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特表2023-5099211,3ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートを含む架橋性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】1,3ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートを含む架橋性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20230303BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230303BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230303BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230303BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20230303BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20230303BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20230303BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20230303BHJP
【FI】
C08F290/06
B33Y70/00
B33Y10/00
B33Y80/00
B29C64/112
B29C64/124
C08G18/67
C09D11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540532
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2020087606
(87)【国際公開番号】W WO2021136721
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】1915759
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・デュケンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・デムーラン
【テーマコード(参考)】
4F213
4J034
4J039
4J127
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4J034BA08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG01
4J034DM01
4J034FA01
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034JA42
4J034LA23
4J034RA07
4J034RA08
4J039AC00
4J039AD10
4J039BE26
4J039EA04
4J127AA03
4J127BA041
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BD411
4J127BG271
4J127CB132
4J127CB151
4J127CB283
4J127CB344
4J127CB374
4J127CC023
4J127CC124
4J127CC162
4J127CC181
4J127EA13
4J127FA08
4J127FA11
4J127FA14
4J127FA15
(57)【要約】
本発明は、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートと、別のモノ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリレート化オリゴマーとを含む、架橋性組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を使用して、架橋生成物、特に3Dオブジェクトを製造するための方法、及びインク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクトを得るための、この組成物の使用にも関する。本発明は更に、3D印刷のための組成物における、1,3-ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートである成分A)を、5~50%未満、特に10~40%、より特定すると15~30%と、
b) A)とは異なるモノ(メタ)アクリレートである成分B)を、10~75%、特に15~70%、より特定すると20~60%と、
c) 650g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するジ(メタ)アクリレートである成分C)を、0~45%未満、特に1~40%、より特定すると2~20%と、
d) 600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するトリ(メタ)アクリレートである成分D)を、0~30%、特に0~20%と、
e) 600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するテトラ(メタ)アクリレートである成分E)を、0~30%、特に0~20%と、
f) 少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含み、かつ700g/mol超の質量平均分子量Mwを有するオリゴマーである成分F)を、5~80%、特に8~55%、より特定すると15~40%と、
g) 成分A)~F)とは異なるエチレン性不飽和化合物である成分G)を、0~30%、特に0~20%と、
h) 開始剤である成分H)を、0.5~10%と、
i) 添加剤である成分I)を、0~30%と
を含み、%が成分A)~I)すべての質量に対する質量%であり、ただし、成分A)及びC)の総質量が、成分A)~I)すべての質量の50%未満に相当する、組成物。
【請求項2】
成分A)及びB)の総質量が、成分A)~H)すべての質量の30~90%、特に35~85%、より特定すると40~80%、より特定すると更に40~75%に相当する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分A)とB)との質量比率が、0.1~5、特に0.2~2、より特定すると0.3~1.5、より特定すると更に0.4~1、更により特定すると0.5~0.8である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分A)が、以下の式(I):
【化1】
(式中、
R1及びR2は、独立的に、H、C1~C6アルキル、C5~C12シクロアルキル、及びアルキルアリールから選択され、
R3、R4、R5、及びR6は、独立的に、H又はメチルであり、
nは、1、2、3、4、又は5である)
に対応し、
特に、成分A)が、式(I):
(式中、
R1及びR2は、独立的に、H、メチル、及びエチルから選択され、好ましくは、R1及びR2は、メチルであり、
R3、R4、及びR5は、Hであり、
R6は、H又はメチルであり、好ましくは、R6は、Hであり、
nは1である)
に対応し、
より特定すると、成分A)が、以下の式(Ia):
【化2】
によって表される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分B)が、以下の式(II):
【化3】
(式中、
R7は、ポリエーテルタイプのモノアルコール又はポリオール、ポリエステルタイプのモノアルコール又はポリオール、ポリカーボネートタイプのモノアルコール又はポリオール、脂肪族モノアルコール又はポリオール、脂環式モノアルコール又はポリオール、芳香族モノアルコール又はポリオール、並びに前記モノアルコール又はポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択される、モノアルコール又はポリオールの残基であり、
R8は、H又はメチルであり、特に、R8は、Hである)
に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分B)が、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレート、軟質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレート、硬質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレート、硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物から選択され、
特に、成分B)が、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを、任意選択的に硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートとの混合物として、含み、
より特定すると、成分B)が、軟質かつ親水性のモノアクリレートを、任意選択的に硬質かつ疎水性のモノアクリレートとの混合物として、含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
成分B)が、ヒドロキシル基を含む軟質かつ親水性のモノアクリレート、特にポリカプロラクトンモノアクリレートを、任意選択的に40℃超のTgを有するモノアクリレート、特にイソボルニルアクリレートとの混合物として、含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
成分B)が、20~35mN/mの表面張力を有するモノ(メタ)アクリレート、特に、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンメタノールモノアクリレート、イソデシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、エトキシ化ラウリルアクリレート(4つのエトキシ単位)、イソデシルメタクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデカンメタノールモノメタクリレート、C12~C15アルキルメタクリレート、例えばラウリルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択されるモノ(メタ)アクリレートを含み、より特定すると、成分B)がイソボルニルアクリレートである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
成分C)が、以下の式(III):
【化4】
(式中、
R9は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリジアルキルシロキサンポリオール、並びに前記ポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択されるポリオールの残基であり、
R10及びR11は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R10及びR11は、Hであり、
特に、R9は、任意選択的にアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化されている、ポリエーテルポリオール又は脂肪族ポリオールの残基であり、
より特定すると、R9は、ポリエチレングリコールの残基である)
に対応する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
成分F)が、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物から選択されるオリゴマーであり、特に、成分F)が脂肪族ウレタンジアクリレートである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
0~30℃、特に5~25℃のTgを有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
