(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】抗Muc1組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230306BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230306BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230306BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230306BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230306BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230306BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230306BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230306BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230306BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230306BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230306BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230306BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20230306BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230306BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230306BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230306BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230306BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230306BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/30 ZNA
C07K16/46
C07K14/705
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/078
C12N5/0783
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P35/04
A61K39/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537751
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020066121
(87)【国際公開番号】W WO2021127505
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519331338
【氏名又は名称】ポセイダ セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム.オスタータグ
(72)【発明者】
【氏名】デボン シェドロック
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB36
4C085BB41
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
MUC1に対する抗体、MUC1-CAR組成物、及びMUC1タンパク質を標的とするためのこれらの抗体及び組成物の使用方法が開示され、ここで、MUC1タンパク質を発現する細胞は、例えば、細胞傷害性T細胞によって標的化され、死滅され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列:
【化1】
[配列番号1のX1はV又はIであり、
配列番号1のX2はR又はKであり、
配列番号1のX3はA又はRであり、
配列番号1のX4はG又はAであり、
配列番号1のX5はV又はAであり、
配列番号1のX6はT又はSであり、及び
配列番号1のX7はD又はAである]
を含む重鎖可変領域;ならびに
アミノ酸配列:
【化2】
[配列番号2のX1はT又はSであり、
配列番号2のX2はL又はVであり、及び
配列番号2のX3はT又はDである]
含む軽鎖可変領域
を含む抗体。
【請求項2】
抗体がモノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、VHH、VH、scFv、Fab又はFab断片である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
抗体がヒト化される、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
抗体がIgGである、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
抗体がヒトMUC1-Cに結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
重鎖可変領域が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
軽鎖可変領域が、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
アミノ酸配列:
【化3】
[配列番号1のX1はV又はIであり、
配列番号1のX2はR又はKであり、
配列番号1のX3はA又はRであり、
配列番号1のX4はG又はAであり、
配列番号1のX5はV又はAであり、
配列番号1のX6はT又はSであり、及び
配列番号1のX7はD又はAである]
を含む重鎖可変領域;ならびに
アミノ酸配列:
【化4】
[配列番号2のX1はT又はSであり、
配列番号2のX2はL又はVであり、及び
配列番号2のX3はT又はDである]
を含む軽鎖可変領域
を含む一本鎖可変断片(scFv)。
【請求項9】
重鎖可変領域が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のscFv。
【請求項10】
軽鎖可変領域が、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のscFv。
【請求項11】
scFvが、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にリンカーを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のscFv。
【請求項12】
リンカーが配列番号59のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のscFv。
【請求項13】
scFvが、配列番号124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140又は141のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のscFv。
【請求項14】
ScFvが配列番号125のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のScFv。
【請求項15】
請求項1に記載の抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項16】
請求項8に記載のscFvを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項17】
(a)抗原認識領域が少なくとも1つの抗MUC1一本鎖可変断片(scFv)を含む、抗原認識領域を含むエクトドメインエクトドメイン;
(b)膜貫通ドメイン、及び
(c)少なくとも1つの共刺激ドメインを含むエンドドメイン
を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、
ここで、scFvは、アミノ酸配列:
【化5】
[配列番号1のX1はV又はIであり、
配列番号1のX2はR又はKであり、
配列番号1のX3はA又はRであり、
配列番号1のX4はG又はAであり、
配列番号1のX5はV又はAであり、
配列番号1のX6はT又はSであり、及び
配列番号1のX7はD又はAである]
を含む重鎖可変領域;ならびに
アミノ酸配列:
【化6】
[配列番号2のX1はT又はSであり
配列番号2のX2はL又はVであり、及び
配列番号2のX3はT又はDである]
を含む軽鎖可変領域
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項18】
重鎖可変領域が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項19】
軽鎖可変領域が、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項20】
重鎖可変領域が配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項21】
重鎖可変領域が配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項22】
重鎖可変領域が配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項23】
重鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項24】
重鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項25】
重鎖可変領域が配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項26】
重鎖可変領域が配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項27】
重鎖可変領域が配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項28】
重鎖可変領域が配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項29】
重鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項30】
重鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項31】
重鎖可変領域が配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項32】
重鎖可変領域が配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項33】
重鎖可変領域が配列番号4のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項34】
重鎖可変領域が配列番号5のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項35】
重鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項36】
重鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項37】
重鎖可変領域が配列番号8のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項38】
scFvが、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にリンカーを含む、請求項17~37のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項39】
リンカーが配列番号59のアミノ酸配列を含む、請求項38に記載のCAR。
【請求項40】
scFvが、配列番号124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140又は141のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項41】
scFvが配列番号125のアミノ酸配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項42】
エクトドメインがシグナルペプチドをさらに含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項43】
シグナルペプチドが配列番号57のアミノ酸配列を含む、請求項42に記載のCAR。
【請求項44】
CARが、抗原認識領域と膜貫通ドメインの間にヒンジ領域をさらに含む、請求項17~43のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項45】
ヒンジ領域が配列番号61のアミノ酸配列を含む、請求項44に記載のCAR。
【請求項46】
膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインをコードする配列を含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項47】
CD8膜貫通ドメインが配列番号63のアミノ酸配列を含む、請求項46に記載のCAR。
【請求項48】
少なくとも1つの共刺激ドメインが、CD3ζ共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載のCAR。
【請求項49】
少なくとも1つの共刺激ドメインが、CD3ζ共刺激ドメイン及び4-1BB共刺激ドメインを含み、4-1BB共刺激ドメインが、膜貫通ドメインとCD3ζ共刺激ドメインの間に位置する、請求項17に記載のCAR。
【請求項50】
4-1BB共刺激ドメインが配列番号65のアミノ酸配列を含む、請求項49に記載のCAR。
【請求項51】
CD3ζ共刺激ドメインが配列番号67のアミノ酸配列を含む、請求項49に記載のCAR。
【請求項52】
scFvが、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にリンカーを含み、
エクトドメインが、シグナルペプチドを含み、
CARがさらに、抗原認識領域と膜貫通ドメインの間にヒンジ領域を含み、
膜貫通ドメインが、CD8膜貫通ドメインを含む配列を含み、
少なくとも1つの共刺激ドメインが、CD3ζ共刺激ドメイン及び4-1BB共刺激ドメインを含み、4-1BB共刺激ドメインが、膜貫通ドメインとCD3ζ共刺激ドメインの間に位置する、請求項17に記載のCAR。
【請求項53】
scFvが配列番号125のアミノ酸配列を含み、
シグナルペプチドが配列番号57を含み、
ヒンジ領域が配列番号61を含み、
CD8膜貫通ドメインが配列番号63を含み、
4-1BB共刺激ドメインが配列番号65を含み;及び
CD3ζ共刺激ドメインが配列番号67を含む、請求項52に記載のCAR。
【請求項54】
CARが、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含む、請求項52に記載のCAR。
【請求項55】
CARが配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項52に記載のCAR。
【請求項56】
CARのアミノ酸配列が、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、又は配列番号167の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる、請求項52に記載のCAR。
【請求項57】
CARのアミノ酸配列が、配列番号167の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる、請求項56に記載のCAR。
【請求項58】
請求項1に記載の抗体をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項59】
請求項8に記載のscFvをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項60】
請求項17に記載のCAR又は請求項52に記載のCARをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項61】
請求項17に記載のCAR又は請求項52に記載のCARをコードする核酸を含むトランスポゾン。
【請求項62】
核酸配列が、配列番号13のアミノ酸配列を含むCARを含む、請求項61に記載のトランスポゾン。
【請求項63】
前記トランスポゾンが、誘導性カスパーゼポリペプチドをコードする核酸、キメラ刺激受容体をコードする核酸、選択遺伝子をコードする核酸、治療剤をコードする核酸、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項61に記載のトランスポゾン。
【請求項64】
選択遺伝子がDHFR耐性遺伝子を含む、請求項63に記載のトランスポゾン。
【請求項65】
トランスポゾンがpiggyBacトランスポゾンである、請求項61に記載のトランスポゾン。
【請求項66】
トランスポゾンが配列番号172の核酸配列を含む、請求項61に記載のトランスポゾン。
【請求項67】
請求項60に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項68】
請求項61に記載のトランスポゾンを含むベクター。
【請求項69】
請求項1に記載の抗体を含む細胞。
【請求項70】
請求項8に記載のscFvを含む細胞。
【請求項71】
請求項17に記載のCARを含む細胞。
【請求項72】
請求項61に記載のトランスポゾンを含む細胞。
【請求項73】
複数の細胞集団が、請求項17に記載のCARを発現するように修飾される細胞集団。
【請求項74】
複数の修飾された細胞が複数の修飾された免疫細胞である、請求項73に記載の細胞集団。
【請求項75】
複数の修飾された細胞が複数の修飾されたT細胞である、請求項73に記載の細胞集団。
【請求項76】
複数の細胞集団が、請求項17に記載のCARを発現する、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の細胞を含む、請求項73に記載の細胞集団。
【請求項77】
CARが配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項76に記載の細胞集団。
【請求項78】
少なくとも50%の複数の修飾されたT細胞が、CD45RA及びCD62Lを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現し、CD45ROを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しない、請求項75に記載の細胞集団。
【請求項79】
請求項1に記載の抗体を含む組成物。
【請求項80】
細胞傷害性物質にコンジュゲートされた請求項1に記載の抗体を含む組成物。
【請求項81】
請求項8に記載のscFvを含む組成物。
【請求項82】
請求項17に記載のCARを含む組成物。
【請求項83】
請求項71に記載の細胞を含む組成物。
【請求項84】
請求項73に記載の細胞集団を含む組成物。
【請求項85】
請求項79~84のいずれか1項に記載の組成物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項86】
それを必要とする対象においてがんを治療する方法であって、請求項79~84のいずれか1項に記載の組成物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項87】
請求項85に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、それを必要とする対象におけるがんを治療する方法。
【請求項88】
がんがMUC1陽性がんである、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
がんがMUC1-C陽性がんである、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
がんが、原発性腫瘍、転移性がん、多剤耐性がん、進行性腫瘍又は再発性がんである、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
がんが固形腫瘍である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
がんが、肺がん、脳がん、頭頸部がん、乳がん、皮膚がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、皮膚がん又は食道がんである、請求項86に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年12月20日に出願された米国仮出願大62/951,257号の優先権及び利益を主張し、本出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、分子生物学に向けられ、より具体的には、高い親和性及び結合活性を有する標的タンパク質に特異的に結合する抗体及びキメラ抗原受容体に向けられる。
【0003】
参照による配列表の組み込み
