(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】グレージング、そのグレージングの製造方法およびそのグレージングの使用
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20230303BHJP
B60S 1/02 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
H05B3/20 355B
H05B3/20 342
B60S1/02 400Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542779
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 GB2021050062
(87)【国際公開番号】W WO2021144558
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー チェンバレン
【テーマコード(参考)】
3D225
3K034
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AA03
3D225AA11
3D225AC10
3D225AD02
3K034AA02
3K034AA12
3K034AA22
3K034AA23
3K034BB05
3K034BB08
3K034BB13
3K034BC03
3K034BC16
3K034BC25
3K034CA15
3K034CA32
3K034HA09
3K034JA10
(57)【要約】
本発明は、グレージング10であって、電源に接続するための第1および第2のバスバー1、2と、第1および第2のバスバー1、2の間に位置する第3のバスバー3と、第1のバスバー1に電気的に接続された複数の導体5と、を備え、ここで、第1のグループの導体5は、第1のバスバー1から前記第3のバスバー3まで延在して第1の抵抗R1を形成し、第2のグループの導体5は、第3のバスバー3の第2のバスバー2に面する側から延在し、第2のバスバー2に電気的に接続されて第2の抵抗R2を形成し、ここで、第3のバスバー3の第2のバスバー2に面する側から延在する導体5は、第3のバスバー3の第1のバスバー1に面する側から延在する導体よりも少なく、他の側の導体5とは反対側の第3のバスバー3の片側の少なくとも1つのギャップ6と、第3のバスバー3と第2のバスバー2との間に配置された情報取得領域7と、をさらに備え、ここで、少なくとも1つのギャップ6は、情報取得領域7の外側に配置される、グレージング10に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレージング10であって、
電源に接続するための第1および第2のバスバー1、2と、
第1および第2のバスバー1、2の間に位置する第3のバスバー3と、
前記第1のバスバー1に電気的に接続された複数の導体5と、
を備え、
ここで、
第1のグループの導体5は、前記第1のバスバー1から前記第3のバスバー3まで延在して第1の抵抗R1を形成し、
第2のグループの導体5は、前記第3のバスバー3の前記第2のバスバー2に面する側から延在し、前記第2のバスバー2に電気的に接続されて第2の抵抗R2を形成し、
ここで、前記第3のバスバー3の前記第2のバスバー2に面する前記側から延在する導体5は、前記第3のバスバー3の前記第1のバスバー1に面する側から延在する導体よりも少なく、
他方の側の導体5とは反対側の前記第3のバスバー3の片方の側の少なくとも1つのギャップ6と、
第3のバスバー3と第2のバスバー2との間に配置された情報取得領域7と、
をさらに備え、
ここで、前記少なくとも1つのギャップ6は、前記情報取得領域7の外側に位置する、
グレージング10。
【請求項2】
前記第3のバスバー3と前記第2のバスバー2との間に位置する第4のバスバー4を備え、ここで、
前記第2のグループの導体5は、前記第4のバスバー4まで延在して第2の抵抗R2を形成し、
第3のグループの導体5は、前記第4のバスバー4から前記第2のバスバー2まで延在して第3の抵抗R3を形成する、
請求項1に記載のグレージング10。
【請求項3】
前記第4のバスバー4の前記第2のバスバー2に面する側から延在する導体5は、前記第4のバスバー4の前記第3のバスバー3に面する側から延在する導体よりも多い、請求項2に記載のグレージング10。
【請求項4】
前記情報取得領域7は、前記第3のバスバー3と前記第4のバスバー4との間に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項5】
