(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(54)【発明の名称】巻線モジュール及び金属ワイヤ用の巻線設備
(51)【国際特許分類】
B21C 47/02 20060101AFI20230303BHJP
B65H 67/04 20060101ALI20230303BHJP
B65H 51/005 20060101ALI20230303BHJP
B21C 47/28 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
B21C47/02 A
B65H67/04 B
B65H51/005
B21C47/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543408
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050184
(87)【国際公開番号】W WO2021144189
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520423404
【氏名又は名称】エヌブイ ベカルト エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プリエム,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゲラー,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】メイフロイド,マルーテン
【テーマコード(参考)】
3F112
4E026
【Fターム(参考)】
3F112AA02
3F112BA01
3F112CA01
3F112EA02
3F112EA09
3F112EB02
3F112EB03
3F112ED03
3F112LA03
3F112TA01
4E026BA01
4E026BE02
(57)【要約】
本発明は、巻線モジュール、及び例えば0.5~3.0mmの直径の鋼ワイヤのような金属ワイヤをスプール上に巻き付けるような巻線モジュールを含む巻線設備に関する。このような巻線設備又は巻上ベンチでは、従動キャプスタンは、巻上スプールの上に導く前に、処理設備を通して金属ワイヤを引くために使用される。スプールは、カンチレバー支持シャフトによって駆動される。先行技術の巻上ベンチでは、キャプスタン及びスプールの両方が、同じ側からオペレータによって届くことができる。これは、キャプスタンの従動側からオペレータ側への方向であるキャプスタン方向が、シャフトの駆動側からシャフトの開口端部への方向であるシャフト方向に等しいことを意味する。本発明の巻線モジュールでは、キャプスタン方向はシャフト方向と反対である。本発明の配置は、巻線モジュールと巻線設備の完全に異なる操作を可能にし、ドッフィング・ロボットの導入を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ワイヤをスプール上に巻き付けるための巻線モジュールであって、
前記巻線モジュールは細長い本体と、
スプールを担持するための第1の一連の従動カンチレバー・シャフトとを含み、
前記シャフトは、前記細長い本体の第1の側面に存在し、
前記シャフトは、支持された従動端部及び負荷端部を有し、
前記従動端部から前記負荷端部に向かってシャフト方向を画定し、
前記巻線モジュールは、前記スプール上に巻き付ける前に、鋼ワイヤを引くために第1の組の引抜キャプスタンを更に含み、
前記第1の組のキャプスタンは、前記第1の一連のシャフトと関連付けられ、
前記キャプスタンは、オペレータ側及び従動側を有し、
前記従動側から前記オペレータ側に向かってキャプスタン方向を画定し、
前記キャプスタン方向は、前記シャフト方向の反対側に配向されることを特徴とする、巻線モジュール。
【請求項2】
前記第1の一連のシャフトの数は、前記第1の組のキャプスタンの数に等しい、請求項1に記載の巻線モジュール。
【請求項3】
前記第1の一連のシャフトの数は、前記第1の組のキャプスタンの数より1つ多い、請求項1に記載の巻線モジュール。
【請求項4】
前記巻線モジュールは、第2の一連のシャフト及び前記第2の一連のシャフトと関連した第2の組のキャプスタンを含み、前記第2の一連のシャフト及び前記第2の組のキャプスタンは、前記第1の側面の反対側の前記細長い本体の第2の側面に構成され、前記第1の一連のシャフト及び前記第1の組のキャプスタンに鏡写しに配向される、請求項1~3のいずれか一項に記載の巻線モジュール。
