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特表2023-510007アークを検出するための方法及び回路構成、並びに、対応の回路構成を有する太陽光発電(PV)インバータ
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  • 特表-アークを検出するための方法及び回路構成、並びに、対応の回路構成を有する太陽光発電(PV)インバータ 図1
  • 特表-アークを検出するための方法及び回路構成、並びに、対応の回路構成を有する太陽光発電(PV)インバータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】アークを検出するための方法及び回路構成、並びに、対応の回路構成を有する太陽光発電(PV)インバータ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20230303BHJP
【FI】
G01R31/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542930
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2021050877
(87)【国際公開番号】W WO2021144462
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】102020100838.4
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】クラトシヴィル,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】オットー,トルスティン
(72)【発明者】
【氏名】パーペ,シビレ
【テーマコード(参考)】
2G015
【Fターム(参考)】
2G015AA27
2G015BA04
2G015CA01
(57)【要約】
本願は、DC負荷(3)と、DC負荷(3)を供給するDC電源(2)と、DC電源(2)及びDC負荷(3)の間に配置された回路構成(1)と、を備える直流回路(6)においてアーク(9)を検出するための方法を説明する。回路構成(1)の入力(7)及び出力(8)の間の電力潮流Pは、電力潮流Pが、第1周期Δtを有するアクティブ時間ウィンドウ(31)で有効にされ、かつ、電力潮流Pが、第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウ(32)で抑制されるように、周期的遮断を通じてスイッチングユニット(10)によって抑制される。入力(7)に流れる入力電流Iin及び/又は入力(7)に印加される入力電圧Uinの検出と、非アクティブ時間ウィンドウ(32)において検出される入力電流Iin及び/又は入力電圧Uinの値と電流閾値ITH又は電圧閾値UTHとの比較とが、非アクティブ時間ウィンドウ(32)において検出される入力電流Iinが電流閾値ITHを下回る及び/又は非アクティブ時間ウィンドウ(32)において検出される入力電圧Uinが電圧閾値UTHを超えない場合にアーク存在基準を伝達する。本願はまた、アーク(9)を検出するための回路構成(1)及びそうした回路構成(1)を備える太陽光発電(PV)インバータ(40)を説明する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)負荷(3)と、前記DC負荷(3)を供給するDC電源(2)と、前記DC電源(2)及び前記DC負荷(3)の間に配置された回路構成(1)と、を備えるDC回路(6)においてアーク(9)を検出するための方法であって、
-前記回路構成(1)は、前記DC電源(2)を接続するための2つの入力端子(7.1、7.2)を備える入力(7)と、前記DC負荷(3)を接続するための2つの出力端子(8.1、8.2)を備える出力(8)と、前記入力(7)及び前記出力(8)の間に配置され、かつ、前記入力(7)で前記入力端子(7.1、7.2)の間に入力容量(12)を備えるスイッチングユニット(10)と、を備え、
-前記スイッチングユニット(10)は、第1動作モード(BM1)で前記DC電源(2)と前記出力(8)との間の電力潮流Pを有効にするように、かつ、第2動作モード(BM2)で前記DC電源(2)と前記出力(8)との間の前記電力潮流を抑制するように設計され、
前記方法が:
-前記電力潮流Pが、第1周期Δtを有するアクティブ時間ウィンドウ(31)で有効にされ、かつ、前記電力潮流Pが、第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウ(32)で抑制されるように、前記スイッチングユニット(10)によって、前記入力(7)及び前記出力(8)の間の前記電力潮流Pを周期的に遮断するステップと、
-前記入力(7)に流れる入力電流Iin及び/又は前記入力(7)に印加される入力電圧Uinを検出するステップと、
-前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)で検出される前記入力電流Iin及び/又は入力電圧Uinの値を、電流閾値ITH又は電圧閾値UTHと比較するステップと、
-前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)で検出される前記入力電流Iinが前記電流閾値ITHを下回る及び/又は前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)で検出される前記入力電圧Uinが前記電圧閾値UTHを超えていない場合にアーク存在基準を伝達するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記アーク存在基準の伝達に応答して、前記入力(7)と前記出力(8)との間の前記電力潮流Pが、永続的であるが、少なくとも数分の期間、任意選択的には前記スイッチングユニット(10)による手動確認まで、遮断される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-2つの連続するアクティブ時間ウィンドウ(31)において前記電力潮流Pを特徴付ける電流I及び/又は前記電力潮流Pを特徴付ける電圧Uを検出するステップと、
-前記アクティブ時間ウィンドウ(31)の電流I及び/又は電圧Uの検出値を、前の前記アクティブ時間ウィンドウ(31)からの対応の検出値と比較するステップと、
-前記アクティブ時間ウィンドウ(31)の電流I及び/又は電圧Uの値が、前記前のアクティブ時間ウィンドウ(31)の対応の値と閾値を超えて異なる場合にさらなるアーク存在基準(9)を伝達するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アーク存在基準及び/又は前記さらなるアーク存在基準の伝達に応答して、前記入力(7)及び前記出力(8)の間の前記電力潮流Pが、永続的であるが、少なくとも数分の期間、任意選択的には前記スイッチングユニット(10)による手動確認まで、遮断される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アクティブ時間ウィンドウ(31)及び前の前記アクティブ時間ウィンドウ(31)は、ちょうど1つの非アクティブ時間ウィンドウ(32)によって互いに分離される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)の前記第2周期Δtの値が、前記DC回路(6)に存在し得るアーク(9)をクエンチし、かつ、該当する場合、前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)に経時的に直後に続く前記アクティブ時間ウィンドウ(31)において、前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)でクエンチされた前記アーク(9)の再点火を抑制するのに十分である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2周期Δtは、0.1ms~10.0ms、好ましくは0.3ms~4.0msの値を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2周期Δtの値は、直前の前記アクティブ時間ウィンドウ(31)の前記電力潮流Pを特徴付ける電流I及び/又は前記電力潮流Pを特徴付ける電圧Uの検出値に応じて選択され、特に、前記第2周期Δtは、前記電流I及び/又は前記電圧Uの値が増大するにつれて増大する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)の前記第2周期Δtが、前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)において検出された前記入力電流Iinの値及び/又は前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)において検出された前記入力電圧Uinの値に応じて決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