前記第3のバスバー3の前記第2のバスバー2に面する側から延在する導体5は、前記第3のバスバー3の前記第1のバスバー1に面する側から前記情報取得領域7の外側に延在する導体よりも少ない、請求項1から4のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項6】
前記導体5は、電熱線である、請求項1から5のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項7】
導体5のグループは、前記第1のバスバー1から、
並列抵抗Rを形成するための第2のバスバー2へと延在し、または、
分割バスバー並列抵抗R8を形成する分割バスバー8へと延在し、および前記第1のバスバー1と前記分割バスバーと8の間の距離は、前記第1のバスバー1と前記第2のバスバー2との間の距離とは異なるように選択される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項8】
前記第2の抵抗R2の領域における電力密度は、前記第1の抵抗R1もしくは前記並列抵抗Rもしくは分割バスバー並列抵抗R8またはそれらの任意の組み合わせよりも大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項9】
積層ガラスを形成するグレージング材料の外側および内側プライ11、12ならびにそれらの間の中間層材料のプライ13を備え、ここで、第1および第2の抵抗R1、R2は、前記中間層材料のプライ13と前記グレージング材料の内側プライ12との間にある、請求項1から8のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項10】
電源に接続するための第1および第2のバスバー1、2を提供するステップと、
第1および第2のバスバー1、2の間に第3のバスバー3を配置するステップと、
複数の導体5を前記第1のバスバー1に電気的に接続するステップと、
第1のグループの導体5を前記第1のバスバー1から前記第3のバスバー3まで延在させて第1の抵抗R1を形成するステップと、
第2のグループの導体5を前記第3のバスバー3の前記第2のバスバー2に面する側から延在させ、前記導体5を前記第2のバスバー2に電気的に接続させて第2の抵抗R2を形成するステップと、
ここで、前記第3のバスバー3の前記第2のバスバー2に面する側から延在する導体5は、前記第3のバスバー3の前記第1のバスバー1に面する側から延在する導体よりも少なく、
前記第3のバスバーの一方の側の少なくとも1つの導体の少なくとも一部を除去して、他方の側の導体5と反対側の前記第3のバスバー3の一方の側に少なくとも1つのギャップ6を形成するステップと、
前記第3のバスバー3と前記第2のバスバー2との間に情報取得領域7を配置するステップと、
前記少なくとも1つのギャップ6を前記情報取得領域7の外側に配置するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のグレージング10を製造するための方法。
【請求項11】
自動車のフロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウもしくはルーフウィンドウとしてまたは航空機、電車もしくは建物の窓としての、請求項1に記載のグレージング10の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体を備えるグレージング、当該グレージングの製造方法および当該グレージングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱導電体を備えるグレージングは、防曇および除霜用として知られている。例えば、自動車のフロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウおよびルーフウィンドウには、加熱線グレージングが使用されている。
【0003】
特開2017212148号公報(小川)は、各々がそれ自身のバスバーに接続された車両グレージング内の2つのヒーターを開示している。第1の加熱器は、情報取得領域にある。第2のヒーターは、情報取得領域以外の領域にある。情報取得領域は、光を受光することによって車両の外側から情報を取得可能な情報取得装置に使用される。例として、可視光または赤外線を使用するカメラがあげられる。第1および第2のヒーターは、剥離フィルム上に準備される。接着層は、その上に堆積され、転写シートを形成する。グレージングの外側ガラス板または内側ガラス板のいずれかの表面に転写した後、剥離層を剥がし、接着層を溶解する。
【0004】
