの供給源をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、A0の5’端は、5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を与えられてもよく、そして第二の領域のウェルは、5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含んでもよい。
【0170】
いくつかの態様において、第二または第三の領域の各ウェルは、リガーゼおよび連結プローブオリゴヌクレオチドCまたはスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含んでもよい。
【0171】
連結プローブCは、該プローブを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含んでもよい。
スプリントオリゴヌクレオチドDは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含んでもよい。
【0172】
Dは、3’修飾により、またはDの3’端およびA1またはCの対応する領域の間のミスマッチを通じてのいずれかで、A1に対して伸長を経ることが不可能であってもよい。
いくつかの態様において、dNTPはホットスタートであってもよく、そして第二の領域の各ウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含んでもよい。
【0173】
いくつかの態様において、第二の領域の各ウェルは、ピロホスファターゼをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、ピロホスファターゼはホットスタートであってもよい。
【0174】
いくつかの態様において、第三の領域の各ウェルは、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、第二の領域の各ウェルは、同定領域を含むターゲット配列に関して選択的である、少なくとも1つまたはそれより多い異なるA0を含んでもよい。
【0175】
いくつかの態様において、第二の領域における増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じであってもよい。
いくつかの態様において、1つまたはそれより多いウェルを含む第四の領域があってもよく、ここで各ウェルはプロテイナーゼを含んでもよく、そして前記の第四の領域は、第一および第二の領域の間に位置していてもよい。
【0176】
いくつかの態様において、デバイスの第二および第三の領域は、第二の領域のウェルが:
dNTP;
緩衝剤;
増幅酵素;および
A1またはその一部、あるいはA1の多数コピーまたはその一部の多数コピー由来のシグナルを検出するための手段
をさらに含むように組み合わされていてもよい。
【0177】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、第二の領域の1つまたはそれより多いウェル内に位置する。
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの第二の領域内に位置する。
【0178】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの隣接領域内に位置する。
いくつかの態様において:
第一の領域および第二の領域の間の流体経路を含むデバイスであって、第一の領域が1つまたはそれより多いウェルを含み、1つまたはそれより多いウェルが:
ターゲットポリヌクレオチド配列と第一の中間産物を形成可能な一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0であって、前記中間産物が少なくとも部分的に二本鎖である、前記オリゴヌクレオチドA0;
A0の端から3’-5’方向で第一の中間産物を消化して、部分的に消化された鎖A1を生成可能な加ピロリン酸分解酵素;および
A1を連結してオリゴヌクレオチドA2を生成可能な1つまたはそれより多いリガーゼ
を含み、
第二の領域が1つまたはそれより多いウェルを含む、
前記デバイスを提供する。
【0179】
いくつかの態様において、第一の領域の1つまたはそれより多いウェルは、加ピロリン酸分解反応を順方向に駆動するため、イオンの供給源をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、イオンはピロリン酸イオンである。
【0180】
いくつかの態様において、A0の5’端は5’-3’エキソヌクレアーゼ消化に対して耐性であり、そして第一の領域のウェルは5’-3’エキソヌクレアーゼをさらに含む。
いくつかの態様において、デバイスは、流体経路によって第一の領域に連結されている、1つまたはそれより多いウェルを含む第三の領域をさらに含んでもよく、そして第三の領域の1つまたはそれより多いウェルは:
dNTP;
一本鎖プライマーオリゴヌクレオチド;および
増幅酵素
を含む。
【0181】
いくつかの態様において、第三の領域のdNTPは、dUTP、dGTP、dCTPおよびdATPであってもよく;増幅酵素は、dUTPを取り込む高忠実度ポリメラーゼであってもよく;そして第三の領域の1つまたはそれより多いウェルは、ウラシル-DNA N-グリコシラーゼをさらに含んでもよい。
【0182】
いくつかの態様において、デバイスは、第一および第三の領域の間に位置し、1つまたはそれより多いウェルを含む第四の領域をさらに含んでもよく、1つまたはそれより多いウェルはプロテイナーゼを含んでもよい。
【0183】
いくつかの態様において、第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、リガーゼ、およびA0の領域に相補的である連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含んでもよい。
【0184】
いくつかの態様において、第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、リガーゼ、およびA0の領域に相補的であるスプリントオリゴヌクレオチドDをさらに含んでもよい。
【0185】
いくつかの態様において、第一または第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、リガーゼ、スプリントオリゴヌクレオチドDおよび連結プローブオリゴヌクレオチドCをさらに含んでもよい。
【0186】
いくつかの態様において、連結プローブオリゴヌクレオチドCは、該オリゴヌクレオチドを3’-5’エキソヌクレアーゼ消化から保護する3’または内部修飾を含んでもよい。
【0187】
いくつかの態様において、Dは、A1の3’端に相補的なオリゴヌクレオチド領域、およびオリゴヌクレオチドCの5’端またはA1の5’端のいずれかに相補的な領域を含んでもよい。
【0188】
いくつかの態様において、Dは、3’修飾により、またはDの3’端およびA1またはCの対応する領域の間のミスマッチを通じてのいずれかで、A1に対して伸長を経ることが不可能であってもよい。
【0189】
いくつかの態様において、第一の領域の1つまたはそれより多いウェルは、各々異なるターゲット配列に対して選択的であり、そして各々同定領域を含む、少なくとも1つまたはそれより多い異なるA0を含んでもよい。
【0190】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは:
dNTP;
緩衝剤;
増幅酵素;
A1またはその一部、あるいはA1の多数コピーまたはその一部の多数コピーに由来するシグナルを検出するための手段
を含んでもよい。
【0191】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、第二の領域の1つまたはそれより多いウェル内に位置する。
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの第二の領域内に位置する。
【0192】
いくつかの態様において、シグナルを検出するための手段は、デバイスの隣接領域内に位置する。
いくつかの態様において、第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、1つまたはそれより多いオリゴヌクレオチド結合色素または分子プローブをさらに含んでもよい。
【0193】
いくつかの態様において、デバイスの増幅酵素および加ピロリン酸分解酵素は同じである。
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは:
-A1上の隣接配列に相補的である2つまたはそれより多い連結連鎖反応(LCR)プローブオリゴヌクレオチドであって、プローブが一方のLCRプローブの5’リン酸へのアニーリングに成功すると、もう一方のLCRプローブの3’OHにすぐ隣接する、前記プローブオリゴヌクレオチド;および
-1つまたはそれより多いリガーゼ
をさらに含む。
【0194】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは:
-連結プローブオリゴヌクレオチドC;
-スプリントオリゴヌクレオチドD
をさらに含んでもよく;
ここで、Cは5’リン酸を有し、A1およびCが共に連結されてオリゴヌクレオチドA2を形成可能であるように、スプリントオリゴヌクレオチドDの3’端はCの5’に相補的であり、そしてDの5’端はA1の3’端に相補的である。