2020年12月15日に作成され、サイズが412KBである「POTH-040 001WO SequenceListing ST25」というファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
高い親和性及び結合活性を有する特定の標的タンパク質を認識し、それに結合することができる物質の発見は、バイオ医薬品産業の焦点であった。入手可能な選択肢よりも小さく、より溶解性が高く、より安定である、より効果的な薬剤が依然として必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む単離された抗体を提供する。
【0006】
【0007】
ここで、配列番号1のX1は、V又はIであり、配列番号1のX2は、R又はKであり、配列番号1のX3は、A又はRであり、配列番号1のX4は、G又はAであり、配列番号1のX5は、V又はAであり、配列番号1のX6は、T又はSであり、配列番号1のX7は、D又はAであり;軽鎖可変領域は、以下のアミノ酸配列を含む。
【0008】
【0009】
ここで、配列番号2のX1は、T又はSであり、配列番号2のX2は、L又はVであり、配列番号2のX3は、T又はDである。
【0010】
単離された抗体をヒト化することができる。単離された抗体は、IgGであり得る。単離された抗体は、ヒトMUC1-Cに結合することができ、単離された抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、VHH、VH、単鎖可変断片(scFv)、Fab又はFab断片であり得る。好ましくは、単離された抗体はscFvである。
【0011】
重鎖可変領域は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号8のアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のアミノ酸配列を含む。
【0012】
scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカーを含むことができる。一態様では、リンカーは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0013】
scFvは、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140又は配列番号141を含むことができる。一態様において、scFvは、配列番号125のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本開示はまた、本明細書中に開示された抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。好ましくは、CARは、本明細書に開示されるscFvを含む。CARは、(a)抗原認識領域を含むエクトドメインであって、抗原認識領域が、少なくとも1つの抗MUC1単鎖可変断片(scFv);(b)膜貫通ドメイン;及び(c)少なくとも1つの共刺激ドメインを含むエンドドメインを含み、scFvが以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、エクトドメインを含むことができる。
【0015】
【0016】
ここで、配列番号1のX1は、V又はIであり、配列番号1のX2は、R又はKであり、配列番号1のX3は、A又はRであり、配列番号1のX4は、G又はAであり、配列番号1のX5は、V又はAであり、配列番号1のX6は、T又はSであり、配列番号1のX7は、D又はAであり;及び、以下のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域である。
【0017】
【0018】
ここで、配列番号2のX1はT又はSであり、配列番号2のX2はL又はVであり、配列番号2のX3はT又はDである。
【0019】
CARの重鎖可変領域は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができる。CARの軽鎖可変領域は、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。
【0020】
CARの重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。CARの重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、CARの軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。
【0021】
scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカーを含むことができる。好ましくは、リンカーは配列番号59のアミノ酸配列を含む。scFvは、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140又は配列番号141を含むことができる。ある態様において、scFvは、配列番号125のアミノ酸配列を含む。エクトドメインは、シグナルペプチドをさらに含むことができる。好ましくは、シグナルペプチドは、配列番号57のアミノ酸配列を含む。CARは、抗原認識領域と膜貫通ドメインとの間のヒンジ領域をさらに含むことができる。ヒンジ領域は、配列番号61のアミノ酸配列を含むことが好ましい。膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインをコードする配列を含むことができる。好ましくは、CD8膜貫通ドメインは、配列番号63のアミノ酸配列を含む。少なくとも1つの共刺激ドメインは、CD3ζ共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、又はそれらの組み合わせを含むことができる。一態様では、少なくとも1つの共刺激ドメインは、CD3ζ共刺激ドメイン及び4-1BB共刺激ドメインを含み、4-1BB共刺激ドメインは、膜貫通ドメインとCD3ζ共刺激ドメインとの間に位置する。好ましくは、4-1BB共刺激ドメインは、配列番号65のアミノ酸配列を含む。好ましくは、CD3ζ共刺激ドメインは、配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0022】
本開示はまた、(a)抗原認識領域が少なくとも1つの抗MUC1単鎖可変断片(scFv)を含む、抗原認識領域を含むエクトドメイン;(b)膜貫通ドメイン;及び(c)少なくとも1つの共刺激ドメインを含むエンドドメインを含み、scFvが以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0023】
【0024】
ここで、配列番号1のX1は、V又はIであり、配列番号1のX2は、R又はKであり、配列番号1のX3は、A又はRであり、配列番号1のX4は、G又はAであり、配列番号1のX5は、V又はAであり、配列番号1のX6は、T又はSであり、配列番号1のX7は、D又はAであり;及び、以下のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域である。
【0025】
【0026】
ここで、配列番号2のX1はT又はSであり、配列番号2のX2はL又はVであり、配列番号2のX3はT又はDであり、scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカーを含み、エクトドメインは、シグナルペプチドを含み、CARは、抗原認識領域と膜貫通ドメインとの間のヒンジ領域をさらに含み、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む配列を含み、少なくとも1つの共刺激ドメインは、CD3ζ共刺激ドメインと4-1BB共刺激ドメインとを含み、4-1BB共刺激ドメインは、膜貫通ドメインとCD3ζ共刺激ドメインとの間に位置する。
【0027】
いくつかの態様において、scFvは配列番号125のアミノ酸配列を含み、シグナルペプチドは配列番号57を含み、ヒンジ領域は配列番号61を含み、CD8膜貫通ドメインは配列番号63を含み、4-1BB共刺激ドメインは配列番号65を含み、CD3ζ共刺激ドメインは配列番号67を含む。
【0028】
いくつかの態様において、CARは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、又は配列番号29のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARのアミノ酸配列は、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号167の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの態様において、CARのアミノ酸配列は、配列番号167の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる。
【0029】
本開示はまた、本明細書中に開示された抗体をコードする核酸配列;本明細書中に開示されたscFvをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド;及び/又は本明細書中に開示されたCARをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドも提供する。
【0030】
本開示はまた、本明細書中に開示されたCARをコードする核酸を含むトランスポゾンを提供する。いくつかの態様において、核酸配列は、配列番号13のアミノ酸配列を含むCARを含む。トランスポゾンは、誘導性カスパーゼポリペプチドをコードする核酸、キメラ刺激受容体をコードする核酸、選択遺伝子をコードする核酸、治療剤をコードする核酸、又はそれらの組み合わせをさらに含むことができる。選択遺伝子は、DHFR耐性遺伝子を含むことができる。好ましくは、トランスポゾンはpiggyBacトランスポゾンである。いくつかの態様において、トランスポゾンは、配列番号172の核酸配列を含む。本開示はまた、本明細書中に開示されたポリヌクレオチドのいずれか、又は本明細書中に開示されたトランスポゾンのいずれかを含むプラスミド又はベクターを提供する。
【0031】
本開示はまた、抗体、scFv、CAR又は本明細書中に開示されているトランスポゾンのいずれかを含む細胞を提供する。本開示はまた、複数の集団が、本明細書に開示されているように、抗体、scFv、CAR又はトランスポゾンのいずれかを発現するように修飾された細胞集団を提供する。一態様では、複数の修飾された細胞は、複数の修飾された免疫細胞である。一態様では、複数の修飾された細胞は、複数の修飾されたT細胞である。ある態様では、複数の細胞集団は、CARを発現する細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%を含む。一態様では、CARは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。ある態様において、少なくとも50%の複数の修飾されたT細胞は、CD45RA及びCD62Lを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現し、CD45ROを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しない。
【0032】
本開示はまた、抗体、scFv、CAR、トランスポゾン、細胞又は本明細書中に開示される細胞集団のいずれかを含む組成物を提供する。一態様では、組成物は医薬組成物であり、さらに薬学的に許容される担体を含む。
【0033】
本開示はまた、本明細書に開示されているように、抗体、scFv、CAR、トランスポゾン、細胞、細胞集団、組成物又は医薬組成物のいずれかの治療有効量を投与することによって、それを必要とする対象における増殖障害を治療する方法を提供する。一態様では、増殖障害はがんである。ある態様では、がんはMUC1陽性がんであり得る。一態様では、がんはMUC1-C陽性がんである。がんは、原発性腫瘍、転移性がん、多剤耐性がん、進行性腫瘍又は再発性がんであり得る。がんは固形腫瘍である可能性がある。がんは、肺がん、脳がん、頭頸部がん、乳がん、皮膚がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、皮膚がん、又は食道がんであり得る。
【0034】
特許又は出願ファイルは、色彩を付して作成された少なくとも1の図面を含む。この特許又は特許出願公開の写し及び色彩図面は、請求及び必要な手数料の納付があったときは、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】
図1A~1Bは、MUC1ヘテロ二量体の構造を示す一対の概略図である。
図1Aは、SEAドメイン(ウニ精子タンパク質、エンテロキナーゼ及びアグリンドメイン)で自己タンパク質分解を受け、安定な非共有ヘテロ二量体を形成する2つのサブユニットを生成するMUC1を示す。MUC1-NとMUC1-Cの命名法は、切断後のサブユニットの位置を指定し、それらをギリシャ語の形質で下位分類された遺伝的アイソフォームと区別するために用いられる。
【
図1B】
図1BはMUC1-Cサブユニットの詳細を示す。MUC1-C 58アミノ酸の細胞外ドメインは、N
36LT部位である36位のアスパラギン上でグリコシル化される。MUC1-C(MUC1-C/ECD)のC末端の細胞外ドメインのアミノ酸配列を示す(配列番号77)。MUC1-C 72アミノ酸の細胞質ドメインは、複数のエフェクターと相互作用し、発がん性の形質転換を誘導するのに十分である。
図1A-1BはKufe DW、Oncogene、32(9):1073から複製される。
【
図2A】
図2Aは、完全長MUC1(PDB:2ACM)又はMUC1-Cドメインの予測構造のいずれかのリボン構造を示す一対の概略図である。
【
図2B】
図2Bは、異なる細胞型におけるMUC1発現を示す一連のグラフである。
【
図3】
図3は、異なるがん細胞株におけるMuc1発現を示す一連のフローサイトメトリーグラフである。
【
図4】
図4は、ヒト化MUC1-Cキメラ抗原受容体(CAR)の例示的構築を示す概略図である。重鎖(4+2変異体(H1B及びH2B))及び軽鎖(3)配列を異なる軽鎖組み合わせで集合させ、14の新規候補ヒト化MUC1-C CARを構築した。以下のヒト化MUC1-C CAR構造を用いた:シグナルペプチド(CD8α)-軽鎖-リンカー-重鎖-ヒンジ(CD8α)-膜貫通型(CD8α)-細胞内シグナル伝達(4-1BB)-細胞内シグナル伝達(CD3ζ)。
【
図5A】
図5Aは、本開示のヒト化抗MUC-1C抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。
【
図5B】5Bは、本開示のヒト化抗MUC-1C抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。
【
図6】
図6は、MUC-1C CARを含む開示のpiggyBacナノトランスポゾンの概略図である。MUC1-C CARを三シストロン性piggyBacトランスポゾンにサブクローン化した。トランスポゾンは、EF1αプロモーター-iC9安全スイッチ-T2A-MUC1-C CAR(L1-リンカー-H1B scFv)-T2A-DHFR選択遺伝子構築物を含む。
【
図7】
図7は、候補MUC1-C CARがT細胞の表面上に発現されることを示す一連のフローサイトメトリーグラフである。全ての候補MUC1-C CARは、piggyBac産生CAR-T細胞の表面に発現され、検出された。
【
図8】
図8は、候補MUC1-C CAR T細胞によるMUC1+標的細胞の特異的死滅を示すグラフである。MDA-MB-468の死滅は、ライングラフの各CARについて示されている。すべてのCAR+ T細胞は、MUC1+ MDA-MB-468細胞の特異的死滅を発現した。模擬T細胞は標的細胞(青色系)を特異的に死滅させなかった。
【
図9】
図9は、候補MUC1-C CAR T細胞によるMUC1+標的細胞の特異的死滅を示すグラフである。各細胞株の死滅は、棒グラフの各CARについて示され、誤差バーは、三連で実行された試料の標準偏差を表す。すべてのCAR+ T細胞は、MUC1+遺伝子操作されたRaji細胞株の特異的死滅を発現したが、MUC1-Raji細胞に対しては発現しなかった。模擬トランスポゾンT細胞は、Raji標的細胞株も遺伝子操作したRaji標的細胞株も死滅さなかった。
【
図10】
図10は、マウス異種移植モデルを用いた「ストレス」用量での候補ヒト化MUC1-C CAR-T細胞の前臨床評価のための試験デザインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
明示的に除外されるか又は別途制限されない限り、本明細書に引用された全ての文献は、参照により、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。文献の引用は、それが本明細書において開示され若しくは請求された発明に関して先行技術であること、又はそれが単独で、又は他の引例若しくは引例との何らかの組み合わせで、そのような発明を教示し、示唆し、又は開示していることを認めるものではない。さらに、本文書中の用語の意味又は定義が、引用により援用された文書中の同じ用語の意味又は定義と矛盾する限りにおいて、本文書中のその用語に割り当てられた意味又は定義が支配するものとする。
【0037】
発明の詳細な説明
本開示は、特異的標的タンパク質、ムチン1、細胞表面結合(MUC1)タンパク質を認識し、高親和性及び高親和性で結合するために、これらの組成物を使用するための組成物及び方法を提供する。
【0038】
MUC1
MUC1は、主に上皮細胞によって発現される広範なO-グリコシル化ムチンタンパク質である。分泌され、膜に結合したMUC1は、毒素、微生物、及び外部環境との界面で起こるその他のストレスによって誘発される損傷から上皮細胞の頂端境界を保護する物理的障壁を形成する。ほとんどのヒト癌腫で認められるように、MUC1の異常な過剰発現は、足場非依存性増殖及び腫瘍形成性を付与する。MUC1の過剰発現は、酸化ストレス及び遺伝毒性抗がん剤によって誘導されるアポトーシスに対する耐性を付与する。
【0039】
ヒトMUC1はヘテロ二量体糖タンパク質であり、単一のポリペプチドとして翻訳され、小胞体でN末端及びC末端サブユニット(MUC1-N及びMUC1-C)に切断される。この切断は、自己触媒過程によって媒介され得る。>250kDaのMUC1 N末端(MUC1 N-ter又はMUC1-N)サブユニットは、高度に保存されたバリエーションでは不完全であり、O-結合型グリカンによって修飾される20個のアミノ酸のタンデム反復を可変数含む。MUC1-Nは、約23kDaのC末端サブユニット(MUC1 C-ter又はMUC1-C)との二量体化により細胞表面に結合され、これは58アミノ酸の細胞外領域、28アミノ酸の膜貫通ドメイン及び72アミノ酸の細胞質ドメインを含む(
図1B)。MUC1-Cは、(配列番号76)のアミノ酸配列を含む。
【0040】
【0041】
本開示の組成物は、下線を引いたMUC1-C/ECDの58アミノ酸部分に結合することができる。太字の配列はCDを示し、イタリック体の部分はオリゴマー阻害ペプチドである。正常上皮ががんに転換すると、MUC1は細胞質及び細胞膜全体に異常に過剰発現する。細胞膜に結合したMUC1は、クラスリンを介したエンドサイトーシスによりエンドソームを標的とする。さらに、MUC1-Cは核とミトコンドリアを標的とするが、MUC1-Nは標的としない。
【0042】
本開示の組成物は、「エピトープ」MUC1-C/細胞外ドメイン(MUC1-C/ECD)の1つ以上のアミノ酸に選択的に結合することができる。エピトープは、直鎖状でもコンホメーション状でもよい。本明細書中で使用される場合、用語「エピトープ」は、開示された組成物が特異的に結合する1つ以上のアミノ酸を指すことを意味する。本開示のエピトープの1つ以上のアミノ酸は、線形、非線形、連続的、又は不連続的な様式で配列され得る。本開示のエピトープは、「コンホメーション」であってもよく、これは、タンパク質骨格が、適切に折り畳まれたペプチド、タンパク質、又はタンパク質複合体のコンホメーションで提示される場合に、より高い親和性又はより高い選択性で、エピトープの1つ以上のアミノ酸に結合することを意味する。ある態様において、立体配座エピトープに結合する組成物は、線状エピトープに結合しないことができる。
【0043】
本開示の組成物は、SVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGAG(配列番号77)のアミノ酸配列によって定義されるMUC1-C/細胞外ドメイン(MUC1-C/ECD)の1つ以上のアミノ酸に選択的に結合することができる(
図1B参照)。あるいは又はさらに、組成物は、変異型MUC1-C/細胞外ドメイン(MUC1-C/ECD)の1つ以上のアミノ酸に選択的に結合する。本開示の変異型MUC1-C/ECDペプチドは、配列番号76又は配列番号77に従って番号付けされたMUC1-C/ECD-L6A、MUC1-C/ECD-L8A、MUC1-C/ECD-L6、8A、MUC1-C/ECD-Q23V、MUC1-C/ECD-Q26V、MUC1-C/ECD-N36Aを含むが、これらに限定されない。
【0044】
本開示の組成物は、MUC1-C/細胞外ドメイン(MUC1-C/ECD):SVVVQLTLAFREGTINVHDVET(「ペプチド1」、配列番号78)、VETQFNQYKTEAASRYNLTISD(「ペプチド2」、配列番号79)、又はTISDVSVSDVPFPFSAQSGAG(「ペプチド3」、配列番号80)に由来する以下のペプチドの1つ以上のアミノ酸に選択的に結合することができる。
【0045】
本開示の組成物は、MUC1-C/ED中のアルファ3(α3)ヘリックス又はアルファ4(α4)ヘリックスに選択的に結合することができる。いくつかの実施態様において、MUC1-C/ECDは、次のアミノ酸配列を含む。
【0046】
【0047】
α3ヘリックスは太字、α4ヘリックスは太字、イタリック体。MUC1-C/ED α3ヘリックスは、以下のアミノ酸配列を含むことができ、必須であり、又はそれらからなることができる。
