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特表2023-509983腸管における薬剤送達用の嚥下可能なデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】腸管における薬剤送達用の嚥下可能なデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20230303BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
A61M31/00
A61K9/48
A61K45/00
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542460
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021013256
(87)【国際公開番号】W WO2021146296
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/960,977
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イムラン,ミール エイ.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE01
4C066FF10
4C066KK00
4C076AA53
4C076AA58
4C076AA95
4C076BB01
4C076EE32
4C076FF68
4C084AA17
4C084MA37
4C084NA13
(57)【要約】
送達デバイスは、カプセルハウジングと、カプセルハウジング内の密封された区画内の少なくとも1つの組織貫通部材であって、ペイロードを放出するように構成されている、少なくとも1つの組織貫通部材と、カプセルハウジング内かつ密封された区画の少なくとも部分的に外側にあるアクチュエータであって、少なくとも1つの組織貫通部材を密封された区画の中から外へ前進させるように構成されている、アクチュエータと、を含み得る。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達デバイスであって、
カプセルハウジングと、
前記カプセルハウジング内の密封された区画内の少なくとも1つの組織貫通部材であって、ペイロードを放出するように構成されている、少なくとも1つの組織貫通部材と、
前記カプセルハウジング内かつ前記密封された区画の少なくとも部分的に外側にあり、前記少なくとも1つの組織貫通部材を前記密封された区画の中から外へ前進させるように構成されている、アクチュエータと、を備える、送達デバイス。
【請求項2】
前記密封された区画が第1のシールを備え、前記アクチュエータが、前記少なくとも1つの組織貫通部材を前記第1のシールを通して前進させるように構成されている、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項3】
前記密封された区画が第2のシールを備える、請求項2に記載の送達デバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記第2のシールを穴あけするように構成された駆動部材を備える、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項5】
前記第2のシールは、密封特徴と、前記密封された区画の少なくとも1つの表面との間の工学的はめ合いによって形成されている、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータが前記密封特徴を備える、請求項5に記載の送達デバイス。
【請求項7】
前記第1のシールおよび前記第2のシールのうちの少なくとも1つが箔を含む、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項8】
前記第1のシールおよび前記第2のシールのうちの少なくとも1つが生分解性材料を含む、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項9】
複数の組織貫通部材を備える、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項10】
前記複数の組織貫通部材のそれぞれが、前記カプセルハウジング内のそれぞれの密封された区画内にある、請求項9に記載の送達デバイス。
【請求項11】
複数の駆動部材を備え、各駆動部材がそれぞれの組織貫通部材を前進させるように構成されている、請求項9に記載の送達デバイス。
【請求項12】
前記アクチュエータは、駆動部材と、前記駆動部材を作動させるように構成された拡張可能デバイスとを備える、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項13】
拘束具をさらに備え、前記拘束具の不存在が前記拡張可能デバイスを起動する、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項14】
前記拘束具が生分解性材料を含み、前記拘束具の分解により前記拡張可能デバイスを起動するように構成されている、請求項13に記載の送達デバイス。
【請求項15】
前記拡張可能デバイスが、ばねを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項16】
前記拡張可能デバイスが、膨張可能デバイスを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項17】
前記拡張可能デバイスが、1つ以上の拡張可能アームを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項18】
前記カプセルハウジングが生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を取り囲む生分解性材料を含む、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、貫通部材形状に形成された薬物を含む、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を含むコーティングを含む生分解性材料を含む、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項22】
ペイロードを患者の組織に送達する方法であって、
前記方法は、カプセルハウジングと、前記ペイロードを放出するように構成され、前記カプセルハウジング内の密封された区画に配置された少なくとも1つの組織貫通部材と、前記カプセルハウジング内かつ前記密封された区画の少なくとも部分的に外側にあるアクチュエータと、を備える送達デバイスを飲み込むことを含み、
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの組織貫通部材を前記密封された区画の中から外へ前進させて、前記ペイロードを放出するように構成されている、方法。
【請求項23】
前記密封された区画が第1のシールを備え、前記アクチュエータが、前記少なくとも1つの組織貫通部材を前記第1のシールを通して前進させるように構成されている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記密封された区画が第2のシールを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記送達デバイスが複数の組織貫通部材を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の組織貫通部材のそれぞれが、前記カプセルハウジング内のそれぞれの密封された区画内にある、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アクチュエータは、駆動部材と、前記駆動部材を作動させるように構成された拡張可能デバイスと、を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記送達デバイスが拘束具をさらに備え、前記拘束具の不存在により前記拡張可能デバイスを起動する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記カプセルハウジングが第1の生分解性材料を含み、前記拘束具が第2の生分解性材料を含み、前記方法は、前記カプセルハウジングを分解させ、前記カプセルハウジングを分解させた後に前記拘束具を分解させることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記拡張可能デバイスは、ばね、膨張可能デバイス、および1つ以上の拡張可能アームのうちの少なくとも1つを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を取り囲む生分解性材料を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、貫通部材形状に形成された薬物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を含むコーティングを含む生分解性材料を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
