(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】高タンパク質食品組成物
(51)【国際特許分類】
A23J 3/20 20060101AFI20230303BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20230303BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230303BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20230303BHJP
【FI】
A23J3/20
A23L13/00 Z
A23L5/00 M
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540484
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 US2020067555
(87)【国際公開番号】W WO2021138482
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522258569
【氏名又は名称】エア プロテイン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダイソン,リサ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,クリパ
(72)【発明者】
【氏名】リード,ジョン
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG01
4B035LG12
4B035LG14
4B035LG15
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4B042AD36
4B042AK10
4B042AP27
4B065AA90X
4B065AC20
4B065CA41
(57)【要約】
単一細胞タンパク質またはタンパク質加水分解生成物などの微生物タンパク質源が組み込まれた食品製品が提供される。動物性タンパク質の代わりに微生物タンパク質を含む人工肉製品が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品製品を製造するための方法であって、
(a)培養培地から採取された微生物細胞を加工して、タンパク質産物を産生することであって、前記タンパク質産物が、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、およびオリゴペプチドのうちの1つ以上を含む、産生することと、
(b)前記タンパク質産物を加工し、食品製品を製造することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記食品製品が、肉類似製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肉類似製品が、食感、風味、芳香、および/または外観を含む、肉の1つ以上の物理的特徴および/または機能的性質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記肉類似製品が、少なくとも約10重量%の前記タンパク質産物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記肉類似製品が、ヘム化合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ヘム化合物が、ヘム含有ポリペプチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヘム化合物が、前記タンパク質産物が産生されるのと同じ微生物によって産生される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
ヒドロゲル、リポゲル、および/またはエマルジョンが、剤放出系として前記肉類似製品中に含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記剤放出系が、前記肉類似製品の調理中に、着色剤、風味剤、脂肪酸、ふくらし粉、および/またはゲル化剤の放出を促進する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記肉類似製品が、約5重量%~約30重量%の脂質、約0.5重量%~約10重量%の炭水化物、および/または約0.5重量%~約5重量%の食物繊維を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記肉類似製品が、少なくとも約30重量%の水分含有量を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記食品製品が、食品商品、食品成分、栄養製品、動物飼料製品、またはペットフード製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記食品製品が、ベジタリアンまたはビーガン食品製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記食品製品が、有機食品製品、無農薬食品製品、除草剤を含まない食品製品、殺真菌剤を含まない食品製品、抗生物質を含まない食品製品、または非遺伝子改変(非GMO)食品製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記食品製品が、プロバイオティック食品製品またはプレバイオティック食品製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記食品製品が、動物性タンパク質または脂肪を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記食品製品が、乳製品、乳製品代替製品、ベーカリー製品、菓子、ヘルスまたはプロテインバー、プロテインパウダー、スポーツおよび/またはエナジードリンク、プロテインシェイク、またはスムージーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記食品製品が、1つ以上の植物タンパク質源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記植物タンパク質源が、エンドウ豆、米、もち米、小麦、グルテン、大豆、麻、カノーラ、およびそばのうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記食品製品が、昆虫または藻類のタンパク質源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記食品製品が、肉製品であり、前記タンパク質産物が、肉増量剤として肉製品に組み込まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質産物が、前記肉製品中の肉の少なくとも約10%を置き換える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
肉または肉類似製品に組み込むために、前記タンパク質産物が、食感加工されている、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質産物が、繊維に形成され、熱的に押し出され、かつ/または凝固してゲルになる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記微生物が、化学合成独立栄養性微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記化学合成独立栄養性微生物が、酸水素微生物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記酸水素微生物が、キュープリアビダス微生物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記酸水素微生物が、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記微生物が乳酸細菌微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記乳酸菌が、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、およびペディオコッカス菌のうちの1つ以上を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記乳酸菌が、一般に安全な(GRAS)細菌として認識されている、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記微生物が、フザリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記真菌微生物が、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeのうちの1つ以上を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記真菌微生物が、GRAS真菌微生物である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(a)が、排泄、分泌、細胞溶解、またはそれらの組み合わせを介して、前記微生物細胞から有機分子を遊離させることであって、前記有機分子が、タンパク質を含む、遊離させることと;(ii)前記遊離した有機分子を処理して、タンパク質の少なくとも一部中のアミノ酸の少なくとも一部間のペプチド結合を加水分解し、それにより、20~50アミノ酸を含むポリペプチド、2~20アミノ酸を含むオリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む加水分解タンパク質産物を産生することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(b)が、前記タンパク質産物を他の食用成分と組み合わせて前記食品製品を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記他の食用成分が、アップルサイダー、アップルサイダービネガー、ベーキングパウダー、重曹、豆、牛肉、ビートジュース、ビートパウダー、黒コショウ、ブラウンシュガー、バター、カノーラ油、カラメル、キャロットファイバー、にんじん、カシュー、チーズ、鶏肉、チョコレート、柑橘類、柑橘類抽出物、ココナッツオイル、練乳、乳製品、卵、卵代替品、魚、小麦粉、ひよこ豆、にんにく粉、蜂蜜、くん液、メープルシロップ、マーガリン、グルタミン酸ナトリウム、マスタードパウダー、油、オリーブオイル、オニオンパウダー、パプリカ、豚肉、じゃがいも、じゃがいもデンプン、米粉、塩、安息香酸ナトリウム、大豆タンパク質、大豆油、大豆ソース、スパイス、スピルリナ、砂糖、ヒマワリ油、トマトジュース、トマトパウダー、トマトソース、トマト、ウコン、バニラ、ビネガー、ビタミンおよびミネラル、クルミ、水、小麦、小麦粉、小麦グルテン、キサンタンガム、酵母、および酵母抽出物のうちの1つ以上を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載の方法によって調製された食品製品。
【請求項39】
微生物から産生されたタンパク質産物を含む食品製品であって、前記タンパク質産物が、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、およびオリゴペプチドのうちの1つ以上を含む、食品製品。
【請求項40】
肉類似製品である、請求項39に記載の食品製品。
【請求項41】
前記肉類似製品が、食感、風味、芳香、および/または外観を含む、肉の1つ以上の物理的特徴および/または機能的性質を含む、請求項40に記載の食品製品。
【請求項42】
前記肉類似製品が、少なくとも約10重量%のタンパク質産物を含む、請求項40に記載の食品製品。
【請求項43】
前記肉類似製品が、ヘム化合物を含む、請求項40に記載の食品製品。
【請求項44】
前記ヘム化合物が、ヘム含有ポリペプチドである、請求項43に記載の食品製品。
【請求項45】
前記ヘム化合物が、前記タンパク質産物が生成されるのと同じ微生物によって産生される、請求項43または44に記載の食品製品。
【請求項46】
ヒドロゲル、リポゲル、および/またはエマルジョンが、剤放出系として前記肉類似製品中に含まれる、請求項40に記載の食品製品。
【請求項47】
前記剤放出系が、前記肉類似製品の調理中に、着色剤、風味剤、脂肪酸、ふくらし粉、および/またはゲル化剤の放出を促進する、請求項46に記載の食品製品。
【請求項48】
前記肉類似製品が、約5重量%~約30重量%の脂質、約0.5重量%~約10重量%の炭水化物、および/または約0.5重量%~約5重量%の食物繊維を含む、請求項40に記載の食品製品。
【請求項49】
前記肉類似製品が、少なくとも約30重量%の水分含有量を含む、請求項48に記載の食品製品。
【請求項50】
前記食品製品が、食品商品、食品成分、栄養製品、動物飼料製品、またはペットフード製品である、請求項49に記載の食品製品。
【請求項51】
前記食品製品が、ベジタリアンまたはビーガン食品製品である、請求項39に記載の食品製品。
【請求項52】
前記食品製品が、有機食品製品、無農薬食品製品、除草剤を含まない食品製品、殺真菌剤を含まない食品製品、抗生物質を含まない食品製品、または非遺伝子改変(非GMO)食品製品である、請求項39に記載の食品製品。
【請求項53】
プロバイオティック食品製品またはプレバイオティック食品製品である、請求項39に記載の食品製品。
【請求項54】
動物性タンパク質または脂肪を含まない、請求項39に記載の食品製品。
【請求項55】
前記食品製品が、乳製品、乳製品代替製品、ベーカリー製品、菓子、ヘルスまたはプロテインバー、プロテインパウダー、スポーツおよび/またはエナジードリンク、プロテインシェイク、またはスムージーを含む、請求項39に記載の食品製品。
【請求項56】
1つ以上の植物タンパク質源を含む、請求項39に記載の食品製品。
【請求項57】
前記植物タンパク質源が、エンドウ豆、米、もち米、小麦、グルテン、大豆、麻、カノーラ、およびそばのうちの1つ以上を含む、請求項56に記載の食品製品。
【請求項58】
昆虫または藻類のタンパク質源を含む、請求項39に記載の食品製品。
【請求項59】
前記食品製品が、肉製品であり、前記タンパク質産物が、肉増量剤として肉製品に組み込まれている、請求項39に記載の食品製品。
【請求項60】
前記タンパク質産物が、前記肉製品中に、少なくとも約10%の肉を含む、請求項59に記載の食品製品。
【請求項61】
前記微生物が、化学合成独立栄養性微生物を含む、請求項39に記載の食品製品。
【請求項62】
前記化学合成独立栄養性微生物が、酸水素微生物を含む、請求項61に記載の食品製品。
【請求項63】
前記酸水素微生物が、キュープリアビダス微生物を含む、請求項62に記載の食品製品。
【請求項64】
前記酸水素微生物が、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541を含む、請求項63に記載の食品製品。
【請求項65】
前記微生物が、乳酸細菌微生物を含む、請求項39に記載の食品製品。
【請求項66】
前記乳酸菌が、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、およびペディオコッカス菌のうちの1つ以上を含む、請求項65に記載の食品製品。
【請求項67】
前記乳酸菌が、一般に安全な(GRAS)細菌として認識されている、請求項65または66に記載の食品製品。
【請求項68】
前記微生物が、フザリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物である、請求項39に記載の食品製品。
【請求項69】
前記真菌微生物が、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeのうちの1つ以上を含む、請求項68に記載の食品製品。
【請求項70】
前記真菌微生物が、GRAS真菌微生物である、請求項68または69に記載の食品製品。
【請求項71】
前記食品製品が、アップルサイダー、アップルサイダービネガー、ベーキングパウダー、重曹、豆、牛肉、ビートジュース、ビートパウダー、黒コショウ、ブラウンシュガー、バター、カノーラ油、カラメル、キャロットファイバー、にんじん、カシュー、チーズ、鶏肉、チョコレート、柑橘類、柑橘類抽出物、ココナッツオイル、練乳、乳製品、卵、卵代替品、魚、小麦粉、ひよこ豆、にんにく粉、蜂蜜、くん液、メープルシロップ、マーガリン、グルタミン酸ナトリウム、マスタードパウダー、油、オリーブオイル、オニオンパウダー、パプリカ、豚肉、じゃがいも、じゃがいもデンプン、米粉、塩、安息香酸ナトリウム、大豆タンパク質、大豆油、大豆ソース、スパイス、スピルリナ、砂糖、ヒマワリ油、トマトジュース、トマトパウダー、トマトソース、トマト、ウコン、バニラ、ビネガー、ビタミンおよびミネラル、クルミ、水、小麦、小麦粉、小麦グルテン、キサンタンガム、酵母、および酵母抽出物のうちの1つ以上をさらに含む、請求項39に記載の食品製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/956,110号の利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、ヒトの消費に好適であり、肉の特性を厳密に模倣し、肉代替品または人工肉製品として機能する新規タンパク質組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
動物源由来の肉を食べることは、多くの人々の日常生活の一部である。肉ベースの食事がヒトの健康および環境に及ぼす悪影響は、十分に報告されている。動物由来ではないが、飽和脂肪酸およびコレステロールなど、肉に関連する不健康な成分がなく、動物農業の有害な環境影響がない、動物の肉と同様の食感および風味の特徴を提供する代替のタンパク質を豊富に含む食品に対する消費者の需要が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によれば、化学合成独立栄養性微生物、例えば、酸水素微生物などの微生物は、バイオリアクター、例えば、バイオリアクター内の培養成長培地中で成長する。いくつかの実施形態では、ガス組成物は、化学合成独立栄養性微生物の成長のための炭素および/またはエネルギー源を含むバイオリアクターに導入される。一実施形態では、ガス組成物は、酸水素微生物の成長のための水素、二酸化炭素、および酸素を含む。あるいは、バイオマスは、ガス原料の代わりに、糖分子などの有機炭素源を使用して従属栄養的に成長させ得る。一実施形態では、微生物は、DSM531またはDSM541などであるがこれらに限定されない、キュープリアビダス・ネカター(Cupriavidus necator)を含む。
【0005】
このプロセスから成長したバイオマスは、収穫され、人工肉製品、例えば、肉類似製品、または別の食品製品に加工され得る。バイオマスは、最初に、単一細胞タンパク質(例えば、全細胞バイオマス)、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上のタンパク質産物に加工され得る。そのような初期プロセスは、(1)細胞の排泄、分泌、または細胞溶解を介して、微生物細胞から有機分子(微生物のタンパク質の少なくとも一部を含む)を遊離させることと、(2)遊離した有機分子を処理して、タンパク質のアミノ酸の少なくとも一部間の結合を分解し、所望の鎖長を有するペプチド、ポリペプチド、オリゴペプチド(2~20アミノ酸を有するペプチド)または遊離アミノ酸)を作製することと、を含み得る。次に、これらのタンパク質産物は、人工肉製品などの食品製品に加工され得る。
【0006】
一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの遊離アミノ酸を含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれのオリゴペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの、20~50アミノ酸、または21~50アミノ酸を含むポリペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの、50~200アミノ酸、または51~200アミノ酸を含むポリペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの、200~500アミノ酸、または201~500アミノ酸を含むポリペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの、1000未満、900、800、700、600、500、400、300、200、または100のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のいずれかの遊離アミノ酸、オリゴペプチド、および20~50個アミノ酸または21~50個アミノ酸を有するポリペプチドの組み合わせを含み、遊離アミノ酸対オリゴペプチド対20~50個アミノ酸または21~50個のアミノ酸を有するポリペプチドの比は、約1:1:1であるか、または約0~約3:約0~約3:約0~約3、または約3~約6:約0~約3:約0~約3、または約0~約3:約3~約6:約0~約3、または約0~約3:約0~約3:約3~約6、または約3~約6:約3~約6:約0~約3、または約0~約3:約3~約6:約3~約6、または約3~約6:約0~約3:約3~約6、または約6~約9:約0~約3:約0~約3、または約0~約3:約6~約9:約0~約3、または約0~約3:約0~約3:約6~約9、または約6~約9:約6~約9:約0~約3、または約0~約3:約6~約9:約6~約9、または約6~約9:約0~約3:約6~約9である。一実施形態によれば、タンパク質産物は、細胞全体を含まないか、または本質的に含まない。
【0007】
一実施形態によれば、タンパク質産物は、他の食用成分と組み合わされて、食感、風味、芳香、および/または外観などの肉の1つ以上の物理的特徴および/または機能的性質を模倣する人工肉製品などの食品製品を形成する。このような他の成分が、アップルサイダー、アップルサイダービネガー、ベーキングパウダー、重曹、豆、牛肉、ビートジュース、ビートパウダー、黒コショウ、ブラウンシュガー、バター、カノーラ油、カラメル、キャロットファイバー、にんじん、カシュー、チーズ、鶏肉、チョコレート、柑橘類、柑橘類抽出物、ココナッツオイル、練乳、乳製品、卵、卵代替品、魚、小麦粉、ひよこ豆、にんにく粉、蜂蜜、くん液、メープルシロップ、マーガリン、グルタミン酸ナトリウム、マスタードパウダー、油、オリーブオイル、オニオンパウダー、パプリカ、豚肉、じゃがいも、じゃがいもデンプン、米粉、塩、安息香酸ナトリウム、大豆(タンパク質および/または油)、大豆ソース、スパイス、スピルリナ、砂糖、ヒマワリ油、トマトジュース、トマトパウダー、トマトソース、トマト、ウコン、バニラ、ビネガー、ビタミンおよびミネラル、クルミ、水、小麦、小麦粉、小麦グルテン、キサンタンガム、酵母、および/または酵母抽出物から選択され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、タンパク質産物は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、または少なくとも約85%のいずれかの人工肉製品(乾燥重量ベース、例えば、乾燥重量ベースの重量%による)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、微生物に由来するタンパク質産物を含む、人工肉製品などの食品製品を提供する。
【0010】
本明細書において他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,second ed.,John Wiley and Sons,New York(1994),およびHale&Markham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)では、本発明で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。本明細書に記載されているものと類似のまたは同等の任意の方法および材料を、本明細書に記載されている方法、システム、および組成物の実施または試験に使用することができる。
【0011】
本発明の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内である分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、および生化学の従来の技術を使用する。このような技術は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1994);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994);およびGene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(Kriegler,1990)などの文献で完全に説明されている。
【0012】
本明細書で提供される数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。
【0013】
特に明記しない限り、核酸は、左から右に5’から3’の方向で記述している。アミノ酸配列は、それぞれアミノからカルボキシの配向で、左から右に記述している。
【0014】
定義
「A」、「an」および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数形の参照を含み、したがって、本明細書および特許請求の範囲において、本明細書で使用される不定冠詞「a」、「an」、および「the」は、明確に反対に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解するものとする。
【0015】
本明細書で使用される「約」という用語は、量、時間的持続時間などの測定可能な値を指す場合、そのような変形が、開示された方法を実施するために、または開示された組成物に関連して適切であるように、指定された値からの±5%、±1%、または±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0016】
「酢酸産生」とは、嫌気性呼吸の産物として、酢酸塩および/またはC4鎖長までの他の短鎖有機酸を生成する微生物を指す。
【0017】
「好酸性」とは、高度酸性条件下(通常はpH2.0以下)で生育する極限環境微生物の一種を指す。
【0018】
「アミノ酸」という用語は、アルファ炭素と呼ばれる炭素に結合しているアミン基およびカルボキシル基の両方を含む分子を指す。好適なアミノ酸には、これらに限定されないが、天然に存在するアミノ酸のD異性体およびL異性体、ならびに有機合成または他の代謝経路によって調製された天然に存在しないアミノ酸の両方が挙げられる。いくつかの実施形態では、単一の「アミノ酸」は、拡張された脂肪族または芳香族骨格足場ごとに利用可能である、複数の側鎖部分を有し得る。文脈が特に別のことを示さない限り、本明細書で使用されるアミノ酸という用語は、アミノ酸類似体を含むことを意図している。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲において、本明細書で使用される「および/または」という句は、そのように結合されている要素(すなわち、ある場合には結合して存在し、他の場合には分離して存在する要素)の「いずれかまたは両方」を意味することを理解するものとする。「および/または」句によって具体的に識別される要素以外の他の要素が、明確に反対に示されない限り、具体的に識別される要素に関連するか否かにかかわらず、任意により存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aを含みBを含まない(任意により、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Bを含みAを含まない(任意により、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意により、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0020】