【0048】
【0049】
MUC1-C/ED α4ヘリックスは、以下のアミノ酸配列を含むことができ、必須であり、又はそれらからなることができる。
【0050】
【0051】
本開示の組成物のエピトープは、配列番号81又は配列番号82のアミノ酸配列を含むことができ、配列番号81又は配列番号82のアミノ酸配列から構成され、又はそれらから構成される。エピトープは、線状又は立体配座であり得る。いくつかの態様において、エピトープは不連続であり、場合により、配列番号81又は配列番号82のアミノ酸配列の2つ以上の不連続なアミノ酸から本質的に構成され、又はそれから構成される。
【0052】
開示の構成
本開示は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)のアミノ酸配列から本質的になるか又はそれからなる重鎖可変領域を含む抗体を提供する。
【0053】
【0054】
ここで、配列番号1のX1はV又はIであり、配列番号1のX2はR又はKであり、配列番号1のX3はA又はRであり、配列番号1のX4はG又は配列番号1のX5がV又はAであり、配列番号1のX6がT又はSであり、配列番号1のX7がD又はAである;軽鎖可変領域は、以下の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0055】
【0056】
ここで、配列番号2のX1はT又はSであり、配列番号2のX2はL又はVであり、配列番号2のX3はT又はDである。
【0057】
好ましくは、重可変鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、X2はR又はKであり、X3はA又はRであり、X4はG又はAであり、X5はV又はAである。好ましくは、軽可変鎖可変領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み、ここでX1はT又はSであり、X2はL又はVであり、X3はT又はDである。
【0058】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号160からなる、又は配列番号160からなる、ヒトMUC1ポリペプチド(UniProt受入番号P15941-1)に結合する。1つの態様において、抗体は、配列番号76を含む、本質的に構成される、又は配列番号76からなるヒトMUC1-Cポリペプチドに結合する。別の態様では、抗体は、配列番号161からなる、本質的に構成される、又は配列番号161からなる、ヒトMUC1-Nポリペプチド(アルファ鎖、成熟鎖としても知られるMUC1受容体のサブユニット)に結合する。
【0059】
いくつかの態様において、抗体は、本質的に配列番号77からなる、又は配列番号77からなる、ヒトMUC1-C細胞外ドメイン(ED)に結合する。いくつかの態様において、抗体は、ヒト全長MUC1ポリペプチド(配列番号160)よりも高い親和性でMUC1-C ED(配列番号77)に結合する。いくつかの態様において、抗体は、MUC1-Nポリペプチド(配列番号161)よりも高い親和性でヒトMUC1-C ED(配列番号77)に結合する。いくつかの態様において、抗体は、MUC1-C ED(配列番号77)に結合し、ヒト全長MUC1ポリペプチド(配列番号160)に結合しない。いくつかの態様において、抗体は、ヒトMUC1-C ED(配列番号77)に結合し、MUC1-Nポリペプチド(配列番号161)に結合しない。
【0060】
いくつかの実施形態において、ヒト可変重鎖フレームワークアクセプターは、配列番号162のIGHV1-69 08のポリペプチドを含む、本質的に含む、又はそれらからなる。いくつかの態様において、ヒト可変軽鎖フレームワークアクセプターは、配列番号163のIGKV6-21 02のポリペプチドを含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0061】
重鎖可変領域は、配列番号69を含む相補的決定領域1(CDRH1)を含む。重鎖可変領域は、配列番号70又は配列番号75を含むCDRH2を含む。重鎖可変領域は、配列番号71を含むCDRH3を含む。
【0062】
軽鎖可変領域は、配列番号72を含む相補的決定領域1(CDRL1)を含む。軽鎖可変領域は、配列番号73を含むCDRL2を含む。軽鎖可変領域は、配列番号74を含むCDRL3を含む。
【0063】
重鎖可変領域は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい態様では、重鎖可変領域は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらからなる。
【0064】
重鎖可変領域は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53又は配列番号164と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む、本質的にそれらからなる、又はそれらからなるポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい態様において、重鎖可変領域は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53又は配列番号164の核酸配列から本質的に構成されるか又はそれから構成されるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0065】
軽鎖可変領域は、配列番号9、配列番号10又は配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含み、本質的にそれらからなるか、又はそれらのアミノ酸配列からなる。好ましい態様において、軽鎖可変領域は、配列番号9、配列番号10又は配列番号11のアミノ酸配列を含み、本質的にそれらからなり、又はそれらからなる。
【0066】
軽鎖可変領域は、配列番号54、配列番号55、配列番号56又は配列番号165と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列から本質的に又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。好ましい態様において、軽鎖可変領域は、配列番号54、配列番号55、配列番号56又は配列番号165の核酸配列から本質的に構成されるか又はそれから構成されるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0067】
抗体の重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。
【0068】
抗体の重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。
【0069】
抗体の重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号5のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号6のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号7のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。抗体の重鎖可変領域は配列番号8のアミノ酸配列を含むことができ、抗体の軽鎖可変領域は配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。
【0070】
いくつかの態様において、抗体は、ヒト又はヒト化配列を含む。いくつかの態様において、CDRは、ヒト化配列を含む。いくつかの態様において、可変領域は、ヒト化配列を含む。ある態様において、フレームワーク領域は、ヒト化配列を含む。フレームワーク領域は、免疫原性を低下させるため、又は抗体の産生を改善するために、1つ以上の配列変異をさらに含むことができる。いくつかの態様において、抗体はIgGである。
【0071】
抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、VHH、VH、一本鎖可変断片(scFv)、抗原結合断片(Fab)又はFab断片であり得る。好ましい態様において、抗体はscFvである。
【0072】
本開示は、scFv組成物及びこれらの組成物を用いて、高い親和性及び結合活性を有する特定の標的タンパク質(例えば、MUC1)を認識し、それに結合するための方法を提供する。scFv組成物は、抗MUC1抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むことができる。
【0073】
scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間にリンカーポリペプチドを含むことができる。ある態様において、リンカーポリペプチドは、配列番号59のアミノ酸配列を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。リンカーポリペプチドは、本質的に配列番号60の核酸配列からなる、又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。
【0074】
scFvは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28又は配列番号29と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい態様では、scFvは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28又は配列番号29のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0075】
scFvは、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号166と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい態様では、scFvは、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号166のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0076】
本開示はまた、抗原認識領域を含むエクトドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供し、ここで、抗原認識領域は、本開示の少なくとも1つの抗MUC1単鎖可変断片(scFv);膜貫通ドメイン;及び少なくとも1つの共刺激ドメインを含むエンドドメインを含む。CARは、抗原認識ドメインと膜貫通ドメインとの間のヒンジ領域をさらに含むことができる。抗原認識領域は、少なくとも2つの抗MUC1 scFvを含むことができる。抗原認識領域は、少なくとも3つの抗MUC1 scFvを含むことができる。一態様では、本開示のCARは、2つの異なる抗原に特異的に結合する少なくとも2つのscFvを含む二特異的CARである。
【0077】
エクトドメインは、シグナルペプチドを含むことができる。シグナルペプチドは、ヒトCD2、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD4、CD8α、CD19、CD28、4-1BB又はGM-CSFRシグナルペプチドをコードする配列を含むことができる。好ましい態様において、シグナルペプチドは、ヒトCD8アルファ(CD8α)シグナルペプチド(SP)又はその一部を含み、本質的にそれらからなり、又はそれらからなる。ヒトCD8α SPは、配列番号57と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)と同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらからなり、又はそれらからなる。好ましくは、ヒトCD8α SPは、配列番号57のアミノ酸配列を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0078】
ヒトCD8α SPは、配列番号58と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列から本質的になるか又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。好ましくは、ヒトCD8α SPは、配列番号58のアミノ酸配列から本質的に構成されるか、又はそれから構成されるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0079】
ヒンジドメイン又はヒンジ領域は、ヒトCD8α、IgG4、CD4配列、又はそれらの組み合わせを含むことができる。好ましい態様では、ヒンジは、ヒトCD8α(CD8α)ヒンジ又はその一部を含み、本質的に含むか、又はそれからなることができる。ヒトCD8aヒンジは、配列番号61と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含み、本質的に含むか、又はそれからなる。好ましくは、ヒトCD8αヒンジドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0080】
ヒトCD8αヒンジは、配列番号62又は配列番号168と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列から本質的に又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。好ましくは、ヒトCD8αヒンジドメインは、配列番号62又は配列番号168の核酸配列から本質的に構成されるか又はそれから構成されるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0081】
膜貫通ドメインは、ヒトCD2、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD4、CD8α、CD19、CD28、4-1BB又はGM-CSFR膜貫通ドメインをコードする配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができる。好ましくは、膜貫通ドメインは、ヒトCD8α(CD8α)膜貫通ドメイン、又はその一部を含み、本質的に含み、又はそれから構成され得る。CD8a膜貫通ドメインは、配列番号63と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含み、それからなり、又はそれから本質的になる。好ましくは、ヒトCD8α膜貫通ドメインは、配列番号63のアミノ酸配列を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0082】
CD8α膜貫通ドメインは、配列番号64又は配列番号169と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む、それから本質的になる、又はからなるポリヌクレオチドによってコードされる。好ましくは、CD8α膜貫通ドメインは、配列番号64又は配列番号169の核酸配列から本質的に構成されるか、又はそれから構成されるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0083】
少なくとも1つの共刺激ドメインは、本質的に、ヒト4-1BB、CD28、CD3ゼータ(CD3ζ)、CD40、ICOS、MyD88、OX-40細胞内ドメイン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るか、又はそれらから構成され得る。好ましくは、少なくとも1つの共刺激ドメインは、CD3ζ、4-1BB共刺激ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0084】
4-1BB細胞内ドメインは、配列番号65と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましくは、4-1BB細胞内ドメインは、配列番号65のアミノ酸配列からなるか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0085】
4-1BB細胞内ドメインは、配列番号66又は配列番号170と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるポリヌクレオチドによってコードされる。好ましくは、4-1BB細胞内ドメインは、配列番号66又は配列番号170の核酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるポリヌクレオチドによってコードされる。
【0086】
CD3ζ細胞内ドメインは、配列番号67と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましくは、CD3ζ細胞内ドメインは、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0087】
CD3ζ細胞内ドメインは、配列番号68又は配列番号171と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるポリヌクレオチドによってコードされる。好ましくは、CD3ζ細胞内ドメインは、配列番号68又は配列番号171の核酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれを含むポリヌクレオチドによりコードされる。
【0088】
本開示の組成物(例えば、抗MUC1 scFv、抗MUC1 scFvを含むCAR)は、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、10-14M以下、及び10-15M以下のKDから選択される少なくとも1つの親和性でヒトMUC1に結合し得る。KDは、表面プラズモン共鳴を含むがこれに限定されない任意の手段によって決定され得る。
【0089】
抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを含む組成物は、本明細書に詳細に記載されるように、細胞送達組成物(例えば、トランスポゾン又はベクター)に組み込むことができ、任意に、細胞に組み込むことができる。
【0090】
本開示の組成物の接触及び/又は取り込みによって修飾された細胞(例えば、免疫細胞及び細胞傷害性免疫細胞)は、MUC1発現細胞を特異的に標的とすることができる。本開示の方法の好ましい態様は、MUC1-C(MUC1-C+)を発現する細胞の破壊を媒介する細胞傷害性細胞型をリダイレクトするためにMUC1-C scFv結合剤を使用する。例えば、がんなどの増殖障害を治療するために、本開示の抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを発現する修飾された細胞は、インビボでの持続性及び抗腫瘍効果の改善を実証する。いくつかの態様において、本開示の抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを発現する修飾された細胞は、マウス抗MUC1 scFv又はマウス抗MUC1 scFvを含むCARを発現する細胞と比較して、改良された効力及び低下した免疫原性を示す。いくつかの態様において、本開示の抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを発現する修飾された細胞は、配列番号176の重い可変領域及び配列番号177の軽い可変領域を含むscFv又はscFvを含むCARを発現する細胞と比較して、改良された効力及び低下した免疫原性を示す。いくつかの態様において、本開示の抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを発現する修飾された細胞は、配列番号178の重い可変領域及び配列番号179の軽い可変領域を含むscFvを発現する細胞、又はscFvを含むCARと比較して、改良された効力及び低下した免疫原性を示す。いくつかの態様において、本開示の抗MUC1 scFv又は抗MUC1 scFvを含むCARを発現する修飾された細胞は、配列番号180の重い可変領域及び配列番号181の軽い可変領域を含むscFvを発現する細胞、又はそれを含むCARと比較して、改良された効力及び低下した免疫原性を示す。
【0091】
「L1H1」scFvは、配列番号54の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号48の核酸配列によりコードされる配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1」を含む。「L1H1」scFvは、配列番号142の核酸配列によりコードされる配列番号124のアミノ酸配列を含む。「L1H1」CARは、配列番号30の核酸配列によりコードされる配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0092】
「L1H1B」scFvは、配列番号54又は配列番号165の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号49又は配列番号164の核酸配列によりコードされる配列番号4のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1B」を含む。「L1H1B」scFvは、配列番号143又は配列番号166の核酸配列によりコードされる配列番号125のアミノ酸配列を含む。「L1H1B」CARは、配列番号31又は配列番号167の核酸配列によりコードされる配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0093】