欧州特許出願公開第3486225号明細書(小川)は、発熱のための2つの領域を開示し、各々は、上下方向に延在し、共通のバスバーに接続された複数の加熱線を備える。第1の加熱線は、中央領域における窓部分(情報取得領域)を通過する。第2の加熱線は、第1の加熱線に平行な両側の側方領域に配置される。加熱線の幅は、窓部分付近で細くなり、より効果的に曇り止めを行う。それ以外の領域では、加熱線の幅が増大し、発熱量を減少させる。国際公開第2019107460号(小川)は、フロントガラスを開示する。
【0005】
国際公開第2018055390号(Day)および国際公開第2019131928号(保田)は、導電性部材または「バスバーリング」の内側に配置されたワイヤーフリー領域を有するワイヤー加熱窓を開示している。
【0006】
本発明の目的は、所定の領域においてより迅速な防曇または除霜を達成する代替グレージングを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、そのようなグレージングを製造する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、第1の態様において、請求項1に記載のグレージングを提供する。
【0009】
グレージングは、第3のバスバーの一方の側に、他方の側の導体とは反対側にある少なくとも1つのギャップを備える。
【0010】
好ましくは、グレージングは、第3のバスバーと第2のバスバーとの間に位置する第4のバスバーを備え、ここで、第2のグループの導体は、第4のバスバーまで延在して第2の抵抗を形成し、第3のグループの導体は、第4のバスバーから第2のバスバーまで延在して第3の抵抗を形成する。
【0011】
好ましくは、グレージングにおいて、第4のバスバーの第2のバスバーに面する側から延在する導体は、第4のバスバーの第3のバスバーに面する側から延在する導体よりも多い。
【0012】
グレージングにおいて、情報取得領域は、第3のバスバーと第2のバスバーとの間に配置される。
【0013】
好ましくは、情報取得領域は、第3のバスバーと第4のバスバーとの間に配置される。
【0014】
グレージングにおいて、情報取得領域の外側で第3のバスバーの第2のバスバーに面する側から延在する導体は、第3のバスバーの第1のバスバーに面する側から延在する導体よりも少ない。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つのギャップは、情報取得領域の外側に位置する。
【0016】
好ましくは、導体は、電熱線である。
【0017】
好ましくは、導体のグループは、第1のバスバーから第2のバスバーまで延在して並列抵抗を形成するか、または分割バスバーまで延在して分割バスバー並列抵抗を形成し、第1のバスバーと分割バスバーとの間の距離は、第1のバスバーと第2のバスバーとの間の距離と異なるように選択される。
【0018】
好ましくは、第2の抵抗の領域における電力密度は、第1の抵抗もしくは並列抵抗もしくは分割バスバー並列抵抗またはそれらの任意の組み合わせの電力密度よりも大きい。
【0019】
好ましくは、グレージングは、グレージング材料の外側および内側プライとそれらの間の中間層材料のプライとを備え、積層ガラスを形成し、ここで、第1および第2の抵抗は、中間層材料のプライとグレージング材料の内側プライとの間にある。導体は、グレージング材料の外側もしくは内側のプライまたは中間層材料の追加のプライと接触し得る。
【0020】
グレージングは、任意の適切な形状、例えば台形、長方形または三角形の形状を有し得る。全てのグレージング材料、中間層材料および導体を含むグレージングの厚さは、任意の厚さ、例えば、2.5mm~10.6mm、好ましくは2.6mm~3.8mm、より好ましくは2.7mm~3.2mmであり得る。グレージング材料は、任意の適切な材料、例えば、ソーダ石灰シリカガラスまたはホウケイ酸ガラスであり得る。
【0021】
グレージング材料の外側プライは、例えば、飛石に対する耐久性および耐衝撃性の要件に適合するように、任意の厚さであり得る。一方、厚さが増加すると、重量が増加し、これは望ましくない。グレージング材料の外側プライの厚さは、1.6mm~2.5mm、より好ましくは1.9mm~2.1mmであり得る。
【0022】
グレージング材料の内側プライは、任意の厚さであり得、例えば、グレージングの重量を減らす要件に適合する。グレージング材料の内側プライの厚さは、グレージング材料の厚さの外側プライより小さい場合があり得、例えば、0.6mm~2.1mm、より好ましくは0.8mm~1.6mm、最も好ましくは0.8~1.3mmであり得る。
【0023】
グレージングは、中間層材料の2つ以上のプライを備え得る。中間層材料は、ポリビニルブチラール(PVB)であり得、これは、ガラスへの積層後に良好な接着性を示し、製造中にワイヤーの形態の導体を埋め込むことができるため、有利である。PVBの厚さは、任意の厚さ、例えば、0.76mmであり得る。
