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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/89 20060101AFI20230303BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20230303BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
A61K8/89
A61K8/41
A61K8/892
A61K8/898
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/49
A61K8/23
A61Q5/12
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542958
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2021050417
(87)【国際公開番号】W WO2021144231
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20157979.4
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/072299
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,チュンフア
(72)【発明者】
【氏名】チ,ルーチェン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB111
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC302
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD151
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB05
4C083CC33
4C083EE28
(57)【要約】
カチオン性界面活性剤と、シリコーン化合物と、8~22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルカンと、ピロクトンオラミン、硫化セレン、アゾール系抗真菌剤およびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤とを含むヘアケア組成物であって、組成物が、シクロメチコン化合物を実質的に含まず、上記シクロメチコン化合物が、ヘアケア組成物の総重量に基づいて1.5%未満の量で存在するヘアケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カチオン性界面活性剤と、
(b)シリコーン化合物と、
(c)8~22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルカンと、
(d)ピロクトンオラミン、硫化セレン、アゾール系抗真菌剤およびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤と
を含むヘアケア組成物であって、
前記組成物が、シクロメチコン化合物を実質的に含まず、
前記シクロメチコン化合物が、前記ヘアケア組成物の総重量に基づいて1.5%未満の量で存在するヘアケア組成物。
【請求項2】
前記シリコーン化合物が、25℃および1気圧で1000Pa未満の蒸気圧を有する不揮発性シリコーンである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記シリコーン化合物が、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、ジメチコノール誘導体またはそれらの混合物を含むポリシロキサンである、請求項1または請求項2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
前記シリコーン化合物が、ジメチコノール/シルセスキオキサンコポリマー、ジメチコノールアルギニン、ジメチコノールミツロウ、ジメチコノールベヘネート、ジメチコノールシステイン、メドウフォーム油脂肪酸ジメチコノール、ジメチコノールメチオニン、ジメチコノールパンテノール、アモジメチコン、ジメチコノールステアレート、トリメチルシロキシシリケート/ジメチコノールクロスポリマー、アクリレート/ジメチコノールアクリレートコポリマーまたはそれらの混合物を含むジメチコノール誘導体、好ましくはジメチコノール/シルセスキオキサンコポリマーである、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記組成物の重量の0.1~10%、好ましくは0.5~5%の量で前記シリコーン化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記直鎖状または分岐状アルカンが、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、オクトデカン、イソオクタデカン、エイコサン、イソエイコサン、ドコサン、イソドコサンまたはそれらの混合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記直鎖状または分岐状アルカンが、イソオクタン、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカン、イソエイコサン、イソドコサンまたはそれらの混合物、好ましくはイソヘキサデカンを含む、請求項6に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
前記組成物の重量の0.01~5%、好ましくは0.05~3%の量で前記直鎖状または分岐状アルカンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
前記フケ防止剤がピロクトンオラミンである、請求項1から8のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記組成物の重量の0.01~10%、好ましくは0.01~5%の量で前記フケ防止剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記シクロメチコン化合物が、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンまたはそれらの混合物を含み、好ましくは、前記シクロメチコン化合物がデカメチルシクロペンタシロキサンである、請求項1から10のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記シクロメチコン化合物が、前記組成物中に存在しない、請求項1から10のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
前記カチオン性界面活性剤が、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはそれらの混合物を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
脂肪アルコールをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項15】
