(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】アルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/00 20060101AFI20230303BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20230303BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20230303BHJP
A01N 1/02 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C12Q1/00 C
G01N1/28 J
G01N33/48 Q
A01N1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540541
(86)(22)【出願日】2021-02-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021002160
(87)【国際公開番号】W WO2021221280
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0052928
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518425449
【氏名又は名称】バイオダイン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BIODYNE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】24-4,Achasan-ro 5-gil,Seongdong-gu,Seoul 04793, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イム、ウク ビン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4B063
4H011
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045BB21
2G045BB23
2G045CB01
2G052AA33
2G052AD32
2G052GA32
2G052JA08
4B063QA05
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QR41
4B063QR48
4B063QS10
4H011BB03
4H011BB06
4H011BB19
4H011CA02
4H011CB08
4H011CC01
4H011CD02
4H011DH02
4H011DH10
4H011DH11
(57)【要約】
本発明は、検体(例えば、人体の剥離細胞)をバイアル内にゼリー化させて人間ドック・健診センターまで安全に運び、人間ドック・健診センターにおいて元の状態に戻して(例えば、液状変換)検体を検査することができる技術に関する。さらに詳しくは、本発明は、バイアル内に収められる検体保存用の液をゼリー状態に切り換えることで、変形することなく検体を人間ドック・健診センターまで安全に搬送し、人間ドック・健診センターにおいて検体保存用の液を液状に再溶解して検体の検査を行う技術に関する。本発明は、選択溶液と選択物質を混合(mixing)することで、バイアルの内側に充填される細胞固定溶液のゼリー化が行われることから、その細胞固定溶液のゼリー化が簡便であるというメリットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液と、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質とを1~40℃の温度下で混合してゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を生成するステップと、
(b)前記アルコール系ゼリー化物質が収められた密閉容器の内側に採取済みの検体を投入するステップと、
(c)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む再溶解溶液を生成するステップと、
(d)前記密閉容器内の前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を前記再溶解溶液に投入するステップと、
(e)前記再溶解溶液を1~40℃の温度に維持して前記アルコール系ゼリー化物質を液状に再溶解するステップと、
(f)前記再溶解を経た状態のアルコール系ゼリー化物質から前記検体を取得して検査するステップと、
を含んでなる、アルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法。
【請求項2】
(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液(以下、「選択溶液」と称する。)を密閉容器に投入するステップと、
(b)前記選択溶液が充填された状態の前記密閉容器の内側に検体を投入するステップと、
(c)1~40℃の温度において、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質を前記選択溶液と検体が投入された状態の前記密閉容器の内側に投入してアルコール系ゼリー化物質としてゼリー化するステップと、
(d)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む再溶解溶液を生成するステップと、
(e)前記密閉容器内の前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を前記再溶解溶液に投入するステップと、
(f)前記再溶解溶液を1~40℃の温度に維持して前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を液状物質に再溶解するステップと、
(g)前記再溶解を経た状態の前記液状物質から前記検体を取得して検査するステップと、