50℃で、1~20mPa.s、特に5~15mPa.sの粘度を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形若しくはインキングプレート組成物、又は3D印刷のための組成物、特に、3D印刷のための組成物であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
架橋生成物を製造するための方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を架橋する工程、特に、組成物を放射線、より特定するとUV、近UV、可視、赤外若しくは近赤外線、又は電子ビームに曝露することによって架橋する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
架橋生成物が、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクト、特に3Dオブジェクトであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
3Dオブジェクトを製造するための方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を使用して3Dオブジェクトを印刷する工程、特に、3Dオブジェクトを連続的又は層ごとに印刷する工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を架橋することによって、又は請求項14から16のいずれか一項に記載の方法によって得られる、架橋生成物。
【請求項18】
インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクト、特に3Dオブジェクトであることを特徴とする、請求項17に記載の架橋生成物。
【請求項19】
インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクト、特に3Dオブジェクトを得るための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
3D印刷のための組成物における、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートと、別のモノ(メタ)アクリレートと、更に(メタ)アクリレート化オリゴマーとを含む、架橋性組成物に関する。本発明はまた、この組成物から架橋生成物、特に3Dオブジェクトを製造するための方法に関し、また、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクトを得るための、この組成物の使用にも関する。本発明は更に、3D印刷のための組成物における、1,3-ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋性組成物、特に放射線架橋性組成物は、一般的に、インク、コーティング、及び3Dオブジェクトを得るために使用される。意図される用途に応じて、組成物は、粘度、硬度、破断強度、及び/又は弾性に関して有利な特性を有する必要がある。
【0003】
モノ(メタ)アクリレートを架橋性組成物に導入することによって溶媒の添加なしで組成物の粘度を下げることができることは、周知である。架橋中に、これらの希釈剤は、他の重合性化合物と反応するが、系内の架橋点の確立には関与しない。したがって、その組み込みは、得られる生成物の機械的特性に有害であり得る。
【0004】
したがって、架橋性組成物に添加されるモノ(メタ)アクリレートモノマーは、慎重に選択されるべきである。
【0005】
多大な研究を経て、本出願人は、そのバランスのとれた特性のために、特定のモノ(メタ)アクリレートモノマー、すなわち、1,3-ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートを選択した。このモノマーは、別のモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリレート化オリゴマーと特定の割合で組み合わされると、粘度、硬度、破断強度、及び/又は弾性に関して有利な特性を有する架橋性組成物を得ることを可能にする。これらの組成物は、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、インキングプレート、又は成形物を得るのに特に有用である。有利には、架橋性組成物を3D印刷に使用することができる。
【0006】
特定の3D印刷技術では、印刷されたオブジェクトがかなりの変形を受ける。これは特に、移動プラットフォームが徐々に上昇する際のタンク内プロセス(「ボトムアップ」プロセス)の場合に当てはまる。これは、オブジェクトの連続層が、構築されるオブジェクトを持ち上げて次の層に向かうときに削ぐ必要のある接着力、特に、印刷される層とタンクの底部との間の吸引効果に曝されることを理由とする。特に、定義によると変形力に対してより敏感である柔軟な及び/又は弾性のオブジェクトを製造することを意図した樹脂の場合、印刷される層とタンクの底部との間のこの吸引効果によって、脆弱なままの新しく形成された層が破壊される可能性がある。中空のオブジェクトが観察される。層の凝集を強化することによって、又は重合樹脂とタンク底部の材料との親和性を低下させることによって、この点を改善する必要がある。
【0007】
1,3-ジオキソラン環を有するモノ(メタ)アクリレートと組み合わされたモノ(メタ)アクリレートの軟質/硬質及び/又は親水性/疎水性の性質を変化させることによって、ほとんどの3D印刷技術、特に、タンク印刷又はインクジェット印刷で架橋性組成物を使用して、有利な機械的特性を有する3Dオブジェクトを得ることが可能である。特に、柔軟な及び/又は弾性の3Dオブジェクトを得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2014/126830
【特許文献2】WO2014/126834
【特許文献3】WO2014/126837
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Charles M.Hansenによる「Hansen Solubility Parameters: a user's handbook」(第I章、表1.1)
【非特許文献2】ISO 52900 (2015)
【非特許文献3】Tumblestonら、「Continuous Liquid Interface Production of 3D Objects」, Science, Vol. 347, Issue 6228, pp. 1349-1352(March 20, 2015)
【非特許文献4】OECD(1996),Test No.118: Determination of the Number-Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography, OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 1, Editions OCDE [OECD Publications], Paris
【非特許文献5】ISO 527-5A: 1993
【非特許文献6】D624 type C, 2012
【非特許文献7】ISO 868: 2003
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の主題は、
a) 1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートである成分A)を、5~50%未満、特に10~40%、より特定すると15~30%と、
b) A)とは異なるモノ(メタ)アクリレートである成分B)を、10~75%、特に15~70%、より特定すると20~60%と、
c) 650g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するジ(メタ)アクリレートである成分C)を、0~45%未満、特に1~40%、より特定すると2~20%と、
d) 600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するトリ(メタ)アクリレートである成分D)を、0~30%、特に0~20%と、
e) 600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するテトラ(メタ)アクリレートである成分E)を、0~30%、特に0~20%と、
f) 少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含み、かつ700g/mol超の質量平均分子量Mwを有するオリゴマーである成分F)を、5~80%、特に8~55%、より特定すると15~40%と、
g) 追加のモノマーである成分G)を、0~30%、特に0~20%と、
h) 開始剤である成分H)を、0.5~10%と、
i) 添加剤である成分I)を、0~30%と
を含み、%が、成分A)~I)すべての質量に対する質量%であり、ただし、成分A)及びC)の総質量が、成分A)~I)すべての質量の50%未満に相当する、組成物である。
【0011】
本発明の別の主題は、架橋生成物を製造するための方法であって、本発明による組成物を架橋する工程、特に、組成物を放射線、より特定するとUV、近UV、可視、赤外若しくは近赤外線、又は電子ビームに曝露することによって架橋する工程を含む、方法である。
【0012】
本発明の別の主題は、3Dオブジェクトを製造するための方法であって、本発明による組成物を使用して3Dオブジェクトを印刷する工程、特に、3Dオブジェクトを連続的又は層ごとに印刷する工程を含む、方法である。
【0013】
本発明の別の主題は、本発明による組成物を架橋することによって得られる又は本発明による方法を使用して得られる、架橋生成物である。
【0014】
本発明はまた、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクト、特に3Dオブジェクトを得るための、本発明による組成物の使用に関する。
【0015】
本発明の別の主題は、3D印刷のための組成物における、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートの使用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本出願において、「含む」という用語は、「1つ又は複数を含む」を意味する。
【0017】
特に言及しない限り、化合物又は組成物における質量パーセントは、組成物それぞれの化合物の質量に対して表される。
【0018】
「1,3-ジオキソラン」という用語は、2個の酸素原子を含む5個の原子の環を意味し、2個の酸素原子は炭素原子によって分離されている。
【0019】
「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。好ましくは、(メタ)アクリレートはアクリレートである。「アクリレート」という用語は、アクリロイルオキシ基(-O-C(=O)-CH=CH2)を意味する。「メタクリレート」という用語は、メタクリロイルオキシ基(-O-C(=O)-C(CH3)=CH2)を意味する。
【0020】
「モノ(メタ)アクリレート」という用語は、単一の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。特に、モノ(メタ)アクリレートは、単一のアクリレート基を有するモノアクリレートである。
【0021】
「ジ(メタ)アクリレート」という用語は、2個の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。特に、ジ(メタ)アクリレートは、2個のアクリレート基を有するジアクリレートである。
【0022】
「トリ(メタ)アクリレート」という用語は、3個の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。特に、トリ(メタ)アクリレートは、3個のアクリレート基を有するトリアクリレートである。
【0023】
「テトラ(メタ)アクリレート」という用語は、4個の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。特に、テトラ(メタ)アクリレートは、4個のアクリレート基を有するテトラアクリレートである。
【0024】
