(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネント
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20230303BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230303BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20230303BHJP
H04R 19/04 20060101ALN20230303BHJP
【FI】
B81B3/00
B81C1/00
H01L29/84 A
H04R19/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542939
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050428
(87)【国際公開番号】W WO2021144237
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】102020200334.3
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ベーバー,ヘリベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュールレ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュモルングルーバー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ,トーマス
【テーマコード(参考)】
3C081
4M112
5D021
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA45
3C081BA46
3C081BA48
3C081BA77
3C081CA03
3C081CA13
3C081DA03
3C081DA45
3C081EA03
3C081EA21
4M112AA06
4M112BA07
4M112CA35
4M112DA02
4M112EA03
4M112EA04
4M112FA20
5D021CC17
(57)【要約】
本発明は、センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントに関し、このマイクロメカニカルコンポーネントは、メンブレン内側部(10a)を備えるメンブレン(10)であって、メンブレン内側部(10a)に、電極構造(12)が少なくとも部分的に直接または間接的に接続される、メンブレン(10)と、少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの除去された領域によって開放された体積内に少なくとも形成されている空洞(14)であって、少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの残留領域(16a、18a)がマイクロメカニカルコンポーネントに依然として存在する、空洞(14)とを備えており、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなる少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)を備え、少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)によって、電極構造(12)がメンブレン(10)から電気的に絶縁され、および/または少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が空洞(14)から離れて画定されている。本発明はまた、センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントであって、
メンブレン内側部(10a)を備えるメンブレン(10)であって、前記メンブレン内側部(10a)に、電極構造(12)が少なくとも部分的に直接または間接的に接続されている、メンブレン(10)と、
少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの除去された領域によって開放された体積内に少なくとも形成されている空洞(14)であって、前記メンブレン(10)の前記メンブレン内側部(10a)が前記空洞(14)に隣接し、前記メンブレン内側部(10a)に少なくとも部分的に直接または間接的に接続された前記電極構造(12)が、前記空洞(14)によって少なくとも部分的に囲まれており、前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が前記マイクロメカニカルコンポーネントに依然として存在する、空洞(14)と
を備えており、
前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなる少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)を備え、前記少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)によって、前記電極構造(12)が前記メンブレン(10)から電気的に絶縁され、および/または前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の前記少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が前記空洞(14)から離れて画定されている、
ことを特徴とするマイクロメカニカルコンポーネント。
【請求項2】
前記少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が、二酸化ケイ素またはシリコンリッチ窒化ケイ素からなる、請求項1に記載のマイクロメカニカルコンポーネント。
【請求項3】
前記少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)が、前記少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムからなる、請求項1または2に記載のマイクロメカニカルコンポーネント。
【請求項4】