【0024】
導体は、例えば、銅、タングステン、銀、金、アルミニウムおよびそれらの合金のワイヤーなど、任意の材料であり得る。導体は、例えば116Ω/mなど、任意の抵抗率であり得る。導体は、例えば円形または長方形などの任意の断面形状、および任意の厚さ(例えば30μm以下)、または任意の幅(例えば30μm以下)を有し得る。
【0025】
導体は、グレージング上の任意の形状、例えば、直線または正弦波などの波状の形状であり得る。波状の導体は、例えば107%の、任意の量の経路長の延長部分を有し得る。導体は、圧着ワイヤーであり得る。導体は、例えば1.25mm以上、好ましくは1.8mm~4.5mm、より好ましくは2mm~2.6mmなど、任意のピッチ、すなわち隣接するワイヤーの間隔を有し得る。導体は、平行または窓の上部と下部で異なる間隔で扇状に配置され得る。
【0026】
本発明は、第2の態様において、請求項10に記載のグレージングを製造する方法を提供する。
【0027】
好ましくは、グレージングを製造する方法は、第3のバスバーの一方の側の少なくとも1つの導体の少なくとも一部を除去して、第2の抵抗にギャップを形成するステップをさらに含む。
【0028】
導体は、レーザーアブレーション、超音波切断、通電によるアブレーションまたはナイフによる切断など、任意の方法で除去され得る。
【0029】
ワイヤーの形態の複数の導体は、ワイヤー敷設装置を使用して中間層材料のプライに埋め込まれ得る。ワイヤー敷設装置は、ワイヤーを曲げて圧着ワイヤーを提供し得、圧力ローラーを使用してワイヤーを中間層材料のプライに埋め込み得る。
【0030】
本発明は、第3の態様において、フロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウもしくはルーフウィンドウとしての自動車内のグレージングまたは航空機、電車もしくは建物の窓としてのグレージングの使用を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、所定の領域でより迅速な防曇または除霜を提供するグレージングを提供する。この領域は、運転者のための車両のフロントガラスの視野領域、またはカメラなどの車両の外部から情報を取得可能なデバイスであり得る。本発明によって、カメラは、運転者より先に準備が整った状態となる。カメラの情報に応じて、先進運転支援システム(ADAS)が有効になり、運転者より先に準備が整った状態となることが可能となる。
【0032】
本発明は、従来の方法よりも簡単な当該グレージングの製造方法を提供する。本発明は、グレージングに転写するための転写シートおよび対応する方法ステップを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】3つのバスバーを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図2】分割バスバーを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図3】4つのバスバーと1つのギャップを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図4】2つのギャップを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図5】3つのギャップを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図6】4つのギャップを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図7】4つのギャップと分割バスバーとを有する本発明によるグレージングを示す図である。
【
図8】
図7のグレージングの等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して説明するが、図面において符号は同じ意味を有する。
【0035】
図1は、グレージングを電気的に加熱するための導体5を有する本発明によるグレージング10の平面図である。グレージング10は、概して、車両のフロントガラスに適した、台形の形状である。
【0036】
第1のバスバー1および第2のバスバー2が提供され、外部電源(図示せず)に接続するためにグレージング1の上縁および下縁に隣接して示される。第3のバスバー3は、第1のバスバーと第2のバスバーとの間に位置し、第1のバスバー1と平行であり第1のバスバー1に近接して示される。導体5は、第1のバスバー1に電気的に接続される。
【0037】
