IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニンブル サイエンス, インク.の特許一覧

特表2023-510077センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法 図3
  • 特表-センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法 図4
  • 特表-センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】センサデータに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230306BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20230306BHJP
【FI】
G16H50/30
G16Y20/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528291
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021013584
(87)【国際公開番号】W WO2021146527
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/962,674
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522189643
【氏名又は名称】ニンブル サイエンス, インク.
【氏名又は名称原語表記】NYMBL SCIENCE, INC.
【住所又は居所原語表記】3513 N Brighton Blvd Ste 478 Denver, CO 80216 US
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】リコビッチ, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】クック, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】アーチュレッタ, カール
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ, ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】デューク, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーデン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マトルマン, ジョセフ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
トレーニングデータの生成を容易にし、このトレーニングデータをユーザのパフォーマンスに基づいて調整するための実施形態を開示する。このトレーニングデータはユーザによって(例えば、別々にまたは同時に)実行される身体的タスクまたは認知的タスクのセットに関する情報を含む。これらのタスクは特定の健康状態(例えば、ユーザのバランス能力)を改善することを目的とする。システムはユーザデバイスのセンサからタスクの実行におけるユーザの動作を表すセンサデータを取得する。このセンサデータを処理することによって、タスクを実行するときのユーザのパフォーマンスを示すパフォーマンスデータ(例えば、身体的または認知的パフォーマンス)を決定し得る。このパフォーマンスデータに基づいてトレーニングデータを調整し得る(例えば、1つ以上のタスクまたはタスクパラメータを調整して、タスクを実行するときのユーザ向けの難易度を上げるかまたは下げる)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間のバランス状態を改善するためのトレーニングデータを生成する方法であって、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた1または複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットと前記認知的タスクのセットとにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と、
前記ユーザデバイス上に前記調整されたトレーニングデータを提示する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザに関連付けられた動作パターンに基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該動作パターンは前記センサデータに基づいて決定される、工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを調整する工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の動作パターンを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の動作パターンに基づいて、前記動作パターンの偏差の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記過去の動作パターンを取得する工程は、前記ユーザまたは前記ユーザのユーザプロファイルに一致するユーザプロファイルを有する他のユーザに関連付けられた過去の動作パターンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記動作パターンは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作平面を表す動作平面データを含み、前記身体的タスクのセットを調整する工程は、前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作平面からの前記動作平面の偏差に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記動作パターンは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作速度を表す速度データを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザによる前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の速度データを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の速度データに基づいて前記速度の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を上げるように前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該調整する工程は、前記動作パターンが前記難易度を上げるための条件を満たすことに基づいて行われる、工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を下げるように前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該調整する工程は、前記動作パターンが前記難易度を下げるための条件を満たすことに基づいて行われる、工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザが前記認知的タスクのセットを実行しているときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記動作パターンと前記認知的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットまたは前記認知的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を上げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットをより高い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記認知的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を上げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記認知的タスクのセットをより高い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を下げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットをより低い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記認知的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を下げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記認知的タスクのセットをより低い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットのうちの1または複数の身体的タスク、前記認知的タスクのセットのうちの1または複数の認知的タスク、前記身体的タスクのセットの1または複数のパラメータ、または前記認知的タスクのセットの1または複数のパラメータを変更する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記センサデータを処理する工程は、
前記ユーザの動作平面、前記ユーザの動作速度、または前記ユーザの認知的パフォーマンスデータのうちの少なくとも1つを取得するべく、前記センサデータを処理する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
命令を備える非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が1または複数のプロセッサによって実行されると、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す身体的パフォーマンスデータと、前記認知的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す認知的パフォーマンスデータとを含む、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と、
前記ユーザデバイス上に前記調整されたトレーニングデータを提示する工程と
を含む処理動作が実行される、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を変更するように、前記身体的パフォーマンスデータに基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記センサデータに基づいて、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記処理動作が、
前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の動作パターンを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の動作パターンに基づいて、前記動作パターンの偏差の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
をさらに含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記センサデータに基づいて速度データを決定する工程であって、当該速度データは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作速度を示す、工程と、