)の前記第2周期Δtは、検出された前記入力電流Iinがさらなる電流閾値ITH2を下回る及び/又は検出された前記入力電圧Uinがさらなる電圧閾値UTH2を超える場合に制限される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)において、前記入力電流Iinは、前記入力容量(12)に印加される前記入力電圧Uinの経時的変化によって測定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記スイッチングユニット(10)は、DC-DCコンバータ、特に昇圧型コンバータによって形成され、前記回路構成(1)は、前記出力(7)に並列に接続された出力容量(11)を有し、前記アクティブ時間ウィンドウ(31)において、前記出力容量(11)に印加される電圧Uoutは、前記スイッチングユニット(10)によって前記第1周期Δtの終了に向かって増大させられる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アクティブ時間ウィンドウ(31)の前記第1周期Δtの値は、前記アクティブ時間ウィンドウ(31)の想定されるアークの電力損失によって生成されるアークエネルギーが既定の最大許容エネルギー値Emax、特にEmax=200Jの値を超えないように選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記DC電源(2)はPVストリング(43)を備え、かつ、前記DC負荷(3)は、AC電圧(AC)グリッド(45)への出力側に接続された単相DC-ACコンバータ(41)を備え、前記電力潮流Pの周期的遮断は、前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)の前記第2周期Δtの間に前記DC-ACコンバータ(41)の出力を介して流れるAC電流IAC(t)のゼロ交差が存在するように発生する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
複数のDC電源(2)が、前記DC負荷(3)にそれらのそれぞれの電力潮流Pを共同で供給するため、スイッチングユニット(10)を介して互いに並列に前記DC負荷(3)に各々接続され、前記方法は、前記複数のDC電源(2)の前記非アクティブ時間ウィンドウ(32)の時間的重複が最小限に抑えられるように、前記DC電源(2)の各々に対して同時に実行される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
DC回路(6)においてアーク(9)を検出するための回路構成(1)であって、
-DC電源(2)を接続するための2つの入力端子(7.1、7.2)を備える入力(7)、及び、DC負荷(3)を接続するための2つの出力端子(8.1、8.2)を備える出力(8)と、
-前記入力端子(7.1、7.2)の間の入力容量(12)と、
-前記入力(7)及び前記出力(8)の間に配置されたスイッチングユニット(10)であって、前記スイッチングユニット(10)は、第1動作モード(BM1)で前記入力(7)及び前記出力(8)の間で電力潮流Pを有効にし、かつ、第2動作モード(BM2)で前記入力(7)及び前記出力(8)の間で電力潮流Pを抑制するように設計される、スイッチングユニット(10)と、
-前記入力(7)に印加される入力電圧Uin及び/又は前記入力端子(7.1、7.2)の1つに流れる入力電流Iinを決定するため、及び、該当する場合、前記出力(8)に印加される電圧Uout及び/又は前記出力端子(8.1、8.2)の1つに流れる電流Ioutをさらに決定するための測定ユニット(4)と、
-前記スイッチングユニット(10)及び任意選択的に前記測定ユニット(4)を制御するための制御ユニット(5)と、を有し、
前記制御ユニット(5)は、前記スイッチングユニット(10)及び前記測定ユニット(4)に関連して、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成及び設定されることを特徴とする、回路構成(1)。
【請求項17】
前記スイッチングユニット(10)は、前記入力端子(7.1、7.2)の1つから前記出力端子(8.1、8.2)の1つに前記接続線(23、24)の1つに配置された半導体スイッチを有し、前記半導体スイッチはフリーホイールダイオードを含まず、又は、前記半導体スイッチは、前記DC回路(6)の通常の電流方向に対して逆バイアスされる固有のフリーホイールダイオードを有することを特徴とする、請求項16に記載の回路構成(1)。
【請求項18】
前記回路構成(1)又は前記回路構成(1)の前記スイッチングユニット(10)が、DC-DCコンバータ(21)として、特に昇圧型コンバータとして設計されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の回路構成(1)。
【請求項19】
太陽光発電(PV)インバータ(40)であって、
-DC電源(2)としてPVストリング(45)を接続するための2つの入力端子(43.1、43.2)と、AC電圧(AC)グリッド(46)に接続するための出力(44)と、を備える少なくとも1つの入力(43)と、
-DC電圧をAC電圧に変換するためのDC-ACコンバータ(41)と、
-請求項16~18のいずれか1項に記載の回路構成(1)であって、その前記入力(7)は前記PVインバータ(40)の前記少なくとも1つの入力(43)に接続され、かつ、その前記出力(8)は前記DC-ACコンバータ(41)の入力に接続される、回路構成(1)と、を備える、太陽光発電(PV)インバータ(40)。
【請求項20】
DC電源(2)としてそれぞれのPVストリング(45)を接続するための複数の入力(43)を備え、前記入力(43)が各々、各々DC-DCコンバータ(21)を介して互いに並列に共通のDCリンク回路に接続され、前記DCリンク回路(42)は、前記DC-ACコンバータ(41)の入力に接続され、かつ、請求項16~18のいずれか1項に記載の複数の回路構成(1)を備え、前記PVインバータ(40)の前記入力(43)の各々が、それに割り当てられた回路構成(1)のそれぞれの前記入力(7)に接続され、かつ、前記回路構成(1)の各々の前記出力(8)が前記DC-ACコンバータ(41)のそれぞれの前記入力に接続される、請求項19に記載のPVインバータ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アークを検出するための方法及び回路構成、並びに、そのような回路構成を備える太陽光発電(PV)インバータに関する。
【背景技術】
【0002】
アークは、電気系統にかなりの損傷を引き起こす可能性があり、このことが、例えば、電気系統並びに当該系統を含む建物での火災の原因となり得る。人身傷害の可能性もある。このため、アークの検出は電気系統における重要な必要条件である。直流(DC)回路では、交流(AC)回路とは異なり、通常、燃焼アークを消すことができるが、アークのクエンチを少なくとも促進することができる電圧のゼロ交差がないので、これは、電気系統がDC回路を有する場合に特に当てはまる。
【0003】
通常、2つの異なるタイプのアークが区別される。接点障害がある場合、例えば、ケーブル又はプラグが緩んでいるが、接点が非常に接近しているので、接点同士の間の中間領域に局所的に高い電界強度がある場合、直列アークが発生する。直列アークの一例は、スイッチング動作中にリレーの接点同士の間で発生するスイッチングアークでもある。並列アークは、非常にまれであり、かつ、例えば、電気系統の正ライン及び負ラインが互いに接近していて、その絶縁に欠陥がある場合に発生する。ここでも、損傷した導体同士の間に局所的に高い電界強度が存在する可能性がある。直列アークに変換された電力損失は、通常、並列アークに変換された電力損失よりも大幅に低い。したがって、電源と電源によって供給される負荷との間の直列アークが、伝送される電力に相対的に小さな変化を引き起こす。それとは対照的に、並列アークは、電源によって供給されて最終的に負荷によって消費される電力に大きな変化を生じさせる。
【0004】
アークを検出する従来の方法は、通常、アークによって放出されるノイズスペクトルを使用する。電気系統にアークがある場合、高周波干渉電圧又は高周波干渉電流が有効電圧又は有効電流に重畳される。高周波干渉電圧及び/又は高周波干渉電流は、電気的にフィルタリングされ、かつ、有効電流又は有効電圧も流す導電体で検出されることができる。特定の干渉電圧及び/又は特定の干渉電流を上回ると、アークが伝達される(signaled)。そのような方法は、例えば、国際公開第2012/116722A1号に記載されている。検出の感度を上げるため、伝送されるノイズスペクトル内の多数の異なる周波数を同時検出することも可能である。
【0005】
アークを検出するための別の既知の方法は、アークの形成を伴う電圧及び/又は電流の急激な変化を使用する。この場合、電流及び/又は電圧は、通常、急激な変化の検出のために高い時間分解能で監視される。この方法は、必要に応じて、電流及び/又は電圧の観察された変化が、電気負荷の電力消費の通常の変動とどの程度異なるかを確認するためにも使用可能である。電流及び/又は電圧において観測された変化が系統の通常の消費変動と大幅に異なる場合、アークが示される。そのような方法は、例えば、国際公開第2011/017721A1号に開示されている。