前記脂肪アルコールが、8~22個の炭素原子を含む、請求項14に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア組成物に関し、さらに詳細には、特定のアルカン、フケ防止剤およびシリコーン化合物を含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア組成物は、一般に、クレンジング効果もしくはコンディショニング効果またはこれら2つの組合せを提供する。ヘアシャンプーは、典型的には、望ましくない汚れ、粒子および脂肪物質を含まない、毛髪および頭皮の洗浄を一般に助ける1つ以上のクレンジング界面活性剤を含む。ヘアコンディショナーは、毛髪がシャンプーによって洗浄された後の湿潤状態の毛髪に一般に使用される別のクラスのヘアケア組成物である。シャンプーおよびコンディショニングの二重の利点を提供する組成物も知られている。
【0003】
ヘアコンディショナーは、一般に、カチオン性界面活性剤を含む。コンディショニング効果は、ヘアケア組成物中に1つ以上のコンディショニング剤を含めることによって達成される。典型的には、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油などの水不溶性油性材料、トリグリセリドおよびシリコーン化合物などの天然に存在する油である。コンディショニング効果は、油性材料が毛髪上に堆積されてフィルムを形成することによって達成され、これにより、濡れた際に毛髪が梳きやすくなり、乾燥した際に毛髪が扱いやすくなる。使用される最も一般的なヘアコンディショニング剤は、シリコーン化合物である。
【0004】
ただし、好ましいヘアケア組成物は、単純なクレンジングおよびコンディショニングよりも多くの利点を提供する。例えば、クレンジングおよびコンディショニングに加えて利点を提供するために、ヘアケア組成物中に様々な有益剤を組み込むことが望ましい。例えば、ヘアケア組成物によって、フケ防止効果が提供されている。フケは、世界中の多くの人々に影響を及ぼす問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が脱落することによって現れる。これらは白色であり、審美的に不快な外観をもたらす。フケに寄与する1つの要因が、マラセチア(Malassezia)酵母の特定の成員である。これらに対抗するために、フケ防止製品には、抗真菌活性を有する特定のフケ防止剤、例えば、ピロクトンオラミン(Octopirox(登録商標))、ジンクピリチオン、アゾール系抗真菌剤(例えば、クリンバゾール、ケトコナゾール)、硫化セレンまたはそれらの組合せが含まれている。
【0005】
本発明は、カチオン性界面活性剤とシリコーン化合物との組合せを含むヘアコンディショニング組成物に関する。このタイプのヘアコンディショニング組成物にフケ防止剤が含まれる場合、プロセス機械を汚染し、安定性が低い製品を製造し得る柔らかい粗粒子の形成によって組成物の安定性が損なわれる、いわゆるシリコーン汚染の問題がある。本発明者らは、このシリコーン汚染の問題を最小限に抑え、そのようなヘア組成物の安定性を高めるために、特定のアルカンを使用することができることを予想外に見出した。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様では、本発明は、
(a)カチオン性界面活性剤と、
(b)シリコーン化合物と、
(c)8~22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルカンと、
(d)ピロクトンオラミン、硫化セレン、アゾール系抗真菌剤およびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤とを含むヘアケア組成物であって、
組成物が、シクロメチコン化合物を実質的に含まず、
上記シクロメチコン化合物が、ヘアケア組成物の総重量に基づいて1.5%未満の量で存在するヘアケア組成物に関する。
【0007】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮することによって、さらに容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されるとして理解されてもよい。
【0009】
すべての量は、別途の記載がない限り、最終ヘアケア組成物の重量による。いかなる数値範囲の指定においても、あらゆる特定の上限値はあらゆる特定の下限値を伴い得ることに留意されたい。
【0010】
疑義を避けるために、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。
【0011】
請求項が多項従属または重複なしに見出され得るという事実に関わりなく、本明細書に見出される本発明の開示は互いに多項従属しているため、特許請求の範囲に見出されるような実施形態をすべて包含するものと考えられるべきである。
【0012】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ヘアケア組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの毛髪および/または頭皮への局所塗布のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、一般に、リーブオンまたはリンスオフとして分類され得、外観、クレンジング、臭気制御または全体的な美観も改善するために人体に塗布される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲルまたはバーの形態であり得る。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンヘアローション、クリーム、およびリンスオフシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、またはトイレットバーが挙げられる。本発明の組成物は、好ましくはリンスオフ組成物であり、特に好ましくはシャンプーまたはコンディショナーであり、最も好ましくはコンディショナーである。
【0014】
ヘアケア組成物は、単独でまたは混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。好ましくは、カチオン性界面活性剤は、式Nを有し、式中、R、R、RおよびRは、独立して、(C~C30)アルキルまたはベンジルである。好ましくは、R、R、RおよびRのうちの1つ、2つまたは3つは、独立して、(C~C30)アルキルであり、他の1または複数のR基、R基、R基およびR基は、(C~C)アルキルまたはベンジルである。さらに好ましくは、R、R、RおよびRのうちの1つまたは2つは、独立して、(C~C30)アルキルであり、他のR基、R基、R基およびR基は、(C~C)アルキル基またはベンジル基である。アルキル基は、アルキル鎖内に1つ以上のエステル(-OCO-または-COO-)および/またはエーテル(-O-)結合を含んでいてもよい。アルキル基は、1つ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖または分岐状であってよく、3個以上の炭素原子を有するアルキル基の場合、環状であってよい。アルキル基は、飽和であってよいか、または1つ以上の炭素-炭素二重結合(例えばオレイル)を含んでもよい。アルキル基は、1つ以上のエチレンオキシ基によって、アルキル鎖上でエトキシル化されていてもよい。
