(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】禁煙におけるCO値の使用
(51)【国際特許分類】
A61B 5/083 20060101AFI20230303BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20230303BHJP
【FI】
A61B5/083
G16H50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540500
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020066833
(87)【国際公開番号】W WO2021138193
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362719
【氏名又は名称】マクニール アーベー
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェームソン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】アトリー・デビッド・エス
(72)【発明者】
【氏名】ホール・マシュー
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038ST01
4C038SU19
4C038SX05
5L099AA15
(57)【要約】
禁煙におけるco値の使用が記載されており、ここで装置は、ユーザに禁煙を奨励するように構成され得る。この装置は、サンプル呼気を受け取り、サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定するサンプリングユニットを含むことができる。サンプリングユニットは、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始するようにプログラムされてもよい。サンプリングユニットはまた、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始するようにプログラムされてもよく、ここで、カウントダウン時間は、ユーザの体内の一酸化炭素レベルが所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに禁煙を奨励するように構成された装置であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取り、前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定するように構成されたサンプリングユニットを備え、
前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第1のタイマを開始するようにプログラムされ、
前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第1の時間長に対応する、装置。
【請求項2】
前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第2のタイマを開始するように更にプログラムされ、
前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第2の時間長に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルを決定するためのプロセッサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記ユーザに表示するためのスクリーンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記サンプリングユニットは、前記累積時間の視覚的インジケータを表示するように更にプログラムされている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記サンプリングユニットは、前記カウントダウン時間の視覚的インジケータを表示するように更にプログラムされている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記所定の閾値は、6PPMの一酸化炭素レベルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ユーザに禁煙を奨励する方法であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、
前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第1のタイマを開始することとを含み、前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第1の時間長に対応する、方法。
【請求項9】
前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第2のタイマを開始することを更に含み、前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第2の時間長に対応する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気をサンプリングユニットに受け取ることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記呼気一酸化炭素のレベルを決定することは、前記レベルを前記ユーザに視覚的に表示することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のタイマを開始することは、前記後続のサンプル呼気のうちの少なくとも1つが、前記所定の閾値を超える呼気一酸化炭素をもたらすまでの前記累積時間を前記ユーザに表示することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記呼気一酸化炭素のレベルよりも高い第2の呼気一酸化炭素レベルを有する後続のサンプル呼気を受け取ると、前記カウントダウンタイマを調整することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のタイマを開始することは、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルの半減期値に対応する前記カウントダウン時間を決定することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の閾値は、6PPMのレベルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
ユーザに禁煙を奨励する方法であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、
