(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】色変化を定量化するシステム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/58 20060101AFI20230303BHJP
G01J 1/50 20060101ALI20230303BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
G01J1/58
G01J1/50
G01J3/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542942
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2021050530
(87)【国際公開番号】W WO2021144288
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522279830
【氏名又は名称】インテレゴ テクノロジーズ アーベー(スウェーデン)
【氏名又は名称原語表記】INTELLEGO TECHNOLOGIES AB (SWEDEN)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】クラエス リンダール
【テーマコード(参考)】
2G020
2G065
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA02
2G020DA05
2G020DA32
2G020DA35
2G020DA42
2G065AA02
2G065AA04
2G065AB05
2G065BA04
2G065BA28
2G065BA36
2G065BC14
2G065BC33
2G065BC35
(57)【要約】
比色インジケータ(15)の色変化を定量化するシステム(5)であって、比色インジケータ(15)を含む物体(10)の画像を取得するよう構成された撮像装置(22)と、取得画像を比色インジケータ(15)に関連する基準データ(30)と比較して、取得画像に関連する定量的出力(28)を生成するよう構成された処理装置(20)と
を備えたシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比色インジケータの色変化を定量化するシステムであって、
前記比色インジケータを含む物体の画像を取得するよう構成された撮像装置と、
前記取得画像を前記比色インジケータに関連する基準データと比較して、前記取得画像に関連する定量的出力を生成するよう構成された処理装置と
を備えたシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記出力は、前記比色インジケータの色変化を表すシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムにおいて、前記処理装置は、各比色インジケータにそれぞれが関連する複数の基準データセットを評価可能であるシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、システムは、携帯型ユーザ装置又は移動監視装置を備え、前記携帯型ユーザ装置又は前記移動監視装置は、前記撮像装置及び/又は前記処理装置を含むシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記撮像装置は、前記携帯型ユーザ装置又は前記移動監視装置のカメラを含むシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記処理装置は、前記取得画像の画像解析を行うよう構成されるシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記処理装置は、前記取得画像の色を前記比色インジケータに関連する前記基準データの色と比較するよう構成されるシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記基準データの色は、標準カラースケールで記憶、表現、及び/又は変換されるシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記取得画像の色は、標準カラースケールで変換、表現、及び/又は記憶されるシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記定量的出力は、前記撮像画像の色に関連し、且つ/又は前記比色インジケータの色変化を表すシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記物体は、少なくとも1つの基準色領域をさらに含み、該少なくとも1つの基準色領域は、所定の状態の前記インジケータの色に対応し、システムは、前記少なくとも1つの基準色領域の画像を撮像するよう構成されるシステム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、所定の光度で撮像中の前記物体を照明するよう構成されたシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記撮像画像を正規化するよう構成されたシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記物体上の正規化領域の画像を撮像することにより正規化が行われるシステム。
【請求項15】
比色インジケータの色変化を定量化するシステムであって、
前記比色インジケータを含む物体と、
該物体及び/又は前記比色インジケータの画像を取得するよう構成された撮像装置と、
前記取得画像を前記比色インジケータに関連する基準データと比較して、前記取得画像に関連する定量的出力を生成するよう構成された処理装置と
を備えたシステム。
【請求項16】
比色インジケータの色変化を定量化する方法であって、
前記比色インジケータを含む物体の画像を取得するステップと、
前記取得画像を前記比色インジケータに関連する基準データと比較するステップと、
前記取得画像に関連する定量的出力を生成するステップと
を含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、撮像装置を用いて前記画像を取得するステップを含む方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法において、処理装置を用いて前記画像を処理するステップを含む方法。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか1項に記載の方法において、前記処理装置を用いて前記取得画像を基準データと比較するステップを含む方法。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか1項に記載の方法において、前記撮像装置で撮像する物体又はインジケータのタイプを選択する予備ステップを含む方法。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか1項に記載の方法において、前記画像の取得前に前記撮像装置を前記物体に対して配置するために、前記撮像装置上でテンプレートを用いるステップを含む方法。
【請求項22】
請求項16~21のいずれか1項に記載の方法において、前記取得画像を正規化するステップを含む方法。
【請求項23】
コンピュータプログラムであって、プログラムが処理装置により実行されると、前記処理装置に