【請求項5】
前記第1の一連のシャフト及び/又は前記第2の一連のシャフトの数は、2個、3個、4個~12個以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の巻線モジュール。
【請求項6】
オペレータ・プラットフォームは、前記細長い本体の上に提供される、請求項1~5のいずれか一項に記載の巻線モジュール。
【請求項7】
前記金属ワイヤを前記ワイヤに関連した前記引抜キャプスタンに向かって誘導するためのワイヤガイドを更に含み、前記ワイヤガイドは、前記プラットフォーム上に立っているオペレータが届くことができる、前記第1及び/又は前記第2の一連のキャプスタンの上に装着される、請求項6に記載の巻線モジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の1つ、2つ又は複数のモジュールを含む巻線設備であって、前記モジュールは、一列の前記細長い本体と並んで置かれる、巻線設備。
【請求項9】
前記第1の一連のシャフトの前記負荷側で前記設備の長さに沿って走行する第1のガントリを更に含み、前記設備は、前記第1のガントリ上を走行する1つ又は複数のロボットを更に含む、請求項8に記載の巻線設備。
【請求項10】
前記第2の一連のシャフトの前記負荷側で前記設備の長さに沿って走行する第2のガントリを更に含み、前記設備は、前記第2のガントリ上を走行する1つ又は複数のロボットを更に含む、請求項9に記載の巻線設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
技術分野
本発明は、巻線モジュール及び金属ワイヤを巻き付けるような巻線モジュールを含む巻線設備に関する。巻線モジュール及び巻線設備は、金属ワイヤ、特に鋼ワイヤを複数のスプールに同時に巻き付ける。
【背景技術】
【0002】
背景技術
金属ワイヤ業界では、工程ステップは、ペイオフワイヤ・キャリアから巻上ワイヤ・キャリアの上に巻き付けたワイヤを走行させる際に実行される。場合によって、連続した工程ステップは、単一ワイヤがペイオフスプールから巻上スプールに動く際に単一ワイヤに実行される。しかし経済的理由のために、同じ設備上で平行なワイヤに可能な限り多くの工程ステップを組み合わせることが求められる。これらの工程ステップは、例えば加熱処理、化学処理又は被覆ステップであることが可能である。
【0003】
例として、タイヤ、ホース又はベルトなどのゴム製品を補強するための鋼コード生産の分野では、平行して走行する数本の鋼ワイヤのパテンティングを、銅及び亜鉛の電解コーティングに続いて熱拡散することと組み合わせる処理ラインが開発された。以前は、パテンティング及び電解コーティングのステップは、余分の巻戻し及び巻付ステップとそれに関連したスプールの移送を必要とする、別個の処理ラインで多くのワイヤに行われていたが、現在の設備は、60以上のワイヤに全てのこれらのステップを組み合わせる。ワイヤの直径は、概して0.5mm~3.0mmである。
【0004】
個々のワイヤは、100メートルを超える長さの設備内でいくつかの工程の槽、炉、ロール、…を通って引かれなければならないので、ワイヤは、スプールに巻き付ける前に引抜キャプスタンによって引かれる。ワイヤに掛る張力は、スプールの上に直接巻き付けることを阻むはずである。それ故に、各ワイヤに対して別個の引抜キャプスタン及び巻線シャフトが必要である。スプールの数は多いので、これは、設備の両側にスプールとそれに関連した引抜キャプスタンを備えた複数の巻線シャフトを有する、長い巻上ベンチをもたらす。
【0005】
スプールが満杯になるので、ラインを止めなければならないことを回避するために、満杯のスプールを稼働していないシャフトから取り外しながら、走行する個々のワイヤを切断し、空のスプールに移送する操作手順が実施されている。操作は一般的に「ドッフィング」として公知である。このドッフィングは、ワイヤを切断し、引抜キャプスタンの把持を維持するために張力を掛け続け、ワイヤがスプールを把持するまで回転する空のスプールに誘導しなければならないという点で、人が介入する必要がある。その後、満杯のスプールはシャフトから取り除くことができる。
【0006】