「アルキル」という用語は、式-CnH2n+1の一価の飽和非環式炭化水素ベースの基を意味する。アルキルは、直鎖状又は分岐状であり得る。「C1~C6アルキル」とは、1~6個の炭素原子を含むアルキルを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、及びヘキシルである。
【0025】
「シクロアルキル」という用語は、環を含む一価の飽和炭化水素ベースの基を意味する。「C5~C12シクロアルキル」とは、5~12個の炭素原子を含むシクロアルキルを意味する。シクロアルキル基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びイソボルニルである。
【0026】
「アルキルアリール」という用語は、フェニル基等の芳香族基で置換されているアルキルを意味する。アルキルアリールの例は、ベンジル基(-CH2-フェニル)である。
【0027】
「アルキレン」という用語は、式-CnH2n-の二価の飽和非環式炭化水素ベースの基を意味する。アルキレンは、直鎖状又は分岐状であり得る。「C1~C12アルキレン」とは、1~12個の炭素原子を含むアルキレンを意味する。
【0028】
「オキシアルキレン」という用語は、nが2~4の範囲にある1つ又は複数の-O-CnH2n-単位を有する二価の基を意味する。
【0029】
「モノアルコール」という用語は、単一のヒドロキシル官能基を有する化合物を意味する。
【0030】
「ポリオール」という用語は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を有する化合物を意味する。ポリオールの官能価は、それが含むヒドロキシル官能基の数に対応する。
【0031】
「ポリエステル」という用語は、少なくとも2個のエステル結合を含む化合物を意味する。
【0032】
「ポリエーテル」という用語は、少なくとも2個のエーテル結合を含む化合物を意味する。
【0033】
「ポリカーボネート」という用語は、少なくとも2個のカーボネート結合を含む化合物を意味する。
【0034】
「ポリエステルポリオール」という用語は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を含むポリエステルを意味する。
【0035】
「ポリエーテルポリオール」という用語は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を含むポリエーテルを意味する。
【0036】
「ポリカーボネートポリオール」という用語は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を含むポリカーボネートを意味する。
【0037】
「炭化水素ベースの鎖」という用語は、炭素及び水素原子のみを含む鎖を意味する。特に言及しない限り、炭化水素ベースの鎖は、ヘテロ原子で置換されても中断されてもいない。炭化水素ベースの鎖は、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和、脂肪族、脂環式又は芳香族であり得る。「C4~C24の炭化水素ベースの鎖」とは、4~24個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖である。
【0038】
「ヒドロキシル官能基」という用語は、-OH官能基を意味する。
【0039】
「カルボン酸官能基」という用語は、-COOH官能基を意味する。
【0040】
「イソシアネート官能基」という用語は、-N=C=O官能基を意味する。
【0041】
「エステル結合」という用語は、-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-結合を意味する。
【0042】
「エーテル結合」という用語は、-O-結合を意味する。
【0043】
「カーボネート結合」という用語は、-O-C(=O)-O-結合を意味する。
【0044】
「ウレタン結合」とは、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-結合を意味する。
【0045】
「アミド結合」という用語は、-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)-結合を意味する。
【0046】
「尿素結合」という用語は、-NH-C(=O)-NH-結合を意味する。
【0047】
「軟質」化合物とは、-100~24℃のTgを有する化合物を意味する。「硬質」化合物とは、25~200℃のTgを有する化合物を意味する。モノマーのTgは、特に、下記の方法に従って、対応するホモポリマーについて測定され得る。
【0048】
親水性モノ(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリレート基に含まれる酸素原子に加えて1つ又は複数の酸素及び/又は窒素原子を含むモノ(メタ)アクリレートを意味する。親水性モノ(メタ)アクリレートは、特に、以下の式に対応するハンセン溶解度パラメータδp及びδhを有し得る:δh≧30.5-2.2×δp。パラメータδh及びδpは、Charles M.Hansenによる「Hansen Solubility Parameters: a user's handbook」(第I章、表1.1)(ISBN068494-1525-5)に記載されている方法に従って計算することができる。特に、親水性モノ(メタ)アクリレートは、ヒドロキシル基(-OH)、第1級又は第2級アミノ基(-NH2又は-NH(C1~C6アルキル))、アルコキシル化鎖(少なくとも1つの-[O-(C1~C6アルキレン)]-単位を含む)、酸素含有又は窒素含有複素環、ウレタン官能基、尿素官能基、エステル官能基、アミド官能基、カルボン酸官能基、エーテル官能基、カーボネート官能基、及びそれらの混合物から選択される要素を含み得る。
【0049】
「疎水性モノ(メタ)アクリレート」という用語は、窒素原子又は(メタ)アクリレート基に含まれる酸素原子以外の酸素原子を含まないモノ(メタ)アクリレートを意味する。疎水性モノ(メタ)アクリレートは、特に、以下の式に対応するハンセン溶解度パラメータδp及びδhを有し得る:δh<30.5-2.2×δp。特に、疎水性モノ(メタ)アクリレートは、C4~C24の炭化水素ベースの鎖から選択される要素を含み得る。
【0050】
「エチレン性不飽和」という用語は、重合性の炭素-炭素二重結合を含む化合物を意味する。重合性の炭素-炭素二重結合とは、重合反応で別の炭素-炭素二重結合と反応することができる炭素-炭素二重結合である。重合性の炭素-炭素二重結合は、通常、アクリロイルオキシ(-OC(=O)-CH=CH2)、メタクリロイルオキシ(-OC(=O)-C(CH3)=CH2)、ビニル(-CH=CH2)、又はアリル(-CH2-CH=CH2)基に含まれる。フェニル環の炭素-炭素二重結合は、重合性の炭素-炭素二重結合であるとは考慮されない。
【0051】
「ポリイソシアネート」という用語は、少なくとも2個のイソシアネート官能基を有する化合物を意味する。
【0052】
「脂肪族」という用語は、非芳香族非環式化合物を意味する。これは、直鎖状又は分岐状かつ飽和又は不飽和であり得る。これは、例えば、アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン(Br、Cl、I)、イソシアネート、カルボニル、アミン、カルボン酸、スルホニル化基(-S(=O)2OR)、ホスホニル化基(-P(=O)(OR)2)、硫酸化基(-O-S(=O)2OR)、リン酸化基(-O-P(=O)(OR)2)、-C(=O)-OR'、-C(=O)-O-C(=O)-R'(Rはそれぞれ、独立的に、水素原子、金属塩、又は任意選択的にヘテロ原子で置換若しくは中断された炭化水素ベースの鎖であり、R'は、C1~C6アルキルである)、及びそれらの混合物から選択される、1つ又は複数の基/官能基で置換され得る。これは、例えば、エーテル、エステル、アミド、ウレタン、尿素、及びそれらの混合物から選択される、1つ又は複数の結合/官能基を含み得る。
【0053】
「脂環式」という用語は、非芳香族環式化合物を意味する。これは、「脂肪族」という用語について定義されているような1つ又は複数の基/官能基で置換され得る。これは、「脂肪族」という用語について定義されているような1つ又は複数の結合/官能基を含み得る。
【0054】
「芳香族」という用語は、芳香環を含む、すなわち、芳香族性のヒュッケル則に従う化合物、特に、フェニル基を含む化合物を意味する。これは、「脂肪族」という用語について定義されているような1つ又は複数の基/官能基で置換され得る。これは、「脂肪族」という用語について定義されているような1つ又は複数の結合/官能基を含み得る。
【0055】
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合又は三重結合を含まない化合物を意味する。
【0056】
「不飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合又は三重結合、特に炭素-炭素二重結合を含む化合物を意味する。
【0057】
「ポリカルボン酸」という用語は、少なくとも2つのカルボン酸官能基を含む化合物を意味する。
【0058】
「3Dオブジェクト」という用語は、3D印刷によって得られる3次元オブジェクトを意味する。
【0059】
「インキングプレート」という用語は、印刷のための、特にフレキソ印刷におけるレリーフ版を意味する。
【0060】
成分A)
本発明による組成物は、成分A)を含む。組成物は、成分A)の混合物を含み得る。
【0061】
成分A)は、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートである。好ましくは、成分A)は、1,3-ジオキソラン環を含むモノアクリレートである。
【0062】
成分A)は、特に、以下の式(I):
【0063】
【化1】
【0064】
(式中、
R1及びR2は、独立的に、H、C1~C6アルキル、C5~C12シクロアルキル、及びアルキルアリールから選択され、
R3、R4、R5、及びR6は、独立的に、H又はメチルであり、
nは、1、2、3、4、又は5である)
に対応し得る。
【0065】
R1及びR2は、独立的に、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、イソボルニル、及びベンジルから選択され得る。特に、R1及びR2は、独立的に、H、メチル、及びエチルから選択される。より特定するとR1及びR2は、メチルである。
【0066】
好ましくは、R3、R4、及びR5は、Hである。
【0067】
R6は、H又はメチルであり得る。特に、R6は、Hである。
【0068】
好ましくは、nは、1である。
【0069】
1つの好ましい実施形態によると、成分A)は、先の式(I):
(式中、
R1及びR2は、独立的に、H、メチル、及びエチルから選択され、好ましくは、R1及びR2は、メチルであり、
R3、R4、及びR5は、Hであり、
R6は、H又はメチルであり、好ましくは、R6は、Hであり、
nは1である)
に対応する。
【0070】
成分A)の適切な例は、(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、及びグリセロールホルマールメタクリレートである。
【0071】
有利には、成分A)は、以下の式(Ia):
【0072】
【化2】
【0073】
によって表される(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートである。
【0074】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、5~50質量%未満、特に10~40質量%、より特定すると15~30質量%の成分A)を含む。
【0075】
成分B)
本発明による組成物は、成分B)を含む。組成物は、成分B)の混合物を含み得る。1つの特定の実施形態によると、組成物は、1つ、2つ、又は3つの別個の成分B)を含む。
【0076】
成分B)は、成分A)とは異なるモノ(メタ)アクリレートである。好ましくは、成分B)は、成分A)とは異なるモノアクリレートである。より優先的には、成分B)は、成分A)とは異なるモノアクリレートの混合物である。
【0077】
成分B)は、特に、以下の式(II):
【0078】
【化3】
【0079】
(式中、
