(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】電気インピーダンス測定を使用した血行力学の評価
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0536 20210101AFI20230303BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20230303BHJP
【FI】
A61B5/0536
A61B5/33 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540531
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2020062492
(87)【国際公開番号】W WO2021137136
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518411132
【氏名又は名称】ティンペル・メディカル・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ・ダヴィ・マドゥレイラ・イオペ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127BB05
4C127CC06
(57)【要約】
本明細書では、電気インピーダンスベースのデバイスを用いて血行力学的評価を実行するためのシステム、非一時的コンピュータ可読媒体、及び方法が開示される。システムは、複数の電極と、複数の電極に結合されたコントローラと、を含み得る。コントローラは、インピーダンスデータセットのシーケンスを受信し得る。コントローラは、対応するインピーダンス画像を生成し得る。コントローラは、操作前の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定し得る。コントローラは、操作後の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1のROIから操作後血行力学的測定を決定し得る。コントローラは、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信し得る。コントローラは、操作前血行力学的測定、操作後血行力学的測定、及び操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに基づいて、血行力学的性能指数を決定し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換ボリュームの導入の前に、インピーダンスベースのデバイスを使用して血行力学的評価を実行するための方法であって、
第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)に関連付けられた第1のインピーダンス定量化を決定することであって、前記第1のインピーダンス画像は、外部操作前の患者の第1の状態に関連付けられ、外部操作は、胸腔内圧の変化、模擬置換ボリューム、又はその両方を引き起こす、ことと、
前記外部操作を実行することと、
第2のインピーダンス画像における前記第1の関心領域に関連付けられた第2のインピーダンス定量化を決定することであって、前記第2のインピーダンス画像は、外部操作後の前記患者の第2の状態に関連付けられている、ことと、
前記外部操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することと、
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータの変化に応答して、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリューム又はその両方を決定することと、
前記第1のインピーダンス定量化と前記第2のインピーダンス定量化との差を考慮して、少なくとも1つの血行力学的パラメータを決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)値、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量値、一回呼吸量の変化、又は位置の変化のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、機械的人工呼吸デバイス、前記患者の呼吸系を測定するように構成された圧力センサ、前記患者の前記呼吸系を測定するように構成された流量センサ、又は前記患者の前記呼吸系を測定するように構成された二酸化炭素センサのうちの1つ以上から受信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、外部デバイスから、前記インピーダンスベースのデバイス内に配設されたセンサから、又はその両方から、前記インピーダンスベースのデバイスの入力デバイスを介して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インピーダンスベースのデバイスによって生成されたインピーダンスデータから呼吸成分データを決定することと、
前記呼吸成分データから前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを生成することと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の関心領域(ROI)は、心臓領域若しくは肺領域、又はその両方に関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外部操作は、前記患者の姿勢の変化又は少なくとも1つの肢部の位置の変化のうちの1つ以上を含む心前負荷シミュレーション操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外部操作は、機械的人工呼吸操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、
前記第1の複数の電気インピーダンス信号から前記第1のインピーダンス画像を再構成することと、第2の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、
前記第2の複数の電気インピーダンス信号から前記第2のインピーダンス画像を再構成することと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの血行力学的パラメータは、パルスインピーダンス変動(PIV)、心拍出量(CO)、収縮期ボリューム(SV)、PIVの変化、COの変化、又はSVの変化のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
インピーダンスデータセットのシーケンスを受信するステップであって、前記インピーダンスデータセットのシーケンスのそれぞれのインピーダンスデータセットは、置換ボリュームの導入前の対応する時間的瞬間に関連付けられている、ステップと、
外部操作前の時間的瞬間に関連付けられた第1のインピーダンスデータセットから操作前血行力学的測定を決定するステップであって、外部操作は、胸腔内圧の変化、模擬置換ボリューム、又はその両方を引き起こす、ステップと、
外部操作後の第2の時間的瞬間に関連付けられた第2のインピーダンスデータセットから操作後血行力学的測定を決定するステップと、前記外部操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信するステップと、
前記操作前血行力学的測定、及び前記操作後血行力学的測定を使用して血行力学的数値を決定するステップと、を含むステップを実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記非一時的コンピュータ可読媒体は、電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスプロセッサによって、又は電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスに結合された汎用コンピュータプロセッサによって実行されるように構成されており、前記命令は、前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスプロセッサに、
前記第1のインピーダンスデータセットから第1のインピーダンス画像を再構成させ、前記第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)から前記操作前血行力学的測定を決定させ、
前記操作後血行力学的測定の前記決定の前に、前記第2のインピーダンスデータセットから第2のインピーダンス画像を再構成させ、
前記第2のインピーダンス画像における前記第1の関心領域(ROI)から操作後インピーダンス画像を決定させる、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記外部操作は、機械的人工呼吸器操作を含み、前記命令は、前記プロセッサに、前記操作後血行力学的測定の前記決定の前に、及び前記操作前血行力学的測定の前記決定の後に、前記機械的人工呼吸器操作を自動的に実行するように機械的人工呼吸器に要求させる、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
