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特表2023-509904ミクロトームのためのカッターホルダ
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  • 特表-ミクロトームのためのカッターホルダ 図1
  • 特表-ミクロトームのためのカッターホルダ 図2
  • 特表-ミクロトームのためのカッターホルダ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ミクロトームのためのカッターホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/06 20060101AFI20230303BHJP
【FI】
G01N1/06 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539414
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2021072637
(87)【国際公開番号】W WO2021147842
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】202020129985.9
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジャグアン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AD32
2G052AD52
2G052EC04
2G052JA07
(57)【要約】
【課題】高作業効率及び高信頼性を有するミクロトームのカッターホルダの提供。
【解決手段】ミクロトームのためのカッターホルダ。前記カッターホルダは、基部;前記基部に枢動可能に取り付けられかつカッターを締付固定するよう構成された第1端部を有する押圧プレート;前記基部に回転可能に取り付けられた偏心軸;及び、前記基部にスライド可能に取り付けられたスライドアセンブリ含む。前記スライドアセンブリは前記押圧プレートと前記偏心軸の間に配置されかつ前記偏心軸に接触し、及び、前記スライドアセンブリは、前記偏心軸が回転するとき、前記押圧プレートの前記第1端部が前記基部にカッターを締付固定するよう、前記押圧プレートへ向かって運動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロトームのためのカッターホルダであって、
前記カッターホルダは、
基部;
前記基部に枢動可能に取り付けられかつカッターを締付固定するよう構成された第1端部を有する押圧プレート;
前記基部に回転可能に取り付けられた偏心軸;及び、
前記基部にスライド可能に取り付けられたスライドアセンブリ
を含み、
前記スライドアセンブリは前記押圧プレートと前記偏心軸の間に配置されかつ前記偏心軸に接触し、及び、
前記スライドアセンブリは、前記偏心軸が回転するとき、前記押圧プレートの前記第1端部が前記基部にカッターを締付固定するよう、前記押圧プレートへ向かって運動可能であること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカッターホルダにおいて、
前記カッターホルダは、更に、
前記基部に取り付けられた枢動軸を含むこと、
前記押圧プレートは、前記押圧プレートが前記枢動軸の周りで枢動可能であるよう、前記枢動軸が嵌め込まれる貫通孔を画定すること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載のカッターホルダにおいて、
前記貫通孔の横断面の輪郭は円弧セグメントと直線セグメントを含み、前記円弧セグメントの直径は前記枢動軸の直径よりも大きく、前記円弧セグメント上の一点と前記直線セグメントの間の最大距離は前記枢動軸の直径以上でありかつ前記円弧セグメントの直径未満であること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のカッターホルダにおいて、
前記押圧プレートはボスを備え、前記ボスは前記基部を指向する前記押圧プレートの表面から前記基部へ向かって突出し、前記貫通孔は前記ボスにおいて画定されていること;
前記基部は前記押圧プレートに向かって開口する第1受容溝及び前記第1受容溝と連通する第1軸孔を画定し、前記ボスは前記第1受容溝に受容され、前記枢動軸は前記第1軸孔に挿入されかつ前記ボスの前記貫通孔を貫通すること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項5】
請求項4に記載のカッターホルダにおいて、
複数のボスが設けられていること、前記複数のボスは直線状に配列されかつ互いに対し等間隔に離隔されていること;
複数の第1受容溝が設けられていること、前記複数のボスは夫々前記複数の受容溝に嵌め込まれていること;