R7は、ポリエーテルタイプのモノアルコール又はポリオール、ポリエステルタイプのモノアルコール又はポリオール、ポリカーボネートタイプのモノアルコール又はポリオール、脂肪族モノアルコール又はポリオール、脂環式モノアルコール又はポリオール、芳香族モノアルコール又はポリオール、並びに前記モノアルコール又はポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択される、モノアルコール又はポリオールの残基であり、
R8は、H又はメチルであり、特に、R8は、Hである)
に対応し得る。
【0080】
成分B)は、特に、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレート、軟質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレート、硬質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレート、硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0081】
1つの特定の実施形態によると、成分B)は、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。成分B)は、特に、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートの混合物を含み得る。より特定すると、成分B)は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR550及びSR552で入手可能)、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR604で入手可能)、2-エトキシエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR256で入手可能)、ポリカプロラクトンモノアクリレート(特に、Arkema社から参照SR495Bで入手可能)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR285で入手可能)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR203Hで入手可能)、2-フェノキシエチルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR339Cで入手可能)、エトキシル化フェニルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR410で入手可能)、(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR531で入手可能なCTFA)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(特に、Rahn社から参照Genomer(登録商標)1122で入手可能)、及びそれらの混合物から選択される軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを含み得る。
【0082】
1つの好ましい実施形態によると、成分B)は、ヒドロキシル基を含む軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレート、好ましくは、ヒドロキシル基を含む軟質かつ親水性のモノアクリレート、より優先的には、ポリカプロラクトンモノアクリレートを含む。ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートは、特に、以下の式:
HO-[(CH2)5-C(=O)-O]x-L-O-C(=O)-CR'=CH2
(式中、
Lは、アルキレン又はオキシアルキレンであり、好ましくは、Lは、-(CH2)2-であり、
R'は、H又はメチルであり、好ましくは、R'は、Hであり、
xは、1~10、好ましくは1~6である)
に対応し得る。
【0083】
有利なポリカプロラクトンモノアクリレートは、1、2、又は3個、特に2個の-[(CH2)5-C(=O)-O]-単位を含むポリカプロラクトンモノアクリレートである。2個の-[(CH2)5-C(=O)-O]-単位を含むポリカプロラクトンアクリレートは、Arkema社から参照SR495Bで販売されている。
【0084】
1つの特定の実施形態によると、成分B)は、軟質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。より特定すると、成分B)は、オクチル/デシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR484で入手可能)、イソデシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR395で入手可能)、ドデシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR335で入手可能)、トリデシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR489で入手可能)、ステアリルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR586で入手可能)、ベヘニルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR587で入手可能)、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、プロピルヘプチルアクリレート、ドデシルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR313Aで入手可能)、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、及びそれらの混合物から選択される軟質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。
【0085】
1つの特定の実施形態によると、成分B)は、硬質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。より特定すると、成分B)は、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、メタクリル酸、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロイルモルホリン、2-フェノキシエチルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR340で入手可能)、及びそれらの混合物から選択される硬質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを含み得る。
【0086】
1つの特定の実施形態によると、成分B)は、硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。より特定すると、成分B)は、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR217で入手可能)、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR218で入手可能)、トリメチルシクロヘキシルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR420で入手可能)、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR421Aで入手可能)、イソボルニルアクリレート(特に、Arkema社から参照SR506Dで入手可能)、イソボルニルメタクリレート(特に、Arkema社から参照SR423Dで入手可能)、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリシクロデカンメタノールモノアクリレート(特に、Arkema社から参照SR789で入手可能)、及びそれらの混合物から選択される硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。
【0087】
1つの特定の実施形態によると、成分B)は、軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを、任意選択的に硬質かつ疎水性のモノ(メタ)アクリレートとの混合物として、含む。より特定すると、成分B)は、軟質かつ親水性のモノアクリレートを、任意選択的に硬質かつ疎水性のモノアクリレートとの混合物として、含む。
【0088】
有利には、成分B)は、成分B)の質量に対して、少なくとも15質量%、特に20~100質量%、より特定すると25~60質量%の軟質かつ親水性のモノ(メタ)アクリレートを含む。
【0089】
成分B)は特に、ヒドロキシル基を含む軟質かつ親水性のモノアクリレート、特にポリカプロラクトンアクリレートを、任意選択的に、40℃超のTgを有するモノアクリレート、特にイソボルニルアクリレートとの混合物として、含み得る。この実施形態は、柔軟な及び/又は弾性の3Dオブジェクトを得るための架橋性組成物に特に適切である。
【0090】
或いは、成分B)は、低い表面張力を有するモノ(メタ)アクリレートを含み得る。表面張力は特に、下記の方法に従って測定した場合に、20~35mN/m、特に25~32mN/mであり得る。低い表面張力を有するモノ(メタ)アクリレートの例は、tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンメタノールモノアクリレート、イソデシルアクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、エトキシル化ラウリルアクリレート(4つのエトキシ単位)、イソデシルメタクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデカンメタノールモノメタクリレート、及びC12~C15アルキルメタクリレート、例えばラウリルメタクリレートである。より特定すると、成分B)は、イソボルニルアクリレートであり得る。この実施形態は、インク印刷によって3Dオブジェクトを得るための架橋性組成物に特に適切である。
【0091】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、10~75質量%、特に15~70質量%、より特定すると20~60質量%の成分B)を含む。
【0092】
成分C)
本発明による組成物は、成分C)を含み得る。組成物は、成分C)の混合物を含み得る。
【0093】
成分C)は、ジ(メタ)アクリレートである。特に、成分C)は、ジアクリレートである。
【0094】
成分C)は、650g/mol以下の質量平均分子量Mwを有する。特に、成分C)は、100~600g/mol、より特定すると200~500g/molのMwを有する。
【0095】
成分C)は、特に、以下の式(III):
【0096】
【化4】
【0097】
(式中、
R9は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリジアルキルシロキサンポリオール、並びに前記ポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択されるポリオールの残基であり、
R10及びR11は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R10及びR11は、Hである)
に対応し得る。
【0098】
1つの特定の実施形態によると、R9は、任意選択的にアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化されている、ポリエーテルポリオール又は脂肪族ポリオールの残基である。より特定すると、R9は、ポリエチレングリコールの残基である。
【0099】
ポリエーテルポリオール残基を有する成分C)は、特に、以下の式(IIIa):
【0100】
【化5】
【0101】
(式中、R12はそれぞれ、独立的に、C2~C4アルキレンであり、特に、R12はそれぞれ、独立的に、エチレン、プロピレン、又はブチレンであり、
R13及びR14は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R13及びR14は、Hであり、
mは、2~15の範囲にある)
に対応し得る。
【0102】
成分C)は、特に、式(IIIa):