少なくとも1つの導電性構成要素(56)が、少なくとも1つの中間層(24、26、28)としての、基板(22)の基板表面(22a)を少なくとも部分的に覆う配線層(28)に電気的に接触し、前記電極構造(12)が、少なくとも1つのばね形状の導体トラック(54)を介して前記少なくとも1つの導電性構成要素(56)に電気的に接続され、前記少なくとも1つの導電性構成要素(56)、前記少なくとも1つのばね形状の導体トラック(54)、および、前記電極構造(12)が、共通の電極材料層(34)から形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロメカニカルコンポーネント。
【請求項5】
センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法であって、
少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料から少なくとも1つの犠牲層(16、18)を形成することによって、マイクロメカニカルコンポーネントになる部分の空洞(14)になる部分の体積を決定するステップでって、前記空洞(14)になる部分の前記体積によって少なくとも部分的に囲まれる電極構造(12)が形成される、ステップ(S1)と、
前記空洞(14)になる部分を画定するメンブレン内側部(10a)を備える前記マイクロメカニカルコンポーネントになる部分のメンブレン(10)を形成するステップでって、前記電極構造(12)が、前記メンブレン内側部(10a)に少なくとも部分的に直接または間接的に接続される、ステップ(S3)と、
前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの領域を少なくとも除去することによって、前記マイクロメカニカルコンポーネントになる部分の前記空洞(14)を形成するステップでって、前記メンブレン(10)の前記メンブレン内側部(10a)が前記空洞(14)に隣接し、前記メンブレン内側部(10a)に少なくとも部分的に直接または間接的に接続された電極構造(12)が少なくとも部分的に前記空洞(14)によって囲まれ、前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が前記マイクロメカニカルコンポーネントに依然として残るステップ(S4)と
を備えており、
前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなる少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)を形成するステップ(S2)を備え、前記少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)によって、前記電極構造(12)が前記メンブレン(10)から電気的に絶縁され、および/または前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の前記少なくとも1つの残留領域(16a、18a)が前記空洞(14)から離れて画定される、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)の前記少なくとも1つの領域を除去する前記ステップが、前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)のそれぞれの領域をエッチング媒体を用いてエッチングすることによって行われ、前記エッチング媒体に対して、前記少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)の前記少なくとも1つの電気絶縁材料が、前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料よりも高いエッチング耐性を有する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)が、前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料としての二酸化ケイ素から形成される、請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの絶縁領域(20a、20b)が、前記少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムから形成される、請求項5から7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記空洞(14)になる部分の前記体積を決定するため、および前記電極構造(12)を形成するために、基板(22)の基板表面(22a)、および/または前記基板表面(22a)を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの中間層(24、26、28)が、前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)としての第1の犠牲層(16)によって覆われ(S1a)、前記基板(22)とは逆方向の前記第1の犠牲層(16)の側が、少なくとも部分的に電極材料層(34)を用いて覆われ、前記電極材料層(34)の少なくとも部分領域から前記電極構造(12)が形成され(S1b)、前記第1の犠牲層(16)とは逆方向の前記電極材料層(34)の側が、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる前記少なくとも1つの犠牲層(16、18)としての第2の犠牲層(18)を用いて覆われる(S1c)、請求項5から8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
少なくとも1つの導電性構成要素(56)が、前記基板表面(22a)を少なくとも部分的に覆う前記少なくとも1つの中間層(24、26、28)としての配線層(28)と電気的に接触し、前記電極材料層(34)から、前記電極構造(12)に加えて前記少なくとも1つの導電性構成要素(56)およびばね形状の導体トラック(54)が形成され、前記電極構造(12)が、前記少なくとも1つのばね形状の導体トラック(54)を介して、前記少なくとも1つの導電性構成要素(56)に電気的に接続される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記配線層(28)と前記基板表面(22a)との間に、少なくとも1つのさらなる中間層(24、26、28)として二酸化ケイ素層(24)およびシリコンリッチ窒化ケイ素層(26)がさらに形成され、前記空洞(14)になる部分に隣接して、前記二酸化ケイ素層(24)と前記シリコンリッチ窒化ケイ素層(26)との間に少なくとも1つの導体トラック(50)が埋め込まれ、前記少なくとも1つの導体トラック(50)が、前記シリコンリッチ窒化ケイ素層(26)における開口部を通して前記配線層(28)と部分的に電気的に接続されており、前記空洞14を越えて延在することができる、請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントに関する。本発明はまた、センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DE102007029414A1には、静電容量式圧力センサが記載されており、そのメンブレンには、基板に向けて突出した調整可能な電極が形成されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、請求項1の特徴を備えるセンサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネント、および請求項5の特徴を備えるセンサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法を提供する。
