(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ピペット・チップ並びにそれを含む方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20230306BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B01L3/02 D
G01N1/00 101K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520969
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2021012902
(87)【国際公開番号】W WO2021146126
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505359506
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER HEALTH SCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラシェニーニン、ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】マンニーノ、バトン、アール.
【テーマコード(参考)】
2G052
4G057
【Fターム(参考)】
2G052CA21
2G052JA16
4G057AB16
(57)【要約】
終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタとともに使用するためのピペット・チップは、対向する近位端及び遠位端を有し、管状本体及び連結部分を含む。管状本体は、近位端と遠位端との間に延在する。管状本体は、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する。連結部分は、近位端に配置されている。連結部分は、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、終端に近接するピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタとともに使用するためのピペット・チップであって、対向する近位端及び遠位端を有しており、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部、及び、前記遠位端に隣接する遠位開口部で終端する流体通路を画定する、管状本体と、
前記近位端上の連結部分であって、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、前記終端に近接する前記ピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む、連結部分と
を備える、ピペット・チップ。
【請求項2】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む、請求項1に記載のピペット・チップ。
【請求項3】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項2に記載のピペット・チップ。
【請求項4】
前記本体及び前記連結部分が異なる材料で形成され、
前記連結部分の前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項1に記載のピペット・チップ。
【請求項5】
前記本体の前記材料のデュロメータが、少なくとも60ショアDであり、
前記連結部分の前記材料のデュロメータが、70ショアA未満である、請求項4に記載のピペット・チップ。
【請求項6】
前記本体の前記材料が、ポリプロピレンを含み、
前記連結部分の前記材料が、熱可塑性エラストマーを含む、請求項4に記載のピペット・チップ。
【請求項7】
前記連結部分が、前記終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限する、請求項1に記載のピペット・チップ。
【請求項8】
前記連結部分が、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合されている、請求項1に記載のピペット・チップ。
【請求項9】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項8に記載のピペット・チップ。
【請求項10】
前記流体密封シールが、少なくとも0.3516kgf/cm
2(5psi)までガス密性を有する、請求項8に記載のピペット・チップ。
【請求項11】
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項8に記載のピペット・チップ。
【請求項12】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項1に記載のピペット・チップ。
【請求項13】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む、請求項12に記載のピペット・チップ。
【請求項14】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項13に記載のピペット・チップ。
【請求項15】
前記本体及び前記連結タブが異なる材料で形成され、
前記連結タブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項12に記載のピペット・チップ。
【請求項16】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含み、
前記連結部分が、前記終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限し、
前記連結部分が、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合され、
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項15に記載のピペット・チップ。
【請求項17】
対向する近位端及び遠位端を有するピペット・チップを提供することであって、前記ピペット・チップが、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部と前記遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、
近位端上の連結部分であって、前記ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、終端に近接する前記ピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む連結部分と、
を含む、ピペット・チップを提供することと、
前記ピペッタ・シャフトの前記終端を前記連結部分に挿入して、前記インターロック機構を前記終端に近接する前記ピペッタ・シャフトと機械的に噛み合わせ、それにより、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに解放可能に固定することと、