命令は、前記プロセッサに、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータの変化に少なくとも部分的に基づいて、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリュームを決定させる、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、機械的人工呼吸器、流量センサ、圧力センサ、ボリュームセンサ、電気インピーダンス測定デバイス、又は電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスから受信される、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記操作前血行力学的測定及び前記操作後血行力学的測定は、パルスインピーダンス変動(PIV)、心拍出量(CO)、又は収縮期ボリューム(SV)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記血行力学的数値は、前記操作前血行力学的測定と前記操作後血行力学的測定との間の差を含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、前記血行力学的数値をしきい値レベルと比較して流体応答性を決定させる命令を含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムを備えるシステムであって、
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムは、
複数の電極と、
前記複数の電極に結合されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、
前記複数の電極から電気インピーダンス断層撮影(EIT)データを収集するように構成されたインターフェースモジュールと、少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含み、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コントローラに、
置換ボリュームの導入前にインピーダンスデータセットのシーケンスを受信することと、
それぞれのインピーダンスデータセットから、対応するインピーダンス画像を生成することと、
外部操作前の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定することであって、外部操作は、胸腔内圧の変化、模擬置換ボリューム、又はその両方を引き起こす、ことと、
外部操作後の少なくとも1つのインピーダンス画像の前記第1の関心領域(ROI)から操作後血行力学的測定を決定することと、
前記外部操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することと、
少なくとも前記操作前血行力学的測定及び前記操作後血行力学的測定に基づいて、血行力学的数値を決定することと、を行わせる、システム。
【請求項20】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムの入出力インターフェースに結合された入出力インターフェースを含む機械的人工呼吸器を備え、前記機械的人工呼吸器は、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに送信するように構成された計算デバイスを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記命令は、前記コントローラに、前記外部操作に関連付けられた前記機械的人工呼吸器に少なくとも1つの制御コマンドを送信させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムの入出力インターフェースに結合された入出力インターフェースを含む自動ベッドを更に備え、前記自動ベッドは複数のベッド位置に構成されており、前記自動ベッドは、ベッド位置データを前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに送信するように構成されており、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを受信することは、前記ベッド位置データを受信することを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに接続された患者の位置データを測定するように構成された位置センサを備え、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを受信することは、前記位置センサから前記位置データを受信することを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記位置センサは、ビデオセンサ又は接触センサを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムは、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸センサを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸検知デバイスを備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、「ASSESSING HEMODYNAMICS USING ELECTRICAL IMPEDANCE MEASUREMENTS」について2019年12月30日に出願された米国仮特許出願第62/954885号の出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本項は、以下に記載又は特許請求される実施形態の態様に関連し得る当技術分野の様々な態様を読者に紹介することを意図している。本考察は、本開示の実施形態の態様の理解を容易にするため、背景技術情報として提供される。このように、記述は有用な背景技術を含むが、これらの記述は、先行技術の承認として解釈されるべきではない。
【0003】
電気インピーダンス断層撮影(Electrical Impedance Tomography、EIT)は、被験体の周囲に沿って配設された電極を使用してデータを収集することにより、被験体(例えば、患者又は物体)の一部分に関連付けられた画像又は生理学的測定を生成するために使用され得る非侵襲的撮像方法である。EITの潜在的な用途としては、人体のリアルタイムの断層画像又は生理学的測定が有用であり得る医療用途が挙げられる。一例として、EITは、集中治療室(ICU)環境における治療下の患者に特に有用であり得る、心肺系の非侵襲的監視を実行するために使用され得る。
【0004】
EITシステムでは、電気信号(例えば、電流)は、撮像される被験体の周囲(例えば、患者の胴体)に注入され得る。注入された電気信号から生じる電気的特性(例えば、電圧、電位)は、被験体の周囲で収集され得る。収集されたデータから、被験体のそれぞれの部分(例えば、ピクセル、ボクセル)における電気インピーダンスの推定値を示すマップが生成又は再構成され得る。このプロセスは経時的に繰り返されてもよく、断層画像のシーケンスは「ビデオ」を形成してもよい。このビデオは、医師又は他の臨床医に生理学的情報を提供するために用いられ得る。EITデータからの処理及び/又は定量化はまた、医師又は他の臨床医によって使用され得る生理学的パラメータ及び/若しくは性能指数を計算するために実行及び/又は使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、インピーダンスベースのデバイスを使用して血行力学的評価を実行するための方法を含み得る。この方法は、第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)に関連付けられた第1のインピーダンス定量化を決定することを含み得る。第1のインピーダンス画像は、操作前の患者の第1の状態に関連付けられ得る。この方法は、第2のインピーダンス画像における第1の関心領域に関連付けられた第2のインピーダンス定量化を決定することを更に含み得る。第2のインピーダンス画像は、操作後の患者の第2の状態に関連付けられ得る。この方法はまた、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することを含み得る。この方法は、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに応答して、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリューム又はその両方を決定することを更に含み得る。この方法はまた、第1のインピーダンス定量化と第2のインピーダンス定量化との間の差、及び胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリュームのうちの少なくとも1つを考慮して、少なくとも1つの血行力学的パラメータを決定することを含み得る。
【0006】
本開示の他の実施形態は、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサにインピーダンスデータセットのシーケンスを受信させ得る。インピーダンスデータセットのシーケンスのそれぞれのインピーダンスデータセットは、対応する時間的瞬間に関連付けられ得る。命令は更に、プロセッサに、操作前の時間的瞬間に関連付けられた第1のインピーダンスデータセットからの操作前血行力学的測定を決定させ得る。命令はまた、プロセッサに、操作後の第2の時間的瞬間に関連付けられた第2のインピーダンスデータセットからの操作後血行力学的測定を決定させ得る。命令は更に、プロセッサに、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信させ得る。命令はまた、プロセッサに、操作前血行力学的測定、操作後血行力学的測定、及び操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを使用して、血行力学的性能指数を決定させ得る。
【0007】
