IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジーの特許一覧

特表2023-510112アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法
<>
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図1
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図2
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図3
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図4
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図5
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図6
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図7
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図8
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図9
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図10
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図11
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図12
  • 特表-アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】アフリカ豚熱ウイルスに対するワクチン、およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230306BHJP
   C07K 14/01 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C12N15/113 100Z
C07K14/01 ZNA
A61K39/12
A61P31/20
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537694
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020066316
(87)【国際公開番号】W WO2021127617
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/950,194
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】カー ムスマニ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB331
4C084ZB332
4C085AA03
4C085BA51
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG05
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明の一態様は、ASFVウイルスに対する哺乳動物における免疫応答を誘発する少なくとも1つのアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原を発現することができる核酸構築物、およびその使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項2】
a)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに
d)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記核酸分子が、DNA分子およびRNA分子からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記核酸分子が、
a)配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、および配列番号29からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、および配列番号29からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、および配列番号29からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、および配列番号29からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片、
からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記コードされたペプチドが、開始コドン、IgEリーダー配列、および停止コドンからなる群から選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記核酸分子が、
a)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに
d)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、少なくとも2つのペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記核酸分子が、
a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記核酸分子が、ウイルス粒子を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの核酸分子を含む、免疫原性組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
アジュバントをさらに含む、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
a)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに
d)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、ペプチド。
【請求項15】
請求項14に記載のペプチドを含む、免疫原性組成物。
【請求項16】
ASFV抗原に対する免疫応答の誘導を必要とする対象においてそれを誘導する方法であって、前記方法が、請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項11~13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ASFV関連病態の治療または予防を必要とする対象においてそれを治療または予防する方法であって、前記方法が、請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項11~13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項19】
投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ASFV関連病態が、致死性の出血熱である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された米国仮出願第62/950,194号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも1つのアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原、およびその機能的断片をコードする組換えヌクレオチド配列に関する。本発明はまた、アフリカ豚熱病に対する免疫を生成するためのASFV抗原をコードする複数の組換えヌクレオチド配列の組み合わせに関する。本発明の組成物は、免疫応答を誘導するための、ならびにアフリカ豚熱ウイルスに対して個体に予防的および/または治療的に免疫付与するための改善された方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)は、アスファウイルス科に由来する大きな二本鎖DNAウイルスである。ASFVは、家畜ブタの死亡率が高い出血熱の原因物質であり、一部の分離株は、感染後1週間ほどで動物の死亡を引き起こす可能性がある。ASFVは、イボイノシシ、カワイノシシ、およびOrnithodoros属の軟ダニを含む自然の宿主に持続的に感染し、それらは、病気の兆候なしに、ベクターとして作用する可能性が高い。
【0004】
ASFVはヒトにおいて病気を引き起こすことはないが、その影響は直接的な農場の損失を介して感じることができる。ASFVはヨーロッパで500,000頭を超えるブタに感染しており、著しくより多くのブタが予防的に駆除された。
【0005】
バキュロウイルス発現アフリカ豚熱ウイルスタンパク質EP402R/CD2vでのワクチン接種は、相同のアフリカ豚熱ウイルスチャレンジから重要な程度の保護を示した(Ruiz-Gonzalvo et al.,1996,Virology,218(1):285-289)。しかしながら、バキュロウイルスで発現されたウイルスの付着および内在化のステップに関与する組換えp54およびp30タンパク質でのブタの免疫付与は、猛毒のアフリカ豚熱ウイルスチャレンジから保護することはできなかった。バキュロウイルスで生成されたp30、p54、p22およびp72をコードするタンパク質もまた、中和抗体を産生したにもかかわらず、ウイルスチャレンジからブタを保護することに失敗した(Neilan et al.,2004,Virology,319(2):337-342)。
【0006】
インビボ免疫標的化のために、ブタ白血球抗原IIを認識する抗体の単一可変鎖に連結されたp30およびp54のDNA免疫原を試験した。アフリカ豚熱ウイルスタンパク質に対する特異的T細胞は、低レベルで誘導され得るが、中和抗体も、猛毒のチャレンジからの保護は達成されなかった(Argilaguet et al.,2011,Vaccine,29:5379-5385)。ウイルスp30およびp54タンパク質に融合したHAのDNA ECドメインの研究が実施された。ブタにおける体液性および細胞性免疫応答の両方の誘導(CD4応答の可能性が高い)は、アフリカ豚熱ウイルスチャレンジから保護することなく誘導された(Argilaguet et al.,2012,PLoS One,7(9):e40942)。
【0007】
抗原処理を改善するためのアプローチが行われた。DNA構築物(ユビキチンに融合したASFV p54およびp30)が研究された。このワクチンは、アフリカ豚熱ウイルス特異的抗体の非存在下においてチャレンジからの部分的な保護を付与し、保護は、T細胞応答と相関し、p54およびp30抗原に対する抗原特異的CD8+ T細胞が観察された(Argilaguet et al.,2012,PLoS One,7(9):e40942、Lacasta et al.,2014,J Virol,88(22):13322-13332)。
【0008】
アフリカ豚熱ウイルスワクチンの現在のアプローチのこれらの結果は、アフリカ豚熱ウイルス保護における抗体媒介中和の役割に関する混乱を助長する(Escribano et al.,2013,Virus Res,173(1):101-109)。
【0009】
したがって、ASFVに対する予防および治療のためのワクチンの開発の必要性が残っている。本発明は、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。
【0011】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列を含むペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片を含む。
【0012】
一実施形態では、核酸分子は、DNA分子またはRNA分子である。
【0013】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の免疫原性断片を含む。
【0014】
一実施形態では、コードされたペプチドは、開始コドン、IgEリーダー配列、および停止コドンから選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している。
【0015】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにd)配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも2つのペプチドをコードする。
【0016】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにd)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする。
【0017】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびにd)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0018】
一実施形態では、核酸分子は、発現ベクターを含む。一実施形態では、核酸分子は、ウイルス粒子を含む。
【0019】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む、免疫原性組成物に関する。
【0020】
一実施形態では、組成物は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列を含むペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片を含む。
【0021】
一実施形態では、組成物は、DNA分子またはRNA分子を含む。
【0022】
一実施形態では、組成物は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号25、配列番号27、配列番号21、配列番号23、または配列番号29のヌクレオチド配列の免疫原性断片を含む。
【0023】
一実施形態では、免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドに関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片を含むペプチドに関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列を含むペプチドに関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片を含むペプチドに関する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドを含む免疫原性組成物に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片を含むペプチドを含む免疫原性組成物に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列を含むペプチドを含む免疫原性組成物に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26、配列番号28、配列番号22、配列番号24、または配列番号30のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片を含むペプチドを含む免疫原性組成物に関する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、ASFV抗原に対する免疫応答の誘導を必要とする対象においてそれを誘導する方法に関し、本方法は、少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む免疫原性組成物を投与することを含む。一実施形態では、投与する方法は、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、ASFV関連病態の治療または予防を必要とする対象においてそれを治療または予防する方法に関し、本方法は、少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または少なくとも1つの合成アフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む免疫原性組成物を投与することを含む。一実施形態では、投与する方法は、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、ASFV関連病態は、致死性の出血熱である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ASFVに対する合成増強DNAワクチン(SEV)構築物の設計を示す。