を含む、前記終端を有する前記ピペッタ・シャフト上に前記ピペット・チップを取り付けるための方法。
【請求項18】
前記インターロック機構が、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、
前記円周方向に延在するリブ又は溝は、前記ピペッタ・シャフトの前記終端が前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記本体及び前記連結部分が異なる材料で形成され、
前記連結部分の前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記本体の前記材料のデュロメータが、少なくとも60ショアDであり、
前記連結部分の前記材料のデュロメータが、70ショアA未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記本体の前記材料が、ポリプロピレンを含み、
前記連結部分の前記材料が、熱可塑性エラストマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記連結部分が、前記終端に係合する止め肩部を含み、それによって、前記ピペッタ・シャフトの前記終端が前記連結部分に挿入されるときに、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記連結部分が、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位し、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流体密封シールが、少なくとも0.3516kgf/cm
2(5psi)までガス密性を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位し、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記インターロック機構が、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、
前記円周方向に延在するリブ又は溝は、前記ピペッタ・シャフトの前記終端が前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合う、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記本体及び前記連結タブが異なる材料で形成され、
前記連結タブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記インターロック機構が、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、
前記円周方向に延在するリブ又は溝は、前記ピペッタ・シャフトの前記終端が前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合い、
前記連結部分が前記終端に係合する止め肩部を含み、それによって、前記ピペッタ・シャフトの前記終端が前記連結部分に挿入されるときに、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限し、
前記連結部分が、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブが、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成し、
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタと、
対向する近位端及び遠位端を有するピペット・チップであって、且つ、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部と前記遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、
前記近位端上の連結部分であって、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、前記終端に近接する前記ピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む連結部分と、
を含む、ピペット・チップと、
を備える、ピペット操作システム。
【請求項34】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む、請求項33に記載のピペット操作システム。
【請求項35】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項34に記載のピペット操作システム。
【請求項36】
前記本体及び前記連結部分が異なる材料で形成され、
前記連結部分の前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項33に記載のピペット操作システム。
【請求項37】
前記本体の前記材料のデュロメータが、少なくとも60ショアDであり、
前記連結部分の前記材料のデュロメータは、70ショアA未満である、請求項36の記載のピペット操作システム。
【請求項38】
前記本体の材料が、ポリプロピレンを含み、
前記連結部分の前記材料が、熱可塑性エラストマーを含む、請求項36に記載のピペット操作システム。
【請求項39】
前記連結部分が、前記終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限する、請求項33に記載のピペット操作システム。
【請求項40】
前記連結部分が内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合されている、請求項33に記載のピペット操作システム。
【請求項41】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項40に記載のピペット操作システム。
【請求項42】
前記流体密封シールが、少なくとも0.3516kgf/cm
2(5psi)までガス密性を有する、請求項40に記載のピペット操作システム。
【請求項43】
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項40に記載のピペット操作システム。
【請求項44】
前記連結部分が、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、
前記連結タブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、
前記インターロック機構が、前記連結タブの少なくとも1つに配置される、請求項33に記載のピペット操作システム。
【請求項45】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む、請求項44に記載のピペット操作システム。
【請求項46】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む、請求項45に記載のピペット操作システム。
【請求項47】
前記本体及び前記連結タブが異なる材料で形成され、