ペイロードを患者の組織に送達する方法であって、
前記方法は、カプセルハウジングと、前記ペイロードを放出するように構成され、前記カプセルハウジング内の密封された区画に配置された少なくとも1つの組織貫通部材と、前記カプセルハウジング内のアクチュエータと、を備える送達デバイスを飲み込むことと、
腸の環境条件の存在下で前記カプセルハウジングを分解させることと、
前記カプセルハウジングが分解された後、前記アクチュエータが前記少なくとも1つの組織貫通部材を前記密封された区画の中から外へ前進させ、それによって前記ペイロードを放出することと、を含む、方法。
【請求項35】
前記アクチュエータが、前記密閉された区画の少なくとも部分的に外側に配置されている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アクチュエータが拡張可能デバイスおよび拘束具を備え、前記アクチュエータが前記少なくとも1つの組織貫通部材を前進させることが、前記拘束具を分解させて、前記拡張可能デバイスを起動することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記拡張可能デバイスは、ばね、膨張可能デバイス、および1つ以上の拡張可能アームのうちの少なくとも1つを備える、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を取り囲む生分解性材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、貫通部材形状に形成された薬物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの組織貫通部材が、薬物を含むコーティングを含む生分解性材料を含む、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年1月14日に出願された米国特許出願第62/960,977号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、薬物送達デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの状態の医学的治療は、経口または注射(例えば、皮下注射)などの様々な方法で患者に従来通り投与される薬物の使用を伴う。ただし、これらの薬剤送達モードには欠点がある。例えば、従来の経口投与では、患者は胃の炎症または他の不快感を経験し得、および/または薬物は、胃腸管での消化の結果として望ましくない分解を受け得る。さらに、いくつかの治療薬(例えば、高分子)は経口的に送達することができない。別の例として、注射は痛みを伴い不便であり、患者のコンプライアンスと生活の質に影響を与えることがよくある。これらの問題は、薬物の持続的または反復投与を必要とする慢性的な病状の場合、より大きくなる。したがって、患者に薬物を送達するための新しく改善された方法およびデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの変形例では、送達デバイスは、カプセルハウジング、カプセルハウジング内の密封された区画内の少なくとも1つの組織貫通部材、および密封された区画の少なくとも部分的に外側にあるカプセルハウジング内のアクチュエータを含む。少なくとも1つの組織貫通部材は、ペイロードまたは薬物などの他の治療薬を放出するように構成され得る。アクチュエータは、少なくとも1つの組織貫通部材を密封された区画の中から外へ前進させるように構成され得る。例えば、いくつかの変形例では、密封された区画は、1つ以上のシールを含み得、アクチュエータは、少なくとも1つのシールを破り、および/または少なくとも1つの組織貫通部材を少なくとも1つのシールを通して前進させるように構成され得る。
【0005】
密封された区画は、組織に前進するまで組織貫通部材を分解から(例えば、胃腸管の環境から)保護するように構成され得、それにより、薬物が容易に吸収されないところでの薬物の早期放出のリスクを実質的に低減または排除する。したがって、密封された区画は、薬物送達デバイスで提供される薬物の用量の治療効果を維持するのに役立ち得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】嚥下可能な薬剤送達デバイスの変形例の一例の概略図を示す。
図1B】密閉された区画内の組織貫通部材の概略図を示す。
図1C図1Bに示される組織貫通部材が密封された区画の中から外へ前進させられる様子の概略図を示す。
図2A】嚥下可能な薬剤送達デバイスの変形例の一例の概略図である。
図2B】密閉された区画内の複数の組織貫通部材の概略図を示す。
図3】密閉された区画内の組織貫通部材の変形例の一例の概略図を示す。
図4A-4C】薬物を放出するように構成された組織貫通部材の変形例の概略図を示す。
図5A-5B】組織貫通部材の変形例の遠位端の概略図を示す。
図6A】アクチュエータの変形例の一例を含む薬剤送達デバイスの概略図を示す。
図6B】カプセルハウジングを取り外した後の図6Aに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図6C】1つ以上の組織貫通部材を前進させるための拡張構成における図6Bに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図7A】アクチュエータの変形例の一例を含む薬剤送達デバイスの概略図を示す。
図7B】カプセルハウジングを取り外した後の図7Aに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図7C】1つ以上の組織貫通部材を前進させるための拡張構成における図7Bに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図8A】アクチュエータの変形例の一例を含む薬剤送達デバイスの概略図を示す。
図8B】1つ以上の組織貫通部材を前進させるための拡張構成における図8Aに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図9A】アクチュエータの変形例の一例を含む薬剤送達デバイスの概略図を示す。
図9B】カプセルハウジングを取り外した後の図9Aに示されるアクチュエータの概略図を示す。
図9C】1つ以上の組織貫通部材を前進させるための拡張構成における図9Bに示されるアクチュエータの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の様々な態様および変形例の非限定的な例は、本明細書に記載され、添付の図面に示されている。
【0008】
本開示において使用される場合、用語「例えば(e.g.,)」、「など(such as)」、「例えば(for example)」、「の例(examples of)」、「例として(by way of example)」は、1つ以上の非限定的な例のリストが前または後にあることを示し、記載されていない他の例も本開示の範囲内にあることを理解されたい。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」および「約」は、小さな変動を説明および伝えるために使用される。例えば、数値と併せて使用されるとき、これらの用語は、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下など、その数値の±10%以下の変動範囲を指し得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、数値の範囲は、範囲内の任意の数値、またはサブ範囲内の最小数および最大数が範囲内にある場合は任意のサブ範囲を含む。したがって、例えば、「<9」は、9未満の任意の数値、またはサブ範囲の最小値がゼロ以上で、かつサブ範囲の最大値が9未満である数値のサブ範囲を指す場合がある。