【0195】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは:
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド1(HO1)であって、HO1がA2に相補的であり、そしてA2にアニーリングした際、HO1のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO1;および
-フルオロフォア-消光剤対を含むヘアピンオリゴヌクレオチド2(HO2)であって、HO2が開いたHO1に相補的であり、そしてHO1にアニーリングした際、HO2のヘアピン構造が開いて、そしてフルオロフォア-消光剤対が分離する、前記HO2
をさらに含んでもよい。
【0196】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは、複数のHO1およびHO2をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは:
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドA;
-基質アーム、部分的触媒コアおよびセンサーアームを含むオリゴヌクレオチドB;ならびに
-フルオロフォア・消光剤対を含む基質
をさらに含んでもよく;
ここで、オリゴヌクレオチドAおよびBのセンサーアームは、A2の存在下で、オリゴヌクレオチドAおよびBが組み合わされて触媒性の多構成要素核酸酵素(MNAザイム)を形成するように、A2の隣接領域に相補的である。
【0197】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは、部分的に二本鎖である核酸構築物をさらに含んでもよく、ここで:
-一方の鎖は少なくとも1つのRNA塩基、少なくとも1つのフルオロフォアを含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の領域に相補的であり、そしてこの鎖は「基質」鎖と称されてもよく;
-他方の鎖は、少なくとも1つの消光剤を含み、そしてこの鎖の1つの領域は、A2の存在下で、部分的に鎖形成した核酸構築物が、実質的により二本鎖を形成するように、基質鎖が相補的である領域に隣接するA2の領域に相補的である。
【0198】
いくつかの態様において、第二の領域のウェルは、少なくとも1つのRNA塩基を除去するための酵素をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、酵素は、ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)であり、そしてRNA塩基はウラシルである。
【0199】
いくつかの態様において、第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは:
連結部位を含むA2の領域に相補的なオリゴヌクレオチドであって、その蛍光が互いに対するあるいは1つまたはそれより多い蛍光消光剤に対する近接のいずれかによって消光されるように配置された1つまたは複数のフルオロフォアを含む、前記オリゴヌクレオチド;
二本鎖特異的DNA消化酵素
をさらに含んでもよく;
ここで、A2の存在下で、フルオロフォアが互いからまたは対応する消光剤から分離され、そして蛍光シグナル、そしてしたがってA2の存在が検出可能であるように、標識オリゴヌクレオチドが消化される。
【0200】
いくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素はエキソヌクレアーゼである。
いくつかの態様において、二本鎖特異的DNA消化酵素は、プルーフリーディング活性を持つポリメラーゼである。
【0201】
いくつかの態様において、フルオロフォアは、フルオレセインファミリー、カルボキシローダミンファミリー、シアニンファミリー、ローダミンファミリーの色素、ポリハロフルオレセインファミリー色素、ヘキサクロロフルオレセインファミリー色素、クマリンファミリー色素、オキサジンファミリー色素、チアジンファミリー色素、スクアラインファミリー色素、およびキレートランタニドファミリー色素より選択される。
【0202】
いくつかの態様において、デバイスのフルオロフォアは、任意の商業的に入手可能な色素から選択されてもよい。
いくつかの態様において、デバイスの消光剤は、商標名Black HoleTM、EclipseTM Dark、Qx1J、Iowa BlackTM、ZENおよび/またはTAOの下で入手可能なものより選択されてもよい。
【0203】
いくつかの態様において、デバイスの消光剤は、任意の商業的に入手可能な消光剤より選択されてもよい。
いくつかの態様において、第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、1つまたはそれより多い部分的に二本鎖であるDNA構築物をさらに含んでもよく、各構築物は、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤を含有する。いくつかの態様において、構築物が部分的に二本鎖である場合、1つまたはそれより多いフルオロフォアの十分な消光が起こるように、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤は十分に近接して位置する。
【0204】
いくつかの態様において、構築物は、それ自体に折り重なる自己相補領域を持つDNA一本鎖である。
いくつかの態様において、構築物はプライマー対の一方のプライマーを含む。
【0205】
いくつかの態様において、第二の領域の1つまたはそれより多いウェルは、プライマー対のもう一方のプライマーをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、構築物の一本鎖セクションの一部がA2にハイブリダイズし、そしてDNAポリメラーゼによってA2に対して伸長される。いくつかの態様において、プライマー対のもう一方のプライマーが、次いで、伸長された構築物にハイブリダイズしてA2をディスプレイする。このプライマーは次いで、構築物に対して伸長されて、自己相補領域を置換する。したがって、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い色素は、蛍光シグナルが検出されるために十分に分離され、A2の存在を示す。
【0206】
こうした態様において、構築物はSunriseプライマーとして知られてもよい。
いくつかの態様において、構築物は2つの別個のDNA鎖を含む。
いくつかの態様において、構築物の一本鎖セクションの一部がA2にハイブリダイズし、そしてDNAポリメラーゼによってA2に対して伸長される。いくつかの態様において、プライマー対のもう一方のプライマーが、次いで、伸長された構築物にハイブリダイズしてA2をディスプレイする。このプライマーは次いで、構築物に対して、二本鎖セクションの方向に伸長され、DNA鎖の短い方を置換し、そしてしたがって1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い色素は、蛍光シグナルが検出されるために十分に分離され、A2の存在を示す。
【0207】
こうした態様において、構築物は、Molecular Zipperとして知られてもよい。
当業者は、SunriseプライマーおよびMolecular Zipperの両方に関して、1つまたはそれより多いフルオロフォアおよび1つまたはそれより多い消光剤対が、それぞれの構築物各々内の多様な位に位置することが可能であることを認識するであろう。重要な特徴は、各対が互いに十分に近接して位置し、A2の非存在下で、すなわち伸長および鎖置換が起こらない場合、蛍光シグナルが放出されないことである。
【0208】
いくつかの態様において、1つまたはそれより多い領域の1つまたはそれより多いウェルは、ピロホスファターゼをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域の1つまたはそれより多いウェルは、ホスファターゼまたはホスホヒドロラーゼをさらに含んでもよい。
【0209】
いくつかの態様において、デバイスの第一の領域の1つまたはそれより多いウェルは、RNAテンプレートからDNAを形成するための酵素をさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、酵素は逆転写酵素である。
【0210】
いくつかの態様において、デバイスに存在する1つまたはそれより多い酵素はホットスタートである。
いくつかの態様において、デバイスに存在する1つまたはそれより多い酵素は熱安定性である。
【0211】
いくつかの態様において、デバイスの第一および第二の領域は組み合わされている。
いくつかの態様において、領域の1つまたはそれより多いウェルの間/およびまたはデバイスの1つまたはそれより多い領域の間には、1つまたはそれより多い流体経路が位置する。
【0212】
いくつかの態様において、第一の領域は、流体界面を通じて、試料コンテナに流体的に連結されていてもよい。
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域に、加熱および/または冷却素子が存在してもよい。
【0213】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域に加熱および/または冷却を適用してもよい。