比色インジケータを含む物体の画像を取得させ、
前記取得画像を前記比色インジケータに関連する基準データと比較させ、且つ
前記取得画像に関連する定量的出力を生成させる
命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項24】
少なくとも1つのプロセッサ、データストレージ、及び通信システムを備えた処理装置であって、前記データストレージは請求項23のコンピュータプログラムを記憶し、前記少なくとも1つのプロセッサは請求項23のコンピュータプログラム製品を処理するよう構成される処理装置。
【請求項25】
請求項23のコンピュータプログラムを備えたコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
コンピュータプログラムであって、プログラムが処理装置により実行されると、該処理装置に請求項16の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変化を定量化するシステム及び方法に関する。特に、限定はされないが、本発明は、比色インジケータの色変化を表す定量化された出力を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一定量の特定の化合物又は放射線への曝露を(色変化により)視覚的に指示する多くの製品が存在する。このような製品は、通常は1つ又は複数の比色インジケータを含む。例えば、比色インジケータは、反応性染料又はインクの光学的特性に依拠する。これらの染料は、少なくとも2つの異なる化学的状態にあることができ、染料の各形態が特定の波長域の光を吸収する。このような第1形態で存在する反応性染料は、所与の物質に曝露されると、可逆的な化学反応により物質と反応することにより染料の第2形態に変わる。染料の第2形態は、異なる波長の光を吸収するので、化学反応による色変化を観察者は視認できる。比色インジケータは、使用目的、及びインジケータの色変化を引き起こす化学物質、放射線、又は刺激に応じて、可逆的な色変化又は不可逆的な色変化を示すよう構成され得る。紫外線(UVR)の照射に反応する比色インジケータの一例が特許文献1(Mills他)に開示されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0003】
表面を所与のタイプの放射線に曝露することが望まれるか若しくは意図される場合があり、又は望ましくないか若しくは意図されない場合がある。
【0004】
例えば、皮膚を直射日光に曝露することが望まれる場合があり、ある程度は有益であり得るが、紫外線の過剰曝露は認識される健康被害である。特定のタイプ及び/又は量の紫外線への曝露後に色変化を示す比色インジケータを含む特定の製品、Smartsun(商標)という名称で市販されているステッカー又はリストバンド等が存在する。これは、所定量の紫外線への曝露に関連した視覚的な指示をユーザに与える。
【0005】
滅菌及び消毒に関する別の例では、製品は、一定量のUVC放射への曝露後に色変化を示す比色インジケータを含む。これは、UVC放射への曝露に関連した視覚的な指示をユーザに提供する。UVC照射は、例えば医療環境又は食品産業において表面を消毒及び滅菌する既知の技術である。
【0006】
他の製品は、二酸化炭素、酸素、アンモニア等の特定の化合物又は化学物質に曝露されると色変化を示す比色インジケータに依拠する。これらは、食品産業において有用であり得る。
【0007】
比色インジケータを組み込んだ製品は、所与のタイプの放射線、刺激、又は化学物質への曝露の可能性の有用な指示を与えるが、これらのシステムの課題は、所与の色変化の視覚的評価が困難であり得ると共に、このような評価に基づく後続の決定時に非生産的又は危険でさえあり得る解釈をされやすい場合があることである。
【0008】
あるシステムは、比色インジケータに関連した色変化を表す定量化評価を提供することを試みてきた。このようなシステムの一例は、特許文献2(Balooch他)に開示されており、これは、個人の紫外線(UV)放射測定を決定するためのシステムであって、UV照射を測定するように構成された測定装置と、測定装置からの測定されたUV照射の出力を受け取り又はキャプチャするように構成された端末装置とを備えるシステムを開示している。しかしながら、UV放射曝露を測定するよう構成された測定装置は、UV放射曝露に対して異なる感度を各々が有する複数の異なるセクションだけでなく、異なる対応するUV曝露レベルを各々が示すための、複数の異なる固定の基準色も含む表面を含み、複数の異なる固定の基準色は、UV放射曝露に対して異なる感度を各々が有する複数の異なるセクションの間に埋め込まれてこれらと混在する。したがって、このシステムは、色変化領域及び固定の基準色領域の両方を有する画像のキャプチャに依拠するので、不整合の可能性があり信頼性に欠け得る。実際に、固定の色基準領域は、経時的に又は使用中に退色、変色、又は損傷し得る。さらに、このような基準領域のキャプチャされた画像は、入射光、角度等の条件毎に異なって見える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2010/070290号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0191866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術に関連した1つ又は複数の問題に対処し且つ/又はこれらを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様によれば、比色インジケータの色変化を定量化するシステムであって、
比色インジケータを含む物体の画像を取得するよう構成された撮像装置と、
取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較して、取得画像に関連する定量的出力を生成するよう構成された処理装置と
を備えたシステムが提供される。
【0012】
出力が、比色インジケータの色変化を表し得るのが有利である。
【0013】
通常、比色インジケータは物体の表面に設けられ得る。撮像装置は、比色インジケータを含む物体の表面の画像を撮像又は取得するよう構成され得る。
【0014】
比色インジケータは、物体の表面下、例えば物体のバルク部分に設けられ得る。撮像装置は、比色インジケータを含む物体の画像を撮像するよう構成され得る。このような場合には、比色インジケータを含む物体のバルク材料は、比色インジケータの目視を可能にするように実質的に透明且つ/又は半透明であり得る。
【0015】
基準データは、比色インジケータに固有であり得る。比色インジケータは、基準データの各セットに関連し得る。
【0016】
処理装置は、比色インジケータに関連する基準データを含み得る。処理装置は、比色インジケータに関連する基準データを含むハードウェアを含み得る。処理装置は、各比色インジケータにそれぞれ関連する複数の基準データセットを含み得る。
【0017】
処理装置は、基準データ、例えば比色インジケータに関連する基準データにアクセス可能、例えば処理装置から遠隔に記憶された基準データにアクセス可能であり得る。例えば、処理装置は、有線、Bluetooth、又はWi-Fi接続により、且つ/又は任意の他のタイプの接続により基準データにアクセス可能であり得る。基準データは、リモートサーバ、ネットワークアタッチドストレージ(NAS)、データストア及び/又はそれに類するものに記憶され得る。