図2】血清染色実験に使用される例示的な免疫付与スケジュールを示す。
図3】ASFV抗原発現細胞上の対照血清染色を示す例示的な画像を示す。
図4】群1(ASFV-p32+p54)の免疫血清染色を示す例示的な画像を示す。
図5】群2(ASFV-CD2+p32+p54)の免疫血清染色を示す例示的な画像を示す。
図6】群3(ASFV-ユビキチン+CD2+p32+p54)の免疫血清染色を示す例示的な画像を示す。
図7】血清学的実験に使用される例示的な免疫付与スケジュールを示す。
図8】マッチしたp32ペプチドに対する血清学を実証する例示的な実験結果を示す。
図9】マッチしたp54ペプチドに対する血清学を実証する例示的な実験結果を示す。
図10】マッチしたCD2ペプチドに対する血清学を実証する例示的な実験結果を示す。
図11】ASFV-DNAワクチンによって誘発された細胞性免疫応答を実証する例示的な実験結果を示す。
図12図12Aおよび図12Bを含み、細胞内サイトカイン染色アッセイ(ICS)-ASFV-CD2+p32+p54の結果を実証する例示的な実験データを示す。図12Aは、CD4エピトープに対する応答を示す。図12Bは、CD8エピトープに対する応答を示す。
図13図13Aおよび図13Bを含み、細胞内サイトカイン染色アッセイ(ICS)-ASFV-ユビキチン+CD2+p32+p54の結果を実証する例示的な実験データを示す。図13Aは、CD4エピトープに対する応答を示す。図13Bは、CD8エピトープに対する応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、少なくとも1つのアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原、およびその機能的断片をコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。組成物は、ASFVウイルスに対する対象における免疫応答を誘発するために、組成物の投与を必要とする対象に投与され得る。
【0030】
一実施形態では、組成物は、対象において1つ以上の合成ASFV抗原を発現することができる1つ以上のヌクレオチド配列、および薬学的に許容される賦形剤を含む。一実施形態では、1つ以上の合成ASFV抗原は、ASFV p32、p54、p12、p72およびCD2のうちの1つ以上である。一実施形態では、核酸分子は、2つ以上の合成ASFV抗原をコードするコード配列に作動可能に連結したプロモーターを含む。一実施形態では、核酸分子は、合成ASFV p32、p54、p12、p72、およびCD2抗原のうちの2つ以上をコードする。一実施形態では、核酸分子は、合成ASFV p32およびp54をコードする。一実施形態では、核酸分子は、合成ASFV p32、p54、およびCD2の各々をコードする。一実施形態では、本発明は、合成ASFV p32、p54、およびp12の各々の発現のための単一核酸構築物に関する。一実施形態では、核酸分子は、合成ASFV CD2、p32、p54、およびp72の各々をコードする。一実施形態では、核酸構築物は、合成ユビキチン配列をコードする。一実施形態では、核酸分子は、合成ユビキチンならびに合成ASFV p32、p54、およびCD2をコードする。
【0031】
定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先するであろう。本発明の実施または試験において本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0032】
「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有すること」、「有する」、「できる」、「含有する」という用語およびそれらの異表記は、本明細書で使用される場合、追加の行為または構造の可能性を除外しない、制限のない移行句、語句、または用語であることを意図する。「a」、「and」、および「the」という単数形は、文脈が別段に明示しない限り、複数の参照物を含む。本開示はまた、明示的に記載されるかどうかにかかわらず、本明細書で提示される実施形態または要素「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態を企図する。
【0033】
本明細書で使用される「アジュバント」とは、ワクチンの抗原性を向上させるために核酸ワクチンに添加される任意の分子を意味し得る。
【0034】
「抗原」とは、宿主において免疫応答を生成する能力を有するタンパク質を指す。抗原は、抗体によって認識され、結合され得る。抗原は、体内から、または外部環境から由来し得る。
【0035】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」とは、本明細書に記載の抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を指すことを意味し得る。コード配列は、核酸を投与される個体または哺乳動物の細胞における発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む制御要素に作動可能に連結した開始および終止シグナルをさらに含み得る。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含み得る。
【0036】
本明細書で使用される「相補体」または「相補的」とは、核酸が核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間でのワトソンクリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対形成を意味し得ることを意味し得る。
【0037】
本明細書で使用される「コンセンサス」または「コンセンサス配列」とは、複数の配列(例えば、特定のウイルス抗原の複数の配列)のアラインメントの分析に基づいて構築される、合成ヌクレオチド配列、または対応するポリペプチド配列を意味し得る。
【0038】
「定電流」という用語は、本明細書では、組織、または当該組織を画定する細胞が、電気パルスが同組織に送達される期間にわたって受けるか、または経験する電流を定義するために使用される。電気パルスは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスから送達される。本明細書で提供されるエレクトロポレーションデバイスは、フィードバック要素を有する、好ましくは、即時フィードバックを有するので、この電流は、電気パルスの寿命にわたって当該組織において一定のアンペア数のままである。フィードバック要素は、パルスの持続期間を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、エレクトロポレーションデバイスにその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ことができ、したがって同じ組織における電流は、電気パルス(マイクロ秒オーダーで)を通して、およびパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態では、フィードバック要素は、制御器を含む。
【0039】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」とは、互換的に使用され得、提供されたエレクトロポレーションデバイスの活性応答を意味し得、これは、電流を一定のレベルで維持するために、電極間の組織における電流を測定し、適宜にEPデバイスによって送達されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定のレベルは、パルスシーケンスまたは電気処理の開始前にユーザーによって予め設定される。その中の電気回路が、電極間の組織における電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織内の電流)を予め設定された電流と比較し、エネルギー出力調節を連続的に行って、監視される電流を予め設定されたレベルに維持することができるように、フィードバックは、エレクトロポレーションデバイスのエレクトロポレーション構成要素、例えば、制御器によって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるので、即時であり得る。
【0040】
本明細書で使用される「分散電流」とは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスの様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、パターンは、エレクトロポレーションされる組織の任意の区域上でのエレクトロポレーション関連の熱ストレスの発生を最小化するか、または好ましくは排除する。
【0041】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過化」、または「電気運動増強」(「EP」)とは、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を指し得、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の一方の側から他方へと通過することを可能にする。
【0042】
本明細書で使用される「内因性抗体」とは、体液性免疫応答の誘導に有効である対象において生成された抗体を指し得る。
【0043】
本明細書で使用される「フィードバック機構」とは、ソフトウェアまたはハードウェア(またはファームウェア)のいずれかによって行われるプロセスを指し得、そのプロセスは、(エネルギーのパルスの送達の前、その最中、および/またはその後)所望の組織のインピーダンスを受け、現在値、好ましくは電流と比較し、予め設定された値を達成するために送達されるエネルギーのパルスを調節する。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実施され得る。
【0044】
「断片」は、全長ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列の割合を意味し得る。断片は、親ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列またはそれらのバリアントの全長の20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の割合を含み得る。
【0045】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」は、抗原などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子を投与される個体の細胞における発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む制御要素に作動可能に連結した開始および終止シグナルを含む。本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞に存在する場合にコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結した必要な制御要素を含む遺伝子構築物を指す。
【0046】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される「同一」または「同一性」は、配列が特定された領域にわたって同じである残基の特定された割合を有することを意味し得る。割合は、2つの配列を最適にアラインメントし、2つの配列を特定された領域にわたって比較し、両方の配列において同一の残基が生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を特定された領域における位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性の割合を得ることによって、計算され得る。2つの配列が異なる長さのものであるか、またはアラインメントが1つ以上の互い違いの末端を産生し、比較の特定された領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母には含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等物とみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを用いることによって実施され得る。
【0047】
本明細書で使用される「インピーダンス」とは、フィードバック機構を議論する場合に使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができ、したがって、予め設定された電流との比較を可能にする。
【0048】
本明細書で使用される「免疫応答」は、1つ以上の核酸および/またはペプチドの導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味し得る。免疫応答は、細胞性もしくは体液性応答、または両方の形態であり得る。
【0049】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合で連結した少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖の描写はまた、相補鎖の配列を定義する。よって、核酸はまた、描写された一本鎖の相補鎖を包含する。核酸の多くのバリアントは、所与の核酸と同じ目的で使用され得る。よって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイゼーションし得るプローブを提供する。よって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションするプローブを包含する。
【0050】
核酸は、一本鎖または二本鎖であり得るか、あるいは二本鎖と一本鎖配列の両方の特定の部分を含み得る。核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得、核酸は、デオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る。核酸は、化学合成方法によって、または組換え方法によって得られ得る。
【0051】