第1のグループの導体は、第1のバスバー1から第3のバスバー3まで延在し、第1の抵抗R1を形成する。第2のグループの導体は、第3のバスバー3の第2のバスバー2に面する側から延在し、第2のバスバー2に電気的に接続されて第2の抵抗R2を形成する。第1の抵抗1と第2の抵抗2は、電気的に直列に接続され直列結合を形成するため、同じ電流が抵抗1と抵抗2とを流れる。
【0038】
第3のバスバー3の第2のバスバー2に面する側から延在する導体は、第3のバスバー3の第1のバスバー1に面する側から延在する導体よりも少ない。第2の抵抗R2の導体の1つが取り除かれ、ギャップ6を形成する。
【0039】
並列抵抗Rは、第1および第2の抵抗R1、R2の一方の側に配置され、それらと電気的に並列であり、その結果、並列抵抗Rならびに第1および第2の抵抗R1、R2の直列結合に同じ電圧が印加される。並列抵抗Rは、第1および第2の抵抗R1、R2の直列結合と同じ方法で、第1および第2のバスバー1、2に接続される。
【0040】
図2は、本発明による別のグレージング10の平面図である。
図1とは、分割バスバー8が設けられ、その結果、分割バスバー並列抵抗R8が第1および第2抵抗R1、R2の直列結合とは異なるバスバー間の距離を有し得る点で異なる。分割バスバー並列抵抗R8は、必要に応じて第2のバスバー2に電気的に接続され得、その結果、第1および第2の抵抗R1、R2の直列結合と電気的に並列になる。
【0041】
図3は、本発明によるグレージング10の平面図である。これは、第3のバスバー3と第2のバスバー2との間に位置する第4のバスバー4を有する点で、
図1とは異なる。第2のグループの導体は、第4のバスバー4まで延在して、第2の抵抗R2を形成する。第3のグループの導体は、第4のバスバーから第2のバスバーまで延在して、第3の抵抗R3を形成する。情報取得領域7は、第2の抵抗R2内に位置する。ギャップ6は、第2の抵抗R2内の情報取得領域7の外側に位置する。
【0042】
図4は、本発明によるグレージング10の平面図である。これは、第2の抵抗R2内の情報取得領域7の外側において、一方の外側に2つのギャップ6を有する点で
図3と異なる。2つのギャップ6は、1つの導体5によって分離される。
【0043】
図5は、本発明によるグレージング10の平面図である。これは、第2の抵抗R2内の情報取得領域7の外側において3つのギャップ6を有し、その一方の側において1つのギャップが、および他方の側において2つのギャップが、2つの導体5によって分離されている点で、
図4とは異なる。
【0044】
図6は、本発明によるグレージング10の平面図である。これは、第2の抵抗R2内の情報取得領域7の外側において4つのギャップ6を有し、その一方の側において2つのギャップは1つの導体5によって分離され、他方の側において2つのギャップは2つの導体5によって分離される点で、
図5とは異なる。分かりやすくするために、少数の導体5のみが示されている。すべての導体5が示されているわけではない。ギャップ6の数とギャップ6間の導体5の数との組み合わせは、限定されない。それにもかかわらず、例えば、ワイパーがフロントガラスを清浄にすることができない場合、情報取得領域7の外側に加熱されないコールドスポットをもたらす広いギャップ6が形成されるようにあまりにも多くの導体5を除去することは、望ましくない。
【0045】
図7は、本発明によるグレージング10の平面図である。これは、
図2のように分割バスバー8と分割バスバー並列抵抗R8とを有する点で
図6とは異なる。
【0046】
図8は、
図7に対応する本発明によるグレージング10の回路図である。必要に応じたスイッチは、必要に応じた電気接続用であり(
図7には示されていない)、その結果、分割バスバー並列抵抗R8は、第1および第2の抵抗R1、R2の直列結合と電気的に並列であり得る。
【0047】
図9は、
図3から
図7に対応する本発明によるグレージング10の断面図である。グレージング材料の外側のプライ11とグレージング材料の内側のプライ12とは、その間に中間層材料のプライ13を有する。
【実施例】
【0048】
以下は、本発明の非限定的な例の説明である。
【0049】
表1は、概して
図1から
図9に記載の公称電力密度600W/m
2のグレージングを対象とした第1のシミュレーション結果を示す。所定の領域における電力密度は、所定の領域の外側であるが第2の抵抗R2内である幅30mmの隣接する領域において、最大で12本少ない導体を有することによって、1,228W/m
2に増加し得る。所定の領域の内側の導体の数は、23であるため、第1の抵抗R1における導体の総数は、35である。あるいは、所定の領域の左右について各々1本ずつ、2本の導体を除去すると、電力密度が665W/m
2に増加する。
【0050】