【0018】
処理装置は、各比色インジケータにそれぞれ関連する複数の基準データセットにアクセス可能であり得る。
【0019】
比色インジケータは、放射線、化学物質若しくは化合物、又は任意の他の刺激への曝露に反応して色変化を示すことが可能であり得る。比色インジケータは、UV放射、例えばUVA、UVB、及び/又はUVC放射への曝露に反応して色変化を示すことが可能である。比色インジケータは、UVインジケータであり得るか又はUVインジケータを含み得る。
【0020】
一実施形態において、比色インジケータは、UVA及び/又はUVBインジケータであり得る。物体は、バンド、パッチ、ステッカー、テープ等の着用品の形態で設けることができる日焼けインジケータであり得る。
【0021】
別の実施形態において、比色インジケータはUVCインジケータであり得る。物体は、消毒インジケータ及び/又は滅菌インジケータであり得る。
【0022】
比色インジケータは、第1色に関連する第1状態を有し得る。第1状態及び/又は第1色は、色変化無しに関連し得る。例えば、第1状態及び/又は第1色は、対応する化学物質、放射線、又は刺激へのインジケータの曝露がないことに、又は対応する化学物質、放射線、又は刺激へのインジケータの曝露が所定且つ/又は閾値活性化レベル未満であることに関連し得る。
【0023】
比色インジケータは、第2色に関連する第2状態を有し得る。第2状態及び/又は第2色は、完全又は最終色変化に関連し得る。例えば、第2状態及び/又は第2色は、対応する化学物質、放射、又は刺激へのインジケータの完全な曝露に、又は対応する化学物質、放射、又は刺激へのインジケータの曝露が所定且つ/又上限活性化レベルを超えることに関連し得る。
【0024】
比色インジケータは、対応する中間色にそれぞれ関連する1つ又は複数の中間状態を有し得る。1つ又は複数の中間状態及び/又は1つ又は複数の中間色は、第1状態及び/又は第1色と第2状態及び/又は第2色との間の1つ又は複数の状態及び/又は色であり得るか又はこれを含み得る。各中間状態及び/又は中間色は、刺激、例えば放射線及び/又は化学物質への所定レベルの曝露に関連し得る。
【0025】
第1状態及び/又は第1色、中間状態(単数又は複数)及び/又は中間色(単数又は複数)、及び第2状態及び/又は第2色のそれぞれが、刺激、例えば放射線及び/又は化学物質への所定レベルの曝露にそれぞれ対応し且つ関連し得る。比色インジケータは、1つ又は複数のさらなる状態を有し得る。
【0026】
本システムは、移動/携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ファブレット、スマートアシスタント、及び/又はそれに類するもの等の携帯型ユーザ装置を含み得るか又はこれに含まれ得る。撮像装置及び/又は処理装置は、携帯型ユーザ装置の撮像装置及び/又は処理装置であり得る。
【0027】
本システムは、監視装置を含み得るか監視装置に含まれ得る。
【0028】
監視装置は、1つ又は複数の撮像装置及び1つ又は複数の処理装置を含み得る静的監視装置であり得る。例えば、静的監視装置は、設定された場所に、例えば部屋の中又は周囲、実験室、廊下、開放空間等に配置された1つ又は複数の撮像装置を含み得る。
【0029】
監視装置は、1つ又は複数の撮像装置及び1つ又は複数の処理装置を含み得る移動監視装置であり得る。このような場合には、移動監視装置は、所定の面積内で移動可能であり得るロボットであり得るか又はこれを含み得る。例えば、ロボットは、室内を移動可能にプログラムされ得るか又は移動可能であり得ると共に、物体又は複数の当該物体を検出可能であり得る。ロボットは、例えばQRコード、バーコード等の物体上の基準マークの検出により、1つ又は複数の物体をロボットが検出できるようにする1つ又は複数のカメラを含み得る。物体が検出されると、ロボットは、上述のように物体の画像を取得するよう構成され得る。
【0030】
ロボットは、取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較して、取得画像に関連する定量的出力を生成するよう構成され得る。代替として、ロボットは、取得画像を記憶するよう構成することができ、取得画像と比色インジケータに関連する基準データとの比較、及び取得画像に関連する定量的出力の生成は、別個に実行され得る。換言すれば、処理装置は、移動監視装置、例えばロボットの一部であり得るか、又はこれから遠隔に設けられ得る。
【0031】
移動監視装置、例えばロボットは、撮像装置及び処理装置を含み得るのが有利である。それにより、移動監視装置、例えばロボットは、物体の画像を取得可能であり得ると共に、取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較して取得画像に関連する定量的出力を生成することが可能であり得る。
【0032】
移動監視装置、例えばロボットは、定量的出力に基づきアクションを起こす、例えば信号又はコマンドを送るよう構成され得る。例えば、物体がUVCインジケータを含む場合、移動監視装置、例えばロボットは、物体の場所に照射されたUVCの線量を変更又は調整するよう信号又はコマンドを送ることが可能であり得る。これは、持続的又は実質的に連続的なレベルの滅菌が望ましい場合の医療環境で特に有利であり得る。したがって、移動監視装置、例えばロボットが生成した定量的出力が所定レベル未満である場合、移動監視装置、例えばロボットは、物体の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の増加をトリガし得るコマンド又は信号を送り得る。移動監視装置、例えばロボットが生成した定量的出力が所定レベルを超える場合、移動監視装置、例えばロボットは、物体の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の低減をトリガし得るコマンド又は信号を送り得る。移動監視装置、例えばロボットが生成した定量的出力が所定レベル又はその付近である場合、移動監視装置、例えばロボットは、コマンド又は信号を一切送らなくてもよく、又は物体の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の維持をトリガし得るコマンド又は信号を送ってもよい。
【0033】
プロセッサは、例えばアプリケーション、アプレット、スクリプト、又は他のコンピュータコードに埋め込まれたコンピュータコードを用いて、上述のように動作するよう適切にプログラムされ得る。
【0034】
通常、撮像装置はカメラを含み得るか又はカメラであり得る。撮像装置は、移動/携帯電話、スマートフォン等の電子装置の一部を形成し得る。
【0035】
処理装置はアプリケーションを含み得るか又はアプリケーションであり得る。処理装置は、移動/携帯電話、スマートフォン等の電子装置を含み得るかこれに設けられ得る。
【0036】
撮像装置及び処理装置は、移動/携帯電話、スマートフォン等の携帯型電子装置に設けられ得るか又はこれによりサポートされ得る。代替として、撮像装置及び処理装置は、別個の装置に設けられ得るか又は別個の装置によりサポートされ得る。
【0037】
処理装置は、撮像画像の画像解析を行うよう構成され得る。
【0038】
処理装置は、撮像画像を比色インジケータに関連する基準データと比較するよう構成され得る。
【0039】
処理装置は、撮像画像の色を比色インジケータに関連する基準データの色と比較するよう構成され得る。
【0040】
