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特表2023-510020食品加工作業の際にコンベヤ上を移動している製品の温度のインライン計測用の方法
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  • 特表-食品加工作業の際にコンベヤ上を移動している製品の温度のインライン計測用の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】食品加工作業の際にコンベヤ上を移動している製品の温度のインライン計測用の方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/00 20220101AFI20230303BHJP
【FI】
G01J5/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542987
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2021050014
(87)【国際公開番号】W WO2021148245
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】2000512
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】パティエ、ディディエ
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066AC05
2G066AC16
2G066BC30
2G066CA16
(57)【要約】

低音トンネルのコンベヤベルト上において搬送されている製品の温度を判定する方法であって、-コンベヤベルト上を移動している製品の表面温度を継続的に計測するステップと、-温度計測が取得される地点において製品の厚さを計測するステップと、-a.製品の厚さが特定の範囲内にある際には、前記製品について計測された温度は、確実な値であると見なされ、b.製品の厚さが範囲外にある際には、計測された製品の最後の温度値は、上述の段落a)に従って確実な値であると見なされ、c.計測された厚さが範囲外である判定された時間の期間の後に、コンベヤベルト上には、製品が存在していないと結論付けられ、且つ、温度計測は、もはや考慮されない、という評価を実行するステップと、を有する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低音トンネルのコンベヤベルト(1)上において搬送されている製品(2)の温度を判定する方法であって、
-前記コンベヤの近傍、上方、又は側部における位置において空間内において固定された、例えば、パイロメータなどの、温度計測システム(3)が、前記温度計測システムの反対側において一緒に移動している製品の表面温度の継続的な計測を実行するために実装されており、
-レーザー又は超音波システムなどの距離計測システム(4)が、その温度が以前のステップにおいて計測されている製品の厚さを計測するために実装されており、
-コンピュータであって、
a)前記製品の前記厚さが下限と上限の間にある際には、前記温度計測システムによってこの製品について計測された前記温度は、前記製品の前記温度の確実な値であるものとして見なされ、
b)前記製品の前記厚さが前記上限超である又は前記下限を十分に下回っている際には、前記コンピュータは、前記システムによって計測された且つ上述の段落a)に従って確実な値として前記コンピュータによって見なされている最後の製品温度値を考慮し且つメモリ内において保存しており、且つ、次いで、この値は、その計測された厚さが前記限度の範囲外である前記製品の前記温度の良好な通知として見なされ、
c)前記計測された厚さが前記範囲外である判定された時間の期間の後に、前記コンピュータは、前記コンベヤ上には、製品が存在していないと結論を出し、且つ、もはや、前記温度計測システムによって提供される前記温度計測を考慮せず、「既定」の値としての計測値が考慮される、
という評価を次いで実行するコンピュータが提供される、
という手段の実装を特徴とする方法。
【請求項2】
a.前記厚さ計測が前記下限未満である又は前記上限超である際には、平均の計算において値0が考慮され、前記厚さ計測が前記下限と前記上限の間にある際には、平均の計算において値1が考慮されており、この平均は、継続的に算出され、
b.前記平均について下限(Average Min)が定義され、且つ、前記平均がAverage Min未満である際には、前記温度計測システムによって読み取られた前記温度は考慮されず、且つ、次いで、前記コンピュータは、前記温度計測システムによって計測された前記最後の製品温度値を考慮し且つメモリ内において保存している、
というように前記コンベヤ上における前記製品の存在のスライド平均が更に実行されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
温度のスムージング計算が実行されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品産業の分野に関し、更に詳しくは、食品加工作業の際に、特に低温凍結作業の際に、コンベヤ上を移動している製品の温度を計測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造ラインにおいては、加工されている製品の温度を知ることがしばしば極めて重要であり、
