(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】遷移金属触媒用配位子
(51)【国際特許分類】
C07D 233/58 20060101AFI20230303BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20230303BHJP
C07F 1/12 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C07D233/58
C07F15/00 B
C07F15/00 C CSP
C07F1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542195
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021012726
(87)【国際公開番号】W WO2021142281
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517349186
【氏名又は名称】ラトガース ザ ステイト ユニバーシティー オブ ニュージャージー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ショスタク ミハル
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ クン
(72)【発明者】
【氏名】メン グアンロング
(72)【発明者】
【氏名】リ グアンチェン
【テーマコード(参考)】
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4H048AA01
4H048AB40
4H048AC90
4H048VA10
4H048VA32
4H048VA58
4H048VB10
4H050AA01
4H050AB40
4H050AC90
4H050WB11
4H050WB13
4H050WB17
4H050WB21
(57)【要約】
新規クラスの極めて立体的に嵩高く調製が容易である式IのN-複素環カルベン(NHC)配位子、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体が本明細書において提供される。これらの配位子は、大量に入手可能な工業用化学物質であるアニリンの費用対効果が高いモジュール式のアルキル化を利用することで容易に合成的に入手可能である。NHC配位子はPdなどの遷移金属と共に有効な触媒を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
の化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体であって、
式中、
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~18アリールまたはC
6~18ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルであり、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基を含み; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
Xは対アニオンであり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~6の整数であり;
nは0~6の整数であるが、
但し、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である、
前記化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体。
【請求項2】
A1およびA2が同一である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
A1がC
6~10アリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
A1がフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
A1がナフチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
以下のうち少なくとも1つが適用される、請求項1記載の化合物:
i. mが3である;
ii. nが3である; または
iii. kが1である。
【請求項7】
以下からなる群より選択される、請求項1記載の化合物:
式中、R
1は、CH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、およびCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2からなる群より選択される。
【請求項8】
XがClである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R
1およびR
2が同一である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R
1がCH(アリール)
2である、請求項4記載の化合物。
【請求項11】
R
1がCH(フェニル)
2である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
mが3であり、nが3である、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
XがF、Cl、Br、I、OSO
2R、OSO
3R、およびOC(=O)Rからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
XがClである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
式IIの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~10アリールまたはC
6~10ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルであり、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基を含み; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~5の整数であり;
nは0~5の整数であるが、
但し、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【請求項16】
Mが、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、およびAuからなる群より選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Mが第XVI族元素である、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
pが0、1、または2である、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
少なくとも1個のLがアニオン性配位子である、請求項15記載の化合物。
【請求項20】
少なくとも1個のLが中性配位子である、請求項15記載の化合物。
【請求項21】
少なくとも1個のLが、acac、Cl、3-Cl-ピリジン、ピリジン、N-R'-イミダゾール、シンナミル、アリル、1-R''-インデニル、Cp(シクロペンタジエニル)、アニリン、3-CF
3-アニリン、μ-Cl、μ-OH、1,4-ナフトキノン、CpCl、PR
A
3、ジ-tert-ブチル-フマレート、およびメチルメタクリレートからなる群より選択され、
ここで
R'がMe、Et、Bu、またはPhであり;
R''がt-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、または1-アダマンチルであり;
PR
A
3中、各R
Aが独立して、置換されていてもよいC
1~8アルキル、置換されていてもよいC
2~8アルケニル、置換されていてもよいC
2~8アルキニル、置換されていてもよいC
3~8シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~8ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~8アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、または置換されていてもよいC
4~C
8ヘテロアリールである、
請求項15記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、[Pd(NHC)(acac)Cl]、[Pd(NHC)(3-Cl-ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(N-R'-イミダゾール)Cl
2]、[Pd(NHC)(シンナミル)Cl]、[Pd(NHC)(アリル)Cl]、[Pd(NHC)(1-R''-インデニル)Cl](R =)、[Pd(NHC)(Cp)Cl](Cp = シクロペンタジエニル)、[Pd(NHC)(アニリン)Cl
2])、[Pd(NHC)(3-CF
3-アニリン)Cl
2]、[Pd(NHC)(μ-Cl)Cl]
2、[Pd(NHC)(μ-OH)Cl]
2、[Pd(NHC)(1,4-ナフトキノン)]、
、[Ni(NHC)CpCl]、[Ni(NHC)(PR
A
3)X
A
2]、[Ni(NHC)(ジ-tert-ブチル-フマレート)
2]、[Ni(NHC)(メチルメタクリレート)
2]、[Au(NHC)X
B]、[Cu(NHC)X
A]、[Ag(NHC)X
A]、
からなる群より選択され;
ここでNHCが、以下からなる群より選択され:
;
R
1が、CH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、およびCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2からなる群より選択され;
R'がMe、Et、Bu、またはPhであり;
R''がt-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、または1-アダマンチルであり;
PR
A
3中、各R
Aが独立して、置換されていてもよいC
1~8アルキル、置換されていてもよいC
2~8アルケニル、置換されていてもよいC
2~8アルキニル、置換されていてもよいC
3~8シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~8ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~8アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、または置換されていてもよいC
4~C
8ヘテロアリールであり;
XがClまたはBrであり;
X
AがCl、Br、またはIであり;
X
BがCl、Br、I、NTf
2、またはOTfである、
請求項15記載の化合物。
【請求項23】
式IIIの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
を形成するために、下記構造:
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体とR
1のカチオン形態とを接触させる工程;
下記構造:
を有するジイミン化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を形成するために、式IIIの化合物と(CHO)
2とを縮合する工程; および
式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を形成するために、該ジイミン化合物を環化する工程
を含む、請求項2記載の化合物を作製する方法。
【請求項24】
R
1のカチオン形態がPh
2CH
+である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
環化が、ジイミン化合物とEが求電子剤であるE-Xとを反応させることを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
式IVの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
A、R
5、およびR
6は独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Xは対アニオンであり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルである。
【請求項27】
式IVaの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
A、R
5、およびR
6は独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルである。
【請求項28】
式Vの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
5、R
6、およびR
7はそれぞれ独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Xは対アニオンであり;
YはNまたはCであり;
ZはNまたはCであり;
Gは存在しないか、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、または少なくとも1個のアリールもしくはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであるが、
但し、YおよびZの両方がCであることはない。
【請求項29】
式Vaの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
5、R
6、およびR
7はそれぞれ独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
YはNまたはCであり;
ZはNまたはCであり;
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