前記第1軸孔は前記複数の第1受容溝と連通し、前記枢動軸は前記第1軸孔に挿入されかつ前記複数のボスの前記貫通孔を順次的に貫通すること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のカッターホルダにおいて、
前記基部は前記押圧プレートに向かって開口する第2受容溝及び前記第2受容溝と連通する第2軸孔を画定し、前記スライドアセンブリは前記第2受容溝に受容され、前記偏心軸は前記第2軸孔に挿入されかつ前記第2受容溝内に到達し、前記スライドアセンブリの第1端部は前記偏心軸の周面と接触し、前記スライドアセンブリの第2端部は前記押圧プレートに向かって延伸しかつ前記押圧プレートに隣接すること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項7】
請求項6に記載のカッターホルダにおいて、
前記第2軸孔の直径は前記偏心軸の直径よりも大きいこと
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のカッターホルダにおいて、
前記スライドアセンブリはネジ部材及び突当ブロックを含み、前記ネジ部材の第1端部は前記偏心軸の周面と接触し、前記ネジ部材の第2端部は前記押圧プレートに向かって延伸しかつ前記押圧プレートに隣接し、前記突当ブロックは前記ネジ部材の前記第2端部に固定されかつ前記押圧プレートに接触するよう構成されていること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項9】
請求項8に記載のカッターホルダにおいて、
前記スライドアセンブリは、更に、雌ネジを有するスライドスリーブを含み、前記ネジ部材は前記スライドスリーブに螺合され、前記スライドスリーブは前記第2受容溝内に配置されかつ前記第2受容溝の内壁面に接触すること
を特徴とする、カッターホルダ。
【請求項10】
請求項4又は5に記載のカッターホルダにおいて、
前記ボスは前記押圧プレートの中心部からずらされかつ前記押圧プレートの前記第1端部の近くに配されていること
を特徴とする、カッターホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は2020年1月20日にPRC(中華人民共和国)の国家知識産権局に提出された中国特許出願第202020129985.9号の優先権及び利益を主張する。この中国特許出願の全内容は引用を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本開示はミクロトームの技術分野に関し、より具体的にはミクロトームのためのカッターホルダに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術においては、カッターホルダは、通常、基部及び押圧プレートを含み、押圧プレートは、カッターを基部に締付固定するように基部に取り付けられており、かつ、カッターを解放するよう基部に対し相対的に枢動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】GB2182881B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GB2182881Bはミクロトームのためのカッターホルダを記載している。クランププレートは、キャリアプレート上に調節ネジによって取り付けられており、調節ネジの周りで傾動(枢動)可能であり、クランププレートとキャリアプレートの間のギャップは、異なるカッターの異なる厚みに適応するように調節ネジを用いて変化され得る。スプリングが、クランプシャフト上に載置されており、締付力の調節のために設定ネジ(複数)を用いて設定可能である。既知のカッターホルダは複数のネジを有する。クランププレートが取り付けられ、締付力が調節される場合、複数のネジは操作される必要があるが、これは、比較的長時間を要し、また、クランププレートが損傷した場合、クランププレートの交換にとって不便である。
【0006】
本開示は、関連技術の問題点(複数)の少なくとも1つをある程度まで解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
【0009】
このために、本開示の一目的は、押圧プレートの容易な取り付け及び交換を可能にし、カッターの締付固定及び締付(固定)力の調節を容易化し、高作業効率及び高信頼性を有するミクロトームのためのカッターホルダを提供することである。
【0010】
本開示の実施形態(複数)に応じ、ミクロトームのためのカッターホルダが提案される。カッターホルダは、基部;基部に枢動可能に取り付けられかつカッターを締付固定するよう構成された第1端部を有する押圧プレート;基部に回転可能に取り付けられた偏心軸(偏心シャフト);及び、基部にスライド可能に取り付けられたスライドアセンブリを含む。スライドアセンブリは押圧プレートと偏心軸の間に配置されかつ偏心軸に接触し、及び、スライドアセンブリは、偏心軸が回転するとき、押圧プレートの第1端部が基部にカッターを締付固定するよう、押圧プレートへ向かって運動可能である。
【0011】