本開示の他の実施形態は、システムを含み得る。システムは、電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムを含み得る。EITシステムは、複数の電極と、複数の電極に結合されたコントローラと、を含み得る。コントローラは、複数の電極からEITデータを収集するように構成されたインターフェースモジュールを含み得る。コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を更に含み得る。命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コントローラに、インピーダンスデータセットのシーケンスを受信させ得る。命令は更に、コントローラに、それぞれのインピーダンスデータセットから対応するインピーダンス画像を生成させ得る。命令はまた、コントローラに、操作前の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定させ得る。命令は更に、コントローラに、操作後の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1のROIから操作後血行力学的測定を決定させ得る。命令はまた、コントローラに、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信させ得る。命令は更に、コントローラに、操作前血行力学的測定、操作後血行力学的測定、及び操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに基づいて血行力学的性能指数を決定させ得る。
【0008】
本開示の態様は、参照される図面と共に詳細な説明に従うことにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、電気インピーダンスデータを使用して血行力学を評価するために使用され得る方法の概略図である。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、血行力学を評価するために使用され得る電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムの概略図である。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、EITシステムを使用して電気インピーダンスデータを取得するための方法の概略図である。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、EIT再構成データを使用して血行力学を定量化又は評価するための方法のフロー図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、EIT再構成データからの血行力学データの計算を容易にする及び/又は検査するために使用され得るユーザインターフェースシステムの図である。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による血行力学を評価するために使用され得る、電気インピーダンスデータからの血行力学的性能指数の定量化の一例を示すチャートである。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、血行力学データから血行力学的性能指数を定量化する方法のフロー図である。
【
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、本明細書に記載の方法を使用して、患者の血行力学的応答の決定を容易にし得るユーザインターフェースを示すチャートである。
【
図9】本開示の1つ以上の実施形態による、電気インピーダンスデータから血行力学を決定する方法の性能を示す比較チャートである。
【
図10】本開示の1つ以上の実施形態による、血行力学データからの血行力学的性能指数を定量化する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に提示される図面は、任意のEITシステムの実際の図又はその任意の組み合わせではなく、本開示の実施形態について説明するのに用いられる、単なる理想的表現である。
【0011】
本明細書で使用される場合、単数形での記載は、文脈が別途明確に示されない限り、複数形も含むことを意図している。
【0012】
本明細書で使用される場合、材料、構造、特徴、又は方法に関して「できる、(し)得る(may)」という用語は、本開示の実施形態の実装でのそれらの使用が企図されていることを示し、かかる用語は、それらと組み合わせて使用可能である他の適合性のある材料、構造、特徴、及び方法は除外されるべき又は除外されなければならないことが示唆されるのを避けるために、「である(is)」というより制限的な用語より優先して使用される。
【0013】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」などの任意の関係語は、開示及び添付の図面を理解する際に明確化及び便宜上使用され、文脈が明確に別の意味を示している場合を除いて、任意の特定の優先度又は順序を暗示したり、依存したりしない。
【0014】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータ、特性、又は状態手段に関して「実質的に」という用語は、当業者であれば理解するであろう程度まで、所与のパラメータ、特性、又は状態が、許容可能な製造公差内など、小さな差異で満たされていることを意味し、それを含む。例として、実質的に満たされる特定のパラメータ、特性、又は状態に応じて、パラメータ、特性、又は状態は、少なくとも90.0%満たされ、少なくとも95.0%満たされ、少なくとも99.0%満たされ、又は更には少なくとも99.9%満たされ得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータに関して使用される「約」という用語は、記載された値を含み、文脈によって決定される意味を有する(例えば、それは、所与のパラメータの測定に関連付けられた誤差の程度並びに製造公差から生じる変動などを含む)。
【0016】
本開示は、電子インピーダンス断層撮影(EIT)方法及びシステム、より具体的には、インピーダンス測定からリアルタイム又は準リアルタイムで非侵襲的血行力学的測定を提供することができるEITシステムに関する。
【0017】
本開示の1つ以上の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装の特定の特徴が省略される場合がある。実施形態の実際の実装において、任意の工学又は設計プロジェクトのように、開発者の特定の目標を達成するためにいくつかの実装固有の決定が行われ、結果として、実装は互いに変化し得ることを理解されたい。更に、開発努力は複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、特定の開発は、本開示の利益を有する当業者にとって、設計、製作、及び製造の日常業務になるであろう。
【0018】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する際、単数形の記載は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。更に、本開示の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴を更に組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。更に、B「に基づく」Aという語句は、AがBに少なくとも部分的に基づいていることを意味することを意図している。
【0019】
本明細書で論じられるように、「電気インピーダンスデータ」に言及される場合がある。本明細書に記載されるように、電気インピーダンスデータは、電気インピーダンス断層撮影(EIT)システム若しくは電気インピーダンス測定デバイスから取得されたデータ、又は測定された被験体(例えば、患者、物体)の電気的特質(例えば、インピーダンス、抵抗率、静電容量、インダクタンス、誘電率など)に関する任意の他のデータに関する。電気インピーダンスデータは、生(すなわち、未処理)データ、フィルタリングされたデータ、及び/又は断層撮影で再構成されたデータを指す。電気インピーダンスデータからの断層撮影再構成は、本明細書では「電気インピーダンス画像」又は「電気インピーダンスビデオ」と具体的に称され得る。
【0020】
電気インピーダンス画像は、被験体の「絶対インピーダンス画像」、「差動インピーダンス画像」、及び「ボリューム測定画像」として更に説明され得る。絶対インピーダンス画像は、本明細書で論じられるように、それぞれのピクセル又はボクセルの表現(例えば、値)が撮像される被験体の対応する部分のインピーダンスに関連付けられている画像に関する。差動インピーダンス画像は、本明細書で論じられるように、それぞれのピクセル又はボクセルの表現(例えば、値)がベースライン画像に対する被験体の対応する部分のインピーダンスの変化に関連付けられている画像に関する。ボリューム測定画像は、本明細書で論じられるように、それぞれのピクセル又はボクセルの表現(例えば、値)が生物学的流体(例えば、空気、血液、水、組織型)のボリュームに関連付けられている画像に関する。更に、本明細書で言及されるインピーダンス画像又はビデオは、2次元(2D)又は3次元(3D)、並びに時間次元を有する断層動画であり得る断層画像又はビデオであり得ることを理解されたい。
【0021】
上述のように、測定の性質並びにデータの取得及び処理の速度により、EITなどの電気インピーダンスベースのシステムは、特定の診断及び/又は臨床処置中に医師の助けになり得る高周波のリアルタイム生理学的データを生成するために使用され得る。加えて、インピーダンスベースのシステムは、一般に非侵襲的であるため、広範な様々な状態でより広い範囲の患者集団に使用され得る。本開示は、患者の血行力学的評価のための心血管活性に関連付けられた生理学的パラメータを計算し得る、EITシステム及びその動作方法に関する。
【0022】
血行力学的評価は、特定のタイプの療法又はインターベンションが有益であり得る患者を特定するために使用され得る。例えば、ボリューム置換(すなわち、補液)は、心臓手術を受けている患者において一般的に使用され、それらの手術結果を改善する。しかしながら、患者の一部のみが、流体応答性があり、ボリューム置換に応答した収縮期ボリューム(systolic volume、SV)及び/又は心拍出量(cardiac output、CO)の増加から利益を得る。流体応答性ではない患者は、ボリューム置換から利益を得ることができず、そのようなインターベンションの潜在的な副作用の影響を受けやすい可能性がある。したがって、これらの患者におけるボリューム置換の効果のない又は潜在的に有害な使用を防止するために、血行力学的評価が使用され得る。より一般的に、血行力学的評価は、いくつかの臨床用途における強力な診断ツールであり得る。