Gは存在しないか、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、または少なくとも1個のアリールもしくはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであるが、
但し、YおよびZの両方がCであることはない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年1月8日出願の「遷移金属触媒用配位子(LIGANDS FOR TRANSITION METAL CATALYSTS)」と題する米国仮特許出願第62/958,565号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府の後援による研究に関する記載
本発明は、米国国立科学財団が授与したCHE-1650766および米国国立衛生研究所が授与したGM133326に基づく政府支援により行った。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
N-複素環カルベン(NHC)は均一触媒作用における非常に有益な配位子となっている。NHC配位子の用途が広範であることは、カルベン中心の強力なσ供与、およびホスフィンを含む他のクラスの配位子を使用する場合では容易に得られないことが多いウイングチップ基の変動的な立体的嵩高さの帰結である。さらに、ウイングチップの柔軟な立体的嵩高さを利用することを通じて、NHC配位子は通常にはない酸化状態において金属および中間体の動力学的安定化を可能にし、一方で、NHC配位子の明確に定義されたトポロジーは、金属中心における反応性を微調整することに広範に適用されている。
【0004】
これに関して、均一触媒作用の分野においてとりわけ重要なNHC配位子は、ArdengoおよびNolanが1999年に最初に報告した嵩高いIPr(
図1、1)である。Dipp(Dipp = 2,6-ジイソプロピルアニリン)からのその合成は容易であるが、問題はDipp前駆体の調製にある。Dippの調製は、アルキル化の選択性を制御する上での困難により大きく制限されており、最も一般的な工業的経路は、フェノールのアルキル化を通じた長々として柔軟性に欠ける経路を利用するものである。
【0005】
したがって、効率的でかつ安定した触媒を形成する、遷移金属用の経済的および合成的に入手可能な配位子が依然として要求されている。本開示はこの要求に対処し、それを解決するものである。
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な概要
下記構造を有する式Iの化合物
が本明細書において提供される。
【0007】
特定の態様では、
は単結合または二重結合である。特定の態様では、A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~18アリールまたはC
6~18ヘテロアリールである。特定の態様では、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよい。特定の態様では、R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、またはOC
1~12アルキルであり、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基を含む。特定の態様では、R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよい。特定の態様では、Xは対アニオンである。特定の態様では、各Rは独立して水素、またはC
1~10ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~10アシルなどであるがそれに限定されない)である。特定の態様では、kは1、2、3、または4である。特定の態様では、mは0~6の整数である。特定の態様では、nは0~6の整数である。特定の態様では、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【0008】
式IIの化合物
またはその塩も本明細書において提供される。
【0009】
特定の態様では、Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素である。特定の態様では、LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよい。特定の態様では、pは0~5の整数である。特定の態様では、
は単結合または二重結合である。特定の態様では、A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~10アリールまたはC
6~10ヘテロアリールである。特定の態様では、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよい。特定の態様では、R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、またはOC
1~12アルキルであり、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基を含む。特定の態様では、R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよい。特定の態様では、各Rは独立して水素、またはC
1~10ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~10アシルなどであるがそれに限定されない)である。特定の態様では、kは1、2、3、または4である。特定の態様では、mは0~5の整数である。特定の態様では、nは0~5の整数である。特定の態様では、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本出願の様々な態様を一般的に、例示として、但し限定としてではなく示す。
【0011】
【
図1】触媒作用において使用される種々の立体的に嵩高いN-複素環カルベンを示す。
【
図2】錯体9のX線結晶構造を示す。2つの図: 正面図(上面図); 側面図(下面図)。わかりやすくするために水素原子を省略した。選択される結合長[Å]および結合角[°]: Au-C1、1.972; Au-Cl、2.2768; C1-N1、1.356; C3-N1、1.442(2); C1-Au-Cl、180.0; N1-C1-N1、104.9; C3-N1-C1、122.7; N1-C1-Au、127.5。9におけるCl-Au-C1軸方向の対称性に留意されたい。
【
図3】錯体13のX線結晶構造を示す。2つの図: 正面図(上面図); 側面図(下面図)。わかりやすくするために水素原子を省略した。選択される結合長[Å]および結合角[°]: Pd-C1、2.044(4); Pd-Cl、2.374(1); Pd-C49、2.121(4); Pd-C50、2.130(6); Pd-C51、2.210(7); C1-N1、1.364(5); C1-N2、1.368(4); C4-N1、1.452(4); C58-N2、1.440(5); C1-Pd-C49、103.2(2); C1-Pd-C50、138.5(2); C1-Pd-C51、169.4(2); C49-Pd-C51、67.0(2); C1-Pd-Cl、93.7(1); N1-C1-N2、103.3(3); C4-N1-C1、124.9(3); C58-N2-C1、124.7(3)。
【
図4】象限当たりの% V
burを示す、[Au(IPr#)Cl] (9)および[Pd(IPr#)(cin)Cl] (13)のトポグラフィー立体マップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
ここで、開示される主題の特定の態様に詳細に言及する。これら態様の例の一部は添付図面に示される。開示される主題を番号付きの請求項との関連で説明するが、例示される当該の主題が特許請求の範囲を開示される当該の主題に限定するようには意図されていないことが理解されよう。
【0013】
本文献全体を通じて、範囲という形で表される値は、範囲の限界値として明示的に記載される数値を含むだけではなく、該範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も、あたかも各数値および部分範囲が明示的に記載されるかのように含むように、柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」という範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、指示された範囲内の個々の値(例えば1%、2%、3%、および4%)ならびに部分範囲(例えば0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むものと解釈されるべきである。別途指示がない限り、「約X~Y」という記載は「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、別途指示がない限り、「約X、Y、または約Z」という記載は「約X、約Y、または約Z」と同じ意味を有する。
【0014】
本文献では、文脈上別途明らかな指示がない限り、「a」、「an」、または「the」という用語は1つまたは2つ以上を含むように使用される。別途指示がない限り、「または」という用語は、非排他的な「または」を意味するように使用される。「AおよびBのうち少なくとも1つ」または「AもしくはBのうち少なくとも1つ」という記載は「A、B、またはAおよびB」と同じ意味を有する。さらに、本明細書において使用され、かつ他の箇所で定義されていない語句または用語は、記述のみを目的としており、限定を目的としていないものと理解されるべきである。節の見出しの任意の使用は、本文献の読解の助けとなるように意図されており、限定的なものと解釈されるべきではない。節の見出しに関連する情報は、その特定の節の内側または外側で生じうる。本文献において言及されるすべての刊行物、特許、および特許文献は、個々に参照により組み入れられるかのように、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0015】
本明細書に記載の方法では、時間順序または操作順序が明示的に記載されている場合を除き、行為を任意の順序で行うことができる。さらに、特定の行為が別々に行われなければならないと請求項の明示的な文言に記載されていない限り、それらを同時に行うことができる。例えば、Xを行うという請求項記載の行為およびYを行うという請求項記載の行為を1つの操作内で同時に行うことができ、結果的なプロセスは請求項記載のプロセスの字義通りの範囲内である。
【0016】
定義
本明細書において使用される「約」という用語は、記載される値または記載される範囲限界値の例えば10%以内、5%以内、または1%以内での値または範囲の変動率を可能にしうるものであり、記載される正確な値または範囲を含む。
【0017】
本明細書において使用される「実質的に」という用語は、「の大部分(a majority of)」または「大部分は(mostly)」を、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上、または100%と同様に意味する。本明細書において使用される「実質的に含まない」という用語は、全く有さないこと、または些少な量で有することを意味しうるものであり、したがって、存在する材料の量は、該材料を含む組成物の材料特性に影響せず、したがって、該材料は該組成物の約0重量%~約5重量%、または約0重量%~約1重量%、または約5重量%以下、または約4.5重量%未満、約4.5重量%と同等、もしくは約4.5重量%超、または4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01、もしくは約0.001重量%以下である。「実質的に含まない」という用語は、些少な量で有することを意味しうるものであり、したがって、材料は組成物の約0重量%~約5重量%、または約0重量%~約1重量%、または約5重量%以下、または約4.5重量%未満、約4.5重量%と同等、もしくは約4.5重量%超、または4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01、もしくは約0.001重量%以下、または約0重量%である。
【0018】
本明細書において使用される「有機基」という用語は、任意の炭素含有官能基を意味する。例としてはアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基などの酸素含有基; カルボン酸、カルボン酸塩、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基; アルキルスルフィド基およびアリールスルフィド基などの硫黄含有基; ならびに他のヘテロ原子含有基を挙げることができる。有機基の非限定的な例としてはOR、OOR、OC(O)N(R)2、CN、CF3、OCF3、R、C(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、C(=NOR)R、および置換または非置換(C1~C100)ヒドロカルビルが挙げられ、ここでRは水素(他の炭素原子を含む例において)または炭素系部分であることができ、炭素系部分は置換されていても置換されていなくてもよい。
【0019】
本明細書に定義の分子または有機基に関して本明細書において使用される「置換された」という用語は、そこに含まれる1個または複数の水素原子が1個または複数の非水素原子で置き換えられた状態を意味する。本明細書において使用される「官能基」または「置換基」という用語は、分子または有機基上で置換を行いうるかまたは置換を行う基を意味する。置換基または官能基の例としてはハロゲン(例えばF、Cl、Br、およびI); ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボン酸塩、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基などの基の中の酸素原子; チオール基、アルキルスルフィド基およびアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、ならびにスルホンアミド基の中の硫黄原子; アミン、ヒドロキシアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジド、およびエナミンなどの基の中の窒素原子; ならびに様々な他の基の中の他のヘテロ原子が挙げられるがそれに限定されない。置換された炭素原子(または他の原子)に結合可能な置換基の非限定的な例としてはF、Cl、Br、I、OR、OC(O)N(R)2、CN、NO、NO2、ONO2、アジド、CF3、OCF3、R、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、およびC(=NOR)Rが挙げられ、ここでRは水素または炭素系部分であることができ、例えばRは水素、(C1~C100)ヒドロカルビル、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであることができ、あるいは、窒素原子または複数の隣接する窒素原子に結合した2個のR基は、1個または複数の該窒素原子と一緒になってヘテロシクリルを形成することができる。