【0006】
最後に、国際公開第2013/171329A1号は、ノイズ信号の検出と電流の急激な変化の検出とを組み合わせたアーク検出の方法を開示している。ここで、各々の場合にタイムスタンプを用いて、検出されたノイズ信号の一時的発生並びに検出された電流変化の一時的発生を提供することが可能である。両方のタイムスタンプを比較することによって、アークの存在に関する追加の妥当性チェックが確認されることができる。
【0007】
すべての方法は、通常、相対的に複雑で、及びしたがって、コストのかかる測定システムを使用し、当該測定システムがより複雑になるにつれて、存在する可能性のあるアークがより確実に検出される、又は、アークの誤った伝達(signaling)と電気系統の関連の非アクティブ化がより確実に回避される。
【0008】
独国特許第10225259B3号は、プラグを引き抜くプロセス中につながる主接点と、それと並列に接続される遅れ補助接点と、を備える電気プラグコネクタを開示している。コネクタが引き抜かれると、相手部品から、必然的に主接点が最初に切り離され、かつ、最後に補助接点が切り離される。引き抜きプロセスに関連するアークを回避するため、補助接点に直列に接続された半導体スイッチは、主接点及び補助接点の接点切り離しの間で定期的にオンオフが切り替えられる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、比較的安価に実行可能なDC回路において、アーク、特に直列アークを検出する方法を特定することを目的とする。特に、ここでは、複雑な検出システムを可能な限り回避することを意図し、及び代わりに、相対的に単純で安価な測定技術を使用することを意図する。また、本発明の目的は、本方法を実行するのに適した回路構成、並びに、そうした回路構成を備える太陽光発電(PV)インバータを特定することである。
【0010】
冒頭で言及したタイプのアーク検出の方法を開示する目的は、独立請求項1の特徴により本発明に従って達成される。本方法を実行するのに適した回路構成を特定する目的は、独立請求項16の特徴により本発明に従って達成される。そうした回路構成を備えるPVインバータを開示する目的は独立請求項19の特徴によって達成される。本方法の有利な変形例は従属請求項2~15に記載され、回路構成の有利な実施形態は従属請求項17及び18に記載され、かつ、PVインバータの有利な実施形態は従属請求項20に記載される。
【0011】
本発明に係る方法は、DC負荷と、DC負荷に供給するDC電源と、DC電源及びDC負荷の間に配置された回路構成と、を備える直流(DC)回路においてアークを検出することを目的とする。この場合、回路構成は、DC電源を接続するための2つの入力端子を備える入力と、DC負荷を接続するための2つの出力端子を備える出力と、入力及び出力の間に配置され、かつ、入力で入力端子の間に入力容量を備えるスイッチングユニットと、を備える。スイッチングユニットは、少なくとも2つの動作モードを有し、かつ、それらのモードで動作可能である。具体的には、スイッチングユニットは、第1動作モードでDC電源と回路構成の出力との間の電力潮流Pを有効にするよう、かつ、第2動作モードでDC電源と回路構成の出力との間の電力潮流を抑制するように設計される。本方法は以下の方法ステップ:
-ここではP≠0である第1周期Δtを有するアクティブ時間ウィンドウで電力潮流Pが有効にされ、かつ、ここではP=0である第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウで電力潮流Pが抑制されるように、スイッチングユニットによる回路構成の入力及び出力の間の電力潮流Pを周期的に遮断するステップと、
-入力に流れる入力電流Iin及び/又は入力に印加される入力電圧Uinを検出するステップと、
-非アクティブ時間ウィンドウで検出された入力電流Iin及び/又は入力電圧Uinの値を、電流閾値ITH又は電圧閾値UTHと比較するステップと、
-非アクティブ時間ウィンドウで検出された入力電流Iinが電流閾値ITHを下回る場合及び/又は非アクティブ時間ウィンドウで検出された入力電圧Uinが電圧閾値UTHを超えない場合にアーク存在基準を伝達するステップと、を含む。
【0012】
入力に流れる入力電流Iinは、入力端子の一方を介してDC電源から回路構成に流れる電流又は入力端子の他方を介して回路構成から再び流出する電流である。アクティブ時間ウィンドウの間、入力電流Iinは、回路構成の入力及び出力の間の電力潮流Pを特徴付ける電流を表す。対照的に、非アクティブ時間ウィンドウの間、DC電源と回路構成の出力との間の電力潮流Pはスイッチングユニットによって遮断される。この場合、入力電流Iinは、DC電源及び入力容量の間のみを流れる。
【0013】
入力に印加される入力電圧Uinは2つの入力端子の間に印加される。入力容量も入力端子の間に配置されるので、入力電圧Uinも同時に入力容量の電圧に対応する。
【0014】
アーク存在基準の伝達は、アークが存在することが結論付けられた基準が認識されたことを示している。
【0015】
検出されるべきアークは特に直列アークであり得る。回路構成は、エネルギー変換ユニット、例えば、インバータなどの電気デバイスの全体的又は部分的な部分であり得る。DC負荷は、従来の意味でDC負荷として具体化することができ、かつ、本目的のため、DCコンシューマのみを含む。しかしながら、回路構成は、出力側でAC電圧(AC)負荷に接続されたDC-ACコンバータを備え得る。AC負荷は、AC電圧によって供給される電気デバイスであり得る。ただし、これの代替として、AC負荷は、DC電力から変換されたAC電力をDC-ACコンバータが供給するエネルギー供給グリッドであってもよい。電力潮流Pの周期的遮断は、周期的に発生し得るが周期的に発生する必要はない規則を満たす電力潮流Pの反復的な遮断を意味する。遮断が周期的に発生する場合、第1周期Δt及び第2周期Δtの合計が一定、すなわち、Δt+Δt=一定である一方で、非周期的な遮断の場合、合計は一定ではない。DC負荷の消費の電力変動が無視できるほど小さいと評価可能である場合、電力潮流Pは周期的に遮断されることができる。これを保証することができない場合、電力潮流の周期的遮断は通常、非周期的に発生する。
【0016】
本発明は、DC電源とDC負荷との間のDC回路で通常連続的に発生する電力潮流Pが、スイッチングユニットによって、不連続に発生する電力潮流Pに変換されるという効果を使用する。これは、DC電源と回路構成の出力との間に配置されたDC回路の第1領域に少なくとも適用される。ここでは、DC回路の第1領域のどこでも-すなわち、DC電源とスイッチング構成の出力との間のルート全体にわたって、電力潮流Pが遮断されることが可能であるが、絶対に必要というわけではない。代わりに、DC電源と回路構成の出力との間のサブセクションでのみ電力潮流の周期的遮断が発生すれば十分である。具体的には、例えば、DC電源と出力との間のサブセクションでのみ電力潮流が遮断される場合、依然として減衰している、そこに存在する容量の帯電プロセスが、DC回路の第1領域の残りのサブセクションで発生することができる。しかしながら、DC回路の第1領域のサブセクションで電力潮流を抑制することによって、DC回路の第1領域内の残りのサブセクションの電力潮流がそれに応答して少なくとも大幅に減少する。回路構成の出力とDC負荷との間に配置されたDC回路の第2領域では、電力潮流は不連続又は連続のいずれかであってもよい。
【0017】
非アクティブ化された第2時間ウィンドウではDC電源から回路構成の出力への電力潮流がないので、電流Iのゼロ交差がDC回路で意図的に引き起こされるが、少なくともDC回路の第1領域で、及び、少なくとも、DC電源からスイッチング構成の出力まで延びるDC回路の第1領域のサブセクションで引き起こされる。要約すると、ゼロ交差は、DC電源と回路構成のDC回路出力との間でDC回路の第1領域全体に適用され、すべてで完全に遮断されていない場合に電力潮流Pがすべてで少なくとも大幅に減少する。同時に、エネルギーは、DC回路の第1領域に存在し得る直列アークから引き出される。エネルギーの引き出しにより、アークは燃焼し続けることができないが、代わりに、少なくとも一時的に非アクティブ時間ウィンドウ内でクエンチされる。非アクティブ時間ウィンドウに続くアクティブ時間ウィンドウで、DC電源から回路構成の出力への電力潮流Pが再び発生した場合、アークが依然として燃焼していた以前のアクティブ時間ウィンドウと比較して、この電力潮流Pが同様に燃焼アークを伴うリスクがその後大幅に減少する。言い換えれば、2つのアクティブ時間ウィンドウのうちの経時的に前のウィンドウでアークが燃焼した場合、2つのアクティブ時間ウィンドウの経時的に後のウィンドウでアークは高い確率でもはや存在しない。この場合、非アクティブ時間ウィンドウ又は2つのアクティブ時間ウィンドウの間にある非アクティブ時間ウィンドウの第2周期が増加するにつれて、その確率は増大する。
【0018】