表1は、除去された導体(ギャップ)を有しない比較例と、第1の抵抗R1における導体よりも2~12本少ない第2の抵抗R2における導体を有する4つの実施例と、について、増加した電力密度を開示する。
【0051】
【0052】
表2は、概して
図3から
図6に記載の公称電力密度600W/m
2を有するグレージングの第2のシミュレーションの結果を示す。所定の領域における電力密度は、所定の領域の外側であるが第2の抵抗R2内である幅10mmの隣接する領域において、4本少ない導体を有することによって、742W/m
2に増加され得る。所定の領域の内側の導体の数は、32であるため、第1の抵抗R1内の導体と第3の抵抗R3内の導体との総数は、36である。
【0053】
表2は、情報取得領域において除去された4本の導体(ギャップ)を有し、第2の抵抗から第2のバスバーまでの距離とは異なる第2の抵抗から第1のバスバーまでの距離を有する、実施例について、増加した電力密度を開示する。
【0054】
【0055】
表2は、第2の抵抗R2の上方/下方の電力密度が591W/m
2であることを示す。グレージング全体で公称電力密度を達成するには、
図2または
図7の分割バスバー8が必要であり、そのため、分割バスバー並列抵抗についてのバスバーと直列結合R1、R2、R3との間の距離は異なり得る。
【0056】
表3は、概して
図7に記載の公称電力密度600W/m
2を有するグレージングの第3のシミュレーションの結果を開示する。所定の領域における電力密度は、所定の領域の外側であるが第2の抵抗R2内である幅10mmの隣接する領域内にある4本少ない導体を有することによって、753W/m
2に増加し得る。所定の領域の内側の導体の数は、32であるため、第1の抵抗R1内の導体と第3の抵抗R3内の導体との総数は、36である。表2と比較した差異には、下線を引いている。
【0057】
【0058】
バスバー間の距離の差は886-879=7mmである。並列抵抗のバスバー間の距離と比較して直列結合R1、R2、R3のバスバー間の距離を減少させると、第1の抵抗および第3の抵抗の公称電力密度が回復し、その間のより少ない導体のために、第2の抵抗の増加した抵抗値が補償される。
【0059】
すべてのシミュレーションで、印加電圧は、12.33ボルトである。導体間隔は、2.6mmである。導体は、抵抗率116Ω/mのワイヤーとしてシミュレートされ、107%の圧着形状のために増加した経路長を有する。
【0060】
本発明は、第1のバスバーに面する追加のバスバーの側から延在する導体よりも少ない、第2のバスバーに面する追加のバスバーの側から延在する導体を有する、任意の数の所定の領域を有し得る。2つ以上の領域は、グレージングの幅全体にわたって離間され得る。例えば、ステレオカメラの場合は左右に離間され得る。2つ以上の領域は、グレージングの高さに沿って、例えば、それらの間に第3、第4、第5および第6のバスバーを有する第1、第2、第3、第4および第5の抵抗の直列結合を有して、離間され得る。第2および第4の抵抗は、より少ない導体を有し、2つの領域(例えばグレージングの上部と下部)でより高い電力密度を提供する。
【0061】
導体の第1および第2のグループは、少なくとも第1、第2および第3のバスバーによって部分的に重なる複数の連続ワイヤーによって部分的に形成され得る。
【0062】
製造方法は、複数の導体を連続ワイヤーの形態で中間層材料のプライに埋め込むステップを含み得る。好ましくは、第3のバスバーと第2のバスバーまたは第4のバスバーとの間の選択された連続ワイヤーのセクションは、切断され、除去される。
【0063】
本発明による第1、第2および第3の実施例ならびに1つの比較例を作成した。実施例は、
図5のとおりであったが、導体のそれぞれの第2のグループにおいて、各々、2本、4本および5本のワイヤーを除去した。ワイヤー除去によるギャップは、情報取得エリアの外側に位置した。ギャップは、それぞれ左と右、左に2つおよび右に2つ、左に2つおよび右に3つ存在した。比較例は、ワイヤーを除去しなかった。
【0064】
当該技術分野で知られている標準的な除霜試験において、情報取得領域が温度0度に達するのに必要な時間を、各実施例について比較例に必要な時間に対して相対的に測定した。第1の実施例は、30秒速く、第2の実施例は、60秒速く、第3の例は、80秒速くなった。
【符号の説明】
【0065】
1 第1のバスバー
2 第2のバスバー
3 第3のバスバー
4 第4のバスバー
5 導体
6 ギャップ
7 情報取得領域
8 分割バスバー
10 グレージング
11 グレージング材料の外側プライ
12 グレージング材料の内側プライ
13 中間材料のプライ
R 並列抵抗
R1 第1の抵抗
R2 第2の抵抗
R3 第3の抵抗
R8 分割バスバー並列抵抗
【国際調査報告】