前記ユーザによる前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の速度データを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記速度データと前記過去の速度データとに基づいて前記速度の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザが前記認知的タスクのセットを実行しているときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記動作パターンまたは前記認知的パフォーマンスデータの少なくとも一方に基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを異なる難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記データを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記認知的タスクのセットを異なる難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記データを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを第1の難易度に調整し、前記認知的タスクのセットを異なる第2の難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
コンピュータプログラム命令を使用してプログラミングされている1または複数のプロセッサを有するコンピュータシステムを備え、前記コンピュータプログラム命令が実行されると、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットと前記認知的タスクのセットとにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と
を含む処理動作が行われる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第62/962,674号(出願日:2020年1月17日、名称:「ウェルネス管理のためのシステムおよび方法」)からの優先権を主張するものであり、この出願の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
ウェルネスマネジメントは、人のライフスタイル、例えば健康を管理することを目的とし、人が健康を維持・増進するための予防医療や慢性疾患治療の鍵となるものである。ウェルネスマネジメントプログラムには、身体トレーニングエクササイズや認知エクササイズを人に課し、その人のエクササイズのパフォーマンスを評価し、それに応じた治療を提供することが含まれる。
【0003】
一般的な健康のため、または特定の健康状態を改善する(例えば、人間のバランス状態を改善する)ために行う様々な身体運動に関するビデオ、議論、記事など、多くのウェルネス資源をオンラインで見つけることができる。しかし、これらの資源は、特定の人に合わせてパーソナライズまたはカスタマイズされたものではない。ウェルネスプログラム(例えば、実行する身体運動)を特定の人に合わせてパーソナライズすることは、異なる人が異なる能力、健康状態、ニーズなどを持ち得るため、人々が効果的にウェルネスを向上させるのに非常に重要な要素である。いくつかのオンラインシステムは、ある程度のカスタマイズ、例えば、年齢、性別または他の同類のユーザ関連パラメータに基づいてトレーニングプログラムをカスタマイズすることを可能にする場合もあるが、これらのオンラインシステムは、トレーニングプログラムにおけるユーザのパフォーマンスを監視または評価することができず、パフォーマンスに基づいてユーザに対して推奨を行うことやトレーニングプログラムを調節することができず、それによって、トレーニングプログラムがユーザのウェルネスの向上にまったくあるいはあまり役立たないものになる可能性がある。上記のような問題およびその他の問題が存在する。
【発明の概要】
【0004】
開示される実施形態は、ユーザ装置上でのトレーニングデータの生成及び提示を容易にし、ユーザのパフォーマンスに基づいてトレーニングデータを調整するためのシステム及び方法に関するものである。トレーニングデータは、ユーザが実行すべき一連の身体的タスク又は認知的タスクに関する情報を含んでもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、人間の被験者(「ユーザ」と称する)に対してカスタマイズされたトレーニングデータを提示する。トレーニングデータは、ユーザが実行すべき身体的タスク(例えば、身体運動)又は認知的タスクなどの一定数のタスクを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トレーニングデータは、人間のバランス能力を向上させるためのタスクを含んでもよい。
【0006】
コンピュータシステムは、(例えば、カメラ、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、心拍センサ、心電図センサ、血中酸素濃度センサなどのセンサを使用して)タスクを実行する際のユーザの動作を監視し、センサデータを処理して、タスクを実行する際のユーザのパフォーマンスを示すパフォーマンスデータ(例えば、身体的パフォーマンスデータ又は認知的パフォーマンスデータ)を決定し、パフォーマンスデータに基づいてトレーニングデータを調整する(例えば、タスクを実行する際のユーザ向けの難易度を上げるまたは下げるために、身体的タスクまたは認知的タスクを変更する、あるいは身体的タスクまたは認知的タスクのパラメータを変更する)ように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ユーザのフィードバック(例えば、タスクの実行によって痛みが増すか減るのか、吐き気を催させるのか等)に基づいてトレーニングデータを調整してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、パフォーマンスデータに基づいて、ユーザに推奨事項を提示することもできる。例えば、コンピュータシステムは、ユーザがユーザの身体の一部を予想される方向と異なる方向に動かしていることをセンサデータから判断し、それに応じて動作を修正するようにユーザに対して(例えば、ビデオ、音声、テキスト、又は他のフィードバック形式を介して)通知してもよい。
【0007】
トレーニングデータ又はトレーニングデータの調整は、様々な方法、例えば、指定された基準/ルール/ポリシーに基づいて、又は予測モデルに基づいて、ユーザのプロファイルデータ又はパフォーマンスデータに基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、予測モデルへの入力としてトレーニング情報が提供され、これによってトレーニングデータに関連する予測が生成されてもよい。一例として、トレーニング情報は、(a)ユーザープロファイルデータ、センサデータ、又はパフォーマンスデータ、(b)実行される身体的タスク又は認知的タスクのセット、(c)身体的タスク又は認知的タスクに対して行われた難易度を上げる又は下げるための調整、又は他の同類のデータを示してもよい。いくつかの実施形態では、タスクの指定セット又はタスクの調整された指定セットに対応するユーザのパフォーマンスデータが指定条件を満たすかどうか、ユーザに提示された身体的タスク又は認知的タスクに基づいて健康状態の改善が示されたかどうか、又は他の同類のデータが、予測モデルへの参照フィードバックとして提供され得る。一例として、参照フィードバックは、ユーザに提示されたタスクの第1のセットに対応するパフォーマンスデータが指定条件を満たしたが、タスクの第1のセットをタスクの第2のセットのパフォーマンスに調整すると、パフォーマンスデータが指定条件を満たさないことを示す場合がある。予測モデルは、予測値及び参照フィードバック情報に基づいて、予測モデルの1つ又は複数の部分を更新してもよい。予測モデルの更新に続いて、予測モデルは、パフォーマンスデータを処理して、ユーザに提示するトレーニングデータを決定又は調整するために使用されてもよい。
【0008】
上記以外の本発明のさまざまな態様、特徴および利点は、本発明の詳細な説明および添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。また、上記の概要および以下の詳細な説明は共に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないと理解されたい。本明細書および特許請求の範囲における用法によれば、単数形の「a」、「an」、および「the」には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。さらに、本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、「または」という用語は「および/または」を意味する。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ又は複数の実施形態に従って、ユーザへのトレーニングデータの提示を容易にするためのシステムを示す図である。
【0010】
図2】1つ以上の実施形態に従って、トレーニングデータの生成または調整を容易にするように構成された機械学習モデルを示す。
【0011】
図3】1つ又は複数の実施形態に従って、ユーザへのトレーニングデータの提示を容易にするコンピュータシステムを示す図である。
【0012】
図4】1つ以上の実施形態に従って、ユーザへのトレーニングデータの提示を容易にする方法のフローチャートを示す図である。
【0013】
図5】1つ以上の実施形態に従って、パフォーマンスデータに基づいてトレーニングデータを調整する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載において、本発明の実施形態を完全に理解できるように、説明を目的として、多くの具体的且つ詳細な内容を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的且つ詳細な内容がなくとも、または、均等な構成でも、本発明の実施形態が実施され得ることを理解するであろう。その他の場合には、本発明の各実施形態を不必要に不明瞭にすることを避ける目的で、周知の構造およびデバイスがブロック図の形式で示される。
【0015】
図1は、1つ又は複数の実施形態に従って、ユーザへのトレーニングデータの提示を容易にするためのシステム100を示す図である。図1に示すように、システム100は、コンピュータシステム102、クライアントデバイス104(またはクライアントデバイス104a-104n)、またはその他の構成要素を備えるとしてよい。コンピュータシステム102は、ユーザデータサブシステム112、センサデータサブシステム114、パフォーマンスデータサブシステム116、トレーニングデータサブシステム118、プレゼンテーションサブシステム120、または他の構成要素を含んでもよい。コンピュータシステム102は、クライアントデバイス104を介してユーザ150にトレーニングデータを提示してもよい。一例として、コンピュータシステム102は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、他のコンピュータ機器(例えば、サーバ)などの任意のコンピューティングデバイスを含んでもよい。各クライアントデバイス104には、任意の種類のモバイル端末、固定端末または他の装置が含まれるとしてよい。一例として、クライアントデバイス104には、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルデバイスまたは他のクライアントデバイスが含まれるとしてよい。ユーザは、例えば、1または複数のクライアントデバイス104を利用して、お互いと、1または複数のサーバ(例えば、コンピュータシステム102)と、または、システム100のその他の構成要素とやり取りを行うとしてよい。コンピュータシステム102の特定の構成要素が実行するものとして1または複数の処理を本明細書で説明するが、これらの処理は、一部の実施形態では、コンピュータシステム102の他の構成要素、または、システム100の他の構成要素によって実行し得るものであることに留意されたい。一例として、コンピュータシステム102の構成要素が実行する処理として本明細書で説明する一つまたは複数の処理は、一部の実施形態において、クライアントデバイス104の構成要素によって実行されるとしてよい。機械学習モデルに関して幾つかの実施形態が本明細書に記載されているが、他の実施形態では機械学習モデルの代わりにまたは機械学習モデルに加えて、他の予測モデル(例えば、統計モデルまたは他の分析モデル)を使用してもよいことに留意されたい(例えば、一つ以上の実施形態では、機械学習モデルを置き換える統計モデル、および非機械学習モデルを置き換える非統計モデルを使用してもよい)。
