(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】無線ネットワークにおけるアドバタイズメントをフィルタリングする装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20230303BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20230303BHJP
H04W 4/80 20180101ALI20230303BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20230303BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230303BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W72/04 136
H04W4/80
H04W84/10 110
H04W16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542758
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050353
(87)【国際公開番号】W WO2021144215
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】サディキン モハンマド ファル
(72)【発明者】
【氏名】エステヴェズ フランシスコ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA25
5K067EE02
5K067KK02
(57)【要約】
本発明は、非ターゲットデバイスの少なくとも1つの特定のセクタにおいて少なくとも1つのアドバタイズメントチャネルをジャミングするためにビームフォーミングアンテナを用いたフレンドリージャミングを使用することによりターゲットデバイスのアドバタイズメントをフィルタリングするための装置及び方法に関する。斯くして、マスタデバイスは、ターゲットデバイスに成功裏に接続するためにターゲットデバイスのアドバタイズメントを容易に発見することができる。さらに、ジャミングはアドバタイズメントチャネルのみで行われるため、データ接続チャネルは妨害されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークにおいてターゲットデバイス及び非ターゲットデバイスによって送信されるアドバタイズメントビーコン信号をフィルタリングするための装置であって、当該装置は、
非ターゲットデバイスの特定の空間セクタを含む方向制限されたジャミングエリアを決定する、
アドバタイズメントビーコン信号の送信中に前記ジャミングエリアにジャミング信号を送信して、マスタデバイスによるターゲットデバイスのアドバタイズメントビーコン信号の受信を可能にするために指向性アンテナを制御する、
前記無線ネットワークによって使用される複数の所定のアドバタイズメントチャネルのうちの少なくとも1つに前記ジャミング信号の送信を制限する、及び
所定の期間前記非ターゲットデバイスの少なくとも1つの所定のアドバタイズメントチャネルで前記方向制限されたジャミングエリアに前記ジャミング信号の送信を制限する、
ように構成される、装置。
【請求項2】
当該装置は、一度に前記複数の所定のアドバタイズメントチャネルのうちの1つのみで前記ジャミング信号を送信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
当該装置は、すべての所定のアドバタイズメントチャネルで前記ジャミング信号を送信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
当該装置は、すべての所定のアドバタイズメントチャネルで前記ジャミング信号を送信するために2つ以上のジャマーデバイスを制御するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
当該装置は、前記マスタデバイスから受信される制御コマンドに応答して前記ジャミング信号を送信するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
当該装置は、ジャミングが成功したか否かを判断するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
無線ネットワークにおいてターゲットデバイスによって送信されるビーコン信号を受信するための装置であって、当該装置は、前記ビーコン信号の受信を可能にするために前記ビーコン信号の送信中の方向制限されたジャミングエリアへのジャミング信号の送信を開始するようにジャミングデバイスに制御コマンドを送信するように構成される、装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置と、前記方向制限されたジャミングエリアに前記ジャミング信号を送信するための指向性アンテナとを含む、ジャマーデバイス。
【請求項9】
シングルホップネットワークのマスタデバイスであって、当該マスタデバイスは、請求項7に記載の装置を含む、マスタデバイス。
【請求項10】
当該マスタデバイスは、前記ターゲットデバイスを発見し接続するために前記ビーコン信号をリッスンするように構成される、請求項9に記載のマスタデバイス。
【請求項11】
無線ネットワークにおいてターゲットデバイス及び非ターゲットデバイスによって送信されるアドバタイズメントビーコン信号をフィルタリングする方法であって、当該方法は、