いくつかの態様において、デバイスの各領域は、少なくとも100または200のウェルを独立に含んでもよい。
【0214】
いくつかの態様において、デバイスの各領域は、約100~300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500の間またはそれより多いウェルを独立に含んでもよい。ウェルは、任意の形状であってもよく、そしてその位置は、支持体上に任意の形式またはパターンで配置されてもよい。
【0215】
いくつかの態様において、ウェル支持体は、金属(例えば限定されない例として、金、白金、またはニッケル合金)、セラミック、ガラス、または他のPCR適合性ポリマー材料、あるいは複合材料から構築されてもよい。ウェル支持体には複数のウェルが含まれる。
【0216】
いくつかの態様において、ウェルは、ウェル支持体中に、ブラインドホールまたはスルーホールとして形成されてもよい。ウェルは、ウェル支持体内に、例えばレーザードリル(例えばエキシマーまたは固相レーザー)、超音波エンボス加工、ホットエンボス加工リソグラフィ、ニッケルモールドの電鋳(electroforming)、射出成形、および射出圧縮成形によって生成されてもよい。
【0217】
いくつかの態様において、個々のウェル体積は、0.1~1500nlの範囲であってもよい。1つの態様において、0.5~50nLである。各ウェルは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または500nLの体積を有してもよい。
【0218】
いくつかの態様において、ウェル寸法は、任意の形状、例えば円状、楕円形、正方形、長方形、卵型、六角形、八角形、円錐、および当業者に周知の他の形状を有してもよい。
いくつかの態様において、ウェル形状は、軸に沿って多様な横断面面積を有してもよい。例えば、正方形の穴が、第一のサイズから、第一のサイズの部分である第二のサイズに徐々に小さくなってもよい。
【0219】
いくつかの態様において、ウェル寸法は、およそ等しい直径および深さの正方形であってもよい。
いくつかの態様において、ウェルを定義する壁は非平行であってもよい。
【0220】
いくつかの態様において、ウェルを定義する壁は、点に収束してもよい。ウェル寸法は、ウェル支持体の総体積容量から得られうる。
いくつかの態様において、ウェルの深さは25μm~1000μmの範囲であってもよい。
【0221】
いくつかの態様において、ウェルは、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000μmの深さを有してもよい。
【0222】
いくつかの態様において、ウェル直径は、約25μm~約500μmの範囲であってもよい。
いくつかの態様において、ウェルは、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475または500μmの幅を有してもよい。
【0223】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域の一部は、流体の接着を促進するかまたは防止するように修飾されていてもよい。ウェルを定義する表面を、親水性物質でコーティングし(または親水性であるように修飾し)、そしてしたがって流体の保持を促進してもよい。
【0224】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域の一部を、疎水性物質でコーティングし(または疎水性であるように修飾し)、そしてしたがって流体の保持を防止してもよい。当業者は、流体が好ましくはウェル内に保持されるが、上部表面には保持されないように、過剰な流体の排出を促進するため、他の表面の処理を行ってもよいことを理解するであろう。
【0225】
いくつかの態様において、ウェル支持体のウェルは、整列された行および列の単純な幾何的パターン、あるいは対角線状にまたは六角形に配置されたパターンを有するようにパターン形成されてもよい。1つの態様において、ウェル支持体のウェルは、カオスパターンまたはアイソジオメトリック設計パターンなどの複雑な幾何パターンを有するようにパターン形成されてもよい。
【0226】
いくつかの態様において、ウェルは、幾何的に互いに分離されてもよく、そして/または試薬の交差混入を防止するのを補助するため、大きな深さ対幅比を特徴としてもよい。
いくつかの態様において、デバイスは、プロセス流体、例えば油または他の化学物質溶液を、デバイスの領域の1つまたはそれより多くに提供するために使用可能な、1つまたはそれより多い補助領域を含んでもよい。こうした補助領域は、1つまたはそれより多い膜、バルブ、および/または圧切断可能基質(すなわち、補助領域内、または流体経路の隣接部分内で、流体からあらかじめ決定された量の圧に供された際、破壊される物質)、例えば金属ホイルまたは薄いフィルムを通じて、デバイスの領域の1つまたはそれより多くに流体的に連結されていてもよい。
【0227】
いくつかの態様において、デバイスの流体経路には、拡張トーチュラス(torturous)部分が含まれてもよい。流体経路の入口通路およびデバイスの領域の1つまたはそれより多くの間のトーチュラスパスは、流体プロセスの制御および取り扱いのため、役立ってもよい。トーチュラスパスは、流体経路を通じた油の流動に干渉しうるガス泡の形成の減少を補助してもよい。
【0228】
いくつかの態様において、デバイスは、デバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルから気体が排出されることを可能にする一方、流体が通過することを許さない、気体浸透性膜をさらに含んでもよい。気体浸透性膜は、気体浸透性接着剤によって、デバイスのウェル支持体に接着されてもよい。1つの態様において、膜はポリジメチルシロキサン(PDMS)から構築されてもよく、そして20~1000μmの範囲の厚さを有する。いくつかの態様において、膜は、100~200μmの範囲の厚さを有しうる。
【0229】
いくつかの態様において、ウェル支持体のすべてまたは一部は、金属からウェルへの熱移動を可能にするため、伝導性金属部分(例えば金)を含有してもよい。1つの態様において、ウェルの内部表面を金属でコーティングして、熱移動を可能にしてもよい。
【0230】
いくつかの態様において、適切な試薬がデバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルを満たした後、絶縁油または熱伝導性液体をデバイスに適用して、クロストークを防止してもよい。
【0231】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルを、円錐のように、より大きい直径からより小さい直径に先細になるように成形してもよい。傾斜した壁を有する円錐状ウェルは、試薬のための非接触沈着法(例えばインクジェット)の使用を可能にする。円錐形状はまた、乾燥を補助し、そして気体浸透性膜が存在する場合、泡および漏洩を防止することが見出されてきている。
【0232】
いくつかの態様において、デバイスの流体経路に沿って、試料流体を(例えば圧によって)前進させることによって、デバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルを満たしてもよい。流体がデバイスの1つまたはそれより多い領域のウェル上を通過するにつれ、各ウェルには流体が満たされ、これはまず、表面張力を通じてウェル内に保持される。以前記載されるように、デバイスのウェル支持体の部分は、試料流体が通過するにつれて、ウェルの完全でそして均一な充填を促進するため、望ましいように、親水性/疎水性物質でコーティングされてもよい。
【0233】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルは、充填後、油で「キャップ」されてもよい。これは次いで、ウェル支持体が熱サイクリングに供された場合、蒸発を減少させることを補助しうる。1つの態様において、油キャッピング後、水溶液をデバイスの1つまたはそれより多い領域に満たし、熱伝導性を改善してもよい。
【0234】
いくつかの態様において、定常水溶液を、デバイスの1つまたはそれより多い領域内で加圧して、流体およびいずれの泡の移動も停止してもよい。
いくつかの態様において、油、例えばミネラルオイルを、デバイスの1つまたはそれより多い領域のウェルの単離のために用いて、そして熱伝導性を提供してもよい。しかし、任意の熱伝導液、例えばフッ素化液体(例えば3M FC-40)を用いてもよい。本開示において、油への言及は、当業者が適用可能と認識するであろうようなこうした代替物を含むと理解されるべきである。
【0235】
いくつかの態様において、デバイスは、1つまたはそれより多いセンサーアセンブリをさらに含んでもよい。
いくつかの態様において、1つまたはそれより多いセンサーアセンブリは、光ファイバー面板(FOFP)にカップリングされた電荷結合素子(CCD)/相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出装置を含んでもよい。フィルターはFOPFの最上部上に層状に配置されてもよく、そしてウェル支持体に対してまたはこれに隣接して配置されてもよい。1つの態様において、フィルターは、FOPFが最上部に配置されたCCDの最上部に直接層状に配置され(結合し)てもよい。
【0236】