本明細書で使用される「作動可能に連結」とは、遺伝子の発現が、それが空間的に接続されるプロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に配置され得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御するプロモーターと遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当該技術分野で既知のように、この距離における変動は、プロモーター機能の喪失なしに適応され得る。
【0052】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0053】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を与え、活性化し、または増強させることができる合成または天然由来分子を意味し得る。プロモーターは、その発現をさらに増強させるため、ならびに/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対ほどに配置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素を含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む供給源に由来し得る。プロモーターは、細胞、発現が生じる組織もしくは器官に関して、または発現が生じる発生段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子構成要素の発現を調節し得る。プロモーターの代表的な例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターもしくはSV 40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0054】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載されるタンパク質のアミノ末端で連結することができるアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、タンパク質の残部から切断され、多くの場合、細胞からの分泌後、成熟タンパク質と称される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0055】
本明細書で互換的に使用される「対象」および「患者」は、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)、ならびにヒト)を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、家畜ブタであり得る。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の相補体に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションすることを意味し得る。
【0057】
本明細書で使用される「実質的に同一」とは、第1の配列が、第2の配列の相補体に実質的に相補的である場合、第1および第2の配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であることを意味し得る。
【0058】
「亜型」または「血清型」という用語は、本明細書で互換的に使用され、ウイルスに関しては、1つの亜型が、異なる亜型とは別の免疫系によって認識されるようなそのウイルス抗原の遺伝的バリアントを意味する。
【0059】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」とは、疾患を予防、抑制、抑止、または完全に排除する手段を通した疾患からの対象の保護を意味し得る。疾患を予防することは、本発明のワクチンを、疾患の発症前に対象に投与することを含む。疾患を抑制することは、本発明のワクチンを、疾患の誘導後であるがその臨床的出現前に対象に投与することを含む。疾患を抑止することは、本発明のワクチンを、疾患の臨床的出現後に対象に投与することを含む。
【0060】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照されたヌクレオチド配列の部分もしくは断片、(ii)参照されたヌクレオチド配列もしくはその部分の相補体、(iii)参照された核酸もしくはその補体に実質的に同一である核酸、または(iv)参照された核酸、その補体、もしくはそれらと実質的に同一である配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションする核酸を意味し得る。
【0061】
アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるペプチドまたはポリペプチドに関する「バリアント」は、少なくとも1つの生物学的活性を保持する。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照されたタンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、同様の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸で置き換えることは、典型的には小さな変更を伴うものとして当該技術分野で認識される。これらの小さな変化は、当該技術分野で理解されるように、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮することによって、部分的に、同定され得る。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシー指数は、その疎水性および電荷の考慮に基づく。同様のハイドロパシー指数のアミノ酸は、置換され、依然としてタンパク質機能を保持し得ることが当該技術分野で既知である。一態様では、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性はまた、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするためにも使用することができる。ペプチドの文脈におけるアミノ酸の親水性の考慮により、抗原性および免疫原性と十分に相関することが報告されている有用な尺度である、そのペプチドの最も大きな局所平均親水性の計算が可能になる。米国特許第4,554,101号は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。同様の親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野で理解されるように、生物学的活性、例えば、免疫原性を保持するペプチドをもたらし得る。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で実施され得る。アミノ酸の疎水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性によって明らかになるように、アミノ酸、および特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対類似性に依存することが理解される。
【0062】
バリアントは、完全遺伝子配列またはその断片の完全長にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸は、遺伝子配列またはその断片の完全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列またはその断片の完全長にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の完全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0063】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0064】
本明細書における数値範囲の列挙については、同じ精度でその間に介在する各数が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲については、6および9に加えて7および8の数が企図され、6.0~7.0の範囲について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数が明示的に企図される。
【0065】
説明
本発明は、部分的に、1つ以上のアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)抗原をコードする最適化合成配列の開発に基づいている。一実施形態では、最適化合成配列によってコードされる1つ以上のASFV抗原は、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。一実施形態では、最適化合成配列によってコードされるASFV抗原は、対する免疫応答が誘導され得る免疫原として特に効果的にするエピトープを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、合成配列は、2つ以上のASFV抗原に由来するコンセンサス配列である。いくつかの実施形態では、合成配列は、改善した発現のためのコンセンサス配列および/または1つ以上の修飾を含む。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、増加した翻訳開始のためのKozak配列の付加、および/または免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の付加を含むことができる。合成配列によってコードされるASFV抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、合成配列によってコードされる抗原は、ヘマグルチニン(HA)タグを含み得る。合成配列によってコードされる抗原は、対応する天然(非合成)抗原よりも強い細胞性および/または体液性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0067】
本明細書では、ASFV感染症を有する対象またはASFV感染症のリスクがある対象においてASFVに対する免疫性を誘導するために使用され得るASFV抗原が提供される。一実施形態では、本発明は、哺乳動物においてASFV抗原に対する免疫応答を生成することができる1つ以上の核酸分子を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、哺乳動物においてASFV抗原に対する免疫応答を生成することができる単離された核酸分子を提供する。一実施形態では、核酸分子は、合成ASFV抗原をコードする最適化ヌクレオチド配列を含む。
【0068】
最適化合成ASFV抗原
一実施形態では、本発明は、哺乳動物においてASFV抗原に対する免疫応答を生成することができる1つ以上の核酸分子を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、哺乳動物においてASFV抗原に対する免疫応答を生成することができる単離された核酸分子を提供する。一実施形態では、核酸分子は、少なくとも1、2、3、または3個超の合成ASFV抗原をコードする最適化ヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、1つ以上の合成抗原は、合成ASFV p32、p54、p12、p72もしくはCD2抗原、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0069】
ASFV抗原の合成アミノ酸配列には、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30ならびにそれらのバリアント、ならびに配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30の断片、ならびにそれらのバリアントが含まれる。合成ASFV p32抗原の例示的なアミノ酸配列は、配列番号26として提供される。合成ASFV p54抗原の例示的なアミノ酸配列は、配列番号28として提供される。合成ASFV p12抗原の例示的なアミノ酸配列は、配列番号24として提供される。合成ASFV CD2抗原の例示的なアミノ酸配列は、配列番号22として提供される。合成ASFV CD2抗原の例示的なアミノ酸配列は、配列番号30として提供される。
【0070】
一実施形態では、本発明は、合成ASFV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、合成ASFV p32抗原をコードするヌクレオチド配列は、配列番号26をコードする配列番号25として提供される。一実施形態では、合成ASFV p54抗原をコードするヌクレオチド配列は、配列番号28をコードする配列番号27として提供される。一実施形態では、合成ASFV p12抗原をコードするヌクレオチド配列は、配列番号24をコードする配列番号23として提供される。一実施形態では、合成ASFV CD2抗原をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22をコードする配列番号21として提供される。一実施形態では、合成ASFV p72抗原をコードするヌクレオチド配列は、配列番号30をコードする配列番号29として提供される。
【0071】
様々な実施形態では、本発明は、少なくとも2つの合成ASFV抗原の組み合わせ、またはそれをコードする1つ以上の核酸分子を含む組成物を提供する。組成物は、単一のプラスミドのような単一の核酸分子の複数のコピー、または2つ以上の異なるプラスミドなどの2つ以上の異なる核酸分子の複数のコピーを含み得る。
【0072】
複数の合成ASFV抗原をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む組成物は、単一のプラスミド上にあり得る。いくつかの実施形態では、第1のASFV抗原をコードする配列および少なくとも1つの追加のASFV抗原をコードする配列は、融合ペプチド配列、例えば、フーリン切断配列によって連結し得る。一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下で合成ASFV p32およびp54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。合成p32およびp54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号2、その断片、またはそのバリアントをコードする。合成p32およびp54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号1、その断片、またはそのバリアントとして提供される。一実施形態では、組成物は、IgEリーダー配列に作動可能に連結した単一のプロモーター下で合成ASFV p32およびp54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。IgEリーダー配列に作動可能に連結した合成p32およびp54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号4、その断片、またはそのバリアントをコードする。IgEリーダー配列をコードする配列に作動可能に連結した合成p32およびp54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号3、その断片、またはそのバリアントとして提供される。
【0073】