前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルを前記ユーザに視覚的に表示することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始することと、
前記累積時間を前記ユーザに表示することであって、前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第1の時間長に対応する、ことと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始することと、
前記カウントダウン時間を前記ユーザに表示することであって、前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する、こととを含む、方法。
【請求項17】
前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気をサンプリングユニットに受け取ることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記呼気一酸化炭素のレベルを決定することは、前記レベルを前記ユーザに視覚的に表示することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のタイマを開始することは、前記後続のサンプル呼気のうちの少なくとも1つが、前記所定の閾値を超える呼気一酸化炭素をもたらすまでの前記累積時間を前記ユーザに表示することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記呼気一酸化炭素のレベルよりも高い第2の呼気一酸化炭素レベルを有する後続のサンプル呼気を受け取ると、前記カウントダウンタイマを調整することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のタイマを開始することは、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルの半減期値を決定することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月31日に出願された米国仮出願62/955,555号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、呼気サンプルを受け取り、呼気サンプルから生物学的パラメータを検出するための装置及び方法に関する。特に、本発明は、タバコの使用を減らし、やめるようにユーザを教育及び動機付けるために、被験者から吐き出された呼気サンプルを携帯型呼気センサ装置に受け取り、呼気サンプルから生物学的パラメータを検出するための装置及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
喫煙に関連する健康問題はよく知られている。タバコの煙には、ニコチンだけでなく、多くの他の化合物や添加物が含まれている。タバコの煙は、個人を一酸化炭素(carbon monoxide、CO)及びこれらの他の化合物にさらし、これらの化合物の多くは、喫煙者及び喫煙者の周囲の人々に発がん性及び毒性がある。喫煙者の呼気中のCOの存在及びレベルは、その個人の全体的な喫煙行動を特定するためのマーカーを提供するだけでなく、他の有毒化合物への全体的な曝露のマーカーを提供することもできる。
【0004】
呼気をサンプリングするためには、ユーザが簡単に持ち運びでき、邪魔にならない携帯型呼気センサが望ましい。この携帯型呼気センサは、ユーザの呼気一酸化炭素(exhaled carbon monoxide、eCO)値を測定することができるが、このデータが広く理解されているメトリックではない可能性があるため、すべてのユーザがこのデータの使用方法を直ちに直感的に理解できるとは限らない。
【0005】
タバコの煙には1体積%を超える可能性のある濃度(例えば、10,000PPM)のCOが含まれているため、タバコの煙と共に吸入されたCOは肺に入り、血流に入り、そこでCOは、酸素よりもCOに強い親和性(約350倍強い)を有するヘモグロビン(hemoglobin、Hb)に結合する。この親和性のために、COは、Hb上の結合部位について酸素を打ち負かし、長時間Hbに結合したままになる。COは、徐々にHbから分離し、肺に戻り、続いてそこで吐き出される。したがって、呼気中のCO濃度は、COを運ぶHbの濃度に比例する。例えば、人のHbの5%が酸素の代わりにCOを運んでいる場合、その人の呼気には約30PPMのCOが含まれる。CO呼気動態、CO結合Hbの濃度、及び得られたeCOの濃度の結果として、COは、ユーザの体内で約3~4時間の半減期を有する半減期減衰を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、呼気をサンプリングして呼気からパラメータを正確に検出し、eCOの結果を使用して、たばこの使用を減らし、最終的にはやめるようにユーザを教育及び動機付けることができる呼気センサが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
禁煙に関心のあるユーザの場合、ユーザから取得したeCO値を使用して、ユーザが喫煙行動と測定されたeCO値との間のリンクを視覚化及び内在化するのを支援することにより、やめるようにユーザを教育及び動機付けることができる。ユーザがこのリンクを理解するのを助けることで、ユーザは、「グリーン」範囲として特徴付けられる0~6PPMのような好ましい範囲内のeCO値を目標とすることによって、どのようにeCO値を変更又は低下させることができるかを理解するようになる可能性があり、この「グリーン」範囲は、ユーザがeCOをサンプリングする前に一定期間喫煙を控えたことを示すものとして、ユーザの呼気から検出される低レベルのCOである。これにより、呼気センサに対するユーザの満足度が向上するだけでなく、ユーザに提供される禁煙プログラムに対する満足度も向上する可能性がある。
【0008】
ユーザからeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、及び同第10,335,032号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
ユーザから取得したeCO値を使用して、ユーザが喫煙行動と測定されたeCO値との間のリンクを視覚化及び内在化するのを支援することにより、やめるようにユーザを教育及び動機付けることができる。eCO値を定量化すると、ユーザの体内のCOの半減期を使用して、COが所望のレベル、例えば非喫煙者の典型的なCOレベルである6PPM以下まで消散する時間を予測することができ、そして、この情報を使用してユーザに動機付けになる内容又はガイダンスを提供することができる。例えば、6PPM以下の目標レベルを「グリーン」レベルとしてユーザに提示することができ、ここで、検出された量がグリーンレベル内に収まるようにCOが消散するまでの推定時間は、「グリーンまでの時間」(Time To Green、TTG)と見なすことができる。