【0004】
少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる本発明によって提供されるマイクロメカニカルコンポーネントの少なくとも1つの犠牲層と、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなる同じマイクロメカニカルコンポーネントの少なくとも1つの絶縁領域との本発明による構成により、マイクロメカニカルコンポーネントの空洞を形成するために、少なくとも1つの絶縁領域の損傷または除去のリスクなく少なくとも1つの犠牲層の部分的な除去に適したプロセスが実施され得る。したがって、本発明は、本発明によるマイクロメカニカルコンポーネントそれぞれに少なくとも1つの絶縁領域を備えることを容易にし、少なくとも1つの絶縁領域は、有利には、メンブレンから電極構造を電気的に絶縁し、メンブレン材料層と電極材料層とを電気的に絶縁し、および/または少なくとも1つの犠牲層の少なくとも1つの残留領域を空洞から離して画定するのに適している。したがって、本発明は、従来技術に比べて本発明によるマイクロメカニカルコンポーネントを改良し、さらに、本発明によるマイクロメカニカルコンポーネントを製造するために行う必要がある作業の量、および本発明によるマイクロメカニカルコンポーネントの製造コストの削減に寄与する。
【0005】
少なくとも1つの犠牲層の少なくとも1つの残留領域の画定に使用される少なくとも1つの絶縁領域は、特に「エッチング保護」として、空洞の形成中に少なくとも1つの残留領域の望ましくないエッチングを妨げることができる。同時に、少なくとも1つの電気絶縁材料からなる、少なくとも1つの残留領域を画定するために使用される少なくとも1つの絶縁領域の形成は、それぞれのマイクロメカニカルコンポーネントを通る導電経路の画定を可能にする。
【0006】
マイクロメカニカルコンポーネントの有利な実施形態では、少なくとも1つの残留領域は、二酸化ケイ素またはシリコンリッチ窒化ケイ素からなる。この場合、空洞内の少なくとも1つの犠牲層は、好ましくは二酸化ケイ素からなる。二酸化ケイ素は、多くのエッチング媒体を用いてエッチングされ得、二酸化ケイ素から形成された少なくとも1つの犠牲層の部分的な除去によって空洞の形成が容易に実施可能である。
【0007】
好ましくは、少なくとも1つの絶縁領域は、少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムからなる。ここに挙げた材料は、多くのエッチング媒体に対して有利なエッチング耐性を有し、したがって、少なくとも1つの絶縁領域の損傷または除去の恐れることなく少なくとも1つの犠牲層がエッチングされ得る。
【0008】
特に、少なくとも1つの残留領域は、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料としての二酸化ケイ素からなっていてよく、少なくとも1つの絶縁領域は、少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムからなる。この場合、空洞を形成するためにフッ化水素気相エッチングが実施され得、(フッ化水素に対する)窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および酸化アルミニウムの有利なエッチング耐性により、少なくとも1つの絶縁領域はまったく/ほとんど腐食されない。したがって、本明細書で述べるマイクロメカニカルコンポーネントの実施形態は、容易に実施可能な方法ステップによって比較的安価に製造することができる。
【0009】
マイクロメカニカルコンポーネントの有利な発展形態として、少なくとも1つの導電性構成要素が、少なくとも1つの中間層としての、基板の基板表面を少なくとも部分的に覆う配線層に電気的に接触することができ、電極構造が、少なくとも1つのばね形状の導体トラックを介して少なくとも1つの導電性構成要素に電気的に接続されており、少なくとも1つの導電性構成要素、少なくとも1つのばね形状の導体トラック、および電極構造が、共通の電極材料層から形成されている。以下でより詳細に説明されているように、電極構造はメンブレンの湾曲によって調整可能であるが、有利には、電極構造との電気的接触のために少なくとも1つのばね形状の導体トラックが使用され得る。さらに、少なくとも1つのばね形状の導体トラックの構成、および共通の電極材料層からの電極構造により、少なくとも1つのばね形状の導体トラックを形成するために行う必要がある作業の量は比較的少ない。
【0010】
上述した利点は、センサやマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントに関する対応する製造方法の実施によっても保証され得る。
【0011】
製造方法の有利な実施形態では、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層の少なくとも1つの領域を除去するステップが、少なくとも1つの犠牲層のそれぞれの領域をエッチング媒体を用いてエッチングすることによって行われ、このエッチング媒体に対して、少なくとも1つの絶縁領域の少なくとも1つの電気絶縁材料が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料よりも高いエッチング耐性を有する。したがって、エッチング媒体の適切な選択によって、少なくとも1つの絶縁領域の損傷または除去を甘受する必要なく空洞が形成され得る。
【0012】