前記連結タブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項44に記載のピペット操作システム。
【請求項48】
前記インターロック機構が、前記ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含み、
前記連結部分が、前記終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、前記連結部分への前記ピペッタ・シャフトの挿入を制限し、
前記連結部分が、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、
前記密封リブは、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されて前記インターロック機構と噛み合うときに、前記ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合され、
前記本体及び前記密封リブが異なる材料で形成され、
前記密封リブの前記材料が、前記本体の前記材料よりも剛性が低い、請求項47に記載のピペット操作システム。
【請求項49】
終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタとともに使用するためのピペット・チップであって、対向する近位端及び遠位端を有しており、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部と前記遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する、管状本体と、
前記近位端上で、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成された連結部分であって、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む、連結部分と、
を備える、ピペット・チップ。
【請求項50】
対向する近位端及び遠位端を有するピペット・チップを提供することであって、前記ピペット・チップが、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部と前記遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、
前記近位端上で、前記ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成された連結部分であって、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む連結部分と、
を含む、ピペット・チップを提供することと、
前記ピペッタ・シャフトの終端を前記連結部分に挿入して、それにより、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに解放可能に固定することと、
を含む、前記終端を有する前記ピペッタ・シャフト上に前記ピペット・チップを取り付けるための方法。
【請求項51】
終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタと、
対向する近位端及び遠位端を有するピペット・チップであって、且つ、
前記近位端から前記遠位端の間に延在する管状本体であって、前記近位端に隣接する近位開口部と前記遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する、管状本体と、
前記近位端上で、前記ピペット・チップを前記ピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成された連結部分であって、前記ピペッタ・シャフトが前記連結部分に挿入されるときに、前記ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む、連結部分と、
を備える、ピペット操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年1月15日に出願された米国仮特許出願62/961416号の利益及び優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ピペット・チップに関し、より詳細には、ピペッタ・シャフトに交換可能に取り付けることができるピペット・チップに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの研究及び/又は製造プロセスは、正確な量の液体の吐出又は輸送を必要とする。液体の吸引及び/又は分注を正確に制御することは、正確な試験結果を出し、高品質の製品を製造する上で重要なだけでなく、そのような操作に関連するコストを削減する上でも重要である。ピペット・チップは、一般に、正確な量の液体を吐出するために使用される。特に、ピペット・チップを、分注装置(例えば、手動又は自動装置)上に取り外し可能且つ交換可能に取り付けることが知られている。例えば、ピペット・チップは、ピペッタ・シャフト又はマンドレルに取り付けることができる。
【発明の概要】
【0004】
本技術の実施例によれば、終端を有するピペッタ・シャフトを含むピペッタとともに使用するためのピペット・チップは、対向する近位端及び遠位端を有し、管状本体及び連結部分を含む。管状本体は、近位端と遠位端との間に延在する。管状本体は、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する。連結部分は、近位端に配置されている。連結部分は、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、終端に近接するピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む。
【0006】
実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0007】
特定の実施例では、本体及び連結部分は異なる材料で形成され、連結部分の材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0008】
いくつかの実施例では、本体の材料のデュロメータ(硬度)は、少なくとも60ショアDであり、連結部分の材料のデュロメータは、70ショアA未満である。
【0009】
いくつかの実施例では、本体の材料は、ポリプロピレン又はポリエチレンを含み、連結部分の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic elastomer)を含む。
【0010】
いくつかの実施例では、連結部分は、終端に係合するように構成された止め肩部(stop shoulder)を含み、それによって、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限する。本開示はまた、連結部分が内径上に一体型の環状の密封リブを含む実施例を含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合されている。連結部分は、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含んでいてもよく、連結タブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、インターロック機構は、連結タブの少なくとも1つに配置される。