本開示の実施形態(複数)に応じたカッターホルダは、基部に押圧プレートを枢動可能に取り付けることによってネジ(複数)を不要にし、かくして、押圧プレートの取付け及び交換は容易になる。スライドアセンブリと偏心軸は、複数のネジを調節することなしに、カッターが締付固定され得、カッターに対する締付力(締付固定力)が偏心軸を回転させる操作によって調節され得るように、基部に配されており、かくして、作業効率は改善される。
【0012】
更に、本開示の実施形態(複数)に応じたカッターホルダは以下のような更なる技術的特徴を有し得る。
【0013】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、カッターホルダは、更に、基部に取り付けられた枢動軸(枢動シャフト)を含む。押圧プレートは、押圧プレートが枢動軸の周りで枢動可能であるよう、枢動軸が嵌め込まれる貫通孔を画定する。かくして、押圧プレートは、ネジ(複数)の使用なしに、基部に枢動可能に取り付けられ得る。
【0014】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、貫通孔の横断面の輪郭は円弧セグメント(円弧部分)と直線セグメント(直線部分)を含み、円弧セグメントの直径は枢動軸の直径よりも大きく、円弧セグメント上の一点と直線セグメントの間の最大距離は枢動軸の直径以上でありかつ円弧セグメントの直径未満である。かくして、押圧プレートは枢動軸の周りでフレキシブルに枢動することができ、枢動軸に対し相対的な押圧プレートのラジアル(半径方向)変位は制限され得る。
【0015】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、押圧プレートはボス(短軸状突部)を備え、ボスは基部を指向する(に面する)押圧プレートの表面から基部へ向かって突出し、貫通孔はボスにおいて画定されており;基部は押圧プレートに向かって開口する第1受容溝及び第1受容溝と連通する第1軸孔(シャフト孔)を画定し、ボスは第1受容溝に受容され、枢動軸は第1軸孔に挿入されかつボスの貫通孔を貫通する。かくして、押圧プレートは基部に安定的に取り付けられ得る。
【0016】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、複数のボスが設けられ、複数のボスは直線状に配列され(直線上に配置され)かつ(互いに対し)等間隔に離隔されており;複数の第1受容溝が設けられており、複数のボスは夫々(対応する)複数の受容溝に嵌め込まれており;第1軸孔は複数の第1受容溝と連通し、枢動軸は第1軸孔に挿入されかつ複数のボスの貫通孔を順次的に(順に)貫通する。かくして、押圧プレートは基部により安定的に取り付けられ得、以って、カッターホルダの信頼性は改善される。
【0017】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、基部は押圧プレートに向かって開口する第2受容溝及び第2受容溝と連通する第2軸孔(シャフト孔)を画定し、スライドアセンブリは第2受容溝に受容され、偏心軸は第2軸孔に挿入されかつ第2受容溝内に到達し、スライドアセンブリの第1端部は偏心軸の(外)周面と接触し、スライドアセンブリの第2端部は押圧プレートに向かって延伸しかつ押圧プレートに隣接する。かくして、押圧プレートはカッターを基部に締付固定し又はカッターを基部から解放し、カッターに対する押圧プレートの締付力は調節されることができる。
【0018】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、第2軸孔の直径は偏心軸の直径よりも大きく、そのため、第2軸孔内における偏心軸の偏心回転が第2軸孔によって干渉される(妨害される)ことが回避される。
【0019】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、スライドアセンブリはネジ部材及び突当(当接)ブロックを含み、ネジ部材の第1端部は偏心軸の(外)周面と接触し、ネジ部材の第2端部は押圧プレートに向かって延伸しかつ押圧プレートに隣接し、突当ブロックはネジ部材の第2端部に固定されかつ押圧プレートに接触するよう構成されている。かくして、偏心軸は、ネジ部材と突当ブロックを介してカッターを締付固定するよう押圧プレートを駆動し得る。
【0020】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、スライドアセンブリは、更に、雌ネジを有するスライドスリーブを含み、ネジ部材はスライドスリーブに螺合され、スライドスリーブは第2受容溝内に配置されかつ第2受容溝の内壁面に接触する。かくして、スライドアセンブリは基部にスライド可能に取り付けられ得る。
【0021】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、ボスは押圧プレートの中心部(中央部)からずらされかつ押圧プレートの第1端部の近くに配されている。かくして、押圧プレートの第1端部側の質量はボスに対し相対的な第2端部側の質量よりも小さくなり、押圧プレートは重力の作用の下でカッターを解放する方向へ枢動する傾向を有する。