(式中、
R12は、エチレンであり、
R13及びR14は、Hであり、
mは、7~12の範囲にあり、特に、mは、9である)
に対応するポリエチレングリコールジアクリレートであり得る。
【0103】
m=9である式(IIIa)の適切なポリエチレングリコールジアクリレートの例は、Arkema社から参照SR344で入手可能である。
【0104】
任意選択的にアルコキシル化脂肪族ポリオール残基を有する成分C)は、特に、以下の式(IIIb):
【0105】
【化6】
【0106】
(式中、R15及びR17はそれぞれ、独立的に、C2~C4アルキレンであり、特に、R15及びR17はそれぞれ、独立的に、エチレン、プロピレン、又はブチレンであり、
R16は、C1~C12アルキレンであり、
R18及びR19は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R18及びR19は、Hであり、
p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲にあり、p+qは、0~10の範囲にある)
に対応し得る。
【0107】
1つの特定の実施形態によると、成分C)は、式(III):
(式中、
R9は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリシクロデカンジメタノール、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジ(ペンタエリトリトール)、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イソソルビド、イソイジド、イソマンニド、メチルグルコシド、ヒドロキシル末端基を有するポリブタジエン、アルキルヒドロキシ末端基を有するポリジアルキルシロキサン、並びにまた前記ポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択されるポリオールの残基であり、
R10及びR11は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R10及びR11は、Hである)
に対応する。
【0108】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0~45質量%未満、特に1~40質量%、より特定すると2~20質量%の成分C)を含む。
【0109】
成分D)
本発明による組成物は、成分D)を含み得る。組成物は、成分D)の混合物を含み得る。
【0110】
成分D)は、トリ(メタ)アクリレートである。特に、成分D)は、トリアクリレートである。
【0111】
成分D)は、600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有する。特に、成分D)は、100~550g/mol、より特定すると200~500g/molのMwを有する。
【0112】
成分D)は、特に、以下の式(IV):
【0113】
【化7】
【0114】
(式中、
R20は、任意選択的にアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化されている、ポリエーテルポリオール又は脂肪族ポリオールの残基であり、特に、R20は、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジ(ペンタエリトリトール)、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、メチルグルコシド、イソシアヌレート、並びに前記ポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択されるポリオールの残基であり、
R21、R22、及びR23は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R21、R22、及びR23は、Hである)
に対応し得る。
【0115】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%の成分D)を含む。
【0116】
成分E)
本発明による組成物は、成分E)を含み得る。組成物は、成分E)の混合物を含み得る。
【0117】
成分E)は、テトラ(メタ)アクリレートである。特に、成分E)は、テトラアクリレートである。
【0118】
成分E)は、600g/mol以下の質量平均分子量Mwを有する。特に、成分E)は、200~550g/mol、より特定すると300~500g/molのMwを有する。
【0119】
成分E)は、特に、以下の式(V):
【0120】
【化8】
【0121】
(式中、
R24は、アルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪族ポリオールの残基であり、特に、R24は、ジ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリトリトール、ジ(ペンタエリトリトール)、並びに前記ポリオールのアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体から選択されるポリオールの残基であり、
R25、R26、R27、及びR28は、独立的に、H又はメチルであり、特に、R25、R26、R27、及びR28は、Hである)
に対応し得る。
【0122】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%の成分E)を含む。
【0123】
成分F)
本発明による組成物は、成分F)を含む。組成物は、成分F)の混合物を含み得る。
【0124】
成分F)は、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含むオリゴマーである。特に、成分F)は、少なくとも2個のアクリレート基を含むオリゴマーである。成分F)は、特に、2~10個、特に2~6個、より特定すると2~4個の(メタ)アクリレート基を含むオリゴマーであり得る。成分F)は、特に、2~10個、特に2~6個、より特定すると2~4個のアクリレート基を含むオリゴマーであり得る。
【0125】
成分F)は、700g/mol超の質量平均分子量Mwを有する。特に、成分F)は、750~10000g/mol、より特定すると1000~3000g/molのMwを有する。
【0126】
成分F)は、特に、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択されるオリゴマーであり得る。有利には、成分F)は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びそれらの混合物から選択されるオリゴマーである。
【0127】
適切なエポキシ(メタ)アクリレートの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物とエポキシ樹脂(ポリグリシジルエーテル又はエステル)との反応生成物が挙げられる。エポキシ樹脂は、特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ビスフェノールSジグリシジルエーテル;臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル;臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル;臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル;水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル;水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル;水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル;ノボラックエポキシ樹脂;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,4-ジオキサン;ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート;ビニルシクロヘキセンジエポキシド;4-ビニルエポキシシクロヘキサン;ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート;3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキサンカルボキシレート;メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン);ジシクロペンタジエンジエポキシド;エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル;エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセロールトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;特に、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセロール等の脂肪族多価アルコールに1つ又は複数のアルキレンオキシドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;長鎖脂肪族塩基性二酸のジグリシジルエステル;脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテル;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はそれらのアルコキシル化誘導体のモノグリシジルエーテル;脂肪酸のグリシジルエステル;エポキシ化ダイズ油;エポキシブチルステアリン酸;エポキシオクチルステアリン酸;エポキシ化アマニ油;並びにエポキシ化ポリブタジエンから選択され得る。
【0128】
適切なウレタン(メタ)アクリレート(「ポリウレタン(メタ)アクリレート」とも称される)の例としては、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族であるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、又はポリカーボネートポリオールと、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジイソシアネートとに基づくウレタンが挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、特に、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ポリイソシアネート(例えば、ジイソシアネート又はトリイソシアネート)を、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリジメチルシロキサンポリオール、ポリブタジエンポリオール、又はそれらの混合物と反応させて、イソシアネート基で官能化されたオリゴマーを形成し、次いで、これを、ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと反応させて、(メタ)アクリレート基を導入することによって調製され得る。文献に記載されているように、試薬の添加の順序を変更することも可能である。例えば、ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートは、まずポリイソシアネートと反応して、イソシアネートで官能化された(メタ)アクリレートを得ることができ、次いで、これをポリオールと反応させる。或いは、すべての試薬が同時に反応することもできる。
【0129】