本明細書で使用される「人工肉」または「肉代替品」または「模造肉」または「肉類似品」という用語は、動物に由来しない、またはかなりの量の非動物タンパク質源を含むが、動物の肉、例えば、家畜(例えば、牛肉、豚肉)、ゲームミート(例えば、ベニソン)、鳥肉(例えば、鶏肉、七面鳥、カモ)、および/または魚もしくは魚介類の代替品/類似品と同等または類似の構造、食感、美的品質、および/または他の特性を有する、食品製品を指す。この用語は、未調理、調理済み、および調理済みの肉様食品製品を指す。
【0021】
「バイオマス」という用語は、細胞の成長および/または増殖によって生成される材料を指す。バイオマスは、細胞および/または細胞内内容物、ならびに細胞外物質(これらに限定されないが、細胞によって分泌される化合物など)を含み得る。
【0022】
「バイオリアクター」または「発酵槽」という用語は、細胞が成長し、維持される密閉されたまたは部分的に密閉された容器を指す。細胞は、必ずしもそうではないが、液体懸濁液中に保持され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、液体懸濁液中に保持されるのではなく、代わりに、これに限定されないが、固体成長支持材料などの別の非液体基質と接触して、これら上で、またはこれらの中で成長するかつ/または維持され得る。
【0023】
「炭素固定」プロセス、反応、または経路という用語は、これらに限定されないが、CO2、CO、およびCH4など、周囲条件下でガス状の炭素の形態を、周囲条件下で液体もしくは固体であるか、または水溶液に溶解されるかもしくは懸濁状態で保持される炭素ベースの生化学物質に変換する酵素反応または代謝経路を指す。
【0024】
「炭素源」とは、微生物が有機生合成に必要な炭素を得る分子の種類を指す。
【0025】
「カルボキシド栄養性」とは、一酸化炭素に耐えることまたは一酸化炭素を酸化することが可能な微生物を指す。好ましい実施形態では、カルボキシド栄養性微生物は、COを炭素源として、かつ/または生合成および/もしくは呼吸のための還元電子源として利用することができる。
【0026】
「化学合成独立栄養」とは、化学電子受容体による化学電子供与体の酸化によってエネルギーを得て、生物が、生存して、成長するために二酸化炭素から必要とするすべての有機化合物を合成する生物を指す。
【0027】
特許請求の範囲および明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」などのすべての移行句は、オープンエンドであると理解される。すなわち、これらに限定されないが、これらを含むことを意味する。移行句「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」のみが、それぞれクローズまたはハーフクローズ移行句であるものとする。
【0028】
「コンソーシアム」は、本明細書では、微生物および/または多細胞生物の2つ以上の異なる種または株を指し、これらは、一緒に成長され、例えば、同じ成長培地中での共培養で成長される。
【0029】
「培養する」という用語は、液体または固体培地中で、成長にとって好適な条件下で、細胞(例えば、微生物細胞)の集団を成長させることを指す。
【0030】
「から由来した」という用語は、「から発生した」、「から得た」、「から得ることができる」、「から単離された」、および「から創出された」という用語を包含し、一般に、ある特定の材料が、別の特定の材料中にその起源が見つかるか、または別の指定された材料を参照して説明できる特徴を有することを示す。
【0031】
「エネルギー源」とは、好気性呼吸で酸素によって酸化される電子供与体、または嫌気性呼吸で酸化される電子供与体と還元される電子受容体との組み合わせのいずれかを指す。
【0032】
「極限環境微生物」とは、地球または海の表面での状態と比較して、物理的または地球化学的に極端な状態(例えば、高温または低温、pH、または高塩分濃度)で生育する微生物を指す。典型的には、これらは、地表上またはその近くで見られるほとんどの生命体によって許容される。
【0033】
「ガス化」という用語は、炭素ベースの材料を、合成ガス(synthesis gas、syngas)、または発生炉ガスと呼ばれる水素、一酸化炭素、および二酸化炭素などのガスの混合物に変換する一般的な高温プロセスを指す。このプロセスは、一般に、炭素ベースの材料の完全燃焼にとっては不十分である酸素が存在するように、酸素および/または蒸気の制御された添加と共に、部分燃焼および/または外部で生成された熱の適用を伴う。
【0034】
「好塩性」とは、塩分濃度が非常に高い環境で生育する極限環境微生物の一種を指す。
【0035】
「従属栄養性」とは、二酸化炭素から生きて成長するために生物が必要とするすべての有機化合物を合成することができず、成長のために有機化合物を利用しなければならない生物を指す。従属栄養性生物は、独自の食物を生産することはできず、代わりに、二酸化炭素などの無機源から炭素を固定するのではなく、植物または動物などの有機物質を取り込んで代謝することによって、食物およびエネルギーを得る。
【0036】
「水素酸化剤」は、細胞内還元等価物の生成および/または呼吸における電子供与体として還元H2を利用する微生物を指す。
【0037】
「超好熱性」とは、一生の間、非常に高温の環境(典型的には、約60℃(140°F)以上)で生育する極限環境微生物の一種を指す。
【0038】
「水素酸化ガス(knallgas)」という用語は、水素分子と酸素ガスの混合物を指す。「水素酸化微生物」は、呼吸において、水素を電子供与体として、および酸素を電子受容体として使用して、アデノシン-5’-三リン酸(ATP)などの細胞内エネルギー担体を生成できる微生物である。「酸水素」および「酸水素微生物」という用語は、それぞれ「水素酸化」および「水素酸化微生物」と同義語として使用することができる。水素酸化微生物は一般に、NAD+(および/または他の細胞内還元同等物)の還元に利用されるH2から提供された電子の一部、および好気性呼吸に使用されるH2からの電子の一部を有する、ヒドロゲナーゼによって分子水素を使用する。水素酸化微生物は、一般に、カルビン回路または逆クエン酸回路を含むがこれらに限定されない経路を介して、CO2を独立栄養的に固定する[「Thermophilic bacteria」,Jakob Kristjansson,Chapter 5,Section III,CRC Press,(1992)]。
【0039】
「溶解物」という用語は、細胞溶解から生じる細胞内容物の混合物および/または溶液を含む液体を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、細胞溶解物中の化学物質または化学物質の混合物の精製を含む。いくつかの実施形態では、方法は、細胞溶解物中のアミノ酸および/またはタンパク質の精製を含む。
【0040】
「溶解」という用語は、原形質膜、および存在する場合、かなりの量の細胞内物質が細胞外空間に逃げるような細胞の細胞壁の破裂を指す。溶解は、電気化学的、機械的、浸透圧、熱、またはウイルスの手段を使用して実施できる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、バイオリアクターの内容物から化学物質または化学物質の混合物を分離するために、本明細書に記載の細胞または微生物の溶解を実施することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、バイオリアクターまたは細胞成長培地の内容物からアミノ酸またはアミノ酸および/またはタンパク質の混合物を分離するために、本明細書に記載の細胞または微生物の溶解を実施することを含む。
【0041】
「メタン産生菌」とは、嫌気性呼吸の産物としてメタンを生成する微生物を指す。
【0042】
「メチル栄養性」は、これらに限定されないが、メタノールまたはメタンなどの還元された一炭素化合物を、それらの成長のための炭素源および/または電子供与体として使用することができる微生物を指す。
【0043】
「微生物(microorganism)」および「微生物(microbe)」という用語は、微小な単細胞生物を意味する。
【0044】
「分子」という用語は、1つ以上の原子を含む任意の別個のまたは識別可能な物質の構造単位を意味し、例えば、炭化水素、脂質、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドを含む。
【0045】
「オリゴペプチド」は、比較的少数のアミノ酸残基、例えば、約2~約20アミノ酸を含むペプチドを指す。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるものとし、すなわち、複数の要素または要素のリストのうちの少なくとも1つ(1つより多いことを含む)、および任意により、追加の列挙されていない項目を含むものと解釈される。「のうちの1つのみ(only one of)」または「のうちの正確に1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる(consisting of)」など、反対に明確に示される用語のみが、複数の要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、排他的用語、例えば、「いずれか(either)」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちの1つのみ(only one of)」、または「のうちの正確に1つ(exactly one of)」が先行する場合、排他的な代替案を示すものとしてのみ解釈されるものとする(すなわち、「どちらか一方であるかまたは両方ではない」)。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的にからなる(Consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0047】
「有機化合物」という用語は、炭素原子を含む任意の気体、液体、または固体の化学化合物を指すが、無機と見なされる炭化物、炭酸塩、炭素の単純酸化物、シアン化物、ならびに純粋な炭素の同素体(ダイヤモンドおよびグラファイトなど)を例外とする。
【0048】
「ペプチド」とは、鎖状に連結した2つ以上のアミノ酸からなる化合物(ポリペプチド)を指し、各酸のカルボキシル基は、R-OC-NH-R’型の結合によって次のアミノ基に連結している(例えば、約2アミノ酸~約50アミノ酸、または21アミノ酸~約50アミノ酸)。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さおよび任意の三次元構造ならびに一本鎖または多本鎖(例えば、一本鎖、二本鎖、三重らせんなど)のヌクレオチドのポリマー形態を指し、これには、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの類似体もしくは修飾形態、例えば、修飾ヌクレオチドもしくは塩基もしくはそれらの類似体などを含む。遺伝暗号は縮重しているため、特定のアミノ酸をコードするために複数のコドンを使用することができ、本発明は、特定のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを包含する。ポリヌクレオチドが使用条件下で所望の機能性を保持する限り、ヌクレアーゼ耐性を増加させる修飾(例えば、デオキシ、2’-O-Me、ホスホロチオエートなど)など、任意のタイプの修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を使用することができる。標識はまた、検出または捕捉を行う目的で、例えば、放射性または非放射性の標識またはアンカー、例えば、ビオチンを組み込むことができる。ポリヌクレオチドという用語には、ペプチド核酸(PNA)も含まれる。ポリヌクレオチドは、天然に存在する場合もあれば、天然に存在しない場合もある。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書では互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、またはその両方、および/または修飾形態および/またはそれらの類似体を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的連結基によって置換され得る。これらの代替的連結基としては、これらに限定されないが、リン酸塩が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルマセタール」)に変わる実施形態であり、式中、各RまたはR’は、独立してHであるか、または任意によりエーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルジルを含む置換または非置換アルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド内のすべての連結が同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、線状もしくは円形であり得るか、または線状部分と円形部分との組み合わせを含み得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、アミノ酸から構成され、当業者によってタンパク質として認識される組成物を指す。本明細書では、アミノ酸残基の従来の1文字または3文字のコードが使用される。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、線状または分岐状であり得、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸によって中断され得る。この用語は、自然にまたは介入、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合などの任意の他の操作または修飾によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。また、定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸など)を含むポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている他の修飾が含まれる。
【0051】
「前駆体」または「の前駆体」という用語は、完成製品の構成要素の1つ以上の製造に向けた中間体である。
【0052】
「発生炉ガス」とは、様々な比率のH2、CO、およびCO2を含み、標準条件下で単位体積あたりの天然ガスの発熱量の通常2分の1~10分の1の範囲の発熱量を有するガス混合物を指す。発生炉ガスは、ガス化、水蒸気改質、または炭素ベースの原料の自己改質など、様々な原料から様々な方法で生成され得る。発生炉ガスには、H2、CO、およびCO2に加えて、生成プロセスおよび原料に応じて、これらに限定されないが、メタン、硫化水素、凝縮性ガス、タール、および灰など、他の構成成分が含まれ得る。混合物中のN2の割合は、空気がリアクター内で酸化剤として使用されるか、および反応のための熱が、直接燃焼または間接的熱交換によって提供されるかに応じて高くまたは低くなり得る。
【0053】
「産生する」という用語は、細胞からの化合物の分泌を含む、細胞内および細胞外での化合物の産生の両方を含む。
【0054】
「好冷菌」とは、典型的には、約10℃以下の低温で成長および生殖できる極限環境微生物の一種を指す。
【0055】
本明細書で使用される「回収された」、「単離された」、「精製された」、および「分離された」という用語は、自然に関連付けられている少なくとも1つの成分から除去される材料(例えば、タンパク質、核酸、または細胞)を指す。例えば、これらの用語は、例えば、無傷の生物学的システムなど、本来の状態中で見られるように、通常それに付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を指し得る。
【0056】
任意の所与の成分に関して「実質的に含まない」または「本質的に含まない」という句は、そのような成分が、たとえあったとしても、機能的に有意でない、すなわち、任意のプロセスまたは製品の意図された性能または機能に有意な悪影響を及ぼさない量でのみ存在することを意味する。典型的には、実質的に含まないとは、こうした成分の約1重量%未満、例えば、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、およびゼロ重量パーセントなどであることを意味する。「実質的に含まない」または「本質的に含まない」という用語は、成分の1%未満であるものとする。
【0057】
「硫黄酸化剤」は、細胞内還元等価物の産生のためおよび/または呼吸における電子供与体として、これらに限定されないが、H2Sなど、還元硫黄含有化合物を利用する微生物を指す。
【0058】
「合成ガス(Syngas)」または「合成ガス(Synthesis gas)」とは、発生炉ガスと同様にH2およびCOを含むが、H2およびCOの含有量、および特定の種類の化学産物(これに限定されないが、メタノールまたはフィッシャートロプシュディーゼルなど)の合成用の不純物の比率およびレベルに関して、より具体的に調整されている一種のガス混合物を指す。合成ガスは一般に、主成分としてH2、CO、およびCO2を含み、メタンの水蒸気改質などの確立された方法を介して、または任意の有機、可燃性、炭素ベースの材料(これらに限定されないが、バイオマス、有機物、または泥炭など)のガス化を介して、生成できる。合成ガスの水素成分は、水ガスシフト反応でのCOと蒸気との反応によって増加し、同時に合成ガス混合物中のCO2が増加する。
【0059】
「好熱菌」とは、一生の間、比較的高温、典型的には、約45℃~約122℃で生育する極限環境微生物の一種を指す。
【0060】
「野生型」とは、自然界に存在する微生物を指す。
【0061】
「収量」とは、供給物質がすべて産生物に変換された場合に産生される物質の総量に対する、供給材料から産生された産生物の量を指す。例えば、産生物の収量は、供給物質の100%が産生物に変換された場合の理論的収率に対して、産生された産生物の割合(%)として表すことができる。
【0062】
高タンパク質食品製品
いくつかの実施形態では、高タンパク質食品組成物、ならびにそれを製造する方法が提供される。本明細書に記載1つ以上の微生物に由来する「タンパク質産物」(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)は、ヒトおよび/または動物が消費するために、高タンパク質の食用食品組成物に加工され得るか、または組み込まれ得る。食品組成物(食品製品)は、例えば、食品商品、および/または食品成分、および/または栄養製品、および/または動物飼料、および/またはペットフード製品であり得る。いくつかの実施形態では、食品組成物は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%(重量%、例えば、乾燥重量ベースの重量%による)のいずれかの微生物タンパク質産物を含み得る。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質産物は、ベジタリアンまたはビーガン食品製品の生産に利用される。特定の実施形態では、それらは、有機食品製品および/または農薬非含有および/または除草剤非含有および/または殺真菌剤非含有および/または抗生物質非含有および/または非遺伝子改変(非GMO)食品製品の生産に利用される。特定の実施形態では、それらは、地産食品製品に利用される。特定の実施形態では、それらは、プロバイオティクス食品製品またはプレバイオティクス食品製品(例えば、プレバイオティクス栄養製品)中で利用される。
【0064】
本明細書に記載の1つ以上の微生物からの1つ以上のタンパク質産物を含む、高タンパク質食品製品を製造するためのプロセスが提供される。特定の実施形態では、食品製品は、動物性タンパク質または脂肪を有さない。特定の実施形態では、タンパク質産物(複数可)は、これらに限定されないが、乳製品、乳製品代替製品、肉製品(家畜、ゲームミート、鳥肉、魚、または魚介類製品など)、肉代替品および/または模造肉製品(模造家畜、ゲームミート、鳥肉、魚、または魚介類製品)、ベーカリー製品、菓子、ヘルスプロテインバー、プロテインパウダー、スポーツおよび/またはエナジードリンク、および/またはプロテインシェイクおよび/またはスムージーなどの食品製品に組み込まれる。特定の実施形態では、タンパク質産物は、肉製品および/または模造肉製品に組み込むために食感加工されている。特定の実施形態では、高タンパク質成分は、ビーフパティ中の肉増量剤として使用することができる。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書に記載の高タンパク質食品製品は、動物性脂肪を含まない。特定の実施形態では、これは、飽和脂肪に対する多価不飽和脂肪の比較的高い比率を有する。特定の実施形態では、これは、乳タンパク質にほぼ匹敵する高品質のタンパク質含有量を有する。特定の非限定的な実施形態では、そのアミノ酸含有量は、United Nations Food and Agriculture Organizationによって理想として推奨されているものと実質的に類似しているか、非常に近いか、または同一である。特定の実施形態では、本発明のタンパク質産物を使用して製造された食品製品は、健康食品および/または低カロリー食品を表す。特定の実施形態では、タンパク質産物は、マイルドな風味および/または淡いクリーム色および/または容易な分散性および/または比較的高い吸水率および/または比較的高い脂肪吸着を有する。特定の実施形態では、タンパク質産物は、繊維に形成され得、および/または熱的に押し出され、および/または凝固されてゲルになり得る。特定のそのような非限定的な実施形態では、ゲル凝固は、加熱時に約3~約6の範囲に低下するpHで起こる。特定の実施形態では、タンパク質産物の1つ以上の特性は、これらに限定されないが、乳製品、乳製品代替製品、肉製品、肉の代替品および/または模造肉製品、ベーカリー製品、菓子、ヘルスプロテインバー、プロテインパウダー、スポーツおよび/またはエナジードリンク、および/またはプロテインシェイクおよび/またはスムージーなど、食品製品に組み込むのに十分好適であるようにする。特定の実施形態では、タンパク質産物は、肉製品および/または模造肉製品に組み込むために食感加工されている。特定の実施形態では、タンパク質産物は、肉増量剤として、例えば、ビーフパティの肉増量剤として使用することができる。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質産物約30部を肉、例えば牛挽肉70部と組み合わせることができ、他の実施形態では、肉(例えば牛挽肉)90部に対して、タンパク質産物約10部を組み合わせることができる。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質産物は、USDAによって定められた要件に適合する比率、かつ/またはthe National School Lunch Program(Type A School Lunch)を管理する規則に準拠した比率で、牛肉および/または他の肉製品と組み合わされる。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質産物は、約2.6の組み合わせタンパク質当量比(PER)を有する配合物に含まれる。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質産物の吸水および/または脂肪結合特性は、調理時の収縮(脂肪および水分損失)を低減するのを助け、かつ/または調理されたパティまたは他の肉または食品商品の水分および食感を高める。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されたタンパク質産物は、以下の成分のうちの1つ以上と共にレシピおよび/または配合物に含まれる:水;トマト;トマトジュース;トマトソース;豆;スパイス、これに限定されないが、チリスパイスなど;調味料;動物性タンパク質;牛肉;鳥肉(例えば、鶏肉、七面鳥、カモ、ガチョウ);豚肉;魚;魚介類;大豆;小麦;小麦粉;酵母;酵母エキス;スピルリナ;マーガリン;バター;乳製品;チーズ;砂糖;黒砂糖;蜂蜜;卵;塩;バニラ;チョコレート;重曹;ベーキングパウダー;練乳;および/またはカラメル。特定の実施形態では、組み合わされた成分は、水和:ブレンディングする;混合する;叩く;ふるう;振りかける;加熱する;調理する;焼く(frying);揚げる;焼く(baking);煮込む;焼き目をつける;煮るのうちの1つ以上を受ける。特定の実施形態では、材料は、約350°F(177.7℃)で焼かれ、かつ/または約375°F(190.5℃)~450°F(232.2℃)で焼かれるかまたは調理される。特定の実施形態では、タンパク質産物は、パティ;チリコンカルネ;ピザのトッピング;牛挽肉;チキンナゲット;フィッシュスティックの1つ以上において、肉増量剤または肉代替品として使用される。肉増量剤および/または代替物としての特定の実施形態では、タンパク質産物は、食品商品中の肉成分の約50%または約50%超(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%のいずれか)を置き換え、他の実施形態では、50%未満(例えば、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満のいずれか)を置き換える。
【0067】
特定の実施形態では、タンパク質産物成分は、シリアルベース製品などの食品製品に、改善された栄養、吸水、脂肪結合特性、食感、および/または食感品質(eating quality)を付与する。特定の実施形態では、タンパク質産物成分は、栄養強化するために使用されるか、さもなければシリアルベース製品に組み込まれる。特定の実施形態では、シリアルベース製品は、朝食用シリアル、クッキー、ケーキ、パイ、ブラウニー、マフィン、またはパンである。特定の実施形態では、タンパク質産物は、乳タンパク質(例えば、カゼインナトリウム)の代替品として、ならびに/または牛乳または乳製品中のビタミンおよび/もしくはミネラルサプリメントとして使用される。特定のそのような実施形態では、タンパク質産物成分は、これらに限定されないが、無脂肪乾燥ミルク、粉ミルク、または乳製品タイプの飲料、例えば、これらに限定されないがインスタント朝食ミックス、またはこれらに限定されないが、豆乳、ライスミルク、およびアーモンドミルクなどの模倣乳製品タイプの飲料のうちの1つ以上で使用される。特定の実施形態では、タンパク質産物成分は、栄養強化された(例えば、タンパク質、ビタミン、および/またはミネラルにより栄養強化された)キャンディ、デザート、またはおやつに使用される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1種以上の微生物に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)は、任意により、例えば、植物由来タンパク質などの他の成分と組み合わせて、剪断撹拌下で加熱し、その後押し出すことによって、所望の食感(例えば、かみごたえがある、バリバリする、パリパリする、水への分散に抵抗するなど)の食品を製造することを含むプロセスにおいて、食品製品またはその成分を製造するために加工する。例示的な非限定的な実施形態では、タンパク質産物の水性ペースト(例えば、約20%(w/w)~約50%(w/w)、約20%(w/w)~約40%(w/w)、約30%(w/w)~約50%(w/w)、約20%(w/w)~約35%(w/w)または約35%(w/w)~約50%(w/w)の水を含む)、任意により植物性タンパク質などの植物ベースの材料(例えば、大豆ミール、ゴマミール、綿実ミール、トウモロコシミール、小麦ミール、および/またはピーナッツミールなど)と組み合わせて、約150°F(65.6℃)~約400°F(204.4℃)、または約225°F(107.2℃)~約275°F(135.0℃)の温度まで約10秒~約300秒加熱させ、例えば、約10rpm~約60rpmの剪断速度および約200~約2000メートルグラムのトルクで、剪断力を加え(任意により加熱と同時に行われる)、加熱され、剪断されたタンパク質産物をダイを通して押し出して、成形された押出物を提供する。任意により、押出物は、酸素含有ガス流に曝される。一実施形態では、酸素含有ガス流は、例えば、約80°F(26.7℃)~約212°F(100℃)の温度で約0.5分~約10分の空気流(例えば、乾燥空気流)である。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の微生物に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)は、タンパク質産物を1つ以上の追加のタンパク質源(これらに限定されないが、例えば、エンドウ豆、米、もち米、小麦、グルテン、大豆、麻、カノーラ、昆虫、藻類、および/またはそば)を組み合わせること、混合物を加熱することと(例えば、約150°F(65.6℃)~約400°F(204.4℃))、混合物を押出機で剪断力にかけ、所望の食感および/または機能的特徴を有する食感加工した製品(例えば、かみごたえがある、バリバリする、パリパリする、水への分散に抵抗するなど)を創出することと、を含むプロセスで、食品製品またはその成分を産生するために加工される。