【0010】
ユーザの体内のCOの半減期は、血液量又はヘモグロビン測定値の代用として、タバコに対するユーザの反応を監視するために使用することができる。半減期値はまた、低ヘモグロビン値などの潜在的な血液の健康問題の指標としても使用することができる。
【0011】
この情報が提示されると、ユーザは、非喫煙者の典型的なCOレベルを表すグリーンレベルに到達する目標を設定するように動機付けられる可能性がある。ユーザがユニット(又は個人用電子デバイス又はコンピュータ)でeCOを測定するたびに、ユーザがグリーンレベルに達するまでの概算TTGを計算することができる。
【0012】
体内のCO消散に標準化された半減期値を使用するのではなく、特定のユーザ向けに個別化されたモデルを作成して、睡眠量、活動レベルなどのユーザの活動メトリックを説明するパーソナライズされた半減期を生成することができる。モデルはまた、ユーザの体内に既に存在する可能性のある組み込まれたCOに加えて、パーソナライズされたモデルに対してユーザが自己報告した喫煙本数を考慮することができる。
【0013】
1つの変形例では、ユニットは、ユーザのTTGを決定する際に、標準化されたCO半減期時間(例えば、約4時間)を使用することができる。この標準化されたCO半減期時間は、控えめな母集団平均に基づいてもよく、ここで、CO半減期時間(例えば、COレベルが体内で半分に消散する時間)は、母集団から得られた平均値である。センサの変動性、センサノイズ、自然な呼気読み取り値などの変数を説明するために、開始値及び終了値を必要に応じて補償して、例えばグリーン範囲の終わりである6PPMの値の代わりに4PPMの値を目標とすることができる。
【0014】
別の変形例では、特定のユーザ向けに個別化されたモデルを作成して、睡眠量、活動レベルなどのユーザの活動メトリックを説明するパーソナライズされた半減期を生成することができる。システムは、ユニット(又は個人用電子デバイス又はコンピュータ)によって以前に記録された以前のデータを使用することができる。追加的に及び/又は代替的に、以前のデータは、Fitbit(登録商標)(Fitbit,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)、Apple(登録商標)Health(Apple,Inc.,カリフォルニア州クパチーノ)、又は別の健康追跡プラットフォームなどのサードパーティ健康追跡プラットフォームからインポートされ得る。
【0015】
記載された異なる変形例のいずれにおいても、異なる変形例間の任意の数の機能は、任意の数の組み合わせで組み合わされることが意図されている。例えば、ユニット(又は個人用デバイス又はコンピュータ)は、TTG又はStay Green機能のいずれかを、コホートパーソナライズ変形例及び/又は記載された任意の他の機能のいずれかと共に組み込むようにプログラムされ得る。
【0016】
一変形例では、ユーザに禁煙を奨励するように構成された装置は、一般に、ユーザからサンプル呼気を受け取り、ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとしてサンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定するように構成されたサンプリングユニットを含むことができ、ここで、サンプリングユニットは、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始するようにプログラムされ、累積時間は、後続のサンプル呼気が、呼気一酸化炭素のレベルを所定の閾値未満に維持する第1の時間長に対応し、サンプリングユニットは、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始するように更にプログラムされ、カウントダウン時間は、ユーザの体内の一酸化炭素レベルが所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する。
【0017】
ユーザに禁煙を奨励する方法の1つの変形例では、この方法は、一般に、ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとしてサンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することとを含むことができる。呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始することができ、累積時間は、後続のサンプル呼気が、呼気一酸化炭素のレベルを所定の閾値未満に維持する第1の時間長に対応する。呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始することができ、カウントダウン時間は、ユーザの体内の一酸化炭素レベルが所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する。
【0018】
ユーザに禁煙を奨励する方法の1つの変形例では、この方法は、一般に、ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとしてサンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することとを含むことができる。呼気一酸化炭素のレベルをユーザに視覚的に表示することができ、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始することができる。累積時間をユーザに視覚的に表示することができ、ここで、累積時間は、後続のサンプル呼気が、呼気一酸化炭素のレベルを所定の閾値未満に維持する第1の時間長に対応し、そして、呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始することができる。カウントダウン時間をユーザに表示することができ、ここで、カウントダウン時間は、ユーザの体内の一酸化炭素レベルが所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】被験者からの呼気を受け取り、様々なパラメータを検出することができ、また1つ以上の遠隔装置と通信することができるシステムの変形例を示す図である。
【
図2A】ユーザに表示するためのeCO情報の例を示す個人用サンプリングユニットの変形例を示す図である。
【
図2B】ユーザに表示するためのeCO情報の例を示す個人用サンプリングユニットの変形例を示す図である。
【
図3】TTG及びStay Green戦略を実施するためにシステムをどのようにプログラムできるかの1つの変形例の流れ図である。
【
図4A】ユニットのスクリーン上に表示されて、Stay Greenモードで数値及びスケールで表示された計算されたPPM値を示すことができるグラフィカルユーザインターフェースの例を示す図である。
【