【0022】
本開示の更なる視点及び利点は、部分的に以下の説明において与えられ、部分的に以下の説明から明らかとなり、又は、本開示の実施形態(複数)の具現化から知得される。
【0023】
本開示の実施形態(複数)のこれらの及び他の視点及び利点は、図面を参照してなされる以下の説明から明らかとなりかつより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態に応じたミクロトームのためのカッターホルダの一例の断面図。
図2】本開示の一実施形態に応じた押圧プレートの一例の斜視図。
図3】本開示の一実施形態に応じた押圧プレートの一例の部分側面図。
【実施例
【0025】
本開示の好ましい実施形態(複数)以下に添付の図面を参照して説明する。なお、本願において使用される用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」及び類似表現は専ら説明の目的のためのものであり、本開示の限定として理解されてはならない。
【0026】
本開示の一特定実施形態に応じたミクロトームのためのカッターホルダについて以下に図面に基づいて説明する。
【0027】
図1図3には、説明及び方向付けを容易にするために、直交するXYZ軸が示されている。X軸の正方向は前方向(前向き)であり、他方、X軸の負方向は後方向(後ろ向き)である;Y軸の正方向は右方向(右向き)であり、他方、Y軸の負方向は左方向(左向き)である;Z軸の正方向は上方向(上向き)であり、他方、Z軸の負方向は下方向(下向き)である。
【0028】
本開示の一実施形態に応じ、ミクロトームのためのカッターホルダ100が提案されている。図1に示されているように、カッターホルダ100は、基部10;基部10に枢動可能に取り付けられかつカッター90を締付固定するための第1端部を有する押圧プレート20;及び基部10にスライド可能に取り付けられたスライドアセンブリ40を含む。スライドアセンブリ40は、押圧プレート20と偏心軸30の間に配置されており、偏心軸30に接触する。スライドアセンブリ40は、押圧プレート20の第1端部に基部10と一緒にカッター90を締付固定させるために、偏心軸30が回転すると押圧プレート20に向かって運動可能に構成されている。
【0029】
本開示の一実施形態に応じたカッターホルダ100は、押圧プレート20を基部10に枢動可能に取り付けることによって、ネジ(複数)を省いており(不要にし)、かくして、押圧プレート20は取付け及び交換が容易になる。スライドアセンブリ40と偏心軸30は、複数のネジを調節することなく、カッター90が締付固定され得、カッター90に対する締付力(締付固定力)が偏心軸30を回転させる操作によって調節され得るように、基部10に配置されており、かくして、作業効率は改善される。
【0030】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、カッターホルダ100は、更に、基部10に取り付けられた枢動軸50を含む。押圧プレート20は、押圧プレート20が枢動軸50の周りで枢動可能であるように、枢動軸50が嵌め込まれる貫通孔23を画定する。かくして、押圧プレート20は、ネジ(複数)を使用することなく、基部10に枢動可能に取り付けられ得る。
【0031】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、貫通孔23の横断面の輪郭は、円弧セグメント(円弧部分)231と直線セグメント(直線部分)232を含み、円弧セグメント231の直径は枢動軸50の直径よりも大きく、円弧セグメント上の一点と直線セグメント232との間の最大距離は枢動軸50の直径以上かつ円弧セグメント231の直径未満である。かくして、押圧プレート20は枢動軸50の周りでフレキシブルに(柔軟に)枢動可能であり、枢動軸50に対し相対的な押圧プレート20のラジアル(径方向)変位は制限され得る。
【0032】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、押圧プレート20はボス22を備え、ボス22は基部10を指向する押圧プレート20の表面から基部10に向かって突出しており、貫通孔23はボス22内において画定されている。基部10は、押圧プレート20に向かって開口する第1受容溝12及び第1受容溝12と連通する第1軸孔13を画定し、ボス22は第1受容溝12に受容され、枢動軸50は第1軸孔13に挿入されかつボス22の貫通孔23を貫通する。かくして、押圧プレート20は基部10に安定的に取り付けられ得る。幾つかの実施形態では、ボス22の軸線は基部10を指向する押圧プレート20の表面に対し実質的に直角をなしており(直交し);第1軸孔13の軸線は第1受容溝12の軸線に対し直角をなしている(直交している)。
【0033】