「L1H2」scFvは、配列番号54の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号50の核酸配列によりコードされる配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2」を含む。「L1H2」scFvは、配列番号144の核酸配列によりコードされる配列番号126のアミノ酸配列を含む。「L1H2」CARは、配列番号32の核酸配列によりコードされる配列番号14のアミノ酸配列を含む。
【0094】
「L1H2B」scFvは、配列番号54の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号51の核酸配列によりコードされる配列番号6のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2B」を含む。「L1H2B」scFvは、配列番号145の核酸配列によりコードされる配列番号127のアミノ酸配列を含む。「L1H2B」CARは、配列番号33の核酸配列によりコードされる配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0095】
「L1H3」scFvは、配列番号54の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号52の核酸配列によりコードされる配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H3」を含む。「L1H3」scFvは、配列番号146の核酸配列によりコードされる配列番号128のアミノ酸配列を含む。「L1H3」CARは、配列番号34の核酸配列によりコードされる配列番号16のアミノ酸配列を含む。
【0096】
「L1H4」scFvは、配列番号54の核酸配列によりコードされる配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L1」を含み、配列番号53の核酸配列によりコードされる配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H4」を含む。「L1H4」scFvは、配列番号147の核酸配列によりコードされる配列番号129のアミノ酸配列を含む。「L1H4」CARは、配列番号35の核酸配列によりコードされる配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0097】
「L2H1」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号48の核酸配列によりコードされる配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1」を含む。「L2H1」scFvは、配列番号148の核酸配列によりコードされる配列番号130のアミノ酸配列を含む。「L2H1」CARは、配列番号36の核酸配列によりコードされる配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0098】
「L2H1B」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号49の核酸配列によりコードされる配列番号4のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1B」を含む。「L2H1B」scFvは、配列番号149の核酸配列によりコードされる配列番号131のアミノ酸配列を含む。「L2H1B」CARは、配列番号37の核酸配列によりコードされる配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0099】
「L2H2」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号50の核酸配列によりコードされる配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2」を含む。「L2H2」scFvは、配列番号150の核酸配列によりコードされる配列番号132のアミノ酸配列を含む。「L2H2」CARは、配列番号38の核酸配列によりコードされる配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0100】
「L2H2B」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号51の核酸配列によりコードされる配列番号6のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2B」を含む。「L2H2B」scFvは、配列番号151の核酸配列によりコードされる配列番号133のアミノ酸配列を含む。「L2H2B」CARは、配列番号39の核酸配列によりコードされる配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0101】
「L2H3」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号52の核酸配列によりコードされる配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H3」を含む。「L2H3」scFvは、配列番号152の核酸配列によりコードされる配列番号134のアミノ酸配列を含む。「L2H3」CARは、配列番号40の核酸配列によりコードされる配列番号22のアミノ酸配列を含む。
【0102】
「L2H4」scFvは、配列番号55の核酸配列によりコードされる配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L2」を含み、配列番号53の核酸配列によりコードされる配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H4」を含む。「L2H4」scFvは、配列番号153の核酸配列によりコードされる配列番号135のアミノ酸配列を含む。「L2H4」CARは、配列番号41の核酸配列によりコードされる配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0103】
「L3H1」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号48の核酸配列によりコードされる配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1」を含む。「L3H1」scFvは、配列番号154の核酸配列によりコードされる配列番号136のアミノ酸配列を含む。「L3H1」CARは、配列番号42の核酸配列によりコードされる配列番号24のアミノ酸配列を含む。
【0104】
「L3H1B」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号49の核酸配列によりコードされる配列番号4のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H1B」を含む。「L3H1B」scFvは、配列番号155の核酸配列によりコードされる配列番号137のアミノ酸配列を含む。「L3H1B」CARは、配列番号43の核酸配列によりコードされる配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0105】
「L3H2」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号50の核酸配列によりコードされる配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2」を含む。「L3H2」scFvは、配列番号156の核酸配列によりコードされる配列番号138のアミノ酸配列を含む。「L3H2」CARは、配列番号44の核酸配列によりコードされる配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0106】
「L3H2B」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号51の核酸配列によりコードされる配列番号6のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H2B」を含む。「L3H2B」scFvは、配列番号157の核酸配列によりコードされる配列番号139のアミノ酸配列を含む。「L3H2B」CARは、配列番号45の核酸配列によりコードされる配列番号27のアミノ酸配列を含む。
【0107】
「L3H3」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号52の核酸配列によりコードされる配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H3」を含む。「L3H3」scFvは、配列番号158の核酸配列によりコードされる配列番号140のアミノ酸配列を含む。「L3H3」CARは、配列番号46の核酸配列によりコードされる配列番号28のアミノ酸配列を含む。
【0108】
「L3H4」scFvは、配列番号56の核酸配列によりコードされる配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域「L3」を含み、配列番号53の核酸配列によりコードされる配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域「H4」を含む。「L3H4」scFvは、配列番号159の核酸配列によりコードされる配列番号141のアミノ酸配列を含む。「L3H4」CARは、配列番号47の核酸配列によりコードされる配列番号29のアミノ酸配列を含む。
【0109】
表1A及び表1Bは、本開示の例示的なMUC-1C CAR成分及び配列を示す。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
本開示の細胞及び修飾された細胞
開示の細胞及び修飾された細胞は、哺乳動物細胞であり得る。好ましくは、細胞及び修飾された細胞はヒト細胞である。開示の細胞及び修飾された細胞は、免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、リンパ系前駆細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、Tリンパ球(T細胞)、幹記憶T細胞(TSCM細胞)、中央記憶T細胞(TCM)、幹細胞様T細胞を、Bリンパ球(B細胞)、抗原提示細胞(APC)、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞、骨髄前駆細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、マクロファージ、血小板、赤血球、赤血球(RBC)、巨核球又は破骨細胞含み得る。
【0121】
免疫前駆細胞は、1つ以上のタイプの免疫細胞に分化することができる任意の細胞を含むことができる。免疫前駆細胞は、自己再生し、免疫細胞に成長することができる多能性幹細胞を含むことができる。免疫前駆細胞は、造血幹細胞(HSC)又はその子孫を含むことができる。免疫前駆細胞は、免疫細胞に成長し得る前駆細胞を含み得る。免疫前駆細胞は、造血前駆細胞(HPC)を含むことができる。
【0122】
造血幹細胞(HSC)は多能性自己再生細胞である。リンパ系及び骨髄系から分化したすべての血液細胞は、HSCから生じる。HSCは、成人骨髄、末梢血、動員末梢血、腹膜透析排出物及び臍帯血中に見出され得る。
【0123】
HSCは、単離され得るか、又は初代幹細胞又は培養幹細胞から誘導され得る。HSCは、胚性幹細胞、多能性幹細胞、多能性幹細胞、成体幹細胞、又は誘導多能性幹細胞(iPSC)から単離又は誘導され得る。
【0124】
免疫前駆細胞は、HSC又はHSC子孫細胞を含むことができる。HSC子孫細胞の非限定的な例としては、多能性幹細胞、リンパ系前駆細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球細胞、Bリンパ球細胞、骨髄系前駆細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球及びマクロファージが挙げられる。
【0125】
開示された方法によって産生されたHSCは、成体幹細胞から単離又は由来し、かつ単一の系統にコミットされている間に、胚性幹細胞の特徴を共有する「原始的な」幹細胞の特徴を保持することができる。例えば、開示された方法によって生成された「原始的な」HSCは、分裂後の「幹性」を保持し、分化しない。従って、養子細胞治療として、開示された方法によって産生された「原始的」HSCは、それらの数を補充するだけでなく、インビボで拡大する。開示された方法によって産生された「原始的な」HSCは、単回投与として投与された場合に、治療的に有効であり得る。
【0126】
原始HSCは、CD34+であり得る。原始HSCは、CD34+及びCD38-であり得る。原始HSCは、CD34+、CD38-及びCD90+であり得る。原始HSCは、CD34+、CD38-、CD90+及びCD45RA-であり得る。原始HSCは、CD34+、CD38-、CD90+、CD45RA-、及びCD49f+であり得る。原始HSCは、CD34+、CD38-、CD90+、CD45RA-、及びCD49f+であり得る。
【0127】
原始的なHSC、HSC、及び/又はHSCの子孫細胞は、外因性配列(例えば、キメラ抗原受容体又は治療用タンパク質)を発現するために開示された方法に従って修飾することができる。修飾された原始的HSC、修飾されたHSC、及び/又は修飾されたHSCの子孫細胞は、修飾されたT細胞、修飾されたナチュラルキラー細胞、及び/又は修飾されたB細胞を含むが、これらに限定されない修飾された免疫細胞を産生するために前方分化され得る。
【0128】
修飾された免疫又は免疫前駆細胞は、NK細胞であり得る。NK細胞は、リンパ系前駆細胞から分化する細胞傷害性リンパ球であり得る。修飾されたNK細胞は、修飾された造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)又は修飾されたHSCから誘導され得る。いくつかの態様において、非活性化NK細胞は、CD3除去白血球アフェレーシス(CD14/CD19/CD56+細胞を含む)に由来する。
【0129】
修飾された免疫又は免疫前駆細胞は、B細胞であり得る。B細胞は、細胞表面にB細胞受容体を発現するリンパ球の一種である。B細胞受容体は特異抗原に結合する。修飾されたB細胞は、修飾された造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)又は修飾されたHSCから誘導され得る。
【0130】
本開示の修飾されたT細胞は、修飾された造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)又は修飾されたHSCから誘導され得る。従来の生物学的製剤及び化学療法剤とは異なり、開示された修飾T細胞は、抗原認識時に迅速に再現する能力を有し、それによって、再治療の必要性を潜在的に回避する。これを達成するために、いくつかの実施形態において、修飾された-T細胞は、初期応答を駆動するだけでなく、生存可能な記憶T細胞の安定した集団として患者に存続し、潜在的な再発を防止する。あるいは、いくつかの態様において、それが望ましくない場合、修飾されたT細胞は、患者において存続しない。
【0131】
抗原非依存性(強直性)シグナル伝達を介してT細胞の消耗を引き起こさない抗原受容体分子の開発、ならびに早期記憶T細胞、特に幹細胞記憶(TSCM)又は幹細胞様T細胞を含む修飾T細胞産物の開発に集中的な努力がなされている。本開示の幹細胞様修飾T細胞は、中枢記憶(TCM)T細胞又はTCM細胞、エフェクター記憶(TEM)及びエフェクターT細胞(TE)のようなTOB細胞を誘導するための最大の自己再生能力及び多能性能力を示し、それにより良好な腫瘍根絶及び長期修飾T細胞生着を産生する。分化の線形経路は、これらの細胞の生成に関与している可能性がある:ナイーブT細胞(TN)>TSCM>TCM>TEM>TE>TTE、それによってTNは直接TSCMを生じる親前駆細胞であり、次に、直接TCM等を生じる。本開示のT細胞の組成物は、最も豊富なTSCM細胞(例えば、TSCM>TCM>TEM>TOE>TTE)を有する各親T細胞サブセットの1つ以上を含むことができる。
【0132】
免疫細胞前駆体は、初期記憶T細胞、幹細胞様T細胞、ナイーブT細胞(TN)、TSCM、TCM、TEM、TE、又はTTEに分化することができ、又はそれに分化することができる。免疫細胞前駆体は、本開示の原始HSC、HSC、又はHSC子孫細胞であり得る。免疫細胞は、初期記憶T細胞、幹細胞様T細胞、ナイーブT細胞(TN)、TSCM、TCM、TEM、TE、又はTTEであり得る。
【0133】
本開示の方法は、修飾されたT細胞の集団を修飾及び/又は産生することができ、ここで、集団中の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はその間の任意のパーセンテージが、初期記憶T細胞の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。修飾された早期記憶T細胞の集団は、複数の修飾された幹細胞様T細胞を含む。修飾された初期記憶T細胞の集団は、複数の修飾されたTSCM細胞を含む。修飾された初期記憶T細胞の集団は、複数の修飾されたTCM細胞を含む。
【0134】
本開示の方法は、修飾されたT細胞の集団を修飾及び/又は産生することができ、ここで、集団中の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はその間の任意のパーセンテージが、幹細胞様T細胞の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。修飾された幹細胞様T細胞の集団は、複数の修飾されたTSCM細胞を含む。修飾された幹細胞様T細胞の集団は、複数の修飾されたTCM細胞を含む。
【0135】
いくつかの態様では集団における複数の修飾T細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%、又はその間の任意のパーセンテージが、幹記憶T細胞(TSCM)又はTSCM様細胞の1つ以上の細胞表面マーカーを発現し;1つ以上の細胞表面マーカーは、CD45RA及びCD62Lを含む。細胞表面マーカーは、CD62L、CD45RA、CD28、CCR7、CD127、CD45RO、CD95、CD95及びIL-2Rβのうちの1つ以上を含むことができる。細胞表面マーカーは、CD45RA、CD95、IL-2Rβ、CCR7、及びCD62Lのうちの1つ以上を含むことができる。
【0136】
いくつかの態様では集団における複数の修飾T細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、中央記憶T細胞(TCM)又はTCM様細胞の1つ以上の細胞表面マーカーを発現し;1つ以上の細胞表面マーカーは、CD45RO及びCD62Lを含む。細胞表面マーカーは、CD45RO、CD95、IL-2Rβ、CCR7、及びCD62Lのうちの1つ以上を含むことができる。
【0137】
本開示の方法は、修飾されたT細胞の集団を修飾及び/又は産生することができ、ここで、集団中の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はその間の任意のパーセンテージが、ナイーブT細胞(TN)の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。細胞表面マーカーは、CD45RA、CCR7及びCD62Lのうちの1つ以上を含むことができる。
【0138】
本開示の方法は、修飾されたT細胞の集団を修飾及び/又は産生することができ、ここで、集団中の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はその間の任意のパーセンテージが、エフェクターT細胞(修飾TEFF)の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。細胞表面マーカーは、CD45RA、CD95、及びIL-2Rβの1つ以上を含むことができる。
【0139】
本開示の方法は、修飾されたT細胞の集団を修飾及び/又は産生することができ、ここで、集団中の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はその間の任意のパーセンテージが、幹細胞様T細胞、幹記憶T細胞の(TSCM)又は中央記憶T細胞(TCM)の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。
【0140】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、集団の複数の修飾T細胞の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又は又はその間の任意のパーセンテージが、幹細胞様T細胞、幹記憶T細胞の(TSCM)又は中央記憶T細胞(TCM)の1つ以上の細胞表面マーカーを発現する。いくつかの態様において、CARは、配列番号31又は配列番号167の核酸配列によりコードされる配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0141】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%がCD34を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約70%~約99%、約75%~約95%、又は約85%~約95%が、CD34を含む1つ以上の細胞表面マーカー(例えば、細胞表面マーカー表現型CD34+を含む)を発現する。