【0070】
いくつかの実施形態では、遊離アミノ酸は、タンパク質産物の一部として、またはタンパク質産物の補足として、所望の風味を付与するために含まれる。非限定的な一実施形態では、グルタミン酸が含まれ、それにより、食品製品にうま味を付与する。
【0071】
いくつかの実施形態では、例えば、肉代替品または人工肉製品において、ヒドロゲル、リポゲル、および/またはエマルジョンは、例えば、剤放出系として(例えば、着色剤、風味剤、脂肪酸、ふくらし粉、ゲル化剤(例えば、重炭酸塩(例えば、重炭酸カリウム)、水酸化カルシウム、および/またはアルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウムまたはカリウム)を放出するために)組成物に含まれる。ここで、剤(複数可)は、動物の肉をシミュレートするために、食品製品の調理中に放出され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、食品製品は、これらに限定されないが、エンドウ豆、米、もち米、小麦、グルテン、大豆、麻、カノーラ、昆虫、藻類、および/またはそばなどの1つ以上の植物タンパク質源、本明細書に記載の微生物によって産生されるタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)と組み合わせて含み、タンパク質産物は、風味、例えば、肉のような風味(家畜、ゲームミート、鳥肉、または魚介類の肉のような風味など)を食品組成物に付与する。
【0073】
いくつかの実施形態では、食品製品、例えば、肉代替品または人工肉製品としては、ヘム化合物、例えば、ヘム含有ポリペプチドなどが挙げられる。一実施形態では、食品製品は、タンパク質産物が由来する微生物からのヘム(例えば、ヘム含有ポリペプチド)を含む。特定のこのような実施形態では、微生物は、キュープリアビダス・ネカターなどのキュープリアビダス微生物である。
【0074】
いくつかの実施形態では、肉代替品または人工または模造肉製品(例えば、家畜(例えば、牛肉、豚肉)、ゲームミート、鳥肉、魚、または魚介類類似製品)としては、本明細書に記載の微生物によって産生されるタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)が挙げられる。いくつかの実施形態では、肉類似製品は、動物源のいかなる成分も含まないビーガン製品である。いくつかの実施形態では、動物性タンパク質を含む強化肉製品(例えば、牛肉、鳥肉、豚肉、魚、魚介類、または卵製品であり、製品の一部は、本明細書に記載の微生物によって産生されるタンパク質産物成分である)(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)が提供される。例えば、タンパク質産物は、強化肉製品または肉類似製品に増量剤として含まれ得、例えば、タンパク質産物は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%のいずれかの肉成分または人工または模造の肉成分(例えば、植物ベースの人工または模造肉類似成分)に置き換えて、強化肉製品または肉類似物/模造肉製品をそれぞれ生産する。いくつかの実施形態では、微生物は、CO2成長または空気成長微生物、例えば、酸水素微生物である。肉代替品の非限定的な例は、米国特許第10,327,464号、同第10,314,325号、同第10,287,568号、同第10,273,492号、同第10,172,380号、同第10,172,381号、同第10,093,913号、同第10,087,434号、同第10,039,306号、同第9,943,096号、同第9,938,327号、同第9,833,768号、同第9,826,772号、同第9,808,029号、同第9,737,875号、同第9,700,067号、および同第9,011,949号に記載され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の食品製品(これらに限定されないが、肉代替品または人工肉製品など)中のタンパク質産物の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、DSM531またはDSM541に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)が挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、これらに限定されない、肉代替品または人工肉製品など、本明細書に記載の食品製品中のタンパク質産物の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、乳酸菌、例えば、これらに限定されないが、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス菌に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上)が挙げられる。いくつかの実施形態では、乳酸菌は、一般に安全と認められている(GRAS)細菌である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の食品製品(これらに限定されないが、肉代替品または人工肉製品など)中のタンパク質産物の少なくとも一部またはすべては、フザリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeなど)に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つ以上)を含む。いくつかの実施形態では、真菌微生物は、GRAS微生物である。
【0078】
肉類似製品
動物の肉(例えば、家畜、ゲームミート、鳥肉、魚、または魚介類の肉)に類似しているかつ/またはその風味を有する人工肉製品が提供される。人工肉製品は、本明細書に記載の1種以上の微生物に由来するタンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つ以上)を含み、例えば、風味、芳香、食感、外観など、動物肉の食感および/または物理的特徴をシミュレートする。
【0079】
いくつかの実施形態では、人工肉製品は、本明細書に記載の微生物タンパク質産物の少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、または少なくとも約25重量%を含み、任意により、1つ以上の結合剤によって一緒に結合され、動物の肉と比較して、1つ以上の類似した食感および/または機能的特徴を有する食品製品を生産する。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、動物の肉、例えば、挽肉(例えば、牛挽肉、豚挽肉、七面鳥挽肉)に類似している。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、主にまたは完全に、非動物源に由来する成分から構成される。代替的実施形態では、人工肉製品は、部分的に動物源に由来するが、非動物源に由来する成分が補充された成分から構成される。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、1つ以上の剤放出系および/または他の成分をさらに含む。様々な実施形態では、本明細書の人工肉製品は、スライス、切断、粉砕、細断、すりおろし、または他の方法で加工されるか、または未加工のままであり得る。スライス形態の例としては、これらに限定されないが、乾燥肉、硬化肉、およびスライスされたランチミートまたはデリミートが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される人工肉食品製品は、例えば、動物のジャーキーに外観および/または食感が類似している製品を産生するために、細断され、次に一緒に結合され、塊に切られて形成され、粉砕されて形成され、または乱切りにされて形成される。
【0080】
いくつかの実施形態では、人工肉製品はビーガンである。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、GMO成分を含まない。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、ナッツに由来する成分を含まない。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、約0.6重量%未満または約0.5重量%未満のナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、肉様食品製品は、グルテンを含まないか、または実質的にグルテンを含まない。いくつかの実施形態では、肉様食品製品は、大豆を含まないか、または実質的に大豆を含まない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される人工肉食品製品は、約5重量%~約30重量%の脂質、例えば、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約5重量%~約15重量%、約15重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約30の脂質を含む。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、約0.5%~約10%の総炭水化物、例えば、約0.5%~約1%、約1%~約5%、約5%~約10%、約2%~約8%、または約3%~約6%の総炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、約0.5%~約5%の食物繊維、例えば、約0.5%~約1%、約1%~約5%、約5%~約10%、約2%~約8%、または約3%~約6%の食物繊維を含む。
【0082】
本明細書で提供される人工肉製品は、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%の水分含有量(MC)を含む。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、動物の肉(例えば、家畜、ゲームミート、鳥肉、魚、または魚介類の肉)と同様のMCを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、人工肉製品は、1つ以上の着色剤を含む。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、1つ以上の着色促進剤を含む。いくつかの実施形態では、肉様食品製品は、2つ以上の着色剤、着色安定剤、および/または着色促進剤の混合物を含む。このような混合物の非限定的な例としては、ビート抽出物とアナトー、ビート抽出物とウコン、ビート抽出物とサフラン、ビート抽出物と紫ニンジン、ビート抽出物とブドウ種子抽出物、ビート抽出物とトマト抽出物、ビート抽出物とリコペン、ビート抽出物とベータカロチン、ビート抽出物とアントシアニン、ビート抽出物とアントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとリコペン、ビート抽出物とアスコルビン酸、アントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとアスコルビン酸、ビート抽出物とアナトーとベータカロチン、ビート抽出物ウコンとアスコルビン酸、およびアントシアニンとリコペンとアンナトが挙げられる。いくつかのそのような実施形態では、着色剤、着色安定剤、および/または着色促進剤は、等しい重量比で存在する。他のそのような実施形態では、着色剤、着色安定剤、および/または着色促進剤は、不均等な重量比(例えば、55:45、60:40、65:35、2:1、70:30、75:25、80:20、5:1、85:15、90:10、20:1、95:5、または99:1)で存在する。いくつかの実施形態では、人工肉製品は、ブラウニング剤、例えば、これらに限定されないが、ペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース)、ヘキソース(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース)、デキストリン、および市販のブラウニング剤(例えば、red arrowデキストロース、木材由来剤)などを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書の人工肉製品は、これらに限定されないが、エンドウ豆、米、もち米、小麦、グルテン、大豆、麻、カノーラ、昆虫、藻類、および/またはそばなどの1つ以上の植物タンパク質源、本明細書に記載の微生物によって産生されるタンパク質産物と組み合わせなどが挙げられる。ここで、タンパク質産物は、組成物に肉様風味を付与する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書の人工肉製品は、ヘム含有ポリペプチドなどのヘム化合物を含む。例えば、ヘム化合物(例えば、ヘム含有ポリペプチド)は、タンパク質産物が由来する微生物に由来し得る。特定のそのような実施形態では、ヘム化合物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカターに由来する。特定のこのような実施形態では、ヘム化合物は、ヘモグロビンまたはフラボヘモグロビンである。
【0086】
タンパク質産物
タンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つ以上)は、本明細書に記載の1つ以上の微生物由来のバイオマスおよび/またはタンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチド由来であるか、および/またはこれらを含む。
【0087】
一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のアミノ酸、例えば、遊離アミノ酸を含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のオリゴペプチドを含むペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の約20から約50個のアミノ酸(例えば、21~50個のアミノ酸)を含むポリペプチドを含むペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の、約50から約200個のアミノ酸(例えば、51~200個のアミノ酸)を含むポリペプチドを含むペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の、約200~約500個のアミノ酸(例えば、201~500個のアミノ酸)を含むポリペプチドを含むペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の、1000未満、900、800、700、600、500、400、300、200、または100のアミノ酸を含むポリペプチドを含むペプチドを含む。一実施形態によれば、タンパク質産物は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の遊離アミノ酸、オリゴペプチド、および21~50個アミノ酸を有するポリペプチドの組み合わせを含み、遊離アミノ酸対オリゴペプチド対21~50個のアミノ酸を有するポリペプチドの比は、約1:1:1であるか、または約0~約3:約0~約3:約0~約3、または約3~約6:約0~約3:約0~約3、または約0~約3:約3~約6:約0~約3、または約0~約3:約0~約3:約3~約6、または約3~約6:約3~約6:約0~約3、または約0~約3:約3~約6:約3~約6、または約3~約6:約0~約3:約3~約6、または約6~約9:約0~約3:約0~約3、または約0~約3:約6~約9:約0~約3、または約0~約3:約0~約3:約6~約9、または約6~約9:約6~約9:約0~約3、または約0~約3:約6~約9:約6~約9、または約6~約9:約0~約3:約6~約9である。
【0088】
いくつかの実施形態では、タンパク質産物は、遊離アミノ酸を含む。特定の実施形態では、アミノ酸は、本明細書に記載の微生物によって産生され、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物によって分泌され得る。微生物アミノ酸産生の非限定的な例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願番号WO2014/145194に見出すことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、タンパク質産物は、これらに限定されないが、人工肉または肉代替組成物など、本明細書に記載の食品組成物への組み込みに好適であるレベルで水および/または油吸収を呈する。例えば、タンパク質産物の保水能力は、約1~約10、例えば、約2~約4重量倍であり得る。
【0090】
一実施形態では、タンパク質産物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカターなどのタンパク質産物が由来する微生物によって産生されるヘム(例えば、ヘム含有ポリペプチド)を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチドなど、本明細書に記載のタンパク質産物中のタンパク質の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、DSM531またはDSM541由来である。
【0092】
いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチドなど、本明細書に記載のタンパク質産物中のタンパク質の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、乳酸菌、例えば、これらに限定されないが、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス菌に由来する。いくつかの実施形態では、乳酸菌は、GRAS菌である。
【0093】
いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチドなど、本明細書に記載のタンパク質産物中のタンパク質産物の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、フザリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeなど)に由来する。いくつかの実施形態では、真菌微生物は、GRAS微生物である。
【0094】
タンパク質濃縮物
特定の実施形態では、主要なタンパク質画分を可溶化することなく、非タンパク質画分(例えば、脂質、核酸、多糖類)を抽出する方法が使用される。回収される不溶性タンパク質画分はタンパク質濃縮物である。特定の実施形態では、タンパク質濃縮物は、本明細書に記載のとおり、1つ以上の微生物によって産生されるタンパク質含有バイオマスから産生される。
【0095】
特定の実施形態では、タンパク質濃縮物は、溶媒抽出プロセスを介して産生される。特定のそのような実施形態において、溶媒抽出プロセスは、例えば、水性アルコール洗浄などのアルコール抽出または洗浄を含む。特定の実施形態では、酸処理は、タンパク質濃縮物を産生するために利用される。特定の実施形態では、タンパク質濃縮物は、熱変性プロセスを介して産生される。
【0096】
特定の実施形態では、溶媒抽出、酸処理、および/または熱変性ステップのうちの1つ以上が展開され、タンパク質濃縮物を産生するために、連続してまたは並行して使用され得る。特定の実施形態では、タンパク質濃縮物の産生において、溶媒抽出ステップに続いて、熱変性ステップを行う。特定の実施形態では、タンパク質濃縮物の産生において、熱変性ステップに続いて、溶媒抽出ステップを行う。特定の実施形態では、熱変性ステップおよび酸処理は、タンパク質濃縮物の産生において組み合わされる。特定のそのような実施形態において、熱+酸処理から生じる不溶性材料は、溶媒抽出ステップを行う。特定の実施形態では、1つ以上の溶媒抽出、酸処理、および/または熱変性ステップ(複数可)を介して産生されたタンパク質濃縮物は、水洗を行う。
【0097】
特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、タンパク質濃縮物プロセスによって除去される出発バイオマスに存在した油および/または水溶性非タンパク質成分の少なくとも一部または大部分を含む。
【0098】
特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、水分を含まないものを基準として、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%のタンパク質を含む。粗タンパク質含有量は、材料の全窒素重量パーセント(%N)に6.25に等しいジョーンズ係数を掛けたものとして定義され得る。すなわち、粗タンパク質=6.25*%Nである。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、水分を含まないものを基準として、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%の粗タンパク質含有量を含む。タンパク性材料の総アミノ酸含有量の決定は、生化学的分析の科学において十分に確立されている(例えば、AOAC法994.12を使用)。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、水分非含有を基準にして、濃縮物の少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%の総アミノ酸含有量を含む。特定の実施形態では、本発明に従って産生されたタンパク質濃縮物は、大豆タンパク質濃縮物よりも高いタンパク質含有量および/またはより高い粗タンパク質含有量および/またはより高い総アミノ酸含有量を含む。
【0099】
特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、または約1重量%未満の炭水化物含有量を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質は、約10重量%未満、約8重量%未満、約5重量%未満、約重量4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の灰分含有量を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質濃縮物は、約10重量%未満、約8重量%未満、約5重量%未満、約重量4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の脂質含有量を含む。
【0100】
特定の実施形態では、溶媒抽出プロセスは、タンパク質濃縮物の産生に適用される。溶媒は、1種以上のアルコールまたは1種以上のアルコールを含む水溶液を含み得る。アルコール溶媒を使用したタンパク質濃縮物の産生は、低級脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)を含む溶液が、タンパク質を可溶化することなく、かつ/または変性によりタンパク質を不溶にすることによって、脂質および可溶性砂糖画分を抽出する能力に基づく。特定の実施形態では、溶媒抽出プロセスにおいて溶媒中で使用されるアルコールの濃度は、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%である。
【0101】
本明細書に記載のとおり産生された湿式または乾式微生物バイオマスから開始して、特定の実施形態では、タンパク質濃縮プロセスは、以下のステップ:液固抽出、液体抽出物からの溶媒の除去および回収、固体からの溶媒(例えば、タンパク質濃縮物)の除去および回収、ならびに固体の乾燥および粉砕(例えば、タンパク質濃縮物)のうちの1つ以上を含む。
【0102】
特定の実施形態では、固液抽出は、バッチ式または連続的に実施される。特定の実施形態では、固液抽出は、水平ベルト抽出器;バスケット抽出器;静止抽出器;および/または回転式細胞抽出器うちの1つ以上を使用して実施される。
【0103】
熱処理は、砂糖をタンパク質に結合させることにより(例えば、メイラード反応)、またはカラメル化により、砂糖の溶解性を低下させ得る。このような縮合反応により、砂糖の溶媒による抽出が少なくなり得る。それらはまた、特定の用途では望ましくない可能性がある濃縮物にとって、暗い色になり得る。特定の実施形態では、熱処理は、溶媒抽出後まで実施されない。特定の実施形態では、利用されるタンパク質濃縮物プロセスは、メイラード反応の発生を回避する。
【0104】
特定の実施形態では、無極性溶媒は、溶媒抽出ステップにおいて利用される。特定の実施形態では、無極性溶媒は、アルコール溶媒と組み合わせて利用される。特定の実施形態では、無極性溶媒は、アルコール水溶液と組み合わせて利用される。特定の実施形態では、無極性溶媒は、アルコールおよび/またはアルコール水溶液を使用して生成された抽出物から中性脂質を抽出するために利用される。特定の非限定的な実施形態では、65℃~70℃の沸点範囲(すなわち、蒸留範囲)を有する無極性溶媒が利用される。特定の非限定的な実施形態では、主に6炭素アルカンからなる無極性溶媒が利用される。特定の実施形態では、ヘキサンは、無極性溶媒として利用される。特定のそのような実施形態では、無極性溶媒として利用されるヘキサンは、大豆および他の植物ベースの供給源からの食用油の抽出に必要な厳格な品質仕様(これらに限定されないが、沸騰(蒸留)範囲、最大非揮発性残留物、引火点、最大硫黄、最大環状炭化水素、色および比重など)に準拠する。
【0105】
特定の実施形態では、高圧下で液体二酸化炭素を使用する「超臨界抽出」は、溶媒抽出のために利用される。
【0106】
生物学的材料の溶媒抽出における律速プロセスは、多くの場合、拡散であることが知られている。このため、典型的には、かなりの労力およびエネルギーが、抽出されるバイオマスのサイズ縮小に向けられる。例えば、大豆および油料種子は、多くの場合、丸めて薄いフレークとなるため、拡散を促進するために、縮小して薄くなる。特定の実施形態では、顕微鏡的寸法の本明細書に記載の単細胞微生物では、溶媒抽出前に任意のサイズ縮小を実施する必要がなくなる。特定の実施形態では、溶媒抽出は、より効率的であり、すなわち、より高等の植物または動物のバイオマスで行われる同等の溶媒抽出よりも、より少ない溶媒を必要とし、および/またはより高いパーセンテージの抽出可能な溶質を回収する。
【0107】
特定の実施形態では、細胞塊、すなわち、本明細書に記載のように産生された微生物バイオマスは、溶媒抽出されるとき、または乾燥させた場合、開放多孔質構造を有する緩い力として溶媒抽出プロセスに供給されるときに液体懸濁液中に保持される。
【0108】
特定の実施形態では、1つ以上の撹拌を行うこと、および/または温度を上昇させることによって、抽出速度を上げる。より高い温度は、抽出可能な材料(例えば、脂質)のより高い溶解度、および/またはより高い拡散係数をもたらし得る。
【0109】
エタノールまたはイソプロパノールなどの水非含有(絶対)低脂肪族アルコールは、高温での脂質にかなり適した溶媒であるが、これらの溶媒への油の溶解度は、温度が下がると大幅に低下する。特定の実施形態では、脂質抽出は、エタノール、イソプロパノール、および/またはメタノールを含むがこれらに限定されない1種以上のアルコールで高温で行われる。特定のこのような実施形態において、脂質抽出物は、冷却され、脂質飽和が起こる。特定のこのような実施形態において、過剰の脂質は、別個の相として分離し、これは、これに限定されないが、遠心分離などの固液分離プロセスによって回収することができる。特定のそのような実施形態において、溶媒、すなわち、アルコール(複数可)は、再加熱され、溶媒抽出のために送り戻される。
【0110】
濃度勾配を使用して抽出可能な物質を固体から移動させる場合、勾配を高く維持することで、抽出プロセスを容易にし得る。特定の実施形態では、向流多段抽出の原理を利用して、この効果を利用する。特定の実施形態では、溶媒抽出プロセスは、いくつかの接触段階に分割される。特定の実施形態では、各段階は、固体、例えば、微生物バイオマスおよび/またはタンパク質濃縮物、ならびに溶媒相を混合すること、および抽出後の2つの流れを分離することを含む。特定の実施形態では、ある段階から次の段階に進む際に、固体、例えば、微生物バイオマスおよび/またはタンパク質濃縮物、および溶媒は、反対方向に流れる。したがって、抽出可能な含有量が最も少ない微生物バイオマスおよび/またはタンパク質濃縮物(例えば、脂質)が、最も希薄な溶媒と接触することにより、抽出器全体でより高い抽出可能な収量(例えば、脂質収量)および高い推進力がもたらされる。