-従って、調理作業において、製品が十分に調理されたと見なされた際に調理を停止し得るように製品が到達した温度を知ることが重要であり、
-また、冷却又は冷凍プロセスのケースにおいては、例えば、不十分に冷凍された製品を回避するために、更には、不必要に大きなエネルギー消費をもたらすことになる過剰に低温の製品の取得を回避するために、動作パラメータを調節するべく製品が到達した温度を知ることが重要である。
【0003】
この産業においては、ラインから製品のサンプルを実質的にランダムに取得し且つこの製品の温度を手作業で計測することが慣習となっている。
【0004】
この慣習は、当然のことながら機能はするが、これは、継続的な計測ではなく、且つ、費用を所要しており、その理由は、これが、その時間の一部分をこのタスクに捧げる人物の割当を仮定しているからである。
【0005】
更には、この産業においては、コンベア上を移動している製品の表面温度を継続的に計測するためにパイロメータを使用することが知られている。この方法は、この分野において有用且つ有利な応答を提供している。実際に、表面温度のこの計測値は、我々が最初に関心を持つ温度である製品の平均温度の優れた通知であることが非常にしばしば観察されている。これに加えて、計測を継続的に実行することにより、製品ラインの操作者には、自身のプロセスの適切な稼動について常に通知されており、彼は、場合によっては、リアルタイムでドリフトについて彼に警告を付与することになるアラームをプログラミングすることができる。その一方で、製品を有していないコンベヤの空の部分が、全体評価を歪曲し得る温度計測値を付与することになるという点にも留意していなければならない。従って、パイロメータを利用したコンベヤ上において通過する製品の表面温度の単純な計測は、十分なものではない。過剰に多くの誤った計測値(コンベヤ温度計測値)は、この計測がすべての価値を喪失する事態をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、この技術分野が、処理されている製品の温度をインラインで且つ低費用で計測する方法を獲得し得ることが極めて有利となることが非常に明白である。この計測は、継続的に実行されなければならず、且つ、コンベヤの温度により、或いは、任意のその他の干渉により、汚染されてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下において更に詳しく観察されているように、本発明は、以下の特徴を実装したインライン計測方法を提案しており、
-コンベヤの近傍(その上方又は側部)の位置において空間内において固定された、例えば、パイロメータなどの温度計測システムは、一緒に移動している製品の表面温度の継続的な計測を実行するために実装されている。多くの用途において、パイロメータなどの非接触型温度計測システム又は任意のその他の非接触型温度計測システムが選好されることになる。但し、コンベヤ上を移動している製品との接触が可能である際には、製品の上部表面を擦ることになる接触温度計も使用することができる。このケースにおいては、Pt100、Pt1000技術、その他の抵抗プローブ、すべてのタイプの熱電対、及び光ファイバを使用するシステムを選択することができる。従って、且つ、区別なく、パイロメータが使用されているケースにおいては、これは、コンベヤベルトの表面温度の、且つ、このコンベヤベルト上に存在している製品の、読取値を提供しており、この場合に、計測は、パイロメータの反対側の固定された地点において実施されており、
-また、レーザーによる距離計測も実装されており(レーザー、或いは、超音波、可視光、又は場合によっては物理的センサなどの別の原理に基づいた別の距離計測システム)、これは、温度計測がパイロメータ(或いは、その他のシステム)によって実行されているまさにその場所において製品の厚さを計測しており、
-次いで、コンピュータが、
-製品の厚さが下限と上限の間にある際には、システムは、パイロメータによって計測された温度が製品の温度の確実な温度であると見なし、
-製品の厚さが、上限超である(計測フィールド内における異物の通過)、或いは、場合によっては、下限未満である(製品を有していない空のコンベヤ)際には、システムは、パイロメータによって計測された(且つ、上述の段落に従って確実な値であるとシステムによって見なされている)最後の製品温度値を考慮し且つメモリ内において保存しており、且つ、その結果、この値は、条件付きで、その計測された厚さが限度の範囲外である製品の温度の良好な通知として見なされている。計測された厚さが前記範囲外である既定の時間の期間(通常は、数秒~数分)の後に、システムは、コンベヤ上には製品が存在していないという結論を出し、且つ、もはや、パイロメータ(或いは、その他のシステム)によって提供される温度計測を考慮せず、「既定」の値としての計測値が考慮されている。この既定の値は、ユーザーによって判定されている。この値は、実際に計測された温度に伴う混乱をもたらすことにはならず、且つ、これは、通常、予想されている計測範囲の外側において決定されている。従って、その温度が通常は-15~-25℃において変化している冷凍製品の温度の計測のケースにおいては、この既定の値は、例えば、+100℃において決定されている。システムが+100℃を通知した際には、計測された温度が+100℃ではないことがユーザーに明らかとなり、且つ、これは、製品の不存在のケースであり、