【0020】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、1個~40個の炭素原子、1個~約20個の炭素原子、1個~12個の炭素、またはいくつかの態様では1個~8個の炭素原子を有する、直鎖および分岐アルキル基、ならびにシクロアルキル基を意味する。直鎖アルキル基の例としては1~8個の炭素原子を有する基、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、およびn-オクチル基が挙げられる。分岐アルキル基の例としてはイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、および2,2-ジメチルプロピル基が挙げられるがそれに限定されない。本明細書において使用される「アルキル」という用語は、n-アルキル基、イソアルキル基、およびアンテイソアルキル(anteisoalkyl)基、ならびに他の分岐鎖形態のアルキルを包含する。代表的な置換アルキル基は本明細書に列挙されるいずれかの基、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、およびハロゲン基で1回または複数回置換されていてもよい。
【0021】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の二重結合が2個の炭素原子の間に存在すること以外は本明細書に定義の通りである、直鎖および分岐鎖ならびに環状アルキル基を意味する。したがって、アルケニル基は2個~40個の炭素原子、または2個~約20個の炭素原子、または2個~12個の炭素原子、またはいくつかの態様では2個~8個の炭素原子を有する。例としては特にビニル、-CH=C=CCH2、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、およびヘキサジエニルが挙げられるがそれに限定されない。
【0022】
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の三重結合が2個の炭素原子の間に存在すること以外は本明細書に定義の通りである、直鎖および分岐鎖アルキル基を意味する。したがって、アルキニル基は2個~40個の炭素原子、2個~約20個の炭素原子、または2個~12個の炭素、またはいくつかの態様では2個~8個の炭素原子を有する。例としては特に-C≡CH、-C≡C(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、および-CH2C≡C(CH2CH3)が挙げられるがそれに限定されない。
【0023】
本明細書において使用される「アシル」という用語は、カルボニル炭素原子を通じて結合する、カルボニル部分を含む基を意味する。カルボニル炭素原子は、「ホルミル」基を形成する水素に結合するか、またはアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基などの一部でありうる別の炭素原子に結合する。アシル基は、カルボニル基に結合した0個~約12個、0個~約20個、または0個~約40個のさらなる炭素原子を含みうる。アシル基は、本明細書における意味の範囲内の二重結合または三重結合を含みうる。アクリロイル基はアシル基の一例である。アシル基は、本明細書における意味の範囲内のヘテロ原子を含んでもよい。ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル)は本明細書における意味の範囲内のアシル基の一例である。他の例としてはアセチル基、ベンゾイル基、フェニルアセチル基、ピリジルアセチル基、シンナモイル基、およびアクリロイル基などが挙げられる。カルボニル炭素原子に結合した炭素原子を含む基がハロゲンを含む場合、基は「ハロアシル」基と呼ばれる。一例はトリフルオロアセチル基である。
【0024】
本明細書において使用される「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基などであるがそれに限定されない環状アルキル基を意味する。いくつかの態様では、シクロアルキル基は3個から約8~12個までの環員を有することができ、一方、他の態様では、環炭素原子の数は3から4、5、6、または7までの範囲である。さらに、シクロアルキル基としてはノルボルニル基、アダマンチル基、ボルニル基、カンフェニル(camphenyl)基、イソカンフェニル(isocamphenyl)基、およびカレニル(carenyl)基などであるがそれに限定されない多環式シクロアルキル基、ならびにデカリニルなどであるがそれに限定されない縮合環、などが挙げられる。シクロアルキル基は、本明細書に定義の直鎖または分岐鎖アルキル基で置換された環も含む。代表的な置換シクロアルキル基は、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-、もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基または一置換、二置換、もしくは三置換ノルボルニル基もしくはシクロヘプチル基などであるがそれに限定されない、一置換のまたは2回以上置換された基であることができ、これらは例えばアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、およびハロゲン基で置換されていてもよい。単独のまたは組み合わせでの「シクロアルケニル」という用語は環状アルケニル基を意味する。
【0025】
本明細書において使用される「アリール」という用語は、環中にヘテロ原子を含まない環状芳香族炭化水素基を意味する。したがって、アリール基としてはフェニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、クリセニル基、ビフェニレニル基、アントラセニル基、およびナフチル基が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、アリール基は、基の環部分に約6個~約14個の炭素を含む。アリール基は置換されていなくてもよく、本明細書に定義のように置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は、フェニル環の2位、3位、4位、5位、もしくは6位のうちいずれか1つもしくは複数において置換されたフェニル基、またはその2位~8位のうちいずれか1つもしくは複数において置換されたナフチル基などであるがそれに限定されない、一置換のまたは2回以上置換された基でありうる。
【0026】
本明細書において使用される「アラルキル」という用語は、アルキル基の水素結合または炭素結合が本明細書に定義のアリール基への結合で置き換えられた、本明細書に定義のアルキル基を意味する。代表的なアラルキル基としてはベンジル基およびフェニルエチル基、ならびに4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が挙げられる。アラルケニル基とは、アルキル基の水素結合または炭素結合が本明細書に定義のアリール基への結合で置き換えられた、本明細書に定義のアルケニル基のことである。
【0027】
本明細書において使用される「ヘテロシクリル」という用語は、そのうち1個または複数がN、O、およびSなどであるがそれに限定されないヘテロ原子である3個以上の環員を含む芳香環および非芳香環化合物を意味する。したがって、ヘテロシクリルはシクロヘテロアルキル、またはヘテロアリール、または多環式であれば、それらの任意の組み合わせでありうる。いくつかの態様では、ヘテロシクリル基は3個~約20個の環員を含み、一方、他の同様の基は3個~約15個の環員を有する。C2-ヘテロシクリルと呼ばれるヘテロシクリル基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。同様に、C4-ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。炭素原子の数およびヘテロ原子の数は環原子の総数に等しい。ヘテロシクリル環は1個または複数の二重結合を含んでもよい。ヘテロアリール環はヘテロシクリル基の一態様である。「ヘテロシクリル基」という語句は、縮合芳香族基および非芳香族基を含む種を含む縮合環種を含む。例えば、ジオキソラニル環およびベンゾジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)はいずれも、本明細書における意味の範囲内にあるヘテロシクリル基である。この語句は、キヌクリジルなどであるがそれに限定されない、ヘテロ原子を含む多環系も含む。ヘテロシクリル基は置換されていなくてもよく、本明細書において説明のように置換されていてもよい。ヘテロシクリル基としてはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、インドリル基、ジヒドロインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、アザベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、およびキナゾリニル基が挙げられるがそれに限定されない。代表的な置換ヘテロシクリル基は、一置換のまたは2回以上置換されているピペリジニル基またはキノリニル基などであるがそれに限定されない基であることができ、これらは本明細書に列挙される基などの基で2-、3-、4-、5-もしくは6-置換または二置換されている。
【0028】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」という用語は、そのうち1個または複数がN、O、およびSなどであるがそれに限定されないヘテロ原子である5個以上の環員を含む芳香環化合物を意味し、例えばヘテロアリール環は5個から約8~12個までの環員を有しうる。ヘテロアリール基とは、芳香族電子構造を有する種々のヘテロシクリル基のことである。C2-ヘテロアリールと呼ばれるヘテロアリール基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。同様に、C4-ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。炭素原子の数およびヘテロ原子の数の合計は環原子の総数に等しい。ヘテロアリール基としてはピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、アザベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、およびキナゾリニル基などの基が挙げられるがそれに限定されない。ヘテロアリール基は置換されていなくてもよく、本明細書において説明される基で置換されていてもよい。代表的な置換ヘテロアリール基は、本明細書に列挙される基などの基で1回または複数回置換されていてもよい。
【0029】
アリール基およびヘテロアリール基のさらなる例としてはフェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、N-ヒドロキシテトラゾリル、N-ヒドロキシトリアゾリル、N-ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)、チオフェニル(2-チエニル、3-チエニル)、フリル(2-フリル、3-フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(2-ピロリル)、ピラゾリル(3-ピラゾリル)、イミダゾリル(1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-2-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル)、キノリル(2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、イソキノリル(1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[b]チオフェニル(2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル、7-ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル、(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、インドリル(1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、インダゾール(1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、8-ベンゾイミダゾリル)、ベンゾオキサゾリル(1-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル)、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-1-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-2-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-3-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-4-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-5-イル)、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-1-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-2-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-3-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-4-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-5-イル)などが挙げられるがそれに限定されない。
