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特表2023-509998管分別器内を流れるサスペンションを測定する機器および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】管分別器内を流れるサスペンションを測定する機器および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20230303BHJP
   D21F 1/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
G01N15/02 A
G01N15/02 F
D21F1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542895
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 FI2021050017
(87)【国際公開番号】W WO2021144502
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/960,857
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517092776
【氏名又は名称】バルメット オートメーション オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】トルマネン,マッティ
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055DA13
4L055EA03
4L055EA19
4L055FA08
4L055FA30
(57)【要約】
流動サスペンションを測定する機器は、波動を流動サスペンションに誘導する放射線源を含み、流動サスペンションの流れにより、流動サスペンションの粒子は、それらのサイズに基づいて仕分けられる。測定配置は、波動の第1の波長バンドで流動サスペンションと相互作用する波動の第1のパラメータの第1の値を測定する。測定配置は、以下の少なくとも1つの第2の値を測定する:流動サスペンションと相互作用する波動の第2のパラメータ、および波動の第2の波長バンドで流動サスペンションと相互作用する波動の第1のパラメータ。第1の値の測定と第2の値の測定は、互いに同期される。測定配置は、少なくとも1つの比較を形成し、各比較は、第1の値の1つおよび第2の値の1つと関連するように構成される。測定配置は、比較の1つの関数として、第1値の少なくとも1つを有する分布を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動サスペンションを測定する機器であって、
前記流動サスペンションに波動を誘導するように構成された放射線源であって、前記流動サスペンションの流れにより、前記流動サスペンションの粒子は、サイズに基づいて仕分けられる、放射線源と、
前記波動の第1の波長バンドで前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第1のパラメータの第1の値を測定するように構成された測定配置と、
を有し、
前記測定配置は、
前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第2のパラメータ、および
前記波動の第2の波長バンドで前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の前記第1のパラメータ
の少なくとも1つの第2の値を測定するように構成され、
前記第1の値および前記第2の値の測定は、相互に同期され、
前記測定配置は、少なくとも1つの比較を形成するように構成され、各比較は、前記第1の値の一つおよび前記第2の値の一つと相関するように構成され、
前記測定配置は、前記比較の一つの関数として、第1の値の少なくとも一つを有する分布を形成するように構成される、機器。
【請求項2】
前記測定配置は、前記流動サスペンションのコンシステンシーに依存する、前記第1のパラメータの前記第1の値を測定するように構成され、
前記測定配置は、前記流動サスペンションの前記粒子の物理的特性に依存する、少なくとも1つの比較を形成するように構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
当該機器は、前記流動サスペンションが流動するように構成された管流分別器を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記流動サスペンションに光放射線を誘導するように構成された光放射源を有し、
前記放射線は、偏光された少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光である複数のビームを有し、
測定配置は、前記流動サスペンションと相互作用する電磁放射線の減衰を測定するように構成され、
前記測定配置は、前記サスペンションと相互作用する前記電磁放射の偏光のパラメータ、減衰の測定値、および同期された偏光のパラメータを測定するように構成され、
前記測定配置は、前記偏光のパラメータと前記減衰のパラメータの比較を形成するように構成され、前記パラメータの各々および前記比較の減衰の各々は、同期に基づいて相互に対応し、
前記測定配置は、前記偏光のパラメータと前記減衰のパラメータの間の比較に関して、前記減衰を分配するように構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記測定配置は、互いに既知の関係を有する波長を用いて測定される比較を形成するように構成され、
前記分配を実施するため、前記測定配置は、前記偏光のパラメータの少なくとも2つの値範囲の少なくとも1つについて、前記偏光のパラメータと同期して測定される、前記減衰の和を計算するように構成され、
前記偏光のパラメータは、前記少なくとも2つの値範囲の1つ内にあり、前記値範囲は、重複しておらず、
前記値範囲の関数として、前記第1の値の合計の分布を形成するため、前記測定配置は、合計の各々、および値範囲の各々を一つずつ、各々を前記合計の計算に使用し、相互に関連付けるように構成される、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記光源は、少なくとも2つの異なる波長の前記電磁放射を前記流動サスペンションに誘導するように構成され、
前記測定配置は、前記流動サスペンションの同じ区画を通過する前記異なる波長の前記減衰を互いに比較することにより、サイズ指標を形成するように構成される、請求項4に記載の機器。
【請求項7】
流動サスペンションの粒子がサイズに基づいて仕分けられるように構成された流動サスペンションを用いて測定されたプロセスを制御する、プロセス制御機器であって、
当該プロセス制御機器は、管状分別器に流れるサスペンションを測定する測定機器からのプロセス情報を受信し、
前記測定機器は、
前記流動サスペンションに波動を誘導するように構成された放射線源であって、前記流動サスペンションの流れにより、前記流動サスペンションの粒子が、粒子サイズに基づいて仕分けられる、放射線源と、
波動の第1の波長バンドで前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第1のパラメータの第1の値を測定するように構成された測定配置と、
を有し、
前記測定配置は、
前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第2のパラメータ、および
前記波動の第1の波長バンドで前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の前記第1のパラメータ
の少なくとも1つの第2の値を測定するように構成され、
前記第1の値および前記第2の値の測定値は、相互に同期され、
前記測定配置は、少なくとも1つの比較を形成するように構成され、各比較は、前記第1の値の一つおよび前記第2の値の一つと相関するように構成され、
前記測定配置は、前記プロセス情報として、前記比較の関数として前記第1の値の少なくとも一つを有する分布を形成するように構成され、
当該プロセス制御機器は、前記プロセス情報に基づいてプロセスを制御するように構成される、プロセス制御機器。
【請求項8】
流動サスペンションを測定する方法であって、
前記流動サスペンションに波動を誘導するステップであって、前記流動サスペンションの流れにより、前記流動サスペンションの粒子がサイズに基づいて仕分けられる、ステップと、
前記波動の第1の波長バンドで前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第1のパラメータの第1の値を測定するステップと、
前記流動サスペンションと相互作用する前記波動の第2のパラメータ、および前記波動の第2の波長バンドで、前記サスペンションと相互作用する前記波動の前記第1のパラメータ、の少なくとも1つの第2の値を測定するステップであって、前記第1の値および前記第2の値の測定値は、相互に同期される、ステップと、
少なくとも1つの比較を形成するステップであって、各比較は、前記第1の値の一つおよび前記第2の値の一つと関連する、ステップと、
前記比較の一つの関数として、第1の値の少なくとも1つを有する分布を形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項9】
さらに、
前記流動サスペンションのコンシステンシーに依存する前記第1のパラメータの前記第1の値を測定するステップと、
前記流動サスペンションの粒子の物理的特性に依存する少なくとも1つの比較を形成するステップと、
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに、前記流動サスペンションが流れる管流分別器を使用するステップを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
前記流動サスペンションに電磁放射線を誘導するステップであって、前記放射線は、偏光された少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光である複数のビームを有する、ステップと、
前記流動サスペンションと相互作用する前記電磁放射の減衰を測定するステップと、
前記サスペンションと相互作用する前記電磁放射線の偏光のパラメータを測定するステップであって、前記減衰および前記偏光のパラメータの測定は、同期される、ステップと、
前記偏光のパラメータと前記減衰のパラメータの比較を形成するステップであって、前記パラメータの各々、および前記比較の各減衰の各々は、前記同期に基づき相互に対応する、ステップと、
前記偏光のパラメータと前記減衰のパラメータの間の比較に対して、前記減衰を分配するステップと、
を有する、請求項8記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記流動サスペンションの同じ区画と相互作用する前記異なる波長の減衰を相互に比較することにより、サイズ指標を形成するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、偏光の度合いまたは脱偏光の度合いを測定することにより、前記偏光のパラメータの各々を測定するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
さらに、光放射線を前記流動サスペンションに誘導するステップを有し、
前記光放射線は、偏光された光放射線の少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光である複数のビームを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
さらに、相互に対応する前記減衰および前記偏光のパラメータのユークリッド距離だけ、前記サイズ指標の合計を補正するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、同じ波長で測定された前記偏光のパラメータと前記減衰のパラメータの間の比較を形成するステップを有し、
前記分布を形成するため、
前記偏光のパラメータの少なくとも2つの値範囲の少なくとも1つについて、前記偏光のパラメータと同期して測定される前記減衰の和を計算するステップであって、前記偏光のパラメータは、前記少なくとも2つの値範囲の1つの中にあり、前記値範囲は、重複していない、ステップと、
前記合計の各々および前記値範囲の各々を1つずつ関連付けるステップであって、各々は、前記合計を計算するステップに使用され、前記値の範囲の関数として、第1の値の合計の分布が形成される、ステップと、
を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
さらに、
前記偏光のパラメータおよび前記減衰のパラメータのユークリッド距離を形成するステップと、
前記減衰の合計の各々、および前記ユークリッド距離の各々を、1つずつ関連付けることにより、前記合計に対応する各々の前記関連付けを行うステップであって、
前記ユークリッド距離の関数として、前記減衰の合計の分布が形成される、ステップと、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、画分内の前記値範囲の1または2以上にわたって、前記合計を積分することにより、1または2以上の画分のコンシステンシーを形成するステップを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
さらに、微粉画分の灰分含有量を規定する前記微粉画分のサイズ指標の平均重心値を有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、管分別器内を流れるサスペンションを測定する機器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管流の分別は、管の断面方向における管壁の流れ抵抗により生じる流速勾配に基づく。流速は、壁に近い管の端部領域に比べて、管の中央でより高くなる。一部の粒子は、乱流により、管の近傍に沿って移動する一方、他の粒子は、より速い流れで管の中央に留まる。大きな粒子ほど、管の中央における迅速な流れで流される可能性が高くなる。流れの中央を移動する粒子は、端部領域においてより遅く移動する粒子を追い越すため、管の端に最初に到達する。従って、管流分別により、粒子を各種サイズのクラスに分類できる。サンプルの画分は、異なる瞬間の流れに基づき、あるいは時間の関数として測定された流れに基づき、別々の容器に誘導され得る。