を含んでなる、アルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法。
【請求項3】
(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液と、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質とを1~40℃の温度下で混合してゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を生成するステップと、
(b)前記アルコール系ゼリー化物質が収められた密閉容器の内側に採取済みの検体を投入するステップと、
(c)エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む再溶解溶液を生成するステップと、
(d)前記密閉容器内の前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を前記再溶解溶液に投入するステップと、
(e)前記再溶解溶液を1~40℃の温度に維持して前記アルコール系ゼリー化物質を液状に再溶解するステップと、
(f)前記再溶解を経た状態のアルコール系ゼリー化物質から前記検体を取得して検査するステップと、
を含んでなる、アルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法。
【請求項4】
(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液(以下、「選択溶液」と称する。)を密閉容器に投入するステップと、
(b)前記選択溶液が充填された状態の前記密閉容器の内側に検体を投入するステップと、
(c)1~40℃の温度において、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質を前記選択溶液と検体が投入された状態の前記密閉容器の内側に投入してアルコール系ゼリー化物質としてゼリー化するステップと、
(d)エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む再溶解溶液を生成するステップと、
(e)前記密閉容器内の前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を前記再溶解溶液に投入するステップと、
(f)前記再溶解溶液を1~40℃の温度に維持して前記ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を液状物質に再溶解するステップと、
(g)前記再溶解を経た状態の前記液状物質から前記検体を取得して検査するステップと、
を含んでなる、アルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体(例えば、人体の剥離細胞(exfoliative cells))をバイアル内にゼリー化させて人間ドック・健診センターまで安全に運び、人間ドック・健診センターにおいて元の状態に戻して(例えば、液状変換)検体を検査することができる技術に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、バイアル内に収められる検体保存用の液をゼリー状態に切り換えることで、変形することなく検体を人間ドック・健診センターまで安全に搬送し、人間ドック・健診センターにおいて検体保存用の液を液状に再溶解して検体の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、人体から検体(剥離細胞)を取得し、次いでその剥離細胞を人間ドック・健診センターにおいて細胞診検査のスライドに塗抹し、その後に剥離細胞の状態を観察し、かつ診断することができる。
【0004】
ここで、人間ドック・健診センターへの訪問が困難な患者の場合には、自ら自分の剥離細胞(検体)を採取し、その後、人間ドック・健診センターまでその剥離細胞が損なわれていない状態で搬送しなければならない。そのために、密閉容器であるバイアル内に検体の保護のための細胞固定溶液を検体とともに入れて人間ドック・健診センターまで搬送することができる。
【0005】
検体の変形を防ぐために、バイアル内に充填される細胞固定溶液は、一般に、水溶液からなる。バイアルを搬送する過程において、バイアルの胴体と蓋体との間の隙間から細胞固定溶液が漏れてしまうことが頻繁に起こり、それにより、検体の変形が起きてしまう可能性がある。
【0006】
このような従来の技術における不都合を解消できる技術の実現が求められている。
一方、本発明と関わる先行文献は、次の通りである。
(1)特許文献1(1992年11月4日)「Cell preservative solution」
(2)特許文献2(2006年4月27日)「Enhanced cell preservative solution and methods for using same」
(3)特許文献3(2005年12月13日)「ゲル状保存剤とその製造方法及びそれを用いた細胞の検査方法」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0511430号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0088814号明細書