【0015】
本発明のヘアケア組成物に使用するのに適したカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ジ水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo Nobel製のArquad 2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリドおよびそれらの対応する水酸化物が含まれる。さらに好適なカチオン性界面活性剤には、CTFA名称Quaternium-5、Quaternium-31およびQuaternium-18を有する材料が含まれる。前述の材料のいずれかの混合物も好適であり得る。本発明によるコンディショナーに使用するのに特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーに使用するための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、ClariantからGENAMIN KDMPとして市販されているベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。さらに別の好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。本発明の組成物に使用するための最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはそれらの混合物である。
【0016】
ヘアケア組成物は、典型的には、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.1~5%、さらに好ましくは0.5~2.5%の量でカチオン性界面活性剤を含む。
【0017】
本発明のヘアケア組成物は、シクロメチコンではないシリコーン化合物を含む。好ましくは、シリコーン化合物は、不揮発性シリコーンである。本明細書で使用される「不揮発性」は、シリコーンが25℃および1気圧で1000Pa未満の蒸気圧を有することを意味する。
【0018】
好ましくは、シリコーン化合物は、15μm未満、好ましくは10μm未満、さらに好ましくは5μm未満の平均液滴径(D3,2)を有する、シリコーン油の乳化液滴である。好ましくは、シリコーン油の平均液滴径(D3,2)は、0.05μm超、さらに好ましくは0.1μm超、理想的には0.1μm~5μmである。シリコーン油の平均液滴径(D3,2)は、例えばMalvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定され得る。
【0019】
好適なシリコーン化合物には、ポリシロキサン、特に、CTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)に使用するのに適しているのは、CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンである。使用され得るシリコーンの別のクラスは、官能化シリコーン、例えば、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味するアミノ官能性シリコーンである。好適なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。例えば、国際公開第96/31188号に記載されているように、架橋度の低いシリコーンガムも本発明の組成物に使用するのに適している。好ましくは、シリコーン化合物は、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、それらの誘導体または混合物を含む。
【0020】
別の好ましい実施形態では、シリコーン化合物は、ジメチコノール/シルセスキオキサンコポリマー、ジメチコノールアルギニン、ジメチコノールミツロウ、ジメチコノールベヘネート、ジメチコノールシステイン、メドウフォーム油脂肪酸ジメチコノール、ジメチコノールメチオニン、ジメチコノールパンテノール、ジメチコノールステアレート、トリメチルシロキシシリケート/ジメチコノールクロスポリマー、アクリレート/ジメチコノールアクリレートコポリマーまたはそれらの混合物を含むジメチコノール誘導体である。ジメチコノール/シルセスキオキサンコポリマーが特に好ましい。
【0021】
乳化シリコーン油自体として使用される好ましいシリコーン化合物の粘度は、典型的には、25℃で少なくとも10,000cSt(センチストークス=mm・S-1)、好ましくは少なくとも60,000cSt、最も好ましくは少なくとも500,000cSt、理想的には少なくとも1,000,000cStである。好ましくは、配合を容易にするために、粘度は10cStを超えない。シリコーンの粘度は、例えば、ISO 3104などの関連する国際規格によって決定することができる。
【0022】
本発明のヘアケア組成物に使用するのに適した乳化シリコーンは、シリコーンの供給業者、例えば、Dow Silicones CorporationおよびGE siliconesから、予め形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、シリコーン粒径の加工および制御を容易にするために好ましい。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンは、典型的には、好適な乳化剤をさらに含み、乳化重合などの化学的乳化プロセスによって、または高剪断ミキサーを使用した機械的乳化によって調製され得る。好適な予め形成されたシリコーンエマルジョンの例には、いずれもDowから入手可能なDowsil 1785 BA、MEM 7134 POE/MEM7154、Dowsil CE-7126が挙げられる。これらはジメチコノール/ジメチコン、アモジメチコンのエマルジョンである。好適な予め形成されたシリコーンエマルジョンの別の例には、Dow製の商品名CE-1607 IHDエマルジョンのジメチコノール/シルセスキオキサンコポリマーが挙げられる。
【0023】
シリコーン化合物は、一般に、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.1~10%、さらに好ましくは0.5~5%、最も好ましくは0.5~3%の量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0024】
ヘアケア組成物は、8~22個、好ましくは10~20個、さらに好ましくは12~18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルカンをさらに含む。本発明で使用され得るアルカンの実例には、例えば、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、オクトデカン、イソオクタデカン、エイコサン、イソエイコサン、ドコサン、イソドコサンまたはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、アルカンは、イソオクタン、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカン、イソエイコサン、イソドコサンまたはそれらの混合物を含む分岐状アルカンである。イソヘキサデカンが特に好ましい。
【0025】