【0030】
本明細書において使用される「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書に定義のアルキル基の水素結合または炭素結合が本明細書に定義のヘテロシクリル基への結合で置き換えられた、本明細書に定義のアルキル基を意味する。代表的なヘテロシクリルアルキル基としてはフラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピリジン-3-イルメチル、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、およびインドール-2-イルプロピルが挙げられるがそれに限定されない。
【0031】
本明細書において使用される「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキル基の水素結合または炭素結合が本明細書に定義のヘテロアリール基への結合で置き換えられた、本明細書に定義のアルキル基を意味する。
【0032】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、本明細書に定義のシクロアルキル基を含むアルキル基に接続された酸素原子を意味する。直鎖アルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。分岐アルコキシの例としてはイソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。環状アルコキシの例としてはシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。アルコキシ基は、酸素原子に結合した約1個~約12個、約1個~約20個、または約1個~約40個の炭素原子を含むことができ、二重結合または三重結合をさらに含むことができ、ヘテロ原子も含むことができる。例えば、アリルオキシ基またはメトキシエトキシ基も本明細書における意味の範囲内のアルコキシ基であり、構造の2個の隣接する原子がそれで置換されるという文脈ではメチレンジオキシ基もそうである。
【0033】
本明細書において使用される「アミン」という用語は、各基が独立してH、またはアルキル、アリールなどの非Hでありうる式N(基)3を例えば有する第一級、第二級、および第三級アミンを意味する。アミンとしてはR-NH2、例えばアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン; 各Rが独立して選択されるR2NH、例えばジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど; ならびに各Rが独立して選択されるR3N、例えばトリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンなどが挙げられるがそれに限定されない。「アミン」という用語は、本明細書において使用されるアンモニウムイオンも含む。
【0034】
本明細書において使用される「アミノ基」という用語は、各Rが独立して選択される形態-NH2、-NHR、-NR2、-NR3
+の置換基、および、プロトン化され得ない-NR3
+を除く各形態のプロトン化形態を意味する。したがって、アミノ基で置換された任意の化合物をアミンと見なすことができる。本明細書における意味の範囲内の「アミノ基」は第一級、第二級、第三級、または第四級アミノ基でありうる。「アルキルアミノ」基はモノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、およびトリアルキルアミノ基を含む。
【0035】
本明細書において使用される、それ自体でのまたは別の置換基の一部としての「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハロゲン化物」基という用語は、別途記載がない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
【0036】
本明細書において使用される「ハロアルキル」基という用語は、モノ-ハロアルキル基、すべてのハロ原子が同じでも異なっていてもよいポリ-ハロアルキル基、およびすべての水素原子がフルオロなどのハロゲン原子で置き換えられたペル-ハロアルキル基を含む。ハロアルキルの例としてはトリフルオロメチル、1,1-ジクロロエチル、1,2-ジクロロエチル、1,3-ジブロモ-3,3-ジフルオロプロピル、ペルフルオロブチルなどが挙げられる。
【0037】
本明細書において使用される「エポキシ官能性」または「エポキシ置換」という用語は、エポキシ置換基である酸素原子が炭素鎖または炭素環系の2個の隣接する炭素原子に直接結合した官能基を意味する。エポキシ置換官能基の例としては2,3-エポキシプロピル、3,4-エポキシブチル、4,5-エポキシペンチル、2,3-エポキシプロポキシ、エポキシプロポキシプロピル、2-グリシドキシエチル、3-グリシドキシプロピル、4-グリシドキシブチル、2-(グリシドキシカルボニル)プロピル、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル、2-(2,3-エポキシシクロペンチル)エチル、2-(4-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル、2-(3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシル)-2-メチルエチル、および5,6-エポキシヘキシルが挙げられるがそれに限定されない。
【0038】
本明細書において使用される「一価の」という用語は、置換された分子に置換基が単結合によって接続されることを意味する。置換基が一価、例えばFまたはClである場合、置換基は、単結合によって、それが置換している原子に結合している。
【0039】
本明細書において使用される「炭化水素」または「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子および水素原子を含む分子または官能基を意味する。この用語は、炭素原子および水素原子の両方を通常含むが、すべての水素原子が他の官能基で置換されている、分子または官能基を意味することもある。
【0040】
本明細書において使用される「ヒドロカルビル」という用語は、直鎖、分岐、または環状炭化水素から誘導される官能基を意味するものであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アシル、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。ヒドロカルビル基は(Ca~Cb)ヒドロカルビルとして示されることがあり、ここでaおよびbは整数であり、a~bのいずれかの数の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C1~C4)ヒドロカルビルとは、ヒドロカルビル基がメチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、またはブチル(C4)でありうることを意味し、(C0~Cb)ヒドロカルビルとは、特定の態様においてヒドロカルビル基が存在しないことを意味する。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC1~12アルキルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC2~12アルケニルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC2~12アルキニルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC3~12シクロアルキルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC1~12ヘテロアルキルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC1~12アルコキシである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC6~14アリール、および/または置換されていてもよいC6~12アリール、および/または置換されていてもよいC6~10アリールである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC2~C12ヘテロシクリルである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC4~C12ヘテロアリールである。特定の態様では、ヒドロカルビルは置換されていてもよいC1~12アシルである。
【0041】
本明細書において使用される「溶媒」という用語は、固体、液体、または気体を溶解させうる液体を意味する。溶媒の非限定的な例としてはシリコーン、有機化合物、水、アルコール、イオン性液体、および超臨界流体がある。
【0042】
本明細書において使用される「より独立して選択される」という用語は、文脈上明らかに別途指示されない限り、言及される基が同じ基、異なる基、またはそれらの混合物であることを意味する。したがって、この定義に基づけば、「X1、X2、およびX3は希ガスより独立して選択される」という語句は、例えば、X1、X2、およびX3がすべて同じであるという状況、X1、X2、およびX3がすべて異なるという状況、X1およびX2が同じであるがX3が異なるという状況、および他の類似した並べ替えの状況を含むであろう。
【0043】
本明細書において使用される「室温」という用語は約15℃~28℃の温度を意味する。
【0044】
本明細書において使用される「標準温度」および「標準圧力」という用語は20℃および101kPaを意味する。
【0045】
化合物の調製
式I~IIIの化合物または本明細書に別途記載の化合物を、本明細書に記載の一般的スキームによって、当業者に公知の合成方法を使用して調製することができる。以下の例は、本明細書に記載の化合物およびそれらの調製の非限定的態様を示す。
【0046】
様々な態様では、式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体が提供される:
式中、
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~18アリールまたはC
6~18ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して置換されていてもよく; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、またはOC
1~12アルキルであり; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはいずれも置換されていてもよく; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり;
Xは対アニオンであり;
各Rは独立して水素、またはC
1~10ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~10アシルなどであるがそれに限定されない)であり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~6の整数であり;
nは0~6の整数であるが、
但し、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【0047】
いくつかの態様では、式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体は、
からなる群より選択される。
【0048】
様々な態様では、A1およびA2は同一である。様々な態様では、A1はC6~10アリールである。いくつかの態様では、A1はフェニルである。他の態様では、A1はナフチルである。いくつかの態様では、mは3である。いくつかの態様では、nは3である。いくつかの態様では、R1およびR2は同一である。様々な態様では、kは1である。
【0049】
いくつかの態様では、R1はCH(アリール)2である。特定の態様では、R1はCH(フェニル)2である。特定の態様では、mは3であり、nは3である。特定の態様では、Xはアニオン性対イオンであり、-1または-2の電荷を有する。使用可能なXの種類は特に限定されず、本明細書の化合物と安定な錯体を形成する任意のXが好適である。特定の態様では、XはF、Cl、Br、I、OSO2R、OSO3R、OSO2CF3(OTf)、およびOC(=O)Rなどからなる群より選択される。いくつかの態様では、XはClである。
【0050】
様々な態様では、式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体は以下からなる群より選択される:
式中、R
1は、CH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、およびCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2からなる群より選択される。
【0051】
一態様では、式IIの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体が提供される:
式中、
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~10アリールまたはC
6~10ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して置換されていてもよく; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、またはOC
1~12アルキルであり; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはいずれも置換されていてもよく; 特定の態様では、任意的な置換基は独立してハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、C
1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C
1~12ヘテロアルキル、OC
1~12アルキル、C
3~12シクロアルキル、C
6~10アリール、およびC