【特許文献3】韓国公開特許第10-2005-0116689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みて案出されたものであり、本発明は、検体(例えば、人体の剥離細胞)を安全に遠距離まで搬送できるようにバイアル内に収められた検体をアルコール系溶液組成物としてゼリー化し、人間ドック・健診センターにおいて細胞の検査を行う際に検体を元の状態に簡単に修復できるようにするアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法は、(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液と、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質とを1~40℃の温度下で混合(mixing)してゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を生成するステップと、(b)アルコール系ゼリー化物質が収められた密閉容器の内側に採取済みの検体を投入するステップと、(d)密閉容器内のゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を再溶解溶液に投入するステップと、(e)再溶解溶液を1~40℃の温度に維持してアルコール系ゼリー化物質を液状に再溶解するステップと、(f)再溶解を経た状態のアルコール系ゼリー化物質から検体を取得して検査するステップと、を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の第2の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査方法は、(a)メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれたどちらか一方の溶液(以下、「選択溶液」と称する。)を密閉容器に投入するステップと、(b)選択溶液が充填された状態の密閉容器の内側に検体を投入するステップと、(c)1~40℃の温度において、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれた少なくとも1種の物質を選択溶液と検体が投入された状態の密閉容器の内側に投入してアルコール系ゼリー化物質としてゼリー化するステップと、(d)密閉容器内のゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を再溶解溶液に投入するステップと、(e)再溶解溶液を1~40℃の温度に維持してゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を液状物質に再溶解するステップと、(f)再溶解を経た状態の液状物質から検体を取得して検査するステップと、を含んでいてもよい。
【0011】
そのとき、ステップ(d)は、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含んでなる再溶解溶液を生成するステップを含んでいてもよい。
【0012】
また、ステップ(d)は、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含んでなる再溶解溶液を生成するステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、選択溶液と選択物質を混合することで、バイアルの内側に充填される細胞固定溶液のゼリー化が行われることから、その細胞固定溶液のゼリー化が簡便であるというメリットを示す。
【0014】
また、本発明は、細胞固定溶液のゼリー化により、遠距離搬送の際におけるバイアルからの細胞固定溶液の漏れを防ぐことができるというメリットを示す。
さらに、本発明は、ゼリー化の状態から細胞の検査のための液状への変換が簡便であるというメリットをも示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】検体を収めて搬送する密閉容器であるバイアルの例示図である。
【
図2】ゼリー化攪拌器にバイアルが搭載された状態の例示図である。
【
図3】再溶解攪拌器にバイアルが搭載された状態の例示図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査過程を示す手順図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査過程を示す手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、検体を収めて搬送する密閉容器であるバイアルの例示図である。
図1を参照すると、バイアル10は、一方の端部が開口された中空状の胴体12と、その胴体12の開口部を開閉する蓋体11と、を備えていてもよい。
【0017】
そのとき、バイアル10に細胞固定溶液を収めた状態で光や酸素に晒されると、アルコール成分が酸化されてしまう現象が起こり兼ねないため、酸化防止剤入りレジンにて射出してバイアル10を作製してもよい。また、バイアル10に光遮断染料を加えて半透明に作製してもよい。
【0018】
なお、細胞固定溶液を収める容器として不透明なポーチ状の梱包材を採用することにより、酸素や光への暴露を遮断してもよい。
一方、検体を採取した刷毛先(図示せず)をバイアル10の内側に収める過程において、細胞固定溶液に浸されていない検体部分が損なわれてしまう虞がある。よって、バイアル10は、刷毛先を完全に収められるほどのサイズに作製されることが好ましい。なお、検体を採取した刷毛先をバイアル10の内側に収めた状態で、そのバイアル10に細胞固定溶液をいっぱいに充填することが好ましい。
【0019】
従来には、水溶液タイプの細胞固定溶液を検体とともにバイアル10に充填する場合、長距離搬送時の漏れに伴う検体の変形といった不都合が生じていた。本発明は、このような不都合を解消するために、その細胞固定溶液をゼリー化できる組成物を提供する。すなわち、細胞固定溶液がゼリー化されれば、漏れや蒸発の可能性が低いことから、検体の本来の状態を保持することができる。
【0020】
ここで、バイアル10に収められた細胞固定溶液をゼリーの状態で人間ドック・健診センターまで搬送するが、その搬送の過程においてバイアル10を常温以下の低温の状態に維持することにより、そのゼリー化の状態をそのまま維持する。
【0021】
図2は、ゼリー化攪拌器20にバイアル10を搭載した状態の例示図である。
図2を参照すると、本発明に係る選択溶液と選択物質とを混合してアルコール系ゼリー化物質を生成するための手段として、ゼリー化攪拌器20を備えていてもよい。
【0022】
まず、ゼリー化攪拌器20のテーブル部材21にバイアル10を据え置きする。その状態で、ゼリー化攪拌器20を操作してテーブル部材21を注入部材22の下部に位置させ、注入部材22から下の方向にゼリー組成物を投下することにより、バイアル10内にゼリー組成物が充填される。