非アクティブ時間ウィンドウでは、DC負荷は、DC負荷、例えば静電容量の入力に既に存在する中間エネルギー蓄積部から、又は、さらに回路構成の出力に並列に設けられて接続されるべき出力容量から、供給されることができる。さらに、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtは、静電容量又は出力容量がわずかにのみ放電するように小さくなるように選択されることができ、その結果、DC負荷の供給不足及びDC負荷の任意の潜在的な関連の不完全な動作が大幅に回避可能である。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明に係る方法はさらに、
-2つの連続するアクティブ時間ウィンドウにおいて電力潮流Pを特徴付ける電流I及び/又は電力潮流Pを特徴付ける電圧Uを検出するステップと、
-アクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧Uの検出値と、前のアクティブ時間ウィンドウからの対応の検出値とを比較するステップと、
-アクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧Uの値が前のアクティブ時間ウィンドウの対応の値と閾値を超えて異なる場合にさらなるアーク存在基準を伝達するステップと、を有する。
【0020】
検出されるべき電流Iであって、電力潮流Pを特徴付ける電流Iは、DC電源と回路構成の入力との間を流れる電流であってもよい。これの代替として、電流Iはまた、回路構成の入力とスイッチングユニットとの間で流れる電流、又は、スイッチングユニットと回路構成の出力との間で流れる電流であってもよい。検出された電圧Uは、回路構成の入力に印加される電圧、すなわち、入力電圧Uinであってもよく、及び/又は、回路構成の出力に印加される電圧であってもよい。1つの電流のみを検出することは本発明の範囲内であるが、代替として、DC電源と出力との間の電力潮流Pを特徴付ける複数の電流を検出することもまた本発明の範囲内である。これの代替又は追加として、1つの電圧のみを検出することが可能であるが、DC電源と回路構成の出力との間の電力潮流Pを特徴付ける複数の電圧を検出することも可能である。
【0021】
2つの連続するアクティブ時間ウィンドウにおける電圧及び電流の評価を実行するこの方法のさらなる実施形態では、それぞれの電流I及び/又は電圧Uが、それぞれのアクティブ時間ウィンドウの電力潮流Pに割り当てられる2つの時間オフセットのアクティブ時間ウィンドウの各々で検出される。アークによって消費される電力損失がアークに割り当てられることもできるので、電流I及び/又は電圧Uの電気的変数は、DC回路内のアークの存在に応じて変化する。したがって、2つの時間オフセットのアクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧Uの検出値の比較が使用されて、2つのアクティブ時間ウィンドウのうちの一方が2つのアクティブ時間ウィンドウのうちの他方とは対照的にアークを有しているか否かを決定することができる。これは、特に、経時的なDC負荷の消費が、他の理由で知られている場合、及び/又は、経時的に少なくとも有意には変化しない場合に当てはまる。したがって、具体的には、経時的に後のアクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧Uの値が、前のアクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧の対応の値と、既定の閾値を超えて異なる場合に、アーク存在基準が伝達されることができる。
【0022】
本発明に係る方法では、電流I及び/又は電圧Uから電気的変数を検出するための測定ユニットから特別な必要条件は作成されない。測定ユニットは、高精度又は高時間分解能を有する必要はなく、すなわち、高い測定周波数を有する必要もない。これは、電気的変数の急激な変化を検出することが重要でないからである。代わりに、それぞれのアクティブ時間ウィンドウを表す電気的変数の1つの値のみ、例えば、それぞれのアクティブ時間ウィンドウの平均値を検出するだけで、例えば、この方法のさらなる実施形態では、十分である。このため、電気的変数を検出するための測定ユニットは、非常に高い費用対効果で設計されることができる。多くの場合、測定ユニットはDC回路にすでに存在しており、そのことがこの場合に追加のコストが発生しない理由である。本発明によれば、DC電源と回路構成の出力との間のDC回路内の電力潮流Pは不連続に発生するので、半ば個々のエネルギーパケットにおいて、DC負荷の通常の動作中でも、連続的に発生する電力潮流の他の方法による一時的な遮断をトリガするための複雑な検出ユニットは必要とされない。代わりに、本発明に係る方法は、非アクティブ時間ウィンドウのDC電源から来る電源潮流Pの、スイッチングユニットによって引き起こされた、遮断によってクエンチされる必要のある、アクティブ時間ウィンドウの各々での、少なくともDC回路の第1領域での、アーク、特に直列アークがあるかのように動作する。アークが実際に前のアクティブ時間ウィンドウに存在したかどうかに関する情報は、非アクティブ時間ウィンドウ又は経時的に後のアクティブ時間ウィンドウにおける電流I及び/又は電圧Uの電気的変数の検出と、閾値との又は経時的に前のアクティブ時間ウィンドウの電流I及び/又は電圧Uの対応の検出された変数とのこれらとの比較と、からのみ生じる。
【0023】
この方法の有利な実施形態では、スイッチングユニットは、永続的にではあるが、少なくとも、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtと比較して長い周期にわたって、伝達されたアーク存在基準及び又は伝達された追加のアーク存在基準に応答して、DC電源と回路構成の出力との間の電力潮流Pを遮断することができる。例えば、伝達されたアーク存在基準及び又は伝達されたさらなるアーク存在基準に応答して発生するこうした遮断は、数分間又はアーク存在基準が手動で確認されるまで続き得る。このようにして、専門家は、検出されたアークによって引き起こされたDC回路の損傷を特定して修復する機会を与えられることができる。
【0024】
したがって、アーク存在基準は、アークが存在したかどうかについての決定を代替的に又は累積的に考慮に入れ、この場合のアークは、非アクティブウィンドウで本質的に既にクエンチされた。いずれにしても、複数のアーク存在基準を考慮する場合のアーク決定の精度は、単一のアーク存在基準のみを考慮する場合のアーク決定の精度と比較して向上する。代替的な又は累積的な考慮の選択に応じて、ここでは、偽陽性又は偽陰性の検出を回避することに関して改善が見られる。アクティブ時間ウィンドウにおける検出を改善するための非アクティブ時間ウィンドウにおける評価によって、例えば、アーク存在基準の存在に応じてアクティブ時間ウィンドウにおける評価のための閾値を調整することによって、確認されたアーク存在基準を使用することも可能である。
【0025】
電流I及び/又は電圧Uの値が互いに比較されるアクティブ時間ウィンドウ及び前のアクティブ時間ウィンドウは、必ずしも互いに直接続く必要はない。代わりに、それらは、多数の非アクティブ時間ウィンドウ及び少なくとも1つのさらなるアクティブウィンドウによって互いに分離されることができる。しかしながら、この方法の有利な実施形態では、アクティブ時間ウィンドウ及び前のアクティブ時間ウィンドウは、ちょうど1つの非アクティブ時間ウィンドウによって互いに分離されることもできる。このようにして、電気的変数を比較する場合、その間に発生するDC負荷の消費の変化はそれほど重要ではない。
【0026】
この方法の有利な実施形態では、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtの値は、DC回路に存在し得るアークをクエンチするのに十分に高いだけでなく、代わりに、非アクティブ時間ウィンドウに経時的に続き得るアクティブ時間ウィンドウにおいて以前にクエンチされたアークの再点火を抑制するために十分に高くなり得るように選択されることができる。第2周期の値は、特にアークに関連する熱時定数に依存し得、この場合、特に対応の熱時定数より大きくてもよい。熱時定数は、例えば、DC回路の第1領域の電力潮流がスイッチングユニットによって遮断されたので、アークに電気エネルギーが供給されなくなった場合、プラズマアーク柱の電気伝導率の経時的な減少を表す。具体的には、アークがクエンチされた後、アーク柱に電圧Uを新たに印加するための時間が熱時定数よりも大きい場合、アークを再点火することはできない。さらに、電流フローの必要な最小遮断時間の値は、燃焼アークで変換される電力にも依存し得る。したがって、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtの値は、直前のアクティブ時間ウィンドウの電力潮流Pを特徴付ける電流I及び/又は電力潮流Pを特徴付ける電圧Uの検出値に応じて選択されることもできる。特に、前の時間ウィンドウからの検出された電流I及び/又は検出された電圧Uの値が増加するにつれて第2周期Δtの値が増加し得る。テストは、第2周期Δtが0.1ms~10.0msの値、好ましくは0.3ms~4.0msの値を含む場合に十分であることを示していた。
【0027】