【0142】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%がCD34を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しないか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約45%~約90%、約50%~約80%、又は約65%~約75%がCD34を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38を含む1つ以上の細胞表面マーカー(例えば、細胞表面マーカー表現型CD34+及びCD38-を含む)を発現しない。
【0143】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%が、CD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しないか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約0.2%~約40%、約0.2%~約30%、約0.2%~約2%、又は0.5%~約1.5%が、CD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38を含む1つ以上の細胞表面マーカー(例えば、細胞表面マーカー表現型CD34+、CD38-及びCD90+を含む)を発現しない。
【0144】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%が、CD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38及びCD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しないか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約0.2%~約40%、約0.2%~約30%、約0.2%~約2%、又は0.5%~約1.5%がCD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38及びCD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカー表現型CD34+、CD38-、CD90+及びCD45RA-を含む)を発現しない。
【0145】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03%、少なくとも0.04%、少なくとも0.05%、少なくとも0.06%、少なくとも0.07%、少なくとも0.08%、少なくとも0.09%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%が、CD34、CD90及びCD49fを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38及びCD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しないか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約0.02%~約30%、約0.02%~約2%、約0.04%~約2%又は約0.04%~約1%がCD34、CD90及びCD49fを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD38及びCD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカー表現型CD34+、CD38-、CD90+、CD45RA-及びCD49+を含む)を発現しない。
【0146】
集団の複数の修飾細胞は、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列(例えば、CAR)を含み、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%の集団の複数の細胞が、導入遺伝子又は導入遺伝子をコードする配列を含み、修飾細胞の集団の少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03%、少なくとも0.04%、少なくとも0.05%、少なくとも0.06%、少なくとも0.07%、少なくとも0.08%、少なくとも0.09%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%又は100%が、CD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現しないか、又は修飾細胞の集団の少なくとも約0.2%~約5%、約0.2%~約3%又は約0.4%~約3%がCD34及びCD90を含む1つ以上の細胞表面マーカーを発現するが、CD45RAを含む1つ以上の細胞表面マーカー表現型CD34+、CD90+及びCD45RA-を含む)を発現しない。
【0147】
免疫細胞又は免疫前駆細胞(例えば、開示された修飾されたT細胞)を産生及び/又は拡大する組成物及び方法、ならびに免疫細胞又は免疫前駆細胞(例えば、開示された修飾されたT細胞)の細胞生存率及び/又は幹様表現型を維持又は増強するための緩衝液は、本明細書の他の箇所に開示されており、米国特許第10,329,543号及びPCT公開WO2019/173636にさらに詳細に開示されている。
【0148】
開示の細胞及び修飾された細胞は、体細胞であり得る。開示の細胞及び修飾された細胞は、分化細胞であり得る。開示の細胞及び修飾された細胞は、自家細胞又は同種細胞であり得る。同種細胞は、対象への投与後の生着に対する有害反応を防止するように操作される。同種細胞は、任意の種類の細胞であり得る。同種細胞は、幹細胞であってもよく、幹細胞由来であってもよい。同種細胞は、分化した体細胞であり得る。
【0149】
キメラ抗原受容体の発現方法
本開示は、細胞の表面上にCARを発現する方法を提供する。本方法は、(a)細胞集団を得ること;(b)細胞集団を、細胞集団中の少なくとも1つの細胞の細胞膜を横切ってCARを伝達するのに十分な条件下で、CAR又はCARをコードする配列を含む組成物に接触させ、それによって修飾された細胞集団を生成すること;(c)CARをコードする配列の統合に適した条件下で修飾された細胞集団を培養すること;及び(d)細胞表面上でCARを発現する修飾された細胞集団から少なくとも1つの細胞を拡大及び/又は選択することを含む。
【0150】
いくつかの態様において、細胞集団は、白血球及び/又はCD4+及びCD8+白血球を含むことができる。細胞集団は、最適化された比率でCD4+及びCD8+白血球を含むことができる。CD4+対CD8+白血球の最適化された比率は、インビボでは自然には生じない。細胞集団は、腫瘍細胞を含むことができる。
【0151】
いくつかの態様において、細胞集団中の少なくとも1つの細胞の細胞膜を横切ってCAR又はCAR、トランスポゾン、又はベクターをコードする配列を伝達するのに十分な条件は、特定の電圧における1つ以上の電気パルス、緩衝液、及び1つ以上の補助因子の印加のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、CARをコードする配列の統合に適した条件は、緩衝液及び1つ以上の補助因子のうちの少なくとも1つを含む。
【0152】
緩衝液は、PBS、HBSS、OptiMEM、BTXpress、Amaxa Nucleofector、ヒトT細胞ヌクレオフェクション緩衝液、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。1つ以上の補助因子は、(a)組換えヒトサイトカイン、ケモカイン、インターロイキン又はそれらの任意の組合せ;(b)塩、鉱物、代謝物又はそれらの任意の組合せ;(c)細胞培地;(d)細胞DNA感知、代謝、分化、シグナル伝達の阻害剤、1つ以上のアポトーシス経路又はそれらの組合せ;及び(e)1つ以上の核酸を修飾又は安定化する試薬を含み得る。組換えヒトサイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、又はそれらの任意の組み合わせは、IL2、IL7、IL12、IL15、IL21、IL1、IL3、IL4、IL5、IL6、IL8、CXCL8、IL9、IL10、IL11、IL13、IL14、IL16、IL17、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL25、IL26、IL27、IL28、IL29、IL30、IL31、IL32、IL33、IL35、IL36、GM-CSF、IFN-ガンマ、IL-1アルファ/IL-1F1、IL-1ベータ/IL-1F2、IL-12 p70、IL-12/IL-35 p35、IL-13、IL-17/IL-17A、IL-17A/Fヘテロ二量体、IL-17F、IL-18/IL-1F4、IL-23、IL-24、IL-32、IL-32ベータ、IL-32ガンマ、IL-33、LAP(TGF-ベータ1)、リンホトキシン-アルファ/TNF-ベータ、TGF-ベータ、TNF-アルファ、TRANCE/TNFSF11/RANK L、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。塩、ミネラル、代謝産物、又はそれらの任意の組み合わせは、HEPES、ニコチンアミド、ヘパリン、ピルビン酸ナトリウム、L-グルタミン、MEM非必須アミノ酸溶液、アスコルビン酸、ヌクレオシド、FBS/FCS、ヒト血清、代用血清、抗生物質、pH調整剤、アール塩、2-メルカプトエタノール、ヒトトランスフェリン、組換えヒトインスリン、ヒト血清アルブミン、Nucleofector PLUSサプリメント、KCL、MgCl2、Na2HPO4、NAH2PO4、ラクトビオン酸ナトリウム、マンニトール、コハク酸ナトリウム、塩化ナトリウム、CINa、グルコース、Ca(NO3)2、Tris/HCl、K2HPO4、KH2PO4、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポロキサマー188、ポロキサマー181、ポロキサマー407、ポリビニルピロリドン、Pop313、Crown-5、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。細胞培地は、PBS、HBSS、OptiMEM、DMEM、RPMI 1640、AIM-V、X-VIVO 15、CellGro DC培地、CTS OpTimizer T細胞拡大SFM、TexMACS培地、PRIME-XV T細胞増殖培地、ImmunoCult-XF T細胞増殖培地又はその任意の組み合わせを含むことができる。細胞のDNA感知、代謝、分化、シグナル伝達、1つ以上のアポトーシス経路又はそれらの組み合わせの阻害剤は、TLR9、MyD88、IRAK、TRAF6、TRAF3、IRF-7、NF-κB、1型インターフェロン、炎症誘発性サイトカイン、cGAS、STING、Sec5、TBK1、IRF-3、RNA pol III、RIG-1、IPS-1、FADD、RIP1、TRAF3、AIM2、ASC、Caspase1、Pro-IL1B、PI3K、Akt、Wnt3A、グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3β(GSK-3β)(例えば、TWS119)の阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む。このような阻害剤の例としては、バフィロマイシン、クロロキン、キナクリン、AC-YVAD-CMK、Z-VAD-FMK、Z-IETD-FMK、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。1つ以上の核酸を修飾又は安定化する試薬は、pH修飾剤、DNA結合タンパク質、脂質、リン脂質、CaPO4、NLS配列を伴う又は伴わない正味中性電荷DNA結合ペプチド、TREX1酵素又はそれらの任意の組合せを含む。
【0153】
拡大及び選択ステップは、同時又は連続的に行うことができる。この拡大は、選択の前に行うことができます。この拡大は、選択後に起こり得、任意に、さらなる(すなわち、第2の)選択が、拡大後に起こり得る。同時展開と選択が同時に可能である。拡大及び/又は選択ステップは、10~14日間(端点を含む)進行することができる。
【0154】
この拡大は、修飾された細胞集団の少なくとも1つの細胞を抗原と接触させて、CARを介して少なくとも1つの細胞を刺激し、それによって拡大された細胞集団を生成することを含むことができる。抗原は、基質の表面上に提示することができる。基質は、限定されるものではないが、表面、ウェル、ビーズ又は複数、及びマトリックスを含む任意の形態を有することができる。基質は、常磁性又は磁性成分をさらに含むことができる。抗原は、基質の表面上に提示することができ、ここで、基質は、磁性ビーズであり、ここで、磁性ビーズを、修飾され拡大された細胞集団から除去又は分離するために使用することができる。抗原は、細胞又は人工抗原提示細胞の表面上に提示することができる。人工抗原提示細胞は、限定されるものではないが、腫瘍細胞及び幹細胞を含むことができる。
【0155】
トランスポゾン又はベクターが選択遺伝子を含むいくつかの態様において、選択工程は、選択遺伝子が抵抗性を付与する化合物と、修飾された細胞集団の少なくとも1つの細胞を接触させる工程を含み、それによって、選択遺伝子を発現する細胞を選択の生存として同定し、選択遺伝子を発現しない細胞を選択工程に耐えられないものとして同定する。
【0156】
本開示は、本明細書に記載される方法の修飾、拡大及び選択された細胞集団を含む組成物を提供する。
【0157】
細胞の表面上にCARを発現する方法のより詳細な説明は、PCT公開WO2019/049816及びPCT/US2019/049816に開示されている。
【0158】
本開示は、細胞が(a)誘導性プロモーターをコードする配列及び導入遺伝子をコードする配列を含む誘導性導入遺伝子構築物、及び(b)構成的プロモーターをコードする配列及びCARなどの外因性受容体をコードする配列を含む受容体構築物を含む組成物を含む、細胞又は細胞集団を提供し、ここで、(a)の構築物及び(b)の構築物が細胞のゲノム配列に組み込まれると、外因性受容体が発現され、外因性受容体は、リガンド又は抗原に結合すると、誘導性導入遺伝子(a)の発現を調節する誘導性プロモーターを直接的又は間接的に標的とする細胞内シグナルを伝達して、遺伝子発現を修飾する。
【0159】
組成物は、遺伝子発現を減少させることによって遺伝子発現を修飾することができる。組成物は、遺伝子発現を一時的に修飾することによって遺伝子発現を修飾することができる(例えば、リガンドの外因性受容体への結合期間)。組成物は、遺伝子発現を急性的に修飾することができる(例えば、リガンドは、外因性受容体に可逆的に結合する)。組成物は、遺伝子発現を慢性的に修飾することができる(例えば、リガンドは、外因性受容体に不可逆的に結合する)。
【0160】
外因性受容体は、細胞のゲノム配列に関して内因性受容体を含み得る。受容体の例としては、細胞内受容体、細胞表面受容体、膜貫通受容体、リガンド依存性イオンチャネル、及びG-タンパク質共役受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
外因性受容体は、非天然に存在する受容体を含むことができる。非天然型受容体は、合成、修飾、組換え、突然変異又はキメラ受容体であり得る。非天然に存在する受容体は、T細胞受容体(TCR)から単離又は誘導された1つ以上の配列を含むことができる。非天然に存在する受容体は、足場タンパク質から単離された、又は誘導された1つ以上の配列を含むことができる。非天然型受容体が膜貫通ドメインを含まないものを含むいくつかの態様において、非天然型受容体は、非天然型受容体との接触後に細胞内シグナルを伝達する第2の膜貫通型、膜結合型及び/又は細胞内受容体と相互作用する。非天然受容体は、膜貫通ドメインを含むことができる。非天然型受容体は、細胞内シグナルを伝達する細胞内受容体と相互作用することができる。非天然型受容体は、細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。非天然に存在する受容体は、キメラリガンド受容体(CLR)であり得る。CLRは、キメラ抗原受容体(CAR)であり得る。
【0162】
誘導性プロモーターをコードする配列は、NFκBプロモーターをコードする配列、インターフェロンプロモーターをコードする配列、又はインターロイキン-2プロモーターをコードする配列を含む。いくつかの態様において、IFNプロモーターは、IFNγプロモーターである。誘導性プロモーターは、サイトカイン又はケモカインのプロモーターから単離又は誘導することができる。サイトカイン又はケモカインは、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL10、IL12、IL13、IL17A/F、IL21、IL22、IL23、形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)、コロニー刺激因子2(GM-CSF)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、LTα、パーフォリン、グランザイムC(Gzmc)、グランザイムB(Gzmb)、C-Cモチーフケモカインリガンド5(CCL5)、C-Cモチーフケモカインリガンド4(Ccl4)、C-Cモチーフケモカインリガンド3(Ccl3)、X-Cモチーフケモカインリガンド1(Xcl1)、又はLIFインターロイキン6ファミリーサイトカイン(Lif)を含むことができる。
【0163】
誘導性プロモーターは、細胞分化、活性化、消耗及び機能に関与する表面タンパク質を含む遺伝子のプロモーターから単離又は誘導することができる。いくつかの態様では、遺伝子は、CD69、CD71、CTLA4、PD-1、TIGIT、LAG3、TIM-3、GITR、MHCII、COX-2、FASL又は4-1BBを含む。
【0164】
誘導性プロモーターは、CDの代謝及び分化に関与する遺伝子のプロモーターから単離又は誘導することができる。誘導性プロモーターは、Nr4a1、Nr4a3、Tnfrsf9(4-1BB)、Sema7a、Zfp36l2、Gadd45b、Dusp5、Dusp6及びNeto2のプロモーターから単離又は誘導することができる。
【0165】
いくつかの態様において、誘導性導入遺伝子構築物は、抑制性チェックポイントシグナル、転写因子、サイトカイン又はサイトカイン受容体、ケモカイン又はケモカイン受容体、細胞死又はアポトーシス受容体/リガンド、代謝感知分子、がん治療に対する感受性を付与するタンパク質、及びがん遺伝子又は腫瘍抑制遺伝子の下流のシグナル伝達成分の発現を含むか又は発現を駆動する。その非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636及びPCT出願番号PCT/US2019/049816に開示されている。
【0166】
本開示は、本開示のCARを含む組成物又は複数の修飾されたT細胞を産生するために同じものをコードする配列からなる、本開示のCARを含む組成物を複数の初代ヒトT細胞に導入することからなる、又はそれからなる修飾されたT細胞集団を産生する方法を提供する。本開示は、本方法によって産生された修飾されたT細胞の集団を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、集団の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、本開示のCARを発現する。
【0167】
武装化細胞
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)は、その治療可能性を高めるためにさらに修飾され得る。あるいは又は加えて、修飾された細胞をさらに修飾して、それらを免疫学的及び/又は代謝的チェックポイントに対する感受性を低下させることができる。このタイプの「被覆」細胞の修飾は、修飾に続いて、ここでは「被覆」細胞(例えば、被覆T細胞)と呼ばれ得る。装着細胞は、腫瘍免疫抑制微小環境内で、例えば、細胞に送達される特定のチェックポイントシグナルを自然に遮断及び/又は希釈することによって生成され得る(例えば、チェックポイント阻害)。
【0168】
本開示の武装化細胞は、任意の細胞、例えば、T細胞、NK細胞、造血前駆細胞、末梢血由来T細胞(G-CSF動員末梢血由来のT細胞を含む)、又は臍帯血由来のT細胞から誘導することができる。武装化細胞(例えば、武装化T細胞)は、キメラリガンド受容体(タンパク質足場、抗体、Scan Fv、又は抗体模倣体を含むCLR)/キメラ抗原受容体(タンパク質足場、抗体、Scan Fv、又は抗体模倣体を含むCAR)、CARTyrin(Centyrinを含むCAR)、及び/又はVCAR(ラクダVHH又は単一ドメインVHを含むCAR)のうちの1つ以上を含み得る。武装化細胞(例えば、武装化T細胞)は、本明細書に開示されているように、誘導可能なアポトーシス促進性ポリペプチドを含むことができる。武装化細胞(例えば、武装化T細胞)は、外因性配列を含み得る。外因性配列は、治療用タンパク質をコードする配列を含むことができる。例示的な治療タンパク質は、核タンパク質、細胞質タンパク質、細胞内タンパク質、膜貫通タンパク質、細胞表面結合タンパク質、又は分泌タンパク質であり得る。武装化細胞によって発現される例示的な治療タンパク質(例えば、武装化T細胞)は、武装化細胞の活性を修飾し得るか、又は第2の細胞の活性を修飾し得る。武装化細胞(例えば、武装化T細胞)は、選択遺伝子又は選択マーカーを含み得る。武装化細胞(例えば、武装化T細胞)は、合成遺伝子発現カセット(本明細書では誘導性導入遺伝子構築物とも呼ばれる)を含むことができる。