一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下でASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。ASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号6、その断片、またはそのバリアントをコードする。ASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号5、その断片、またはそのバリアントとして提供される。一実施形態では、組成物は、IgEリーダー配列に作動可能に連結した単一のプロモーター下でASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。IgEリーダー配列に作動可能に連結したASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号8、その断片、またはそのバリアントをコードする。IgEリーダー配列をコードする配列に作動可能に連結したASFVユビキチン+CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号7、その断片、またはそのバリアントとして提供される。
【0074】
一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下でASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。ASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号10、その断片、またはそのバリアントをコードする。ASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号9、その断片、またはそのバリアントとして提供される。一実施形態では、組成物は、IgEリーダー配列に作動可能に連結した単一のプロモーター下でASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。IgEリーダー配列に作動可能に連結したASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号12、その断片、またはそのバリアントをコードする。IgEリーダー配列をコードする配列に作動可能に連結したASFV CD2+p32+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号11、その断片、またはそのバリアントとして提供される。
【0075】
一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下でASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。ASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号14、その断片、またはそのバリアントをコードする。ASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号13、その断片、またはそのバリアントとして提供される。一実施形態では、組成物は、IgEリーダー配列に作動可能に連結した単一のプロモーター下でASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一のプラスミドを含む。IgEリーダー配列に作動可能に連結したASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号16、その断片、またはそのバリアントをコードする。IgEリーダー配列をコードする配列に作動可能に連結したASFV p32+p12+p54抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号15、その断片、またはそのバリアントとして提供される。
【0076】
一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下でASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一のプラスミドを含む。ASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号18、その断片、またはそのバリアントをコードする。ASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号17、その断片、またはそのバリアントとして提供される。一実施形態では、組成物は、IgEリーダー配列に作動可能に連結した単一のプロモーター下でASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一のプラスミドを含む。IgEリーダー配列に作動可能に連結したASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号20、その断片、またはそのバリアントをコードする。IgEリーダー配列をコードする配列に作動可能に連結したASFV CD2+p32+p54+p72抗原をコードする単一の構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号19、その断片、またはそのバリアントとして提供される。
【0077】
一実施形態では、本発明は、ユビキチン標的化配列、またはそのバリアントもしくは断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、核酸分子は、配列番号32をコードするヌクレオチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号31に記載のヌクレオチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0078】
一実施形態では、最適化合成コードASFV抗原は、1つ以上の制御要素に作動可能に連結する。一実施形態では、制御要素は、リーダー配列である。一実施形態では、リーダー配列は、IgEリーダー配列である。一実施形態では、IgEリーダー配列は、配列番号33に記載のアミノ酸配列を有する。したがって、一実施形態では、本発明は、配列番号33に記載のアミノ酸配列に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号33に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0079】
一実施形態では、制御要素は、開始コドンである。したがって、一実施形態では、本発明は、5’末端に開始コドンを含むヌクレオチド配列に作動可能に連結した、配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号28、もしくは配列番号31に記載のヌクレオチド配列、またはその断片もしくはバリアントに関する。一実施形態では、本発明は、N末端で開始コドン(例えば、メチオニン)によってコードされるアミノ酸に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはそれらの断片もしくはバリアントに関する。
【0080】
一実施形態では、制御要素は、少なくとも1つの停止コドンである。したがって、一実施形態では、本発明は、3’末端に少なくとも1つの停止コドンを含むヌクレオチド配列に作動可能に連結した、配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号28、もしくは配列番号31に記載のヌクレオチド配列、またはその断片もしくはバリアントに関する。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、翻訳終止の効率を高めるために2つの停止コドンに作動可能に連結する。
【0081】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドをコードし得る。一実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列であり得る。他の実施形態では、配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するDNA配列からの転写物であるRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNA配列を含む。
【0083】
合成ASFV抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0084】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32の完全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0085】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32の免疫原性断片に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に95%相同であるタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書の合成タンパク質配列の免疫原性断片に対して96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の合成タンパク質配列の免疫原性断片に対して97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の合成タンパク質配列の免疫原性断片に対して98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の合成タンパク質配列の免疫原性断片に対して99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0086】
いくつかの実施形態は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31の完全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含む、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31の断片に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であり得る。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0087】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の配列を含む。
【0088】
一実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載される合成ASFV抗原配列をコードするRNA配列を含む。例えば、核酸は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32のうちの1つ以上をコードするRNA配列、これらのバリアント、これらの断片、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0089】
核酸構築物
細胞に取り込まれると、DNAプラスミドは、別個の遺伝物質として細胞内に残ることができる。あるいは、RNAは、細胞に投与され得る。セントロメア、テロメアおよび複製起点を含む直鎖ミニ染色体として遺伝子構築物を提供することも企図される。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節要素を含む。これらの要素は、プロモーター、開始コドン、停止コドン、およびポリアデニル化シグナルを含む。加えて、エンハンサーは、多くの場合、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現に必要とされる。これらの要素は、所望のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結し、調節要素は、それらを投与される個体において作動可能であることが必要である。したがって、かかる遺伝子構築物は組換え核酸分子であり得る。
【0090】
組換え核酸分子は、1つ以上の組換えヌクレオチド配列構築物を含み得る。組換えヌクレオチド配列構築物は、以下でより詳細に記載される1つ以上の構成要素を含み得る。
【0091】
組換えヌクレオチド配列構築物は、ウイルス抗原、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせをコードする異種ヌクレオチド配列を含み得る。組換えヌクレオチド配列構築物はまた、プロテアーゼまたはペプチダーゼ切断部位をコードする異種ヌクレオチド配列も含み得る。組換えヌクレオチド配列構築物はまた、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする異種ヌクレオチド配列も含み得る。IRESは、ウイルスIRESまたは真核IRESのいずれかであり得る。組換えヌクレオチド配列は、1つ以上のリーダー配列を含み得、各リーダー配列がシグナルペプチドをコードする。組換えヌクレオチド配列は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終止領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終止もしくは停止コドン、および/または1つ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。組換えヌクレオチド配列構築物はまた、1つ以上のリンカーまたはタグ配列を含み得る。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードし得る。
【0092】
a)プロテアーゼ切断部位
組換えヌクレオチド配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種ヌクレオチド配列を含み得る。プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識され得る。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼ、例えば、これらに限定されないが、フーリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、およびペプシンであり得る。プロテアーゼは、フーリンであり得る。他の実施形態では、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または内部ペプチド結合を切断する(すなわち、N末端またはC末端ペプチド結合を切断しない)任意のプロテアーゼであり得る。
【0093】
プロテアーゼ切断部位は、切断の効率を促進または増加させる1つ以上のアミノ酸配列を含み得る。1つ以上のアミノ酸配列は、別個のポリペプチドを形成または生成する効率を促進または増加させることができる。1つ以上のアミノ酸配列は、フーリン切断部位を含み得る。
【0094】
b)リンカー配列
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含み得る。リンカー配列は、本明細書に記載される1つ以上の構成要素を空間的に分離または連結することができる。他の実施形態では、リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離または連結するアミノ酸配列をコードすることができる。
【0095】
c)プロモーター
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含み得る。1つ以上のプロモーターは、遺伝子発現を駆動し、かつ遺伝子発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。かかるプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要なシス作用配列要素である。遺伝子発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、組換えヌクレオチド配列構築物における転写開始から、その天然設定における転写開始部位からのほぼ同じ距離に配置され得る。しかしながら、この距離における変動は、プロモーター機能の喪失なしに適応され得る。