基準データの色、例えば、第1色、中間色(単数又は複数)、及び第2色の、及び場合によっては1つ又は複数のさらなる色のそれぞれは、例えば任意の既知の色標準からの標準及び/又は均等カラースケールで記憶、表現、及び/又は変換され得る。通常、基準データの色は、標準及び/又は均等カラースケールで表現及び/又は記憶され得る。
【0041】
例えば比色インジケータの撮像画像の色(単数又は複数)は、例えば処理装置により、任意の既知の色標準からの標準及び/又は均等カラースケールで変換、表現、及び/又は記憶され得る。通常、例えば比色インジケータの撮像画像の色(単数又は複数)は、処理装置により標準及び/又は均等カラースケールに変換され得ると共に、処理装置により標準及び/又は均等カラースケールで任意に記憶され得る。従来は、基準データの色及び/又は撮像画像の色は、「L*a*b*」カラースケールで記憶、表現、及び/又は変換され得る。L*a*b*スケールでは、色が3つの数値L*、a*、及びb*で表現され、L*は黒色(0)から白色(100)の明度を表し、a*は緑色(-)から赤色(+)の緑/赤値を表し、b*は青色(-)から黄色(+)の青/黄値を表す。L*a*b*スケールの使用により、視認される色変化の量をL*a*b*色値の対応する数値変化量に客観的に一貫して確実に表現又は変換できるのが有利である。
【0042】
L*a*b*スケールを用いると、色変化がデルタ値ΔL*、Δa*、及びΔb*として表現され、全体的な色変化を表す総合色差ΔE*を計算することができる。
【0043】
処理装置は、L*a*b*カラースケールで表現された撮像画像の色をL*a*b*カラースケールで表現された基準データの色と比較するよう構成され得る。
【0044】
処理装置は、撮像画像の色と基準データの第1色との間の色差値ΔE*を計算することにより、比色インジケータの色変化を計算するよう構成され得る。
【0045】
本システム、例えば処理装置は、撮像画像の色に関連し且つ/又は色変化に関連する定量的出力を生成し得る。定量的出力は、比色インジケータの色変化を表し得るのが有利である。
【0046】
定量的出力の生成により、システムが使用時に比色インジケータの色の確実で一貫した評価を行うことができるのが有利である。
【0047】
定量的出力は、英数字値を含み得るか又は英数字値として表現され得る。例えば、撮像画像の色が基準データの第1色と実質的に同様である場合、定量的出力は、「0」若しくは「1」等の数値であり得るか、又は「PASS(適)」若しくは「SAFE(安全)」若しくは「NO CHANGE(変化無し)」等の字句を含み得る。撮像画像の色が基準データの第1色と実質的に同様である場合、定量的出力は、「0」若しくは「1」等の数値であり得るか、又は「PASS」若しくは「SAFE」若しくは「NO CHANGE」等の字句、又は第1色に関連する任意の他の意味のある出力を含み得る。
【0048】
撮像画像の色が基準データの第2色と実質的に同様である場合、定量的出力は、「5」、「10」、「100」等の数値若しくはカラースケールの上端を表し得る任意の他の選択数であり得るか、又は「FAIL(否)」若しくは「UNSAFE(非安全)」等の字句又は第2色に関連する任意の他の意味のある出力を含み得る。
【0049】
本システム、例えば処理装置は、1つ又は複数の中間色に関連する定量的出力を生成し得る。撮像画像の色が基準データの中間色と実質的に同様又はこれに最も近い場合、定量的出力は、「1」、「2」、「3」、「4」等の数値若しくは任意の他の数であり得るか、又は「PASS」、「FAIL」、「SAFE」、「UNSAFE」等の字句若しくは各中間色に関連する任意の他の意味ある出力を含み得る。各中間色は、対応する定量的出力に関連し得るか又はこれを有し得る。
【0050】
したがって、各定量的出力は、撮像画像の色が第1色、第2色、若しくは中間色のいずれかと実質的に同一であるか又は第1色、第2色、若しくは中間色のいずれかに対して所定の類似レベル内にある場合に、処理装置により生成され得る。
【0051】
物体は、少なくとも1つ基準色領域をさらに含み得る。少なくとも1つの基準色領域は、第1色、第2色、及び中間色のいずれかに対応し得る。これにより、使用の際、ユーザ又は観察者は、本システムからの定量的出力と、インジケータの色を少なくとも1つの基準色領域の色と比較することによる目視評価とを得ることが可能であり得る。少なくとも1つの基準色領域のうち1つ又は複数は、その/各基準色領域(単数又は複数)の色を認定する、例えば英数字での情報を含み得るか又はこれに関連し得る。
【0052】
本システム、例えば処理装置は、少なくとも1つの基準色領域の画像を撮像するようにも構成され得る。1つ又は複数の基準領域の色は、例えば処理装置により標準及び/又は均等カラースケール、例えばL*a*b*カラースケールで変換、表現、及び/又は記憶され得る。本システム、例えば処理装置は、L*a*b*カラースケールで表現されたインジケータの撮像画像の色をL*a*b*カラースケールで表現された基準領域の色(単数又は複数)と比較するよう構成され得る。処理装置は、インジケータの撮像画像の色と1つ又は複数の基準領域における撮像画像の色との間の色差値ΔE*を計算することにより、比色インジケータの色変化を計算するよう構成され得る。本システム、例えば処理装置は、インジケータと少なくとも1つの基準領域との間の撮像画像の色に関連する定量的出力、例えば第2定量的出力を生成し得る。これにより、基準データに基づく第1定量的評価に加えてさらなる定量的評価が得られる。
【0053】
本システム、例えば撮像装置は、例えば撮像中に物体を照明するよう構成され得る。本システム、例えば撮像装置は、所定の光度で、例えば約5ルーメン~500ルーメン、例えば約10ルーメン~100ルーメンで物体を照明するよう構成され得るのが有利である。従来は、本システム、例えば撮像装置は、カメラフラッシュ、例えば撮像に用いられるカメラのフラッシュを用いて物体を照明するよう構成され得る。撮像時に所定の光度で物体を照明することで、本システム又は撮像装置により測定された色(単数又は複数)の一貫性及び信頼性が向上し得るのが有利である。本システム、又は処理装置は、撮像画像を正規化するよう構成され得る。本システム、例えば処理装置は、輝度等の周辺光条件に基づき、撮像画像の、例えばインジケータ領域の色測定を調整するよう構成され得る。正規化は、正規化領域の撮像により行うことができる。正規化領域は、特定の色にそれぞれが対応する複数の部分を通常は含み得る。通常、正規化領域はグレースケール領域を含み得る。正規化領域は、例えば、複数の別個のグレースケール部分、例えば白色部分、50%灰色部分、及び黒色部分等の3つの部分を含み得る。正規化領域、例えばグレースケール領域は、一実施形態においてC51、M43、Y30、及びK59のCMYK色値を有し得る単一のグレースケール部分を含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、観察者にとっての艶消しの灰色表面の見た目の輝度は、観察者の視野角とは無関係であると考えられる。したがって、グレースケール基準領域を設けることで、撮像中の正規化のための標準部分が得られる。曝露を測定する手段を設けることに加えて、グレースケール基準領域は、ホワイトバランス又はカラーバランスに好都合な基準を提供し、処理装置がシステムに対して撮像時のさまざまな照明源を補償することを可能にし得る。
【0054】
第2態様によれば、比色インジケータの色変化を定量化するシステムであって、
比色インジケータを含む物体と、
物体及び/又は比色インジケータの画像を取得するよう構成された撮像装置と、
取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較して、取得画像に関連する定量的出力を生成するよう構成された処理装置と