幾つかの実施形態では、図2に示されているように、複数のボス22が設けられ、複数のボス22は直線状に配列され(直線上に配置され)かつ(互いに対し)等間隔で離隔されている。複数の第1受容溝12が設けられ、複数のボス22は夫々(対応する)複数の第1受容溝12に嵌め込まれる。第1軸孔13は複数の第1受容溝12と連通し、枢動軸50は第1軸孔に13に挿入され、複数のボス22の貫通孔を順に貫通する。このため、押圧プレート20は基部10により安定的に取り付けられ得、かくして、カッターホルダ100の信頼性は改善される。
【0034】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、基部10は押圧プレート20に向かって開口する第2受容溝15及び第2受容溝15と連通する第2軸孔14を画定し、スライドアセンブリ40は第2受容溝15に受容され、偏心軸30は第2軸孔14に挿入されて第2受容溝15内に到達する。スライドアセンブリ40の第1端部は偏心軸30の(外)周面と接触し、スライドアセンブリ40の第2端部は押圧プレート20に向かって延伸しかつ押圧プレート20に隣接(して位置)する。かくして、押圧プレート20はカッター90を基部10に締付固定し又はカッター90を基部10から解放し得、押圧プレート20の締付力は調節され得る。幾つかの(実施)例では、第2軸孔14の軸線は第2受容溝15の軸線に対し直角をなす(直交する)。
【0035】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、第2軸孔14の直径は偏心軸30の直径よりも大きく、そのため、第2軸孔14内における偏心軸30の偏心回転が第2軸孔14によって干渉される(妨げられる)ことが回避される。
【0036】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、スライドアセンブリ40はネジ部材42及び突当(当接)ブロック44を含み、ネジ部材42の第1端部は偏心軸30の(外)周面と接触し、ネジ部材42の第2端部は押圧プレート20に向かって延伸しかつ押圧プレート20に隣接(して位置)し、突当ブロック44はネジ部材42の第2端部に固定されかつ押圧プレート20に接触するよう構成されている。このため、偏心軸30はネジ部材42及び突当ブロック44によってカッター90を締付固定するよう押圧プレート20を駆動し得る。幾つかの(実施)例では、突当ブロック44は、押圧プレート20の摩耗を低減するためにゴム、プラスチック等のような弾性材料で製造される。
【0037】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、スライドアセンブリ40は、更に、雌ネジを有するスライドスリーブ46を含み、ネジ部材42はスライドスリーブ46に螺合され、スライドスリーブ46は第2受容溝15内に配置されかつ第2受容溝15の内壁面に接触する。このため、スライドアセンブリ40は基部10にスライド可能に取り付けられ得る。
【0038】
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示されているように、ボス22は押圧プレート20の中心からずらされ(外され)かつ押圧プレート20の第1端部の近くに配置されている。このため、押圧プレート20の第1端部側の質量はボス22に対し相対的な第2端部側の質量よりも小さくなり、押圧プレート20は重力の作用の下でカッター90を解放する方向へ枢動する傾向を有することになる。
【0039】
本開示の一特定実施形態に応じたミクロトームのためのカッターホルダ100について図面に基づいて以下に説明する。
【0040】
図1図3を参照すると、本開示の一特定実施形態に応じたカッターホルダ100は、基部10、押圧プレート20、偏心軸30、スライドアセンブリ40、枢動軸50及び支持部材60を含む。
【0041】
図1に示されているように、基部10は実質的に楔型の形状を有し、基部10はカッター90を受容するためにその傾斜面の上端部にカッター溝11を画定する。
【0042】
図1及び図2に示されているように、押圧プレート20は実質的にプレート状の形状を有し、押圧プレート20は基部10の傾斜面側(図1の前側)から枢動するよう基部10に取り付けられ得、押圧プレート20はその上端部に突当面21を形成し、突当面21は、基部10のカッター溝11においてカッター90を締付固定するために、カッター90と接触するよう構成されている。
【0043】
押圧プレート20は3つのシリンダ状のボス22を備え、各ボス22は基部10を指向する(基部10に面する)押圧プレート20の面から基部10に向かって延伸し、各ボス22の軸線は基部10を指向する押圧プレート20の面に対し実質的に直角をなし(直交し)、3つのボス22は直線状に配列され(直線上に配置され)かつ左右方向に等間隔をなして(互いに)離隔配置されている。従って、基部10はその傾斜面を貫通して延伸する3つの第1受容溝12を画定し、押圧プレート20の3つのボス22は夫々(対応する)基部10の3つの第1受容溝12に受容されている。
【0044】
押圧プレート20は、更に、各ボス22に1つの貫通孔23を画定し、基部10は、更に、3つの第1受容溝12と連通する第1軸孔13を備える。枢動軸50は第1軸孔13に挿入されて基部10の3つの第1受容溝12に受容されている3つのボス22の貫通孔23を順に(順次的に)貫通する。このようにして、押圧プレート20と基部10の間の枢動可能な結合が実現され得る。