【0016】
いくつかの実施形態において、システム100は、ユーザに提示されるトレーニングデータを生成する。一例として、トレーニングデータは、ユーザ150によって実行される身体的タスク又は認知的タスクのセットなどの一定数のタスクを含んでもよい。一例として、身体的タスクのセットは、ユーザ150によって実行される身体運動を含んでもよく、認知タスクのセットは、ユーザ150によって解決される認知課題を含んでもよく、これらのエクササイズは、デュアルタスクのシナリオを作成するために同時に使用されてもよい。タスクは、ユーザ150の特定の健康状態を改善するために生成されてもよい。いくつかの実施形態では、タスクは、ユーザ150のバランス能力(例えば、身体的バランス)を改善することを目的とする場合がある。一例として、タスクは、片側前方ショートランジ、前方ロングランジ、後方ショートランジ、片側ディープランジ、動的ショートランジ、動的ロングランジ、サイドステップランジ交互、サイドステップランジ前進、交互前方ランジ、又は他の身体運動を含んでもよい。いくつかの実施形態では、認知的タスクは、空間記憶、視覚的空間、視覚的注意、処理速度、聴覚、実行機能、言語記憶、視覚記憶関連タスク、又は他のタスクを含んでもよい。一例として、認知的タスクは、クライアントデバイス104のディスプレイにポップして提示された1つ又は複数の風船の色をユーザが特定する(例えば、声に出す、又はキーボード、マウス若しくは他の入力デバイスを使用する)ことを含んでもよい。タスクは、様々なフォーマット、例えば、画像、ビデオ、音声、テキスト、又は他のフォーマットのいずれかで提示されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、システム100は、様々な方法でユーザ150にトレーニングデータを提示してもよい。一例として、ユーザ150は、クライアントデバイス104上のウェブブラウザなどのウェブベースアプリケーションを使用して、トレーニングデータにアクセスしてもよい。別の例として、ユーザ150は、クライアントデバイス104にインストールされたモバイルアプリケーションを介してトレーニングデータにアクセスしてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、システム100は、クライアントデバイス104に関連付けられたセンサを使用して、ユーザ関連パラメータ又はユーザ150によって実行されるアクションを監視してもよい。一例として、システム100は、カメラ、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、心拍センサ、心電図センサ、血中酸素濃度センサ、キーボード、マウス、又は他のセンサなどのセンサを用いてもよい。システム100は、センサからのデータに基づいて、身体的タスクのセットの実行におけるユーザ150の動作パターンを決定してもよい。動作パターンは、タスクを実行する際のユーザ150の制御、自信、又は安定性を示し得る。例えば、動作パターンは、身体的タスクを実行する際のユーザ150の動作平面又は動作速度を示し得る。システム100は、センサデータに基づいて、ユーザ150のパフォーマンスデータ(例えば、動作パターン)を決定してもよい。一例として、パフォーマンスデータは、ユーザ150の動作パターンと特定の運動に対する所期の動作パターンとの一致、所期の動作パターンからの動作パターンの偏差の分散、ユーザ150の動作速度の分散、又は他の同類のデータを示してもよい。また、パフォーマンスデータは、認知的タスクを解く際のユーザのパフォーマンスを追跡してもよい。一例として、認知的パフォーマンスデータは、正しく解いた認知タスクの数、タスクの実行に要した時間、又は他の同類のデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トレーニングデータは、ユーザ150が身体的タスクと認知的タスクを一緒に、並行して、または同時に実行することを指示してもよい。また、パフォーマンスデータは、両方の種類のタスクを同時に実行する際のユーザ150のパフォーマンスを示すデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータは、同時実行タスクを実行する際のユーザのパフォーマンスを各タスクと個別に比較することも容易にし得る。パフォーマンスデータを決定することについての追加の詳細は、少なくともパフォーマンスデータサブシステム116に関連して説明される。
【0019】
いくつかの実施形態では、システム100は、パフォーマンスデータに基づいてトレーニングデータを調整してもよい。システム100は、パフォーマンスデータに基づいて、現在のタスクのセットを維持するか、現在のタスクのセットの1つ以上のパラメータ(例えば、実行するタスクの反復回数、タスクの頻度、または他の同類のパラメータ)を調整するか、または現在のタスクのセットを異なるタスクのセット(例えば、より高いまたは低い難度/チャレンジレベルのタスク)に変更することによってトレーニングデータを調整するかを決定してもよい。システム100は、身体的パフォーマンスデータ又は認知的パフォーマンスデータの少なくとも一方に基づいて、タスク(例えば、身体的タスク又は認知的タスクのいずれか)を変更してもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、指定された条件を満たすパフォーマンスデータに基づいて、身体的タスクの第1のセットを難易度の高いタスクの第2のセットに変更することを決定してもよい。一例として、システム100は、以下の(a)~(c)を示すパフォーマンスデータに基づいて、身体的タスクの第1のセットを難易度のより高い身体的タスクの第2のセットに調節しても良い。(a)ユーザ150の動作パターン(例えば、動作平面又は動作平面におけるユーザの動作速度)が身体的タスクの第1のセットの所期の動作パターンに一致すること、(b)一定期間にわたる所期の動作パターンからの動作パターンの逸脱又は偏差の分散が低下している、または閾値を下回っていること、又は(c)他の同類のパフォーマンスデータ。別の例として、システム100は、以下の(a)~(d)を示すパフォーマンスデータに基づいて、身体的タスクの第1のセットを難易度のより低い身体的タスクの第3のセットに調整してもよい。(a)認知的タスクを実行している間の動作パターン(例えば、動作平面又は動作平面におけるユーザの動作速度)が身体的タスクの第1のセットの所期の動作パターンに一致しないこと、(b)身体的タスクを実行している間に解決した又は正しく解決した認知的タスクの数が指定の条件を満たさないこと、(c)一定期間にわたる所期の動作パターンからの動作パターンの逸脱又は偏差の分散が増加している、または閾値を越えていること、又は(d)他の同類のパフォーマンスデータ。
【0020】
システム100は、調整されたトレーニングデータをユーザ150に提示してもよい。ユーザ150がトレーニングデータにおいて提示されたタスクを実行し続けると、システム100は、ユーザ150の監視されたパフォーマンスに基づいてトレーニングデータを徐々に調整し、それによって、ユーザ150がウェルネス(例えば、身体のバランスなどの特定の健康状態)を改善又は維持することを支援してもよい。トレーニングデータは、毎日のトレーニングプログラム、毎週のトレーニングプログラム、1回のセッションプログラム、設定された回数のセッション、又は他の期間のプログラムとして生成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、システム100は、ユーザ150に提示されるトレーニングデータ(例えば、身体的タスク又は認知的タスクのセット)を決定するために予測モデルを訓練してもよい。いくつかの実施形態において、システム100は、ユーザープロファイルデータを取得し、当該情報を予測モデルへの入力として提供して、ユーザに関する予測(例えば、トレーニングデータ)を生成してもよい。一例として、ユーザープロファイルデータは、年齢、性別、健康状態、人口統計学的データ、食事、健康関連パラメータ、又は他のユーザパラメータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、予測モデルへの入力として、ユーザのパフォーマンスを示すパフォーマンスデータも提供してもよく、予測モデルは、センサデータに基づいて予測値(例えば、調整されたトレーニングデータ)を生成してもよい。一例として、パフォーマンスデータは、ユーザの動作パターン又はユーザの認知的パフォーマンスを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、システム100は、予測モデルへの入力として、一定数のユーザに関連するトレーニングデータ(例えば、ユーザがウェルネスを改善するのに役立ったトレーニングデータ)及びユーザープロファイルデータを提供することによって予測モデルを訓練してもよく、予測モデルは、予測値(例えば、予測トレーニングデータ)及び入力トレーニングデータに基づいて予測モデルの一つ以上の部分を更新してもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、パフォーマンスデータ(例えば、ユーザの動作パターン又は認知的パフォーマンス)を参照フィードバック情報として予測モデルに提供してもよく、予測モデルは、予測値及びパフォーマンスデータに基づいて予測モデルの1つ又は複数の部分を更新してもよい。一例として、参照フィードバック情報は、予測されたトレーニングデータに関連して、ユーザのパフォーマンスデータが改善を示したか悪化を示したかを示してもよい。このようにして、例えば、予測モデルは、より正確な予測を生成するように訓練されるか、または構成されてもよい。このように、いくつかの実施形態では、予測モデルの更新に続いて、システム100が、予測モデルを使用して、ユーザプロファイル、及び任意選択的にパフォーマンスデータに基づいて、ユーザのためのトレーニングデータを決定してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、予測モデルは、1つまたは複数のニューラルネットワークまたは他の機械学習モデルを含んでもよい。一例として、ニューラルネットワークは、大量のニューラルユニット(または人工ニューロン)に基づいているとしてよい。ニューラルネットワークは、生物の脳の働き(例えば、軸索によって接続されている生物のニューロンの大きなクラスタによるもの)を大まかに模倣しているとしてよい。ニューラルネットワークのニューラルユニットのそれぞれは、ニューラルネットワークの他の多くのニューラルユニットと結合されているとしてよい。このような結合は、接続されているニューラルユニットの活性状態に対して、補強的または阻害的な影響を持ち得る。一部の実施形態では、各ニューラルユニットは、全ての入力の値を組み合わせる合算機能を持つとしてよい。一部の実施形態では、各結合(またはニューラルユニット自体)は、閾値機能を持つとしてよく、信号が他のニューラルユニットへと伝播する前に、信号が閾値を超過しなければならない。これらのニューラルネットワークシステムは、明示的にプログラミングされるというより自動で学習し訓練され得るものであり、従来のコンピュータプログラムに比べて所定の分野の問題解決において性能が大きく優れているとしてよい。一部の実施形態では、ニューラルネットワークは複数の層を持つとしてよい(例えば、信号経路は上位層から下位層へと横断している)。一部の実施形態では、ニューラルネットワークがバックプロパゲーションを利用するとしてよく、この場合、前方向の刺激を利用して「上位層」のニューラルユニットへの重みをリセットする。一部の実施形態では、ニューラルネットワークに対する刺激および阻害は、結合の相互作用がより混沌且つより複雑になるほど、流動性が高くなるとしてよい。