【0111】
特定の実施形態では、溶媒抽出は、バッチ、半連続および/または連続溶媒抽出器を使用して実施される。
【0112】
バッチプロセスでは、特定の量の微生物バイオマスおよび/または生物学的材料が特定の量の新鮮な溶媒と接触する。特定の実施形態では、抽出物を排出し、蒸留し、微生物バイオマスおよび/または生物学的材料のバッチ中の残留抽出可能含有量(例えば、脂質含有量)が、目標レベルまで減少するまで、抽出器を介して溶媒を再循環させる。
【0113】
特定の実施形態では、直列に接続されたいくつかのバッチ抽出器からなる半連続溶媒抽出システムが利用される。特定のこのような実施形態において、溶媒および/または抽出物は、一連のある抽出器から次の抽出器へと流れる。特定の非限定的な実施形態では、フレンチ固定バスケット抽出器(French Stationary Basket Extractor)が利用される。
【0114】
特定の実施形態において、微生物バイオマスおよび/または生物学的材料および/またはタンパク質濃縮物および溶媒が抽出器に連続的に供給される連続溶媒抽出プロセスが利用される。特定の実施形態では、ベルト抽出器、例えば、これに限定されないが、De Smet抽出器、移動バスケット型抽出器、例えば、これらに限定されないが、Lurgi移動バスケット型抽出器またはT.O.M(Turning Over of Material)HLS抽出器;および/またはカルーセル抽出器のうちの1つ以上が、溶媒抽出に利用される。
【0115】
特定の実施形態では、本発明に記載されるように産生されるタンパク質濃縮物は、約0.6重量%以下、約0.25重量%~約0.6重量%、または約0.25重量%以下の残留脂質含有量を有する。溶媒抽出を利用する本明細書に記載のタンパク質濃縮物産生の特定の実施形態では、1回の抽出あたりの溶媒損失は、1回の抽出あたり約0.3%以下、または1回の抽出あたり約0.07%~約0.3%、または1回の抽出あたり約0.07%以下である。
【0116】
特定の実施形態では、抽出物(例えば、脂質抽出物)ストリームおよび固体(例えば、タンパク質濃縮物)ストリームなど、少なくとも2つのストリームが溶媒抽出ステップから離れる。特定のこのような実施形態では、固体ストリームは、溶媒残留物を含む。特定の実施形態では、1つ以上のプロセスが、一方もしくは他方、または両方のストリームから溶媒を除去および回収するために利用される。
【0117】
特定の実施形態では、アルコールは、蒸発によって液体抽出物から除去され、蒸留によって精留される。次に、特定のこのような実施形態において、アルコールは、さらなる抽出のために適切な濃度にされる。特定のこのような実施形態において、回収された溶媒は、抽出器を通して再循環される。特定の実施形態では、蒸留残留物は、脂質および/または核酸、砂糖、および/または他の可溶物を含む水溶液を含む。特定の実施形態では、水性残留物は、およそ50%の総可溶性固形分に濃縮される。特定の実施形態では、脂質および/または水性残留物は、カロリー成分として、および/または動物飼料中の結合剤として使用される。特定の実施形態では、脂質および/または水性残留物は、バイオリアクターに送り戻される。特定の実施形態では、脂質および/または水性残留物は、それらが混合栄養成長に使用され得るバイオリアクターに送り戻される。特定のそのような場合、混合栄養成長は、これらに限定されないが、脂質および/または核酸など、H2および有機基質での成長を含む。特定の実施形態では、抽出物は30%以下の脂質を含む。特定の実施形態では、回収される脂質1トンごとに、約2.5トンの溶媒が蒸留によって回収される。特定の実施形態では、これらに限定されないが、フラッシュ蒸発、真空蒸留、および/または蒸気ストリッピングなど、溶媒除去の1つ以上の方法が利用される。
【0118】
特定の実施形態では、溶媒は、1つ以上の溶媒抽出ステップから生じる固体から除去される。特定の実施形態では、フラッシュ脱溶媒化は、溶媒残留物を除去するために利用される。特定の実施形態では、アルコール-水混合物の過熱蒸気は、本明細書に記載のとおり産生されたタンパク質濃縮物に適用される。特定の実施形態では、水蒸気蒸留を使用して、溶媒抽出から生じる固体から溶媒残留物または微量の溶媒を除去する。特定のこのような実施形態において、溶媒抽出から回収された固体は、タンパク質濃縮物を生成するために使用される。特定の実施形態では、溶媒抽出から回収された固体の脱溶媒化は、フラッシュ脱溶媒化(FD)を介して実施される。特定のそのような実施形態において、抽出器から出てくる溶媒残留物を有する固体は、蒸気の過熱が、固体からの溶媒を蒸発するためのエネルギーを提供する過熱溶媒蒸気のストリームの中で流動化される。特定のこのような実施形態において、固体-蒸気流の乱流の性質により、急速な熱および物質移動が容易になる。特定の実施形態では、短いストリッピング段階は、完全な溶媒除去のために利用される。特定の実施形態では、急速冷却は、残留溶媒の除去後に行う。特定の実施形態では、脱溶媒和後にタンパク質濃縮物中に残存した任意の過剰な水は、これらに限定されないが、熱風乾燥、熱不活性ガス下での乾燥、真空乾燥、またはフリーズドライなどの方法によって除去される。
【0119】
特定の実施形態では、酸処理または酸洗浄プロセスを利用して、溶液からタンパク質を沈殿させ、沈殿したタンパク質を使用してタンパク質濃縮物を産生する。特定の実施形態では、バイオリアクターから出現するブロスまたはバイオマスまたはバイオマス溶解物のpHは、およそpH=7、またはおよそpH6~pH8の範囲である。タンパク質は一般に、タンパク質の等電点範囲に対応するpH範囲で、最小の水溶性を呈する。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおりに産生されるタンパク質(例えば、CO2炭素源を利用して生産されるタンパク質)の等電点範囲は、pH=6未満のpH、またはpH3~pH6、pH4~pH5、pH4.2~4.5、またはpH約4、またはpH4.2付近またはpH4.5付近の範囲で生じる。特定の実施形態では、酸、これらに限定されないが、リン酸、硫酸、塩酸、酢酸、および/または炭酸/CO2(水性)のうちの1つ以上を利用して、培養ブロスおよび/またはバイオマスおよび/またはバイオマス溶解物の等電点範囲までのpHを低下させる。特定の実施形態では、タンパク質は、pHを等電点範囲まで低下させることによって沈殿され、核酸、砂糖、および/または他の可溶性非タンパク質は、酸が添加された水を溶媒として使用して、抽出され、等電点領域のpHを維持するようになる。特定の実施形態では、回転真空フィルタまたはデカンテーション遠心分離機は、沈殿したタンパク質を含む固体との固液分離のために使用される。
【0120】
特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生された溶解または脱脂微生物バイオマスは、撹拌容器内で酸性化された水と混合する。特定のこのような実施形態では、次に、スラリーが、抽出された固体を抽出物から分離するデキャンタ遠心分離機に供給される。特定のこのような実施形態では、固形物は、デキャンタ遠心分離機から連続的に排出される。特定のこのような実施形態において、排出された固形物は、約10重量%、約20重量%、約30重量%、または約10重量%~約30重量%の乾物含有量を有する。特定のこのような実施形態では、このようにして回収された固形物は、等電性タンパク質濃縮物を生成するために乾燥させる。特定の実施形態では、等電固体ケーキは、水に再懸濁され、酸性度を中和させ、遠心分離の第2のステップでは、中性タンパク質濃縮物のケーキを産生する。特定のこのような実施形態において、タンパク質濃縮物は、乾物ベースで少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%のタンパク質含有量を有する。
【0121】
特定の実施形態では、窒素溶解度指数(NSI)によって示される中和産生物のタンパク質溶解度は、少なくとも約40%、少なくとも50%、少なくとも60%のNSI、または約60%を超えるNSI値である。
【0122】
特定の実施形態では、核酸、砂糖、ミネラルなどの可溶性成分を含む液体抽出物、およびpH6未満、pH3~pH6、pH5未満、pH約4.5、またはpH4~pH5で可溶性であるタンパク質画分は、混合栄養性または従属栄養性の微生物バイオマス産生のために、元のバイオリアクターおよび/または別のバイオリアクターに送り戻される。特定のこのような実施形態では、追加のタンパク性バイオマスが生成される。
【0123】
特定の実施形態では、熱変性および/または水抽出プロセスが、タンパク質濃縮物の産生に使用される。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されたタンパク質は、湿熱を使用する熱変性によって不溶性にされる。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生された微生物バイオマスは、沸騰水または圧力鍋またはオートクレーブ中で加熱させる。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生された微生物バイオマスは、例えば、押出機-調理器を使用して、連続高温-短時間湿性熱処理にかけられる。特定の実施形態では、微生物バイオマスの熱処理は、バイオマスを少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、もしくは少なくとも約140℃の温度、または約100℃~約121℃の温度、または最高150℃の温度にさらす。特定の実施形態では、熱処理の持続時間は、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、もしくは少なくとも約1時間、少なくとも約3時間、少なくとも約5時間、もしくは約24時間であるか、または、持続時間が、約48時間未満、もしくは約72時間未満である。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生された熱処理微生物バイオマスは、核酸、砂糖、および/または他の非タンパク質可溶物を溶解する熱水で抽出される。特定の実施形態では、熱処理およびタンパク質変性後に、大豆および他の植物ベースのタンパク質源からタンパク質濃縮物を産生する科学においてよく知られている固液分離ステップを利用して、固体変性タンパク質を非タンパク質可溶物から分離する。タンパク質を豊富に含む固体をタンパク質枯渇液体から分離するために本発明で使用され得る装置およびプロセスの例としては、これらに限定されないが、回転真空フィルタ、デカンテーション遠心分離機、連続遠心分離機、およびベルトプレスのうちの1つ以上が挙げられる。
【0124】
特定の実施形態では、前述のプロセスの1つ以上、具体的には、溶媒抽出、熱変性、および酸/等電沈殿のうちの1つ以上によって産生されるタンパク質を豊富に含む固体(すなわち、ケーキ)は、押出機を通って進む。特定のこのような実施形態では、押出物は、冷却され、次に粉砕される。
【0125】
特定の実施形態では、前述のプロセスの1つ以上、具体的には、溶媒抽出、熱変性、および酸/等電点沈殿の1つ以上によって、任意によりその後の押し出しによって産生された、タンパク質を豊富に含む固体(すなわち、ケーキ)および/または押出物は、大豆および他の植物ベース源からのタンパク質濃縮物の産生において十分に確立された乾燥プロセスを使用して乾燥させる。特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキは、湿式粉砕されて、微細スラリーになる。次に、特定のこのような実施形態では、スラリーは、噴霧乾燥される。特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、フリーズドライされる。特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、強制循環乾燥機で乾燥させる。特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、約10%以下の水分含有量まで乾燥させる。
【0126】
特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、微粉末に粉砕される。特定のこのような実施形態では、粉砕された製品の少なくとも約97%は、100メッシュの標準スクリーンを通過させる。本発明の他の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、より粗い造粒を伴うグリットの形態に変換される。特定の実施形態では、タンパク質を豊富に含むケーキまたは押出物は、ハンマーミル、ピンミル、インパクトターボミルおよび/または同様の粉砕機のうちの1つ以上を使用して粉末またはグリットに変換される。特定の前記実施形態では、粉砕された産生物の約3%以下が、100メッシュのスクリーンによって保持される。特定の実施形態では、空気分類システムを使用して、粗画分から微細製品を分離する。特定の実施形態では、粗画分は、ミルまたは粉砕機を通って再循環させて戻される。
【0127】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスから生じるタンパク質濃縮物の最終形態は、顆粒状、または小麦粉様にするか、または噴霧乾燥させるか、または食感加工させる。
【0128】
特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されたタンパク質濃縮物は、約1重量%未満の脂質を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されるタンパク質濃縮物は、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、または約1重量%未満の脂質を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されるタンパク質濃縮物の脂質含有量は、約1重量%~約10重量%、または特定の実施形態では、約4.5%~約9%または約5%~約6%まで変動する。
【0129】
特定の実施形態では、植物ベースの油または脂肪は、本明細書に記載のとおり産生されたタンパク質濃縮物と組み合わされ、タンパク質濃縮物と植物油または脂肪配合物の組み合わせた脂質含有量は、約4.5重量%~約9重量%、約5重量%~約6重量%、約9重量%~約15重量%、約15重量%および約20重量%異なる。特定の実施形態では、タンパク質濃縮物および植物油または脂肪の配合物は、約15重量%の総脂質含有量を有する。
【0130】
特定の実施形態では、これらに限定されないが、大豆レシチンまたは卵レシチンなどのレシチンは、本明細書に記載のとおり産生されるタンパク質濃縮物と組み合わされる。特定のこのような実施形態では、レシチンの添加により、タンパク質濃縮物の分散性および乳化特性を高める。特定のこのような実施形態では、タンパク質濃縮物およびレシチンを含む配合物のレシチン含有量は、最大約15重量%変動する。
【0131】
特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生される微生物バイオマスの油および/またはリン脂質含有量は、卵および/またはショートニングタイプの効果を有し、乳化剤として作用し得る。
【0132】
タンパク質濃縮物中の脂質含有量が高いことにより、貯蔵安定性が低下し得ることが知られている。特定の実施形態では、低脂質タンパク質濃縮物は、貯蔵安定性が増大して産生される。
【0133】
特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されるタンパク質濃縮物は、最大約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%のNSIを有し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおり産生されるタンパク質濃縮物は、約10%~約20%、約10%~約30%、約20%~約30%、または約10%~約15%のNSIを有し得る。
【0134】
特定の実施形態では、タンパク質濃縮物の分散性および機能性は、蒸気注入またはジェット調理によって、および/または高剪断均質化によって増大する。
【0135】
タンパク質加水分解物
いくつかの実施形態では、タンパク質産物の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物のタンパク質(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、および/またはタンパク質抽出物)を加水分解することによって生成される。例えば、細胞タンパク質の加水分解は、ペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を産生し得る。
【0136】
微生物タンパク質の加水分解は、酸性、塩基性、および/または酵素的プロセスによって実施することができる。タンパク質を加水分解するための方法は、当技術分野でよく知られている。微生物タンパク質の加水分解方法および加水分解組成物の非限定的な例は、米国仮出願第62/901,169号および同第62/943,754号、およびPCT米国出願第20/50902号に見出すことができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0137】
いくつかの実施形態では、加水分解法は、タンパク質性懸濁液、例えば、微生物バイオマスの懸濁液のpHを上昇または低下させ、それにより、それぞれ、アルカリ性または酸性懸濁液を生成することを含み得る。出発バイオマス懸濁液は、液体中の適切な量のバイオマス、例えば、成長培地中の微生物バイオマスを含み得る。いくつかの実施形態では、バイオマスの量、乾燥重量/反応体積は、少なくとも約.01%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、または少なくとも約3%、または約0.1%~約8%、例えば、約0.2%~約8%、約0.5%~約6%、約1%~約6%、約2%~約6%、約3%~約5%、約4%~約8%、約6%~約8%、約5%~約7%、または約5%~約8%である。
【0138】
いくつかの実施形態では、バイオマス内の微生物細胞は、プロセスの開始時に、例えば、pHを上昇または低下させる前に、溶解が行われ、バイオマスから懸濁液組成物へのタンパク質の回収が容易になる。
【0139】
特定の実施形態では、アルカリ性または酸性懸濁液は、タンパク質加水分解組成物を生成するために、適切な時間、熱にさらされ得る。懸濁液は、濃縮、乾燥(例えば、凍結乾燥)、または液体懸濁液として直接利用することができる。特定の実施形態では、アルカリ性または酸性懸濁液は、例えば、アルカリ性または酸性懸濁液をオートクレーブ処理することによって、熱および高圧にさらされて、タンパク質加水分解組成物を生成する。いくつかの実施形態では、懸濁液は、加熱または熱/圧力処理後にpHを低下または上昇させるために緩衝液で中和される。特定の実施形態では、pHは、プロテアーゼ(例えば、アルカリプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼ)など、加水分解酵素による懸濁液のその後の酵素的処理を可能にするために、pHを十分に低下させる(アルカリ性懸濁液の場合)または上昇させる(酸性懸濁液の場合)。酵素加水分解後、タンパク質加水分解組成物が生成される。他の実施形態では、バイオマス懸濁液は、事前のアルカリまたは酸処理を行わずに、プロテアーゼ(例えば、アルカリプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼ)などのタンパク質分解酵素で加水分解される。
【0140】
特定の実施形態では、タンパク質加水分解物中の加水分解されたタンパク質は、主に懸濁液の可溶性画分中にある。得られた懸濁液は、例えば、遠心分離機によって清澄化して、加水分解されたタンパク質を含む上澄み画分を得ることができる。いくつかの実施形態では、加水分解処理(例えば、アルカリまたは酸加水分解、任意により酵素(例えば、プロテアーゼ)処理または酵素加水分解のみなど)に続いて、懸濁液(加水分解物)を清澄化して、懸濁液中の未溶解物質を除去する、例えば、可溶性画分と不溶性画分の分離を行う。懸濁液は、遠心分離、濾過などの任意の適切な方法を使用して清澄化することができる。いくつかの実施形態では、懸濁液が清澄化された後、例えば、遠心分離された後、上澄みをペレットから分離することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、加水分解されたタンパク質を含む清澄化された液体組成物(例えば、分離された懸濁液の上澄みなどの可溶性画分)は、乾燥、例えば、凍結乾燥されて、乾燥組成物または実質的な乾燥組成物を産生する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥組成物は、約10%以下、例えば、約8%以下、約6%以下、約5%以下、または約3%以下の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥タンパク質加水分解組成物は、約1%~約10%、例えば、約1%~約8%、約1%~約6%、約2%~約5%、約2%~約6%、約3%~約5%、約4%~約8%、約6%~約8%、約5%~約7%、または約5%~約8%の含水量を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、清澄化された液体組成物(例えば、分離された懸濁液の上澄みなどの可溶性画分)は、水分含有量を低下させるために脱水または濃縮される。いくつかの実施形態では、濃縮組成物は、約80%以下、例えば、約75%以下、約50%以下、約40%以下、または約30%以下の含水量を有する。いくつかの実施形態では、前述の含水量範囲のそれぞれは、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%(そのような前述の範囲がそのような下限を超える範囲まで)であり得る。いくつかの実施形態では、脱水製品は、例えば、熱および/または蒸発を使用して、噴霧乾燥;ドラム乾燥;オーブン乾燥;真空乾燥;真空オーブン乾燥;N2などの不活性ガス下での乾燥;および太陽蒸発のうちの1つ以上の方法を使用して、乾燥される。いくつかの実施形態では、清澄化された産物は、例えば、水分の約50%~約65%以上が除去されるように、最初に回転式蒸発器で脱水される。いくつかの実施形態では、さらなる脱水は、例えば、凍結乾燥されたタンパク質加水分解組成物が、約1%~約10%、例えば、約1%~約8%、約1%~約6%、約2%~約5%、約2%~約6%、約3%~約5%、約4%~約8%、約6%~約8%、約5%~約7%、または約5%~約8%の水分含有量を有するように、凍結乾燥によって達成される。
【0143】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物が産生されるタンパク質の少なくとも一部またはすべて(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、および/またはタンパク質抽出物)は、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、DSM531またはDSM541が挙げられる。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解組成物(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、DSM531またはDSM541のタンパク質に由来する。
【0144】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物が産生されるタンパク質(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、および/またはタンパク質抽出物)の少なくとも一部、すべて、または実質的にすべては、乳酸菌、例えば、これらに限定されないが、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス菌に由来する。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解組成物(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、乳酸菌、例えば、これらに限定されないが、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス菌に由来する。いくつかの実施形態では、乳酸菌は、GRAS菌である。
【0145】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物が産生されるタンパク質の少なくとも一部またはすべて(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、および/またはタンパク質抽出物)は、フサリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物、例えば、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、クモノスカビ(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeに由来する。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解組成物(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、フサリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物、例えば、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、クモノスカビ(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeからのタンパク質に由来する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書のタンパク質加水分解物は、典型的には非アレルギー性、例えば、ヒトに対して非アレルギー性であるサイズ範囲のペプチドを含むか、またはそれからなるペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおり食品組成物に組み込まれるタンパク質加水分解物は、ペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、ペプチドは、典型的には非アレルギー性であるサイズ範囲のものである。いくつかの実施形態では、非アレルギー性ペプチドは、約800~約1500Daの平均分子量分布であるサイズ範囲のものである。例えば、本明細書に記載のタンパク質加水分解によって得られるペプチドは、約1500、1400、1300、1200、1100、1000、900、または800Daの平均分子量のいずれよりも小さくてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、塩は、本明細書に記載のとおり食品組成物に加水分解物を組み込む前に、タンパク質加水分解物から除去される(例えば、酸またはアルカリ性塩が加水分解に使用される場合)。例えば、タンパク質加水分解物は、濾過(例えば、限外濾過)または透析によって精製されて、塩および/または他の不純物を除去することができる。
【0148】
微生物
本方法で使用され、本明細書に記載の組成物に組み込まれるタンパク質性材料(本明細書に記載のタンパク質産物)は、1つ以上の微生物に由来する。単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせが由来する微生物は、光合成独立栄養、従属栄養、メタン栄養、メチル栄養、カルボキシド栄養または化学独立栄養生物であり得る。いくつかの実施形態では、微生物は、酸水素微生物を含む。微生物は、野生型であり得るか、または遺伝子改変され得る(例えば、組換え)、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0149】