【0023】
また、ゼリー化攪拌器20を操作して、テーブル部材21を
図2の矢印の方向に往復運動させることにより、バイアル10内のゼリー組成物が上手に混ざるようにしてもよい。
図3は、再溶解攪拌器30にバイアル10を搭載した状態の例示図である。本発明に係るアルコール系ゼリー化物質が検体とともにバイアル10に収められた状態で人間ドック・健診センターに届くと、そのバイアル10から検体を取り出す前にバイアル10内のアルコール系ゼリー化物質を液状に再変換せねばならない。
【0024】
そのために、再溶解攪拌器30のテーブル部材31にバイアル10を据え置きする。その状態で、再溶解攪拌器30を操作してテーブル部材31を注入部材32の下部に位置させ、注入部材32から下の方向に再溶解溶液を投下することにより、バイアル10内のアルコール系ゼリー化物質を液状に再変換する。
【0025】
そのとき、再溶解攪拌器30を操作してテーブル部材31を
図3の矢印の方向に往復運動させることにより、バイアル10内の再溶解溶液がゼリー組成物と上手に混ざるようにしてもよい。
【0026】
本明細書において、
図2のゼリー化攪拌器20と
図3の再溶解攪拌器30は、説明のしやすさのために異なる名称で記載されているが、同一の製品を使ってもよい。なお、
図2のゼリー化攪拌器20と
図3の再溶解攪拌器30は、同様の形状で示されているが、異なる形状に実現されてもよい。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査過程を示す手順図である。
ステップ(S110):まず、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)0.1~0.2重量部、コール酸(cholic acid)0.01~0.05重量部、1Nの酢酸(acetic acid)水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちのどちらか一方の溶液(以下、「選択溶液」と称する。)を選ぶ。
【0028】
そして、ゼラチンと光硬化性タンパク質(gelatin methacryloly;GelMA)のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちのいずれか一種の物質(以下、「選択物質」と称する。)を選ぶ。
【0029】
次いで、選択溶液と選択物質をバイアル10に入れ、その後、1~40℃の温度下で混合することにより、ゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を生成する。
そのとき、バイアル10周辺の温度が1℃未満と低すぎる場合、ゼラチン、光硬化性タンパク質、セルロース天然高分子物質、アクリルビーズ合成高分子はバイアル10内において溶解されないため、ゲル化もしくはゼリー化が不十分になる。
【0030】
また、バイアル10周辺の温度が40℃を超えて高すぎる場合、沸点の低いアルコール系成分が蒸発されるため、組成物全体の物性変化を招いて細胞固定手段の検体固定能が強すぎるか、あるいは、弱すぎる。
【0031】
ステップ(S120):次いで、アルコール系ゼリー化物質が収められたバイアル10の内側に検体を投入する。そのとき、検体を採取した刷毛先(図示せず)を安全に収められるように、バイアル10は、刷毛先を完全に収められるほどのサイズに作製されることが好ましい。
【0032】
このように、検体が投入された状態のバイアル10を人間ドック・健診センターまで搬送する。その搬送の過程において、バイアル10を常温以下の低温の状態に維持しなければ、そのゼリー化の状態が液状に変換されてしまう現象を防ぐことができない。
【0033】
検体が投入された状態のバイアル10が搬送されれば、人間ドック・健診センターにおいては、そのバイアル10から検体を取り出して細胞の検査を行わなければならない。そのとき、バイアル10から検体を変形なしに安全に取り出すためには、バイアル10内の細胞固定手段を液状に再変換せねばならない。
【0034】
ステップ(S130、S140):バイアル10内のゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を再溶解溶液に投入し、次いでその再溶解溶液を1~40℃の温度に維持してアルコール系ゼリー化物質を液状に再溶解してもよい。
【0035】
そのとき、ゼリー化物質と検体を収めているバイアル10を、
図3のように、再溶解攪拌器30の仕掛け物に据え置きした状態で、そのバイアル10の内部に再溶解溶液を投下する実施形態が採用可能である。なお、再溶解攪拌器30とは別途に、そのバイアル10を再溶解溶液に入れる実施形態もまた採用可能である。
【0036】
一方、本発明の第1の実施形態において、再溶解溶液は、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含んでいてもよい。
【0037】
また、本発明の第1の実施形態において、再溶解溶液は、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含んでいてもよい。
【0038】
ステップ(S150):
図3のように、バイアル10内の物質を液状に再変換した後には、別途の装備(図示せず)を介してバイアル10内の検体を取り出して細胞の検査を行ってもよい。
【0039】
本発明の第1の実施形態においては、選択溶液が、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれる。なお、選択物質は、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれる。
【0040】
このような本発明の第1の実施形態に対して各構成比に応じた物性について実験を行った。その際に、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0041】
表1は、本発明の第1の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、メタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0042】