図4B】ユニットのスクリーン上に表示されて、TTGモードで数値及びスケールで表示された計算されたPPM値を示すことができるグラフィカルユーザインターフェースの例を示す図である。
【
図5】ユーザの喫煙活動を説明するためにシステムをどのようにプログラムできるかの1つの変形例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ユーザから取得したeCO値を使用して、ユーザが喫煙行動と測定されたeCO値との間のリンクを視覚化及び内在化するのを支援することにより、やめるようにユーザを教育及び動機付けることができる。eCO値を定量化すると、ユーザの体内のCOの半減期を使用して、COが所望のレベル、例えば非喫煙者の典型的なCOレベルである6PPM以下まで消散する時間を予測することができ、そして、この情報を使用してユーザに動機付けになる内容又はガイダンスを提供することができる。例えば、6PPM以下の目標レベルを「グリーン」レベルとしてユーザに提示することができ、ここで、検出された量がグリーンレベル内に収まるようにCOが消散するまでの推定時間は、「グリーンまでの時間」(TTG)と見なすことができる。
【0021】
ユーザの体内のCOの半減期は、血液量又はヘモグロビン測定値の代用として、タバコに対するユーザの反応を監視するために使用することができる。半減期値はまた、低ヘモグロビン値などの潜在的な血液の健康問題の指標としても使用することができる。
【0022】
体内のCO消散に標準化された半減期値を使用するのではなく、特定のユーザ向けに個別化されたモデルを作成して、睡眠量、活動レベルなどのユーザの活動メトリックを説明するパーソナライズされた半減期を生成することができる。モデルはまた、ユーザの体内に既に存在する可能性のある組み込まれたCOに加えて、パーソナライズされたモデルに対してユーザが自己報告した喫煙本数を考慮することができる。
【0023】
ユーザからeCOを取得する際に、ユーザの生体測定データのうちの1つ以上を測定することに基づいて、ユーザの喫煙行動を非侵襲的に検出及び定量化することによって、ユーザの特定の生体測定データを取得することができ、ただし、他の生体測定データも使用することができる。そのような測定又はデータ収集は、携帯型測定ユニット又は固定測定ユニットを使用することができ、これらのいずれかは、定量分析を実行するために1つ以上の電子デバイスと通信する。あるいは、携帯型/固定ユニットで分析を実施することができる。例えば、携帯型ユニットは、キーホルダ、個人のタバコ用ライター、携帯電話、又は定期的に個人と共にある他の物品に結合することができる。あるいは、携帯型ユニットは、スタンドアロンユニットであってもよく、又は個人が着用してもよい。
【0024】
図1は、システム及び/又は方法の1つの変形例を示し、ここで、生体測定データの複数のサンプルをユーザから取得して分析してタバコの煙へのユーザの曝露を定量化し、それにより、定量化された情報を個人、医療介護者、及び/又は個人の健康に関係する他の当事者に中継することができる。以下に議論される例は、呼気のサンプル内のeCOの量を測定する一般的に入手可能なセンサを用いて、個人から呼気の複数のサンプルを取得する携帯型デバイス20を使用する。しかしながら、定量化及び情報転送は、呼気に基づく喫煙の曝露に限定されない。上記のように、ユーザの喫煙曝露を取得するための多くのサンプリングメカニズムがある。本実施例に記載された方法及びデバイスは、本発明の範囲内にとどまりながら、可能であれば、任意の数の異なるサンプリングメカニズムと組み合わせたり、補足したりすることができる。
【0025】
eCOレベルの測定は、個人の喫煙状況を評価するための即時の非侵襲的方法として役立つことが知られている。非喫煙者のeCOレベルは、例えば、0ppm~6ppmの範囲であり得る。
【0026】
図示のように、携帯型又は個人用サンプリングユニット20は、個人用電子デバイス10又はコンピュータ12のいずれかと通信することができる。個人用電子デバイス10は、スマートフォン、携帯電話、又は個人用サンプリングユニット20からデータを受信するように設計又はプログラムされた他の個人用送信デバイスを含むが、これらに限定されない。同様に、コンピュータ12は、パーソナルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートサーバなどを含むことが意図されている。個人用サンプリングユニット20からのデータ送信14は、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12の両方又はいずれかに対して行うことができる。更に、個人用電子デバイス10とコンピュータ12との間の同期16は任意である。個人用電子デバイス10、コンピュータ12、及び/又は個人用サンプリングユニット20のいずれかは、本明細書に記載されるように、データ分析のためにデータをリモートサーバに送信することができる。あるいは、データ分析は、サンプリングユニット20(又はコンピュータ12又は個人用電子デバイス10)などのローカルデバイスに含まれているプロセッサを介して、完全に又は部分的に行うことができる。いずれの場合でも、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12は、
図1に示されるように、個人、介護者、又は他の個人に情報を提供することができる。
【0027】
個人用サンプリングユニット20は、収集入口又は開口部22を介して、個人から呼気18のサンプルを受け取る。個人用サンプリングユニット20内のハードウェアは、呼気サンプル内のCOガスを検出する任意の種類の電気化学ガスセンサ、データを送信する14送信ハードウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー、又は他の電波を介してデータを送信する)を含むことができる。次に、送信されたデータ並びに関連する測定値及び定量化を、コンピュータディスプレイ12又は個人用電子デバイス10のいずれか(又は両方)に表示する。代替的に、又は組み合わせて、情報のいずれかを携帯型サンプリングユニット20上に選択的に表示することができる。
【0028】
個人用サンプリングユニット20(又は個人用呼気ユニット)はまた、標準ポートを使用して、それぞれのデバイス10及び12との直接有線通信を可能にすることができる。特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20はまた、取り外し可能又は内蔵のいずれかのメモリストレージを含むことができ、それにより、メモリは、データの記録及びデータの別個の送信を可能にする。あるいは、個人用サンプリングユニットにより、データの記憶及び送信を同時に行うことができる。デバイス20の更なる変形例は、メモリストレージを必要としない。更に、ユニット20は、任意の数のGPS構成要素、慣性センサ(動きを追跡するため)、及び/又は患者の行動に関する追加情報を提供する他のセンサを使用することができる。
【0029】