【0045】
基部10は第1軸孔13に実質的に平行な第2軸孔14を備える。偏心軸30は第2軸孔14に取り付けられかつ基部10に対し相対的に回転可能である。第2軸孔14の直径は偏心軸30の直径よりも、第2軸孔14内における偏心軸30の偏心回転の干渉(阻害)が回避されるよう、大きい。
【0046】
基部10は、更に、第2受容溝15を備え、第2受容溝15の軸線は第2軸孔14の軸線に対し実質的に直角をなしている(直交している)。スライドアセンブリ40は第2受容溝15内にスライド可能に受容され得、第2受容溝15は第2軸孔14と連通しかつ押圧プレート20に向かって開口している。第2受容溝15は第1受容溝12のカッター90から遠い側に位置付けられているため、枢動軸50はカッター90とスライドアセンブリ40の間に位置付けられている。このため、スライドアセンブリ40は、偏心軸30が回転するとき押圧プレート20に向かって運動することができ、それによって、押圧プレート20を基部10に対し相対的にカッター90を締付固定する方向に向かって枢動させるか、又は、押圧プレート20を解放するよう押圧プレート20から離隔するよう運動する。
【0047】
スライドアセンブリ40はネジ部材42、突当ブロック44及びスライドスリーブ46を含む。ネジ部材42の下側端部は第2軸孔14に受容された偏心軸30の(外)周面と接触し、ネジ部材42の上側端部は押圧プレート20と接触する突当ブロック44を備える。突当ブロック44は、押圧プレート20の摩耗を低減するためにゴム、プラスチック等の弾性材料で製造され得る。スライドスリーブ46は雌ネジを有し、ネジ部材42はスライドスリーブ46と螺合し、スライドスリーブ46は第2受容溝15内に配置されかつ第2受容溝15の内壁面と接触し、かくして、スライドアセンブリ40は第2受容溝15に沿ってスライドし得る。従って、偏心軸30が回転するとき、スライドアセンブリ40は押圧プレート20に向かって運動可能であり、スライドアセンブリ40の上端部は基部10に対し相対的にカッター90を締付固定する方向へ枢動するよう押圧プレート20を押動し、以って、カッター90を締付固定する。
【0048】
3つのボス22は押圧プレート20の中心部から離隔されかつ押圧プレート20の上端部の近くに配置されている。従って、押圧プレート20の上端部の質量はボス22に対し相対的な(その)下端部側の質量より小さい。押圧プレート20は重力の作用の下でカッター90を解放する方向へ枢動する傾向を有する。このようにして、偏心軸30がスライドアセンブリ40を押圧プレート20から離れるように移動させるよう作動されるとき、押圧プレート20は重力の作用の下でスライドアセンブリ40の突当ブロック44と常に接触しており、かくして、カッター90は解放される。
【0049】
図3に示されているように、各貫通孔23の横断面の輪郭は円弧セグメント(円弧部分)231と直線セグメント(直線部分)232を含む。円弧セグメント231の直径は枢動軸50の直径よりも大きく、円弧セグメント231上の一点と直線セグメント232の間の最大距離は枢動軸50の直径以上でありかつ円弧セグメント231の直径未満である。従って、押圧プレート20は枢動軸50の周りでフレキシブルに枢動可能であり、同時に枢動軸50に対し相対的な押圧プレート20のラジアル変位は制限され得る。スライドアセンブリ40が、基部10に対し相対的にカッター90を締付固定する方向に向かって枢動するよう押圧プレート20を押動するとき、枢動軸50に対し相対的な押圧プレート20のラジアル変位がカッター90の位置に(悪)影響を及ぼしてカッター90を不安定化させることが回避される。
【0050】
図1に示されているように、支持部材60はカッター溝11の底部において支持され、カッター90は支持部材60上で支持される。支持部材60を使用することによって、カッターホルダ100は、カッター90を異なる深さにおいて締付固定するよう構成され得、かくして、カッターホルダ100の汎用性(自由度)は改善される。
【0051】
図1に示されているように、偏心軸30が押圧プレート20から最も離れた位置にあるとき、押圧プレート20はその下端部において基部10と接触し、押圧プレート20の上端部における突当面21と基部10のカッター溝11の側壁面との間に第1ギャップが画定され、かくして、カッター90は、カッター溝11に挿入され易くなり、支持部材60上で支持され易くなる。偏心軸30が押圧プレート20から最も近い位置にあるとき、押圧プレート20はその下端部において基部10から離隔されており、その上端部における押圧プレート20の突当面は基部10のカッター溝11の側壁面に更に接近し、それらの間に第2ギャップが画定されると理解され得る。更に、第2ギャップは第1ギャップよりも小さい。かくして、カッターホルダ100は、その厚みが第2ギャップのサイズと第1ギャップのサイズの間の範囲にあるカッター90を締付固定するよう構成され得、かくして、カッターホルダ100の汎用性は改善される。