非ターゲットデバイスの特定の空間セクタを含む方向制限されたジャミングエリアを決定することと、
アドバタイズメントビーコン信号の送信中に前記ジャミングエリアにジャミング信号を送信して、マスタデバイスによるターゲットデバイスのアドバタイズメントビーコン信号の受信を可能にすることと、
前記無線ネットワークによって使用される複数の所定のアドバタイズメントチャネルのうちの少なくとも1つに前記ジャミング信号の送信を制限することと、
所定の期間前記非ターゲットデバイスの少なくとも1つの所定のアドバタイズメントチャネルで前記方向制限されたジャミングエリアに前記ジャミング信号の送信を制限することと、
を含む、方法。
【請求項12】
無線ネットワークにおいてターゲットデバイスによって送信されるビーコン信号を受信する方法であって、当該方法は、前記ビーコン信号の受信を可能にするために前記ビーコン信号の送信中の方向制限されたジャミングエリアへのジャミング信号の送信を開始するようにジャミングデバイスに制御コマンドを送信することを含む、方法。
【請求項13】
コンピュータデバイスで実行された場合、請求項11又は12に記載の方法のステップを行うためのコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、オフィス、小売、ホスピタリティ及び産業のための様々な異なるアプリケーションで使用するための、限定されないが、アドバタイズメントビーコンを用いるBluetooth(登録商標)ネットワーク又は他のネットワーク等、無線ネットワークにおける通信の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信、とりわけBluetooth Low Energy(BLE)は、Internet of Things(IoT)システムにおいて顕著な通信プロトコルになっている。BLEは、マスタノードと限られた数の電力制約のあるスレーブノード間のスタートポロジにおいてシングルホップ通信を可能にする低電力/低コストの無線ネットワークテクノロジである。BLEは、電力制約のあるスレーブデバイスと電力制約の少ないマスタデバイス間のエネルギ効率の高い接続性を提供する。BLEネットワークの例は、センサ、ウェアラブル及びビルディングオートメーションデバイス等のリソース制約のあるデバイスのエコシステムにインターネット又は他のネットワーク接続性を提供することができるマスタデバイスとして携帯電話デバイスで構成されてもよい。
【0003】
低コスト且つ低電力のラジオ(radio)を使用する照明デバイス及び/又は他のIoTデバイスとスマートフォン、タブレット等の消費者向けモバイルデバイスとの間のインタラクション(interaction)を伴う所望のユースケースがある。ユーザは、モバイルデバイスに既に設けられているラジオインターフェースを用いた直接通信を介して照明デバイス及びIoTデバイスを制御したり、情報を取得することを好む。一例として、製品メーカは、マルチホップネットワークにおけるネットワークデバイスのメンテナンス及び/又はコミッショニングのためのソリューションとしてBluetooth(登録商標)又はBLEに目をつけている。マルチホップネットワークに新しいネットワークデバイスをコミッショニングすることは、ネットワーククレデンシャルの交換を必要とする。マルチホップネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等)を介して接続され、異なる目的(例えば、オーディオ又はビデオのストリーミング等)のためにすでにBluetooth(登録商標)又はBLEをサポートしているデバイスは、Bluetooth(登録商標)又はBLEを介してコミッショニングされることができる。
【0004】
しかしながら、高密度なBLE環境(例えば、>200個のBLEノード)では、コミッショニング及び/又はメンテナンス目的のためのデバイスのディスカバリが問題となる可能性がある。この場合、密なネットワーク内のすべてのデバイスが非常に短い周期(例えば、20ms~100ms毎)で自身のアドバタイズメントビーコン(アドバタイズメント)をブロードキャストするため、アドバタイズメント間の衝突の可能性が大幅に増加し、特定のターゲットデバイスを発見することは困難である。
【0005】
US 2013/178148A1は、保護されるべき無線通信ネットワークの外部にある第三者の無線通信を選択的、動的及び適応的にジャミングする方法であって、トランスミッタのネットワーク内のP個の予め定められたエリア又は位置のジャミングの有効性を最適化する、方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、密なネットワーク環境におけるターゲットデバイスのディスカバリを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1又は7に記載の装置、請求項8に記載のジャマーデバイス(jammer device)、請求項9に記載のマスタデバイス、請求項11又は12に記載の方法、及び請求項13に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0008】