【0011】
本明細書に記載の送達デバイスは、体内の部位(例えば、ヒトまたは他の動物の体内)などの部位にペイロードを送達する。ペイロードは、1つ以上の製剤、電子デバイス、または前述の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。製剤は、粉末形態、または錠剤もしくはマイクロ錠剤などの凝縮または統合形態であり得る。送達デバイスは、1つ以上の製剤を含むことができる。製剤は、1つ以上の作用物質を含むことができる。幅広い作用物質を使用することができる。例えば、作用物質は、任意の薬理学的に活性の作用物質(例えば、抗生物質、NSAID、血管新生阻害剤、神経保護剤、化学療法剤)、DNAもしくはSiRNA転写物(例えば、遺伝的異常、状態、または障害を改変するためのもの)、細胞(例えば、生物によってもしくは生物から生成されるもの、または生物の成分を含む)、細胞毒性剤、診断剤(例えば、感知剤、造影剤、放射性核種、蛍光部分、発光部分、磁気部分)、予防薬薬剤(例えば、ワクチン)、栄養補助食品(例えば、ビタミン、ミネラル、ハーブサプリメント)、送達増強剤、遅延剤、賦形剤、別の物質、または前述の2つ以上の任意の組み合わせであることができる、あるいはこれらを含むことができる。作用物質は、生体組織への導入に適していることができる。命名法の便宜のために、送達デバイスは、本明細書では「薬物送達」デバイスとしてラベル付けされ得るが、より一般的には、送達デバイスは、上記のような1つ以上の製剤および/または電子デバイスを含み得るペイロードを送達し得る。さらに、命名法の便宜のために、ペイロードは、本明細書では「薬物」と呼ばれ得るが、ペイロードは、1つ以上の製剤、電子デバイス、または前述の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。
【0012】
本明細書でさらに詳細に説明するように、薬物送達デバイスおよび方法は、ペイロードを身体の様々な場所に送達するために嚥下可能なデバイスを利用し得る。いくつかの変形例では、薬物送達デバイスは、1つ以上の治療薬を胃腸管に送達するように構成された嚥下可能なデバイスであり得る。以下でさらに詳細に説明するように、薬物送達デバイスは、カプセルハウジング、ペイロードを放出するように構成された少なくとも1つの組織貫通部材、およびカプセルハウジング内にあり、かつペイロードが解放され得る組織内に組織貫通部材を前進させるように構成されたアクチュエータを含み得る。例えば、組織貫通部材は、組織貫通部材が分解するときに薬物を放出する生分解性材料を含み得る。
【0013】
いくつかの変形例では、組織貫通部材は、カプセルハウジング内の密封された区画内にあり得、アクチュエータは、密封された区画の少なくとも部分的に外側にあり、組織貫通部材を密閉された区画から近くの組織内へ前進させるように構成され得る。密封された区画は、組織内へ前進させられるまで組織貫通部材を分解から(例えば、胃腸管の環境から)保護するように構成され得る。例えば、密封された区画は、組織貫通部材を保護し、それによって、薬物が容易に吸収されないところでの薬物の早期放出のリスクを実質的に低減または排除するように構成され得る。したがって、組織貫通部材のためのそのような密封された区画は、薬物送達デバイスにおいて提供される薬物の用量の治療効果を維持するのに役立ち得る。
【0014】
例えば、図1A~1Cの概略図に示されるように、薬物送達デバイス100は、カプセルハウジング110と、密封された区画120内の、薬物140(または他のペイロード140)を放出するように構成された少なくとも1つの組織貫通部材130と、密封された区画120の少なくとも部分的に外側にあるカプセルハウジング110内のアクチュエータ150とを含み得る。アクチュエータ150は、組織貫通部材130を密封された区画120から組織(T)内へ前進させるように構成され得る。
【0015】
飲み込まれると、薬物送達デバイス100は胃腸管を通って移動し得、カプセルハウジング110は、胃腸管の環境(例えば、pH)の結果として分解し得る。いくつかの変形例では、アクチュエータ150は、カプセルハウジングが分解するまで、組織貫通部材130を前進させることを防止し得る(例えば、以下でさらに説明する1つ以上の生分解性拘束特徴を用いて)。例えば、カプセルハウジングが分解している間または分解した後、アクチュエータは環境条件にさらされ、それによって組織貫通部材130を腸壁内へ前進させるように起動し得る。しかしながら、密封された区画120は、アクチュエータが完全に起動して組織貫通部材130を組織内、例えば薬物140が放出されるところまで前進させるまで、同じ環境条件への組織貫通部材130の曝露を保護し得る。したがって、密封された区画120を備えた薬物送達デバイスは、組織貫通部材130の早期分解および薬物140の放出を低減または防止し、例えば、組織貫通部材130に含まれる薬物用量の完全な治療効果を維持するのに役立つ。
【0016】
カプセルハウジング
一般に、カプセルハウジングは、飲み込まれて胃腸管に入るようなサイズおよび形状であり得る。例えば、図1Aに示されるように、カプセルハウジングは、球状円筒形(例えば、半球形または他の方法で丸みを帯びた端部を備えた円筒形)であり得る。しかしながら、カプセルハウジングは、球形または楕円形などの任意の適切な形状を有し得る。カプセルハウジングは、丸みを帯びた縁を有し得る。これは、薬物送達デバイスの通過中の嚥下困難および/または胃腸管への損傷を回避するのに役立ち得る。
【0017】
カプセルハウジングは、1つ以上の密封された区画、組織貫通部材、および/またはアクチュエータなどの、薬物送達デバイスの1つ以上の他の構成要素を収容するための内部容積を含み得る。カプセルハウジングは、内部容積を画定するカプセル壁を有し得る。いくつかの変形例では、内部容積は実質的に密封され得る(例えば、カプセルハウジングはその内容物を完全に封入し得る)。カプセルハウジングは、溶解可能なコーティングまたは他のシールで一時的に覆われ得る1つ以上の開口(例えば、1つ以上の組織貫通部材の通過を可能にするため)を含み得る。さらに、いくつかの変形例では、カプセルハウジングは、内部カプセル容積の1つ以上の仕切りを形成する1つ以上のカプセル壁を含み得、それにより、任意の適切な方法で内部カプセル容積を分割する。
【0018】
カプセルハウジングは、1つ以上の生分解性ポリマーなどの任意の適切な生分解性材料を含み得る。カプセルハウジングは、例えば、そのような生分解性材料から形成され得、および/または生分解性コーティングを含み得る。本明細書に記載の方法およびデバイスでの使用に適し得る生分解性ポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パラジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびそれらの混合物およびコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、カプセルハウジングは、HPMCの1つ以上の層で形成され、さらに、いくつかの変形例では、カプセルハウジングは、カプセルハウジングが腸に入る前に胃で溶解するのを防ぐのを助ける腸管外側コーティングを含み得る。
【0019】
カプセルハウジングは、胃腸管を通過する間に全体的または部分的に分解するように構成され得る。例えば、カプセルハウジングは、内部カプセル容積のその内容物の少なくとも一部を露出させるために分解し得る。いくつかの変形例では、カプセルハウジングの材料は、pHが少なくとも約5.5である腸環境(例えば、小腸)において分解するように構成され得る。例えば、カプセルハウジングは、少なくとも5.5、少なくとも6.0、少なくとも6.5、少なくとも7.0、少なくとも7.1、少なくとも7.2、少なくとも7.3、少なくとも7.4、少なくとも7.5、少なくとも7.6、少なくとも7.7、少なくとも7.8、少なくとも7.9、少なくとも8.0などのpHを有する環境において分解するように構成された材料から形成され得るおよび/またはコーティングを含み得る。いくつかの変形例では、カプセルハウジング(またはその上のコーティング)が、胃腸管内で所定の期間にわたって、例えば、約4時間~約10時間、約5時間~約9時間、または約6時間から約8時間で分解するように構成されるようにカプセルハウジングの寸法及び材料が選択され得る。所定の期間は、少なくとも部分的に、ペイロード送達のための所望の位置(例えば、胃、小腸、大腸など)、蠕動による胃腸管内のカプセルハウジングの推定移動速度、および/または他の要因に基づいて選択され得る。
【0020】