個人用サンプリングユニット20はまた、任意の数の入力トリガ(スイッチ又はセンサなど)24、26を含むことができる。以下に記載されるように、入力トリガ24、26は、個人が呼気サンプル18の送達のためにデバイス20を準備すること、又は喫煙したタバコの量、強度などのタバコに関する他の情報を記録することを可能にすることができる。更に、個人用サンプリングユニット20の変形例は、デバイス20への任意の入力のタイムスタンプを関連付けることもできる。例えば、個人用サンプリングユニット20は、データを送信する14際に、サンプルが提供される時間を関連付け、そして測定又は入力されたデータを測定の時間と共に提供することができる。あるいは、個人用サンプリングユニット20は、代替のメカニズムを使用して、サンプルが取得される時間を特定することができる。例えば、一連のサンプルが与えられた場合、各サンプルのタイムスタンプを記録するのではなく、一連のサンプルの各サンプル間の期間を記録することができる。したがって、任意の1つのサンプルのタイムスタンプを識別することにより、一連のサンプルの各サンプルのタイムスタンプを決定することができる。
【0030】
特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20は、最小のプロファイルを有し、最小の労力で個人が容易に運ぶことができるように設計されてもよい。したがって、入力トリガ24は、薄型の触覚スイッチ、光学スイッチ、静電容量式タッチスイッチ、又は任意の一般的に使用されているスイッチ若しくはセンサを含むことができる。携帯型サンプリングユニット20はまた、任意の数の一般的に知られている技術を使用して、ユーザにフィードバック又は情報を提供することができる。例えば、図示のように、携帯型サンプリングユニット20は、以下で説明されるように選択情報を示すスクリーン28を含むことができる。代替的に又は追加的に、フィードバックは、振動要素、可聴要素、及び視覚要素(例えば、1つ以上の色の照明源)の形式であり得る。フィードバック構成要素はいずれも、個人にアラームを提供するように構成することができ、このアラームは、サンプルを提供する、及び/又は喫煙行動の測定に関連するフィードバックを提供するためのリマインダとして機能することができる。更に、フィードバック構成要素は、システムが生体測定(eCO、COレベル、H2など)及び他の行動データ(手動で又はユニットに結合されたGPS構成要素を介して入力された位置、タバコの数、又は他のトリガなど)をキャプチャする期間を延長するために、呼気の定期的なサンプルを提供するように個人に思い出させるように繰り返し個人にアラートを提供することができる。場合によっては、初期プログラム又はデータキャプチャ中に、リマインダをより高い頻度でトリガすることができる。十分なデータが得られたら、リマインダの頻度を減らすことができる。
【0031】
サンプリングユニット20を用いて呼気サンプルを取得する際には、ユニット20を使用するように被験者を訓練するために、誘導呼気検査において被験者に表示するための指示を個人用電子デバイス10又はコンピュータディスプレイ12上に提供することができる。一般に、例えば、電子デバイス10のスクリーン28上で、被験者に、最初にユニット20から離れて息を吸い込み、次に、設定された期間にわたってユニット20に息を吐き出すように指示することができる。ユニット20は、例えば逆止弁と流体的に結合された1つ以上の圧力センサを任意に組み込んで、被験者がユニット20を通して息を吸い込むか否かを検出することができる。
【0032】
ユーザからeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の更なる例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、及び同第10,335,032号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図2Aは、ユニット20の正面図を示しており、ユーザの呼気のサンプルがユニット20内で受け取られて処理されると、スクリーン28上に提示されるディスプレイの一例を示す。システムがサンプル内に存在するCOレベルを決定すると、ユニット20は、測定されたCOレベルを表示すると共に、ユーザのCOレベルが喫煙状況を判断するための指標として使用され得ることを前提として、測定されたレベルがスケール上のどの位置にあるかを示す視覚的表示を表示することができる。
図2Aは、一例を示しており、そこで、eCOが45PPMのレベルを有すると測定され、更に、ユーザがその間に再び喫煙しないことを前提として、ユーザの体内のCOレベルが、ユーザの体内のCOレベルが0~6PPMの間である場合のグレーンレベルに低下するまでに経過する必要のある時間長(「Time To Green」又はTTG)を示すタイマを表示する。この例は、測定されたeCOレベルが45PPMの場合、ユーザがこの期間に喫煙しないことを前提として、ユーザ内のCOレベルがグリーンレベル(例えば、0~6PPM)に低下すると予想される前に、数時間のTTGが経過する必要があることを示す。
【0034】
更に、eCOは通常、血中CO含有量(CO結合ヘモグロビン又は一酸化炭素ヘモグロビン)とよく相関しているため、eCOの増加は、CO結合ヘモグロビンの割合の増加を表す場合がある。これはまた、CO結合ヘモグロビンの総量を総ヘモグロビンの割合で割ったものとしてユーザに表すことができる。
【0035】
この情報が提示されると、ユーザは、非喫煙者の典型的なCOレベルを表すグリーンレベルに到達する目標を設定するように動機付けられる可能性がある。ユーザがユニット20(又は個人用電子デバイス10又はコンピュータ12)でeCOを測定するたびに、ユーザがグリーンレベルに達するまでの概算TTGを計算することができる。他の代替的な変形例では、ユーザは、グリーン(TTG)に到達する以外のユーザ定義の目標を設定することもできる。例えば、ユーザが例えば15PPM未満の値を記録したことがない場合、ユーザは、例えば12PPM未満の目標を設定することができ、したがってユーザ定義の目標は、より容易に達成可能であり、ユーザはこの代替目標を達成するためにより動機付けられる可能性がある。
【0036】
ユーザから呼気サンプルを取得する際には、eCO読み取り値は時刻又は一日中のユーザの喫煙スケジュールによって異なる可能性があるため、ユーザの通常の活動と概ね一致する呼気サンプルを取得することが望ましい場合がある。したがって、毎日のCOレベルのモデルが喫煙スケジュール及び/又は過去のCOレベルに基づくことができるように、日ごとに一貫している特定の時間又は特定の時間範囲で取得されたeCO読み取り値を経時的に比較することが役立つ場合がある。これにより、ユーザは、変化により容易に対応することができ、例えば、ユーザは、毎日のスケジュールから特定のタバコを排除して、これが全体的なCOレベルにどのように影響するかを調べることを試みることができる。更に、これにより、例えば、所与の特定の時間又は記録されたタバコの数についてCO値がモデルと異なる場合に、ユーザがモデルからの逸脱に容易に対応できるようになる可能性がある。
【0037】