【0169】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、抑制性チェックポイントシグナルの受容体をコードする1つ以上の遺伝子(複数可)をサイレンシングし、又は発現を減少させて、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を生成することができる。抑制性チェックポイントシグナルの受容体は、細胞表面又は細胞の細胞質内で発現される。抑制性チェックポイントシグナルの受容体をコードする遺伝子のサイレンシング又は発現の減少は、被覆細胞の表面又は細胞質内の抑制性チェックポイント受容体のタンパク質発現の喪失をもたらす。このように、抑制性チェックポイント受容体をコードする1つ以上の遺伝子のサイレンシングされた又は減少された発現を有する武装化細胞は、チェックポイントシグナルに対して抵抗性、非受容性又は非感受性である。抑制性チェックポイントシグナルに対する武装化細胞の抵抗性又は感受性の低下は、これらの抑制性チェックポイントシグナルの存在下で武装化細胞の治療可能性を高める。抑制性チェックポイントシグナル(及び免疫抑制を誘導するタンパク質)の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。抑制され得る抑制性チェックポイントシグナルの好ましい例としては、PD-1及びTGFβRIIが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、チェックポイントシグナル伝達に関与する細胞内タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子(例えば、武装化CAR T細胞)をサイレンシングし、又は発現を減少させて、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を生成することができる。修飾された細胞の活性は、チェックポイントシグナル伝達経路に関与する任意の細胞内シグナル伝達タンパク質を標的とすることによって増強され得、それによって、チェックポイント阻害又は1つ以上のチェックポイント経路への干渉を達成し得る。チェックポイントシグナル伝達に関与する細胞内シグナル伝達タンパク質の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。
【0171】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)は、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を産生する治療の効力を妨げる転写因子をコードする1つ以上の遺伝子(複数可)の不活性化又は発現の減少のためにさらに修飾され得る。修飾された細胞の活性は、治療の効力を妨げる転写因子の発現をサイレンシング又は減少させる(又は機能を抑制する)ことによって増強又は調節され得る。発現を抑制するか、発現を減少させるか、又はその機能を抑制するように修飾され得る転写因子の非限定的な例には、限定されるものではないが、例示的な転写因子が、PCT公開WO2019/173636に開示されている。
【0172】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、細胞死又は細胞アポトーシス受容体をコードする1つ以上の遺伝子の発現を抑制又は減少させて、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を生成することができる。死受容体とその内因性リガンドとの相互作用は、アポトーシスの開始をもたらす。細胞死及び/又は細胞アポトーシス受容体及び/又はリガンドの発現、活性、又は相互作用の破壊は、修飾された細胞を死シグナルに対する受容性を低下させ、その結果、被覆細胞を腫瘍環境においてより効果的にする。細胞死及び/又は細胞アポトーシス受容体及びリガンドの非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。修飾され得る細胞死受容体の好ましい例は、Fas(CD95)である。
【0173】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、代謝感知タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子(複数可)の発現を抑制又は減少させて、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を生成することができる。修飾された細胞による免疫抑制性腫瘍微小環境(低レベルの酸素、pH、グルコース及び他の分子によって特徴づけられる)の代謝感知の破壊は、T細胞機能の延長された保持をもたらし、その結果、細胞当たりにより多くの腫瘍細胞が死滅される。代謝感知遺伝子及びタンパク質の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。好ましい例として、HIF1a及びVHLは、低酸素環境下でT細胞機能において役割を果たす。武装化T細胞は、HIF1a又はVHLをコードする1つ又は複数の遺伝子の発現を抑制又は低下させていてもよい。
【0174】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)は、さらに修飾されて、モノクローナル抗体を含むがん治療に対する感受性を付与するタンパク質をコードする1つ以上の遺伝子(例えば、被覆CAR T細胞)をサイレンシングし、又は発現を減少させて、被覆細胞(例えば、被覆CAR T細胞)を産生することができる。したがって、武装化細胞は、がん治療(例えば、化学療法、モノクローナル抗体療法、又は他の抗腫瘍治療)の存在下で機能し、優れた機能又は有効性を示すことができる。がん治療に対する感受性を付与することに関与するタンパク質の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。
【0175】
開示された修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、増殖優位因子をコードする1つ以上の遺伝子(複数可)の発現を抑制又は減少させて、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)を生成することができる。がん遺伝子の発現をサイレンシングしたり、発現を減少させたりすると、細胞の増殖に有利に働くことができる。例えば、CAR T細胞製造プロセス中にTET2遺伝子の発現をサイレンシング又は減少させる(例えば、発現を破壊する)ことは、この拡大能力を欠く非武装化CAR T細胞と比較した場合、腫瘍の拡大及びその後の根絶のための有意な能力を有する武装化CAR T細胞の生成をもたらす。この戦略は、対象からの有害反応又は武装化CAR T-細胞の制御されない増殖の場合に武装化CAR T-細胞の標的破壊を可能にする安全スイッチ(例えば、本明細書中に記載されるiC9安全スイッチ)に連結され得る。増殖優位因子の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。
【0176】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、修飾された/キメラチェックポイント受容体を発現させて、本開示の武装化T細胞を生成することができる。
【0177】
修飾/キメラチェックポイント受容体は、ヌル受容体、デコイ受容体、又はドミナントネガティブ受容体を含むことができる。ヌル受容体、デコイ受容体又はドミナントネガティブ受容体は、修飾/キメラ受容体/タンパク質であり得る。ヌル受容体、デコイ受容体又はドミナントネガティブ受容体は、細胞内シグナル伝達ドメインの発現のために切断され得る。別法として、又はさらに、ヌル受容体、デコイ受容体又はドミナントネガティブ受容体は、決定的であるか、又は効果的なシグナル伝達に必要とされる1つ以上のアミノ酸位置において、細胞内シグナル伝達ドメイン内で突然変異され得る。ヌル受容体、デコイ受容体、又はドミナントネガティブ受容体の切断又は突然変異は、受容体のチェックポイントシグナルを細胞又は細胞内に伝達又は伝達する能力の喪失をもたらすことがある。
【0178】
例えば、腫瘍細胞の表面上に発現されるPD-L1受容体からの免疫抑制チェックポイントシグナルの希釈又は遮断は、武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)の表面上に修飾/キメラPD-1ヌル受容体を発現することによって達成することができ、これは、武装化細胞の表面上に発現される内因性(非修飾)PD-1受容体とも効果的に競合し、武装化細胞の内因性PD-1受容体を介して免疫抑制チェックポイントシグナルの形質導入を減少又は阻害する。この非限定的な例において、腫瘍細胞上に発現されるPD-L1への結合についての2つの異なる受容体間の競合は、有効なチェックポイントシグナル伝達のレベルを減少又は減少させ、それによって、PD-1ヌル受容体を発現する武装化細胞の治療可能性を増強する。
【0179】
修飾/キメラチェックポイント受容体は、膜貫通受容体、膜結合型若しくは膜結合型受容体/タンパク質、又は細胞内受容体/タンパク質であるヌル受容体、デコイ受容体、又はドミナントネガティブ受容体を含み得る。例示的なヌル、デコイ、又はドミナントネガティブな細胞内受容体/タンパク質には、抑制性チェックポイントシグナルの下流のシグナル伝達成分、転写因子、サイトカイン又はサイトカイン受容体、ケモカイン又はケモカイン受容体、細胞死又はアポトーシス受容体/リガンド、代謝感知分子、癌治療に対する感受性を付与するタンパク質、及び癌遺伝子又は癌抑制遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。サイトカイン、サイトカイン受容体、ケモカイン及びケモカイン受容体の非限定的な例は、PCT公開WO2019/173636に開示されている。
【0180】
修飾/キメラチェックポイント受容体は、スイッチ受容体を含むことができる。例示的スイッチ受容体は、修飾された/キメラ受容体/タンパク質を含み、ここで、天然型又は野生型細胞内シグナル伝達ドメインは、タンパク質に対して非天然であるか、及び/又は野生型ドメインではない、異なる細胞内シグナル伝達ドメインと切り替えられるか、又は置き換えられる。例えば、抑制性シグナル伝達ドメインを刺激性シグナル伝達ドメインに置き換えると、免疫抑制性シグナルを免疫刺激性シグナルに切り替えることになる。あるいは、阻害性シグナル伝達ドメインを異なる阻害性ドメインに置き換えることによって、阻害性シグナル伝達のレベルを低下又は増強することができる。スイッチ受容体の発現又は過剰発現は、免疫抑制性腫瘍微小環境内で発現される同族チェックポイント受容体に結合するための内因性野生型チェックポイント受容体(スイッチ受容体ではない)との競合を介して、同族チェックポイントシグナルの希釈及び/又は遮断をもたらすことができる。武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)は、1つ以上のスイッチ受容体の発現を導き、結果的に武装化細胞の活性を変化させるスイッチ受容体をコードする配列を含み得る。武装化細胞(例えば、武装化CAR T細胞)は、チェックポイント受容体、転写因子、サイトカイン受容体、死受容体、代謝感知分子、がん治療、がん遺伝子、及び/又は腫瘍抑制タンパク質又は遺伝子の下流で細胞内に発現されるタンパク質を標的とするスイッチ受容体を発現することができる。
【0181】
例示的スイッチ受容体は、限定されるものではないが、抑制性チェックポイントシグナルの下流のシグナル伝達成分、転写因子、サイトカイン又はサイトカイン受容体、ケモカイン又はケモカイン受容体、細胞死又はアポトーシス受容体/リガンド、代謝感知分子、がん治療に対する感受性を付与するタンパク質、及びがん遺伝子又は腫瘍抑制遺伝子を含むタンパク質を含み得るか、又はそれらから誘導され得る。
【0182】
開示の修飾された細胞(例えば、CAR T細胞)をさらに修飾して、条件的遺伝子発現を媒介するCLR/CARを発現させて、武装化T細胞を生成することができる。CLR/CARと被覆T細胞の核内の条件遺伝子発現系との組み合わせは、CLR又は同族抗原とCARとの同族リガンドの結合時に条件的に活性化される合成遺伝子発現系を構成する。このシステムは、例えば、腫瘍環境において、又は腫瘍環境内において、リガンド又は抗原結合部位での合成遺伝子発現を減少又は制限することによって、「被覆」を助け、又は修飾されたT細胞の治療可能性を増強することができる。
【0183】
遺伝子編集組成及び方法
導入遺伝子を細胞に導入することによって修飾された細胞が生成される。導入工程は、核酸配列、導入遺伝子、及び/又は非転移送達システムを介したゲノム編集構築物の送達を含み得る。
【0184】
核酸配列、トランスジーン及び/又はゲノム編集構築物をエクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、局所送達、吸着、吸収、エレクトロポレーション、スピンフェクション、共培養、トランスフェクション、機械的送達、音波送達、振動送達、マグネトフェクション、又はナノ粒子媒介送達による。核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノムエディティング構築物を、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、リポソームトランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、遺伝子トランスフェクション、及びデンドリマー媒介トランスフェクションを含むことができる。核酸配列、導入遺伝子、及び/又はゲノム編集構築物を、機械的トランスフェクションにより、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、細胞スクイージング、細胞衝撃、又は遺伝子銃技術を含むことができる。核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノムエディティング構築物を、ナノ粒子媒介トランスフェクションにより、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、リポソーム送達、ミセルによる送達、及びポリメロソームによる送達を含むことができる。
【0185】
核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノムエディティング構築物を、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、非ウイルスベクターを含むことができる。非ウイルスベクターは、核酸を含むことができる。非ウイルスベクターは、プラスミドDNA、直鎖二本鎖DNA(dsDNA)、直鎖一本鎖DNA(ssDNA)、DoggyBone(商標)DNA、ナノプラスミド、ミニサークルDNA、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)、DDNAオリゴヌクレオチド、一本鎖mRNA(ssRNA)、及び二本鎖mRNA(dsRNA)を含むことができる。非ウイルスベクターは、本明細書に記載されるようなトランスポゾンを含むことができる。
【0186】
核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノムエディティング構築物を、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、ウイルスベクターを含むことができる。ウイルスベクターは、非組込み非染色体ベクターであり得る。非組込み非染色体ベクターの非限定的な例としては、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、及びヘルペスウイルスが挙げられる。ウイルスベクターは組込み染色体ベクターであり得る。染色体ベクターを組み込む非限定的な例としては、アデノ随伴ベクター(AAV)、レンチウイルス、及びγ-レトロウイルスが挙げられる。
【0187】
核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノムエディティング構築物を、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することは、ベクターの組み合わせを含むことができる。ベクターの組合せの非限定的な例には、ウイルスベクター及び非ウイルスベクター、複数の非ウイルスベクター、又は複数のウイルスベクターが含まれる。ベクターの組み合わせの非限定的な例としては、DNA由来ベクターとRNA由来ベクターとの組み合わせ、RNAと逆転写酵素との組み合わせ、トランスポゾンとトランスポゼースとの組み合わせ、非ウイルスベクターとエンドヌクレアーゼとの組み合わせ、及びウイルスベクターとエンドヌクレアーゼとの組み合わせが挙げられる。
【0188】
ゲノム修飾は、核酸配列を安定に統合するため、核酸配列を一時的に統合するため、核酸配列の部位特異的統合を生成するため、又は核酸配列の部位特異的統合を生成するため、又は核酸配列の偏った統合を生成するために、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで、細胞に核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノム編集構築物を導入することを含むことができる。核酸配列は導入遺伝子であり得る。
【0189】
ゲノム修飾は、核酸配列、導入遺伝子及び/又はゲノム編集構築物を、核酸配列を安定に統合するために、エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュで細胞に導入することを含むことができる安定な染色体組込みは、ランダム組込み、部位特異的組込み、又は偏った組込みであり得る。部位特異的統合は、支援されないか、又は支援され得る。補助部位特異的組込みは、部位特異的ヌクレアーゼと同時に送達される。部位特異的ヌクレアーゼは、ゲノム組込み部位の上流及び下流領域に対するパーセンテージ相同性を含む5’及び3’ヌクレオチド配列延長を有する導入遺伝子を含む。相同なヌクレオチド伸長を有する導入遺伝子は、相同組換え、微小相同性媒介末端連結、又は非相同末端連結によるゲノム統合を可能にする。部位特異的統合は、安全な港湾サイトで起こり得る。ゲノムセーフハーバー部位は、新たに挿入された遺伝子エレメントが確実に機能し(例えば、治療的に有効な発現レベルで発現される)、宿主ゲノムに有害な変化を引き起こさず、宿主生物にリスクを引き起こすような方法で、新しい遺伝物質の組込みに適応することができる。潜在的ゲノムセーフハーバーの非限定的な例としては、ヒトアルブミン遺伝子のイントロン配列、アデノ随伴ウイルス部位1(AAVS1)、染色体19上のAAVウイルスの組込みの天然に存在する部位、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体5(CCR5)遺伝子の部位、及びマウスRosa26遺伝子座のヒトオルソログの部位が挙げられる。
【0190】
部位特異的導入遺伝子組込みは、標的遺伝子の発現を破壊する部位で起こりうる。標的遺伝子発現の破壊は、イントロン、エキソン、プロモーター、遺伝因子、エンハンサー、サプレッサー、開始コドン、終止コドン、及び応答エレメントにおける部位特異的組込みによって起こり得る。部位特異的組込みによって標的化される標的遺伝子の非限定的な例には、TRAC、TRAB、PDI、任意の免疫抑制遺伝子、及び同種拒絶に関与する遺伝子が含まれる。
【0191】
部位特異的導入遺伝子の組込みは、標的遺伝子の発現を増強する部位で起こり得る。標的遺伝子発現の増強は、イントロン、エキソン、プロモーター、遺伝的要素、エンハンサー、サプレッサー、開始コドン、停止コドン、及び応答エレメントにおける部位特異的組込みによって起こり得る。
【0192】
酵素は、導入遺伝子の送達又は組込みを容易にするために、宿主ゲノム中に鎖切断を作製するために使用され得る。酵素は一本鎖切断や二本鎖切断を起こすことができる。切断誘導酵素の非限定的な例としては、トランスポゼース、インテグラーゼ、エンドヌクレアーゼ、CRISPR-Cas9、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、Cas-CLOVER(商標)、及びCPF1が挙げられる。切断を誘発する酵素は、DNAにコードされた細胞、mRNAにコードされた細胞、タンパク質として、又はガイドRNA(gRNA)との核タンパク質複合体として送達することができる。
【0193】
部位特異的導入遺伝子組込みは、ベクター媒介組込み部位バイアスによって制御することができる。ベクター媒介性組込み部位バイアスは、選択されたレンチウイルスベクター又は選択されたガンマ-レトロウイルスベクターによって制御することができる。
【0194】
部位特異的導入遺伝子組込み部位は、非安定な染色体挿入であり得る。組込まれた導入遺伝子は、サイレンシングされ、除去され、切り出され、又はさらに修飾され得る。ゲノム修飾は、導入遺伝子の非安定な組込みであり得る。非安定な組込みは、一過性の非染色体組込み、半安定な非染色体組込み、半持続性の非染色体挿入、又は非安定な染色体挿入であり得る。一過性の非染色体挿入は、エピ染色体性であっても、細胞質性であってもよい。一態様において、導入遺伝子の一過性の非染色体挿入は、染色体に組み込まれず、修飾された遺伝物質は、細胞分裂中に複製されない。
【0195】
ゲノム修飾は、導入遺伝子の半安定性又は持続性の非染色体組込みであり得る。DNAベクターは、分裂細胞の核内での自律的複製を可能にする非ウイルスベクターのエピソーム保持のために核マトリックスタンパク質に結合する足場/マトリックス付着領域(S-MAR)モジュールをコードする。
【0196】
ゲノム修飾は、導入遺伝子の非安定な染色体組込みであり得る。組込まれた導入遺伝子は、サイレンシングされ、除去され、切り出され、又はさらに修飾され得る。
【0197】
導入遺伝子挿入によるゲノムへの修飾は、相同組換え(HR)、ミクロホモロジー媒介末端連結(MMEJ)、非相同末端連結(NHEJ)、トランスポゼース酵素媒介修飾、インテグラーゼ酵素媒介修飾、エンドヌクレアーゼ酵素媒介修飾、又は組換え酵素媒介修飾による宿主細胞指向死二本鎖切断修復(相同指向性修復)を介して起こり得る。導入遺伝子挿入によるゲノムへの修飾は、CRISPR-Cas9、TALEN、ZFN、Cas-CLOVER(商標)、及びcpf1を介して起こりうる。
【0198】