この方法の操作は、キャプスタンにもスプールにも、オペレータが同じ側から届かなければならないことが必要である。言うまでもなく、このような操作は、経験豊富なオペレータであっても、危険を招くことがあるので注意が必要である。更にこれを安全な方法で行うために、ライン速度は低減しなければならず、これにより、移行期間に品質及び効率を損なう。加えて、巻上ベンチの両側に2人のオペレータが必要である。
【0007】
この手動のドッフィングを除去するために、オペレータの仕事を大幅に低減するドッフィング・ロボットが開発された。国際公開第2014/005734A1号を参照されたい。単一のドッフィング・ロボットが、オペレータから切断、誘導及び巻付の手動処理を引き継ぐ。しかし今度は、オペレータとロボットが、巻線ベンチの同じ側で作業するという新しい問題が発生する。これは危険な状況をもたらす可能性がある。
【0008】
この安全問題を克服するために、本発明者らは、以下の解決策を見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の開示
本発明の目的は、先行技術の問題を除去することである。より詳細には、本発明の目的は、本発明によりワイヤ巻線設備の安全性を改善することである。本発明の更なる目的は、設備の効率、並びに生産された商品の品質を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に開示されたように、巻線モジュールが提示されている。巻線モジュールは、スプール上に金属ワイヤを巻き付けるためにある。この用途のために、ボビン、リール及びスプールは、同じ目的で相互に交換可能な語として考えられる。金属ワイヤは、例えば0.5mm~3.0mmの直径の鋼ワイヤである。満杯のスプールは、概して100~1000kg、より好ましくは200kg~900kgの質量を有する。
【0011】
巻線モジュールは、細長い本体又はハウジング、及び細長い本体の第1の側面に存在する第1の一連の従動カンチレバー・シャフトを含む。細長い本体の内側には、モータ、ギアボックス、チェーン駆動、及び同種のもののような駆動手段が、シャフトを駆動するために存在する。空のスプールは、負荷端部で支持された従動端部に向かってシャフトの上を摺動する。従ってシャフト方向は、従動端部から負荷端部に向かって走行すると画定することができる。
【0012】
巻線モジュールは、第1の一連の従動カンチレバー・シャフトに関連した第1の組の引抜キャプスタンを更に含む。引抜キャプスタンは、ワイヤをスプール上に巻き付ける前に設備を通してワイヤを引く。ワイヤの輪は、キャプスタンの周りに置かれ、輪が小さい力で閉じた時にワイヤは把持し、強い力で引き抜かれる。キャプスタンは、オペレータ側及び従動側を有する。この方法で、キャプスタン方向は、従動側からオペレータ側に画定される。
【0013】
次に本発明についての特性は、キャプスタン方向がシャフト方向と反対側に配向されることである。
【0014】
これは、オペレータがキャプスタン並びにカンチレバー・シャフト上のスプールの両方を作業できるために、キャプスタン方向とシャフト方向が同じ方向に配向される、先行技術の巻線モジュール及び設備と対照的である。本発明の配置では、1人のオペレータが、キャプスタン及びシャフト上のスプールの両方を同じ側から作業することは不可能になっている。
【0015】
本発明の配置は、キャプスタンが、シャフトと同じ細長い本体の上に装着されないことが必要であることも伴う。実際にキャプスタンは、好ましくは細長い本体に平行な搬送枠上に装着され、細長い本体に取り付けられる。
【0016】
シャフト方向及びキャプスタン方向は、好ましくは互いに平行である。尚より好ましくは、シャフト方向及びキャプスタン方向がどちらも水平に配向される場合である。
【0017】
第1の好ましい実施形態によれば、第1の一連のシャフトの数は、第1の組のキャプスタンの数に等しい。
【0018】
第2の好ましい実施形態によれば、第1の一連のシャフトの数は、第1の組のキャプスタンの数より1つ(又は2つ)多い。
【0019】
第1の実施形態は、モジュールの一端で1つのキャプスタンを除去することにより、第2の実施形態に容易に移行することができる。
【0020】
第3の好ましい実施形態では、巻線モジュールは、第2の一連のシャフト、及び第2の一連のシャフトと関連した第2の組のキャプスタンを更に備える。第2の一連のシャフト及び第2の組のキャプスタンの両方は、細長い本体の第2の対向する側面に構成される。第2の一連のシャフト及び第2の組のキャプスタンは、第1の一連のシャフト及び第1の組のキャプスタンと鏡写しに配向される。この方法では、巻線モジュールの容量は2倍である一方で、同じ細長い本体を共有する。