【0024】
一例として、図2に示すように、機械学習モデル202が入力204を取り込み、出力206を提供してもよい。ある使用例では、出力206は、(例えば、単独で、もしくは、出力206の精度に関するユーザの指示、入力に関連するラベルまたはその他の参照フィードバック情報と組み合わせて)機械学習モデル202を訓練するための入力として機械学習モデル202にフィードバックされてもよい。別の使用例では、機械学習モデル202は、予測(例えば、出力206)および参照フィードバック情報(例えば、精度に関するユーザの指示、参照ラベルまたはその他の情報)の評価に基づいて、その構成(例えば、重み、バイアスまたはその他のパラメータ)を更新してもよい。別の使用例では、機械学習モデル202がニューラルネットワークである場合、結合重みは、ニューラルネットワークの予測と参照フィードバックとの間の差異を調整するように調整されてもよい。更なる使用例では、ニューラルネットワークの一つ以上のニューロン(またはノード)は、更新プロセス(例えば、誤差逆伝播)を容易にするために、それぞれの誤差がニューラルネットワークを介し後方に送られるように要求してもよい。結合重みの更新は、例えば、順伝播が完了した後に後方に伝搬させる誤差の大きさが反映されてもよい。このようにして、例えば、より良い予測を生成するように機械学習モデル202が訓練されてもよい。
【0025】
サブシステム112~120
【0026】
いくつかの実施形態では、ユーザデータサブシステム112は、ユーザープロファイルデータの管理(例えば、追加、削除、又は編集)を容易にする。ユーザープロファイルデータは、ユーザ名、ユーザ連絡先情報(例えば、電話番号、電子メールID)、年齢、性別、人口統計データ、健康状態、健康関連パラメータ(例えば、血糖、血圧、体重、身長、病歴など)、ユーザの好み(例えば、ある種類のタスクを他よりも好むこと)、又は他の同類のパラメータなどのユーザ関連データを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ユーザープロファイルデータは、ユーザが関連付けられているソーシャルネットワーク、ユーザの介護者、病院、健康保険業者、又はユーザにケアを提供することに関連する他の施設の連絡先、又は他の情報などのユーザ情報を含むこともできる。ユーザデータサブシステム112は、ユーザプロファイルを管理するために、ユーザ150がクライアントデバイス104を介してアクセスすることができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザデータサブシステム112は、ユーザープロファイルデータをデータベース132に格納してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、センサデータサブシステム114は、センサデータの管理を容易にする。あるシナリオでは、図3に示されるように、センサデータサブシステム114は、クライアントデバイス104aの1つまたは複数の構成要素を利用して、トレーニングデータのタスク(例えば、身体的タスクまたは認知的タスク)を行う際のユーザ150のパフォーマンスを表すセンサデータを取得し得る。一例として、センサデータサブシステム114は、ユーザ150のパフォーマンスに関連する音声/視覚データを、クライアントデバイス104aのマイクロフォン308及びカメラ310に要求してもよい。これに応答して、クライアントデバイス104aは、マイク308でユーザ150のパフォーマンスを「聞く」こと、またカメラ310でユーザ150のパフォーマンスを「見る」ことによって、音声/視覚データを取り込み、取り込んだ音声/視覚データをコンピュータシステム102に送信してもよい。いくつかの実施形態では、センサデータサブシステム114は、クライアントデバイス104aからリアルタイムで音声/視覚データを受信する。音声/視覚データは、タスクを実行する(例えば、クライアントデバイス104aのディスプレイ上に提示された質問に対する答えを話すことによって認知的タスクを解決する)際のユーザ150の音声、又はマイクロフォン308によって捕捉され得る他の任意の音声などの、ユーザ150のオーディオデータを含んでもよい。同様に、音声/視覚データは、タスクを実行するユーザ150のビデオ画像(例えば、身体的タスク又は認知的タスクを実行する際のユーザの動作)、又はカメラ310によって捕捉され得る任意の他の態様を有するビデオデータを含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、センサデータサブシステム114は、クライアント装置104aのセンサ304から他のセンサデータを要求してもよい。一例として、センサ304は、センサデータとしてユーザ150の位置を提供するグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスを含んでもよい。別の例として、センサ304は、ユーザ150の運動の速度を提供する加速度計を含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、センサデータサブシステム114は、ユーザ150に関連する2つ以上のクライアントデバイスからセンサデータを要求してもよい。一例として、センサデータサブシステム114は、クライアントデバイス104a(例えば、ラップトップ、デスクトップ、タブレット又は他のコンピュータシステム)から音声/視覚データを要求し、クライアントデバイス104b(例えば、スマートウォッチ、又は他のウェアラブルデバイス)のセンサ314から運動または動作の速度データ、方向データ、心拍データ、心電図データ、血圧データ等の他のセンサデータを要求してもよい。センサ314は、加速度センサ、ジャイロスコープ、心拍センサ、心電図センサ、血中酸素濃度センサ、又は他のセンサを含んでもよい。センサデータサブシステム114は、クライアントデバイス104bから直接又はクライアントデバイス104aを介してセンサデータを取得してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、センサデータサブシステム114は、センサデータを管理する(例えば、センサデータを追加、削除、または変更する)ためのGUIを提供してもよい。センサデータサブシステム114は、センサデータをデータベース132に格納してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、ユーザ150のパフォーマンスデータの管理を容易にする。パフォーマンスデータサブシステム116は、センサデータに基づいてパフォーマンスデータを決定してもよい。パフォーマンスデータは、身体的タスクにおけるユーザのパフォーマンスを表す身体的パフォーマンスデータ、及び認知的タスクにおけるユーザのパフォーマンスを表す認知的パフォーマンスデータを含んでもよい。一例として、身体的パフォーマンスデータは、身体的タスクを実行する際のユーザ150の制御、安定性、又は自信を示すユーザ150の動作パターンを含んでもよく、この動作パターンは、身体的タスクを実行する際のユーザ150の動作平面又は動作速度に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、動作平面は、タスクを実行する際にユーザ150が身体又はその一部を動かす物理空間内の平面である。一例として、図3に示されるように、X-X′は、ユーザ150の第1の動作平面であっても
よく、Y-Y′は、第2の動作平面であってもよい。いくつかの実施形態では、動作速度
は、所期の動作平面における身体又はその一部の運動速度であってもよい。パフォーマンスデータサブシステム116は、センサデータから(例えば、ビデオデータ、加速度計データ、ジャイロスコープデータ等に基づいて)動作平面及び動作速度のデータを取得してもよい。
【0032】
クライアントデバイス104からユーザ150の現在のトレーニングセッションの動作平面及び動作速度データを取得すると、パフォーマンスデータサブシステム116は、身体的パフォーマンスデータの一部として、所期の動作平面(例えば、特定の身体的タスクに関連する予想動作平面)からのユーザ150の動作平面の偏差を決定してもよい。いくつかの実施形態では、所期の動作平面での動作が多いほど、身体的タスクの実行中のユーザはより安定する。逆に、所期の動作平面に対して垂直な平面における動作は、不安定性の指標となる。いくつかの実施形態では、偏差が小さいほど、ユーザ150はより安定である。パフォーマンスデータサブシステム116は、様々な単位のうちの1つで偏差を定量化してもよい。例えば、偏差は、パーセンテージ(例えば、「10%」、「20%」、「65%」、又は所期の動作平面からの偏差の他のパーセンテージ)として定量化されてもよい。別の例では、偏差は、スコアとして定量化されてもよい(例えば、偏差のパーセンテージが高いほど、パフォーマンスのスコアが低くなる)。
【0033】
いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、指定された期間(例えば、過去10日間、過去15日間、過去10セッション、又は他の期間)についてユーザ150の過去の偏差データ(例えば、ユーザ150の以前のトレーニングセッションの偏差データ)をデータベース132から取得して、身体的パフォーマンスデータの一部として指定期間の動作平面の偏差の分散を決定してもよい。いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、ユーザ150の各トレーニングセッションの後に分散を決定してもよい。いくつかの実施形態において、分散が減少することは、身体的タスクの実行におけるユーザ150のパフォーマンスの向上または進歩を示し得る。対照的に、分散が増加することは、身体的タスクの実行におけるユーザ150のパフォーマンスの低下を示し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、指定された期間の過去の動作速度データ(例えば、ユーザ150の以前のトレーニングセッションの動作速度データ)をデータベース132から取得し、身体的パフォーマンスデータの一部として動作速度の分散を決定してもよい。いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、ユーザ150の各トレーニングセッションの後に分散を決定してもよい。いくつかの実施形態において、分散が減少することは、身体的タスクの実行におけるユーザ150のパフォーマンスの向上または進歩を示し得る。対照的に、分散が増加することは、身体的タスクの実行におけるユーザ150のパフォーマンスの低下を示し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、認知的パフォーマンスデータは、1つ以上のパラメータ、例えば、解いた認知的タスクの数、正しく解いた認知的タスクの数、認知的タスクを解くのに要した時間、又は他の同類のパラメータに基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、「デュアルタスク」モードにおいて、すなわち、ユーザ150が身体的タスク及び認知的タスクを同時に実行するときに、ユーザ150の身体的パフォーマンスデータを決定することもできる。