6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基であり;
各Rは独立して水素、またはC
1~10ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~10アシルなどであるがそれに限定されない)であり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~5の整数であり;
nは0~5の整数であり、
ここで、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【0052】
様々な態様では、MはFe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、およびAuからなる群より選択される。一態様では、MはPdである。一態様では、Mは第XVI族元素である。一態様では、MはSeである。様々な態様では、pは0、1、2、3、4、または5である。pが0である場合、配位子Lは存在しない。
【0053】
配位子Lは、その数が金属Mの価数によって、かつ変数「p」を通じて確定される、1個または複数の配位子を表す。2個以上の配位子Lが存在する場合、各Lは同じでも異なっていてもよい。例えば、pが2である場合、(L)2は2個の同一の配位子でも2個の異なる配位子でもよい。いくつかの態様では、少なくとも1個のLはアニオン性配位子である。別の態様では、少なくとも1個のLは中性配位子である。配位子Lの種類は特に限定されず、Mと錯体を形成するかまたはMの対イオンとして作用することが当技術分野において知られている任意の配位子Lを使用することができる。例えば、アニオン性のLとしてはハロゲン化物イオン、アルキルカルボン酸イオン、ジカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、CN、フェロセンなどが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、少なくとも1個のLはClである。中性のLとしてはCO、シクロオクタジエン(COD)、π配位アルケン、π配位アリールアルケンなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0054】
様々な態様では、式IIの化合物中、Lはacac、Cl、3-Cl-ピリジン、ピリジン、N-R-イミダゾール(RはMe、Et、Bu、またはPhである)、シンナミル、アリル、1-R-インデニル(R = t-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、1-アダマンチル)、Cp(シクロペンタジエニル)、アニリン、3-CF3-アニリン、μ-Cl、μ-OH、および1,4-ナフトキノンからなる群より選択され; pは1、2、または3である。
【0055】
様々な態様では、式IIの化合物は[Pd(NHC)(acac)Cl]、[Pd(NHC)(3-Cl-ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(N-R'-イミダゾール)Cl
2]、[Pd(NHC)(シンナミル)Cl]、[Pd(NHC)(アリル)Cl]、[Pd(NHC)(1-R''-インデニル)Cl](R =)、[Pd(NHC)(Cp)Cl](Cp = シクロペンタジエニル)、[Pd(NHC)(アニリン)Cl
2])、[Pd(NHC)(3-CF
3-アニリン)Cl
2]、[Pd(NHC)(μ-Cl)Cl]
2、[Pd(NHC)(μ-OH)Cl]
2、[Pd(NHC)(1,4-ナフトキノン)]、
、[Ni(NHC)CpCl]、[Ni(NHC)(PR
A
3)X
A
2]、[Ni(NHC)(ジ-tert-ブチル-フマレート)
2]、[Ni(NHC)(メチルメタクリレート)
2]、[Au(NHC)X
B]、[Cu(NHC)X
A]、[Ag(NHC)X
A]、
からなる群より選択され;
ここでNHCは、以下からなる群より選択され:
;
R'はMe、Et、Bu、またはPhであり;
R''はt-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、または1-アダマンチルであり;
X
AはCl、Br、またはIであり;
X
BはCl、Br、I、NTf
2、またはOTfであり;
PR
A
3中、各R
Aは独立してC
1~8ヒドロカルビル(置換されていてもよいC
1~8アルキル、置換されていてもよいC
2~8アルケニル、置換されていてもよいC
2~8アルキニル、置換されていてもよいC
3~8シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~8ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~8アルコキシ、置換されていてもよいC
6アリール、置換されていてもよいC
2~C
8ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
8ヘテロアリール、もしくは置換されていてもよいC
1~8アシルなどであるがそれに限定されない)またはC
6~10アリールであり;
R
1はCH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、またはCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2である。
【0056】
一態様では、RAはフェニルである。
【0057】
一態様では、式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を作製する方法が提供される。本方法は、式IIIの化合物:
を形成するために、下記構造:
を有する化合物とR
1のカチオン形態とを接触させる工程;
下記構造:
を有するジイミン化合物を形成するために、式IIIの化合物と(CHO)
2とを縮合する工程; および
式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を形成するために、ジイミン化合物を環化する工程を含む。
【0058】
構造:
の化合物はアリールアミンまたはヘテロアリールアミンである。A1-NH
2の性質は特に限定されないが、これは、遷移金属との安定な錯体が本明細書に記載の配位子によって形成可能であり、得られる遷移金属錯体が触媒活性を有することが条件である。他の好適なA1部分としてはアントラセン(例えば1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン); アミノビフェニル(例えば4-アミノビフェニル); アミノフェナントレン(例えば1-アミノフェナントレン、2-アミノフェナントレン、9-アミノフェナントレン); アミノピレン(例えば1-アミノピレン、2-アミノピレン); アミノクリセン(例えば1-アミノクリセン、2-アミノクリセン、6-アミノクリセン); アミノフルオレン(例えば1-アミノフルオレン、2-アミノフルオレン); ナフタレン(例えば1-アミノナフタレン、2-アミノナフタレン); アクリジン(例えば9-アミノアクリジン、2-アミノアクリジン); キノリン(例えば8-アミノキノリン、2-アミノキノリン、5-アミノキノリン); などが挙げられる。
【0059】
R1のカチオン形態は、R1の溶媒和カチオン、およびR1がカチオンとして反応しうるカチオン-アニオン複合体R1を含む。カチオン性のR1はR1-OHなどの好適な前駆体から生成されうる。R1-OHをプロトン酸および/またはルイス酸に曝露することで、本明細書に定義のA1と反応する求電子剤として作用するカチオン性のR1が得られる。一態様では、R1のカチオン形態はPh2CH+である。
【0060】
本方法は、ジイミン化合物とEが求電子剤であるE-Xとを反応させる工程を含む。ジイミン化合物とE-Xとを反応させるとき、Xは本明細書に定義の式Iの化合物の対イオンとなり、求電子部分Eは反応混合物の溶媒または他の成分と反応し、最終的には廃棄される。好適な求電子基Eとしてはアルキルシランが挙げられるがそれに限定されない。
【0061】
様々な態様では、本化合物は式IVの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体である。
【0062】
式IVの化合物中、Xは本明細書に定義の通りである。
【0063】
特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいC1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC1~12アルキル、置換されていてもよいC2~12アルケニル、置換されていてもよいC2~12アルキニル、置換されていてもよいC3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC1~12アルコキシ、置換されていてもよいC6~12アリール、置換されていてもよいC2~C12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC4~C12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC1~12アシルなどであるがそれに限定されない)である。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいC1~12ヘテロアルキルである。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいOC1~12アルキルである。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいC3~12シクロアルキルである。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいC6~18アリールである。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立して、置換されていてもよいC6~18ヘテロアリールである。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立してA1である。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立してR1である。特定の態様では、RA、R5、またはR6のうち少なくとも1個は独立してR2である。特定の態様では、R5およびR6中の任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR3、OSiR3、OSiR3、OSi(OR)3、BR3、BR2、B(OR)3、B(OR)2、CN、CF3、OCF3、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、NR2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)C(O)OR、C1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC1~12アルキル、置換されていてもよいC2~12アルケニル、置換されていてもよいC2~12アルキニル、置換されていてもよいC3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC1~12アルコキシ、置換されていてもよいC6~12アリール、置換されていてもよいC2~C12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC4~C12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC1~12アシルなどであるがそれに限定されない)、C1~12ヘテロアルキル、OC1~12アルキル、C3~12シクロアルキル、C6~10アリール、およびC6~10ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個の基である。
【0064】
式IVの化合物の脱プロトン化によって環状アルキルアミノカルベン(CAAC)が形成される。式IVの化合物から誘導されるカルベンは式IVaの金属錯体を形成しうる。
【0065】
式IVaの構造中、M、L、および「p」は本明細書に定義の通りである。
【0066】
様々な態様では、本化合物は式Vの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体である。
【0067】
式Vの化合物中、X、R
5、およびR
6は本明細書に定義の通りである。変動要素R
7はR
5と同様に定義される。変動要素YはNまたはCであり、ZはNまたはCであるが、但し、YおよびZの両方がCであることはできない。Gは存在しないか、またはR
5と同様に定義される。式Vの化合物はメソイオンカルベン前駆体である。金属交換反応時に、式Vの化合物は式Vaの金属-カルベン錯体を形成しうる。
【0068】
例えば、式Vの化合物は下記反応を経ることで式Vaの化合物を形成しうる。
【0069】
式Vaの構造中、M、L、および「p」は本明細書に定義の通りである。
【0070】
様々な態様では、本化合物は、
からなる群より選択されるメソイオンカルベン前駆体である。
【0071】