いくつかの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域が最大100%の湿度を有するか、または少なくとも熱サイクリング中の蒸発を防止するために十分な湿度を有するように、水和液、例えば蒸留水を、第一の領域または補助領域の1つ内で加熱してもよい。
【0237】
いくつかの態様において、デバイスの充填が完了した後、PCRのための熱サイクリングを実行するため、デバイスと熱的に接触している外部デバイスによって、ウェル支持体を加熱してもよい。
【0238】
いくつかの態様において、加熱の非接触法、例えばRFID、キュリー点、誘導性またはマイクロ波加熱を使用してもよい。加熱のこれらのおよび他の非接触法は当業者には周知であろう。熱サイクリング中、先に記載するセンサー配置を通じて、化学反応に関してデバイスを監視してもよい。
【0239】
いくつかの態様において、デバイスの領域の1つまたはそれより多くのウェルの1つまたはそれより多くに沈着される試薬は、あらかじめ決定された配置で沈着される。
いくつかの態様において:
試料流体をデバイスの流体経路に提供し、ここでデバイスは、少なくとも、第一の領域、第二の領域および第三の領域の間の流体経路を含み、第一、第二および第三の領域は、独立に1つまたはそれより多いウェルを含む;
第二の領域の1つまたはそれより多いウェルが、増幅された流体でコーティングされるように、第一の領域からの増幅された流体で第二の領域を満たし;
1つまたはそれより多いウェルが、増幅された流体の少なくともある程度で湿ったままであるように、第二の領域から増幅された流体を排出し;
第三の領域の1つまたはそれより多いウェルがこの流体でコーティングされるように、第二の流域から排出された流体で第三の領域を満たし;そして
1つまたはそれより多いウェルが、この流体の少なくともある程度で湿ったままであるように、第三のチャンバーから流体を排出する
工程を含む、方法を提供する。
【0240】
方法のいくつかの態様において、流体経路にはバルブがなくてもよい。
方法のいくつかの態様において、排出された第二の領域に、疎水性物質を満たしてもよい。
【0241】
方法のいくつかの態様において、排出された第三の領域に、疎水性物質を満たしてもよい。
方法のいくつかの態様において、疎水性物質は、第二および第三の領域と流体連絡がある油チャンバーから供給されてもよい。
【0242】
方法のいくつかの態様において、試料流体は、曲がりくねった方式で、流体経路に沿って送られてもよい。
いくつかの態様において、方法は、第一、第二または第三の領域の1つまたはそれより多くに、加熱および冷却サイクルを適用する工程をさらに含んでもよい。
【0243】
本発明の多様なさらなる側面および態様は、本開示の観点で、当業者には明らかであろう。
本明細書で用いる際、「および/または」は、他方を伴うまたは伴わない、2つの明記する特徴または構成要素の各々の特定の開示として解釈されるものとする。例えば「Aおよび/またはB」は、本明細書に各々が個々に示されるのと同じように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの各々の特定の開示として解釈されるものとする。
【0244】
別に示さない限り、上に示す特徴の説明および定義は、本発明のいずれの特定の側面または態様にも限定されず、そして記載されるすべての側面および態様に等しく適用される。
【0245】
当業者には、本発明はいくつかの態様に言及して例として記載されてきているが、本発明は開示する態様に限定されず、そして付随する請求項に定義するような本発明の範囲から逸脱することなく、別の態様を構築可能であることがさらに認識されるであろう。
【実施例】
【0246】
実施例1-単純化プロトコル
この目的および以下のセクションのため、本発明の態様を例示し、そしてそれぞれ、プロトコル1~5として言及する。
【0247】
図1は、異なるプロトコルの概観を提供する。
以下の表は、各プロトコルを実行するために掛かる時間の概観を示す:
【0248】
【0249】
1つの態様において、TIPPは、本発明のプロトコル、方法、キットおよびまたはデバイスのいずれの1つにも存在しない。
1つの態様において、5’-3’エキソヌクレアーゼは、本発明のプロトコル、方法、キットおよびまたはデバイスのいずれの1つにも存在しない。
【0250】
以下の表は、各プロトコルで用いてもよい酵素の概観を示す:
【0251】
【0252】
1つの態様において、ピロホスファターゼの存在は任意選択である。
1つの態様において、5’-3’エキソヌクレアーゼの存在は任意選択である。
1つの態様において、UDGの存在は任意選択である。
【0253】
【0254】
見て取れるように、本発明者らは、必要な酵素の総数を減らし、したがって方法のコストおよび複雑さを減らした。驚くべきことに、本発明者らは、5’-3’エキソヌクレアーゼ添加を、プロトコルの前増幅工程から加ピロリン酸分解/連結工程に移動させると(プロトコル3~5におけるように)、
図2に示すように、より高い蛍光シグナル(特定のターゲット分析物配列の検出に相当する)が生じることを発見した。
【0255】
実施例2:加ピロリン酸分解(PPL)酵素
本発明者らは、ある範囲の異なるPPL酵素を用いて、本発明のプロトコル3の方法を試験し、その結果は
図3で見られうる。
図3(A)は、Mako、KlenowおよびBsuを用いた1%MAF T790Mの検出を示す。
図3(B)は、ある範囲の異なるPPi濃度でBst LFを用いた0.5%MAF T790Mの検出を示す。
本発明者らは、ある範囲の異なるPPL酵素を用い、本発明のプロトコル4の方法を試験し、その結果は
図4で見られうる。
【0256】
実施例3:プロトコル1対プロトコル4
本発明者らは、プロトコル1およびプロトコル4の両方を用いて、0.5%、0.10%および0.05%MAFでエクソン19 del_6223を検出し、その結果は
図5で見られうる。見て取れるように、蛍光ピークは、プロトコル4を用いた際により大きい。
【0257】
実施例4:プロトコル4-感度
本発明者らは、プロトコル4にしたがい、
図6に示すように、0.10%、0.50%および1%MAFでEGFRエクソン20 T790M突然変異を検出した。
【0258】
実施例5:プロトコル4-RCA中にエキソヌクレアーゼ消化工程は必要か?
本発明者らは、RCA中のエキソヌクレアーゼ消化工程は必須ではないことを示した。しかし、検出可能なシグナルは、エキソヌクレアーゼ消化工程を省略すると、RCA中でより遅く検出される。
図7は、RCA工程中、エキソヌクレアーゼの存在を伴うおよび伴わない、1%MAFでのEGFRエクソン20 T790Mの検出を示す。
【0259】
実施例6:プロトコル4-PPL:RCA混合比
本発明者らは、0.5%MAF EGFRエクソン20 T790Mに関して検出されるシグナル強度に対して、PPL:RCA混合比がどのような影響を有するかを調べ、その結果を
図8に示す。見て取れるように、1:2 PPL:RCA混合比は、最低のシグナル強度を生じるが、これは、最も早い時点である。最大のシグナル強度は、反応の最も遅い時点で、1:8 PPL:RCA混合物に関して見られる。
【0260】
実施例7:プロトコル4-色素選択
本発明者らは、RCA中に用いる色素を最適化可能であるかどうかを調べた。
図9は、SybrGreenI(50℃および60℃)およびSyto82(50℃および60℃)を用い、プロトコル4にしたがって行った比較実験の結果を示す。Syto82色素は、RCAが50℃のより低い温度で実行可能であることを許容する一方、SybrGreenIはより高い60℃の温度を必要とする。反応混合物へのプロテイナーゼKの添加を省くプロトコル5に関しては、より低いRCA温度が必要である。ターゲットポリヌクレオチド領域を含む核酸の少なくとも1つの一本鎖分析物を調製するために用いる増幅酵素が働くためには、本発明の方法を用いた検出のため、50℃より高い温度が必要である。SybrGreenIの使用は、60℃の反応温度を必要とし、そしてしたがって、RCA前の増幅酵素を不活性化するため、方法のどこかの時点でプロテイナーゼKを添加しなければならない。
【0261】
より低いRCA温度は、qPCRの代わりにプレート読み取り装置中で本発明の方法を実行することを可能にしうる。
Syto82を利用する反応は、
図9で見られうるようにより迅速であり、そして蛍光総量はSyto82に関してはより低いが、これはより高い濃度のSyto82色素を用いることによって軽減されうる。
【0262】
実施例8:プロトコル4-BST L.F.対BST 2.0WS
本発明者らは、0.5%MAF EGFRエクソン20 T790M突然変異を検出するため、プロトコル4にしたがい、RCAに関して、2つの異なる酵素、BST L.FおよびBST 2.0WSの使用を調べた。この結果を
図10に示し、ここから、BST 2.0WSで反応が最速であることが見て取れる。BST 2.0 WSは、dUTPを取り込むように設計され、これは反応速度を補助する。BST L.F.およびBST 2.0WSの間で達成される総シグナル強度では無視できる程度の相違しかない。New England Biolabs(NEB)によって提供される説明によれば、BST 2.0WSはより安定であるはずであり、そして45℃より高い温度でのみ活性であるはずである。
【0263】
実施例9:シグナル検出に対するPPL酵素の影響
本発明者らは、異なるPPL:RCA反応混合比でのRCA反応に対する異なるPPL酵素の影響を調べた。その結果は
図11(A)1:4 PPL:RCAおよび