を備えたシステムが提供される。
【0055】
第1態様によるシステムに関して記載した特徴は、第2態様によるシステムに関しても該当し、単に簡単のためにここでは繰り返さない。
【0056】
第3態様によれば、比色インジケータの色変化を定量化する方法であって、
比色インジケータを含む物体の画像を取得するステップと、
取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較するステップと、
取得画像に関連する定量的出力を生成するステップと
を含む方法が提供される。
【0057】
本方法は、撮像装置を用いて画像を取得するステップを含み得る。
【0058】
本方法は、処理装置を用いて画像を処理するステップを含み得る。本方法は、処理装置を用いて撮像又は取得画像を基準データと比較するステップを含み得る。本方法は、処理装置を用いて定量的出力を生成するステップを含み得る。
【0059】
本方法は、取得画像の画像解析を行うステップを含み得る。
【0060】
本方法は、処理装置を用いて取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較するステップを含み得る。
【0061】
本方法は、L*a*b*カラースケールで表現された取得画像の色をL*a*b*カラースケールで表現された基準データの色と比較するステップを含み得る。
【0062】
本方法は、取得画像の色と基準データの第1色との間の色差値ΔE*を計算することにより、比色インジケータの色変化を計算するステップを含み得る。
【0063】
本方法は、取得画像の色に関連し且つ/又は色変化に関連する定量的出力を生成するステップを含み得る。本方法は、比色インジケータの色変化を表す定量的出力を生成するステップを含み得るのが有利である。
【0064】
本方法は、取得画像、取得画像から導出された(例えばL*a*b*スケールの)色値、及び/又は取得画像の色に関連する定量的出力のうち1つ又は複数に関連する情報、データ、又はファイルを記憶するステップを含み得る。
【0065】
本方法は、第1又は第2態様のシステム、第4態様のコンピュータプログラム、第5態様の処理装置、第6態様のコンピュータ可読記憶媒体、及び/又は第7態様のコンピュータプログラムを用いて実施され得る。
【0066】
本方法は、撮像装置で撮像する物体又はインジケータのタイプを選択する予備ステップを含み得る。これは、撮像装置が例えば異なる特徴、色、形状、及び/又はインジケータを有する異なるタイプの物体の画像を撮像可能である場合に特に有用であり得る。本方法は、利用可能な物体又はインジケータのプールの中から物体又はインジケータを選択するステップを含み得る。各タイプの物体又はインジケータを基準データの各セットに関連付けることができ、撮像装置又は処理は、基準データの各セットを用いて選択されたインジケータに関する定量的出力を生成するよう構成される。
【0067】
本方法は、画像の取得前に撮像装置を物体に対して配置するステップを含み得る。本方法は、撮像装置を物体に対して配置するために、撮像装置上でテンプレート、例えば電子テンプレートを用いるステップを含み得る。便宜上、本方法は、テンプレートを用いて、テンプレートを例えば装置の画面上の物体と重ね合わせるステップを含み得る。これにより、画像の撮像条件、例えば角度、距離等の一貫性を確保することにより撮像の信頼性を向上させることができるのが有利である。
【0068】
本方法は、撮像画像を正規化するステップを含み得る。本方法は、輝度等の周辺光条件に基づき、物体、例えばインジケータの色測定を調整するステップを含み得る。本方法は、白色、灰色、及黒色等の異なる色の複数の部分を含み得る正規化領域の画像を撮像するステップを含み得る。本方法は、装置による画像の画像処理中に、又はその後の撮像画像の後処理中に、撮像画像を正規化するステップを含み得る。
【0069】
第1態様又は第2態様による装置に関して又は任意の他の態様に関して記載した特徴は、第3態様による方法に関しても該当し、単に簡単のためにここでは繰り返さない。
【0070】
第4態様によれば、コンピュータプログラムであって、プログラムが処理装置により実行されると、処理装置に
比色インジケータを含む物体の画像を取得させ、
取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較させ、且つ
取得画像に関連する定量的出力を生成させる
命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0071】
コンピュータプログラムは、物理的なキャリア媒体であり得る非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得るか又はこれに含まれ得るコンピュータプログラム製品に含まれ得る。命令は、プログラムが処理装置により実行されると、処理装置に撮像装置を制御させて比色インジケータを含む物体の画像を取得させ、取得画像を比色インジケータに関連する基準データと比較させ、且つ取得画像に関連する定量的出力を生成させ得る。
【0072】
他の態様のいずれかに関して記載した特徴は、第4態様によるコンピュータプログラムに関しても該当し、単に簡単のためにここでは繰り返さない。
【0073】
第5態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ、データストレージ、及び通信システムを備えた処理装置であって、データストレージは第4態様のコンピュータプログラムを記憶し、少なくとも1つのプロセッサは第4態様のコンピュータプログラム製品を処理するよう、例えば第3態様の方法を実行するよう構成される、処理装置が提供される。データストレージは、施設名又は番号、室名又は番号、及びインジケータの場所等のインジケータに関連するメタデータも収容し得る。
【0074】
他の態様のいずれかに関して記載した特徴は、第5態様によるコンピュータプログラムに関しても該当し、単に簡単のためにここでは繰り返さない。
【0075】
本開示の第6態様によれば、第4態様のコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可動記憶媒体は、非一時的且つ物理的な記憶媒体であり得る。
【0076】
本開示の第7態様によれば、コンピュータプログラムであって、プログラムが処理装置により実行されると処理装置に第3態様の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0077】
本発明の任意の態様に関して記載した特徴が任意の他の態様にも該当し得ることが理解されよう。
【0078】
本開示の実施形態を、単なる例として添付図面を参照して示す。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図2】UV放射へのインジケータの曝露前の、第1インジケータ上の
図1のシステムを用いた出力のスクリーンショットである。
【
図3】ある線量のUV放射へのインジケータの曝露後の、
図2のインジケータ上の出力のスクリーンショットである。
【
図4】UV放射へのインジケータの曝露前の、第2インジケータ上の
図1のシステムを用いた出力のスクリーンショットである。
【
図5】ある線量のUV放射へのインジケータの曝露後の、
図4のインジケータ上の出力のスクリーンショットである。
【
図6】ある線量のUV放射へのインジケータの曝露後の、第3インジケータ上の
図1のシステムを用いた出力のスクリーンショットである。