【0043】
表2は、本発明の第1の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0044】
【0045】
表3は、本発明の第1の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、コール酸に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0046】
【0047】
表4は、本発明の第1の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、1N(1ノルマル濃度)の酢酸水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0048】
【0049】
表5は、本発明の第1の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、ゼラチンに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0050】
【0051】
表1~表5において、実施例(A1~A5、B1~B5、C1~C5)では、ゼリー化済みの細胞固定手段の固定能が良好であった。それに対し、比較例(a1~a5、b1~b5)では、バイアル10の内側に検体を固定する能力が強すぎるか、あるいは弱すぎた。それにより、比較例においては、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【0052】
本発明の第1の実施形態に関連して、表1~表5の場合よりもさらに多くの実験が行われたが、説明のしやすさのために省略した。
一方、本発明の第1の実施形態によるアルコール系ゼリー化物質において、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうちの少なくとも1つの物質5~20重量部に対しては、セルロース天然高分子(例えば、mecellose、hecellose)1~100重量部またはアクリルビーズ(acryl bead)合成高分子(例えば、methyl methacrylate-co-ethylene glycol dimethacrylate;MMA)1~100重量部に置き換えてもよい。
【0053】
ここで、セルロース天然高分子に対しても、残りの構成の混合割合を固定した状態で、1重量部の未満範囲と100重量部の超え範囲を比較例として実験を行ったところ、1~100重量部から外れている領域においては、バイアル10の内側において検体を固定する能力が良好ではなかった。
【0054】
そして、アクリルビーズ合成高分子に対しても、残りの構成の混合割合を固定した状態で、1重量部の未満範囲と100重量部の超え範囲を比較例として実験を行ったところ、1~100重量部から外れている領域においては、バイアル10の内側において検体を固定する能力が良好ではなかった。
【0055】
一方、本発明の第1の実施形態において、ステップ(S130)に用いられる再溶解溶液は、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含んでいてもよい(以下、「第1の再溶解溶液」と称する。)。
【0056】
本発明の第1の実施形態では、このような第1の再溶解溶液に対して、各構成比に応じた物性の実験を行い、かつ、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0057】
表6は、本発明の第1の実施形態において、第1の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、メタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0058】
【0059】
表7は、本発明の第1の実施形態において、第1の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0060】
【0061】
表8は、本発明の第1の実施形態において、第1の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、コール酸に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0062】
【0063】
表9は、本発明の第1の実施形態において、第1の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、1Nの酢酸水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0064】
【0065】
表6~表9において、実施例(A6~A9、B6~B9、C6~C9)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)においてこれといった不都合がなかった。それに対し、比較例(a6~a9、b6~b9)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【0066】
他方で、本発明の第1の実施形態において、再溶解溶液は、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含んでいてもよい(以下、「第2の再溶解溶液」と称する。)。
【0067】
本発明の第1の実施形態では、このような第2の再溶解溶液に対して、各構成比に応じた物性の実験を行い、かつ、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0068】
表10は、本発明の第1の実施形態において、第2の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、エタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせながら、組成物全体の物性を知るためのものである。
【0069】
【0070】