非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtは、非アクティブ時間ウィンドウで検出された入力電流Iinの値に応じて及び/又は非アクティブ時間ウィンドウで検出された入力電圧Uinの値に応じて決定可能である。具体的には、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtは、例えば、検出された入力電流Iinがさらなる電流閾値ITH2を下回る場合及び/又は検出された入力電圧Uinが別の電圧閾値UTH2を上回る場合に制限されることができる。この場合、さらなる電流閾値ITH2が、DC電源と回路構成の入力との間に直列アークが存在する場合、直列アークは燃焼し続けることができない場合、特に、非常に低くなるように選択される。したがって、電流がさらなる電流閾値ITH2を下回る状態では、DC電源と入力との間に存在し得る直列アークが安全にクエンチされることが保証される。
【0028】
入力電流Iinは、対応の電流センサによって検出可能であることは当然である。しかしながら、これには、多くの場合、どのようにしてもそこに存在する電圧センサに加えて、追加の電流センサを必要とする。しかしながら、非アクティブ時間ウィンドウでは、DC電源と入力との間を流れる入力電流Iin、特に、入力容量は、入力容量に印加される入力電圧Uinの経時的変化によっても測定されることができる。具体的には、入力容量の両端で降下する入力電圧Uinの時間微分は、ここでは、DC電源と回路の入力との間を流れる入力電流の測定値を提供する。このようにして、たった1つの電圧センサで、入力電圧Uin及び入力電流の両方を決定することが可能である。
【0029】
この方法のさらなる変形例では、回路構成のスイッチングユニットは、DC-DCコンバータ、特に昇圧型コンバータによって形成される。さらに、本実施形態の回路構成は、その出力に並列に接続された出力容量を有する。有利には、アクティブ時間ウィンドウにおいて、出力容量に印加される出力電圧Uoutを、スイッチングユニットによって第1周期Δtの終了に向かって増大させることができる。例えば、アクティブ時間ウィンドウの第1周期Δtの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%に到達する又はそれを超える場合、出力容量に印加される出力電圧Uoutを増大させることができる。そうすることで、アクティブ時間ウィンドウの開始時に出力容量に印加される出力電圧Uoutの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%の増大が実行可能である。いずれの場合も、フリーホイールダイオードを備えるDC-DCコンバータでは、出力容量に印加される出力電圧Uoutは、少なくともDC電源の開回路電圧以上である必要がある。これは、出力側に印加される出力電圧Uoutに関連するスイッチングユニットが回路構成の入力及び出力の間の電力潮流を抑制することを確実にする唯一の方法である。さらに、このようにして、出力容量に中間的に蓄積され、かつ、そこから特にすぐ隣接する非アクティブ時間ウィンドウでDC負荷も供給されるエネルギーを増大させることができる。すぐ隣接する非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtの上限を増大させることができ、かつ、特に非アクティブ時間ウィンドウの間にDC負荷の誤った供給のリスクが回避可能である又は少なくとも低減される。対照的に、エネルギーの中間蓄積のために発生するDC-DCコンバータの損失は、アクティブ時間ウィンドウの終了時にのみ、すなわち、第1周期Δtの一部の間にのみ発生し、第1時間ウィンドウ全体を通じて発生しない。さらに、出力容量を提供するコンポーネントには、第1周期のごく一部で高電圧値がロードされる。
【0030】
この方法の一実施形態では、アクティブ時間ウィンドウで想定されるアークの電力損失によって生成されるアークエネルギーが既定の最大許容エネルギー値Emaxを超えないように、アクティブ時間ウィンドウの第1周期Δtの値が選択されることができる。この場合、現在のアクティブ時間ウィンドウに架空のアークがあると想定されるが、このアークは必ずしも実際に存在するとは限らない。しかしながら、アクティブ時間ウィンドウで燃焼する架空のアークの想定に基づいて、アクティブ時間ウィンドウでの電流I及びアークの想定される電圧降下ΔuLBが使用されて、アクティブ時間ウィンドウの第1周期Δtを下記数式によって推定することができる
【0031】
現在の測定ユニットの時間分解能に応じて、電流Iのいくつかの検出値も使用可能である。この場合、電流Iについての上記数式の分母では、平均電流Iaverageが使用可能である。アークの電圧降下ΔULBについては、実験的に決定された値又は経験に基づく値がある。例えば、従来のPVシステムでは、アークの電圧降下の適切な近似値として30V~40Vの値が使用可能である。
【0032】
太陽光発電(PV)システムのDC回路でアークを検出することに関して、可能な最大エネルギー値Emaxは、関連する規格にも記載されているEmax=200Jの値を有することが有利である。具体的には、アクティブ時間ウィンドウで運ばれるエネルギー量が値200Jを超えなければ、前のアクティブ時間ウィンドウでアークが実際に検出された場合、PVシステムは、簡略化された形式で、かつ、特に電気専門家を用いずとも再び開始されることができる。
【0033】
この方法の一実施形態では、DC負荷にそれらのそれぞれの電力潮流Pを共同で供給するため、各々の場合に、回路構成を介して複数のDC電源が互いに並列にDC負荷に接続可能である。そうすることで、アーク、特に直列アークを検出するための方法は、DC電源の各々に対して同時に実行されることができ、電力潮流Pのそれぞれの周期的遮断に割り当てられた非アクティブ時間ウィンドウは、この方法が異なるDC電源に対して実行されて可能であれば重複しない場合、好ましくは互いに時間的にオフセットされるように配列される。電力潮流Pの周期的遮断は、少なくとも、様々なDC電源の非アクティブ時間ウィンドウの間で少なくとも時間的重複が最小限に抑えられるように実行されることが有利である。このようにして、複数のDC電源からの個々の電力潮流Pの合計から生じる総電力潮流における変動を最小限に抑えることによって、DC負荷の安定した動作が保証される。
【0034】
DC回路内でアークを検出するための本発明に係る回路構成は、
-DC電源を接続するための2つの入力端子を備える入力、及び、DC負荷を接続するための2つの出力端子を備える出力と、
-入力端子の間の入力容量と、
-入力及び出力の間に配置されたスイッチングユニットであって、スイッチングユニットは、第1動作モードで入力及び出力の間の電力潮流Pを有効にし、かつ、第2動作モードで入力及び出力の間の電力潮流Pを抑制するように設計及び設定される、スイッチングユニットと、
-入力に印加される入力電圧Uin及び/又は入力端子の1つを流れる入力電流Iinを決定するための測定ユニットと、
-スイッチングユニット及び任意選択的に測定ユニットを制御するための制御ユニットと、を備える。
【0035】
回路構成は、制御ユニットが、本発明に係る方法を実行するため、スイッチングユニット及び測定ユニットと連動して構成及び設定されることを特徴とする。
【0036】
スイッチングユニットが、入力及び出力の間の電力潮流Pを抑制することができるようにするため、スイッチングユニットは、1以上の制御可能なスイッチ、特に半導体スイッチを有することができる。代替又は追加として、スイッチングユニットが、電力潮流Pを抑制するため、1以上の制御不能な半導体スイッチ、例えばダイオードを有することも可能である。制御ユニットは別個の制御ユニットとして設計されることもできる。しかしながら、代替として、制御ユニットは、既にDC回路に存在する制御ユニットのコンポーネントとして設計されることもできる。これにより、この方法に関連して既に説明した利点が得られる。
【0037】
回路構成の有利な実施形態では、スイッチングユニットは、入力端子の1つから出力端子の1つへの接続線の1つに配置された半導体スイッチを有することができる。半導体スイッチは、半導体スイッチの通電端子に並列に接続された、固有に形成されたフリーホイールダイオード又は別個に形成されたフリーホイールダイオードを有していなくてもよい。しかしながら、これの代替として、半導体スイッチは、半導体スイッチの通電端子に並列に接続されたフリーホイールダイオードを有してもよい。この場合、フリーホイールダイオードは、固有のフリーホイールダイオード又は別個に形成されたフリーホイールダイオードのいずれかとして設計可能である。半導体スイッチがフリーホイールダイオードを有している場合、半導体スイッチは、特に、DC回路の通常の電流方向に対して逆バイアスされるように配置されることができる。
【0038】