【
図7】2つの異なる照射レベルに関する基準データの生成中の色差ΔE
*を示すグラフである。
【
図8】
図7に示すデータ点に対応する曝露された試料の画像である。
【
図9】
図7に示すデータ点に対応する曝露された試料の画像である。
【
図10】一実施形態による色変化を定量化する方法である。
【
図11】別の実施形態による色変化を定量化する方法である。
【
図12】
図1のシステムで用いられるよう構成されたカードの代替的な実施形態である。
【
図13】別の実施形態による色変化を定量化する方法の任意のステップの図である。
【
図14】
図1のシステムで用いられるテンプレートの図である。
【
図15】別の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図16】別の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図17】別の実施形態によるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1を参照すると、第1実施形態による、全体的に5で示す色変化を定量化するシステムが示されている。
【0081】
システム5は、この実施形態ではカメラである撮像装置22を含む。
【0082】
システム5は、この実施形態ではスマートフォンによりサポートされる処理装置20も含む。
【0083】
撮像装置22は、物体10の画像を取得するよう構成され、物体10は、この実施形態では比色インジケータ15を有する領域を表面に有するパッチ又はカードである。
図1において、画像を取得するステップを矢印110で表す。撮像時に物体を照明する照明手段23、例えばフラッシュ23も設けられ、これにより撮像の信頼性が向上し得る。
【0084】
使用の際、比色インジケータ15は、UV放射19に曝露されると色を変えるよう構成される。他の実施形態において、インジケータは、別のタイプの刺激に曝露されると、例えば異なるタイプの放射線、又は化合物若しくは化学物質への曝露等に反応して、色を変えるよう選択され得る。
【0085】
処理装置は、撮像画像を比色インジケータ15に関連する基準データ30と比較するよう構成される。基準データはデジタル/電子形態である。
【0086】
図1に示すように、基準データ30は、処理装置20に記憶されることができるか、又は基準データ30を含む若しくは基準データ30が設けられたハードウェアに直接接続されることができる。このような場合、画像を取得するステップを矢印121で表す。
【0087】
図1にも示すように、基準データ30は、インターネットクラウド40等に処理装置20から遠隔に記憶されることができ、Bluetooth又はWi-Fi等の任意の適当な有線又は無線接続によりアクセスすることができる。このような場合、画像を取得するステップを矢印122で表す。
【0088】
使用の際、画像の取得後に、システム5は、インジケータ15の取得画像を基準データ30と比較する。一貫性及び信頼性を向上させるために、処理装置20が撮像画像の色を標準及び/又は均等カラースケールに変換又は表現するのが有利であり、このカラースケールは、この実施形態では「L*a*b*」又は「CIELAB」カラースケールである。処理装置20は、続いて取得画像の色を基準データ30と比較するが、基準データ30も同じ標準及び/又は均等カラースケール、例えば「L*a*b*」又は「CIELAB」カラースケールで表現される。取得画像と基準データ30との比較を以下でより詳細に説明する。
【0089】
比較ステップに続いて、システム5、例えば処理装置20は、取得画像の色に関連し且つ/又はインジケータ15の色変化に関連する定量的出力28を生成する。この実施形態において、定量的出力28は、初期状態(例えば、「1」)~最終(完全色変化、例えば「5」)状態のインジケータ15の色変化レベルを表す数値(「3」)である。定量的出力28は、処理装置20の画面25に表示される。定量的出力28は、ローカルに、例えば処理装置20に記憶されることができるか、又は矢印123で示すようにリモートに、例えばクラウド40にアップロード又は記憶させることができる。
【0090】
色変化を定量化する方法を
図10に示す。方法は、比色インジケータを含む物体の画像を取得するステップを含むステップ410を含む。ステップ420において、取得画像が比色インジケータに関連する基準データと比較される。ステップ430において、ステップ420の比較の結果として、初期又は「不変」状態のインジケータの色と取得画像におけるインジケータの色との間の色変化を例えば表す取得画像に関連する定量的出力が生成される。
【0091】
図10の方法は、装置20、720、820で撮像するインジケータのタイプを選択する予備(任意)ステップ405も含み得る。これは、処理装置20、720、820が異なる特徴、形状、及び/又はインジケータ15、155、215、315、615を有する異なるタイプの支持体10、110、210、310、610の画像を撮像可能である場合に特に有用であり得る。したがって、
図13に示すようなこのステップを示す例では、ステップ405は、2つの異なるタイプのインジケータ701又は702を選択するステップを含む。各タイプのインジケータ701、702は、選択されたインジケータ701、702に関する定量的出力の生成に処理装置20、720、820が用いる基準データ30の各セットに関連する。
【0092】
色変化を定量化する方法の別の実施形態を
図11に示す。
図11の方法は、
図10の方法と同様であり、同じ部分は「100」を足した同じ数字で示す。しかしながら、
図11において、方法は、ステップ510における画像を取得するステップの後に、ステップ515で表すように、取得画像及び特にその比色インジケータの色をL
*a
*b
*スケール等の標準及び/又は均等カラースケールに変換するステップを含む。ステップ520において、取得画像は、比色インジケータに関連する基準データと比較され、この基準データも、L
*a
*b
*スケール等の同じ標準的且つ均一なカラースケールで表現される。ステップ530において、
図10のステップ430と同様に、取得画像に関連する定量的出力が生成される。最後に且つ任意に、ステップ540において、取得画像、取得画像から導出された(例えばL
*a
*b
*スケールの)色値、及び/又は取得画像の色に関連する定量的出力のうち1つ又は複数に関連する情報、データ、又はファイル(単数又は複数)が、ローカルに(例えば、ハードドライブに)、又はリモートに(例えば、リモートサーバ、クラウド、ネットワークアタッチドストレージ(NAS)、データストア等に)記憶される。
【0093】
基準データの生成の方法
測定法及び手順
以下の実施例において、UV比色インジケータを用いた。
【0094】
2つの異なる照射レベル(それぞれ90μW/cm2及び760μW/cm2)を用いた蛍光UVC管を設けたUVPトランスイルミネータを用いて、波長254nmのUV放射に試料を曝露した。感光面の前に精密開口を有する較正済みのシリコン検出器により、試料平面の照射レベルを求めた。開口を用いて、試料上で約φ20mmの明確なスポットに露光を制限した。
【0095】
10,000μJ/cm2、25,000μJ/cm2、50,000μJ/cm2、75,000μJ/cm2、及び100,000μJ/cm2の曝露に対応する一定の時間に、曝露を一時停止し、PR-735分光計を用いて曝露域の色を測定した。また、試料の写真を撮影した。測定及び写真は、いずれも高い演色評価数(>95)を有するD65照明を用いた明かりを試料に当てて得た。