【0011】
特定の実施例では、流体密封シールは、少なくとも0.3516kgf/cm2(5psi)までガス密性を有する。
【0012】
いくつかの実施例では、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0013】
実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含み、一方、いくつかの実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0014】
いくつかの実施例によれば、本体及び連結タブは異なる材料で形成され、連結タブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0015】
したがって、実施形態では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含んでいてもよく、連結部分は、終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限し、連結部分は、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合され、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0016】
終端を有するピペッタ・シャフト上にピペット・チップを取り付けるための方法も開示され、この方法は、ピペット・チップを提供することを含み、このピペット・チップは、対向する近位端及び遠位端を有しており、その近位端と遠位端との間に延在する管状本体であって、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、近位端上の連結部分であって、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために終端に近接するピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む連結部分とを含む。この方法は、ピペッタ・シャフトの終端を連結部分に挿入して、インターロック機構を終端に近接するピペッタ・シャフトと機械的に噛み合わせ、それにより、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに解放可能に固定することを含む。
【0017】
いくつかの実施例では、インターロック機構は、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、円周方向に延在するリブ又は溝は、ピペッタ・シャフトの終端が連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合う。
【0018】
実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0019】
特定の実施例では、本体及び連結部分は異なる材料で形成され、連結部分の材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0020】
いくつかの実施例では、本体の材料のデュロメータは、少なくとも60ショアDであり、連結部分の材料のデュロメータは、70ショアA未満である。
【0021】
いくつかの実施例では、本体の材料は、ポリプロピレンを含み、連結部分の材料は、熱可塑性エラストマーを含む。
【0022】
いくつかの実施例では、連結部分は、終端に係合する止め肩部を含み、それによって、ピペッタ・シャフトの終端が連結部分に挿入されるときに、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限する。
【0023】
本開示はまた、連結部分が内径上に一体型の環状の密封リブを含む実施例を含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成する。連結部分は、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含んでいてもよく、連結タブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位され、インターロック機構は、連結タブの少なくとも1つに配置される。
【0024】
特定の実施例では、流体密封シールは、少なくとも0.3516kgf/cm2(5psi)までガス密性を有する。
【0025】
特定の実施例では、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0026】
いくつかの実施例では、連結部分は、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含み、連結タブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位し、インターロック機構は、連結タブの少なくとも1つに配置される。
【0027】
いくつかの実施例では、インターロック機構は、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、円周方向に延在するリブ又は溝は、ピペッタ・シャフトの終端が連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合い、一方、いくつかの実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0028】
いくつかの実施例によれば、本体及び連結タブは異なる材料で形成され、連結タブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0029】
いくつかの方法によれば、インターロック機構は、円周方向に延在するリブ又は溝を含み、円周方向に延在するリブ又は溝は、ピペッタ・シャフトの終端が連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合い、連結部分は終端に係合する止め肩部を含み、それによって、ピペッタ・シャフトの終端が連結部分に挿入されるときに、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限し、連結部分は、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成し、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0030】
ピペッタ及びピペット・チップを含むピペット操作システムも開示されている。ピペッタは、終端を有するピペッタ・シャフトを含む。ピペット・チップは、対向する近位端及び遠位端を有し、管状本体及び連結部分を含む。管状本体は、近位端と遠位端との間に延在する。管状本体は、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する。連結部分は、近位端に配置されている。連結部分は、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するために、終端に近接するピペッタ・シャフトと機械的に噛み合うように構成されたインターロック機構を含む。