【0096】
プロモーターは、1つ以上のウイルス抗原をコードする異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結し得る。プロモーターは、真核細胞における発現に有効であると示されるプロモーターであり得る。コード配列に作動可能に連結したプロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーターなどのシミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳がんウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長鎖末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV即時初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ヒトポリヘドリン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターであり得る。
【0097】
プロモーターは、宿主細胞が何らかの特定の外部刺激に曝露されたときにのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織または器官または発達段階に特異的であり得る。プロモーターはまた、天然または合成の筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであり得る。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0098】
プロモーターは、エンハンサーと関連し得る。エンハンサーは、コード配列の上流に位置し得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからの1つなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能増強は、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、各々の内容は、参照により完全に組み込まれる。
【0099】
d)転写終止領域
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上の転写終止領域を含み得る。転写終止領域は、効率的な終止を提供するために、コード配列の下流にあり得る。転写終止領域は、上に記載されるプロモーターと同じ遺伝子から得ることができるか、または1つ以上の異なる遺伝子から得ることができる。
【0100】
e)開始コドン
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含み得る。開始コドンは、コード配列の上流に位置し得る。開始コドンは、コード配列とフレーム内にあり得る。開始コドンは、効率的な翻訳開始に必要な1つ以上のシグナル、例えば、これらに限定されないが、リボソーム結合部位と関連し得る。
【0101】
f)終止コドン
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上の終止または停止コドンを含み得る。終止コドンは、コード配列の下流であり得る。終止コドンは、コード配列とフレーム内にあり得る。終止コドンは、効率的な翻訳終止に必要な1つ以上のシグナルと関連し得る。開始コドンおよび停止コドンは、概して、所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であるとみなされる。しかしながら、これらの要素は、核酸構築物が投与される哺乳動物において機能的であることが必要である。開始および終止コドンは、コード配列とフレーム内である必要がある。
【0102】
g)ポリアデニル化シグナル
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、転写産物の効率的なポリアデニル化に必要な1つ以上のシグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、コード配列の下流に位置し得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen、San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。使用されるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは、個体の細胞内で機能的でなければならない。
【0103】
h)リーダー配列
組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含み得る。リーダー配列は、シグナルペプチドをコードし得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、IgGシグナルペプチドおよびIgEシグナルペプチドであり得る。
【0104】
上述のように、DNA発現に必要な調節要素に加えて、他の要素も、組換え核酸分子に含まれ得る。かかる追加の要素としては、エンハンサーが含まれる。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ならびにCMV、RSVおよびEBV由来のものなどのウイルスエンハンサーを含むが、これらに限定されない群から選択され得る。
【0105】
遺伝子構築物は、構築物を染色体外に維持し、細胞内で構築物の複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点を提供し得る。プラスミドpMV101、pCEP4、およびpREP4は、エプスタインバーウイルス複製起点および核抗原EBNA-1コード領域を含み、これは、統合なしに高コピーエピソーム複製を産生する。
【0106】
タンパク質産生を最大限にするために、構築物が投与される細胞における遺伝子発現に十分に適している制御配列が選択され得る。さらに、宿主細胞において最も効率的に転写される、当該タンパク質をコードするコドンが選択され得る。当業者は、細胞内で機能的であるDNA構築物を作製することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質のコード配列がIgEリーダーペプチドに連結するか、またはかかるIgEリーダーが除去される核酸構築物が提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質は、IgEシグナルペプチドに連結するか、またはかかるIgEリーダーが除去される。
【0108】
タンパク質が使用されるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を使用して、周知の技術を使用して本発明のタンパク質を産生および単離することができる。タンパク質が使用されるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を使用して、本発明のタンパク質をコードするDNA分子を、周知の発現系で使用するための市販の発現ベクターに挿入することができる。例えば、市販のプラスミドpSE420(Invitrogen、San Diego,Calif.)は、Escherichia coli(E.coli)におけるタンパク質の産生に使用され得る。市販のプラスミドpYES2(Invitrogen、San Diego,Calif.)は、例えば、酵母のSaccharomyces cerevisiae株での産生に使用され得る。市販のMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen、San Diego,Calif.)は、例えば、昆虫細胞における産生に使用され得る。市販のプラスミドpcDNA3.IまたはpcDNA3(Invitrogen、San Diego,Calif.)は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞における産生に使用され得る。当業者は、これらの商業的発現ベクターおよび系、または他のものを使用して、日常的な技術および容易に入手可能な出発物質によってタンパク質を産生することができる。(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい)。したがって、所望のタンパク質は、原核系および真核系の両方で調製することができ、結果として、タンパク質の加工形態のスペクトルをもたらす。
【0109】
ベクター
上に記載される組換えヌクレオチド配列構築物は、1つ以上のベクター内に配置することができる。1つ以上のベクターは、複製起点を含み得る。1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。1つ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0110】
1つ以上のベクターは、異種発現構築物であり得、これは概して、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内にいると、組換えヌクレオチド配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドが、細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。1つ以上のベクターは、多量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現することができる。
【0111】
i)発現ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミドおよび線状核酸は、適切な対象細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を指向することができる。組換えヌクレオチド配列構築物を含む1つ以上のベクターは、キメラであり得、その構成要素のうちの少なくとも1つが、その他の構成要素のうちの少なくとも1つに関して異種であることを意味する。
【0112】
j)プラスミド
1つ以上のベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、組換えヌクレオチド配列構築物を細胞にトランスフェクションするために有用であり得る。プラスミドは、組換えヌクレオチド配列構築物を対象中に導入するために有用であり得る。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分に適し得る、制御配列を含み得る。
【0113】
k)RNA
一実施形態では、核酸は、RNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、本明細書に記載されるDNA配列から転写される。例えば、いくつかの実施形態では、RNA分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に少なくとも90%相同なDNA配列によってコードされる。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32のポリペプチド配列、またはそれらのバリアントもしくはそれらの断片をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明は、1つ以上の合成ASFV抗原をコードするRNA分子を提供する。RNAは、プラス鎖であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、RNA分子は、逆転写などの任意の介在複製ステップを必要とすることなく細胞によって翻訳され得る。本発明で有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボ翻訳を増強させ得る。本発明で有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’三リン酸基を有し得る。キャップRNAでは、これは、5’と5’との架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3’ポリAテールを有し得る。それはまた、その3’末端近くにポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を含み得る。本発明で有用なRNA分子は、一本鎖であり得る。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含み得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、裸のRNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、ベクター内に含まれる。
【0114】
一実施形態では、RNAは、5’および3’UTRを有する。一実施形態では、5’UTRは、0~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加される5’および3’UTR配列の長さは、UTRの異なる領域にアニーリングするPCRのプライマーを設計することを含むが、これらに限定されない、異なる方法によって変更することができる。このアプローチを使用して、当業者は、転写RNAのトランスフェクション後の最適な翻訳効率を達成するために必要な5’および3’UTRの長さを修飾することができる。
【0115】
5’および3’UTRは、目的の遺伝子について、天然に生じる、内因性5’および3’UTRであり得る。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列は、UTR配列をフォワードおよびリバースプライマーに組み込むことによって、または鋳型の任意の他の修飾によって付加することができる。目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を修飾するために有用であり得る。例えば、3’UTR配列におけるAU富化要素は、RNAの安定性を増加させることができることが知られている。したがって、3’UTRは、当該技術分野で周知であるUTRの特性に基づいて転写されたRNAの安定性を増加させるように選択または設計され得る。
【0116】
一実施形態では、5’UTRは、内因性遺伝子のKozak配列を含み得る。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではない5’UTRが、上記のPCRによって付加されている場合、合成Kozak配列は、5’UTR配列を付加することによって再設計することができる。Kozak配列は、いくつかのRNA転写物の翻訳の効率を増加させることができるが、すべてのRNAについて効率的な転写を可能にするために必要とされるわけではないようである。多くのRNAについてのKozak配列の要件は、当該技術分野で既知である。他の実施形態では、5’UTRは、RNAウイルスに由来し得、そのRNAゲノムは、細胞において安定である。他の実施形態では、様々なヌクレオチド類似体が、RNAのエキソヌクレアーゼ分解を防ぐために3’または5’UTRにおいて使用され得る。
【0117】
一実施形態では、RNAは、5’末端および3’ポリ(A)テールの両キャップを有し、これは、リボソーム結合、翻訳の開始、および細胞におけるRNAの安定性を決定する。
【0118】
一実施形態では、RNAは、ヌクレオシド修飾RNAである。ヌクレオシド修飾RNAは、例えば、安定性の増加、自然免疫原性の低下または不在、および翻訳の増強を含む、非修飾RNAに対して特定の利点を有する。