【0023】
血行力学的評価のための従来のアプローチは、侵襲的技術を採用し得る。そのような技術の例として、特定のシステムは、末梢動脈に適用されたカテーテルを用いて、血圧信号の侵襲的測定を取得する。以下に詳述するように、侵襲的血圧信号は、何らかの外部操作中に監視され得、操作に対する血圧信号の応答は定量化され得る。心臓パラメータを測定するための侵襲的技術及び方法の使用は、ある特定の患者に何らかの合併症をもたらす場合があるため、その用途は限定される。したがって、上述のように、EITシステムなどの非侵襲的インピーダンスベースのデバイス及びシステムの使用は、血行力学的評価の適用を増大させ得る。
【0024】
上記を念頭に置いて、本開示は、上述のように、血行力学的評価に関する生理学的パラメータを計算するための、EITシステムなどのインピーダンスベースのシステムの使用に関する。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、インピーダンスデータのフィルタリング及び/又は再構成処理を用いて、画像の関心領域(ROI)における生理学的パラメータを定量化し得る。本明細書で論じられる血行力学的パラメータは、以下に詳述するように、パルスインピーダンス変動(PIV)、収縮期ボリューム(SV)、収縮期ボリューム変動(SVV)、心拍出量(CO)、関連測定基準、及び/又は他の血行力学的性能指数を含み得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、機械的人工呼吸システム及び/又は心電図モニタなどの他の医療機器に結合されて、改善された血行力学的評価のための追加の臨床データを受信し、及び/又は計算されたデータを提供し得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、血行力学的評価中に臨床医をガイドし得るユーザインターフェース(UI)を含み得る。
【0025】
図1は、患者12の血行力学的評価を実行する方法10の概略図を示す。血行力学的評価10では、患者12は、患者に血行力学的変化を引き起こし得るインターベンション14を受け得る。患者12は、電気インピーダンスデータ16を収集するインピーダンスベースのデバイスを使用して監視され得る。電気インピーダンスデータ16は、インターベンション14の前、インターベンション14の最中、及び/又はインターベンション14の後からのデータを含み得る。電気インピーダンスデータ16は、1つ以上の血行力学関連測定基準18を取得するために処理され得る。血行力学的測定基準は、施術者に表示され得るか、又は以下に詳述するように、警告信号若しくは他のタイプの表示を生成するためにしきい値と比較され得る。
【0026】
インターベンション14は、患者12の血行力学的変化を生成し得る任意の制御されたインターベンションであり得る。特定の状況では、心前負荷シミュレーション操作22(例えば、患者の姿勢の変化、肢部の位置の変化)が使用され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、血行力学的評価プロセス中に前負荷シミュレーション操作22を使用して、施術者に指示を提供するように構成され得る。例えば、インピーダンスベースのシステムは、前負荷シミュレーション操作22の開始及び/若しくは終了のタイミングに関連付けられた指示、並びに/又は処置のための特定の指示(例えば、「脚を45度上げる」)を提供し得る。電気インピーダンスデータ16は、提供された指示に従って記録され得、提供された指示に関連付けられたメタデータを含み得る。
【0027】
患者12が機械的人工呼吸器に接続されている状況では、人工呼吸器操作26が使用され得る。一例として、人工呼吸器の呼気終末陽圧呼吸(positive end-expiratiory pressure、PEEP)パラメータの一時的な変更(PEEP操作24)が、制御された様式で胸腔内圧を増加させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、血行力学的評価プロセス中に、施術者に人工呼吸器操作26を実行する指示を提供するように構成され得る。例えば、インピーダンスベースのシステムは、人工呼吸器操作26の開始及び/若しくは終了のタイミングに関連付けられた指示、並びに/又は処置のための特定の指示(例えば、PEEP操作24の場合は「PEEPを5cmH2O増加させる」)を提供し得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、機械的人工呼吸器に接続されて、呼吸データを人工呼吸器から受信し得、この呼吸データは、電気インピーダンスデータ16のメタデータとして含まれ得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、人工呼吸に関連付けられた呼吸データを提供し得る流量及び/又は圧力センサを含み得、この呼吸データは、電気インピーダンスデータ16のメタデータとして含まれ得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスベースのシステムは、機械的人工呼吸器を制御して、血行力学的評価を実行するように構成され得る。電気インピーダンスデータ16は、人工呼吸器操作26に従って血行力学的評価中に記録され得、関連付けられたメタデータとして呼吸データ及び/又は人工呼吸器の制御を含み得る。
【0028】
血行力学的評価に使用され得る電気インピーダンスデータ16としては、相対インピーダンス32、絶対インピーダンス34、絶対断層画像36、相対断層画像38、及び他のそのような画像が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、血行力学的測定基準18は、被験体の異なる関心領域(ROI)で別々に計算され得る。これらの実施形態では、以下に詳述するように、断層画像34、36が使用され得る。
【0029】
図2は、血行力学的評価を実行するために機械的人工呼吸器162と併せて使用されるEITデバイス112を含むシステム110の概略図を提供する。上述のように、血行力学的評価は、機械的人工呼吸器162によって提供されるような機械的人工呼吸の不在下で実行され得ることを理解されたい。EITデバイス112は、電気リード114を介して、患者12の上に置かれ得る電極ベルト116に結合され得る。電極ベルト116は、電極ベルト16の周囲に沿って配設された1つ以上の電極列を有し得る。電極ベルト16の電極は、患者12の胴体の周囲に沿って空間的に分布され得る。EITデバイス112は、電極ベルト116の電極を介して電流を注入し得、結果として生じる電圧を収集し得る。収集されたデータから、EITデバイス112は、1つ以上の血行力学的測定基準(例えば、
図1の血行力学的測定基準18)を計算し得る。
【0030】
EITデバイス112は、以下に詳述するように、フィルタリング、再構成、及び/又は定量化アルゴリズムを実行し得る。その目的で、計算デバイスは、アルゴリズムの実行を容易にするために、1つ以上のプロセッサ132及び1つ以上の処理メモリデバイス134(例えば、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM))を含み得る。メモリデバイス134はまた、血行力学的評価を実行するための1つ以上のプロトコルを含み得る。プロトコルは、施術者に提供される指示と、メタデータを作製する又はメタデータをインピーダンスデータに関連付ける指示と、を含み得る。メモリデバイス134はまた、血行力学的評価で使用されるROIを自動的に決定するために、1つ以上のセグメンテーションアルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態では、セグメンテーションアルゴリズムは、主成分分析(PCA)を含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアルゴリズムの一部又は全部は、第2のプロセッサ、グラフィック処理ユニット(GPU)などの特殊なプロセッサ、アルゴリズムを実行するように設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、アルゴリズムを実行する構成プログラムを含むフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は任意の他の専用電子デバイスであり得る、コプロセッサ142によって実行され得る。
【0032】
EITデバイス112はまた、電気リード114に注入された電流を制御し、電気リード114間の電圧を測定するためのインターフェースモジュール136を含み得る。インターフェースモジュール136は、信号対雑音比を改善し、クロストークを減少させるために、とりわけ、アナログ信号発生器、アナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器、デジタル信号プロセッサ、フィルタ、及びインピーダンス整合回路を含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、EITデバイス112は、再構成された画像、血行力学的チャート、及び/又は血行力学的指標、並びにEIT画像から計算され得る診断パラメータを提供するために使用され得るディスプレイ138を含み得る。ディスプレイ138はまた、上述のように、血行力学的評価を実行する施術者に指示を提供するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ138は、血行力学的評価に関連付けられた聴覚警告又は聴覚コマンドを提供するために、スピーカ又は同様の音声発生デバイスを含み得るか又はそれに接続され得る。いくつかの実施形態では、EITデバイス112は、圧力センサ、流量センサ、及び流量センサ、二酸化炭素センサ、及び/又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得るセンサ139を含み得る。センサ139は、EITデバイス112及び/又は関連付けられた人工呼吸器162からの呼吸データなどのデータを測定するように構成され得る。センサ139から取得された呼吸データは、上述のように、血行力学的評価プロセスを容易にするために使用され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、EITデバイス112は、本明細書で論じられるように、EITの動作を容易にし得るデータを送信又は受信するために、ネットワークインターフェース、ハードディスクインターフェース、及び/又は周辺インターフェースなどの入力/出力インターフェース140を含み得る。例えば、EITデバイス112は、入力/出力インターフェース140に結合されたインターフェース150を介して人工呼吸器デバイス162に接続され得る。インターフェース150は、上述のように、血行力学的評価プロセスを容易にするために使用され得る制御コマンド及び/又はデータを運ぶために使用され得る。