図11(B)1:8 PPL:RCAで見られうる。BSTを除き、すべてのPPL酵素は、1:4 PPL:RCA比でRCA反応に影響を及ぼす。1:8 PPL:RCA比では、BSTおよびKlenowはRCA反応に影響を及ぼさない。
【0264】
実施例10:一塩基ミスマッチに対する加ピロリン酸分解、連結特異性
以下のヌクレオチド配列を有する、一本鎖の第一のオリゴヌクレオチド(配列番号1)を調製した:
【0265】
【0266】
以下のヌクレオチド配列を有する、一本鎖連結オリゴヌクレオチド2(配列番号2)を調製した:
【0267】
【0268】
式中、A、C、G、およびTは、DNAの関連する特徴的な核酸塩基を所持するヌクレオチドを示し、
/5Phos/は5’端リン酸を示し、
*はホスホロチオエート結合を示す。
【0269】
5’から3’方向に、以下のヌクレオチド配列を有する一組の一本鎖オリゴヌクレオチド3~4(配列番号3~4)もまた調製した:
【0270】
【0271】
式中、オリゴヌクレオチド3には、オリゴヌクレオチド1の3’端の17塩基に相補的な17塩基領域が含まれ、そしてオリゴヌクレオチド4には、3位での一塩基ミスマッチを含む同じ領域が含まれる。配列番号3および4は、それぞれ、C797S突然変異を含む/含まない、ヒトEGFR遺伝子の一部である。
【0272】
次いで、以下の配合から得られるものに対応する組成を有する、第一の反応混合物を調製した:
0.5μL 20x緩衝剤pH7.0
0.25μL 5x緩衝剤pH8.0
0.25μL 5xHF緩衝剤
0.2μLオリゴヌクレオチド1、1000nM
0.3μLオリゴヌクレオチド2、1000nM
1μLオリゴヌクレオチド2(500nM)またはオリゴ2および3の混合物(それぞれ500および0.5nM)
0.3U Klenow断片エキソ-(NEB)
0.01μL無機ピロリン酸、10mM
0.0132Uアピラーゼ(例えばNEB)
1U大腸菌(E. coli)DNAリガーゼ(例えばNEB)
10μLまでの水
ここで、20x緩衝剤は以下の混合物を含んだ:
200μL酢酸Tris、1M、pH7.0
342.5μL水性酢酸マグネシウム、1M
120μL水性酢酸カリウム、5M
50μL Triton X-100界面活性剤(10%)
1mLまでの水
ここで、5x緩衝剤は以下の混合物を含んだ:
50μL酢酸Trizma、1M、pH8.0
25μL水性酢酸マグネシウム、1M
25μL水性酢酸カリウム、5M
50μL Triton X-100界面活性剤(10%)
1mLまでの水
次いで、混合物を45℃で15分間インキュベーションすることによって、オリゴヌクレオチド1の加ピロリン酸分解、その後の連結を通じた環状化を行い、そして生じた産物混合物を増幅反応(実施例11)で用いた。
【0273】
実施例11:環状化プローブの増幅
以下のヌクレオチド配列を有する、一本鎖オリゴヌクレオチドプライマー1(配列番号5)および2(配列番号6)の対を調製した:
【0274】
【0275】
式中、A、C、G、およびTは、DNAの関連する特徴的な核酸塩基を所持するヌクレオチドを示す。
次いで、以下の配合から得られるものに対応する組成を有する、第二の反応混合物を調製した:
3μL 10xThermopol緩衝剤
3.2U BST 2.0WS
0.32μLオリゴヌクレオチド1、10μM
0.32μLオリゴヌクレオチド2、10μM
1.125μL Syto82、30μM
0.165U無機ピロホスファターゼ
1.2μL dNTP混合物、10mM
1.25μLの実施例10の反応混合物
11.25μLまでの水
ここで、10xThermopol緩衝剤は以下の混合物を含んだ:
200μL Tris-HCl、pH=8.8、1M
100μL NH4)2SO4、1M
100μL mM KCl、1M
20mM MgSO4、1M
10μL Triton(登録商標)X-100、10%
1mLまでの水
次いで、反応混合物を50℃で40分間インキュベーションし、そして次いで、生じた反応産物をリアルタイム蛍光によって分析した。その結果を
図12に示す。
【0276】
この分析から、オリゴヌクレオチド3および4の両方が存在する場合、蛍光シグナルは反応中により迅速に現れ、オリゴヌクレオチド3の加ピロリン酸分解および連結が第一の反応混合物中で起こっていたことを示す。
【0277】
実施例12:Sunriseプライマーを用いた多色検出
1.ターゲットオリゴ希釈
WTオリゴ希釈は以下の成分で構成される:
0.5xA7緩衝剤
0.5xPhusion U緩衝剤
200nM WTオリゴヌクレオチド(配列番号7)
総体積:5μL
T790MおよびC797S 1%AF突然変異体オリゴ混合物:
0.5xA7緩衝剤
0.5xPhusion U緩衝剤
100nM WTオリゴヌクレオチド(配列番号7)
2nM T790Mオリゴヌクレオチド(配列番号8)
2nM C797S_2389オリゴ(配列番号9)
総体積:5μL
【0278】
【0279】
1xA7組成
酢酸Tris pH=8.0 10mM
酢酸カリウム25mM
酢酸マグネシウム5mM
Triton-X 0.01%
PhusionU緩衝剤
PhusionU緩衝剤組成は公的に入手不能である。
【0280】
2.PPL
以下に対応する混合物を調製した:
1XBFF1
37.5U/mL Mako DNAポリメラーゼ(3’→5’エキソ-)
100U/mL大腸菌リガーゼ
1.2U/mLアピラーゼ
0.6mM PPi
20nM T790Mプローブ
20nM C797S_2389プローブ
30nM T790Mスプリントオリゴヌクレオチド
30nM C797S_2389スプリントオリゴヌクレオチド
5μLのポイント1のWTまたは1%AF突然変異体希釈
総体積10μL
次いで、この混合物を41℃で30分間インキュベーションした。
【0281】
1xBFF1組成
酢酸Tris pH=7.0 10mM
酢酸カリウム30mM
酢酸マグネシウム17.125mM
Triton-X 0.01%
【0282】
【0283】
式中、*はホスホロチオエート結合を示す。
【0284】
3.TIPP
以下に対応する混合物を調製した:
1xA7
66.6U/mL TIPP
10μLのポイント2由来の混合物
総体積20μL
次いで、この混合物を25℃で5分間、95℃で5分間インキュベーションした。
【0285】
4.連結
以下に対応する混合物を調製した:
1xA7
100U/mL大腸菌リガーゼ
20μLのポイント3由来の混合物
10nM T790Mスプリントオリゴヌクレオチド
10nM C797S_2389スプリントオリゴヌクレオチド
総体積30μL
次いで、この混合物を37℃で10分間、95℃で10分間インキュベーションした。
【0286】
【0287】
5.エキソヌクレアーゼ処理
以下に対応する混合物を調製した:
1xA7
100U/mL大腸菌リガーゼ
30μLのポイント4由来の混合物
625U/mLのエキソヌクレアーゼIII
62.5U/mL T5エキソヌクレアーゼ
総体積40μL
次いで、この混合物を30℃で5分間、95℃で5分間インキュベーションした。
【0288】
6.RCA
以下に対応する混合物を調製した:
1xThermopol緩衝剤(53.2mM Tris-HCl、26.6mM(NH4)2SO4、26.6mM KCl、5.32mM MgSO4、0.266%Triton(登録商標)X-100、pH8.8)
0.2μMプライマー混合物1
0.4μM逆方向プライマー
533.3U/mL BST L.F.
0.4mM dNTP
10μLのポイント5由来の反応混合物
総体積15μL
【0289】
【0290】
次いで、混合物を60℃で90分間インキュベーションした。蛍光測定を1分ごとに行った。Bio-rad装置によって提供される自動閾値に基づいて、Cqを得た。この結果は
図13に見られうる。
【0291】
実施例13:Molecular Zipperを用いた多色検出
1.ターゲットオリゴ希釈
WTオリゴ希釈は以下の成分で構成される:
0.5xA7緩衝剤
0.5xQ5U緩衝剤
100nM WTオリゴヌクレオチド(配列番号17)
総体積:1.25μL
G719X_6239、G719X_6252、G719X_6253 0.5%AF突然変異体オリゴヌクレオチド混合物:
0.5xA7緩衝剤
0.5xQ5U緩衝剤
100nM WTオリゴヌクレオチド(配列番号17)
0.5nM G719X_6239オリゴヌクレオチド(配列番号18)
0.5nM G719X_6252オリゴヌクレオチド(配列番号19)
0.5nM G719X_6253オリゴヌクレオチド(配列番号20)
総体積:1.25μL
【0292】
【0293】
1xA7組成
酢酸Tris pH=8.0 10mM
酢酸カリウム25mM
酢酸マグネシウム5mM
Triton-X 0.01%
Q5U緩衝剤
Q5U緩衝剤組成は公的に入手不能である。
【0294】
2.加ピロリン酸分解(PPL)および連結
以下に対応する混合物を調製した:
1XBFF1
10U/mL Klenow(エキソ-)
100U/mL大腸菌リガーゼ
1.2U/mLアピラーゼ
100U/mLラムダエキソ
0.25mM PPi
6.6nM G719X_6239プローブオリゴヌクレオチド(配列番号21)
6.6nM G719X_6252プローブオリゴヌクレオチド(配列番号22)
6.6nM G719X_6253プローブオリゴヌクレオチド(配列番号23)
30nM スプリントオリゴヌクレオチド(配列番号24)
【0295】
1.25μLのポイント2由来の混合物
総体積10μL
次いで、この混合物を45℃で15分間インキュベーションした。
【0296】