製造方法のさらなる有利な実施形態では、空洞になる部分の体積を決定するため、および電極構造を形成するために、基板の基板表面、および/または基板表面を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの中間層が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層としての第1の犠牲層によって覆われ、基板とは逆方向の第1の犠牲層の側が、少なくとも部分的に電極材料を用いて覆われ、電極材料層の少なくとも部分領域から電極構造が形成され、第1の犠牲層とは逆方向の電極材料層の側が、少なくとも部分的に、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層としての第2の犠牲層を用いて覆われる。本明細書で述べる方法ステップは、比較的簡単に実施可能であり、それらの実施にかかるコストは比較的低い。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点を、図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】マイクロメカニカルコンポーネントの実施形態の概略図である。
【
図1b】センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【
図2】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略図である。
【
図3a】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略図である。
【
図3b】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図4】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図5】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図6】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図7】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図8】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図9】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図10】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図11】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図12a】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図12b】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図13a】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【
図13b】マイクロメカニカルコンポーネントのさらなる実施形態の概略部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1aおよび1bは、マイクロメカニカルコンポーネントの実施形態の概略図と、センサまたはマイクロフォンデバイス用のマイクロメカニカルコンポーネントの製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートとを示す。
【0016】
図1aに概略的に示されているマイクロメカニカルコンポーネントは、メンブレン内側部10aを備えるメンブレン10であって、メンブレン内側部10aに、電極構造12が少なくとも部分的に直接または間接的に接続されている、メンブレン10を有する。したがって、電極構造12は、メンブレン10の有利な剛性化をもたらし、全面または少なくとも部分的に孔を形成して作製されていてもよい。マイクロメカニカルコンポーネントの空洞14は、メンブレン10のメンブレン内側部10aが空洞14に隣接するように、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの除去された領域によって開放された体積内に少なくとも形成されている。さらに、メンブレン内側部10aに直接または間接的に接続された電極構造12は、空洞14によって少なくとも部分的に囲まれている。空洞14が、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの除去された領域によって開放された体積内に少なくとも形成されているということは、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの残留領域16aおよび18aがマイクロメカニカルコンポーネントに依然として存在することから明らかである。
【0017】
さらに、マイクロメカニカルコンポーネントは、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなる少なくとも1つの絶縁領域20aを有する。
図1の実施形態では、少なくとも1つの絶縁領域20aによって、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの残留領域16aおよび18aは、空洞14から離れて画定されている。少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料からなるそのような絶縁領域に関するさらなる用途については、以下にさらに述べる。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの残留領域16aおよび18aは、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料としての二酸化ケイ素からなる。この場合、少なくとも1つの絶縁領域20aは、好ましくは、少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムからなる。以下でより詳細に説明されているように、これは、マイクロメカニカルコンポーネントの製造を容易にする。
【0019】
図1aのマイクロメカニカルコンポーネントは、
図1bに概略的に示される製造方法によって製造され得る。したがって、
図1aのマイクロメカニカルコンポーネントのさらなる特徴は、
図1bの製造方法の記載で言及される。
【0020】