【0035】
更に、入力/出力インターフェース140はまた、患者と接触し得るか、又は患者が配置される自動ベッド内に置かれ得る位置センサ169に接続され得る。例えば、心前負荷シミュレーション操作(例えば、心前負荷シミュレーション操作22)が患者又は患者の肢部を位置変更することによって用いられる場合、位置センサ169は、実際の位置を測定し、入力/出力インターフェースを介してEITデバイス112に提供し得る。いくつかの実施形態では、位置センサ169は、記録されたビデオから肢部の相対位置を定量化することができる画像処理システムを伴う、患者を記録するビデオ記録デバイスであり得る。測定は、電気インピーダンスデータのメタデータとして組み込まれ得る。
【0036】
図2に示されるものなど、システム110の特定の構成では、患者12は、機械的人工呼吸器162に接続され得る。人工呼吸器162は、1つ以上のメモリデバイス166と組み合わせて、人工呼吸器162の動作を制御し得るコントローラ164(例えば、プロセッサ、マイクロコントローラ)を含み得る。いくつかの実施形態では、メモリデバイス166は、血行力学的評価を容易にするために、人工呼吸器操作(例えば、人工呼吸器操作26)を実行するためのプロトコルを含み得る。機械的人工呼吸器デバイス162は、圧力センサ、流量センサ、及び流量センサ、二酸化炭素センサであり得るセンサ168を含み得る。人工呼吸器デバイス162はまた、患者12に呼吸支持を提供する圧力制御又はボリューム制御ポンプであり得るポンプ17を含み得る。センサ168及びポンプ170は、コントローラ164によって制御及び/又は監視され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、人工呼吸器デバイス162は、呼吸支持動作を容易にし得るデータを送信又は受信するために、ネットワークインターフェース、ハードディスクインターフェース、及び/又は周辺インターフェースなどの入力/出力インターフェース172を含み得る。入力/出力インターフェース172は、上述のように、インターフェース150を介して人工呼吸器162をEITデバイス112に接続するために使用され得る。インターフェース150は、上述のように、EITデバイス112からの制御コマンド又は指示を伝えるために、及びセンサ168からEITデバイス112に呼吸データを提供して、血行力学的評価プロセスを容易にするために使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、人工呼吸器デバイス162は、患者に提供される呼吸支持に関連付けられた呼吸チャート、指標、及び他の生理学的パラメータを提供するために使用され得るディスプレイ174を含み得る。特定の実施形態では、人工呼吸器デバイス162は、血行力学的評価を容易にするように構成され得る。そのようなデバイスでは、ディスプレイ174は、上述のように、血行力学的評価を実行する施術者に指示を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ174は、血行力学的評価に関連付けられた聴覚警告又は聴覚コマンドを提供するために、スピーカ又は同様の音声発生デバイスを含み得るか又はそれに接続され得る。
【0039】
図3は、インピーダンス測定の性能に関する概略
図200を示す。電気信号202は、患者12の周囲の電極ベルト116に沿って配設された電極204の対に注入され得る。電気信号202は、事前にプログラムされた順序で注入され得、電極204の対の間に結果として生じる電位206が読み出され得る。電位206の集合体は、本明細書で論じられる血行力学的評価に使用され得る生のインピーダンスデータを形成し得る。
【0040】
図4は、
図3のシステム110などのEITシステムを使用した血行力学的パラメータを計算する方法210のフロー図を示す。収集された電位206は、断層撮影再構成(ボックス212)を実行して、一連のインピーダンス画像214を取得するために使用され得る。断層撮影再構成(ボックス212)は、絶対インピーダンス画像又は相対インピーダンス画像を提供するアルゴリズムを採用し得る。ボックス212の再構成アルゴリズムは、ノイズ及び他のアーチファクトを軽減するためのフィルタ又は他の信号処理ツールを含み得る。再構成アルゴリズムは、モデルベースのアルゴリズムであり得る。
【0041】
一連のインピーダンス画像214は、個々の成分の寄与を分離するために、更にフィルタリングされ得る(ボックス216)。例えば、呼吸成分218及び/又は心臓成分220は、インピーダンス画像214から抽出され得る。呼吸周波数は通常、心臓周波数よりも低いため、ボックス216のフィルタリングアルゴリズムは、インピーダンスビデオ214の時間次元にわたる周波数ベースのフィルタリングを採用し得る。周波数ベースのフィルタリングの例としては、ハイパスフィルタリング、ローパスフィルタリング、バンドパスフィルタリング、フーリエベースのフィルタリング、移動平均フィルタ、自己回帰フィルタ、自己回帰移動平均(ARMA)フィルタ、ウェーブレットフィルタ、状態空間フィルタ、又はそれらの周波数に基づいて成分を分離することができる任意の他のフィルタが挙げられる。加えて、心臓事象及び呼吸事象からの摂動が異なる領域に集中するため、ボックス216のフィルタリングアルゴリズムは、ROIを用いて、心臓成分220の抽出を容易にし得る。ボックス216は、定量化可能な心臓成分220を提供することができるか、又は優勢であり得る呼吸成分218から心臓成分220を分離することができる任意のフィルタリングアルゴリズムを採用し得ることを理解されたい。
【0042】
インピーダンス画像214の心臓成分220は、分離されたROI領域で定量化され得る(ボックス222)。例えば、心臓組織に関連付けられたピクセル及び肺組織に関連付けられたピクセルは、別個のROIに配置され得る。いくつかの実施形態では、このプロセスは、主成分分析(PCA)法を使用して実施され得る。この空間的分離は、
図5の考察において以下に詳述されるように、心臓事象にインコヒーレントに応答する組織間のクロストークを低減することによって、血行力学的評価のためのインピーダンスデータの品質を改善し得る。定量化は、血行力学的評価を実行するために使用され得る1つ以上の生理学的パラメータ224を提供し得る。
【0043】
図10は、
図3のEITシステム110などの電気インピーダンスシステムに関する血行力学の計算方法230のフロー図を示す。方法230は、必ずしも画像再構成を実行することなく、血行力学的パラメータを計算するために使用され得る。方法230では、データマトリックス(例えば、マトリックスの時系列であり、マトリックスのそれぞれの要素は、電極の対に関連付けられた電位である)として形成又は配置され得る電位206が、直接使用され得る。この方法では、フィルタリング(ボックス236)は、ノイズ及び他のアーチファクトを軽減するためのフィルタ又は他の信号処理ツールを含み得る。加えて、ボックス236内のフィルタリングは、個々の成分の寄与を分離するために使用され得る。例えば、呼吸成分238及び/又は心臓成分240は、電位206から抽出され得る。呼吸周波数は通常、心拍周波数よりも低いため、ボックス236のフィルタリングアルゴリズムは、電位206に対する時間次元にわたる周波数ベースのフィルタリングを採用し得る。周波数ベースのフィルタリングの例としては、ハイパスフィルタリング、ローパスフィルタリング、バンドパスフィルタリング、フーリエベースのフィルタリング、移動平均フィルタ、自己回帰フィルタ、自己回帰移動平均(ARMA)フィルタ、ウェーブレットフィルタ、状態空間フィルタ、又はそれらの周波数に基づいて成分を分離することができる任意の他のフィルタが挙げられる。ボックス236は、定量化可能な心臓成分240を提供することができるか、又は優勢であり得る呼吸成分238から心臓成分240を分離することができる任意のフィルタリングアルゴリズムを採用し得ることを理解されたい。
【0044】
読み出し信号206の心臓成分240は、血行力学的定量化の性能を改善するために、更にフィルタリングされ得る(ボックス242)。例えば、特定の要素(例えば、特定の対の電極からの信号)は、心臓の変動に対してより敏感であり得るが、他の要素は、呼吸の変動に対してより敏感であり得る。いくつかの実施形態では、このプロセスは、主成分分析(PCA)法を使用して実施され得る。この更なるフィルタリングは、心臓事象にインコヒーレントに応答するデータ要素間のクロストークを低減することによって、血行力学的評価の質を改善し得る。定量化は、血行力学的評価を実行するために使用され得る1つ以上の生理学的パラメータ244を提供し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、心臓成分220の定量化は、心サイクルの事象に関連付けられた同期信号を提供し得る心拍マーカによって容易にされ得る。例えば、心拍マーカは、心房収縮期ピーク若しくは拡張期ピーク、大動脈圧ピーク、又は心電計信号(ECG)のP、Q、R、S、若しくはTピークのうちのいずれかに関連付けられ得る。心拍マーカは、別個の患者モニタで取得され得る心臓の電気信号から抽出され得る。いくつかの実施形態では、心拍マーカは、EITデバイスの電極(例えば、EITデバイス112の電極ベルト116内の電極)を使用して取得され得る。