【0031】
いくつかの実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含む。
【0032】
実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0033】
特定の実施例では、本体及び連結部分は異なる材料で形成され、連結部分の材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0034】
いくつかの実施例によれば、本体の材料のデュロメータ(硬度)は、少なくとも60ショアDであり、連結部分の材料のデュロメータは、70ショアA未満である。
【0035】
いくつかの実施例では、本体の材料は、ポリプロピレン又はポリエチレンを含み、連結部分の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)を含む。
【0036】
いくつかの実施例では、連結部分は、終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限する。本開示はまた、連結部分が内径上に一体型の環状の密封リブを含む実施例を含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合されている。連結部分は、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含んでいてもよく、連結タブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成され、インターロック機構は、連結タブの少なくとも1つに配置される。
【0037】
特定の実施例では、流体密封シールは、少なくとも0.3516kgf/cm2(5psi)までガス密性を有する。
【0038】
いくつかの実施例では、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は本体の材料よりも剛性が低い。
【0039】
実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含み、一方、いくつかの実施例では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する環状溝と噛み合うように構成された円周方向に延在するリブを含む。
【0040】
いくつかの実施例によれば、本体及び連結タブは異なる材料で形成され、連結タブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0041】
したがって、実施形態では、インターロック機構は、ピペッタ・シャフト上の協働する溝又はリブと噛み合うように構成された円周方向に延在するリブ又は溝を含んでいてもよく、連結部分は、終端に係合するように構成された止め肩部を含み、それによって、連結部分へのピペッタ・シャフトの挿入を制限し、連結部分は、内径上に一体型の環状の密封リブを含み、密封リブは、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されてインターロック機構と噛み合うときに、ピペッタ・シャフトの外径との流体密封シールを形成するように適合され、本体及び密封リブは異なる材料で形成され、密封リブの材料は、本体の材料よりも剛性が低い。
【0042】
ピペッタとともに使用するためのピペット・チップも開示されており、ピペッタは、終端を有するピペッタ・シャフトを含み、対向する近位端及び遠位端を有し、管状本体及び連結部分を含む。管状本体は、近位端と遠位端との間に延在する。管状本体は、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する。連結部分は、近位端に配置されており、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成される。連結部分は、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された、複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む。
【0043】
本技術のさらなる実施例によれば、終端を有するピペッタ・シャフト上にピペット・チップを取り付けるための方法が開示され、この方法は、対向する近位端及び遠位端を有するピペット・チップであって、且つ、その近位端と遠位端との間に延在する管状本体であって、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、近位端上で、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成された連結部分であって、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む連結部分と、を含むピペット・チップを提供することを含む。この方法は、ピペッタ・シャフトの終端を連結部分内に挿入して、それにより、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに解放可能に固定することをさらに含む。
【0044】
本技術のさらなる実施例によれば、ピペッタ及びピペット・チップを含むピペット操作システムが開示されている。ピペッタは、終端を有するピペッタ・シャフトを含む。ピペット・チップは、対向する近位端及び遠位端を有しており、その近位端と遠位端との間に延在する管状本体であって、近位端に隣接する近位開口部と遠位端に隣接する遠位開口部とで終端する流体通路を画定する管状本体と、近位端上で、ピペット・チップをピペッタ・シャフトに選択的且つ解放可能に固定するように構成された連結部分であって、ピペッタ・シャフトが連結部分に挿入されるときに、ピペッタ・シャフトによって半径方向外向きに変位するように構成された複数の一体型の円周方向に分布された連結タブを含む連結部分と、を含む。
【0045】
本技術のさらなる特徴、利点及び詳細は、図面及び以下の好ましい実施例の詳細な説明を読むことにより、当業者には理解されるであろうが、そのような説明は本技術を単に例示するものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本技術の実施例によるピペット操作システムの斜視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿った
図1のピペット操作システムの断片的断面図である。
【
図3】
図1の線2-2に沿った
図1のピペット操作システムの拡大断片的断面図である。
【
図4】
図1のピペット操作システムの断片的分解上方斜視図である。
【
図5】
図1の線2-2に沿った
図1のピペット操作システムの断片的分解断面図である。
【
図6】
図5の線6-6に沿った