-また、有利には、更なる計測の改善を可能にする別の計算を追加することも可能である。従って、コンベヤ上の製品の存在のスライド平均(sliding average)を生成する計算を追加することが可能である、
という評価を実行している。
【0008】
これは、例えば、1~10分にわたって算出された平均である。考慮される値は、0及び1である。複数の0及び1により、平均を生成することができる。
【0009】
例えば、製品を有する状態において2分が観察され(1)、且つ、製品を有していない状態において8分が観察された(0)場合には、これは、0.2のスライド平均を付与することになる。
【0010】
平均は、いくつかの方式で算出することが可能であり、従って、例として、10分にわたる且つ1計算/秒における平均の場合には、
-計測は、10分にわたって1回/秒で加算され、且つ、600によって除算され、
-以下の計算が、1回/秒において実行されている。
新しい平均=(600-1)/600×(以前の平均)+計測値/600
【0011】
従って、以上の内容を参照した際に理解されるように、厚さ計測値が下限未満又は上限超である際には、値0が平均の計算において考慮されている。厚さ計測値が下限と上限の間にある際には、値1が平均の計算において考慮されている。この平均が継続的に算出される状態において、この平均のために、下限(Average Min)が定義されている。この平均がAverage Min超である際には、以上のセクションにおいて説明されている計算は、不変の状態に留まっている。平均がAverage Min未満である際には、パイロメータによって読み取られる温度が考慮されない。この結果、システムは、パイロメータによって計測された最後の製品温度値を考慮し且つメモリ内において保存しており、
-本発明の別の実施形態によれば、温度スムージング計算を追加することができる。温度のスムージングは、実際には、いくつかの方式で算出され得るスライド平均である。例として、3分にわたる且つ2計算/秒におけるスムージングの場合には、
-計測値は、3分間にわたって2回/秒において加算され、且つ、360によって除算され、
-以下の計算が、2回/秒において実施されている。
新しい平均=(360-1)/360×(以前の平均)+計測値/360
【0012】
スムージング係数は、求められている反応性及び計測安定性に応じて、相対的に大きなもの又は相対的に小さなものであり得る。スムージング計算は、計測された値が既定の温度に等しい際に且つ製品の厚さが最小厚さ未満である又は最大厚さ超である際に中断されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】添付された図1は、本発明の実装を可能にする設備の相対的に良好な視覚化を可能にしており、この場合には、パイロメータ3及びレーザー4の存在を伴って、コンベヤ1上を移動する製品2が観察され得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の条件下において本出願人によって実行された実験は、以下の点を示している。
-本発明によって計測された温度は、パイロメータのみによって実施される単純且つ従来の計測よりも信頼性が高く、
-また、本発明は、更なる情報をも提供しており、情報は、製品がコンベヤ上に存在しているかどうかに関し、
-使用されているシステムは、確かに単純なパイロメータよりも高価であるが、得られる(「フィルタリング」済みの)情報の品質及び信頼性は、比類がない。
【0015】
従って、本発明は、低温トンネルのコンベヤベルト上において搬送されている製品の温度を判定するための方法に関し、
-コンベヤの近傍、上方、又はその側部における位置において空間内において固定された、例えば、パイロメータなどの温度計測システムが実装されており、これは、温度計測システムとは反対側において一緒に移動している製品の表面温度の継続的な計測を実行し、
-レーザー又は超音波システムなどの距離計測システムが、その温度が以前のステップにおいて計測されている製品の厚さを計測するために実装されており、
-コンピュータであって、
-製品の厚さが下限と上限の間にある際には、温度計測システムによってこの製品について計測された温度は、製品の温度の確実な値であるものと見なされ、
-製品の厚さが上限超である又は十分に下限未満である際には、コンピュータは、システムによって計測された且つ以上の段落に従って確実な値としてコンピュータによって見なされている最後の製品温度値を考慮し且つメモリ内において保存しており、且つ、次いで、この値は、その計測された厚さが限度の範囲外である製品の温度の良好な通知として見なされ、
-計測された厚さが前記範囲外である既定の時間の期間の後に、コンピュータは、コンベヤ上には製品が存在していないと結論を出し、且つ、もはや、温度計測によって提供される温度計測を考慮せず、「既定」の値としての計測値が考慮される、
という評価を実行するコンピュータが提供される、
という手段の実装を特徴としている。
図1
【国際調査報告】