本明細書で述べる製造方法では、方法ステップS1で、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料から少なくとも1つの犠牲層16および18を少なくとも形成することによって、マイクロメカニカルコンポーネントになる部分の空洞14になる部分の体積が決定される。さらに、方法ステップS1で、空洞14になる部分の体積によって少なくとも部分的に囲まれる電極構造12が形成される。
【0021】
しかし、任意選択で、方法ステップS1の前に方法ステップS0が実施されてもよい。方法ステップS0として、基板22の基板表面22aは、少なくとも1つの中間層24~28で少なくとも部分的に被覆されてもよい。基板22は、特にシリコン基板であってもよい。少なくとも1つの中間層24~28として、例えば、少なくとも1つの絶縁層24および26、例えば特に二酸化ケイ素層24および/またはシリコンリッチ窒化ケイ素層26が、基板22の基板表面22aに堆積されてもよい。任意選択で、少なくとも1つの中間層24~28として、基板表面22aおよび/または少なくとも1つの絶縁層24および26に配線層28が堆積されてもよい。配線層28から、例えば少なくとも1つの対電極30aおよび30bを形成されてもよく、それらの機能については後述する。任意選択で、基板表面22aの部分表面に配線層28を堆積することによって、少なくとも1つの基板接点32が形成されてもよい。さらに、配線層28から、少なくとも1つの非可撓性の導体トラック(描写せず)および/または少なくとも1つの電気接点(図示せず)が形成されてもよい。配線層28は、特に、ドープされたシリコン/ポリシリコン、および/またはアルミニウムなどの金属、および/または金属ケイ化物などの金属含有層であってもよい。
【0022】
空洞14になる部分の体積を決定するため、および電極構造12を形成するために実施される方法ステップS1は、いくつかのサブステップS1a~S1cを含み得る。まず、サブステップS1aで、基板22の基板表面22a、および/または基板表面22aを少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの中間層24~28が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層16および18としての第1の犠牲層16によって覆われ得る。次に、サブステップS1bとして、基板22とは逆方向の第1の犠牲層16の側が少なくとも部分的に電極材料層34を用いて覆われ得、電極材料層34の少なくとも部分領域から(少なくとも)電極構造12が形成される。選択的に、少なくとも1つの参照電極36も電極材料層34から形成され得る。電極構造12は、配線層28から形成された対電極30aと共に測定容量として相互作用することができ、その一方で、少なくとも1つの参照電極36は、同じく配線層28から形成されて割り当てられた少なくとも1つの参照対電極30bと共に参照容量を形成することができる。任意選択で、配線層28と電極材料層34との少なくとも1つの接触部37も、電極材料層34の材料から形成されてもよい。電極材料層34は、例えばドープされたシリコン/ポリシリコンから形成され得る。サブステップS1bの後にサブステップS1cが実施され得、サブステップS1cで、第1の犠牲層16とは逆方向の電極材料層34の側が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層16および18としての第2の犠牲層18で少なくとも部分的に覆われる。
【0023】
本明細書で述べる製造方法の方法ステップS2では、少なくとも1つの犠牲層16および18の残留領域16aおよび18aになる部分が、少なくとも1つの絶縁領域20aによって、空洞になる部分から離れて画定されるように、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料とは異なる少なくとも1つの電気絶縁材料から少なくとも1つの絶縁領域20aが形成される。これは、第2の犠牲層18から露出/開放される電極材料層34の部分表面に少なくとも1つの電気絶縁材料が堆積されることによって容易に可能である。プラズマエッチングプロセスおよび/またはCMP(化学機械研磨)プロセスなどの後続のプロセスにより、少なくとも1つの電気絶縁材料が、電極材料層34の部分表面の露出/開放のために除去された第2の犠牲層18の領域のみに残るように、第2の犠牲層18から再び除去されてもよい。
【0024】
この代替として、少なくとも1つの電気絶縁材料が、電極材料層34に塗布および構造化されてもよい。第2の犠牲層18の塗布後、電極材料層34上の少なくとも1つの電気絶縁材料の部分表面が開放された場合、(後続のステップS3で)第2の犠牲層18の少なくとも1つの除去された領域にメンブレン材料層38の材料が堆積され得る。このようにして、メンブレン材料層38が電極材料層34と直接接触する少なくとも1つの領域を提供することが可能であり、例えば、これら2つの層間に電気接点を形成し、それと同時に、絶縁領域20aによって電気接点の形成を妨げる少なくとも1つの領域を提供する。有利には、電気接点の形成が妨げられる領域が使用され、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの残留領域16aおよび18aを空洞になる部分から離して画定することができる。
【0025】
本明細書で述べる製造方法のさらなる方法ステップS3では、空洞14になる部分を画定するメンブレン内側部10aを備えるマイクロメカニカルコンポーネントになる部分のメンブレン10が形成され、電極構造12は、メンブレン内側部10aに直接または間接的に接続される。メンブレン10を形成するために、例えば、メンブレン材料層38が、第2の犠牲層18、電極材料層34の露出/開放された部分表面、および/または少なくとも1つの絶縁領域20aに堆積され得る。メンブレン材料層38は、例えばドープされたシリコン/ポリシリコンから形成され得る。
図1aで見られるように、電極構造12は、電極構造12の少なくとも1つの露出/開放された部分表面にメンブレン材料層38を直接堆積することによって、メンブレン10に直接固定可能である。
【0026】
方法ステップS4によって空洞14が形成され、方法ステップS4は、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの領域を除去することを少なくとも含み、メンブレンのメンブレン内側部10aが空洞14に隣接し、メンブレン内側部10aに直接または間接的に接続された電極構造12が少なくとも部分的に空洞14によって囲まれるように実施される。方法ステップS4の実施後、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの残留領域16aおよび18aが、マイクロメカニカルコンポーネントに依然として残る。