微生物バイオマスは、1つ以上の適切な微生物の培養物から、例えば、発酵槽またはバイオリアクターで収集することができる。バイオマスは、培養培地から細胞塊を分離するために、遠心分離機などの任意の適切な方法を使用して収集することができる。いくつかの実施形態では、収集されたバイオマスは、タンパク質加水分解組成物を産生するために使用され得る。いくつかの実施形態では、収集されたバイオマスは、噴霧乾燥または凍結乾燥されて乾燥バイオマスを生成し、これは次に、本明細書に記載の食品組成物の産生のための成分として、またはタンパク質加水分解組成物を産生するために使用され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質産物(例えば、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質抽出物、タンパク質含有抽出物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、収集されたバイオマスから産生される。
【0150】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、キュープリアビダス属またはラルストニア属または水素細菌属内の菌株を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、種キュープリアビダス・ネカターまたはキュープリアビダス・メタリデュランスを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541種の菌株を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、種キュープリアビダス・メタリデュランスを含む。いくつかの実施形態では、微生物は、キュープリアビダス・メタリデュランスDSM2839種の菌株を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、キサントバクター属内の菌株を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)種DSM 432の株を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、ロドコッカス(Rhodococcus)またはゴルドニア(Gordonia)微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドコッカス・オパカス(DSM43205)またはロドコッカス種(DSM3346)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus);ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus);ロドバクター・カプスラータス(Rhodopseudomonas capsulata);ハイドロゲノバクター・サーモフィラス(Hydrogenobacter thermophilus);またはロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、バークホルデリア科内の菌株を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物としては、これらに限定されないが、乳酸菌、例えば、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス菌が挙げられる。いくつかの実施形態では、乳酸菌は、GRAS菌である。
【0154】
いくつかの実施形態では、微生物またはそれらのタンパク質産物は、フサリウム、リゾプス、またはアスペルギルス真菌微生物、例えば、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、クモノスカビ(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeが挙げられる。いくつかの実施形態では、真菌微生物は、GRAS微生物である。
【0155】
いくつかの実施形態では、微生物のコンソーシアム(すなわち、一緒に成長した2つ以上の微生物)が、本明細書に記載の方法および組成物におけるタンパク質産物の供給源として使用される。コンソーシアムは、本明細書に記載の微生物種または菌株のいずれかのうちの1つ以上、または本明細書に記載の1つ以上の微生物形質を有する1つ以上の微生物を含み得る。いくつかの実施形態では、コンソーシアムは、本明細書に記載の微生物種または菌株のいずれか2つ以上、または本明細書に記載の1つ以上の微生物形質を有する2つ以上の微生物を含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、総細胞塊の約50重量%以上までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、総細胞塊の約60重量%以上までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、総細胞塊の約70重量%以上までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、総細胞塊の約80重量%以上までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、これらの形質を呈する微生物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター、例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541である。
【0157】
特定の実施形態では、産生されるバイオマス(例えば、微生物細胞)は、大豆よりも高いタンパク質含有量および/または低い脂肪含有量を有する。特定の実施形態では、産生されたバイオマス(例えば、微生物細胞)は、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約70重量%、もしくは約80重量%のいずれかよりも高いタンパク質含有量、約20重量%、約15重量%、約10重量%、または約重量5%のいずれかよりも低い脂肪含有量を有する。例えば、バイオマスは、約40重量%超もしくは少なくとも約40重量%のタンパク質含有量および約20重量%または約20重量%未満の脂肪含有量、または約40重量%超もしくは少なくとも約40重量%のタンパク質含有量および約15重量%未満の脂肪含有量、または約40重量%超もしくは少なくとも約40重量%のタンパク質含有量および約10重量%または約10重量%未満の脂肪含有量、または約40重量%超もしくは少なくとも約40重量%のタンパク質含有量および約5重量%または約5重量%未満の脂肪含有量、または約50重量%超もしくは少なくとも約50重量%のタンパク質含有量および約20重量%または約20重量%未満の脂肪含有量、または約50重量%超もしくは少なくとも約50重量%のタンパク質含有量および約15重量%未満の脂肪含有量、または約50重量%超もしくは少なくとも約50重量%のタンパク質含有量および約10重量%または約10重量%未満の脂肪含有量、または約50重量%超もしくは少なくとも約50重量%のタンパク質含有量および約5重量%または約5重量%未満の脂肪含有量、または約60重量%超もしくは少なくとも約60重量%のタンパク質含有量および約20重量%または約20重量%未満の脂肪含有量、または約60重量%超もしくは少なくとも約60重量%のタンパク質含有量および約15重量%または約15重量%未満の脂肪含有量、約60重量%超もしくは少なくとも約60重量%のタンパク質含有量および約10重量%または約10重量%未満の脂肪含有量、または約60重量%超もしくは少なくとも約60重量%のタンパク質含有量および約5重量%または約5重量%未満の脂肪含有量、または約70重量%以上または少なくとも約70重量%のタンパク質含有量および約20重量%または約20重量%未満の脂肪含有量、または約70重量%超もしくは少なくとも約70重量%のタンパク質含有量および約15重量%未満の脂肪含有量、または約70重量%超もしくは少なくとも約70重量%のタンパク質含有量および約10重量%または約10重量%未満の脂肪含有量、または約70重量%超もしくは少なくとも約70重量%のタンパク質含有量および約5重量%または約5重量%未満の脂肪含有量、または約80重量%超もしくは少なくとも約80重量%のタンパク質含有量および約15重量%または約15重量%未満の脂肪含有量、または約80重量%超もしくは少なくとも約80重量%のタンパク質含有量および約10重量%または約10重量%未満の脂肪含有量、または約80重量%超もしくは少なくとも約80重量%のタンパク質含有量および約5重量%または約5重量%未満の脂肪含有量を有し得る。いくつかの非限定的な実施形態では、これらの形質を呈する微生物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター、例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、H2/CO2および/または合成ガスおよび/または発生炉ガス上で自然に成長できる。いくつかの実施形態では、微生物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)(例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB))を、細胞バイオマスの約50重量%以上まで自然に蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、アセチルCoA代謝中間体を介して高フラックスの炭素を誘導する天然の能力を有し、これは、他のいくつかの合成経路、例えば、PHA、例えば、PHB、合成、および/またはアミノ酸生合成と共に、脂肪酸生合成をもたし得る。いくつかの実施形態では、これらの形質を呈する微生物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター、例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541である。いくつかの実施形態では、微生物は、PHA(例えば、PHB)を産生および/または蓄積しない。
【0159】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)内の菌株を含む。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物は、コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)および/またはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドバクター・カプスラータス(Rhodopseudomonas capsulata)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、またはロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、以下の属のうちの1つ以上を含む:キュープリアビダス、ロドコッカス、ハイドロゲノビブリオ、ロドシュードモナス、ハイドロゲノバクター、ゴルドニア、アルスロバクター、ストレプトマイセス、ロドバクター、および/またはキサントバクター。
【0161】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、放線菌クラスの微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、コリネバクテリウム亜目(コリネバクテリウム、ゴルドニア科、マイコバクテリア科およびノカルディア科)の微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ノカルディア科の微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、以下の分類のうちの1つ以上から誘導された微生物を含む:コリネバクテリウム、ゴルドニア、ロドコッカス、マイコバクテリウム、およびツカムレラ。いくつかの実施形態では、微生物は、以下などのロドコッカス属の微生物、例えば、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus);ロドコッカス・アウランティアクス(Rhodococcus aurantiacus);ロドコッカス・バイコヌレンシス(Rhodococcus baikonurensis);Rhodococcus boritolerans;ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi);ロドコッカス・コプロフィラス(Rhodococcus coprophilus);ロドコッカス・コリネバクテリオイデス(Rhodococcus corynebacterioides);ノカルディア・コリネバクテリオイデス(Nocardia corynebacterioides)(同義語:ノカルディア・コリネバクテリオイデス(Nocardia corynebacterioides);ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis);ロドコッカス・ファシアンス(Rhodococcus fascians);ロドコッカス・グロベルラス(Rhodococcus globerulus);ロドコッカス・ゴルドニアエ(Rhodococcus gordoniae);ロドコッカス・ジョスティイ(Rhodococcus jostii);ロドコッカス・コーリエンシス(Rhodococcus koreensis);ロドコッカス・クロッペンステッティイ(Rhodococcus kroppenstedtii);ロドコッカス・マアンシャネンシス(Rhodococcus maanshanensis);ロドコッカス・マリノナッセンス(Rhodococcus marinonascens);ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus);ロドコッカス・ペルコラータス(Rhodococcus percolatus);ロドコッカス・フェノーリカス(Rhodococcus phenolicus);Rhodococcus polyvorum;ロドコッカス・ピリディニボランス(Rhodococcus pyridinivorans);ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous);ロドコッカス・ロドニイ(Rhodococcus rhodnii);(同義語:ノカルディア・ロドニイ(Nocardia rhodnii);ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)(同義語:ストレプトトリクス・ルブラ(Streptothrix rubra);ロドコッカス属RHA1;ロドコッカス・トリアトマエ(Rhodococcus triatomae);ロドコッカス・ツキサムエンシス(Rhodococcus tukisamuensis);ロドコッカス・ラティスラビエンシス(Rhodococcus wratislaviensis)(同義語:ツカムレラ・ラティスラビエンシス(Tsukamurella wratislaviensis);ロドコッカス・ユンナネンシス(Rhodococcus yunnanensis);またはロドコッカス・ゾフィイ(Rhodococcus zopfii)が挙げられる。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドコッカス・オパカスDSM43205またはDSM43206を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ロドコッカス属DSM3346株を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、H2/CO2および/または合成ガスおよび/または発生炉ガス上で自然に成長することができる微生物(例えば、本明細書に記載の微生物属または種のいずれかの微生物)を含み、細胞バイオマスの少なくとも約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、またはそれ以上のいずれかに脂質を自然に蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、脂肪酸生合成経路に高フラックスの炭素を送る天然の能力を有する微生物(例えば、本明細書に記載の微生物属または種のいずれかの微生物)を含む。いくつかの実施形態では、これらの形質を示す微生物は、ロドコッカス微生物、例えば、ロドコッカス・オパカス(例えば、ロドコッカス・オパカスDSM43205もしくはDSM43206またはDSM44193)、またはキュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター(例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531もしくはDSM541)である。
【0163】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、酸水素株または水素酸化株を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、以下の水素酸化微生物のうちの1つ以上を含む:アクイフェックス・フィロフィルス(Aquifex pyrophilus)、Aquifex aeolicus、他のアクイフェックス属;キュープリアビダス・ネカター(Cupriavidus necator)、キュープリアビダス・メタリデュランス(Cupriavidus metallidurans)、または他のキュープリアビダス属;コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)、または他のコリネバクテリウム属;ゴルドニア・デサルフリカンス(Gordonia desulfuricans)、ゴルドニア・ポリソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)、ゴルドニア・ルブリペルティンクタ(Gordonia rubripertincta)、ゴルドニア・ハイドロフォビカ(Gordonia hydrophobica)、ゴルドニア・ウェストファリカ(Gordonia westfalica)、または他のゴルドニア属;ノカルディア・オートトロフィカ(Nocardia autotrophica)、Nocardia opaca、または他のノカルディア属;紫色非硫黄光栄養細菌、例えば、これらに限定されないが、ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドシュードモナス・カプスラータス(Rhodopseudomonas capsulata)、ロドシュードモナス・ビリディス(Rhodopseudomonas viridis)、ロドシュードモナス・スルフォビリディス(Rhodopseudomonas sulfoviridis)、Rhodopseudomonas blastica、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、ロドシュードモナス・アシドフィラス(Rhodopseudomonas acidophila)、または他のロドシュードモナス属;ロドバクター属;ロドスピリラム・ルブラム(Rhodospirillum rubrum)、または他のロドスピリラム属;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)または他のロドコッカス属;リゾビウム・ジャポニカム(Rhizobium japonicum)または他のリゾビウム属;チオキャプサ・ロゼオペルサイシナ(Thiocapsa roseopersicina)または他のチオキャプサ属;シュードモナス・ファシリス(Pseudomonas facilis)、シュードモナス・フラーバ(Pseudomonas flava)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・ハイドロゲノボランス(Pseudomonas hydrogenovora)、Pseudomonas hydrogenothermophila、シュードモナス・パレロニイ(Pseudomonas palleronii)、シュードモナス・シュードフラバ(Pseudomonas pseudoflava)、シュードモナス・サッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila)、Pseudomonas thermophile、または他のシュードモナス属;Hydrogenomonas pantotropha、Hydrogenomonas eutropha、Hydrogenomonas facilis、または他のHydrogenomonas属; ハイドロゲノバクター・サーモフィラス(Hydrogenobacter thermophiles)、ハイドロゲノバクター・ハロフィルス(Hydrogenobacter halophilus)、ハイドロゲノバクター・ハイドロゲンフィルス(Hydrogenobacter hydrogenophilus)、または他のハイドロゲノバクター属;ハイドロゲンフィルス・アイランディカス(Hydrogenophilus islandicus)、または他のハイドロゲンフィルス属;ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus)、または他のハイドロゲノビブリオ属;ハイドロゲノサーマス・マリナス(Hydrogenothermus marinus)、または他のハイドロゲノサーマス属;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、または他のヘリコバクター属;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)、キサントバクター・フラバス(Xanthobacter flavus)、または他のキサントバクター属;ハイドロゲノファーガ・フラバ(Hydrogenophaga flava)、ハイドロゲノファーガ・パレロニイ(Hydrogenophaga palleronii)、ハイドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)、または他のハイドロゲノファーガ;ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、または他のブラディリゾビウム属;ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、または他のラルストニア属;Alcaligenes eutrophus、アルカリゲネス・ファシリス(Alcaligenes facilis)、アルカリゲネス・ハイドロゲンフィルス(Alcaligenes hydrogenophilus)、Alcaligenes latus、Alcaligenes paradoxus(Alcaligenes paradoxus)、アルカリゲネス・ルランディイ(Alcaligenes ruhlandii)、または他のアルカリゲネス属;Amycolata属;アクアスピリルム・オートトロフィカム(Aquaspirillum autotrophicum)、または他のアクアスピリルム属;アルスロバクター株11/X(Arthrobacter strain 11/X)、アルスロバクター・メチロトロフス(Arthrobacter methylotrophus)、または他のアルスロバクター;アゾスピリルム・リポフェルム(Azospirillum lipoferum)またはアゾスピリルム属;バリオボラックス・パラドクサス(Variovorax paradoxus)または他のバリオボラックス属;アシドボラクス・ファシリス(Acidovorax facilis)、または他のアシドボラクス属;バチルス・シュレゲリイ(Bacillus schlegelii)、バチルス・チュスシアエ(Bacillus tusciae)、他のバチルス属;Calderobacterium hydrogenophilumまたは他のCalderobacterium属;デルキア・グモーサ(Derxia gummosa)または他のデルキア属;Flavobacterium autothermophilumまたは他のフラボバクテリウム属;Microcyclus aquaticusまたは他のMicrocyclus属;マイコバクテリウム・ゴルドニアエ(Mycobacterium gordoniae)、または他のマイコバクテリウム属;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)または他のパラコッカス属;パーセフォネラ・マリナ(Persephonella marina)、パーセフォネラ・グアイマセンシス(Persephonella guaymasensis)、または他のパーセフォネラ属;Renobacter vacuolatumまたは他のRenobacter属;セリベリア・カーボキシドハイドロゲナ(Seliberia carboxydohydrogena)または他のセリベリア属;ストレプトマイセス・コエリコフラバス(Streptomycetes coelicoflavus)、Streptomycetes griseus、ストレプトマイセス・キサントクロモゲネス(Streptomycetes xanthochromogenes)、ストレプトマイセス・サーモカルボキシダス(Streptomycetes thermocarboxydus)、または他のストレプトマイセス属;サーモクリニス・ルバー(Thermocrinis ruber)または他のサーモクリニス;ワウテルシア属;シアノバクテリア、例えば、これらに限定されないが、Anabaena oscillarioides、Anabaena spiroide、Anabaena cylindrica、または他のAnabaena属、および Arthrospira platensis、Arthrospira maxima、または他のArthrospira属;緑藻、例えば、これらに限定されないが、Scenedesmus obliquusまたは他のScenedesmus属;Chlamydomonas reinhardiiまたは他のChlamydomonas属;Ankistrodesmus属;およびRhaphidium polymorphium、または他のRhaphidium属。いくつかの実施形態では、上記の酸水素微生物のいずれかなどの酸水素微生物を含む微生物のコンソーシアムは、本明細書に記載のタンパク質産物を産生するために使用される。
【0164】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、以下の属のうちの1つ以上を含む:キュープリアビダス;キサントバクター;ディエジア;ゴルドニア;マイコバクテリウム;ノカルディア;シュードノカルディア;アルスロバクター;アルカニボラックス;ロドコッカス;ストレプトマイセス;ロドシュードモナス;ロドバクター;およびアシネトバクター;または、これらの微生物属のうちの1つ以上を含む微生物のコンソーシアム。