【0003】
分留装置は、この管流分別の原理に基づいている。そのような分別は、光学測定モジュールおよび光学測定を利用し、流れの画分を測定する。現在使用されている計算方法に基づき、光学測定モジュールの信号がバウアーマクネット分布に較正される。
【0004】
管流分別に関して、いくつかの特許がある。例えば、FI20095381号および国際公開第WO2010116030A1号には、2つの瞬間に基づくヘッドボックス前で採取されたサンプルの分析が記載されている。2つの瞬間でのこれらの信号値に基づき、粒子サイズをモデル化できる。従来の分別器測定は、温度および流速変動に敏感であり、これらは、測定結果の誤差を高める。
【0005】
従って、測定精度の改善に対してニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FI20095381号公報
【特許文献2】国際公開第2010/116030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、測定の改善を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項の記載により定められる。従属請求項において、実施形態が定められる。
【0009】
以下、添付図面を参照して、一例として本発明の一実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】分別の原理の一例を示した図である。
図2】時間の関数としての信号量の一例を示した図である。
図3】画分計算に及ぼす流速の変化の影響の一例を示した図である。
図4】針葉樹パルプの減衰信号に及ぼす分別水の温度の影響の一例を示した図である。
図5】ユーカリパルプの分別水温の影響の一例を示した図である。
図6】温度変化によるユーカリパルプの画分含有量の変化の一例を示した図である。
図7】松パルプにおける分別水温の影響の一例を示した図である。
図8】温度変化による松パルプの画分含有量の変化の一例を示した図である。
図9】散乱により生じた強度の減衰の一例を示した図である。
図10】3つの異なるカオリン含有量を有するユーカリパルプにおけるANir減衰係数応答の一例を示した図である。
図11】光の移動に及ぼす多重散乱の影響の一例を示した図である。
図12A】流速の関数としての粒子の特性および量を説明するフラクトグラムの一例を示した図である。
図12B】流速の関数としての粒子の特性および量を説明するフラクトグラムの一例を示した図である。
図13】繊維分布における第1の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示した図である。
図14】繊維分布における第2の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示した図である。
図15】繊維状分布における3番目の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示した図である。
図16】繊維状分布の特性クラスに対応する数量値のマッピングの一例を示した図である。
図17】新しい計算方法を利用した松パルプサンプルの分別結果の一例を示した図である。
図18】それぞれ、計算用のAVis信号またはDVis信号を用いた松パルプサンプルの繊維指標分布の一例を示した図である。
図19】一次測定としての繊維指標分布および二次測定としてのサイズ指標分布の一例を示した図である。
図20】水温が15℃から40℃に変化した際の松パルプの繊維分布の一例を示した図である。
図21】従来技術のリットルベースの計算方法および新しい計算方法を用いた、松パルプサンプルの温度の関数としての画分含有量の変化の一例を示した図である。
図22】水温が15℃から40℃に変化した際のユーカリパルプの繊維指標分布の一例を示した図である。
図23】リットルベースの従来技術の計算方法および新しい計算方法を用いたユーカリパルプサンプルの温度の関数としての画分含有量の変化の一例を示した図である。
図24】0.7%のコンシステンシー(consistency)でのサンプルパルプの分布の一例を示した図である。
図25】全コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ微細画分の応答の一例を示した図である。
図26】全コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ繊維画分FR2の応答の一例を示した図である。
図27】全コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ微粉および繊維画分の全組み合わせ応答の一例、ならびに全組み合わせ繊維および微粉応答のコンシステンシー応答の一例を示した図である。
図28】長繊維のみを含むパルプのフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図29】短繊維のみを含むパルプのフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図30】90%の短繊維パルプと10%の炭酸カルシウムからなるパルプのフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図31】各種比率で炭酸カルシウムを長繊維パルプに添加した場合のサイズ指標分布の一例を示した図である。
図32】0.3%Csの全コンシステンシーで60%のTMPと40%のユーカリパルプを含むパルプ混合物のフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図33】0.3%Csの全コンシステンシーで60%のTMPと40%のユーカリパルプの半分と、カオリンの半分とを含むパルプ混合物のフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図34A】減衰係数フラクトグラムに及ぼすブラックリキュールの影響の一例を示した図である。
図34B】減衰係数フラクトグラムに及ぼすブラックリキュールの影響の一例を示した図である。
図35】繊維指標の関数としての微粉画分のサイズ指標の変化の一例を示した図である。
図36】異なる精製強度での繊維指標の一例を示した図である。
図37】異なる精製強度でのサイズ指標分布の一例を示した図である。
図38】サイズ指標および繊維指標に及ぼす精製強度の一例を示した図である。
図39】十分に混合された溶解パルプサンプルのフラクトグラムと分布の一例を示した図である。
図40】同じサンプルの混合が不十分な場合の例を示した図である。
図41】ナノ結晶サンプルのフラクトグラムおよび分布の一例を示した図である。
図42】異なる分別速度での精製化学パルプの繊維指標およびサイズ指標の一例を示した図である。
図43】分別中のある瞬間における分別管内の複数のサンプルの位置の一例を示した図である。
図44】到達順序に基づいて、フロックおよび短繊維が分離される例を示した図である。
図45】流動サスペンションのフローチャートの一例を示した図である。
図46】流動サスペンションを測定する機器の一例を示した図である。
図47】データ処理ユニットの一例を示した図である。
図48】測定機器の一般的な測定構成の一例を示した図である。
図49】制御機器の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、単なる一例である。明細書では、いくつかの箇所において、「一例」または「一実施形態」と記載参照されているが、これは、必ずしもそのような各参照が同じ例または実施形態を表すことを意味するものではなく、単一の例または実施形態に、特徴のみが適用されることを意味するものでもない。異なる例または実施形態の単一の特徴を組み合わせて、他の実施形態が提供されてもよい。さらに、「有する」および「含む」という用語は、説明された例または実施形態が、言及された特徴のみから構成されることに限定されないものとして理解される必要がある。また、そのような例または実施形態は、具体的に言及されていない特徴/構造を有してもよい。例または実施形態の全ての組み合わせは、それらの組み合わせにおいて構造的にまたは論理的に矛盾が生じない場合、実施可能であると見なされる。
【0012】
図には各種例または実施形態が示されているが、それらは、簡略化された図であり、一部の構造および/または機能的実体のみが示されていることに留意する必要がある。図に示された接続は、論理的接続または物理的接続を表してもよい。また、記載の機器が図面および本文に記載されたもの以外の機能および構造を有してもよいことは、当業者には明らかである。いくつかの機能、構造、ならびに測定および/または制御に使用される信号の詳細は、実際の発明とは無関係であることを理解する必要がある。従って、それらについて、ここではこれ以上説明する必要はない。
【0013】
本願では、波の動きの測定をより広範に利用可能にし、分別器の技術的解決策を簡素化する、新たな計算機器および方法について説明する。
【0014】
まず、現在使用されている画分計算について検証する。画分測定には、サンプル投与、サンプル分離、およびサンプル測定の3つのステップが含まれる。画分の原理を図1に示す。投与ステップでは、画分管10にサンプルが投与される。分離ステップでは、画分管10を通る流体の流れにサンプルが押され、これにより、サンプルは、異なる画分に分割される。測定ステップでは、時間および/または流速の関数として、分離中に分割されたサンプルが測定される。ただし、他の種類の分別が使用されてもよい。
【0015】
現在使用されている画分計算は、流れの異なる瞬間における粒子量に関連する測定信号の変化を解析することに基づく。測定信号は、例えば、電磁放射線の減衰、散乱、または脱偏光に基づく。画分分析では、制限時間または等価な流速値が設定され、それらに基づいて、異なる画分が独自の計算クラスに定義される。図2には、この一例を示す。図2において、サンプルは、時間の関数として、3つの異なるクラスFR1、FR2、およびFR3に定義される。これらのうち、FR1は、大きな繊維粒子の量を表し、FR2は、中サイズの粒子の量を表し、FR3は、小さな粒子の量を表す。これらの定義は、本願全体に適用される。分別が時間または流速以外の他の変数に依存する場合、変数は、本願に説明された測定方法で時間または流速が処理されるのと同様の方法で、処理されてもよい。分別の他の変数は、例えば、場所であってもよい。
【0016】
図2には、時間の関数としての量信号の一例を示す。これは、分別管10の流速に依存し、または流量と既知の関係を有する。縦軸は、量、減衰係数であり、横軸は、流速に基づいてサンプルが測定される瞬間である。
【0017】
量は、信号値の合計、またはそれ自身の限定された流れ領域での信号値の積分として計算される。信号量は、減衰信号、脱偏光信号、または散乱信号であってもよい。また、信号は、前述の組み合わせ信号、または量に比例する他の任意の信号であってもよい。図の例では、y軸の量を表す測定値は、可視波長で測定された減衰信号である。減衰の計算については、現在使用されている技術が記載された図8の後に、詳しく説明される。
【0018】
流速に基づくそのような画分計算には、分離および測定中に、制御された安定な流れが要求される。ただし、特に長期的な分離の間は、流れの制御が難しい。流速に加えて、流れの間に発生する分別は、例えば、分別流体の温度および粘度、ならびに管壁の特性による影響を受ける。これらの変数の変化は、分別計算において、エラーと見なされる。
【0019】
図3には、この例を示す。ここでは、流速が増加し、その結果、フラクトグラムは、前のケースよりも約5フローユニットだけ前方に到達する。水平軸の流れは、サンプルが測定される瞬間を表す。従って、図3には、流速の変化が画分計算に及ぼす影響の例が示されている。これにより、計算された画分内容に大きなエラーが生じる。この例では、画分含有量は、全量の画分固有の百分率として記載されている。
【0020】
流れの状態は、式(1)に従い、レイノルズ数に影響を及ぼす。管流分別に最適なレイノルズ数は、1,000~10,000である。
【0021】
【数1】
ここで、
ρ=媒質の密度
V=流速
D=分別管の直径
μ=媒質の粘度。
【0022】
温度は、媒質密度と媒質粘度を介してレイノルズ数に影響を及ぼす。+4℃を超える水では、温度上昇とともに、これらの特性の両方が低下する可能性があるが、通常粘度は、密度に比べてより大きく低下する。このため、温度が上昇すると、水流のレイノルズ数は、増加する。水温が10℃から40℃に上昇すると、レイノルズ数は、2倍になる。より一般的には、温度の変化で水流のレイノルズ数の変化が生じる結果、画分の測定が不正確となったり、実施できなくなったりする可能性がある。
【0023】
また、水温に加えて、流速または管直径を大きくすることにより、レイノルズ数は、増加する。従って、レイノルズ数を一定に保持したまま、より速い流れで画分時間を短縮したい場合、分別管10の直径を小さくしたり、またはより冷たい水を使用することにより、流速の増加を補償することができる。温度の変化は、微粉画分よりも繊維画分の分離に強く影響を及ぼすことが観察できる。
【0024】
図4には、針葉樹パルプの減衰信号に及ぼす画分水の温度の影響の一例を示す。縦軸は減衰であり、横軸はリットル単位の流速である。最初に減衰する曲線は、最初に上昇する。このように、それらは、連続した順序となる。針葉樹パルプサンプルの減衰信号に及ぼす画分水の影響は、明確に観測できる。
【0025】
水温が15℃から40℃の間で変化する試験で、分別水温の影響を測定した。使用試験パルプは、ユーカリパルプおよび松パルプとした。温度変化の結果により生じるユーカリパルプのフラクトグラムの変化を図5の例に示す。この25℃の温度変化により、フラクトグラムのピークは、約4秒変化した。図の分布において、画分制限が34秒に設定されている場合、画分1は、全量の91%を表し、残りの9%は、画分2である。またこの変化は、図6の例における画分量グラフでも確認される。含有量は、温度変化とともに変化し、画分1は、22%ポイント減少して、69%になる。画分2の含有量は、対応する比率で増加する。
【0026】
図5には、ユーカリパルプの分別水温の影響の一例を示す。縦軸は減衰であり、横軸は秒単位のフロー時間である。
【0027】
図6には、温度変化によるユーカリパルプの画分含有量の変化の一例を示す。x軸は温度であり、y軸は画分含有量[%]である。