1つの変形例では、ユーザは、例えば、ユニット又は個人用デバイスを介して、一日の指定された(又はおおよその)時間に指定された数の呼気サンプル(例えば、1日あたり4つのサンプル)を提供するように促されるか、又は警告される可能性がある。時間の例には、例えば、起床時、昼食前、午後半ば、及び就寝前が含まれてもよい。これらの時間のそれぞれについて十分なデータが与えられた場合、これらの指定された時間でのeCO読み取り値を、一定期間(1週間以上など)にわたってグラフ化して、ユーザに進捗状況のより良好でより明確な視覚的表示と、洞察の機会とを提供することができる。このアプローチはまた、一定期間にわたって取得されたすべてのeCO読み取り値で視覚的なチャートを単に提供するよりも、ユーザに進捗状況の比較的良い概要(及びより良い動機付け)を提供することができる。
【0038】
指定された時間又は時間範囲に加えて、他の関心のあるパラメータを使用して、進捗状況の簡略化された視覚的インジケータを生成することができる。そのようなパラメータは、例えば、最小、最大、及び/又は平均eCO値を含み得る。他の追加パラメータはまた、例えば、所与の日に提供されたサンプルの最低四分位数の平均のような四分位数範囲を含み得る。これらのパラメータが適度に正確なタバコのログ又はカウントと組み合わされる場合(以下で更に詳細に記載されるように)、例えば、その日の最初のタバコの前に読み取り値を取得するか、又はその日の最初のタバコの後に読み取り値を取得するなど、追加の推論又はサンプルの自動分類を行うことができる。
【0039】
1つの変形例では、ユニット20は、ユーザのTTGを決定する際に、標準化されたCO半減期時間(例えば、約4時間)を使用することができる。この標準化されたCO半減期時間は、控えめな母集団平均に基づいてもよく、ここで、CO半減期時間(例えば、COレベルが体内で半分に消散する時間)は、母集団から得られた平均値である。センサの変動性、センサノイズ、自然な呼気読み取り値などの変数を説明するために、開始値及び終了値を必要に応じて補償して、例えばグリーン範囲の終わりである6PPMの値の代わりに4PPMの値を目標とすることができる。
【0040】
別の変形例では、特定のユーザむけに個別化されたモデルを作成して、睡眠量、活動レベルなどのユーザの活動メトリックを説明するパーソナライズされた半減期を生成することができる。システムは、ユニット20(又は個人用電子デバイス10又はコンピュータ12)によって以前に記録された以前のデータを使用することができる。追加的に及び/又は代替的に、以前のデータは、Fitbit(登録商標)(Fitbit,Inc.,カリフォルニア州サンフランシスコ)、Apple(登録商標)Health(Apple,Inc.,カリフォルニア州クパチーノ)、又は別の健康追跡プラットフォームなどのサードパーティ健康追跡プラットフォームからインポートされ得る。
【0041】
図2Bは、スクリーン28上に提示された別の変形例を有するユニット20を示し、ここで、ユーザは、グリーンレベル(例えば、0~6PPM)内にある測定されたeCO値を提供することができる。この表示は、ユーザの体内のCOレベルが十分に消散するのに十分な時間が経過した(TTG)ことをユーザに知らせ、更に、ユーザがグリーンレベルに達するのに十分な時間喫煙を控えたことを示す。言い換えれば、ユーザは、目標に到達するのに十分な時間、喫煙を控えるというチャレンジに成功した。
【0042】
しかしながら、一部のユーザは、この目標を達成することをライセンスと考えて、「奨励」として喫煙する場合がある。TTG目標の誤解や不適切な使用を防ぐために、システムは、ユーザがグリーンレベルに到達した後、可能な限り長くeCOレベルをグリーンレベル内に維持する(「Stay Green」)ようにユーザを奨励する追加の戦略を更に組み込むことができる。例えば、eCOレベルが初めてグリーンレベル内に収まった後、Stay Greenタイマはゼロからカウントアップを開始することができ、ユニット20は、ユーザが自分のeCOをグリーンレベル内にとどめた、又は維持した時間を表示することができる。この表示された「Stay Green」時間は、ユーザが「Stay Green」時間を以前の「Stay Green」時間と比較して、時間の経過と共に最長の「Stay Green」ストリークを増やそうとするように促すことができる。グリーンレベル内に維持された後続のサンプルでは、Stay Green時間をロックインして、グリーンレベル内の累積時間を表示し続けることができる。禁煙後であっても、ユーザは、グリーンストリークを継続的に増加させることで満足を得ることができる。
【0043】
この「Stay Green」段階の間、システムは、「Stay Green」段階において時間を累積し続けるために、定期的にサンプリングするようにユーザに促すことができる。例えば、「Stay Green」時間を増加させるために、又はストリークに完全な中間時間を追加するために、ユーザに、覚醒時間中に、所定の期間、例えば4時間以内ごとにサンプリングするように促す又は要求してもよい。後続のサンプルがグリーンレベルを超えていると測定された場合、Stay Green時間は停止され、グリーンレベルに戻るための更なる動機付けとしてTTGタイマを開始することができる。
【0044】
COの排出速度の自然変動、及びデバイスの精度を説明するために、TTG値の控えめな推定値、例えば、平均半減期値を用いて計算した標準半減期よりもわずかに長い値を与えることが望ましい。これは、現在のeCO値が6PPMの限界に近い場合に特に当てはまる。
【0045】
一方、より高い半減期値(例えば、5時間)を使用するだけでは、より高いCOレベルに対してTTG値が誇張される可能性があり、ユーザを不必要に落胆させる可能性がある。したがって、6PPM限界値に近い値又は遠い値で一対の方程式を使用することができ、2つの方程式の間の連続性を維持するためにカットオーバー点を選択する(例えば、両方の方程式はカットオーバー点で同じ値を与える)。ただし、与えられた方程式とカットオーバー点は、使用できる任意の数の方程式又はパラメータの一例である。その人の半減期をパーソナライズするのに十分なデータを収集し、また例えば活動情報も収集できる場合、個人の特性に基づいてより正確なTTG時間を提供することができる。したがって、非グリーン値が検出されるたびに、新しいTTGエンドポイント時間を、2つのアプローチのいずれかを使用して計算する。12PPM以上のPPM値の場合、グリーンまでの時間(TTG1)は、以下の式(1)を用いて計算することができる。
【0046】
【数1】
式中、
TTG
1=グリーンまでの時間(時間単位)
CO
ppm=PPM読み取り値(≧12PPM)
【0047】
12PPM未満のPPM値の場合、グリーンまでの時間(TTG2)は、以下の式(2)を用いて計算することができる。
【0048】
【数2】
式中、
TTG
2=グリーンまでの時間(時間単位)
CO
ppm=PPM読み取り値(<12PPM)
【0049】
追加的に及び/又は代替的に、以下の表1に示すように、サンプルから得られた特定のPPM読み取り値に基づいて概算TTGを決定する際に、標準化された表を利用することもできる。