適切なポリエステル(メタ)アクリレートの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物とポリエステルポリオールとの反応生成物が挙げられる。反応は、残留ヒドロキシル基が残るように、又はすべてのヒドロキシル基が(メタ)アクリル化されるように行われ得る。ポリエステルポリオールは、特に、ポリオール(例えば、ジオール)とポリカルボン酸(例えば、ジカルボン酸又は無水物)との間の重縮合によって得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートを得るために、ポリエステルポリオールのヒドロキシル基を、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、又は(メタ)アクリル酸無水物との反応によって部分的又は完全にエステル化させる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートをポリカルボン酸と反応させることによっても得ることができる。ポリオール及びポリカルボン酸は、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は芳香族、非環式又は環式構造を有し得る。
【0130】
1つの特定の実施形態によると、成分F)は、脂肪族、脂環式又は芳香族ウレタンジアクリレート、より特定すると脂肪族ウレタンジアクリレートである。適切な脂肪族ウレタンジアクリレートの例は、Arkema社から参照CN966で入手可能である。
【0131】
適切なポリエーテル(メタ)アクリレートの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物とポリエーテルポリオールとの反応生成物が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、直鎖状又は分岐状であり得る。ポリエーテルポリオールは、エポキシド(例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1-ブテンオキシド)、又は酸素を含有する他の複素環式化合物(例えば、オキセタン若しくはテトラヒドロフラン)の開環重合によって得ることができる。ポリエーテルポリオールは、グリコール等のジオールの縮合によっても得ることができる。
【0132】
上記のオリゴマーは、文献に記載されている手順に従ってアミン又はチオールで修飾され得る。そのような修飾されたオリゴマーは、特に、オリゴマーの低割合(例えば、2~15%)の(メタ)アクリレート基をアミン(例えば、第2級アミン)又はチオールと反応させ、アミン又はチオールをマイケル付加反応により(メタ)アクリレート基の一部のC=C二重結合に付加することによって得ることができる。
【0133】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、5~80質量%、特に8~55質量%、より特定すると15~40質量%の成分F)を含む。
【0134】
成分G)
本発明による組成物は、成分G)を含み得る。組成物は、成分G)の混合物を含み得る。
【0135】
成分G)は、成分A)~F)とは異なるエチレン性不飽和化合物である。
【0136】
特に、成分G)は、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、及びそれらの混合物から選択される1~10個のエチレン性不飽和基を含む化合物であり得る。
【0137】
成分G)は、特に、
- 650g/mol超~700g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するジ(メタ)アクリレート、
- 600g/mol超~700g/mol以下の質量平均分子量Mwを有するトリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレート、
- N-ビニル化合物、例えば、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム(NVC)、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VIMA)、
- O-ビニル化合物、例えば、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、2-エチルヘキシルビニルエーテル(EHVE)、ドデシルビニルエーテル(DDVE)、オクタデシルビニルエーテル(ODVE)、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル(BDDVE)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DVE-2)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE-3)、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDM-di)、
- ヒドロキシビニル化合物、例えば、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHDM-mono)、
- 他のビニル化合物、例えば、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(TVCH)、
- (メタ)アクリレート/ビニルエーテル混合化合物、例えば、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA)、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリレート(VEEM)
から選択され得る。
【0138】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%の成分G)を含む。
【0139】
成分H)
本発明による組成物は、成分H)を含み得る。組成物は、成分H)の混合物を含み得る。
【0140】
成分H)は、開始剤である。開始剤とは、加熱されたときに、及び/又は放射線に曝露されたときに、及び/又は酸化還元反応にかけられたときに、ラジカルを生成する化合物である。
【0141】
1つの特定の実施形態によると、開始剤は、過酸化物である。この場合、本発明による組成物は、過酸化物還元促進剤の存在下で、熱経路を介して、又は低温で架橋可能であり得る。促進剤は、特に、低温(特に室温:20~25℃)で過酸化物の分解を促進することを可能にする。
【0142】
或いは、本発明による組成物は、光開始剤を含み得る。光開始剤とは、放射線に曝露されたときにラジカルを生成する開始剤である。この場合、本発明による組成物は、放射線によって、特に、UV、近UV、可視、赤外若しくは近赤外線によって、レーザーによって、又はLEDによって、好ましくは近UV/可視ランプで架橋可能であり得る。近UV/可視放射に対応する波長範囲は、355~415nmにわたり、可視放射に対応する波長範囲は、400~800nmにわたる。
【0143】
別の代替的な選択肢によると、本発明による組成物は、開始剤を含まず、この場合、これは、電子ビームでの放射線によって架橋可能であり得る。
【0144】
好ましくは、本発明による組成物は、光開始剤を含む。
【0145】
別の代替によると、本発明の組成物は、二重経路によって架橋可能であり、このことは、先に定義した少なくとも2つの架橋技術を組み合わせることを意味する。この代替的な定義下での二重経路の例としては、過酸化物の存在に基づく経路と、少なくとも1種の光開始剤が存在する経路との組み合わせを挙げることができる。そのような場合、組成物は、同時又は連続段階のいずれかで、過酸化物の存在下で熱経路によって若しくは低温で、又は光開始剤が更に存在するUV照射下での経路によって、架橋することができる。例えば、光開始剤の存在下でのUV経路による迅速な架橋の後に、前記光開始剤とともに過酸化物が存在する結果として、熱経路による更なる架橋が続き得て、したがって、特にUV架橋の温度よりも高い温度での架橋を仕上げる/完了することが可能になる。これは特に、完全に架橋された組成物のガラス転移温度がUV架橋温度のガラス転移温度よりも高い場合に、有利であり得る。
【0146】
適切な過酸化物の例としては、特に、ヒドロペルオキシド(R-O-O-H);ジアルキルペルオキシド、ジアリールペルオキシド、又はアリール/アルキルペルオキシド(R-O-O-R');過酸(RC(O)-O-O-H);ペルオキシエステル(RC(O)-O-O-R');ジアシルペルオキシド(RC(O)-O-O-C(O)-R')、ペルオキシアセタール、ペルオキシカーボネート、及びそれらの混合物を挙げることができ、R及びR'は、独立的に、脂肪族、脂環式又は芳香族基である。
【0147】
過酸化物又はヒドロペルオキシドの分解(還元)促進剤の例としては、特に、第3級アミン類、及び/又は鉄、コバルト、マンガン若しくはバナジウムのカルボン酸塩等の遷移金属塩を含有する還元剤を挙げることができる。
【0148】
適切な光開始剤の例としては、特に、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、ベンジル類、ベンジルケタール類、アントラキノン類、アシルホスフィンオキシド類、α-ヒドロキシケトン類、フェニルグリオキシレート類、α-アミノケトン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、キサントン類、キノキサリン誘導体、及びトリアジン化合物を挙げることができる。より特定すると、光開始剤は、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-ベンジルアントラキノン、2-(t-ブチル)アントラキノン、1,2-ベンゾ-9,10-アントラキノン、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン、ミヒラーケトン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-エトキシアセトフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、1,5-アセトナフチレン、エチルp-ジメチルアミノベンゾエート、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、オリゴマーα-ヒドロキシケトン、ベンゾイルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、アントラキノン、(ベンゼン)トリカルボニルクロム、ベンジル、ベンゾインイソブチルエーテル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4'-モルホリノブチロフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、ジベンゾスベレノン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、4'-エトキシアセトフェノン、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェロセン、3'-ヒドロキシアセトフェノン、4'-ヒドロキシアセトフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルマート、2-メチル-4'-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、フェナントレンキノン、4'-フェノキシアセトフェノン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、9,10-ジエトキシ-及び9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、チオキサンテン-9-オン、又は前述の開始剤の任意の組み合わせから選択され得る。
【0149】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0.5~10質量%の成分H)を含む。
【0150】
成分I)
本発明による組成物は、成分I)を含み得る。組成物は、成分I)の混合物を含み得る。
【0151】
成分I)は、添加剤である。
【0152】
添加剤の例としては、酸化防止剤、光安定剤、光吸収剤、重合阻害剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、分散剤(湿潤剤、界面活性剤)、滑剤、接着促進剤、潤滑剤、顔料、染料、充填剤、連鎖移動剤、レオロジー剤(チキソトロープ剤、増粘剤)、マット化剤、乳白剤、耐衝撃剤、ワックス、並びにインク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形、インキングプレート及び3D印刷組成物で一般的に使用されるその他の薬剤が挙げられる。
【0153】
本発明による組成物は、成分A)~I)すべての質量に対して、0~30質量%の成分I)を含む。