【0028】
図7には、松パルプにおける画分水温の影響の一例を示す。縦軸は減衰であり、横軸は秒単位のフロー時間である。
【0029】
図8には、温度変化に伴う松パルプの画分含有量の変化の一例を示す。x軸は温度であり、y軸は画分含有量[%]である。松パルプの画分1の含有量は、95%から90%に低下する。同様に、画分2の含有量は、5%から10%に増加する。
【0030】
以下、現在使用されている検出技術について説明する。本願に記載の測定と測定結果は、光学測定を利用しており、これは、2つの異なる波長で光の減衰を測定し、可視光の波長における偏光レベルを反転させることに基づく。ここで、光の減衰は、略称AVisおよびANirで表される。減衰AVisは、可視波長範囲で発生する減衰を表し、ANirは、近赤外波長範囲で生じる減衰を表す。略語DVisは、可視波長範囲で生じる偏光の反転を表す。計算については、次の章で説明する。
【0031】
減衰係数(Attn Coeff、AVis、ANir)は、光が媒質内を移動する際の光強度における減衰量を表す。また、減衰は、吸光度とも称される。光の減衰には、光の吸収および散乱の2つのメカニズムが影響を及ぼす。ここで、吸収とは、物質への光エネルギーの吸収を意味し、散乱とは、流体中の固体物質に遭遇した際の光の方向の変化を意味する。
【0032】
図9には、散乱によって生じる強度の減衰の一例を示す。光の強度は、検出器22を使用して測され、減衰は、データ処理ユニット24を使用して定めることができる(図46参照)。コンシステンシーが低い場合、コンシステンシーが高い場合よりも弱い散乱が生じる。コンシステンシー(すなわち濃度)測定では、減衰は、主に、コンシステンシーの関数としての光散乱の増加により生じる。この効果の原理の一例を図9に示す。光路上に配置された木片繊維およびその他の粒子は、光の一部を元の方向から偏向させ、その結果、検出器での光強度は、低下する。コンシステンシーが高いほど、光路上にある散乱粒子が多くなり、強度がより低下する。
【0033】
強度は、コンシステンシーに関して対数的に減少する。減衰量は、測定強度と水での測定強度との間の関係として計算される。AVis信号の計算は、以下の通りである:
【0034】
【数2】
ここで、IntAVis(Sample)=サンプルを介して測定されたAVisの測定値であり、IntAvis(Water)=水を介して測定されたAVisの測定値である。IntAVis(Sample)およびIntAvis(Water)は、検出器22により測定でき、AVisは、データ処理ユニット24により測定できる(図46、47参照)。
【0035】
同様に、ANir信号の計算は、以下の通りである:
【0036】
【数3】
ここで、IntANir(Sample)=サンプルを介して測定されたANirの測定値であり、IntANir(Water)=水を介して測定されたANirの測定値である。IntANir(Sample)およびIntANir(Water)は、検出器22により測定でき、ANirは、データ処理ユニット24により測定できる(図46、47参照)。
【0037】
検出器の暗電流などによって生じる暗値は、全ての測定値から削除される。
【0038】
従って、この場合、減衰係数は、水を介して測定された強度に比例した減衰係数でとなる。このため、この計算方法では、純水の減衰係数がゼロと仮定されるため、減衰係数は、ゼロベースとなる。これは図10に認められ、図10には、3つの異なるカオリン含有量を有するユーカリパルプのANir減衰係数応答の例が示されている。
【0039】
図10には、3つの異なるカオリン含有量を有するユーカリパルプにおけるANir減衰係数応答の一例を示す。横軸は、単位が%のコンシステンシーCsである。ゼロベースであることに加えて、減衰係数は、コンシステンシーに対して主に線形であると見なされ得る。ただし、図10には、点線が直線から分岐し始めることが示されており、コンシステンシーの上昇とともに、この直線性が徐々に消失する例が示されている。
【0040】
図11には、光の移動に及ぼす多重散乱の影響の一例を示す。減衰係数応答の非線形性は、少なくとも一部が多重散乱によるものであり、これは、コンシステンシーの上昇とともに粒子密度が増加することにより発生し始める。多重散乱では、元の光路から分岐した光の一部が元の方向に戻され、これにより、コンシステンシーに対する減衰の相対的な増加が減少し始める。
【0041】
脱偏光測定、すなわち偏光測定は、光が木片繊維に遭遇した際の偏光の反転を表す。測定計算の原理は、以下の通りである:
【0042】
【数4】
ここで、IntDVis(Sample)=サンプルを介して測定されたDVisの測定値であり、IntAVis(Sample)=サンプルを介して測定されたAVisの測定値である。これまで、暗値は、両方の測定値から削除されていた。IntDVis(Sample)およびIntAVis(Sample)は、検出器22により測定でき、DVisは、データ処理ユニット24により測定できる(図46、47参照)。
【0043】
サンプルを介して測定されたDVisの測定値をAVis強度値で除算することにより、脱偏光に対する減衰の影響を補正できる。
【0044】
水の値が測定値から削除された場合、脱偏光(deporalization)測定値は、ゼロベースとなり得る。またこれは、線形と見なされ得る。ただし、線形性の仮定は、限られたコンシステンシー性範囲において有効であってもよい。測定距離を長くすると、測定の線形範囲が狭くなり得る。低いコンシステンシーでは、脱偏光は、繊維の量に反応するものの、高いコンシステンシーでは、脱偏光は、散乱を生じさせる全ての材料に反応する。ただし、脱偏光測定は、減衰測定よりも、コンシステンシーの変化に関して、フィラーに対する過敏性が低くなる。
【0045】
従って、図2の例では、既知の画分計算方法において、量に比例する測定変数が利用され、異なるフロー時間で測定のために到達する材料の量が説明される。粒子量の増加による光減衰係数の増加は、量に比例する変数として利用され得る。一方、複屈折材料の量の増加とともに増加する、光の脱偏光を使用することができる。また、散乱に基づく他の測定方法も、現在既知の解決策で使用される。
【0046】
量を表す従来の測定信号に加えて、新しい計算方法では、サンプルの特性を表す変数が利用される。従って、新しい計算方法では、サンプルの特性と量の同時測定が提供され、流速とは無関係な分布として表すことができる。また、分布から、画分固有の積分値または平均画分固有の重心値を特性値として、計算することができる。重心は、値の加重平均を意味し得る。
【0047】
新たな用語、繊維指標は、以下の方法で定義できる。繊維測定では、サンプルの特性を表す1つの潜在的な信号は、脱偏光信号と減衰測定の間の比である。この比は、サンプルの繊維性を表しており、本願ではこの比は、繊維指標(FI)と称される。
【0048】
【数5】
繊維指標FIは、データ処理ユニット24により形成できる(図46、78参照)。
【0049】
水の値DViswaterは、脱偏光信号から差し引かれ、ゼロから始まる比率が提供される。
【0050】
純粋で破損のない繊維では、脱偏光が強く、減衰が少ないため、比率が高くなる。微粉およびフィラーを使用した場合、信号は、その逆の挙動をするため、比率は低くなる。
【0051】
以下に示すように、別の新たな用語、サイズ指標も定義できる。ここでは、短波長と長波長の減衰係数比が、特性を説明する2番目の指標として使用される。これは、粒子サイズ、繊維幅、または繊維壁厚さのような粒子寸法を表す。この減衰係数比は、サイズ指標(SI)と称される。
【0052】
短波長と長波長の減衰係数の比は、粒子サイズを表す。
【0053】
【数6】
ここで、ANirは、長波長を表し、AVisは、短波長を表す。ANirには、近赤外領域のバンドが含まれ、AVisには、可視光のバンドが含まれ得る。サイズ指標SIは、データ処理ユニット24により形成できる(図46、47参照)。可視光は、約400nmから約700nmの範囲であってもよい。近赤外領域は、700nmから1400nmの範囲であってもよい。
【0054】
サイズ指標を逆に表す変数は、短波長減衰係数を同等の長波長減衰係数で除算することにより、またはその逆により、取得できる。減衰係数の代わりに、光強度の変化に反応する他の測定変数を使用することもできる。通常、第1の波長の減衰係数と第2の波長の減衰係数の関数が形成される。ここで、第1の波長および第2の波長は、異なる波長である。
【0055】
粒子のサイズと形状に加えて、異なる波長で発生する減衰は、粒子と流体のスペクトル屈折率の影響を受ける。
【0056】
繊維指数を計算する場合、脱偏光信号および減衰信号は、電磁放射線の任意の波長で測定されてもよく、これらは同じ波長である必要はない。
【0057】
サイズ指数を計算する場合、電磁放射の波長を広く使用することができる。極めて短い波長、例えば、紫外線範囲では、小さな粒子に最も敏感に反応する。繊維指数の計算と同様、サイズ指数の計算でも、いくつかの異なる測定信号が利用され、そのうちの粒子サイズを表す測定変数は、計算方法手段により生成される。
【0058】
また、サイズ指標の測定値は、流体中に溶解した物質の存在に反応し得る。これについては、後の測定例で説明する。
【0059】
画分の新しい計算方法には、量を表す変数に加えて、粒子の特性を表す変数も必要となる。このステップでは、この変数は、2つの異なる信号間の比である。比率の変化は、分別中の粒子特性の変化を表す。粒子の特性自体は、変化しないが、サスペンションの流れにより、粒子は、各種サイズのクラスに分類され、次々と流れ内を移動する。すなわち、粒子は流れ内を画分で移動する。また、計算に3つ以上の基本信号を使用することもできる。これらの信号を使用して、より複雑なモデルが計算され、流動する材料の特性を記述することができる。モデルは、比例する必要はないが、所望の特性を記述する任意の関数により形成されてもよい。
【0060】
さらに、信号は、光学的である必要はなく、他の測定技術で、特性を説明する変数を形成してもよい。
【0061】
一実施形態では、信号間の比率に基づく分割は、信号がゼロベースで線形であるように選択されてもよい。減衰信号の場合、これは、コンシステンシーが比較的低いときに実施されてもよい。脱偏光信号においても、低いコンシステンシーでは、少なくとも一部は線形となる。ただし、線形性は絶対的な要件ではない。
【0062】
画分では、サンプルは、長距離にわたって分別管10内で分割されるため、元のサンプル全体のコンシステンシーから希釈されてもよい。この希釈を用いて、減衰および脱偏光信号が線形範囲に維持されてもよい。
【0063】
この章では、分布を生成する計算手順について説明する。図12Aおよび12Bには、流速の関数としての粒子の特性(DVis/AVis)および量(AVis)を示すフラクトグラムの一例を示す。減衰信号(AVis)により生成された量を表すフラクトグラムは、図12Aにあり、繊維性(DVis/AVis)を表すフラクトグラムは、図12Bにある。図12Aにおける量(AVis)を表す減衰信号に加えて、等価なフラクトグラム(DVis/AVis)を表す繊維指数が計算された(図12B参照)。高い繊維指数値(DVis/AVis)は、フラクトグラムの開始時点での低流速での繊維を表す。流れが進むにつれ、測定位置に到達する粒子の繊維性が低下するため、繊維指標(DVis/AVis)の値が低下します。
【0064】
特性クラスに対応する数量変数を組み合わせることにより、分布情報が生成される。この組み合わせは、図13~16の例により、明確化されている。図の例では、繊維性を表す繊維指数(DVis/AVis)は、繊維分布を生成し、この分布を使用して、これは、測定対象の材料を含む各繊維指標に対応する材料がどの位であるかが表されてもよい。分布は、繊維指標に基づいて、流れに関して測定された各測定点を分類し、各繊維クラスに対応する量信号値の合計を計算することにより、生成される。
【0065】
この例では、量のグラフは、図の中央のグラフである可視波長AVisの減衰である。一番下側のグラフは、特性グラフと量グラフに基づいて作成された繊維指標分布である。
【0066】
図13には、繊維分布における第1の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示す。一番上のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、信号DVis/Avisの比である。中央のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、光信号の量および/または減衰である。一番下側のグラフのx軸は、繊維指標FIであり、y軸は、信号AVisの合計である。この例では、値0~0.25が第1のクラスに対応し、従って、クラスの平均値は、0.125である。図13では、フロー範囲0…5とフロー範囲30…42の両方において、このクラスに含まれる値がある。ただし、フロー範囲0…5の値に対応するAvisの量値は、このフロー範囲に材料がないことを示しており、従って、これらの点は、計算された合計に影響しない。
【0067】
この最小特性クラスに対応する数量値の合計は、3.6である。この値は、分布グラフにおいて、平均値0.125に対応する点にある。従って、(x,y)配置は、一番下側のグラフでは(0.125,3.6)である。従って、この値は、サンプル内の大部分の非繊維粒子の量を表す。
【0068】
図14には、繊維分布における第2の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示す。一番上のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、信号DVis/Avisの比である。中央のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、光信号の量および/または減衰である。一番下側のグラフのx軸は、繊維指標FIであり、y軸は、信号AVisの合計である。第2の特性クラスに対応する材料量の計算が実施される。この例では、第2の特性クラスは、0.25~0.5の範囲にあり、これにより、クラスに対応する平均値は、0.375となる。このクラスに対応する材料は、23…29の流量範囲で測定される。これらの測定ポイントのAVis合計は、15.0である。この合計は、(x,y)座標が(0.375,15)である場所での分布グラフの平均値0.375に対応する点に配置される。
【0069】