1xBFF1組成
酢酸Tris pH=7.0 10mM
酢酸カリウム30mM
酢酸マグネシウム17.125mM
Triton-X 0.01%
【0297】
【0298】
式中、*はホスホロチオエート結合を示す。
【0299】
3.検出-RCA
以下に対応する混合物を調製した:
2.66xThermopol緩衝剤(53.2mM Tris-HCl、26.6mM(NH4)2SO4、26.6mM KCl、5.32mM MgSO4、0.266%Triton(登録商標)X-100、pH8.8)
0.28μM色素プライマー混合物1
0.56μM消光剤プライマー1
0.28μM消光剤プライマー2
0.84μM逆方向プライマー
568.8U/mL BST 2.0 WarmStart
14.67U/mL TIPP
1.06mM dNTP
1.25μLのポイント2由来の反応混合物
総体積11.25μL
色素プライマー混合物1は以下からなった
【0300】
【0301】
次いで、混合物を58℃で150分間インキュベーションした。蛍光測定を1分ごとに行った。この結果は
図14に見られうる。
【0302】
実施例14:ターゲットに対する加ピロリン酸分解および連結
1.オリゴヌクレオチド希釈調製物
オリゴヌクレオチドの希釈を0.5xA7および0.5xQ5緩衝液中で調製した:
WTオリゴヌクレオチド200nM
+/-突然変異体オリゴヌクレオチド500pM
総体積1.25μL
【0303】
【0304】
2.加ピロリン酸分解および連結
以下からなるPPL混合物を調製した:
1xBFF1
10U/mL Klenow(エキソ-)
100U/mL大腸菌リガーゼ
1.2U/mLアピラーゼ
100U/mLラムダエキソ
0.25mM PPi
20nMプローブA0
1.25μLのポイント1由来のオリゴ
総体積10μL
【0305】
【0306】
式中、*はホスホロチオエート結合である。
【0307】
1xBFF1組成
酢酸Tris pH=7.0 10mM
酢酸カリウム30mM
酢酸マグネシウム17.125mM
Triton-X 0.01%
1xA7組成
酢酸Tris pH=8.0 10mM
酢酸カリウム25mM
酢酸マグネシウム5mM
Triton-X 0.01%
Q5緩衝剤
Q5緩衝剤組成は公的に入手不能である。
生じた混合物を45℃で15分間インキュベーションした。
【0308】
3.検出-RCA
以下からなるRCA混合物を調製した:
2.66xThermopol緩衝剤(53.2mM Tris-HCl、26.6mM(NH4)2SO4、26.6mM KCl、5.32mM MgSO4、0.266%Triton(登録商標)X-100、pH8.8)
0.28μMプライマー混合物
284.4U/mL BST 2.0 WarmStart
14.67U/mL TIPP
1.06mM dNTP
Syto82色素3μM
1.25μLのポイント2由来の反応
総体積11.25μL
プライマー混合物:
【0309】
【0310】
生じた混合物を50℃で70分間インキュベーションした。
蛍光読み取りを1分ごとに行った。結果は
図16に見られうる。
【0311】
実施例15:本発明のさらに選択される適用および態様
KRAS検出
KRAS遺伝子は細胞増殖を制御し、突然変異すると、この陰性シグナル伝達が破壊されて、そして細胞は増殖し続けることが可能になり、しばしば癌に発展する。単一アミノ酸置換、そして特に一塩基置換が、多様な癌:肺腺癌、粘液腺腫、膵臓の管癌および結腸直腸癌に関連付けられる活性化突然変異の原因である。KRAS突然変異は、例えば肺癌における予後バイオマーカーとして用いられてきている。
【0312】
KRASにおけるドライバー突然変異は、ヒト癌の最大20%と関連し、そしてこの突然変異およびその関連疾患(単数または複数)に対する開発中のターゲティング療法があり、いくつかのこうした療法の限定されないリストが以下の表に見られうる:
【0313】
【0314】
KRAS突然変異の存在は、EGFR阻害剤、パニツムマブ(Vectibix)およびセツキシマブ(Erbitux)に対する非常に劣った反応を反映することが見出されてきている。KRASをコードする遺伝子中の活性化突然変異は、結腸直腸癌の30%~50%で起こり、そして研究によって、その腫瘍がKRAS遺伝子のこの突然変異型を発現する患者はパニツムマブおよびセツキシマブに反応しないことが示されている。野生型KRAS遺伝子の存在は、患者がこれらの薬剤に反応することを保証はしないが、研究によって、セツキシマブは、野生型KRAS腫瘍を持つ転移性結腸直腸癌患者において、有意な有効性を有することが示されてきている。KRAS突然変異(野生型EGFR)に関して陽性である肺癌患者は、EGFRアンタゴニスト、エルロチニブまたはゲフィチニブに関して、KRAS突然変異を持たない患者では60%の反応率であるのに比較して、5%またはそれ未満と概算される反応率を有する。
【0315】
結腸直腸癌におけるセツキシマブ療法(抗EGFR療法)に対する獲得耐性の頻繁なドライバーである、KRAS突然変異(活性化または過剰発現)の出現を早期に検出すると、耐性を遅延させるかまたは逆転させる治療の修飾(例えばマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤の早期開始)が可能になり、そしてしたがって本発明の方法が、患者のKRAS状態の迅速でそして安価な検出を可能にすることが好適である。
【0316】
突然変異の限定されないリストは:G12D、G12A、G12C、G13D、G12V、G12S、G12R、A59T/E/G、Q61H、Q61K、Q61R/L、K117NおよびA146P/T/Vである。
【0317】
突然変異のさらなる限定されないリストを以下の表に示す:
【0318】
【0319】
BRAF検出
BRAFは、細胞内部に、細胞増殖の指示に関与するシグナルを送る際に関与するB-Rafと称されるタンパク質をコードするヒト遺伝子である。BRAFは、いくつかのヒト癌において、突然変異していることが示されてきている。B-Rafは、増殖シグナル伝達プロテインキナーゼのRafキナーゼファミリーメンバーであり、そしてとりわけ、細胞分裂に影響を及ぼす、MAPキナーゼ/ERKシグナル伝達経路の制御に役割を果たす。
【0320】
特定の他の遺伝性BRAF突然変異は出生異常を引き起こす。
ヒト癌に関連する、BRAF遺伝子の30より多い突然変異が同定されてきている。症例の90%において、ヌクレオチド1799でチミンがアデニンで置換される。これは、ヒト癌で見られる活性化セグメントにおけるコドン600でのバリン(V)のグルタミン酸(E)での置換(ここで、V600Eと称される)を導く。この突然変異は広く:
-結腸直腸癌
-黒色腫
-乳頭状甲状腺癌
-非小細胞肺癌
-エナメル上皮腫
で観察される。
【0321】
見出されている他の突然変異の限定されないリストは:R461I、I462S、G463E、G463V、G465A、G465E、G465V、G468A、G468E、N580S、E585K、D593V、F594L、G595R、L596V、T598I、V599D、V599E、V599K、V599R、V600KおよびA727Vである。
【0322】
BRAF突然変異によって駆動される癌を治療する薬剤が開発されてきており;ベムラフェニブおよびダブラフェニブは、後期黒色腫の治療に関してFDAによって認可されている。以前の最適な化学療法剤ダカルバジンに関する7~12%と比較して、転移性黒色腫に関して、ベムラフェニブでの治療に対する反応率は53%であった。
【0323】
ERBB2/HER2検出
ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)はまた、CD340(表面抗原分類340)、癌原遺伝子Neu、Erbb2(齧歯類)またはERBB2(ヒト)としても知られ、ERBB2遺伝子によってコードされるタンパク質である。この癌遺伝子の増幅または過剰発現は、乳癌の侵襲型の進行に重要な役割を果たす。ERBB2遺伝子の過剰発現はまた、卵巣、胃、肺腺癌、および子宮癌の侵襲型および唾液管癌の30%でも起こることが知られる。過剰発現の非存在下で受容体のリガンド独立発火(firing)を引き起こす構造改変もまた同定されてきている。
【0324】
この突然変異およびその関連疾患(単数または複数)に対して認可され、そして開発中である多くのターゲティング療法があり、こうした療法のいくつかの限定されないリストが以下の表に見られうる:
【0325】
【0326】
HER2試験は、予後を評価し、治療に対する反応を監視し、そしてターゲティング療法(トラスツズマブなど)に関する適切性を決定するため、乳癌患者においてルーチンに行われる。トラスツズマブは高価であり、そして重大な副作用(心臓毒性)と関連するため、HER2+患者のみがこの薬剤を投与されるように選択されることが重要であり、そしてしたがって、本発明の方法が患者のHER2状態の迅速でそして安価な検出を可能にすることは好適である。
【0327】
1つの態様において、本発明の方法を用いて、ERRB2エクソン20挿入突然変異の存在または非存在を検出する。
ERBB2突然変異のさらなる限定されないリストを、以下の表に示す:
【0328】
【0329】
EML4-ALK検出
EML4-ALKは、棘皮動物微小管会合タンパク質様4(EML4)遺伝子および未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子の異常な遺伝子融合である。この遺伝子融合は、タンパク質EML4-ALKの産生を導き、これは、癌細胞の悪性のふるまいを促進し、そして維持するようである。EML4-ALK陽性肺癌は、その細胞がこの突然変異を含有する、原発性悪性肺腫瘍である。