いくつかの実施形態では、運動制御及び運動学習は、身体的タスク中に存在する認知的負荷に影響される可能性がある。デュアルタスクパフォーマンスは、反射的バランススキルにおける認知的負荷及び変動耐性の複雑な尺度であり得る。いくつかの実施形態では、デュアルタスクパフォーマンスは、転倒リスク、精神能力の低下、又は神経血管疾患状態と密接な相関を有することが検証されている。したがって、このデュアルタスクパフォーマンスの測定は、健康状態の改善又は維持に有用であり得る(例えば、高齢者が転倒を経験する機会を頻繁に増加させ得る多面的な環境型娯楽に対する耐性が改善されて転倒リスクが低減される)。いくつかの実施形態では、このようなデュアルタスクパフォーマンス測定は、身体的タスク単独の実行に関連する身体的パフォーマンスデータを測定し、その後、ユーザ150が身体的タスク及び認知的タスクを同時に実行するときの身体的パフォーマンスデータを測定することで行われてもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、認知的パフォーマンスに関係のない)身体的パフォーマンスの低下は、転倒の可能性を高めるような方法で身体的タスクの実行における認知的負荷の干渉を示す可能性がある。いくつかの実施形態では、所定の閾値未満の認知的パフォーマンス(例えば、閾値を満たさない正解数)又は一定期間にわたる認知的パフォーマンスの低下は、認知症又は神経病理学的症状の予測因子となり得る認知スキルの劣化を示すこともある。偏差又は速度の分散の減少、及び閾値を超える認知的パフォーマンスは、運動制御及びタスク特異的学習の改善を示し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、パフォーマンスデータサブシステム116は、タスクの実行に関するユーザフィードバックを入力するためのGUIを提供してもよい。例えば、ユーザ150は、吐き気、めまい、嘔吐、又は他のそのような状態など、タスクの実行中に経験した健康状態を示してもよい。別の例では、ユーザ150は、自身がタスクを好きか嫌いかを示してもよい。さらに別の例では、ユーザ150は、後続のトレーニングセッションで類似のタスクを実行したいかどうかを示してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、ユーザ150に提示されるトレーニングデータの管理(例えば、生成又は調整)を容易にする。トレーニングデータサブシステム118は、(例えば、上述のような予測モデルを用いて)ユーザープロファイルデータに基づいてトレーニングデータを生成してもよい。トレーニングデータサブシステム118は、病院、リハビリテーションセンター、介護施設、医療機関、健康保険業者、大学、又は他のエンティティに関連するコンピュータシステムなどのサードパーティシステム(図示せず)と情報交換し、ユーザ150の特定の健康状態を改善するためのトレーニングデータを取得してもよい。いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、ユーザによるタスクのセットの選択を受信してもよい。
【0038】
トレーニングデータサブシステム118は、トレーニングセッションのためのトレーニングデータを生成してもよい。トレーニングセッションは、毎日、毎週、毎月、予め決められた回数のトレーニングセッションで、又は他の同類の期間にわたって実行されるタスクのセットであり得る。
【0039】
トレーニングデータサブシステム118は、ユーザ150の1つ以上の以前のトレーニングセッションに関連するパフォーマンスデータに基づいて、後続のトレーニングセッションのためにユーザ150に提示されるトレーニングデータを調整することができる。いくつかの実施形態では、トレーニングデータを調整することは、タスクの実行における難易度を変更するために、タスクパラメータを調整すること、または1つもしくは複数のタスクを削除もしくは追加することを含んでもよい。一例として、タスクパラメータを調整することは、特定のタスクについて実行するセット数、各セットにおける反復回数、トレーニングセッションにおけるタスクの頻度、身体的タスクの実行において使用するウェイト、又は他のタスクパラメータを調整することを含む。別の例として、タスクを調整することは、1つ又は複数のタスク(認知的タスク又は身体的タスクのいずれか)を追加又は削除することによって、タスクを実行する際のユーザ150向けの難易度を上げるまたは下げることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、ユーザ150のパフォーマンスデータが第1の調整条件を満たすことに基づいて、トレーニングデータをより高い難易度に調整してもよい。一例として、トレーニングデータサブシステム118は、(例えば、パフォーマンスデータサブシステム116又はデータベース132から)1つ以上の以前のトレーニングセッションに関連するユーザ150のパフォーマンスデータを取得し、(a)偏差又は速度の分散が第1の分散閾値を満たす(例えば、第1分散閾値未満の分散である)こと、(b)偏差又は速度の分散の減少が第1減少閾値を満たす(例えば、第1減少閾値を超える減少である)こと、又は(c)他の同類の条件に基づいて、パフォーマンスデータが第1の調整条件を満たすと判断してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、身体的タスクは、片側前方ショートランジ、前方ロングランジ、後方ショートランジ、片側ディープランジ、動的ショートランジ、動的ロングランジ、サイドステップランジ交互、サイドステップランジ前進、交互前方ランジ、又はその他の身体運動など、徐々に難しくなると認識されるものを含むことができる。一例として、現在のトレーニングセッションが身体的タスクとして「後方ショートランジ」を有しており、パフォーマンスデータサブシステム116が、ユーザ150のパフォーマンスデータが第1の調整条件を満たすと判断した場合を考える。トレーニングデータサブシステム118は、「後方ショートランジ」身体運動よりも難しいと認識される「片側ディープランジ」身体運動などの身体的タスクを追加することによって、後続のトレーニングセッションのためにトレーニングデータをより高い難易度に調整してもよい。トレーニングデータサブシステム118は、「後方ショートランジ」身体運動に加えて、またはその代わりに、「片側ディープランジ」身体運動をトレーニングデータに追加してもよい。さらに別の例では、トレーニングデータサブシステム118は、トレーニングデータに「片側ディープランジ」エクササイズを追加する代わりに又はそれに加えて、タスクパラメータを調整することによって、例えば、「後方ショートランジ」身体運動のセット数又は反復回数を増加させることによって、トレーニングデータをより高い難易度に調整してもよい。タスクデータ及びその難易度情報は、データベース132に保持されてもよく、また、そのような情報は、1つ以上のソース、例えば、サードパーティシステムから取得されてもよい。例えば、コンピュータシステム102は、介護施設または他の医療機関に関連するコンピュータシステムと情報交換して、様々なタスクおよびその難易度に関する情報を取得してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、ユーザ150のパフォーマンスデータが第1の調整条件とは異なる第2の調整条件を満たすことに基づいて、トレーニングデータをより低い難易度に調整してもよい。一例として、トレーニングデータサブシステム118は、(a)偏差又は速度の分散が第1の分散閾値よりも大きい第2の分散閾値を満たす(例えば、第2の分散閾値を超える分散である)こと、(b)偏差又は速度の分散の減少が第1の減少閾値よりも小さい第2の減少閾値を満たす(例えば、第2の減少閾値未満の減少である)こと、又は(c)他の同類の条件に基づいて、パフォーマンスデータが第2の調整条件を満たすことを決定し得る。一例として、現在のトレーニングプランが身体的タスクとして「後方ショートランジ」を有しており、パフォーマンスデータサブシステム116が、ユーザ150のパフォーマンスデータが第2の調整条件を満たすと判断した場合を考える。トレーニングデータサブシステム118は、「後方ショートランジ」身体運動を、「後方ショートランジ」身体運動よりも難易度が低いと認識される別の身体的タスク、例えば「前方ロングランジ」身体運動に置き換えることによって、後続のトレーニングセッションのためにトレーニングデータをより低い難易度に調整してもよい。さらに別の例では、トレーニングデータサブシステム118は、トレーニングデータの「後方ショートランジ」身体運動を置き換える代わりに、タスクパラメータを調整すること、例えば、「後方ショートランジ」身体運動のセット数又は反復回数を減らすことにより、トレーニングデータをより低い難易度に調整してもよい。
【0043】
別の例では、トレーニングデータサブシステム118は、パフォーマンスデータが第1の調整条件及び第2の調整条件のいずれも満たさないことに基づいて、トレーニングデータを(例えば、タスク又はタスクパラメータを変更せずに同じ難易度で)維持してもよい。一例として、トレーニングデータサブシステム118は、(a)偏差又は速度の分散が第1及び第2の分散閾値の間にあること、(b)偏差又は速度の分散の減少が第1及び第2の減少閾値の間にあること、又は(c)他の同類の条件に基づいて、トレーニングデータを調整しないことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、ユーザ150が身体的タスク及び認知的タスクを同時に実行しているときに測定される認知的パフォーマンスデータ及び身体的パフォーマンスデータに基づいて、トレーニングデータを調整してもよい。
【0045】
トレーニングデータサブシステム118は、身体的タスク又は認知的タスクをより高い難易度に調整することにより、トレーニングデータをより高い難易度に調整してもよい。身体的タスクがより高い難易度に調整される例を上述したが、認知タスクが以下のようにより高い難易度に調整されてもよい。いくつかの実施形態では、認知的タスクは、空間記憶、視覚的空間、視覚的注意、処理速度、聴覚、実行機能、言語記憶、視覚記憶関連タスク、又は他のタスクを含んでもよく、これらは徐々に難しくなると認識される。一例として、現在のトレーニングデータセッションにおける認知的タスクは、ユーザ150が、身体的タスクを実行しながら色を声に出すことによって、クライアントデバイス104のディスプレイにポップする1つ以上の風船の色を特定することを含んでもよい。トレーニングデータサブシステム118は、風船がポップする頻度を増加させる、又はディスプレイ上に提示される風船の色の数を増加させることにより、認知的タスクをより高い難易度に調整してもよい。また、トレーニングデータサブシステム118は、身体的タスクを実行しながら、色を声に出す代わりに、キーボード又はマウスを使用して色を特定するようユーザ150に求めることによって、認知的タスクをより高い難易度に調整してもよい。
【0046】
同様に、トレーニングデータサブシステム118は、身体的タスク又は認知的タスクをより低い難易度に調整することにより、トレーニングデータをより低い難易度に調整してもよい。身体的タスクがより低い難易度に調整される例を上述したが、認知的タスクが以下のようにより低い難易度に調整されてもよい。一例として、現在のトレーニングデータセッションにおける認知的タスクは、ユーザ150が、身体的タスクを実行しながら、マウスやキーボードなどの入力デバイスを使用して色を選択することにより、クライアントデバイス104のディスプレイ上にポップする1つ以上の風船の色を特定することを含んでもよい。トレーニングデータサブシステム118は、風船がポップする頻度を減少させること、又はディスプレイ上に提示される風船の色の数を減少させること、又はキーボードもしくはマウスを用いる代わりに色を声に出して色を特定するようユーザ150に求めることによって、認知的タスクをより低い難易度に調整してもよい。