【0027】
少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料からなる少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの領域を除去することは、好ましくは、少なくとも1つの犠牲層16および18のそれぞれの領域をエッチング媒体によってエッチングすることによって行われ、このエッチング媒体に対して、少なくとも1つの絶縁領域20aの少なくとも1つの電気絶縁材料が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料よりも大幅に高いエッチング耐性を有する。少なくとも1つの犠牲層16および18が、少なくとも1つの電気絶縁性の犠牲層材料としての二酸化ケイ素から(排他的に)形成され、少なくとも1つの絶縁領域20aが、少なくとも1つの電気絶縁材料としての窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムから(排他的に)形成される限り、エッチング媒体は、例えば液体または気体形態でのフッ化水素であってよい。液体または気体形態でのフッ化水素をエッチング媒体として使用することにより、少なくとも1つの絶縁領域20aの望ましくない(同時)エッチングを恐れることなく、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの領域が迅速かつ確実に除去され得る。
【0028】
したがって、方法ステップS4の実施中、少なくとも1つの絶縁領域20aは、局所的にまたは所定の位置で、メンブレン材料層38と電極材料層34との電気絶縁が行われることを保証し、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの所望の残留領域16aおよび18aがマイクロメカニカルコンポーネントに残る。したがって、少なくとも1つの犠牲層16および18(望ましくないまたは定義されていない)の完全な除去により、横方向のエッチングが少なくとも1つの残留領域16aおよび18a内まで及ぶこと、および/または完成したマイクロメカニカルコンポーネントで安定性の問題が発生することを懸念する必要はない。
【0029】
方法ステップS4を実施するために使用されるエッチング媒体は、例えば、少なくとも1つのエッチングチャネル40を通して導かれてもよい。少なくとも1つのエッチングチャネル40は、(方法ステップS4を終了するために)例えば少なくとも1つの密封層42によって媒体封止および/または気密に密封され得る。少なくとも1つの密封層42は、選択的に、二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、シリコンリッチ窒化ケイ素層、炭化ケイ素層、および/または酸化アルミニウム層などの電気絶縁層、および/または金属層、金属層の組合せなどの導電層、および/またはシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、および/またはドープされたゲルマニウムなどの半導体層であってよい。少なくとも1つの密封層42の代替として、少なくとも1つのエッチングチャネル40を密封するために共晶が使用され得る。共晶として、特に、金-ケイ素共晶、金-ゲルマニウム共晶、金、ケイ素、およびゲルマニウムを含む共晶、アルミニウム-ゲルマニウム共晶、またはアルミニウムおよび/またはゲルマニウムおよび/またはシリコンおよび/または銅を含む共晶を形成して、少なくとも1つのエッチングチャネル40を密封することができる。同様に、メンブレン材料層38、少なくとも1つの犠牲層16および18、電極材料層34、基板22、中間層24~28、および/または、例えば金、ゲルマニウム、アルミニウム、シリコン、および/または銅からなるメンブレン材料層38に追加で塗布される少なくとも1つの層の溶融された材料によって、少なくとも1つのエッチングチャネル40を密封するためのレーザシール法が実施され得る。
【0030】
任意選択の方法ステップS5として、特に拡散バリア46を備えた少なくとも1つの導体トラック44がマイクロメカニカルコンポーネントに形成され得、少なくとも1箇所でメンブレン材料層38と電気的に接触することができる。少なくとも1つの導体トラック44は、選択的に、不動態化層48で少なくとも部分的に覆われてもよく、密封層42などの電気絶縁層に少なくとも部分的に位置し得る。
【0031】
図2は、マイクロメカニカルコンポーネントの第2の実施形態の概略図を示す。
【0032】
上述した実施形態とは対照的に、
図2のマイクロメカニカルコンポーネントでは、電極構造12は、少なくとも1つの電気絶縁材料からなる少なくとも1つの絶縁領域20bによってメンブレン10から電気的に絶縁されている。これは、上述した製造方法の方法ステップS2によって、少なくとも1つの絶縁領域20bによって電極構造12がメンブレン10(になる部分)から電気的に絶縁されるように、少なくとも1つの電気絶縁材料から少なくとも1つの絶縁領域20bが形成されることによって可能である。少なくとも1つの絶縁領域20bに関しても、少なくとも1つの電気絶縁材料として窒化ケイ素、シリコンリッチ窒化ケイ素、炭化ケイ素、および/または酸化アルミニウムが使用され得る。
【0033】
さらに
図2で見られるように、2つの絶縁層24と26の間に形成される少なくとも1つの導体トラック50によって、マイクロメカニカルコンポーネントに電気的「アンダーパス」52が形成され得る。少なくとも1つの電気的「アンダーパス」52によって、接触に使用される導電経路は、少なくとも1つのエッチングチャネル40から容易に離して敷設され得、および/または「電気的クロスオーバ」が実現され得る。2つの絶縁層24と26の間の導体トラック50の位置により、絶縁層26にシリコンリッチ窒化物を使用する場合、酸化ケイ素からなる犠牲層16、18が除去されるときに、同様に酸化ケイ素からなる絶縁層24に対するエッチングによる腐食が生じないことを達成することができ、空洞領域内で導体トラック50までエッチングされるのを回避することができる。導体トラック50と配線層28の少なくとも1つの部分領域との電気的接続、例えば対電極30aおよび/または参照対電極30bへの接続は、絶縁層26の接触穴を通して行うことができる。したがって、(任意選択の方法ステップS0における)少なくとも1つの電気的「アンダーパス」52の形成は、マイクロメカニカルコンポーネントの寿命の延長、および/または導体トラック経路の簡素化、および/またはその配線の複雑性の増加に寄与することがある。
【0034】
図2のマイクロメカニカルコンポーネントと、その製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0035】