直鎖状または分岐状アルカンは、好ましくは、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.01~5%、さらに好ましくは0.05~3%、最も好ましくは0.1~2%の範囲のレベルで本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0026】
ヘアケア組成物中に存在するフケ防止剤は、フケに対して活性であり、典型的には抗微生物剤であり、好ましくは抗真菌剤である化合物である。本発明で使用され得る好適なフケ防止剤は、ピロクトンオラミン(Octopirox(登録商標))、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態では、フケ防止剤はピロクトンオラミンである。
【0027】
典型的には、本発明のヘアケア組成物は、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.01~10%、さらに好ましくは0.01~5%、さらになお好ましくは0.05~2%、最も好ましくは0.05~1.5%の量でフケ防止剤を含む。
【0028】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは4.0~7.0の範囲である。
【0029】
本発明のヘアケア組成物は、シクロメチコン化合物を実質的に含まない。本明細書で使用される「実質的に含まない」は、シクロメチコン化合物が、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、組成物中に1.5%未満、好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.75%未満、さらになお好ましくは0.5%未満、さらに一層好ましくは0.1%未満の量で存在し、最も好ましくは存在しないことを意味する。好適なシクロメチコン化合物の例には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンまたはそれらの混合物が挙げられる。最も一般的に使用されるシクロメチコン化合物は、D5として知られるデカメチルシクロペンタシロキサンであり、本発明のヘアケア組成物はD5を実質的に含まないことが好ましい。
【0030】
本発明のヘアケア組成物は、脂肪アルコールをさらに含んでもよい。脂肪アルコールおよびカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散されたラメラ相の形成をもたらすため、特に有利であると考えられる。
【0031】
代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、さらに好ましくは16~22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、典型的には、直鎖アルキル基を含む化合物である。好適な脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用はまた、本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0032】
脂肪アルコールは、好ましくは、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.5~10%、さらに好ましくは0.1~8%、さらになお好ましくは0.2~7%、最も好ましくは0.3~6%の範囲のレベルで本発明のヘアケア組成物中に存在する。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールとの重量比は、典型的には1:1~1:10、さらに好ましくは1:1.5~1:8、最も好ましくは1:2~1:5である。
【0033】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明のヘアケア組成物に防腐剤を組み込んでもよい。好適な従来の防腐剤には、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩および様々な第四級アンモニウム化合物が含まれる。本発明で使用され得る防腐剤の種類の例示的で非限定的な例には、例えば、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウム、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ヘキサンジオール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、カプリリルグリコール、EDTA二ナトリウムまたはそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、防腐剤は、1,2-ヘキサンジオール、ベンジルアルコールまたはそれらの混合物である。防腐剤は、ヘアケア組成物の0.01~2重量%の範囲の量で使用されることが好ましい。
【0034】
本発明のヘアケア組成物は、物理的特性および物理的性能を高めるために、当技術分野で一般的な他の成分を含有してもよい。好適な成分には、限定するものではないが、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、増粘剤、ならびに植物成分、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物は、主に、リンスオフまたはリーブオン組成物、好ましくはコンディショナーのようなリンスオフ組成物のいずれかで、個体の頭皮および/または毛髪の少なくとも一部に局所塗布することを意図している。
【0036】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定するために提供されない。
【0037】
[実施例]
[実施例1]
この実施例は、アルカンを使用することによるシリコーン汚染の低減を実証する。表1に詳述した配合に従って組成物を調製した。成分はいずれも、配合全体の重量パーセントによって、活性成分のレベルとして表される。
【0038】
【表1】
【0039】
方法
以下の手順を使用して、シリコーン汚染(%)を測定した:約800gのコンディショナー組成物を1000mLのビーカーに採取し、平らなパドルを用いて160rpmで20分間撹拌した。次いで、700gのコンディショナー組成物を取り出し、100gをビーカーに残す。約700gの熱水(80~90℃)をビーカーに加え、平らなパドルを用いて160rpmで20分間撹拌する。次いで、希釈した塊を710μmメッシュを使用して濾過した。次いで、ビーカーの内容物に800mLの水(25℃)を満たし、160rpmで1分間撹拌した。その後、ビーカーの内容物を710μmメッシュを使用して濾過した。その後、ビーカー、メッシュおよびパドルを45℃のオーブン内で3時間乾燥させた。次いで、シリコーン汚染の絶対量の指標である、ビーカー、パドルおよびメッシュの重量の増加を測定した。次いで、以下の式を使用して、シリコーン汚染(%)を計算した:
シリコーン汚染(%)=(シリコーン汚染の絶対量)/(採取されたヘアコンディショナー組成物の量)100。
【0040】
結果
シリコーン汚染(%)を表2に報告する。
【0041】
【表2】
【0042】
3%を超えるシリコーン汚染(上記の手順による)は、許容できないと考えられる。結果は、アルカンを含む試料3~8が、試料1および2よりも低いシリコーン汚染を示すことを明確に示した。
【国際調査報告】