カプセルハウジングは、その全体が溶解するように構成され得、および/またはカプセルハウジングは、患者の胃腸管をより容易に通過することを促進するために、より小さな断片に破壊され得る(例えば、溶解可能なジョイントまたは継ぎ目のために)。カプセルハウジングがより小さな断片に破壊される変形例では、より小さな断片は、任意の適切なパターン(例えば、グリッド、リングなど)で継ぎ目によって結合され得る。そのような継ぎ目は、生分解性材料を含み得、および/またはカプセルハウジングの部分にプレストレスを与えるか、さもなければ弱めることによって形成され得る。さらに、カプセルハウジングが1つ以上の開口を含む変形例では(例えば、1つ以上の組織貫通部材の通過のために)、1つ以上の開口は、生分解性材料(例えば、上述のものと類似の、pH制御された材料)を含む溶解可能シールによってカバーされ得る。
【0021】
カプセルハウジングの特定のサイズおよび/または形状特性は、用途に基づいて選択され得る(例えば、送達される薬物の体積、患者のサイズまたは年齢など)。例えば、いくつかの変形例では、カプセルハウジングの長さは、約0.25インチ~約2インチ、約0.5インチ~約1.5インチ、約0.75インチ~約1.25インチなどの範囲であり得る。いくつかの変形例では、カプセルハウジングの直径は、例えば、約0.1インチ~約0.5インチの範囲であり得る。
【0022】
密封された区画
いくつかの変形例では、薬物送達デバイスは、1つ以上の密封された区画を含み得る。密封された区画は、例えば、その中に含まれる少なくとも1つの組織貫通部材を、ペイロード送達のために組織内へ進む前に組織貫通部材を時期尚早に分解し得る環境要因(例えば、腸のより高いpH)から一時的に保護するように機能し得る。言い換えれば、密封された区画は、組織貫通部材がアクチュエータによって腸壁または他の組織内へ前進するまで、分解条件への組織貫通部材の曝露を遅延させ得る。
【0023】
いくつかの変形例では、密封された区画は、チャンバ、ガイドチューブ、または少なくとも1つの組織貫通部材を含む同様の構造に結合された1つ以上のシールを含み得る。1つ以上のシールは、流体が区画に入るのを実質的に防止するための、流体密シールを形成し得る。密封された区画は、適切な時期に破られて、その中に含まれる組織貫通部材が組織の密封された区画を出て、組織を貫通し、ペイロードを送達できるようにし得る。密封された区画は、以下でさらに説明するように、機械的プロセス(例えば、穴あけ、穿孔、緩みなど)で破られ得る機械的シールおよび/または化学的プロセス(例えば、溶解、他の化学的分解など)で破られる可能性のある化学的シールを含み得る。
【0024】
図1Bおよび1Cは、組織貫通部材130のための密封された区画120の変形例の一例を示す。図1Bに示されるように、密封された区画120は、ガイドチューブまたはチャンバ125の両端に近位シール122および/または遠位シール124を含み得る。近位シール122および/または遠位シール124は、密封された区画120内へおよび/またはそこからのアクセスを提供するために穴あけされ得る生体適合性材料の箔またはフィルムの層などの機械的シールを含み得る。例えば、近位シール122および/または遠位シール124は、十分な剛性および貫通性を提供するアルミニウムまたは他の適切な材料で作られた箔シールを含み得る。1つ以上の実施形態では、近位シール122および/または遠位シール124は、エチレン酢酸ビニル(EVA)またはポリ(エチレン酢酸ビニル)(PEVA)熱接着剤で結合された、厚さ約10マイクロメートル~約20マイクロメートルのアルミ箔である。いくつかの変形例では、近位シール122、遠位シール124、および/または区画120の壁のうちの1つ以上の材料は、生分解性であり得る。いくつかの変形例では、区画120の他の部分は、カプセル材料に関して上記に記載されたもののいずれかなどの生分解性ポリマーを含み得る。
【0025】
以下でさらに詳細に説明するように、アクチュエータ150は、アクチュエータ150が起動されたときに近位シール122および/または遠位シール124の破れを引き起こすように配置された駆動部材152または他の適切な特徴を含み得る。駆動部材152は、密封された区画120に隣接するガイドチャンバ125においてピストンまたはプランジャと同様に動作し得る。例えば、図1Cに示されるように、アクチュエータ150の駆動部材は、鋭利な先端を有し、近位シール122を穴あけするようにトリガーされ得る。近位シール122を穴あけした後、駆動部材は、次に、組織貫通部材130に遠位シール124を穴あけするように促し、それによって、組織貫通部材130を密封された区画120の中から外へ前進させ得る。いくつかの変形例では、駆動部材152および密封された区画120に隣接するチャンバ(および/または密封された区画120)の一方または両方は、駆動部材152の一方向(例えば、組織貫通部材130を前進させるための遠位方向)への移動を可能にし、かつ反対方向への駆動部材152の動きに抵抗し、それによって、駆動部材152が所定の方向に動くように拘束するための方向性特徴(例えば、ノッチ)を含み得る。
【0026】
いくつかの変形例では、薬物送達デバイスは、複数の組織貫通部材を収容および保護するための複数の密封された区画を含み得る。例えば、図2Aおよび2Bは、それぞれ、薬物送達デバイス200および複数の密封された区画220の配置の概略図を示す。薬物送達デバイス200の特徴は、図1A~1Cに示される薬物送達デバイス100に関して上に示され説明されたものと同様に番号が付けられている。説明のために3つの密封された区画が描かれているが、任意の適切な数(2、4、5、6またはそれ以上など)の密封された区画が薬物送達デバイスに含まれ得ることを理解されたい。複数の密閉された区画は、列、リングまたは他の周囲、クラスター、2つ以上の行および2つ以上の列のマトリックス、角から角への配置、または他の配置など、任意の適切な方法で配置され得る。
【0027】
密閉された区画220の動作および機能は、図1A~1Cに関して上に示され説明されたものと概ね同様であり得る。しかしながら、図2Bに詳細に示されるように、薬物送達デバイス200は、ペイロード240を含むそれぞれの組織貫通部材230をそれぞれが含む複数の密封された区画220を含み得る。さらに、アクチュエータ250は、複数の駆動部材252または他の適切な特徴を含み得、各駆動部材252は、近位シール222を穴あけし、組織貫通部材230をそれぞれの密封された区画220の中から外へ(例えば、遠位シール224を通して)前進させるように構成されている。駆動部材252は、図2Bに、共通のアクチュエータ250によって同時に駆動されるように示されているが、駆動部材252の一部またはすべては、それぞれのアクチュエータによって別個に個別に作動され得ることが理解されたい。いくつかの変形例では、組織貫通部材が段階的に密封された区画の中から外へ前進させられるように、複数のアクチュエータが異なる時間に起動するように構成され得る。さらに、図2Bに示される変形例は、それぞれの密封された区画220に個別に含まれる各組織貫通部材230を含むが、いくつかの変形例では、複数の組織貫通部材のいくつかまたはすべてが密封された区画220を共有し得ることを理解されたい。
【0028】
いくつかの変形例では、密封された区画は、密封特徴と、密封された区画の少なくとも1つの表面(例えば、ガイドチューブまたはチャンバの壁)との間の工学的はめ合いの結果として形成された1つ以上のシールを含み得る。例えば、図3は、組織貫通部材330を含む密封された区画320が近位シール322および遠位シール324を有する配置の変形例の一例を示している。近位シール322は、アクチュエータ350の駆動部材352の外面と、密封されたチャンバ320の壁の内面との間の工学的はめ合いによって形成され得る。駆動部材352の外径は、例えば、区画320の内径に対して十分に過剰なサイズであり得、それにより、十分に流体密なはめ合いを形成する。しかしながら、駆動部材352および区画320の相対的なサイズはさらに、アクチュエータ力が工学的はめ合いにおける摩擦に打ち勝つことを可能にし、アクチュエータ350が遠位シール324を通しておよび密閉された区画320の中から外へ組織貫通部材330を前進させることを可能にするように選択され得る。
【0029】