【0050】
【0051】
図3は、ユニット20に関してTTG及びStay Green戦略を実施するためにシステムをどのようにプログラムできるかの1つの変形例の流れ図を示す。eCOサンプルがユーザから取得される30と、ユニット20、個人用電子デバイス10、又はコンピュータ12内のプロセッサは、サンプル内の対応するCOレベルを決定する32ようにプログラムされ得る。得られるPPMレベルが所定の閾値(例えば、6PPM)未満である場合、システムは、グリーンレベルにある時間を決定して、閾値レベルを下回る累積時間長を追跡34してユーザに表示する(Stay Green)。しかしながら、サンプルCOレベルが所定の閾値を超えている場合、システムは、COレベルがユーザの体内の閾値を下回ると予想されるまでの推定時間のカウントダウンを開始(又は継続)することによって、グリーンレベルに達するまでの時間を決定する36ことができる(TTG)。ユーザがeCO決定のためにユニット20にサンプルを提供するたびに、TTG又はグレーンまでの累積時間(Stay Green)のいずれかを計算することができる。ユーザがサンプルの間にタバコの煙を吸ったり吸い込んだりすると、それに応じてTTG又はStayGreenの値が調整される。
【0052】
ユニット20のスクリーン28上に表示され得るグラフィカルユーザインターフェースの一例が
図4Aに示されており、これは、数値及びスケール42で表示された計算されたPPM値40を示し、スケール42は、緑色ゾーン(例えば、0~6PPM)、黄色ゾーン(例えば、>6~9PPM)及び赤色ゾーン(例えば、>9PPM)に分けられ、これらのゾーンは、ユーザのeCOレベルがどのように比較されるかの相対スケールをユーザに提供するように設計される。(黄色ゾーン内にあるサンプル読み取り値の場合、以前に継続していたStay Greenカウンタは、時間を累積し続けることができるが、新しいTTG値も表示される可能性がある)。視覚的マーカー44は、ユーザのeCOレベルがどこに存在するかに応じて、スケール42に沿って移動することができる。この例では、測定された2PPMのeCO値は、緑色ゾーン内のスケール42に沿って位置する視覚的マーカー44を示す。それに応じて、ユーザが喫煙活動を控え続けることにより、eCOレベルをグリーンゾーン内に維持し続けることへの励まし及び挑戦として、ユーザがeCOレベルをグリーンゾーン内に維持することに成功した累積時間長を示す対応するタイマ46が表示され得る。
【0053】
ユーザのeCOレベルがより高いレベル、例えば
図4Bに示される例に示されるように、45PPMで測定される場合、対応するPPM値40は、スケール42上に表示され得るが、視覚的マーカー44は、上昇した読み取り値を反映するために、スケール42の赤色ゾーン内に位置する。次に、スクリーン28は、喫煙活動を更に控えるようにユーザを動機付けるように、ユーザ内のCOレベルがグリーンゾーンに低下すると推定されるまで、カウントダウンタイマ48を表示することができる(TTG)。
【0054】
図5は、例えば、ユニット20によって呼気サンプルが採取される時間の間に、ユーザの喫煙活動を説明するためにシステムをどのようにプログラムできるかの1つの変形例の流れ図を示す。ユーザがユニット20で呼気サンプルを採取する前に喫煙した場合、TTG時間が計算され、ユーザに示され50、次に、ユーザは、オプションで喫煙したか否かについて質問される52場合があり、次いで、ユニット20に喫煙したタバコの数を記録する54オプションも提供される。次に、ユニット20又はシステムは、更新されたTTG時間が計算され、及び/又はユーザに表示され得るように、グリーンまでの時間を再計算する54ことができる。
【0055】
ユーザに動機付け及び環境を提供するための更に別の変形例として、ユーザのステータス又は進捗状況を類似のユーザのステータス又は進捗状況と比較する際にコホートベンチマーク情報を提供してユーザに表示することができる。他の類似のユーザのコホートは、ユーザにとって有用で動機付けとなる可能性のある比較を生成するために、様々な基準を使用して構築されてもよい。類似のユーザコホートを分類するために使用できる様々な基準の一部の例は、例えば、同じ年齢であること、同じサインアップコホートに属すること(例えば、同じ企業又は職場など)、同様の初期喫煙プロファイルを有すること(例えば、1日あたり喫煙半パック)、同じ性別、同様の体重などを含み得る。
【0056】
また、ステータス及び進捗状況インジケータを選択して、ユーザに動機付けとなる方法でユーザに提示することができ、例えば、「今週のCO値は、あなたのいる都市の他の人より0.2%高いです」などのメッセージを提供するのではなく、代わりに、「週平均CO読み取り値が15%低下し、プログラムを同時に開始した他の人よりも10%低くなりました!」など、インジケータを動機付けとなる方法で提供することができる。
【0057】
あるいは、定義されたコホート内の関心のある指標を比較するのではなく、関心のある指標を使用してコホートを構築し、そのコホートのパフォーマンスに基づいてユーザに役立つメッセージ又は動機付けとなるメッセージを提供することができる。例えば、「平均夜間COを週に20%減少させました!これを行った他の人は、翌月に禁煙に成功する可能性が40%高くなっています」などである。
【0058】
CO読み取り値は、喫煙行動だけでなく影響を受けるため(例えば、体重)、比較目的のために変更されたメトリックを使用してデータを「標準化」することもできる。減少率は1つの例であるが、別の例には、標準ベースライン(例えば、6PPM)を超える値又は以前のデータから生成された個人ベースラインを超える値である過剰なCOが含まれる場合がある。値が個人ベースラインと比較して提示される場合、ユーザのCOレベルが前週の平均の50%又は以前の最大レベルを下回るまでの時間など、他の代替パラメータを提示してもよい。例えば、「今週のCO読み取り値の90%が先週の平均を下回りました!最初の4週間でそれを達成できるユーザはわずか10%だけです!」などのメッセージを提示してもよい。
【0059】
記載された異なる変形例のいずれにおいても、異なる変形例間の任意の数の機能は、任意の数の組み合わせで組み合わされることが意図されている。例えば、ユニット20(又は個人用デバイス又はコンピュータ)は、TTG又はStay Green機能のいずれかを、コホートパーソナライズ変形例及び/又は記載された任意の他の機能のいずれかと共に組み込むようにプログラムされ得る。
【0060】
例示的な例が上述されているが、様々な変更及び修正がその中で行われ得ることは当業者には明らかであろう。更に、上記の様々な装置又は手順はまた、実行可能な限り、互いに組み合わせて利用されることも意図されている。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正をカバーすることを意図している。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) ユーザに禁煙を奨励するように構成された装置であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取り、前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定するように構成されたサンプリングユニットを備え、