図3aおよび3bは、マイクロメカニカルコンポーネントの第3の実施形態の概略図を示す。
【0036】
図3aおよび3bに概略的に示されるマイクロメカニカルコンポーネントは、少なくとも1つの犠牲層16および18の少なくとも1つの残留領域16aおよび18aが空洞14から離れて画定されるための少なくとも1つの絶縁領域20aと、電極構造12をメンブレン10から電気的に絶縁するための少なくとも1つの絶縁領域20bとを有する。さらに、
図3aおよび3bのマイクロメカニカルコンポーネントは、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54を有し、ばね形状の導体トラック54を介して、電極構造12は、配線層28にある電極材料層34から形成される少なくとも1つの導電性構成要素56に電気的に接続されている。したがって、(メンブレン10からの電極構造12の電気的絶縁のための)少なくとも1つの絶縁領域20bがあるにもかかわらず、電極構造12の電気的接触が可能である。材料層34から形成された少なくとも1つの導電性構成要素56は、例えば、少なくとも1つの導体トラックとして、および/または配線層28の電気的接触のための少なくとも1つの電気接点として形成され得る。
【0037】
少なくとも1つのばね形状の導体トラック54は、「電極構造12の外側」にあり得、すなわち電極構造12の外面の少なくとも1つに接続されていてもよく、および/または「電極構造12の内側」、すなわち電極構造12によって縁取って囲まれた体積内に配置されていてもよい。好ましくは、電極構造12は、各場合に、総数が偶数である複数のばね形状の導体トラック54を介して電気的に接触可能である。ばね形状の導体トラック54は、好ましくは、電極構造12を中央で横切る少なくとも1つの鏡映対称面に関して鏡映対称に、または電極構造12の中心点に関して点対称に形成されている。
【0038】
図3aでは、さらに、メンブレン10の電気的接触58および配線層28の電気的接触60もマークされている。
【0039】
少なくとも1つのばね形状の導体トラック54は、方法ステップS1/サブステップS1bで、電極構造12に加えて電極材料層34から形成され得、電極構造12が、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54を介して、配線層28にある電極材料層34から形成された少なくとも1つの導電性構成要素56に電気的に接続される。
図3bで見ることができるように、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54は、例えば、中心軸に沿って延びるウェブ形状のばねとして形成されていてもよい。
【0040】
図3aおよび3bのマイクロメカニカルコンポーネントと、その製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0041】
図4および5はそれぞれ、マイクロメカニカルコンポーネントの第4および第5の実施形態の概略部分図を示す。
【0042】
図4および5でそれぞれ見ることができるように、ウェブ形状のばねとして形成された少なくとも1つのばね形状の導体トラック54は、電極構造12とは逆方向のその端部に、分岐部/櫛状部を有し得る。この場合、分岐部/櫛状部の両端は、電極材料層34から形成された導電性構成要素56を介して配線層28に電気的に接触することができる。分岐部/櫛状部は、ウェブ形状のばねの軸に垂直に形成された分岐部/櫛状部として(
図4)、ウェブ形状のばねの軸に対してある角度で形成された分岐部/櫛状部として(
図5)、または丸みのある分岐部/櫛状部として形成されていてもよい。さらに、少なくとも1つの導体トラック54は、少なくとも1つのねじりばね構造57を介して電極構造12に接続すされていてもよい。
【0043】
図4および5のマイクロメカニカルコンポーネントと、それらの製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0044】
図6および7はそれぞれ、マイクロメカニカルコンポーネントの第6および第7の実施形態の概略部分図を示す。
【0045】
ウェブ形状のばねとして形成された少なくとも1つのばね形状の導体トラック54への代替または追加として、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54はU字形ばねの形で形成されていてもよい。少なくとも1つのU字形ばねはそれぞれ、互いに平行に延びる2つの外側セクションと、2つの外側セクションを接続する中央セクションとを含むことができる。例えば、互いに逆方向の電極構造12の2つの側に、ばね形の導体トラック54としてそれぞれ2つのU字形ばねが形成されていてもよい。電極構造12の同じ側に配置された2つのU字形ばねは、選択的に、それらの中央部が互いに向きを揃えられるように(
図6)、またはそれらの中央部が互いに逆方向になるように(
図7)配置されていてもよい。さらに、少なくとも1つのU字形ばねの2つの互いに平行に延びる外側セクションは、異なる長さでもよい。さらに、2つの外側セクションをつなぐ中央セクションは、少なくとも1つのU字形ばねを電極構造12に接続するウェブ形状のセクションと同じ長さを有しても、異なる長さを有してもよい。さらに、複数のU字形ばねを直列につなぐこともできる。基本的には、電極構造12の周囲で任意の位置にばね構造を固定することが可能である。
【0046】
図6および7のマイクロメカニカルコンポーネントと、それらの製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0047】
図8は、マイクロメカニカルコンポーネントの第8の実施形態の概略部分図を示す。
【0048】
上述した形状の少なくとも1つのばね形状の導体トラック54への代替または追加として、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54はO字形ばねの形状で形成されてもよい。少なくとも1つのO字形ばねはそれぞれ、軸に沿って延びる2つの外側セクション61aと、軸に垂直に延びる2つの中間セクション61bと、軸に平行に延びる2つの中央セクション61cとを含むことができ、2つの中間セクション61bは、それぞれの中央セクション61cを介して互いに接続されており、外側セクション61aはそれぞれ別の中間セクション61bに接続されている。少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の上述したすべての形状は、さらに、電極構造12に形成された凹部62内に突出してもよい。