【0047】
トレーニングデータサブシステム118は、第1調整条件又は第2調整条件を満たす認知的パフォーマンスデータに基づいて、認知的タスクをより高い難易度又はより低い難易度に調整してもよい。第1調整条件又は第2調整条件を満たす身体的パフォーマンスデータの例は上述したが、第1調整条件及び第2調整条件を満たす認知的パフォーマンスデータの例は以下の通りである。いくつかの実施形態において、認知的パフォーマンスデータは、(a)完了した認知的タスクの数が第1の完了閾値を満たす(例えば、第1の完了閾値を超える)こと、(b)正解した認知タスクの数が第1の正解タスク閾値を満たす(例えば、第1の正解タスク閾値を超える)こと、(c)完了または正解した認知的タスクの数の分散が第1の認知的分散閾値を満たす(例えば、第1の認知的分散閾値未満である)こと、(d)分散の減少が第1の認知的減少分散閾値を満たす(例えば、第1の認知的減少分散閾値を超える)こと、または他の同類の条件に基づいて、難易度を上げるための第1の調整条件を満たす場合がある。
【0048】
同様に、いくつかの実施形態において、認知的パフォーマンスデータは、(a)完了した認知的タスクの数が第1の完了閾値よりも小さい第2の完了閾値を満たす(例えば、第2の完了閾値未満である)こと、(b)正解した認知タスクの数が第1の正解タスク閾値よりも小さい第2の正解タスク閾値を満たす(例えば、第2の正解タスク閾値未満である)こと、(c)完了又は正解した認知的タスクの数の分散が第1の認知的分散閾値より大きい第2の認知的分散閾値を満たす(例えば、第2の認知分散閾値を超える)こと、(d)分散の減少が第1の認知的減少分散閾値より小さい第2の認知的減少分散閾値を満たす(例えば、第2の認知的減少分散閾値未満である)こと、又は他の同類の条件に基づいて、難易度を下げるための第2の調整条件を満たす場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、トレーニングデータサブシステム118は、身体的タスク、認知的タスク、又はその両方を調整してもよい。一例として、身体的パフォーマンスデータ及び認知的パフォーマンスデータの両方が難易度を上げるための第1の調整条件を満たす場合、身体的タスク、認知的タスク、又はその両方が、より高い難易度に調整されてもよい。別の例として、身体的パフォーマンスデータが第1の調整条件を満たすが、認知的パフォーマンスデータは満たさない場合、身体的タスクはより高い難易度に調整されてもよいが、認知的タスクは調整されない(例えば、同じ難易度に維持されてもよいし、より低い難易度に調整されてもよい)。いくつかの実施形態では、両タスクの難易度は異なる方向に調整されてもよい。例えば、ユーザ150のパフォーマンスが向上している場合、トレーニングデータサブシステム118は、身体的タスクの難易度を上げる一方で、ユーザがより難しい身体的タスクに適応するための時間を確保するために、認知的課題の難易度を下げてもよい。いくつかの実施形態では、「複合的」又は全体的な難易度は、身体的タスク及び認知的タスクの難易度をともに包含する。トレーニングデータサブシステム118は、認知的タスクの難易度を下げながら身体的タスクの難易度を上げることにより複合難易度を上げてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、プレゼンテーションサブシステム120は、ユーザ150への(例えば、クライアントデバイス104上での)トレーニングデータの提示を容易にする。一例として、プレゼンテーションサブシステム120は、ウェブブラウザなどのウェブベースのアプリケーションにおける提示のために、トレーニングデータをクライアントデバイス104に送信してもよい。別の例として、プレゼンテーションサブシステム120は、クライアントデバイス104にインストールされたモバイルアプリケーションを介する提示のために、クライアントデバイス104にトレーニングデータを送信してもよい。さらに、プレゼンテーションサブシステム120は、様々なフォーマット、例えば、画像、ビデオ、音声、テキスト、又は他のフォーマットのいずれかでのトレーニングデータの提示を容易にしてもよい。例えば、プレゼンテーションサブシステム120は、身体的タスクを身体的エクササイズのビデオとして提示してもよい。別の例では、プレゼンテーションサブシステム120は、認知タスクを音声(例えば、ユーザからの回答を求める音声質問)として提示してもよい。
【0051】
プレゼンテーションサブシステム120は、ユーザ150の1つ以上のトレーニングセッションに関連する様々なパフォーマンス測定基準をGUIで提示してもよい。パフォーマンス測定基準の例は、動作パターンの偏差、動作パターンの速度、動作パターン又は速度の分散、動作パターン又は速度の分散の減少、完了した認知的タスクの数、正解した認知的タスクの数、完了した又は解いた認知的タスクの数の分散、完了した又は解いた認知的タスクの数の分散の減少、認知的タスクを解くのに要した時間、2つ以上のパフォーマンス測定基準の組み合わせとして決定され得るユーザの全体的なパフォーマンスを表す複合スコア、または他の同類のパフォーマンス測定基準を含んでもよい。プレゼンテーションサブシステム120は、パフォーマンスデータサブシステム116から取得したパフォーマンスデータに基づいて、測定基準を決定してもよい。プレゼンテーションサブシステム120は、測定基準を様々なフォーマットで提示し得る。例えば、パフォーマンス測定基準は、1つ以上のスコア、範囲、パーセンテージ、グラフ、チャート、アニメーション、又は他のフォーマットとして表示されてもよい。いくつかの実施形態では、これらのパフォーマンス測定基準の視覚化は、取り決めたトレーニングに対する主要なモチベーションドライバーとして、また、将来の転倒リスク及び認知機能低下又は他の同類の健康状態の低減の最も可能性の高い予測因子として作用し得る。いくつかの実施形態では、パフォーマンスの変動の減少は、動作パターン又は運動制御及びタスク固有の学習の改善を示し、したがって、最適な将来の学習のために、より高いレベルの身体的課題又は認知的デュアルタスクの必要性を示すことができる。逆に、スキルの劣化は、認知症又は神経病理学的症状の予測因子となり得る神経認知スキルの低下を示す場合がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、プレゼンテーションサブシステム120は、ユーザ150が1人以上の他の個人(例えば、ソーシャルネットワークにおけるユーザ150の友人)とパフォーマンス測定基準を共有することを容易にすることもできる。プレゼンテーションサブシステム120は、ユーザ150が、他のユーザ、ユーザのグループ、又はアバター(例えば、年齢、性別などの指定されたユーザプロファイルを有するもの)などのコンピュータにより生成されたユーザとトレーニングセッションを行うことを容易にすることもできる。例えば、ユーザ150は、グループトレーニングセッションのために別のユーザを招待してもよく、グループ内のタスクを実行するすべてのユーザの動画が、各ユーザのクライアントデバイス104に表示されてもよい。各ユーザに提示されるトレーニングデータは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザの各々に提示されるトレーニングデータは同じである。
【0053】
フローチャート例
【0054】
本明細書で説明するフローチャート例は、上記で詳細に説明したシステムの様々な特徴および機能を可能にする方法の処理動作のものである。以下で説明する各方法の処理動作は例示を目的としたものであり、限定するものではない。一部の実施形態において、例えば、これらの方法は、説明していない1以上の処理を追加して実現してもよく、および/または、説明している処理のうち1以上を省略して実現してもよい。また、各方法の処理動作を図示する(そして以下で説明する)順序は、それに限定することを意図したものではない。
【0055】
一部の実施形態において、各方法は、1または複数の処理デバイス(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報処理用のデジタル回路、情報処理用のアナログ回路、ステートマシン、および/または、電子的に情報を処理するこれら以外のメカニズム)において実装され得る。これらの処理デバイスは、電子記憶媒体に電子的に記憶された命令に応答して、各方法の処理の一部または全てを実行する1または複数のデバイスを含んでもよい。これらの処理デバイスは、各方法の処理のうち1または複数を実行するよう特別に設計されるべく、ハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアによって構成される1または複数のデバイスを含むとしてよい。
【0056】
図4は、1つ以上の実施形態に従って、ユーザへのトレーニングデータの提示を容易にする方法400のフローチャートを示す。工程402において、身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含むトレーニングデータが、ユーザデバイス上に提示される。タスクは、ユーザ150の特定の健康状態を改善するために生成されてもよい。例えば、タスクは、ユーザ150のバランス能力(例えば、身体的バランス)を改善することを目的とする場合がある。一例として、タスクは、片側前方ショートランジ、前方ロングランジ、後方ショートランジ、片側ディープランジ、動的ショートランジ、動的ロングランジ、サイドステップランジ交互、サイドステップランジ前進、交互前方ランジ、又は他の身体運動を含んでもよい。いくつかの実施形態では、認知的タスクは、空間記憶、視覚的空間、視覚的注意、処理速度、聴覚、実行機能、言語記憶、視覚記憶関連タスク、又は他のタスクを含んでもよい。一例として、認知的タスクは、クライアントデバイス104のディスプレイにポップして提示された1つ又は複数の風船の色をユーザが特定する(例えば、声に出す、又はキーボード、マウス若しくは他の入力デバイスを使用する)ことを含んでもよい。
【0057】
一つ以上の実施形態に従って、工程402は、プレゼンテーションサブシステム120と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0058】
工程404において、身体的タスク又は認知的タスクのセットの実行に関与するユーザ動作を表すセンサデータが得られる。一例として、センサデータは、音声/視覚データ、運動または動作の速度データ、方向データ、心拍数データ、心電図データ、血圧データ、または他の同類のデータを含んでもよい。
【0059】
一つ以上の実施形態に従って、工程404は、センサデータサブシステム114と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0060】
工程406において、ユーザのパフォーマンスデータは、センサデータに基づいて決定される。パフォーマンスデータは、身体的タスクにおけるユーザのパフォーマンスを表す身体的パフォーマンスデータ、及び認知的タスクにおけるユーザのパフォーマンスを表す認知的パフォーマンスデータを含んでもよい。一例として、身体的パフォーマンスデータは、ユーザ150の動作パターンを含んでもよく、この動作パターンは、身体的タスクを実行する際のユーザ150の動作平面又は動作速度に基づいて決定されてもよい。身体的パフォーマンスデータは、指定されたタスクを実行する際の所期の運動平面からのユーザ150の運動平面の偏差、偏差又は速度の分散、偏差又は速度の分散の減少、又は他の同類の測定基準を含んでもよい。一例として、認知的パフォーマンスデータは、ユーザが完了した認知的タスクの数、正解した認知的タスクの数、認知的タスクを解くのに要した時間、完了または正解した認知的タスクの数の分散、分散の減少、または他の同類のパラメータなどの測定基準を含んでもよい。
【0061】
一つ以上の実施形態に従って、工程406は、パフォーマンスデータサブシステム116と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0062】