【0330】
この突然変異およびその関連疾患(単数または複数)に対して認可され、そして開発中である多くのターゲティング療法があり、こうした療法のいくつかの限定されないリストが以下の表に見られうる:
【0331】
【0332】
EML4-ALK遺伝子融合は、非小細胞肺癌(NSCLC)のおよそ5%に関与し、NSCLCは、米国において年間約9,000の新規症例があり、そして世界では約45,000例がある。
【0333】
EML4-ALKの多くの変異体があり、すべての変異体は、EML4 N末端部分および形質転換活性に必要なALKエクソン20のキナーゼドメインに、必須のコイルドコイルドメインを有する。EML4のエクソン13とALKのエクソン20(変異体1:V1)(この検出は
図20に見られうる)、EML4のエクソン20とALKのエクソン20(V2)、そしてEML4のエクソン6とALKのエクソン20(V3)の融合は、より一般的な変異体のいくつかである。これらの異なる変異体の臨床的な重要性は、最近、ようやく明らかになりつつある。
【0334】
V3は、非チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療、例えば化学療法および放射線療法後、より短い無増悪生存(PFS)を有する可能性が高い患者の選択に適したマーカーとして出現した。V3は、EML4-ALKのV1およびV2に比較して、第一および第二世代の治療ラインを投与された患者のより短いPFS、ならびに全体の生存(OS)の悪化と関連するというさらなる証拠がある。
【0335】
V3陽性患者が、耐性突然変異の発展を通じて、第一および第二の治療ラインに対する耐性を発展させ、そしておそらく、野生型V3のIC50がより高いことから、腫瘍細胞抑制が不完全なことによって、これが促進されることもまた見出されてきている。好ましくないV3の検出を用いて、より積極的な監視および治療戦略を必要とする患者を選択してもよい。V3を有する患者への第三世代ロルラニチブの投与は、V1を有するものよりも長いPFSを与えうるようであり、そしてしたがって、本発明の方法が、患者がどの変異体を有しうるかの迅速でそして安価な検出を可能にすることは好適である。
【0336】
本発明の方法は、限定されるわけではないが、例えば:G1202R、G1269A、E1210K、D1203、S1206C、L1196M、F1174C、I1171T、I1171N/S、V1180L、T1151KおよびC1156Yなどの耐性突然変異の検出をさらに可能にする。
【0337】
例えばG1202Rは、溶媒先端(solvent-front)の突然変異であり、薬剤結合への干渉を引き起こし、そして第一および第二世代のALK阻害剤に対する高レベルの耐性を与える。したがって、本発明の方法が、この突然変異を所持する可能性があり、そして第一または第二よりも、第三世代治療に対する治療開始から利益を得る可能性がある患者の同定を可能にすることが好適である。
【0338】
EML4-ALK突然変異のさらなる限定されない例を以下の表に示す:
【0339】
【0340】
EGFR検出
癌遺伝子としての上皮増殖因子受容体(EGFR)の同定によって、肺癌に関するゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ブリガチニブおよびイコチニブ、ならびに結腸癌に関するセツキシマブなどのターゲティング療法の開発が導かれた。しかし、多くの人々は、これらの療法に対して耐性を発展させる。耐性の2つの主な供給源は、T790M突然変異およびMET癌遺伝子である。
【0341】
EGFR突然変異はEGFRエクソン18~21で起こり、そしてエクソン18、19および21の突然変異は、EGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)での治療の適切性を示す。エクソン20の突然変異(いくつかの突然変異を除く)は、腫瘍がEGFR-TKI耐性であり、そしてEGFR-TKIでの治療に適していないことを示す。
【0342】
2つの最も一般的なEGFR突然変異は、エクソン19の短いインフレーム欠失、およびコドン858でのロイシンのアルギニンによる置換(L858R)を生じるヌクレオチド2573でのエクソン21の点突然変異(CTGからCGG)である。これらの2つの突然変異はあわせて、非小細胞肺癌(NSCLC)のすべてのEGFR突然変異の~90%を占める。NSCLC患者におけるこれらの突然変異のスクリーニングを用いて、どの患者がTKIに反応するかを予測してもよい。
【0343】
したがって、本発明の方法が、これらの突然変異を所持し、そしてTKIに関する治療開始から利益を得る可能性がある患者の同定を可能にすることが好適である。当業者は、本発明の方法が、ある範囲のEGFR突然変異の同定を可能にすることを認識するであろうし、こうした突然変異の非包括的なリストは:G719X、Ex19Del、S768I、Ex20InsおよびL861Qである。
【0344】
突然変異のさらなる限定されないリストを以下の表に示す:
【0345】
【0346】
【0347】
ROS1
ROS1は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)タンパク質に構造的類似性を持つ受容体チロシンキナーゼ(遺伝子ROS1によってコードされる)であり;c-ros癌遺伝子によってコードされる。
【0348】
ROS1突然変異の限定されないリストを以下の表に示す:
【0349】
【0350】
RET癌原遺伝子
RET癌原遺伝子は、細胞外シグナル伝達分子のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーのメンバーの受容体チロシンキナーゼをコードする。
【0351】
RET突然変異の限定されないリストを以下の表に示す:
【0352】
【0353】
METエクソン14
METエクソン14スキッピングは、NSCLCのおよそ5%の頻度で起こり、そして扁平癌および腺癌組織学の両方で見られる。
【0354】
MET突然変異の限定されないリストを以下の表に示す:
【0355】
【0356】
NTRK癌原遺伝子
NTRK遺伝子融合は、TRK融合タンパク質と称される異常なタンパク質を導き、これは癌細胞の増殖を引き起こしうる。NTRK遺伝子融合は、脳、頭頚部、甲状腺、軟組織、肺、および結腸の癌を含む、いくつかのタイプの癌に見られうる。神経栄養チロシン受容体キナーゼ遺伝子融合とも称される。
【0357】
NTRK突然変異の限定されないリストを以下の表に示す:
【0358】
【0359】
パネル
本発明の1つの態様において、各A0がターゲット突然変異に相補的である複数のプローブ分子(A0)を含むパネルを提供する。先にまたは以下に記載するかまたは知られている、任意の突然変異から、突然変異を選択してもよい。したがって、当業者は、本発明の範囲内には、先にまたは以下に記載するかまたは知られている、任意の癌原遺伝子または癌遺伝子のいずれかに対する1つまたはそれより多い突然変異の検出において有用でありうるパネルが含まれることを認識するであろう。
【0360】
1つの態様において、パネルは、5~500の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。1つの態様において、パネルは、5~400の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。1つの態様において、パネルは、5~300の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。1つの態様において、パネルは、5~200の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。1つの態様において、パネルは、5~100の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。1つの態様において、パネルは、5~50の個々のプローブ分子を含み、各々は、特定のターゲット突然変異に相補的である。
【0361】
1つの態様において、同じ突然変異に特異的な複数のプローブ分子があってもよい。1つの態様において、パネルの各突然変異に特異的な唯一のプローブ分子のみがあってもよい。
【0362】
1つの態様において、複数のプローブ分子を含むパネルであって、1つまたはそれより多いプローブがEGFR突然変異に相補的であり、1つまたはそれより多いプローブがKRAS突然変異に相補的であり、1つまたはそれより多いプローブがERBB2/HER2突然変異に相補的であり、1つまたはそれより多いプローブがEML4-ALK突然変異に相補的であり、1つまたはそれより多いプローブがROS1突然変異に相補的であり、1つまたはそれより多いプローブがRET突然変異に相補的であり、そして1つまたはそれより多いプローブがMET突然変異に相補的である、前記パネルを提供する。
【0363】
1つの態様において、複数のプローブ分子を含むパネルであって、1つまたはそれより多いプローブがEGFR突然変異に相補的であってもよく、1つまたはそれより多いプローブがKRAS突然変異に相補的であってもよく、1つまたはそれより多いプローブがERBB2/HER2突然変異に相補的であってもよく、1つまたはそれより多いプローブがEML4-ALK突然変異に相補的であってもよく、1つまたはそれより多いプローブがROS1突然変異に相補的であってもよく、1つまたはそれより多いプローブがRET突然変異に相補的であってもよく、そして1つまたはそれより多いプローブがMET突然変異に相補的であってもよい、前記パネルを提供する。