【0119】
l)環状および線状ベクター
1つ以上のベクターは、細胞ゲノムへの統合によって標的細胞を形質転換するか、または染色体外に存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)であり得る。ベクターは、pVAX1、pMV101、pcDNA3.0、もしくはprovax、または組換えヌクレオチド配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0120】
エレクトロポレーションを介して対象に効率的に送達され、かつ組換えヌクレオチド配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができる、線状核酸、または線状発現カセット(「LEC」)もまた本明細書で提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の線状DNAであり得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の遺伝子発現に関連していない他のヌクレオチド配列を含有しなくてもよい。
【0121】
LECは、線状化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、組換えヌクレオチド配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができてもよい。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pMV101、pcDNA3.0、もしくはprovax、または組換えヌクレオチド配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0122】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0123】
m)ウイルスベクター
一実施形態では、本発明の核酸を細胞に送達することができるウイルスベクターが本明細書で提供される。発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(2001)、およびAusubelら(1997)、ならびに他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載される。ベクターとして有用であるウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。概して、好適なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択可能なマーカーを含有する。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、および米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えばブタ細胞に挿入するための最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号を参照されたい。
【0124】
n)ベクターを調製する方法
組換えヌクレオチド配列構築物が配置されている1つ以上のベクターを調製するための方法が本明細書で提供される。最終サブクローニングステップ後、ベクターは、当該技術分野で既知の方法を使用して、大規模発酵タンクにおける細胞培養物を接種するために使用され得る
【0125】
他の実施形態では、最終サブクローニングステップ後、ベクターは、1つ以上のエレクトロポレーション(EP)デバイスで使用され得る。EPデバイスは、以下でより詳細に記載される。
【0126】
1つ以上のベクターは、既知のデバイスおよび技法の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは、2007年5月23日に出願された、許諾され同時係属中の米国仮特許出願第60/939,792号に記載されるプラスミド製造技法を使用して製造される。いくつかの例では、本明細書に記載されるDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。当該製造技術はまた、2007年7月3日に発行された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国出願第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般に知られている様々なデバイスおよびプロトコルを含むか、または組み込む。上記の出願および特許、それぞれ米国出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0127】
2.ワクチンおよび免疫原性組成物
最適化合成配列、最適化合成コード抗原、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの組み合わせを含む、ワクチンなどの免疫原性組成物が提供される。免疫原性組成物は、ASFV抗原に対する免疫原性組成物が投与された対象の免疫応答を著しく誘導することができる。ワクチンは、複数の核酸分子、またはそれらの組み合わせを含み得る。ワクチンは、治療的または予防的免疫応答を誘導するために提供され得る。
【0128】
免疫原性組成物は、DNAワクチン、RNAワクチン、ペプチドワクチン、または混合ワクチンであり得る。ワクチンは、抗原をコードする最適化合成ヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。ヌクレオチド配列はまた、ペプチド結合によって抗原に連結しているリンカー、リーダー、またはタグ配列をコードする追加の配列を含み得る。ペプチドワクチンとしては、抗原、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。混合DNAおよびペプチドワクチンは、上記の最適化合成ヌクレオチド配列およびコードされた抗原を含み得る。
【0129】
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号において開示され、これらは、参照によって完全に本明細書に組み込まれる。DNAワクチンは、染色体に統合するのを阻害する要素または試薬をさらに含み得る。
【0130】
ワクチンは、1つ以上のASFV抗原のRNAであり得る。RNAワクチンは、細胞に導入することができる。
【0131】
ワクチンは、弱毒性生ワクチン、抗原を送達するために組換えベクターを使用するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチン、例えば、これらに限定されないが、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号および同第6,589,529号に記載されているワクチンであり得、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気または死を引き起こさないように安全であること、病気から保護的であること、保護T細胞応答を誘導すること、ならびに投与しやすさ、副作用の少なさ、生物学的安定性、および1用量当たりのコストの低さを提供することなどの、有効なワクチンに必要な特徴を有することができる。
【0133】
本明細書では、哺乳動物においてASFVに対する免疫応答を生成することができる免疫原性組成物が提供される。免疫原性組成物は、上記で議論される各プラスミドを含み得る。免疫原性組成物は、複数のプラスミド、またはそれらの組み合わせを含み得る。免疫原性組成物は、治療的または予防的免疫応答を誘導するために提供され得る。
【0134】
免疫原性組成物は、1つ以上の合成ASFV抗原をコードする核酸分子を送達するために使用され得る。免疫原性組成物は、好ましくは、プラスミドを含む組成物である。
【0135】
本発明の別の態様は、哺乳動物において1つ以上のASFVウイルスに対する免疫応答を生成することができる免疫原性組成物を提供する。免疫原性組成物は、哺乳動物において少なくとも1つの合成ウイルス抗原を発現することができる1つ以上の核酸分子からなる。
【0136】
一実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1つの合成ASFV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。合成ウイルス抗原は、合成p32、p54、p12、p72、CD2、または前述の抗原の1つ以上の融合物であり得る。
【0137】
各抗原は、ウイルス感染症と関連し得る。一実施形態では、各抗原は、ASFVウイルス感染症に関連し得る。
【0138】
抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、多糖類、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。多糖類は、核酸コード多糖類であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、複数の固有の核酸分子を含み、複数の固有の核酸分子は、合成p32および合成p54免疫原の各々をコードする。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、複数の固有の核酸分子を含み、複数の固有の核酸分子は、合成CD2免疫原、合成p32、および合成p54免疫原の各々をコードする。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、複数の固有の核酸分子を含み、複数の固有の核酸分子は、合成p12免疫原、合成p32、および合成p54免疫原の各々をコードする。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、複数の固有の核酸分子を含み、複数の固有の核酸分子は、合成CD2免疫原、合成p32免疫原、合成p54免疫原、および合成p72免疫原の各々をコードする。
【0140】
本発明の免疫原性組成物に含まれ得る例示的な配列は、以下から選択され得る。
【表1】
【0141】
一実施形態では、核酸分子は、最適化核酸配列を含む。最適化配列は、改善した発現のための合成配列および/または修飾を含み得る。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、増加した翻訳開始のためのKozak配列の付加、および/または免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の付加を含むことができる。最適化配列によってコードされるASFV抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、最適化合成配列によってコードされる抗原は、ヘマグルチニン(HA)タグを含み得る。最適化配列によってコードされるASFV抗原は、対応する天然抗原よりも強い細胞性および/または体液性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0142】
免疫原性組成物は、組成物が投与された対象において免疫応答を誘導し得る。誘導された免疫応答は、少なくとも1つのASFV抗原に特異的であり得る。誘導された免疫応答は、投与された最適化合成コード抗原に関連した少なくとも1つのASFV抗原と反応性であり得る。様々な実施形態では、関連抗原は、最適化合成コード抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するアミノ酸配列を有する抗原を含む。様々な実施形態では、関連抗原は、本明細書で開示される最適化合成ヌクレオチド配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するヌクレオチド配列によってコードされる抗原を含む。
【0143】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物が投与された対象において体液性免疫応答を誘導し得る。誘導された体液性免疫応答は、少なくとも1つのASFV抗原に特異的であり得る。誘導された体液性免疫応答は、投与された最適化合成コード抗原に関連した少なくとも1つのASFV抗原と反応性であり得る。体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与された対象において約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍誘導され得る。体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与された対象において、本発明の免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍誘導され得る。
【0144】
免疫原性組成物によって誘導された体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して免疫原性組成物が投与された対象に関連したIgG抗体の増加したレベルを含み得る。これらのIgG抗体は、投与された最適化合成コード抗原に遺伝的に関連した少なくとも1つのASFV抗原に特異的であり得る。これらのIgG抗体は、投与された最適化合成コード抗原に遺伝的に関連した少なくとも1つのASFV抗原と反応性であり得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍増加し得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍増加し得る。
【0145】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物が投与された対象において細胞性免疫応答を誘導し得る。誘導された細胞性免疫応答は、投与された最適化合成コード抗原に遺伝的に関連した少なくとも1つのASFV抗原に特異的であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、投与された最適化合成コード抗原に遺伝的に関連した少なくとも1つのASFV抗原と反応性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を誘発することを含み得る。誘発されたCD8+T細胞応答は、投与された最適化合成コード抗原に遺伝的に関連した少なくとも1つのASFV抗原と反応性であり得る。誘発されたCD8+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を誘発することを含み得、CD8+T細胞は、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン2(IL-2)、またはIFN-γおよびTNF-αの組み合わせを産生する。
【0146】
誘導された細胞性免疫応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して免疫原性組成物が投与された対象に関連した増加したCD8+T細胞応答を含み得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したCD8+T細胞応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、または約4倍~約20倍増加し得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD8+T細胞応答は、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約16.0倍、少なくとも約17.0倍、少なくとも約18.0倍、少なくとも約19.0倍、少なくとも約20.0倍、少なくとも約21.0倍、少なくとも約22.0倍、少なくとも約23.0倍、少なくとも約24.0倍、少なくとも約25.0倍、少なくとも約26.0倍、少なくとも約27.0倍、少なくとも約28.0倍、少なくとも約29.0倍、または少なくとも約30.0倍増加し得る。