【0046】
上述のように、インピーダンスデータは、例えば、位置センサ、ビデオ画像、機械的人工呼吸器、施術者入力、及び/又は流量/圧力センサによって取得されたメタデータを伴い得る。メタデータは、生理学的パラメータ224の定量化を容易にし得る。メタデータは、例えば、時間情報(例えば、操作の開始時間、操作の終了時間、操作の持続時間)、操作固有情報(例えば、操作の種類、模擬ボリューム、ボリュームの変化、一回呼吸量)、人工呼吸器固有情報(例えば、呼吸の頻度、呼吸の流れ、呼吸圧力、吸気の時間、呼気の時間、自発的呼気事象、一回呼吸量)、及び/又は他の生理学的情報(例えば、パルス、酸素濃度、心拍マーカ)を提供し得る。メタデータは、例えば、心臓成分の抽出(例えば、心拍同期)、ROIの自動セグメント化、心臓成分のフィルタリング及び/若しくは抽出222、並びに/又は血行力学的性能指数の計算を実行するために使用され得る。
【0047】
図5は、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ138)に提供され得るEITデバイス(例えば、EITデバイス112)のユーザインターフェース要素を示す。具体的には、
図5は、ROIマップ250を示す。図示されたROIマップ250は、肺組織が優勢な組織であるピクセルを含む肺ROI252を含む。図示されたROIマップ250はまた、心組織が優勢であるピクセルを含む心臓ROI254を含む。
図5はまた、インピーダンスプレチスモグラフチャート260を含む。プレチスモグラフチャート260は、肺ROI252のインピーダンス変動を表示する肺プレチスモグラフ262と、心臓ROI254のインピーダンス変動を表示する心臓プレチスモグラフ264と、を含む。プレチスモグラフチャート260は、時間軸266に沿ったインピーダンスの変化を示す。
【0048】
例示されたプレチスモグラフチャート260は、心臓成分(例えば、
図4の心臓成分220)及び呼吸成分(例えば、
図4の呼吸成分218)がフィルタリングされたものを表示する。すなわち、プレチスモグラフ262は、心血管事象の結果として肺ROI252のインピーダンス変動を示し、プレチスモグラフ264は、同じ心血管事象の結果として心臓ROI254のインピーダンス変動を示す。例えば、時間270で、心臓プレチスモグラフ264は、谷部分を提示し、インピーダンスの低下を引き起こす組織流体の増加を表している。同じ時間270で、肺プレチスモグラフ262は、ピークを提示し、肺灌流の低下に関連付けられた空気の増加を表している。この挙動は、心拡張に関連付けられ得る。対照的に、時間272では、肺プレチスモグラフ262は、肺灌流に関連付けられ得る値を提示し、心臓プレチスモグラフは、組織流体の減少に関連付けられ得るピークを提示している。この挙動は、収縮期に関連付けられ得る。このように、異なるROIの使用は、EITシステム112が異なる心血管事象間を区別する能力の改善を可能にし得、それによって、血行力学的事象に関する性能指数の計算を改善し得る。
【0049】
図6は、本明細書で論じられるシステム及び方法を使用して計算され得る、血行力学的性能指数、パルスインピーダンス変動(PIV)の図を示す。チャート280は、経時的に肺ROI(例えば、肺ROI252)内のピクセルから取得され得る心臓成分のインピーダンスプレチスモグラフ281を示す。心臓成分は、肺ROI252又は心臓ROI254のいずれかのピクセルから、並びに非セグメント化ピクセルから取得され得ることを理解されたい。インピーダンスプレチスモグラフ281は、複数のブリージングサイクル(例えば、呼吸成分220)にわたる心臓成分(例えば、心臓成分222)の変動を示す。時間282で表される呼気時の胸部内圧は低く、したがって、プレチスモグラフ281の振幅PP
MAXは、そのピークにあり得る。時間284で表される吸気時のプレチスモグラフ281の振幅PP
MINは、最も低くなり得る。チャートはまた、平均圧力PP
MEANを示す。EITシステムプレチスモグラフから抽出されるこれらの測定から、パルスインピーダンス変動(PIV)指標は、以下の式を使用してEITシステムによって自動的に計算され得る。
【0050】
PIV=(PPMAX-PPMIN)/PPMEAN
【0051】
PIV指標は、患者の流体応答性を示す。いくつかの実施形態では、EITシステムは、PIVの標準化されたしきい値を記憶し得、患者のPIV指標が標準化されたしきい値を上回るか又は下回ることを自動的に指示し得る。
【0052】
図7は、上述のPIVを計算するための方法300のフロー図を提供する。血行力学データ302(例えば、心臓ROIのプレチスモグラフ)から、EITシステムは、1つ以上の測定基準を計算し得る(ボックス304)。EITシステムは、上記のメタデータを用いて、測定基準の計算を容易にし得る。例えば、呼吸データを使用して、PP
MIN又はPP
MAXをそれぞれ収集するために吸気又は呼気の瞬間が決定され得る。1つ以上の測定基準から、EITシステムは、ボックス304内で、PIV指標などの指標306を導出し得る。指標306は、患者の流体応答性に関連付けられ得る。
図7は、振幅に基づく性能指数を示しているが、ベースライン、位相の遅れ、又は心拍(例えば、上述の心拍マーカ)と振動(すなわち、伝播時間)との間の遅延などの他の信号特性が使用され得ることを理解されたい。
【0053】
図8は、血行力学情報を施術者に提供するのに使用され得るユーザインターフェース320を示す。ユーザインターフェース320は、プレチスモグラフチャート322及び一回拍出量チャート324を含み得る。プレチスモグラフチャート322及び一回拍出量チャート324のデータは、EITシステムから計算されたインピーダンスデータから計算され得る。一回拍出量チャート324は、心臓又は肺ROIで測定された心臓成分から計算され得る。一回拍出量チャート324は、絶対一回拍出量のチャート、又は基準一回拍出量に対するパーセンテージ変化のチャートであり得る。ユーザインターフェースはまた、現在の一回拍出量を示す生理学的パラメータ表示326、心拍数を示すパラメータ表示328、及び現在の心拍出力を示すパラメータ表示330を含む。これらのパラメータ表示は、施術者を支援するための定量的情報を提供し得る。
【0054】
図8はまた、操作中のEITシステムの性能を示す。時間事象332と時間事象334との間の期間において、PEEPは、8cmH2Oから13cmH2Oに変更され、8cmH2Oに戻された。時間336に、患者の脚は上げ下げさせられた。一回拍出量チャート324は、患者が流体応答性を呈するように見えることを示している。時間338において、患者は、ボリューム置換処置を受け、流体応答性のある患者から予期されるように、収縮期ボリュームの増加を示した。
【0055】
図9は、本明細書に提示される方法のうちの1つの実装を、患者の血行力学を評価する侵襲的方法と比較するチャート350である。チャート350は、EITシステムを使用して推定された心臓ROI362のインピーダンス変化を提示し(EITデータセット352)、VolumeView(Edwards,Inc.)デバイスを使用して取得された収縮期ボリューム360と比較している。収集されたVolumeViewデータは、未較正(VolumeView未較正データセット354)及び較正済み(VolumeView較正済みデータセット356)であった。チャート350はまた、最初に基礎レベル364を示している。基礎レベル364に続いて、PEEP操作366が開始されている。PEEP操作366に続いて、患者は基礎レベル368に戻されている。患者の脚を上げることによって実行される心前負荷シミュレーション操作370も実証されている。操作370に続いて、患者は基礎レベル372に戻されている。最後に、患者は、ボリューム置換療法374を受けている。
【0056】
本開示の非限定的な例示的実施形態は、以下を含み得る。
【0057】
実施形態1:インピーダンスベースのデバイスを使用して血行力学的評価を実行するための方法であって、第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)に関連付けられた第1のインピーダンス定量化を決定することであって、第1のインピーダンス画像は、操作前の患者の第1の状態に関連付けられている、ことと、第2のインピーダンス画像における第1の関心領域に関連付けられた第2のインピーダンス定量化を決定することであって、第2のインピーダンス画像は、操作後の患者の第2の状態に関連付けられている、ことと、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することと、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに応答して、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリューム又はその両方を決定することと、第1のインピーダンス定量化と第2のインピーダンス定量化との間の差、並びに胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリュームのうちの少なくとも1つを考慮して少なくとも1つの血行力学的パラメータを決定することと、を含む、方法。
【0058】
実施形態2:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)値、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量値、一回呼吸量の変化、又は位置の変化のうちの1つ以上を含む、実施形態1に記載の方法。
【0059】
実施形態3:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータは、機械的人工呼吸デバイス、患者の呼吸系を測定するように構成された圧力センサ、患者の呼吸系を測定するように構成された流量センサ、又は患者の呼吸系を測定するように構成された二酸化炭素センサのうちの1つ以上から受信される、実施形態2に記載の方法。
【0060】