回路構成は、出力、特に出力容量に並列に接続された中間エネルギー蓄積部を備えてもよい。出力容量を使用して、回路構成は、後の非アクティブウィンドウにDC負荷が供給されるエネルギーによって、アクティブ時間ウィンドウにDC電源からの限られた量のエネルギーを中間的に蓄積することができる。このようにして、DC負荷が中間蓄積の可能性を含んでいない場合であっても、非アクティブ時間ウィンドウの間にDC負荷を供給することが可能である。この場合、電力潮流Pは、DC回路の第1領域でのみ不連続である一方、DC回路の第2領域で連続している。一実施形態によれば、本発明に係る回路構成又は回路構成のスイッチングユニットは、DC-DCコンバータ、特に昇圧型コンバータとして設計可能である。この場合、回路構成、特に回路構成のスイッチングユニットが非アクティブ化され、かつ、回路構成の出力に印加される電圧が、回路構成の入力に印加される電圧よりも大きいという点で、DC電源から回路構成の出力への電力潮流Pが遮断されることができる。いくつか、有利には最大8個のDC-DCコンバータのスイッチングサイクルの非アクティブ化が十分であることを実験が示している。
【0039】
本発明に係る太陽光発電(PV)インバータは、DC電源としてPVストリングを接続するための2つの入力端子を備える少なくとも1つの入力、及び、AC電圧(AC)グリッドを接続するための出力と、DC電圧をAC電圧に変換するためのDC-ACコンバータと、本発明に係る回路構成と、を備える。この場合、回路構成の入力はPVインバータの少なくとも1つの入力に接続され、かつ、回路構成の出力はDC-ACコンバータの入力に接続される。インバータは、出力側に最大1つの相導体端子と1つの中性導体端子とを有する単相PVインバータであってもよい。代替として、インバータは、出力側に複数の相端子、特に出力側に3つの相端子と、出力側に1つの中性線端子と、を備える多相PVインバータであってもよい。回路構成の制御ユニットは、PVインバータ、又は、PVインバータを備えるPVシステムの上位の制御ユニットに統合されることができる。本方法及び回路構成に関連して既に述べた利点が得られる。
【0040】
アーク、特に直列アークを検出するための本発明に係る方法が、DC電源がPVストリングによって構成され、かつ、DC負荷が、出力側でAC電圧(AC)グリッドに接続された単相DC-ACコンバータを備える、PVシステム内に適用される場合、非アクティブ時間ウィンドウの第2周期Δtの間のDC-ACコンバータの出力を介して流れるAC電流IAC(t)のゼロ交差があるように電力潮流Pの周期的遮断が発生することが有利である。単相DC-ACコンバータの場合、PVインバータに接続されたACグリッドの周波数の2倍に対応する周波数で、正弦波パルス方式で、電力は、PVインバータの中間蓄積部から、例えばDCリンク回路のリンク回路容量からすなわち引き出され、DC-ACコンバータによって生成されるAC電流IAC(t)のゼロ交差の近位で、最低の電力又はエネルギーが中間蓄積部から引き出される。非アクティブ時間ウィンドウがAC電流IAC(t)のゼロ交差と一時的に重複する場合、DCリンク回路の電圧リップルが最小限に抑えられることができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、PVインバータは、PVストリングがDC電源として接続されるただ1つの単一の入力を有することができる。しかしながら、本発明のさらなる一実施形態では、PVインバータはまた、各々が、それぞれのPVストリングをDC電源として接続するように設計される複数の入力を有することができる。この場合、入力は各々、DC-DCコンバータを介して共通のDCリンク回路に互いに並列に接続されることができる。リンク回路容量を含み得るDCリンク回路は、今度はDC-ACコンバータの入力に接続されることができる。この場合、PVインバータの入力の各々は、本発明に係る回路構成を割り当てられることができ、PVインバータの入力の各々は、そこに割り当てられた回路構成の入力に接続され、かつ、回路構成の各々の出力が各々DC-ACコンバータの入力に接続される。回路構成の各々が、それぞれDC-DCコンバータの1つによって、少なくとも部分的に、場合によっては完全に形成されている場合も本発明の範囲内である。
【0042】
PVインバータの一実施形態では、回路構成の制御ユニットは、PVインバータの上位の制御ユニットに含まれ得る。この場合、同時に、上位の制御ユニットは、PVインバータの動作中、DCリンク回路に印加される電圧が個々のPVストリングの開回路電圧の最大値を超えるように、DC-ACコンバータ及びPVインバータのDC-DCコンバータを制御するように設定される。
【0043】
本発明の有利な実施形態は以下の図面の説明及び従属請求項で特定され、その特徴は、個別に、かつ、互いに任意の組み合わせで適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下に、図面を使用して本発明が説明される。
【0045】
図1】DC電源、DC負荷及び本発明の第1実施形態に係る回路構成を備えるDC回路を示している。
図2】本発明の第2実施形態に係る回路構成を示している。
図3】本発明に係る方法中の本発明に係る回路構成の入力電流及び入力電圧の時間プロファイルを示している。
図4】本発明に係る方法のさらなる実施形態中の本発明に係る回路構成の動作モード、電流及び電圧の時間プロファイルを示している。
図5】本発明の一実施形態に係るPVインバータを備えるPVシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、内部抵抗2aを有する直流(DC)電源2、DC負荷3及び本発明の第1実施形態に係る回路構成1を備えるDC回路6を示している。回路構成1は、第1入力端子7.1及び第2入力端子7.2を備える入力7を有しており、その入力にDC電源2が接続されている。回路構成1はまた、第1出力端子8.1及び第2出力端子を備える出力8を有しており、出力はDC負荷3に接続されている。入力端子7.1、7.2の各々は、それぞれの接続線23、24を介して、出力端子8.1、8.2の対応の1つに接続されている。スイッチングユニット10は入力7及び出力8の間に配置される。スイッチングユニット10は、第1動作モードBM1の間にDC電源2と出力8との間の電力潮流Pを有効にし、かつ、第2動作モードBM2の間に電力潮流Pを抑制するように設計される。例えば、入力7及び出力8の間の電力潮流Pは、第1動作モードBM1の間にスイッチングユニット10によって可能にされ、かつ、第2動作モードBM2の間に妨げられる。この目的のため、スイッチングユニット10は、少なくとも1つの制御可能なスイッチ、場合によっては複数の制御可能なスイッチを有する。スイッチは、電気機械スイッチであってもよいが、半導体スイッチであることが有利である。さらに、スイッチングユニット10はまた、1以上の制御不能な半導体スイッチ、特にダイオードを有し得る。スイッチングユニット10は制御ユニット5によって制御される。回路構成1はまた、回路構成1の入力7に印加される入力電圧Uin及び/又は入力8を介して流れる入力電流Iinを測定するように設計された測定ユニット4を備える。さらに、測定ユニット4は、出力8に印加される出力電圧Uout及び/又は出力8を介して流れる出力電流Ioutを測定するようにも設計される(図1には図示せず)。測定ユニット4は、通信及び制御の目的で制御ユニット5に接続される。回路構成1は、入力端子7.1及び7.2の間で入力7に並列に接続される入力容量12をさらに備える。回路構成1は、出力端子8.1及び8.2の間で出力8に並列に接続された出力容量11-図1に破線で示す-を任意選択的にさらに備え得る。
【0047】
回路構成1の動作中、DC電源2と回路構成1の出力8との間の電力潮流Pは、ここでは、スイッチングユニット10によって周期的に遮断され、すなわち、規則を満たす方法で反復して、周期的に遮断される。したがって、DC電源2と出力8との間の電力潮流Pは、図4に関連して以下に説明するように、第1周期Δtを有するアクティブ時間ウィンドウ31と第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウ32とが交互に、不連続に発生する。したがって、アクティブ時間ウィンドウ31の間、非アクティブ時間ウィンドウ32において電力潮流Pが値0をとるのに対して、0とは異なる電力潮流PがDC電源2及び出力8の間で発生する。制御ユニット5は、アーク9、特に直列アークの存在を示すアーク存在基準を伝達するように設定される。
【0048】
図2は、本発明の第2実施形態に係る回路構成1を示している。回路構成1は、いくつかの構成要素において、図1で既に説明した第1実施形態と類似しており、それは、一致する特徴について図1での説明が参照される理由である。主に、第2実施形態と第1実施形態との相違点を以下に説明する。
【0049】
第2実施形態によれば、スイッチングユニット10は、DC-DCコンバータ21として、特に昇圧型コンバータとして、入力7に印加される入力電圧Uinを、出力8に印加される出力電圧Uoutに変換するように設計及び設定される。この目的のため、回路構成1のスイッチングユニット10は、インダクタンス22と、第1入力端子7.1及び第1出力端子8.1の間の第1接続線23内にインダクタンス22に直列に接続された第1半導体スイッチSと、を備える。第2半導体スイッチSは、その第1端子を介してインダクタンス22の接続点25に接続され、第1半導体スイッチSは、その第2端子を介して第2接続線24に接続される。第1半導体スイッチS及び第2半導体スイッチSは各々、図2に破線を使用して示される、固有の又は別個に形成されたフリーホイールダイオードD、Dを備え得る。