表11は、本発明の第1の実施形態において、第2の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0071】
【0072】
表12は、本発明の第1の実施形態において、第2の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、2価アルコール類添加剤に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0073】
【0074】
表10~表12において、実施例(A10~A12、B10~B12、C10~C12)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)においてこれといった不都合がなかった。それに対し、比較例(a10~a12、b10~b12)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【0075】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るアルコール系溶液組成物のゼリー化を用いた細胞の検査過程を示す手順図である。
ステップ(S210):まず、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちのどちらか一方の溶液(以下、「選択溶液」と称する。)を選び、その後、その選択溶液をバイアル10に投入する。
【0076】
ステップ(S220):次いで、バイアル10の内側に検体を投入する。そのとき、バイアル10は、刷毛先を完全に収められるほどのサイズに作製されることが好ましい。
ステップ(S230):そして、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちのいずれか一種の物質(以下、「選択物質」と称する。)を選ぶ。
【0077】
次いで、バイアル10周辺の温度を1~40℃の温度に維持する状態で、検体が投入された状態のバイアル10の内側に選択物質を投入してアルコール系ゼリー化物質としてゼリー化する。
【0078】
そのとき、バイアル10周辺の温度が1℃未満と低すぎる場合、ゼラチン、光硬化性タンパク質、セルロース天然高分子物質、アクリルビーズ合成高分子はバイアル10内において溶解されないため、ゲル化もしくはゼリー化が不十分になる。
【0079】
また、バイアル10周辺の温度が40℃を超えて高すぎる場合、沸点の低いアルコール系成分が蒸発されるため、組成物全体の物性変化を招いて細胞固定手段の検体固定能が強過ぎるか、あるいは弱すぎることになる。
【0080】
それから、検体が投入された状態のバイアル10を人間ドック・健診センターまで搬送する。その搬送の過程において、そのゼリー化の状態が液状に変換されてしまう現象を防ぐためには、バイアル10を常温以下の低温の状態に維持する必要がある。
【0081】
検体が投入された状態のバイアル10が搬送されれば、人間ドック・健診センターにおいては、そのバイアル10から検体を取り出して細胞の検査を行わなければならない。そのとき、バイアル10から検体を変形なしに安全に取り出すためには、バイアル10内の細胞固定手段を液状に再変換せねばならない。
【0082】
ステップ(S240、S250):バイアル10内のゼリー化済みのアルコール系ゼリー化物質を再溶解溶液に投入し、次いでその再溶解溶液を1~40℃の温度に維持してアルコール系ゼリー化物質を液状に再溶解してもよい。
【0083】
そのとき、ゼリー化物質と検体を収めているバイアル10を、
図3のように、再溶解攪拌器30の仕掛け物に据え置きした状態で、そのバイアル10の内部に再溶解溶液を投下する実施形態が採用可能である。なお、再溶解攪拌器30とは別途に、そのバイアル10を再溶解溶液に入れる実施形態もまた採用可能である。
【0084】
一方、本発明の第2の実施形態において、再溶解溶液は、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含んでいてもよい。
【0085】
また、本発明の第2の実施形態において、再溶解溶液は、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含んでいてもよい。
【0086】
ステップ(S260):
図3のように、バイアル10内の物質を液状に再変換した後には、別途の装備(図示せず)を介してバイアル10内の検体を取り出して細胞の検査を行ってもよい。
【0087】
本発明の第2の実施形態においては、選択溶液がメタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含む第1の溶液と、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含む第2の溶液とのうちから選ばれる。なお、選択物質は、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうち少なくとも1つの物質5~20重量部、セルロース天然高分子物質1~100重量部、アクリルビーズ合成高分子物質1~100重量部のうちから選ばれる。
【0088】
このような本発明の第2の実施形態に対して、各構成比に応じた物性に対して実験を行った。その際に、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0089】
表13は、本発明の第2の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、エタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0090】
【0091】
表14は、本発明の第2の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0092】
【0093】
表15は、本発明の第2の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、2価アルコール類添加剤に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0094】
【0095】