特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はハロゲンを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はORを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はSiR3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はOSiR3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はOSiR3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はOSi(OR)3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はBR3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はBR2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はB(OR)3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はB(OR)2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はCNを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はCF3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はOCF3を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はSO2Rを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はSO2N(R)2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はSO3Rを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC(O)Rを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はNR2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はN(R)SO2Rを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はN(R)SO2N(R)2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換は(CH2)0~2N(R)C(O)Rを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換は(CH2)0~2N(R)N(R)2を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はN(R)C(O)ORを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC1~12ヒドロカルビル(置換されていてもよいC1~12アルキル、置換されていてもよいC2~12アルケニル、置換されていてもよいC2~12アルキニル、置換されていてもよいC3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC1~12アルコキシ、置換されていてもよいC6~12アリール、置換されていてもよいC2~C12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC4~C12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC1~12アシルなどであるがそれに限定されない)を含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC1~12ヘテロアルキルを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はOC1~12アルキルを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC3~12シクロアルキルを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC6~10アリールを含む。特定の態様では、本明細書において想定される任意の基の任意的な置換はC6~10ヘテロアリールを含む。
【0072】
本明細書に記載の化合物は1個または複数の立体中心を有しうるし、各立体中心は独立して(R)配置または(S)配置で存在しうる。特定の態様では、本明細書に記載の化合物は光学活性体またはラセミ体として存在する。本明細書に記載の化合物が、本明細書に記載の治療上有用な特性を有するラセミ体、光学活性体、位置異性体、および立体異性体、またはその組み合わせを包含するということを理解すべきである。光学活性体の調製は、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発原料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離を非限定的な例として含む任意の好適な様式で実現される。特定の態様では、1つまたは複数の異性体の混合物が、本明細書に記載の治療用化合物として利用される。他の態様では、本明細書に記載の化合物は1個または複数のキラル中心を含む。これらの化合物は、鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物の立体選択的合成、エナンチオ選択的合成、および/または分離を含む任意の手段によって調製される。化合物およびその異性体の分割は、化学的プロセス、酵素的プロセス、分別結晶化、蒸留、およびクロマトグラフィーを非限定的な例として含む任意の手段によって実現される。
【0073】
本明細書に記載の方法および製剤は、本明細書に記載の任意の化合物の構造を有する化合物のN-オキシド(適切であれば)、結晶形(多形としても知られる)、溶媒和物、非晶相、および/または薬学的に許容される塩、ならびに同種の活性を示すこれらの化合物の代謝産物および活性代謝産物の使用を含む。溶媒和物としては水、エーテル(例えばテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル)またはアルコール(例えばエタノール)の溶媒和物や、酢酸エステルなどが挙げられる。特定の態様では、本明細書に記載の化合物は、水およびエタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形で存在する。他の態様では、本明細書に記載の化合物は非溶媒和形で存在する。
【0074】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物は互変異性体として存在しうる。すべての互変異性体は、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。
【0075】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物はプロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」とは、インビボで親薬物に変換される薬剤を意味する。特定の態様では、インビボ投与時に、プロドラッグは本化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に化学変換される。他の態様では、プロドラッグは1つまたは複数の段階またはプロセスによって本化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に酵素代謝される。
【0076】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物の例えば芳香環部分上の部位は様々な代謝反応を受けやすい。芳香環構造上に適切な置換基を組み込むことで、この代謝経路を減少させ、最小化し、または排除することができる。特定の態様では、芳香環の代謝反応の受けやすさを減少させるかまたは排除するために適切な置換基は、単なる例として重水素、ハロゲン、またはアルキル基である。
【0077】
本明細書に記載の化合物は、同一の原子数を有するが自然界に通常見られる原子質量または原子質量数とは異なる原子質量または原子質量数を有する原子で1個または複数の原子が置き換えられた、同位体標識化合物も含む。本明細書に記載の化合物に好適に含まれる同位体の例としては2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P、および35Sが挙げられるがそれに限定されない。特定の態様では、同位体標識化合物は薬物分布試験および/または基質組織分布試験において有用である。他の態様では、重水素などの重同位体による置換によって、代謝安定性の増大(例えばインビボ半減期の増加または所要投与量の減少)が得られる。さらに他の態様では、11C、18F、15O、および13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調査するための陽電子放出断層撮影(PET)試験において有用である。同位体標識化合物は、任意の好適な方法によって、または別途使用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用するプロセスによって調製される。
【0078】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物は、発色団もしくは蛍光部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含むがそれに限定されない他の手段によって標識されている。
【0079】
本明細書に記載の化合物、および異なる置換基を有する他の関連化合物は、本明細書に記載の技術および材料を使用して、かつFieser & Fieser's Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-17 (John Wiley and Sons, 1991); Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989); Organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley and Sons, 1991)、Larock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)、March, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., (Wiley 1992); Carey & Sundberg, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000,2001)およびGreen & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Ed., (Wiley 1999)(いずれもその開示が参照により組み入れられる)に例えば記載のように合成される。本明細書に記載の化合物の調製のための一般的方法は、本明細書に示される式に見られる様々な部分を導入するために、適切な試薬および条件の使用によって修正される。
【0080】
本明細書に記載の化合物は、商業的供給源から入手可能な化合物から出発する任意の好適な手順を使用して合成されるか、または本明細書に記載の手順を使用して調製される。
【0081】
特定の態様では、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、チオ基、またはカルボキシ基などの反応性官能基が、反応に対するそれらの望ましくない関与を回避するために保護される。保護基は、一部または全部の反応性部分をブロックして、当該の基が化学反応に関与することを保護基が除去されるまで防止するために使用される。他の態様では、各保護基は異なる手段によって除去可能である。完全に異なる反応条件下で開裂する保護基によって、差次的除去の必要性が満たされる。
【0082】
特定の態様では、保護基は酸、塩基、還元条件(例えば水素化分解)、および/または酸化条件によって除去される。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール、およびt-ブチルジメチルシリルなどの基は、酸不安定性であり、また、水素化分解で除去可能なCbz基で保護されたアミノ基、および塩基不安定性のFmoc基で保護されたアミノ基の存在下でカルボキシ反応性部分およびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用される。カルボン酸反応性部分およびヒドロキシ反応性部分は、t-ブチルカルバメートなどの酸不安定性基でブロックされたアミンの存在下でメチル、エチル、およびアセチルなどであるがそれに限定されない塩基不安定性基でブロックされるか、または酸安定性かつ塩基安定性であるが加水分解で除去可能なカルバメートでブロックされる。
【0083】
特定の態様では、カルボン酸反応性部分およびヒドロキシ反応性部分はベンジル基などの加水分解で除去可能な保護基でブロックされ、一方、酸との水素結合が可能なアミン基はFmocなどの塩基不安定性基でブロックされる。カルボン酸反応性部分は、アルキルエステルへの変換を含む本明細書に例示される単純エステル化合物への変換によって保護されるか、または2,4-ジメトキシベンジルなどの酸化で除去可能な保護基でブロックされ、一方、同時に存在するアミノ基はフッ化物不安定性シリルカルバメートでブロックされる。
【0084】
アリルブロッキング基は酸保護基および塩基保護基の存在下で有用である。というのも、前者が安定であり、引き続き金属触媒またはπ酸触媒によって除去されるためである。例えば、アリルブロッキングカルボン酸は、酸不安定性t-ブチルカルバメートまたは塩基不安定性アセテートアミン保護基の存在下でパラジウム触媒反応によって脱保護される。保護基のさらに別の形態は、化合物または中間体がそこに結合する樹脂である。残基が樹脂に結合する限り、その官能基はブロックされて反応しない。樹脂から放出されたときに官能基は反応に利用可能になる。
【0085】
通常、ブロッキング基/保護基は以下より選択されうる。
【0086】
他の保護基は、保護基の創製および除去に適用可能な技術の詳細な説明と併せて、その開示が参照により本明細書に組み入れられるGreene & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に記載されている。
【実施例】
【0087】
例示として提供される以下の実施例を参照することで、本出願の様々な態様をより良く理解することができる。本出願の範囲は以下に示される実施例に限定されない。
【0088】