したがって、ビーコン信号(例えば、BLEアドバタイズメント(BLE advertisement))は、ビーコン信号の送信中に方向制限されたジャミングエリア(directionally restricted jamming area)にジャミング信号(jamming signal)を送信して、マスタデバイスによるビーコン信号の受信を可能にするために指向性アンテナを制御することによりフィルタリングされることができる。これにより、密なネットワーク環境におけるターゲットデバイスの適切なディスカバリ(discovery)が、少なくとも1つの特定のアドバタイズメントチャネル(advertisement channel)で非ターゲットデバイスの少なくとも1つの特定のセクタにおいてジャミングする(jam)ためにビームフォーミングアンテナを用いて空間的に選択的な「フレンドリー」ジャミング(spatially selective "friendly" jamming)を使用することによって可能になり、マスタデバイスは、ターゲットデバイスに成功裏に接続するために、ターゲットデバイスのビーコン信号(例えば、アドバタイズメント)を発見する(discover)ことができる。さらに、ジャミングはアドバタイズメントチャネルのみで行われるため、データ接続チャネルは妨害されない。これにより、モバイルデバイスは、アドバタイズメントが多い密な環境でも、シングルホップリンクを介してリモートのターゲット照明又はIoTデバイスに接続することができる。
【0009】
第1のオプションによれば、ジャミング信号の送信は、無線ネットワークによって使用される複数の所定のアドバタイズメントチャネルのうちの少なくとも1つに制限されてもよい。これにより、データチャネル又は他のチャネルを介したデータ交換がフレンドリージャミング信号によって妨害されないことが保証されることができる。
【0010】
第1のオプションと組み合わされることができる第2のオプションによれば、ジャミング信号の送信は、所定の期間非ターゲットデバイスの少なくとも1つの所定のアドバタイズメントチャネルで非ターゲットデバイスの特定の空間セクタ(spatial sector)に制限されてもよい。これにより、非ターゲットデバイスのアドバタイズメントが容易にフィルタアウトされる(filtered-out)ことができる一方、ターゲットデバイスも発見されることができる。
【0011】
第1又は第2のオプションと組み合わされることができる第3のオプションによれば、ジャミング信号は、一度に複数の所定のアドバタイズメントチャネルのうちの1つのみで送信されてもよい。ただ一つの特定のアドバタイズメントチャネルをジャミングすることは、より実行可能な態様で行われることができる。
【0012】
第1乃至第3のオプションのいずれか1つと組み合わされることができる第4のオプションによれば、ジャミング信号は、すべての所定のアドバタイズメントチャネルで送信されてもよい。これにより、すべてのアドバタイズメントチャネルが一度にフィルタリングするためにジャミングされるので、ターゲットデバイスの発見がより速く達成されることができる。
【0013】
第1乃至第4のオプションのいずれか1つと組み合わされることができる第5のオプションによれば、2つ以上のジャマーデバイスが、すべての所定のアドバタイズメントチャネルでジャミング信号を送信するために一度に制御されてもよい。かさねて、この方策は、すべてのアドバタイズメントチャネルが一度にジャミングされるので、ターゲットデバイスのより速い発見を支援する。
【0014】
第1乃至第5のオプションのいずれか1つと組み合わされることができる第6のオプションによれば、ジャミング信号は、マスタデバイスから受信される制御コマンドに応答して送信されてもよい。この方策は、ジャミングプロシージャの適切なタイミングを確実にし、ターゲットデバイスからのビーコン信号の改善された受信を確実にする。
【0015】
第1乃至第6のオプションのいずれか1つと組み合わされることができる第7のオプションによれば、装置は、ジャミングが成功したか否かを判断するように構成されてもよい。これにより、ジャミングプロシージャは、ターゲットデバイスのビーコン信号がマスタデバイスによって成功裏に受信されるまで繰り返されてもよい。
【0016】
装置は、ディスクリートハードウェアコンポーネント、組み込みチップ若しくはチップモジュールの配列を備えたディスクリートハードウェア回路に基づいて、又はメモリに格納された、コンピュータ可読媒体に書き込まれた若しくはインターネット等のネットワークからダウンロードされたソフトウェアルーチン若しくはプログラムによって制御される信号処理デバイス若しくはチップに基づいて実装されてもよいことに留意されたい。
【0017】
請求項1及び9に記載の装置、請求項10に記載のジャマーデバイス、請求項11に記載のマスタデバイス、請求項13及び14に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムは、類似及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有し得ることを理解されたい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】BLEシステムのデータチャネル及びアドバタイズメントチャネルを含む周波数帯域を概略的に示す。
【
図2】BLEシステムのアドバタイズメントタイミングスケジュールを概略的に示す。
【
図3】アドバタイズメント衝突がある高密度なネットワーク環境を概略的に示す。
【
図4】セクタアンテナの指向性アンテナパターンを示す。
【
図5】さまざまな実施形態によるビームフォーミングジャミングデバイスを含むネットワーク環境を示す。
【
図6】さまざまな実施形態によるジャミングベースのアドバタイズメントフィルタリングプロシージャのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の実施形態が、スキャニング及び/又は接続及び/又はコミッショニングプロシージャがターゲットデバイスのBLEアドバタイズメントに基づくネットワーク環境に基づいて述べられる。
【0022】