【0052】
本開示の一特定形態に応じたカッターホルダ100の基本的作動プロセスについて、以下に図面を参照して説明する。
【0053】
図1を参照すると、カッター90が締付固定される必要がある場合は、偏心軸30を回転するよう操作することによって、スライドアセンブリ40は押圧プレート20に向かって運動するよう駆動され、その結果、スライドアセンブリ40は押圧プレート20を押動して枢動軸50の周りで枢動させることによって、突当面21を介してカッター90をカッター溝11において締付固定する。カッター90が開放される必要がある場合は、偏心軸30を回転するよう操作することによって、スライドアセンブリ40は押圧プレート20から離隔するよう運動されて、押圧プレート20は重力の作用下でカッター90を解放する方向に向かってスライドアセンブリ40と共に枢動することによって、カッター90を解放する。
【0054】
本開示の実施形態(複数)に応じたカッターホルダ100により、押圧プレート20は枢動軸50を介して基部10に枢動可能に取り付けられ得、ネジは不要になり、かくして、押圧プレート20は取付け及び交換が容易になる;複数のボス22及び円弧セグメント231と直線セグメント232を含む横断面輪郭を有する複数の貫通孔23が押圧プレート20に設けられることによって、押圧プレート20は基部10により安定的に取り付けられ得、カッターホルダ100の信頼性は改善される。基部10にスライドアセンブリ40と偏心軸30を配することによって、カッター90は締付固定され得、カッター90に対する締付力は、複数のネジを調節することなしに、偏心軸30を回転するよう操作することによって調節され得るため、作業効率は改善される。
【0055】
本開示の実施形態(複数)に応じたカッターホルダ100の他の構造及び原理については、当業者であれば理解し得るため、ここでは繰り返し説明しない。
【0056】
更に、「第1」や「第2」のような語句は、本書では説明の目的のために使用されており、相対的な重要性ないし有意性を指示又は示唆すること、又は、示された技術的特徴の個数を示唆することを意図していない。従って、「第1」や「第2」によって規定される特徴は、1つ以上の当該特徴を含み得る。本発明の説明において、用語「複数の」は、別段の定めがない限り、2つ又は3つ以上を意味する。
【0057】
本開示においては、別段の定めがない限り、用語「取り付けられる(mounted)」、「連結される(coupled)」、「結合される(connected)」、「固定される(fixed)」等は、広義に使用されており、固定的結合、分離可能な結合又は一体的結合等を含み;また、機械的又は電気的結合、又は直接的結合、又は介装構造体を介した間接的結合であり得;また、特定の状況に応じて当業者によって理解可能な2つの構成要素の内的(inner)連絡ないし相互作用であり得る。
【0058】
本開示の説明において、別段の明示的な定め及び限定がない限り、第2の特徴の「上の」又は「下の」第1の特徴とは、第1の特徴と第2の特徴が直接的に接触していること、又は第1の特徴と第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していることであり得ることに注意すべきである。更に、第2の特徴の「上の」、「上方の」及び「頂部の」第1の特徴とは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあること、又は単に第1の特徴が第2の特徴より高いレベル(高さ)を有することであり得る。第2の特徴の「下側の」、「下方の」、「下の」及び「底部の」第1の特徴とは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあること、又は単に第1の特徴が第2の特徴よりも低いレベル(高さ)を有することであり得る。
【0059】
本書全体を通じての「一実施形態」、「幾つかの実施形態」、「一(実施)例」、「一特定(実施)例」又は「幾つかの(実施)例」への参照は、実施形態又は(実施)例に関連して説明される(1つの)特定の特徴、構造、材料又は性質が、本開示の少なくとも1つの実施形態又は(実施)例に含まれることを意味する。本書における上記の語句の例示的説明は、必ずしも同じ実施形態又は(実施)例を指すものではない。更に、説明される特定の特徴(複数)、構造(複数)、材料(複数)又は性質(複数)は、任意の適切な方法で、1つ以上の実施形態又は(実施)例において組み合わせられ得る。更に、矛盾がない場合には、当業者であれば、本書で説明される異なる実施形態又は(実施)例及び異なる実施形態又は(実施)例の特徴(複数)の組み合わせ及びグループ化をなし得る。
【0060】
本開示の実施形態(複数)を示しかつ説明したが、上記の実施形態(複数)は説明のためのものであり本開示を限定するものと理解されてはならず、当業者であれば本開示の範囲内において上記実施形態(複数)を変更、修正、置換及び変化し得ると理解されるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】