追加的または代替的に、密封された区画は、溶解するか、さもなければ化学的に分解し得る1つ以上のシールを含み得る。例えば、密封された区画は、カプセルハウジングに関して上記のものを含む生分解性ポリマーなどの生分解性材料を含む近位シールおよび/または遠位シール(図1Bまたは図2Bに示されるものと同様)を含み得る。これらの変形例では、アクチュエータまたは組織貫通部材によって穴あけされる代わりに、腸管の環境条件(例えば、pH)の結果としてシールが溶解し得る。さらに、いくつかの変形例では、化学的プロセスと機械的プロセスの両方が、密封された区画の1つ以上のシールを破り得る。例えば、化学的分解プロセスは、アクチュエータが機械的シールを貫通しやすくするために、時間の経過とともに(例えば、所定の遅延期間)機械的シールを弱め得る。別の例として、密封された区画は、少なくとも1つの化学的シールおよび少なくとも1つの機械的シール(例えば、化学的近位シールおよび機械的遠位シール)の両方を含み得る。
【0030】
いくつかの変形例では、分解条件からの組織貫通部材の保護の他の形態が、追加的または代替的に提供され得る。例えば、密封された区画壁、1つ以上のシール、および/または組織貫通部材自体は、保護外側コーティングを含み得る。そのような保護外側コーティングは、腸管の環境条件にあるとき、時間とともに溶解するか、さもなければ分解するように構成され得る。上記のタイプの保護(例えば、機械的シール、化学的シール、コーティングなど)のいずれかを任意の適切な方法で組み合わせて、薬物送達のために組織貫通部材が組織内へ前進させられるまで、組織貫通部材におけるペイロードの放出を遅延させ得る。
【0031】
組織貫通部材
上記で説明したように、薬物送達デバイスは、治療薬などのペイロードを放出するように構成された1つ以上の組織貫通部材(例えば、マイクロニードル)を含み得る。いくつかの変形例では、組織貫通部材は、中空であり得(例えば、管腔または他のくぼみを含み得)、薬物などのペイロードを含む。代替的に、以下でさらに詳細に説明するように、組織貫通部材は、中実であり得る(例えば、薬物自体から少なくとも部分的に形成され得る)。薬物送達デバイスが、薬物を含む複数の組織貫通部材を含む変形例では、組織貫通部材のそれぞれが同じまたは類似の薬物を含み得るか、または1つ以上の組織貫通部材が異なるペイロードを含み得る。さらに、ペイロードが治療薬であるいくつかの変形例では、組織貫通部材は、組み合わせた複数の治療薬の調製物を含み得る。
【0032】
一般に、組織貫通部材は、組織を貫通するのに適したシャフトおよび先端を含み得る。組織に配置されると、組織貫通部材は、組織における条件により分解し得、これにより、ペイロードが放出され(例えば、組織貫通部材が分解し、溶解してペイロードを放出する)、ペイロードが薬物である場合、薬物が血流に吸収される。いくつかの変形例では、組織貫通部材は、配置されると組織に組織貫通部材を固定するのを助けるために、棘、フック、テクスチャー特徴(例えば、摩擦バンプまたはリングなど)などの1つ以上の保持特徴を含み得る。保持特徴は、例えば、リング、らせん、グリッド、または任意の適切なパターンで、組織貫通部材の外面の周りに配置され得る。
【0033】
いくつかの変形例では、組織貫通部材は、組織を貫通した後などに溶解可能であるように、生分解性材料を含み得る。上記のカプセルハウジングのように、いくつかの変形例では、組織貫通部材は、組織貫通部材がより小さな断片に破壊されることを可能にするために、1つ以上の生分解性継ぎ目を含み得る。組織貫通部材の材料は、適切な構造特性(例えば、剛性および/またはカラム強度)を提供するように、および/または分解品質(例えば、速度)に基づいて選択され得る。例えば、組織貫通部材は、ポリエチレングリコール(PEG)などの生分解性ポリマー(例えば、注射可能なグレードのPEG)を含み得る。別の例として、組織貫通部材は、セルロース、またはマルトースなどの糖を追加的または代替的に含み得る。
【0034】
ペイロードが治療薬を含む実施形態の場合、組織貫通部材は、任意の適切な用量の治療薬を含み得る。例えば、いくつかの変形例では、組織貫通部材は、約0.1mg~約10mg、約1mg~約8mg、約1mg~約5mg、または約1mg~約3mgの薬物または他の治療薬を含み得る。しかしながら、治療薬の特定の量は、治療薬のタイプ、任意の特定の時間に服用することを意図した薬物送達デバイスの数、患者の特徴(例えば、年齢、体重、性別、BMIなど)などに基づいて調整され得る。治療薬は、所望の薬物動態プロファイルを達成するように処方され得る。例えば、治療薬が基礎インスリンを含む1つ以上の実施形態において、治療薬は、処方物中の基礎インスリンについて少なくとも24時間の半減期を達成するように設計された処方物を有する。
【0035】
図4Aおよび4Bに示されるように、生分解性材料410は、様々な方法で組織貫通部材内に薬物420とともに含まれ得る。例えば、図4Aに示されるように、組織貫通部材400aは、鋭利な貫通先端を有し、かつ薬物420を受容するための管腔または窪みを有する部材本体を形成する生分解性材料410を含み得る。部材本体は、例えば、成形または他の適切な技術によって部材本体に形成され得る、上記で説明したような生分解性ポリマーを含み得る。薬物420は、例えば、部材本体の窪みに存在するように構成された固体形態(例えば、粉末、錠剤、円筒形のスラグまたは他の適切な形状の体積など)であり得る。例えば、粉末は、組織貫通部材の窪みに注がれ、および/または詰められ得る。別の例として、薬物の固体形態が別々に形成され、次に組織貫通部材の窪みに挿入され得る。他の変形例では、薬物は、組織貫通部材の窪みに注ぎ込まれる半液体、液体、または他の流体形態であり得る。
【0036】
薬物420は、溶解可能または他の方法で分解可能なシール430(例えば、ヒートシール、化学的シール、箔シールなど)を備えた部材本体の窪みにさらに含まれ得る。組織貫通部材の形成は、適切なポリマーおよび/または医薬製造技術(例えば、成形など)を用いて達成され得る。
【0037】
別の例として、図4Bに示されるように、組織貫通部材400bは、鋭利な貫通先端を備えた部材本体に形成された生分解性材料410、および薬物420を含む部材本体上のコーティングを含み得る。薬物420は、例えば、部材本体上にコンフォーマルコーティングとして堆積され得る(例えば、浸漬、スプレー、または他の適切なプロセスを用いて)。薬物コーティングは、部材本体全体、または組織貫通部材の一部のみの周りに存在し得る。いくつかの変形例では、薬物コーティングは、厚さが実質的に均一であり得るか、または厚さが変化し得る。厚さはまた、例えば、薬物の所望の用量および/または薬物吸収のために曝露される組織貫通部材の表面積に応じて選択され得る。
【0038】
いくつかの変形例では、組織貫通部材は、生分解性材料と組み合わされることなく、組織貫通部材の形状に作製された薬物を含み得る。例えば、図4Cに示されるように、組織貫通部材400cは、シェービング、成形、および/または任意の適切な形成技術などによって、鋭利な貫通先端を備えた部材本体に形成された薬物420を含み得る。
【0039】
1つの薬物(または複数の薬物)が、方法の組み合わせで組織貫通部材に含まれ得ることもまた理解されるべきである。組織貫通部材の上記の変形の任意の2つ以上の態様が組み合わされ得る。例えば、組織貫通部材は、第2の薬物を含む薬物コーティング(例えば、図4Bに示される)に加えて、第1の薬物を含む窪み(例えば、図4Aに示される)を含み得る。別の例として、組織貫通部材は、第1の薬物から形成され(例えば、図4Cに示されるように)、第2の薬物を含む窪み(例えば、図4Aに示されるように)を含み得る。別の例として、組織貫通部材は、第1の薬物から形成され(例えば、図4Cに示されるように)、第2の薬物を含むコーティング(例えば、図4Bに示されるように)を含み得る。さらに別の例として、組織貫通部材は、第1の薬物から形成され(例えば、図4Cに示されるように)、第2の薬物を含む窪みを含み(例えば、図4Aに示されるように)、第3の薬物を含むコーティング(例えば、図4Bに示されるように)を含み得る。前述の例のいずれかに代替的または追加的に、組織貫通部材は、それぞれが薬物製剤を含む2つ以上の錠剤などの複数の薬物を含み得る。
【0040】
さらに、いくつかの変形例では、組織貫通部材の貫通端は、先端増強特徴を含み得る。先端増強特徴は、例えば、組織貫通部材の尖った程度を増加させること、剛性を増加させることなどによって、組織貫通部材の穴あけ能力を増加させ得る。例えば、図5Aおよび5Bに示されるように、組織貫通部材は、組織をより容易に貫通するためのより鋭角のまたは尖った先端を提供する先端増強特徴540を含み得る。そのような先端増強特徴540は、例えば、材料特性が異なるため、生分解性ポリマーのみから形成された先端と比較して、鋭利な形状でよりよく形成され、および/またはその鋭利な形状を保持することができる金属(例えば、マグネシウム)などの比較的剛性のある材料から作製され得る。
【0041】