【0165】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、以下のうちの1つ以上を含む:アルスロバクター・メチロトロフス(Arthrobacter methylotrophus)DSM14008;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44304;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44311;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM431;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM 44236;ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)DSM43338;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44315;キュープリアビダス・メタリデュランス(Cupriavidus metallidurans)DSM2839;キュープリアビダス・ネカター(Cupriavidus necator)DSM531;キュープリアビダス・ネカター(Cupriavidus necator)DSM541;ロドコッカス・アエセリボランス(Rhodococcus aetherivorans)DSM44752;ゴルドニア・デサルフリカンス(Gordonia desulfuricans)DSM44462;ゴルドニア・ポリソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)DSM44266;ゴルドニア・ポリソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)DSM44439;ゴルドニア・ルブリペルティンクタ(Gordonia rubripertincta)DSM46039;ロドコッカス・ペルコラータス(Rhodococcus percolatus)DSM 44240;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM43206;ゴルドニア・ハイドロフォビカ(Gordonia hydrophobica)DSM44015;ロドコッカス・ゾフィイ(Rhodococcus zopfii)DSM44189;ゴルドニア・ウェストファリカ(Gordonia westfalica)DSM44215、キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM1618;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM2267;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM3874;ストレプトマイセス・コエリコフラバス(Streptomycetes coelicoflavus)DSM41471;ストレプトマイセス‐グリセウス(Streptomycetes griseus)DSM40236;ストレプトマイセス種、DSM40434;ストレプトマイセス・キサントクロモゲネス(Streptomycetes xanthochromogenes)DSM40111;ストレプトマイセス・サーモカルボキシダス(Streptomycetes thermocarboxydus)DSM44293;ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)DSM158。いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、これらの微生物株のうちの1つ以上、または本明細書に開示される微生物属または種のいずれかのうちの1つ以上を含む微生物のコンソーシアムを含む。
【0166】
電子供与体および/または炭素源として一酸化炭素上で成長することができる複数の異なる微生物(すなわち、カルボキシド栄養性微生物)を特徴とする。場合によっては、カルボキシド栄養性微生物は、H2を電子供与体として使用する、かつ/または混合栄養的に成長することも可能である。場合によっては、カルボキシド栄養性微生物は、通性化学合成独立栄養菌である[Biology of the Prokaryotes,edited by J Lengeler,G.Drews,H.Schlegel,John Wiley&Sons,Jul 10,2009、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる]。いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、以下のカルボキシド栄養性微生物のうちの1つ以上を含む:アシネトバクター属;アルカリゲネス・カルボキシダスまたは他のアルカリゲネス属;アルスロバクター属;アゾモナス属;アゾトバクター属;バチルス・シュレゲリイ(Bacillus schlegeli)または他のバチルス属;ハイドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)または他のハイドロゲノファーガ属;シュードモナス・カーボキシドハイドロゲナ(Pseudomonas carboxydohydrogena)、シュードモナス・カルボキシドボランス(Pseudomonas carboxydovorans)、シュードモナス・コンプランソリス、Pseudomonas gazotropha、シュードモナス・サーモカルボキシドボランス(Pseudomonas thermocarboxydovorans)、または他のシュードモナス属;リゾビウム・ジャポニカム(Rhizobium japonicum)または他のリゾビウム属;およびストレプトマイセスG26、ストレプトマイセス・サーモオートトロフィカス(Streptomyces thermoautotrophicus)、および他のストレプトマイセス属。いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、上記のカルボキシド栄養性微生物のうちの1つ以上などのカルボキシド栄養性微生物を含む微生物のコンソーシアムを含む。特定の実施形態では、化学合成独立栄養が可能なカルボキシド栄養性微生物が使用される。特定の実施形態では、呼吸および/または生合成において電子供与体としてH2を利用することができるカルボキシド栄養性微生物が使用される。
【0167】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、以下のうちの1つ以上などの、義務的および/または通性化学合成独立栄養性微生物を含む:アセトアナエロビウム属;アセトバクテリウム属;マセトゲニウム属;アクロモバクター属;アシディアヌス属;アシネトバクター属;アクチノマジュラ属;アエロモナス属;アルカリゲネス属;Alcaliqenes属;アクアスピリルム属;アルコバクター属;オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属;バチルス属;ベギアトア属;ブチリバクテリウム(Butyribacterium)属;カーボキシドサーマス属;クロストリジウム属;コマモナス属;キュープリアビダス属;デハロバクター属;Dehalococcoide属;Dehalospirillum属;デスルホバクテリウム属;デスルホモニレ属;デスルホトマクルム属;デスルホビブリオ属;デスルフォサルシナ属;エクトチオロドスピラ属;エンテロバクター属;ユウバクテリウム属;フェロプラズマ属;Halothibacillus属;水素細菌属;Hydrogenomonas属;レプトスピリラム属;メタロスファエラ属;メタバクテリウム属;メタノブレビバクター属;メタノコッカス属;メタノコッコイデス属;メタノゲニウム属;メタノロブス属;メタノミクロビウム属;メタノプラナス属;メタノサルシナ属;メタノスピリラム属;メタノサーマス属;メタノトリックス属;ミクロコッカス属;ニトロバクター属;ニトロバクテリア属;ニトロコッカス属;ニトロソコッカス属;ニトロスピナ属;ニトロスピラ属;Nitrosolobus属;ニトロソモナス属;ニトロソスピラ属;Nitrosovibrio属;ニトロスピナ属;オレオモナス属;パラコッカス属;ペプトストレプトコッカス属;プランクトミセス属;シュードモナス属;ラルストニア属;ロドバクター属;ロドコッカス属;ロドシクラス属;ロドミクロビウム属;ロドシュードモナス属;ロドスピリラム属;シューワネラ属;Siderococcus属;ストレプトマイセス属;スルホバチルス属;スルホロブス属;サーモトリックス属;チオバチルス属;チオミクロスピラ属;チオプロカ属;チオスフェラ属;チオトリックス属;チオバラム属;硫黄酸化剤;水素酸化剤;イオン酸化剤;酢酸産生属;およびメタン産生;化学独立栄養体を含む微生物のコンソーシアム;熱水噴出孔、地熱噴出孔、熱水泉、冷水湧出帯、地下帯水層、塩湖、塩水層、および土壌の少なくとも1つに固有の化学合成独立栄養体;ならびに好熱菌、超好熱菌、好酸菌、好塩菌および好冷菌のうちの1つ以上から選択される極限環境微生物。いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、上記の化学合成独立栄養性微生物のうちの1つ以上などの化学合成独立栄養性微生物を含む微生物のコンソーシアムを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、例えば、温度、放射線、圧力、重力、真空、乾燥、塩分濃度、pH、酸素張力、および/または化学物質などの様々な環境パラメータの極限に耐えることができる極限菌を含む。このような微生物としては、超好熱菌、例えば、ピロロブス・フマリイ(Pyrolobus fumarii);好熱菌、例えば、Synechococcus lividis;中温菌および好冷菌、例えば、サイクロバクターおよび/または高度好熱性硫黄代謝菌、例えば、サーモプロテウス属、ピロディクチウム属、スルホロブス属、およびアシディアヌス属;放射線耐性生物、例えば、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans);耐圧微生物(pressure tolerant microorganisms)、例えば、piezophilesまたはbarophiles;乾燥剤耐性無水生物、例えば、xerophiles、例えば、アルテミア・サリナ(Artemia salina);微生物および真菌類;塩耐性微生物、例えば、好塩菌、例えば、好塩性古細菌およびドナリエラ・サリナ;pH耐性微生物、例えば、好アルカリ微生物、例えば、ナトロノバクテリウム、バチルス・ファーマスOF4、スピルリナ属、および好酸菌、例えば、Cyanidium caldariumおよびフェロプラズマ属;ガス耐性微生物、例えば、純CO2への耐性、例えば、Cyanidium caldarium;および金属耐性微生物(金属耐性)、例えば、Ferroplasma acidarmanusおよびラルストニア属が挙げられる。
【0169】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物としては、真核生物植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紫色硫黄細菌、紫色非硫黄細菌、極限菌、酵母、真菌、プロテオバクテリアから選択される細胞株、その操作された有機体、および合成有機体が挙げられる。特定の実施形態では、スピルリナが利用される。
【0170】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、これらに限定されないが、以下の属など、緑色非硫黄細菌を含む:クロロフレクス、クロロネマ、オシロクロリス、ヘリオトリックス、ヘルペトシフォン、ロゼイフレクサス、およびサーモミクロビウム。
【0171】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、これらに限定されないが、以下の属など、緑色硫黄細菌を含む:クロロビウム、クラチロクロリス(Clathrochloris)、およびプロステコクロリス(Prosthecochloris)。
【0172】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、これらに限定されないが、以下の属など、紫色硫黄細菌を含む:アロクロマチウム、クロマチウム、ハロクロマチウム、イソクロマチウム、マリクロマチウム、ロドブラム、サーモクロマチウム、チオキャプサ、チオロドコッカス、およびチオシスティス。
【0173】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、これらに限定されないが、以下の属など、紫色非硫黄細菌を含む:ファエオスピリルム、ロドバカ、ロドバクター、ロドミクロビウム、ロドピラ、ロドシュードモナス、ロドタラシウム、ロドスピリラム、Rodovibrio、およびロゼオスピラ。
【0174】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、メタン栄養性および/またはメチル栄養性を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、メチロコッカス属に属する。いくつかの実施形態では、微生物は、メチロコッカス・カプスラタスである。いくつかの実施形態では、微生物は、メチル栄養性である。いくつかの実施形態では、微生物は、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属に属する。いくつかの実施形態では、微生物は、以下の種のうちの1つ以上を含む:メチロバクテリウム・ザトマニイ(Methylobacterium zatmanii);メチロバクテリウム・エクストルケンス(Methylobacterium extorquens);メチロバクテリウム・クロロメタニカム(Methylobacteriumchloromethanicum)。
【0175】
いくつかの実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、水素酸化化学独立栄養菌および/またはカルボキシド栄養性および/またはメチル栄養性および/またはメタン栄養性である。
【0176】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、例えば、これらに限定されないが砂糖、例えば、これらに限定されないが、グルコースおよび/またはフルクトース、および/またはスクロースなど、炭素源として多炭素有機分子を利用して、従属栄養的に成長することができる微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、唯一の電子供与体(複数可)および炭素源(複数可)として、未処理の粗グリセロールおよび/またはグルコースおよび/またはメタノールおよび/または酢酸塩上で成長することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、混合栄養成長が可能であり、例えば、有機炭素源および無機エネルギー源(例えば、無機電子供与体)上で混合栄養的に成長することができる。
【0177】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物としては、真核生物植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紫色硫黄細菌、紫色非硫黄細菌、極限菌、古細菌、酵母、真菌、プロテオバクテリア、その操作された有機体、および合成有機体のうちの1つ以上が挙げられる。
【0178】
いくつかの実施形態では、微生物は、グラム陽性菌を含むか、またはそれからなる。他の実施形態では、微生物は、グラム陰性菌を含むか、またはそれからなる。
【0179】
特定の実施形態では、微生物またはそのタンパク質産物は、天然に存在するおよび/または非遺伝子改変(非GMO)微生物を含み、かつ/または非病原性であり、かつ/または周囲の環境には存在しないバイオプロセスによって提供される特定の環境条件で成長する。
【0180】
特定の実施形態では、微生物または微生物のコンソーシアムは、環境サンプルから単離され、微生物学の分野において知られている方法、例えば、これらに限定されないが、以下のうちの1つ以上など、標的化された電子供与体の存在下での成長を使用して、望ましい微生物で濃縮される:これらに限定されないが、H2、CO、合成ガスおよび/もしくはメタン、ならびに/またはO2、硝酸塩、第二鉄、および/もしくはCO2のうちの1つ以上などの電子受容体、ならびに/または環境条件(例えば、温度、pH、圧力、溶存酸素(DO)、塩分濃度、様々な不純物および汚染物質の存在など)。
【0181】
特定の実施形態では、微生物または微生物のコンソーシアムは、プロバイオティクス微生物を含む。特定の実施形態では、微生物または微生物のコンソーシアムは、「一般に安全と認められる」(GRAS)微生物、例えば、細菌および/または真菌のGRAS微生物を含む。特定の実施形態では、微生物または微生物のコンソーシアムは、酵母、これらに限定されないが、以下のうちの1つ以上を含む:カンジダ・フミリス(Candida humilis);カンジダ・ミレリ(Candida milleri);Debaryomyces hansenii;Kazachstania exigua(Saccharomyces exiguous);サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae);Saccharomyces florentinus;Torulaspora delbrueckii;Trichosporon beigelli、および/またはこれらに限定されないが、以下の1つ以上などの真菌:アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae);Aspergillus sojae;フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)A3/5(Fusarium venenatum A3/5);Neurospora intermedia var. oncomensis;Rhizopus oligosporus;リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae);Aspergillus luchuensis;および/またはこれらに限定されないが、以下の1つ以上などの細菌:バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens);バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis);ビフィドバクテリウム・アニマーリス(ラクティス)(Bifidobacterium animalis (lactis));ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum);ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve);ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum);ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus);ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis);ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei);ラクトバチルス・デルブレッキイ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus);ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum);ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus);ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(Lactobacillus kefiranofaciens);ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis);ラクトバチルス・パラプランタラム(Lactobacillus plantarum);ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus);ラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri);ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei);ラクトバチルス・サンフランシセンシス(Lactobacillus sanfranciscensis);ラクトコッカス・ラクティス(ストレプトコッカス・ラクティス、(Lactococcus lactis (Streptococcus lactis,ストレプトコッカス・ラクティス亜種ジアセチラクティス)Streptococcus lactis subsp.Diacetylactis);ロイコノストック(Leuconostoc);ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum);ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris);ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides);ペディオコッカス(Pediococcus);プロピオニバクテリウム・フリューデンレイッヒイ(Propionibacterium freudenreichii);アルスロスピラ(スピルリナ)プラテンシス(Arthrospira (Spirulina) platensis);ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis);ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilusが挙げられる。
【0182】
タンパク質産物が由来するタンパク質を含むバイオマスは、異なる種の微生物のコンソーシアムによって産生され得る。コンソーシアムには、任意により、多細胞生物を含め得る。いくつかの実施形態では、コンソーシアムは、酸水素微生物、カルボキシド栄養性;メタン栄養;メチル栄養;化学独立栄養;光合成独立栄養;および従属栄養生物のうちの1つ以上を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、タンパク質産物はまた、タンパク質産物が由来する微生物によって産生される1つ以上のビタミンを含む。いくつかの非限定的な実施形態では、これらの形質を呈する微生物は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター(例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541)である。いくつかの非限定的な実施形態では、ビタミンは、これらに限定されないが、ビタミンB1、B2、および/またはB12などのビタミンB群である。非限定的な例では、ビタミンB(例えば、B1、B2、および/またはB12)は、キュープリアビダス微生物、例えば、キュープリアビダス・ネカター(例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはキュープリアビダス・ネカターDSM541)によって産生され得る。
【0184】
微生物培養
微生物を培養するために、任意の適切な方法を使用することができる。微生物は、バイオマスの成長および産生に適した環境において、任意の適切な条件下で成長させることができる。いくつかの実施形態では、微生物は、独立栄養培養条件、従属栄養培養条件、または独立栄養培養条件と従属栄養培養条件との組み合わせにおいて成長され得る。従属栄養培養物は、1つ以上の砂糖(例えば、グルコース、フルクトース、スクロースなど)などの適切な炭素およびエネルギー源を含み得る。独立栄養培養には、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、メタノール、ギ酸塩、および/またはギ酸などのC1化学物質、および/またはこれらに限定されないが、様々な合成ガス組成物または低価値炭素源のガス化、部分酸化、熱分解、または水蒸気改質を介して、例えば、低価値の炭素源およびエネルギー源から生成される様々な発生炉ガス組成物などのC1化学物質を含む混合物が含まれ得る。低価値の炭素源およびエネルギー源としては、例えば、これらに限定されないが、リグノセルロースエネルギー作物、作物残留物、バガス、のこぎり粉、林業残留物、または食物などが挙げられる。これらは、酸水素微生物または水素酸化微生物または一酸化炭素酸化微生物によって、酸素源およびエネルギー源として使用され得る。微生物を培養し、本発明の方法で使用するためのバイオマスを生成するための適切な方法および装置は、例えば、PCT出願米国特許第2010/001402号、米国特許第2011/034218号、米国特許第2013/032362号、米国特許第2014/029916号、米国特許第2017/023110号、米国特許第2018/016779号、および米国特許第9,157,058号に記載され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、生物は、バイオリアクター、水栽培システム、温室、または耕作地で光合成により成長させることができ、あるいは廃棄物または自然源から収集することができる。
【0185】
本明細書に記載の微生物細胞を成長させるために使用される液体培養物は、当技術分野において知られ使用されている培養容器に収容することができる。いくつかの実施形態では、バイオリアクター容器での大規模生産を用いて、大量の所望の分子および/またはバイオマスを産生することができる。
【0186】
特定の実施形態では、バイオリアクター容器は、培養環境を封じ込め、単離し、かつ/または保護するために使用される。培養容器には、大規模微生物培養の当業者に知られているものが含まれる。このような培養容器としては、これらに限定されないが、エアリフトリアクター;生物学的スクラバーカラム;バブルカラム;撹拌槽型リアクター;連続撹拌槽型リアクター;向流、上昇流、拡張床リアクター;消化槽、特に、消化槽システム、例えば、バイオレメディエーションの分野で知られているもの;フィルタ、例えば、これらに限定されないが、トリクルフィルタ、回転式生物学的接触フィルタ、回転ディスク、土壌フィルタ;流動床リアクター;ガスリフト発酵槽;固定化セルリアクター;ループリアクター;膜バイオフィルムリアクター;充填層型リアクター;充填層リアクター;栓流リアクター;静的ミキサー;トリクルベッドリアクター;および/または垂直シャフトバイオリアクターのうちの1つ以上が挙げられる。
【0187】
例えば、本明細書に記載のタンパク質産物、具体的には、単一細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質抽出物、タンパク質含有抽出物、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせ、および/または他の栄養素、これらに限定されないが、ビタミン(例えば、ビタミンB、例えば、B1、B2、および/またはB12)などのバイオマスおよび/または有機化合物の商業的産生を目的とした微生物培養は、大規模(例えば、500L、1,000L、5,000L、10,000L、50,000L、100,000L、1,000,000L以上のバイオリアクター容量)でのバイオリアクター内で実施され得る。
【0188】
特定の実施形態では、化学独立栄養性および/または従属栄養性および/またはカルボキシド栄養性および/またはメタン栄養性および/またはメチル栄養性微生物は、本明細書に記載の方法を使用して、バイオリアクター内の液体培地中で成長させる。
【0189】
いくつかの実施形態では、微生物を含むバイオリアクターは、培養物をほぼまたは完全な暗所で維持する不透明材料で構成される。鋼および/または他の金属合金および/または鉄筋コンクリートおよび/またはガラス繊維および/または様々な高強度プラスチック材料などの不透明な材料で構築されたバイオリアクターは、大きな作業量を有するように設計され得る。いくつかの実施形態では、体積が50,000リットル以上である鋼または他の金属合金で構築された発酵槽が利用される。いくつかの実施形態では、周囲圧力を超える上部空間正圧を含むことができるバイオリアクターが利用される。いくつかの実施形態では、卵形または円筒形の消化槽または3,000,000リットル以上の容量の垂直シャフトバイオリアクターが利用される。いくつかの実施形態では、微生物を含むバイオリアクターでは、光が、その含まれる液体体積の一部または大部分またはすべてを通過することはできない。特定の非限定的な実施形態では、CO2固定ステップで使用される微生物は、光合成ではない。特定の非限定的な実施形態では、バイオリアクターの設計では、光合成で一般的に必要とされるように、培養物を薄層に限定しないか、またはすべての部分に利用可能な光を有するように透明な壁を有する。いくつかの実施形態では、微生物は、有意なまたはいかなる光への曝露もなく、培養される。特定のそのような実施形態では、正味のCO2消費は、化学合成独立栄養代謝および状態のために、光がない場合でも依然として発生する。特定の実施形態では、電気を人工光に変換することは、CO2の捕捉および変換のための生物学的系において必要とされない。
【0190】
特定の実施形態では、光依存性でないことにより、いかなる人工照明も必要とすることなく、すべての気象条件において、昼夜を問わず、一年中、継続的なCO2の捕捉操作が容易になる。
【0191】
いくつかの実施形態では、微生物は、光の非存在下で、これらに限定されないが、合成ガス、発生炉ガス、またはH2およびCO2を含むガス混合物など、ガス状炭素源を含む培地中で成長し、維持される。このような成長は、化学合成独立栄養成長として知られている。
【0192】