【0096】
CIE1976L*a*b*色空間の色座標に基づき、非露光試料に対する総合色差ΔE*を次式のように求めた。
【0097】
【0098】
式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、個々の座標間の差である。通常、人の目は、ΔE*が1-2以上である場合に色変化を検出可能である。
【0099】
測定条件
周囲温度23±2℃、試料温度(曝露中)30±5℃、曝露波長254±2nm
【0100】
設備:
基準シリコン検出器 10mm×10mm、inv.no.500963
UVPトランスイルミネータ 254nm、no.95-0153-02
電流増幅器 Keithley 427、inv.no.603159
精密開口 φ8mm、inv.no.502607
分光計 PR-735、inv.no.901491
ライトブース True Color TC-60
Nikon D7000デジタルカメラ
【0101】
結果
上記測定から得られた値を以下の表1及び表2に示す。
【0102】
【0103】
【0104】
2つの照射レベルに関するΔE
*の結果を
図7に示す。この結果は、一定線量のUV照射への曝露後の色変化が90μW/cm
2及び760μW/cm
2の照射強度で酷似していたことを示す。
【0105】
露光試料の対応する画像を
図8及び
図9に示し、これらの図は、UV放射への曝露が増えるとインジケータの色変化が増えることを示す。
【0106】
不確かさは報告された曝露レベルの±8%と推定される。L*、a*、及びb*の相対不確かさは±2である。
【0107】
なお、測定ジオメトリが明確でないので(試料表面に対する法線から約15°で検出、拡散に近い照明)、L*、a*、及びb*についての絶対不確かさは与えられない。
【0108】
実施例
次に
図2及び
図3を参照すると、一実施形態によるアプリケーションを用いたスマートフォン画面のスクリーンショット150aが示されている。この実施形態において、比色インジケータはリストバンド110の形態の支持体に設けられる。リストバンド110の画像126aが取得され、スクリーンショット150aに表示される。リストバンド110のインジケータの色をL
*a
*b
*スケールに変換した後に、得られる色値をこの特定のインジケータに対応する基準データと比較し、定量的出力128aを生成した。この場合、インジケータに色変化は起こっておらず、出力は色変化が起こらなかったことを示す「1」となった。
【0109】
図3において、リストバンド110のインジケータ115をある線量のUV放射に曝露した後、別の画像126bを取得してスクリーンショット150bに表示した。リストバンド110のインジケータ115の色をL
*a
*b
*スケールに変換した後、得られる色値を
図2で用いたのと同じ基準データと比較し、定量的出力128bを生成した。この場合、UV放射への曝露が目視可能な色変化を引き起こしたので、出力は著しい色変化が起こったことを示す「5」となった。
【0110】
図4及び
図5は、
図2及び
図3と同様だが、この実施形態では円形のパッチ210上に支持された215a、215bとして示す異なる比色インジケータを用いる。
図4において、UV放射への曝露前に画像226aを取得したが色変化は起こっておらず、よって色変化無しに対応する定量的出力228a(「1」)が生成された。しかしながら、
図5において、一定レベルのUV放射への曝露後に、インジケータ215bの僅かな色変化が観察され、比較的僅かな色変化に対応する定量的出力228b(「2」)が生成された。
【0111】
次に
図6を参照すると、さらに別のインジケータ315が用いられている。この実施形態において、インジケータ315を担持する支持体310は、潜在的色変化を評価するための視覚的補助をユーザに提供する基準領域316及び317をさらに有する。この実施形態において、オレンジ色で示す領域316は、ここでは全ての「MRSA」菌を死滅させるのに十分なレベルに相当する所定レベルのUV照射への曝露後にインジケータが達すると予想される色に一致する色で設けられた基準領域である。支持体は、ピンク色で示す別の領域317も有し、これは、ここでは全ての「C-Diff」菌を死滅させるのに十分なレベルに相当する所定の(但し領域316とは異なる)レベルのUV照射への曝露後にインジケータが達すると予想される色に一致する色で設けられた基準領域である。この実施形態において、低レベルのUV放射への曝露後に、インジケータ315は、その初期状態に比べて僅かな色変化を(画像326において)示し、比較的僅かな色変化に対応する定量的出力328(「2」)が生成された。定量的出力は、ユーザにとって色変化を評価する確実な手段を表すが、付加的な基準領域316及び317は、分析的且つ定量的な出力328を照合する付加的且つ簡便な手段を提供することで、さらに信頼性を高める。例えば、出力328の値「2」が、この場合はC-DiffのMRSAを死滅させるのに十分とはならない対応するレベルのUV曝露に対応することが、ユーザには分かるが、付加的な基準領域316及び317は、この結果を照合する付加的且つ簡便な手段を提供する。
【0112】
次に
図12を参照すると、
図1のシステム5で用いられる支持体610の別の実施形態が示されている。この実施形態において、インジケータ615を担持する支持体610は、
図6の支持体310と同様であり、同じ部分は「300」を足した同じ数字で示す。しかしながら、この実施形態において、カード610は正規化領域670も有する。
【0113】
正規化領域670の目的は、輝度等の周辺光条件に基づきインジケータ領域615の色の測定を調整することである。正規化領域670は、特定の色にそれぞれ対応する3つの別個の部分を含む。この実施形態において、正規化領域670は、グレースケール領域であり、白色部分671、50%灰色部分672、及び黒色部分673からなる。理論に束縛されることを望むものではないが、観察者にとっての艶消しの灰色表面の見た目の輝度は、観察者の視野角とは無関係であると考えられる。したがって、グレースケール基準領域を設けることで、撮像中の正規化のための標準部分が提供される。曝露を測定する手段の提供に加えて、グレースケール基準領域670は、ホワイトバランス又はカラーバランスに好都合な基準を提供し、カメラがシステム5に対して撮像時のさまざまな照明源を補償することを可能にする。
【0114】
グレースケール基準領域670は、バランス処理又は後処理中にインカメラで用いることができる。使用の際、瞬時正規化では、カード610の(及び特にインジケータ615の)画像が撮像されると、グレースケール基準領域670の画像も撮像されて、複数の画像の、特にグレースケール基準領域670と同時に撮像された画像のホワイトバランスの調整に用いられる。後処理正規化の場合、カード610の(及び特にインジケータ615の)画像の撮影時にグレースケール基準領域670の画像が撮影され、画像処理ソフトウェアが撮像画像のグレースケール基準領域670の画素からのデータを用いて撮像画像全体の光バランスを調整する。
【0115】
図12のカード610の代替的な実施形態を
図18及び
図19に示し、同じ部分を同じ数字で、但しそれぞれ「b」及び「c」を補って示す。
【0116】
図18の実施形態において、カード610bは、単一のグレースケール部分672bを有する正規化領域670bを含む。この実施形態において、グレー部分672bは、C51、M43、Y30、及びK59の(CMYK)色値を有し、これは品質及び信頼性に関して最適な結果をもたらすことが分かった。
【0117】