図15には、繊維分布における第3の特性クラスに対応する量のマッピングの一例を示す。一番上側のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、信号DVis/Avisの比である。中央のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、光信号の量および/または減衰である。一番下側のグラフのx軸は、繊維指標FIであり、y軸は、信号AVisの合計である。図15の例に示すフロー値22における第3の特性クラス0.5~0.75には、単一の測定点がある。このAVis値は、1.5であり、これは、分布において(x,y)配置が(0.625,1.5)のような、繊維指標の値0.625の位置に配置される。
【0070】
図16には、繊維分布における特性クラスに対応する数量値のマッピングの一例を示す。一番上側のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、信号DVis/Avisの比である。中央のグラフのx軸は、流速であり、y軸は、光信号の量および/または減衰である。一番下側のグラフのx軸は、繊維指標FIであり、y軸は、信号AVisの合計である(式(2)参照)。
【0071】
フラクトグラム全体をこのように分類した際に、完成した分布の一例が得られてもよい。従って、この例では、繊維指標の低い値は、非繊維粒子の量に対応し、高い値は、繊維粒子の量に対応する。繊維指標が高い材料は、通常、純粋な非解繊繊維である。中範囲の繊維は、例えば、部分的に繊維質を保持しているが、粉砕され解繊された材料であってもよい。最も低い繊維クラスには、微粉、特に偏光誘導パルプを含まない材料が含まれる。
【0072】
この例で使用される可視波長範囲の減衰応答は、異なる繊維指標を有する粒子では異なる。このため、微粉およびフィラーは、純粋な繊維からのパルプ量に関して異なる応答を生成する。微粉およびフィラーは、例えば、純粋な繊維よりもパルプの量に関して、減衰として、より強い応答を生成してもよい。これは、高い繊維指標よりも低い繊維指標範囲において、より小さな重み係数が量測定に与えられるように、量信号を較正することにより考慮されてもよい。較正は、既知の特性および既知の含有量の粒子を測定することにより、実施されてもよい。
【0073】
図17には、新しい計算方法を利用した松パルプサンプルの分別結果の一例を示す。左側のグラフにおいて、連続している一番下の線は、AVis信号を示し、Avis信号の上部の破線は、DVis信号を示す。最も高い線は、繊維指標FIである。これらの信号は、フロー時間の関数として示されている。フロー時間の計算は、測定シーケンスの開始の際の分離シーケンスの後に開始され、これにより、サンプルは、測定位置に到達する。
【0074】
10~30秒の時点で測定されるサンプルは、18秒の時点で量がピークになる繊維で構成される。サンプル中の微粉は、30秒後に到達する。DVis信号とAVis信号の関係を表す繊維指標は、最も高い線で示され、右側の縦軸から読み取られる。繊維画分の20秒の瞬間では、繊維値は6である。すなわち、DVis信号の値は、AVis信号の値の約6倍となる。繊維値が高くなるほど、サンプルは、より純粋な繊維になる。微粉画分に向かって移動すると、繊維性は、約1に低下し、DVis値とAVis値は、互いに同じレベルになる。従って、低い繊維値は、その時点でのサンプルが平均的に、高い非繊維状であることを示す。
【0075】
Avis信号およびDVis信号が極めて低い瞬間では、除算によって得られる繊維指標は、高ノイズとなる。ただし、このノイズは、それほど測定を妨げない。これらの瞬間での量信号は、非常に低く、実際に計算された合計が増加しないためである。
【0076】
従って、繊維指標は、サンプルの繊維性を表すものの、サンプルの量には大きく反応しない。AVisおよびDVis信号は、サンプルの量に反応し、微粉画分の点では大幅に低レベルとなる。このことから、対象となる松パルプサンプルには、繊維状物質に比べて微粉がほとんど含まれていないことを直接推測することができる。
【0077】
既に説明したように、図17には、AVis信号に基づく松パルプサンプルの繊維指標分布の一例を示す。左側のグラフのx軸は、時間であり、y軸は、AVis信号の値である。右側のグラフのx軸は、繊維指標FIであり、y軸は、AVis信号の値の合計である。図17の例では、微粉の限界は、繊維指標値の3に設定されており、それより上では、繊維画分であり、それより下では微粉である。
【0078】
図17の右側には、図12乃至16で記載のように計算された繊維指標分布と、それらの説明が示されており、量は、繊維指標クラスによりAVis信号から計算された合計で表される。
【0079】
この例では、繊維分布はおおよそ値6を中心とし、すなわちサンプルの粒子は、比較的繊維状である。ここでは、サンプルの微粉量は比較的少ない。
【0080】
減衰量に基づくAVis信号は、乾燥物の質量に基づいて量の比較を行う場合、繊維の量よりも微粉の量に足して、比較的感度が高い。脱偏光に基づくDVis信号の状況は、反対である。繊維の感度は、微粉の感度よりも比較的高い。図18の例において、上の2つのグラフには、それぞれ、計算にAVis信号またはDVis信号を使用した、松パルプサンプルの繊維指標分布の一例を示す。サンプルは、図17の例と同じである。
【0081】
パルプ含有量の比較を画分特定で行う場合、これらの感度ストレスにより、較正が必要となる。分布の異なる部分で同等の量を得るには、重み係数関数を使用して、測定を実施する必要があり、この関数では、異なる材料の量が、それらの応答に必要な係数で重み付けされる。AVis信号を使用する場合、この関数は、微粉に対して、繊維状の材料よりも小さい重み係数を与える。一方、DVis信号を使用する場合、微粉の重みは、繊維状材料の重みよりも強く擦る必要がある。重み係数関数は、場合に応じて線形であっても、非線形であってもよい。上記以外の測定方法を使用する場合、応答挙動に基づいて、好適な適重み係数関数が使用されてもよい。
【0082】
減衰係数信号と脱偏光信号の感度差は、それらの好適なモデルを使用することにより、均一化されてもよい。本願の測定において、一般に使用されるモデルは、起点からのAVisおよびDVis信号のユークリッド距離である。ここでは、これは、CsDAと称され、CsDAは、D信号とA信号を利用して計算するコンシステンシー測定に似ていることが示される。CsDAのCsは、コンシステンシーを表し、Dは、脱偏光を表し、Aは、減衰を表す。CsDA変数の計算は、式7に示されている。CsDAは、数量に基づくと見なされてもよい。CsDAは、好適な計算により、または好適に較正された係数を使用することにより、コンシステンシーに変換されてもよい。
【0083】
【数7】
CsDAは、データ処理ユニット24により形成できる(図46、47参照)。
【0084】
計算により、異なる成分間の感度の差が均等化され、DVisまたはAVis信号のみを使用する場合と比較して、較正の必要性が低下する。
【0085】
図18には、信号AVis、DVis、およびCsDAを利用した同じ松パルプサンプルの繊維指標分布の一例を示す。x軸は、繊維指標FIであり、信号AVis、DVis、およびCsDAは、y軸である。CsDA変数は、量信号として使用される。
【0086】
本願で使用される「合計CsDA」という用語は、対象とする画分に含まれるCsDA値の合計または積分、あるいは全ての画分について計算された合計または積分のいずれかを表す。すなわち、これは、グラフ内のバーの合計である。
【0087】
繊維状粒子を含むサンプルを分析する場合、繊維指標は、一次測定として良好に機能し、これにより、サンプルを分類することが可能となる。管流分別における繊維指標の利点は、繊維性に基づいて流れ内のサンプルを明確に分割する上で有効であることである。
【0088】
しかしながら、サイズ指標に基づいてサンプルを分析することもできる。これは、極めて小さな直径の分別管10で分別が行われるマイクロ分別において、特に好適である。この場合、通常粒子サイズは、極めて小さく、繊維性は、あまり重要な粒子特性ではない。
【0089】
一方、繊維指標分布の二次測定として、サイズ指標を使用することもできる。その場合、サイズ指標は、繊維指標に基づいた画分の画分固有で計算される。
【0090】
図19には、一次測定としての繊維指標分布と、二次測定としてのサイズ指標分布の一例を示す。左側のグラフには、図17の左側のグラフの繊維指標信号と同様の、フロー時間の関数としてのサイズ指標を示す。この場合、AVis値が0.001未満の瞬間は、指標計算から排除され、繊維指標およびサイズ指標の値から、あまり重要でないノイズ点が削除される。通常、ノイズレベル以下の値は、計算から削除されてもよい。
【0091】
この例では、繊維画分の点でのサイズ指標信号は、約0.8であり、微粉画分に向かって0.6未満まで減少する(図17参照)。これは、流れの関数として粒子サイズが低下することを示す。繊維画分のサイズ指標に最も大きな影響を与える粒子寸法は、繊維壁の厚さであると考えられる。
【0092】
右側のグラフは、画分固有のサイズ指標分布を示す。白いバーは、繊維指標が3を超える粒子のサイズ指標分布を表し、黒いバーは、繊維性が3を下回る粒子のサイズ指標分布を表す。分布グラフには、繊維のサイズ指標が示されており、これは、おそらく繊維の壁の厚さを示し、微粒画分の粒子サイズを表すサイズ指標よりも大幅に高い。
【0093】
一実施形態では、繊維指標に基づいて生成された全ての画分のサイズ指標分布を計算することができ、これにより、異なる粒子クラスのサイズ分布データを互いに区別することができる。繊維指標の生成に使用される分類ウィンドウの幅は、画分の数を制限する唯一のファクターである。従って、分布において存在するバーと同じ数の分数クラスが存在してもよい。
【0094】
一実施形態では、前述の例と同様の分布から、ある特徴的な図が得られ、測定サンプルの画分固有量および特性が示されてもよい。
【0095】
ナノスケールの粒子を測定する場合、主な関心は、粒子のサイズ指標である。ある場合には、繊維指標が二次測定であり、従って、ナノ結晶の結晶化度が特徴づけれてもよい。
【0096】
繊維および/またはサイズ分布全体を一体化することにより、サンプルの全体的なコンシステンシーが得られる。画分による分布を一体化することにより、画分固有のコンシステンシーが得られてもよい。例えば、長繊維のコンシステンシー、中繊維のコンシステンシー、微粉のコンシステンシーである。高い精度が必要な場合、コンシステンシーの定義において使用される量信号は、重み係数関数を用いて較正されてもよい。ただし、較正を行わなくても、値の比は、全体のコンシステンシーに対する微粉と繊維の相対的な量の変化を表す。
【0097】
一実施形態では、例えば、画分固有の重心値、加重平均値、平均値、または分布対称性に基づく値が生成できる。重心と見なされ得る画分固有の加重平均は、関心画分の平均特性を表す。例えば、図17の例における微粉画分の繊維指標の重心は、約1であり、繊維画分の重心は、約6である。重心がより高い値に向かって移動する場合、関心画分の粒子は、平均的に、より繊維状になっていることが確認され得る。同様に、サイズ指標分布の重心が低い値に向かって移動すると、平均粒子サイズが減少し、重心が高い値に移動すると、平均粒子サイズが増加してもよい。
【0098】
図20には、水温が15℃から40℃に変化した際の松パルプの繊維分布の一例を示す。x軸は、繊維指標であり、y軸は、にあり、繊維指標の値である。一実施形態では、フラクトグラムにおける分別水温の影響は、本願に記載の新たな計算方法を使用することにより、補償されてもよい。ここで、数量信号は、CsDAである。15℃の温度で実施された測定の参照値は、実線で示されており、測定値は、バーで示されており、すなわち、図20の右上のグラフに示されている。異なる温度で分別に大きな変化があった場合でも、分布は、それほど大きく変化しない。
【0099】
サンプルパルプと流速が同じであっても、分別温度が変化した際に、画分が大きく変化してもよい。
【0100】
図21には、従来のリットルベースの計算方法と、本願に記載の新たな計算方法を使用した際の、松パルプサンプルにおける温度の関数としての画分含有量の変化の一例を示す。従来方法による繊維画分含有量は、従来技術の画分1と称され、本方法による従来の繊維画分含有量は、本方法の画分1と称される。従来技術による微粉画分含有量は、従来技術の画分2と称され、本方法による微粉画分含有量は、本方法の画分2と称される。本願に記載の新たな計算方法では、含有量は、リットルベースの方法に比べて、安定に維持される。
【0101】
一例として、ユーカリパルプを使用して実施された同様のテストの結果を、図22、23の例に示す。繊維分布の例を図22に示す。試験の画分含有量の結果の例を図23に示す。従って、新しい計算方法に基づく画分計算を使用して、温度により生じる分別誤差が排除されてもよい。
【0102】
図22には、15℃から40℃までの温度変化に対するユーカリパルプの繊維指標分布の一例を示す。x軸は、繊維指標であり、y軸は、繊維指標の値である。15℃の温度で実施された測定の参照値は、実線で示され、測定は、バーで示されている(図20参照)。
【0103】
図23には、リットルベースの従来技術の計算方法と、本願に記載の新たな計算方法を使用した、ユーカリパルプサンプルの温度の関数としての画分含有量の変化の一例を示す。従来方法による繊維画分含有量は、従来技術の画分1と称され、本方法による繊維画分含有量は、本方法の画分1と称される。従来方法による微粉画分含有量は、従来技術の画分2と称され、本方法による微粉画分含有量は、本方法の画分2と称される。図に示すように、新たな計算方法は、温度に依存しない。
【0104】
図20および22では、両方のパルプ種の分布は、低温と比べて、高温では、より低い繊維値に向かって傾斜している。これは、高温では、分別によってサンプルがより短い時間/フロー時間に分割され、これにより、これらの品質の異なる繊維が互いに完全に分離する代わりに、部分的に絡み合って到達するという事実による可能性がある。このため、純粋に長い繊維と同時に測定された非繊維材料が存在し、繊維指標の値は、測定の同時点での粒子の平均繊維性を表す可能性がある。
【0105】
以下のように本願に記載の新たな計算方法の概要が説明され、分布特性図として以下が使用されてもよい:
コンシステンシーを示す画分または濃度画分固有により計算された積分;
全体のコンシステンシーまたは全体の濃度を表す分布の全積分;
関心特性およびその想定される変化を示す特性グラフに関して、画分固有で計算された重力中心または他の同等の特性値;