新規又は既存のヌクレオチド/核酸の挿入を含む遺伝子編集システムでは、挿入ツール(例えば、DNA鋳型ベクター、転移因子(トランスポゾン又はレトロトランスポゾン))は、切断酵素(例えば、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、インテグラーゼ又はトランスポゼース)に加えて細胞に送達されなければならない。組換え酵素のためのそのような挿入ツールの例は、DNAベクターを含み得る。他の遺伝子編集システムでは、挿入ベクターとともにインテグラーゼ、トランスポゾン/レトロトランスポゾンとともにトランスポゼースの送達が必要である。切断酵素として用いることができる組換え酵素の例は、CREリコンビナーゼである。挿入ツールに使用され得るインテグラーゼの非限定的な例には、AAV、γレトロウイルス、及びレンチウイルスを含む多数のウイルスのいずれかから採取されたウイルスベースの酵素が含まれる。挿入入ツールに使用され得るトランスポゾン/レトロトランスポゾンの例は、本明細書中でより詳細に記載される。
【0199】
エクスビボ、インビボ、インビトロ又はインサイチュのゲノム修飾を有する細胞は、生殖系細胞又は体細胞であり得る。修飾された細胞は、ヒト、非ヒト、哺乳動物、ラット、マウス、又はイヌの細胞であり得る。修飾された細胞は、分化、未分化、又は不死化され得る。修飾された未分化細胞は、幹細胞であり得る。修飾された未分化細胞は、誘導された多能性幹細胞であり得る。修飾された細胞は免疫細胞であり得る。修飾された細胞は、T細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球、巨核球、又は破骨細胞であり得る。修飾された細胞は、細胞が休止状態、活性化状態、休止状態、間期、前期、中期、後期、又は終期にある間に修飾することができる。修飾された細胞は、新鮮であり、凍結保存され、バルクであり、サブ集団に仕分けられ、全血から、白血球除去から、又は不死化細胞系から選別され得る。白血球アフェレーシス製品又は血液から細胞を単離するための詳細な説明は、PCT公開WO2019/173636及びPCT/US2019/049816に開示されている。
【0200】
本開示は、遺伝子編集組成物及び/又は遺伝子編集組成物を含む細胞を提供する。遺伝子編集組成物は、DNA結合ドメインをコードする配列、及びヌクレアーゼタンパク質又はそのヌクレアーゼドメインをコードする配列を含むことができる。ヌクレアーゼタンパク質をコードする配列又はそのヌクレアーゼドメインをコードする配列は、DNA配列、RNA配列、又はそれらの組み合わせを含むことができる。ヌクレアーゼ又はそのヌクレアーゼドメインは、CRISPR/Casタンパク質、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及びエンドヌクレアーゼの1つ又は複数を含むことができる。
【0201】
ヌクレアーゼ又はそのヌクレアーゼドメインは、ヌクレアーゼ不活性化Casタンパク質及びエンドヌクレアーゼを含むことができる。エンドヌクレアーゼは、Clo051ヌクレアーゼ又はそのヌクレアーゼドメインを含むことができる。遺伝子編集組成物は、融合タンパク質を含むことができる。融合タンパク質は、ヌクレアーゼ不活化Cas9(dCas9)タンパク質及びClo051ヌクレアーゼ又はClo051ヌクレアーゼドメインを含むことができる。遺伝子編集組成物は、ガイド配列をさらに含むことができる。ガイド配列は、RNA配列を含む。
【0202】
本開示は、作用的にエフェクターに連結された小さなCas9(Cas9)を含む組成物を提供する。本開示は、本質的にDNA局在化成分及びエフェクター分子からなるか又はそれからなる融合タンパク質を提供し、ここで、エフェクターは小型のCas9(Cas9)を含む。本開示の小さなCas9構築物は、IIS型エンドヌクレアーゼを含むエフェクターを含むことができる。活性触媒部位を有するStaphylococcus aureus Cas9は、配列番号83のアミノ酸配列を含む。
【0203】
本開示は、エフェクターに作動可能に連結された不活化された小さなCas9(dSaCas9)を含む組成物を提供する。本開示は、本質的にDNA局在化成分及びエフェクター分子からなるか又はそれからなる融合タンパク質を提供し、ここで、エフェクターは、小型の不活化Cas9(dSaCas9)を含む。本開示の小さな不活化Cas9(dSaCas9)構築物は、IIS型エンドヌクレアーゼを含むエフェクターを含み得る。SadA Cas9は、触媒部位を不活性化するためのD10A及びN580A突然変異を含む配列番号84のアミノ酸配列を含む。
【0204】
本開示は、エフェクターに作動可能に連結された不活化Cas9(dCas9)を含む組成物を提供する。本開示は、本質的にDNA局在化成分及びエフェクター分子からなるか又はそれからなる融合タンパク質を提供し、ここで、エフェクターは不活化Cas9(dCas9)を含む。本開示の不活化Cas9(dCas9)構築物は、IIS型エンドヌクレアーゼを含むエフェクターを含み得る。
【0205】
dCas9は、Streptococcus pyogenesから単離又は由来することができる。dCas9は、触媒部位を不活性化するアミノ酸位置10及び840に置換したdCas9を含むことができる。いくつかの態様において、これらの置換は、D10A及びH840Aである。dCas9は、配列番号85又は配列番号86のアミノ酸配列を含むことができる。
【0206】
例示的なClo051ヌクレアーゼドメインは、配列番号87のアミノ酸配列を含み、本質的に構成され、又は配列番号87のアミノ酸配列からなる。
【0207】
例示的なdCas9-Clo051(Cas-CLOVER)融合タンパク質は、配列番号88のアミノ酸配列を含むか、本質的に含むか、又は配列番号88のアミノ酸配列からなることができる。例示的なdCas9-Clo051融合タンパク質は、配列番号89の核酸配列を含む、本質的に構成される、又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化され得る。dCas9-Clo051融合タンパク質をコードする核酸は、DNA又はRNAであり得る。
【0208】
例示的なdCas9-Clo051(Cas-CLOVER)融合タンパク質は、配列番号90のアミノ酸配列を含み、本質的に含むか、又はそれからなることができる。例示的なdCas9-Clo051融合タンパク質は、配列番号91の核酸配列を含む、本質的に構成される、又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化され得る。dCas9-Clo051融合タンパク質をコードする核酸は、DNA又はRNAであり得る。
【0209】
遺伝子編集組成物を含む細胞は、遺伝子編集組成物を安定に又は一時的に発現することができる。好ましくは、遺伝子編集組成物は一時的に発現される。ガイドRNAは、ゲノムDNA配列内の標的配列に相補的な配列を含むことができる。ゲノムDNA配列内の標的配列は、ゲノムDNA配列の安全なハーバー部位内の標的配列であり得る。
【0210】
Cas-CLOVERを含む遺伝子編集組成物、及び遺伝子編集のためにこれらの組成物を使用する方法は、米国特許公開第2017/0107541号、同第2017/0114149号、同第2018/0187185号、及び米国特許第10,415,024号に詳細に記載されている。
【0211】
遺伝子編集ツールは、1つ以上のポリ(ヒスチジン)ベースのミセルを用いて細胞に送達することもできる。ポリ(ヒスチジン)(例えば、ポリ(L-ヒスチジン))は、不飽和窒素上に電子孤立対を提供するイミダゾール環によるpH感受性ポリマーである。すなわち、ポリ(ヒスチジン)は、プロトン化-脱プロトン化を介して両性特性を有する。特に、特定のpHにおいて、ポリ(ヒスチジン)含有トリブロック共重合体は、表面上に正に荷電したポリ(ヒスチジン)単位を有するミセルに集合することができ、それによって、負に荷電した遺伝子編集分子との錯体形成を可能にする。これらのナノ粒子を用いて、pH依存的にタンパク質及び/又は核酸を結合及び放出させることは、所望の遺伝子修飾を実施するための効率的かつ選択的メカニズムを提供し得る。特に、このミセルベースの送達システムは、荷電材料、ならびに大きなペイロード容量、及びナノ粒子ペイロードの標的放出に関して実質的な柔軟性を提供する。一例では、二本鎖DNAの部位特異的切断は、ポリ(ヒスチジン)ベースのミセルを使用するヌクレアーゼの送達によって可能となる。特定の理論に拘束されることを望まないが、種々のトリブロック共重合体によって形成されるミセルにおいて、疎水性ブロックは凝集してコアを形成し、親水性ブロック及びポリブロックを末端に残して1つ以上の周囲層を形成すると考えられる。
【0212】
一態様では、本開示は、親水性ブロック、疎水性ブロック、及び荷電ブロックからなるトリブロック共重合体を提供する。いくつかの態様において、親水性ブロックは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)であり得、荷電ブロックは、ポリ(L-ヒスチジン)であり得る。使用できる例示的なトリブロック共重合体は、PEO-b-PLA-b-PHISであり、各ブロック中の可変数の繰り返し単位が設計によって変化する。
【0213】
トリブロックコポリマーを作製するための中間体として使用できるジブロックコポリマーは、親水性生体適合性ポリ(エチレンオキシド)(PEO)を有することができ、これは、PEGと化学的に同義であり、様々な疎水性脂肪族ポリ(無水物)、ポリ(核酸)、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ペプチド)、ポリ(ホスファゼン)及びポリ(サッカライド)、例えば、限定されないが、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、及びポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)に結合される。100%PEG化表面から成る高分子ミセルは、改良されたインビトロ化学的安定性、増加されたインビボバイオアベイラビリティ、及び延長された血中循環半減期を有する。
【0214】
ポリマー小胞、ポリマーソーム及びポリ(ヒスチジン)ベースのミセル(トリブロックコポリマーを含むものを含む)、及びその製造方法は、米国特許第7,217,427号;同第7,868,512号;同第6,835,394号;同第8,808,748号;同第10,456,452号;米国出願公開第2014/0363496号;同第2017/0000743号;及び同第2019/0255191号;並びにPCT公開WO2019/126589号にさらに詳細に記載されている。
【0215】
トランスポゾン及びベクター組成物
本開示は、抗体(例えば、scFv)又はCAR(例えば、scFvを含む)を細胞又は細胞集団に送達するための組成物及び方法を提供する。細胞又は細胞集団への本開示の組成物の送達のための組成物の非限定的な例は、トランスポゾン又はベクターを含む。したがって、本開示は、抗体(例えば、scFv)又はCAR(例えば、scFvを含む)を含むトランスポゾン、又は抗体(例えば、scFv)又はCAR(例えば、scFvを含む)を含むベクターを提供する。
【0216】
本開示のCARを含むトランスポゾン、又は本開示のCARを含むベクターは、誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。あるいは又はさらに、1つのトランスポゾン又は1つのベクターは、本開示のCARを含み得、第2のトランスポゾン又は第2のベクターは、本開示の誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドをコードする配列を含み得る。誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドは、本明細書においてより詳細に記載される。
【0217】
本開示のCARを含むトランスポゾン、又は本開示のCARを含むベクターは、キメラ刺激受容体(CSR)をコードする配列をさらに含むことができる。あるいは、又はさらに、1つのトランスポゾン又は1つのベクターは、本開示のCARを含むことができ、第2のトランスポゾン又は第2のベクターは、本開示のCSRをコードする配列を含むことができる。キメラ刺激受容体は、本明細書中でより詳細に記載される。
【0218】
本開示のCAR又は本開示のCARを含むベクターを含むトランスポゾンは、組換えHLA-Eポリペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。あるいは、又はさらに、1つのトランスポゾン又は1つのベクターは、本開示のCARを含み得、第2のトランスポゾン又は第2のベクターは、組換えHLA-Eポリペプチドをコードする配列を含み得る。組換えHLA-Eポリペプチドは、本明細書中により詳細に記載される。
【0219】
本開示のCARを含むトランスポゾン、又は本開示のCARを含むベクターは、選択遺伝子をさらに含むことができる。選択遺伝子は、細胞生存及び生存に不可欠な遺伝子産物をコードすることができる。選択遺伝子は、選択的細胞培養条件下でチャレンジすると、細胞生存及び生存に不可欠な遺伝子産物をコードすることができる。選択的細胞培養条件は、細胞生存又は生存に有害な化合物を含み得、ここで、遺伝子産物は、化合物に対して抵抗性を付与する。選択遺伝子の非限定的な例には、neo(ネオマイシンに対する耐性を付与する)、DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードし、メトトレキサートに対する耐性を付与する)、TYMS(チミジル酸シンテターゼをコードする)、MGMT(O(6)-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼをコードする)、多剤耐性遺伝子(MDR1)、ALDH1(アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーA1をコードする)、FRANCF、RAD51C(RAD51パラログCをコードする)、GCS(グルコシルセラミドシンターゼをコードする)、NKX2.2(NK2ホメオボックス2をコードする)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0220】
好ましい態様において、選択遺伝子は、DHFRミューテイン酵素をコードする。DHFRミューテイン酵素は、配列番号92のアミノ酸配列を含み、本質的に構成され、又は配列番号92のアミノ酸配列からなる。DHFRミューテイン酵素は、配列番号93又は配列番号174の核酸配列からなる、又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。DHFRミューテイン酵素のアミノ酸配列は、80、113、又は153位の1つ以上の位置における突然変異をさらに含むことができる。DHFRミューテイン酵素のアミノ酸配列は、80位でのフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)の置換、113位でのロイシン(L)又はバリン(V)の置換、及び153位でのValine(V)又はアスパラギン酸(D)の置換の1つ以上を含み得る。
【0221】
本開示のCARを含むトランスポゾン、又は本開示のCARを含むベクターは、少なくとも1つの自己切断ペプチドをさらに含むことができる。例えば、自己切断ペプチドは、CAR(例えば、scFvを含む)と誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドとの間に位置することができ;又は自己切断ペプチドは、CAR(例えば、scFvを含む)と選択遺伝子によりコードされるタンパク質との間に位置することができる。
【0222】
本開示のCARを含むトランスポゾン、又は本開示のCARを含むベクターは、さらに、少なくとも2つの自己切断ペプチドを含むことができる。例えば、第1の自己切断ペプチドはCARの上流又は直上流に位置し、第2の自己切断ペプチドはCARの下流又は直下流に位置する;又は、第1の自己切断ペプチド及び第2の自己切断ペプチドはCARに隣接する。例えば、第1の自己切断ペプチドは、誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドの上流又は直上流に位置し、第2の自己切断ペプチドは、誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドの下流又は直下流に位置する;又は、第1の自己切断ペプチド及び第2の自己切断ペプチドは、誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドに隣接する。例えば、第1の自己切断ペプチドは、選択遺伝子によってコードされるタンパク質の上流又は直上流に位置し、第2の自己切断ペプチドは、選択遺伝子によってコードされるタンパク質の下流又は直下流に位置する;又は、第1の自己切断ペプチド及び第2の自己切断ペプチドは、選択遺伝子によってコードされるタンパク質に隣接する。
【0223】
自己切断ペプチドの非限定的な例としては、T2Aペプチド、GSG-T2Aペプチド、E2Aペプチド、GSG-E2Aペプチド、F2Aペプチド、GSG-F2Aペプチド、P2Aペプチド、又はGSG-P2Aペプチドが挙げられる。T2Aペプチドは、配列番号94と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。GSG-T2Aは、配列番号95と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。GSG-T2Aポリペプチドは、配列番号96と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。E2Aペプチドは、配列番号97と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。GSG-E2Aペプチドは、配列番号98と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。F2Aペプチドは、配列番号99と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。GSG-F2Aペプチドは、配列番号100と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。P2Aペプチドは、配列番号101と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。GSG-P2Aペプチドは、配列番号102と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0224】
いくつかの態様において、本開示のトランスポゾンは、配列番号13のCARをコードする核酸を含む。いくつかの態様において、CARをコードする核酸は、配列番号95のT2Aペプチドをコードする核酸に隣接する。いくつかの態様において、トランスポゾンは、配列番号92のDHFR酵素をコードする核酸をさらに含む。いくつかの態様において、トランスポゾンは、配列番号172のic9安全スイッチペプチドをコードする核酸をさらに含む。
【0225】
いくつかの態様において、本開示のトランスポゾンは、配列番号175と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0226】
転位系
本開示は、本明細書中に開示されたタンパク質骨格を含むトランスポゾンを提供するか、又は本開示は、本明細書中に開示された抗体(例えば、scFv)又はCAR(例えば、scFvを含む)を含むトランスポゾンを提供する。好ましい態様において、トランスポゾンは、本明細書に開示されているscFv又はCARをコードするヌクレオチド配列(例えば、scFvを含む)と、2つのシス調節インシュレーターエレメントとが隣接するプラスミドDNAトランスポゾンである。本開示はまた、トランスポゾンを含む組成物を提供する。好ましい態様において、トランスポゾンを含む組成物は、トランスポゼースをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドをさらに含む。トランスポゼースをコードするヌクレオチド配列は、DNA配列又はRNA配列であり得る。好ましくは、トランスポゼースをコードする配列はmRNA配列である。
【0227】
本開示のトランスポゾンは、piggyBac(商標)(PB)トランスポゾンであり得る。トランスポゾンがPBトランスポゾンである場合のいくつかの態様において、トランスポゼースは、piggyBac(商標)(PB)トランスポゼース、piggyBac様(PBL)トランスポゼース又はスーパーpiggyBac(商標)(SPB)トランスポゼースである。SPBトランスポゼースをコードする配列はmRNA配列である。
【0228】
PBトランスポゾン及びPB、PBL及びSPBトランスポゼースの非限定的な例は、米国特許第6,218,182号;米国特許第6,962,810号;米国特許第8,399,643号及びPCT公開WO2010/099296に詳細に記載されている。
【0229】
PB、PBL、SPBトランスポゼースはトランスポゾンの末端にあるトランスポゾン特異的逆方向末端反復配列(ITR)を認識し、染色体部位内の5’-TTAT-3’配列(TTAT標的配列)又は染色体部位内の5’-TTAA-3’配列(TTAA標的配列)のITR間の内容物を挿入する。PB又はPBLトランスポゾンの標的配列は、5’-CTAA-3’、5’-TTAG-3’、5’-ATAA-3’、5’-TCAA-3’、5’AGTT-3’、5’-ATTA-3’、5’-GTTA-3’、5’-TTGA-3’、5’-TTTA-3’、5’-TTAC-3’、5’-ACTA-3’、5’-AGGG-3’、5’-CTAG-3’、5’-TGAA-3’、5’-AGGT-3’、5’-ATCA-3’、5’-CTCC-3’、5’-TAAA-3’、5’-TCTC-3’、5’TGAA-3’、5’-AAAT-3’、5’-AATC-3’、5’-ACAA-3’、5’-ACAT-3’、5’-ACTC-3’、5’-AGTG-3’、5’-ATAG-3’、5’-CAAA-3’、5’-CACA-3’、5’-CATA-3’、5’-CCAG-3’、5’-CCCA-3’、5’-CGTA-3’、5’-GTCC-3’、5’-TAAG-3’、5’-TCTA-3’、5’-TGAG-3’、5’-TGTT-3’、5’-TTCA-3’5’-TTCT-3’及び5’-TTTT-3’を含むか又はそれからなることができる。PB又はPBLトランスポゾンシステムは、ITR間に含まれ得る関心遺伝子のペイロード制限を持たない。