図1のピペット操作システムの一部を形成するピペット・チップの断片的分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本技術は、本技術の例示的な実施例が示されている添付の図面を参照して、以下に、より十分に説明される。図面において、領域又は特徴の相対的な大きさは、明瞭化のために誇張されている場合がある。しかしながら、本技術は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が完全且つ完璧であり、技術の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0048】
第1、第2などの用語は、本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又はセクションを別の領域、層又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、層又はセクションは、本技術の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又はセクションと呼ぶことができる。
【0049】
「下方に(beneath)」、「下に(below)」、「下方の(lower)」、「上に(above)」、「上方の(upper)」などの空間的に相対的な用語は、図に示されているように、ある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係の説明を容易にするために、本明細書で使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は操作中の装置の異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図面中の装置がひっくり返される場合、別の要素又は特徴の「下に」又は「下方に」として記述された要素は、他の要素又は特徴の「上に」向けられる。したがって、「下に」という例示的な用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。装置は、他の状態に向いて(90°又は他の向きに回転されて)いてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。
【0050】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明記しない限り、複数形も含むことを意図している。「含む(include)」、「備える(comprise)」、「含んでいる(including)」及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の別の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。1つの要素が別の要素に「接続されている」又は「連結されている」と呼ばれる場合、それは別の要素に直接接続又は連結することができるか、又は、介在する要素が存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用されるように、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のあらゆるすべての組み合わせを含む。
【0051】
「モノリシック」という用語は、接合部又は継ぎ目のない材料から形成又は構成された単一の一体型の部品であるものを意味している。
【0052】
図1~
図6を参照すると、本技術の実施例によるピペット・チップ100が示されている。ピペット・チップ100は、例えば、
図1~
図3に示すように、ピペット操作システム10内のピペッタ装置50に取り付けることができる。
【0053】
ピペット・チップ100は、遠位端102Aから近位端102Bまで延在し、ピペット・チップ軸B-B(
図2)を画定する。ピペット・チップ100は、ピペット・チップ遠位端102Aに隣接する本体部分120と、ピペット・チップ近位端102Bに隣接する連結部分104とを含む。図示されたピペット・チップ100は、本体部材110と連結部材140とを含む。図示の実施例では、本体部分120は、本体部材110の一部を形成し、連結部分104は、連結部材140と、本体部材110の近位部分130(
図6)とを含む。
【0054】
図2及び
図6を参照すると、本体部材110は管状で、本体部材近位端112Bからピペット・チップ遠位端102Aまで延在する。円錐台形の内部ボア又は貫通通路114は、本体部材110を軸方向に完全に貫通して延在し、遠位端開口部115A及び近位端開口部115Bで終端する。いくつかの実施例では、通路114は、遠位端開口部115Aの方向に先細りになっている。いくつかの実施例では、通路114は、1つ又は複数のセクション、例えば114A、114B、114Cを含み、実施例では、1つ又は複数のセクションは、異なる内径及び/又はテーパ比を有することができる。図示の本体部分120は、内面122(通路114の少なくとも一部を画定する)と、円錐台形の外面124(通路セクション114A、114B、114Cに対応して先細りになっている)とを含む。
【0055】
図6の実施例(下部)に示すように、本体部材近位部分130は、内面132Aと外面132Bと近位端面132Cとを含んだ管状若しくは環状フランジ又は側壁132を含む。内面132Aは、ソケット136と、それに連通するソケット近位端開口部133とを画定する。いくつかの実施例では、ソケット136は、実質的に円筒形である。図示の実施例では、環状の内側フランジ又は止め肩部134は、ソケット136の底部に配置され、側壁132から半径方向内向きに延在する。環状の外側フランジ138は、側壁132から半径方向外向きに延在する。
【0056】
図6の上部を参照すると、連結部材140は、連結部材遠位端142Aからピペット・チップ近位端102Bまで延在する。図示の連結部材140は、基部セクション144と、一体型密封セクション150と、一体型固定セクション160とを含む。通路146は、連結部材140を通って、通路遠位端開口部145Aから通路近位端開口部145Bまで延在する。
【0057】
図6の基部セクション144は、連結部材ソケット148を画定する環状又は管状壁144Bを含む。このような実施例では、連結部材140は、本体部材側壁132が連結部材ソケット148に受容されるように、本体部材近位部分130上に取り付けられる。連結部材基部セクション144及び本体部材近位部分130の合わせ面144A及び130Aは、互いに(例えば、接着剤及び/又は成形により)接着されて、連結部材140を本体部材110にしっかりと固定する。
【0058】
密封セクション150は、環状又は管状本体152と、通路146内へ半径方向内向きに延在する一体型環状密封リブ154とを含む。
【0059】
図1、
図4及び
図6を参照すると、固定部又は固定セクション160は、密封部分150から軸方向に延在する、直径方向に対向して円周方向に分布した2つのタブ162を近位方向に含む。タブ162は、通路146の一部と、タブ162の間で円周方向に離間したスロット166(対向するタブ側縁部162Cによって画定される)とを画定する。各タブ162は、その遠位端162Aにおいて、密封セクション150に取り付けられるか、又は併合され、近位自由端162Bを有する(
図6)。
【0060】
図示の実施例の各タブ162は、その近位自由端162Bに隣接して配置された円周方向に延在するインターロック機構又はリブ170を含む。いくつかの実施例では、