【0021】
一連当たり(第1の一連及び/又は第2の一連)のシャフトの数は、2個、3個、4個、5個、6個、7個~12個以下であることが可能である。5個、6個、又は7個などの数がより好ましい。モジュールのいずれの側にも7個のシャフトを備えたモジュール、それ故、合計14個のシャフトが、構築の費用(より多くのシャフトが同じ細長い本体上に装着されるので)と、モジュールの輸送のしやすさ(これはトラック/コンテナの長さにほぼ対応するので)との間の良い均衡と概してみなされる。
【0022】
第4の好ましい実施形態では、オペレータ・プラットフォームは、細長い本体の上に提供される。引抜キャプスタンは腕の高さに装着されるので、オペレータは、プラットフォームから引抜キャプスタンを容易に監視して作業することができる。これは、作業の人間工学を非常に増大させる。
【0023】
第5の好ましい実施形態では、巻線モジュールは、金属ワイヤをワイヤに関連した引抜キャプスタンに向かって誘導するためにワイヤガイドを備える。ワイヤガイドは第1及び/又は第2の一連のキャプスタンの上に装着され、プラットフォーム上に立っているオペレータが容易に届くことができる。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、巻線設備が提供される。巻線設備は、一列に細長い本体と並んで置かれた、上記のような1つ、2つ又は複数のモジュールを含む。巻線モジュールから巻線設備を組み立てることにより、柔軟な設計が得られる。必要なシャフトの数は、端部に追加のモジュールを加えることによって増加することができる。
【0025】
設備を完全に作動するために、設備の各側面に1つの余分な又は予備のシャフトがあることが望ましい。ドッフィング循環作動の初めに、全てのスプールがほぼ満杯の時に、空のスプールは予備のシャフト上に装着され、これは次いで極値位置(設備の端部の一方で、これを「シャフトゼロ」と呼ぶ)に存在する。第1のキャプスタンからのワイヤは、張ったまま保持され、スプールと保持部との間で切断され、シャフトゼロ上で空のスプールを把持するまで巻かれる。満杯のスプールは第1のシャフトから取り外され、空のスプールに置換される。手順は繰り返される。手順の最後に、最後のシャフトは空である。そのためいずれの側にも存在するキャプスタンより少なくとも1つ多いシャフトがあることで充分である。当然のことながら、これは、2つのシャフトが設備の中程にドッフィングのために空のままである(この場合、2つのキャプスタンを取り除くことができる)ことを排除しない。
【0026】
連続して置かれたモジュールは、好ましくはガントリによって連結される。ガントリは、そこからペンダントデバイスを吊るすための頭上の橋状構造である。第1のガントリは、第1の一連のシャフトの負荷側で設備の長さに沿って走行する。ガントリ上で、1つ又は複数のドッフィング・ロボットは、設備の全長にわたって走行することができる。ドッフィング・ロボットのためにガントリを使用することは、現在床にレール又は軌道がないままであるので、レール又は軌道上を走行するロボットに比べて非常に好都合である。また満杯のスプールを取り外して空のスプールを装着することができる輸送車両などの他の目的のために、ロボットの下に空間も残っている。ドッフィング・ロボットは、ドッフィングが通常の走行速度で行うことにより、スクラップ及び/又は低品質の材料を低減させることができるという利点を有する。
【0027】
設備が、1つはほぼ中間にあり、1つは一端に向かう、2つの予備のシャフトを有する場合、2つのロボットは、互いに妨げることなく1つのガントリ上を走行することができる。これはドッフィング時間を大きく低減させる。
【0028】
第1及び第2の一連のシャフトが両側に存在する時、両側にロボットの逆の左右像を備えることができる。
【0029】
スプールがほぼ満杯になる時、ドッフィング・ロボットは、1つのシャフトから隣に移動し、キャプスタンからのワイヤを把持して張ったまま保持し、満杯のスプールと把持部との間でワイヤを切断し、ワイヤを空のスプールに誘導し、ワイヤを空のスプールに固定させる操作を行う。ロボットは、更にガントリに沿って1つのシャフト位置を動かし、満杯のスプールは、輸送車両によって取り外され、空のスプールに置換される。
【0030】