先端増強特徴540は、組織貫通部材の遠位端に結合され得る。例えば、図5Aに示されるように、先端増強特徴540は、組織貫通部材の遠位端に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。いくつかの変形例では、先端増強特徴540は、別個に形成され(例えば、成形され)、組織貫通部材の遠位端に挿入され得る。代替的に、いくつかの変形例では、先端増強特徴540は、先端増強特徴540上に生分解性材料510をオーバーモールド(共成形)することによって形成され得る。一般に、組織貫通部材の遠位端内の先端増強特徴540の保持は、摩擦またはテクスチャー特徴、インターロッキング特徴、締まりばめなどによって改善され得る。
【0042】
別の例として、図5Bに示されるように、先端増強特徴540は、スパイクキャップのように、組織貫通部材の遠位端の外面に追加的または代替的に結合され得る。図5Aに関して上記で説明した変形例と同様に、図5Bに示される先端増強特徴540は、別個に形成され、続いて、組織貫通部材の遠位端に結合され得る。
【0043】
図4A~4Cならびに図5Aおよび5Bに示される組織貫通部材の変形例は、シャフトおよび単一の尖った先端を含むが、組織貫通部材の他の変形は、他の適切な形状(例えば、羽ペンやランプの形など、不均一に角度が付けられた複数のプロングまたはスパイク)を有し得ることが理解されるべきである。
【0044】
アクチュエータ
上記で説明したように、薬物送達デバイスは、少なくとも1つの組織貫通部材に結合された1つ以上のアクチュエータを含み得る。1つ以上のアクチュエータは、少なくとも1つの組織貫通部材を組織(例えば、腸壁)に前進させるように構成され得る。例えば、図1Bおよび1Cに関して上記で説明したように、アクチュエータは、密封された区画の中から外へ組織貫通部材を前進させるように構成され得る。いくつかの変形例では、アクチュエータは、アクチュエータが組織貫通部材を作動させることが妨げられている第1の状態から、アクチュエータが組織貫通部材を作動させる第2の状態に遷移するようにトリガーされ得る。
【0045】
例えば、いくつかの変形例では、第1のアクチュエータ状態は、1つ以上の拘束具または他の適切な解放特徴によって維持され得る。言い換えれば、拘束具は、アクチュエータが組織貫通部材を前進させることを実質的に妨げ得、拘束具がない場合、アクチュエータは第2の状態に移行するか、またはアクチュエータを起動させて組織貫通部材を前進させ得る。拘束具は、例えば、腸環境において分解する生分解性材料を含み得、その結果、所定の期間後に拘束具が除去され、それにより、アクチュエータが組織貫通部材を前進させることができる。例えば、拘束具は、pHが少なくとも約5.5である腸環境(例えば、小腸)において分解するように構成され得る。例えば、拘束具の少なくとも一部は、少なくとも5.5、少なくとも6.0、少なくとも6.5、少なくとも7.0、少なくとも7.1、少なくとも7.2、少なくとも7.3、少なくとも7.4、少なくとも7.5、少なくとも7.6、少なくとも7.7、少なくとも7.8、少なくとも7.9、少なくとも8.0などのpHを有する環境において分解するように構成され得る。
【0046】
いくつかの変形例では、アクチュエータは、拡張可能デバイスを含み得、ここで、拡張可能デバイスの拡張は、組織貫通部材を作動させるように構成される。例えば、アクチュエータは、駆動部材、および組織貫通部材を前進させる駆動部材を作動させるように構成された拡張可能デバイスを含み得る。拡張可能デバイスおよび/またはアクチュエータの一部は、生分解性材料を含み得る。例えば、拡張可能デバイス、駆動部材、および/またはアクチュエータの他の部分は、セルロースおよびポリ(ビニルアルコール)(PVA)などの十分な剛性を有する生分解性材料を含み得る。
【0047】
例えば、図6A~6Cは、少なくとも1つの駆動部材と、駆動部材を作動させるように構成された少なくとも1つの拡張可能デバイスとを含むアクチュエータの動作を示している。図6Aに示されるように、薬物送達デバイス600は、拡張可能なデバイス654を含むアクチュエータを備えたカプセルハウジング610を含み得る。拡張可能デバイス654は、シザージャッキまたはリフトジャッキ機構と同様の拡張ストラットを含む。例えば、拡張ストラットは、拡張可能デバイス654の拡張を作動させるのを助けるために受動ヒンジおよび/またはばね(例えば、ねじりばね)を含み得るピボット点656において接合され得る。
【0048】
図6Aに示されるように、拡張可能デバイス654は、1つ以上の拘束具660によって、装填された折りたたまれた構成で拘束される(2つの拘束具660が、例として図6Aに示されている)。拘束具660は、例えば、拡張可能デバイスを折りたたまれた構成で保持するために拡張ストラットに結合されたバンド、ストラップなどを含み得る。拘束具660は、内部ストラットに結合されたものとして示されているが、拘束具は、拡張可能デバイス654を折りたたまれた状態で拘束するために、拡張可能デバイスの任意の適切な部分(例えば、デバイス全体の周囲)に結合するか、またはその周囲に結合し得ることを理解されたい。さらに、薬物送達デバイスは、例えば、ブレース、クリップ、拡張可能なデバイスを取り囲むバッグなどを含む、拘束具の他の変形を含み得る。
【0049】
拘束具660は、拘束具の分解(例えば、胃腸環境において)が最終的に拡張可能デバイスの解放を引き起こし得るように、生分解性材料を含み得る。例えば、図6Bに示されるように、カプセルハウジング610の分解は、拘束具660を露出させて徐々に溶解させ得る(組織貫通部材は、密封された区画620内で保護されたままである)。
【0050】
拘束具660が分解プロセスにおいて十分に除去された後、拡張可能デバイス654は、図6Cに示されるその拡張状態に移行し得る。代替的に、いくつかの変形例では、拘束された拡張可能デバイス654は、環境条件によって引き起こされるばね解放などによって、カプセルハウジング610から排出され得る。1つ以上の密封された区画620内の1つ以上の組織貫通デバイスは、駆動部材652を介して拡張可能デバイス654に(例えば、追加のねじりばね(図示せず)とともに)結合され、その結果、拡張可能デバイス654の拡張により、駆動部材652が組織貫通デバイスを密封された区画620の中から外へ前進させる(例えば、上記で説明したように)。組織貫通部材は、組織内に進められ、そこでペイロードを放出する(例えば、治療効果のために患者に薬物を)ようにすることができる。組織貫通デバイスの組織への送達に続いて、図6a~6cのアクチュエータの他の構成要素の少なくともいくつかは、溶解し続け得る、および/または患者の胃腸管を通過させられ得る。
【0051】
いくつかの変形例では、組織貫通部材の複数の別個の配置が、アクチュエータ(または複数のそれぞれのアクチュエータ)に結合され得る。例えば、図7Aに示される薬物送達デバイス700における拡張可能デバイス754は、2つのチャンバまたは密封された区画720が拡張可能デバイス754に結合されることを除いて、図6A~6Cに関して上記に説明された拡張可能デバイス654と同様である。図7Aに示されるように、例えば、2つの密封された区画720は、拡張可能デバイス754の両側に結合されている。カプセルハウジングが溶解した後、拘束具760は、図7Bに示されるように、露出され、分解を受け得る(その一方、密封された区画720は、そこに含まれる組織貫通部材を保護する)。代替的に、いくつかの変形例では、拘束された拡張可能デバイス754は、環境条件によって引き起こされるばね解放などによって、カプセルハウジング710から排出され得る。拘束具760の分解または他の除去の際に、拡張可能デバイス754は拡張し得、それにより、例えば、1つ以上のねじりばね(例えば、1、2、3、またはより多くのねじりばね)のねじりばね作用などにより、密封された区画720を両方向へ押し付ける。2つの対向する密封された区画720が図7Aに示されているが、拡張可能デバイスは、外側に拡張する3つ、4つ、または任意の適切な数の複数の密封された区画を含み得ることを理解されたい。拡張可能デバイス754および/またはその他のアクチュエータによって作動される駆動部材は、上記で説明したように、組織貫通部材を密封された区画720から組織内へ前進させ得る。組織貫通デバイスの組織への送達に続いて、アクチュエータの他の構成要素の少なくともいくつかは、溶解し続け得る、および/または患者の胃腸管を通過させられ得る。
【0052】
薬物送達デバイスは、図7A、7Bでは2つの密封された区画720、および図6A~6Cでは1つの密封された区画620とともに示されているが、追加の密封された区画620または720が使用され得る。
【0053】
さらに、拡張可能デバイスの他の変形は、追加的または代替的に薬物送達デバイスに含まれ得、そして1つ以上の組織貫通部材を含む少なくとも1つの密封された区画は、任意の適切な方法で拡張可能デバイス上に配置され得る。