【0050】
第1動作モードBM1の間、言い換えれば、第1周期Δtを有する以下の図3又は図4に示すアクティブ時間ウィンドウ31において、回路構成1は、昇圧型コンバータとして動作し、かつ、第1半導体スイッチSの及び任意選択的に第2半導体スイッチSの適切なクロッキングによって、入力電圧Uinを、入力電圧Uinに対してより大きな出力電圧Uoutに変換する。この場合、出力電圧Uoutは、入力7に接続されたDC電源2(図2には図示せず)の開回路電圧Uよりも大きくなるように選択されることが有利である。出力電圧Uoutに関連するエネルギーは、出力8に並列に配置された出力容量11に一時的に蓄積される。第2動作モードBM2では、すなわち、図3及び図4に以下に示す第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウ32において、半導体スイッチS、Sのクロッキングが制御ユニット5によって中断される。半導体スイッチS、Sは、第2動作モードBM2の間、永続的に開いている。第2周期Δtは、DC-DCコンバータ21の数クロックサイクルの間、持続することができる。ここでは、出力8に印加される電圧Uoutが、入力に接続されたDC電源2の開回路電圧Uよりも大きくなるように選択されるので、存在し得るとともに第1半導体スイッチSに関連するフリーホイールダイオードDは、第1入力端子7.1から第1出力端子8.1への電流フローを遮断し、及びしたがって、DC電源2から回路構成1の出力8への電力潮流Pを遮断する。
【0051】
制御ユニット5によって、回路構成1は、第1動作モードBM1に対する第1周期Δtの間と第2動作モードBM1に対する第2周期Δtの間とで交互に設定され、それが、DC電源2から回路構成1の出力8への不連続な電力潮流Pを生成する。
【0052】
図3では、本発明に係る回路構成1の入力電流プロファイル33、34及び入力電圧プロファイル36、37が、本発明に係る方法中に経時的に示されている。本発明によれば、入力7及び出力8の間の電力潮流Pは、本発明に係る回路構成1のスイッチングユニット10によって周期的に遮断され、及びしたがって、アクティブ時間ウィンドウ31及び非アクティブ時間ウィンドウ32の間の周期的変動が存在する。
【0053】
アーク9が存在しない場合、結果は、示される入力電流プロファイル33及び示される入力電圧プロファイル36である。最初に、第1アクティブ時間ウィンドウ31の間、入力7及び出力8と、それに関連する定入力電流Iin及びそれに関連する定入力電圧Uinとの間に電力潮流Pがある。この場合、入力電圧Uinの値は、内部抵抗2aの両端の電圧降下によって減少したDC電源2の開回路電圧Uの値から生じる。
【0054】
非アクティブ時間ウィンドウ32の間、入力7及び出力8の間の電力潮流Pは、入力容量12を変更するためにDC電源2から入力容量12のみに入力電流Iinが流れるように、スイッチングユニット10によって遮断される。この変更プロセスの間、指数関数に従って電流値が減少する結果、DC電源2の内部抵抗2aの両端の電圧降下は、入力電圧Uinが増加するようにそれに応じて低減される。非アクティブ時間ウィンドウ32の対応する長い周期Δtによって、入力容量がDC電源2の開回路電圧Uの値に帯電され、その場合、DC電源2の内部抵抗2aの両端で電圧が降下しない結果により、入力電流がその後に0Aの値をとり、及びしたがって、DC電源2の開回路電圧Uのレベルの入力電圧Uinが上昇する。
【0055】
しかしながら、アークを検出するための本発明に係る方法の図3に示す変形例では、非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtは、入力電流Iinが完全にゼロにならないように十分長くなるように選択されるだけであるが、存在し得るアーク9が確実にクエンチされる程度まで減少されるだけである。したがって、入力電圧Uinは、DC電源2の開回路電圧Uの値までは上昇しないが、より低い値まで上昇する。
【0056】
非アクティブ時間ウィンドウ32に対してできる限り短い周期Δtを選択することは、特に、非アクティブ時間ウィンドウ32の間に存在する入力7及び出力8の間の電力潮流Pの遮断のための周期ができる限り短く維持されることができるという事実に関しても行われ得る。
【0057】
非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtの後、入力7及び出力8の間の電力潮流Pは、スイッチングユニット10によって後の次のアクティブ時間ウィンドウ31で再び可能にされ、その結果、図3に見られるように、過渡プロセスが終了した後の第1アクティブ時間ウィンドウ31のようにその後に電力潮流Pに関連する一定値をとるため、入力電流Iinが再び増加し、かつ、入力電圧Uinが再び減少する。
【0058】
アーク9が存在する場合の入力電流プロファイル34は、非アクティブ時間ウィンドウ32で入力容量12の帯電の過程で発生する降下プロファイルも示しており、アーク9はその後、電流値が十分に低くなる場合にクエンチされ、その結果、入力電流Iinは急激にゼロになり、かつ、その後のアクティブ時間ウィンドウ31の入力7及び出力8の間の電力潮流Pがスイッチングユニット10によって再び可能にされた後もゼロの値に留まる。上述したように、アーク9が存在しない場合、本発明に係る方法では、入力電流Iinはゼロまで減少しないことが好ましいという事実の結果として、アーク9の存在が検出可能であり、入力電流Iinの値を電流閾値ITHと比較することによってアーク存在基準が伝達されることができる。
【0059】
アーク9が存在する場合の入力電圧プロファイル37も、非アクティブ時間ウィンドウ32の増加も示すが、これは、アーク9が存在しない場合の入力電圧プロファイル36よりも増加が少ない。特に、アーク9がクエンチされた後、0Aからの入力電流Iinの結果の値に基づいて、入力容量12のさらなる帯電はない。アーク9が存在しない場合よりもアーク9が存在する場合の入力電圧Uinの増加が小さいことに起因して、非アクティブ時間ウィンドウ32において、入力電圧Uinの値を電圧閾値UTHと比較することによって、アーク9の存在が検出されることができ、かつ、アーク存在基準が伝達されることができる。スイッチングユニット10を介した出力8への電力潮流Pがその後のアクティブ時間ウィンドウ31で再び可能になった後、入力容量12は、スイッチングユニット10を介してDC負荷3を通じて放電され、その結果、入力電圧プロファイル37の入力電圧Uinは時間の経過とともにゼロの値まで降下する。
【0060】
電流閾値ITH及び電圧閾値UTHには、経験的に決定された固定値が使用されることができる。しかしながら、特に、この場合、電圧閾値UTHは、DC電源2の開回路電圧Uに関連して選択可能であることが好ましい。DC電源2の開回路電圧Uは、例えば、PV発電機では、照射又は温度などの外部影響の変化に起因してより大きな変動を受け得るので、例えば時変開回路電圧U(t)に応じて適応的に調整される可能性がある可変の電圧閾値UTHが使用可能である。
【0061】
図3の第1アクティブ時間ウィンドウ31における入力電流プロファイル34及び35における入力電流Iinの偏差値は、アーク9によって生じる電力損失に起因して異なる電力潮流Pから生じる。
【0062】
非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtは、前述したように、入力電流Iinが完全にゼロにならないが、存在し得るアーク9が確実にクエンチされる程度までのみ減少させられ得るように選択可能である。しかしながら、評価が入力電圧Uinのみに基づいて実行される本発明に係る方法の変形例では、非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtは、入力電流Iinがゼロ又はゼロに近い値をとるようにも選択され得る。その場合、入力電圧プロファイル36の値が高くなることに起因して、結果として入力電圧プロファイル36との差が大きくなるので、あり得るアークの存在は、より短い周期Δtが選択される場合よりも明確に推測可能である。
【0063】
非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtは、経験的に決定された値に基づいて設定されることができる。しかしながら、電力潮流Pが変動する可能性があっても確実にアーク検出を行うため、及び特に、非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtをできる限り短く維持するため、周期Δtは、例えば、直前のアクティブ時間ウィンドウ31の電力潮流Pを特徴付ける電流I及び/又は電力潮流Pを特徴付ける電圧Uの検出値に応じて適応的に設定されて選択されることが好ましい。代替として、現在又は前の非アクティブ時間ウィンドウ32の1つで検出された入力電流Iinの値、及び/若しくは、現在又は前の非アクティブ時間ウィンドウ32の1つで検出された入力電圧Uinの値に応じて、周期Δtは選択されることができる。一実施形態では、例えば、非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtは、入力電流Iinの値がさらなる電流閾値ITHを下回り、かつ、入力電圧Uinの値がさらなる電圧閾値UTH2を上回る場合に決定されることができる。非アクティブ時間ウィンドウ32の周期Δtの適応的な設定により、特に、周期Δtの最大値及び/又は最小値も特定されることができる。