図5に示すように、リブ170は、(断面プロファイルにおいて)中心軸B-Bに対して異なるテーパ比を有するリブ遠位セクション172Aと、リブ近位セクション172Bと、リブ中間セクション172Cとを含む。いくつかの実施例では、リブ遠位セクション172Aは、近位方向に先細りになり、リブ近位セクション172Bは、遠位方向に先細りになっている。いくつかの実施例では、リブ遠位セクション172Aのテーパ比は、リブ近位セクション172Bのテーパ比よりも大きい。いくつかの実施例では、リブ中間セクション172Cは、実質的に先細りではない(すなわち、円筒状である)。
【0061】
本体部材110は、任意の適切な材料で形成することができる。いくつかの実施例によれば、本体部材110は、ポリマー材料で形成される。いくつかの実施例によれば、本体部材110は、熱可塑性材料で形成される。本体部材110に適した材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン又は同様の熱可塑性プラスチックを含み得る。いくつかの実施例によれば、本体部材110は、モノリシックである。本体部材110は、射出成形されていてもよい。
【0062】
連結部材140は、任意の適切な材料で形成することができる。いくつかの実施例によれば、連結部材140は、ポリマー材料で形成される。いくつかの実施例によれば、連結部材140は、エラストマー材料で形成される。連結部材140に適した材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得る。いくつかの実施例によれば、連結部材140は、モノリシックである。連結部材140は、射出成形されていてもよい。いくつかの実施例によれば、連結部材140は、本体部材110上にオーバーモールドされるか、又は本体部材110と共成形される(例えば、デュアル・ショット成形される)。連結部材140は、本体部材110との流体密封シールを形成する。
【0063】
いくつかの実施例によれば、本体部材110は、連結部材140よりも剛性又は剛直性の高い材料で形成される。特に、いくつかの実施例では、タブ162は、本体部分120よりも剛性又は剛直性の低い(より可撓性のある)材料で形成される。さらに、この場合、連結部分104は、ソケット136を画定する比較的剛性の高い側壁132と、比較的可撓性のあるタブ162とを含む。いくつかの実施例によれば、本体部材110は、少なくとも60ショアDのデュロメータ(硬度)を有する材料で形成され、連結部材140は、70ショアA未満のデュロメータを有する材料で形成される。いくつかの実施例によれば、本体部材110は、60ショアD~80ショアDの範囲のデュロメータを有する材料で形成され、連結部材140は、50ショアA~70ショアAの範囲のデュロメータを有する材料で形成される。
【0064】
いくつかの実施例によれば、本体部分120の長さL1(
図2)は、約10mm~125mmの範囲である。
【0065】
いくつかの実施例によれば、通路114の最大内径は、約0.5mm~15mmの範囲である。
【0066】
いくつかの実施例によれば、ソケット136の深さH2(
図6)は、約1mm~10mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、ソケット136の直径D2(
図6)は、約1.5mm~8mmの範囲である。
【0067】
いくつかの実施例によれば、肩部134は、約0.3mm~2.5mmの範囲の幅W4(
図6)を有する。
【0068】
いくつかの実施例によれば、密封リブ154の幅W5(
図6)は、約0.01mm~2mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、密封リブ154の高さH5(
図6)は、約0.01mm~3mmの範囲である。
【0069】
いくつかの実施例によれば、各インターロック・タブ162(インターロック・リブ170を含まない)の幅W6(
図6)は、約0.3mm~3mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、各インターロック・タブ162の高さH6(
図6)は、約1mm~10mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、各スロット166の幅W7(
図5)は、約0.1mm~5mmの範囲である。しかしながら、他の実施例では、スロット166は、タブ162が実質的に端から端まで配置されるように、スリット状に狭められていてもよい。いくつかの実施例では、3つ以上のインターロック・タブ162が設けられる。
【0070】
いくつかの実施例によれば、各インターロック・リブ170の幅W8(
図6)は、約0.1mm~3mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、各インターロック・リブ170の高さH8(
図6)は、約0.1mm~6mmの範囲である。
【0071】
図2~
図3を参照すると、ピペッタ装置50は、シャフト軸A-A(
図2)を有し、且つ、シャフト遠位終端62まで延在しているピペッタ・マンドレル又はシャフト60を含む。流体通路66は、シャフト60を通って、シャフト遠位終端62にあるシャフト遠位終端開口部64まで延在する。シャフト60の外面68は、ほぼ円筒状又はわずかに先細りになっていてもよく、その中に形成された円周方向に延在するシャフト・インターロック機構又は溝70を含む。いくつかの実施例では、溝70は、環状で継ぎ目がない。溝70は、リブセクション172A、172B、172C(
図5下部)にそれぞれ相補的なセクション72A、72B、72C(
図5上部)を有する。遠位シャフト部分74(
図5)は、少なくとも溝70(
図3)からシャフト遠位終端62まで延在する。
【0072】
シャフト60は、導管52によって、アクチュエータ56(
図1)に流体接続することができる。アクチュエータ56は、通路66に正圧又は負圧を加えて、一定の容積の液体を分注又は吸引するように動作可能なポンプであり得る。ピペッタ装置50は、手動装置(例えば手動の注射器)又は自動装置であってもよい。
【0073】
シャフト60は、任意の適切な材料で形成することができる。いくつかの実施例では、シャフト60は、金属で形成される。いくつかの実施例では、シャフト60は、ポリマー材料で形成される。
【0074】
使用中、ピペット・チップ100は、本技術の方法に従って、以下のようにピペッタ・シャフト60上に設置することができる。遠位シャフト部分74は、
図1~
図3に示すように、シャフト遠位終端62(
図5)が止め肩部134(
図5)に当接するまで、
図4及び
図5に示すように、挿入方向Iでソケット136に挿入される。したがって、止め肩部134は、連結部分104へのピペッタ・シャフト60の挿入を制限する。止め肩部134はまた、ピペッタ・シャフト60とピペット・チップ100との間で同心の位置合わせを提供又は容易にすることができる。
【0075】
部分74が挿入されると、タブ162は、それにより、弾性的に広げられるか、又はR方向の(