本発明のさまざまな実施形態において、BLE技術が、ネットワークデバイスへの接続を確立するために使用される。しかしながら、本発明は、アドバタイズメントのビーコンが使用される任意の他のシングルホップ技術(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)、無線ローカルエリア通信(Wi‐Fi(登録商標))にも同様に適用可能である。アドバタイジングネットワークデバイス(advertising network device)は、無線マルチホップ技術(例えば、ZigBee(登録商標) PRO、Thread、WirelessHART、SmartRF、CityTouch、IP500、及び任意の他のメッシュ又はツリーベースの技術)を介して互いに接続されてもよい。
【0023】
アドバタイジングはいわゆるビーコンの基であり、小型デバイスが、近くにある他のデバイス、例えば、スマートフォンに接続情報を定期的にブロードキャストする。例えば、スマートフォンアプリと組み合わせて、設置されたビーコンネットワークは、屋内位置特定、コミッショニング、近接トリガ広告(proximity-triggered advertising)、モバイル決済システム等、さまざまなサービスを提供することができる。
【0024】
図1は、ターゲットデバイスをスキャニング、接続及び/又はコミッショニングするためのシングルホップシステムの一例としてBLEシステムのデータチャネル及びアドバタイズメントチャネルを有する周波数帯域を概略的に示している。
【0025】
BLE物理層は2.4GHz帯(2402~2483.5MHz)を使用し、2MHz間隔で40のチャネルCH0~CH39に分割されている。チャネル37、38、39は、いわゆるアドバタイズメントチャネル(ACH)であり、デバイスディスカバリ、情報のブロードキャスト及び接続の確立に使用され、残りのチャネルは、データチャネル(DCH)と定義され、接続中のデータ交換に使用される。3つのアドバタイズメントチャネルCH37~CH39は、周波数ダイバーシティを実現し、他のチャネル(Wi-Fi(登録商標)、クラシックBluetooth(登録商標)、マイクロ波等)からの干渉に対してロバストであるために、2.4GHz帯に散在している。一例として、オーバーラップするWiFi(登録商標)チャネル(WCH)が
図1に示されている。
【0026】
特定のターゲットデバイスを発見するために、マスタデバイス(例えば、スマートフォン)は、アドバタイズメントチャネルCH37~CH39をリッスンして、ターゲットデバイスのMAC(Media Access Control)アドレスを見つける。
【0027】
BLEチャネルを介して送信されるどのフレームも、同期及び相関をとるために使用されることができる既知のアクセスアドレスが後続する既知のプリアンブルを有する。3つのアドバタイズメントチャネル上で、アクセスアドレス及びプリアンブルは、ブロードキャスト受信を可能にするように固定されている。
【0028】
BLEプロトコルのリンク層は、3つの基本的なデバイスの役割、すなわち、アドバタイザ(advertiser)、スキャナ(scanner)及びイニシエータ(initiator)を区別している。アドバタイザの役割のデバイスは、各アドバタイジングチャネルでフレームを定期的にブロードキャストする。これらのフレームは、アドバタイザがサポートするサービス及び機能、製造者固有の情報等、アドバタイザに関する情報を含み得る。
【0029】
図2は、BLEシステムのアドバタイズメントタイミングスケジュールを概略的に示している。
【0030】
フレーム間の時間間隔(ai)は、固定間隔又は遅延(ad)及びランダム遅延(ar)を有し、ゆえにai=ad+arとなる。固定間隔は、20msから10.24sまで0.625msステップで設定されることができ、ランダム遅延は0から10msの間の擬似ランダム値である。後者の目的は、コロケートする(co-located)異なるデバイスからのアドバタイズメントフレーム間の衝突の可能性を低減することである。時間間隔が短いと、早く発見される可能性が高くなるが、他のアドバタイズメントと衝突する可能性も高くなる。
【0031】
電力を節約するために、BLEの仕様は、干渉に対するロバスト性の低下を代償として1つ又は2つのチャネルだけでアドバタイズメントフレームを送信することを可能にする。
【0032】
スキャナの役割のデバイスは、近接するアドバタイザによって送信されるフレームを受動的にリッスンする。デバイスは、アドバタイザのフレームを受信したのと同じチャネルでスキャン要求を送信することによってアドバタイザからさらなる情報を要求してもよく、しなくてもよい。アドバタイザは、以前は言及されなかったサービス、又は、デバイス名等、アドバタイズメントフレームにフィットしなかったデータを含むスキャン応答を送信することによってこれに応答する。
【0033】
アドバタイザとの接続を構築することを望むデバイスはイニシエータと呼ばれる。したがって、イニシエータは、アドバタイザに対して接続要求を送信する。接続要求がアドバタイザに受け入れられる場合、両デバイスはアドバタイズメントチャネルを離れ、接続要求フレームで指定されるように接続を形成する。
【0034】
斯くして、アドバタイズメントは、BLEデバイスを発見し、接続するために使用される。しかしながら、ノード数が非常に多い(例えば、>10,000ノード)IoT園芸アプリケーションにおける等、高密度のBLEデバイスを含む高密度な環境では、デバイスディスカバリが問題になる。高密度な環境の他の例は、誰もが典型的にはスマートフォン、ノートパソコン、及びウェアラブルデバイス等少なくとも2つ又は3つのBLEデバイスを持ち歩く、大きなオフィス等、大面積の照明設備である。このようなシナリオは、とりわけBLEデバイスの数が200を超える場合、アドバタイズメントの衝突のリスクが高まる。