関心特性と重心の変化を示す特性グラフ、またはサンプル全体の関心特性の変化を示す同等の特性図に関する、分布全体に対して計算された重力中心、またはその他の同等の特性値;
異なる特性の材料量の重み付けを示す特性グラフに関する分布の対称性-これは、画分固有、またはサンプル全体のいずれかで実施されてもよい;
一次特性に関連して計算された二次特性-例えば、繊維指標に基づく異なる画分のサイズ指標。
【0106】
前述の事項を実施するため、流動サスペンションを測定する機器は、流動サスペンションに波動を誘導するように構成された放射線源を有し、流動サスペンションの流れにより、流動サスペンションの粒子は、それらのサイズに基づいて分類される。サイズは、粒子の体積を表してもよいが、例えば、粒子の形状は、変化してもよい。当業者は、この種のフィールドフロー分別に詳しい。フィールドフロー分別を用いて、分別管10を通って流れるように構成されたサスペンションの粒子を分離できる。
【0107】
波動は、例えば、光放射線または音響放射線であってもよい。波動は、粒子放射を除外し、通常粒子は、原子状粒子またはサブ原子状粒子である。測定機器は、波動の第1の波長帯域で流れるサスペンションと相互作用する波動の、第1のパラメータの第1の値を測定してもよい。第1の値の各々は、単一の測定値であっても、複数の測定値の平均であってもよい。測定機器は、以下の少なくとも1つの第2の値を測定してもよい:流れるサスペンションと相互作用する、波動の第2のパラメータ、波動の第2の波長帯域で流動サスペンションと相互作用する、波動の第1のパラメータ。第1の値と第2の値の測定値は、値ごとに互いに同期される。第1の値と同様、第2の値の各々は、単一の測定値、または複数の測定値に基づく値であってもよい。測定機器は、少なくとも1つの比較を形成し、各比較は、第1の値の1つと、第2の値の1つに関連するように構成されてもよい。測定機器は、分布を形成し、これは、コンシステンシーに関してサンプルを介した波動の減衰の表現を置換する比較の1つの関数として、第1の値の少なくとも1つを有してもよい。
【0108】
一実施形態では、測定機器は、流れるサスペンションのコンシステンシーに依存する第1のパラメータの第1の値を測定してもよい。測定機器は、流動するサスペンションの粒子の物理的特性に依存する少なくとも1つの比較を形成してもよい。
【0109】
一実施形態では、機器は、サスペンションが流れる管流分別器を備えてもよい。
【0110】
一実施形態では、光放射源が、流動サスペンションに光放射線を誘導し、放射線は、偏光された少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光である複数のビームを有してもよい。測定機器は、流れるサスペンションと相互作用する電磁放射線の減衰を測定してもよい。測定機器は、サスペンションと相互作用する電磁放射線の偏光のパラメータを測定し、減衰の測定および偏光のパラメータは、同期してもよい。次に、測定機器は、偏光および減衰のパラメータの比較を形成してもよい。パラメータの各々、および互いに対応する比較の減衰の各々は、同期に基づく。測定機器は、偏光のパラメータと減衰との間の比較に関して、最終的に減衰を分配してもよい。
【0111】
一実施形態では、測定機器は、互いに既知の関係を有する波長で測定された比較を形成してもよい。分布を形成するため、測定機器は、偏光のパラメータの少なくとも2つの値範囲のうちの少なくとも1つについて、偏光のパラメータと同期して測定される減衰の合計を計算してもよく、偏光のパラメータは、少なくとも2つの値の範囲の1つであり、値の範囲は、重複しない。測定機器は、前記合計の計算に使用される合計の各々、および値範囲の各々を、互いに関連付け、値範囲の関数として第1の値の合計の分布を形成してもよい。
【0112】
一実施形態では、光源は、少なくとも2つの異なる波長の電磁放射線を流動サスペンションに誘導してもよい。測定配置は、流動サスペンションの同じ区画を通る異なる波長の減衰を互いに比較することにより、サイズ指標を形成してもよい。
【0113】
この種の測定では、品質信号を形成することが可能となり、これにより、流動サスペンションに関する流速情報を除去することができる。品質と数量の測定の関数として、分布を形成することが可能となり、これを用いて、特性値が形成できる。
【0114】
主に繊維等の粒子の場合には、繊維指標が使用されてもよい。非繊維または非繊維に近い粒子の場合、サイズ指標等が使用されてもよい。
【0115】
繊維指標またはサイズ指標等を用いて形成された画分に基づいて、二次品質値を決定することが可能となる。別個の画分のサイズ指標は、例えば、決定された繊維指標に基づいて形成されてもよい。別個の画分の繊維指標は、決定されたサイズ指標に基づいて形成されてもよく、その後、繊維指標は、例えば、画分の各々の結晶化の度合いを表す。別個の画分の蛍光指標は、決定されたサイズ指標に基づいて形成されてもよく、蛍光指標は、例えば、サンプル中の蛍光材料の百分率または量を表す。
【0116】
コンシステンシーの測定は、パルプと紙の製造において重要である。コンシステンシーは、全体積に対する乾燥物質の質量含有量として定義される。標準化された方法(ISO、Tappi、SCAN)に従い、コンシステンシーは、サンプルをろ過し、乾燥させ、秤量することにより、決定される。多くの用途では、乾燥物質は、互いに大きく異なる成分を含んでもよい。サイズ、形状および比重の異なる成分は、特に光学的コンシステンシー測定において、相応の困難性を生じさせる。しばしば、測定には、別々に測定された変数として、フィラーの量を表す灰分のコンシステンシー、および木質系材料の量を表す繊維コンシステンシーが必要となる。これらを合計することで、全コンシステンシーが得られる。灰分と繊維のコンシステンシーの別々の測定は、プロセス測定として実施することが難しい。
【0117】
分別により、サンプル中の異なる種類の成分を一時的に分離して測定することができる。その後、従来の測定の問題を構成する異なる応答を有する成分の混合物は、同様のコンシステンシー応答を有する成分のサスペンションに分割され、これにより、真に成分に固有の測定および較正が可能となる。本願で提示される新しい計算方法は、分割の要求される機械的構造を単純化するために使用されてもよく、従って、独立したプロセスのコンシステンシー事項の一部としての使用が可能となる。特に、分別において、これらの成分をそれら自身の画分に分離することが可能である場合、この計算では、微粉、灰分および繊維画分の別々のコンシステンシー測定が可能となる。また、この計算では、画分特有の粒子サイズ情報が提供される。
【0118】
ここで、パルプの種類が繊維分布に及ぼす影響について検討する。パルプ型応答の研究における試験装置は、950nmの波長バンドを用いる測定が可能な分別器であり、脱偏光と減衰の両方が測定される。1波長のみであるため、結果から繊維指数のみが算出される。ただし、本願に記載の他の測定試験と同様、2以上の波長バンドを用いて測定を実施することも可能である。
【0119】
以下の例の試験では、5つの異なるサンプルが含まれる:
-TMP排不良精製フィード(TMP RJフィード)、不良精製(TMP RJ After)後のTMP、未ソートTMP(TMP)、
-松パルプ、および
-ユーカリパルプ(Euca)。
【0120】
これらのうち、コンシステンシーの希釈は、0.1%Csから1.6%Csの範囲で調製した。
【0121】
図24には、0.7%のコンシステンシーにおけるサンプルパルプの分布の例を示す。横軸は、繊維指標であり、縦軸は、等価量値を示す。数量値は、式7によるCsDA値の画分固有総和である。ここで、分布は、一例として2つの画分に分割され、2つの画分の極限値は、0.6の繊維指標値とした。これは、一例である。従って、この例では、微粉画分FR1は、0.6未満の値を含み、繊維画分FR2は、0.6を超える値を含む。
【0122】
図24には、精製された機械パルプ(TMP)がかなりの量の微粉を含む一方、化学パルプは、あまり微粉を含んでいないことを示す。図の中央のサンプルTMPは、オリジナルのスクリーニングされていない精製された機械パルプであり、最大の微粉含有量を有する一方、繊維画分は、0.6~1.4の繊維指標範囲において、異なる品質の繊維を均一に含有する。
【0123】
図24では、TMPから選別された不良パルプは、最上部にある。このパルプは、不良精製供給サンプルとした。不良TMPの微細含有量は、スクリーニングされていないTMPサンプルと比べて低い。繊維画分は、依然、繊維粒子を顕著に含んでおり、これは、繊維指標値1.3の分布値で示されている。
【0124】
図24において上から2番目のグラフは、不良品精製後に採取されたサンプルの例である。ここでは、繊維材料の量が減少し、微粉の量は、等しく増加している。
【0125】
化学パルプサンプルの例を図24の下側に示す。下から2番目は、松パルプであり、底部は、ユーカリパルプである。化学パルプ繊維は、機械的パルプ繊維よりも均一で、より繊維状である。これは、高い繊維インデックス値に認められる。ユーカリパルプと比較して、松パルプの繊維長が長いことは、高い繊維値に向かう分布の重み付けにおいて、認められる。この結果の考察で使用された化学パルプの微粉画分は、0.3~0.6の範囲において、より少ない量のサンプル材料を含む。0.3未満の範囲の粒子は存在せず、このことから、化学パルプ中の微粉は、機械パルプとは全く異なる品質であると解釈できる。
【0126】
図25には、全コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ微粉画分の応答の例を示す。希釈のコンシステンシー応答は、画分固有の分布を積分することにより得られる。横軸は、コンシステンシーであり、縦軸は、等価量値を示す。数量値は、式7によるCsDA値の画分固有総和である。次に、得られた画分積分は、ラボのコンシステンシーの関数として表される。図25には、異なる全コンシステンシーで測定されたサンプルパルプに対する、微粉画分FR1の応答の例を示す。未選別TMPの高い微粒子含有量が、強い応答として視認され、同様に、パルプの低い微粒子含有量が、低い応答として認められる。微粉に対する不良品精錬の効果は、精製パルプのより高い微粉応答として認められる。この結果において、応答がゼロベースであり、全コンシステンシー範囲にわたって線形であることは、注目に値する。これにより、1つの確認値のみを用いて1点校正を実施することが可能となる。
【0127】
図25には、総コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ微粉画分の応答の例を示す。x軸は、コンシステンシー[%]であり、y軸は、SUM DA FR1である。図25において、略語SUM DA FR1は、FR1のSUM CsDAを意味する。
【0128】
図26には、全コンシステンシーの関数としてのサンプルパルプ繊維画分FR2の応答の例を示す。X軸は、コンシステンシー[%]であり、Y軸は、DA FR2の合計である。図26において、略語SUM DA FR2は、FR2のSUM CsDAを意味する。横軸は、コンシステンシーであり、縦軸は、等価数量値を示す。数量値は、式7によるCsDA値の画分特有総和である。応答は、論理的パターンに従い、微粉のない化学パルプは、最も高い応答を示す。TMP応答は、化学パルプよりも低く、未選別のTMPが最も低い。
【0129】
図27には、全コンシステンシーの関数としての、サンプルパルプ微粉と繊維画分の全組み合わせ応答の例、ならびに繊維と微粉の応答の全組み合わせを含む、全パルプのコンシステンシー応答の例を示す。x軸は、コンシステンシー[%]であり、y軸は、任意のスケールでのDA FR1とFR2の合計である。図26において、略語SUM DA FR1+FR2は、FR1およびFR2のSUM CsDAを意味する。量値は、式7によるCsDA値の画分特有総和である。応答は、互いに極めて近く、依然、線形でゼロベースである。
【0130】
応答が較正されていないことを考慮すると、結果は有望である。測定に使用されるCsDA信号は、繊維と微粉の逆の応答差とバランスする。これは、通常、光学的測定における共通の問題である。
【0131】
基本測定として利用される脱偏光および減衰は、ゼロベースであってもよく、この特性は、計算されたCsDA信号に伝達されてもよい。画分測定方法は、サンプルを希釈し、応答は、広いコンシステンシー範囲にわたって少なくともほぼ線形に維持される。線形性およびゼロベースラインにより、一点校正が可能となり、単純な唯一の確認効果が可能となる。CsDA信号における微粉と繊維画分の応答間の相互類似性により、たとえ較正がされていなくても、測定誤差を最小限に抑えることが可能となる。
【0132】
以下、異なる繊維種の影響、および炭酸カルシウムが反応に及ぼす影響について検討する。
【0133】
繊維種および炭酸カルシウムの応答を調査する試験では、長繊維パルプ(LF)、短繊維パルプ(SF)、および粉砕炭酸カルシウム(GCC)を種々の比率で混合した。サンプル名は、LFとSFの前の数字により、パルプサンプルの相互比率で表される。略称GCCの前には、全微粉のフィラーの相対的なシェアを示す割合が示される。例えば、0LF 100SF 50GCCは、サンプル混合物中の繊維の100%が短繊維であり、炭酸カルシウムが微粉全体の50%を占めることを意味する。
【0134】
(指定例)
全サンプルの全コンシステンシーは、0.5%Csで一定であった。結果を分析する際、微粉限度は、繊維指標1に設定した。
【0135】
図28には、長繊維のみを含むパルプのフラクトグラムおよび分布の例を示す。パルプの大部分は、繊維画分である。繊維指標の最大値は、10に近く、重量は、6~9の範囲内である。パルプには、異なる繊維質の材料が含まれる。繊維画分のサイズ指標は、平均約0.95であり、すなわち、繊維は、例えば、比較的厚い壁、または厚い直径/幅である。パルプもかなりの量の微粉を含み、平均サイズ指標は、約0.7である。微粉のバーは、右上のグラフでは白であり、右下のグラフでは黒である。繊維のバーは、右上のグラフでは黒であり、右下のグラフでは、白である。ここで、0から0.06までの時間スケールは、実際には0から60秒である。同様のことが図29図34にも当てはまる。
【0136】
図29には、短繊維のみを含むパルプのフラクトグラムおよび分布の例を示す。パルプの繊維指標は、図28の例では、長繊維パルプよりも小さい値に向かって傾斜する。また、このパルプでは、繊維分画のサイズ指標も、わずかに小さい。短繊維パルプでは、長繊維パルプに比べて微粉画分に含まれる材料が有意に多く、最小サイズ指標は、0.45である。これは、このパルプでは長繊維パルプと比較して、最も小さな微粉のサイズがより小さいことを示す。微粉のバーは、右上のグラフでは白であり、右下のグラフでは黒である。繊維のバーは、右上のグラフでは黒であり、右下のグラフでは白である。