いくつかの実施形態では、例えば、有機物のガス化から生成された合成ガスは、化学合成独立栄養成長のために微生物によって利用される。有機物は、例えば、農業資源(例えば、コーンストーバー、バガス)からのものであり得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、食品グレードのCO2および/または直接空気回収装置を通過する空気は、化学合成独立栄養成長のために微生物によって利用される。直接空気回収の非限定的な例は、米国出願公開第2017/0106330号、およびKeith,D.,et al.(2018)Joule 2(8):1573-1594に見い出すことができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CO2は工業的供給源から提供され、任意によりガス分離手順を介して濃縮され得、それにより高濃度の食品グレードのCO2がもたらされる。
【0194】
特定の実施形態では、システム容量の増加は、水平方向へ拡大するのみでなく、垂直方向への拡大によって満たされる。これは、CO2の捕捉に藻類、シアノバクテリア、または高等植物を使用する光合成アプローチとは対照的である。光合成システムには様々な垂直農法スキームが提案されているが、実際的かつ経済的に言えば、光合成システムは、例えば、藻類の場合、浅い池またはフォトバイオリアクターなどで水平方向に拡大させる必要がある。その結果、地理的フットプリントが大きくなり、環境に多くの悪影響を及ぼす。
【0195】
人工照明で成長させた藻類または高等植物系は、光エネルギーの非効率的な利用、および電気エネルギーの光エネルギーへの非効率的な変換が問題となっている。特定の実施形態では、人工照明下で成長させた同等の藻類または高等植物培養物では、CO2捕捉および/またはバイオマス産生に関して、本明細書に記載のCO2捕捉および/またはバイオマス産生系よりも多くの電力を必要とする。特定の実施形態では、人工照明下で成長させた同等の藻類または高等植物培養物は、単位CO2捕捉および/またはバイオマス産生あたりの電力に関して、本明細書に記載のCO2捕捉および/またはバイオマス産生系よりも少なくとも10倍多くの電力を必要とする。人工照明で成長させた藻類または高等植物の場合、熱除去要件は、電気入力にほぼ正比例する。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、熱除去要件は、人工照明で成長させた場合のCO2捕捉および/またはバイオマス産生に関して、同等の藻類または高等植物系よりも低い。特定の実施形態では、熱除去要件は、人工照明で成長させた場合のCO2捕捉および/またはバイオマス産生に関して、同等の藻類または高等植物系よりも少なくとも10倍低い。
【0196】
例示的であるが非限定的な実施形態では、栄養培地を含むバイオリアクターに産生細胞を接種する。一般的に、細胞が倍加し始める前に遅滞期が続く。遅滞期後、細胞倍加時間は短縮し、培養は、対数期に入る。最終的に、対数期後に倍加時間が増長し、これは、理論によって制限されることを意図するものではないが、物質移動の制限、窒素もしくは鉱物源などの栄養素の枯渇、または阻害化学物質濃度の上昇、または微生物によるクオラムセンシングのいずれかが原因であると考えられている。培養が定常期に入ると、成長は遅くなり、その後停止する。特定の実施形態では、定常期に先行する換算成長期が存在する。細胞塊を採取するために、特定の実施形態における培養物は、対数期および/または算術期および/または定常期に採取される。
【0197】
バイオリアクターまたは発酵槽は、生理学的サイクルの様々な段階を介して細胞を培養するために使用される。バイオリアクターは、細胞の培養に利用され、細胞の成長曲線の特定の段階で維持され得る。バイオリアクターの使用は、化学合成独立栄養成長を培養するために多くの点で有利である。特定の実施形態では、タンパク質またはタンパク質加水分解物を生成するために使用されるタンパク質を豊富に含む細胞塊は、液体懸濁液中で高密度になるまで成長させる。一般に、溶存二酸化炭素、酸素、および水素などの他のガス、ならびに他の溶存栄養素、微量元素、温度およびpHの制御など、成長条件の制御が、バイオリアクター内で容易になる。特定の実施形態では、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、加水分解物、抽出物、または全細胞産物を産生するために使用されるタンパク質を豊富に含む細胞塊は、バイオリアクター内の液体懸濁液中で高密度になるまで成長させ、かつ/または高生産性で成長させる。
【0198】
栄養培地、およびガスは、バッチ添加として、または定期的に、または検出された枯渇またはプログラムされた設定値に応答して、または培養物が成長し、かつ/または維持される期間にわたって継続的にバイオリアクターに添加することができる。特定の実施形態では、接種時のバイオリアクターは、成長の開始時に栄養培地および/または1種以上のガスの開始バッチで満たされ、接種後に追加の栄養培地および/または1種以上のガスは添加されない。特定の実施形態では、栄養培地および/または1種以上のガスが、接種後に定期的に添加される。特定の実施形態では、栄養培地および/または1種以上のガスは、検出された栄養素および/またはガスの枯渇に応答して、接種後に添加される。特定の実施形態では、栄養培地および/または1種以上のガスが、接種後に継続的に添加される。
【0199】
特定の実施形態では、添加された栄養培地は、いかなる有機化合物も含まない。
【0200】
特定の実施形態では、少量の微生物細胞(すなわち、接種物)が、設定された量の培養培地に添加される。次に、培養物をインキュベートし、細胞塊は、成長の遅滞期、指数関数期、減速期、および定常期を通過する。
【0201】
バッチ培養系では、微生物が培養される条件(例えば、栄養素濃度、pHなど)では、一般に、全成長期間を通じて、継続的に変化する。特定の非限定的な実施形態では、バッチ培養に固有の変動条件を回避するため、および培養系の全体的な生産性を改善するために、タンパク質および/またはビタミンおよび/または他の栄養素の産生に使用される微生物は、ケモスタットと呼ばれる連続培養系内で成長する。そのような系では、培養物は、培養物の体積[V]を一定に維持するのと同時に、一定の速度[F]で新鮮培地を供給することにより、永続的な指数成長期に維持させ得る。特定の実施形態では、連続培養系は、ほぼ一定のままである環境条件下で確実に細胞を培養させる。特定の実施形態では、細胞は、ケモスタット系を使用することにより、永続的な指数期に維持される。場合によっては、培養物は、定常状態に維持され、バイオリアクター内にほぼ一定量の現存バイオマスが長期間維持される。このような場合、培養物の希釈率(D)は、微生物の成長率に等しく、次式で得られる:D=F/V。連続培養における微生物の成長速度は、希釈率を変更することによって変化させ得る。特定の実施形態では、微生物の成長速度は、希釈率を変更することによって変化させる。特定の非限定的な実施形態では、細胞は、希釈率約0.2h-1でケモスタット内で成長する。
【0202】
特定の実施形態では、連続バイオリアクターはタービドスタットとして維持され、一定量の現存バイオマスが、長期にわたってバイオリアクター内に維持され、バイオリアクター内の一定量の現存バイオマスを維持するために必要な量を超えて産生されるすべての余剰バイオマスが、バイオリアクターから継続的に回収される。
【0203】
特定の実施形態では、バイオリアクターへの培養物の接種は、これらに限定されないが、別のバイオリアクターで生育する既存の培養物からの培養物の移入、またはインキュベーターで育てられた種子ストックからのインキュベーションなどの方法によって行われる。特定の実施形態では、菌株の種子ストックは、これらに限定されないが、粉末、液体、凍結、またはフリーズドライ形態、ならびに任意の他の適切な形態などの形態で輸送および貯蔵され得、これは、当業者によって容易に認識され得る。特定の非限定的な実施形態では、予備細菌培養物は、再開を必要とするまで、代謝的に不活性なフリーズドライ状態に維持される。特定の実施形態では、非常に大きいリアクター内で培養物を確立する場合、培養物は、フルスケール容器に接種する前に、次第に大きい中規模の容器内で成長させ、確立させる。
【0204】
特定の実施形態では、バイオリアクターは、これらに限定されないが、以下のうちの1つ以上など、栄養培地の混合を可能にする機序を有する:撹拌棒、ブレード、インペラー、またはタービンの回転;容器の回転(spinning)、揺れ、または回転(turning);ガスリフト、スパージング;再循環導管を介して容器の底部から上部へのブロスの再循環、ループおよび/または静的ミキサーを介してブロスを流すこと。培地は、連続的または断続的に混合することができる。
【0205】
特定の実施形態では、微生物含有栄養培地は、部分的または完全に、定期的または継続的にバイオリアクターから除去され得、特定の実施形態では、細胞培養を指数成長期に維持するために、および/または別の標的成長段階(例えば、算術成長)、および/または成長培地中の枯渇した栄養素を補充するため、および/または阻害性老廃物を除去するために、新鮮な無細胞培地に交換する。
【0206】
バイオリアクターで標準的なポートを利用して、微生物を封入するバイオリアクター容器に、および/またはバイオリアクター容器から、ガス、液体、固体、および/またはスラリーを送達または回収することができる。多くのバイオリアクターは、様々な目的(例えば、培地添加、ガス添加、pHおよびDOのプローブ、およびサンプリング用のポート)用の複数のポートを備え、特定のポートは、発酵を実施する過程で様々な目的に使用され得る。一例として、ポートは、ある時点でバイオリアクターに栄養培地を添加するために使用され、別の時点でサンプリングに使用されてもよい。好ましくは、サンプリングポートの複数の使用は、汚染または侵入種を成長環境に導入することなく実施できる。サンプリングポートには、サンプルフローの制御または連続サンプリングを可能にするバルブまたは他のアクチュエータを設けることができる。特定の実施形態では、バイオリアクターは、培地またはガスの添加など、他の用途にさらに役立ち得る培養接種に適した少なくとも1つのポートを備える。バイオリアクターポートでは、培養環境へのガス組成物および流量の制御が可能になる。例えば、ポートは、ガスが圧送されるバイオリアクターへのガス入口として使用できる。
【0207】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターに圧送され得るガスとしては、これらに限定されないが、合成ガス、発生炉ガス、水素ガス、CO、CO2、O2、空気、空気/CO2混合物、天然ガス、メタン、アンモニア、窒素、アルゴンなどの希ガス、および他のガスのうちの1つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、系に圧送されるCO2は、これらに限定されないが、有機物のガス化からのCO2;生石灰CaOを生成するための石灰石CaCO3のか焼からのCO2;アンモニア、メタノール、または水素産生からのCO2副産物など、メタン水蒸気改質からのCO2;燃焼、焼却、またはフレアリングからのCO2;砂糖の嫌気性または好気性発酵のCO2副産物;メタン栄養性バイオプロセスのCO2副産物;地質学的または地熱的に生成されたまたは放出されたCO2;酸性ガスまたは天然ガスから除去されたCO2などの供給源に由来し得る。特定の非限定的な実施形態では、CO2は、工業用煙道ガスから除去されているか、さもなければ自然に大気中に放出されるであろう地質学的供給源から遮断されている。特定の実施形態では、炭素源は、海水または他の地表水または地下水に溶解したCO2および/または重炭酸塩および/または炭酸塩である。特定のこのような実施形態では、無機炭素は、液体水に溶解されて、かつ/または固体として、バイオリアクターに導入され得る。特定の実施形態では、炭素源は、大気から捕捉されたCO2である。特定の非限定的な実施形態では、CO2は、これらに限定されないが、CO2除去アセンブリ(CDRA)などの機器を使用して、閉ループ生命維持システムの一部として、閉キャビンから捕捉される。これは、例えば、International Space Station(ISS)で、利用されている。
【0208】
特定の非限定的な実施形態では、これらに限定されないが、高濃度のエネルギー源(例えば、H2、H2S、COガス)および/または炭素源(例えば、CO2、HCO3
-、CO3
2-))、および/または他の溶解ミネラルを放出する地熱孔および/または熱水孔などの地質学的特徴は、本明細書の微生物の栄養源として利用することができる。
【0209】
特定の実施形態では、二酸化炭素に加えて、または代替炭素源として二酸化炭素の代わりに、1種以上のガスが、溶液に溶解されて培養ブロスに供給され、かつ/または培養ブロスに直接溶解される。これらとしては、限定されないが、ガス状電子供与体および/または炭素源(例えば、水素および/またはCOおよび/またはメタンガス)が挙げられる。特定の実施形態では、入力ガスは、他の電子供与体および/または電子受容体および/または炭素源および/または他のガス成分および合成ガス(例えば、炭化水素);アンモニア;硫化水素;および/または他のサワーガス;および/またはO2;および/または鉱物含有粒子状物質および灰の不純物などのミネラル栄養素を含み得る。
【0210】
特定の実施形態では、1種以上のガスが培養ブロスに溶解され、これには、ガス状電子供与体、例えば、これらに限定されないが、水素、一酸化炭素、メタン、硫化水素または他のサワーガスの1つ以上;ガス状炭素源、例えば、これらに限定されないが、CO2、CO、CH4のうちの1つ以上;および電子受容体、例えば、これらに限定されないが、空気中(例えば、酸素20.9%)または純粋なO2として、またはO2を豊富に含むガスとしての酸素などが挙げられる。いくつかの実施形態では、これらおよび他のガスの溶液への溶解は、ガスを溶液に分散させるための広く使用されているシステム(散布装置;これらに限定されないが、ドーム、管状、ディスク、またはドーナツ形状を備えるディフューザー;粗気泡または微細気泡曝気装置;ベンチュリ装置)のうちの1つ以上に供給する、発酵工学の当業者に知られている圧縮機、流量計、およびフローバルブのシステムを使用して達成される。特定の実施形態では、表面曝気および/またはガス物質移動はまた、パドル式曝気装置などを使用して実施され得る。特定の実施形態では、ガス溶解は、インペラーまたはタービンとの機械的混合、ならびに気泡サイズを減少させるための流体剪断デバイスによって向上される。ガスを取り込む微生物を保持するリアクターシステムを通過した後、特定の実施形態では、残留ガスは、バイオリアクターに再循環されて戻されるか、プロセス熱のために燃焼されるか、フレアリングされるか、地下に注入されるか、または大気中に放出され得る。電子供与体としてH2を利用する本明細書の特定の実施形態では、H2は、培養培地を通してそれをバブリングすることによって、または液体培養培地と接する当技術分野において公知である水素透過性-水不透過性膜を通してそれを拡散することによって、培養容器に供給され得る。
【0211】
特定の実施形態では、微生物は、微好気性条件下で、H2およびCO2ならびに他の溶存栄養素上で成長し、増殖する。特定の実施形態では、一酸化炭素、メタン、メタノール、ギ酸塩、またはギ酸などのC1化学物質、および/またはこれらに限定されないが、様々なガス化、熱分解、もしくは水蒸気改質された固定炭素原料から生成される様々な合成ガス組成物などのC1化学物質を含む混合物は、以下の条件:好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、および/または通性条件のうちの1つ以上において、生化学的に長鎖有機化学物質(すなわち、C2以上、およびいくつかの実施形態では、C5以上の炭素鎖分子)に変換される。
【0212】
いくつかの実施形態の培養ブロスにおいて、制御された量の酸素を維持することもでき、特定の実施形態では、酸素は、培養ブロスに供給される溶液に能動的に溶解され、かつ/または培養ブロスに直接溶解される。目標のDOレベルを維持するために培養ブロスに空気または酸素を圧送することを必要とする特定の好気性または微好気性の実施形態では、混合および酸素移動に最適な直径で、酸素気泡をブロスに注入することができる。いくつかの実施形態では、H2およびO2ガス基質(電子供与体および受容体)、および任意によりCO2および/またはCOなどのC1ガス状炭素源の使用など、酸水素微生物の成長に適した条件が展開される。
【0213】
いくつかの実施形態では、微生物は、これらに限定されないが、合成ガス、発生炉ガス、CO、CO2、H2、天然ガス、メタン、およびそれらの混合物などの燃料ガスを変換する。いくつかの実施形態では、燃料ガスの熱含有量は、標準立方フィート(scf)あたり少なくとも100BTUである。いくつかの実施形態では、微生物を収容し、成長させるために使用されるバイオリアクターは、ガス送達のための微細気泡ディフューザーおよび/または高剪断インペラーを備える。
【0214】
バイオリアクターにガス流量を導入するかつ/または増大させることにより、培養物の混合が向上し、ガス入口が液体培地の表面の下に配置され、ガスが泡立つか、または培地を介して噴出する場合、乱流が発生し得る。特定の実施形態では、混合することは、ガスが泡立つ、かつ/または散布する、かつ/または液体培地を介してガスで塞ぐことによってもたらされる乱流によって向上する。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、ガス逃げおよび圧力解放のためのガス出口ポートを備える。いくつかの実施形態では、ガスの入口および出口は、好ましくは、ガスの逆流を防ぐために逆止弁を備える。
【0215】
化学合成反応がバイオリアクター内で起こる特定の実施形態では、1つ以上のタイプの電子供与体および1つ以上のタイプの電子受容体が、ボーラス添加として、または定期的または継続的に、反応容器内で、化学合成独立栄養生物を含む栄養培地に圧送されるか、または他の方法で添加される。細胞呼吸における電子供与体から電子受容体への電子の移動によって駆動される化学合成反応は、無機二酸化炭素および/または他の溶解した炭酸塩および/または他の炭素酸化物を有機化合物およびバイオマスに固定する。
【0216】
特定の実施形態では、培養物の成長および産生のための栄養培地が使用され、適切なミネラル、塩、ビタミン、補因子、緩衝液、および微生物の成長に必要な他の成分を含む水溶液を含み、当業者に知られている[Bailey and Ollis,Biochemical Engineering Fundamentals,2nd ed;pp 383-384 and 620-622;McGraw-Hill:New York(1986)]。
【0217】
特定の実施形態では、当技術分野で知られている微生物培養物の維持および成長に使用される化学物質は、栄養培地に含まれる。特定の実施形態では、これらの化学物質は、これらに限定されないが、以下のうちの1つ以上を含み得る:窒素源、例えば、アンモニア、アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4))、硝酸塩(例えば、硝酸カリウム(KNO3))、尿素または有機窒素源;リン酸(例えば、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸カリウム(KH2PO4)、リン酸(H3PO4)、二チオリン酸カリウム(K3PS2O2)、オルトリン酸カリウム(K3PO4))、リン酸二カリウム(K2HPO4));硫酸塩;酵母エキス;キレート鉄;カリウム(例えば、リン酸カリウム(KH2PO4)、硝酸カリウム(KNO3)、ヨウ化カリウム(KI)、臭化カリウム(KBr));および他の無機塩、ミネラル、および微量栄養素(例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO47H2O)または塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)または炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸マンガン(MnSO47H2O)または塩化マンガン(MnCl2)、塩化第二鉄(FeCl3)、硫酸第一鉄(FeSO47H2O)または塩化第一鉄(FeCl24H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)、硫酸亜鉛(ZnSO4)または塩化亜鉛(ZnCl2)、モリブデン酸アンモニウム(NH4MoO4)またはモリブデン酸ナトリウム(Na2MoO42H2O)、硫酸銅1(CuSO4)または塩化銅(CuCl22H2O)、塩化コバルト(CoCl26H2O)、塩化アルミニウム(AlCl3.6H2O)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ酸(H3BO3)、塩化ニッケルNiCl26H2O)、塩化スズ(SnCl2H2O)、塩化バリウム(BaCl22H2O)、セレン酸銅(CuSeO45H2O)またはセレン酸ナトリウム(Na2SeO3)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)、クロム塩)。特定の実施形態では、Schlegelらによって配合されたミネラル塩培地(MSM)を使用することができる[「Thermophilic bacteria」,Jakob Kristjansson,Chapter 5,Section III,CRC Press,(1992)]。
【0218】
本明細書に記載の微生物は、いくつかの実施形態では、発酵培地を含む任意のタイプ(リッチまたは最小)の培地、および任意の組成物で培養することができる。当業者によって理解されるように、ルーチンの最適化は、様々なタイプの培地の使用を可能にするであろう。選択した培地には、様々な追加コンポーネントを補充できる。サプリメント成分のいくつかの非限定的な例としては、グルコース、フルクトース、スクロース、デンプン、多糖類、タンパク質加水分解物、抗生物質、遺伝子誘導のためのIPTG、およびATCC微量ミネラルサプリメントが含まれる。同様に、本明細書に記載の微生物の培地および成長条件の他の側面は、日常的な実験を通じて最適化させ得る。例えば、pHおよび温度は、最適化できる要因の非限定的な例である。いくつかの実施形態では、培地の選択、培地サプリメント、および温度などの要因が、所望の分子の産生レベルに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、サプリメント成分の濃度および量を最適化させ得る。いくつかの実施形態では、培地に1つ以上のサプリメント成分が補充される頻度、および所望の分子を得る前に培地が培養される時間量が最適化される。
【0219】
特定の実施形態では、栄養化学物質(例えば、電子供与体、電子受容体、炭素源、および/または様々なミネラル栄養素)の濃度は、バイオマスおよび/または有機化合物、特にタンパク質の最適な炭素取り込みおよび/または固定および/または変換および/または産生のレベルの近くで、またはそれらのレベルで、バイオリアクター内で維持され、これは、利用される微生物に応じて変化するが、微生物を培養する当業者の当該技術のうちの1つによって日常的に決定され、かつ/または最適化され得る。
【0220】
特定の実施形態では、パラメータ:pH;温度;塩分濃度;溶存酸素;溶存二酸化炭素ガス;液体の流量;撹拌速度;ガス圧のうちの1つ以上は、バイオリアクターにおいて監視および/または制御される。特定の実施形態では、化学独立栄養成長、および/または他のタイプの成長(例えば、従属栄養成長)に影響を与える動作パラメータは、センサー(例えば、電子供与体/受容体濃度を測定するための溶存酸素プローブまたは酸化還元プローブ)により監視し、かつ/またはこれらに限定されないが、作動バルブ、ポンプ、および撹拌機などの機器の使用を介したセンサーからのフィードバックに基づいて、手動または自動のいずれかで制御される。特定の実施形態では、入るブロスおよび入るガスの温度は、これらに限定されないが、クーラー、ヒーター、および/または熱交換器などのシステムによって調整される。
【0221】
特定の実施形態では、微生物培養および生物反応は、時間の経過と共に一定のレベルで、細胞集団および環境パラメータ(例えば、細胞密度、pH、DO、化学濃度)を標的とする定常状態において、栄養培地および/またはバイオマスの連続的な流入および除去を用いて維持される。特定の実施形態では、一定レベルは、原料の変換および/または標的有機化合物の産生のための最適なレベルである。特定の実施形態では、標的化された有機化合物は、タンパク質および/またはアミノ酸を含む。特定の実施形態では、細胞密度は、直接サンプリングによって、光学密度と細胞密度との相関によって、かつ/または粒子サイズ分析器を用いて監視することができる。特定の実施形態では、流体保持時間およびバイオマス保持時間は、ブロス化学および細胞密度の両方の独立した制御を可能にするように分離することができる。特定の実施形態では、希釈率を十分に高く保つことができるので、流体保持時間は、バイオマス保持時間と比較して比較的短く、細胞成長および/または原料変換および/または有機化合物の産生のための高度に補充されたブロスをもたらす。特定の実施形態では、希釈率は、培養ブロスと栄養素の補充および/または廃棄物の除去との間の最適な技術経済的トレードオフ、および圧送によるプロセスコストの増加、投入量の増加、および希釈率と共に上昇する他の需要に設定される。
【0222】
特定の実施形態では、微生物培養物のpHは、制御される。特定の実施形態では、pHは、微生物の維持および/または成長および/または原料の変換および/または有機化合物の産生および/または生存のための最適範囲内に制御される。pHの低下に対処するために、特定の実施形態では、中和ステップは、バイオリアクター環境で直接、または再循環ループを介して培地を再循環させて培養容器に戻す前に実施することができる。特定の実施形態のブロス中の酸の中和は、これらに限定されないが、石灰石、石灰、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化アンモニウム、苛性カリ、酸化マグネシウム、酸化鉄、アルカリ灰のうちの1つ以上を含む塩基の添加によって達成することができる。
【0223】
特定の実施形態では、化学合成独立栄養性微生物の水性懸濁液は、1つ以上の電子供与体およびCO2を原形質に変換する。特定の実施形態では、原形質は、タンパク質、ペプチド、および/またはアミノ酸を含む。特定の実施形態では、水素酸化微生物の水性懸濁液を使用して、水素および二酸化炭素を微生物原形質に変換することができる。特定の実施形態では、一酸化炭素酸化微生物の水性懸濁液を使用して、一酸化炭素および水素および/または水を原形質に変換することができる。特定の実施形態では、メタン酸化微生物の水性懸濁液を使用して、メタンを原形質に変換することができる。特定の実施形態では、懸濁液中の微生物は、細菌または古細菌である。特定の非限定的な実施形態では、H2酸化化学合成独立栄養性微生物の水性懸濁液またはバイオフィルムは、H2およびCO2を、他のいくつかの溶存ミネラル栄養素と共に、生化学物質および原形質に変換する。特定の実施形態では、生化学物質および/または原形質は、タンパク質、ペプチド、および/またはアミノ酸を含む。特定の実施形態では、他の溶存ミネラル栄養素としては、これらに限定されないが、窒素源、リン源、およびカリウム源が挙げられる。特定の実施形態では、産生される原形質は、ヒトおよび/または他の動物および/または他の従属栄養生物にとって食物価値があるものである。特定の実施形態では、特定の生化学物質は、栄養価、および/または様々な有機化学または燃料用途における価値を有する原形質および/または細胞外ブロスから抽出され得る。特定の実施形態では、原形質のこの産生を駆動するための細胞内エネルギーは、電子受容体による電子供与体の酸化に由来する。特定の非限定的な実施形態では、電子供与体は、これらに限定されないが、H2;CO;CH4のうちの1つ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、電子受容体としては、これらに限定されないが、O2および/またはCO2が挙げられる。特定の非限定的な実施形態では、エネルギー生成反応または呼吸の産物は、これに限定されないが、水が挙げられる。特定の実施形態では、CO2からの生化学物質および原形質のこの合成を駆動するために使用される呼吸に由来する細胞内エネルギーは、これらに限定されないが、ATPなどの生化学分子に貯蔵され、運ばれる。本明細書の特定の実施形態で使用される水素酸化微生物の場合、電子受容体はO2であり、呼吸の産物は、水である。
【0224】