【0147】
誘導された細胞性免疫応答は、天然抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγ/T-betトリプル陽性CD8T細胞の増加した頻度を含み得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したCD107a/IFNγ/T-betトリプル陽性CD8T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加し得る。
【0148】
誘導された細胞性免疫応答は、天然抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγダブル陽性CD8T細胞の増加した頻度を含み得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したCD107a/IFNγダブル陽性CD8T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、または14倍増加し得る。
【0149】
免疫原性組成物によって誘導された細胞性免疫応答は、CD4+T細胞応答を誘発することを含み得る。誘発されたCD4+T細胞応答は、最適化合成抗原に遺伝的に関連した天然抗原と反応性であり得る。誘発されたCD4+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD4+T細胞応答を誘発することを含み得、CD4+T細胞は、IFN-γ、TNF-α、IL-2、またはIFN-γおよびTNF-αの組み合わせを産生する。
【0150】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γを産生するCD4+T細胞の増加した頻度を含み得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したCD4+IFN-γ+T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加し得る。
【0151】
誘導された細胞性免疫応答は、TNF-αを産生するCD4+T細胞の増加した頻度を含み得る。免疫原性組成物が投与された対象に関連したCD4+TNF-α+T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、または22倍増増加し得る。
【0152】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γおよびTNF-αの両方を産生するCD4+T細胞の増加した頻度を含み得る。免疫原性組成物を投与した対象に関連するCD4+IFN-γ+TNF-α+の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、13.5倍、14.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20.0倍、21倍、22倍、23倍 24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、または35倍増加し得る。
【0153】
組成物の他の構成要素
いくつかの実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの機能性分子を含むことができ、これらは既知であり、一般に容易に入手可能である。好ましくは、薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントまたはトランスフェクション促進剤である。いくつかの実施形態では、核酸分子、またはDNAプラスミドは、ポリヌクレオチド機能エンハンサーまたは遺伝子ワクチン促進剤(またはトランスフェクション促進剤)の投与とともに細胞に送達される。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国出願第5,593,972号、同第5,962,428号、および1994年1月26日に出願された国際出願第PCT/US94/00899号に記載されており、これらは各々、参照によって本明細書に組み込まれる。遺伝子ワクチン促進剤は、1994年4月1日に出願され米国出願第021,579号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。トランスフェクション促進剤は、核酸分子との混合物として核酸分子とともに投与され得るか、あるいは核酸分子の投与の前または後に別々に同時に投与され得る。トランスフェクション促進剤の例には、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞が挙げられ、ヒアルロン酸も使用して、遺伝子構築物とともに投与され得る。いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンはまた、脂質、レシチンリポソームまたはDNA-リポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)として当該技術分野で既知の他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤などの少なくとも1つのトランスフェクション促進剤を含み得る。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、アジュバントは、アルファインターフェロン、ガンマインターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が削除され、任意選択でIgEからのシグナルペプチドを含むIL-15を含むCD86からなる群から選択される。有用なアジュバントであり得る他の遺伝子には、以下をコードするものが含まれる:MCP-1、MIP-lアルファ、MIP-1p、IL-8、RANTES、Lセレクチン、Pセレクチン、Eセレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、非活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびそれらの機能的断片。いくつかの好ましい実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、CTACK、TECK、またはMECから選択される。
【0155】
本発明による免疫原性組成物は、使用される投与様式に従って製剤化される。DNAプラスミドワクチンが注射可能な組成物である場合、それらは無菌、および/またはパイロジェンフリー、および/または粒子フリーである。等張製剤が好ましく使用される。概して、等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。いくつかの場合では、リン酸緩衝生理食塩水などの等張液が好ましい。安定剤には、ゼラチンおよびアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。いくつかの実施形態では、LGSまたは他のポリカチオンもしくはポリアニオンなど、製剤が室温または周囲温度で長時間にわたって安定であることを可能にする安定化剤が、製剤に添加される。
【0156】
組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能的分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これは、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。
【0157】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、組成物中に6mg/ml未満の濃度で存在し得る。トランスフェクション促進剤はまた、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞を含み得、ヒアルロン酸も使用して、組成物とともに投与され得る。組成物はまた、脂質、レシチンリポソームまたはDNA-リポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)として当該技術分野で既知の他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤などのトランスフェクション促進剤を含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0158】
組成物は、1994年4月1日に出願された米国出願第021,579号に記載される遺伝子促進剤をさらに含み得、それは参照により完全に組み込まれる。
【0159】
組成物は、核酸を約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約10ナノグラム~約800マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約0.1~約500マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約1~約350マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの核酸を含有し得る。
【0160】
組成物は、使用される投与の様式に従って製剤化され得る。注射可能な薬学的組成物は、滅菌、パイロジェンフリー、および粒子フリーであり得る。等張性製剤または溶液が使用され得る。等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。組成物は、血管収縮剤を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含み得る。組成物は、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定化剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定化剤は、製剤が室温または周囲温度で長時間にわたって安定であることを可能にし得る。
【0161】
組成物の送達方法
本発明の別の態様は、哺乳動物における1つ以上のASFVウイルスに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、免疫原性組成物を哺乳動物の組織に送達することを含み、免疫原性組成物は、哺乳動物の細胞において1つ以上のASFVウイルスの合成抗原を発現して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる少なくとも1つの核酸分子を含む。
【0162】
本発明はまた、組成物の送達を必要とする対象に組成物を送達する方法に関する。送達方法は、組成物を対象に投与することを含み得る。投与は、インビボエレクトロポレーションを伴う、および伴わないDNA注入、リポソーム媒介送達、ならびにナノ粒子促進送達を含み得るが、これらに限定されない。
【0163】
組成物の送達を受ける哺乳動物は、家畜化されたブタ、イノシシ、野生のブタ、イボイノシシ、カワイノシシ、およびモリイノシシを含む、ブタファミリーのメンバーであり得る。
【0164】
組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入を介した、頬内投与を介した、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内髄腔内、および関節内、またはそれらの組み合わせを含む、異なる経路によって投与され得る。獣医学的使用のために、組成物は、通常の獣医学的診療に従って、好適に許容される製剤として投与され得る。獣医師は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。組成物は、従来のシリンジ、無針注射デバイス、「微粒子銃ゴーン銃(microprojectile bombardment gone guns)」、またはエレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学的方法」、もしくは超音波などの他の物理的方法によって投与され得る。
【0165】
エレクトロポレーション
エレクトロポレーションを介した組成物の投与は、可逆的な孔を細胞膜内に形成させるのに有効なエネルギーパルスを、哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得るエレクトロポレーションデバイスを使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーパルスは、使用者による予め設定された電流入力と同様の定電流である。エレクトロポレーションデバイスは、エレクトロポレーション構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。エレクトロポレーション構成要素は、制御器、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力要素、状態報告要素、通信ポート、メモリ構成要素、電源、および電源スイッチを含む、エレクトロポレーションデバイスの様々な要素のうちの1つ以上を含み、組み込み得る。エレクトロポレーションは、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にできる、インビボエレクトロポレーションデバイス、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals、Plymouth Meeting,PA)またはElgenエレクトロポレータ(Inovio Pharmaceuticals、Plymouth Meeting,PA)を使用して達成され得る。
【0166】
エレクトロポレーション構成要素は、エレクトロポレーションデバイスの1つの要素として機能し得、他の要素は、エレクトロポレーション構成要素と通信する別個の要素(または構成要素)である。エレクトロポレーション構成要素は、エレクトロポレーションデバイスの2つ以上の要素として機能し得、エレクトロポレーション構成要素とは別個のエレクトロポレーションデバイスのさらに他の要素と通信し得る。1つの電気機械または機械デバイスの一部分として存在するエレクトロポレーションデバイスの要素は、要素が1つのデバイスとして機能することができるか、または互いに通信する別個の要素として機能することができるように、限定されない。エレクトロポレーション構成要素は、所望の組織内に定電流を産生するエネルギーパルスを送達することが可能であり得、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的に配置された複数の電極を有する電極アレイを含んでよく、電極アセンブリは、エレクトロポレーション構成要素からエネルギーパルスを受信し、電極を通じて所望の組織にそれを送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中に中性であり、所望の組織中のインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをエレクトロポレーション構成要素に通信する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受信し得、エレクトロポレーション構成要素によって送達されるエネルギーパルスを調節して、定電流を維持することができる。
【0167】
複数の電極は、分散パターンでエネルギーのパルスを送達し得る。複数の電極は、プログラムされたシーケンス下で電極の制御を通じて分散パターンのエネルギーパルスを送達し得、プログラムされたシーケンスは、使用者によってエレクトロポレーション構成要素に入力される。プログラムされたシーケンスは、シーケンス中に送達される複数のパルスを含んでもよく、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスのその後のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極のうちの異なる1つによって送達される。