【0137】
図30には、90%の短繊維パルプおよび10%の炭酸カルシウムからなるパルプのフラクトグラムおよび分布の例を示す。右側のグラフでは微粉のバーは、白色であり、繊維は、黒色である。繊維指標に基づいて決定した微粉含有量は、わずかに増加し、そのサイズ指標は、わずかに高い値に向かって移動した。
【0138】
サイズ指数の上昇は、添加した炭酸カルシウムの粒子サイズが木質系の微粉と比べて大きいことによるものである。炭酸カルシウム画分と微粉画分は、流れの中で重なって到達し、このため、両方の成分は、測定中に同時に存在する。従って、測定では、両方の成分が平均的に表される。
【0139】
ここで、長繊維パルプに炭酸カルシウムを添加した際に生じることを検討する。
【0140】
図31には、長繊維パルプに異なる比率で炭酸カルシウムを添加した場合のサイズ指標分布の例を示す。X軸は、サイズ指標SIであり、Y軸は、共通スケールのSUM CsDAである。炭酸カルシウムを添加することにより、長繊維パルプ中の微粉画分のサイズ指標分布に変化が生じ得る。木質系の微粉は、左上の初期状況グラフの白いバーで表され、0~160の範囲の分布が形成される。右下の最終状況のグラフでは、GCC含有率が45%の場合、分布は、100~1500の範囲にシフトする。微粉のサイズ指標SIは、いわば、炭酸カルシウムの影響により、黒で描かれた繊維画分のサイズ分布の反対側に上昇するように見える。
【0141】
以下、ユーカリパルプとカオリンを添加したTMPについて検討する。
【0142】
試験では、60%のTMPと40%のユーカリパルプの混合パルプを調製した。この混合物に対して、カオリンを異なる比率で混合し、各混合物のコンシステンシーを0.3%Csに設定した。0.3%Csのコンシステンシーでカオリンを含有しないパルプ混合物のフラクトグラムおよび分布を図32の例に示す。図33の例には、50%のTMPユーカリパルプと50%のカオリンを含有するサンプルのフラクトグラムおよび分布を示す。
【0143】
フラクトグラムのグラフでは、3つの異なる画分が区別されている。図32の例に示す0~20秒の間のCsDA変数では、繊維は、主にTMPパルプ中の最大の繊維と最も加工されていない繊維である。時間20~30秒の間では、繊維は、ユーカリ繊維であり、TMPのより短い画分の繊維である。時間30~50秒の間では、材料はほとんどがTMP微粉である。
【0144】
図33の例に示されたCsDA変数は、他の点では、同じ画分に対応するが、微細画分の点では、カオリン粒子が木質系の微細加工物とともに存在する。
【0145】
測定値のサイズ指標は、図の右下にある3つの画分の別々のグラフとして表示されている。
【0146】
図32には、60%のTMPおよび40%のユーカリパルプを含むパルプ混合物の、0.3%Csの全コンシステンシーでのフラクトグラムおよび分布の例を示す。図32および図33のCsDAは、画分FR1、FR2、FR3のサイズ指標SIの関数として示されている。
【0147】
図33には、60%のTMPおよび40%のユーカリパルプの半分と、およびカオリンの半分とを、0.3%Csの全コンシステンシーで含有するパルプ混合物のフラクトグラムおよび分布の例を示す。
【0148】
次に、溶解リグニンの黒い液体について評価する。化学パルプ法では、カッパー数に加えて、黒い液体に溶解したリグニンの量を測定することが極めて重要である。
【0149】
黒い液体のリグニン含量を測定する試験では、黒い液体0%の原液サンプルに、黒い液体を2.4%添加した。
【0150】
図34Aおよび34Bの例には、減衰係数フラクトグラムに対する黒い液体の効果の例を示す。図34Aには、黒い液体を含まない元のサンプルを示し、図34Bには、2.4%の黒い液体を含むサンプルを示す。赤外域で動作するANirは、可視光域での青色波長のAVisのように、黒い液体の添加にはあまり強く反応しない。
【0151】
黒い液体を含まないサンプルの減衰曲線の微粉/黒い液体含有量のピークは、同じ時間で両方の波長に設定される。黒い液体を加えると、AVisピークは、等価なANirピークに比べてかなり遅い時間に移行する(ピーク間の破線を参照)。黒い液体を含まないサンプルに基づいて、粒子によって生じるAVis減衰が40秒の時間でピークとなり、約52秒の時間で粒子の量がゼロに減少することを評価することができる。黒い液体を多く含むサンプルは、約42秒の時間でピークに達する。グラフに示すように、これらの測定では、微粒子と溶解した流体は、かなり重なっている。
【0152】
粒子のサイズ、量、溶解材料の濃度、および量を別々に測定できるようにするため、一方では、粒子により生じる減衰変化、他方では、媒体吸収を相互に分離する必要がある。これは、粒子および溶解した元素を分別して分離することができる場合、最も良い方法である。従って、減衰測定、または粒子の存在を示す一部の他の測定変数と組み合わされた散乱測定により、関心流動点における減衰が、粒子の量または溶解材料の量を表すかどうかが決定されてもよい。
【0153】
この場合、溶解材料の特性は、分光法または物質の特性を表す他の好適な方法によって決定されてもよい。これらの特性は、種々の材料成分を同定するために使用されてもよい。
【0154】
分別後の微粒と溶解材料の画分が重複している場合、減衰に影響を及ぼす材料の含有量は、既知の微粉サイズ分布および異なる波長における減衰を利用して、分類されてもよい。
【0155】
減衰係数値は、相互に減算可能であるが、黒い液体サンプルと元のサンプルとの間の差は、黒い液体によって生じる減衰を顕著に表すと考えられる。
【0156】
現在使用されているAnir波長の代わりに、より長いNIR波長を使用することにより、限られた方法で反応し、またはリグニンに全く反応せず、例えば粒子にのみ反応する波長を検出することができる。従って、長波長の減衰信号は、固体を示す測定として機能し、短波長の減衰は、固体および溶解材料の両方に反応する。そのような場合、ANir信号に関連するAVis信号に対する微粉の効果が既知である場合、ANir信号によって、微粒子に由来するAVis信号のシェアを計算することが可能となる。次に、残りのAVis信号は、黒い液体または流体に溶解した他の何らかの材料により生じる吸収と解されてもよい。この場合、純粋な微粉画分の応答を把握することは有益であり、分別は、流れに対して安定である必要がある。微粉画分のサイズ分布は、しばしば、化学パルププロセスでは非極めて一定であり、そのような計算法を利用することができる。
【0157】
また、微粉の存在を示す散乱測定のような、他の測定を用いて、微粉画分を特定することも可能である。測定において散乱が検出されない場合、測定時の減衰は、溶解材料によって生じた吸収により、顕著に形成されると解されてもよい。
【0158】
ケミカルパルププロセス測定のメリットは、次のようにまとめられる:
-分別により、カッパー数測定のため、分別管10においてサンプルを洗浄することができる。これは、測定における別個の洗浄ユニットに置換することができ、水サスペンション中の純粋な繊維は、カッパー数測定のために得られてもよい。
-溶液のリグニン含有量測定が可能となる。
-また、効果的な分別により、別々の微粉カッパー数の測定も可能になる。
【0159】
脱インク工程での測定に関連した試験には、浮選プロセスの4つの異なる点から採取されたサンプルが含まれる。全サンプル点から3~4つの並行サンプルがあった。測定では、変化は、主に微粉画分で生じた。
-一次浮選受付位置からの4つの並行サンプル
-一次浮選供給位置からの3個の並列サンプル
-二次浮選受付位置からの3個の並列サンプル
-最終パルプの3つの並列サンプル
微粉画分FR1のサイズ指標の変化は、繊維のものよりも安定であるように見える。微粉粒子のサイズは、二次浮選を受け入れるまでは減少し、最終パルプでは増加する。微粉画分のサイズ指標の平均重心値の変化は、微粉画分からの小粒子の除去、または精製とともに繊維画分から微粉画分に移される材料によるものである。最終パルプの高い微粉含有量は、パルプから最小の粒子が除去される漂白前のふるい分けにより生じている可能性がある。
【0160】
図35には、繊維指標の関数としての微粉画分のサイズ指標の変化の例を示す。y軸は、サイズ指標SIの平均であり、x軸は、繊維インデックスFIである。サイズ指標の重心と、プロセスの各種フェーズの微粉画分FR1の繊維指標の平均を、互いに関連付けて示した。浮選が進むにつれて、微粉の粒径は減少し、繊維性は増加した。繊維性の増加は、より小さなセルロース含有粒子よりも大きな非繊維インクおよび汚れた粒子を除去する浮選によって生じ得る。最終パルプの繊維性およびサイズ指標の増加は、おそらく最も微細な微粉がパルプから除去される漂白前の篩い分けによるものである。
【0161】
以下、精製効果について検討する。本試験では、粒子特性に及ぼす精錬強度の影響を検討した。図36には、異なる精製強度における繊維指標の一例を示す。y軸は、任意のスケールのSUM CsDAを表し、x軸は、繊維指標FIを表す。3種類の異なる精錬強度で精製されたパルプと、未精製パルプの繊維指標分布が示されている。繊維指標分布は、精錬強度の変化に反応する。
【0162】
図37には、異なる精製強度におけるサイズ指標分布の例を示す。y軸は、任意のスケールのSUM CsDAを表し、x軸は、サイズ指標SIを表す。3種類の異なる精錬強度で精製されたパルプと、未精製パルプのサイズ指標分布が示されている。粒子のサイズ指標は、予測通り変化する。すなわち、精製に使用される電力が多くなればなるほど、粒子は、より断片化される。
【0163】
図38には、サイズ指標SIおよび繊維指標FIに対する精製強度SREの効果の例を示す。SREは、固有精製エネルギー(Specific Refining Energy)を表す。SREの増加に伴い、サイズ指標と繊維指標は、いずれも減少した。
【0164】
また、分別により、繊維性(細動)、微粉蓄積、およびおそらく微粉の品質、および繊維壁幅に基づいた、繊維精製のモニタリングが可能になる。
【0165】
ここでは、一実施形態として、ナノマテリアルの測定について検討する。ミクロ、およびナノサイズの粒子を測定する必要性が高まっている。ナノサイズの粒子は、通常の光学顕微鏡では観察できないため、粒子の解析は、通常、時間のかかる電子顕微鏡により実施される。
【0166】
以下に示す測定は、直径約5mmの分別管10を有するマイクロ分別器により実施される。
【0167】
図39には、十分に混合された溶解性パルプサンプルのフラクトグラムおよび分布の例を示す。図の左上において、x軸は、流速であり、右側のy軸は、繊維指標FIである。左下の図では、x軸は、流速であり、y軸は、左であり、右側がサイズ指標SIである。右上の図では、X軸は、繊維指標FIであり、y軸は、CsDAの合計である。右上の図では、他の画分FR3とFR2が存在しないため、またはわずかにしか存在しないため、バーは、画分FR1を表す。右下の図では、繊維が存在せず、またはごくわずかにしか存在しないため、バーは、微粉を表す。
【0168】
フラクトグラムおよび分布において、純粋なナノマテリアルを含む溶存パルプサンプルは、測定前に十分に混合される。繊維指標は、0.1~0.2の範囲で認められ、すなわち極めて低い。また、サイズ指標分布の値も、0.2~0.35と極めて低い。最大のピークは、0.25未満の値である。これは、粒子サイズが極めて小さいことを示している。
【0169】
図40の例では、同じサンプルがほとんど混合されていない例が示されている。左上の図では、x軸は、流速であり、y軸は、右側が繊維指標FIである。左下の図では、x軸は、流速であり、y軸は、右側がサイズ指標SIである。右上の図では、他の画分FR3とFR2が存在せず、またはわずかにしか存在しないため、バーは、画分FR1を表す。右下の図では、繊維が存在せず、またはごくわずかにしか存在しないため、微粉を示している。
【0170】
ここで、粒子は、互いに完全に分離しておらず、凝集体は、サイズ指標分布において、明確に検出可能である。分布は、点0.25でピークに達するが、分布は、サイズ指標の値が1まで続く。この範囲に現れる粒子または凝集体は、おそらくミクロンサイズの範囲である。
【0171】
図41の例には、ナノ結晶サンプルのフラクトグラムおよび分布の例を示す。
【0172】
左上の図では、x軸は、時間(秒)であり、y軸が左、右側が繊維指標FIである。左下の図では、x軸は、流速であり、y軸が左、右側がサイズ指標SIである。図40のように、右上の図のバーは、他の画分FR3およびFR2が存在せず、またはわずかにしか存在しないため、画分FR1を示す。右下の図では、繊維が存在せず、またはごくわずかにしか存在しないため、バーは、微粉を示す。
【0173】
結晶の幅は、ナノメートルの範囲であり、その長さは、数百ナノメートルである。このサンプルのサイズ分布は、0.2未満の範囲である。ここで、測定に主に影響を及ぼす寸法は、おそらくナノ結晶長さである。測定波長が十分に短い場合、結晶幅データも得られるが、そのためには極めて短い波長が必要となる。
【0174】
ここで、繊維指標値を増加させる偏光の強い効果は、特に興味深い。これにより、ナノ結晶の結晶性を測定することが可能となり、そのため、大きなニーズがある。
【0175】
ナノマテリアルについては、サイズ指標は、一次測定として用いられてもよく、これに関連して、偏光により、または例えば蛍光測定によるサンプル中の蛍光成分の存在により、結晶化度のような他の特性が評価される。当然、サンプルの特性を記述する他の測定も、一次測定または二次測定として使用され得る。
【0176】
以下、提示した測定の他の産業への応用を検討する。そのような用途は、本願の測定の実施形態とみなすことができる。パルプおよび紙の製造に加えて、例えば、鉱業、鉱物産業、リサイクル産業、食品産業、製薬業、環境技術産業のような機械プロセス産業における他のプロセスにおいても、粒子サイズ分布および粒子濃度を示す測定が必要とされる。本願で示した管流分別および関連の計算法は、これらの業界に適用可能である。サイズ分布に加えて、本願に記載の方法を用いて、他の特性分布の測定も可能である。
【0177】
粒子または流体の特性を考慮した計算方法は、技術的構造を単純化し、測定結果をよりロバストにできる。これにより、極めて多様なサンプルを測定する管流分別の適用が可能となる。
【0178】
原理的に、粒子を含む任意のサンプルを分別することができる。サンプルは、サスペンションまたは分散液である必要はなく、分別流体に各種粉末を投与することが可能である。投与体積または質量が標準化されている場合、含有量または濃度の測定に使用してもよい。ただし、これらは、多くの実際の条件を考慮する必要がある。