【0154】
組成物
本発明による組成物は、
- 5~50%未満、特に10~40%、より特定すると15~30%の成分A)と、
- 10~75%、特に15~70%、より特定すると20~60%の成分B)と、
- 0~45%未満、特に1~40%、より特定すると2~20%の成分C)と、
- 0~30%、特に0~20%の成分D)と、
- 0~30%、特に0~20%の成分E)と、
- 5~80%、特に8~55%、より特定すると15~40%の成分F)と、
- 0~30%、特に0~20%の成分G)と、
- 0.5~10%の成分H)と、
- 0~30%の成分I)と
を含み、%は、成分A)~I)すべての質量に対する質量%である。
【0155】
一実施形態によると、組成物は、化合物A)~I)以外の化合物を含まない。したがって、成分A)~I)すべての質量は、組成物の質量の100%に相当し得る。
【0156】
成分A)及びC)の総質量は、成分A)~I)すべての質量の50%未満に相当する。
【0157】
一実施形態によると、成分A)及びB)の総質量は、成分A)~H)すべての質量の30~90%、特に35~85%、より特定すると40~80%、より特定すると更に40~75%に相当する。
【0158】
場合によっては、成分A)及びB)の総質量は、成分A)~H)すべての質量の40~90%、特に50~90%、より特定すると60~90%、より特定すると更に70~90%、より特定すると80~90%に相当する。
【0159】
成分A)とB)との質量比率は特に、0.1~5、特に0.2~2、より特定すると0.3~1.5、より特定すると更に0.4~1、更により特定すると0.5~0.8であり得る。
【0160】
場合によっては、成分A)とB)との質量比率は、0.1~1、特に0.1~0.8、より特定すると0.1~0.7、より特定すると更に0.1~0.6、更により特定すると0.2~0.6の範囲にある。
【0161】
成分A)のF)に対する質量比率は、特に、最終的な生成物が良好な機械的特性と任意選択的に柔軟性及び/又は弾性の性質とを有するような組成物のTgになるように調整され得る。
【0162】
1つの特定の実施形態によると、本発明による組成物は、0~30℃、特に5~25℃のTgを有する。Tgは、下記の方法によって測定することができる。
【0163】
成分A)のF)に対する質量比率は、意図される用途に応じて組成物が適切な粘度を有するように調整され得る。
【0164】
1つの特定の実施形態によると、本発明による組成物は、50℃で、1~20mPa.s、特に5~15mPa.sの粘度を有する。
【0165】
本発明による組成物は、特に、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形若しくはインキングプレート組成物、又は3D印刷のための組成物であり得る。
【0166】
1つの好ましい実施形態によると、本発明による組成物は、3D印刷のための組成物である。
【0167】
本発明による組成物は、特に、下記の方法による架橋されたオブジェクト及び3Dオブジェクトを得るために使用され得る。
【0168】
架橋生成物及び3Dオブジェクトを製造するための方法
架橋生成物を製造するための方法は、本発明による組成物を架橋する工程を含む。特に、組成物は、組成物を放射線に曝露することによって、及び/又は組成物を加熱することによって、及び/又は組成物を酸化還元反応にかけることによって架橋され得る。より特定すると、組成物は、組成物を、UV、近UV、可視、赤外若しくは近赤外線、又は電子ビームに曝露することによって架橋され得る。
【0169】
組成物は、架橋される前に、基材に塗布され得るか、又は型に注型され得る。
【0170】
得られる架橋生成物は、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクトであり得る。特に、架橋生成物は、3Dオブジェクトであり得る。
【0171】
3Dオブジェクトは、特に、本発明による組成物を使用して3Dオブジェクトを印刷する工程を含む方法で得ることができる。この方法は、特に、3Dオブジェクトの連続的な又は層ごとの印刷のための方法であり得る。
【0172】
本発明による方法は、ほとんどの3D印刷技術で実行することができる。この方法は、特に、タンク又はインクジェット3D印刷方法であり得る。
【0173】
この方法は、特に、本発明による組成物が、タンク内に含まれており、かつ光活性化重合によって(平面内又は空間内のいずれかで)選択的に硬化される、3D印刷方法であり得る。この方法は、特に、ISO 52900 (2015)規格に記載されている。この方法としては、光線によるスキャンによって誘発される様々な選択的重合技術(ステレオリソグラフィー-SLA)、光画像の投影(デジタル光処理-DLP)、又はLCDスクリーンから得られる光パターンへの曝露(マスクステレオリソグラフィー-MSLAと称されることもある液晶デバイス-LCD)、又はタンク内の非常に正確な箇所で重合のトリガーを誘発するこの箇所のみに限定された波長の光に樹脂を曝露するその他の方法が挙げられる。
【0174】
或いは、この方法は、放射線の影響下で架橋される前に、本発明による組成物が、液滴の形態で投射されるか、又はリボンの形態で堆積される、3D印刷方法であり得る。この組成物は、支持体上、前の層上、又は粉末基材の層上に投射され得る。
【0175】
「層ごとの」の3D印刷方法は、以下の工程:
a) 本発明による組成物の第1の層を表面上に堆積させる工程と、
b) 少なくとも部分的に第1の層を架橋して、第1の架橋層を得る工程と、
c) 本発明による組成物の第2の層を第1の架橋層上に堆積させる工程と、
d) 第2の層を少なくとも部分的に架橋して、第1の架橋層に付着した第2の架橋層を得る工程と、
e) 工程c)及びd)を、3Dオブジェクトを得るために必要な回数繰り返す工程と
を含む。
【0176】
使用可能な架橋経路は、光開始剤の存在下での化学線(UV、UV/可視、近UV/可視、又は電子ビームEB)による架橋のための技術について特に好ましいと先にすでに記載したものである。
【0177】
本発明による組成物は、CLIP(連続液界面(又は中間相)製造(又は印刷))法又はプロセスとしても知られている連続プロセスによる3Dオブジェクトの製造方法においても使用することができる。このタイプの方法は、WO2014/126830、WO2014/126834及びWO2014/126837、並びにTumblestonら、「Continuous Liquid Interface Production of 3D Objects」, Science, Vol. 347, Issue 6228, pp. 1349-1352(March 20, 2015)に記載されている。
【0178】
CLIPプロセスは、化学線、例えばUV照射による、画像のフィルム又は連続シーケンスの投射によって進行し、この画像は、例えばデジタル画像ユニットによって、液体形態で維持された組成物の浴の下にある化学線に対して透明かつ酸素(阻害剤)に対して透過性の窓を通して生成され得る。(増大)物品の下方の液体界面は、窓の上方に生成されるデッドゾーンによって維持される。硬化した固体物品は、デッドゾーンの上方で組成物の浴から連続的に取り出され、これは、硬化して増大物品に組み込まれる組成物の量を補償するための追加量の組成物を浴に導入することによって再生成され得る。
【0179】
例えば、本発明による組成物を使用して3Dオブジェクトを印刷する方法は、以下の工程:
a) 支持体(又は印刷プラテン(print platen))、及び構築表面を有する光学的に透明な要素を用意する工程であり、支持体及び構築表面が、それらの間に構築領域を画定している、工程と、
b) 構築領域を本発明による組成物で充填する工程と、
c) 構築領域を化学線で連続的又は断続的に照射して、組成物から出発して架橋組成物を形成する工程と、
d) 連続的又は断続的に、前記支持体を構築表面から遠ざけるように移動させて、架橋組成物を有する3Dオブジェクトを形成する工程と
を含み得る。
【0180】
より特定すると、連続印刷方法(CLIPタイプ)は、以下の工程:
a) 支持体(又は印刷プラテン)及び固定構築窓を用意する工程であり、構築窓が、半透性要素を含み、前記半透性要素が、構築表面及び構築表面から分かれた供給表面を含み、構築表面及び支持体が、それらの間に構築領域を画定しており、供給表面が重合阻害剤と液体接触している、工程と、
b) 次いで、同時に及び/又は順次、構築領域を本発明による組成物で充填し、前記組成物が印刷プラテンと接触している、工程と、
c) 構築領域に構築窓を通して照射して、構築領域に固体重合領域を生成し、組成物からなる液体フィルムの残りの層が、固体重合領域と構築窓との間に形成されており、液体フィルムの重合が重合阻害剤によって阻害されている、工程と、
d) 重合領域が付着している印刷プラテンを固定窓の構築表面から遠ざけるように移動させて、重合領域と固定構造窓との間に構築領域を形成する、工程と
を含み得る。
【0181】
通常、この方法は、互いに付着した重合領域の連続又は反復堆積が対象の3Dオブジェクトを形成するまで、工程b)~d)を繰り返して及び/又は継続して、前に重合された領域に付着した重合領域を続いて製造する工程e)を含む。
【0182】
本発明による方法で得られる架橋生成物及び3Dオブジェクトを以下に記載する。
【0183】
架橋生成物及び3Dオブジェクト
本発明による架橋生成物は、先に定義されているような又は上記の方法による組成物を架橋することによって得られる。
【0184】
架橋生成物は、特に、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクトであり得て、特に、架橋生成物は3Dオブジェクトである。
【0185】
本発明による方法で得られる3Dオブジェクトは、有利には、クリーンであり、プラテンから容易に取り外される。これらは、特に、良好な耐引裂性及び耐折り畳み性を有し得る。
【0186】
1つの好ましい実施形態によると、得られる3Dオブジェクトは、柔軟及び/又は弾性である。これらは、特に、120~250%の破断伸びを有し得る。
【0187】
使用
本発明による組成物は、インク、コーティング、シーリング材、接着剤、成形物、インキングプレート、又は3Dオブジェクト、特に3Dオブジェクトを得るために使用され得る。
【0188】
本発明はまた、3D印刷のための組成物における、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートの使用にも関する。1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートは、特に、上記の成分A)に対応し得る。
【0189】
組成物中の成分A)の量は、有利には、組成物の質量に対して、5~50質量%未満、特に10~40質量%、より特定すると15~30質量%である。
【0190】
1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートは、有利には、1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートとは異なる1種若しくは複数のモノ(メタ)アクリレートと組み合わせることができ、及び/又は少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含み、かつ700g/mol超の質量平均分子量Mwを有する1種若しくは複数のオリゴマーと組み合わせることができる。1,3-ジオキソラン環を含むモノ(メタ)アクリレートとは異なるモノ(メタ)アクリレートは、特に、上記の成分B)に対応し得る。少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含み、かつ700g/mol超の質量平均分子量Mwを有するオリゴマーは、特に、上記の成分F)に対応し得る。
【0191】
組成物中の成分B)の量は、有利には、組成物の質量に対して、10~75質量%、特に15~70質量%、より特定すると20~60質量%である。
【0192】
一実施形態によると、成分A)及びB)の総質量は、組成物の質量の30~90%、特に35~85%、より特定すると40~80%、より特定すると更に40~75%に相当する。
【0193】
場合によっては、成分A)及びB)の総質量は、組成物の質量の40~90%、特に50~90%、より特定すると60~90%、より特定すると更に70~90%、より特定すると80~90%に相当する。
【0194】