【0168】
フィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実施され得る。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実施され得る。フィードバックは、50μs、20μs、10μs、または1μsごとに生じるが、好ましくは、リアルタイムフィードバックまたは即時(すなわち、応答時間を決定するための利用可能な技法によって決定されるように実質的に即時)である。中性電極は、所望の組織内のインピーダンスを測定し、フィードバック機構にインピーダンスを通信し得、フィードバック機構は、インピーダンスに応答し、定電流を予め設定された電流と同様の値に維持するためにエネルギーパルスを調節する。フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達中に連続的かつ即時的に定電流を維持し得る。
【0169】
本発明の組成物の送達を促進し得るエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション方法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されるものを含み、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。組成物の送達を促進するために使用され得る他のエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション方法は、米国特許法第119条(e)下で、2006年10月17年に出願された、米国仮特許出願第60/852,149号、および2007年10月10日に出願された、同第60/978,982号の利益を主張する、2007年10月17日に出願された、共同係属中、共同所有される米国特許出願第11/874072号において提供されるものを含み、これらのすべては、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0170】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、モジュラ電極システム、および生体または植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのそれらの使用について記載している。モジュラ電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針電極までの導電連結を提供する電気コネクタ、および電源を含み得る。オペレーターは、支持構造に取り付けられた複数の針電極をつかみ、それらを生体または植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次いで、生体分子は皮下注射針を介して選択された組織に送達される。プログラム可能な定電流パルス制御器が作動し、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0171】
Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号は、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生物分子の導入を効果的に促進するために使用され得るエレクトロポレーションデバイスを記載している。エレクトロポレーションデバイスは、その操作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される電気運動デバイス(「EKDデバイス」)を含む。EKDデバイスは、使用者による制御およびパルスパラメータの入力に基づいてアレイ内の電極間の一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを産生し、電流波形データの保存および取得を可能にする。エレクトロポレーションデバイスはまた、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および取り外し可能なガイドディスクを含む。米国特許公開第2005/0052630号の全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または器官への深部浸透のために適合され得る。電極アレイの構成のために、(選択の生体分子を送達するための)注射針はまた、標的器官に完全に挿入され、注射は、電極によって予め画定される区域において、標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは、20mm長および21ゲージである。
【0173】
さらに、エレクトロポレーションデバイスおよびその使用を組み込むいくつかの実施形態で企図されるものには、以下の特許に記載されるものであるエレクトロポレーションデバイスがある。1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号。さらに、様々なデバイスのいずれかを使用したDNAの送達に関する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAの注入方法が書かれた2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題をカバーする特許が、本明細書で企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0174】
治療方法
対象におけるウイルス抗原に対する免疫応答を誘導することによって、疾患を治療、保護、および/または予防することを必要とする対象においてそれらを行う方法もまた本明細書に提供される。特定の実施形態では、本発明は、対象におけるASFVウイルス感染症またはASFV関連病態のうちの少なくとも1つを治療、保護、および/または予防する方法を提供する。一実施形態では、ASFV関連病態は、致死性の出血熱である。
【0175】
本方法は、本発明の免疫原性組成物を対象に投与することを含み得る。対象への組成物の投与は、上に記載される送達方法を使用して行われ得る。
【0176】
組成物用量は、1μg~10mgの活性構成要素/kg体重/回であり得、20μg~10mgの構成要素/kg体重/回であり得る。組成物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のための組成物用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回であり得る。
【0177】
併用ワクチン
本発明はまた、2つ以上の核酸分子または免疫原性組成物の組み合わせを投与することによって、疾患を治療、保護、および/または予防することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、2つ以上の核酸分子または免疫原性組成物の各々が最適化合成ウイルス抗原をコードする。
【0178】
2つ以上の核酸分子または免疫原性組成物は、2つ以上の核酸分子または免疫原性組成物の組み合わせが両方とも対象に存在するように、任意の好適な方法を使用して投与され得る。一実施形態では、本方法は、上に詳細に記載される方法のうちのいずれかによる本発明の第1の核酸分子または免疫原性組成物の投与と、本発明の第1の核酸分子または免疫原性組成物の投与後1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または10日未満の第2の核酸分子または免疫原性組成物の投与とを含み得る。一実施形態では、本方法は、同じ対象上の異なる部位に少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または6個超の核酸分子または免疫原性組成物を同時に投与することを含み得る。一実施形態では、方法は、第1の核酸分子または免疫原性組成物の投与の1日超後、2日超後、3日超後、4日超後、5日超後、6日超後、7日超後、8日超後、9日超後、または10日超後での、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または6個超の核酸分子または免疫原性組成物の投与を含み得る。一実施形態では、方法は、第1の核酸分子または免疫原性組成物の投与後1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または10日未満での、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または6個超の核酸分子または免疫原性組成物の投与を含み得る。
【実施例
【0179】
本発明は、以下の実施例においてさらに示される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示としてのみ与えられていることを理解されるべきである。上記議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適合するように本発明の様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲内に該当することが意図される。
【0180】
好ましくは、本明細書に記載の筋肉または皮膚EPデバイスで使用するためのDNA製剤は、高DNA濃度、好ましくは、皮膚への送達に最適な少容量、好ましくは、少ない注射容量、理想的には25~200マイクロリットル(μL)中に、マイクログラム~数十ミリグラム量、好ましくはミリグラム量のDNAを含む濃度を有する。いくつかの実施形態では、DNA製剤は、1mg/mL以上(mg DNA/製剤の容量)などの高いDNA濃度を有する。より好ましくは、DNA製剤は、200μLの製剤中でグラム量のDNA、より好ましくは100μLの製剤中でグラム量のDNAを提供するDNA濃度を有する。
【0181】
本発明のEPデバイスで使用するためのDNAプラスミドは、既知のデバイスおよび技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは、2009年1月1日に米国公開第2009/0004716号として公開された米国出願第12/126611号に記載されている最適化プラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究で使用されるDNAプラスミドを、10mg/mL以上の濃度で製剤化することができる。製造技術はまた、米国公開第2009/004716号に記載されるもの、および2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号に記載されるものに加えて、当業者に一般に知られている様々なデバイスおよびプロトコルを含むか、または組み込む。本明細書に記載の皮膚EPデバイスおよび送達技法で使用される高濃度のプラスミドは、適度に少容量でプラスミドをID/SC空間に投与することを可能にし、発現および免疫付与効果の増強を助ける。出願公開、米国公開第2009/0004716号および米国特許第7,238,522号は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0182】
実施例1:アフリカ豚熱ウイルスに対する新規の合成DNAワクチンに対する免疫応答の構築および特徴付け
保護の生成に関与していると報告されている抗原をカバーする研究のために、のための4つのカセットが開発された。目標は強力なT細胞免疫を促進することである。標的は、p32、p54、CD2およびp12であった。ユビキチン標的化配列との比較が含まれた。改良された合成IgEリーダー配列は、発現の増加および免疫標的化の両方のために含まれた。すべての構築物を、細胞におけるインビトロでの発現について研究した:提供される実施例。特定の抗血清を続く抗原発現のためにパイロット免疫付与研究で生成した。
【0183】
本明細書に表されるデータは、ASFVに対する合成増強ワクチン(SEV)が、インビボでの投与が容易であり、免疫原性であることを実証している。いくつかのASFV抗原をコードするワクチンは、免疫原性であり、すべての免疫付与された動物において血清変換を駆動し、ワクチンの一貫性を示した。ASFV-p32、p54およびCD2での免疫付与は、強力な細胞性および体液性応答の誘導をもたらした。最も強力なT細胞応答は、CD2抗原に対して観察された。結果は、構築物3(ASFV-ユビキチン+CD2-p32+p54)によって誘導された優れたT細胞応答と組み合わせて、優れた、または同等の血清学的応答があったことをさらに示す。
【0184】
材料および方法を使用し、結果をここで説明する。
【0185】
プラスミドワクチン構築
構築物は、使用のために設計され、最適化された。最適化リーダー配列が含まれた(図1)。
【0186】
動物およびワクチン接種
Balb/Cマウスを0日目にプライムで免疫付与し、21日目、および28日目にブーストした。3回目の免疫付与の1週間後に分析を実施した(図2)。インビボでのプラスミドワクチンの取り込みの増強を駆動するインビボ適合エレクトロポレーション(促進送達)を使用して、免疫付与を施した。ASFV抗原を発現する標的細胞に対する免疫分析のために血清を収集した(図3図5)。
【0187】
血清学
示されたワクチン群、およびASFV-p32に対する直鎖状エピトープ(ASFV-p32配列全体にわたって11個のアミノ酸が重複する15merペプチドを1つのプールに混合した)に特異的な結合IgGレベルとして免疫付与されたマウスから血清を単離し、ペプチドELISAによって評価した。示されるデータは、25μgのASFV合成ワクチン群で免疫付与された群2および群4の8匹のマウスならびに群1および群3の10匹のマウスからの平均である(図7図10)。
【0188】
細胞応答
マウスの群(n数5/群)を3回、各2週間離して25μgのワクチンで免疫付与した。3回目の免疫付与の1週間後に試料を採取した。標的特異的CD8”Tリンパ球応答を、IFN-γELISpotアッセイによって、指示されたタンパク質をカバーするペプチドプールに対して評価した。3回目の免疫付与の1週間後に各群で平均応答を測定した(図11)。エラーバーは標準エラーを示す。p32抗原に対する応答は、4つの設計にわたって同様であり、設計2がわずかに好ましい。p54に対する応答は、設計3がわずかに好ましくデザイン全体で比較的同様であった。群2および群3のみがCD2への応答を駆動し、これらは最も高い応答者であった。群4のみがp12に対する低いT細胞応答を発現した。
【0189】
細胞内サイトカイン染色アッセイ
マウスに、CD2-p32+p54(図12)またはUbi+CD2-p32+p54(図13)をコードするDNAを注射し、細胞内サイトカイン染色(ICS)を決定した。両方の構築物について、全体として平均して、CD4+/CD8+T細胞の大部分は、評価された3つのサイトカイン(IFN-g、IL-2、およびTNF-a)すべてを産生した(図12および図13)。さらに、両方の構築物は、多官能性を実証している。
【0190】
前述の詳細な説明および付随する例は、単に例示であり、本発明の範囲に対する限定として解釈されるものではなく、これは、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によってのみ定義されることが理解される。
【0191】
開示される実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含むが、これらに限定されないかかる変更および修正は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2023510112000001.app
【国際調査報告】