【0179】
流体媒体に加えて、管流分別は、乾燥サンプルを測定するため、空気流または他の種類のガス流を用いて実施されてもよい。また、本願に記載の計算法は、ガス流に基づく分別にも適用できる。
【0180】
示された測定は、環境観測に適用することができる。環境測定の大部分は、水系である。例えば、天然水の腐植土含有量の測定には、重大な課題が課される。腐植土は、異なるサイズの凝集体として生じることがあり、特に、サンプル全体を測定する際の従来の光学オンライン法に対して問題を提起する。分別と品質分類を利用した測定は、腐植土凝集体のサイズ分布を介した測定のための新しい範囲を創出する。サイズ指標に基づく分類に加えて、本測定方法は、例えば、芳香族成分を測定するための蛍光測定を含むことができる。
【0181】
水中に溶解した物質を測定するには、しばしば、粒子を含まないサンプルが必要となり、これは、オンライン測定では特に難しい。分別により、粒子を含まないサンプルが形成され、これにより、希釈された物質の含有量を測定することができる。
【0182】
天然水と廃水の状態は、例えば、各種動物プランクトンと植物プランクトンの解析によってモニターされる。プランクトンを含むそのようなサンプルは、サイズ指標と参照測定により、水の状態を表す異なるクラスに分類することができる。参照測定は、例えば、蛍光測定を含むことができる。一部のプランクトン生物は、小さすぎて光学顕微鏡では検出できない。しかしながら、これは、それ自身の画分における光減衰に基づくサイズ指標測定により、可能となる。
【0183】
分別に基づく測定は、工業排水と都市排水の両方の測定に必要である。分別前処理は、凝集プロセスにおける粒子サイズの解析に用いることができ、凝集剤の投与は、これらの粒子サイズデータに基づいて調節されてもよい。一方、極めて小さな粒子を考慮した場合、サイズ指標分布において遊離ポリマーによって生成される信号により、ポリマーの過剰投与が示唆される。
【0184】
酸素要求量の測定は、栄養素負荷分析の重要な側面である。これらの測定では、フィールド条件では得ることが難しい、粒子を含まないサンプルが必要となる。分別により、粒子フリーのフラクトグラムの少なくとも一部が形成され、これにより、フラクトグラムの粒子フリーな溶解材料の割合が測定可能となる。
【0185】
分別測定は、異なる水または沈殿物のマイクロプラスチック負荷の現在の主要な世界的問題に取り組む際にも使用され得る。多くのサイズクラスの粒子は、マイクロプラスチックと考えられる。測定上最も大きな問題となるのは、最小の粒子であり、その中にはマイクロメートル未満のサイズのものもあり、光学顕微鏡では観察できない。これらの粒子を分別により分離し、例えば、サイズ指標に基づく測定を適用することにより、マイクロプラスチックを含むサンプルのサイズ分布データの作成が可能となる。また、例えば蛍光測定により、微小プラスチック画分を同定することも可能である。
【0186】
また本願に記載の示唆を利用して、鉱物が測定されてもよい。管流分別に基づく粒子サイズ分布測定は、想定される二次測定とともに、鉱物の粉砕、分類、濃縮、および顆粒化に利用されてもよい。特に、小さな粒子を含むサスペンションを検査することができ、付加的な価値が提供される。粒子サイズ分布データは、プロセスの制御、および部分プロセスの成功または回復の評価を容易にする。
【0187】
例えば、フィラーとして使用される沈殿炭酸カルシウム(PCC)の製造プロセスは、粒子サイズ分布データを用いて強化され得る。
【0188】
また、食品産業では、これらの種類の測定から利益を得ることができる。すなわち、多くの粒子サイズ分布測定の必要性は、食品産業における分別調製によって合致される。
【0189】
乳化工程では、例えば、分別測定により、脂肪分解のモニタリングが実施されてもよい。他の測定可能な特性データには、カゼインミセルの量およびサイズ分布が含まれる。牛乳をチーズに加工することも、粒子サイズ分布データが利用可能なプロセスである。サイズ分布に加えて、溶存材料は、紙パルプ産業における測定と同様の方法で測定可能である。また、特性および量を表す分別ベースの測定は、食品産業の他のいくつかの分野にも適用することができる。例えば、糖類を測定するための屈折率測定は、それ自体が、または他の測定と組み合わされた潜在的な応用である。
【0190】
さらに、石油産業における測定は、本願に記載された方法で実施されてもよい。石油産業プロセスでは、画分測定法が適用できる多くの用途がある。分別は、異なる画分を分離するために利用され、その特性および量が、大部分について測定されてもよい。油中の粒子の示唆およびサイズ分布解析は、画分測定により可能となる。
【0191】
同様に、この方法は、熱分解プロセスの測定および制御、ならびに製薬および健康産業における興味深い。製薬業界では、特にナノマテリアルの検出および分析のため、サイズ分布測定に対してかなりのニーズがある。
【0192】
ヒトおよび動物の各種血液、尿などのサンプルを測定する場合、特にミクロスケールで分別を適用することができる。
【0193】
分別は、塗料または印刷カラー顔料のサイズ分布およびカラー測定、ならびに塗料および印刷産業における他の多くの分析に、適用されてもよい。
【0194】
この方法の利点は、サンプルの粒子サイズ分布の迅速な概観が小さなサンプルサイズで得られることであり、これにより生産プロセスをリアルタイムでモニターすることができる。
【0195】
以下、将来の可能性について検討する。本願に記載の測定は、主に、光減衰および脱偏光を利用して実施される。
【0196】
繊維測定において、極性レベル反転に基づく繊維指標は、使用可能な基本信号であり、スペクトル減衰に基づくサイズ指標の計算により支持される。これらに加えて、光の散乱強度に基づく測定では、検出技術の検出において、他の実行可能な可能性が提供される。
【0197】
散乱強度により、測定中に生じる減衰の変化が、粒子の変化による散乱変化によるものか、溶存材料による吸収によるものかを示すことができる。一方、散乱強度のスペクトル的に実施される測定では、粒子の表面または内部構造における吸収変化の測定が可能となる。パルプおよび紙のサンプルでは、粒子表面の吸収の変化は、例えば、パルプ消化における繊維の輝度または修正カッパー数を表す。散乱強度の測定は、拡散反射または直接散乱強度の測定に基づいてもよい。
【0198】
潜在的な光学測定技術は、光の蛍光に基づく測定であってもよい。蛍光効果は、例えば、減衰および散乱を支持するリグニン量を測定する際、またはそれ自体の測定の際に利用され得る。蛍光の別の想定される応用は、蛍光光沢剤の示唆および量の測定である。また、特にマイクロプラスチック分析の分野では、異なるグレードのプラスチックを同定し測定する際に、蛍光を利用することも可能である。
【0199】
フローキュベットを使用することにより、他の多くの測定技術を適用することができる。光学的測定は、例えば、光干渉に基づく回折方法、ラマン効果に基づく方法、および走査方法を含んでもよい。マイクロ波および音波の減衰、散乱、回折、遅延に基づく方法も可能である。
【0200】
また、他の想定される検出技術には、レーザー回折および電荷測定も含まれる。
【0201】
ある実施形態では、(現在の)光学測定の感度は、可能な限り広い面積を測定する測定光学系を利用することにより、改善され得る。これにより、流れによって生じる測定ノイズが低減される。測定時に遅い流れを使用できる場合、難しいサンプルにおいても、極めて安定した測定が得られる。さらに、異なる信号で、可能な限り同時に測定を行うことにより、ノイズが大幅に減少する。
【0202】
分別における課題は、同じ寸法のフィラーと木質系微粉における同様の分別であり、従って、測定時にそれらが同時に到達することである。これらの粒子は、同時測定の下でも互いに異なっているが、相互に容易に識別することは難しく、これにより、得られた測定結果は、これらの粒子クラスの平均特性および量を表す。
【0203】
製紙産業では、フィラーのコンシステンシーと木質系微粉のコンシステンシーを別々に測定することに対して、特に強いニーズがある。また、同様のニーズは、他の産業にも存在し得る。
【0204】
ある実施形態では、この問題を解決するため、粒子の特定の重量における差を利用することができる。例えば、分別管10の開始区画は、垂直上方に設置され、これにより、流れ内のより軽い微粒子は、重いフィラー粒子よりも、流れ方向においてより速く移動する。必要に応じて、管スパイラルにより、下向きに戻ることが実施され、これにより、流れに平行な力ベクトルと重力ベクトルとの間の相互関係が、分別管10の端部の重い粒子を制御し、従って、最も遅い流れとなる。従って、重いフィラー粒子は、微粉画分から別々に到着し、従って、それらは、別個の画分として測定され得る。
【0205】
一実施形態において別の想定されるアプローチは、分別管コイルを水平方向に設置し、流れが重力の方向に対して垂直に生じるようにすることである。従って、重力により、重い粒子は、管壁に向かって引き寄せられ、従って、流れが遅くなる。
【0206】
ある実施形態では、分別を加速し、より良好な分離を達成するため、水よりも粘性の高い媒体、例えばエタノールが使用されてもよい。これは、より粘性の高い媒体が、サンプルが移動する分別管10の一部にのみ存在し、分別管10の残りの部分には、水が充填されるように実施されてもよい。この場合、水は、エタノールとサンプルを前方に押し出す。従って、実際の分分別は、エタノール環境で生じる。
【0207】
一実施形態では、屈折率調整を用いて、粒子の屈折率を判別することができる。粒子は、ある屈折率の流体に浸漬され、散乱と互換性のある測定により測定される。流体の屈折率が粒子の屈折率に近いサンプルでは、最も低い散乱が生じる。これは、低い散乱強度または低い減衰値として視認できる。散乱を最小にする流体の屈折率は、粒子の屈折率に等しい。
【0208】
異なる屈折率を有する粒子を含むサンプルでは、測定を混乱させるため、浸漬法は機能しない。
【0209】
分別は、流れの中の異なる時間に従って、異なる屈折率を有する粒子を分離する際に利用されてもよい。特定の粒子と同等の屈折率を有する流体中で分別を行う場合、これらの粒子は、散乱に関する測定において不可視とすることができる。そのような場合、測定に影響を与える唯一のものは、流体とは異なる吸収である。例えば、木質系微粉の屈折率に対応するように、分別流体の屈折率を調整することにより、微粉の同時効果を含まずに、これらの微粉と同時に到達するフィラー粒子を可視化することができる。
【0210】
浸漬方法では、水を変更することにより、または流体に屈折率を調整する成分を加えることにより、依然、サンプル中の水または他の流体の屈折率を調整することが必要となる。浸漬法は、湿式サンプルよりも、元来乾燥サンプルに適している。
【0211】
多くの理由により、サンプル中の粒子は、しばしば、互いに付着して凝集する。多くのプロセス、例えば製紙機械の保持調整、浮選または廃水凝集による再生パルプの脱インクにおいて、これらの凝集物またはフロックは、各種化学物質により促進され得る。ある状況では、粒子は自然に凝集を生じる。
【0212】
これらの凝集を生じさせる結合の強度は、しばしば、プロセス管理またはフォローアップに関して重要なデータとなる。
【0213】
管流分別では、水の乱流が粒子の凝集を分散させる。結合が強ければ強いほど、乱流を断ち切るのに必要な力も強くなる。この効果は、例えば、異なる流動条件下で所与のサンプルの別個の分別を行うことにより、利用されてもよい。一実施形態では、流動条件は、分別管10内の流速、流体温度、または流体粘度を変化させることにより、調整されてもよい。また、結合を壊す乱流は、例えば、異なる形状の管、レジューサ、フローエルボー、または分別管10の内部の変化を利用することにより、調整されてもよい。また、分別管10の内面の材料選択は、管壁の摩擦係数に影響を及ぼし、これもまた、乱流およびそれを介した分別に影響を及ぼす。
【0214】
図42には、異なる画分速度での精製化学パルプの繊維指標およびサイズ指標の例を示す。これは、化学パルプの試験結果である。y軸は、SUM CsDAであり、x軸は、繊維指標(左)またはサイズ指標(右)である。サンプルは、マイクロサイズおよびナノサイズの材料を含む。サンプルは、ポンプの3種類の異なる回転速度、および同じ3種類の流速により分別した。その結果、特に微粉画分において、粒子サイズの顕著な変化が生じる生じることがわかった。低速の流速6ml/sでは、微粉は、サイズ指標ピーク値が0.42のサイズグレード内にある。同様に、繊維指標は、値1で有意なピークを有し、それ未満では、有意な信号は存在しない。流れを加速すると、微粉分布は、より浅くなり、0.35の極めて低いサイズ指標値に達する。これは、極めて小さな粒子サイズを意味する。このことから、微粒子は、互いに凝集する傾向があり、この凝集感度、および部分的結合強度は、異なる流速の同じパルプの平行サンプルを分別することにより測定できることが推測できる。別の検出可能な変化は、小さな粒子に向かう、繊維画分のサイズ指標および繊維指標の分布におけるわずかな移動である。これはおそらく、繊維表面に小さな粒子が付着し、低流速ではこれが繊維内に残留するためである。しかしながら、流速が増加すると、微粉は繊維から脱離する。凝集は、サイズ指標分布および繊維分布の両方に同様の効果を有すると思われる。
【0215】
これらの効果は、新しい計算方法でにより形成された分布図において際立ってもよい。流れに基づく従来の画分分布では、これらを区別することは難しい。
【0216】
図42には、異なる分画速度での精製化学パルプの繊維指標およびサイズ指標の一例を示す。x軸は、繊維指標であり、y軸はSUM CsDAである。
【0217】
図43に示されている実施形態では、分別測定の統計的有意性は、いくつかのサンプルを連続的に分別管10に供給することにより改善される一方、サンプルが隣接するサンプルと混合されずに分別される上で、十分なスペースが確保される。これらのサンプルの分布の統計学的有意性は、それらを合計し、またはそれらの平均値をとることにより、改善されてもよい。図43の上部の黒い領域には、分別中の分別管10内の複数のサンプルの配置を示す。サンプルの粒子サイズ分布は、分別管10内の流れにより生じる。
【0218】
測定時に一定の流速を得るため、測定信号に基づいて、サンプルの供給が同期されてもよい。測定サンプル間の水を同定する測定の度、分別管10の開始端に新しいサンプルが供給されてもよい。流れは、常時各新たなサンプルの点で停止されるが、測定を妨げることはない。流速を安定させるため、測定中、同じ流速を普及させることが有利である。