【0035】
図3は、横軸及び縦軸で区切られる異なるセクタに多くのアドバタイジングBLEデバイス12を含む高密度なネットワーク環境を概略的に示している。ターゲットデバイス10は、他の(複数の)アドバタイズメントとの衝突に起因してブロックされるアドバタイズメント100をブロードキャストする。その結果、マスタデバイス20は、ターゲットデバイス10を発見することができない。
【0036】
したがって、さまざまな実施形態において、非ターゲットデバイス12の少なくとも1つの特定のセクタに対してフレンドリージャミングを実行することにより非ターゲットデバイス12の衝突するアドバタイズメントをフィルタアウトすることが提案される。セクタ化されたフレンドリージャミング(sectorized friendly jamming)は、非ターゲットデバイスの少なくとも1つの特定のセクタ及びシングルホップシステム(例えば、BLE)によって使用される特定のアドバタイズメントチャネルの少なくとも1つに制限されることができる。斯くして、非ターゲットデバイス12のアドバタイズメントが容易にフィルタアウトされることができ、ターゲットデバイス10はマスタデバイス20によって発見されることができる。
【0037】
フレンドリージャミングは、短時間のジャミングで非ターゲットデバイス12の他のアドバタイズメントを著しく妨害しないように、数秒間だけ短時間で行われてもよい。ジャミング信号は、例えば、マッチングしないエラー訂正チェックサム(non-matching error correction checksum)等に起因して、レシーバ側で廃棄されるようにアドバタイズメントパケットのコンテンツを乱す。さらに、ジャミングはアドバタイズメントチャネルのみで行われるため、データチャネルで動作する確立されたBLEデータ接続も妨害されない。
【0038】
図4は、特定のセクタに位置する非ターゲットデバイスの潜在的に衝突するアドバタイズメントをフィルタアウトするためにビームフォーミングアンテナとして提案されるジャマーデバイスによって使用されることができるセクタアンテナの例示的な指向性アンテナパターン300を示している。
【0039】
ビームフォーミング技術を使用することにより、ジャミングエリアはセクタ化され、空間フィルタリングのために制限されることができる。すなわち、ジャミングは、特定の(複数の)セクタに選択的に適用されることができる。
図4に示されるように、例示的なアンテナパターン300によれば、電力利得は、おおよそ-90°と+90°の間の特定のセクタに方向付けられることができる。
【0040】
ビームフォーミング又は空間フィルタリングは、指向性のある信号送信又は受信のためにセンサ又はアンテナアレイで用いられる信号処理技術である。これは、特定の角度で信号が建設的な干渉を受け、他の信号が破壊的な干渉を受けるようにアンテナアレイの素子を組み合わせることによって実現されることができる。送信中にアレイの指向性を変えるために、ビームフォーマは、波面に建設的な及び破壊的な干渉のパターンを作り出すために、各トランスミッタでアドバタイズメント信号の位相及び相対振幅を制御してもよい。レシーバ側では、期待される放射パターンが優先的に観測されるように異なるセンサ又はアンテナ素子からの情報が組み合わされる。無指向性の受信/送信と比較した改善は、アレイの指向性(directivity)として知られる。
【0041】
ビームフォーミング技術は、従来の(固定又はスイッチドビーム)ビームフォーマと、所望の信号最大化モード又は干渉信号最小化若しくはキャンセルモードを有する適応型ビームフォーマ又はフェーズドアレイに大別されることができる。どちらの技術も、提案されるセクタ化されたジャミング(sectorized jamming)を実施するために使用されてもよい。
【0042】
図5は、さまざまな実施形態によるビームフォーミングジャマーデバイス(beamforming jammer device)30を含むネットワーク環境を示している。
【0043】
ジャマーデバイス30は、ネットワーク環境の特定のセクタをジャミングするための指向性を提供するために(例えば、
図5で3つのアンテナ要素のアレイで示されるように)ビームフォーミング指向性又はセクタアンテナ32を含む。
【0044】
図5では、4つの例示的なセクタが、ターゲットデバイス10を含むジャミングされないBLEデバイス12を有するターゲットセクタ(右上のセクタ)と、方向制限されたジャミングエリア200によってカバーされ、ジャマーデバイス30のビームフォーミングアンテナの指向性パターン300内に位置するジャミングされるBLEデバイス14を含む3つの非ターゲットセクタとに分割されている。
【0045】
ジャマーデバイス30のジャミング効果は、そのラジオトランスミッタのパワー、位置、及びネットワーク又はジャミングされるデバイスへの影響に依存してもよい。ジャマーデバイス30は、ジャミングを可能な限り効果的にするためにさまざまなやり方でネットワークをジャミングしてもよい。
【0046】
無線ネットワークにおけるジャミングは、干渉無線信号の送信によりレシーバ側での信号対雑音比を低下させることによる既存の無線通信の途絶(disruption)と定義されることができる。
【0047】
一例として、実際のフレンドリージャミングは、十分な電力レベルでノイズのように見えるもの(例えば、疑似ランダムビット)を送信することによって達成されてもよい。送信電力がジャミングエリア200に対して十分に高い場合、ジャミング信号は、ジャミングエリア200内の他のトラフィック(すなわち、他のアドバタイズメント)をノイズと区別できない程度に歪ませることになる。もはやトラフィックは通らないので、ジャミングエリア200から発信される他のアドバタイズメントは、この時点で失敗するはずである。