キャプスタン及びシャフトの配向に起因して、オペレータは、プラットフォーム上で作業している時に設備のシャフト側に届くことができない。そのためオペレータは、ロボットに接近することもできず、これは危険な状況であるはずである。巻線設備は、従って先行技術の設備より本質的に安全である。
【0031】
巻線設備は、ロボットの使用に起因して本質的により効率的でもある。更に1人のオペレータが、プラットフォームにわたって検査することができるので、機械の作業を全長に沿って監督することができる。オペレータの主な仕事は、最初にワイヤを通すことである。加えてサンプルを取り、工程パラメータを検査することは、全てオペレータが巻線設備上で可能な仕事である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面の図の簡単な説明
【
図1b】巻線設備を長さ方向に見た際の、端部からの先行技術の巻線設備を示す。
【
図2a】巻線設備を長さ方向に見た際の、端部からの本発明の巻線設備を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図において、同じユニット及び10の位は、存在する場合に、図にわたって等しい品目を差す。100の位は、図の番号を差す。
【0034】
発明を実施するための形態
図1aは、オペレータの作業側から見た際の、先行技術の巻線設備100を単純化した図を示す。
図1bは、設備の端部から見た際の、先行技術の巻線設備を示す。図は、細長い本体103を示し、細長い本体103の上に第1の一連のシャフト102、102a、102b、102c、…が、設備の第1の側に提供される。シャフトは、カンチレバー内にスプール106、106a、106b、106c、…を担持する。
【0035】
シャフトは、恐らく設備の端部に据えられたモータ114によって駆動され、設備は、細長い本体の内側から単一の中心軸から全てのシャフトを機械的に駆動する。それ故にシャフトは、支持された従動端部、及び支持されない負荷端部を有する。シャフトは、従って矢印122で示されたシャフト方向を有する。スプール106、106a、106b、106c、…は、ワイヤ110、110a、110b、…を受領するためにそれぞれのシャフトの上を摺動することができる。
【0036】
ワイヤ110、110a、110b、…は、第1の一連のシャフトに関連した第1の組の引抜キャプスタン104、104a、104b、…によって前の工程ステップから巻線設備に向かって引かれる。設備のより高い位置に装着されたワイヤガイド108、108a、108bは、ワイヤを各々のキャプスタンに誘導する。各引抜キャプスタンは、モータ116をその従動側に備える。第1の組の全てのキャプスタンは、同じオペレータ側を共有する。オペレータは、「X」を人の外形で示されている。キャプスタンは、従動側から矢印120で示されたキャプスタンのオペレータ側にキャプスタン方向を有する。
【0037】
設備は、細長い本体の他方の側に第2の一連のシャフト102’及び第2の組の引抜キャプスタン104’fを鏡映される。
【0038】
先行技術の設備では、シャフト方向122及びキャプスタン方向120は、必然的に同じ方向つまりオペレータ「X」に向かって指す。事実、オペレータ「X」は、ドッフィング中にワイヤをキャプスタン104からスプール106に向かって導くことができるために、キャプスタン104もスプール106と同様に常に届くことができなければならない。
【0039】
図2aは、モジュールの端部から見た際の本発明の巻線設備を示す。
図2bは、ドッフィング・ロボットが存在しない、シャフト側から見た際の単一のモジュール200を示す。先行技術と同様に、巻線モジュール200は細長い本体203に基づく。細長い本体203の片側に、第1の一連のシャフト202、202a、202bが装着される。シャフトはカンチレバーを装着され、支持された側はモータ214によって駆動される。支持されない端部は負荷端部である。各シャフトは、ドッフィング・ロボットと共に自動化を容易にするために、個々のモータ214によって駆動されることが好ましい。この方法で、矢印222によって示されたシャフト方向が画定される。シャフト上にスプール206、206a、206b’を装着することができる。
【0040】