【0364】
1つの態様において、EGFR、KRAS、BRAF、ERBB2/HER2、EML4-ALK、ROS1、RET、MET突然変異の1つまたはそれより多くに対して選択的であるプローブのパネルを提供する。
【0365】
1つの態様において、EGFR突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
1つの態様において、KRAS突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
【0366】
1つの態様において、BRAF突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
1つの態様において、ERBB2/HER2突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
【0367】
1つの態様において、EML4-ALK突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
1つの態様において、ROS1突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
【0368】
1つの態様において、RET突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
1つの態様において、NTRK突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
【0369】
1つの態様において、ROS1突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
1つの態様において、METエクソン14突然変異に対して選択的であるプローブ分子のパネルを提供する。
【0370】
1つの態様において、1つまたはそれより多いコード配列(CDS)に対して選択的である複数のプローブ分子を含むパネルを提供する。
1つの態様において、先に記載するパネルの1つまたはそれより多くを用いて、1つまたはそれより多い突然変異を検出する方法を提供する。
【0371】
1つの態様において、先に記載するパネルの1つまたはそれより多くを用いて、1つまたはそれより多い突然変異の存在または非存在を検出する方法を提供する。
1つの態様において、先にまたは以下に記載する通りであってもよいパネルを、先にまたは以下に記載する通りであってもよい1つまたはそれより多い試薬と組み合わせて含む、キットを提供する。
【0372】
当業者は、A0を開示するキットの態様には、その範囲内に、複数のA0を含むパネルがある態様が含まれることを認識するであろう。
1つの態様において、デバイスの1つまたはそれより多い領域が1つまたはそれより多いパネルを含み、これらが先にまたは続いて記載される通りであってもよい、前記デバイスを提供する。
【0373】
コンパニオン診断
本発明の方法を用いて、試料における特定の遺伝子マーカーを検出してもよく、これは適切な療法の選択のガイドを補助するために使用されうる。これらのマーカーは腫瘍特異的突然変異であってもよいし、または野生型ゲノム配列であってもよく、そして組織、血液または任意の他の患者試料タイプを用いて検出されてもよい。
【0374】
耐性監視
疾患の治療中の患者試料の反復試験によって、療法に対して発展する耐性の早期検出が可能になりうる。この適用の例は、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤(例えばゲフィチニブ、エルロチニブ)が第一の治療として一般的に用いられる、非小細胞肺癌(NSCLC)におけるものである。治療中、腫瘍はしばしば、EGFR遺伝子中に突然変異(例えばT790M、C797S)を発展させる可能性があり、これが薬剤に対する耐性を与える。これらの突然変異の早期検出は、代替療法(例えばTagrisso)への患者の転換を可能にしうる。
【0375】
典型的には、耐性開始に関して監視される患者は、反復組織生検を行うには病状が悪すぎる可能性もある。反復組織生検はまた、費用が高く、侵襲性であり、そして関連するリスクを持つ可能性もある。血液から試験することが好ましいが、妥当な採血試料においては、関心対象の突然変異は非常に低コピー数でしか存在しない可能性もある。したがって、監視は、定期的に実行可能であるように、実行が単純でそして費用効率的である、本発明の方法を用いた、血液試料からの高感度試験を必要とする。
【0376】
再発監視
この適用例において、治療後に疾患がないと宣言されている患者を、長期に渡って監視して、疾患の再発を検出してもよい。これは、非侵襲性に行われる必要があり、そして血液試料からのターゲット配列の高感度検出を必要とする。本発明の方法を用いることによって、定期的に実行可能である、単純でそして低コストの方法を提供する。ターゲティングされる配列は、関心対象の疾患に一般的であることが知られる遺伝子突然変異であってもよいし、または寛解前の腫瘍組織における変異体の検出に基づいて、特定の患者に関して設計されるターゲットのカスタムパネルであってもよい。
【0377】
最小残渣疾患(MRD)監視
治療後、患者に残る残渣癌細胞があるいくつかの癌に関しては、これが癌および白血病の再発の主な原因である。MRD監視および試験は、いくつかの重要な役割:治療が癌を根絶させたかまたは痕跡が残っているかを決定すること、異なる治療の有効性を比較すること、患者寛解状態を監視すること、ならびに白血病の再発を検出すること、およびこれらの必要性を最適に満たすであろう治療を選択することを有する。
【0378】
スクリーニング
疾患の早期検出のための集団スクリーニングは、特に癌診断において、かねてからの目的である。困難な点は二重である:あまりにも多い偽陰性を伴わずに、疾患の確実な検出を可能にするマーカーパネルの同定、ならびに十分な感度および十分に低いコストの方法の開発である。本発明の方法を用いて、PCRに基づく試験よりもより大きな突然変異パネルに取り組むが、配列決定に基づく診断法よりもはるかに単純なワークフローおよびより低いコストであることが可能である。
【0379】
臓器移植拒絶
移植された臓器がレシピエントによって拒絶される場合、この臓器からのDNAがレシピエントの血流内に脱落する。このDNAの早期検出によって、拒絶の早期検出が可能になる。ドナー特異的マーカーのカスタムパネルを用いて、または集団において一般的であることが知られる変異体のパネルを用いることによって、これを達成してもよく、こうした変異体のうちいくつかは、ドナーに存在し、そしていくつかは、レシピエントに存在する。長期に渡る、臓器レシピエントのルーチンの監視は、本明細書に開示する本発明の低コストおよび単純なワークフローによって可能になりうる。
【0380】
非侵襲性出生前試験(NIPT)
胎児DNAが母体血液中に存在することは長い間知られており、そしてNIPT市場は現在、配列決定を用いて突然変異を同定し、そして特定の染色体のコピー数をカウントして、胎児異常の検出を可能にする企業によってかなり飽和している。本明細書に開示するような本発明の方法は、非常に低いアレル割合の突然変異を検出する能力を有し、胎児DNAのより早期の検出を潜在的に可能にする。所定の集団における共通の突然変異の同定は、母体または胎児DNAのいずれに存在してもよい突然変異をターゲティングするか、あるいは妊娠のより早期段階での異常の検出を可能にするアッセイを開発することを可能にするであろう。
【0381】
本発明の多様なさらなる側面および態様は、本開示を考慮して、当業者に明らかであろう。
「および/または」は、本明細書において、他方を伴うまたは伴わない、2つの明記する特徴または構成要素の各々の特異的開示として解釈されるものとする。例えば「Aおよび/またはB」は、各々が本明細書に個々に示されるのと同様に、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの各々の特異的開示として解釈されるものとする。
【0382】
背景が別に示さない限り、上に示す特徴の説明および定義は、本発明の任意の特定の側面または態様に限定されず、そして記載されるすべての側面および態様に等しく適用される。
【0383】
当業者は、本発明が例として、いくつかの態様に言及して記載されてきているが、開示する態様に限定されず、そして付随する請求項に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、代替態様が構築可能であることをさらに認識するであろう。
【0384】
当業者は、「部分的に消化された鎖A1」への言及が、ターゲット分析物配列にハイブリダイズした際、相補性の欠如のために鎖が解離するまで、3’-5’方向のA0の進行性消化によって形成される一本鎖オリゴヌクレオチドを指しうることを理解するであろう。
【0385】
当業者は、「部分的に二本鎖である」核酸への言及が、1つまたはそれより多い部分が二本鎖であり、そして1つまたはそれより多い部分が一本鎖である核酸を指しうることを理解するであろう。
【0386】
当業者は、「実質的に二本鎖である」核酸への言及が、1つまたはそれより多い部分が二本鎖であり、そして1つまたはそれより多い、より小さい部分が一本鎖である核酸を指しうることを理解するであろう。
【配列表】
【国際調査報告】