【0048】
さらに、ジャミングは、送信を妨げること(例えば、ラジオジャミング(radio jamming))から正当な通信のパケットを歪ませる(例えば、リンク層ジャミング)まで、さまざまなレベルで行われることができる。リンク層プロトコル(すなわち、MACプロトコル)のセマンティクスを利用することにより、やみくもにただラジオ信号をジャミングすることと比較して、より優れたジャミング効率が達成されることができる。フレンドリージャミングは、数秒間(例えば、2s)だけ実行されてもよい。斯くして、ターゲットデバイス10が発見されることができ、ジャミングエリア200内の他のデバイス14のアドバタイズメントは著しく妨害されないであろう。
【0049】
一実施形態において、フレンドリージャミングは、アドバタイズメントチャネルのみ(例えば、BLEシステムのCH37、CH38及びCH39)において実行されてもよい。斯くして、継続中の接続を有する任意のBLEデバイス12、14は、ジャマーデバイス30からの妨害なく依然として動作することができる。一例では、非ターゲットデバイスのアドバタイズメントチャネルの特定の空間セクタのみがジャマーデバイス30によってジャミングされてもよい。すなわち、セクタ化されたフレンドリージャミングは、指向性アンテナ32を介して、短時間の間特定のアドバタイズメントチャネルで非ターゲットデバイスの特定のセクタ(例えば、ジャミングエリア200)をジャミングするために適用される。これにより、非ターゲットデバイス14のアドバタイズメントが容易にフィルタアウトされることができ、ターゲットデバイス10も発見されることができる。
【0050】
別の実施形態において、ジャミングエリア200の特定のセクタは、1つの特定のアドバタイズメントチャネルのみでジャマーデバイス30によってジャミングされてもよい。唯一つの特定のアドバタイズメントチャネルをジャミングすることは、行われることがより実行可能(more feasible)である。しかしながら、ターゲットデバイス10のディスカバリは、より長い時間、すなわち、ジャミングされたアドバタイズメントチャネルがターゲットデバイス10によって使用されるまで時間がかかる可能性がある。
【0051】
さらなる実施形態において、ジャミングエリア200の特定のセクタは、すべての利用可能なアドバタイズメントチャネル(例えば、CH37、CH38、CH39)でジャマーデバイス30によってジャミングされてもよい。すべてのアドバタイズメントチャネルをジャミングすることは、2つ以上のジャマーデバイス30(例えば、各アドバタイズメントチャネルに対して1つ)を必要とする可能性がある。しかしながら、この技術は、ターゲットデバイス10のディスカバリを早めることができる。
【0052】
様々な実施形態において、ジャミングは、例えば、マスタデバイス20が特定のターゲットデバイス10を発見することを目的とする場合、マスタデバイス20によってトリガされてもよい。
【0053】
望まない(non-wanted)アドバタイズメントをフィルターアウト又はブロックするためにジャマーデバイス30として使用されることができるいくつかのタイプのジャマーがある。ジェネリックなジャマーモデルによれば、ジャマーデバイス30は、MAC層のチャネル感知多重アクセス(CSMA:Channel Sense Multiple Access)プロトコルに従わずに連続的な、ランダムビットを放射するコンスタントジャマー(constant jammer)、ランダムビットの代わりにレギュラーパケットを連続的に送信する欺瞞ジャマー(deceptive jammer)、ネットワークにランダムビット又はレギュラーパケットを断続的に送信するランダムジャマー(random jammer)、リアクティブジャマー(reactive jammer)(感知したRTS(Request-To-Send)メッセージに反応するRTS/CTS(Clear-To-Send)ジャマー、又はデータ又は確認応答(acknowledgement)(ACK)パケットの送信をこわす(corrupt)ことによってネットワークをジャミングするデータ/確認応答ジャマー(Data/Acknowledgement jammer)等)、ファンクションスペシフィックジャマー(function-specific jammer)(すべての利用可能なチャネルを非常に頻繁にホップし、短時間各チャネルをジャミングするフォローオンジャマー(follow-on jammer)、又はMAC層によって提供されるCSMAアルゴリズムを上書きすることによって直接チャネルアクセス(direct channel access)を用いて異なるチャネル間を積極的にホップするチャネルホッピングジャマー(channel-hopping jammer)、又はチャネルを切り替え、異なる期間に異なる帯域幅でジャミングすることができるパルスドノイズジャマー(pulsed-noise jammer)等)、又はスマートハイブリッドジャマー(smart-hybrid jammer)(ネットワークアクティビティをコーディネートする(coordinate)ために使用される制御チャネル又は他のチャネルをターゲットとする制御チャネルジャマー(control-channel jammer)、又は意図したターゲットの機能性を無効にすることに加えて、ネットワークの他のノードでもサービス拒否状態(denial-of-service state)を引き起こすインプリシットジャマー(implicit jammer)、又はネットワーク層からの情報を使用することによってトラフィックフローを低減するためにパケットをジャミングするフロージャマー(flow jammer)等)であってもよい。