いくつかの実施形態では、タンパク質産生および/または産生されたアミノ酸分子の分布は、バイオリアクター条件の制御、栄養素レベルの制御、および/または細胞の遺伝子改変のうちの1つ以上を介して、最適化される。特定の実施形態では、アミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞産物への経路は、特定の成長条件(例えば、電子供与体、窒素、酸素、リン、硫黄、無機イオンなどの微量栄養素、および存在する場合は、一般に栄養素またはエネルギー源とは見なされない可能性のある任意の調節分子のレベル)を維持することにより化学製品を生産するために、制御され、最適化される。特定の実施形態では、溶存酸素(DO)は、微生物の要件に応じて、好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、または通性条件でブロスを維持することによって最適化され得る。通性環境とは、水柱の成層化により生じる好気性上層および嫌気性下層を有する環境であるとみなされる。本明細書に開示される微生物によるアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞産物の生合成は、炭素およびエネルギーおよび他の栄養源の十分な供給がある場合、対数期、算術期、またはその後の細胞倍加が停止した定常期中に起こり得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物の成長培地は、別の微生物からのタンパク質および/または栄養源(例えば、細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または異なる微生物からの他の栄養素)が挙げられる。いくつかの実施形態では、成長培地中の微生物は、GRAS微生物である。一実施形態では、乳酸菌、例えば、これらに限定されないが、ラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス細菌(例えば、GRASラクトコッカス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、またはペディオコッカス細菌などのGRAS乳酸菌)などの成長培地としては、細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または異なる微生物由来(これらに限定されないが、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541など)の他の栄養素が挙げられる。別の実施形態では、真菌微生物、例えば、フザリウムまたはリゾプスまたはアスペルギルス真菌微生物(例えば、GRAS真菌微生物、例えば、GRASフザリウムまたはリゾプスまたはアスペルギルス真菌微生物)、例えば、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeのための成長培地は、全細胞バイオマス、細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または異なる微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス微生物、例えば、これらに限定されないが、キュープリアビダス・ネカター、例えば、キュープリアビダス・ネカターDSM531またはDSM541からの他の栄養素が挙げられる。
【0226】
いくつかの実施形態では、細菌細胞を溶解することおよび/または細菌タンパク質を加水分解することができる真菌微生物は、このような細菌細胞またはこのような細菌細胞に由来する栄養素の存在下で培養させる。例えば、細菌バイオマスは、単離させ得、任意により脱水させ、または任意により不活性化させ、次に細菌バイオマスに接種した真菌微生物または真菌微生物は、細菌バイオマスおよび/または細菌由来栄養素の存在下で、本明細書に記載の成長培地で培養させ得る。特定の非限定的な実施形態では、真菌微生物には、フザリウムまたはリゾプスまたはアスペルギルス微生物、例えば、これらに限定されないが、フザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)、Rhizopus oligosporus、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、またはAspergillus sojaeが挙げられる。特定の非限定的な実施形態では、食用真菌種であるツクリタケ(Agaricus bisporus)は、本発明に従って産生されるタンパク質を豊富に含む細胞および/または栄養素を含む培地上で培養される。特定の実施形態では、ツクリタケ(Agaricus bisporus)は、本発明に従って産生された細胞を溶解する。特定のこのような実施形態において、ツクリタケ(Agaricus bisporus)は、栄養および成長のために細胞の溶解によって放出されるタンパク質、アミノ酸、および/または他の栄養素を利用する。
【0227】
バイオリアクター、培養条件、従属栄養および化学栄養成長、維持、および本明細書に記載のアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞産物産生方法の特定の例は、微生物の成長およびアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生産の効率を改善するために、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0228】
電子供与体および受容体
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物は、化学合成独立栄養的に成長する。例えば、微生物の成長は、O2電子受容体および/またはH2電子供与体を利用して、CO2の生合成還元を利用することができる。特定の実施形態では、O2およびH2は、水の電気分解によって生成される。特定の非限定的な実施形態では、水の電気分解によって生成されたO2の一部、およびH2のすべては、本明細書に記載の微生物の水性懸濁液に供給される。特定の非限定的な実施形態では、微生物の水性懸濁液に供給されるH2対O2のモルとのモル比は、2:1よりも大きい。O2電子受容体およびH2電子供与体が水の電気分解によって生成される特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物のH2およびO2の代謝要件をすべて満たした後に残存する余剰のO2が存在する。特定のこのような実施形態では、余剰のO2は、ヒトおよび/もしくは他の好気性生物および/もしくは根の曝気のための水栽培システムに供給され得、かつ/またはガス化もしくは部分酸化もしくは燃焼プロセスで使用され、かつ/または化学的副産物として、貯蔵され、販売される。
【0229】
電子供与体として水素分子を利用する特定の実施形態では、再生可能および/またはCO2排出のないエネルギー入力を使用する水素分子の生成において形成される化学的副産物が存在し得る。特定の実施形態では、呼吸において使用される酸水素反応は、酸化的リン酸化に酵素的に関連している。特定の実施形態では、このように形成されたATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化合成に利用される。特定の実施形態では、炭素固定および水素酸化微生物による有機化合物生成のための最適条件を維持するために呼吸に必要とされるものを超える水分解によって産生される酸素は、商業用酸素ガスの生産の当該分野で既知のプロセスステップによる販売に適した形態に加工され得る。
【0230】
特定の実施形態は、水素酸化および/またはCO酸化および/またはCH4酸化微生物を適用し、これは、これらに限定されないが、O2など、ATP生成(例えば、呼吸)のためのエネルギー保存反応において、CO2よりも多くの電気陰性電子受容体を使用する。例えば、水素栄養性酸水素または酸素水素反応2H2+O2->2H2OをATP生成に結合する水素酸化微生物は、H2および/または呼吸のために消費される他の電子供与体あたりのATPを、呼吸において電子受容体としてCO2を使用する酢酸産生またはメタン産生よりも多く生成できる。例えば、水素酸化微生物は、呼吸で消費されるH2ごとに少なくとも2つのATPを生成することができ[L.Bongers(1970)「Energy generation and utilization in hydrogen bacteria」Journal of bacteriology104(1):145-151(http://jb.asm.org/content/104/1/145.abstract)、参照により、全体として本明細書に組み込まれる]、これは、H2を電子供与体として、およびCO2を電子受容体として呼吸で使用した場合に、メタン産生または酢酸産生を受けている微生物中で生成され得るよりも、呼吸において消費されるH2あたりに産生されるATPの約8倍である。このため、これらに限定されないが、合成ガスまたはH2からのアミノ酸またはタンパク質または脂肪酸の生合成などの同化生合成のために、呼吸およびATPの生成においてより電気陰性の電子受容体を利用できる微生物(これに限定されないが、水素酸化微生物など)を使用することは、短鎖酸またはアルコール(酢酸またはエタノールなど)を産生するための生物学的ガスツーケミカル(GTC)技術で現在使用されているものなど、酢酸産生またはメタン産生を使用するよりも効率的であり得る。特定の実施形態では、呼吸において使用される酸水素反応は、酸化的リン酸化に酵素的に関連している。特定の実施形態では、好気性呼吸は、ATPの産生のために本明細書に記載される微生物細胞によって利用される。特定の実施形態では、このように形成されたATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化生合成に利用される。いくつかの実施形態では、酸水素および/またはカルボキシド栄養性微生物および/またはメタン栄養性微生物および/または従属栄養性微生物、またはこれらの微生物を含む組成物またはコンソーシアムが利用され、微生物は、これらに限定されないが、再生可能なH2またはCOまたはメタン含有ガスと組み合わせた合成ガスまたは発生炉ガスまたは天然ガスまたはバイオガスまたはCO2など、炭素含有ガス原料からの化学物質、モノマー、ポリマー、タンパク質、多糖類、ビタミン、栄養補助食品、抗生物質、医薬品またはそれらの中間体など、目的の有用な炭素ベースの産物の生合成を可能にする1つ以上の酵素を発現する。いくつかの実施形態では、これらの炭素ベースの目的の生成物は、これらに限定されないが、グルコース、フルクトース、スクロース、および他の砂糖など、有機多炭素原料から従属栄養的に生合成することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物、または微生物を含む組成物が利用され、微生物は、呼吸を通じて1つのATPを生成するために4H2未満またはNADHを必要とする。他の非限定的な実施形態では、呼吸によって消費されるH2またはNADHごとに2つ以上のATPを生成する微生物が利用される。他の非限定的な実施形態では、呼吸によって消費されるH2またはNADHあたり少なくとも2つのATP、または呼吸によって消費されるH2またはNADHあたり少なくとも2.5のATPを生成する微生物が利用される。
【0231】
特定の非限定的な実施形態の追加の特徴は、二酸化炭素および/または他のC1原料を有機化合物に固定するために化学合成独立栄養性微生物によって使用される電子供与体の供給源、産生、または再循環に関する。二酸化炭素の捕捉および炭素固定に使用される電子供与体は、特定の実施形態では、これらに限定されないが、光起電、太陽熱、風力、水力、原子力、地熱、強化地熱、海洋熱、海洋波力、潮力など、複数の異なる再生可能および/または低炭素排出エネルギー技術からの電力を使用して、電気化学的または熱化学的に生成または再利用することができる。化学独立栄養体が成長できる還元無機化学物質の多く(例えば、H2、CO、H2S、第一鉄、アンモニウム、Mn2+)は、様々な二酸化炭素排出量のないまたは低炭素排出量によって電力を供給できる化学工学の技術および科学でよく知られている電気化学的および/または熱化学的プロセスを使用して、および/または再生可能な電源、例えば、これらに限定されないが、光起電、太陽熱、風力、水力、原子力、地熱、強化地熱、海洋熱、海洋波力、または潮力などを使用して、容易に産生できる。
【0232】
再生可能エネルギー源からの水素の産生は、化石原料系からの生成に徐々に取って代わりつつあり、エネルギーセクターにおける技術的進歩により、近い将来、グリーン水素産生の価格低下が予測される。例えば、最大73%の電気エネルギー効率が、商用および工業用グレードの電解槽によってすでに達成されており、新規材料および電解槽の構成に関する研究では、96%もの高い効率が可能であることが示されている。特定の実施形態では、H2電子供与体および/またはO2電子受容体の生成のために、70%を超える電気エネルギー効率を有する市販の電気分解技術を利用する。特定の実施形態は、73%以上のエネルギー効率、および/または最大96%以上のエネルギー効率を有する電気分解技術を使用する。
【0233】
電子供与体として水素分子を使用する特定の実施形態では、H2は、これらに限定されないが、以下の1つ以上など、化学およびプロセス工学の当業者によく知られている方法によって生成される:水の電気分解、これらに限定されないが、プロトン交換膜(PEM)を使用したアプローチ、KOHなどの液体電解、アルカリ電解、固体高分子電解質電解、高圧電解、蒸気の高温電解(HTES)、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケル電極を利用するような2段階の電気化学的サイクル、および/またはこれらに限定されないが、酸化鉄サイクル、酸化セリウム(IV)-酸化セリウム(III)サイクル、亜鉛酸化亜鉛サイクル、硫黄-ヨウ素サイクル、銅-塩素サイクル、カルシウム-臭素-鉄サイクル、ハイブリッド硫黄サイクルなどの方法による水の熱化学的分解;および/または硫化水素の電気分解;および/または硫化水素の熱化学的分解;および/または二酸化炭素排出量が少ないかまたは排出量がない水素を生成することが知られている他の電気化学的または熱化学的プロセス、これらに限定されないが、メタンの改質またはバイオマスのガス化が可能となる炭素の捕捉および隔離(CCS)。特定の実施形態では、H2を生成するためのアプローチは、これらに限定されないが、再生可能電気エネルギーおよび/または低GHG源からの電気によって電力を供給される電気分解を含む。特定の実施形態では、電気分解は、これらに限定されないが、太陽光、光起電および/または太陽熱、風力、水力;核;地熱;強化地熱;海洋熱;海洋波力;潮力のうちの1つ以上によって電力を供給される。
【0234】
世界中において、膨大な風力エネルギー資源があり、そのうち利用されているのはごくわずかである。低電流使用率は、主に風力資源の断続的な性質に起因し、その結果、時間の経過と共に発電量が変化し、ほとんどの時間でエネルギー需要を満たすための容量が十分に活用されていない。風力発電とグリッド需要との間の一般的な不一致は、供給過剰のために風力発電所がタービンをシャットダウンするために支払われているスコットランド[http://www.mnn.com/earth-matters/energy/blogs/blown-away-wind-turbines-generate-enough-energy-to-power-every-home-in]、および風力需要が高く、グリッド需要が少ない夜間に無料で電力が供給されているテキサス州の一部[http://www.nytimes.com/2015/11/09/business/energy-environment/a-texas-utility-offers-a-nighttime-special-free-electricity.html?_r=2]など、世界中の例で明らかである。この課題は、オフピーク需要時間中に生成された風力を利用して、本明細書の特定の実施形態におけるプロセス用のH2原料を産生することによって解決できる可能性がある。
【0235】
現在、水素は、いわゆる「パワーツーガス」のアプローチで可能なエネルギー貯蔵システムとしてますます見なされている。再生可能エネルギー生産(特に太陽光および風力エネルギー)の固有の不安定性、および過剰なグリッド電力(オフピークエネルギー)は、水の電気分解により水素が産生されることによって軽減され得る。現在のほとんどのスキームによれば、生成された水素ガスは、ピーク需要の期間中に、燃料電池および/またはガスタービンによって電気に戻され得る。あるいは、H2をガスグリッドに供給し得るか、またはメタン化によってメタンに変換され得る。さらに、水素は、化学、石油化学、冶金、および食品産業の原材料として使用され得る。特定の実施形態は、H2が生化学物質、特にタンパク質、アミノ酸、肥料、および生物刺激剤など、より広い範囲の産物中で使用することが可能になることによって、パワーツーガスの枠組み内で新しい選択肢を提供する。特定の実施形態では、過剰なグリッド電力および/またはオフピークエネルギーを使用して生成された水素は、水素利用微生物で発生する1つ以上の代謝経路の電子供与体として使用される。特定の実施形態では、水素酸化細菌および/または好気性細菌による微生物生合成に必要な水素および/または酸素は、再生可能エネルギー、特にオフピーク電力、すなわち、エネルギー供給が需要を上回るときに利用可能な電力(現在の状況では、多くの場合、無駄になる)を使用して、水の電気分解によって生成される。
【0236】
特定の実施形態では、H2およびCO2ガスのオンサイト貯蔵により、再生可能発電が電力需要を超える期間中にのみ、グリッドからの電力の迂回が可能になる。特定の実施形態では、電力は、より高い需要の期間中に通常とおりグリッドに流れ込むことができる。特定の実施形態では、このプロセスでは、再生可能電力の供給を妨害するのではなく、これらに限定されないが、風力および太陽光などの再生可能発電容量のより完全な利用を促進する。特定の実施形態は、発電がグリッド需要を超える期間(例えば、オフピーク風力または太陽光発電)の間でさえ、継続的な再生可能な動作および生成を可能にする。
【0237】
特定の実施形態では、水素電子供与体は、必ずしも二酸化炭素の排出が少ないかまたはない状態で生成されるとは限らない。しかし、特定のこのような実施形態では、水素は、化学およびプロセス工学の分野で知られている方法を使用して、持続可能なまたは低価値のエネルギー源および/または炭素源から生成される。このような方法としては、これらに限定されないが、農業資材、木材、メタンハイドレート、わら、海藻、およびケルプ、および一般に、価値が低く、高リグノセルロース性のバイオマスのうちの1つ以上の原料の、これらに限定されないが、ガス化、熱分解、水蒸気改質、または自己熱改質が挙げられる。特定の実施形態では、H2および/またはCOおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは発生炉ガスは、電子供与体および/または炭素源として利用される。特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガスに含まれるH2および/またはCOおよび/またはCO2は、再生可能および/または低GHGエネルギー源および本明細書に記載のそれらのうちの1つ以上などの変換プロセスを使用して生成されるH2によって補足される。
【0238】
特定の非限定的な実施形態では、CO2の還元が起こり、かつ/または食物または栄養源として利用することができる細胞材料の合成が起こる。
特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガス中の一酸化炭素に対する水素の比率は、ガスが微生物培養物に送達される前に、水ガスシフト反応および/または炭素捕捉によって調整され得る。特定の実施形態では、C1化合物は、メタンもしくは天然ガス、特に残された天然ガス、または他の方法でフレアリングされるもしくは大気に放出される天然ガス、またはバイオガス、または埋め立てガスのメタン水蒸気改質によって生成され、微生物の培養に対するC1化合物の合成ガス、および/または発生炉ガスまたは液体ストリームとして提供され、特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガス中の一酸化炭素に対する水素の比率は、ガスが微生物培養に供給される前に、水ガスシフト反応および/または炭素捕捉を介して、調整することができる。
【0239】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、これに限定されない。
実施例
実施例1-単一細胞タンパク質の加工
微生物細胞を洗浄して、バイオプロセスから保有している培養培地を除去する。細胞を溶解して不活性化し(生存率がゼロであることを確認)、核酸を除去する。任意により、細胞壁を除去し、任意によりタンパク質単離物を加水分解して、アレルギー反応のリスクを最小限に抑える。
【0240】
栄養価を評価するために、タンパク質消化率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)および消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)を決定する。
【0241】
味は、単離物が中性または不快でない風味を有することを確認するために評価する。必要に応じて、化合物または材料を加えて、風味のマスキングが可能である。
【0242】
溶解性、乳化、保水、脂肪保持、およびゲル化などの機能的性質が評価される。
【0243】
アレルギー誘発性は、単離物が確実に低アレルギー性であることを評価する。
【0244】
実施例2-微生物タンパク質単離物の分析
タンパク質単離物は、実施例1に記載のとおり、キュープリアビダス・ネカター微生物全細胞バイオマスから調製した。タンパク質単離物の調製は、バイオマスのアミノ酸含有量を濃縮し、核酸含有量を減少させた。機能的性質が測定され、タンパク質単離物(PI)サンプルの高い水および油の吸収が示された。PIサンプルは、高いPDCAAS値を示し、優れた消化率および栄養価を示す。
【0245】
PIサンプルと比較した砂糖成長全細胞バイオマス(WCB)のN%、総アミノ酸%、および核酸%を表1に示す。
【表1】
【0246】
エンドウ豆単離物(Nutrassumaエンドウタンパク質)と比較した、砂糖で成長したWCB、砂糖で成長したPIサンプル(PI#1、2、および3)、およびガスで育てられたPI(PI#4)の密度ならびに水および油の吸収を表2に示す。
【表2】
【0247】
他のタンパク質源と比較した、砂糖で成長したWCBの消化率(Miller,et al.,Nutritional factors in SCP,pp.79-89,Single Cell Protein MIT Press,Eds.Mattales and Tannenbaumのデータ)を表3に示す。
【表3】
【0248】
実施例3-微生物タンパク質単離物からの食品組成物の調製
いくつかの肉類似品は、ハンバーガー、カルネアサダビット、およびベーコンビットなど、キュープリアビダス・ネカター全細胞バイオマス(WCB)またはタンパク質単離物(PI)から調製した。PIは、高い脂肪吸収能力を示した。そのため、鍋で煮るまたは揚げたときに、油を吸収し、油っぽい後味となる。PIサンプルも、高い保水能力を示した。したがって、煮ることは、高脂肪吸収の問題を防ぎ得る。煮ることによる調理では、吸水が促進され、食品組成物が、確実に、完全に調理される。煮た後に揚げることにより、食品組成物に食感を与え、パリっとした外観をもたらす。これは、外部および内部の両方で肉様構造を模倣し得る。
【0249】
WCBから総重量400gのハンバーガーを2つ調製した。成分を表4に示す。
【表4】
【0250】
一般的なスパイス:アップルサイダービネガー(小さじ1);ガーリックパウダー(小さじ1/4);オニオンパウダー(小さじ1/4);ウコン(小さじ1/8);重曹(小さじ1/4);パプリカ(小さじ1/4);メープルシロップ(小さじ1);オイル(2tsp)
【0251】
B1:すべての成分は、最初にNutri bulletで粉末化し、次にフードプロセッサーでブレンドした。外観は、非常に滑らかであった。ハンバーガーは、一貫して、粘り気があった。100%クルミを使用することで、ハンバーガーの色が濃くなった。
【0252】
B2:すべての成分は、フードプロセッサーでブレンドした。これは分厚いように見え、見た目も良いように見えた。必須の小麦グルテンが含まれており、これが分厚い食感に寄与し得る。クルミ:カシューナッツ60:40を使用することにより、ハンバーガーの色が薄くなった。
【0253】
色の成分:キャロットファイバーバインダー;ビートパウダーおよびトマトパウダー
【0254】
総重量464gのハンバーガーをPIから調製した。タンパク質%は6.5重量%(ウェット)であった。成分を表5に示す。
【表5】
【0255】
ハンバーガーは、濃い色であった。調理後に色の変化が生じた。これは、クルミの脂質酸化に起因する。味は良好であり、後味はなかった。
【0256】
ハンバーガーに望ましい形質:明るい色の場合は、ガルバンゾ豆の代わりに米粉を使用すること、クルミの代わりにカシューナッツを使用すること、かつ/またはビートジュースは、赤みを帯びた色を追加するために含めてもよい。割れの少ない食感とするために、卵または卵代替品が含まれ得る。追加の水分のために、オリーブオイルまたはマーガリンなどの脂肪を加えてもよい。
【0257】
ベーコン類似品は、表6に示す成分を使用して調製した。レシピ1には、25%のWCBドライベース(未調理)が含まれ、レシピ2には、48%のWCBドライベースおよび16%のウェットベース(未調理)を含めた。
【表6】
【0258】
カルネアサダ/ベーコン類似品は、表7に示す成分を使用して調製した。総重量は402gであった。タンパク質%は、ウェット15%、ドライ28.5%であった。
【表7】
【0259】
タンパク質は、小麦グルテンに十分に溶け込み、しなやかな生地を形成した。この生地は、圧延および再圧延によって食感加工させてもよい。一度焼くまたは煮た生地は、肉様食感に類似していた。煮た後、肉様食感が、より明確になった。製品の表面には、筋様肉が現れていた。試食時に、風味は、あいまいで、淡白であった。製品の風味は、添加した風味成分の風味を引き継ぐ。
【0260】
カルネアサダ/ベーコン類似品は、表8に示す成分を使用して調製した。
【表8】
【0261】
実施例4-H2およびCO2で成長したキュープリアビダス・ネカターからのタンパク質濃縮物の産生。
C・ネカターDSM541バイオマスは、2リットルの連続撹拌槽型リアクター(CSTR)で、H2およびCO2基質および水性最小塩培地で成長させた。培養ブロスをCSTRから継続的に採取し、4℃で一時的に貯蔵した。次に、バイオマスを遠心分離によって液体ブロスから分離し、上澄みを注ぎ出し、脱水したが湿っているバイオマス(固形分約20%/水分含有量80%)を収集し、-80℃で貯蔵した。その後、湿っている凍結バイオマスを解凍し、Turraxスティックおよびハンドブレンダーを使用して固形分が8%になるまで水に再懸濁し、滑らかで均質なスラリーを作製した。次に、このスラリーをオートクレーブに入れた。オートクレーブを110℃まで加熱し、その温度で30分間保持した。熱処理後、オートクレーブ処理したスラリーを水浴で冷却し、13,000gで40分間遠心分離した。上澄みを注ぎ出し、分析のために分離し、遠心分離から得た湿った固体を収集した。次に、遠心分離によって生成された湿った固体をフリーズドライし、粉砕して、微細なベージュ色の粉末タンパク質濃縮物を得た。
【0262】
次に、タンパク質濃縮物を分析した。総アミノ酸含有量は、AOAC法AOAC 994.12を使用して、乾燥重量ベースで80.8%であると決定した。水分含有量は、NFTA 2.2.2.5試験法を使用して、2.88%であると決定した。灰分は、AOAC 942.05試験法により、乾燥重量ベースで6.4%と決定した。総脂質含有量は、Bligh-Dyer抽出(Bligh,E.G.andDyerW.J.(1959)J Biochem Physiol37(8):911-917)によって決定し、重量分析は、乾燥重量ベースで9.15%であった。それぞれ、試験方法AOACOMA942.23およびAOACOMA970.65を使用して、ビタミンB1およびB2を測定し、乾燥重量100グラムあたり、ビタミンB1が1.39mg、ビタミンB2が20.6mgであることが判明した。
【0263】
前述の発明は、理解を明確にする目的で例示および例としてある程度詳細に記載してきたが、特定の変更および修正は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく実施できることは、当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0264】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のために、また、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】