本明細書では「IPr#」とも呼ばれる化合物5などの式Iの化合物の合成をスキーム1に示す。アニリンの直接3倍アルキル化が、N-/C-アルキル移動の帰結としてのp-ブロッキングトルイジンのアルキル化よりもはるかに困難であることに留意すべきである。実験後、意外にも、アニリン(1.0当量)、ジフェニルメタノール(3.5当量)、およびZnCl2(0.5当量)の溶液にHCl(1.0当量)を160℃で加えることで、これまで未知であった2,4,6-トリベンズヒドリルアニリン7を収率79%(93g、200mmol規模)で調製することができたことが発見された。通常、収率70~75%が10~20mmol規模で得られた。これは、ZnCl2およびHClの混合物を160℃で加えることを包含する、得られる結果が再現不可能であった以前のフリーデル・クラフツ法を著しく改善したものである。理論に拘束されるものではないが、パラ位でのアニリンのアルキル化は最後に生じると考えられる。N-アルキル化生成物は観察されなかった。グリオキサール(1.0当量)とアミン7(2.0当量)およびMgSO4(2.5当量)とを反応させることでジイミン8の合成が円滑に行われた(70g、160mmol規模)。反応はIPr*の合成におけるよりも遅かった。このことは立体性がいっそう顕著であったことを示唆している。ジイミンはs-トランス異性体としてのみ形成された。ジイミン(1.0当量)およびパラホルムアルデヒド(1.1当量)をEtOAc中、70℃でTMSCl(1.1当量)に曝露することで環化工程が円滑に行われた(25g、40mmol規模)。いくつかの態様では、大規模運転においても問題があって、逆フリーデル・クラフツ生成物に満ちていた、HCl/ZnCl2の組み合わせよりもはるかに穏やかな5への環化が、この手順によって可能になる。好都合なことに、TMSCl手順は、反応の完了を示す黄色から明灰色への色変化を伴うことができた。
【0089】
スキーム1 IPr
#およびジイミン前駆体の合成
a
a条件: (a) 6(1.0当量)、Ph
2CHOH(3.5当量)、ZnCl
2(0.5当量)、HCl(36%、水溶液、1.0当量)、160℃。(b) 7(1.0当量)、(CHO)
2(40%、水溶液、0.5当量)、MgSO
4(2.5当量)、23℃。(c) 8(1.0当量)、(CH
2O)
n(1.1当量)、TMSCl(1.1当量)、EtOH、70℃。
【0090】
様々な態様では、(1) 3つの工程は中間体の精製を必要とせず、(2) 最終生成物は容易なワークアップ(濾過)後に得られ、(3) 手順は大量に入手可能な工業用化学物質を使用するものであり、(4) 順序は通常2日以内に行われる。
【0091】
複数グラムのIPr#の入手を確実にした後、本発明者らは、この新規NHC配位子の立体特性および電子特性を包括的に評価した。スキーム2に示すように、Nolanが開示した一般的方法を使用して金錯体[Au(IPr#)Cl](9)を調製し、一方で、IPr#HClを小過剰量のKHMDSまたはKOt-Buで脱プロトン化することで遊離カルベンをインサイチューで生成した後にRh(I)錯体である[Rh(IPr#)(CO)
2Cl](10)および[Rh(IPr#)(acac)CO](11)を調製した。Rh(I)錯体(10)は、ロジウムジカルボニルクロロ二量体[{Rh(CO)
2(μ-Cl)}
2]を使用して直接調製することができ(経路b)、または[Rh(IPr#)(cod)Cl]、および一酸化炭素との反応による穏やかな2段階手順で調製することができた(経路c)。いくつかの態様では、インサイチューで生成された遊離カルベンを過剰量のセレンに加えることで、セレン付加体[Se(IPr#)](12)を生成することができる。遊離カルベンをインサイチューで生成し、パラジウムシンナミル二量体[{Pd(cin)(μ-Cl)}
2]に配位させることで、Pd(II)錯体[Pd(IPr#)(cin)Cl](13)を調製した。様々な態様では、すべての錯体は空気および水分に対して安定である。錯体9および13をX線結晶構造解析によって完全に特性評価した(
図2および
図3)。
【0092】
スキーム2 IPr
#錯体の合成
a
a条件: (a) AuCl・Me
2S(1.0当量)、K
2CO
3(6.0当量)、アセトン、60℃、2時間、90%。(b) KHMDS(1.8当量)、[Rh(CO)
2Cl]
2(0.5当量)、トルエン、23℃、15時間、88%。(c) [Rh(cod)Cl]
2(0.5当量)、K
2CO
3(2.0当量)、アセトン、60℃、8時間、71%、次にCO、CH
2Cl
2、23℃、15時間、90%。(d) KOt-Bu(2.0当量)、[Rh(acac)(CO)
2](1.0当量)、THF、23℃、15時間、93%。(e) Se(3.0当量)、NaHMDS(1.2当量)、THF、-78~23℃、15時間、95%。(f) KOt-Bu(1.1当量)、[Pd(cin)Cl]
2(0.45当量)、THF、23℃、15時間、89%。
【0093】
いくつかの先行研究は、NHC配位子の立体的影響を定量化する最良の指標として、モデル[Au(NHC)Cl]錯体の埋没体積%(%V
bur)および立体マップを示した。一態様では、[Au(IPr#)Cl]は直鎖状であり(C-Au-Cl、180.0°; C-Au、1.972Å)、したがって%V
burを評価するための良好なモデルとなる。したがって、(%V
bur)が54.5%であることから、[Au(IPr#)Cl]は、これまで調製された最も嵩高いNHC配位子の1つとなる(表1)。この値は、[Au(IPr*)Cl](C-Au-Cl、178.3°; C-Au、1.987Å)について確定された(%V
bur)50.4%に匹敵する。このことは、配位子の立体特性に対するp-ジフェニルメチル置換の微妙だが重要な効果を示している。[Au(IPr#)Cl]中の金属中心の立体マッピングの図形表現を
図4Aに示す。
【0094】
(表1)立体パラメータおよび電子パラメータの概要
aシクロヘキシルの代わりにメンチル。
bシクロヘキシルの代わりにMe
2。
【0095】
Tolman電子パラメータ(TEP)によってNHC配位子の電子特性を評価することが可能になる。したがって、[Rh(IPr#)(CO)2Cl]のCO伸縮振動数はそれぞれνsym = 2079.5cm-1およびνasym = 1999.5cm-1(CH2Cl2、0.20M)であり、これは配位子の電子特性の合計尺度としてのTEP 2051.8cm-1に対応している。これらの値は、IPr配位子(TEP 2051.5cm-1)、IPr*(TEP 2052.7cm-1)、およびCAACCy(TEP 2048.6cm-1)に匹敵するものであり、調製された最も供与性が高い5員NHCの1つを示すものである。
【0096】
同様に、セレノ尿素付加体の使用によって、77Se NMRスペクトルからπ逆供与を評価することが可能になる。[Se(IPr#)]のδSe値108.11ppm(CDCl3)は、置換の拡張が、C置換から予想されるように、IPr(δSe = 90ppm)およびIPr*(δSe = 106ppm)よりもわずかに高く、CAACMe2(δSe = 492ppm)よりもはるかに低いπ供与性を生じさせることを示唆している。
【0097】
さらに、1H NMRスペクトルの13Cサテライトから得られる1結合CH Jカップリング定数は、NHC配位子のσ供与性の良好な指標となる。IPr#HClの値224.50Hz(CDCl3)は、この配位子が、IPr(1JCH = 223.70Hz)と同程度にσ供与性が高いが、同時にそれよりも著しく立体的に嵩高くかつ柔軟であることと一致している。IPr#HCl中のイミニウムプロトンの化学シフトは12.6ppm(CDCl3)であることがわかった。これは他のイミダゾリウム塩に比べて著しく低磁場である。
【0098】
[Rh(IPr#)(acac)CO]の合成は、極めて嵩高いIPr#がacacのような非対称性κ2-O,O結合配位子を金属中心に配位させることができることを示す。特定の態様では、これにより、Rh配位平面に合うように配位子のトポロジーが立体的に調整される。
【0099】
この特性は、[Pd(IPr#)(cin)Cl](
図3)の合成および完全な結晶特性評価を通じて確認される。NolanおよびHazariからのエレガントな報告に従って、クロスカップリング反応におけるIPr#の性能を評価するための明確に定義されて空気および水分に対して安定なモデルPd(II)-NHCプレ触媒としてPd(II)アリル型錯体(13)を選択した。X線結晶構造解析は(%V
bur)44.7%および各象限の64.1%、27.8%、60.1%、26.6%を明らかにした(
図4B)。これらの値を直鎖状[Au(IPr#)Cl]の(%V
bur)54.5%および各象限の56.3%、52.6%、56.3%、52.6%と比較することができる(
図4A)。したがって、IPr#配位子は(1) 立体環境を調整すること、および(2) 金属中心の周りの非対称性のねじれの両方が可能であり、このことは、非常に嵩高いが柔軟な配位子のトポロジーにより生じる触媒作用区別的象限分布において重要である。13におけるC-Pd、Pd-Cl、およびPd-C(Ph)の結合長2.044Å、2.374Å、および2.210ÅはPd(II)-アリル型錯体([Pd(IPr)(cin)Cl]、C-Pd、2.027Å; Pd-Cl、2.357Å; Pd-C(Ph)、2.245Å)の範囲内である。
【0100】
さらに、IPr#ウイングチップのジフェニルメチル置換基が9および13の両方において金属中心を超えて伸張することは留意に値する。このことは(1) 基質アプローチ、および(2) 触媒作用中に形成される活性中間体の配位の両方に影響する可能性がある。
【0101】
IPr#の活性を様々なパラジウム触媒クロスカップリング(スキーム3)において評価した。上記のように、アリル型使い捨て配位子により担持される明確に定義されたPd(II)-NHCの成功、およびアリル修飾により触媒活性を調節する潜在能力を理由として、[Pd(IPr#)(cin)Cl]を選択した。スキーム3において略述される結果はIPr#の非常に高度の汎用性を示す。したがって、アミドN-C(O)鈴木クロスカップリング(項目1)、エステルC-Oアミド化(項目2)、アミドN-C(O)アミド交換反応(項目3)、C-Cl鈴木クロスカップリング(項目4)、C-Cl Buchwald-Hartwigアミノ化(項目5)、アリールリチウムを使用するC-Br Feringaカップリング(項目6)およびβ-水素を有するアルキルリチウムを使用する困難なC-Br Feringaカップリング(項目7)の両方、C-Clケトンα-アリール化(項目8)、C-S硫黄メタセシス(項目9)、ならびにC-H活性化(項目10)はいずれも良好な収率~優れた収率で進行した。より重要なことに、これらの結果は、IPr#配位子が、工業的および学術的設定において最も広範に使用されるいくつかのクロスカップリングにわたる様々な有機金属化合物(B、Li、エノラート、アミン、スルフィド)との一連のN-C、O-C、C-Cl、C-Br、C-S、およびC-H結合クロスカップリングにおいて有効であることを示す。
【0102】
IPr#配位子の設計概念の汎用性および2つのさらなる適用をスキーム4に示す。様々な態様では、BIAN-IPr#(14)およびNp#(15)などの式Iの化合物が、本明細書に記載の「ハッシュ」モジュール式フレームワークの潜在的な合成能力の実例となる。したがって、BIAN(BIAN = ビス(イミノ)アセナフタレン)配位子は、金属中心にウイングチップ置換基を近づけるC-H結合の構造的堅固さ、ならびにカルベン中心の酸化還元特性および比較的顕著なσ供与性が理由で、触媒作用における強力な配位子となっている。手元の2,4,6-トリベンズヒドリルアニリン7を利用して、アセナフトキノン(16)をNHC前駆体として使用するBIAN-IPr#(14)の合成が何事もなく進行し、1.5グラムの14が容易に得られた。
【0103】
同様に、Dortaが報告した置換ナフチル鎖を有するC2対称性イミダゾリン-2-イリデンが、Pd触媒クロスカップリングおよびRuメタセシスにおける最も高活性なNHC補助配位子となっているが、2,7-置換ナフチルウイングチップの合成が制約となっていた。
【0104】
スキーム3 クロスカップリング反応における[Pd(IPr
#)(cin)Cl] 13の活性
a
【0105】
スキーム4 IPr
# NHCの一般化: (a) BIAN-IPr
#および(b) Np
#
【0106】
(表2)B3LYP 6-311++g(d,p)レベルで計算されたIPr
#のHOMOおよびLUMOエネルギーレベル(eV)
arac-Np#(C2対称性)。meso-Np#(C
S非対称性)、-5.97eVおよび-1.57eV。rac-Np#はmeso-Np#よりも安定性が0.56kcal/molだけ高い。B3LYP 6-311++g(d,p)レベルで計算。
【0107】
本明細書に記載の概念を適用することで、フリーデル・クラフツアルキル化による2,4,7-トリベンズヒドリルナフタレン-1-アミン(17)の容易な合成を利用するNp#(15)の合成は何事もなく進行し、この立体的に特殊なNHC配位子2.5gを生じさせた。したがって、「ハッシュ」概念の使用により、(1) 様々なカルベンのクラスおよび(2) 多様なアミンの両方に適用可能でありうるモジュール式で迅速かつ費用対効果が高い配位子の構築が可能になる(Np#を参照)。
【0108】
5の電子特性に対する置換の効果をさらに評価するために、IPr#および古典的NHCのHOMOおよびLUMOエネルギーレベルをB3LYP 6-311++g(d,p)理論レベルで確定した(表2)。HOMOおよびLUMOの計算によってNHCの求核性(σ供与性がより高く、HOMOがより高いこと)および求電子性(π受容性がより高く、LUMOがより低いこと)が最も正確に推定されるが、比較用の値が同じ理論レベルで利用可能でなければならない。
【0109】
IPr#のHOMO(-6.16eV)は、σ供与性NHCの通常のモデルであるIPr(-6.01eV)と同等である。N-フェニル環をN-ナフチルで置き換えることで、古典的NHCと類似したNp#の求核性(HOMO、-6.04eV)が得られる一方で、増大した求電子性(LUMO、-1.55eV)も得られる。したがって、IPr#配位子のクラスが、特殊な立体的影響との組み合わせで、均一触媒作用に関するそれらの特性の電子的微調整に好適であることは明らかである。
【0110】
本明細書において使用される用語および表現は、限定ではなく記述の用語として使用され、これらの用語および表現の使用においては、示され記載される特徴の任意の等価物またはその一部を排除するという意図はなく、本出願の態様の範囲内で様々な修正が可能であることが認識されよう。したがって、本出願では具体的な態様および任意的な特徴が記載されているが、本明細書に開示される組成物、方法、および概念の修正および/または変形に当業者が依拠することができること、ならびに、これらの修正および変形が本出願の態様の範囲内であると考えられることを理解すべきである。
【0111】
番号付きの態様
以下の例示的態様が示されるが、その番号付けは重要度のレベルを示すものと解釈されるべきではない。
【0112】
態様1は、以下を提供する:
式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~18アリールまたはC
6~18ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルであり、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基を含み; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
Xは対アニオンであり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~6の整数であり;
nは0~6の整数であるが、
但し、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【0113】
態様2は、以下を提供する:
A1およびA2が同一である、態様1の化合物。
【0114】
態様3は、以下を提供する:
A1がC6~10アリールである、態様1~2のいずれかの化合物。
【0115】
態様4は、以下を提供する:
A1がフェニルである、態様1~3のいずれかの化合物。
【0116】
態様5は、以下を提供する:
A1がナフチルである、態様1~3のいずれかの化合物。
【0117】
態様6は、以下を提供する:
以下のうち少なくとも1つが適用される、態様1~5のいずれかの化合物:
mが3である;
nが3である; または
kが1である。
【0118】
態様7は、以下を提供する:
以下からなる群より選択される、態様1~6のいずれかの化合物:
式中、R
1は、CH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、およびCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2からなる群より選択される。
【0119】
態様8は、以下を提供する:
XがClである、態様1~7のいずれかの化合物。
【0120】
態様9は、以下を提供する:
R1およびR2が同一である、態様1~8のいずれかの化合物。
【0121】
態様10は、以下を提供する:
R1がCH(アリール)2である、態様1~9のいずれかの化合物。
【0122】
態様11は、以下を提供する:
R1がCH(フェニル)2である、態様1~10のいずれかの化合物。
【0123】
態様12は、以下を提供する:
mが3であり、nが3である、態様1~11のいずれかの化合物。
【0124】
態様13は、以下を提供する:
XがF、Cl、Br、I、OSO2R、OSO3R、およびOC(=O)Rからなる群より選択される、態様1~12のいずれかの化合物。
【0125】
態様14は、以下を提供する:
XがClである、態様1~13のいずれかの化合物。
【0126】
態様15は、以下を提供する:
式IIの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
は単結合または二重結合であり;
A1およびA2はそれぞれ独立してC
6~10アリールまたはC
6~10ヘテロアリールであり;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここでR
1およびR
2中のアリールまたはヘテロアリールは独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~12アシルであり、ここで任意的な置換は独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基を含み; あるいは、
R
3およびR
4は、それらが結合している環と一緒に、C
4~20シクロアルキル、C
6~20アリール、またはC
6~20ヘテロアリールを形成するのに使用されており、これらはそれぞれ独立して、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルであり;
kは1、2、3、または4であり;
mは0~5の整数であり;
nは0~5の整数であるが、
但し、A1およびA2がフェニルである場合、mまたはnのうち少なくとも一方は3、4、または5である。
【0127】
態様16は、以下を提供する:
Mが、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、およびAuからなる群より選択される、態様15の化合物。
【0128】
態様17は、以下を提供する:
Mが第XVI族元素である、態様15~16のいずれかの化合物。
【0129】
態様18は、以下を提供する:
pが0、1、または2である、態様15~17のいずれかの化合物。
【0130】
態様19は、以下を提供する:
少なくとも1個のLがアニオン性配位子である、態様15~18のいずれかの化合物。
【0131】
態様20は、以下を提供する:
少なくとも1個のLが中性配位子である、態様15~19のいずれかの化合物。
【0132】
態様21は、以下を提供する:
少なくとも1個のLが、acac、Cl、3-Cl-ピリジン、ピリジン、N-R'-イミダゾール、シンナミル、アリル、1-R''-インデニル、Cp(シクロペンタジエニル)、アニリン、3-CF3-アニリン、μ-Cl、μ-OH、1,4-ナフトキノン、CpCl、PRA
3、ジ-tert-ブチル-フマレート、およびメチルメタクリレートからなる群より選択され、
ここで
R'がMe、Et、Bu、またはPhであり;
R''がt-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、または1-アダマンチルであり;
PRA
3中、各RAが独立して、置換されていてもよいC1~8アルキル、置換されていてもよいC2~8アルケニル、置換されていてもよいC2~8アルキニル、置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、置換されていてもよいC1~8ヘテロアルキル、置換されていてもよいC1~8アルコキシ、置換されていてもよいC6~10アリール、置換されていてもよいC2~C10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC4~C10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC1~C12アシルである、
態様15~20のいずれかの化合物。
【0133】
態様22は、以下を提供する:
前記化合物が、[Pd(NHC)(acac)Cl]、[Pd(NHC)(3-Cl-ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(ピリジン)Cl
2]、[Pd(NHC)(N-R'-イミダゾール)Cl
2]、[Pd(NHC)(シンナミル)Cl]、[Pd(NHC)(アリル)Cl]、[Pd(NHC)(1-R''-インデニル)Cl](R =)、[Pd(NHC)(Cp)Cl](Cp = シクロペンタジエニル)、[Pd(NHC)(アニリン)Cl
2])、[Pd(NHC)(3-CF
3-アニリン)Cl
2]、[Pd(NHC)(μ-Cl)Cl]
2、[Pd(NHC)(μ-OH)Cl]
2、[Pd(NHC)(1,4-ナフトキノン)]、
、[Ni(NHC)CpCl]、[Ni(NHC)(PR
A
3)X
A
2]、[Ni(NHC)(ジ-tert-ブチル-フマレート)
2]、[Ni(NHC)(メチルメタクリレート)
2]、[Au(NHC)X
B]、[Cu(NHC)X
A]、[Ag(NHC)X
A]、
からなる群より選択され;
ここでNHCが、以下からなる群より選択され:
;
R
1が、CH(フェニル)
2、CH(4-Me-C
6H
4)、CH(4-t-Bu-C
6H
4)
2、CH(4-MeO-C
6H
4)
2、CH(4-CF
3-C
6H
4)
2、CH(3,5-ジメチル-C
6H
3)
2、CH(3,5-ジトリフルオロメチル-C
6H
3)
2、およびCH(3,5-ジフルオロ-C
6H
3)
2からなる群より選択され;
R'がMe、Et、Bu、またはPhであり;
R''がt-Bu、i-Pr、Et、Me、シクロヘキシル、または1-アダマンチルであり;
PR
A
3中、各R
Aが独立して、置換されていてもよいC
1~8アルキル、置換されていてもよいC
2~8アルケニル、置換されていてもよいC
2~8アルキニル、置換されていてもよいC
3~8シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~8ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~8アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
8ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
8ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~C
12アシルであり;
XがClまたはBrであり;
X
AがCl、Br、またはIであり;
X
BがCl、Br、I、NTf
2、またはOTfである、
態様15~21のいずれかの化合物。
【0134】
態様23は、以下を提供する:
式IIIの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
を形成するために、下記構造:
を有する化合物とR
1のカチオン形態とを接触させる工程;
下記構造:
を有するジイミン化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を形成するために、式IIIの化合物と(CHO)
2とを縮合する工程; および
式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体を形成するために、該ジイミン化合物を環化する工程
を含む、態様2~14のいずれかの化合物を作製する方法。
【0135】
態様24は、以下を提供する:
R1のカチオン形態がPh2CH+である、態様23の方法。
【0136】
態様25は、以下を提供する:
環化が、ジイミン化合物とEが求電子剤であるE-Xとを反応させることを含む、態様23~24のいずれかの方法。
【0137】
態様26は、以下を提供する:
式IVの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
A、R
5、およびR
6は独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Xは対アニオンであり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、または置換されていてもよいC
1~10アシルである。
【0138】
態様25は、以下を提供する:
式IVaの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
A、R
5、およびR
6は独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
各Rは独立して水素、置換されていてもよいC
1~10アルキル、置換されていてもよいC
2~10アルケニル、置換されていてもよいC
2~10アルキニル、置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~10ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~10アルコキシ、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
2~C
10ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
10ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~10アシルである。
【0139】
態様27は、以下を提供する:
式Vの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
5、R
6、およびR
7はそれぞれ独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
Xは対アニオンであり;
YはNまたはCであり;
ZはNまたはCであり;
Gは存在しないか、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールもしくはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
各Rは独立して水素またはC
1~10ヒドロカルビルであるが、
但し、YおよびZの両方がCであることはない。
【0140】
態様28は、以下を提供する:
式Vaの化合物、またはその塩、溶媒和物、幾何異性体、もしくは立体異性体:
式中、
R
5、R
6、およびR
7はそれぞれ独立して、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルより選択され、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
YはNまたはCであり;
ZはNまたはCであり;
Mは、原子量25超を有する第VIII族~第XVI族元素であり;
LはMの配位子であり、ここで各Lは同じでも異なっていてもよく;
pは0~5の整数であり;
Gは存在しないか、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~18アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
18ヘテロアリール、置換されていてもよいC
1~12アシル、および少なくとも1個のアリールもしくはヘテロアリールで置換されたC
1~3アルキルであり、ここで任意的な置換は、ハロゲン、OR、SiR
3、OSiR
3、OSiR
3、OSi(OR)
3、BR
3、BR
2、B(OR)
3、B(OR)
2、CN、CF
3、OCF
3、SO
2R、SO
2N(R)
2、SO
3R、C(O)R、NR
2、N(R)SO
2R、N(R)SO
2N(R)
2、(CH
2)
0~2N(R)C(O)R、(CH
2)
0~2N(R)N(R)
2、N(R)C(O)OR、置換されていてもよいC
1~12アルキル、置換されていてもよいC
2~12アルケニル、置換されていてもよいC
2~12アルキニル、置換されていてもよいC
3~12シクロアルキル、置換されていてもよいC
1~12ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
1~12アルコキシ、置換されていてもよいC
6~12アリール、置換されていてもよいC
2~C
12ヘテロシクリル、置換されていてもよいC
4~C
12ヘテロアリール、および置換されていてもよいC
1~12アシルからなる群より選択される少なくとも1個の基による置換であり;
各Rは独立して水素またはC
1~10ヒドロカルビルであるが、
但し、YおよびZの両方がCであることはない。
【国際調査報告】