【0054】
さらに、ジャマーデバイス30は、特定のフレームだけを攻撃するようにプログラムされることができる場合選択的であることができる。アドバタイズメントは異なるチャネルで冗長的に送信されるため、単一のアドバタイズメントチャネルのみがジャミングされか、複数のアドバタイズメントチャネルが同時にジャミングされるかに依存して、狭帯域ジャミングと広帯域ジャミングにさらに区別されることができる。
【0055】
ジャマータイプは、その効率、消費電力及び複雑さに関して様々である。コンスタント広帯域ジャマーは、広い周波数範囲にわたってノイズを放射する。これは、複雑さは低いが、効率は低く、エネルギ消費も高くなる。これは、
図1に示されるように、このようなジャマーは2.4GHz帯全体に散在するすべての3つのアドバタイズメントチャネルを同時にジャミングする必要があり得るためである。
【0056】
コンスタント狭帯域ジャマーは、ジャミング信号を恒久的であるが、単一のアドバタイジングチャネルでのみ放射する。この場合、単一のチャネルしか同時にジャミングされることができないので、周波数ホッピングが適用されることを必要とし得る。
【0057】
リアクティブ広帯域ジャマーは、アドバタイズメントがある時点にだけ、例えば、1秒ごとに送信されるという観察に基づく。それゆえ、フレーム送信中にのみジャミング信号を放射することで十分であり得る。したがって、このような周期的ジャマー(periodic jammer)は、フィルタアウトされるべきアドバタイジングソースと同期する必要があり、スニッフィング又はチャネルセンシングコンポーネント(sniffing or channel sensing component)を要する。
【0058】
リアクティブ狭帯域ジャマーは、攻撃されるべきフレーム伝送が検出された場合にのみ単一のアドバタイジングチャネルでジャミング信号を放射する。この場合も、他のチャネルで送信されるビーコンフレームを見逃さないために、周波数ホッピングが行われる必要があり得る。
【0059】
提案されるジャマーデバイス30は、短いジャミング信号のみが、(例えば、エラーチェックの失敗(error checking failure)に起因して)フレームをこわすのに十分長いアドバタイズメントフレームの送信中に放射されることを意図しているので、リアクティブであってもよい。
【0060】
ジャマーデバイス30は、民生品(COTS:commercial off-the-shelf)埋め込みハードウェアであってもよい。1つのオプションは、USRP(Universal Software Radio Peripheral)等のSDR(Software-Defined Radio)を使用することであるが、より安価で電力消費の少ないSDRハードウェア(例えば、USRP)を備えるUbertoothと呼ばれる小型USB(Uniform Serial Bus)デバイス等、より経済的なソリューションも利用可能であり得る。
【0061】
ジャマーデバイス30はソフトウェア制御されてもよく、ジャミングプログラムは割り込み制御ステートマシン(interrupt-controlled state machine)であってもよい。ジャミング信号の送信が停止された後、ジャマーデバイス30のトランスミッタ又はトランシーバは、受信すべき次のアドバタイジングチャネルに同調され、プロセスを繰り返してもよい。1つのチャネルでスタックするのを避けるために、タイムアウト(例えば、10ms)が開始されてもよい(これは、1つのアドバタイジングイベントで送信される連続使用されたアドバタイズメントチャネル上の2つのアドバタイジングフレーム間の最大時間である)。タイムアウト時、ジャマーデバイス30は最初のアドバタイジングチャネルに戻ってもよい。タイムアウトが発生しない場合、ジャミングプロセスは前のチャネルと同様に継続し、その後最後のチャネルで繰り返してもよい。
【0062】
図6は、さまざまな実施形態による制御ユニット(例えば、ソフトウェア制御プロセッサ(software-controlled processor)(例えば、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)又はデジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor))によって実行され得るジャミングベースのアドバタイズメントフィルタリングプロシージャ(jamming-based advertisement filtering procedure)のフロー図を示している。
【0063】
ステップ601において、制御ユニットは、空間的に制限された(すなわち、指向的な)ジャミングエリア200(例えば、少なくとも1つのジャミングセクタ)を、例えば、マスタデバイス20又はターゲットデバイス10から受信される制御メッセージ(例えば、トリガコマンド)に基づいて決定する。この決定は、制御情報に含まれる位置若しくはセクタ情報に基づいてもよく、又はマスタデバイス20若しくはターゲットデバイス10の位置に関するネットワーク情報に基づいてもよい。後者の場合、ターゲットデバイス10は、マスタデバイス20によって、例えば制御メッセージにおいて識別されてもよい。より具体的には、ジャミングエリア200は、ターゲットデバイス10が位置しない指向性アンテナ32の周りの(複数の)セクタとして決定される。
【0064】
その後、ステップ602において、ジャマーデバイス30の制御ユニットは、指向性アンテナ32(例えば、アンテナ素子のアレイ)の指向性パターンを方向制限されたジャミングエリア200に方向付けるビームフォーミング処理を適用するために指向性アンテナ32を制御する。