工程408において、トレーニングデータは、パフォーマンスデータに基づいて調整される。一例として、身体的タスク又は認知的タスクは、タスクを実行する際のユーザ向けの難易度を上げるまたは下げるために、パフォーマンスデータに基づいて調整されてもよい(例えば、新しいタスクが追加されてもよく、又は既存のタスクが削除されてもよく、又はそのタスクパラメータが変更されもよい)。トレーニングデータを調整することに関する追加の詳細は、少なくとも以下の図5を参照して説明される。
【0063】
一つ以上の実施形態に従って、工程408は、トレーニングデータサブシステム118と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0064】
工程410において、調整されたトレーニングデータは、クライアントデバイス104に送信され、ユーザ150に提示される。いくつかの実施形態では、調整されたトレーニングデータの調整及び提示は、リアルタイムで実行されてもよい。例えば、現在のトレーニングセッションにおいてユーザが現在時刻までに実行したタスクのセットについてパフォーマンスデータを取得し、パフォーマンスデータに基づいてトレーニングセッションの残りの部分についてトレーニングデータを調整するか否かの決定を行うことができる。トレーニングデータを調整することが決定された場合、調整されたトレーニングデータがユーザ150に提示されてもよい。
【0065】
一つ以上の実施形態に従って、工程410は、プレゼンテーションサブシステム120と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0066】
図5は、1つ以上の実施形態に従って、パフォーマンスデータに基づいてトレーニングデータを調整する方法500のフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法500は、図4の方法400の少なくとも操作408の一部として実行されてもよい。工程502において、トレーニングデータを調整するための調整条件が取得されてもよい。調整条件により、パフォーマンスデータに基づいてユーザ向けの難易度を上げるまたは下げるべく、タスクを調整する必要があるかどうかを決定してもよい。例えば、第1の調整条件は、難易度を上げる条件として、(a)偏差又は速度の分散が第1の分散閾値を満たすこと(例えば、第1の分散閾値未満の分散)、(b)偏差又は速度の分散の減少が第1の減少閾値を満たすこと(例えば、第1の減少閾値を超える減少)、又は(c)その他の同類の条件を示してもよい。同様に、第2の調整条件は、難易度を下げる条件として、(a)偏差又は速度の分散が第1の分散閾値よりも大きい第2の分散閾値を満たすこと(例えば、第2の分散閾値を超える分散)、(b)偏差又は速度の分散の減少が第1の減少閾値よりも小さい第2の減少閾値を満たすこと(例えば、第2の減少閾値未満の減少)、又は(c)その他の同類の条件を示してもよい。同様の調整条件(例えば、上記のような条件)は、認知的タスクについても取得され得る。
【0067】
一つ以上の実施形態に従って、工程502は、トレーニングデータサブシステム118と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0068】
工程504において、ユーザ向けの難易度を上げるようにトレーニングデータを調整するための第1の調整条件を、パフォーマンスデータが満たすか否かの判断が行われる。パフォーマンスデータが第1の調整条件を満たすという判断に応答して、工程506において、トレーニングデータが難易度を上げるように調整される。一例として、現在のトレーニングデータが身体的タスクとして「後方ショートランジ」を有している場合を考える。「後方ショートランジ」身体運動よりも難しいと認識される「片側ディープランジ」身体運動などの身体的タスクを追加することによって、後続のトレーニングセッションのためにトレーニングデータがより高い難易度に調整されてもよい。別の例として、現在のトレーニングデータセッションにおける認知タスクが、色を声に出すことによって、クライアント装置104のディスプレイでポップする1つ以上の風船の色を特定することをユーザ150に要求する場合を考える。トレーニングデータは、風船がポップする頻度を増加させること、ディスプレイ上に提示される風船の色の数を増加させること、または色を声に出す代わりにキーボードまたはマウスを使用して色を特定するようユーザ150に求めることによって、難易度が上がるように調整され得る。
【0069】
工程504を参照すると、パフォーマンスデータが第1の調整条件を満たさないという判断に応答して、工程508において、パフォーマンスデータが難易度を下げるための第2の調整条件を満たすか否かの判断が行われる。パフォーマンスデータが第2の調整条件を満たすという判断に応答して、工程510において、トレーニングデータが難易度を下げるように調整される。一例として、現在のトレーニングプランが身体的タスクとして「後方ショートランジ」を有している場合を考える。「後方ショートランジ」身体運動を、「後方ショートランジ」身体運動よりも難易度が低いと認識される別の身体的タスク、例えば「前方ロングランジ」身体運動に置き換えることによって、後続のトレーニングセッションのためにトレーニングデータがより低い難易度に調整されてもよい。別の例として、現在のトレーニングデータセッションにおける認知的タスクは、ユーザ150が、マウスやキーボードなどの入力デバイスを使用して色を選択することにより、クライアントデバイス104のディスプレイ上にポップする1つ以上の風船の色を特定することを含んでもよい。風船がポップする頻度を減少させること、又はディスプレイ上に提示される風船の色の数を減少させること、又はキーボードもしくはマウスを用いる代わりに色を声に出して色を特定するようユーザ150に求めることによって、トレーニングデータがより低い難易度に調整されてもよい。
【0070】
工程508を参照すると、パフォーマンスデータが第2の調整条件を満たさないという判断に応答して、工程512において、トレーニングデータデータの難易度が維持される(例えば、いずれのタスクも調整されない)。
【0071】
なお、パフォーマンスデータが調整条件を満たすか否かの判断は、ユーザからのフィードバックに依拠してもよい。例えば、ユーザは自身が最近手術を受けたことを示してもよく、これを契機として、コンピュータシステム102は、指定された期間、トレーニングデータデータをより低い難易度で生成または調整してもよい。
【0072】
また、トレーニングデータを調整することは、身体的タスク及び認知的タスクの一方又は両方を調整することを含んでもよい。さらに、身体的タスク及び認知的タスクの両方を調整する場合、難易度は、両方のタスクについて同様の又は異なる調整をされ得る。例えば、トレーニングデータをより高い難易度に調整することは、身体的タスクと認知的タスクの両方の難易度を上げることを含んでもよい。別の例では、トレーニングデータをより高い難易度に調整することは、身体的タスクの難易度を上げ、認知的タスクの難易度を下げ、その結果、タスクを実行するための全体的な難易度を上げることを含んでもよい。
【0073】
一つ以上の実施形態に従って、工程502から工程512は、トレーニングデータサブシステム118と同一または類似の構成要素によって実行されてもよい。
【0074】
一部の実施形態において、図1に図示したさまざまなコンピュータおよびサブシステムは、本明細書に記載された機能を実行するようプログラムされた1または複数のコンピューティングデバイスを含んでもよい。これらのコンピューティングデバイスは、一つまたは複数の電子的記憶装置(例えば、データベース132または他の電子記憶装置)、一つまたは複数のコンピュータプログラム命令を使用してプログラムされた一つまたは複数の物理的プロセッサ、および/またはその他の構成要素を備えてもよい。コンピューティングデバイスは、ネットワーク(例えば、ネットワーク145)または他のコンピューティングプラットフォーム内での有線技術または無線技術(例えば、イーサネット、光ファイバ、同軸ケーブル、WiFi、Bluetooth、近距離無線通信、または他の技術等)を介した情報のやり取りを可能にする通信回線または通信ポートを含んでもよい。コンピューティングデバイスは、協働する複数のハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネントおよび/またはファームウェアコンポーネントを含むとしてよい。例えば、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスとして協動する多数のコンピューティングプラットフォームによって実装されてもよい。
【0075】
電子ストレージは、情報を電子的に記憶する非一時的記憶媒体を含み得る。電子ストレージの記憶媒体には、(i)サーバまたはクライアントデバイスと一体に(例えば、実質的に着脱不能に)設けられたシステムストレージ、または、(ii)例えばポート(例えばUSBポート、ファイヤーワイヤポート等)またはドライブ(例えばディスクドライブ等)を介してサーバまたはクライアントデバイスに着脱可能に接続されたリムーバブルストレージの一方または両方が含まれるとしてもよい。電子ストレージには、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば光学ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷型記憶媒体(例えばEEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えばフラッシュドライブ等)、および/または、これら以外の電子的に読み取り可能な記憶媒体のうち1または複数が含まれるとしてよい。電子ストレージは、一又は複数の仮想ストレージリソース(例えば、クラウドストレージ、仮想プライベートネットワーク、及び/又はこれら以外の仮想ストレージリソース)を含んでもよい。電子ストレージは、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサが決定した情報、サーバから取得した情報、クライアントデバイスから取得した情報、または、本明細書に記載する機能を可能とする他の情報を記憶してもよい。
【0076】
プロセッサは、コンピューティングデバイスにおける情報処理機能を実現するようプログラムされているとしてもよい。このため、プロセッサは、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報処理用のデジタル回路、情報処理用のアナログ回路、ステートマシン、および/または電子的に情報を処理するための他のメカニズムのうちの1以上を含むとしてよい。一部の実施形態において、プロセッサは複数の処理ユニットを含むとしてもよい。これらの処理ユニットは物理的に同一の装置内に配置されてもよく、または、複数のプロセッサが、協調して動作する複数の装置の処理機能を実行してもよい。プロセッサは、コンピュータプログラム命令を実行してサブシステム112-120または他のサブシステムの本明細書で説明する機能を実現するようにプログラムされてもよい。プロセッサは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、何らかの方法で組み合わされたソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア、および/または、プロセッサにおいて処理機能を設定するための他のメカニズムによってコンピュータプログラム命令を実行するようにプログラムされてもよい。
【0077】
本明細書で説明する複数の異なるサブシステム112-120によって提供される機能の説明は例示を目的としたものであり、限定を意図したものではないと理解されたい。サブシステム112-120はいずれも、説明した機能より多くの、または少ない機能を提供するとしてよい。例えば、サブシステム112-120のうちの1または複数を省略するとしてもよく、その機能の一部またはすべてを、サブシステム112-120のうちの他のサブシステムで提供してもよい。他の例として、本明細書においてサブシステム112-120のうちの一つのサブシステムに帰する機能の一部または全てを実行するよう追加のサブシステムがプログラムされてもよい。