【0230】
1つ以上のPB、PBL及びSPBトランスポゼースの例示的なアミノ酸配列は、米国特許第6,218,185号;米国特許第6,962,810号;及び米国特許番号8,399,643号に開示されている。好ましい態様において、PBトランスポゼースは、配列番号103と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる。
【0231】
PB又はPBLトランスポゼースは、配列番号103の配列の位置30、165、282、又は538のそれぞれにおいて、2つ以上、3つ以上、又はそれ以上でアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれらからなることができる。トランスポゼースは、配列番号103の配列のアミノ酸配列を含む又はそれからなるSPBトランスポゼースであり得、ここで、30位におけるアミノ酸置換は、イソロイシン(I)に対するバリン(V)の置換であり得、165位におけるアミノ酸置換は、グリシン(G)に対するセリン(S)の置換であり得、282位におけるアミノ酸置換は、バリン(V)のメチオニン(M)に対する置換であり得、538位におけるアミノ酸置換は、アスパラギン(N)に対するリジン(K)の置換であり得る。好ましい態様において、SPBトランスポゼースは、配列番号104と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0232】
トランスポゼースが位置30、165、282及び/又は538に上記の突然変異を含む特定の態様では、PB、PBL及びSPBトランスポゼースは、配列番号103又は配列番号104の配列の位置3、46、82、103、119、125、177、180、185、187、200、207、209、226、235、240、241、243、258、296、298、311、315、319、327、328、340、421、436、456、470、486、503、552、570及び591のうちの1つ以上にアミノ酸置換をさらに含むことができ、PCT公開WO2019/173636及びPCT/US2019/049816により詳細に記載されている。
【0233】
PB、PBL又はSPBトランスポゼースは、PCT公開WO2019/173636及びPCT/US2019/049816に詳細に記載されているように、昆虫、脊椎動物、甲殻類又は脊索動物から単離又は誘導することができる。好ましい態様において、PB、PBL又はSPBトランスポゼースは、昆虫Trichoplusia ni(GenBankアクセッション番号AAA87375)又はBombyx mori(GenBankアクセッション番号BAD11135)から単離又は誘導される。
【0234】
高活性PB又はPBLトランスポゼースは、それが由来する天然の変異体よりも活性が高いトランスポゼースである。好ましい態様において、高活性PB又はPBLトランスポゼースは、Bombyx mori又はXenopus tropicalisから単離又は誘導される。過剰活性PB又はPBLトランスポゼースの例は、米国特許第6,218,185号;米国特許第6,962,810号;米国特許第8,399,643号及びWO2019/173636に開示されている。高活性アミノ酸置換のリストは、米国特許第10,041,077号に開示されている。
【0235】
いくつかの態様では、PB又はPBLトランスポゼースは組込みが欠損している。組込み欠損型PB又はPBLトランスポゼースは、対応するトランスポゾンを切り出すことができるが、切り出されたトランスポゾンを対応する野生型トランスポゼースよりも低い頻度で組み込むトランスポゼースである。組込み欠損PB又はPBLトランスポゼースの例は、米国特許第6,218,185号;米国特許第6,962,810号;米国特許第8,399,643号及びWO2019/173636に開示されている。組込み欠損アミノ酸置換のリストは、米国特許第10,041,077号に開示されている。
【0236】
いくつかの態様において、PB又はPBLトランスポゼースは、核局在化シグナルに融合される。核局在化シグナルに融合したPB又はPBLトランスポゼースの例は、米国特許第6,218,185号;米国特許第6,962,810号;米国特許第8,399,643号及びWO2019/173636に開示されている。
【0237】
本開示のトランスポゾンは、Sleeping Beautyトランスポゾンであり得る。トランスポゾンがSleeping Beautyトランスポゾンである場合、トランスポゼースはSleeping Beautyトランスポゼース(例えば、米国特許第9,228,180号)又は過活動Sleeping Beauty(SB100X)トランスポゼースである。好ましい態様において、Sleeping Beautyトランスポゼースは、配列番号105と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる。好ましい態様において、過活動Sleeping Beauty(SB100X)トランスポゼースは、配列番号106と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含み又はそれらからなる。
【0238】
本開示のトランスポゾンは、Helraiserトランスポゾンであり得る。例示的なHelraiserトランスポゾンは、配列番号107と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか、又はそれらからなるHelibat1を含む。ある態様では、トランスポゾンがHelraiserトランスポゾンである場合、トランスポゼースはHelitronトランスポゼースである(例えば、WO2019/173636に開示される)。好ましい態様において、Helitronトランスポゼースは、配列番号108と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0239】
本開示のトランスポゾンは、Tol2トランスポゾンであり得る。逆方向反復、サブターミナル配列及びTol2トランスポゼースを含む例示的なTol2トランスポゾンは、配列番号109と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか又はそれからなる。ある態様において、トランスポゾンがTol2トランスポゾンである場合、トランスポゼースはTol2トランスポゼースである(例えば、WO2019/173636に開示される)。好ましい態様において、Tol2トランスポゼースは、配列番号110と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0240】
本開示のトランスポゾンは、TcBusterトランスポゾンであり得る。ある態様において、トランスポゾンがTcBusterトランスポゾンである場合、トランスポゼースは、TcBusterトランスポゼース又は高活性TcBusterトランスポゼースである(例えば、WO2019/173636に開示される)。TcBusterトランスポゼースは、天然に存在するアミノ酸配列又は非天然に存在するアミノ酸配列を含み得るか、又はそれらから構成され得る。好ましい態様において、TcBusterトランスポゼースは、配列番号111と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。TcBusterトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在する核酸配列又は非天然に存在する核酸配列を含み得るか、又はそれらから構成され得る。好ましい態様において、TcBusterトランスポゼースは、配列番号112と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含むか又はそれからなるポリヌクレオチドによりコードされる。
【0241】
いくつかの態様において、突然変異体TcBusterトランスポゼースは、PCT公開WO2019/173636及びPCT/US2019/049816に詳細に記載されているように、野生型TcBusterトランスポゼースと比較した場合、1つ以上の配列変異を含む。
【0242】
トランスポゾンはナノトランスポゾンである。ナノトランスポゾンは、(a)第1の逆方向末端反復(ITR)をコードする配列、第2の逆方向末端反復(ITR)をコードする配列、及びITR間配列を含む、トランスポゾンインサートをコードする配列;(b)骨格をコードする配列であって、骨格をコードする配列は、端点を含めて1~450ヌクレオチドを有する複製起点をコードする配列、及び端点を含めて1~200ヌクレオチドを有する選択マーカーをコードする配列を含む骨格をコードする配列、ならびに(c)ITR間配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの態様において、(c)のITR間配列は(b)の配列を含む。いくつかの態様において、(a)のITR間配列は(b)の配列を含む。
【0243】
骨格をコードする配列は、端点を含めて1~600ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの態様では、骨格をコードする配列は、1~50ヌクレオチド、50~100ヌクレオチド、100~150ヌクレオチド、150~200ヌクレオチド、200~250ヌクレオチド、250~300ヌクレオチド、300~350ヌクレオチド、350~400ヌクレオチド、400~450ヌクレオチド、450~500ヌクレオチド、500~550ヌクレオチド、550~600ヌクレオチドからなり、それぞれの範囲は端点を含む。
【0244】
ITR間配列は、端点を含む1~1000ヌクレオチドを含み得る。いくつかの態様において、ITR間配列は、1~50ヌクレオチド、50~100ヌクレオチド、100~150ヌクレオチド、150~200ヌクレオチド、200~250ヌクレオチド、250~300ヌクレオチド、300~350ヌクレオチド、350~400ヌクレオチド、400~450ヌクレオチド、450~500ヌクレオチド、500~550ヌクレオチド、550~600ヌクレオチド、600~650ヌクレオチド、650~700ヌクレオチド、700~750ヌクレオチド、750~800ヌクレオチド、800~850ヌクレオチド、850~900ヌクレオチド、900~950ヌクレオチド、又は950~1000ヌクレオチドからなり、各範囲は端点を含む。
【0245】
ナノトランスポゾンは、短いナノトランスポゾン(SNT)であり得、ここで、ITR間配列は、端点を含む1~200ヌクレオチドを含む。ITR間配列は、1~10ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、20~30ヌクレオチド、30~40ヌクレオチド、40~50ヌクレオチド、50~60ヌクレオチド、60~70ヌクレオチド、70~80ヌクレオチド、80~90ヌクレオチド、又は90~100ヌクレオチドからなり、各囲は端点を含む。
【0246】
端点を含む1~200ヌクレオチドを有する選択マーカーは、スクロース選択マーカーをコードする配列を含むことができる。スクロース選択マーカーをコードする配列は、RNA-OUT配列をコードする配列を含むことができる。RNA-OUT配列をコードする配列は、137塩基対(bp)を含み得るか、又はそれから構成され得る。端点を含む1~200ヌクレオチドを有する選択マーカーは、蛍光マーカーをコードする配列を含むことができる。端点を含む1~200ヌクレオチドを有する選択マーカーは、細胞表面マーカーをコードする配列を含むことができる。
【0247】
端点を含む1~450ヌクレオチドを有する複製起点をコードする配列は、ミニ複製起点をコードする配列を含むことができる。いくつかの態様において、端点を含む1~450ヌクレオチドを有する複製起点をコードする配列は、R6K複製起点をコードする配列を含む。R6K複製起点は、R6Kガンマ複製起点を含むことができる。R6K複製起点は、R6Kミニ複製起点を含むことができる。R6K複製起点は、R6Kガンマミニ複製起点を含むことができる。R6Kガンマミニ複製起点は、281塩基対(bp)を含み得るか、又はそれから構成され得る。
【0248】
ナノトランスポゾンのいくつかの態様において、骨格をコードする配列は、組換え部位、切り出し部位、連結部位、又はそれらの組み合わせを含まない。いくつかの態様において、ナノトランスポゾンも骨格をコードする配列も組換え部位、切り出し部位、連結部位又はそれらの組み合わせの産物を含まない。いくつかの態様において、ナノトランスポゾンも骨格をコードする配列も組換え部位、切り出し部位、連結部位又はそれらの組み合わせに由来しない。
【0249】
ナノトランスポゾンのいくつかの態様において、組換え部位は、組換え事象から生じる配列を含む。ある態様において、組換え部位は、組換え事象の産物である配列を含む。いくつかの態様において、組換え事象は、組換え酵素(例えば、リコンビナーゼ部位)の活性を含む。
【0250】
ナノトランスポゾンのいくつかの態様において、骨格をコードする配列は、外来DNAをコードする配列をさらに含まない。
【0251】
ナノトランスポゾンのいくつかの態様において、ITR間配列は、組換え部位、切り出し部位、連結部位、又はそれらの組み合わせを含まない。いくつかの態様において、ITR間配列は、組換え事象、切り出し事象、連結事象、又はそれらの組み合わせの生成物を含まない。いくつかの態様において、ITR間配列は、組換え事象、切り出し事象、連結事象、又はそれらの組み合わせに由来しない。いくつかの態様において、ITR間配列は、外来DNAをコードする配列を含む。いくつかの態様において、ITR間配列は、インスレーターをコードする少なくとも1つの配列、及び哺乳動物細胞において外因性配列を発現することができるプロモーターをコードする配列を含む。哺乳動物細胞はヒト細胞であり得る。いくつかの態様において、ITR間配列は、インスレーターをコードする第一の配列、哺乳動物細胞において外因性配列を発現することができるプロモーターをコードする配列、及びインスレーターをコードする第二の配列を含む。いくつかの態様において、ITR内配列は、インスレーターをコードする第一の配列、哺乳動物細胞において外因性配列を発現することができるプロモーターをコードする配列、ポリアデノシン(ポリA)配列、及びインスレーターをコードする第二の配列を含む。いくつかの態様において、ITR内配列は、インスレーターをコードする第一の配列、哺乳動物細胞において外因性配列を発現することができるプロモーターをコードする配列、少なくとも1つの外因性配列、ポリアデノシン(ポリA)配列、及びインスレーターをコードする第二の配列を含む。
【0252】
ナノトランスポゾンは、PCT/US2019/067758に詳細に記載されている。
【0253】
ベクターシステム
本開示のベクターは、ウイルスベクター又は組換えベクターであり得る。ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス又はそれらの任意の組合せから単離又は誘導される配列を含むことができる。ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離又は由来する配列を含み得る。ウイルスベクターは、組換えAAV(rAAV)を含み得る。例示的なアデノ随伴ウイルス及び組換えアデノ随伴ウイルスは、本開示のscFv又はCARをコードする配列の隣にシスに位置する2つ以上の逆末端反復(ITR)配列を含む。例示的なアデノ随伴ウイルス及び組換えアデノ随伴ウイルスには、すべての血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9)が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアデノ随伴ウイルス及び組換えアデノ随伴ウイルスは、限定されるものではないが、1つの血清型のゲノム及び別の血清型(例えば、AAV2/5、AAV-DJ及びAAV-DJ8)のカプシドを含む自己相補性AAV(scAAV)及びAAVハイブリッドを含む。例示的なアデノ随伴ウイルス及び組換えアデノ随伴ウイルスは、rAAV-LK03を含むが、これらに限定されない。
【0254】
本開示のベクターは、ナノ粒子であり得る。ナノ粒子ベクターの非限定的な例には、核酸(例えば、RNA、DNA、合成ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、又はそれらの任意の組み合わせ)、アミノ酸(L-アミノ酸、D-アミノ酸、合成アミノ酸、修飾アミノ酸、又はポリマー(例えば、ポリマーソーム)、ミセル、脂質(例えば、リポソーム)、有機分子(例えば、炭素原子、シート、繊維、チューブ)、無機分子(例えば、リン酸カルシウム又は金)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ナノ粒子ベクターは、受動的又は能動的に細胞膜を横切って輸送され得る。
【0255】
本明細書に開示される細胞送達組成物(例えば、トランスポゾン、ベクター)は、治療用タンパク質又は治療剤をコードする核酸を含み得る。治療用タンパク質の例としては、PCT公開WO2019/173636及びPCT/US2019/049816に開示されているものが挙げられる。
【0256】
誘導性アポトーシス促進性ポリペプチド
本明細書に開示される誘導性アポトーシス誘導性ポリペプチドは、本開示の誘導性アポトーシス誘導性ポリペプチドは、免疫原性がはるかに低いため、既存の誘導性ポリペプチドよりも優れている。誘導性プロアポトーシスポリペプチドは、組換えポリペプチドであり、従って、天然に存在しない。さらに、組換えされて、宿主ヒト免疫系が「非自己」として認識することができた非ヒト配列を含まない誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドを生成し、その結果、誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドを受け取る対象、誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドを含む細胞、又は誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドを含む組成物を含む細胞において免疫応答を誘導し得る。
【0257】
本開示は、リガンド結合領域、リンカー、及びアポトーシス促進ペプチドを含む誘導可能なアポトーシス促進性ポリペプチドを提供し、ここで、誘導可能なアポトーシス促進性ポリペプチドは、ヒト以外の配列を含まない。特定の態様において、非ヒト配列は、制限部位を含む。ある態様において、リガンド結合領域は、多量体リガンド結合領域であり得る。特定の態様において、アポトーシス促進ペプチドはカスパーゼポリペプチドである。カスパーゼポリペプチドの非制限的な例としては、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、及びカスパーゼ14が含まれる。好ましくは、カスパーゼポリペプチドはカスパーゼ9ポリペプチドである。カスパーゼ9ポリペプチドは、切断されたカスパーゼ9ポリペプチドであり得る。誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドは、天然に存在しないことができる。カスパーゼがカスパーゼ9又は切断されたカスパーゼ9である場合、誘導可能なアポトーシス促進性ポリペプチドは、「iC9安全スイッチ」とも呼ばれ得る。
【0258】
誘導性カスパーゼポリペプチドは、(a)リガンド結合領域、(b)リンカー、及び(c)カスパーゼポリペプチドを含み得、ここで、誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドは、ヒト以外の配列を含まない。ある態様において、誘導性カスパーゼポリペプチドは、(a)リガンド結合領域、(b)リンカー、及び(c)切断されたカスパーゼ9ポリペプチドを含み、ここで、誘導性アポトーシス促進性ポリペプチドは、ヒト以外の配列を含まない。
【0259】
リガンド結合領域は、FK506結合タンパク質12(FKBP12)ポリペプチドを含むことができる。FK506結合タンパク質12(FKBP12)ポリペプチドを含むリガンド結合領域のアミノ酸配列は、配列の36位での修飾を含むことができる。この修飾は、36位(F36V)でのフェニルアラニン(F)に対するバリン(V)の置換であり得る。FKBP12ポリペプチドは、配列番号113と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができる。FKBP12ポリペプチドは、配列番号114と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。
【0260】
リンカー領域は、配列番号115と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができ、又はリンカーは、配列番号116と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。いくつかの態様において、リンカーをコードする核酸配列は、制限部位を含まない。
【0261】
切断型カスパーゼ9ポリペプチドは、配列の87位にアルギニン(R)を含まないアミノ酸配列を含み得る。あるいは又はさらに、切断されたカスパーゼ9ポリペプチドは、配列282位でアラニン(A)を含まないアミノ酸配列を含み得る。切断型カスパーゼ9ポリペプチドは、配列番号117と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができ、又は切断型カスパーