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特表2023-509979オリゴヌクレオチドの標的化及び局所インビボ送達
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチドの標的化及び局所インビボ送達
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230303BHJP
   C12N 15/87 20060101ALI20230303BHJP
   C07K 1/13 20060101ALI20230303BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230303BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20230303BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230303BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230303BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230303BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230303BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20230303BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12N15/87 Z ZNA
C07K1/13
C07K16/00
C07K14/00
C12N5/10
A61K48/00
A61K47/68
A61K31/7088
A61K31/713
A61K31/7105
A61K31/711
A61K39/395 N
A61P27/02
A61P17/00
A61P19/00
A61P3/00
A61P9/00
A61P25/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P31/16
A61P31/18
A61P31/12
A61P21/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/28
A61P7/00
A61K47/65
A61K47/64
A61K47/54
A61K47/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542436
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2021012988
(87)【国際公開番号】W WO2021142454
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】62/959,928
(32)【優先日】2020-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502087552
【氏名又は名称】オンコイミューニン,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビバリー パッカード
(72)【発明者】
【氏名】アキラ コモリヤ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC31
4C076CC35
4C076DD66
4C076EE30
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA13
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA221
4C084ZA222
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC211
4C084ZC212
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB36
4C085BB41
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086EA16
4C086MA01
4C086NA13
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZB33
4C086ZC21
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045FA10
(57)【要約】
本開示は、オリゴヌクレオチドの標的化及び局所インビボ送達のための組成物及び方法を提供する。標的オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートを含有する組成物は、治療、診断、及び他の用途においてコンジュゲートを作製及び使用する方法として提供される。標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチド-HES複合体は、受容体に依存しない方法で膜を通過することができ、相補配列を含むオリゴヌクレオチドをインビボで生細胞のサイトゾルに送達することができる。標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートは、生きている生物におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、ダイサー基質、miRNA、抗miRNA、及び他の核酸配列の標的化及び/または局所送達を含む使用を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートであって、場合により前記オリゴヌクレオチドが治療用オリゴヌクレオチドである、前記コンジュゲート。
【請求項2】
前記標的指向性部分が、前記オリゴヌクレオチド-HES複合体に直接コンジュゲートしているか、またはリンカーを介して前記オリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートしている、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記標的指向性部分が、リンカーを介して前記オリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートしている、請求項1または2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
式(I)
T-(L-(オリゴ-HES) (I)
の構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンジュゲート
(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり;
オリゴ-HESは、治療用オリゴヌクレオチド及びH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
nは、0または1であり;
xは、1~30、1~20、1~10、または1~5であり;
pは、1~30、1~20、1~10、または1~5である)。
【請求項5】
式(II)
T-[L-((オリゴ2-SP)-オリゴ1-HES) (II)
の構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンジュゲート
(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり;
SPはリンカーであり、場合により、SPは、C6、C10、またはC18の直鎖または分岐鎖アルキルなどの6~12個のアミノ酸残基ペプチドまたはアルキル鎖スペーサーであり;
オリゴ1-HESは、オリゴヌクレオチド1(オリゴ1)とH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
オリゴ2は、オリゴ1と同じでも異なっていてもよいオリゴヌクレオチドであり;
nは、0または1であり;
mは、0または1であり;
sは、1または2であり;
uは1、2、3、4、または5である)。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、前記核酸によってコードされるかまたは制御されるタンパク質のレベルを調節する治療用オリゴヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、前記核酸配列の対応する逆相補鎖と比較して、1、2、または3個の置換、欠失、または挿入を含有する、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、約8ヌクレオチド~約750ヌクレオチドの長さである、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、18~25、18~35、18~40、または18~45、18~50、18~60、18~70、18~80、18~90、18~100、18~150、または18~200ヌクレオチドの長さである、請求項1~8のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記治療用オリゴヌクレオチドが一本鎖である、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記治療用オリゴヌクレオチドが二本鎖である、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、36~50、36~60、36~70、または36~100ヌクレオチドの長さである、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、ロックド核酸(LNA)、アルファLNA、2’-フルオロ(2’F)、2’-O(CH2)2OCH3(2’-MOE)、2’--デオキシ-2’--フルオロ-D-アラビノ核酸(FANA)、2’-OCH3(2’-O-メチル)(2’OME)、PNA、及びモルホリノ、から選択される1つまたは複数の修飾ヌクレオシドモチーフを含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記修飾ヌクレオシドモチーフが、メチレン(--CH2--)n基が2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するLNAまたはアルファLNAであり、nが1または2である、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
前記LNAまたは前記アルファLNAが5’位にメチル基を含有する、請求項13または14に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミド、3’-メチレンホスホネート、O-メチルホスホロアミジエート(O-methylphosphoroamidiate)、PNA及びモルホリノから選択される1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結を含有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、C-5プロピン、及び5-メチルCから選択される1つまたは複数の修飾核酸塩基を含有する、請求項1~16のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
前記コンジュゲートの前記治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:EGFR、HER2/neu、ErbB3、cMet、p56lck、PDGFR、VEGF、VEGFR、FGF、FGFR、ANG1、ANG2、bFGF,TIE2、プロテインキナーゼC-アルファ(PKC-アルファ)、p56lck PKA、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、BRCA、IGF1、HGF、PDGF、IGFBP2、IGF1R、HIF1アルファ、フェリチン、トランスフェリン受容体、TMPRSS2、IRE、HSP27、HSP70、HSP90、MITF、クラステリン、PARP1C-fos、C-myc、n-myc、C-raf、B-raf、A1、H-raf、Skp2、K-ras、N-ras、H-ras、ファレンシルトランスフェラーゼ、c-Src、Jun、Fos、Bcr-Abl、c-Kit、EphA2、PDGFB、ARF、NOX1、NF1、STAT3、E6/E7、APC、WNT、ベータカテニン、GSK3b、PI3k、mTOR、Akt、PDK-1、CDK、Mek1、ERK1、AP-1、P53、Rb、Syk、オステオポンチン、CD44、MEK、MAPK、NF-κβ(NFカッパベータ)、Eカドヘリン、サイクリンD、サイクリンE、Bcl2、Bax、BXL-XL、BCL-W、MCL1、ER、MDR、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ(例えば、HDAC1及びHDAC2)、インテグリン、IAP、オーロラキナーゼ、メタロプロテアーゼ(例えば、MMP2、MMP3及びMMP9)、プロテアソーム、またはメタロチオネイン遺伝子、に特異的にハイブリダイズする、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記コンジュゲートの前記治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:サバイビン、HSPB1、EIF4E、PTPN1、RRM2、BCL2、PTEN、Bcr-abl、TLR9、HaRas、Pka-rIA、JNK2、IGF1R、XIAP、TGF-β2、c-myb、PLK1、K-ras、KSP、PKN3、リボヌクレオチドレダクターゼ(例えば、リボヌクレオチドレダクターゼR1及びリボヌクレオチドレダクターゼR2)、RecQヘリカーゼ(例えば、WRN、RecQL1、BLM、RecQL4、RecQ5、及びRTS)、MEM2及びTLR9、に特異的にハイブリダイズする、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、300~850nmの励起及び/または発光を伴う少なくとも1つのフルオロフォアを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、1つまたは複数のHESを形成することができる2、3、4、またはそれ以上のフルオロフォアを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、300~850nmの励起及び/または発光を伴う2、3、4、またはそれ以上のフルオロフォアを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、キサンテン、インドカルボシアニン、インドジカルボシアニン、及びクマリンから選択される少なくとも1つのフルオロフォアを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、カルボキシローダミン110、カルボキシテトラメチルローダミン、カルボキシローダミン-X、ジエチルアミノクマリン及びN-エチル-N’-[5-(N’’-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]インドカルボシアニンクロリド、N-エチル-N’-[5-(N’’-スクシンイミジルオキシカルボニル))ペンチル]-3,3,3’,3’-テトラメチル-2’,2’-インドジカルボシアニンクロリド色素、から選択される少なくとも1つのフルオロフォアを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、請求項1~24のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
前記治療用オリゴヌクレオチドがsiRNAである、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
前記治療用オリゴヌクレオチドがshRNAである、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
前記治療用オリゴヌクレオチドがmiRNAまたはアンタゴミル(antagmir)(miRNAの阻害剤)である、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
前記治療用オリゴヌクレオチドがダイサー基質である、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、それぞれ18~25、18~30、18~35、18~40、18~45、または18~50ヌクレオチドの長さであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングである2つの核酸相補的核酸鎖を含有する、請求項29に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
前記治療用オリゴヌクレオチドがRNA干渉(RNAi)を誘発することができる、請求項1~30のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、前記RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質である、請求項25に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
前記治療用オリゴヌクレオチドがギャップマーである、請求項25に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、前記RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質ではない、請求項25に記載のコンジュゲート。
【請求項35】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1~25のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、目的のRNAに特異的にハイブリダイズする、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、DNAまたはDNA模倣物である、請求項35または36に記載のコンジュゲート。
【請求項38】
前記治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが、2’位での修飾を含む修飾糖部分、PNAモチーフ、またはモルホリノモチーフを含む、請求項35~37のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項39】
前記治療用アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、以下からなる群:
(a)mRNAのAUG開始コドンから30ヌクレオチド以内の配列;
(b)miRNAのヌクレオチド1~10;
(c)mRNAの5’-非翻訳領域における配列;
(d)mRNAの3’-非翻訳領域における配列;
(e)mRNAのイントロン/エキソンジャンクション;
(f)前記オリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の配列;ならびに
(g)イントロン/エキソンジャンクション、及びRNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基の領域;から選択されるRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする、請求項35~38のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項40】
前記オリゴヌクレオチドのその標的mRNAへのハイブリダイゼーションによって、前記コード配列の翻訳を立体的に遮断するか、もしくは前記標的mRNAの発現を調節し、及び/またはヌクレオチド結合タンパク質を遮断して、それにより、標的mRNAの安定性を調節する、請求項35~39のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項41】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド-HES複合体が複数のアンチセンス鎖を含み、場合により前記アンチセンス鎖が架橋されている、請求項35~40のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項42】
前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が、5’側から3’側へ直列にスペーサーアームと直鎖状に連結され、第2鎖の5’末端または3’末端残基に連結された別のアンチセンスオリゴヌクレオチドにスペーサーアーム(例えば、6~30アミノ酸残基ペプチドもしくは直鎖アルキル(例えば、C6、C10、もしくはC12)またはポリエチルオキシ-グリコール(例えば、トリエチルオキシ-グリコール、テトラエチルオキシ-グリコールもしくはヘキサ-エチルオキシ-グリコール)で連結された複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、請求項41に記載のコンジュゲート。
【請求項43】
リンカーアーム(LまたはSP)が、C6、C10、もしくはC12の直鎖アルキル、またはポリエチルオキシ-グリコール(例えば、トリエチルオキシ-グリコール、テトラエチルオキシ-グリコールまたはヘキサ-エチルオキシ-グリコール)である、請求項1~42のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項44】
前記オリゴ-HES複合体が、5’側から3’側への2つ以上のアンチセンス鎖及び反対方向の3’側から5’側への2つ以上の治療用アンチセンスと架橋された複数の治療用アンチセンスを含み、(前記)オリゴ-HES複合体は、スペーサーSPを用いて5’側から3’側、次いで3’側から5’側の方向で2つ以上のアンチセンス鎖と架橋された複数の治療用アンチセンスを含む、請求項41~43のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項45】
前記アンチセンス鎖が2つ以上の同じ相補配列及び/または2つ以上の異なる相補配列を有する、請求項44に記載のコンジュゲート。
【請求項46】
直鎖状または分岐鎖状リンカーを含む、請求項1~45のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項47】
6~30アミノ酸残基長のペプチドリンカーまたはSPスペーサーを含む、請求項1~46のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項48】
前記リンカーが6~30アミノ酸残基長の直鎖状ペプチドである、請求項46または47に記載のコンジュゲート。
【請求項49】
前記リンカーが切断可能である、請求項46~48のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項50】
前記リンカーが、P1-P1’残基を含有するプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列を有し、ループ構造を有する、請求項49に記載のコンジュゲート。
【請求項51】
前記切断可能なリンカーが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、請求項49または50に記載のコンジュゲート。
【請求項52】
前記切断可能なリンカーが、疾患組織において活性である少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、請求項49~51のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項53】
前記切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、請求項49~52のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項54】
前記切断可能なリンカーが、
(a)MMP9;
(b)MMP14;
(c)MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27;
(d)セリンプロテアーゼ(例えば、MT-SP1、uPA、及びTMPRSS2);
(e)システインプロテアーゼ;
(f)(a)~(c)を含むメタロプロテアーゼ;
(g)アスパルチルプロテアーゼ;及び
(h)スレオニンプロテアーゼ;から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、請求項49~53のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項55】
前記切断可能なリンカーが、MMP9またはMMP14の基質であるアミノ酸配列を含む、請求項54に記載のコンジュゲート。
【請求項56】
前記切断可能なリンカーが、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、またはプラスミンなどの、免疫補体系の少なくとも1つの酵素の基質であるアミノ酸配列を含む、請求項54または55に記載のコンジュゲート。
【請求項57】
前記切断可能なリンカーが、前記コンジュゲートの前記標的と共局在することが知られている、または報告されているプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、請求項49~56のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項58】
前記リンカーが細胞内条件(例えば、リソソームもしくはエンドソームまたはカベオラ内の条件)下で切断可能である、請求項49に記載のコンジュゲート。
【請求項59】
前記リンカーがpH感受性である、請求項49に記載のコンジュゲート。
【請求項60】
前記リンカーが還元条件下で切断可能である、請求項49に記載のコンジュゲート。
【請求項61】
前記リンカーがマロネートリンカーである、請求項44~56のいずれか1項に記載のコンジュゲート(のコンジュゲート)。
【請求項62】
前記リンカーが切断不能である、請求項46~48のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項63】
前記リンカーが、H-二量体形成フルオロフォア(例えば、アミノ末端残基及び/またはカルボキシル末端残基にコンジュゲートしたH-二量体形成フルオロフォアを含むリンカー)を有する、請求項46~62のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項64】
前記リンカーが、前記アミノ末端残基及び前記カルボキシル末端残基にコンジュゲートしたH-二量体形成フルオロフォアを有する、請求項46~63のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項65】
前記リンカーが、前記ペプチドの前記アミノ末端及び前記カルボキシル末端にスルフヒドリルまたはアミノ官能基を有する、請求項46~64のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項66】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、アプタマー、アビマー、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、微生物の成分、ホルモン、受容体リガンド(受容体リガンドを含有するFc融合タンパク質を含む)、抗体、抗体の抗原結合部分、代替結合足場、またはそれらの任意の誘導体である、請求項1~65のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項67】
前記標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、請求項1~66のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項68】
前記標的指向性部分が、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合断片、一本鎖抗体、二重特異性抗体、合成抗体、またはPEG化抗体である、請求項1~67のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項69】
前記標的指向性部分が抗体である、請求項1~68のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項70】
前記標的指向性部分が、単一特異性、二重特異性、もしくは多重特異性抗体及び/または一価、二価、もしくは多価抗体である、請求項69に記載のコンジュゲート。
【請求項71】
前記標的指向性部分が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、請求項69または70に記載のコンジュゲート。
【請求項72】
前記標的指向性部分が治療用抗体である、請求項69~70のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項73】
前記抗体が、トラスツズマブ(HER2/neu)、ペルツズマブ(HER2/neu)、パニツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ザルツムマブ(EGFR)、セツキシマブ(EGFR)、(HER3)、オナルツズマブ(c-MET)、パトリツマブ、クリバツズマブ(MUC1)、ソフィツズマブ(MUC16)、エドレコロマブ(EPCAM)、アデカツムマブ(EPCAM)、アネツマブ(MSLN)、huDS6(CA6)、リファスツズマブ(NAPI2B)、サシツズマブ(TROP2)、PR1A3、ヒト化PR1A3(CEA)、ヒト化Ab2-3(CEA)、IMAB362/クラウディキシマブ(クローディン18.2)、AMG595(EGFRvIII)、ABT806(EGFRvIII)、シブロツズマブ(FAP)、DS-8895aバリアント1(EphA2)、DS-8895aバリアント2(EphA2)、抗EphA2(EphA2)、MEDI-547(EphA2)、ナルナツマブ(RON)、RG7841(LY6E)、ファルレツズマブ(FRA/葉酸受容体アルファ)、ミルベツキシマブ(FRA)、J591バリアント1(PSMA)、J591バリアント2(PSMA)、ロバルピツズマブ(DLL3)、PF-06647020(PTK7)、抗PTK7(PTK7)、ラディラツズマブ(LIV1)、シルムツズマブ(ROR1)、リツキシマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD52)、アレムツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、CT-011(PD1)、トシツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA4)、トレメリムマブ(CP-675,206)(CTLA4)、ニボルマブ(PD1)、ペムブロリズマブ(PD1)、デュルバルマブ(PDL1)抗MAGE-A3、抗NY-ESO-1、抗ACE2、抗ヒアルロニダーゼ、または抗ノイラミニダーゼ;から選択される、請求項72に記載のコンジュゲート。
【請求項74】
前記標的指向性部分が、抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、または二重特異性抗体の抗原結合断片である、請求項1~68のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項75】
前記標的指向性部分が、アフィボディ、ナノボディ、アンチカリン、フィノマー、DARPin、テトラネクチン、トランスボディ、アドネクチン、アフィリン、マイクロボディ、ペプチドアプタマー、アルタラーゼ、プラスチック抗体、フィロマー、ストラドボディ、マキシボディ、エビボディ、Zドメイン、Dドメイン、アルマジロリピートタンパク質、クニッツドメイン、アビマー、アトリマー、プロボディ、イムノボディ、トリオマブ、トロイボディ、ペップボディ(pepbody)ワクシボディ、ユニボディ、アフィマー、またはデュオボディ、から選択される代替結合足場である、請求項1~66のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項76】
前記標的指向性部分が、疾患細胞、がん細胞、免疫細胞、感染細胞、または感染因子などの目的の細胞または組織上またはその近くの細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~75のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項77】
前記標的指向性部分が、ネオアンチゲンなどの、特定の対象のがん(例えば、腫瘍)に由来するか、またはそのがんで発現されると判定された細胞表面抗原(複数可)に特異的に結合する、請求項1~76のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項78】
前記標的指向性部分が、結合時に前記コンジュゲートを内在化しない細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~77のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項79】
前記標的指向性部分が、結合時に前記コンジュゲートを内在化する細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~75のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項80】
前記標的指向性部分が、腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~79のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項81】
前記標的指向性部分が、白血病細胞、リンパ腫細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、大腸癌細胞、腎臓癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、骨癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞;またはリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫細胞上の腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~80のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項82】
前記標的指向性部分が、CD5、CD19、CD20、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CD204、CD206、CD301、CAMPATH-1、HLD-DR、癌胎児性抗原(CEA)、TAG-72、EpCAM、MUC1、MUC15、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、フェリチン、GD2、GD3、GM2、Ley、CA-125、CA19-9、上皮成長因子、p185HER2、IL-2受容体、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、血管内皮増殖因子、avB3、WT1、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII、HER2/neu、MAGE A3、P53非変異体、NY-ESO-1、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、P53変異体、PR1、bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、肉腫転座ブレークポイント融合タンパク質、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、フコシルGM1、メソテリン(MSLN)、PSCA、MAGE A1、MAGE-A3、sLe(動物)、CYP1B1、PLAV1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 3、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、PDGFR-B、MAD-CT-2、ROR2、CMET、HER3、CA6、NAPI2B、TROP2、CLDN18.2、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、RON、LY6E、FRA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、Fos関連抗原1、VEGFR、エンドグリン、PDL、VTCN1、及びVISTA、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~81のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項83】
前記標的指向性部分が、HER2、EGFR、CMET、HER3、MUC1、MUC16、EPCAM、MSLN、CA6、NAPI2B、TROP2、CEA、CLDN18.2、EGFRvIII、FAP、EphA2、RON、LY6E、FRA、PSMA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、MAGE-A3、NY-ESO-1、エンドグリン、CD204、CD206、CD301、VTCN1、VISTA、GLP-3、CLDN6、CLDN16、UPK1B、STRA6、TMPRSS3、TMPRSS4、TMEM238、C1orf186、及びLRRC15、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~81のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項84】
前記標的指向性部分が、腫瘍微小環境細胞表面抗原(ある特定の膜固定型プロテアーゼを含む)に特異的に結合する、請求項1~83のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項85】
前記標的指向性部分が、内皮細胞もしくはマクロファージに発現する細胞表面抗原(例えば、VEGFR、TIE1、及びTIE2)、または腫瘍間質細胞、例としてがん関連線維芽細胞(CAF)、腫瘍浸潤T細胞及びその他の白血球、ならびにマスト細胞、好酸球、及び腫瘍関連マクロファージを含む骨髄細胞に発現する細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~84のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項86】
前記標的指向性部分が、免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1~85のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項87】
前記標的指向性部分が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などのリンパ系または骨髄系起源の免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する請求項86に記載のコンジュゲート。
【請求項88】
前記標的指向性部分が、抗原提示細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項86または87に記載のコンジュゲート。
【請求項89】
前記標的指向性部分が、OX40L、4-1BBL、MARCO、DC-SIGN、デクチン1、デクチン2、DEC-205、CLEC5A、CLEC9A、CLEC10A、CLEC12A、CD1A、CD16A、CD32A、CD32B、CD36、CD40、CD47、CD64、CD204、CD206、HVEM、PDL1、マンノーススカベンジャー受容体1、及びBDCA2から選択される抗原に特異的に結合する、請求項88に記載のコンジュゲート。
【請求項90】
前記標的指向性部分が、抗原提示細胞ではない免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項86または87に記載のコンジュゲート。
【請求項91】
前記標的指向性部分が、BIACORE(登録商標)分析を用いて決定された0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)により前記目的の標的(例えば、細胞表面抗原)に結合する、請求項1~90のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項92】
細胞内の核酸またはタンパク質レベルを調節する方法であって、前記細胞を、治療有効量の請求項1~91のいずれか1項に記載のコンジュゲートと接触させることを含み、前記オリゴヌクレオチド-HES複合体が:
(a)前記細胞上または付近の細胞上の細胞表面抗原に結合する標的指向性部分;と
(b)前記核酸に特異的にハイブリダイズし、前記核酸及び/または前記核酸によってコードまたは制御されるタンパク質の前記レベルを調節するオリゴヌクレオチド;とを含む、前記方法。
【請求項93】
前記T-オリゴ-HESコンジュゲートの前記標的指向性部分が、前記接触した細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合し、前記細胞は、前記T-オリゴ-HESコンジュゲートの切断可能なリンカーを切断してオリゴ-HES複合体を放出する細胞表面プロテアーゼを発現する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記調節された核酸またはタンパク質が、疾患細胞、感染細胞、感染因子、または免疫細胞にある、請求項92または93に記載の方法。
【請求項95】
前記調節された核酸またはタンパク質が疾患細胞内にある、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記調節された核酸またはタンパク質が、がん細胞にある、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記がん細胞が、血液癌細胞または固形腫瘍癌細胞である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記がん細胞が、白血病細胞、リンパ腫細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、結腸直腸癌細胞、前立腺癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞、肉腫細胞、または任意の癌腫細胞である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記調節された核酸またはタンパク質が、感染細胞または感染因子内にある、請求項94に記載の方法。
【請求項100】
前記調節された核酸またはタンパク質が、感染因子内にある、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記細胞が、HIV、HTLV-1、ジカウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、ラッサ熱ウイルス、痘瘡ウイルス、SARSウイルス、リフトバレー熱ウイルス、結核、炭疽菌、ボツリヌス中毒症、野兎病、ペスト、ブルセラ症、鼻疽、類鼻疽、Q熱、またはアルファウイルス、例としてチクングニアウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、西部、東部及びベネズエラ馬脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、COVID、またはインフルエンザ、に感染している、請求項99または100に記載の方法。
【請求項102】
前記調節された核酸またはタンパク質が免疫細胞内にある、請求項94に記載の方法。
【請求項103】
前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などの骨髄系由来のリンパ系細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、請求項92~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、請求項92~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、請求項92~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
対象における核酸またはタンパク質レベルを調節する方法であって、治療有効量の請求項1~91のいずれか1項に記載のコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、前記コンジュゲートが:
(a)前記核酸またはタンパク質が調節される細胞上または細胞近くの細胞表面抗原に結合する標的指向性部分;と
(b)前記核酸に特異的にハイブリダイズし、前記核酸及び/または前記核酸によってコードまたは制御されるタンパク質の前記レベルを調節するオリゴヌクレオチド;とを含む、前記方法。
【請求項109】
前記核酸またはタンパク質が、
(a)前記対象における前記核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)前記対象における前記核酸によってコードされる前記タンパク質の過剰発現もしくは過少発現;を特徴とする、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記調節された核酸またはタンパク質が、疾患細胞、感染細胞、感染因子、または免疫細胞にある、請求項108または109に記載の方法。
【請求項111】
前記調節された核酸またはタンパク質が疾患細胞内にある、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記調節された核酸またはタンパク質が、がん細胞にある、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記がん細胞が、血液癌細胞または固形腫瘍癌細胞である、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記がん細胞が、白血病細胞、リンパ腫細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、結腸直腸癌細胞、前立腺癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞、肉腫細胞、または任意の癌腫細胞である、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記調節された核酸またはタンパク質が、感染細胞または感染因子内にある、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
前記調節された核酸またはタンパク質が、感染因子内にある、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記感染細胞がリンパ系または骨髄系由来の免疫細胞である、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記調節された核酸またはタンパク質が免疫細胞内にある、請求項110に記載の方法。
【請求項119】
前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などのリンパ系または骨髄系細胞である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、請求項108~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、請求項108~120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記コンジュゲート標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、請求項108~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
対象における疾患または障害を治療する方法であって、請求項1~91のいずれか1項に記載の治療有効量のコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドは、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、前記核酸によってコードまたは制御されるタンパク質のレベルを調節し;前記疾患または障害は、
(a)前記対象における前記核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)前記対象における前記核酸によってコードされる前記タンパク質の過剰発現もしくは過少発現;を特徴とする、前記方法。
【請求項125】
前記コンジュゲートが、前記核酸またはタンパク質が調節される細胞上または細胞近くの細胞表面抗原に結合する標的指向性部分を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記疾患または障害が、増殖性疾患または障害、例として、がん、免疫系の疾患もしくは障害、炎症性疾患もしくは障害、感染症、神経疾患もしくは障害、心血管系の疾患もしくは障害、代謝疾患もしくは障害、骨格系の疾患もしくは障害、または皮膚もしくは目の疾患もしくは障害、である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項127】
前記疾患または障害が、がん、炎症性疾患もしくは障害、または免疫系の疾患もしくは障害、感染症、または神経変性疾患もしくは障害などの神経疾患もしくは障害(a neurological or disease or disorder)である、請求項124~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記疾患または障害が、がんである、請求項124~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記がんが、血液癌または固形腫瘍癌である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記がんが、白血病、膵臓癌、乳癌、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、骨癌、神経膠芽腫を含む脳腫瘍;または任意のリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記疾患または障害が、がん、炎症性疾患もしくは障害、免疫系の疾患もしくは障害、または感染症である、請求項124に記載の方法。
【請求項132】
前記疾患が、炎症性疾患もしくは障害、または自己免疫疾患もしくは障害(例えば、関節リウマチ)である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記疾患または障害が炎症である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記疾患または障害が感染症である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記感染症が、HIV、HTLV-1、ジカ熱、デング熱、インフルエンザ、エボラ、マールブルグ病、クリミアコンゴ出血熱、ラッサ熱ウイルス、痘瘡、SARS、リフトバレー熱、結核、炭疽菌、ボツリヌス中毒症、野兎病、ペスト、ブルセラ症、鼻疽、類鼻疽、Q熱であり、またはアルファウイルス、例としてチクングニアウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、西部、東部及びベネズエラ馬脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、もしくはCOVID、に感染している、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記疾患または障害が、神経疾患または障害である、請求項126に記載の方法。
【請求項137】
前記神経疾患または障害が、神経変性疾患、例として、家族性及び孤発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALS及びALS)、家族性及び孤発性パーキンソン病、ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)、家族性及び孤発性アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(SMA)、多発性硬化症、びまん性大脳皮質萎縮症、認知症、またはピック病である、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記コンジュゲートの前記治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、請求項124~137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、請求項124~138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、請求項124~140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、抗体または抗体の抗原結合断片である、請求項124~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記標的指向性部分が、抗体またはナノボディである、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記抗体が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記抗体が治療用抗体である、請求項143または144に記載の方法。
【請求項146】
前記コンジュゲートが、1つまたは複数の他の治療薬と同時に、連続して、または別々に投与される、請求項124~145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
対象におけるがんを治療する方法であって、請求項1~91のいずれか1項に記載の治療有効量のコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、前記オリゴヌクレオチドは、前記がん細胞または組織内の核酸に特異的にハイブリダイズし、前記核酸によってコードまたは制御される前記核酸及び/またはタンパク質のレベルを調節し、前記核酸またはタンパク質は、
(a)前記がん細胞、組織、及び/もしくは対象における前記核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)前記がん細胞、組織、及び/もしくは対象における前記核酸によってコードされる前記タンパク質の過剰発現もしくは過少発現;を特徴とする、前記方法。
【請求項148】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、前記がん細胞上またはその近くの細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、前記がん細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147または148に記載の方法。
【請求項150】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、前記がん細胞付近の細胞(例えば、間質細胞、癌関連線維芽細胞、免疫細胞、血液もしくはリンパ管細胞、内皮細胞、脂肪細胞、または神経内分泌細胞などの腫瘍微小環境内の細胞)上の細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147~149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記がんが固形腫瘍である、請求項147~150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記がんが、白血病、膵臓癌、乳癌、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、骨癌、神経膠芽腫を含む脳腫瘍;またはリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫である、請求項147~151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記がんが血液癌である、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記血液癌が白血病またはリンパ腫である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、CD5、CD19、CD20、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CD204、CD206、CD301、CAMPATH-1、HLD-DR、癌胎児性抗原(CEA)、TAG-72、EpCAM、MUC1、MUC15、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、フェリチン、GD2、GD3、GM2、Ley、CA-125、CA19-9、上皮成長因子、p185HER2、IL-2受容体、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、血管内皮増殖因子、avB3、WT1、LMP2、HPV E6、HPV E7、HIV GP120、HIV GP160、EGFRvIII、HER2/neu、MAGE A3、P53非変異体、NY-ESO-1、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、P53変異体、PR1、bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、肉腫転座ブレークポイント融合タンパク質、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、フコシルGM1、メソテリン(MSLN)、PSCA、MAGE A1、MAGE-A3、sLe(動物)、CYP1B1、PLAV1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 3、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、PDGFR-B、MAD-CT-2、ROR2、CMET、HER3、CA6、NAPI2B、TROP2、CLDN18.2、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、RON、LY6E、FRA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、Fos関連抗原1、VEGFR、エンドグリン、PDL、VTCN1、及びVISTA、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、DLL3、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAPα)、NG2(神経膠抗原-2)、血小板由来増殖因子受容体-β(PDGFR-β)、PD1、CD163、KIR、HMGB1、VEGFR3、LYVE1、CD31、CD34、P1GF、及びVEGF、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
前記コンジュゲートの標的指向性部分が、HER2、EGFR、CMET、HER3、MUC1、MUC16、EPCAM、MSLN、CA6、NAPI2B、TROP2、CEA、CLDN18.2、EGFRvIII、FAP、EphA2、RON、LY6E、FRA、PSMA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、MAGE-A3、NY-ESO-1、エンドグリン、CD204、CD206、CD301、VTCN1、VISTA、GLP-3、CLDN6、CLDN16、UPK1B、STRA6、TMPRSS3、TMPRSS4、TMEM238、C1orf186、及びLRRC15、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項147~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
前記コンジュゲートの前記治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、請求項147~156のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
前記コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:EGFR、HER2/neu、ErbB3、cMet、p56lck、PDGFR、VEGF、VEGFR、FGF、FGFR、ANG1、ANG2、bFGF,TIE2、プロテインキナーゼC-アルファ(PKC-アルファ)、p56lck PKA、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、BRCA、IGF1、HGF、PDGF、IGFBP2、IGF1R、HIF1アルファ、フェリチン、トランスフェリン受容体、TMPRSS2、IRE、HSP27、HSP70、HSP90、MITF、クラステリン、PARP1C-fos、C-myc、n-myc、C-raf、B-raf、A1、H-raf、Skp2、K-ras、N-ras、H-ras、ファレンシルトランスフェラーゼ、c-Src、Jun、Fos、Bcr-Abl、c-Kit、EphA2、PDGFB、ARF、NOX1、NF1、STAT3、E6/E7、APC、WNT、ベータカテニン、GSK3b、PI3k、mTOR、Akt、PDK-1、CDK、Mek1、ERK1、AP-1、P53、Rb、Syk、オステオポンチン、CD44、MEK、MAPK、NF-κβ(NFカッパベータ)、Eカドヘリン、サイクリンD、サイクリンE、Bcl2、Bax、BXL-XL、BCL-W、MCL1、ER、MDR、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ(例えば、HDAC1及びHDAC2)、インテグリン、IAP、オーロラキナーゼ、メタロプロテアーゼ(例えば、MMP2、MMP3及びMMP9)、プロテアソーム、またはメタロチオネイン遺伝子、に特異的にハイブリダイズする、請求項147~157のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:サバイビン、HSPB1、EIF4E、PTPN1、RRM2、BCL2、PTEN、Bcr-abl、TLR9、HaRas、Pka-rIA、JNK2、IGF1R、XIAP、TGF-β2、c-myb、PLK1、K-ras、KSP、PKN3、リボヌクレオチドレダクターゼ(例えば、リボヌクレオチドレダクターゼR1及びリボヌクレオチドレダクターゼR2)、RecQヘリカーゼ(例えば、WRN、RecQL1、BLM、RecQL4、RecQ5、及びRTS)、MEM2及びTLR9、に特異的にハイブリダイズする、請求項147~157のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
前記コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、請求項147~159のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、請求項160に記載の方法。
【請求項163】
前記コンジュゲート標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、請求項147~161のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
前記コンジュゲートの前記標的指向性部分が、抗体または抗体の抗原結合断片である、請求項147~162のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
前記標的指向性部分が、抗体である、請求項163に記載の方法。
【請求項166】
前記抗体が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、請求項164に記載の方法。
【請求項167】
前記抗体が治療用抗体である、請求項164または165に記載の方法。
【請求項168】
前記抗体が、トラスツズマブ(HER2/neu)、ペルツズマブ(HER2/neu)、パニツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ザルツムマブ(EGFR)、セツキシマブ(EGFR)、(HER3)、オナルツズマブ(c-MET)、パトリツマブ、クリバツズマブ(MUC1)、ソフィツズマブ(MUC16)、エドレコロマブ(EPCAM)、アデカツムマブ(EPCAM)、アネツマブ(MSLN)、huDS6(CA6)、リファスツズマブ(NAPI2B)、サシツズマブ(TROP2)、PR1A3、ヒト化PR1A3(CEA)、ヒト化Ab2-3(CEA)、IMAB362/クラウディキシマブ(クローディン18.2)、AMG595(EGFRvIII)、ABT806(EGFRvIII)、シブロツズマブ(FAP)、DS-8895aバリアント1(EphA2)、DS-8895aバリアント2(EphA2)、抗EphA2(EphA2)、MEDI-547(EphA2)、ナルナツマブ(RON)、RG7841(LY6E)、ファルレツズマブ(FRA/葉酸受容体アルファ)、ミルベツキシマブ(FRA)、J591バリアント1(PSMA)、J591バリアント2(PSMA)、ロバルピツズマブ(DLL3)、PF-06647020(PTK7)、抗PTK7(PTK7)、ラディラツズマブ(LIV1)、シルムツズマブ(ROR1)、リツキシマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD52)、アレムツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、CT-011 (PD1)、トシツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA4)、トレメリムマブ(CP-675,206)(CTLA4)、ニボルマブ(PD1)、ペムブロリズマブ(PD1)、デュルバルマブ(PDL1)抗MAGE-A3、及び抗NY-ESO-1;から選択される、請求項166に記載の方法。
【請求項169】
前記コンジュゲートが、1つまたは複数の他の抗がん薬と同時に、連続して、または別々に投与される、請求項146~167のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
医薬における使用のための、請求項1~91のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項171】
対象における疾患または障害の治療における使用のための、請求項1~91のいずれか1項に定義されたコンジュゲート。
【請求項172】
感染症、がん、増殖性疾患または障害、神経疾患または障害、及び炎症性疾患または障害、免疫系の疾患または障害、心血管系の疾患または障害、代謝疾患または障害、骨格系の疾患または障害、ならびに皮膚または目の疾患または障害から選択される疾患または障害の治療における使用のための、請求項1~91のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項173】
対象における標的核酸またはタンパク質を調節する際に;対象における核酸の過剰発現または過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する際に、対象におけるタンパク質の過剰発現または過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する際に;対象における異常な核酸またはタンパク質発現を特徴とする疾患または障害を治療する際に、使用するための、請求項1~91のいずれか1項に記載のコンジュゲート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オリゴヌクレオチド治療法に関する。特に、本開示は、修飾オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド模倣物を含む、オリゴヌクレオチドの標的化及び局所インビボ送達の改善を提供する標的化コンジュゲート、ならびにこれらのコンジュゲートを作製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、さまざまなヒト疾患に対する治療剤としての可能性がますます認められている。しかし、治療用オリゴヌクレオチドの開発における主な課題は、標的細胞への特異的かつ効率的なインビボ送達であり、これは臨床応用を成功させるために必須である。標的化システムは、オリゴヌクレオチド送達の効率及び特異性を大幅に改善させることができる。しかし、効果的な送達システムは、オリゴヌクレオチドが作用部位に到達し、生物学的標的にアクセスできるようにするために、多数の生物学的障壁をうまく克服する必要がある。これらの目的を達成するために、さまざまなプラットフォーム技術及びさまざまな標的指向性リガンドに基づくいくつかの標的送達戦略が開発されているが、各戦略には制限があり、オリゴヌクレオチド治療法への幅広い適用性が妨げられている。したがって、新しい標的化オリゴヌクレオチド送達技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、H型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体を含む標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲート化合物、ならびにこれらの化合物を作製及び使用する方法に関する。本開示は、オリゴ-HES複合体を標的指向性部分にコンジュゲートすることにより、標的オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドの、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原を発現する細胞内及び/または周囲の標的化核酸への標的化及び局所送達が増加するという本発明者らの重要な発見に部分的に基づいている。標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートは、オリゴヌクレオチド単独及びオリゴヌクレオチド-HES複合体と比較して、薬物動態特性、選択的組織分布を劇的に改善し、標的化細胞及び標的化細胞の微小環境におけるコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを増強する。
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する、
[1]オリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートしている標的指向性部分を含むコンジュゲートであって、場合によりオリゴヌクレオチドが治療用オリゴヌクレオチドであるコンジュゲート;
[2]標的指向性部分が、オリゴヌクレオチド-HES複合体に直接コンジュゲートしているか、またはリンカーを介してオリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートしている、[1]に記載のコンジュゲート;
[3]標的指向性部分がリンカーを介してオリゴヌクレオチド-HES複合体にコンジュゲートしている、[1]または[2]のコンジュゲート;
[4]式(I)
T-(L-(オリゴ-HES) (I)
の構造を有する[1]~[3]のいずれか1つのコンジュゲート
(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり、
オリゴ-HESは、治療用オリゴヌクレオチド及びH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
nは、0または1であり;
xは、1~30、1~20、1~10、または1~5であり;
pは、1~30、1~20、1~10、または1~5である);
[5]式(II)
T-[L-((オリゴ2-SP)-オリゴ1-HES) (II)
の構造を有する[1]~[4]のいずれか1つのコンジュゲート(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり、
SPはリンカーであり、場合により、SPは、C6、C10、またはC18の直鎖または分岐鎖アルキルなどの6~12個のアミノ酸残基ペプチドまたはアルキル鎖スペーサーであり;
オリゴ1-HESは、オリゴヌクレオチド1(オリゴ1)とH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
オリゴ2は、オリゴ1と同じでも異なっていてもよいオリゴヌクレオチドであり;
nは、0または1であり;
mは、0または1であり;
sは、1または2であり;
uは1、2、3、4、または5である);
[6]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、核酸によってコードされるかまたは制御されるタンパク質のレベルを調節する治療用オリゴヌクレオチドを含む、[1]~[5]のいずれか1つのコンジュゲート;
[7]治療用オリゴヌクレオチドが、核酸配列の対応する逆相補鎖と比較して、1、2、または3個の置換、欠失、または挿入を含有する、[6]のコンジュゲート;
[8]治療用オリゴヌクレオチドが、約8ヌクレオチド~約750ヌクレオチドの長さである、[1]~[7]のいずれか1つのコンジュゲート;
[9]治療用オリゴヌクレオチドが18~25、18~35、18~40、または18~45、18~50、18~60、18~70、18~80、18~90、18~100、18~150、または18~200ヌクレオチドの長さである、[1]~[8]のいずれか1つのコンジュゲート;
[10]治療用オリゴヌクレオチドが一本鎖である、[1]~[9]のいずれか1つのコンジュゲート;
[11]治療用オリゴヌクレオチドが二本鎖である、[1]~[9]のいずれか1つのコンジュゲート;
[12]治療用オリゴヌクレオチドが、36~50、36~60、36~70、または36~100ヌクレオチド長である、[11]のコンジュゲート;
[13]治療用オリゴヌクレオチドが、ロックド核酸(LNA)、アルファLNA、2’-フルオロ(2’F)、2’-O(CH2)2OCH3(2’-MOE)、2’--デオキシ-2’--フルオロ-D-アラビノ核酸(FANA)、2’-OCH3(2’-O-メチル)(2’OME)、PNA、及びモルホリノ、から選択される1つまたは複数の修飾ヌクレオシドモチーフを含有する、[1]~[12]のいずれか1つのコンジュゲート;
[14]修飾ヌクレオシドモチーフが、メチレン(--CH2--)n基が2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するLNAまたはアルファLNAであり、nが1または2である、[13]のコンジュゲート;
[15]LNAまたはアルファLNAが5’位にメチル基を含有する、[13]または[14]のコンジュゲート;
[16]ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミド、3’-メチレンホスホネート、O-メチルホスホロアミジエート(O-methylphosphoroamidiate)、PNA及びモルホリノから選択される1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結を含有する、[1]~[15]のいずれか1つのコンジュゲート;
[17]治療用オリゴヌクレオチドが、C-5プロピン、及び5-メチルCから選択される1つまたは複数の修飾核酸塩基を含有する、[1]~[16]のいずれか1つのコンジュゲート;
[18]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:EGFR、HER2/neu、ErbB3、cMet、p56lck、PDGFR、VEGF、VEGFR、FGF、FGFR、ANG1、ANG2、bFGF,TIE2、プロテインキナーゼC-アルファ(PKC-アルファ)、p56lck PKA、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、BRCA、IGF1、HGF、PDGF、IGFBP2、IGF1R、HIF1アルファ、フェリチン、トランスフェリン受容体、TMPRSS2、IRE、HSP27、HSP70、HSP90、MITF、クラステリン、PARP1C-fos、C-myc、n-myc、C-raf、B-raf、A1、H-raf、Skp2、K-ras、N-ras、H-ras、ファレンシルトランスフェラーゼ、c-Src、Jun、Fos、Bcr-Abl、c-Kit、EphA2、PDGFB、ARF、NOX1、NF1、STAT3、E6/E7、APC、WNT、ベータカテニン、GSK3b、PI3k、mTOR、Akt、PDK-1、CDK、Mek1、ERK1、AP-1、P53、Rb、Syk、オステオポンチン、CD44、MEK、MAPK、NF-κβ(NFカッパベータ)、Eカドヘリン、サイクリンD、サイクリンE、Bcl2、Bax、BXL-XL、BCL-W、MCL1、ER、MDR、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ(例えば、HDAC1及びHDAC2)、インテグリン、IAP、オーロラキナーゼ、メタロプロテアーゼ(例えば、MMP2、MMP3及びMMP9)、プロテアソーム、またはメタロチオネイン遺伝子、に特異的にハイブリダイズする、[1]~[17]のいずれか1つに記載の方法;
[19]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:サバイビン、HSPB1、EIF4E、PTPN1、RRM2、BCL2、PTEN、Bcr-abl、TLR9、HaRas、Pka-rIA、JNK2、IGF1R、XIAP、TGF-β2、c-myb、PLK1、K-RAS、KSP、PKN3、リボヌクレオチドレダクターゼ(例えば、リボヌクレオチドレダクターゼR1及びリボヌクレオチドレダクターゼR2)、RecQヘリカーゼ(例えば、WRN、RecQL1、BLM、RecQL4、RecQ5、及びRTS)、MEM2及びTLR9、に特異的にハイブリダイズする、[1]~[17]のいずれか1つに記載の方法;
[20]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、300~850nmの励起及び/または発光を伴う少なくとも1つのフルオロフォアを含む、[1]~[19]のいずれか1つのコンジュゲート;
[21]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、1つまたは複数のHESを形成することができる2、3、4、またはそれ以上のフルオロフォアを含む、[1]~[20]のいずれか1つのコンジュゲート;
[22]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、300~850nmの励起及び/または発光を伴う2、3、4、またはそれ以上のフルオロフォアを含む、[1]~[21]のいずれか1つのコンジュゲート;
[23]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、キサンテン、インドカルボシアニン、インドジカルボシアニン、及びクマリンから選択される少なくとも1つのフルオロフォアを含む、[1]~[22]のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
[24]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、カルボキシローダミン110、カルボキシテトラメチルローダミン、カルボキシローダミン-X、ジエチルアミノクマリン及びN-エチル-N’-[5-(N’’-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]インドカルボシアニンクロリド、N-エチル-N’-[5-(N’’-スクシンイミジルオキシカルボニル))ペンチル]-3,3,3’,3’-テトラメチル-2’,2’-インドジカルボシアニンクロリド色素、から選択される少なくとも1つのフルオロフォアを含む、[1]~[23]のいずれか1つのコンジュゲート;さらなる実施形態では、オリゴ-HES複合体は、Rhodamine Green(商標)カルボン酸、スクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;Rhodamine Green(商標)カルボン酸、トリフルオロアセトアミドまたはスクシンイミジルエステル;Rhodamine Green(商標)-Xスクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;Rhodol Green(商標)カルボン酸、N,O-ビス-(トリフルオロアセチル)またはスクシンイミジルエステル;ビス-(4-カルボキシピペリジニル)スルホンローダミンまたはジ(スクシンイミジル、エステル);5-(及び-6)-カルボキシナフトフルオレセイン、5-(及び-6)-カルボキシナフトフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-カルボキシローダミン6G塩酸塩;6-カルボキシローダミン6G塩酸塩、5-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;6-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-2’,4’,5’,7’-テトラブロモスルホンフルオレセインスクシンイミジルエステルまたはビス-(ジイソプロピルエチルアンモニウム)塩;5-カルボキシテトラメチルローダミン;6-カルボキシテトラメチルローダミン;5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミン;5-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミン;5-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-X-ローダミントリエチルアンモニウム塩;Lissamine(商標)ローダミンBスルホニルクロリド;マラカイトグリーンイソチオシアネート;Rhodamine Red(商標)-Xスクシンイミジルエステル;6-(テトラメチルローダミン-5-(及び-6)-カルボキサミド)ヘキサン酸スクシンイミジルエステル;テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート;Texas Red(登録商標)スルホニル;Texas Red(登録商標)塩化スルホニル;Texas Red(登録商標)-X STP エステルまたはナトリウム塩;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;X-ローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート;及びカルボシアニン、からなる群から選択されるフルオロフォアを含有する;
[25]治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、[1]~[24]のいずれか1つのコンジュゲート;
[26]治療用オリゴヌクレオチドがsiRNAである、[1]~[25]のいずれか1つのコンジュゲート;
[27]治療用オリゴヌクレオチドが一shRNAである、[1]~[25]のいずれか1つのコンジュゲート;
[28]治療用オリゴヌクレオチドがmiRNAまたはアンタゴミル(antagmir)(miRNAの阻害剤)である、[1]~[25]のいずれか1つのコンジュゲート;
[29]治療用オリゴヌクレオチドがダイサー基質である、[1]~[25]のいずれか1つのコンジュゲート;
[30]治療用オリゴヌクレオチドが、それぞれ18~25、18~30、18~35、18~40、18~45、または18~50ヌクレオチド長であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングである2つの核酸相補的核酸鎖を含有する、[29]のコンジュゲート;
[31]治療用オリゴヌクレオチドがRNA干渉(RNAi)を誘発することができる、[1]~[30]のいずれか1つのコンジュゲート;
[32]RNAにハイブリダイズした場合、治療用オリゴヌクレオチドがRNAse Hの基質である、[25]のコンジュゲート;
[33]治療用オリゴヌクレオチドがギャップマーである、[25]のコンジュゲート;
[34]RNAにハイブリダイズした場合、治療用オリゴヌクレオチドがRNAse Hの基質ではない、[25]のコンジュゲート;
[35]治療用オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、[1]~[25]のいずれか1つのコンジュゲート;
[36]アンチセンスオリゴヌクレオチドが目的のRNAに特異的にハイブリダイズする、[35]のコンジュゲート;
[37]アンチセンスオリゴヌクレオチドがDNAまたはDNA模倣物である、[35]または[36]のコンジュゲート;
[38]治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが、2’位での修飾を含む修飾糖部分、PNAモチーフ、またはモルホリノモチーフを含む、[35]~[37]のいずれか1つのコンジュゲート;
[39]治療用アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、以下からなる群:
(a)mRNAのAUG開始コドンから30ヌクレオチド以内の配列;
(b)miRNAのヌクレオチド1~10;
(c)mRNAの5’-非翻訳領域における配列;
(d)mRNAの3’-非翻訳領域における配列;
(e)mRNAのイントロン/エキソンジャンクション;
(f)オリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の配列;ならびに
(g)イントロン/エキソンジャンクション、及びRNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基の領域、から選択されるRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする、[35]~[38]のいずれか1つのコンジュゲート;
[40]オリゴヌクレオチドのその標的mRNAへのハイブリダイゼーションが、コード配列の翻訳を立体的に遮断するか、もしくは標的mRNAの発現を調節し、及び/またはヌクレオチド結合タンパク質を遮断して、それにより、標的mRNAの安定性を調節する、[35]~[39]のいずれか1つのコンジュゲート;
[41]アンチセンスオリゴヌクレオチド-HES複合体が複数のアンチセンス鎖を含み、場合によりアンチセンス鎖が架橋されている、[35]~[40]のいずれか1つのコンジュゲート;
[42]オリゴヌクレオチド-HES複合体が、5’側から3’側へ直列にスペーサーアームと直鎖状に連結され、第2鎖の5’末端または3’末端残基に連結された別のアンチセンスオリゴヌクレオチドにスペーサーアーム(例えば、6~30アミノ酸残基ペプチドもしくは直鎖アルキル(例えば、C6、C10、もしくはC12)またはポリエチルオキシ-グリコール(例えば、トリエチルオキシ-グリコール、テトラエチルオキシ-グリコールもしくはヘキサ-エチルオキシ-グリコール)で連結された複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、[41]のコンジュゲート;
[43]リンカーアーム(LまたはSP)が、C6、C10、もしくはC12の直鎖アルキル、またはポリエチルオキシ-グリコール(例えば、トリエチルオキシ-グリコール、テトラエチルオキシ-グリコールまたはヘキサ-エチルオキシ-グリコール)である、請求項1~42のいずれか1項に記載のコンジュゲート;
[44]オリゴ-HES複合体が、5’側から3’側への2つ以上のアンチセンス鎖及び反対方向の3’側から5’側への2つ以上の治療用アンチセンスと架橋された複数の治療用アンチセンスを含み、オリゴ-HES複合体は、スペーサーSPを用いて5’側から3’側、次いで3’側から5’側の方向で2つ以上のアンチセンス鎖と架橋された複数の治療用アンチセンスを含む、[41]~[43]のいずれか1つのコンジュゲート;
[45]アンチセンス鎖が2つ以上の同じ相補配列及び/または2つ以上の異なる相補配列を有する、[44]のコンジュゲート;
[46]直鎖状または分岐鎖状リンカーを含む、[1]~[45]のいずれか1つのコンジュゲート;
[47]6~30アミノ酸残基長のペプチドリンカーまたはSPスペーサーを含む、[1]~[46]のいずれか1つのコンジュゲート;
[48]リンカーが6~30アミノ酸残基長の直鎖状ペプチドである、[46]または[47]のコンジュゲート;
[49]リンカーが切断可能である、[46]~[48]のいずれか1つのコンジュゲート;
[50]リンカーが、P1-P1’残基を含有するプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列を有し、ループ構造を有する、[49]のコンジュゲート;
[51]切断可能なリンカーが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、[49]または[50]のコンジュゲート;
[52]切断可能なリンカーが、疾患組織において活性である少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、[49]~[51]のいずれか1つのコンジュゲート;
[53]切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、[49]~[52]のいずれか1つのコンジュゲート;
[54]切断可能なリンカーが、
(a)MMP9;
(b)MMP14;
(c)MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27;
(d)セリンプロテアーゼ(例えば、MT-SP1、uPA、及びTMPRSS2);
(e)システインプロテアーゼ;
(f)(a)~(c)を含むメタロプロテアーゼ;
(g)アスパルチルプロテアーゼ;及び
(h)スレオニンプロテアーゼ;から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、[49]~[53]のいずれか1つのコンジュゲート;
[55]切断可能なリンカーが、MMP9またはMMP14の基質であるアミノ酸配列を含む、[54]に記載のコンジュゲート;
[56]切断可能なリンカーが、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、及びプラスミンなどの、免疫補体系の少なくとも1つの酵素の基質であるアミノ酸配列を含む、[54]または[55]のコンジュゲート;
[57]切断可能なリンカーが、コンジュゲートの標的と共局在することが知られている、または報告されているプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む、[49]~[56]のいずれか1つのコンジュゲート;
[58]リンカーが細胞内条件(例えば、リソソームもしくはエンドソームまたはカベオラ内の条件)下で切断可能である、[49]のコンジュゲート;
[59]リンカーがpH感受性である、[49]のコンジュゲート;
[60]リンカーが還元条件下で切断可能である、[49]のコンジュゲート;
[61]リンカーがマロネートリンカーである、[44]~[56]のいずれかのコンジュゲート(のコンジュゲート);
[62]リンカーが切断不能である、[46]~[48]のいずれか1つのコンジュゲート;
[63]リンカーが、H-二量体形成フルオロフォア(例えば、アミノ及び/またはカルボキシル末端残基にコンジュゲートしたH-二量体形成フルオロフォアを含むリンカー)を有する、[46]~[62]のいずれか1つのコンジュゲート;
[64]リンカーが、アミノ末端残基及びカルボキシル末端残基にコンジュゲートしたH-二量体形成フルオロフォアを有する、[46]~[63]のいずれか1つのコンジュゲート;
[65]リンカーが、ペプチドのアミノ末端及びカルボキシル末端にスルフヒドリルまたはアミノ官能基を有する、[46]~[64]のいずれか1つのコンジュゲート;
[66]コンジュゲートの標的指向性部分が、アプタマー、アビマー、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、微生物の成分、ホルモン、受容体リガンド(受容体リガンドを含有するFc融合タンパク質を含む)、抗体、抗体の抗原結合部分、代替結合足場、またはそれらの任意の誘導体である、[1]~[65]のいずれか1つのコンジュゲート;
[67]標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、[1]~[66]のいずれか1つのコンジュゲート;
[68]標的指向性部分が、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合断片、一本鎖抗体、二重特異性抗体、合成抗体、またはPEG化抗体である、[1]~[67]のいずれか1つのコンジュゲート;
[69]標的指向性部分が抗体である、[1]~[68]のいずれか1つのコンジュゲート;
[70]標的指向性部分が、単一特異性、二重特異性、もしくは多重特異性抗体及び/または一価、二価、もしくは多価抗体である、[69]に記載のコンジュゲート;
[71]標的指向性部分が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、[69]または[70]のコンジュゲート;
[72]標的指向性部分が治療用抗体である、[69]~[70]のいずれか1つのコンジュゲート;
[73]抗体が、トラスツズマブ(HER2/neu)、ペルツズマブ(HER2/neu)、パニツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ザルツムマブ(EGFR)、セツキシマブ(EGFR)、(HER3)、オナルツズマブ(c-MET)、パトリツマブ、クリバツズマブ(MUC1)、ソフィツズマブ(MUC16)、エドレコロマブ(EPCAM)、アデカツムマブ(EPCAM)、アネツマブ(MSLN)、huDS6(CA6)、リファスツズマブ(NAPI2B)、サシツズマブ(TROP2)、PR1A3、ヒト化PR1A3(CEA)、ヒト化Ab2-3(CEA)、IMAB362/クラウディキシマブ(クローディン18.2)、AMG595(EGFRvIII)、ABT806(EGFRvIII)、シブロツズマブ(FAP)、DS-8895aバリアント1(EphA2)、DS-8895aバリアント2(EphA2)、抗EphA2(EphA2)、MEDI-547(EphA2)、ナルナツマブ(RON)、RG7841(LY6E)、ファルレツズマブ(FRA/葉酸受容体アルファ)、ミルベツキシマブ(FRA)、J591バリアント1(PSMA)、J591バリアント2(PSMA)、ロバルピツズマブ(DLL3)、PF-06647020(PTK7)、抗PTK7(PTK7)、ラディラツズマブ(LIV1)、シルムツズマブ(ROR1)、リツキシマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD52)、アレムツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、CT-011(PD1)、トシツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA4)、トレメリムマブ(CP-675,206)(CTLA4)、ニボルマブ(PD1)、ペムブロリズマブ(PD1)、デュルバルマブ(PDL1)抗MAGE-A3、抗NY-ESO-1、抗ACE2、抗ヒアルロニダーゼ、または抗ノイラミニダーゼ;から選択される、[72]のコンジュゲート;
[74]標的指向性部分が、抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、または二重特異性抗体の抗原結合断片である、[1]~[68]のいずれか1つのコンジュゲート;
[75]標的指向性部分が、アフィボディ、ナノボディ、アンチカリン、フィノマー、DARPin、テトラネクチン、トランスボディ、アドネクチン、アフィリン、マイクロボディ、ペプチドアプタマー、アルタラーゼ、プラスチック抗体、フィロマー、ストラドボディ、マキシボディ、エビボディ、Zドメイン、Dドメイン、アルマジロリピートタンパク質、クニッツドメイン、アビマー、アトリマー、プロボディ、イムノボディ、トリオマブ、トロイボディ、ペップボディ(pepbody)ワクシボディ、ユニボディ、アフィマー、またはデュオボディ、から選択される代替結合足場である、[1]~[66]のいずれか1つのコンジュゲート;
[76]標的指向性部分が、疾患細胞、がん細胞、免疫細胞、感染細胞、または感染因子などの目的の細胞または組織上またはその近くの細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[75]のいずれか1つのコンジュゲート;
[77]標的指向性部分が、ネオアンチゲンなどの、特定の対象のがん(例えば、腫瘍)に由来するか、またはそのがんで発現されると判定された細胞表面抗原(複数可)に特異的に結合する、[1]~[76]のいずれか1つのコンジュゲート;
[78]標的指向性部分が、結合時にコンジュゲートを内在化しない細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[77]のいずれか1つのコンジュゲート;
[79]標的指向性部分が、結合時にコンジュゲートを内在化する細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[75]のいずれか1つのコンジュゲート;
[80]標的指向性部分が、腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[79]のいずれか1つのコンジュゲート;
[81]標的指向性部分が、白血病細胞、リンパ腫細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、大腸癌細胞、腎臓癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、骨癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞;またはリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫細胞上の腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[80]のいずれか1つのコンジュゲート;
[82]標的指向性部分が、CD5、CD19、CD20、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CD204、CD206、CD301、CAMPATH-1、HLD-DR、癌胎児性抗原(CEA)、TAG-72、EpCAM、MUC1、MUC15、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、フェリチン、GD2、GD3、GM2、Ley、CA-125、CA19-9、上皮成長因子、p185HER2、IL-2受容体、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、血管内皮増殖因子、avB3、WT1、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII、HER2/neu、MAGE A3、P53非変異体、NY-ESO-1、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、P53変異体、PR1、bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、肉腫転座ブレークポイント融合タンパク質、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、フコシルGM1、メソテリン(MSLN)、PSCA、MAGE A1、MAGE-A3、sLe(動物)、CYP1B1、PLAV1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 3、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、PDGFR-B、MAD-CT-2、ROR2、CMET、HER3、CA6、NAPI2B、TROP2、CLDN18.2、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、RON、LY6E、FRA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、Fos関連抗原1、VEGFR、エンドグリン、PDL、VTCN1、及びVISTA、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[81]のいずれか1つのコンジュゲート;
[83]標的指向性部分が、HER2、EGFR、CMET、HER3、MUC1、MUC16、EPCAM、MSLN、CA6、NAPI2B、TROP2、CEA、CLDN18.2、EGFRvIII、FAP、EphA2、RON、LY6E、FRA、PSMA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、MAGE-A3、NY-ESO-1、エンドグリン、CD204、CD206、CD301、VTCN1、VISTA、GLP-3、CLDN6、CLDN16、UPK1B、STRA6、TMPRSS3、TMPRSS4、TMEM238、C1orf186、及びLRRC15、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[81]のいずれか1つのコンジュゲート;
[84]標的指向性部分が、腫瘍微小環境細胞表面抗原(ある特定の膜固定型プロテアーゼを含む)に特異的に結合する、[1]~[83]のいずれか1つのコンジュゲート;
[85]標的指向性部分が、内皮細胞もしくはマクロファージに発現する細胞表面抗原(例えば、VEGFR、TIE1、及びTIE2)、または腫瘍間質細胞、例としてがん関連線維芽細胞(CAF)、腫瘍浸潤T細胞及びその他の白血球、ならびにマスト細胞、好酸球、及び腫瘍関連マクロファージを含む骨髄細胞に発現する細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[84]のいずれか1つのコンジュゲート;
[86]標的指向性部分が、免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[1]~[85]のいずれか1つのコンジュゲート;
[87]標的指向性部分が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などのリンパ系または骨髄系起源の免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[86]のコンジュゲート;
[88]標的指向性部分が、抗原提示細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[86]または[87]に記載のコンジュゲート;
[89]標的指向性部分が、OX40L、4-1BBL、MARCO、DC-SIGN、デクチン1、デクチン2、DEC-205、CLEC5A、CLEC9A、CLEC10A、CLEC12A、CD1A、CD16A、CD32A、CD32B、CD36、CD40、CD47、CD64、CD204、CD206、HVEM、PDL1、マンノーススカベンジャー受容体1、及びBDCA2から選択される抗原に特異的に結合する、[88]に記載のコンジュゲート;
[90]標的指向性部分が、抗原提示細胞ではない免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[86]または[87]に記載のコンジュゲート;
[91]標的指向性部分が、BIACORE(登録商標)分析を用いて決定された0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)により目的の標的(例えば、細胞表面抗原)に結合する、[1]~[90]のいずれか1つのコンジュゲート;
[92]細胞内の核酸またはタンパク質レベルを調節する方法であって、細胞を、治療有効量の[1]~[91]のいずれか1つのコンジュゲートと接触させることを含み、オリゴヌクレオチド-HES複合体が:
(a)細胞上または付近の細胞上の細胞表面抗原に結合する標的指向性部分;と
(b)核酸に特異的にハイブリダイズし、核酸及び/または核酸によってコードまたは制御されるタンパク質のレベルを調節するオリゴヌクレオチド;とを含む、前記方法。
[93]T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分が、接触した細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合し、細胞は、T-オリゴ-HESコンジュゲートの切断可能なリンカーを切断してオリゴ-HES複合体を放出する細胞表面プロテアーゼを発現する、[92]の方法。
[94]調節された核酸またはタンパク質が、疾患細胞、感染細胞、感染因子、または免疫細胞にある、[92]または[93]の方法;
[95]調節された核酸またはタンパク質が疾患細胞内にある、[94]の方法。
[96]調節された核酸またはタンパク質が、がん細胞内にある、[95]の方法。
[97]がん細胞が、血液癌細胞または固形腫瘍癌細胞である、[96]の方法。
[98]がん細胞が、白血病細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、大腸癌細胞、腎臓癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、骨癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞;または任意のリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫細胞である、[97]の方法;
[99]調節された核酸またはタンパク質が、感染細胞または感染性細胞内にある、[94]に方法。
[100]調節された核酸またはタンパク質が、感染細胞または感染因子内にある、[99]の方法。
[101]細胞が、HIV、HTLV-1、ジカウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、ラッサ熱ウイルス、痘瘡ウイルス、SARSウイルス、リフトバレー熱ウイルス、結核、炭疽菌、ボツリヌス中毒症、野兎病、ペスト、ブルセラ症、鼻疽、類鼻疽、Q熱、またはアルファウイルス、例としてチクングニアウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、西部、東部及びベネズエラ馬脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、COVID、またはインフルエンザ、に感染している、[99]または[100]の方法;
[102]調節された核酸またはタンパク質が、免疫細胞内にある、[94]の方法。
[103]免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などの骨髄系由来のリンパ系細胞である、[102]の方法;
[104]治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、[92]~[103]のいずれか1つの方法;
[105]コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、[92]~[104]のいずれか1つの方法;
[106]切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、[105]の方法;
[107]コンジュゲートの標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、[92]~[106]のいずれか1つの方法;
[108]対象における核酸またはタンパク質レベルを調節する方法であって、治療有効量の[1]~[91]のいずれか1つのコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、コンジュゲートが:
(a)核酸またはタンパク質が調節される細胞上または細胞近くの細胞表面抗原に結合する標的指向性部分;と
(b)核酸に特異的にハイブリダイズし、核酸及び/または核酸によってコードまたは制御されるタンパク質のレベルを調節するオリゴヌクレオチド;とを含む、前記方法;
[109]核酸またはタンパク質が、
(a)対象における核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)対象における核酸によってコードされるタンパク質の過剰発現もしくは過少発現;を特徴とする、[108]の方法。
[110]調節された核酸またはタンパク質が、疾患細胞、感染細胞、感染因子、または免疫細胞にある、[108]または[109]の方法;
[111]調節された核酸またはタンパク質が疾患細胞内にある、[108]の方法。
[112]調節された核酸またはタンパク質が、がん細胞にある、[110]の方法。
[113]がん細胞が、血液癌細胞または固形腫瘍癌細胞である、[112]の方法。
[114]がん細胞が、白血病細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、大腸癌細胞、腎臓癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、骨癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞;または任意のリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫細胞である、[113]の方法;
[115]調節された核酸またはタンパク質が、感染細胞または感染因子内にある、[110]の方法。
[116]調節された核酸またはタンパク質が、感染因子内にある、[115]の方法。
[117]感染細胞がリンパ系または骨髄系由来の免疫細胞である、[115]の方法。
[118]調節された核酸またはタンパク質が疾患細胞内にある、免疫細胞内にある、[110]の方法。
[119]免疫細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などのリンパ系または骨髄系細胞である、[118]の方法;
[120]治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、[108]~[119]のいずれか1つの方法;
[121]コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、[108]~[120]のいずれか1つの方法;
[122]切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、[121]の方法;
[123]コンジュゲート標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、[108]~[122]のいずれか1つの方法;
[124]対象における疾患または障害を治療する方法であって、[1]~[91]のいずれか1つの治療有効量のコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、オリゴヌクレオチドは、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、核酸によってコードまたは制御されるタンパク質のレベルを調節し;疾患または障害は、以下:
(a)対象における標的核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)対象における標的核酸によってコードされるタンパク質の過剰発現または過少発現;を特徴とする、前記方法;
[125]コンジュゲートが、核酸またはタンパク質が調節される細胞上または細胞近くの細胞表面抗原に結合する標的指向性部分を含む、[124]の方法;
[126]疾患または障害が、増殖性疾患または障害、例として、がん、免疫系の疾患もしくは障害、炎症性疾患もしくは障害、感染症、神経疾患もしくは障害、心血管系の疾患もしくは障害、代謝疾患もしくは障害、骨格系の疾患もしくは障害、または皮膚もしくは目の疾患もしくは障害、である、[124]または[125]の方法;
[127]疾患または障害が、がん、炎症性疾患もしくは障害、または免疫系の疾患もしくは障害、感染症、または神経変性疾患もしくは障害(a neurological or disease or disorder)などの神経疾患もしくは障害、である、[124]~[126]のいずれか1つの方法;
[128]疾患または障害が、がんである、[124]~[127]のいずれか1つの方法;
[129]がんが、血液癌または固形腫瘍癌である、[128]の方法。
[130]がんが、白血病、膵臓癌、乳癌、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、骨癌、神経膠芽腫を含む脳腫瘍;または任意のリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫である、[129]に記載の方法;
[131]疾患または障害が、がん、炎症性疾患もしくは障害、免疫系の疾患もしくは障害、または感染症である、[124]に記載の方法;
[132]疾患が、炎症性疾患もしくは障害、または自己免疫疾患もしくは障害(例えば、関節リウマチ)である、[131]の方法;
[133]疾患または障害が炎症である、[132]の方法;
[134]疾患または障害が感染症である、[133]の方法;
[135]感染症が、HIV、HTLV-1、ジカ熱、デング熱、インフルエンザ、エボラ、マールブルグ病、クリミアコンゴ出血熱、ラッサ熱ウイルス、痘瘡、SARS、リフトバレー熱、結核、炭疽菌、ボツリヌス中毒症、野兎病、ペスト、ブルセラ症、鼻疽、類鼻疽、Q熱であり、またはアルファウイルス、例としてチクングニアウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、西部、東部及びベネズエラ馬脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、もしくはCOVID、に感染している、[134]の方法;
[136]疾患または障害が、神経疾患または障害である、[126]の方法;
[137]神経疾患または障害が、神経変性疾患、例として、家族性及び孤発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALS及びALS)、家族性及び孤発性パーキンソン病、ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)、家族性及び孤発性アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(SMA)、多発性硬化症、びまん性大脳皮質萎縮症、認知症、またはピック病である、[136]の方法;
[138]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、[124]~[137]のいずれか1つの方法;
[139]コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、[124]~[138]のいずれか1つの方法;
[140]切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、[139]の方法;
[141]コンジュゲートの標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、[124]~[140]のいずれか1つの方法;
[142]コンジュゲートの標的指向性部分が、抗体または抗体の抗原結合断片である、[124]~[141]のいずれか1つの方法;
[143]標的指向性部分が、抗体またはナノボディである、[142]の方法;
[144]抗体が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、[143]の方法;
[145]抗体が治療用抗体である、[143]または[144]の方法;
[146]コンジュゲートが、1つまたは複数の他の治療薬と同時に、連続して、または別々に投与される、[124]~[145]のいずれか1つの方法。
[147]対象におけるがんを治療する方法であって、[1]~[91]のいずれか1つの治療有効量のコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、オリゴヌクレオチドは、がん細胞または組織内の核酸に特異的にハイブリダイズし、核酸によってコードまたは制御される核酸及び/またはタンパク質のレベルを調節し、核酸またはタンパク質は、以下:
(a)がん細胞、組織、及び/もしくは対象における核酸の過剰発現もしくは過少発現、または
(b)がん細胞、組織、及び/もしくは対象における核酸によってコードされるタンパク質の過剰発現もしくは過少発現;を特徴とする、前記方法;
[148]コンジュゲートの標的指向性部分が、がん細胞上またはその近くの細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]の方法;
[149]コンジュゲートの標的指向性部分が、がん細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]または[148]の方法;
[150]コンジュゲートの標的指向性部分が、がん細胞付近の細胞(例えば、間質細胞、癌関連線維芽細胞、免疫細胞、血液もしくはリンパ管細胞、内皮細胞、脂肪細胞、または神経内分泌細胞などの腫瘍微小環境内の細胞)上の細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]~[149]のいずれか1つの方法;
[151]がんが固形腫瘍である、[147]~[150]のいずれか1つの方法;
[152]がんが、白血病、膵臓癌、乳癌、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、骨癌、神経膠芽腫を含む脳腫瘍;またはリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫である、[147]~[151]のいずれか1つの方法;
[153]がんが血液癌である、[152]の方法。
[154]血液癌が白血病またはリンパ腫である、[153]の方法。
[155]コンジュゲートの標的指向性部分が、CD5、CD19、CD20、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CD204、CD206、CD301、CAMPATH-1、HLD-DR、癌胎児性抗原(CEA)、TAG-72、EpCAM、MUC1、MUC15、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、フェリチン、GD2、GD3、GM2、Ley、CA-125、CA19-9、上皮成長因子、p185HER2、IL-2受容体、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、血管内皮増殖因子、avB3、WT1、LMP2、HPV E6、HPV E7、HIV GP120、HIV GP160、EGFRvIII、HER2/neu、MAGE A3、P53非変異体、NY-ESO-1、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、P53変異体、PR1、bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、肉腫転座ブレークポイント融合タンパク質、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、フコシルGM1、メソテリン(MSLN)、PSCA、MAGE A1、MAGE-A3、sLe(動物)、CYP1B1、PLAV1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 3、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、PDGFR-B、MAD-CT-2、ROR2、CMET、HER3、CA6、NAPI2B、TROP2、CLDN18.2、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、RON、LY6E、FRA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、Fos関連抗原1、VEGFR、エンドグリン、PDL、VTCN1、及びVISTA、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]~[154]のいずれか1つの方法;
[156]コンジュゲートの標的指向性部分が、DLL3、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAPα)、NG2(神経膠抗原-2)、血小板由来増殖因子受容体-β(PDGFR-β)、PD1、CD163、KIR、HMGB1、VEGFR3、LYVE1、CD31、CD34、P1GF、及びVEGF、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]~[154]のいずれか1つの方法;
[157]コンジュゲートの標的指向性部分が、HER2、EGFR、CMET、HER3、MUC1、MUC16、EPCAM、MSLN、CA6、NAPI2B、TROP2、CEA、CLDN18.2、EGFRvIII、FAP、EphA2、RON、LY6E、FRA、PSMA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、MAGE-A3、NY-ESO-1、エンドグリン、CD204、CD206、CD301、VTCN1、VISTA、GLP-3、CLDN6、CLDN16、UPK1B、STRA6、TMPRSS3、TMPRSS4、TMEM238、C1orf186、及びLRRC15:から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する、[147]~[154]のいずれか1つの方法;
[158]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、及びアンチセンスから選択される、[147]~[156]のいずれか1つの方法;
[159]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:EGFR、HER2/neu、ErbB3、cMet、p56lck、PDGFR、VEGF、VEGFR、FGF、FGFR、ANG1、ANG2、bFGF,TIE2、プロテインキナーゼC-アルファ(PKC-アルファ)、p56lck PKA、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、BRCA、IGF1、HGF、PDGF、IGFBP2、IGF1R、HIF1アルファ、フェリチン、トランスフェリン受容体、TMPRSS2、IRE、HSP27、HSP70、HSP90、MITF、クラステリン、PARP1C-fos、C-myc、n-myc、C-raf、B-raf、A1、H-raf、Skp2、K-ras、N-ras、H-ras、ファレンシルトランスフェラーゼ、c-Src、Jun、Fos、Bcr-Abl、c-Kit、EphA2、PDGFB、ARF、NOX1、NF1、STAT3、E6/E7、APC、WNT、ベータカテニン、GSK3b、PI3k、mTOR、Akt、PDK-1、CDK、Mek1、ERK1、AP-1、P53、Rb、Syk、オステオポンチン、CD44、MEK、MAPK、NF-κβ(NFカッパベータ)、Eカドヘリン、サイクリンD、サイクリンE、Bcl2、Bax、BXL-XL、BCL-W、MCL1、ER、MDR、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ(例えば、HDAC1及びHDAC2)、インテグリン、IAP、オーロラキナーゼ、メタロプロテアーゼ(例えば、MMP2、MMP3及びMMP9)、プロテアソーム、またはメタロチオネイン遺伝子、に特異的にハイブリダイズする、[147]~[157]のいずれか1つに記載の方法;
[160]コンジュゲートの治療用オリゴヌクレオチドが、以下から選択される核酸:サバイビン、HSPB1、EIF4E、PTPN1、RRM2、BCL2、PTEN、Bcr-abl、TLR9、HaRas、Pka-rIA、JNK2、IGF1R、XIAP、TGF-β2、c-myb、PLK1、K-ras、KSP、PKN3、リボヌクレオチドレダクターゼ(例えば、リボヌクレオチドレダクターゼR1及びリボヌクレオチドレダクターゼR2)、RecQヘリカーゼ(例えば、WRN、RecQL1、BLM、RecQL4、RecQ5、及びRTS)、MEM2及びTLR9、に特異的にハイブリダイズする、[147]~[157]のいずれか1つに記載の方法;
[161]コンジュゲートが、少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する切断可能なリンカーを含む、[147]~[159]のいずれか1つの方法;
[162]切断可能なリンカーが、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDECC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのTTSP)、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含有する、[160]の方法;
[163]コンジュゲート標的指向性部分が、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fab、及びscFv)、または単一ドメイン抗体である、[147]~[161]のいずれか1つの方法;
[164]コンジュゲートの標的指向性部分が、抗体または抗体の抗原結合断片である、[147]~[162]のいずれか1つの方法;
[165]標的指向性部分が、抗体である、[163]の方法;
[166]抗体が、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、[164]の方法;
[167]抗体が治療用抗体である、[164]または[165]の方法;
[168]抗体が、トラスツズマブ(HER2/neu)、ペルツズマブ(HER2/neu)、パニツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ザルツムマブ(EGFR)、セツキシマブ(EGFR)、(HER3)、オナルツズマブ(c-MET)、パトリツマブ、クリバツズマブ(MUC1)、ソフィツズマブ(MUC16)、エドレコロマブ(EPCAM)、アデカツムマブ(EPCAM)、アネツマブ(MSLN)、huDS6(CA6)、リファスツズマブ(NAPI2B)、サシツズマブ(TROP2)、PR1A3、ヒト化PR1A3(CEA)、ヒト化Ab2-3(CEA)、IMAB362/クラウディキシマブ(クローディン18.2)、AMG595(EGFRvIII)、ABT806(EGFRvIII)、シブロツズマブ(FAP)、DS-8895aバリアント1(EphA2)、DS-8895aバリアント2(EphA2)、抗EphA2(EphA2)、MEDI-547(EphA2)、ナルナツマブ(RON)、RG7841(LY6E)、ファルレツズマブ(FRA/葉酸受容体アルファ)、ミルベツキシマブ(FRA)、J591バリアント1(PSMA)、J591バリアント2(PSMA)、ロバルピツズマブ(DLL3)、PF-06647020(PTK7)、抗PTK7(PTK7)、ラディラツズマブ(LIV1)、シルムツズマブ(ROR1)、リツキシマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD52)、アレムツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、CT-011(PD1)、トシツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA4)、トレメリムマブ(CP-675,206)(CTLA4)、ニボルマブ(PD1)、ペムブロリズマブ(PD1)、デュルバルマブ(PDL1)抗MAGE-A3、及び抗NY-ESO-1;から選択される、[166]の方法;
[169]コンジュゲートが、1つまたは複数の他の抗がん薬と同時に、連続して、または別々に投与される、[146]~[167]のいずれか1つの方法。
[170]医薬における使用のための、[1]~[91]のいずれか1に記載のコンジュゲート;
[171]対象における疾患または障害の治療における使用のための、[1]~[91]のいずれか1つに定義されたコンジュゲート;
[172]感染症、がん、増殖性疾患または障害、神経疾患または障害、及び炎症性疾患または障害、免疫系の疾患または障害、心血管系の疾患または障害、代謝疾患または障害、骨格系の疾患または障害、ならびに皮膚または目の疾患または障害から選択される疾患または障害の治療における使用のための[1]~[91]のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
[173]対象における標的核酸またはタンパク質を調節する際に;対象における核酸の過剰発現または過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する際に、対象におけるタンパク質の過剰発現または過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する際に;対象における異常な核酸またはタンパク質発現を特徴とする疾患もしくは障害を治療する際に、使用するための[1]~[91]のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0005】
本明細書で説明される組成物及び方法のさらなる他の特徴及び利点は、添付の図面と共に読めば、以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】T(抗体)-オリゴ-HESコンジュゲートの例示的な合成を示す。一部のクリックケミストリー試薬の構造は、説明のために単純化されている。リンカーは、抗体のアミノ基またはそのスルフヒドリル基のいずれかを介して抗体に共有結合し、後者は(スルフヒドリル基を介する場合)、ジチオスレイトールまたはTCEPなどの薬剤による還元に続く。アミノ基を標識するために、N-ヒドロキシ-スクシンイミジルエステルなどの官能基または他の脱離基を使用することができる。抗体のスルフヒドリルの標識には、マレイミドまたは3-アリールプロピオロニトリルなどの官能基を使用することができる。リンカーアームは、典型的には、原子が6~50個の間の範囲にある。リンカーの遠位端、すなわち抗体から最も離れた末端の官能基は、アジドまたはアルキンのいずれかであり得、後者は好ましくは、三重結合の両側にsp2軌道を有するシクロオクチン環、例えばジベンゾシクロオクチンなどの歪み立体配座の炭素-炭素三重結合である。クリックケミストリーでは、それぞれアルキンまたはアジドを使用して、抗体上のリンカーを、細胞表面上のプロテアーゼの切断部位として機能する立体配座依存性切断部位を含有するペプチドにコンジュゲートさせることができる。ペプチドは、一本鎖アンチセンスまたは二本鎖siRNAのいずれかであるオリゴヌクレオチドに、抗体連結の遠位側でコンジュゲートされる。立体配座依存性切断部位を含有するペプチドとオリゴヌクレオチドの両方を、それぞれ2つのフルオロフォアにより事前に誘導体化して、HES、具体的にはペプチドHESとオリゴヌクレオチドHESを形成させる。一部のクリックケミストリー試薬の構造は、説明のために単純化されている。
図2】リンカーアームで共有結合標識された抗体の例示的な誘導体化を示す。最初にIgG2aをTCEPで還元し、次に25原子のリンカーを付加した。次に、ジベンゾシクロオクチン基で終端するリンカーを、アジド含有フルオロフォアとコンジュゲートさせた。1時間の反応時間の後、溶液をゲル濾過カラムに通し、コンジュゲートは、ボイドボリュームの直後に溶出された。280nmのピークは抗体によるものであり、641のピークはフルオロフォアの共有結合を示す。T(例えば、抗体)-オリゴ-HESコンジュゲートの完全な合成は、複数のステップで、例えば(a)最初にリンカーを付加し、次に立体配座依存性切断部位を含有するペプチド及びオリゴヌクレオチドを順次付加することによるか、または(b)立体配座依存性切断部位を含有するペプチド及びオリゴヌクレオチドに既にコンジュゲートしたリンカーを抗体に直接付加することにより、行うことができる。各ステップは、フルオロフォアなどのレポーター基を含有する相補的な官能性化学基を使用して確認することができる。
図3】立体配座依存性切断部位の特異性を示す。PLGIAのアミノ酸配列(配列番号77)を含有し、各末端付近で同じフルオロフォアで共有結合的に標識された(HES構造を生じさせる)18アミノ酸ペプチドは、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)によって認識され、LGとIAの間で切断される。2μMで、PLGIA(配列番号77)ペプチドが存在するpH7.5緩衝液中にMMP-19を加える。ペプチドの切断により、蛍光強度が増加する。この特異性を、対照ペプチド、すなわち、同じ長さ、同じ標識を含むが、立体配座依存性切断部位を含有していないHES担持ペプチドと比較する。後者の蛍光は、MMPの添加により増加せず、このことは、MMP-19に対するPLGIA(配列番号77)配列の特異性を示す。
図4】Aは、立体配座依存性切断部位を含有するPLGIA(配列番号77)ペプチドの断片化/切断を示す。立体配座依存性切断部位を含有するHES-PLGIA(配列番号:77)ペプチドの保持時間をHPLCで測定し、C18カラムでの保持時間は逆相条件下、すなわち水性緩衝液に負荷し、アセトニトリル緩衝液で38分で溶出して、測定した。Bは、立体配座依存性切断部位を含有するPLGIA(配列番号77)ペプチドの断片化/切断を示す。立体配座依存性切断部位を含有するHES-PLGIA(配列番号:77)ペプチドの保持時間をHPLCで測定し、C18カラムでの保持時間は逆相条件下、すなわち水性緩衝液に負荷し、アセトニトリル緩衝液で38分で溶出して、測定した。MMP-9への曝露後、主ピークはおよそ30分及び31分にあり、38分にピークがほぼ完全に消失し、図3に示された切断と一致していた。
図5】立体配座依存性切断部位を含有するペプチドに連結した抗体の形成を示す。Bリンパ球上のCD20を認識するモノクローナル抗体であるリツキシマブは、リンカー及び立体配座依存性切断部位を含有するペプチドにコンジュゲートしていた。280nmでのピークは、抗体の存在を示す。HESの存在によるペプチド切断部位の立体配座依存性特異性は、552nmでのピークと比較して520nmでのより強度なピークによって示される。分子内H-二量体を形成する2つのフルオロフォアが存在しない場合、552のピークは520のピークよりも高くなる。したがって、ペプチドの立体配座特異性は、リンカーとの共有結合形成後も維持される。
図6】B細胞によるリツキシマブ-オリゴ-HESコンジュゲートの認識を示す。CD20+Bリンパ球細胞株であるRaji細胞を、リンカーアーム及び立体配座依存性切断部位を含有するペプチドで標識されたリツキシマブに4℃で曝露した。洗浄及び生存率色素の添加後、細胞をフローサイトメトリーにより調査した。修飾リツキシマブコンジュゲートに曝露された細胞は、抗体を認識し、細胞の生存率に影響を与えずに抗体に結合した。したがって、クリックケミストリーによる付加の化学による抗体の修飾によって、モノクローナル抗体の認識機能は低下しなかった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、オリゴヌクレオチドの標的化及び局所インビボ送達のための組成物及び方法を提供する。標的オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートを含有する組成物は、治療、診断、及び他の用途においてコンジュゲートを作製及び使用する方法として提供される。標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチド-HES複合体は、受容体に依存しない方法で膜を通過することができ、相補配列を含むオリゴヌクレオチドをインビボで生細胞のサイトゾルに送達することができる。標的化オリゴヌクレオチド-HESコンジュゲートは、生きている生物におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、ダイサー基質、miRNA、抗miRNA、及び他の核酸配列の標的化及び/または局所送達を含む使用を有する。
【0008】
定義:
本明細書で列挙されるある特定の用語の意味は、本開示の以下または他の場所で提供される:
【0009】
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、共有結合で一緒に連結した少なくとも2つのヌクレオチドを指す。本明細書で提供される核酸オリゴヌクレオチドは、好ましくは一本鎖または二本鎖であり、一般にホスホジエステル結合を含有するが、場合によっては、以下に概説するように、例えばホスホラミド(例えば、Beaucage et al., Tetrahedron 49(10): 1925 (1993))及びその中に引用されている文献;Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800 (1970);Sprinzl et al., Eur. J. Biochem. 81: 579 (1977);Letsinger et al., Nucl. Acids Res. 14:3587 (1986);Sawai et al., Chem. Lett. 805 (1984);Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 1 10:4470 (1988);及びPauwels et al., Chemica Scripta 26: 1419 (1986)を参照のこと、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ホスホラチオエート(Mag et al., Nucleic Acids Res. 19:1437 (1991);及び米国特許第5,644,048号、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる )、ホスホロジチオエート(Briu et al., J. Am. Chem. Soc. 111:2321 (1989))、O-メチルホスホロアミジエート連結(例えば、Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照のこと)、ならびにペプチド核酸主鎖及び連結(例えば、Egholm, J. Am. Chem. Soc. 1 14: 1895 (1992);Meier et al., Chem. Int. Ed. Engl. 31: 1008 (1992);Nielsen, Nature 365:566 (1993);Carlsson et al., Nature 380:207 (1996)、を参照のこと、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、を含む、代替主鎖を有する核酸/オリゴヌクレオチド類似体が含まれる。他の類似体核酸/オリゴヌクレオチドには、正の主鎖を有するもの(例えば、Dempcy et al., Proc. Natl, Acad. Sci USA 92:6097 (1995)、を参照のこと、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);非-イオン性主鎖(例えば、米国特許第5,386,023号、同第5,637,684号、同第5,602,240号、同第5,216,141号及び第4,469,863号;Angew, Chem. Intl, Ed. English 30:423 (1991);Letsinger et al., J. Am. Chem. Soc. 110:4470 (1988);Letsinger et al., Nucleoside & Nucleotide 13: 1597 (1994);Chapters 2 and 3, ASC Symposium Series 580, ”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cook;Mesmaeker et al., Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4:395 (1994);Jeffs et al., J. Biomolecular NMR 34:17 (1994);Chaturvedi et al., Tetrahedron Lett. 37:743 (1996)、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ならびに米国特許第5,235,033号及び同第5,034,506号、及びChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cookに記載されている非リボース主鎖を有するもの、が含まれる。1つまたは複数の炭素環式糖を含有する核酸/オリゴヌクレオチドも、核酸/オリゴヌクレオチドの定義内に含まれる (例えば、Jenkins et al., Chem. Soc. Rev. pp 169- 176 (1995)を参照のこと、これらのそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの核酸/オリゴヌクレオチド類似体は、Rawls, C & E News Jun. 2 1997, page 35に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。リボース-ホスフェート主鎖のこれらの修飾は、例えば、標識などの付加部分の付加を容易にするため、または生理学的環境におけるそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために行うことができる。本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドの核酸/オリゴヌクレオチド主鎖は、約5ヌクレオチド~約750ヌクレオチドの範囲である。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにおける好ましい核酸/オリゴヌクレオチドは、長さが約5ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、好ましくは約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの範囲である。本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、数値とともに使用される場合、参照数値の0.25%、0.5%、1%、5%または10%以内の任意の数値を指す。
【0010】
T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、核酸標的の少なくともある領域に特異的にハイブリダイズできるヌクレオシド及び/またはヌクレオチドモノマーのポリマー構造である。上記のように、HES-オリゴヌクレオチドには、天然に存在する塩基、糖及び糖間(主鎖)連結を含む化合物、天然に存在する対応物と同様に機能する、天然に存在しない修飾モノマー、またはその一部(例えば、オリゴヌクレオチド類似体もしくは模倣体)、及びこれらの天然に存在するモノマーと天然に存在しないモノマーの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「修飾された」または「修飾」という用語は、オリゴヌクレオチドなどの出発または天然オリゴマー化合物からの任意の置換及び/または任意の変更を含む。オリゴヌクレオチドへの修飾は、本明細書に記載のもの及び別様に当技術分野で知られているもののような、ヌクレオシド間連結、糖部分、または塩基部分への置換または変更を包含する。
【0011】
本明細書で使用される「アンチセンス」という用語は、5’から3’方向に記述され、標的核酸の対応する領域の逆相補体を含み、及び/または、生理的条件下での標的核酸に特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド配列を指す。したがって、いくつかの実施形態では、アンチセンスという用語は、低分子非コードRNA、非翻訳mRNA及び/またはゲノムDNA配列の対応する領域の逆相補体を含むオリゴヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲート中のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、核酸標的にハイブリダイズすると、標的遺伝子の発現、標的遺伝子のレベル、または標的核酸によってコードされるタンパク質のレベルの低下を誘起または誘発することができる。
【0012】
本明細書で使用される「相補的」とは、オリゴヌクレオチドのモノマー成分と標的核酸(例えば、DNA、mRNA、及びmiRNA(raiRNA)などの非コードRNA)中のヌクレオチドとの間の対形成能力を指す。例えば、オリゴヌクレオチドのある位置のヌクレオチドが、DNA/RNA分子の同じ位置のヌクレオチドと水素結合できる場合、オリゴヌクレオチドとDNA/RNAはその位置で相補的であると考えられる。
【0013】
本出願との関係において、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴヌクレオチドと相補的核酸配列との対形成を意味する。そのような対形成は、典型的には、オリゴヌクレオチドの相補的なヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(核酸塩基)と標的核酸配列との間の、ワトソン・クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合であり得る、水素結合を含む(例えば、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の対応する領域の逆相補的ヌクレオチド配列を含む)。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは標的核酸に特異的にハイブリダイズする。「特異的にハイブリダイズする」及び「特異的にハイブリダイズ可能な」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、オリゴヌクレオチドと標的核酸(すなわち、DNAまたはRNA)との間で安定かつ特異的な結合が起こるような、十分な程度の相補性を示す。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸配列に対して100%相補的である必要はないことが理解される。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列へのオリゴヌクレオチドの結合が、標的核酸の正常な機能を妨げ、それによる有用性または発現の喪失または変化をもたらす場合に、特異的にハイブリダイズ可能であると考えられる。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間には、特異的結合が望まれる条件下での望ましくない非標的配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的結合を回避または最小化するのに十分な程度の相補性が存在する(例えば、インビボアッセイまたは治療的処置の場合、生理学的条件下で、及びインビトロアッセイの場合、アッセイが実施される条件下で)。非特異的ハイブリダイゼーション事象が最小限である標的核酸への特異的ハイブリダイゼーションに条件が最適である場合を定型的に決定することは、十分にオリゴヌクレオチド分野の科学者の技術レベルの範囲内にある。したがって、いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、それが特異的にハイブリダイズする標的DNAまたはRNA配列の領域の対応する相補配列と比較して、1、2、または3塩基置換を含む。いくつかの実施形態では、非相補的核酸塩基の位置は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端にある。追加の実施形態では、非相補的核酸塩基は、オリゴヌクレオチドの内部位置に位置する。2つ以上の非相補的核酸塩基がオリゴヌクレオチドに存在する場合、それらは連続(すなわち、連結している)、非連続、またはその両方であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される複合体中のオリゴヌクレオチドは、標的核酸内の標的領域に対して少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸内のポリヌクレオチド配列に対して100%の配列同一性を有する。パーセント同一性は、オリゴヌクレオチドが比較される対応する核酸配列と同一である塩基の数に従って計算される。この同一性は、オリゴマー化合物(すなわち、オリゴヌクレオチド)の全長にわたるか、またはオリゴヌクレオチドの一部にわたり得る(例えば、27量体の核酸塩基1~20を20量体と比較して、オリゴヌクレオチドに対するオリゴヌクレオチドのパーセント同一性を決定することができる)。オリゴヌクレオチドと標的核酸との間のパーセント同一性は、当技術分野で知られているアラインメントプログラム及びBLASTプログラム(基本局所アラインメント検索ツール)(basic local alignment search tools)を使用して定型的に決定することができる(例えば、Altschul et al., J. Mol. Biol., 215:403-410 (1990);Zhang and Madden, Genome Res., 7:649-656 (1997)を参照のこと)。
【0014】
本明細書で使用される「標的核酸」及び「標的をコードする核酸」という用語は、限定されないが、所与の分子標的(すなわち、タンパク質またはポリペプチド)をコードするDNA、そのようなDNAから転写されたRNA(miRNA、pre-mRNA及びmRNAを含む)、及びまたそのようなRNAに由来するcDNAを含む、標的とすることができる任意の核酸を包含するために使用される。妨害され得る例示的なDNAの機能には、複製、転写及び翻訳が含まれる。標的核酸の機能に対するこのような妨害の全体的効果は、標的分子の発現の調節である。本明細書で使用される場合、「調節」は、例えば遺伝子の発現における、増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかの量的変化を意味する。RNAレベルの低下による遺伝子発現の阻害は、調節の好ましい形態である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」という用語、及びそれらの文法的変形は、それらが組成物、担体、希釈剤及び試薬を指す場合、交換可能に使用され、悪心、めまい、胃の不調などの治療上禁忌である望ましくない生理学的効果を生じさせることなく、材料が、対象(例えば、哺乳動物、例としてマウス、ラット、ウサギ、またはヒトなどの霊長類)に対しまたは対象上に投与可能であることを表す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物」は、T-オリゴ-HESコンジュゲート及び薬学的に許容される希釈剤を含む組成物を指す。例として、好適な薬学的に許容される希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水である。
【0017】
「安定化修飾」または「安定化モチーフ」は、ヌクレアーゼの存在下で、ホスホジエステルヌクレオシド間連結によって連結された2-デオキシヌクレオシドによって提供される安定性と比較して、強化された安定性を提供することを意味する。したがって、そのような修飾は、オリゴヌクレオチドに「強化されたヌクレアーゼ安定性」を提供する。安定化修飾には、少なくとも安定化ヌクレオシド及び安定化ヌクレオシド間連結基が含まれる。
【0018】
「対象」という用語は、特定の治療のレシピエントとなる、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定されない任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。典型的には、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書ではヒト対象に関して交換可能に使用される。
【0019】
本明細書で使用される「投与する」及び「投与」という用語は、対象にインビボまたはエクスビボでオリゴヌクレオチドなどの化学物質を加えることを指す。したがって、投与することは、HES-オリゴヌクレオチドを対象に直接加えること、及び細胞をHES-オリゴヌクレオチド組成物と接触させ、次に接触させた細胞を対象に導入することの両方を包含する。一実施形態では、対象から除去された細胞をHES-オリゴヌクレオチドと接触させ、その後、接触させた細胞を対象に再導入する。「接触」という用語は、オリゴヌクレオチドなどの化学物質を、哺乳動物、植物、細菌、またはウイルスなどのインビボ生物に加えることを指す。哺乳動物の場合、一般的な接触経路には、経口(口から)、局所(皮膚)、経粘膜(鼻、頬/舌下、膣、眼及び直腸)、吸入(肺)、筋肉内(筋肉)及び静脈内(静脈)が含まれる。細菌及びウイルスの場合、接触は宿主生物の細胞または組織内への送達であり得る。
【0020】
「治療すること」または「治療」には、疾患、状態、もしくは障害の症状、合併症、もしくは生化学的徴候の発症を予防するかもしくは遅らせるためのHES-オリゴヌクレオチドの投与、症状を緩和すること、または疾患、状態、もしくは障害のさらなる進行を停止させることもしくは阻害することが含まれる。治療は、予防的であるか(疾患の発症を予防するかもしくは遅らせるため、またはその臨床的もしくは潜在的症状の発現を予防するため)または疾患、状態、もしくは障害の発現後の症状の治療的抑制または緩和であり得る。治療は、HES-オリゴヌクレオチド複合体含有組成物単独で、または1、2、3もしくはそれ以上の追加の治療剤と組み合わせて行うことができる。
【0021】
「治療有効量」という用語は、対象において所望の治療結果を達成するため、及び/または疾患もしくは障害を「治療する」ために有効な、HES-オリゴヌクレオチド複合体(「治療剤」)の、または他の薬物の量を指す。「治療有効量」という用語はまた、疾患の進行の遅延、生存時間の増加、及び/または疾患に罹患している対象における疾患または疾患の進行の1つもしくは複数の指標の改善をもたらすのに必要な量を指す場合がある。例えば、がんの場合、治療有効量のHES-オリゴヌクレオチド複合体は、血管新生及び新生血管形成を減少させ;がん細胞の数を減少させ、治療有効量のHES-オリゴヌクレオチド複合体は、腫瘍サイズを減少させ、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、遅延または停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、遅延または停止させ)、腫瘍増殖もしくは腫瘍発生を阻害しもしくは遅延させ、がん細胞に対する免疫応答を刺激し、及び/またはがんに関連する1つまたは複数の症状を緩和し得る。感染症の場合、治療有効量のHES-オリゴヌクレオチド複合体は、感染因子の数(例えば、ウイルス量)の減少及び/または感染因子によって引き起こされる感染に関連する1つまたは複数の症状または状態の改善に関連し得る。「治療有効量」はまた、所望の治療結果を達成するのに必要な投与量及び期間で有効な量を指す場合もある。HES-オリゴヌクレオチド複合体の治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびにHES-オリゴヌクレオチド複合体が対象において所望の応答を誘発する能力などの要因によって異なり得る。治療有効量は、HES-オリゴヌクレオチド複合体の任意の毒性または有害な効果よりも、治療的に有益な効果が上回っている量でもある。
【0022】
「治療指数」とは、望ましくない効果を生じるHES-オリゴヌクレオチド複合体の用量の、所望の効果をもたらす用量に対する比を意味する。本開示との関係において、HES-オリゴヌクレオチド複合体は、活性が保持されるが、望ましくない効果は減少するかまたは存在しない場合、「改善された治療指数」を示す。例えば、改善された治療指数を有するHES-オリゴヌクレオチド複合体は、免疫刺激活性などの望ましくない効果をもたらすことなく、または少なくとも複合体の投与を妨げる程度の望ましくない効果をもたらすことなく、miRNA活性を阻害する能力を保持する.
【0023】
本明細書で使用される場合、「治療用オリゴヌクレオチド」は、十分な用量で投与された場合に、所望の治療結果を達成することができる、及び/または対象もしくはエクスビボにおいて疾患もしくは障害を「治療する」ことができるオリゴヌクレオチドを指す。そのような所望の結果には、例えば、疾患進行の遅延、生存時間の増加、及び/または疾患に罹患している対象における疾患、疾患進行、もしくは疾患関連状態の1つまたは複数の指標の改善が含まれる。例示的な治療用オリゴヌクレオチドには、siRNA、shRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、miRNA、抗miRNA、アンチセンス、デコイ、アプタマー、及びsiRNA、miRNA、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはタンパク質コード配列を発現することができるプラスミドが含まれる。所望の治療結果を達成することができないプローブ及びプライマーなどのオリゴヌクレオチドは、本開示の目的では治療用オリゴヌクレオチドとは考えられない。平均して、mRNAの1%未満がアンチセンスオリゴヌクレオチドの好適な標的である。提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるHES-オリゴヌクレオチド複合体への組み込みに好適な多数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本明細書に記載されているか、または別様に当技術分野で知られている。同様に、好適な治療用オリゴヌクレオチドは、当技術分野で知られているガイドライン、アルゴリズム、及びプログラムを使用して定型的に設計することができる(例えば、Aartsma-Rus et al., Mol. Ther. 17(3):548-553 (2009)及びReynolds et al., Nat. Biotech. 22(3):326-330 (2004)、及びZhang et al., Nucleic Acids Res. 31 e72 (2003)を参照)のこと、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。同様に、好適な治療用オリゴヌクレオチドは、市販のプログラム (例えば、MysiRNA-Designer, AsiDesigner (Bioinformatics Research Center, KRIBB)、siRNA Target Finder (Ambion)、Block-iT RNAi Designer (Invitrogen)、Gene specific siRNA selector (The Wistar Institute)、siRNA Target Finder (GeneScript)、siDESIGN Center (Dharmacon), SiRNA at Whitehead、siRNA Design (IDT)、D: T7 RNAi Oligo Designer (Dudek P and Picard D.)、sfold-software、及びRNAstructure 4.5);ヒトスプライシングファインダーソフトウエア(例えば「.umd.be/HSF/」における)及びTargetfmder(「bioit.org.cn/ao/targetfinder」で入手可能)など、インターネット経由で入手可能なプログラム;及び商用プロバイダー(例えば、Gene Tools, LLC)、を使用して、定型的に設計することができる。場合によっては、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド-HES、HES-オリゴヌクレオチド、またはオリゴ-HES、及び治療用オリゴヌクレオチドは、文脈上明らかに別段の指示がない限り、本明細書では交換可能に使用することができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートとの関係における「治療用抗体」は、治療標的分子に結合し、インビボで疾患の軽減または疾患の進行の低減をもたらすと予想される抗体である標的指向性部分を指す。
【0025】
治療用抗体または他の標的指向性部分との関係における「特異的に結合する」または「特異的親和性」という用語は、抗体または抗原結合抗体断片などの標的指向性部分が、標的エピトープとは無関係のタンパク質を含む代替物質よりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、より大きな親和性により、または上記のいくつかの組み合わせにより、エピトープ、タンパク質、または標的分子に反応または会合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のために、特異的親和性は、いくつかの実施形態では、複数の種におけるタンパク質または標的を認識する結合剤を含み得る。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある特定の領域内の相同性のために、「特異的親和性」または「特異的に結合する」という用語は、複数のタンパク質または標的を認識する結合剤を含み得る。ある特定の実施形態では、第1の標的に特異的に結合する標的指向性部分は、第2の標的に特異的に結合してもしなくてもよいことが理解される。このように、「特異的親和性」は、排他的結合、例えば、単一の標的への結合を必ずしも必要としない(これを含めることはできるが)。したがって、標的指向性部分は、ある特定の実施形態では、複数の標的に特異的に結合することができる。ある特定の実施形態では、複数の標的が同じ標的指向性部分によって結合され得る。いくつかの実施形態では、標的指向性部分(例えば、治療用抗体)は、BIACORE(登録商標)分析を用いて決定された0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)により、標的(例えば、細胞表面抗原)に結合する。
【0026】
本明細書で使用される「感染因子」という用語は、感染症を引き起こす因子を指す。感染因子は、ウイルス、細菌、真菌、及び寄生虫の4つの主な群に属する。前記感染因子は、細胞外または細胞内(例えば、感染細胞)であり得る。
【0027】
本明細書で使用される「感染症」という用語は、細菌、ウイルス、寄生虫、または真菌などの感染因子によって引き起こされる疾患を指す。感染症は、直接的または間接的に(ベクター及び/またはリザーバーを介して)、ある生物(例えば、ヒト)から別の生物に広がる可能性がある。
【0028】
T-オリゴ-HESコンジュゲート:
提供されるT-オリゴヌクレオチド-HES(T-オリゴ-HES)コンジュゲートは、オリゴヌクレオチド-HES複合体(オリゴ-HES)にコンジュゲートされた標的指向性部分(T)を含み、標的指向性部分は、場合によりリンカーを介してオリゴ-HES複合体にコンジュゲートしている。特定の実施形態では、標的指向性部分は、リンカーを介してオリゴ-HES複合体にコンジュゲートしている。さらなる特定の実施形態では、標的指向性部分は、切断可能なリンカーを介してオリゴ-HES複合体にコンジュゲートしている。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドは治療用オリゴヌクレオチドである。さらなる特定の実施形態では、コンジュゲートは、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができる発現カセット(例えば、プラスミド)から選択される治療用オリゴヌクレオチドを含有する。
【0029】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、リンカーを介してオリゴ-HES複合体にコンジュゲートした標的指向性部分を含み、コンジュゲートは治療用オリゴヌクレオチドを含む。さらなる特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、リンカーを介してオリゴ-HES複合体にコンジュゲートした標的指向性部分を含み、コンジュゲートは、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができる発現カセット(例えば、プラスミド)から選択される治療用オリゴヌクレオチドを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I)
T-(L-(オリゴ-HES) (I)
の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを提供する
(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり;
オリゴ-HESは、治療用オリゴヌクレオチド及びH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
nは、0または1であり;
xは、1~30、1~20、1~10、または1~5であり;
pは、1~30、1~20、1~10、または1~5である)。
【0031】
いくつかの実施形態では、式(I)の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートは、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、核酸によってコードされるかまたは制御されるタンパク質のレベルを調節する治療用オリゴヌクレオチドを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、式(I)の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートは、核酸配列の対応する逆相補鎖と比較して、1、2、または3個の置換、欠失、または挿入を含有する治療用オリゴヌクレオチドを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II)
T-[L-{((オリゴ2-LL)-オリゴ1-HES) (II)
の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを提供する
(式中、
Tは、目的の標的に選択的に結合する標的指向性部分であり;
Lは、リンカーであり;
LLはリンカーであり、場合により、LLはC6、C10、またはC18アルキルなどのアルキルであり;
オリゴ1-HESは、オリゴヌクレオチド1(オリゴ1)とH型励起子構造(HES)を含有するオリゴヌクレオチド複合体であり;
オリゴ2は、オリゴ1と同じでも異なっていてもよいオリゴヌクレオチドであり;
nは、0または1であり;
mは、0または1であり;
sは、1または2であり;
tは、1または2であり;
uは1、2、3、4、または5である)。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(II)の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートは、インビボで核酸配列に特異的にハイブリダイズし、核酸によってコードされるかまたは制御されるタンパク質のレベルを調節する治療用オリゴヌクレオチドを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(II)の構造を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートは、核酸配列の対応する逆相補鎖と比較して、1、2、または3個の置換、欠失、または挿入を含有する治療用オリゴヌクレオチドを含む。
【0036】
本明細書に開示される態様または実施形態が、マーカッシュ群または代替案の他の群分けに関して説明される場合、開示は、全体として列挙された群全体だけでなく、群の各メンバーを個別に、及び主群の可能なすべての下位群、及び群メンバーの1または複数が不在の主群も包含する。本開示は、群メンバーのいずれかの1または複数を明示的に除外することも想定している。
【0037】
本明細書の「A及び/またはB」などの句で使用される「及び/または」という用語は、AとBの両方;AまたはB;A(単独);及びB(単独)を含むことを意図している。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような句で使用される場合、以下の実施形態のそれぞれを包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0038】
H型励起子構造(HES)
「発色団」は、光の吸収を担う基、部分構造、または分子である。典型的な発色団は、それぞれ特徴的な吸収スペクトルを有する。
【0039】
「フルオロフォア」は、特徴的な波長で光を吸収し、次に最も典型的に特徴的な異なる波長で光を再放出する発色団である。フルオロフォアは、当業者には周知であり、キサンテン及びキサンテン誘導体(キサンテンにはフルオレセイン及びその誘導体が含まれる)、シアニン及びシアニン誘導体(例えば、インドカルボシアニン、インドジカルボシアニン)、クマリン及びクマリン誘導体、ならびにランタニドイオン系列のキレート剤、を含むが、これらに限定されない。フルオロフォアは、光を吸収するが特徴的に再放出しない発色団とは区別される。
【0040】
「H型励起子構造」(HES)は、遷移双極子が平行配座で配置され、励起一重項状態の分裂をもたらす2つ以上のフルオロフォアを指し;基底状態と上位励起状態との間の遷移は許可され、基底状態と下位励起状態との間の遷移は禁止されていると考えられる。ある特定のフルオロフォアに関連するHES形成は当技術分野で知られており、本開示は、本明細書に記載の方法による、これらのフルオロフォアのオリゴヌクレオチド(例えば、診断用及び治療用オリゴヌクレオチド)への付着、及び得られたオリゴ-HES複合体のT-オリゴ-HESコンジュゲートにおける使用を包含する。T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれ、本明細書で提供される方法で使用できるHES形成フルオロフォアの例には、キサンテン及びキサンテン誘導体、シアニン及びシアニン誘導体、クマリンならびにランタニドイオン系列を含むキレート剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、HES中の少なくとも1つのフルオロフォアは、350~800nmに最大励起及び/または発光を有する。いくつかの実施形態では、HES中の少なくとも2つのフルオロフォアは、350~800nmに最大励起及び/または発光を有する。
【0041】
「オリゴヌクレオチド-HES」複合体、「オリゴ-HES」複合体、及び「HES-オリゴヌクレオチド」複合体という用語は、本明細書では交換可能に使用され、HESを形成する2つ以上のフルオロフォアを含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチド鎖(例えば、同じ、相補的、または異なるオリゴヌクレオチド配列を含む直鎖状または環状オリゴヌクレオチドの一本鎖、二本鎖、三本鎖、またはさらに複数の鎖)の複合体を指す。集合HESオリゴヌクレオチドが1つまたは複数のHESを含有する限り、HESオリゴヌクレオチドのフルオロフォアは、5’及び/または3’末端主鎖ホスフェートで、及び/またはオリゴヌクレオチド内または異なるオリゴヌクレオチド内の別の塩基で付着され得る。フルオロフォアは、場合により、柔軟な脂肪族鎖などのリンカーを介してオリゴヌクレオチドに付着される。オリゴヌクレオチド-HES複合体及びそれらの使用は、国際出願公開番号WO2014201306A1にさらに記載されており、その内容は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
オリゴ-HESは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のHESを含み得る。さらに、HESオリゴヌクレオチド中のHESは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の同一のまたは異なるフルオロフォアを含み得る。例えば、Toptygin et al., Chem. Phys. Lett. 277:430-435 (1997)を参照のこと。いくつかの実施形態では、HESは、HESオリゴヌクレオチド間のフルオロフォア凝集体の結果として形成される。いくつかの実施形態では、HESは、HESを形成することができるフルオロフォアで単独に標識されたオリゴヌクレオチド間のフルオロフォア凝集体の結果として形成される。
【0043】
提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴ-HES複合体中のフルオロフォアは、複合体中のホモ型またはヘテロ型の同族フルオロフォア(複数可)とHESを形成できる、複合体中の任意のフルオロフォアであり得る。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体は、H型励起子構造を形成できる2つのフルオロフォアを含む。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体は、300~850nmの励起及び/または発光を伴う少なくとも1つのフルオロフォアを含む。追加の実施形態では、オリゴ-HES複合体は、H型励起子構造を形成できる2つ、3つ、4つまたはそれ以上のフルオロフォアを含む。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴ-HES複合体は、300~850nmの励起及び/または発光を伴う2、3、4またはそれ以上のフルオロフォアを含む。さらなる実施形態では、オリゴ-HES複合体は、H型励起子構造を形成することができる約2~20、約2~10、約2~6、または約2~4のフルオロフォアを含有する。追加の実施形態では、オリゴ-HES複合体は、1つまたは複数のH型励起子構造を形成することができる2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のフルオロフォアを含む。さらなる実施形態では、オリゴ-HES複合体は、300~850nmの励起及び/または発光を伴う2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のフルオロフォアを含む。2つ以上のフルオロフォアは、それらの凝集蛍光が、例えば、溶液中およそ1μM以下で、それらが分離されている場合のフルオロフォアの凝集蛍光よりも検出可能に小さい場合、HESにおいて互いに消光すると言われる。個々のフルオロフォアのスペクトルと比較すると、HES吸光度スペクトルの最大値は、最大吸光度波長がより短い波長にシフトすること、つまりブルーシフトを示す。H型励起子構造または凝集体(ここでは「HES」)の蛍光強度は、その成分の強度よりも低い強度を示す。はH型励起子構造もしくは凝集体の吸光度スペクトルのブルーシフトまた蛍光強度挙動の減少のいずれかを、シグナルレポーター部分の指標として利用することができる。好ましい実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中の2つ以上のフルオロフォアは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、またはさらには少なくとも99%増加または消光する。H型励起子構造を形成することができるフルオロフォアの例には、キサンテン、インドカルボシアニン、インドジカルボシアニン、及びクマリンが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴ-HES複合体のHESは、キサンテン、インドカルボシアニン、インドジカルボシアニン、またはクマリンである少なくとも1つのフルオロフォアを含有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体は、カルボキシローダミン110、カルボキシテトラメチルローダミン、カルボキシローダミン-X、ジエチルアミノクマリン及びN-エチル-N’-[5-(N”-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]インドカルボシアニンクロリド、N-エチル-N’-[5-(N’’-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]-3,3,3’,3’-テトラメチル-2’,2’-インドジカルボシアニンクロリド色素、及びCy7 NHSエステル、から選択されるフルオロフォアを含有する。
【0045】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴ-HES複合体は、Rhodamine Green(商標)カルボン酸、スクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;Rhodamine Green(商標)カルボン酸、トリフルオロアセトアミドまたはスクシンイミジルエステル;Rhodamine Green(商標)-Xスクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;Rhodol Green(商標)カルボン酸、N,O-ビス-(トリフルオロアセチル)またはスクシンイミジルエステル;ビス-(4-カルボキシピペリジニル)スルホンローダミンまたはジ(スクシンイミジル、エステル);5-(及び-6)-カルボキシナフトフルオレセイン、5-(及び-6)-カルボキシナフトフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-カルボキシローダミン6G塩酸塩;6-カルボキシローダミン6G塩酸塩、5-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;6-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-2’,4’,5’,7’-テトラブロモスルホンフルオレセインスクシンイミジルエステルまたはビス-(ジイソプロピルエチルアンモニウム)塩;5-カルボキシテトラメチルローダミン;6-カルボキシテトラメチルローダミン;5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミン;5-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミン;5-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-X-ローダミントリエチルアンモニウム塩;Lissamine(商標)ローダミンBスルホニルクロリド;マラカイトグリーンイソチオシアネート;Rhodamine Red(商標)-Xスクシンイミジルエステル;6-(テトラメチルローダミン-5-(及び-6)-カルボキサミド)ヘキサン酸スクシンイミジルエステル;テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート;Texas Red(登録商標)スルホニル;Texas Red(登録商標)塩化スルホニル;Texas Red(登録商標)-X STP エステルまたはナトリウム塩;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;X-ローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート;及びカルボシアニン、から選択されるフルオロフォアを含有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴ-HES複合体は、異なるフルオロフォアから構成されるヘテロ-HESを含有する。特定の実施形態では、ヘテロHESは、ローダミンもしくはローダミン誘導体及びフルオレセインもしくはフルオレセイン誘導体または2つのカルボシアニンを含有する。さらなる実施形態では、ヘテロHESは、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-(及び-6)-カルボキシエオシン;5-カルボキシフルオレセイン;6-カルボキシフルオレセイン;5-(及び-6)-カルボキシフルオレセイン;5-カルボキシフルオレセイン-ビス-(5-カルボキシメトキシ-2-ニトロベンジル)エーテル、-アラニン-カルボキサミド、またはスクシンイミジルエステル;5-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル、5-(及び-6)-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン;2’,7’-ジフルオロフルオレセイン;エオシン-5-イソチオシアネート;エリスロシン-5-イソチオシアネート;6-(フルオレセイン-5-カルボキサミド)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;6-(フルオレセイン-5(及び-6)-カルボキサミド)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;フルオレセイン-5-EXスクシンイミジルエステル;フルオレセイン-5-イソチオシアネート;及びフルオレセイン-6-イソチオシアネート、から選択されるフルオレセインまたはフルオレセイン誘導体を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれる少なくとも1つのオリゴ-HES複合体は、350~800nmに最大励起及び/または発光を有するフルオロフォアを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれる少なくとも2つのオリゴ-HES複合体は、350~800nmに最大励起及び/または発光を有するフルオロフォアを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれる全てのオリゴ-HES複合体が、350~800nmに最大励起及び/または発光を有するフルオロフォアを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のフルオロフォアのすべてが、350~800nmに最大励起及び/または発光を有する。
【0048】
H型励起子構造HES及びHESを形成することができるフルオロフォアについては、国際出願公開番号WO2014201306A1にさらに記載されており、その内容はすべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」または「オリゴ」という用語は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)またはそれらの模倣体のオリゴマーまたはポリマーを指す。この用語には、天然に存在する核酸塩基、糖、及びヌクレオシド間(主鎖)共有結合から構成されるオリゴヌクレオチド(すなわち、「未修飾オリゴヌクレオチド」)、ならびに天然に存在しない核酸塩基、糖及び/またはヌクレオシド間連結及び/または同様の方法で機能するDNA及び/またはRNA類似体(すなわち、核酸「模倣体」または「模倣物」)を有するオリゴマー化合物が含まれる。そのような模倣体オリゴヌクレオチドは、核酸標的に対する親和性の向上及びヌクレアーゼの存在下での安定性の向上などの望ましい特性のために、天然型よりも多くの場合好ましい。例えば、本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド主鎖の1または複数のリボース環がモルホリン環により置き換えられているモルホリノ(MNO)、及びヌクレオチド主鎖の1または複数のリボース環がモルホリン環により置き換えられておりかつ負に荷電したサブユニット間連結が非荷電ホスホロジアミデート連結により置き換えられているホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。同様に、オリゴヌクレオチドという用語は、オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の糖ホスフェート主鎖がアミド含有主鎖で置き換えられているPNAを包含する。本明細書の目的のために、また当技術分野で時々言及されるように、ヌクレオシド間主鎖にリン原子を有していない修飾オリゴヌクレオチドもオリゴヌクレオシドと考えることができる。さらに、オリゴヌクレオチドは、オリゴマーと呼ばれることもある。
【0050】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用したオリゴヌクレオチドの送達は、配列に依存せず、したがって、T-オリゴ-HESコンジュゲートビヒクルに含まれるオリゴヌクレオチドは、細胞への導入が望ましいことが知られている任意の形態の核酸または模倣体であり得る。
【0051】
T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、環状またはヘアピンオリゴヌクレオチドの形態であり得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、RNA、または核酸模倣体(例えば、PMO、MNO、PNA、または2’OME及びLNAなどの1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチド)である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、二本鎖DNA、RNA、核酸模倣体、DNA/核酸模倣体、DNA-RNA及びRNA-核酸模倣体である。
【0052】
本発明者らは、驚くべきことに、ssDNA及びdsRNAなどのオリゴ-HESを含有する複合体が、従来のオリゴヌクレオチド送達ビヒクルによって必要とされるものよりも桁違いに少ないオリゴヌクレオチドの投与を必要とする優れた配列非依存性細胞内送達を示すことを発見した。本明細書で提供される複合体及びT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれる一本鎖核酸の例には、アンチセンス、siRNA、shRNA、リボザイム、miRNA、抗miRNA、三重鎖形成オリゴヌクレオチド及びアプタマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA(ssDNA)である。好ましい実施形態では、ssDNAオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は、標的RNAと特異的にハイブリダイズして、オリゴヌクレオチド-RNA二重鎖を形成する。さらに好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチド-RNA二重鎖は、RNase切断機構(例えば、RNase H)の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、複合体中の一本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾主鎖連結、少なくとも1つの修飾糖、及び/または少なくとも1つの修飾された核酸塩基(例えば、本明細書に記載されたような)を含む。いくつかの実施形態では、複合体中の一本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾主鎖連結、少なくとも1つの修飾糖、及び/または少なくとも1つの修飾核酸塩基(例えば、本明細書に記載の)を含み、RNase切断機構の影響を受けやすいオリゴヌクレオチド-RNA二重鎖を形成することができる。特定の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチドはギャップマーである(すなわち、本明細書に記載の、または別様に当技術分野で既知の)。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、RNase切断機構に対する感受性を低下させる少なくとも1つの修飾主鎖連結、少なくとも1つの修飾糖、及び/または少なくとも1つの修飾核酸塩基(例えば、本明細書に記載の)を含むオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’OME、LNA、MNOまたはPNAモチーフを含む
【0054】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれる二本鎖DNAオリゴヌクレオチドの例には、dsRNAi及びダイサー基質及び他のRNA干渉試薬、ならびに構造遺伝子及び/または制御及び終結領域に対応する配列、が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれるオリゴヌクレオチドは、直鎖二本鎖RNA(dsRNA)である。好ましい実施形態では、ds-RNAは、RNase切断機構(例えば、ダイサー及びドロシャ(Drosha)(RNase III酵素))の影響を受けやすい。追加の実施形態では、dsRNAは、細胞のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に挿入することができる。さらなる実施形態では、dsRNAのRNA鎖は、RISC複合体を使用してRNA標的の切断をもたらすことができる。
【0056】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれるオリゴヌクレオチドは、一方または両方のオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾主鎖連結、少なくとも1つの修飾糖、及び/または少なくとも1つの修飾核酸塩基を含有する二本鎖オリゴヌクレオチドである。好ましい実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、RNase切断機構(例えば、ダイサー及びドロシャ(Drosha)(RNase III酵素))の影響を受けやすい。追加の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、細胞のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に挿入することができる。さらなる実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド鎖は、RISC複合体を使用してRNA標的の切断をもたらすことができる。
【0057】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれるオリゴヌクレオチドは、三本鎖DNA/RNAキメラである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド複合体は、少なくとも1つの修飾主鎖連結、少なくとも1つの修飾糖、及び/または少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、複合体中の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’OME、LNA、MNOまたはPNAモチーフを含む。
【0058】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、定型的に、直鎖状に調製されるが、環状になるように結合または別様に調製することができ、分岐鎖も含み得る。別々のオリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイズして二本鎖化合物を形成することができ、これらの二本鎖化合物は平滑末端を有することができ、または1端もしくは両端にオーバーハングを含むことができる。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれる二本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、dsRNA、及びオリゴヌクレオチド鎖の少なくとも1つが核酸模倣体である二本鎖オリゴヌクレオチド)は、21~25ヌクレオチドの長さであり、いずれかまたは両方の末端に1、2、または3ヌクレオチドのオーバーハングを有する。
【0059】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体に含まれるオリゴヌクレオチドは、一般に核酸または模倣体の特定の形態及びその使用目的に応じて、種々の長さであり得る。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中の核酸/オリゴヌクレオチドは、長さが約5ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、好ましくは約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの範囲である。
【0060】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体は、標的核酸配列に相補的な少なくとも8個の連続核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを含有する。種々の関連実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、約8~約100モノマーサブユニット(本明細書では「ヌクレオチド」という用語と交換可能に使用される)または約8~約50ヌクレオチドの長さである。
【0061】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、長さが、約8~約30ヌクレオチド、約15~約30ヌクレオチド、約20~約30ヌクレオチド、約18~26ヌクレオチド、約19~25ヌクレオチド、約20~25または約21~25ヌクレオチドの範囲である。
【0062】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50サブユニット(ヌクレオチド)である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチドの長さを有する。
【0063】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、長さが21~25ヌクレオチドの間であるRNAオリゴヌクレオチドの二本鎖を含有し、いずれかまたは両方の末端に1、2または3ヌクレオチドのオーバーハングを有する。他の実施形態では、複合体中のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの二本鎖を含有し、オリゴヌクレオチド鎖の少なくとも一方は21~25ヌクレオチドの長さの核酸模倣体であり、二本鎖オリゴヌクレオチドはいずれかまたは両方の末端に1、2または3ヌクレオチドのオーバーハングを有する。
修飾を含有するオリゴヌクレオチド
【0064】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結、修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含む。そのような修飾オリゴヌクレオチド(すなわち、模倣体)は、典型的には、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的に対する親和性の増強、ヌクレアーゼの存在下での安定性の増大、及び/または阻害活性の増大を含む望ましい特性のために、天然の形態よりも好ましい。
【0065】
修飾ヌクレオシド間連結
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシド間主鎖にリン原子を保持するオリゴヌクレオチド、及びヌクレオシド間主鎖にリン原子を有していないオリゴヌクレオチドを指す。
【0066】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結を含む。本明細書で提供される複合体及びコンジュゲートのオリゴヌクレオチドにおける修飾ヌクレオシド間連結は、例えば、ホスホジエステルヌクレオシド間連結によって提供されるものと比較して、オリゴヌクレオチドに対して強化されたヌクレアーゼ安定性を提供することが知られている任意の様式のヌクレオシド間連結を含み得る。修飾ヌクレオシド間連結を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子を保持するヌクレオシド間連結及びリンを含有しないヌクレオシド間連結が含まれる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間連結と非修飾ヌクレオシド間連結との間で交互になる修飾ヌクレオシド間連結を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結のほとんどが修飾されている。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチド中のすべてのヌクレオシド間連結が修飾される。
【0067】
好ましい修飾されたオリゴヌクレオチド主鎖には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホラミデート、例えば3-アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノ-アルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、正常3’-5’連結、これらの2’-5連結類似体を有するセレノホスフェート及びボラノホスフェート、ならびに1または複数のヌクレオシド間連結が3’-3’、5’-5’、または2’-2’連結である極性反転(inverted polarity)を有するものが含まれる。極性反転を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間連結の最3’側に単一3’-3’連結、すなわち塩基脱落でもよい単一の反転ヌクレオシド残基(核酸塩基が欠けているかまたはそれに代えてヒドロキシル基を有する)を含む。種々の塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
【0068】
好ましい実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート(PS)ヌクレオシド間連結を含み、ホスホジエステル結合中の非架橋酸素原子の1つが硫黄によって置き換えられている。PSヌクレオシド間連結を含有するオリゴヌクレオチドは、通常のワトソン-クリック塩基対を形成し、RNase Hを活性化し、細胞送達のために負電荷を担持し、他の追加の所望の薬物動態特性を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間連結はホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドに含まれるヌクレオシド間連結の少なくとも2、3、4、5、10または15は、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結の少なくとも1~10、1~20、1~30は、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結の少なくとも少なくとも2、3、4、5、10または15は、ホスホロチオエート連結である。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。
【0069】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、いずれかの末端に2~5個のMOEヌクレオチドが隣接している8~14塩基のPS修飾デオキシヌクレオチド「ギャップ」(すなわち、MOEギャップマー)を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、2~5個のLNAヌクレオチドが両端に隣接している8~14塩基のPS修飾デオキシヌクレオチド「ギャップ」(すなわち、LNAギャップマー)を含有するオリゴヌクレオチドを有する。追加の実施形態では、オリゴ-HES複合体は、いずれかの末端に2~5個のトリシクロDNAヌクレオチドが隣接している8~14塩基のPS修飾デオキシヌクレオチド「ギャップ」(すなわち、tcDNAギャップマー)を含有するオリゴヌクレオチドを有する。
【0070】
別の好適なリン含有修飾ヌクレオシド間連結は、2’-デオキシリボース環の3’-ヒドロキシル基が3’-アミノ基で置き換えられているN3’-P5’ホスホロアミデート(NP)である。NPヌクレオシド間連結を含有するオリゴヌクレオチドは、相補的RNAに対して高い親和性を示し、ヌクレアーゼに対して耐性を示す。ホスホロアミデートは標的RNAのRNase H切断を誘導しないため、これらのヌクレオシド間連結を含有するオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドmRNAスプライシング調節の場合など、RNAの完全性を維持する必要がある場合に適用される。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結の少なくとも2、3、4、5、10または15はホスホロアミデート連結である。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結の少なくとも1~10、1~20、1~30は、ホスホロアミデート連結である。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結の少なくとも少なくとも2、3、4、5、10または15は、ホスホロアミデート連結である。追加の実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間連結は、ホスホロアミデートヌクレオシド間連結である。
【0071】
多数の修飾ヌクレオシド間連結及びそれらの合成方法が当技術分野で知られており、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴヌクレオチドに含まれ得る修飾に包含される。リン含有ヌクレオシド間連結の調製を教示する米国特許の例としては、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,194,599号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,489,677号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,527,899号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,565,555号;同第5,602,240号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,625,050号;同第5,646,269号;同第5,663,312号;同第5,672,697号;同第5,677,439号;及び同第5,721,218号が含まれるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
リン原子を含まないオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートも本明細書で提供される。このようなオリゴヌクレオチドの例には、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルとの混合ヌクレオシド間連結、または1つもしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環式ヌクレオシド間連結により形成される主鎖を含有するものが含まれる。これらの修飾主鎖には、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシド及びスルホン主鎖;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネート及びスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;ならびに混合N、O、S及びCH2成分部分を有する他のもの、を含むオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。リン原子を含まない主鎖を含有するオリゴヌクレオチドを作製する方法は、当技術分野で知られており、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,646,269号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、同第5,677,439号、同第5,792,608号に開示されている方法及び組成物を含むが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、3’-メチレンホスホネート、メチレン(メチルイミノ)(MMIとしても知られる)、モルホリノ、ロックド核酸、及びペプチド核酸連結から選択される1または複数の修飾主鎖連結を含有する。修飾主鎖連結は、均一であってもよく、またはRNAse H切断が支持されない限り、他の連結、特にホスホジエステルまたはホスホロチオエート連結と交互であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、核酸模倣体であるオリゴヌクレオチドを含有する。オリゴヌクレオチドに適用される模倣体という用語は、糖または糖とヌクレオチド間連結の両方がそれに代わる基により置き換えられているオリゴヌクレオチドを含むことが意図される。
【0075】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数のモルホリノ連結を有するオリゴヌクレオチドを含有する。モルホリノのRNAse及びヌクレアーゼ耐性特性により、それらが特に細胞での転写を制御するのに有用なものとなる。したがって、いくつかの実施形態では、モルホリノ単位を含有する複合体を使用して遺伝子発現を調節する。いくつかの実施形態では、モルホリノ単位は、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノに対応する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの各モノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。追加の実施形態では、モルホリノオリゴヌクレオチド(例えば、PMO)を含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して、対象におけるmRNAスプライシングを変更する。追加の実施形態では、PMOなどの1つまたは複数のモルホリノ核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートが、アンチセンス剤として使用される。
【0076】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ペプチド核酸(PNA)であるオリゴヌクレオチドを含む。PNAは、オリゴヌクレオチドの糖ホスフェート主鎖がアミド含有主鎖により置き換えられている核酸模倣体である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのホスフェート主鎖は、アミノエチルグリシン主鎖により置き換えられており、核酸塩基は、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合している。多くのPNA及びPNAの製造方法が当技術分野で知られている(例えば、Nielsen et al., Science, 254: 1497-150 (1991)、ならびに米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号及び同第5,719,262号を参照のこと、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。PNA含有オリゴヌクレオチドは、安定性の向上及び好ましいハイブリダイゼーション動態を提供し、非置換対応核酸と比較してDNAよりもRNAに対する親和性が高く、RNAse H媒介分解を活性化しない。T-オリゴ-HESコンジュゲートに含めることができるオリゴヌクレオチドには、PNA類似体、例えばオリゴヌクレオチドの1または複数のモノマー単位のC2(α)、例としてD-アミノ酸、またはC5(γ)、例としてL-アミノ酸(例えば、L-リジン)位置に正に荷電した基及び/または1つもしくは複数のキラル立体中心規制を含む修飾主鎖を有するPNAが含まれる。
【0077】
PNAオリゴヌクレオチドのRNAse及びヌクレアーゼ耐性特性は、立体遮断機構を介して細胞内のRNA(例えば、mRNA及びmiRNA)を制御するのに特に有用である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含有し、染色体二重鎖DNAの鎖侵入によって遺伝子発現を調節する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つのPNAオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含有し、対象におけるmRNAスプライシングを変更する。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、PMOなどの少なくとも1つのPNAオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含有し、アンチセンスとして作用する。
【0078】
同様に、モルホリノ含有オリゴヌクレオチドのRNAse及びヌクレアーゼ耐性特性により、これらのオリゴヌクレオチドは、立体遮断機構を介して細胞内のRNA(例えば、mRNA及びmiRNA)を制御するのに有用である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、PMOなどの少なくとも1つのモルホリノオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含有し、染色体二重鎖DNAの鎖侵入によって遺伝子発現を調節する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、PMOなどの少なくとも1つのモルホリノを含み、対象におけるmRNAスプライシングを変更する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、PMOなどの少なくとも1つのモルホリノオリゴヌクレオチドを含み、アンチセンスとして作用する。
【0079】
さらに、二環式糖含有ヌクレオチドのRNAse及びヌクレアーゼ耐性特性により、これらのオリゴヌクレオチドは、立体遮断機構を介して細胞内のRNA(例えば、mRNA及びmiRNA)を制御するのに有用である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ヌクレオチドを含有する少なくとも1つの二環式糖を含むオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドを含む二環式糖は、ロックド核酸(LNA)である。さらなる実施形態では、LNAは、糖環の3’または4’炭素原子に連結した2’-ヒドロキシル基を有する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メチレン(--CH2--)n基が2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋し、nが1または2である、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、LNAなどのヌクレオチドを含有する少なくとも1つの二環式糖を含むオリゴヌクレオチドを含有し、染色体二重鎖DNAの鎖侵入によって遺伝子発現を調節する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNAなどの少なくとも1つの二環式糖を含み、対象におけるmRNAスプライシングを変更する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNAなどの少なくとも1つの二環式糖オリゴヌクレオチドを含み、アンチセンスとして作用する。
【0080】
修飾糖部分
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するかまたは合成の非修飾核酸塩基と構造的に区別可能であるが機能的に交換可能である1つまたは複数の修飾糖部分を有する1つまたは複数のヌクレオシドを含む。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、各ヌクレオシド(単位)に修飾糖を含むオリゴヌクレオチドを含有する。
【0081】
T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドに有用な糖修飾の例には、OH;F;O-、S-、もしくはN-アルキル;またはO-アルキル-O-アルキルであって、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換もしくは非置換C1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル及びアルキニルであり得るもの、から選択される糖置換基を含む化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
代表的な修飾糖には、炭素環式または非環式糖、それらの2’、3’、または4’位の1つまたは複数に置換基を有する糖、糖の1つまたは複数の水素原子の代わりに置換基を有する糖、及び糖内の任意の他の2つの原子間に連結を有する糖が含まれる。オリゴヌクレオチドにおいて有用な2’-糖置換基の例には、OH;F;O-、S-もしくはN-アルキル;O-、S-もしくはN-アルケニル;アリル、アミノ;アジド;チオ;O-アリル;O(CH2)2SCH3;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルであって、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換もしくは非置換C1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル及びアルキニルであり得るもの、が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2、であって、n及びmは1~約10であるもの、から選択される少なくとも1つの2’-糖置換基を含有する。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、C1~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチド化合物の薬力学特性を改善するための基、及び類似の特性を有する他の置換基、から選択される少なくとも1つの2’-糖置換基を含有する。
【0083】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、2’-メトキシエトキシ(2’-O--CH2CH2OCH3、別名2’-MOE)置換基を有する少なくとも1つの2’-置換糖を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、2’-アリル(2’--CH2--CH--CH2)、2’-O-アリル(2’-O--CH2--CH--CH2)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)、及び2’-アセトアミド(2’-O--CH2C(--O)NR1R1であって、式中、各R1は独立して、HまたはC1~C1アルキル、から選択される少なくとも1つの2’修飾ヌクレオシドを含む。
【0085】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ(2’-O(CH2)2ON(CH3)2基、2’-DMAOEとしても知られる)置換基;2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’-O--CH2--O--CH2--N(CH2)2、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)置換基;または2’-O-メチル(2’-O--CH3)置換基、を有する少なくとも1つの2’置換糖を含む。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)置換基を有する少なくとも1つの2’-置換糖を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの二環式糖を含む。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’-ヒドロキシル基が糖環の3’または4’炭素原子に連結している少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メチレン(--CH2--)n基が2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋し、nが1または2である、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を含む。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間に架橋を有する少なくとも1つの二環式修飾ヌクレオシドを含み、ここで、架橋は、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-C(CH3)2-O-2’;4’-CH(CH3)-O-2’;4’-CH(CH2OCH3)-O-2’;4’-CH2-N(OCH3)-2’;4’-CH2-O--N(CH3)-2’;4’-CH2-N(R)--O-2’;4’-CH2-CH(CH3)-2’及び4’-CH2-C(--CH2)-2’から選択され、ここで、Rは独立して、H、C1-C12アルキル、または保護基である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、前述の糖立体配置の少なくとも1つ、及び追加のモチーフ、例としてα-L-リボフラノース、β-D-リボフラノース、またはα-L-メチレンオキシ(4’-CH2--O-2’)を含む。本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドに有用なさらなるLNA及びそれらの調製は、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,268,490号、同第6,670,461号、同第7,217,805号、同第7,314,923号及び同第7,399,845号;WO98/39352及びWO99/14226;ならびにSingh et al., Chem. Commun. 4:455-456 (1998)を参照のこと、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、化学的に修飾されたフラノシル(例えば、リボフラノース)環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例には、置換基の付加(5’及び2’置換基、特に2’位、非ジェミナル環原子の架橋による二環式核酸(BNA)の形成、S、N(R)、またはC(R1)(R)2(R--H、C1~C12アルキルまたは保護基)によるリボシル環酸素原子の置き換え、及びそれらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。化学修飾糖の例としては、2’-F-5’-メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’-ビス置換ヌクレオシドについては、例えばWO2008/101157を参照のこと)、またはSによるリボシル環酸素原子の置き換え及び2’位におけるさらなる置換(例えば、US20050130923を参照のこと)、あるいはBNAの5’-置換(WO2007/134181、ここでLNAは例えば5’-メチルまたは5’-ビニル基により置換される)が挙げられる。
【0088】
3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位または2’-5’連結オリゴヌクレオチド及び5’-末端ヌクレオチドの5’位における上記の修飾に類似する修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートも本明細書に提供される。提供されるオリゴヌクレオチドに含まれる2’-修飾ヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、同第5,700,920号、及び同第5,792,747号が含まれるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つの複素環式二環式核酸を含むオリゴヌクレオチドを含有する。例えば、いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのENAモチーフを有する(例えば、WO01/49687を参照のこと、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0090】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、6員環による5員フラノース環の少なくとも1つの置換を含むオリゴヌクレオチドを含有する。少なくとも1つの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのシクロヘキセン核酸(CeNA)を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つのトリシクロDNA(tcDNA)を含むオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、いずれかの末端に2~5個のトリシクロDNAヌクレオチドが隣接している8~14塩基のPS修飾デオキシヌクレオチド「ギャップ」(すなわち、tcDNAギャップマー)を含有する。
【0092】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ホスホロチオエート主鎖を含むオリゴヌクレオチド、ならびに/またはヘテロ原子主鎖、例として--CH2--NH--O--CH2--、--CH2--N(CH3)--O--CH2-(メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖としても知られる)、--CH2--O--N(CH3)--CH2--、--CH2--N(CH3)--N(CH3)--CH2--及び--O--N(CH3)--CH2--CH2-、及びアミド主鎖を含むオリゴヌクレオシドを含有する(例えば、米国特許第5,602,240号を参照のこと)。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ホスホロジアミデート主鎖構造を含むオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ホスホロジアミデートモルホリノ(すなわち、PMO)主鎖構造を含むオリゴヌクレオチドを含有する(例えば、米国特許第5,034,506号を参照のこと、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる)。
【0093】
修飾核酸塩基
T-オリゴ-HESコンジュゲートはまた、天然に存在するかまたは合成の非修飾核酸塩基と構造的に区別可能であるが機能的に交換可能である1つまたは複数の核酸塩基修飾を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含有し得る。
【0094】
本明細書で使用される「非修飾」または「天然」核酸塩基という用語には、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基は、例えば、5-メチルシトシン(5-me-C)のような合成及び天然核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つの5’メチルシトシンまたはC-5プロピンを含むオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド中の各シトシンは、メチルシトシンである。
【0095】
修飾核酸塩基はまた、本明細書では複素環式塩基部分と称され、他の合成及び天然の核酸塩基、例としてキサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニル(--CC--CH3)ウラシル及びシトシン、及びピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられる。
【0096】
オリゴヌクレオチドに含まれる複素環式塩基部分にはまた、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環により置き換えられているもの、例として7-デアザアデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンが含まれ得る。提供されるオリゴヌクレオチドの結合親和性を高めるのに特に有用な核酸塩基には、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシンを含むN-2、N-6及びO-6置換プリンが含まれる。
【0097】
T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドに場合により含まれる追加の修飾核酸塩基には、三環式ピリミジン、例としてフェノキサジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、G-クランプ、例として置換フェノキサジンシチジン(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)、またはグアニジニウムG-クランプ及び類似体、が含まれるが、これらに限定されない。代表的なグアニジノ置換基は米国特許第6,593,466号に開示されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。代表的なアセトアミド置換基は米国特許第6,147,200号に開示されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0098】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドに包含される多数の修飾核酸塩基及びそれらの合成方法は当技術分野で知られており、例えば、これらには、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. I., ed. John Wiley & Sons, 1990;Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 30:613 (1993);Sanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289-302;Crooke, S. Ted., CRC Press, 1993;ならびに米国特許第3,687,808号、同第4,845,205号、同第5,130,302号、同第5,134,066号、同第5,175,273号、同第5,367,066号、同第5,432,272号、同第5,434,257号、同第5,457,187号、同第5,459,255号、同第5,484,908号、同第5,502,177号、同第5,525,711号、同第5,552,540号、同第5,587,469号、同第5,594,121号、同第5,596,091号、同第5,614,617号、同第5,645,985号、同第5,646,269号、同第5,681,941号、同第5,750,692号、同第5,830,653号、同第5,763,588号、同第6,005,096号、同第6,028,183号、及び同第6,007,992号、米国特許出願公開第20030158403号に開示された修飾核酸塩基が含まれ、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
キメラオリゴヌクレオチド:
【0099】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結、修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチド(例えば、キメラオリゴマー化合物)である。「キメラオリゴヌクレオチド」または「キメラ」という用語は、少なくとも2つの化学的に異なる領域(すなわち、オリゴヌクレオチドの長さに沿って配置された化学的に修飾されたサブユニットのモチーフのパターン及び/または方向)を含有し、それぞれ少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、核酸ベースのオリゴヌクレオチド化合物の場合にはヌクレオチドまたはヌクレオシドから構成される。キメラオリゴヌクレオチドはまた、例えばハイブリッド(例えば、融合)及びギャップマー(gapmer)とも称されている。このようなキメラオリゴヌクレオチド構造の調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第5,013,830号;同第5,149,797号;同第5,220,007号;同第5,256,775号;同第5,366,878号;同第5,403,711号;同第5,491,133号;同第5,565,350号;同第5,623,065号;同第5,652,355号;同第5,652,356号;及び同第5,700,922号が含まれるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、標的核酸に対する結合親和性の増加、及び/または阻害活性の増加を付与するように修飾された少なくとも1つの領域を含有する。例として、ギャップマーは、3つの領域、すなわち2つの外部領域(ウイング)に隣接している中央領域(ギャップ)、に分割されるヌクレオシドの連続配列を含むキメラオリゴヌクレオチドである。ギャップマー設計は、典型的には、RNase Hの基質として機能し、標的RNA結合親和性を高めるが、標的RNA分子のRNAse H切断を支持しない2’-修飾オリゴヌクレオチドの1つまたは2つの領域に典型的に隣接している約5~10個の連続した2’-デオキシヌクレオチドの中央領域を含む。したがって、キメラが使用される場合、例えば、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシリボヌクレオチドと比較して、基質領域を有するより短いオリゴヌクレオチドを用いて匹敵する結果を、多くの場合得ることができる。他のキメラオリゴヌクレオチドは、例えば、他の領域と比較して親和性の増加または低下のいずれかを呈する修飾ヌクレオシドの領域を含む、その標的に対するオリゴヌクレオチドの長さにわたって変化したレベルの結合親和性を付与する領域に依存する。いわゆる、「MOEギャップマー」は、ウイング中に2’-MOE修飾を有し、多くの場合完全なPS主鎖を含有し、頻繁にすべてのシトシン上に5’MeC修飾を含む。
【0101】
あるいは、RNAプロセシングの調節など、RNAse H活性が望ましくない可能性がある状況では、均一に修飾されたオリゴヌクレオチド、例として各ヌクレオチドまたはヌクレオシド位置におけるRNAse H活性を支持しない修飾オリゴヌクレオチドを使用する設計を使用することが好ましい場合がある。本発明で使用される場合、「完全修飾モチーフ」という用語は、本質的に各ヌクレオシドが修飾されて同じ修飾糖部分を有する、糖修飾ヌクレオシドの連続配列を含むことを意味する。完全修飾オリゴヌクレオチドに好適な糖修飾ヌクレオシドには、2’-フルオロ(2’F)、2’-O(CH2)2OCH3(2’-MOE)、2’-OCH3(2’-O-メチル)、及び二環式糖修飾ヌクレオシドが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、3’及び5’末端ヌクレオシドは未修飾のままである。好ましい実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’-MOE、2’-F、2’-O-Me、または二環式糖修飾ヌクレオシドのいずれかである。
【0102】
いくつかの実施形態では、提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の安定化基を有するように修飾されたオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ安定性などの特性を高めるために、安定化基を、オリゴヌクレオチドの一方または両方の末端に結合させる。いくつかの実施形態では、安定化基はキャップ構造である。「キャップ構造または末端キャップ部分」とは、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意味する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO97/26270を参照のこと)。これらの末端修飾は、末端核酸分子を有するオリゴヌクレオチドをエキソヌクレアーゼ分解から保護し、及び/または細胞内でのオリゴヌクレオチドの送達及び/または局在化に役立つ場合がある。オリゴヌクレオチドは、5’末端(5’キャップ)、3’末端(3’キャップ)、または5’末端と3’末端の両方にキャップを含有し得る。二本鎖オリゴヌクレオチドの場合、キャップはいずれかの鎖のいずれかまたは両方の末端に存在し得る。キャップ構造は当技術分野において知られており、例えば反転デオキシ脱塩基キャップが含まれる。オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンス)化合物の一方または両方の末端をキャップしてヌクレアーゼ安定性を付与するために使用することができるさらなる3’及び5’-安定化基には、WO03/004602に開示されているものが含まれ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、5’-キャップ及び/または反転脱塩基残基(inverted abasic residue)(部分)である構造、4’,5’-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’-チオヌクレオチド、炭素環ヌクレオチド;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート連結;スレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’-セコヌクレオチド;非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド;3-3’-反転ヌクレオチド部分;3’-3’-反転脱塩基部分;3’-2’-反転ヌクレオチド部分;3-2’-反転脱塩基部分;1,4-ブタンジオールホスフェート;3’-ホスホラミデート;ヘキシルホスフェート;アミノヘキシルホスフェート;3’-ホスフェート;3’-ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または架橋もしくは非架橋メチルホスホネート部分を含む(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO97/26270を参照のこと)。
【0104】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、3’-キャップ及び/または4’,5’-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’-チオヌクレオチド、炭素環ヌクレオチド;5’-アミノ-アルキルホスフェート;1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート;6-アミノヘキシルホスフェート;1,2-アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5-アンヒドロへキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;スレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’-5’-反転ヌクレオチド部分;5’-5’-反転脱塩基部分;5’-ホスホロアミデート;5’-ホスホロチオエート;1,4-ブタンジオールホスフェート;5’-アミノ;架橋及び/または非架橋5’-ホスホラミデート、ホスホロチオエート及び/またはホスホロジチオエート、架橋または非架橋メチルホスホネート及び5’-メルカプト部分を含む(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Beaucage et al., Tetrahedron 49:1925 (1993)に開示されている安定化基もまた参照のこと)。
【0105】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、5’-キャップ及び1つまたは複数のカチオン性尾部を含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リジンまたはアルギニンなどの、少なくとも1、2、3、4個、またはそれ以上の正に荷電したアミノ酸とコンジュゲートしている。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドはPNAであり、1つまたは複数のリジンまたはアルギニン残基が分子のC末端にコンジュゲートしている。さらに好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドはPNAであり、各PNA連結にコンジュゲートされた1~4個のリジン及び/またはアルギニン残基を含む。
【0106】
追加の関連実施形態では、本開示は、1つまたは複数の活性剤または治療剤をさらに含むT-オリゴ-HESコンジュゲート及び/またはT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、活性剤または治療剤は核酸である。種々の実施形態では、核酸は、プラスミド、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、デコイ、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはリボザイムである。
【0107】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドは、当技術分野で十分に確立された方法によって合成及び/または修飾することができる。修飾及び非修飾ヌクレオシドのオリゴマー化は、適当であれば合成について、DNA様化合物(Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Ed. Agrawal (1993), Humana Press) 及び/または RNA様化合物 (例えば、Scaringe, Methods 23:206-217 (2001) and Gait et al., Applications of Chemically synthesized RNA in RNA: Protein Interactions, Ed. Smith (1998), 1-36. Gallo et al., Tetrahedron 57:5707-5713 (2001)、に関する文献の手順に従って実行される (Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry, Beaucage, S. L. et al.,(Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y., USAもまたを参照のこと、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、適切に保護された試薬及び市販のオリゴヌクレオチド合成機を使用して化学的に合成される。提供されるオリゴヌクレオチドの製造に有用なオリゴヌクレオチド合成試薬の供給者には、Proligo (Hamburg、Germany)、Dharmacon Research (Lafayette、CO、USA), Pierce Chemical (Perbio Science、Rockford、IL、USAの一部)、Glen Research (Sterling、VA、USA)、ChemGenes (Ashland、MA、USA)、及びCruachem (Glasgow、UK)が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、オリゴマーは、種々のオリゴヌクレオチド合成会社、例として、Dharmacon Research Inc.,(Lafayette、Colo.)、Qiagen(Germantown、MD)、Proligo 及びAmbionから購入することができる。
【0108】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドの調製は、DNA:Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Agrawal, Ed., Humana Press, 1993、についての、及び/またはRNA: Scaringe, Methods, 23:206-217 (2001);Gait et al., Applications of Chemically synthesized RNA in RNA: Protein Interactions, Smith, Ed., 1998, 1-36;Gallo et al., Tetrahedron 57:5707-5713 (2001)、についての文献の手順に従って実行される。固相合成のための追加の方法は、米国特許第4,415,732号、同第4,458,066号、同第4,500,707号、同第4,668,777号、同第4,725,677号、同第4,973,679号、及び同第5,132,418号、ならびに再発行特許第34,069号に見出すことができる。
【0109】
使用される特定のプロトコルに関係なく、提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって簡便かつ定型的に作製することができる。そのような合成のための装置は、例えば、Gene Forge (Redwood City、Calif.)を含むいくつかの業者によって販売されている。自動合成技術を含む、好適な固相技術が、Oligonucleotides and Analogues, a Practical Approach, F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, New York, 1991に記載されている。当技術分野で知られているそのような合成のための任意の他の手段を、追加的または代替的に使用することができる(液相合成を含む)。
【0110】
二環式糖修飾モノマー、アデニン、シトシン、グアニン、5-メチル-シトシン、チミン及びウラシルの合成及び調製、ならびにそれらのオリゴマー化、及び核酸認識特性が記載されており(Koshkin et al., Tetrahedron, 54:3607-3630 (1998);WO98/39352及びWO99/14226)、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。4’-CH2--S-2’類似体などの他の二環式糖修飾ヌクレオシド類似体も調製されている(Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 8:2219-2222 (1998))。核酸ポリメラーゼの基質としてオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖を含有する他の二環式糖類似体の調製も記載されており(WO98-DK393 19980914)、それらのそれぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0111】
提供された方法に従って使用されるような、フルオロフォアをオリゴヌクレオチドに連結するための技術は、当技術分野で周知であり、これを使用または定型的に改変して、提供されたT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるHES-オリゴヌクレオチド複合体を調製することができる。例えば、Connolly et al., Nucleic Acids Res. 13:4485-4502 (1985);Dreyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 86:9752-9756 (1989);Nelson et al., Nucleic Acids Res. 17:7187-7194 (1989);Sproat et al., Nucleic Acids Res. 15:6181-6196 (1987)及びZuckerman et al., Nucleic Acids Res. 15:5305-5321 (1987)を参照のこと、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。多くのフルオロフォアは通常、好適な反応部位を含む。あるいは、フルオロフォアを誘導体化して、別の分子への結合のための反応部位を提供することができる。第2の分子にカップリングするため官能基により誘導体化されたフルオロフォアは、様々な製造者から市販されている。誘導体化は、フルオロフォア自体上の基の単純な置換によるものであってもよく、リンカーへのコンジュゲーションによるものであってもよい。
【0112】
フルオロフォアは、任意選択的に、リンカーを介してオリゴヌクレオチドの5’及び/もしくは3’末端主鎖ホスフェートならびに/または他の塩基に結合される。種々の好適なリンカーが当業者に知られており、及び/または以下で議論されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、柔軟な脂肪族リンカーである。追加の実施形態では、リンカーは、C1~C30の直鎖状または分岐鎖状の飽和または不飽和炭化水素鎖である。いくつかの実施形態では、リンカーは、C2~C6の直鎖状または分岐鎖状の飽和または不飽和炭化水素鎖である。追加の実施形態では、炭化水素鎖リンカーは、1または複数のヘテロ原子、アリール;または低級アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシにより置換される。
【0113】
いくつかの実施形態では、1または複数の、フルオロフォア修飾ヌクレオシド、フルオロフォア及び糖/塩基/及び/または連結修飾ヌクレオシド、及び/またはデオキシヌクレオシドホスホラミダイトを使用して、自動合成中に1つまたは複数のフルオロフォアがオリゴヌクレオチドに組み込まれる。
【0114】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のフルオロフォアが、合成後標識反応においてオリゴヌクレオチドに組み込まれる。適切な合成後標識反応は当技術分野で知られており、定型的に適用または改変して本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチド-HES複合体を合成することができる。一実施形態では、合成後標識反応において、1または複数のフルオロフォアがオリゴヌクレオチドに組み込まれ、この場合、合成オリゴヌクレオチド中のアミン-またはチオール修飾ヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドが、アミン-またはチオール-反応性フルオロフォア、例としてスクシンイミジルエステルフルオロフォアと反応する。
【0115】
さらなる実施形態では、1または複数の同一のフルオロフォアが単一反応でオリゴヌクレオチドに組み込まれ、この単一反応は、色素の反応形態を、フルオロフォアと反応することができる所望の数の反応性基を含有するオリゴヌクレオチドと、好適な緩衝液中で、オリゴヌクレオチドへのフルオロフォアの組み込みを達成するのに十分な条件下でかつ十分な時間にわたって、接触させることを含む。反応性基は、当技術分野で知られている標準的な技術及び試薬を使用して、合成中にオリゴヌクレオチドに定型的に組み込むことができる。
【0116】
例示的な作用機序
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における核酸の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、核酸を含むかまたはコードする核酸を標的とし、対象における核酸のレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有するHES-オリゴヌクレオチド複合体を対象に投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、タンパク質をコードする核酸を標的とするか、対象におけるタンパク質の内因性発現、プロセシング、または機能を低下させるオリゴヌクレオチドを含有するHES-オリゴヌクレオチド複合体を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA、mRNAまたはmiRNAである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、アンタゴミル(antagmir)(抗miRNA)、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。
【0117】
アンチセンス
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または単に「アンチセンス」という用語は、治療対象の細胞内の同族のmRNAに結合し、例えば、標的RNAのタンパク質翻訳部位への転座を変更すること、標的RNAからのタンパク質の翻訳、標的RNAのスプライシングを変更すること(例えば、エキソンスキッピングの促進)、及び標的RNAに関連するかまたはそれにより促進され得る触媒活性を変更すること、ならびに内因性RNase Hによる分解についてmRNAを標的化することにより、RNAの機能を調節する、核酸(例えば、DNA、RNA、及びPNA、モルホリノ(例えば、PMO)などの核酸模倣体、ならびに修飾ヌクレオシド及び/またはヌクレオシド間連結を含有する組成物)の一本鎖に対応するオリゴヌクレオチドを含むことが意図される。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、染色体DNAと特異的にハイブリダイズすることによって細胞活性を変化させる。アンチセンスオリゴヌクレオチドという用語は、所望の標的遺伝子に正確に相補的でない場合があるアンチセンスオリゴヌクレオチドも包含する。したがって、提供される方法は、非標的特異的活性がアンチセンスで見られる場合、または標的配列との1つまたは複数のミスマッチを含有するアンチセンス配列が特定の使用に好ましい場合に利用することができる。標的核酸の機能に対するこのような妨害の全体的効果は、目的の標的タンパク質の調節である。本開示との関係において、「調節」は、低分子非コードRNA、核酸標的、低分子非コードRNAに関連するRNAもしくはタンパク質、または低分子非コードRNAの下流の標的(例えば、低分子非コードRNAによって制御されるタンパク質をコードする核酸を表すmRNA)の量またはレベルにおける遺伝子またはタンパク質の発現の増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。阻害は調節の好適な形態であり、低分子非コードRNAは、好適な核酸標的である。レベルを調節することができる低分子非コードRNAには、miRNA及びmiRNA前駆体が含まれる。本開示の文脈において、「機能の調節」とは、低分子非コードRNAの機能もしくは活性の変更、または低分子非コードRNAが関連または下流効果を有する細胞成分の機能の変更を意味する。一実施形態では、機能の調節は、低分子非コードRNAの活性の阻害である。
【0118】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは、長さが約8~約80個の連続連結ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10~約50のヌクレオシドまたは約13~約30のヌクレオチドである。本明細書で提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、リボザイム、抗miRNA、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド(オリゴザイム)、及び標的核酸に特異的にハイブリダイズしてその発現を調節する他の短い触媒RNAまたは触媒オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、長さ約15~約30ヌクレオシド(すなわち、15~30連結ヌクレオシド)、あるいは長さ約17~約25ヌクレオシドのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオシドである。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10~約50ヌクレオチド、より好ましくは約15~約30ヌクレオチドである。さらなる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが4、5、6または7ヌクレオチドである。
【0120】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、目的の標的RNAの転写を妨害する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、鎖置換によって目的のmRNAまたはmiRNAの転写を妨害する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、鎖侵入または三重鎖形成(三重鎖形成オリゴヌクレオチド(THOs)、例としてLNAを含むもの、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0122104号を参照のこと、引用により本明細書に組み入れる)によって標的遺伝子の一部と安定な複合体を形成することによってmRNAの転写を妨害する。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、細胞の転写装置を妨害することにより、標的RNA(例えば、mRNAまたはmiRNA)の転写を妨害する。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、mRNAの5’末端またはAUG開始コドン(例えば、AUG開始コドンの30ヌクレオチド以内)の領域に特異的に結合し、翻訳を減少させるように設計される。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴヌクレオチド成分は、RNAのイントロン/エキソンジャンクションに特異的にハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳標的配列に特異的に結合するように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAのヌクレオチド1~10に特異的に結合するように設計される。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的に結合するように設計される。
【0121】
他の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、必須のRNA二次構造の部位に結合するか、または翻訳されたポリペプチドの切断を引き起こす立体ブロッカーとして作用する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、標的mRNAのスプライスジャンクションにまたはその近くに結合することによって、イントロン切除を妨害するように設計される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、イントロン切除を妨害するか、または選択的スプライスバリアントの発現を増加させるように設計される。
【0122】
RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA部分を特異的に切断する内因性酵素である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸に結合するとRNase H活性を誘発する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、DNAまたは核酸模倣体である。オリゴヌクレオチドはRNase H活性を誘発し、例えば、内因性リボヌクレアーゼを利用して標的RNAを減少させるという点で、特定の利点を有する。
【0123】
RNase H活性を誘発するための1つのアンチセンス設計は、ギャップマー(gapmer)モチーフ設計であり、この設計においては、ホスホロチオエート修飾を伴うかまたは伴わないDNAから構成される中央ブロック、及びヌクレアーゼ耐性5’及び3’隣接ブロックを有するキメラオリゴヌクレオチドであり、通常は2’-O-メチルRNAであるが、広範囲な2’-修飾が使用されている(Crooke, Curr. Mol. Med. 4(5):465-487 (2004)を参照のこと)。他のギャップマーの設計は、本明細書に記載されているか、そうでなければ当技術分野で知られている。
【0124】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、細胞内でのRNase Hの活性化を回避するように設計されているアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。RNase H活性を誘発しないオリゴヌクレオチドは、例えば、転写機構の遮断(立体ブロック機構による)及び標的RNAのスプライシングの変更において、特定の利点を有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、標的mRNAのスプライスジャンクションにまたはその近くに結合することによって、イントロン切除を妨害及び/または改変するように設計される。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メッセージの選択的スプライスバリアントの発現を増加させるように設計される。好ましい一実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、モルホリノ(例えば、PMO)アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドを含む。別の好ましい実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、PNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。
【0125】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的mRNAのイントロン/エキソンジャンクションの上流50核酸塩基までの領域の少なくとも一部を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。より好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的mRNAのイントロン/エキソンジャンクションの上流の領域20~24または30~50核酸塩基の少なくとも一部を標的とし、好ましくは結合時にmRNA標的のRNAse H切断を支持しない。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNA標的(例えば、mRNA及びmiRNA)に対する結合親和性を増加させ、アンチセンス化合物のヌクレアーゼ耐性を増加させる少なくとも1つの修飾を含有する。
【0126】
一実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、その糖部分の2’修飾を有する少なくとも1つのヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その糖部分の2’修飾を有する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20のヌクレオシドを含む。さらなる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その糖部分の2’修飾を有する少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオシドを含む。なおさらなる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシドは、その糖部分の2’修飾を有する。好ましくは、2’修飾は、2’-フルオロ、2’-OME、2’-メトキシエチル(2’-MOE)またはロックド核酸(LNA)である。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドモチーフは、メチレン(--CH2--)n基が2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋し、nは1または2であるLNAまたはアルファLNAである。さらなる実施形態では、LNAまたはアルファLNAは、5’位にメチル基を含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’修飾及び少なくとも1つのヌクレオシド間連結を含む。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結は、ホスホジエステル主鎖連結とホスホロチオエート主鎖連結のと間で交互になっている。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。
【0127】
追加の好ましい実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つの3’-メチレンホスホネート連結、LNA、ペプチド核酸(PNA)連結またはホスホロジアミデートモルホリノ連結を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含有する。好ましくは、修飾核酸塩基はC-5プロピンまたは5-メチルCである。
【0128】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的mRNAまたは標的遺伝子の異なる配列に相補的な1または2を超えるアンチセンス鎖を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、直鎖状または分岐鎖状に連結される(例えば、デンドリマー)。さらなる実施形態では、連結されたアンチセンス鎖は、標的mRNA及び/または遺伝子の新しい二次構造を誘導し、それによって標的ヌクレオチドの適切な転写/翻訳を減少または阻害する。
【0129】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物は、当技術分野で知られている技術を使用して定型的に合成することができる。
【0130】
RNAi-転写後遺伝子サイレンシング
短い二本鎖RNA分子及び短いヘアピンRNA(shRNA)、すなわち、siRNAを生じさせるフォールドバックステムループ構造は、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、RNAiを誘導するオリゴヌクレオチドを含む。T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるRNAiオリゴヌクレオチドには、siRNA、shRNA、及びdsRNAドロシャ及び/またはダイサー基質が含まれるが、これらに限定されない。siRNA、shRNA、及びdsRNAの一方または両方の鎖は、好ましくは、本明細書に記載の、または別様に当技術分野で公知の、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結、修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含む。これらのRNAiオリゴヌクレオチドは、対象における目的の遺伝子(複数可)またはポリヌクレオチド(複数可)の発現を妨害することを含むが、これに限定されない用途を有する。したがって、いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の発現を特異的に阻害するために使用される。いくつかの実施形態では、遺伝子及び/または核酸発現の二本鎖RNA媒介抑制は、dsRNAドロシャ基質、dsRNAダイサー基質、siRNAまたはshRNAを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象及び/または細胞に投与することによって達成される。遺伝子及び核酸発現の二本鎖RNA媒介抑制は、dsRNA、siRNAまたはshRNAを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することによって達成され得る。siRNAは、二本鎖RNA、またはRNAとDNAの両方を含むハイブリッド分子、例えば、1本のRNA鎖と1本のDNA鎖であり得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、約21~30ヌクレオチドで長である、RNA:RNAハイブリッド、DNAセンス:RNAアンチセンスハイブリッド、RNAセンス:DNAアンチセンスハイブリッド、及びDNA:DNAハイブリッド二重鎖から選択されるsiRNAを含み、RNAi誘発サイレンシング複合体(RISC)として知られる細胞質多タンパク質複合体と会合することができる。siRNA担持RISCは、相同なmRNA転写産物の分解を媒介する。提供される方法は、これらの異なるタイプの二本鎖分子のいずれかを含むRNAi分子の使用を含む。加えて、RNAi分子を使用して、様々な形態で細胞に導入できることが理解される。したがって、本明細書で使用されるように、RNAi分子は、2つの別々の鎖、すなわちセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖ポリヌクレオチド、例えば低分子干渉RNA(siRNA);二本鎖領域を形成する相補配列のヘアピンループを含むポリヌクレオチド、例えばshRNAi分子、及び二本鎖ポリヌクレオチドを単独でまたは別のポリヌクレオチドと組み合わせて形成することができる1つまたは複数のポリヌクレオチドを発現する発現ベクター、を含むがこれらに限定されない、細胞においてRNAi応答を誘導することができるあらゆる分子を包含する。
【0132】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、二本鎖であり、長さが16~30または18~25ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、dsRNAオリゴヌクレオチドは二本鎖であり、長さが17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32ヌクレオチドである。特定の実施形態では、dsRNAは、長さが21ヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、dsRNAは、0~7ヌクレオチドの3’オーバーハング、または0~4ヌクレオチドの5’オーバーハングを有する。特定の実施形態では、dsRNAは、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有する。さらなる実施形態では、dsRNAは、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有する長さ21ヌクレオチドの2つの相補的RNA鎖を含有する(すなわち、センス鎖とアンチセンス鎖との間に19ヌクレオチドの相補的領域を含有する)。別の実施形態では、dsRNAは、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有する長さ25ヌクレオチドの2つの相補的RNA鎖を含有する(すなわち、センス鎖とアンチセンス鎖との間に23ヌクレオチドの相補的領域を含有する)。ある特定の実施形態では、オーバーハングはUUまたはdTdT3’オーバーハングである。
【0133】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的RNAの対応する逆相補鎖に完全に相補的なsiRNAオリゴヌクレオチドを含有する。他の実施形態では、siRNAは、標的RNAの対応する逆相補鎖と比較して、1つまたは2つの置換、欠失、または挿入を含有する。
【0134】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ショートヘアピンRNAであるRNAiオリゴヌクレオチドを含む。shRNAは、siRNAを生じさせるフォールドバックステムループ構造を含有するヘアピンRNAの形態であり、したがって同様に、標的遺伝子の発現を配列特異的に低下させることができる。ショートヘアピンRNAは一般に、siRNAよりも安定であり、細胞環境での分解を受けにくくなっている。shRNAのステムループ構造は、ステムの長さが異なり、典型的には、長さが19~29ヌクレオチドであり得る。ある特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、長さが19~21または27~29ヌクレオチドであるステムを有するshRNAを含有する。追加の実施形態では、shRNAは、長さが4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有する。標的mRNA(アンチセンス鎖)に特異的にハイブリダイズするステムの部分とmRNAとの間の完全な相補性が好ましいが、shRNAは、場合により、shRNAヘアピンステムの2つの鎖の間にミスマッチを含有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、shRNAは、ヘアピンを安定化させるために、ヘアピンステムに1つまたはいくつかのG-U対形式を含む。
【0135】
一実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるRNAiオリゴヌクレオチドの核酸標的は、AAジヌクレオチド配列の出現について標的RNA(例えば、mRNAまたはmiRNA)をスキャンすることによって選択される。3’隣接のおよそ19ヌクレオチドと組み合わせた各AAジヌクレオチド配列は、潜在的なsiRNA標的部位であり、それに基づいてRNAiオリゴヌクレオチドを定型的に設計することができる。いくつかの実施形態では、標的RNAの制御領域に結合するタンパク質によるsiRNPエンドヌクレアーゼ複合体の結合の潜在的な妨害を回避するために、RNAiオリゴヌクレオチド標的部位は、標的RNAの5’及び3’非翻訳領域(UTR)または開始コドン付近の領域内(例えば、開始コドンの約75塩基以内)には位置しない。
【0136】
特定のポリヌクレオチドを標的とするRNAiオリゴヌクレオチドは、当技術分野で知られた試薬及び手順を使用して、または定型的に改変して容易に調製することができる。効果的なsiRNA分子の構造的特性が同定されている。Elshabir et al., Nature 411:494-498 (2001)及びElshabir et al., EMBO 20:6877-6888 (2001)。したがって、当業者は、多種多様な異なるsiRNA分子を使用して、特定の遺伝子または転写物を標的とすることができることを理解するであろう。
【0137】
酵素核酸
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、酵素オリゴヌクレオチドを含む。提供されるコンジュゲート中の酵素的オリゴヌクレオチドの2つの好ましい特徴は、標的遺伝子のDNAまたはRNA領域の1つまたは複数に相補的な特異的基質結合部位を有することであり、それらは、オリゴヌクレオチドにRNA切断活性を付与する基質結合部位内またはその周囲のヌクレオチド配列を有することである。いくつかの実施形態では、酵素オリゴヌクレオチドはリボザイムである。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を有する特定の触媒ドメインを有するRNA-タンパク質複合体である。例示的なリボザイムオリゴヌクレオチドは、ハンマーヘッド、ヘアピン、デルタ型肝炎ウイルス、グループIイントロンまたはRNaseP RNA(RNAガイド配列に関連する)またはニューロスポラVS RNAモチーフで形成される。
【0138】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれ得る酵素的オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の、または別様に当技術分野で知られた修飾ヌクレオチドを含有し得るが、そのような修飾が、酵素オリゴヌクレオチドの触媒活性を無効にする配座の変化につながらないことが重要である。リボザイムなどの酵素的オリゴヌクレオチドを設計、製造、試験及び最適化する方法は、当技術分野で知られており、本明細書に包含される(例えば、WO91/03162;WO92/07065;WO93/15187;WO93/23569;WO94/02595、WO94/13688;EP 92110298;及び米国特許第5,334,711号を参照のこと、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0139】
アプタマー及びデコイ
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アプタマー及び/またはデコイを含有する。本明細書で使用される場合、アプタマーは、特定の配列依存形状を呈し、高い親和性及び特異性で標的タンパク質に特異的にハイブリダイズする一本鎖核酸分子(DNAまたはRNAなど)を指す。T-オリゴ-HESコンジュゲートのアプタマーは、一般に、長さが100ヌクレオチド未満、75ヌクレオチド未満、または50ヌクレオチド未満である。本明細書で使用される「アプタマー」という用語は、D-オリゴヌクレオチドと比較して、酵素分解に対する耐性を付与する、鏡像アプタマー(複数可)(L-リボースまたはL-2’-デオキシリボース単位などの高親和性L-エナンチオマー核酸)を包含する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アプタマーMacugen(OSI Pharmaceuticals)またはARC1779(Archemix、Cambridge、Mass.)を含有する。さらなる実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、アプタマーMacugen(OSI Pharmaceuticals)またはARC1779(Archemix、Cambridge、Mass.)と結合する標的タンパク質と競合するオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、コンジュゲートは、TatまたはRevに結合するオリゴヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、コンジュゲートは、HIV-1のTat、ヌクレオキャプシド、逆転写酵素、インテグラーゼ、またはRevに結合するオリゴヌクレオチドを含む。追加の実施形態では、コンジュゲートは、gp120、HCV NS3プロテアーゼ、C型肝炎NS3mペスト菌チロシンホスファターゼ、受容体チロシンキナーゼの細胞内ドメイン(例えば、EGFRvIII)、ヌクレオリン(AML)に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。アプタマーを作製及び同定する方法は当技術分野で知られており、これを定型的に改変して、所望の診断及び/または治療特性を有するアプタマーを同定し、これらのアプタマーを本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに組み込むことができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wlotzka et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 99(13):8898-8902 (2002)を参照のこと。
【0140】
本明細書で使用する場合、「デコイ」という用語は、タンパク質などの因子が結合する核酸上の部位を模倣する短い二本鎖核酸(それ自体で「フォールドバック」するように設計された一本鎖核酸を含む)を指す。そのようなデコイは、因子の活性及び/または機能を競合的に阻害し、それによって低下させる。デコイを作製及び同定する方法は当技術分野で知られており、これを定型的に改変して、所望の診断及び/または治療特性を有するデコイを同定し、これらのデコイをT-オリゴ-HESコンジュゲートのオリゴヌクレオチド-HES複合体に組み込むことができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,716,780号を参照のこと。
【0141】
低分子非コードRNA及びアンタゴニスト(miRNA及び抗miRNAなど)
本明細書で使用する場合、「低分子非コードRNA」という用語は、限定されるものではないが、長さが17~29ヌクレオチドの範囲のポリヌクレオチド分子を包含するために使用される。一実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNA(miRNA、Mirs、miRs、mirs、及び成熟miRNAとしても知られる)である。
【0142】
「成熟」miRNAとしても知られるマイクロRNA(miRNA)は、発生、細胞増殖、アポトーシス、及び分化の重要な制御因子として同定されている低分子(長さ約21~24ヌクレオチド)非コードRNA分子である。miRNAが関与する特定の発達過程の例には、幹細胞の分化、神経新生、血管新生、造血、及びエキソサイトーシスが含まれる(Alvarez-Garcia and Miska,Development,132:4653-4662 (2005)により概説されている)。miRNAは疾患状態で異常に発現することがわかっており、すなわち特定のmiRNAは、健康な細胞または組織と比較して、疾患のある細胞または組織に高いレベルまたは低いレベルで存在する。
【0143】
miRNAは、長い内因性一次miRNA転写物(pri-miRNA、pri-mir、pri-miR、またはpri-pre-miRNAとしても知られる)に由来すると考えられており、これらは多くの場合長さが数百ヌクレオチドである(Lee, et al., EMBO J., 21(17):4663-4670 (2002))。miRNAが遺伝子発現を制御する機構の1つは、特定のmRNAの3’非翻訳領域(3’-UTR)への結合によるものである。RNA誘発サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれるmiRNAヌクレオチド(nt)RNA分子は、翻訳阻害、転写産物の切断、またはその両方を介して遺伝子発現のダウンレギュレーションを媒介する。RISCは、広範囲の真核生物の核における転写サイレンシングにも関与している。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示は、とりわけ、疾患状態に関連するmiRNA活性を含む低分子非コードRNA活性を調節するためのT-オリゴ-HESコンジュゲート及び方法を提供する。本明細書で提供される特定のあるコンジュゲート及び組成物は、送達の改善、強力な活性及び/または治療指数の改善により、インビボ方法での使用に特に好適である。
【0145】
本開示は、miRNAを含む低分子非コードRNAを調節するためのT-オリゴ-HESコンジュゲート及び方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、miRNAなどの1つまたは複数の低分子非コードRNAのレベル、発現、プロセシングまたは機能を調節するためのT-オリゴ-HESコンジュゲート及び方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、miRNAなどの低分子非コードRNAと特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む、医薬組成物などの組成物を包含する。
【0146】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAなどの1つまたは複数の低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸分子と特異的にハイブリダイズするか、またはこれを立体的に妨害するオリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本開示は、アンチセンス機構に依存するもの及びアンチセンス機構に依存しないものを含む、miRNAのレベル、活性、または機能を調節するのに有用なT-オリゴ-HESコンジュゲート及び方法を提供する。
【0147】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」、「標的RNA」、「標的RNA転写物」または「核酸標的」という用語は、RNAを含むがこれに限定されない、標的とすることができる任意の核酸を包含するために使用される。一実施形態では、標的核酸は、miRNA及びmiRNA前駆体を含むがこれらに限定されない非コード配列である。好ましい実施形態では、標的核酸は、miRNAとも称され得るmiRNAである。オリゴヌクレオチドが、miRNAに対し、100%を含む実質的に相補的な配列を含む場合、オリゴヌクレオチドは、「miRNAを標的とする」。
【0148】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドは、生理学的条件下で低分子非コードRNAに特異的にハイブリダイズできる場合、例えば、低分子非コードRNAなどのRNAに「実質的に相補的」である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドが、miRNAの少なくとも8個の連続するヌクレオチドに対し、100%を含む、実質的に相補的な配列を含む場合、オリゴヌクレオチドは「miRNAを標的とする」。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAに特異的にハイブリダイズし、長さが約8~約21ヌクレオチド、約8~約18ヌクレオチド、または約8~約14ヌクレオチドの範囲であるオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAに特異的にハイブリダイズし、長さが約12~約21ヌクレオチド、約12~約18ヌクレオチド、または約12~約14ヌクレオチドの範囲である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21のモノマーサブユニット(ヌクレオチド)である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが14、15、16、17、または18のモノマーサブユニット(ヌクレオチド)である。
【0149】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAに対して完全長の相補性を有するオリゴヌクレオチドを含有する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の相補性の長さ、ならびにオリゴヌクレオチドと標的miRNAとの間の最大3つの「ミスマッチ」において、オリゴヌクレオチドは依然として標的miRNAとハイブリダイズすることができ、オリゴヌクレオチドの機能は実質的に損なわれない。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの3’もしくは5’末端のいずれか、または3’及び5’末端の両方で、標的miRNAの長さに関して最大6ヌクレオシドまでの切断または伸長を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的miRNAの長さと比較して、1つまたは2つのヌクレオシド分が切断されている。非限定的な例として、標的miRNAが22ヌクレオチドの長さであれば、実質的に完全長相補性を有するオリゴヌクレオチドは、長さが20または21ヌクレオチドであり得る。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAと比較して、3’末端または5’末端のいずれかで1ヌクレオチド分が切断されている。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAを調節する方法であって、低分子非コードRNA、低分子非コードRNA前駆体(例えば、miRNA前駆体)または低分子非コードRNAをコードする核酸に対して実質的に相補的である配列を含むオリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートに、細胞を接触させることを含む、方法を提供する。本明細書で使用される場合、「低分子非コードRNA前駆体miRNA前駆体」という用語は、低分子(成熟)非コードRNAが由来する任意のより長い核酸配列を包含するために使用され、限定されないが、一次RNA転写産物、pri-低分子非コードRNA、及びpre-低分子非コードRNAを含んでもよい。例えば、「miRNA前駆体」は、miRNAが由来する任意のより長い核酸配列を包含し、一次RNA転写物、pri-miRNA、及びpre-miRNAを含み得るが、これらに限定されない。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、低分子非コードRNAのレベルを調節するか、その機能を調節するように作用するオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを含有する医薬組成物などの組成物を提供する。さらなる実施形態では、本開示は、miRNAを標的とし、miRNAのレベルを調節するように作用するか、またはそのプロセシングもしくは機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを含有する、医薬組成物などの組成物を提供する
【0152】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズする。
【0153】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、低分子非コードRNAのレベルを低下させる、及び/または細胞内での機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0154】
他の実施形態では、組成物は、T-オリゴ-HESコンジュゲートを含有し、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ(例えば、非コードRNAをコードする遺伝子の調節配列に結合することにより)、低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/または細胞内でその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する。
【0155】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNA核酸標的を含むかまたはコードする核酸にハイブリダイズして、通常の機能に変化をもたらすことによって、低分子非コードRNAのレベル、発現、または機能を調節することができる。例えば、オリゴヌクレオチドが低分子非コードRNAの活性(レベル、発現または機能を含む)を低下させ得る非限定的な機構には、切断、隔離、立体閉塞(steric occlusion)を介して、及び低分子非コードRNAにハイブリダイズし、低分子非コードRNAが通常の細胞標的(複数可)にハイブリダイズするのを防ぎ、その活性を制御することによって、低分子非コードRNAの破壊を促進することが含まれる。
【0156】
別の実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAの活性を阻害する方法であって、細胞表面抗原を発現する細胞を、表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分、及び低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、細胞内での低分子非コードRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートと接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、非コードRNAを含むかまたはコードする核酸に実質的に相補的な配列を含む。特定の実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNAである。
【0157】
追加の実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAの活性を阻害する方法であって、低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、対象内での低分子非コードRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、標的核酸は、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原を発現する細胞内にある。いくつかの実施形態では、標的核酸は、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分が特異的に結合する細胞表面抗原を発現する細胞に近い細胞内にある。
【0158】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、非コードRNAを含むかまたはコードする核酸に実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNAである。
【0159】
追加の実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAの活性を増加させる方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、(例えば、非コードRNAをコードする遺伝子の調節配列に結合することにより)低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/または細胞内でその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートと細胞とを接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、非コードRNAを含むかまたはコードする核酸と実質的に同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNA配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。特定の実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNAである。
【0160】
別の実施形態では、本開示は、低分子非コードRNAの活性を増加させる方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、対象内における低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、低分子非コードRNAの活性が増加した細胞は、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合された細胞表面抗原を発現する。いくつかの実施形態では、低分子非コードRNAの活性が増加した細胞は、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分が特異的に結合する細胞表面抗原を発現する細胞の近くにある。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、非コードRNAを含むかまたはコードする核酸と実質的に同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNA配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。特定の実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNAである。
【0161】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸と実質的に同じオリゴヌクレオチド配列を含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiRNA模倣物である。いくつかの実施形態では、miRNA模倣物は二本鎖である。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、二本鎖であり、長さが18~23単位のオリゴヌクレオチドを含有し、平滑末端であるか、または1、2、もしくは3ヌクレオチドの1つまたは複数の3’オーバーハングを含むmiRNA模倣物を含有する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~23単位である一本鎖miRNA模倣物を含む。これらのmiRNA模倣物を発現する発現ベクターを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートも、本開示に包含される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNA配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。特定の実施形態では、低分子非コードRNAは、miRNAである。
【0162】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における低分子非コードRNAの過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、対象における低分子非コードRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、核酸の活性が標的とされる細胞の細胞表面上、または近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは抗miRNA(抗miR)である。追加の実施形態では、抗miRNAは二本鎖である。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、二本鎖であり、長さが18~23単位のオリゴヌクレオチドを含有し、平滑末端であるか、または1、2、もしくは3ヌクレオチドの1つまたは複数の3’オーバーハングを含む抗miRNAを含有する。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが8~25単位である一本鎖抗miRを含む。これらの抗miRを発現する発現ベクターを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートも、本開示に包含される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、過剰発現した低分子非コードRNAに実質的に相補的な配列を含む。
【0163】
さらなる実施形態では、本開示は、対象におけるmiRNAの過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、miRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とし、対象におけるmiRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、核酸活性が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、核酸活性が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、過剰発現したmiRNAに実質的に相補的な配列を含む。
【0164】
miRNAのファミリーは、シード配列として知られる領域であるmiRNAの2~8位のヌクレオチドの同一性を特徴とすることができる。miRNAファミリーのメンバーは、本明細書において「関連miRNA」と称される。miRNAファミリーの各メンバーは、miRNAターゲティング及び機能において重要な役割を果たす同一のシード配列を共有している。本明細書で使用される場合、「シード配列」または「シード領域」という用語は、成熟miRNA配列の5’末端から2~9のヌクレオチドを指す。miRNAファミリーの例は、当技術分野で知られており、限定されないが、let-7ファミリー(9miRNAを有する)、miR-15ファミリー(miR-15a、miR-15b、miR15-16、miR-16-1、及びmiR-195を含む)、及びmiR-181ファミリー(miR-181a、miR-181b、及びmiR-181cを含む)。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、miRNAのシード領域に特異的にハイブリダイズし、miRNAのプロセシングまたは機能を妨害する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAのシード領域に特異的にハイブリダイズし、複数のmiRNAのプロセシングまたは機能を妨害する。さらなる実施形態では、複数のmiRNAのうちの少なくとも2つは、関連するシード配列を有するか、またはmiRNAスーパーファミリーのメンバーである。
【0165】
疾患、例としてがん、線維症、代謝障害及び炎症性障害を伴うmiRNA機能障害と、一般の細胞過程に含まれる遺伝子の完全なネットワークに影響を及ぼすmiRNAの能力との関連付けによって、抗miRNA及びmiRNA模倣物を使用するmiRNAの選択的調節が、特に魅力的な疾患調節療法になっている。いくつかの実施形態では、本開示はまた、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、タンパク質の産生増加に影響を与える低分子非コードRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、オリゴヌクレオチドは、対象における低分子非コードRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の産生が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の産生が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNAに実質的に相補的な配列を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、タンパク質の産生増加に影響を与えるmiRNAを含むかまたはコードする核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、オリゴヌクレオチドは、対象におけるmiRNAのレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の産生が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の産生が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAに実質的に相補的な(特異的にハイブリダイズ可能な)配列を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における低分子非コードRNAの過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、対象における低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、低分子非コードRNAが標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、低分子非コードRNAが標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、過剰発現した低分子非コードRNAに実質的に相補的な(特異的にハイブリダイズ可能な)配列を含む。
【0168】
さらなる実施形態では、本開示は、それを必要とする対象におけるmiRNAの過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、対象内における低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、低分子非コードRNAが標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、低分子非コードRNAが標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、過剰発現されたmiRNAに実質的に相補的な配列を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、対象内における低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の発現が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の発現が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、低分子非コードRNAに実質的に相補的な配列を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、低分子非コードRNAを含むかもしくはコードし、または低分子非コードRNAの内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させ、低分子非コードRNAのレベルを増加させ、及び/または対象内でその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の発現が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、タンパク質の発現が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAに実質的に相補的な(特異的にハイブリダイズ可能な)配列を含む。
【0171】
別の実施形態では、本開示は、miRNA活性を阻害する方法であって、本明細書に記載のものなどの抗miRNA活性を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを、miRNA活性の阻害を必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、miRNA活性が標的とされる細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原は、miRNA活性が標的とされる細胞の近くの細胞の表面上で発現する。
【0172】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、siRNA、miRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、リボザイム、デコイ、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現できるプラスミドから選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、またはすべての2’-F修飾オリゴヌクレオチドを含有する内部領域、及び少なくとも1つの安定性増強修飾を含む外部領域を含むキメラオリゴヌクレチドを含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1の2’修飾ヌクレオチドを有する内部領域と、第2の2’修飾ヌクレオチドをそれぞれ含む外部領域とを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の2’-フルオロ修飾を含むギャップ領域を含有し、ウィング領域は、1つまたは複数の2’-メトキシエチル修飾を含む。一実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、ISIS 393206またはISIS 327985である。
【0174】
標的指向性部分
「標的指向性部分」という用語は、本明細書では、選択された標的、例えば、細胞表面抗原、細胞、細胞型、組織、器官、体の領域、またはコンパートメントに特異的に結合する能力を提供する分子を指すために使用される。標的指向性部分は、多種多様な実体を含むことができ、天然に存在する分子、または組換えもしくは合成分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、アプタマー、アビマー、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、微生物の成分、ホルモン、受容体リガンド(受容体リガンドを含有するFc融合タンパク質を含む)、抗体、抗体の抗原結合部分、代替結合足場、または前述のいずれかの誘導体である。
【0175】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、抗体、抗体の抗原結合部分(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、dsFv、Fd、scFv、及びダイアボディ)、または単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、モノクローナル抗体、ヒト抗体(例えば、完全長ヒト抗体)、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、合成抗体、またはPEG化抗体である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、全長IgG1、IgG2、またはIgG4抗体である。
【0176】
追加の実施形態では、標的指向性部分は、代替結合足場分子である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、アフィボディ、ナノボディ(VHH)、VNAR、アンチカリン、フィノマー、DARPin、テトラネクチン、トランスボディ、アドネクチン、アフィリン、マイクロボディ、ペプチドアプタマー、アルタラーゼ、プラスチック抗体、フィロマー、ストラドボディ、マキシボディ、エビボディ、Zドメイン、Dドメイン、アルマジロリピートタンパク質、クニッツドメイン、アビマー、アトリマー、プロボディ、イムノボディ、トリオマブ、トロイボディ、ペップボディ(pepbody)ワクシボディ、ユニボディ、アフィマー、及びデュオボディ、から選択される代替結合足場である。
【0177】
種々の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、細胞表面抗原に特異的に結合することができる抗体(例えば、Fab、scFv及び単一ドメイン抗体)の抗原結合部分(断片)である。Fab及びscFvなどの抗体断片は、かさばらず、インビボ送達を妨げる場合があるFcドメインを欠いていることがあるため、全長抗体よりも利点がある。
【0178】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、活性化可能な抗体である。活性化可能な抗体は、疾患部位で高度に発現するプロテアーゼによって切断及び除去される阻害ドメインで抗体の結合部位をマスキングすることにより、疾患部位の領域への(すなわち、標的抗体への)標的指向性選択性を改善するように設計されたプロテアーゼ活性化抗体である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は活性化可能な抗体であり、抗体は、切断可能なリガンドによって少なくとも1つのオリゴ-HES複合体にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体の結合部位のマスクは、コンジュゲート中のオリゴ-HES複合体に抗体をコンジュゲートさせる少なくとも1つの切断可能なリンカーと同じプロテアーゼによって切断される。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体の抗原結合部位のマスクは、コンジュゲート中のオリゴ-HES複合体に抗体をコンジュゲートさせる少なくとも1つの切断可能なリンカーに対し異なるプロテアーゼによって切断される。例えば、いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体(例えば、IgG抗体)の抗原結合部位のマスクは、疾患部位(例えば、腫瘍)で高度に発現するプロテアーゼによって切断され、抗体をオリゴ-HES複合体にコンジュゲートするコンジュゲート中の少なくとも1つの切断可能なリンカーは、免疫補体系の酵素(例えば、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、またはプラスミン)によって切断される。活性化抗体は、国際出願公開番号WO2016/179285に記載されており、その内容は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0179】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体である。いくつかの実施形態では、「治療用抗体」という用語は、治療標的分子に結合し、インビボで疾患の軽減または疾患の進行の低減をもたらすと予想される抗体を指す。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、細胞表面抗原に特異的に結合する。さらなる実施形態では、「治療用抗体」という用語は、ヒト治療薬としての承認のために臨床研究で試験されている、または試験されており、疾患の治療のために個体に投与することができる抗体を意味する。さらなる実施形態では、「治療用抗体」は、少なくとも1つの規制機関によってヒト治療薬としての投与が承認されている。追加の実施形態では、治療用抗体は承認された抗体である。さらなる実施形態では、標的指向性部分は、トラスツズマブ(HER2/neu)、ペルツズマブ(HER2/neu)、パニツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ザルツムマブ(EGFR)、セツキシマブ(EGFR)、(HER3)、オナルツズマブ(c-MET)、パトリツマブ、クリバツズマブ(MUC1)、ソフィツズマブ(MUC16)、エドレコロマブ(EPCAM)、アデカツムマブ(EPCAM)、アネツマブ(MSLN)、huDS6(CA6)、リファスツズマブ(NAPI2B)、サシツズマブ(TROP2)、PR1A3、ヒト化PR1A3(CEA)、ヒト化Ab2-3(CEA)、IMAB362/クラウディキシマブ(クローディン18.2)、AMG595(EGFRvIII)、ABT806(EGFRvIII)、シブロツズマブ(FAP)、DS-8895aバリアント1(EphA2)、DS-8895aバリアント2(EphA2)、抗EphA2(EphA2)、MEDI-547(EphA2)、ナルナツマブ(RON)、RG7841(LY6E)、ファルレツズマブ(FRA/葉酸受容体アルファ)、ミルベツキシマブ(FRA)、J591バリアント1(PSMA)、J591バリアント2(PSMA)、ロバルピツズマブ(DLL3)、PF-06647020(PTK7)、抗PTK7(PTK7)、ラディラツズマブ(LIV1)、シルムツズマブ(ROR1)、リツキシマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD52)、アレムツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、CT-011(PD1)、トシツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA4)、トレメリムマブ(CP-675,206)(CTLA4)、ニボルマブ(PD1)、ペムブロリズマブ(PD1)、デュルバルマブ(PDL1)抗MAGE-A3、または抗NY-ESO-1;から選択される、治療用抗体である。
【0180】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体トラスツズマブである。
【0181】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体セツキシマブである。
【0182】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体リツキシマブである。
【0183】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体ベバシズマブ(VEGF)である。
【0184】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体ギレンツキシマブ(CAIX)である。
【0185】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体ニボルマブである。
【0186】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分は、治療用抗体ペムブロリズマブである。
【0187】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分によって特異的に結合される目的の標的は、目的の細胞または組織上またはその近くの細胞表面抗原である。特定の実施形態では、目的の細胞または組織は、疾患細胞、がん細胞、免疫細胞、感染細胞、または感染因子である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分によって特異的に結合される目的の標的は、疾患関連抗原である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、がん及び/または特定の細胞型(例えば、過剰増殖細胞)に特徴的な細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、免疫系の障害に関連する細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0188】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分によって特異的に結合される目的の標的は、感染細胞上で発現する表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、病原体などの感染因子(例えば、結核、天然痘、及び炭疽菌などの細菌細胞;HIVなどのウイルス;マラリア及びリーシュマニアなどの寄生虫;真菌感染;カビ;ならびにマイコプラズマ)に特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的指向性部分によって結合される目的の標的は、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、マイコプラズマ抗原、プリオン抗原、または寄生虫抗原(例えば、哺乳動物に感染するもの)である。一実施形態では、標的指向性部分の標的は、炭疽菌、b型肝炎、狂犬病、ニパウイルス、ウエストナイルウイルス、髄膜炎ウイルス、またはCMVである。追加の実施形態では、標的指向性部分は病原体に特異的に結合する。
【0189】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、結合時にコンジュゲートを内在化しない細胞表面抗原に特異的に結合する。他の実施形態では、標的指向性部分は、結合時にコンジュゲートを内在化する細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、ネオアンチゲンなどの、特定の対象のがん(例えば、腫瘍)に由来するか、またはそのがんで発現されると判定された細胞表面抗原(複数可)に特異的に結合する。
【0190】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する。「腫瘍細胞表面抗原」(TSA)という用語は、がんなどの特定の過剰増殖性障害に共通する抗原を指す。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、腫瘍関連抗原(TAA)である腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する。TAAは、腫瘍細胞及び一部の正常細胞の両方に見られる抗原である。TAAは、免疫系が未熟であり、応答することができない場合に胎児発育中に正常細胞で発現し得るか、または、通常、非常に低レベルで正常細胞上に存在し得るが、はるかにより高いレベルで、腫瘍細胞で発現する。腫瘍の動的な性質のため、場合によっては、腫瘍細胞はある特定の段階で固有の抗原を発現する場合があり、他の段階ではまた、非腫瘍細胞でも発現する抗原を発現する。したがって、TAAとしてある特定のマーカーを含めることは、それが腫瘍特異的抗原と考えられることを排除しない。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、腫瘍特異抗原(TSA)である腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する。TSAは、腫瘍細胞に固有の抗原であり、体内の他の細胞には発生しない。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、原発性または転移性黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌(NSCLCまたはSCLCなど)、肝臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膠芽腫、神経芽腫、子宮癌、子宮頸癌、腎臓癌、甲状腺癌、膀胱癌、腎臓癌、中皮腫、及び腺癌、例として乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、及び当技術分野で知られている他のがん、を含むがこれらに限定されない、がんの表面に発現する腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、腫瘍微小環境内の細胞の表面に発現する細胞表面抗原(例えば、内皮細胞及びマクロファージにそれぞれ発現する、VEGFR及びTIE1、またはTIE2などの抗原、または腫瘍間質細胞、例として、癌関連線維芽細胞(CAF)、腫瘍浸潤T細胞及びその他の白血球、ならびにマスト細胞、好酸球、及び腫瘍関連マクロファージ(TAM)を含む骨髄細胞に発現する抗原、に特異的に結合する。
【0191】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、白血病細胞、リンパ腫細胞、膵臓癌細胞、乳癌細胞、黒色腫細胞、肺癌細胞、頭頸部癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、大腸癌細胞、腎臓癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、骨癌細胞、神経膠芽腫細胞を含む脳腫瘍細胞;またはリンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、白血病もしくは癌腫細胞上の腫瘍細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0192】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、CD5、CD19、CD20、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、CD204、CD206、CD301、CAMPATH-1、HLD-DR、癌胎児性抗原(CEA)、TAG-72、EpCAM、MUC1、MUC15、葉酸結合タンパク質、A33、G250、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、フェリチン、GD2、GD3、GM2、Ley、CA-125、CA19-9、上皮成長因子、p185HER2、IL-2受容体、テネイシン、メタロプロテイナーゼ、エンドシアリン、血管内皮増殖因子、avB3、WT1、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII、HER2/neu、MAGE A3、P53非変異体、NY-ESO-1、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、P53変異体、PR1、bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、肉腫転座ブレークポイント融合タンパク質、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP-2、フコシルGM1、メソテリン(MSLN)、PSCA、MAGE A1、MAGE-A3、sLe(動物)、CYP1B1、PLAV1、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 3、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、PDGFR-B、MAD-CT-2、ROR2、CMET、HER3、CA6、NAPI2B、TROP2、CLDN18.2、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、RON、LY6E、FRA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、Fos関連抗原1、VEGFR、エンドグリン、PDL、VTCN1、及びVISTA、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0193】
追加の実施形態では、標的指向性部分は、HER2、EGFR、CMET、HER3、MUC1、MUC16、EPCAM、MSLN、CA6、NAPI2B、TROP2、CEA、CLDN18.2、EGFRvIII、FAP、EphA2、RON、LY6E、FRA、PSMA、DLL3、PTK7、LIV1、ROR1、MAGE-A3、NY-ESO-1、エンドグリン、CD204、CD206、CD301、VTCN1、VISTA、GLP-3、CLDN6、CLDN16、UPK1B、STRA6、TMPRSS3、TMPRSS4、TMEM238、C1orf186、及びLRRC15:から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0194】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、結合後にコンジュゲートを内在化する細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、GONMB、TACSTD2(TROP2)、CEACAMS、EPCAM、葉酸受容体(例えば、葉酸受容体-α、葉酸受容体-βまたは葉酸受容体-δ)、ムチン1(MUC-1)、MUC-6、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニル酸シクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、RAAG12、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、Pカドヘリン、フィブロネクチン エクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、HER3、ErbB4、EGFR、EGFRvIII、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR6、IGFR-1、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、SMO、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD8、CD11、CD11a、CD15、CD18、CD19、CD20、CD22、CD26、CD27L、CD28、CD30、CD33、CD34、CD37、CD38、CD40、CD44、CD56、CD70、CD74、CD79、CD79b、CD98、CD105、CD133、CD138、cripto、IGF-1R、IGF-2R、EphA1 EphA受容体、EphB受容体、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA1、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB6、インテグリン(例えば、インテグリンavb3、avb5、またはavb6)、C242抗原、Apo2、PSGR、NGEP、PSCA、TMEFF2、エンドグリン、PSMA、CanAg、CALLA、c-Met、VEGFR-1、VEGFR-2、DDR1、PDGFRα、PDGFRβ、TrkA、TrkB、TrkC、UFO、LTK、ALK、Tie1、Tie2、PTK7、Ryk、TCR、NMDAR、LNGFR、及びMuSK、から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0195】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、腫瘍微小環境細胞表面抗原(ある特定の膜固定型プロテアーゼを含む)に特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的指向性部分は、内皮細胞もしくはマクロファージに発現する細胞表面抗原(例えば、VEGFR、TIE1、及びTIE2)、または腫瘍間質細胞、例としてがん関連線維芽細胞(CAF)、腫瘍浸潤T細胞及びその他の白血球、ならびにマスト細胞、好酸球、及び腫瘍関連マクロファージを含む骨髄細胞に発現する細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0196】
いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4 LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、B7-H3、BTLA、A2aR及びCD73から選択される細胞表面抗原に特異的に結合する。
【0197】
追加の実施形態では、標的指向性部分は、免疫細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、疾患、活性化、白血病性または正常である。さらなる実施形態では、標的指向性部分は、1つまたは複数の免疫細胞上で発現する細胞表面抗原に特異的に結合し、これには、限定されるものではないが、骨髄由来のリンパ球、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、樹状細胞、またはそのサブセット、が含まれ得る。いくつかの実施形態では、標的指向性部分は、リンパ系もしくは骨髄系起源の免疫細胞上に、例としてT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、または樹状細胞などの上に発現する細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、巨核球、血小板、赤血球、マスト細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはそれらのサブセット上に見出される。
【0198】
さらなる実施形態では、標的指向性部分は、抗原提示細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的指向性部分は、OX40L、4-1BBL、MARCO、DC-SIGN、デクチン1、デクチン2、DEC-205、CLEC5A、CLEC9A、CLEC10A、CLEC12A、CD1A、CD16A、CD32A、CD32B、CD36、CD40、CD47、CD64、CD204、CD206、HVEM、PDL1、マンノーススカベンジャー受容体1、及びBDCA2から選択される抗原に特異的に結合する。
【0199】
リンカー
いくつかの実施形態では、標的オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的指向性部分とオリゴ-HES複合体のオリゴヌクレオチドとを接続するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~30個、1~20個、1~10個、または1~5個のオリゴ-HES複合体をT-オリゴ-HES複合体の標的指向性部分に接続する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを標的指向性部分に接続する複数のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを標的指向性部分に接続する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1~10、1~15、または1~20個のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを標的指向性部分に接続する1~30、1~20、1~10、または1~5個のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーのうちの1、2、3、4個、またはそれ以上が異なっている。いくつかの実施形態では、リンカーのうちの1、2、3、4個、またはそれ以上、またはすべてが同じである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドをT-オリゴ-HESコンジュゲート中の標的指向性部分に接続するリンカーのうちの1、2、3、4個、またはそれ以上、またはすべてが同じである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドをT-オリゴ-HESコンジュゲート中の標的指向性部分に接続するリンカーの1、2、3、4個、またはそれ以上が異なっている。
【0201】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、T-オリゴ-HESコンジュゲートに含まれるオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間にリンカーを含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間に複数のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1~10、1~15、または1~20個のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間のリンカーのうちの1、2、3、4個、またはそれ以上、またはすべてが同じである。いくつかの実施形態では、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間のリンカーのうちの1、2、3、4個、またはそれ以上が異なっている。
【0202】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的指向性部分とコンジュゲートのオリゴヌクレオチドとを接続するリンカーを含み、コンジュゲートはまた、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間にリンカーを含む。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的指向性部分とコンジュゲートのオリゴヌクレオチドとを接続する複数のリンカーを含み、コンジュゲートはまた、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチド間に複数のリンカーを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、単一のヌクレオチド配列として本明細書に記載のリンカーのいずれかに連結されたオリゴ-HES-コンジュゲートの提供された標的指向性部分をコードするベクターが提供され、これを使用して、そのような標的指向性部分-リンカー複合体を調製することができる。
【0204】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さにより、標的指向性部分及びT-オリゴ-HESコンジュゲートが目的の細胞表面抗原(例えば、本明細書に記載のがん表面抗原、免疫細胞表面抗原、または感染因子表面抗原)に効率的に結合することが可能になる。好ましくは、リンカーの長さは、T-オリゴ-HESコンジュゲート中の標的指向性部分とオリゴ-HES複合体との間の間隔を最適化し、別様にリンカー機能を最適化する。
【0205】
T-オリゴ-HESコンジュゲートは、様々なリンカー配列を含有することができ、各T-オリゴ-HESコンジュゲートは、異なる組成を含有する異なるリンカーを含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドをコンジュゲートの標的指向性部分に接続するリンカーは、長さが15~30アミノ酸残基の直鎖状ペプチドであってもよく、一方、コンジュゲートのオリゴ-HES複合体におけるオリゴヌクレオチド間のリンカーは、C2~6、C10、またはC18直鎖アルキルなどの直鎖または分岐鎖アルキルであり得る)。
【0206】
種々の実施形態では、リンカーは、天然に存在するマルチドメインタンパク質に由来し得るか、または例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるChichili et al., Protein Sci. 22(2):153-167 (2013), Chen et al., Adv Drug Deliv Rev. 65(10):1357-1369 (2013)に記載される経験的リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる、Chen et al., Adv Drug Deliv Rev. 65(10):1357-1369 (2013), and Crasto et al., Protein Eng. 13(5):309-312 (2000)に記載されているものなどの、リンカー設計データベース及びコンピュータプログラムを使用して設計される。種々の実施形態では、リンカーは機能的であり得る。例えば、これらに限定されないが、リンカーは、フォールディング及び/または安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/またはT-オリゴ-HESコンジュゲートの生物活性を改善するように機能し得る。
【0207】
リンカー(複数可)は直鎖状または分岐鎖状であり得る。特定の実施形態では、望ましくないホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性架橋剤が使用される。
【0208】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ペプチドリンカー(例えば、標的指向性部分とオリゴ-HES複合体のオリゴヌクレオチドとを接続するペプチドリンカー)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、50未満のアミノ酸残基の長さである。例えば、ペプチドリンカーは、長さが50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3未満のアミノ酸残基であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが2~50、2~40、2~30、または2~20、2~15、または2~10のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが最大15または最大30のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが5~50、10~40、または15~30のアミノ酸残基である。さらなる実施形態では、リンカーは、直鎖状ペプチド(例えば、長さが最大15、最大30、5~50、10~40、または15~30アミノ酸残基の直鎖状ペプチド)である。
【0209】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的指向性リガンド(例えば、抗体)と剛性リンカーアームを提供するプロテアーゼ基質との間にプロテアーゼ基質-治療用オリゴコンジュゲート連結アーム(カーゴ-プロジェクションアーム)(Cargo-Projection Arm)リンカーアームを含む。いくつかの実施形態では、リンカーアームは、配列5’-CUCUCCTTCTAGCCTCCGCTAGTCAAAAUU-3’(配列番号80)を含む。さらなる実施形態では、リンカーアームは、配列5’-[C6アミノリンカーアーム]-CUCUCCTTCTAGCCTCCGCTAGTCAAAAUU[C6アミノリンカーアーム]-3’(配列番号80)を含む。さらなる実施形態では、リンカーアームのヌクレオチドは、配列5’-[C6アミノリンカーアーム]-CUCUCCTTCTAGCCTCCGCTAGTCAAAAUU[C6アミノリンカーアーム]-3’(配列番号80)を含み、これは、オリゴのそれぞれの結合においてホスホロチオエート主鎖である。さらなる実施形態では、リンカーアームのヌクレオチドは、配列5’-[C6アミノリンカーアーム]-CUCUCCTTCTAGCCTCCGCTAGTCAA[C6アミノリンカーアーム]-3’(配列番号80)を含み、これは、オリゴの各結合におけるホスホロチオエート主鎖であり、は糖の2’OH基上の2’OMe修飾を示す。いくつかの実施形態では、オリゴリンカーアームは、配列5’-ATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGA-3’(配列番号81)を有するセンス鎖をさらに含む。理論に束縛されることを望むものではないが、リンカーアーム、すなわち抗体とプロテアーゼ基質との間のカーゴプロジェクションアームに対するこのセンス鎖の存在は、アームの剛性を増大し、それによってプロテアーゼ基質を標的細胞膜に向かって突出させ、そうして、細胞表面に発現したプロテアーゼが、標的リガンド(抗体など)に結合した基質を認識して切断できるようにする。それにより、プロテアーゼ基質ペプチドの半分を有する治療用オリゴヌクレオチドが抗体から放出される。
【0210】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートのリンカーは切断不可能である。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、切断可能な1つまたは複数のリンカー及び切断不可能な1つまたは複数のリンカーを含む。
【0211】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、細胞外プロテアーゼなどの少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、P1-P1’残基を含有し、ループ構造を有するプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列を有する。目的のプロテアーゼの基質である好適なアミノ酸配列は、さまざまな既知の技術のいずれかを使用して定型的に同定することができる。例えば、ペプチド基質は、米国特許第7,666,817号、同第8,563,269号、及び国際公開番号WO2014/026136に記載される方法を用いて同定が可能であり、これらのそれぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。(Boulware et al. Biotechnol Bioeng. 106(3): 339-346 (2010))も参照のこと)。
【0212】
特定の実施形態では、リンカーは、立体配座依存性切断部位を含むペプチドである。この立体配座依存性切断プロテアーゼ基質は、直鎖状配列プロテアーゼ切断部位と比較して特異性及び感受性の増加をもたらす明確な二次構造を提供すると考えられている。後者は、少量の標的プロテアーゼで基質の切断が可能になる。
【0213】
さらなる特定の実施形態では、リンカーは、本明細書にさらに記載されるように、剛性であり、プロテアーゼが局在する標的細胞表面に対し抗体から外側にプロテアーゼ基質を物理的に露出させると考えられるカーゴプロジェクションアームを含む。
【0214】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、疾患組織において活性である少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。例えば、いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、活性であり、及び/またはT-オリゴ-HESコンジュゲートの標的指向性部分によって特異的に結合される細胞表面抗原を発現する細胞と共局在する(例えば、腫瘍及び/または腫瘍微小環境において)少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、炎症においてアップレギュレートされるか、またはアップレギュレートされると考えられる少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、自己免疫においてアップレギュレートされるか、またはアップレギュレートされるかもしくは別様に無制御であると考えられる少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、がんにおいてアップレギュレートされるか、またはアップレギュレートされるかもしくは別様に無制御であると考えられる少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP1~3、MMP7~17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27)、トロンビン、エラスターゼ(例えば、ヒト好中球エラスターゼ)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン及びクルジパイン)、セリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンC、及びDESC1、FAP、マトリプターゼ-2、MT-SP1/マトリプターゼ、及びTMPRSS2-4などのII型膜貫通セリンプロテアーゼ(TTSP))、ウロキナーゼ(uPA)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、BACE及びレニン);アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD)、及びスレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、ヘプシン(HPN)、フリン、マトリプターゼ、マトリプターゼ-2、ゼラチナーゼ(例えば、ゼラチナーゼA(MMP 2)、及びプロゼラチナーゼB(MMP 9)及びプロゼラチナーゼA)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(CAP2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、カリクレイン関連ペプチダーゼ(KLKファミリー)、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK10、KLK11、KLK13、及びKLK14、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、ADAMTS1、ADAMTS4、及びADAMTS5から選択されるトロンボスポンジンモチーフ(ADAMTS)を有する少なくとも1つのADAMの基質であるアミノ酸配列を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、(a)MMP9;(b)MMP14;(c)MMP1、MMP2(例えばゼラチナーゼA)、MMP3、MMP7、MMP8、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、及びMMP27;(d)セリンプロテアーゼ(例えば、MT-SP1及びuPA);(e)システインプロテアーゼ;(f)(a)~(c)を含むメタロプロテアーゼ;(g)アスパルチルプロテアーゼ;及び(h)スレオニンプロテアーゼ、から選択される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、少なくとも1つのMMMPの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、MMP9またはMMP14の基質であるアミノ酸配列を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ADAMS/ADAMTS(例えば、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAMDEC1、ADAMTS1、ADAMTS4、ADAMTS5);カテプシンE);カスパーゼ(例えば、カスパーゼ1-10、及びカスパーゼ14);システインカテプシン(例えば、カテプシンB、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンV/L2、及びカテプシンX/Z/P);KLK(例えば、KLK4-8、KLK10、KLK11、KLK13、及びKLK14);メタロプロテイナーゼ(例えば、メプリン、ネプリライシン、PSMA、及びBMP1);カテプシンA、キマーゼ、凝固因子プロテアーゼ(例:FVIIa、FIXa、FXa、FXIa、及びFXIIa);グランザイムB;グアニジノベンゾアターゼ;HtrAl;ラクトフェリン;マラプシン;NS3/4A;PACE4;プラスミン;PSA、tPA;トリプターゼ;DPP-4;及びヘプシン、から選択される少なくとも1つの酵素またはプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。
【0220】
プロテアーゼの切断部位を含有する基質に好適なアミノ酸配列は当技術分野で知られており、本明細書で提供される切断可能なリンカーの配列に含めることができる。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、それぞれの内容は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、国際出願公開番号WO2019018828A1(例えば、段落105~117、及び表4、表6、68ページ、及び配列識別子番号393(356~423、680~698、713、714、789~808、及び1037)のそれぞれに対応する基質配列を参照のこと)、及びWO2016/179285(例えば、40~47ページを参照のこと)、に開示されたプロテアーゼ基質のアミノ酸配列を含む切断可能なリンカーを含有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、免疫補体系(補体カスケード)の酵素、例として、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、及びプラスミンであるが、これらに限定されないもの、によって切断されるリンカーを含有する。これらのコンジュゲートの標的指向性部分は、好ましくは、補体を活性化できる抗体を含有し、コンジュゲート中の抗体は、抗原に結合する能力と補体カスケードを活性化する能力の両方を保持する。一実施形態によれば、オリゴ-HES複合体は、補体による切断を受けやすいリンカーを介して抗体にコンジュゲートされる。したがって、これらのコンジュゲートが補体の存在下で抗原に結合すると、リンカーが切断され、オリゴ-HES複合体がコンジュゲートから放出される。したがって、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、補体カスケードを活性化し、標的部位でオリゴ-HES複合体を放出する。別の実施形態では、オリゴ-HES複合体は、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、プラスミン、またはトリプシンなどのタンパク質分解活性を有する酵素による切断を受けやすいリンカーを介して付着/コンジュゲートされる。
【0222】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、細胞内環境(例えば、リソソームもしくはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断剤によって切断可能なリンカーを含む。このリンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含むが、これらに限定されない細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、長さが少なくとも2または3アミノ酸残基のペプチドである。切断剤は、カテプシンB及びDならびにプラスミンを含み得、これらのすべてがジペプチド薬物誘導体を加水分解して、標的細胞内での活性薬物の放出をもたらすことが知られている(例えば、Dubowchik and Walker, Pharm. Therapeutics 83:67-123 (1999) を参照のこと)。最も典型的なものはペプチジルリンカーである。特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、がん組織で高度に発現しているカテプシン-Bによって切断可能である。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列Phe-LeuまたはGly-Phe-Leu-Gly(配列番号9)、または本明細書に組み込まれる、米国特許第6,214,345号に開示されているカテプシンB切断可能アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、リンカーは、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysリンカーである(例えば、米国特許第6,214,345号を参照のこと)。
【0223】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、pH感受性切断可能リンカー、すなわち、ある特定のpH値での加水分解に感受性のリンカーを含有する。典型的には、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解性である。例えば、リソソーム中で加水分解性である酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用することができる。(例えば、米国特許第5,122,368号;同第5,824,805号;同第5,622,929号;Dubowchik and Walker, Pharm. Therapeutics 83:67-123 (1999);及びNeville et al., Biol. Chem. 264:14653-14661 (1989)を参照のこと)。このようなリンカーは、血液中などの中性pH条件下では比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0未満では不安定である。ある特定の実施形態では、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して標的指向性部分に付着したチオエーテルなど)である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照のこと)。
【0224】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、還元条件下で切断可能なリンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)を含有する。様々なジスルフィドリンカーが当技術分野で知られており、例えば、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP (N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB (N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)、及びSMPT (N-スクシンイミジル-オキシカルボニル) -α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)-、SPDB及びSMPT、を使用して形成できるもの が挙げられる。(例えば、Thorpe et al., Cancer Res. 47:5924-5931 (1987);Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987)を参照のこと ) 。米国特許第4,880,935号も参照のこと)。
【0225】
他の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、マロネートリンカー(Johnson et al., Anticancer Res. 15:1387-93 (1995))、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al., Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304 (1995))、または3’-N-アミド類似体(Lau et al., Bioorg-Med-Chem. 3(10):1305-1312 (1995))を含有する。
【0226】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アミノ末端残基またはカルボキシル末端残基にコンジュゲートされたH-二量体形成フルオロフォアを有するリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ末端残基及びカルボキシル末端残基にコンジュゲートしたH-二量体形成フルオロフォアを有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、ペプチドのアミノ末端及びカルボキシル末端にスルフヒドリルまたはアミノ官能基を有する。
【0227】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、オリゴ-HES複合体が標的に送達されるが放出されないように設計され得る。これは、オリゴ-HES複合体を標的指向性部分に直接または切断不可能なリンカーを介して付着させることによって達成することができる。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、切断不可能なリンカーを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的指向性部分に直接連結されたオリゴ-HES複合体を含有する。
【0228】
これらの切断不可能なリンカーは、アミノ酸、ペプチド、D-アミノ酸、または修飾されて、本明細書に記載の方法によるABへの付着に後で利用することができる官能基を含むことができる他の有機化合物を含み得る。
【0229】
好ましくは、T-オリゴ-HESコンジュゲートのリンカーは、正常な血漿環境に対して実質的に感受性ではない。本明細書で使用される場合、リンカーとの関係における「正常な血漿環境に対して実質的に感受性ではない」とは、標的化オリゴ-HESコンジュゲート化合物が正常な対象の血漿中に存在する場合、試料中の、標的化オリゴ-HESコンジュゲート化合物のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、さらにより典型的には、約5%以下、約3%以下、または約1%以下が切断されることを意味する。リンカーが正常な血漿環境に対して実質的に感受性ではないかどうかは、例えば、標的化オリゴ-HESコンジュゲートを所定の時間(例えば、2、4、8、16、または24時間)血漿とインキュベートし、次に、血漿中の遊離オリゴ-HES複合体の量を定量化することによって決定することができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、AB上の複数の部位での単一部位リンカーの付着によって、より高い比活性(またはABに対する薬剤のより高い比率)を達成することができる。この複数の部位は、2つの方法のいずれかによってABに導入され得る。第1に、同じAB内に複数のアルデヒド基及び/またはスルフヒドリル基を生成することができる。第2に、ABのアルデヒドまたはスルフヒドリルに、その後のリンカーへの付着のための複数の官能性部位を有する「分岐鎖リンカー」を付着させることができる。分岐鎖リンカーまたは多部位リンカーの官能性部位は、アルデヒドまたはスルフヒドリル基であってもよく、またはリンカーが付着することができる任意の化学部位であってもよい。この2つのアプローチを組み合わせること、つまり複数の部位を付着させることで、さらに高い比活性が得られる場合がある。加えて、薬剤は、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子上のジスルフィド結合)を介してABに付着することができる。多くの腫瘍は高レベルのグルタチオン(還元剤)を天然に放出するため、これによりジスルフィド結合が還元され、その後送達部位で薬剤が放出され得る。いくつかの実施形態では、CMを修飾する還元剤は、コンジュゲートされた活性化可能抗体のリンカーも修飾する。
【0231】
製造方法:
本開示は、オリゴ-HES複合体を標的指向性部分にコンジュゲートするためのいくつかの方法、例えば、(a)標的指向性部分(例えば、抗体)の炭水化物部分への付着、(b)標的指向性部分(例えば、抗体)のスルフヒドリル基への付着、(c)標的指向性部分(例えば、抗体)のアミノ基への付着、及び(d)標的指向性部分(例えば、抗体)のカルボキシレート基への付着、を利用する。本開示によれば、標的指向性部分は、1つは標的指向性部分と反応し、もう1つはオリゴ-HES複合体と反応する少なくとも2つの反応性基を有する中間リンカーを介して、オリゴ-HES複合体に共有結合されてもよい。任意の適合性有機化合物を含むことができるリンカーは、標的指向性部分及びオリゴ-HES複合体との反応が、標的指向性部分の反応性及び選択性、またはオリゴ-HES複合体の活性に悪影響を及ぼさないように選択することができる。
【0232】
酸化抗体または酸化抗体断片などの酸化ポリペプチド標的指向性部分との反応に好適なリンカーとしては、第一級アミン、第二級アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミカルバジド基からなる群から選択されるアミンを含有するものが挙げられる。そのような反応性官能基は、リンカーの構造の一部として存在し得るか、またはそのような基を含有しないリンカーの好適な化学修飾によって導入され得る。
【0233】
還元抗体または還元抗体断片などの還元ポリペプチド標的指向性部分との反応に好適なリンカーには、還元抗体または断片のスルフヒドリル基と反応することができるある特定の反応基を有するリンカーが含まれる。そのような反応性基には、反応性ハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を含む)、p-メルクリベンゾエート基、及びマイケル型付加反応が可能な基(例えば、マレイミド及びMitra and Lawton, 1979, J. Amer. Chem. Soc. 101: 3097-3110)によって記載されたタイプの基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0234】
抗体または抗体断片などの酸化も還元もされないポリペプチドへの付着に好適なリンカーには、標的指向性部分の非修飾リジン残基に存在する一級アミノ基と反応することができるある特定の官能基を有するリンカーが含まれる。そのような反応性基には、NHSカルボン酸または炭酸エステル、スルホ-NHSカルボン酸または炭酸エステル、4-ニトロフェニルカルボン酸または炭酸エステル、ペンタフルオロフェニルカルボン酸または炭酸エステル、アシルイミダゾール、イソシアネート、及びイソチオシアネートが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、好適なリンカーには、好適な試薬で活性化された、標的指向性部分のアスパルテート残基またはグルタメート残基に存在するカルボン酸基と反応することができるある特定の官能基を有するリンカーが含まれる。好適な活性化試薬には、NHSまたはスルホ-NHSを加えたまたは加えていないEDC、及びカルボキサミド形成に利用される他の脱水剤が含まれる。これらの場合、好適なリンカーに存在する官能基には、第一級及び第二級アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、及びヒドラジドが含まれる。
【0235】
オリゴ-HES複合体は、リンカーを標的指向性部分に付着させる前または付着させた後に、リンカーに付着させることができる。ある特定の用途では、リンカーがオリゴ-HES複合体を含まない標的指向性部分-リンカー中間体を最初に生成することが望ましい場合がある。特定の用途に応じて、オリゴ-HES複合剤をリンカーに共有結合させることができる。
【0236】
治療方法:
本開示はまた、T-オリゴ-HESコンジュゲート、及びコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドによってコードまたは制御される核酸及びタンパク質を調節するための方法も提供する。特定の実施形態では、本開示は、インビボで対象の標的化または局在化細胞(複数可)におけるmRNA、低分子非コードRNA(例えば、miRNA)、遺伝子、またはタンパク質のレベル、発現、プロセシングまたは機能を調節するための組成物及び方法を提供する。
【0237】
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することによって、インビボでオリゴヌクレオチドを細胞にターゲティング及び送達する方法を提供する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、治療用オリゴヌクレオチドである。
【0238】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、組成物、例として、(a)生理学的条件下で標的核酸配列とハイブリダイズ可能な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、及び(b)標的核酸を含有する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。
【0239】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする対象へのオリゴヌクレオチドの標的化及び/または局所送達のための方法を提供する。特定の実施形態では、方法は、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含み、コンジュゲートは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)または標的遺伝子を調節するのに十分な治療有効量のオリゴヌクレオチド、及び標的RNAまたは標的遺伝子を含有する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含有する。
【0240】
一実施形態によれば、本開示は、対象における標的核酸を調節する方法であって、T-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、複合体のオリゴヌクレオチドは、核酸に特異的にハイブリダイズして核酸のレベルを調節するか、またはそのプロセシングもしくは機能を妨害する、標的核酸に実質的に相補的な配列を含み、コンジュゲートは、標的核酸を含有する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含有する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、標的核酸はRNAであり、さらなる実施形態では、RNAはmRNAまたはmiRNAである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、対象の1つまたは複数の細胞または組織において、標的RNAのレベルを少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、標的核酸はDNAである。
【0241】
一実施形態によれば、本開示は、対象におけるタンパク質を調節する方法であって、T-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、複合体のオリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードするか、またはタンパク質の転写、翻訳、産生、プロセシングまたは機能に影響を与える核酸に実質的に相補的な配列、及びタンパク質が調節される細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはRNAに特異的にハイブリダイズする。さらなる実施形態では、RNAは、mRNAまたはmiRNAである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、対象の1つまたは複数の細胞または組織において、タンパク質または標的RNAのレベルを、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはDNAに特異的にハイブリダイズする。
【0242】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、アプタマー、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現できるプラスミドから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAまたはRNAをコードする配列に特異的にハイブリダイズする。その他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAをコードするDNA配列またはその調節配列に特異的にハイブリダイズする。
【0243】
追加の実施形態では、核酸またはタンパク質の発現は、それを必要とする対象に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及び核酸またはタンパク質が調節される細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって、対象において調節される。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAに結合した場合、RNAse Hの基質である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。本明細書で使用される場合、「ギャップマー」は、2つの外部隣接領域(「ウイング」または「ウイングセグメント」とも称される)の間に位置する中央領域(「ギャップ」叉は「ギャップセグメント」とも称される)を有するアンチセンス化合物を指す。領域は、それぞれの異なる領域を構成する糖部分のタイプにより区別される。ギャップマーの領域を区別するために使用される糖部分のタイプとしては、いくつかの実施形態では、β-D-リボヌクレオシド、β-D-デオキシリボヌクレオシド、2’-修飾ヌクレオシド(そのような2’-修飾ヌクレオシドとして、例えば、特に、2’-MOE、2’-フルオロ及び2’-O--CH3などを挙げることができる)、及び二環式糖修飾ヌクレオシド(このような二環式糖修飾ヌクレオシドとしては、特に、LNA(商標)またはENA(商標)を挙げることができる)が挙げられる。
【0244】
いくつかの実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドの各ウイングは、同じ数のサブユニットを含む。他の実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドの一方のウイングは、ギャップマーの他方のウイングとは異なる数のサブユニットを含む。一実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドのウイングは、独立して、1~約5ヌクレオシドを有し、そのうち1,2、3、4または5のウイングヌクレオシドは糖修飾ヌクレオシドである。一実施形態では、中央またはギャップ領域は、8~25のβ-D-リボヌクレオシドまたはβ-D-デオキシリボヌクレオシドを含む(すなわち、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、24または25ヌクレオシドである)。さらなる実施形態では、中央またはギャップ領域は、17~24のヌクレオチドを含む(すなわち、長さが17、18、19、20、21、22、23または24のヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルヌクレオチド間連結、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、またはホスホジエステルヌクレオチド間連結とホスホロチオエートヌクレオチド間連結との組み合わせを含む。特定の実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドの中央領域は、少なくとも2、3、4、5、もしくは10の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。特定の実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドの中央領域は、少なくとも10のβ-D-2’-デオキシ-2’-フルオロリボフラノシルヌクレオシドを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの中央領域中の各ヌクレオシドは、β-D-2’-デオキシ-2’-フルオロリボフラノシルヌクレオシドである。一実施形態では、ギャップマーオリゴヌクレオチドは、標的RNAとの長さ相補性にわたって完全に相補的である。一実施形態では、ギャップマーの一方または両方のウイングは、少なくとも1つの2’修飾ヌクレオシドを含有する。一実施形態では、ギャップマーの一方または両方のウイングは、1、2または3個の2’-MOE修飾ヌクレオシドを含有する。一実施形態では、ギャップマーの一方または両方のウイングは、1、2または3個の2’-OCH3修飾ヌクレオシドを含有する。別の実施形態では、ギャップマーの一方または両方のウイングは、1、2または3個のLNAまたはアルファ-LNAヌクレオシドを含有する。いくつかの実施形態では、ギャップマーのウイング中のLNAまたはアルファLNAは、LNAの6’(2’,4’-拘束-2’-O-エチルBNA,S-cEt)または5’位(-5’-Me-LNAまたは-5’-Me-アルファLNA)に(R)または(S)配置で1つもしくは複数のメチル基を含むか、またはLNAもしくはアルファLNA中の2’-酸素原子の代わりに置換された炭素原子を含有する。さらなる実施形態では、ギャップマー中のLNAまたはアルファLNAは、5’位に立体バルク部分(例えば、メチル基)を含有する。さらなる実施形態では、ギャップは、少なくとも1つの2’フルオロ修飾ヌクレオシドを含む。追加の実施形態では、ウィングは、長さがそれぞれ2または3ヌクレオシドであり、ギャップ領域は、長さが19ヌクレオチドである。追加の実施形態では、ギャップマーは、少なくとも1つの5-メチルシトシンを有する。
【0245】
別の実施形態では、中央領域(ギャップ)のヌクレオシドは、外部ウイング領域の一方または両方の糖部分とは異なる均一な糖部分を含有する。1つの非限定的な例において、ギャップは、第1の2’-修飾ヌクレオシドから均一に構成され、ウイングのそれぞれは、第2の2’-修飾オリゴヌクレオシドから均一に構成される。例えば、一実施形態では、中央領域は、それぞれが2つの2’-MOE修飾ヌクレオチド(2’-MOE/2’-F/2’-MOE)を有する外部領域が各末端に隣接する2’-F修飾ヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、ギャップマーは、ISIS 393206である。別の実施形態では、中央領域は、それぞれが2つの2’-MOE修飾ヌクレオチド(2’-MOE/2’-F/2’-MOE)を有する外部領域が各末端に隣接する2’-F修飾ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、外部領域はそれぞれ、ギャップマーのウィングに2つのLNAまたはαLNA修飾ヌクレオチドを有する。さらなる実施形態では、LNAまたはアルファLNA修飾ヌクレオチドは、LNAの6’(2’,4’-拘束-2’-O-エチルBNA,S-cEt)または5’位(-5’-Me-LNAまたは-5’-Me-アルファLNA)に(R)または(S)配置で1つもしくは複数のメチル基を含むか、あるいはLNAもしくはアルファLNA中の2’-酸素原子の代わりに置換された炭素原子を含有する。
【0246】
別の実施形態では、本開示は、疾患または障害の治療のための組成物の製造におけるT-オリゴ-HESコンジュゲートの使用を提供する。別の実施形態では、本開示は、miRNAまたはmiRNAファミリーに関連する状態のうちの1つまたは複数を治療するための組成物の製造におけるT-オリゴ-HESコンジュゲートの使用を提供する。
【0247】
一実施形態によれば、本方法は、標的遺伝子またはRNA(例えば、mRNA及びmiRNA)発現を調節するのに十分な、本明細書で提供される治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与するか、または対象に接触させ、それにより、疾患または障害に関連する1つまたは複数の状態または症状を治療するステップを含む。本明細書で提供される例示的な化合物は、遺伝子、mRNA、または低分子非コードRNA標的の発現、活性、または機能を効果的に調節する。好ましい実施形態では、低分子非コードRNA標的は、miRNA、pre-miRNA、またはポリシストロン性もしくはモノシストロン性pri-miRNAである。追加の実施形態では、低分子非コードRNA標的は、miRNAファミリーの単一メンバーである。さらなる実施形態では、miRNAファミリーの2つ以上のメンバーが調節のために選択される。
【0248】
追加の実施形態では、本開示は、対象における標的核酸の活性を阻害する方法であって、核酸を含むかまたはコードする核酸を標的とし、核酸のレベルを低下させ、及び/または細胞内でのその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、コンジュゲートは、標的核酸の活性が阻害される細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分をさらに含む、方法を提供する。
【0249】
特定の実施形態では、標的核酸は、miRNAなどの低分子非コードRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示は、標的RNAの発現を低下させる必要がある対象において、前記標的RNAの発現を低下させる方法であって、前記対象にアンチセンスT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、複合体中のオリゴヌクレオチドは、前記標的mRNAに結合した場合、RNAse Hの基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。本明細書で開示されるように、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、血清半減期の増加を示す。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにおけるオリゴヌクレオチドの血清半減期は、10分を超える。追加の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにおけるオリゴヌクレオチドの血清半減期は、20、30、40、50、60、90、120、180または200分を超える。追加の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにおけるオリゴヌクレオチドの血清半減期は、30~300分、30~200分、または30~120分である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドの血清半減期は、血清単独中の裸のオリゴヌクレオチド(すなわち、HESを含有しないオリゴヌクレオチド成分)の血清半減期の1.5~4倍、2~4倍、または3~4倍である。他の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドの血清半減期は、血清単独中の裸のオリゴヌクレオチドの血清半減期よりも少なくとも1、2、3、または4時間長い。血清半減期を決定するための技術及び方法は、当技術分野で一般に知られている。
【0251】
追加の実施形態では、本開示は、標的RNAの発現の低下を必要とする対象において標的RNAの発現を低下させる方法であって、前記対象に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを前記対象に投与することを含み、アンチセンス配列は、標的RNAに特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的RNAに結合した場合にRNAse Hの基質であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。
【0252】
別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含む。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(例えば、PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズ可能である。追加の実施形態では、オリゴ-HES複合体配列中のオリゴヌクレオチドは、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズ可能である。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチド-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列(すなわち、mRNA中のmiRNA 3’UTR標的部位)を標的とするように設計される。このような例の1つは、「miR-マスク」または「標的プロテクター」であり、これらは、標的mRNA上のmiRNA結合部位へのmiRNAのアクセスを覆う、特異的標的mRNAの3’-UTR中の予想されるmiRNA結合部位に対して完全に相補的である1本鎖2’-O-メチル-修飾(または他の化学修飾)アンチセンスオリゴヌクレオチドである(例えば、Choi et al., Science 318:271 (2007));Wang, Methods Mol. Biol. 676:43 (2011)、を参照のこと)。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチド-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるmRNA中の3’非翻訳配列を模倣するように設計される。このような例の1つが、「miRNAスポンジ」、すなわち、内因性miRNAの複数のタンデム結合部位を発現する競合的miRNA阻害導入遺伝子であり、これは、対応するmiRNAと安定に相互作用し、内因性標的mRNAと標的miRNAとの会合を防ぐ。追加の実施形態では、核酸はmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、から成る群から選択されるRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズ可能である。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0253】
別の実施形態では、本開示は、タンパク質の産生を阻害する方法であって、タンパク質をコードする核酸を標的とするか、または対象におけるタンパク質の内因性発現、プロセシングもしくは機能を低下させるオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、タンパク質産生が阻害される細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードする核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本開示は、標的RNAを発現する細胞を、標的RNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートと接触させることにより、細胞内の標的細胞RNAまたは対応するタンパク質の量を減少させる方法であって、標的RNAまたは対応するタンパク質の量が減少する、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、標的細胞RNAまたはタンパク質が減少する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAまたはmiRNAである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、デコイ、アプタマー、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNA、miRNA、抗miRNA、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。
【0255】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAに結合した場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。
【0256】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロジアミデートモルホリノを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、標的RNAはmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択されるmRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0257】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0258】
追加の実施形態では、本開示は、標的RNAの発現の低下を必要とする対象において標的RNAの発現を低下させる方法であって、標的RNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、対象の細胞または組織における標的RNAの発現は減少する、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、標的RNA発現が低下する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAまたはmiRNAである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アプタマー、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。
【0259】
特定の実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。
【0260】
別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドのそれぞれは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含有する。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、標的RNAはmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、から成る群から選択される標的mRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0261】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0262】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与して、腫瘍細胞に対し増殖の利点を提供するか、または微生物の複製を強化する標的核酸(例えば、遺伝子、mRNAまたはmiRNA)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの標的化及び/または局所送達を提供する。他の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、疾患に関与しているとされるタンパク質(例えば、タンパク質バリアント)をコードするmRNA配列を標的とするアンチセンス、siRNA、shRNA、ダイサー基質またはmiRNAの標的化及び/または局所送達を提供するために投与される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、特異的核酸配列を生細胞に送達して、例えば、異常な遺伝子発現に起因する病的状態に苦しむ生物における遺伝子をサイレンシングするための、標的化及び/または局所化インビボ送達システムを提供する。
【0263】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞中の目的のポリペプチドの量を減少させる方法であって、ポリペプチドまたはその相補体をコードする核酸を発現する細胞を、ポリペプチドをコードするDNAまたはmRNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートと接触させて、目的のポリペプチドの発現を低下させることを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、ポリペプチドの量が減少している細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAを発現することができるプラスミド、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから選択され、オリゴヌクレオチドは、ポリペプチドまたはその相補体をコードする核酸に特異的にハイブリダイズして、こうしてポリペプチドの発現が低下する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、複合体は二本鎖RNA(dsRNA)を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾オリゴヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’修飾(例えば、2’-フルオロ、2-OME及び2-メトキシエチル(2-MOE))、ロックド核酸(LNA及びアルファLNA)、PNAモチーフ及びモルホリノモチーフ、から選択される少なくとも1つの修飾オリゴヌクレオチドモチーフを含む。
【0264】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドはアンチセンス配列であり、標的RNAに結合した場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、ギャップマーは、キメラオリゴヌクレオチドであるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、キメラオリゴヌクレオチドは、5’及び3’ウイングセグメントの間に位置する2’-デオキシヌクレオチド中央ギャップ領域を含む。ウイングセグメントは、少なくとも1つの2’-修飾糖を含有するヌクレオシドを含有する。ウイングセグメントは、2’-O-メトキシエチル糖部分または二環式核酸糖部分から選択される少なくとも1つの2’糖部分を含有するヌクレオシドを有する。いくつかの実施形態では、ギャップセグメントは、長さが10の2’-デオキシヌクレオチドであり得、ウイングセグメントのそれぞれは、長さが5の2’-O-メトキシエチルヌクレオチドであり得る。キメラオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結から均一に構成され得る。さらに、キメラオリゴヌクレオチドの各シトシンは、5’-メチルシトシンであってもよい。
【0265】
別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含有する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含有する。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択される標的mRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0266】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0267】
追加の実施形態では、本開示は、対象における標的核酸の活性を増加させる方法であって、核酸を含むかもしくはコードするか、または核酸の内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させる(例えば、核酸をコードする遺伝子の制御配列に結合することにより)、及び細胞内で核酸のレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、核酸の活性が増加している細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸を含むかまたはコードする核酸と実質的に同じ配列を含む。
【0268】
別の実施形態では、本開示は、タンパク質の産生を増加させる方法であって、タンパク質をコードするか、または対象におけるタンパク質の内因性発現、プロセシングもしくは機能を増加させるオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードする核酸と実質的に同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードする内因性核酸配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。
【0269】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における核酸の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、核酸を含むかまたはコードする核酸を標的とし、対象における核酸のレベルを低下させる、及び/またはその機能を妨害するように作用するオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、核酸が過剰発現している細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸はDNA、mRNAまたはmiRNAであり、コンジュゲートは、タンパク質産生が阻害される細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。
【0270】
特定の実施形態では、核酸はRNAであり、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0271】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含有する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含有する。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、核酸はmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択されるmRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0272】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0273】
さらなる実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の過剰発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、タンパク質をコードする核酸を標的とするか、対象におけるタンパク質の内因性発現、プロセシング、または機能を低下させるオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含み、コンジュゲートは、タンパク質が過剰発現する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分をさらに含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA、mRNAまたはmiRNAである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アプタマー、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードする内因性核酸配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。
【0274】
特定の実施形態では、標的化核酸はRNAであり、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0275】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含む。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域内の配列に特異的にハイブリダイズ可能である。(例えば、AUG開始コドンの30ヌクレオチド以内)これにより翻訳が低減する。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、核酸はmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択されるたんぱく質をコードするmRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0276】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0277】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の異常な発現を特徴とする疾患または障害を治療する(例えば、軽減する)方法であって、タンパク質をコードするmRNAに特異的にハイブリダイズし、標的RNAのスプライシングを変更する(例えば、エキソンスキッピングを促進する)オリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、タンパク質の発現が異常である細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、2’OMEまたは2’アリルである。追加の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、LNA、アルファLNA(例えば、5’位に立体バルク部分(例えば、メチル基)を含有するLNAまたはアルファLNA)である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含有する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含有する。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択される標的mRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズ可能である。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。
【0278】
特定の実施形態では、疾患または障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メッセージスプライシングを促進するmRNA配列に特異的にハイブリダイズして、ジストロフィン遺伝子のエキソン44、45、50、51、52、53または55を「読み飛ばす」。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、メッセージスプライシングを促進するmRNA配列に特異的にハイブリダイズして、ジストロフィン遺伝子のエキソン51を「読み飛ばす」。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、AVI-4658(AVI Biopharma)である。他の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、AVI-4658と結合するジストロフィンmRNAについて競合する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、エテプリルセン(eteplirsen)またはドリサペルセン(drisapersen)である。他の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、エテプリルセンまたはドリサペルセンと結合するジストロフィンmRNAについて競合する。
【0279】
本開示のさらなる実施形態は、疾患または障害の診断を受けた対象を選択すること、疾患もしくは障害またはそれに関連する状態に関連するタンパク質に会合するかまたはタンパク質をコードすると考えられる核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与すること、及び対象における疾患の進行を監視すること、を含む方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、核酸を含有する細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、核酸は、DNA、mRNAまたはmiRNAである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アプタマー、デコイ、及びアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。
【0281】
特定の実施形態では、核酸はRNAであり、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0282】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドはすべて、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含む。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択されるmRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miRNAのヌクレオチド1~10(すなわちシード領域)に特異的にハイブリダイズするか、またはオリゴヌクレオチドが結合するとmiRNAプロセシングを遮断するmiRNA前駆体(pre-miRNA)または一次miRNA(pri-miRNA)の中の配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0283】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0284】
別の実施形態では、本開示は、タンパク質の過剰発現と相関する疾患または障害に罹患している対象において疾患の進行を遅らせる方法であって、タンパク質をコードするDNAまたはmRNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを有する、T-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与して、ポリペプチドの発現を低下させることを含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、投与されるコンジュゲートは、タンパク質が過剰発現している細胞上または細胞の微小環境内の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNA、miRNA、抗miRNA、ダイサー基質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードするDNAもしくはmRNAの少なくとも15個の連続するヌクレオチドと、少なくとも20個の連続するヌクレオチドと、または全長にわたって、100%の同一性を共有する。
【0285】
特定の実施形態では、核酸はmRNAであり、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAにハイブリダイズした場合、RNAse Hの基質である。追加の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは18~24ヌクレオチドの長さであり、11より多くの連続する2’-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含み、前記第1のウイング領域及び前記第2のウイング領域のそれぞれは独立して1~8個の2’-O-2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~30個の連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸に実質的に相補的な配列を含む。
【0286】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的RNA(例えば、mRNA及びmiRNA)に結合した場合、RNAse Hの基質ではない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に修飾を含む少なくとも1つの修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’位に修飾を含む修飾糖部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのPNAモチーフを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、PNAに対応する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノモチーフを含む。いくつかの実施形態では、モルホリノは、ホスホロジアミデートモルホリノである。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、モルホリノに対応する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのモノマー単位は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)に対応する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのAUG開始コドンの30ヌクレオチド以内の配列に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAの5’非翻訳領域中の配列に特異的にハイブリダイズ可能である。いくつかの実施形態では、オリゴ-HES複合体中のオリゴヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miRNAによって結合されるRNA中の3’非翻訳配列を標的とするように設計される。追加の実施形態では、核酸はmRNAであり、オリゴヌクレオチド配列は、標的RNAのイントロン/エキソンジャンクション、及び標的RNAのイントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~50核酸塩基領域、からなる群から選択されるmRNAの標的領域に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の1~15核酸塩基、イントロン/エキソンジャンクションの5’側の20~24核酸塩基、及びイントロン/エキソンジャンクションの5’側の30~50の核酸塩基からなる群から選択される。
【0287】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、siRNA、shRNAまたはダイサー基質である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが18~35ヌクレオチドであるsiRNAである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19~29ヌクレオチドのステム及び4~30ヌクレオチドの間のループサイズを有するshRNAである。さらなる実施形態では、siRNAまたはshRNAオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはダイサー基質であり、それぞれ長さが18~25ヌクレオチドであり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含有する2つの核酸鎖を含有する。特定の実施形態では、ダイサー基質は、長さ21ヌクレオチドを含有する二本鎖核酸であり、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。さらなる実施形態では、ダイサー基質の一方または両方の鎖は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間連結、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0288】
現在、miRNAまたはmiRNAのファミリーによって制御されることが知られている病的状態のいくつかの別個のグループが存在し、これらは、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して標的とすることができる。
【0289】
一実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、感染症に関連する1つまたは複数のmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-122を阻害する。ミラビルセン(Miravirsen)(SPC3649)は、Santaris Pharma A/Sにより開発されたmiR-122の阻害剤である。Mir-122は、C型肝炎ウイルスが必須の内因性宿主因子として複製のために必要とする肝臓特異的miRNAである。4週間のミラビルセン単一療法についての臨床試験データは、強力な用量依存性抗ウイルス活性を示している。Regulus Therapeutics及びGlaxoSmithKline(GSK)は同様に、前臨床研究において、miR-122がHCVの複製において不可欠であることを示しており、抗miR-122をHCV感染の治療のための臨床研究に進めることを計画している。
【0290】
別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、線維症に関連するmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。一実施形態では、このオリゴヌクレオチドはmiR-21を阻害する。Regulus Pharmaceutical及びSanofi Aventisによる前臨床試験では、ヒト線維化組織でアップレギュレートされるmiR-21を阻害すると、心臓及び腎臓を含む複数の線維症モデルで器官機能を改善することができることが示されている。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-29に対応するか、またはそれを模倣する。Mirna Therapeuticsによる模倣物またはmiRNA補充療法であるMGN-4220は、心臓線維症に関与するmiR-29を標的としている。
【0291】
別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、脳卒中、心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血栓症、貧血、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症、顆粒球減少症、汎血球減少症、及び特発性血小板減少性紫斑病を含むがこれらに限定されない心血管疾患に関連するmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-33を阻害する。Regulus Pharmaceutical及びAstraZenecaは、前臨床研究で、miR-33の阻害により動脈プラークサイズが縮小し、HDLのレベルが上昇することを示した。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miR-92、miR-378、miR-206及び/またはmiR-143/145ファミリーを阻害する。Miragen Therapeuticsにより開発されたMGN-6114、MGN-5804、MGN-2677、MGN-8107は、それぞれ、末梢動脈疾患に関与するmiR-92、心血管代謝疾患に関連するmiR-378、血管疾患に関与するmiR-143/145ファミリー、及び筋萎縮性側索硬化症に関連するmiR-206を標的とする。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miR-208/209ファミリー及び/またはmiR-15/195ファミリーを阻害する。Miragen TherapeuticsのMGN-9103及びMGN-1374は、それぞれ慢性心不全に関するmiR-208/209ファミリー及び心筋梗塞後リモデリングに関するmiR-15/195ファミリーを標的とするmiRNA阻害剤である。別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、miR-126及び/またはmiR92aを阻害する。miR-126及びmiR-92aは、アテローム硬化性プラークの発症において中心的な役割を果たす。
【0292】
別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、神経疾患または状態に関連するmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-206を阻害する。miR-206は、ALS及び神経筋シナプス再生において重要な役割を果たす。
【0293】
別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、腫瘍学的状態に関連するmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-21を阻害する。miR-21は、肝臓、腎臓、乳房、前立腺、肺、及び脳などのがんの発生及び進行に重要な役割を果たすことが、数多くの科学出版物によって示唆されている。肝細胞癌(HCC)マウスモデルにおける抗miR-21は、Regulus Pharmaceutical及びSanofi Aventisによる前臨床研究において、腫瘍進行の遅延を示した。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドはmiR-10bを阻害する。Regulus Pharmaceuticalによる抗miR-10bの前臨床動物研究でも、GBMモデルにおける治療効果が示された。別の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miR-34に対応するかまたはそれを模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。Mirna TherapeuticsによるmiR-34の模倣物またはmiRNA置換療法では、ほとんどの固形及び血液悪性腫瘍は失われるか、または発現レベルが低下しており、MRX34の前臨床試験で種々のタイプのがんの増殖の阻害が示された。
【0294】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、let-7a、miR-9、miR-10b、miR-15a-miR-16-1、miR-16、miR-21、miR-24、miR-26a、miR-34a、miR-103-107、miR-122、miR-133、miR-181、miR-192、miR-194、miR-200から選択されるmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、がんとの関連性が報告されているものの一部である。
【0295】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、let-7、let-7a、let-7f、miR-1、Mir-10b、miR-15a-miR-16-1、Mir-17-5p、Mir-17-92、miR-21、Mir-23-27、miR-25、miR-27b、miR-29、miR-30a、Mir-31、miR-34a、miR-92-1、miR-106a、miR-125、Mir-126、Mir-130a、Mir-132、miR-133b、Mir-155、miR-206、Mir-210、Mir-221/222、miR-223、Mir-296、miR-335、Mir-373、Mir-378、miR-380-5p、Mir-424、miR-451、miR-486-5p、及びMir-520cから選択されるmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、血管新生、転移及び/またはがんの発症を促進することが報告されているものの一部である。
【0296】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miR-15ファミリー、miR-21、miR-23、miR-24、miR-27、miR-29、miR-33、miR-92a、miR-145、miR-155、miR-199b、miR-208a/bファミリー、miR-320、miR-328、miR-499から選択されるmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、心血管機能において種々の役割を果たしていることが報告されているものの一部である。
【0297】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、let-7b、miR-9、miR106b-25クラスター、miR-124、miR-132、miR-137、miR-184から選択されるmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、神経幹細胞(NSC)の成体神経発生において種々の役割を果たしていることが報告されているものの一部である。
【0298】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、let-7a、miR-21、mir-26、miR-125b、mir-145、miR-155、miR-191、miR-193a、miR-200ファミリー、miR-205、miR-221、及びmiR-222から選択されるmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、種々のタイプのがんの診断または予後バイオマーカーとして機能することが報告されているものの一部である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miR-21、miR-26、miR-125b、miR-155、miR-193a、miR-200ファミリー、miR-221、及びmiR-222から選択されるmiRNAを阻害する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、let-7a、mir-145、miR-191、及びmiR-205から選択されるmiRNAの配列を含有するか、またはこのmiRNAを模倣する。
【0299】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miR-138、mir-182、miR-21、mir-103/107、及びmiR-29cから選択されるmiRNAを阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、それぞれ関節炎、狼瘡、アテローム性動脈硬化症、インスリン感受性、及びアルブミン尿において役割を果たすことが報告されているものの一部である。
【0300】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、let-7、let-7-a3、lin-28、miR-1、miR-9-1、miR-15a、miR-16-1、miR-17-92クラスター、miR-21、miR-29ファミリー、miR-34ファミリー、miR-124、miR-127、及びmiR-290から選択されるmiRNAを阻害または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのマイクロRNAは、miRNA発現の原因となる遺伝的または後成的制御の異常により、種々のタイプのがんで制御不全になることが報告されているものの一部である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、let-7-a3、lin-28、miR-17-92クラスター、及びmiR-21から選択されるmiRNAを阻害する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、let-7、miR-1、miR-9-1、miR-15a、miR-16-1、miR-21、miR-29ファミリー、miR-34ファミリー、miR-124、miR-127、及びmiR-290から選択されるmiRNAの配列を含むか、又はmiRNAを模倣する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miR-138を阻害するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0301】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、Mir-20a、Mir-34、Mir-92a、Mir-200c、Mir-217及びMir-503から選択されるmiRNAの配列(を含有するか)またはmiRNAを模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。これらのmiRNAは、抗血管新生であると報告されているものの一部である。
【0302】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、miR-1、miR-2、miR-6、miR-7またはlet-7の配列(を含有するか)または模倣するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、miR-Rx07、miR-Rx06、miR-Rxlet-7、miR-Rx01、miR-Rx02またはmiR-Rx03である。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、miR-451に対応するか、またはそれを模倣する。miR-451は、インビボで赤血球生成を制御することが実証されており(Patrick et al., Genes & Dev., 24:1614-1619 (2010))、したがって、真性赤血球増加症、一般的な赤血球障害、または他の造血器悪性腫瘍などの疾患に関与している。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、MGN-4893である。
【0303】
追加の実施形態では、目的の核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むT-オリゴ-HESコンジュゲートを含有する医薬組成物は、核酸に関連する疾患または障害に罹患している、または罹患しやすい患者を治療するための組成物の調製に使用される。
T-オリゴ-HESコンジュゲートの例示的治療用途
【0304】
当業者に直ちに明らかであるように、部分的には、細胞へのオリゴヌクレオチドの驚くべき非常に効率的な全身インビボ送達により、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、本質的に、標的核酸及びタンパク質のレベル及び活性を調節する無限の用途を有し、治療用途において特に有用である。
【0305】
T-オリゴ-HESコンジュゲートで治療することができる疾患及び障害の非限定的な例としては、増殖性障害(例えば、がん、例として血液癌(例えば、AML、CML、CLL及び多発性骨髄腫)及び固形腫瘍(例えば、黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、NSCLC)、免疫性疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、IBD、乾癬、喘息、自己免疫疾患、例として関節リウマチ、多発性硬化症、及びSLE)及び炎症性疾患、神経疾患(例えば、糖尿病性網膜症、デュセンヌ型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、ハンチントン病及び脊髄性筋委縮病、ならびに他の神経変性疾患)、代謝疾患(例えば、II型糖尿病、肥満)、心血管疾患(例えば、凝固障害、血栓症、冠動脈疾患、再狭窄、アミロイドーシス、血友病、貧血、異常ヘモグロビン症(hemoglobulinopathies)、アテローム性動脈硬化、高コレステロール、高トリグリセライド)、内分泌関連疾患及び障害(例えば、NASH、糖尿病、尿崩症、アジソン病、ターナー症候群、クッシング症候群、骨粗鬆症)、及び感染症が挙げられる。したがって、一実施形態では、本開示は、対象の疾患を治療する方法であって、疾患と診断された対象に、疾患もしくは障害またはその症状に関連する核酸に特異的にハイブリダイズする治療用オリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
【0306】
追加の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートで治療される疾患または障害は、腎臓、肝臓、リンパ節、脾臓もしくは脂肪組織の疾患または障害である。
【0307】
本開示はまた、対象における細胞または組織への治療用オリゴヌクレオチドの送達を監視する方法であって、治療用オリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与すること、及び対象における細胞または組織の蛍光を監視することを含み、対象の細胞または組織における蛍光の増加は、治療用オリゴヌクレオチドが対象の細胞または組織に送達されたことを示す、方法を提供する。
【0308】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における核酸の過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、核酸を含むかもしくはコードするか、または核酸の内因性発現、プロセシング、もしくは機能を増加させる(例えば、核酸をコードする遺伝子の制御配列に結合することにより)、及び細胞内で核酸のレベルを増加させ、及び/またはその機能を増加させるように作用する、オリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸を含むかまたはコードする核酸と実質的に同じ配列を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるタンパク質の過少発現を特徴とする疾患または障害を治療する方法であって、タンパク質をコードするか、または対象におけるタンパク質の内因性発現、プロセシングもしくは機能を増加させるオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0310】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートをそれを必要とする対象に投与することによって、がんまたはがんに関連する1つまたは複数の状態を治療する方法を提供する。「がん」、「腫瘍」または「悪性腫瘍」は、本明細書において同義語として使用され、細胞の無秩序な異常増殖、局所的にまたは血流及びリンパ系を通じて体の他の部分に拡散する(転移する)侵された細胞の能力、ならびに多くの既知の特徴的な構造的及び/または分子的特徴のいずれかを特徴とする複数の疾患のうちのいずれかを指す。「がん性腫瘍」または「悪性細胞」は、特定の構造特性を有し、分化を欠き、浸潤及び転移が可能な細胞として理解される。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療され得るがんの例には、固形腫瘍及び血液癌が含まれる。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療することができるがんの追加の例としては、乳癌、肺癌、脳腫瘍、骨癌、肝臓癌、腎臓癌、直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、造血性癌(例えば、白血病)、及び前立腺癌が挙げられる。T-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療できるがんのさらなる例としては、癌腫、リンパ腫、骨髄腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられるがこれらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌、及び種々のタイプの頭頸部癌が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、白血病を治療するために使用される。別の特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、転移性癌を治療するために使用される。
【0311】
追加の実施形態では、血液癌を治療するために、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートが投与される。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、リンパ腫、白血病、骨髄腫、リンパ性悪性腫瘍、脾臓の癌、及びリンパ節の癌から選択されるがんを治療するために投与される。追加の実施形態では、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、及びT細胞リンパ腫、から選択されるリンパ腫を治療するために、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートが投与される。追加の実施形態では、慢性リンパ球性白血病、B細胞性白血病(CD5+Bリンパ球)、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、及び二次性白血病から選択される白血病を治療するために、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートが投与される。追加の実施形態では、多発性骨髄腫を治療するために、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートが投与される。T-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療することができる他のタイプのがん及び腫瘍は、本明細書に記載されているか、または別様に当技術分野で知られている。
【0312】
特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、AVI-4557(Cyp 3A4m;AVI Biopharma)、ISIS-23722 (サバイビン;ISIS);Gem-640 (XIAP;Hybridon)、Atu027 (PKN3;Silence Therapeutics)、CEQ508 (B カテニン;Marina Biotech)、GEM 231 (PKA R1α サブユニット;Idera)、Affinitak (アプリノカルセン、ISIS 3521/LY900003;PKC-α;ISIS/Lilly);Aezea (OL(1)P53/EL-625;P53;Eleos Pharma);ISIS 2503 (H-ras;ISIS)、EZN-2968 (HIF-1α;Enzon Pharmaceuticals);G4460/LR 3001 (c-Myb;Inex/Genta);LErafAON (c-Raf;NeoPharm)、ISIS 5132 (c-Raf;ISIS)、Genasense (オブリメルセン/G3139;Bcl2;Genta);SPC2996 (Bcl2;Santaris Pharma)、OGX-427 (Hsp27;ISIS/OncoGene X)、LY2181308 (サバイビン;Lilly)、LY2275796 (EIF4E;Lilly)、ISIS-STAT3 Rx (STAT3;ISIS)、OGX-011 (カストルセン(Custirsen);クラステリン;Teva)、Veglin (VEGF;VasGene Therapeutics、AP12009 (TGF-β2;Antisense Pharma)、GTI-2501 (リボヌクレオチドレダクターゼ R1;Lorus Therapeutics)、Gem-220 (VEGF;Hybridon);Gem-240 (MEM2;Hybridon)、CALAA-19 (M2サブユニットリボヌクレオチドレダクターゼ;Arrowhead Research Corporation)、トラベデルセン(Trabedersen) (AP 12009;TGF-β2;アンチセンス)、GTI-2040 (リボヌクレオチドレダクターゼR2、Lorus Therapeutics(5’-GGCTAAATCGCTCCACCAAG-3’)(配列番号9))、AEG35156(XIAP;Aegera Pharma)、及びMG98(DNAメチルトランスフェラーゼ;MethylGene/MGI Pharma/British Biotech)、から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。
【0313】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、Atu027(PKN3)、TKM-PLK1(PLK1)、ALN-VSP02(KSP及びVEGF)、CALAA-01(RRM2)、siG12D LODER(K-ras)、ISIS-EIF4ERx(EIFR)、GTI-2040(RRM2)、トラベデルセン(TGFB2)、アルケキシン(Archexin)(プロテインキナーゼBアルファ(Akt1))、及びセネルセン(P53)、から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。
【0314】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、5’-GTTCTCGCTGGTGAGTTTCA-3’(配列番号2)(PKC-α);5’-CCCTGCTCCCCCCTGGCTCC-3’(配列番号3)(P53);5’-TCCGTCATCGCTCCTCAGGG-3’(配列番号4)(H-ras);5’-GGGACTCCTCGCTACTGCCT-3’(配列番号5)(H-ras);5’-TCCCGCCTGTGACATGCATT-3’(配列番号6)(c-Raf);5’-TCTCCCAGCGTGCGCCAT-3’(配列番号7)(Bcl2);及び5’-TGGCTTGAAGATGTACTCGAT-3(配列番号8)(TGF-β2)から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。
【0315】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、5’-TATGCTGTGCCGGGGTCTTCGGGC-3’(配列番号10)(c-myb);5’-TCCCGCCTGTGACATGCATT-3’(配列番号6)(c-RAF);5’-CGCTGAAGGGCTTCTTCCTTATTGAT-3’(配列番号11)(Bcr-abl);5’-CGCTGAAGGGCTTTGAACTGTGCTT-3’(配列番号12)(Bcr-abl);5’-GGGACTCCTCGCTACTGCCT-3’(配列番号5)(Ha-Ras);5’-GCGUGCCTCCTCACUGGC-3’(配列番号13)(Pka-rIA);5’-AACGTTGAGGGGCAT-3’(配列番号14)(c-Myc);5’-GCTCAGTGGACATGGATGAG-3’(配列番号15)(JNK2);5’-GGACCCTCCTCCGGAGCC-3’(配列番号16)(IGF-1R);5’-TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号18)(TLR-9);及び5’-CTGCTAGCCTCTGGATTTGA-3’(配列番号17)(PTEN)から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。
【0316】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-TAGGAAAAGCTATTAGGAGTCTTTATAGTATA-3’(配列番号79)(K-ras)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-[リン酸塩でdTの5’OHに付着した5’ジスルフィドC6リンカー][C6アミノdT]AGGAAAAG*CT*ATTAGGAGTCT*T*T*ATAGTATA-3’(配列番号79)を有するオリゴヌクレオチドを含有し、式中、*はLNA、はLNA-5Me、及びはC6アミノdTである。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、すべての連結中にホスホロチオエート主鎖を含有する。
【0317】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AUACUAAAUCAUUUGAAGAUAUUCACCAUT-3’(配列番号84)(K-ras)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-ACUAAAUCAUUUGAAGAUAUUCACCA-[C6アミノdT]-3’(配列番号84)を有するオリゴヌクレオチドを含有し、は2’-MOEを示す。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-TAUGGUGAAUAUCUUCAAAUGAUUUAGUAU-3’(配列番号85)(K-ras)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-[C6アミノdT]AGGUGAAUAUCUUCAAA-3’(配列番号85)を有するオリゴヌクレオチドを含有し、は2’-MOEを示す。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AUACUAAAUCAUUUGAAGAUAUUCACCAUT-3’(配列番号84)を有する二重鎖オリゴヌクレオチド及び配列5’-TAUGGUGAAUAUCUUCAAAUGAUUUAGUAU-3’(配列番号85)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0318】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AGUACAGUGCAAUGAGGGACCAGUACAUGAT-3’(配列番号86)(K-ras)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AACAGUGCAAUGAGGGACCAGUACAUG-[C6アミノdT]-3’(配列番号86)を有するオリゴヌクレオチドを含有し、は2’-MOEを示す。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-TUCAUGUACUGGUCCCUCAUUGCACUGUACU-3’(配列番号87)(K-ras)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-[C6アミノdT]UAUGUACUGGUCCCUCAUUGCACUGUA-3’(配列番号87)を有するオリゴヌクレオチドを含有し、は2’-MOEを示す。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AGUACAGUGCAAUGAGGGACCAGUACAUGAT-3’(配列番号86)を有する二重鎖オリゴヌクレオチド及び配列5’-TUCAUGUACUGGUCCCUCAUUGCACUGUACU-3’(配列番号87)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0319】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-AAGGCATCCCAGCCTCCGTT-3’(配列番号82)(BCL2)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0320】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、配列5’-CCACAAAGGCATCCCAGCCTCCGTTATCCT-3’(配列番号83)(BCL2)を有するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0321】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アポトーシス、細胞生存、血管新生、転移、異常な遺伝子制御、細胞周期、有糸分裂経路及び/または増殖シグナル伝達を調節する核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、EGFR、HER2/neu、ErbB3、cMet、p56lck、PDGFR、VEGF、VEGFR、FGF、FGFR、ANG1、ANG2、bFGF,TIE2、プロテインキナーゼC-アルファ(PKC-アルファ)、p56lck PKA、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、BRCA、IGF1、HGF、PDGF、IGFBP2、IGF1R、HIF1アルファ、フェリチン、トランスフェリン受容体、TMPRSS2、IRE、HSP27、HSP70、HSP90、MITF、クラステリン、PARP1C-fos、C-myc、n-myc、C-raf、B-raf、A1、H-raf、Skp2、K-ras、N-ras、H-ras、ファレンシルトランスフェラーゼ、c-Src、Jun、Fos、Bcr-Abl、c-Kit、EphA2、PDGFB、ARF、NOX1、NF1、STAT3、E6/E7、APC、WNT、ベータカテニン、GSK3b、PI3k、mTOR、Akt、PDK-1、CDK、Mek1、ERK1、AP-1、P53、Rb、Syk、オステオポンチン、CD44、MEK、MAPK、NF-κβ(NFカッパベータ)、Eカドヘリン、サイクリンD、サイクリンE、Bcl2、Bax、BXL-XL、BCL-W、MCL1、ER、MDR、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ(例えば、HDAC1及びHDAC2)、インテグリン、IAP、オーロラキナーゼ、メタロプロテアーゼ(例えば、MMP2、MMP3及びMMP9)、プロテアソーム、及びメタロチオネイン遺伝子、から選択されるタンパク質の発現を調節する核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、HER2核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、P53変異型核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0322】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、以下の群:サバイビン、HSPB1、EIF4E、PTPN1、RRM2、BCL2、PTEN、Bcr-abl、TLR9、HaRas、Pka-rIA、JNK2、IGF1R、XIAP、TGF-β2、c-myb、PLK1、K-ras、KSP、PKN3、リボヌクレオチドレダクターゼ、リボヌクレオチドレダクターゼR1、リボヌクレオチドレダクターゼR2、MEM2、及びTLR-9、から選択される核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、BCL2核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、K-RAS核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0323】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、HIF1-アルファまたはHIF1-ベータ核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0324】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、チェックポイント阻害剤核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、以下の群:PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4 LAG3、TIM-3、TIGIT、VISTA、B7-H3、BTLA、A2aR、及びCD73から選択される核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0325】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、JAK1/2またはSTAT1核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0326】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、nrp1またはnsp12核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。
【0327】
さらなる実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、RecQヘリカーゼファミリーメンバーの核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、RecQヘリカーゼファミリーメンバーはウェルナータンパク質(WRN)である。他の実施形態では、RecQヘリカーゼファミリーメンバーは、RecQL1である。他の実施形態では、RecQヘリカーゼファミリーメンバーは、BLM、RecQL4、RecQ5、及びRTSからのメンバーである。標的核酸配列の例示的なGenBankアクセッション参照は、U39817、NM_000057、及びBC034480のBLM;NM_002907、NM_032941、BC001052、D37984、及びL36140のRecQ1;NM_000553、AF091214、L76937、及びAL833572のWRN;NM_004259、AK075084、AB006533、AB042825、AB042824、AB042823、AF135183、及びBC016911のRecQ5;NM_004260、AB006532、BC020496、及びBC011602及びBC013277のRTS、である。
【0328】
別の実施形態では、本開示は、T-オリゴ-HESコンジュゲートを、がんもしくはがんに関連する状態の治療に現在使用されている、今までに使用されてきた、または有用であることが知られている1つまたは複数の治療薬と組み合わせて投与することによって、がんもしくはがんに関連する1つまたは複数の状態を治療する方法を提供する。
【0329】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫系の炎症性もしくは他の疾患または障害、または免疫系の炎症性もしくは他の疾患または障害に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、炎症性または他の免疫系疾患または障害を有するか、または有するリスクがある)に、治療有効量の本明細書で提供される1つまたは複数のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。当業者には明らかなように、免疫系もしくは炎症性疾患に起因または関連する任意のタイプの免疫もしくは炎症性疾患または状態は、本明細書に提供される方法に従って治療することができる。特定の実施形態では、本開示は、免疫系の疾患または障害及び/または炎症性疾患または障害、あるいはそのような疾患または障害に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法を提供する。
【0330】
本明細書で使用される「炎症性障害」という用語は、疼痛(痛み(dolor)、有害物質の生成及び神経の刺激による)、熱(熱(calor)、血管拡張による)、発赤(赤み(rubor)、血管拡張及び血流の増加による)、腫れ(腫瘍、液体の過剰な流入または制限された流出による)、及び機能の喪失(機能喪失(functio laesa)、部分的または完全、一時的または永続的であり得るもの)の徴候のうちの1つまたは複数を特徴とする疾患または状態を指す。炎症は多くの形態を採り、以下:急性、癒着性、萎縮性、カタル性、慢性、硬変性、びまん性、播種性、滲出性、線維性、線維化、焦点性、肉芽腫性、過形成性、肥大性、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、可塑性、増殖性(productive)、増殖性(proliferous)、偽膜性、化膿性(purulent)、硬化性、血清形成性、漿液性、単純、特異性、亜急性、化膿性(suppurative)、毒性、外傷性、及び/または潰瘍性、のうちの1つまたは複数の炎症が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性障害にはさらに、血管(多発動脈炎、側頭動脈炎)関節(関節炎:結晶性、骨、乾癬性、反応性、リウマチ性、ライター);消化管(疾患);皮膚(皮膚炎);または複数の器官及び組織(全身性エリテマトーデス)に影響を及ぼすものが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「線維症」または「線維化障害」という用語は、急性または慢性の炎症に続き、細胞及び/またはコラーゲンの異常な蓄積に関連し、心臓、腎臓、関節、肺、または皮膚などの個々の器官または組織の線維症を含むがこれらに限定されない状態を指し、特発性肺線維症及び原因不明の線維化肺胞炎などの障害が含まれまる。特定の実施形態では、炎症性障害は、喘息、アレルギー性障害、及び関節リウマチからなる群から選択される。
【0331】
さらなる実施形態では、免疫系の障害または障害(disorder or disorder)は自己免疫疾患である。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療することができる自己免疫疾患、障害または状態としては、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性新生児血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性血球減少症、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、皮膚炎、グルテン過敏性腸症、アレルギー性脳脊髄炎、心筋炎、再発性多発軟骨炎、リウマチ性心疾患、糸球体腎炎(例えば、IgA腎炎)、多発性硬化症、神経炎、眼ブドウ膜炎、多発性内分泌障害、紫斑病(例えば、ヘノッホ・シェーンライン(Henloch Scoenlein)紫斑病)、ライター病、全身硬直症候群、自己免疫性肺炎症、心筋炎、IgA糸球体腎炎、デンスデポジット病、リウマチ性心疾患、ギランバレー症候群、インスリン依存性糖尿病、自己免疫性炎症性眼、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺機能低下症(すなわち、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、受容体自己免疫(Receptor autoimmunities)、例えば、(a)バセドウ病、(b)重症筋無力症、及び(c)インスリン耐性、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎/皮膚筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、不妊症、原発性糸球体腎炎及びIgA腎症などの糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、真性糖尿病、及びアドレナリン作動薬耐性(喘息または嚢胞性線維症を伴うアドレナリン作動薬耐性を含む)、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、その他の内分泌腺不全、白斑、血管炎、心筋梗塞後、心臓切開後症候群、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、喘息、炎症性ミオパチー、及びその他の炎症性、肉芽腫性、変性、及び萎縮性障害、が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、自己免疫疾患または障害は、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、糖尿病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、及び関節リウマチから選択される。
【0332】
追加の実施形態では、本開示は、免疫疾患または心血管疾患を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ICAM-1、P53、TNF-α、アデノシンA1受容体;PCSK9、SERPINC1、TFR2、TMPRSS6、CCR3、c反応性タンパク質(CRP)、Apo-B100、ApoCIII、Apo(a)、Apo(b)、第VII因子及び第XI因子、から選択される核酸標的に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0333】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫疾患または心血管疾患を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、アリカフォルセン(ICAM-1;ISIS 2302)、QPI-1002(P53;Silence Thera/Novartis/Quark)、XEN701 (Isis/Xenon Pharmaceuticals)、ISIS 104838(TNF-α;ISIS/Orasense)、EPI-2010(RASON;アデノシンA1受容体;Epigenesis/Genta)、プラゾマイシン(Isis/Achaogen)、ALN-PCS02(PCSK9;Alnylam)、ALN-AT3(SERPINC1;Alnylam)、ALN-HPN(TFR2;Alnylam)、ALN-HPN(TMPRSS6;Alnylam))、ASM8-003(CCR3;Topigen Pharmaceuticals)、ISIS CRPRx(CRP;ISIS)、Kynamro(商標)(ISIS301012;Apo-B100;ISIS/Genzyme)、ISIS-APOCIII Rx(ApoCIII;ISIS)、ISIS-APO(a)(Apo(a);ISIS);ISIS-FVII rx(第VII因子;ISIS)、及びISIS-FXI(第XI因子;ISIS)、から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0334】
追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ApoBに結合するオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ミポメルセン(ApoB)を含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的ApoB核酸結合についてミポメルセンと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0335】
さらなる実施形態では、本開示は、免疫疾患または心血管疾患を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、5’-GCCCAAGCTGGCATCCGTCA-3’(配列番号19)(ICAM-1);5’-GCTGATTAGAGAGAGGTCCC-3’(配列番号20)(TNF-α);及び5’-GATGGAGGGCGGCATGGCGGG-3’(配列番号21)(アデノシンA1受容体)、から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数と競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0336】
いくつかの実施形態では、本開示は、感染症または感染症に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、感染症を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む治療有効量の1つまたは複数のコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。いくつかの実施形態では、感染症は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、または寄生虫感染である。
【0337】
いくつかの実施形態では、本開示は、カテゴリーAの感染因子または感染症に関連する感染または状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、感染症を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む治療有効量の1つまたは複数のコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。特定の実施形態では、感染因子は、Bacillus anthracis、Clostridium botulinum毒素、yersina pestis、大痘瘡、フィロウイルス(例えば、エボラ及びマールブルグ)及びアレナウイルス(例えば、ラッサ及びマチュポ)から選択される。特定の実施形態では、治療される状態は、炭疽菌、ボツリヌス中毒症、ペスト、天然痘、野兎病、及びウイルス性出血熱から選択される。
【0338】
いくつかの実施形態では、本開示は、カテゴリーBの感染因子または感染症に関連する感染または状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、感染症を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供される治療有効量の1つもしくは複数のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。特定の実施形態では、感染因子は、Bacilla属種、Clostridium perfringens、サルモネラ属種、E. coli 0157:H7、Shigella、Burkholderia pseudomallei、Chyamydia psittaci、Coxiella burnetii、Rickettsia prowazekii、ウイルス性脳炎アルファウイルス(例えば、ベネズエラ馬脳炎、東部馬脳炎、西部馬脳炎)、Vibrio cholerae及びCryptosporidium parvumから選択される。特定の実施形態では、治療される状態は、ブルセラ症、Clostridium perfringensのイプシロン毒素、食中毒、鼻疽、類鼻疽、オウム病、Q熱、リシン毒素中毒、チフス熱、ウイルス性脳炎及び赤痢から選択される。
【0339】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染またはウイルス感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、ウイルス感染を有するか、または有するリスクがある)に、治療有効量の本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのうちの1つもしくは複数を投与することを含む、前記方法を提供する。当業者には直ちに明らかなように、任意のタイプのウイルス感染またはウイルス感染に起因もしくは関連する状態(例えば、呼吸状態)を、本明細書に提供される方法に従って治療することができる。特定の実施形態では、ウイルス性疾患または障害は、エボラ、マールブルグ、フニン、デング(Denge)ウエストナイル、ラッサSARS Co-V、日本脳炎、ベネズエラ馬脳炎、セントルイス脳炎、マチュポ(manchupo)、黄熱病、及びインフルエンザ、から選択されるメンバーに関連する感染または状態である。
【0340】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにより治療することができるウイルス感染及び状態を引き起こすウイルスの例としては、レトロウイルス(例えば、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス(HTLV)I型及びII型、ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV))、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)I型及びII型、エプスタイン-バールウイルス、HHV6-HHV8、及びサイトメガロウイルス)アレナウイルス(例えば、ラッサ熱ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、モルビリウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、流行性耳下腺炎、hMPV、及び肺炎ウイルス)、アデノウイルス、ブニヤウイルス(例えば、ハンタウイルス)、コルナウイルス(cornavirus)、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV))、オルソミクソウイルス(orthomyoviruses)(例えば、インフルエンザウイルスA、B及びC、及びPIV)、パポバウイルス(例えば、パピローマウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス、エンテロウイルス、及びA型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス、レオウイルス(例えば、ロタウイルス)、トガウイルス(例えば、風疹ウイルス)、及びラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0341】
追加の実施形態では、本開示は、感冒、ウイルス性咽頭炎、ウイルス性喉頭炎、ウイルス性クループ、ウイルス性気管支炎、インフルエンザ、パラインフルエンザウイルス性疾患(「PIV」)(例えば、クループ、細気管支炎、気管支炎、肺炎)、呼吸器合胞体ウイルス(「RSV」)疾患、メタニューモウイルス疾患、及びアデノウイルス疾患(例えば、熱性呼吸器疾患、クループ、気管支炎及び肺炎)と関連するかまたはこれらを引き起こすウイルス性呼吸系感染に関連する状態を治療または緩和する方法を提供する。
【0342】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、AVI-4065(HCV;AVI Biopharma)、VRX496(HIV;VIRxSYS Corporation)、ミラビルセン(Miravirsen)(antimiR-122、Santaris)、GEM 91(Trecorvirsen)/92(5’-CTCTCGCACCCATCTCTCTCCTTCT-3’)(配列番号22));Gag HIV;Hybridon)、Vitravene(ホミビルセン;CMV;ISIS/Novartis(5’-GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCG-3’)(配列番号23))、ALN-RSV01(RSV;Alnylam)、AVI-6002(エボラ;AVI Biopharma)、AVI-6003(エボラ;AVI Biopharma)、MBI-1121(ヒトパピローマウイルス;Hybridon)、ARC-520(HPV 肝炎;Arrowhead Research Corporation)、及びAVI-6001(インフルエンザ/鳥インフルエンザ;AVI Biopharma)、から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ISIS14803(HCV;ISIS(5’-GTGCTCATGGTGCACGGTCT-3’)(配列番号24))及び5’-TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT-3’(配列番号25)(CMV)から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。