【0064】
さらなる電流閾値ITH2及びさらなる電圧閾値UTH2には、経験的に決定された固定値が使用可能であり、特に、さらなる電圧閾値UTH2は、DC電源2の開回路電圧Uに関して選択されることが好ましい。例えば、時変開回路電圧U(t)に応じて適応的に調整され得る可変のさらなる電圧閾値UTH2が使用されることもできる。一般に、さらなる電流閾値ITH2及びさらなる電圧閾値UTH2は、電流閾値ITH及び電圧閾値UTHよりも大きくなるように各々選択されるべきである。
【0065】
図4は、回路構成1のスイッチングユニット10の動作モードBM1、BM2(上段のグラフ)、並びに、本発明に係る方法の別の実施形態の間の図2の回路構成1の電流I(t)(中段のグラフ)及び電圧U(t)(下段のグラフ)の時間プロファイルを相互に示している。電流及び電圧の時間プロファイルは各々、例えば、回路構成1の入力7で測定ユニット4によって検出された変数Iin(t)、Uin(t)を含む。この場合、時間プロファイルは、時間tで発火する直列アーク9に時間的に近接した回路構成1の挙動を反映している。図3で前述したのとは対照的に、図4の入力電流プロファイル35及び入力電圧プロファイル38は、各々の場合に、過渡プロセスが終了した後に上昇する入力電流Iin又は入力電圧Uinの値のみが特定される点について、概略的にのみ示されている。
【0066】
上段のグラフに示すように、回路構成1が第1動作モードBM1にある周期Δtのアクティブ時間ウィンドウ31は、回路構成が第2動作モードBM2にある周期Δtの非アクティブ時間ウィンドウ32と交互になっている。第1アクティブ時間ウィンドウ31では、電流Iin(t)は値Iを取り、かつ、電圧Uin(t)は値Uを取る。電流I及び電圧Uの値は、回路構成1の出力8に接続されたDC負荷3の電力消費から生じる。すぐ隣接する非アクティブ時間ウィンドウ32において、DC電源2と回路構成1の出力8との間の電力潮流Pは第2周期Δtの間、遮断される。入力7を介して流れる電流Iin(t)は、図3に関連して上述したように、0Aに近い値に減少する一方で、入力7に印加される電圧Uin(t)は、DC電源2の開回路電圧Uに近い値まで増加する。開回路電圧Uは通常、実際のDC電源2、例えば、PV発電機の内部抵抗2aが存在することに起因して、負荷のかかったDC電源2の電圧Uよりも高くなる。次のアクティブ時間ウィンドウ31では、この場合、第2アクティブ時間ウィンドウ31では、電流Iin(t)は、最初に、DC回路6のアーク9が特にDC電源2と回路構成1の入力との間で点火する時間tまでの前のアクティブ時間ウィンドウ31の値に対応する。時間tから、元の値I、Uから値I、Uへの電流値、及び場合によっては電圧も突然わずかに低下する。電流の突然の低下は、電力損失と、tから始まる直列アーク9の関連の電圧降下に基づいている。例えば、直列アーク9は、故障した導体のマイクロギャップを横切って燃焼する。隣接する非アクティブ時間ウィンドウ32において、直列アーク9は、DC電源2と回路構成1の出力8との間の電力潮流Pが再び遮断されることによってクエンチされる。入力7を介して流れる電流Iin(t)は、アークをクエンチする0Aに近い値に再び最初に低下し、かつ同時に、電流Iin(t)は再び0Aの値をとる。第2非アクティブ時間ウィンドウ32で入力7に印加される電圧Uin(t)は、図3に関連して上述したように、直前の第2アクティブ時間ウィンドウ31に存在する電圧Uと比較して依然として増加するが、電圧Uin(t)は、前の第1非アクティブ時間ウィンドウ32の値よりも低い値に到達する。その後の第3アクティブ時間ウィンドウ31では、スイッチングユニット10を通る電力潮流Pが原則として可能であるが、電力潮流Pはマイクロギャップによって阻止されており、その理由は、図3の電圧Uin(t)及び電流Iin(t)の値が無視できるほど低いものとして示されているからである。
【0067】
制御ユニット5は、ここでは、測定ユニット4によって検出されたアクティブ時間ウィンドウ31の電流Iin(t)及び/又は電圧Uin(t)の値を、それぞれ前のアクティブ時間ウィンドウ31の値と比較する。図4において、第2アクティブ時間ウィンドウ31と第3アクティブ時間ウィンドウ31との間の値を比較する場合、制御ユニット5は、閾値を上回るこれらの値の間の差を決定し、かつ、それに応答してアーク存在基準を伝達する。図3に関連して説明したように、例えば、決定された他のアーク存在基準に関連する場合があり得る、アーク存在基準の伝達に応答して、スイッチングユニット10は、DC電源2と出力8との間の電力潮流Pが抑制された状態で、資格のある人による手動確認まで第2動作モードBM2のままでいる。
【0068】
図5は、一実施形態における本発明に係るPVインバータ40を備える太陽光発電(PV)システム47を示している。PVインバータ40は、ここでは、DC電源2として各PVストリング45を接続するための入力端子43.1及び43.2を備える、いくつか(この場合は一例として:2つ)のDC側入力43を備えるマルチストリングインバータとして知られるものとして設計される。入力43の各々は、それぞれのDC-DCコンバータ21、例えば、昇圧型コンバータを介して、共通のDCリンク回路42のリンク回路容量に並列に接続される。リンク回路容量は、DC-ACコンバータ41の入力に接続される。DC-ACコンバータ41の出力は、対応のAC絶縁要素(図4には図示せず)を介したPVインバータ40の出力44を介してAC電圧(AC)グリッド46に接続されている。
【0069】
PVインバータ40は、DC側入力43の各々のための回路構成1を備えている。回路構成1、特にそのスイッチングユニット10は、この場合、各々がDC-DCコンバータとして設計され、かつ、どのようにしても存在するPVインバータ40のDC-DCコンバータ21によって少なくとも部分的によって形成される。回路構成1の入力7は、ここでは、PVインバータ40の入力43に対応する。回路構成1の出力8は、ここでは、各々、DC-DCコンバータ21の出力に対応する。回路構成1は、ここではPVインバータ40の中央制御ユニットの一部であり、かつ、DC-DCコンバータ21及びDC-ACコンバータ41を制御するように設計及び設定された共通の制御ユニット5を備える。回路構成の測定ユニット4も、DC-DCコンバータ21の一部であり、かつ、図5には明示的に示されていない。
【0070】
本発明に係る方法は、PVストリング45として設計された各DC電源2に対して同時に制御ユニット5を介して実行される。したがって、PVストリング45の各々は、PVインバータ40の通常動作中、PVモジュールとPVインバータ40の対応のDC側入力43との間のそのそれぞれのDCライン内に不連続な電力潮流Pを有している。この場合、第1周期Δtを有するアクティブ時間ウィンドウ31は、第2周期Δtを有する非アクティブ時間ウィンドウ32と交互になる。2つのPVストリング45内の不連続な電力潮流Pは、一方のPVストリング45の非アクティブ時間ウィンドウ32と他方のPVストリング45の非アクティブ時間ウィンドウとの間の重複が可能な限り少なくなるように、すなわち、非アクティブな時間ウィンドウが可能な限り互いに離れてオフセットされるように、ここで発生することが有利である。アーク9、特に直列アークが、制御ユニット5によってPVストリング45のうちの1つ内で決定される場合、そのスイッチングユニット10のみ、すなわち、直列アーク9も検出されたそのPVストリング45に割り当てられたDC-DCコンバータ21は、より長い周期、及び場合によっては、資格を有する人による手動確認まで、第2動作モードBM2に設定される。対照的に、それぞれの他のPVストリング45は、関連するDC側入力43の方向への不連続な電力潮流Pで動作され続けることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 回路構成
2 DC電源
3 DC負荷
4 測定ユニット
5 制御ユニット
6 直流(DC)回路
7 入力
7.1、7.2 入力端子
8 出力
8.1、8.2 出力端子
9 アーク(並列)
10 スイッチングユニット
11 出力容量
12 入力容量
21 DC-DCコンバータ
22 インダクタンス
23、24 接続線
25 接続点
31、32 時間ウィンドウ
33、34、35 入力電流プロファイル
36、37、38 入力電圧プロファイル
40 太陽光発電(PV)インバータ
41 DC-ACコンバータ
42 DCリンク回路
43 入力
43.1、43.2 入力端子
44 出力
45 PVストリング
46 AC電圧(AC)グリッド
47 太陽光発電(PV)システム
Δt、Δt 周期
、S 半導体スイッチ
BM1、BM2 動作モード
、D ダイオード
P 電力潮流
in 入力電圧
out 出力電圧
in 入力電流
out 出力電流

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】