【0049】
図8のマイクロメカニカルコンポーネントと、その製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0050】
図9~11はそれぞれ、マイクロメカニカルコンポーネントの第9、第10、および第11の実施形態の概略部分図を示す。
【0051】
図9~11で見ることができるように、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54は、電極構造12によって縁取って囲まれた体積64内に配置されていてもよい。このようにすると、少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の特に省スペースの配置が実現される。少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の上述した形状はすべて、好ましくは、電極構造12によって縁取って囲まれた体積64内に偶数の総数で、例えば2つのU字形ばね(
図10)または4つのU字形ばね(
図9)として配置されていてもよい。偶数の総数に関係なく、ばね形状の導体トラック54は、選択的に、電極構造12を中央で横切る少なくとも1つの鏡映対称面に関して鏡映対称に(
図9)、または電極構造12の中心点に関して点対称に(
図10)形成されていてもよい。それらの形状およびそれらの総数に関係なく、ばね形状の導体トラック54はさらに、体積64内に突出した中央接触領域66を取り囲むことができ、中央接触領域66に、ばね形状の導体トラック54が機械的および電気的に接続されている。
【0052】
図11の例では、ばね形状の導体トラック54はそれぞれ、半円形トラックの形状で形成されており、電極構造12を中央で横切る鏡映対称面に関して鏡映対称に形成されたこれら2つのばね形状の導体トラック54は中央接触領域66を縁取って囲み、中央接触領域66にばね形状の導体トラック54が機械的に接続されており、場合によっては電気的にも接続されている。それぞれ半円トラックの形状での2つのばね形状の導体トラック54の代わりに、それぞれ四分円トラックの形状での4つの鏡映対称のばね形状の導体トラック54は中央接触領域66に接続されており、中央接触領域66を縁取って囲むこともできる。
【0053】
図9~11のマイクロメカニカルコンポーネントと、それらの製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0054】
図12aおよび12bは、マイクロメカニカルコンポーネントの第12の実施形態の概略部分図を示す。
【0055】
図12aのA-A’線に沿って延びる
図12bの断面によって見ることができるように、メンブレン10に対して垂直向きの少なくとも1つのばね形状の導体トラック54のばね厚d
springは、メンブレン10に対して垂直向きの電極構造12の最小電極厚さd
electrodeよりも小さくすることができる。メンブレン10に対して垂直向きの電極構造12の最小電極厚さd
electrodeよりも小さいメンブレン10に対して垂直向きのばね厚さd
springを有する少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の構成は、それぞれのばね形状の導体トラック54の形状に関係なく、それらの総数にも関係なく、それらの鏡映対称性または点対称性にも関係なく、およびそれらの「電極構造12の外側」および/または「電極構造12の内側」での配置にも関係なく可能である。
【0056】
図12aおよび12bのマイクロメカニカルコンポーネントと、その製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0057】
図13aおよび13bは、マイクロメカニカルコンポーネントの第13の実施形態の概略部分図を示す。
図13bは、
図13aのB-B’線に沿った断面を示す。
図13aおよび13bの少なくとも1つのばね形状の導体トラック54も、電極構造12によって縁取って囲まれた体積64内に配置されている。少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の形状に関係なく、それらの総数にも関係なく、かつそれらの鏡映対称性または点対称性にも関係なく、体積64を通って突出した少なくとも1つの補強ビーム68が、メンブレン10に向いた側で少なくとも1つのばね形状の導体トラック54の上にまたがることもできる。メンブレンに接続された少なくとも1つの補強ビーム68は、メンブレンの剛性を改良することができる。
【0058】
図13aおよび13bのマイクロメカニカルコンポーネントと、その製造に適した製造方法とのさらなる特性および特徴については、前述の実施形態を参照されたい。
【0059】
ばね形状の導体トラック54に関する上で説明したすべての例は、電極構造12への可撓性の電気的導体トラックラインを実現可能である。
【0060】
上で説明した例の代替実施形態では、残留領域16aおよび18aはシリコンリッチ窒化ケイ素からなることもあり、空洞の領域内で犠牲層16および18は酸化ケイ素からなる。この構成を生成するために、好ましくは、まず酸化ケイ素からなる犠牲層16が堆積され、犠牲層16は、空洞領域になる部分である外側部分、すなわち残留領域16aで除去される。その後、シリコンリッチ窒化ケイ素層が酸化ケイ素から堆積される。ここで、空洞領域において犠牲層16上のシリコンリッチ窒化ケイ素層が除去されるようにCMPステップが実施されると、空洞領域において、酸化ケイ素からなる犠牲層16が得られ、犠牲層16は、シリコンリッチ窒化ケイ素からなる残留領域16aによって囲まれている。同様に、シリコンリッチ窒化ケイ素からなる残留領域18aおよび酸化ケイ素からなる犠牲層18の生成が可能である。さらに、酸化ケイ素で充填されたエッチングチャネル40もこのようにして生成することができ、エッチングチャネル40は、シリコンリッチ窒化ケイ素によって横方向で画定され、エッチングチャネル40を通してエッチング媒体を導くことができ、エッチング媒体は、空洞領域での犠牲層16および18を除去するのに役立つ。
【0061】
さらに、上述したすべてのマイクロメカニカルコンポーネントは、センサまたはマイクロフォンデバイス、特に圧力センサに有利に適している。メンブレン内側部10aとは逆方向のメンブレン10のメンブレン外側/検出側での圧力変化による、またはメンブレン外側/検出側での音波の衝突による電極構造12の良好な調整可能性が、上述したすべてのマイクロメカニカルコンポーネントで実現され、電極構造12および対電極30aから形成される測定容量の容量変化は、圧力変化または音波強度に応じて(ほぼ)線形に変化する。
【国際調査報告】