成分A)とB)との質量比率は特に、0.1~5、特に0.2~2、より特定すると0.3~1.5、より特定すると更に0.4~1、更により特定すると0.5~0.8であり得る。
【0195】
場合によっては、成分A)とB)との質量比率は、0.1~1、特に0.1~0.8、より特定すると0.1~0.7、より特定すると更に0.1~0.6、更により特定すると0.2~0.6の範囲にある。
【0196】
組成物中の成分F)の量は、有利には、組成物の質量に対して、5~80質量%、特に8~55質量%、より特定すると15~40質量%である。
【0197】
組成物はまた、上記のように、成分C)、成分D)、成分E)、成分G)、成分H)、成分I)、及びそれらの混合物から選択される成分を含み得る。
【0198】
組成物中の成分C)の量は、組成物の質量に対して、0~45質量%未満、特に1~40質量%、より特定すると2~20質量%であり得る。
【0199】
成分A)及びC)の総質量は、組成物の質量の50%未満に相当し得る。
【0200】
組成物中の成分D)の量は、組成物の質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%であり得る。
【0201】
組成物中の成分E)の量は、組成物の質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%であり得る。
【0202】
組成物中の成分G)の量は、組成物の質量に対して、0~30質量%、特に0~20質量%であり得る。
【0203】
組成物中の成分H)の量は、組成物の質量に対して、0.5~10質量%であり得る。
【0204】
組成物中の成分I)の量は、組成物の質量に対して、0~30質量%であり得る。
【0205】
一実施形態によると、組成物は、化合物A)~I)以外の化合物を含まない。したがって、成分A)~I)すべての質量は、組成物の質量の100%に相当し得る。
【0206】
本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例
【0207】
測定方法
本出願で使用される測定方法を以下に記載する:
【0208】
ガラス転移温度:
ガラス転移温度は、動的機械分析(DMA)によって得られる。貯蔵弾性率(G')及び損失弾性率(G'')は、0.05%の典型的な変形率(材料の応答に応じて調整可能)及び1Hzの応力周波数で、80×10×4mmの寸法(1.5~4cmの間で調整可能な顎部の間の有効な長さであり、この値は、ソフトウェアによる弾性率の計算で考慮される)を有する図2の印刷可能なオブジェクトファイルに従った印刷されたサンプルに長方形のねじり応力を適用することによって、3℃/分の速度にて-40℃から180℃の温度上昇で、RSI Orchestratorソフトウェアによって制御されるRheometric Scientific RDA III機器で測定する。好ましくは、サンプルは、23℃±2℃、相対湿度50%±10%で、少なくとも24時間にわたって、事前に調節にかけた。貯蔵弾性率の値は、様々な温度、特に25℃及び150℃で与えることができる。G''/G'比は、損失係数又はタンジェントデルタ(tan delta)と称される。Tgは、このタンジェントの値が最大になる温度(Tα)に対応する。この方法は特に、DSC(示差走査熱量測定)による直接的な測定の決定が不可能又は困難であるポリマー材料のガラス転移温度を測定することを可能にする。
【0209】
表面張力:
表面張力は、Kruss社のDSA10(Drop Shape Analysis)デバイスを用いたハンギングドロップ法によって測定する。測定は、23℃、湿度50%で行った。液滴は、空気中でシリンジの先端に形成される。平衡状態の液滴の場合、ラプラス方程式は、液滴の形状を表面張力と重力に関連付ける。デバイスのソフトウェアは、液滴のプロファイル及び対応するパラメータ(特に、曲率半径及びアスペクト比)を抽出することができる。化合物の密度は、比重計で測定する。表面張力は、以下の式に従って計算する:
表面張力IFT=(ρ液体媒体)g×Ro×2/β
ρ液体=液体の密度
ρ媒体=周囲媒体の密度
Ro=液滴の曲率半径
β=液滴のアスペクト比
【0210】
粘度:
粘度は、100rpmまで回転するS27円筒スピンドルを備えたブルックフィールド粘度計(Fungilab alphaシリーズ)を用いて50℃で測定される。温度は、水循環式温度調節システムで一定に保つ。
【0211】
質量平均分子量
質量平均分子量は、OECD(1996),Test No.118: Determination of the Number-Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography, OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 1, Editions OCDE [OECD Publications], Parisに従って、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定する。以下の条件が使用される:
・ Agilent社によって供給される2つの混合カラムD(参照1110-6504)+1つの100Åカラム(参照1110-6520)+1つの50Åカラム(参照1110-6515)、(7.8mm×300mm)、固定相はポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)架橋ゲル
・ 移動相(THF)流量:1ml/分
・ カラム温度:35℃
・ 検出器:屈折率
・ 較正:ポリスチレン標準(Mw:483400、215000、113300、51150、19540、10110、4430、2930、1320、575、162g/mol)
【0212】
印刷適性:
3Dオブジェクトの印刷の品質は、図4の印刷可能なオブジェクトファイルに従って印刷されたオブジェクトについて視覚的に決定され、以下のスケールに従って、0~5のスコアが割り当てられる:
0:オブジェクトの印刷なし
1:オブジェクトがプラットフォームから完全又は部分的に切り離されている
2:オブジェクトが剥離している(層の一部が欠落している)
3:平らなオブジェクトの印刷は問題ないが、複雑なオブジェクトでは一部の形状が欠落又は変形している:押しつぶされたレリーフ、融合した平行な壁
4:単純な幾何学的部品の印刷は良好であるが、印刷が最も困難な細部(オーバーハング及びガントリー)が欠落している
5:すべての部品のすべての細部が存在する
【0213】
引張試験(伸び、破断応力)
伸び及び破断応力を、500mm/分の引張速度で、ISO 527-5A: 1993規格に準拠した引張試験によって、図1の印刷可能なオブジェクトファイルに従った印刷されたオブジェクトについて得る。
【0214】
耐引裂性
耐引裂性を、500mm/分の引張速度で、D624 type C, 2012規格に準拠して、図3の印刷可能なオブジェクトファイルに従った印刷されたオブジェクトについて得る。
【0215】
硬度
硬度を、ショアAタイプのデュロメータを用いて、ISO 868: 2003規格に準拠して、図1の印刷可能なオブジェクトファイルに従った印刷されたオブジェクトについて測定した。測定は、測定先端とサンプルとの間の接触の5秒後に行った。
【0216】
材料
実施例で使用される材料を以下に記載する:
CN966:7000g/molの質量平均分子量を有する脂肪族ウレタンジアクリレート、参照CN966H90でArkema社から入手可能(混合物の質量に対して90質量%のCN966及び10質量%のSR256を含有する市販の混合物)
IPGA:イソプロピリデングリセロール(Augeo SL191、Solvay社)とメチルアクリレート(Arkema社)との間のエステル交換反応によって得られた2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートであり、アクリレート/アルコールのモル比は2~3であり、アセチルアセトナトジルコニウム(Zr(AcAc)4、Sachem社)で触媒されている。エステル交換反応は、機械的に撹拌しながら触媒を反応媒体に添加し、反応器内の圧力をわずかに下げて、反応温度を100℃未満で維持することによって行う(8時間)。反応副生成物(メタノール)は、メタノール/メチルアクリレート共沸混合物の還流による蒸留によって抽出される。残留メチルアクリレートを減圧下でストリッピングによって除去する(100mbar未満、1時間30分)。所望の反応生成物IPGAを低圧での蒸留によって精製する(15mbar未満、3時間)。
SR495B:344g/molの質量平均分子量を有するポリカプロラクトンモノアクリレート(2-[O-(CH2)5-C(=O)]-単位)、Arkema社から参照SR495Bで販売
SR506D:208g/mol分子量を有するイソボルニルアクリレート、Arkema社から参照SR506Dで販売
SR256:188g/molの分子量を有する2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、Arkema社から参照SR256で販売
TPO-L:エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、Lambson社から参照SpeedCure(登録商標)TPO-Lで販売
BPO:フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、Lambson社から参照SpeedCure(登録商標)BPOで販売
【0217】
(実施例1)
組成物
以下の表に詳述する化合物を使用して組成物を調製する(量は、組成物の質量に対する質量%として示され、CN966の量は、オリゴマーの実際の量に対応し、SR256の量は、市販の混合物CN966H90によって導入されたモノマーの量に対応する)。
【0218】
【表1】
【0219】
単官能性モノマー(IPGA、SR495B、及び/又はSR506D)及びオリゴマー(SR256との混合物としてのCN966)を65℃で別々に予熱する。オリゴマーを、手動で撹拌しながら単官能性モノマーのうちの1種(%の観点で最も主要なもの)に導入し、均質化させる。次いで、残りのモノマーを混合物に添加する。最後に、光開始剤(TPO-L又はBPO)を導入する。混合物の温度を室温(20~25℃)に戻す。
【0220】
(実施例2)
3Dオブジェクト
3Dオブジェクトを、図1図4に表される印刷可能なオブジェクトファイルに従って、実施例1の組成物を使用して印刷した。印刷操作は、3Dプリンタ、Photonモデル(Anycubic社のLCDプリンタ)で行った。各実施例で使用した印刷プログラムを以下の表に詳述する(接着層は、プラットフォームと接触している層であり、「底部層」とも称される)。印刷後に得られた部品を、5m/分の速度、通過10回で、コンベヤベンチを備えた12VのLEDランプ下で後硬化にかける。
【0221】
【表2】
【0222】
得られたオブジェクトの特性を以下の表に詳述する:
【0223】
【表3】
【0224】
本発明による組成物K049、K040、K048、及びK054で印刷されたオブジェクトは、良好な品質であり、モデル部品のすべての細部が存在する。これらのオブジェクトは、良好な伸び、柔軟かつ快適な感触、及び適切な機械的特性も呈する。これらのオブジェクトは、組成物の質量に対して40~90質量%の成分A)及び成分B)を含み、かつ成分A)と成分B)との質量比率が0.2~0.6である、組成物を用いて得られる。
【0225】
本発明による組成物K022及びK023で印刷されたオブジェクトは、優れた伸びを呈するが、剥離している(層の一部が欠落している)。これらのオブジェクトは、組成物の質量に対して40~90質量%の成分A)及び成分B)を含み、かつ成分A)と成分B)との質量比率が1.4~2.0である、組成物を用いて得られる。これらの実施例は、成分B)の質量に対して少なくとも15質量%の軟質かつ親水性のモノマー、例えば、ポリカプロラクトンアクリレート及び2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレートを含む成分B)の使用が、柔軟な及び弾性のオブジェクトの3D印刷の品質を改善することができることを示す。
【0226】
十分な量の成分B)を含まない比較組成物M001では、オブジェクトを印刷することはできなかった。
【0227】
あまりに多くの量の成分A)を含む比較組成物M002では、オブジェクトを印刷することはできなかった。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】