実施形態4:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータは、外部デバイスから、インピーダンスベースのデバイス内に配設されたセンサから、又はその両方から、インピーダンスベースのデバイスの入力デバイスを介して受信される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態5:方法は、インピーダンスベースのデバイスによって生成されたインピーダンスデータから呼吸器成分データを決定することと、呼吸器成分データから操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを生成することと、を更に含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態6:第1のROIは、心臓領域若しくは肺領域、又はその両方に関連付けられている、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態7:操作は、患者の姿勢の変化又は少なくとも1つの肢部の位置の変化のうちの1つ以上を含む心前負荷シミュレーション操作を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態8:操作は機械的人工呼吸操作を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態9:第1の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、第1の複数の電気インピーダンス信号から第1のインピーダンス画像を再構成することと、第2の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、第2の複数の電気インピーダンス信号から第2のインピーダンス画像を再構成することと、を更に含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態10:少なくとも1つの血行力学的パラメータは、パルスインピーダンス変動(PIV)、心拍出量(CO)、収縮期ボリューム(SV)、PIVの変化、COの変化、又はSVの変化のうちの1つ以上を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態11:命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、当該命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、インピーダンスデータセットのシーケンスを受信するステップであって、インピーダンスデータセットのシーケンスのそれぞれのインピーダンスデータセットは、対応する時間的瞬間に関連付けられている、ステップと、操作前の時間的瞬間に関連付けられた第1のインピーダンスデータセットから操作前血行力学的測定を決定するステップと、操作後の第2の時間的瞬間に関連付けられた第2のインピーダンスデータセットから操作後血行力学的測定を決定するステップと、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信するステップと、操作前血行力学的測定、操作後血行力学的測定、及び操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを使用して、血行力学的性能指数を決定するステップと、を含むステップを実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0068】
実施形態12:非一時的コンピュータ可読媒体は、電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスプロセッサによって、又はEITデバイスに結合された汎用コンピュータプロセッサによって実行されるように構成されており、命令は、EITデバイスプロセッサに、第1のインピーダンスデータセットから第1のインピーダンス画像を再構成させ、第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定させ、操作後血行力学的測定の決定前に第2のインピーダンスデータセットから第2のインピーダンス画像を再構成させ、第2のインピーダンス画像における第1のROIから操作後インピーダンス画像を決定させる、実施形態11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0069】
実施形態13:操作は、機械的人工呼吸器操作を含み、命令は、プロセッサに、操作後血行力学的測定の決定の前に、及び操作前血行力学的測定の決定の後に、機械的人工呼吸器操作を自動的に実行するように機械的人工呼吸器に要求させる、実施形態11又は12のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0070】
実施形態14:命令は、プロセッサに、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリュームを決定させる、実施形態11~13のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0071】
実施形態15:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータは、機械的人工呼吸器、流量センサ、圧力センサ、ボリュームセンサ、電気インピーダンス測定デバイス、又は電気インピーダンス断層撮影(EIT)デバイスから受信される、実施形態11~14のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0072】
実施形態16:操作前血行力学的測定及び操作後血行力学的測定は、パルスインピーダンス変動(PIV)、心拍出量(CO)、又は収縮期ボリューム(SV)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態11~15のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0073】
実施形態17:血行力学的性能指数は、操作前血行力学的測定と操作後血行力学的測定との間の差を含む、実施形態11~16のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0074】
実施形態18:コンピュータ可読媒体は、プロセッサに、血行力学的性能指数をしきい値レベルと比較して流体応答性を決定させる命令を含む、実施形態17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0075】
実施形態19:システムであって、電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムであって、複数の電極と、複数の電極に結合されたコントローラであって、当該コントローラは、複数の電極からEITデータを収集するように構成されたインターフェースモジュールと、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、当該命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コントローラに、インピーダンスデータセットのシーケンスを受信させ、それぞれのインピーダンスデータセットから、対応するインピーダンス画像を生成させ、操作前の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定させ、操作後の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1のROIから操作後血行力学的測定を決定させ、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信させ、少なくとも操作前血行力学的測定、操作後血行力学的測定、及び操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータに基づいて、血行力学的性能指数を決定させる、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体と、を含む、コントローラと、を含む、EITシステムを備える、システム。
【0076】
実施形態20:EITシステムの入力/出力インターフェースに結合された入力/出力インターフェースを含む機械的人工呼吸器を備え、機械的人工呼吸器は、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータをEITシステムに送信するように構成された計算デバイスを含む、実施形態19に記載のシステム。
【0077】
実施形態21:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態20に記載のシステム。
【0078】
実施形態22:命令は、コントローラに、操作に関連付けられた機械的人工呼吸器に少なくとも1つの制御コマンドを送信させる、実施形態20又は21のいずれか1つに記載のシステム。
【0079】
実施形態23:EITシステムの入力/出力インターフェースに結合された入力/出力インターフェースを含む自動ベッドを更に備え、自動ベッドは複数のベッド位置に構成されており、自動ベッドは、ベッド位置データをEITシステムに送信するように構成されており、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することは、ベッド位置データを受信することを含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載のシステム。
【0080】
実施形態24:EITシステムに接続された患者の位置データを測定するように構成された位置センサを備え、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することは、位置センサから位置データを受信することを含む、実施形態19~23のいずれか1つに記載のシステム。
【0081】
実施形態25:位置センサは、ビデオセンサ又は接触センサを含む、実施形態24に記載のシステム。
【0082】