【0065】
その後、ステップ603において、ジャマーデバイス30の制御ユニットは、方向制限されたジャミングエリア200において特定のタイミングでジャミング信号又は信号のシーケンスの送信を開始することによってジャミングプロシージャを開始する。
【0066】
その後のオプションのステップ604において、ジャマーデバイス30の制御ユニットは、ジャミングが成功したか否か、例えば、新しい制御メッセージが所定の期間内に同じマスタデバイス20から受信されたかどうかを判断する。ジャミングが成功しなかった場合(例えば、新しい制御コマンドがマスタデバイス20から受信された場合)、プロシージャはステップ602又は603にジャンプバックし、ジャミングプロシージャが(オプションとして指向性アンテナ32の指向性パターンの新しい設定と共に)繰り返される。
【0067】
ジャミングが成功した場合(例えば、新しい制御コマンドがマスタデバイス20から受信されなかった場合)、プロシージャは、ジャマーデバイスの制御ユニットがネットワークからの新しい制御コマンドを待ち、新しい制御コマンドが受信された場合にステップ601でプロシージャを再開する、オプションのステップ605に続く。
【0068】
要約すると、非ターゲットデバイスの少なくとも1つの特定の指向性セクタにおいて少なくとも1つのアドバタイズメントチャネルをジャミングするためにビームフォーミングアンテナを用いたフレンドリージャミングを使用することによりターゲットデバイスのアドバタイズメントをフィルタリングするための装置(制御ユニット)及び方法(ジャミングベースのアドバタイズメントフィルタリングプロシージャ)が述べられている。斯くして、マスタデバイスは、ターゲットデバイスに成功裏に接続するためにターゲットデバイスのアドバタイズメントを容易に発見することができる。さらに、ジャミングはアドバタイズメントチャネルのみで行われるため、データ接続チャネルは妨害されない。
【0069】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されてきたが、そのような例示及び説明は、図的又は例示的であって、限定的なものではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。提案されたジャミングベースのフィルタリングプロシージャは、他のタイプの無線ネットワークに適用されることができ、可能であれば標準化されることができる。さらに、本発明は、ビーコンアドバタイズメントに基づくデバイスディスカバリ、スキャニング、接続及び/又はメンテナンスを実施する任意のネットワークにおいて適用されることができる。例としては、単一のネットワークデバイスがシングルホップネットワーク(例えば、BLE)を介してスマートフォン又はタブレット等のモバイルデバイスを使用してコミッショニングされる大規模なZigBee(登録商標)照明、センサ又は園芸ネットワークが挙げられる。
【0070】
より一般的に、本発明は、ビーコンベースのシングルホップネットワークとインターフェースするネットワークを実装する任意のネットワーク環境に適用される。例としては、単一のネットワークデバイスが(例えば、Cheetah又は類似のもの等)BLEを介してスマートフォン又はタブレット等のモバイルデバイスを使用してコンタクトされることができる大規模なZigBee(登録商標)照明、センサ又は園芸ネットワークが挙げられる。
【0071】
さらに、BLEラジオが本明細書を通じて一例として用いられているが、本発明は、例えば無線マルチホップ技術(例えば、ZigBee(登録商標) PRO、Thread、WirelessHART、SmartRF、CityTouch、及び任意の他のメッシュ又はツリーベースの技術)と組み合わせて、任意の他の無線シングルホップ技術(例えば、BLE、IR、NFC、Wi-Fi(登録商標))にも同様に適用可能である。
【0072】
任意のタイプのジャマーが、本発明を任意のタイプの無線技術に適用可能にするためにジャマーデバイスとして使用されることができる。とりわけ、リンク層ジャミングは、CSMA衝突検出(CSMA/CD:CSMA Collision Detection)又はCSMA衝突回避(CSMA/CA:CSMA Collision Avoidance)をサポートしない無線技術に使用されてもよい。
【0073】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0074】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上記がテキストにどのように詳細に現れようとも、本発明は多くの方法で実施されることができ、したがって、開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明のある特徴又は態様を説明する際のある用語法(terminology)の使用は、用語法が、当該用語法が関連付けられている本発明の特徴又は態様の特定の特性を含むことに制限されるように本明細書において再定義されていることを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0075】
単一のユニット又はデバイスが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0076】
図6に示されるもの等の述べられた動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は、専用ハードウェアとして実装されることができる。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
【国際調査報告】