【0219】
図44には、到着順序に基づいて、フロックと短繊維が分離される例を示す。図44の例では、サンプルは、繊維指標に基づいて、3つの画分に分割される。画分の範囲は、FR1=0~2、FR2=2~6.5、およびFR3=6.5~10である。材料は、流れに関して異なる瞬間に媒体画分FR2に蓄積する。図44において、これらの時間は、破線の長方形44により定められる。最初、17リットル未満の範囲では、材料は、大きなサイズの繊維束から構成される。次に、16.8~17.6リットルの範囲では、画分FR3に分類される純粋な繊維が到達する。17.6~18.5リットルの範囲の後、到達材料は、より小さい繊維で構成され、その中には非繊維状材料も存在し得る。相互に異なるこれらの2つの材料により生成され、破線の長方形44により定めされる蓄積は、それらが特性の点で極めて異なるにもかかわらず、同じ繊維指標範囲の分布に現れる。必要な場合、これらの材料は、画分の到達順序を考慮することにより、それら自身の画分に分離されてもよい。到達順序を考慮した場合、リットル量情報は必要とされなくなる。ただし、流速が安定化され、流量が把握されている機器を用いて測定が実施される場合、これは、別個の画分に利用されてもよい。
【0220】
プロセス制御機器は、図46および図47におけるデータ処理ユニット24と同じであってもよく、またはプロセスの別個の制御装置を用いて、流動サスペンションを用いて測定されるプロセスを制御してもよく、プロセス制御機器は、管分別器(図49参照)を流れるサスペンションを測定する測定機器から、プロセス情報を受信する。測定機器は、流動サスペンションに波動運動を誘導する放射線源を備え、流動サスペンションの流れにより、サイズに基づいて、流動サスペンションの粒子が仕分けられる。測定機器は、波動の第1の波長バンドで流動サスペンションと相互作用する波動の第1のパラメータの第1の値を測定する。測定配置は、以下の少なくとも1つの第2の値を測定する:流動サスペンションと相互作用する波動の第2のパラメータ、および波動の第2の波長バンドで流動サスペンションと相互作用する波動の第1のパラメータ。第1の値および第2の値の測定は、互いに同期される。測定配置は、少なくとも1つの比較を形成し、各比較は、第1の値の1つおよび第2の値の1つに関連する。測定配置は分布を形成し、これは、プロセス情報として、比較の1つの関数としての第1の値の一つを有する。次に、プロセス制御機器は、プロセス情報に基づいてプロセスを制御する。
【0221】
図45に示される流動サスペンションを測定する方法では、ステップ10において、波動は、流動サスペンションに誘導され、流動サスペンションの流れにより、サイズに基づいて、流動サスペンションの粒子が仕分けられる。ステップ12では、波動の第1の波長バンドで、流動サスペンションと相互作用する波動の第1のパラメータの第1の値が測定される。ステップ14では、以下の少なくとも1つの第2の値が測定される:流動サスペンションと相互作用する波動の第2のパラメータ、および波動の第2の波長バンドで流動サスペンションと相互作用する、波動の第1のパラメータ。第1の値および第2の値の測定は、互いに同期される。ステップ16では、少なくとも1つの比較が形成され、各比較は、第1の値の1つおよび第2の値の1つに関する。ステップ18では、比較の1つの関数として、第1の値の少なくとも1つを有する分布が形成され、コンシステンシーに関する減衰の表現が置換され、流れおよび/または時間に対する依存性が回避される。
【0222】
一実施形態では、流動サスペンションのコンシステンシーに依存する第1のパラメータの第1の値が測定されてもよい。流動サスペンションの粒子の物理的特性に依存する少なくとも1つの比較が形成されてもよい。
【0223】
一実施形態では、流動するサスペンションが流れる管流分別器が使用されてもよい。
【0224】
一実施形態では、電磁放射線は、流動サスペンションに誘導され、偏光された少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光である、複数のビームを含んでもよい。流動サスペンションと相互作用する電磁放射線の減衰が測定されてもよい。サスペンションと相互作用する電磁放射線の偏光のパラメータが測定され、減衰の測定および偏光のパラメータが同期されてもよい。偏光のパラメータと減衰のパラメータの比較が形成され、パラメータの各々と比較の減衰の各々とは、同期に基づいて互いに対応してもよい。減衰は、比較に対して分布されてもよい。
【0225】
一実施形態では、流動サスペンションの同じ区画と相互作用する異なる波長の減衰を相互に比較することにより、サイズ指標が形成されてもよい。
【0226】
一実施形態では、偏光のパラメータの各々は、偏光の度合いまたは脱偏光の度合いを測定することにより、測定されてもよい。
【0227】
一実施形態では、光放射線は、流動サスペンションに誘導され、光放射線は、偏光された光放射線の少なくとも1つのビーム、または少なくとも1つが偏光され、少なくとも1つの別個のビームが非偏光された複数のビームを含んでもよい。
【0228】
一実施形態では、サイズ指標の合計は、互いに対応する減衰および偏光パラメータのユークリッド距離により補正されてもよい。
【0229】
一実施形態では、比較は、同じ波長で測定された偏光のパラメータと減衰のパラメータとの間で形成されてもよい。分配計算を形成するため、偏光のパラメータの少なくとも2つの値範囲の少なくとも1つに対して、減衰の合計が計算されてもよく、減衰は、偏光のパラメータと同期して測定され、偏光のパラメータは、少なくとも2つの値範囲の1つ内にあり、値範囲は、重複していない。合計の各々および値範囲の各々は、互いに1つずつ関連付けられ、値範囲の各々は、前記合計を計算するために使用され、値範囲の関数として、第1の値の合計の分布が形成される。
【0230】
一実施形態では、偏光と減衰のパラメータのユークリッド距離が形成されてもよく、各々が前記合計に対応する、減衰の合計の各々およびユークリッド距離の各々を、互いに関連付けることにより、関連付けが実施され、各々により、ユークリッド距離の関数として、減衰の合計の分布が形成される。
【0231】
一実施形態では、1つ以上の画分のコンシステンシーを形成することは、画分内の値範囲の1つ以上にわたって合計を積分することにより、形成されてもよい。
【0232】
一実施形態では、微粉画分のサイズ指標の平均重心値は、微粉画分の灰分量を定めるために形成されてもよい。
【0233】
図46には、流動サスペンションを測定する機器の例を示す。機器は、放射線源20を有し、これは、波動を分別管10内の流動サスペンション、または分別管による画分の準備が整った後の管内の流動サスペンションに誘導する。波動は、例えば、電磁放射線または音響放射線であってもよい。流動サスペンションの流動により、流動サスペンションの粒子は、それらのサイズに基づいて仕分けられる。
【0234】
図46には、波動が流動サスペンションを通ることを示す。伝達方向または波動の方向から逸脱する方向に、波動を受容することもできる。
【0235】
測定機器26は、検出器22を有する。検出器22は、例えば、半導体検出器であってもよい。一実施形態では、波動が光放射線である場合、検出器22は、例えば、少なくとも1つの光センサまたは分光器を含んでもよい。。一実施形態では、波動が音響放射線である場合、検出器22は、例えば、少なくとも1つの音響トランスデューサを含んでもよい。検出器22は、例えば、波動の第1の波長バンドにおける波動の第1のパラメータの第1の値と、波動の第1の波長バンドにおける波動サスペンションと相互作用する波動の第2の値とを測定してもよい。この場合、パラメータは、波動の減衰の問題であるため、両方の値に共通であるが、値は、異なる波長に基づく。あるいは、第2の値は、第1のパラメータとは異なる、流動サスペンションと相互作用する波動の第2のパラメータであってもよい。パラメータは、例えば、減衰および偏光に関連してもよい。第1の値および第2の値の測定は、同期された方法で実施され、または測定結果は、測定配置26のデータ処理ユニット24において同期される。同期とは、相互に比較される値が同じサンプルから同じ瞬間に測定されることを意味する。比較値の測定が異なる時間で行われる場合、同期とは、同じサンプルが第1の瞬間で測定され、サンプルが距離を移動した後、サンプルが第2の瞬間で測定されることを意味する。ここで、同じ瞬間との表現は、比較値の測定が異なる時間に実施されるものの、測定間の時間差が極めて小さいため、測定されたサンプルが許容範囲内で同じであることを意味する。すなわち、サンプルは、ほとんど移動せず、測定値への移動の影響がノイズ以下であり、または所望の測定許容度以下であることを意味する。あるいは、検出器22は、サンプルに対して、比較値の測定の間の距離だけ移動してもよい。
【0236】
波長ベースの減衰測定では、検出器22は、フィルタ34を有し、好適な波長バンドが検出器22に通されてもよい。一例が図48に示されている実施形態では、検出器22は、各々の測定波長バンドの検出器素子36を有する。一実施形態では、検出器22は、1つの検出器素子と、第1および第2の値を測定するため、検出器素子の前に一時的に配置されたフィルタとを有する。すなわち、フィルタは、検出器要素から、またはこれに向かって移動してもよい。
【0237】
一実施形態では、放射線源20は、2つの異なる波長バンドを同時に、または時間的に連続して、送信してもよい。次に、検出器22は、前述のフィルタを用いずに、使用されてもよい。放射線源20は、1または2以上の波長における波動を出力する、1または2以上の放射線源ユニット38を有してもよい。
【0238】
当業者は、それ自体、波長バンドの減衰の測定に精通している。これが、図48がいくつかの可能性の概観である理由である。
【0239】
偏光測定では、検出器22は、検出器22の前に1つ以上の偏光フィルタを有してもよい。この例では、図48のフィルタ34は、偏光フィルタとみなすことができる。偏光の旋回または偏光の度合いは、検出器22の1つ以上の検出器素子36を用いて測定されてもよい。測定の瞬間にサスペンションが流れてもよく、あるいはサスペンションは、静止し、または非流動状態であってもよい。
【0240】
少なくとも1つのセンサ28は、例えば、コンシステンシー、温度および/または流れ(速度/速度)を測定してもよい。センサ28は、半導体センサであってもよい。当業者は、それ自体、各種センサ28に精通している。また、時間を測定する時計が存在してもよい。
【0241】
次に、データ処理ユニット24は、少なくとも1つの比較を形成し、各比較は、第1の値の1つ、および第2の値の1つに関連するように構成される。この比較は、式(2)~(6)に基づく。
【0242】
比較される第1および第2の値の測定は、同じ瞬間または連続する時間で実施されてもよい。異なる波長は、2つ以上の検出器素子を用いて同時に検出されてもよく、または共通の検出器素子が、異なるフィルタを通して連続的に異なる波長を受信してもよい。フィルタの各々は、連続的な時間で、入射波動をフィルタリングするように構成される。すなわち、フィルタは、時間の関数として、検出器22の前で1つずつ変化してもよい。ただし、放射線源20が時間の関数として異なる波長を出力する場合、フィルタは必要ではない。
【0243】
最後に、データ処理ユニット24は、図13図16および明細書に示すように、比較の1つの関数として、第1の値の少なくとも1つを有する分布を形成するように構成される。
【0244】
図47には、データ処理ユニット24の一例を示す。これは、1つ以上のプロセッサ30と、好適なコンピュータプログラムコードを含む1つ以上のメモリ32とを有してもよい。1または2以上のメモリ32およびコンピュータプログラムコードと、1または2以上のプロセッサ30とにより、データ処理ユニット24は、本願に記載の測定ステップを実施する。
【0245】
図49には、制御配置の例を示す。プロセス制御機器42は、データ処理ユニット24または別個の制御器であってもよく、該制御器は、データ処理ユニット24のように、1または2以上のプロセッサおよび好適なコンピュータプログラムコードを含む1または2以上のメモリを含有してもよい。プロセス制御機器42は、比較の1つの関数として、第1の値の少なくとも1つを有する分布に基づいて、プロセス40を制御する。プロセス40の例は、パルプおよび製紙の製造、ならびに機械プロセス産業における他のプロセス、例えば、鉱山および鉱物産業、リサイクル産業、食品産業、製薬産業、および、例えば、前述したような環境技術産業においても認められる。
【0246】
提示された測定方法の実施形態は、論理回路ソリューションまたはコンピュータプログラムとして、実施されてもよい。これに対応して、プロセス制御は、プロセスの制御の測定情報を利用し、論理回路ソリューションまたはコンピュータプログラムとして、実施してもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラム分配手段上に配置され、分配されてもよい。コンピュータプログラム分配手段は、データ処理装置により読み取り可能であり、コンピュータプログラムコマンドをエンコードし、測定を実施し、必要な場合、測定に基づいてプロセスを制御する。
【0247】
コンピュータプログラムは、配布媒体を用いて配布され、これは、制御器により読み取り可能な任意の媒体であってもよい。媒体は、プログラム記憶媒体、メモリ、ソフトウェア頒布パッケージ、または圧縮ソフトウェアパッケージであってもよい。ある場合には、分配は、近接場通信信号、近距離信号、および電気通信信号の少なくとも1つを用いて行われてもよい。
【0248】
技術の進歩に伴い、本発明の概念が様々な方法で実施できることは、当業者には明らかである。本発明およびその実施形態は、前述の例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で変化してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
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図23
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図34A
図34B
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図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
【国際調査報告】