表16は、本発明の第2の実施形態に対する各構成の混合割合を固定した状態で、ゼラチンに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0096】
【0097】
表13~表16において、実施例(A13~A16、B13~B16、C13~C16)では、ゼリー化済みの細胞固定手段の固定能が良好であった。それに対し、比較例(a13~a16、b13~b16)では、バイアル10の内側に検体を固定する能力が強すぎるか、あるいは、弱すぎた。それにより、比較例においては、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【0098】
本発明の第2の実施形態に関連して、表13~表16の場合よりもさらに多くの実験が行われたが、説明のしやすさのために省略した。
一方、本発明の第2の実施形態において、ゼラチンと光硬化性タンパク質のうちの少なくとも1つの物質5~20重量部に対しては、セルロース天然高分子(例えば、mecellose、hecellose)1~100重量部またはアクリルビーズ合成高分子(例えば、methyl methacrylate-co-ethylene glycol dimethacrylate;MMA)1~100重量部に置き換えてもよい。
【0099】
ここで、セルロース天然高分子に対しても、残りの構成の混合割合を固定した状態で、1重量部の未満範囲と100重量部の超え範囲を比較例として実験を行ったところ、1~100重量部から外れている領域においては、バイアル10の内側において検体を固定する能力が良好ではなかった。
【0100】
そして、アクリルビーズ合成高分子に対しても、残りの構成の混合割合を固定した状態で、1重量部の未満範囲と100重量部の超え範囲を比較例として実験を行ったところ、1~100重量部から外れている領域においては、バイアル10の内側において検体を固定する能力が良好ではなかった。
【0101】
一方、本発明の第2の実施形態において、ステップ(S240)に用いられる再溶解溶液は、メタノール水溶液30~60重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、コール酸0.01~0.05重量部、1Nの酢酸水溶液0.05~0.1重量部を含んでいてもよい(以下、「第3の再溶解溶液」と称する。)。
【0102】
本発明の第2の実施形態では、このような第3の再溶解溶液に対して、各構成比に応じた物性の実験を行い、かつ、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0103】
表17は、本発明の第2の実施形態において、第3の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、メタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0104】
【0105】
表18は、本発明の第2の実施形態において、第3の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0106】
【0107】
表19は、本発明の第2の実施形態において、第3の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、コール酸に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0108】
【0109】
表20は、本発明の第2の実施形態において、第3の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、1Nの酢酸水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0110】
【0111】
そのとき、表17~表20において、実施例(A17~A20、B17~B20、C17~C20)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)においてこれといった不都合がなかった。それに対し、比較例(a17~a20、b17~b20)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【0112】
他方で、本発明の第2の実施形態において、再溶解溶液は、エタノール水溶液40~50重量部、EDTA 0.1~0.2重量部、2価アルコール類添加剤0.2~1重量部を含んでいてもよい(以下、「第4の再溶解溶液」と称する。)。
【0113】
本発明の第2の実施形態では、このような第4の再溶解溶液に対して、各構成比に応じた物性の実験を行い、かつ、個別の構成要素ごとにその混合組成比率を異ならせながら、当該構成要素が組成物全体の物性に及ぼす影響について実験を行った。
【0114】
表21は、本発明の第2の実施形態において、第4の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、エタノール水溶液に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0115】
【0116】
表22は、本発明の第2の実施形態において、第4の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、EDTAに対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0117】
【0118】
表23は、本発明の第2の実施形態において、第4の再溶解溶液を用いた再溶解過程に関連して、各構成の混合割合を固定した状態で、2価アルコール類添加剤に対してのみその混合割合を異ならせて設定した実験条件を示すものである。
【0119】
【0120】
表21~表23において、実施例(A21~A23、B21~B23、C21~C23)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)においてこれといった不都合がなかった。それに対し、比較例(a21~a23、b21~b23)では、バイアル10から検体を取り出す過程(例えば、再溶解)において不都合(例えば、検体の変形)が生じた。
【国際調査報告】