【0078】
現時点で最も実用的であり好ましいと考えられる態様に基づいて本発明を例示のために詳細に説明したが、このような詳細な説明は例示を目的としたものに過ぎないと理解されたい。本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付された特許請求の範囲の趣旨及び範囲に入る変形や均等な構成も本発明に含められることが意図されている。例えば、本発明においては任意の実施形態の1または複数の特徴を他の任意の実施形態の1または複数の特徴と可能な限り組み合わせられると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間のバランス状態を改善するためのトレーニングデータを生成する方法であって、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた1または複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットと前記認知的タスクのセットとにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と、
前記ユーザデバイス上に前記調整されたトレーニングデータを提示する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザに関連付けられた動作パターンに基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該動作パターンは前記センサデータに基づいて決定される、工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを調整する工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の動作パターンを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の動作パターンに基づいて、前記動作パターンの偏差の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記過去の動作パターンを取得する工程は、前記ユーザまたは前記ユーザのユーザプロファイルに一致するユーザプロファイルを有する他のユーザに関連付けられた過去の動作パターンを取得する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記動作パターンは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作平面を表す動作平面データを含み、前記身体的タスクのセットを調整する工程は、前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作平面からの前記動作平面の偏差に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記動作パターンは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作速度を表す速度データを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザによる前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の速度データを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の速度データに基づいて前記速度の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を上げるように前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該調整する工程は、前記動作パターンが前記難易度を上げるための条件を満たすことに基づいて行われる、工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を下げるように前記身体的タスクのセットを調整する工程であって、当該調整する工程は、前記動作パターンが前記難易度を下げるための条件を満たすことに基づいて行われる、工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザが前記認知的タスクのセットを実行しているときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記動作パターンと前記認知的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットまたは前記認知的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を上げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットをより高い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記認知的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を上げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記認知的タスクのセットをより高い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を下げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記身体的タスクのセットをより低い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記認知的タスクのセットを調整する工程は、
指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差と、前記難易度を下げるための条件を満たす前記認知的パフォーマンスデータとに基づいて、前記認知的タスクのセットをより低い難易度に調整する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットのうちの1または複数の身体的タスク、前記認知的タスクのセットのうちの1または複数の認知的タスク、前記身体的タスクのセットの1または複数のパラメータ、または前記認知的タスクのセットの1または複数のパラメータを変更する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記センサデータを処理する工程は、
前記ユーザの動作平面、前記ユーザの動作速度、または前記ユーザの認知的パフォーマンスデータのうちの少なくとも1つを取得するべく、前記センサデータを処理する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
命令を備える非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が1または複数のプロセッサによって実行されると、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す身体的パフォーマンスデータと、前記認知的タスクのセットにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す認知的パフォーマンスデータとを含む、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と、
前記ユーザデバイス上に前記調整されたトレーニングデータを提示する工程と
を含む処理動作が実行される、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザ向けの難易度を変更するように、前記身体的パフォーマンスデータに基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記センサデータに基づいて、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記身体的タスクのセットに関連付けられた指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記処理動作が、
前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の動作パターンを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記過去の動作パターンに基づいて、前記動作パターンの偏差の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
をさらに含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記身体的タスクのセットを調整する工程は、
前記センサデータに基づいて速度データを決定する工程であって、当該速度データは、前記身体的タスクのセットを実行するときの前記ユーザの動作速度を示す、工程と、
前記ユーザによる前記身体的タスクのセットの実行に関連付けられた過去の速度データを、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースから取得する工程と、
前記速度データと前記過去の速度データとに基づいて前記速度の分散を決定する工程と、
前記分散に基づいて前記身体的タスクのセットを調整する工程と
を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記ユーザが前記認知的タスクのセットを実行しているときの前記ユーザの動作パターンを決定する工程と、
前記動作パターンまたは前記認知的パフォーマンスデータの少なくとも一方に基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記トレーニングデータを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを異なる難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記データを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記認知的タスクのセットを異なる難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記データを調整する工程は、
前記認知的パフォーマンスデータまたは指定の動作パターンからの前記動作パターンの偏差に基づいて、前記身体的タスクのセットを第1の難易度に調整し、前記認知的タスクのセットを異なる第2の難易度に調整する工程
を含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
コンピュータプログラム命令を使用してプログラミングされている1または複数のプロセッサを有するコンピュータシステムを備え、前記コンピュータプログラム命令が実行されると、
ユーザに関連付けられたユーザデバイス上にトレーニングデータを提示する工程であって、当該トレーニングデータは前記ユーザによって実行される身体的タスクのセットと認知的タスクのセットとを含む、工程と、
前記ユーザデバイスに関連付けられた複数のセンサを介して、前記ユーザの動作を表すセンサデータを取得する工程と、
前記ユーザのパフォーマンスデータを決定するべく前記センサデータを処理する工程であって、当該パフォーマンスデータは、前記身体的タスクのセットと前記認知的タスクのセットとにおける前記ユーザのパフォーマンスを示す、工程と、
前記パフォーマンスデータに基づいて前記トレーニングデータを調整する工程と
を含む処理動作が行われる、システム。
【国際調査報告】