図3の破線で示すように)半径方向外向きに撓む。この撓みは、タブ162において曲がること、及び/又はタブ遠位端162Aの周りでタブ162を片持ち支持することを含む。タブ162は、シャフト60に半径方向に圧縮された戻り力を加え続けるように、弾性的に撓む。インターロック・リブ170がインターロック溝70と位置合わせされると、タブ162ひいてはリブ170は、半径方向内向きに後退又は戻り、それにより、リブ170を溝70内に固定する。遠位シャフト部分74は、連結部分104によって拘束される。インターロック・リブ170と溝70との間の機械的なインターロック係合に加えて、密封リブ154及びタブ162は、遠位シャフト部分74に半径方向に圧縮荷重を加え、ピペット・チップ100の取り外しに対する摩擦抵抗を提供することができる。
【0076】
いくつかの実施例によれば、止め肩部134からインターロック・リブ170までの軸方向の距離L9(
図3)は、約1mm~10mmの範囲である。いくつかの実施例によれば、ピペッタ・シャフト60の終端62からインターロック溝70までの軸方向距離L10(
図3)は、距離L9と実質的に同じである。その結果、近位シャフト部分74が、ソケット136内の止め肩部134まで適切且つ完全に挿入されると、インターロック・リブ170は、インターロック溝70と軸方向に位置合わせされる。したがって、リブ170及び溝70は、ピペッタ・シャフト60に対してピペット・チップ100の軸方向の変位に抵抗するように噛み合う。
【0077】
遠位シャフト部分74が連結部材ソケット136内に挿入された状態で、密封リブ154(
図5)は、遠位シャフト部分74の外面に密封係合する。密封リブ154の内径D5(
図5)は、遠位部分74の外径D11(
図5)よりも小さい。その結果、近位シャフト部分74が連結部材ソケット136内に適切且つ完全に挿入されると、密封リブ154は、シャフト部分74によって弾性変形し、シャフト外面に半径方向内向きの圧縮力を及ぼす。このようにして、密封セクション150とシャフト60との間に、流体密封シール(例えば、いくつかの実施例では、液密、ガス密又は気密シール)が形成される。いくつかの実施例によれば、内径D5は、遠位部分74の外径D11よりも約0.05mm~2mm小さい範囲である。
【0078】
前述のように、ピペット・チップ100は、ピペッタ・シャフト60に機械的且つ取り外し可能に固定されている。ピペッタ流体通路66は、通路114を通ってピペット・チップ遠位開口部115Aに流体接続されている。ピペット・チップ100は、ピペッタ・シャフト60に(密封リブ154によって)密封係合して、流体密封通路を提供する。次いで、ピペット・チップ100のアセンブリ及びピペッタ装置50は、必要に応じて、ピペット・チップ100を通って、又はピペット・チップ100を用いて(及び、いくつかの実施例では、ピペッタ・シャフト60を通って、又はピペッタ・シャフト60を用いて)液体を分注、吸引及び/又は輸送するために使用することができる。
【0079】
必要に応じて、ピペット・チップ100は、ピペッタ・シャフト60を連結部材ソケット136から取付け方向Iとは反対方向に引き抜くことによって、取り外すことができる。十分な軸力を加えると、タブ162は、再び半径方向外向きに弾性的に撓み、溝70からリブ170を外す。必要に応じて、取り外されたピペット・チップ100は、新しいピペット・チップ100と交換することができる。新しいピペット・チップ100は、最初のピペット・チップ100と同じ方法で設置することができる。
【0080】
本明細書に開示されたピペット・チップ100及びピペット操作システム並びに方法のために、撓み可能なタブ162及び協働するインターロック機構170、70を使用することにより、必要な挿入力が小さいにもかかわらず、シャフト60からピペット・チップ100を除去するのに十分な抵抗を提供する形状が可能になる。連結部材ソケット136は、シャフト部分74の挿入に対してほとんど又は全く抵抗を与えない大きさ及び構成であり得る。タブ162は外向きに自由に撓むので、接触しているインターロック・リブ170によってシャフト60に加えられる摩擦抗力は減少する。密封リブ154は、流体密封(例えば、気密、液密、ガス密)シールを形成するために、シャフト部分74に対して十分な半径方向荷重及び接触面を提供するだけでよく、したがって、挿入時の抗力が比較的小さくなるように構成することができる。遠位シャフト部分74は、それ自体が(例えば、遠位方向に円錐台形状に先細りになっていることによって)挿入抗力を低減するように構成することができる。小さな挿入力しか必要とされないので、移動機構(例えば、ピペッタ・シャフト60を移動させるロボットアーム)の大きさ及び質量を大幅に減少させることができる。
【0081】
密封リブ154は、ピペット・チップ100との流体密封シールをもたらすためにピペッタ・シャフト60上に補助的なOリングを設ける必要性を排除することができる。いくつかの実施例では、密封リブ154は、シャフト60の周りにガス密又は真空気密の気密シールを形成する。いくつかの実施例では、密封リブ154とシャフト60との間のシールは、漏れがなく、少なくとも0.3516kgf/cm2(5psi)に耐えるように適合されている。
【0082】
インターロック・シャフト溝70及びインターロック・リブ170が本明細書に示され、説明されているが、インターロック機構の他の組み合わせ及び構成が使用されてもよい。例えば、ピペッタ・シャフト60は、1つ又は複数のインターロック・リブを備えていてもよく、タブ162は、協働するインターロック溝を備えていてもよい。この場合、ピペッタ・シャフト60上の一体型インターロック・リブは、環状で継ぎ目がなくてもよい。さらなる実例によって、シャフト及びタブは両方とも、1つ又は複数のインターロック・リブ及び1つ又は複数のインターロック溝を備えることができる。
【0083】
本明細書に開示されるピペット・チップ及びピペット操作システムは、液体変位技術、又はガス若しくは空気変位技術とともに使用することができる。液体変位技術では、液体は、ピペッタ・シャフト60を通って(例えば、注射器若しくは他のポンプへ、又はそれに向かって)移動される。ガス変位技術では、注射器又は他のポンプは、負圧又は正圧を発生させるためにのみ使用され、吸引された液体は、ピペット・チップの下部(すなわち、本体部分120)にのみ留まり、ピペッタ・シャフト60及びピペット・チップ100のシールには決して接触しない。ガス変位技術は、液体の相互汚染を防止するために一般的に使用される。
【0084】
本開示の利益を考慮すれば、本技術の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更及び修正を行うことができる。したがって、例示された実施例は、実例としてのみ記載されたものであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような技術を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解しなければならない。したがって、以下の特許請求の範囲は、文字通りに記載された要素の組み合わせだけでなく、実質的に同じ結果を得るために、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行するための全ての同等の要素を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、上記に具体的に例示及び説明されているもの、概念的に同等であるもの、及び本技術の本質的な思想を組み込んだものを含むと理解されるべきである。
【国際調査報告】