【0054】
例えば、図8Aおよび8Bに示されるように、薬物送達デバイス800などのいくつかの変形例では、拡張可能デバイスは、バルーンなどの少なくとも1つの膨張可能デバイス854を含み得る。膨張可能デバイス854は、例えば、PET、ポリエチレン、またはポリイミドなどの適切なポリマーを含み得る。膨張可能デバイス854は、カプセルハウジング810内に配置され得、図8Aに示される折りたたまれた(または部分的に折りたたまれた)状態から図8Bに示される拡張状態に遷移するように構成され得る。遷移は、例えば、カプセルハウジング810の分解に応答して起こり得る。代替的に、いくつかの変形例では、折りたたまれた膨張可能デバイス854は、環境条件によって引き起こされるばね解放などによって、カプセルハウジング810から排出され得る。少なくとも1つの組織貫通部材を含む密封された区画820の1つ以上の配置は、膨張可能デバイス854の拡張が組織貫通部材を(例えば、チャンバ内の1つ以上の駆動部材を介して)作動させるように、膨張可能デバイス854に結合され得る。
【0055】
いくつかの変形例では、膨張可能デバイス854の拡張は、化学反応からの適切なガスの急速な流入の結果として達成され得る。例えば、膨張可能デバイス854は、反応物を分離する複数の区画を含み得、反応物は、混合されると、膨張可能デバイス854を膨張させるのに十分な空気圧出力を生成する。膨張可能デバイス854は、制御可能な弁またはシールをさらに含み得、制御可能な弁またはシールは、開かれたときに、反応物が混合して、膨張可能デバイス854を膨張させるためのガスを生成することを可能にする。弁またはシールは、アクチュエータの拘束具として機能し得、その結果、区画を分離する要素の開放または不在が、次に、膨張可能デバイス854を起動する。代替的に、いくつかの変形例では、反応物は、膨張可能デバイス854から分離されているが流体的にこれに結合されている別の区画のセットに配置され得、結果として生じる反応の出力が膨張可能デバイス854に流入し得る。
【0056】
反応物の任意の適切な組み合わせを使用して、膨張するガスを生成し得る。例えば、1つの区画は、炭酸塩(例えば、金属炭酸塩)を含み得、別の区画は、酸を含み得、それにより、2つの反応物の組み合わせは、二酸化炭素ガスを生成する。
【0057】
図8Aおよび8Bの例は、膨張可能デバイスの片側に組織貫通部材の1つの配置を含むが、他の変形例では、任意の適切な数の密封された区画および/または組織貫通部材は膨張可能デバイスの周りに任意の適切な方法で配置され得ることを理解されたい。例えば、複数の組織貫通部材は、膨張可能デバイス854の周りに円周方向に、および/または膨張可能デバイス854に沿って軸方向に配置され得る。組織貫通部材は、均等に(例えば、一般に互いに等距離に)および/または不均等に分布され得る。
【0058】
組織貫通部材を作動させるための拡張可能デバイスの別の例が、図9A~9Cに示されている。図9Aに示されるように、薬物送達デバイス900は、拡張可能アーム954を含む拡張可能デバイスを備えたカプセルハウジング910を含み得る。各拡張可能アーム954に結合されているのは、1つ以上の組織貫通部材を含む密封された区画920の配置である(例として図9A~9Cに示されたそれぞれの拡張可能アーム954において3つの密封された区画920の3つのグループを備える、それぞれの拡張可能アーム954における1つ以上)。拡張可能アーム954は、開放構成または拡張構成に向かってバイアスされ、拘束具960によって一時的に拘束され得る。上記と同様に、拘束具960は生分解性材料を含み得る。
【0059】
したがって、いくつかの変形例では、カプセルハウジング910の分解後、拘束具960は、図9Bに示されるように、拘束具960を徐々に生分解させる条件(例えば、腸の条件)に曝露され得る。カプセルハウジング910が分解する代わりに、いくつかの変形例では、拘束された拡張可能デバイスは、環境条件によって引き起こされるばね解放などによって、カプセルハウジング910から排出され得る。拘束具960の溶解は、拡張可能アーム954の解放を引き起こし、それにより、拡張可能アーム954が拡張された構成に移行することを可能にする。
【0060】
拡張可能アーム954は、拡張可能アームが拡張された構成にあるときに、組織貫通部材を外側に(例えば、半径方向外側に)促すように構成され得る。例えば、図9Aに示されるように、拡張可能なアーム954は、一般に、半径方向外側に旋回し得る。別の例として、拡張可能デバイスは、半径方向に拡張するストラットまたは任意の他の適切な構造を含む拡張可能リングを含み得る。拡張構成へのバイアスは、拡張可能アーム自体の固有の形状形成、拡張可能アーム間の任意の接続ストラットにおけるバイアス、拡張可能アームに結合されたばね要素などに対して達成され得る。いくつかの変形例では、拡張構成にあるとき、拡張可能アーム954は、同様の半径方向距離まで外向きに拡張するように構成され得るが、いくつかの変形例では、拡張可能アーム954の少なくともいくつかは、異なる半径方向距離まで外向きに拡張するように構成され得る(例えば、異なる長さを有する拡張可能アーム954の少なくともいくつか、および/または異なる剛性のピボットジョイントなどにより)。さらに、いくつかの変形例では、拡張可能アーム954は、同様の速度で外側に拡張するように構成され得るか、またはいくつかの拡張可能アーム954は、異なる速度で外側に拡張するように構成され得る。
【0061】
図9A~9Cに示される変形例は、3つの拡張可能アームを備えた拡張可能デバイスを含むが、他の変形例では、拡張可能デバイスは、互いに対して拡張するように配置された任意の適切な数の拡張可能アーム(例えば、2、3、4、5、6つ以上)を含み得ることは理解されるべきである。いくつかの変形例では、拡張可能デバイスは、一般に円周方向に均等に分布する複数の拡張可能アームを含み得る(例えば、互いに円周方向に120度離れて配置された3つの拡張可能アーム、互いに円周方向に90度離れて配置された4つの拡張可能アームなど)。代替的に、拡張可能デバイスは、円周方向に均等に分散されていない複数の拡張可能アームを含み得る。さらに、拡張可能アームの複数の配置が薬物送達デバイスに含まれ得る(例えば、カプセルハウジング容積内で円周方向および/または軸方向に配置される)。
【0062】
さらに、上記のタイプのアクチュエータのいずれかを任意の適切な方法で組み合わせて、ペイロード送達のために組織貫通部材を組織内に前進させ得る。
【0063】
治療薬
本明細書の方法およびデバイスは、様々な種類の製剤(例えば、治療薬)を送達するために使用され得る。いくつかの変形例では、そうでなければ注射されるであろう薬物(例えば、消化液の存在下での化学的分解により)は、本明細書に記載されるような薬物送達デバイスを介した送達のために組織貫通部材から放出されるように構成され得る。いくつかの変形例では、薬物送達デバイスは、高分子ペプチドおよび/またはタンパク質を送達するように構成され得る。例えば、薬物送達デバイスは、インスリンおよびインスリン関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP-1、エクセナチドなど)、成長ホルモン(例えば、IGFおよび/または他の成長因子)、副甲状腺ホルモン、インターフェロン、化学療法剤(例えば、インターフェロン)などを送達するように構成され得る。薬物送達デバイスに含まれる治療上有効な用量は、年齢、体重、性別、BMIなどの患者の特徴に基づいて決定され得る。
【0064】
さらに、いくつかの変形例では、経口投与される薬物が薬物送達デバイスに含まれ得る。例えば、薬物送達デバイスは、抗生物質(例えば、ペニシリン、エリスロマイシンなど)、抗ウイルス剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤)、抗発作剤(例えば、フロセミド、ジランチンなど)、NSAID(例えば、イブプロフェン)、免疫抑制剤および/または抗寄生虫剤(例えば、抗マラリア剤)を含み得る。鎮痛剤、抗炎症薬、抗高血圧薬などの他の経口投与される薬物は、追加的または代替的に、薬物送達デバイスに含まれ得る。しかしながら、非経口投与される非経口薬物を含む任意の適切な種類の薬物は、薬物送達デバイスによって送達され得る。
【0065】
一般に、送達デバイスは、カプセルハウジング、カプセルハウジング内の密封された区画内の少なくとも1つの組織貫通部材、およびカプセルハウジング内かつ密封された区画の少なくとも部分的に外側にあるアクチュエータを含み得、その結果、アクチュエータは、密封された区画の中から外へ少なくとも1つの組織貫通部材を前進させるように構成されている。組織貫通部材は、治療薬を放出するように構成され得る。いくつかの変形例では、密封された区画は、組織貫通部材が組織内への放出のために組織内へ前進させられる前に、ペイロードの放出に対して少なくとも1つの組織貫通部材のための保護を提供し得る。