【0343】
一実施形態では、本開示は、RSV感染またはRSV感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のRSVオリゴヌクレオチド配列に結合するオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって、治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド-HESは、RSV-Nオリゴヌクレオチド5’-GGC UCUUAGCAAAGUCAAGUUGAAUGAU-3’(配列番号26)及び5’-AUCA UUCAACUUGACUUUGCUAAGAGCCAU-3’(配列番号27);RSV-Pオリゴヌクレオチド5’-CGAUAAUAUAACUGCAAGAdTdT-3’(配列番号28)及び3’-dTdTGCUAUUAUAUUGACGUUCU-5’(配列番号29);及びRSV-Fオリゴヌクレオチド5’-UGCUGUAACAGAAUUGCAGdTdT-3’(配列番号30)及び5’-CUGCAAUUCUGUUACAGCadTdT-3’(配列番号31)、からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0344】
追加の実施形態では、本開示は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5のT-オリゴ-HESコンジュゲートの組み合わせを、それを必要とする対象に投与することによって、ウイルス感染またはウイルス感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つが、同じ標的核酸に特異的にハイブリダイズする。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つが、異なる標的核酸に特異的にハイブリダイズする。
【0345】
一実施形態では、本開示は、フィロウイルス(例えば、エボラ及びマールブルグ(Marbury))感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のフィロウイルスのRNA配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって、治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、VP35、VP24及び/またはRNAポリメラーゼLに結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0346】
一実施形態では、本開示は、エボラウイルス感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のエボラRNA配列に結合するオリゴヌクレオチドを含有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって、治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、VP24、VP35、及び/またはRNAポリメラーゼLに結合する。追加の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、VP24、VP30、VP35、VP40、NP、GP及び/またはRNAポリメラーゼLに結合する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはVP35に結合し、5’-6CCTGCCCTTTGTTCTAGTTG6-3’のアンチセンス配列を有する(配列番号32;ここで、C6はウリジンの塩基部分に付着したC6リンカーアームを指し、G6は、ウリジンの塩基部分に付着したG6リンカーアームを指す)。追加の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはVP35に結合し、5’-GCGACAUCUUCUGUGAUAUUG-3’(配列番号33)及び5’-AUAUCACAGAAGAUGUCGCUU-3’(配列番号34);5-CAUUACGAGUCUUGAGAAU-3’(配列番号35)及び5’-UCUCAAGACUCGUAAUGCG-3’(配列番号36);5’-GCAACUCAUUGGACAUCAUUC-3’(配列番号37)及び5’-AUGAUGUCCAAUGAGUUGCUA-3’(配列番号38);5’-UGAUGAAGAUUAAGAAAAA-3’(配列番号39)及び5’-UUUCUUAAUCUUCAUCACU-3’(配列番号40);5’-GUGCUGAGAUGGUUGCAAA-3’(配列番号41)及び5’-UGCAACCAUCUCAGCACAA-3’(配列番号42);5’-GCUAAUGACCGGAAGAAUU-3’(配列番号43)及び5’-UUCUUCCGGUCAUUAGCUG-3’(配列番号44);及び5’-CCAAUUAGUACAAGUGAUU-3’(配列番号45)及び5’-UCACUUGUACUAAUUGGUG-3’(配列番号46)からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはNPに結合し、5’-6GAGAATCCATACTCGGAATT6-3’(配列番号47);5’-6GACGAGAATCCATACTCGGA6-3’(配列番号48);及び5’-6GCATGTACTTGAATTTGCC6-3’(配列番号49;「6」は、ウリジンの塩基部分に結合したC6リンカーアームを指す)、からなる群から選択されるアンチセンス配列を有する。追加の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはNPに結合し、5’-GGCAAAUUCAAGUACAUGCdTdT-3′(配列番号50)及び5’-GCAUGUACUUGAAUUUGCCUU(配列番号51);5’-GCAUGGAGAGUAUGCUCCUUU-3’(配列番号52)及び5’-AGGAGCAUACUCUCCAUGCUU(配列番号53);5’-ATGGTGATTTTCCGTTTGAT-3’(配列番号54)及び5’-TCAAACGGAAAATCACCAT-3’(配列番号55);及び5’-GAGAAGCAACTCCAACAAT-3’(配列番号56)及び5’-UGUUGGAGUUGCUUCUC-3’(配列番号57)からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼLに結合し、5’-6TGGGTATGTTGTGTAGCCAT6-3’(配列番号58)のアンチセンス配列を有する;さらなる実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼLに結合し、5’-GUACGAAGCUGUAUAUAAAUU-3’(配列番号59)及び5’-UUUAUAUACAGCUUCGUACUU-3’(配列番号60)、からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはVP24に結合し、5’-6GCCATGGTTTTTTCTCAGG6-3’(配列番号61)のアンチセンス配列を有する。追加の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドはVP24に結合し、5’-GCUGAUUGACCAGUCUUUGAU-3’(配列番号62)及び5’-CAAAGACUGGUCAAUCAGCUG-3’(配列番号63);5’-ACGGAUUGUUGAGCAGUAUUG-3’(配列番号64)及び5’-AUACUGCUCAACAAUCCGUUG-3’(配列番号65);及び5’-UCCUCGACACGAAUGCAAAGU-3’(配列番号66)及び5’-UUUGCAUUCGUGUCGAGGAUC-3’(配列番号67)からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0347】
一実施形態では、本開示は、Flaviviridae(フラビウイルス科)(例えば、ウエストナイルウイルス、黄熱病、日本脳炎、及びデング熱ウイルス)ウイルス感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、フラビウイルス科のメンバーの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのRNA配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって治療する方法を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、ウイルスゲノムの5’または3’領域の高度に保存された非コード配列、またはエンベロープコード遺伝子(E)に対応する配列に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0348】
一実施形態では、本開示は、Arenavirideae(アレナウイルス科)(例えば、ラッサウイルス、フニンウイルス、及びマチュポウイルス)科ウィルス感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、アレナウイルス科のメンバーの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのRNA配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって治療する方法を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、Zタンパク質(亜鉛結合タンパク質)、Lタンパク質(ウイルスポリメラーゼ)、またはGPC(糖タンパク質前駆体)タンパク質をコードする5’または3’ウイルスmRNA転写物中の高度に保存された非コード配列に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0349】
一実施形態では、本開示は、SARS関連コロナウイルス(SARS Co-V)感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのSARS Co-V科の核酸配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって治療する方法を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、レプリカse遺伝子(orf1a/1b)、orf1bリボソームフレームシフト点、転写調節配列(TRS)の5’非翻訳領域(UTR)、TRS配列の3’UTR、スパイクタンパク質コード領域及び/またはNSP12領域に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0350】
一実施形態では、本開示は、Retroviridae(レトロウイルス科)(例えば、HIVウイルス)科ウィルス感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、レトロウイルス科のメンバーの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのRNA配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって、治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、gag、pol、int、及びVpu領域の高度に保存された領域に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0351】
別の実施形態では、本開示は、インフルエンザA型(例えば、H1N1、H3N2及びH5N1)感染またはインフルエンザに関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのインフルエンザRNA配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを投与することによって治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、ウイルスのNP及びPA核酸配列に結合する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、ウイルスのNP、M2、及び/またはPB2(例えば、PA、PB1、PB2、及びNPのAUG開始コドン、またはNPの末端領域を標的とする)、NS1及び/またはPA核酸配列に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0352】
一実施形態では、本開示は、インフルエンザウイルス感染または感染に関連する1つまたは複数の状態を、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチド(複数可)が少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のインフルエンザウイルスRNA配列に特異的に結合するT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする患者に投与することによって治療する方法、を提供する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、NPオリゴヌクレオチド5’-GGAUCUUAUUUCUUCGGAG-3’(配列番号68)及び5’-CUCCGAAGAAAUAAGAUCC-3’(配列番号69);PAオリゴヌクレオチド5’-GCAAUUGAGGAGUGCCUGA-3’(配列番号70)及び5’-UCAGCGACUCCUCAAUUGC-3’(配列番号71);PB1オリゴヌクレオチド5’-GAUCUGUUCCACCAUUGAA-3’(配列番号72)及び5’-UUCAAUGGUGGAACAGAUC-3’(配列番号73);及びM2オリゴヌクレオチド5’-ACAGCAGAAUGCUGUGGAU-3’(配列番号74)及び5’-AUCCACAGCAUUCUGCUGU-3’(配列番号75)からなる群から選択されるsiRNA/ダイサー配列対を有する。特定の実施形態では、コンジュゲート中の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドのうちの1つと結合する標的核酸について競合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0353】
追加の実施形態では、本開示は、アルファウイルス(ウマ脳炎ウイルス(VEEV)感染またはアルファウイルス感染に関連する1つまたは複数の状態を、T-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートの治療有効量それを必要とする患者に投与することによって治療する方法であって、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのアルファウイルスRNA配列に特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、ウイルスのNP及びPA核酸配列に結合する。特定の実施形態では、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、ウイルスのnsp1、nsp4及び/またはE1 RNA配列に結合する。さらなる実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、PMOまたはPPMOである。追加の実施形態では、コンジュゲート中のオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、アンチセンス、siRNAまたはshRNAである。
【0354】
いくつかの実施形態では、本開示は、細菌感染または細菌感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、細菌感染を有するか、または有するリスクがある)に、治療有効量の本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートのうちの1つもしくは複数を投与することを含む、前記方法を提供する。任意のタイプの細菌感染、または細菌感染から生ずる、または細菌感染に関連する状態を、本明細書で提供される組成物または方法を使用して治療することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される細菌感染または状態は、Salmonella(サルモネラ)、Shigella(シゲラ)、Chlamydia(クラミジア)、Helicobacter(ヘリコバクター)、Yersinia(エルシニア)、Bordatella(ボルダテラ)、Pseudomonas(シュードモナス)、Neisseria(ナイセリア)、Vibrio(ビブリオ)、Haemophilus(ヘモフィルス)、Mycoplasma(マイコプラズマ)、Streptomyces(Streptomyces)、Treponema(トレポネーマ)、Coxiella(コクシエラ)、Ehrlichia(エーリキア)、Brucella(ブルセラ)、Streptobacillus(ストレプトバチルス)、Fusospirocheta(フソスピロヘータ)、Spirillum(スピリルム)、Ureaplasma(ウレアプラズマ)、Spirochaeta(スピロヘータ、Mycoplasma(マイコプラズマ)、Actinomycetes(アクチノマイセス)、Borrelia(ボレリア)、Bacteroides(バクテロイデス)、Trichomoras(トリコモラス)、Branhamella(ブランハメラ)、Pasteurella(パスツレラ)、Clostridium(クロストリジウム)、Corynebacterium(コリネバクテリウム)、Listeria(リステリア)、Bacillus(バチルス)、Erysipelothrix(エリシペロスリックス)、Rhodococcus(ロドコッカス)、Escherichia(エシェリキア)、Klebsiella(クレブシエラ)Pseudomanas(シュードマナス)、Enterobacter(エンテロバクター)、Serratia(セラチア)、Staphylococcus(スタフィロコッカス)、Streptococcu(ストレプトコッカス)、Legionella(レジオネラ)、Mycobacterium(マイコバクテリウム)、Proteus(プロテウス)、Campylobacter(カンピロバクター)、Enterococcus(エンテロコッカス)、Acinetobacter(アシネトバクター)、Morganella(モルガネラ)、Moraxella(モラクセラ)、Citrobacter(シトロバクター)、Rickettsia(リケッチア)、及びRochlimeae(ロクリメエ)、から選択される細菌属のメンバーに関連する。さらなる実施形態では、治療される細菌感染または状態は、P.aeruginosa;E.coli、P.cepacia、S.epidermis、E.faecalis、S.pneumonias、S.aureus、N.meningitidis、S.pyogenes、Pasteurella multocida、Treponema pallidum、及びP.mirabilis、から選択される細菌属のメンバーに関連する。いくつかの実施形態では、細菌感染は細胞内細菌感染である。追加の実施形態では、本開示は、細菌感染または細菌感染に関連する1つまたは複数の状態を、T-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートの治療有効量を、それを必要とする患者に投与することによって治療する方法であって、オリゴヌクレオチドは、上記の細菌のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの核酸配列に特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。
【0355】
追加の実施形態では、本開示は、真菌感染または真菌感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、真菌感染を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含む、治療有効量の1つまたは複数のコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。任意のタイプの真菌感染、または真菌感染から生ずる、または真菌感染に関連する状態を、本明細書で提供される組成物または方法を使用して治療することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される真菌感染または状態は、Cryptococcus neoformans;Blastomyces dermatitidis;Aiellomyces dermatitidis;Histoplasma capsulatum;Coccidioides immitis;C. albicans, C. tropicalis, C. parapsilosis, C. guilliermondii and C. kruseiを含むCandida(カンジダ)属種、A. fumigatus、A. flavus、及び A. niger を含むAspergillus(アスペルギルス)属種;Rhizopus(リゾプス)属種;Rhizomucor(リゾムコール)属種;Cunninghammella(カニンガムラ)属種;A.saksenaea、A.mucor及びA.absidiaを含むApophysomyces(アポフィソマイセス)属種;Sporothrix schenckii、Paracoccidioides brasiliensis;Pseudalleseheria boydii、Torulopsis glabrata;Trichophyton(トリコフィトン)属種、Microsporum(ミクロスポルム)属種及びDermatophyres(ダーマトフィレス)属種、または病原性であることが知られているかもしくは特定されている任意の他の真菌(例えば、酵母)、から選択される真菌に関連する。追加の実施形態では、本開示は、真菌感染または真菌感染に関連する状態を、T-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートの治療有効量を、それを必要とする患者に投与することによって治療する方法であって、オリゴヌクレオチドは、上記の真菌のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの核酸配列に特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。
【0356】
追加の実施形態では、本開示は、寄生虫感染または寄生虫感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、寄生虫感染を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含む、治療有効量の1つまたは複数のコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。任意のタイプの寄生虫感染、または寄生虫感染から生ずる、または寄生虫感染に関連する状態を、本明細書で提供される組成物または方法を使用して治療することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される寄生虫感染または状態は、Apicomplexa(アピコンプレックス)門のメンバー、例として、Babesia(バベシア)、Toxoplasma(トキソプラズマ)、Plasmodium(プラスモジウム)、Eimeria(アイメリア)、Isospora(イソスポラ)、Atoxoplasma(アトキソプラズマ)、Cystoisospora(シストイソスポラ)、Hammondia(ハンモンジア)、Besniotia(ベスニオチア)、Sarcocystis(サルコシスチス)、Frenkelia(フレンケリア)、Haemoproteus(ヘモプロテウス)、Leucocytozoon(ロイコシトゾーン)、Theileria(テイレリア)、Perkinsus(パーキンサス)またはGregarina(グレガリナ)属種;Pneumocystis carinii;Microspora(ミクロスポラ)門のメンバー、例として、Nosema(ノセマ)、Enterocytozoon(エンテロシトゾーン)、Encephalitozoon(エンケファリトゾーン)、Septata(セプタタ)、Mrazekia(ムラゼキア)、Amblyospora(アムブリオスポラ)、Arneson(アルネソン)、Glugea(グルゲア)、Pleistophora(プレイシトフォラ)及びMicrosporidium(ミクロスポリジウム)属種;ならびにAscetospora(アセトスポラ)門のメンバー、例として、Haplosporidium(ハプロスポリジウム)属種、から選択される寄生虫に関連する。さらなる実施形態では、治療される寄生虫感染または状態は、Plasmodium falciparum、P.vivax、P.ovale、P.malaria;Toxoplasma gondii;Leishmania mexicana、L.tropica、L.major、L.aethiopica、L.donovani、Trypanosoma cruzi、T.brucei、Schistosoma mansoni、S.haematobium、S.japonium;Trichinella spiralis;Wuchereria bancrofti;Brugia malayli;Entamoeba histolytica;Enterobius vermiculoarus;Taenia solium、T.saginata、Trichomonas vaginatis、T.hominis、T.tenax;Giardia lamblia;Cryptosporidium parvum;Pneumocytis carinii、Babesia bovis、B.divergens、B.microti、Isospora belli、L.hominis;Dientamoeba fragilis;Onchocerca volvulus;Ascaris lumbricoides;Necator americanis;Ancylostoma duodenale;Strongyloides stercoralis;Capillaria philippinensis;Angiostrongylus cantonensis;Hymenolepis nana;Diphyllobothrium latum;Echinococcus granulosus、E.multilocularis;Paragonimus westermani、P.caliensis;Chlonorchis sinensis;Opisthorchis felineas、G.Viverini、Fasciola hepatica、Sarcoptes scabiei、Pediculus humanus;Phthirlus pubis;及びDermatobia hominis及び病原性があることが知られている、または特定されている任意の他の寄生虫から選択される寄生虫属種に関連する。追加の実施形態では、本開示は、寄生虫感染または寄生虫感染に関連する1つまたは複数の状態を、T-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートの治療有効量を、それを必要とする患者に投与することによって治療する方法であって、オリゴヌクレオチドは、上記の寄生虫のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの核酸配列に特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。
【0357】
別の実施形態では、本開示は、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを、アマンタジン、オセルタミビル、リバビラン、パリビズマブ、及びアナミビルなどの抗ウイルス剤を含むが、これらに限定されない、ウイルス感染またはウイルス感染に関連する状態の治療に現在使用されている、今までに使用されてきた、または有用であることが知られている1つまたは複数の治療薬と組み合わせて投与することによって、ウイルス感染またはウイルス感染に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含む1つまたは複数のコンジュゲートの治療有効量を、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル(znamivir)、リバビリン(ribaviran)、RSV-IVIG(すなわち、静脈内免疫グロブリン注入)(RESPIGAM(商標))、及びパリビズマブなどであるがこれらに限定されない1つまたは複数の抗ウイルス剤と組み合わせて投与する。
【0358】
いくつかの実施形態では、本開示は、呼吸器疾患または呼吸器疾患に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、それを必要とする対象(すなわち、呼吸器疾患を有するか、または有するリスクがある)に、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含む、治療有効量の1つまたは複数のコンジュゲートを投与することを含む、前記方法を提供する。本明細書で使用される「呼吸器疾患」という用語は、鼻、喉、喉頭、気管、気管支、及び肺などの呼吸に関与する器官に影響を与える疾患を指す。本明細書で提供される方法に従って治療することができる呼吸器疾患としては、喘息、成人呼吸窮迫症候群及びアレルギー性(外因性)喘息、非-アレルギー性(内因性)喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発喘息、等炭酸ガス性呼吸過多、小児発症喘息、成人発症喘息、咳喘息、職業喘息、ステロイド耐性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、例えば慢性気管支炎または肺気腫、肺高血圧、間質性肺線維症及び/または気道炎症、及び嚢胞性線維症、ならびに低酸素症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0359】
さらなる実施形態では、本開示は、呼吸器疾患または呼吸器疾患に関連する1つまたは複数の状態を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、STK、RSVヌクレオカプシド、Akt1、WT1、IGF-1R、NUPR、PKN3、PI3K、NFKb、MMP-12、VEGF、CCR1、CCR3、IL8R、IL4R、カスパーゼ3、IKK2、Syk、Lyn、STAT1、STAT6、GATA3、EZH2、let7、miR-34、miR-29、miR-223/1274a、miR1、miR-146a、miR-150、miR-21、miR-126、miR-155、miR-133a、let7d、miR-29、miR-200、miR-10a、miR-34、miR-123、miR-145、miR-150、miR-199b、miR-218、及びmiR-222、から選択される核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0360】
いくつかの実施形態では、本開示は、代謝障害を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、Exellair(Sykキナーゼ)及びALN-RSV01(RSVヌクレオキャプシド)から選択される核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0361】
さらなる実施形態では、本開示は、神経学的状態または障害を治療する方法であって、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートの治療有効量を、それを必要とする対象(すなわち、神経学的状態または障害を有するか、または有するリスクがある)に投与することを含む、方法を提供する。「神経学的状態または障害」という用語は、神経変性状態、中枢神経系もしくは末梢神経系の機能不全または神経細胞もしくは組織の壊死及び/またはアポトーシスを特徴とする神経細胞または組織の障害、及び栄養因子欠損に関連する神経細胞または組織の損傷、を含む状態を指すために本明細書では使用される。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療することができる神経変性疾患の例としては、家族性及び孤発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALS及びALS)、家族性及び孤発性パーキンソン病、ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)、家族性及び孤発性アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(SMA)、視神経症、例えば、網膜変性を含む緑内障もしくは関連疾患、糖尿病性神経症、または黄斑変性、内耳知覚細胞またはニューロンの変性による難聴、てんかん、ベル麻痺、17番染色体に関連するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、多発性硬化症、びまん性大脳皮質萎縮症、レビー小体型認知症、ピック病、トリプレットリピート病(trinucleotide repeat disease)、プリオン病、及びシャイドレーガー症候群、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療される神経変性疾患は、家族性及び孤発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALS及びALS)、家族性及び孤発性パーキンソン病、ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)、家族性及び孤発性アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(SMA)、多発性硬化症、びまん性大脳皮質萎縮症、認知症、またはピック病から選択される。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療することができる神経細胞または組織損傷の例としては、鈍的外傷または外科的外傷(術後の認知機能障害及び脊髄または脳幹損傷を含む)の後に見られる急性及び非急性損傷、ならびに全脳または局所脳虚血(脳卒中)に関連するような血流を制限する(一過性または永続性)虚血状態;例えば脳組織または脊髄への切開または切断;神経組織の病変またはプラーク;細胞の増殖及び生存に必要な栄養因子(複数可)の欠乏;化学療法剤などの神経毒への曝露;ならびにまた、糖尿病及び腎機能障害などの慢性代謝疾患など、他の病状に付随するものが含まれるが、これらに限定されない。
【0362】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経学的状態または障害を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、DMD核酸配列に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、AVI-4658(ジストロフィン(エキソンスキッピング);AVI Biopharma)、ISIS-SMN Rx(SMN;ISIS/Biogen Idec)、AVI-5126(CABG;AVI Biopharma)及びATL1102(VLA-4(CD49d);ISIS/Antisense Therapeutics Ltd)、から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。追加の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、エテプリルセンまたはドリサペルセンを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0363】
いくつかの実施形態では、本開示は、代謝障害を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートオリゴヌクレオチド-HESを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、FGFR4、GCC、PTP1VB、DME、TTR、PTPN1、DGAT及びAATから選択される核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ISIS-FGFR4(FGFR4;ISIS)、ISIS-GCCR RX(GCC;ISIS)、ISIS-GCGRRX(GCG;ISIS)、ISIS-PTP1B(PTP1VB;ISIS(5’-GCTCCTTCCACTGATCCTGC-3’)(配列番号76))、iCo-007(c-Raf;Isis/iCo Therapeutics Inc.(5’-TCCCGCCTGTGACATGCATT-3’)(配列番号6));ISIS-DGATRX (DGAT;ISIS)、PF-04523655(DME;Silence Thera/Pfizer/Quark)、ISIS-TTR Rx(TTR;ISIS/GSK);ISIS-AAT Rx (AAT;ISIS/GSK)、ALN-TTRsc(トランスエリトリン(Transerythrin);Alnylam)、ALN-TTR01(トランスエリトリン;Alnylam)、及びALN-TTR02(トランスエリトリン;Alnylam)、から選択される核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0364】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患を治療する方法であって、治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0365】
いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的核酸に結合するオリゴヌクレオチド、及び細胞上、または標的核酸を含有する細胞の微小環境中の細胞表面抗原に特異的に結合する標的指向性部分を含む。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、GHr、CTGF及びPKN3から選択される標的核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、ATL1103-GHr Rx(GHr;ISIS/Antisense Therapeutics Ltd)、EXC 001(CTGF;ISIS/Excaliard)、及びAtu111(PKN3;Silence Thera)から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0366】
上記のものに加えて、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、代謝疾患または障害(例えば、真性疾患、肥満、高コレステロール、高トリグリセライド)の治療、骨格系の疾患及び障害(例えば、骨粗鬆症及び変形性関節症)の治療における、心臓血管系の疾患及び障害(例えば、脳卒中、心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血栓症、貧血、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症、顆粒球減少症、汎血球減少症または特発性血小板減少性紫斑病)の治療における;腎臓(例えば、腎症)、膵臓(例えば、膵炎)、皮膚及び眼(例えば、結膜炎、網膜炎、強膜炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、乳頭結膜炎、緑内障、網膜症、及び眼虚血状態、例えば前部乏血性視神経症、加齢性黄斑変性症(AMD)、虚血性視神経症(ION)、ドライアイ症候群)の治療における;臓器移植による拒絶反応の防止(肺、肝臓、心臓、膵臓、腎臓移植など)における、及び再生医療での使用(例えば、老化防止、創傷治癒の促進、骨、コラーゲン、組織、及び器官の成長及び修復の促進における)、を含むがこれらに限定されない用途を有する。
【0367】
いくつかの実施形態では、本開示は、P53、カスパーゼ2、ケラチン6a、アドレナリン受容体ベータ2、VEGFR1、RTP801、ApoB、及びVEGFから選択される標的核酸に結合するオリゴヌクレオチドを含有する治療有効量のT-オリゴ-HESコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、TKM-ApoB(ApoB)、I5NP(P53)、QPI-1007(カスパーゼ2)、TD101(ケラチン6a)、SYL040012(アドレナリン受容体ベータ2)、AGN-745(VEGFR1)、PF-655(RTP801)、及びベバシラニブ(VEGF)から選択されるオリゴヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、標的結合について上記のオリゴヌクレオチドのうちの1つと競合するオリゴヌクレオチドを含有する。
【0368】
種々の実施形態では、本開示は、細胞内、対象内のインビボ、またはエクスビボでの標的核酸またはタンパク質の調節に使用するための組成物を提供する。本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、例えば、対象におけるインビボまたはエクスビボでの核酸またはタンパク質の過剰発現、過少発現及び/または異常発現を特徴とする疾患または障害の治療における用途を有する。感染症、がん、増殖性疾患または障害、神経疾患または障害、及び炎症性疾患または障害、免疫系の疾患または障害、心血管系の疾患または障害、代謝疾患または障害、骨格系の疾患または障害、ならびに皮膚または目の疾患または障害から選択される例示的な疾患または障害の治療におけるT-オリゴ-HESコンジュゲートの使用もまた、本明細書で提供される。特定の態様では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、転移を治療するために使用される。
【0369】
当業者が直ちに理解するように、T-オリゴ-HESコンジュゲートにコンジュゲートされた標的指向性部分を含むコンジュゲートの治療用の使用及びコンパニオン診断用の使用は、本質的に無限である。本明細書では、コンジュゲートの例示的な診断用及び治療用の使用が提供される。しかし、本明細書における説明は、限定を意味するものではなく、コンジュゲートは、核酸配列を検出すること、または細胞及び/または生物内の1つまたは複数の核酸もしくは関連タンパク質のレベルを調節することが望ましい任意の状況においての使用を有することが想定される。
【0370】
複数のT-オリゴ-HESコンジュゲート
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるコンジュゲートは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも10の異なるオリゴヌクレオチドの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、もしくは少なくとも10の異なるオリゴヌクレオチドを集合的に含有する複数のコンジュゲートまたは異なるオリゴヌクレオチド配列を有するT-オリゴ-HESコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2~15、2~10、または2~5の間の異なるオリゴヌクレオチド及び/またはT-オリゴ-HESコンジュゲートを含有する。いくつかの実施形態では、複合体中の異なるオリゴヌクレオチドの少なくとも2または少なくとも3が、同じポリペプチドに対応するDNA及び/またはmRNAに特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、複合体中の異なるオリゴヌクレオチドの少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも10が、異なるポリペプチドに対応するDNA及び/またはmRNAに特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、異なるポリペプチドに特異的にハイブリダイズする2~15、2~10、または2~5の間のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、異なるT-オリゴ-HESコンジュゲートの1つまたは複数が対象に同時に投与される。他の実施形態では、異なるT-オリゴ-HESコンジュゲートの1つまたは複数が対象に別々に投与される。
【0371】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の追加の薬剤と同時投与される。ある特定の実施形態では、そのような追加の薬剤は、T-オリゴ-HESコンジュゲートとは異なる疾患、障害、または状態を治療するように設計される。いくつかの実施形態では、追加の薬剤をT-オリゴ-HESコンジュゲートと同時投与して、複合体の望ましくない効果を治療する。追加の実施形態では、追加の薬剤をT-オリゴ-HESコンジュゲートと同時投与して、組み合わせ効果をもたらす。さらなる実施形態では、追加の薬剤を、T-オリゴ-HESコンジュゲートと同時投与して、相乗効果を生み出す。ある特定の実施形態では、追加の薬剤を投与して、T-オリゴ-HESコンジュゲートの望ましくない副作用を治療する。いくつかの実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、追加の薬剤と同時に投与される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド-HES及び追加の薬剤は、単一医薬製剤で一緒に調製される。他の実施形態では、オリゴヌクレオチド-HES及び追加の薬剤は、別々に調製される。さらなる実施形態では、追加の薬剤は、T-オリゴ-HESコンジュゲートとは異なる時点で投与される。
【0372】
キット
本開示はまた、本明細書に記載のT-オリゴ-HESコンジュゲートの投与のためのキットも提供する。キットは、本明細書に記載のT-オリゴ-HESコンジュゲートの少なくとも1つを含む材料または構成要素の集合体である。したがって、いくつかの実施形態では、キットは、T-オリゴ-HESコンジュゲートのうちの少なくとも1つを含有する。
【0373】
キットに構成された構成要素の正確な性質は、その意図された目的に依存する。一実施形態では、キットは、ヒト対象を治療する目的で構成される。
【0374】
使用説明書がキットに含まれていてもよい。使用説明書には、典型的には、例えば、がん、炎症、自己免疫疾患、または神経変性疾患を治療するために、所望の結果に影響を与えるためにキットの構成要素を使用する際に用いられる技術を説明する具体的な表現が含まれる。場合により、キットは、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容される担体、注射器、カテーテル、アプリケータ、ピペッティングもしくは測定ツール、包帯材料、または当業者によって容易に認識される他の有用な器具などの他の有用な構成要素も含む。
【0375】
キットに組み立てられた材料及び構成要素は、それらの操作性及び有用性を維持する任意の簡便かつ好適な方法で保存されて医師に提供され得る。例えば、構成要素は、室温、冷蔵または冷凍温度で提供することができる。構成要素は、典型的には、好適な包装材料に含まれている。種々の実施形態では、包装材料は、好ましくは減菌かつ汚染物質のない環境を提供するために、周知の方法によって構築される。包装材料には、キット及び/またはその構成要素の内容及び/または目的を示す外部ラベルが付いていてもよい。
【0376】
治療方法
本明細書に記載の方法及び組成物は、がん、感染、免疫障害、貧血、自己免疫疾患、心血管疾患、創傷治癒、虚血関連疾患、神経変性疾患、代謝疾患、ならびに多くの他の疾患及び障害を含むがこれらに限定されない種々の疾患及び障害の治療に用途を有する。
【0377】
さらに、本発明の薬剤のいずれも、がん、感染、免疫障害、炎症性疾患もしくは状態、及び自己免疫疾患、を含むがこれらに限定されない種々の疾患及び障害の治療、または治療用の医薬の製造における使用のためのものであってもよい。
【0378】
いくつかの実施形態では、本開示は、がん、心不全、自己免疫疾患、鎌状赤血球症、サラセミア、失血、輸血反応、糖尿病、ビタミンB12欠乏症、コラーゲン血管疾患、シュワッハマン症候群、血小板減少性紫斑病、セリアック病、内分泌不全状態、例として甲状腺機能低下症もしくはアジソン病、自己免疫疾患、例としてクローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチもしくは若年性関節リウマチ、免疫障害、例として潰瘍性大腸炎好酸球性筋膜炎、低免疫グロブリン血症、胸腺腫/胸腺癌、移植片対宿主病、前白血病、非血液症候群(例えば、ダウン症候群、デュボヴィッツ症候群、セッケル症候群)、フェルティ症候群、溶血性尿毒症症候群、骨髄異形成症候群、夜間発作性ヘモグロビン尿症、骨髄線維症、汎血球減少症、赤芽球癆、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、マラリア、タンパク質飢餓、月経過多、全身性硬化症、肝硬変、代謝低下状態、うっ血性心不全、のうちの1つまたは複数の治療、またはそれを有する患者の治療に関する。
【0379】
いくつかの実施形態では、本開示は、がんの治療、またはがんを有する患者の治療に関する。本明細書で使用される場合、がんは、体の器官及び系の正常な機能を妨害し得る細胞の任意の無秩序な増殖を指し、原発性及び転移性腫瘍の両方を含む。元の場所から遊走し、重要な器官に播種する原発性腫瘍またはがんによって、影響を受けた器官の機能低下により、最終的に対象の死がもたらされる可能性がある。転移は、原発腫瘍から体の他の部分へのがん細胞の播種に起因する、原発腫瘍の場所とは異なるがん細胞またはがん細胞群である。転移は、最終的に対象の死をもたらす場合がある。例えば、がんには、良性及び悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠腫瘍または微小転移を含むことができる。
【0380】
本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートを使用して治療され得る例示的ながんとしては、癌腫、例えば、腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、及び移行上皮癌を含む種々のサブタイプ)、肉腫(例えば、骨及び軟部組織を含む)、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ性、及び有毛細胞を含む)、リンパ腫及び骨髄腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、軽鎖、非分泌性、MGUS、及び形質細胞腫を含む)、及び中枢神経系の癌(例えば、脳(例えば、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫、及び上衣腫)を含む)、髄膜腫、下垂体腺腫、神経腫、及び脊髄腫瘍(例えば髄膜腫及び神経線維腫)、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0381】
治療され得る例示的ながんとしては、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳及び中枢神経系の癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼の癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);膠芽腫;肝癌;肝臓癌;上皮内腫瘍;腎臓または腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫;皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキン及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小非切断細胞性NHL;バルキー病NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫及び肉腫;移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに及びファコマトーシスに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、及びメイグス症候群、が挙げられるが、これらに限定されない
【0382】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、微生物感染及び/または慢性感染を有する患者を治療するために使用される。例示的な感染としては、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン-バーウイルスまたはパルボウイルス、T細胞白血病ウイルス、細菌過剰増殖症候群、真菌または寄生虫感染が挙げられるが、これらに限定されない。
【0383】
種々の実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の炎症性疾患または状態、例として、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症性ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、疼痛、眼の炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損症、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性痙性運動失調症、喉頭炎症性疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症、及びその他のじん肺症を、治療または予防するために使用される。
【0384】
種々の実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の自己免疫疾患または状態、例として、多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギランバレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆道硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群;移植拒絶反応(同種移植拒絶反応の防止など)悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、バセドウ病、及びその他の自己免疫疾患を治療または予防するために使用される。
【0385】
種々の実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、心臓及び管系に影響を与える疾患または状態などの心血管疾患、限定するものでないが、例として、冠動脈疾患(CHD)、脳血管疾患(CVD)、大動脈弁狭窄症、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管疾患(脳卒中)、一過性脳虚血発作(TIA)、狭心症(安定及び不安定)、心房細動、不整脈、弁膜症(vavular disease)、及び/またはうっ血性心不全、を治療、制御、または予防するために使用される。
【0386】
種々の実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の代謝関連障害を治療または予防するために使用される。種々の実施形態では、T-オリゴ-HESコンジュゲートは、1型及び2型糖尿病を含む糖尿病の治療、制御または予防に有用である。
【0387】
種々の実施形態では、本明細書に提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の呼吸器疾患、例として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管収縮、肺気腫、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、レフラー症候群、グッドパスチャー症候群、胸膜炎、肺炎、肺水腫、肺線維症、サルコイドーシス、呼吸器合胞体ウイルス感染に関連する合併症、及びその他の呼吸器疾患、を治療または予防するために使用される。
【0388】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるT-オリゴ-HESコンジュゲートは、1つまたは複数の神経変性疾患を治療または予防するために使用される。例示的な神経変性疾患としては、多発性硬化症(良性多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次進行性多発性硬化症(SPMS);進行性再発性多発性硬化症(PRMS);及び原発性進行性多発性硬化症(PPMS)が含まれるが、これらに限定されない)、アルツハイマー病(早期発症型アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、及び家族性アルツハイマー病(FAD)、パーキンソン病及びパーキンソニズム(特発性パーキンソン病、血管性パーキンソニズム、薬剤性パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病、が含まれるが、これらに限定されない)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(孤発性ALS、家族性ALS、西太平洋ALS、若年性ALS、ヒラマヤ病を含むがこれらに限定されないALS)、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0389】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1つまたは複数の方法、及び/または本明細書に記載の及び/または本開示などを読むと当業者に明らかになるタイプの工程を含む。加えて、「細胞」という用語は、本質的に不均一または均一のいずれかである細胞集団として解釈することができ、細胞の集合体を指すこともできる。さらに、本発明の各制限は、本発明の種々の実施形態を包含することができる。したがって、任意の1つの要素または要素の組み合わせを含む本発明の制限のそれぞれが、本発明の各実施形態に含まれ得ることが想定される。
【0390】
上記の詳細な説明及び以下の実施例は、例示であるに過ぎず、本発明の範囲に対する制限であると解釈されるべきではないことを理解されたい。開示された実施形態に対する種々の変更及び修正は、当業者には明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0391】
米国出願第62/959,928号、国際出願番号PCT/US2014/42202、及び国際出願番号PCT/US2012/069294のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0392】
さらに、引用される全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び受託番号/データベースの配列(ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の両方を含む)は、それぞれの個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、または受託番号/データベースの配列が、個別に、参照により組み込まれるのと同程度に、あらゆる目的で、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示にのみ提供される。この点のいかなる内容も、先行発明、または任意の他の理由によって、発明者らがかかる開示に先行する権利がないことを承認すると、解釈するべきではない。日付に関する記載、または、これらの文書の内容の描写のすべては、出願人が利用可能な情報に基づき、日付または、これらの文書の内容の正確性のいかなる承認も構成しない。
【0393】
実施例
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために提供されるのであって、限定するものではない。
【0394】
実施例1
例示的な合成スキームT(抗体)-オリゴ-HESコンジュゲート
T-オリゴ-HESコンジュゲートは、抗体などの標的指向性部分、リンカー、立体配座特異的ペプチド、及びオリゴヌクレオチド-HES複合体の4つの成分で構成されるコンジュゲートである。この例では、標的指向性部分は、抗体であった。抗体のFcドメインのジスルフィドを、最初にトリス(2-カルボキシエチル)-ホスフィン(TCEP)で還元し、続いてリンカーの一端にマレイミドを付加した。リンカーアームは、典型的には、6~50個の原子の範囲であり、この例では、リンカーアームは25個の原子に加えてジベンゾシクロオクチンを有していた。次に、クリックケミストリーを使用して、立体配座特異的切断部位(実施例3に記載)を含有し、一端にアジドを有するペプチドを、抗体上のリンカーにコンジュゲートさせた。次に、立体配座特異的切断部位を含有するペプチドは、細胞表面上のプロテアーゼの切断部位として機能することができた(以下の例を参照のこと)。ペプチドは、一本鎖アンチセンスまたは二本鎖siRNAのいずれか(この場合には、k-RASに相補的な配列を有する一本鎖アンチセンス配列)であるオリゴヌクレオチドに、抗体連結の遠位側でコンジュゲートさせることができる。立体配座特異的切断部位を含有するペプチドとオリゴヌクレオチドの両方が、HES、具体的にはペプチドHESとオリゴヌクレオチドHESを形成するようにそれぞれ2つのフルオロフォアで事前に誘導体化されており、次に、コンジュゲートを細胞表面に送達して、抗体は細胞表面の抗原に結合することができ(この場合はリツキシマブ)、立体配座特異的ペプチドは、同族プロテアーゼ(この場合はマトリックスメタロプロテアーゼ)によって切断され、オリゴヌクレオチドHESが細胞内に拡散し、その相補配列(この場合はk-RAS)とハイブリダイズすることができる。
【0395】
実施例2
リンカーアームで共有結合的に標識された抗体は、その後、アームの存在を確認するためにクリックケミストリーを介してフルオロフォアで誘導体化することができる。抗体を最初にTCEPで還元し、続いて4つのエチレングリコール基を含む25原子のリンカーを付加した。次に、ジベンゾシクロオクチン基で終端するリンカーを、アジド含有フルオロフォアとコンジュゲートさせた。1時間の反応時間の後、溶液をゲル濾過カラム(BioGel P30)に通し、コンジュゲートはボイドボリュームの直後に溶出された。図2に示すように、280nmのピークは抗体によるものであり、641のピークはフルオロフォアの共有結合を示す。T(例えば、抗体)-オリゴ-HESコンジュゲートの完全な合成は、複数のステップで、例えば(a)最初にリンカーを付加し、次に立体配座依存性切断部位を含有するペプチド及びオリゴヌクレオチドを順次付加することによるか、または(b)立体配座依存性切断部位を含有するペプチド及びオリゴヌクレオチドに既にコンジュゲートしたリンカーを抗体に直接付加することにより、行うことができる。各ステップは、フルオロフォアなどのレポーター基を含有する相補的な官能性化学基を使用して確認することができる。
【0396】
実施例3
立体配座特異的切断部位を含有するペプチドの特異性。アミノ酸配列PLGIA(配列番号78)を含有する18アミノ酸ペプチドを、分子内H型励起子二量体が形成されてHES構造を生じさせるように、各末端近くで同じフルオロフォアで共有結合的に標識した。PLGIA配列を、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)によって認識され、LGとIAとの間で切断する。2μMで、PLGIA(配列番号77)ペプチドが存在するpH7.5緩衝液中にMMP-19を加える。ペプチドの切断により、蛍光強度が増加する。この特異性を、対照ペプチド、すなわち、同じ長さ、同じ標識を含むが、立体配座依存性切断部位を含有していないHES担持ペプチドと比較する。後者の蛍光は、MMPの添加により増加せず、このことは、MMP-19に対するPLGIA(配列番号77)配列の特異性を示す。図3を参照のこと。
【0397】
実施例4
立体配座依存性切断部位を含有するHES-PLGIA(配列番号:77)ペプチドの保持時間をHPLCで測定し、C18カラムでの保持時間は逆相条件下、すなわち水性緩衝液に負荷し、アセトニトリル緩衝液で38分で溶出して、測定した(図4Aを参照のこと)。MMP-9への曝露後、主ピークはおよそ30分及び31分にあり、38分にピークがほぼ完全に消失し(図4B)、実施例3に示された切断と一致していた。例えば、図3を参照のこと。
【0398】
実施例5
立体配座依存性切断部位を含有するペプチドに連結した抗体の形成。Bリンパ球上のCD20を認識するモノクローナル抗体であるリツキシマブは、リンカー及び立体配座依存性切断部位を含有するペプチドにコンジュゲートしていた。280nmでのピークは、抗体の存在を示す。HESの存在によるペプチド切断部位の立体配座依存性特異性は、552nmでのピークと比較して520nmでのより強度なピークによって示される。分子内H-二量体を形成する2つのフルオロフォアが存在しない場合、552のピークは520のピークよりも高くなる。したがって、ペプチドの立体配座特異性は、リンカーとの共有結合形成後も維持される。例えば、図5を参照のこと。
【0399】
実施例6
B細胞によるリツキシマブ-オリゴ-HESコンジュゲートの認識。CD20+Bリンパ球細胞株であるRaji細胞を、リンカーアーム及び立体配座依存性切断部位を含有するペプチドで標識されたリツキシマブに4℃で曝露した。洗浄及び生存率色素の添加後、細胞をフローサイトメトリーにより調査した。修飾リツキシマブコンジュゲートに曝露された細胞は、抗体を認識し、細胞の生存率に影響を与えずに抗体に結合した。したがって、クリックケミストリーによる付加の化学による抗体の修飾によって、モノクローナル抗体の認識機能は低下しなかった。例えば、図6を参照のこと。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023509979000001.app
【国際調査報告】