図19の実施形態において、カード610cは、
図18のように単一のグレースケール部分672cを有する印刷された正規化領域670cを含む。この実施形態において、インジケータ615cは、撮像前にカード610cに載せることができるディスク615cの形態である。
【0118】
図14は、
図1のシステムで用いられるテンプレート880の図を示す。
図13に関して説明したように、異なるタイプのインジケータが利用可能である場合、ユーザは使用中のインジケータのタイプを選択する。処理装置820は、その画面に電子テンプレート880を表示する。テンプレート880の目的は、物体610の撮像前にユーザがテンプレートを物体610と重ね合わせるのを助けることである。有利なのは、これにより、画像の撮像条件、例えば角度、距離等が同様であることを確実にすることにより撮像の信頼性を向上させることができることである。
【0119】
この実施形態において、
図14のテンプレート880は、
図12のカード610と併用されるテンプレートである。したがって、テンプレート880を用いると、ユーザは、カード610に処理装置820のカメラをかざす際の助けとなる。これは、特に(インジケータ部分テンプレート815と重ね合わせた)インジケータ部分615、及び場合によっては、存在する場合は(基準部分テンプレート816、817と重ね合わせた)基準部分616、617及び/又は(正規化領域テンプレート870と重ね合わせた)正規化領域670を含む、カード610の様々な部分の正確で確実な撮像を確保するのに役立ち得る。
【0120】
図15~
図17を参照すると、別の実施形態による色変化を定量化するシステム905が示されている。システム905は、
図1のシステム5と概して同様であり、同じ部分は同じ数字で示すが「900」を足してある。
【0121】
システム905は、ロボット921の形態の移動監視装置を含む。ロボットは、この実施形態では病室である所定の面積内で移動可能であるように電池式である。病室は、滅菌目的のUVC放射に連続的又は断続的に曝露される。UVC線量計910(
図6のカード310又は
図12のカード610と同様のもの)が、トレー985上に位置付けられる。病室が滅菌目的のUVC放射に連続的又は断続的に曝露されると、UVC線量計カード910及び特にインジケータ部分915は、UVC放射の曝露量に応じて反応し色を変える。
【0122】
UVC線量計カード910を
図16により詳細に示す。
【0123】
UVC線量計カード910は、この実施形態ではQRコードの形態である基準マーク919も有する。QRコード919は、物体の性質、物体の場所等に関する情報を含み得る。
【0124】
使用の際、ロボット921は、処理対象の物体を探して病室を動き回る。ロボットは、処理対象の物体を走査可能なカメラ982を含む。
図15に示すように、UVCインジケータカード910がカメラ982の視野内にある場合、ロボット921は停止してQRコード919の情報を走査する。
【0125】
ロボット921は、続いて
図1のシステムに関して上述したのと同様にUVCインジケータカード910を処理することができる。特に、
図17に示すように、ロボット921は、一体型のカメラ922を用いて、一体型のフラッシュ923による照明下でカード910の(及び特にインジケータ部分915の)画像を取得する。ロボット921は、続いて一体型の処理装置を用いて取得画像に関連する定量的出力を生成する。
【0126】
いくつかの実施形態において、ロボット921は、カード910に関連する定量的出力に基づき信号又はコマンドを送るよう構成される。特に、ロボット921が生成した定量的出力が所定レベル未満である場合、ロボット921は、インジケータカード910の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の増加をトリガし得るコマンド又は信号を送り得る。ロボット921が生成した定量的出力が所定レベルを超える場合、ロボット921は、カード910の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の低減をトリガし得るコマンド又は信号を送り得る。移動監視装置、例えばロボットが生成した定量的出力が所定レベル又はその付近である場合、移動監視装置、例えばロボットは、コマンド又は信号を一切送らなくてもよく、又はカード910の場所又はその付近のUVCのレベル又は線量の維持をトリガし得るコマンド又は信号を送ってもよい。
【0127】
いくつかの実施形態において、ロボット921は、例えばWi-Fi、Bluetooth等により定量的出力を受信ユニット(図示せず)に送る又は送信するよう構成することができ、続いてエンドユーザがこれを見直すことができる。
【0128】
本明細書で前述した本発明の実施形態が、ごく一例として挙げられており、決してその範囲を限定する意図はないことが理解されよう。
【0129】
本発明の方法ステップは、1つ又は複数のプログラマブルプロセッサが、入力データの操作及び出力の生成により本発明の機能を果たすコンピュータプログラムを実行することにより行うことができる。方法ステップは、専用の論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)又は他のカスタマイズされた回路により行うこともできる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、CPU、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、数値演算コプロセッサ、及びマイクロプロセッサ、並びに任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。概して、プロセッサは、リードオンリメモリ又はランダムアクセスメモリ又は両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを記憶する1つ又は複数のメモリデバイスとである。概して、コンピュータは、データを記憶する1つ又は複数の大容量記憶装置、例えば磁気ディスク、磁気光ディスク、又は光ディスクも含むか、又はこれに動作可能に結合されてそこからデータを受け取る若しくはそこにデータを転送する又は両方を行う。プロセッサは、データバスを介して又は無線等の他の通信形態によりデータを受け取ることができる。コンピュータプログラム命令及びデータの具現に適した情報担持体としては、例として半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;磁気光ディスク;及びCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む、全形態の不揮発性メモリが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路により補うことができるか又は専用論理回路に組み込むことができる。
【0130】
ユーザとの対話のために、本発明は、ユーザに対して情報を表示する画面、例えばCRT(陰極線管)、プラズマ、LED(発光ダイオード)、又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタを有する装置と、ユーザがコンピュータに入力することができる入力装置、例えばキーボード、タッチスクリーン、マウス、トラックボール等とで実施することができる。他の種類の装置を用いることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【国際調査報告】