細長い本体の上で、第1の組の引抜キャプスタン204、204a、204bが、細長い本体203に連結された枠上に装着される。関連付けられた第1の組のキャプスタンは、第1の一連のシャフト202、202a、202bと協働するように空間的に位置付けられる。各引抜キャプスタンは、従動側からキャプスタンを直接駆動する駆動モータ216、216a、216bを備える。キャプスタンは、オペレータ側からオペレータが自由に届くことができる。これは、従動側からオペレータ側に向かって指す矢印220によって示されたキャプスタン方向を画定する。
【0041】
先行技術と対照的に、キャプスタン方向220は、本発明の巻線モジュール内でシャフト方向222と反対側に配向される。
【0042】
第1の一連のシャフトの数は、第1の組のキャプスタンの数に等しい。1つの引抜キャプスタンは容易に取り外すことができ、それにより端部の巻線モジュールが次いで予備のシャフトを提供される。これはドッフィングをできるようにするためである。中間モジュールも、キャプスタンを取り外すことにより余分のシャフトを備えることができる。
【0043】
巻線モジュールは、230、230a、230bなどの転換車輪、及びワイヤをスプール206、206a、206bの幅にわたって前後に動かす役目を果たす、ガイド車輪232、232a、232bを更に備えることができる。
【0044】
好ましくは、巻線モジュールは、細長い本体の反対側に第2の一連のシャフト202’及び第2の組の引抜キャプスタン204’で鏡面対称に延在する。当然のことながら、キャプスタン方向220’及びシャフト方向222’の配向は、第1の一連のシャフト方向及び第1の組の引抜キャプスタン方向に対して反転する。描かれた実施形態では、巻線モジュールは、細長い本体のいずれの側面にも3つのシャフトを含む。そのため、合計6つのスプールがこのモジュール上に巻き付けられることが可能である。
【0045】
巻線モジュールは、巻線設備の全長にわたって延在することができる、巻線モジュールの全長にわたって延在する細長い本体の上にプラットフォーム240を更に備える。オペレータ「X」は、巻線モジュール又は設備の長さに沿って自由に歩くことができる。
【0046】
巻線モジュールは、同じ車軸上に装着された複数の個々の滑車から構成される、ワイヤガイド208、208a、208bを更に備える。両側のワイヤガイド208、208’は、オペレータが容易に届く範囲内に装着される。ワイヤガイド208、208’は、異なるワイヤを巻線モジュールの両側のそれぞれの引抜キャプスタンに誘導する。それぞれのキャプスタンに導く必要がある多くのワイヤがあるので、ワイヤガイド上の滑車の数は多い(10を超える、30さえも超える)可能性がある。
【0047】
複数、例えば10個又は20個の巻線モジュールを一列に次々に置くことにより、その上に金属ワイヤを巻き付けるために利用可能な10個を超える、20個を超える、又は40個さえも超えるシャフトを有する巻線設備が形成される。次いでプラットフォームは、いずれの側にも異なるキャプスタンを備えた長い車軸を形成する。オペレータが設備のシャフト側に届かないように、サイドランプが提供される。これは、オペレータがワイヤ領域を横切らなければならないはずであることを示唆するはずであるので、オペレータは、シャフトの負荷側にもはや届くことができないことは上記から明らかになろう。
【0048】
ドッフィング操作は、次いで1つ又は複数のドッフィング・ロボット250によって行われる。ロボット250は、車輪254上のガントリ252上を走行する。ガントリ252は、その上をロボットの車輪が走行する、設備の全長に沿って位置合わせされる2つの長いI字形ビームプロファイルからなる。ロボット250は、ガントリ252から垂れ下がり、ガントリ252は、輸送車両(図示せず)が予備シャフト上に空のスプールを置き、満杯のスプールを次のシャフトから取り外すことができるために、ロボットの底部と床との間に十分な空間を残す。
【0049】
ロボットは、以下のステップ、すなわち、
- キャプスタンからワイヤを張っている間に把持すること、
- 満杯のスプールと把持部との間でワイヤを切断すること、
- ワイヤを空のスプールに誘導すること、
- ワイヤ端部を空のスプールコアに固定すること、を行うために各シャフトで止まりながら、ガントリに沿って段階的に動く。
【0050】
予備のシャフトが巻線設備の中央付近で利用可能である場合、2つのロボットは、シャフトの合計数の半分を同時に行うことができる。これは、ドッフィング時間を更に低減させる。
【0051】
同じものは、ガントリの反対側に提供することができ、そこでは逆の左右像の1つ又は複数のロボット250’が、鏡のように同じタスクを行う。
【国際調査報告】