【0066】
送達デバイスの1つ以上の構成要素は、生分解性材料(例えば、生分解性ポリマー)を含み得る。例えば、カプセルハウジングは、生分解性ポリマーを含み得る。別の例として、1つ以上の組織貫通部材は、生分解性ポリマーを含み得る。いくつかの変形例では、例えば、組織貫通部材は、ある体積の薬物を取り囲む生分解性ポリマー、または薬物を含むコーティングを有する生分解性ポリマーを含み得る。しかしながら、他の変形例では、組織貫通部材は、生分解性材料なしで貫通部材に形成された薬物を含み得る。
【0067】
密閉された区画は、様々な方法で密閉され得る。例えば、いくつかの変形例では、密封された区画は、密封された区画の近位端に配置されたシールなどの第1のシールを含み得る。さらに、密封された区画は、密封された区画の遠位端に配置されたシールなどの第2のシールを含み得る。いくつかの変形例では、アクチュエータは、少なくとも1つの組織貫通部材を第1のシールを通して前進させるように構成され得る。例えば、アクチュエータは、密封された区画内で操縦し、第2のシールを貫通した後に組織貫通部材を前進させるように構成された駆動部材を含み得る。例えば、第1のシールおよび/または第2のシールは、アルミニウムまたは他の適切な材料で作られた箔などの機械的シールを含み得る。
【0068】
第1のシールおよび/または第2のシールは、様々な適切な方法で形成され得る。例えば、一方または両方のシールは、密封特徴と密封された区画の少なくとも1つの表面との間の工学的はめ合い(例えば、遷移はめ合いまたは締まりばめ)によって形成され得る。例えば、いくつかの変形例では、アクチュエータは、シールを形成するために、密封された区画の内壁に対して十分に過剰なサイズの外径を有する駆動部材などの密封特徴を含み得る。
【0069】
いくつかの変形例では、送達デバイスは、複数の組織貫通部材を含み得る。例えば、複数の組織貫通部材のそれぞれは、カプセルハウジング内のそれぞれの密封された区画内にあり得る。この例では、送達デバイスは、それぞれがそれぞれの組織貫通部材を前進させるように構成された複数の駆動部材をさらに含み得る。代替的に、組織貫通部材のいくつかまたはすべては、共有の密封された区画に配置され得、および/または共通の駆動部材もしくは他のアクチュエータ特徴によって前進され得る。
【0070】
アクチュエータは、いくつかの変形例では、駆動部材と、駆動部材を作動させるように構成された拡張可能デバイスとを含み得る。送達デバイスは、1つ以上の拘束具を含むことができ、拘束具の状態は、拡張可能デバイスを選択的に起動する。例えば、拘束具は、生分解性材料を含み得、ここで、拘束具の分解は、拡張可能デバイスを活性化するように構成され、それによって、駆動部材を起動する(例えば、組織貫通部材を前進させる)。拡張可能デバイスは、ばね、バルーンなどの膨張可能デバイス、レバー、拡張アームなどの任意の適切な機構を含み得る。
【0071】
一般に、いくつかの変形例では、患者の組織にペイロードを送達する方法は、カプセルハウジングと、ペイロードを放出するように構成され、カプセルハウジング内の密封された区画に配置された少なくとも1つの組織貫通部材と、カプセルハウジング内かつ密封された区画の少なくとも部分的に外側にあるアクチュエータとを備える送達デバイスを飲み込むことを含む。アクチュエータは、ペイロードを放出するために、密封された区画の中から外へ少なくとも1つの組織貫通部材を前進させるように構成され得る。いくつかの変形例では、組織貫通部材は、ある体積の薬物を取り囲む生分解性ポリマー、または薬物を含むコーティングを有する生分解性ポリマーを含み得る。しかしながら、他の変形例では、組織貫通部材は、貫通部材に形成された薬物を含み得る。本明細書に記載の送達デバイスのいずれかなど、送達デバイスの他の適切な変形例もまた、飲み込まれ、この方法で使用され得る。
【0072】
飲み込まれるデバイスの密封された区画は、様々な方法で密封され得る。例えば、いくつかの変形例では、密封された区画は、密封された区画の近位端に配置されたシールなどの第1のシールを含み得る。さらに、密封された区画は、密封された区画の遠位端に配置されたシールなどの第2のシールを含み得る。いくつかの変形例では、アクチュエータは、少なくとも1つの組織貫通部材を第1のシールを通して前進させるように構成され得る。例えば、アクチュエータは、密封された区画内で操縦し、第2のシールを貫通した後に組織貫通部材を前進させるように構成された駆動部材を含み得る。例えば、第1のシールおよび/または第2のシールは、アルミニウムまたは他の適切な材料で作られた箔などの機械的シールを含み得る。
【0073】
第1のシールおよび/または第2のシールは、様々な適切な方法で形成され得る。例えば、一方または両方のシールは、密封特徴と密封された区画の少なくとも1つの表面との間の工学的はめ合い(例えば、遷移はめ合いまたは締まりばめ)によって形成され得る。例えば、いくつかの変形例では、アクチュエータは、シールを形成するために、密封された区画の内壁に対して十分に過剰なサイズの外径を有する駆動部材などの密封特徴を含み得る。
【0074】
いくつかの変形例では、飲み込まれる送達デバイスは、複数の組織貫通部材を含み得る。例えば、複数の組織貫通部材のそれぞれは、カプセルハウジング内のそれぞれの密封された区画内にあり得る。
【0075】
飲み込まれた送達デバイスのアクチュエータは、いくつかの変形例では、駆動部材と、駆動部材を作動させるように構成された拡張可能デバイスとを含み得る。送達デバイスは、1つ以上の拘束具を含むことができ、拘束具の状態は、拡張可能デバイスを選択的に起動する。例えば、拘束具は、生分解性材料を含み得、ここで、拘束具の分解は、拡張可能デバイスを起動するように構成され、それによって、駆動部材を作動させる(例えば、組織貫通部材を前進させる)。拡張可能デバイスは、ばね、バルーンなどの膨張可能デバイス、レバー、拡張アームなどの任意の適切な機構を含み得る。
【0076】
一般に、いくつかの変形例では、患者の組織にペイロードを送達する方法は、カプセルハウジングと、ペイロードを放出するように構成され、カプセルハウジング内の密封された区画に配置された少なくとも1つの組織貫通部材と、カプセルハウジング内にあるアクチュエータとを備える送達デバイスを飲み込むことを含む。この方法はさらに、腸の環境条件の存在下でカプセルハウジングを分解させること、およびカプセルハウジングが分解した後にアクチュエータが少なくとも1つの組織貫通部材を密封された区画の中から外へ前進させ、それによってペイロードを放出することを可能にすることを含む。いくつかの変形例では、組織貫通部材は、ある体積の薬物を取り囲む生分解性ポリマー、または薬物を含むコーティングを有する生分解性ポリマーを含み得る。しかしながら、他の変形例では、組織貫通部材は、貫通部材に形成された薬物を含み得る。本明細書に記載の送達デバイスのいずれかなど、送達デバイスの他の適切な変形例もまた、飲み込まれ、この方法で使用され得る。
【0077】
いくつかの変形例では、アクチュエータは、密封された区画の少なくとも部分的に外側に配置され得る。さらに、いくつかの変形例では、アクチュエータは、拡張可能デバイスおよび拘束具を含み得、アクチュエータが少なくとも1つの組織貫通部材を前進させることを可能にすることは、拘束具を分解させ、拡張可能デバイスを起動させることを含み得る。拡張可能デバイスは、ばね、バルーンなどの膨張可能デバイス、レバー、拡張アームなどの任意の適切な機構を含み得る。
【0078】
前述の説明は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは当業者には明らかであろう。本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。明らかに、上記の開示を考慮すると、多くの修正や変形例が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を説明するために選択および説明され、それにより、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明および様々な実施形態を利用することを可能にする。以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物が本発明の範囲を定義することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】