前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第1のタイマを開始するようにプログラムされ、
前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第1の時間長に対応する、装置。
(2) 前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第2のタイマを開始するように更にプログラムされ、
前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第2の時間長に対応する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルを決定するためのプロセッサを含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記サンプリングユニットは、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記ユーザに表示するためのスクリーンを含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記サンプリングユニットは、前記累積時間の視覚的インジケータを表示するように更にプログラムされている、実施態様1に記載の装置。
【0062】
(6) 前記サンプリングユニットは、前記カウントダウン時間の視覚的インジケータを表示するように更にプログラムされている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記所定の閾値は、6PPMの一酸化炭素レベルを含む、実施態様1に記載の装置。
(8) ユーザに禁煙を奨励する方法であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、
前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第1のタイマを開始することとを含み、前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第1の時間長に対応する、方法。
(9) 前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第2のタイマを開始することを更に含み、前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第2の時間長に対応する、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気をサンプリングユニットに受け取ることを含む、実施態様8に記載の方法。
【0063】
(11) 前記呼気一酸化炭素のレベルを決定することは、前記レベルを前記ユーザに視覚的に表示することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記第2のタイマを開始することは、前記後続のサンプル呼気のうちの少なくとも1つが、前記所定の閾値を超える呼気一酸化炭素をもたらすまでの前記累積時間を前記ユーザに表示することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記呼気一酸化炭素のレベルよりも高い第2の呼気一酸化炭素レベルを有する後続のサンプル呼気を受け取ると、前記カウントダウンタイマを調整することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記第1のタイマを開始することは、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルの半減期値に対応する前記カウントダウン時間を決定することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(15) 前記所定の閾値は、6PPMのレベルを含む、実施態様8に記載の方法。
【0064】
(16) ユーザに禁煙を奨励する方法であって、
前記ユーザからサンプル呼気を受け取ることと、
前記ユーザの体内の一酸化炭素レベルを示すものとして前記サンプル呼気から呼気一酸化炭素のレベルを決定することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルを前記ユーザに視覚的に表示することと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが所定の閾値未満であると判断すると、累積時間を追跡するための第1のタイマを開始することと、
前記累積時間を前記ユーザに表示することであって、前記累積時間は、後続のサンプル呼気が、前記呼気一酸化炭素のレベルを前記所定の閾値未満に維持する第1の時間長に対応する、ことと、
前記呼気一酸化炭素のレベルが前記所定の閾値を超えていると判断すると、カウントダウン時間を追跡するための第2のタイマを開始することと、
前記カウントダウン時間を前記ユーザに表示することであって、前記カウントダウン時間は、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルが前記所定の閾値未満に消散すると予想されるまでの第2の時間長に対応する、こととを含む、方法。
(17) 前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気をサンプリングユニットに受け取ることを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記呼気一酸化炭素のレベルを決定することは、前記レベルを前記ユーザに視覚的に表示することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記第1のタイマを開始することは、前記後続のサンプル呼気のうちの少なくとも1つが、前記所定の閾値を超える呼気一酸化炭素をもたらすまでの前記累積時間を前記ユーザに表示することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記呼気一酸化炭素のレベルよりも高い第2の呼気一酸化炭素レベルを有する後続のサンプル呼気を受け取ると、前記カウントダウンタイマを調整することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
【0065】
(21) 前記第2のタイマを開始することは、前記ユーザの体内の前記一酸化炭素レベルの半減期値を決定することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
【国際調査報告】