実施形態26:EITシステムは、操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸センサを含む、実施形態19~25のいずれか1つに記載のシステム。
【0083】
実施形態27:操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸検知デバイスを備える、実施形態19~26のいずれか1つに記載のシステム。本開示に記載される実施形態は、様々な修正及び代替的な形態の余地があり得るが、特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に記載されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示は、以下に添付される「特許請求の範囲」及びその法的等価物によって定義される実施形態の趣旨及び範囲内にある全ての修正、組み合わせ、等価物、及び代替物を網羅することを理解されたい。更に、本明細書で特許請求される技術及びシステムは、実用的かつ有用な実施形態に言及しており、本技術分野を実証的に改善する実用的な性質の具体例に適用されてもよく、そのようなものとして、抽象的、無形、又は純粋に理論的なものではない。加えて、本明細書の最後に添付され、「[機能を実行する]ための手段」又は「[機能を実行する]ためのステップ」として指定された1つ以上の要素を含む「特許請求の範囲」において、そのような要素は、35U.S.C.112(f)に基づいて解釈されることを意図している。しかしながら、何らかの他の様式で指定された要素を含むあらゆる「特許請求の範囲」については、そのような要素は、35U.S.C.112(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換ボリュームの導入の前に、インピーダンスベースのデバイスを使用して血行力学的評価を実行するための方法であって、
第1のインピーダンス画像における第1の関心領域(ROI)に関連付けられた第1のインピーダンス定量化を決定することであって、前記第1のインピーダンス画像は、外部操作前の患者の第1の状態に関連付けられ、外部操作は、胸腔内圧の変化、模擬置換ボリューム、又はその両方を引き起こす、ことと、
前記外部操作を実行することと、
第2のインピーダンス画像における前記第1の関心領域に関連付けられた第2のインピーダンス定量化を決定することであって、前記第2のインピーダンス画像は、外部操作後の前記患者の第2の状態に関連付けられている、ことと、
前記外部操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することと、
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータの変化に応答して、胸腔内圧の変化又は模擬置換ボリューム又はその両方を決定することと、
前記第1のインピーダンス定量化と前記第2のインピーダンス定量化との差を考慮して、少なくとも1つの血行力学的パラメータを決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)値、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量値、一回呼吸量の変化、又は位置の変化のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、機械的人工呼吸デバイス、前記患者の呼吸系を測定するように構成された圧力センサ、前記患者の前記呼吸系を測定するように構成された流量センサ、又は前記患者の前記呼吸系を測定するように構成された二酸化炭素センサのうちの1つ以上から受信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、外部デバイスから、前記インピーダンスベースのデバイス内に配設されたセンサから、又はその両方から、前記インピーダンスベースのデバイスの入力デバイスを介して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インピーダンスベースのデバイスによって生成されたインピーダンスデータから呼吸成分データを決定することと、
前記呼吸成分データから前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを生成することと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の関心領域(ROI)は、心臓領域若しくは肺領域、又はその両方に関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外部操作は、前記患者の姿勢の変化又は少なくとも1つの肢部の位置の変化のうちの1つ以上を含む心前負荷シミュレーション操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外部操作は、機械的人工呼吸操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、
前記第1の複数の電気インピーダンス信号から前記第1のインピーダンス画像を再構成することと、第2の複数の電気インピーダンス信号を取得することと、
前記第2の複数の電気インピーダンス信号から前記第2のインピーダンス画像を再構成することと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの血行力学的パラメータは、パルスインピーダンス変動(PIV)、心拍出量(CO)、収縮期ボリューム(SV)、PIVの変化、COの変化、又はSVの変化のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムを備えるシステムであって、
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムは、
複数の電極と、
前記複数の電極に結合されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、
前記複数の電極から電気インピーダンス断層撮影(EIT)データを収集するように構成されたインターフェースモジュールと、少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含み、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コントローラに、
置換ボリュームの導入前にインピーダンスデータセットのシーケンスを受信することと、
それぞれのインピーダンスデータセットから、対応するインピーダンス画像を生成することと、
外部操作前の少なくとも1つのインピーダンス画像の第1の関心領域(ROI)から操作前血行力学的測定を決定することであって、外部操作は、胸腔内圧の変化、模擬置換ボリューム、又はその両方を引き起こす、ことと、
外部操作後の少なくとも1つのインピーダンス画像の前記第1の関心領域(ROI)から操作後血行力学的測定を決定することと、
前記外部操作に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを受信することと、
少なくとも前記操作前血行力学的測定及び前記操作後血行力学的測定に基づいて、血行力学的数値を決定することと、を行わせる、システム。
【請求項12】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムの入出力インターフェースに結合された入出力インターフェースを含む機械的人工呼吸器を備え、前記機械的人工呼吸器は、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに送信するように構成された計算デバイスを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)、PEEPの変化、吸気時間、呼気時間、呼吸サイクル期間、一回呼吸量、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記命令は、前記コントローラに、前記外部操作に関連付けられた前記機械的人工呼吸器に少なくとも1つの制御コマンドを送信させる、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムの入出力インターフェースに結合された入出力インターフェースを含む自動ベッドを更に備え、前記自動ベッドは複数のベッド位置に構成されており、前記自動ベッドは、ベッド位置データを前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに送信するように構成されており、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを受信することは、前記ベッド位置データを受信することを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項16】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムに接続された患者の位置データを測定するように構成された位置センサを備え、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを受信することは、前記位置センサから前記位置データを受信することを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項17】
前記位置センサは、ビデオセンサ又は接触センサを含む、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電気インピーダンス断層撮影(EIT)システムは、前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸センサを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項19】
前記外部操作に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータを提供するように構成された呼吸検知デバイスを備える、請求項
11に記載のシステム。
【国際調査報告】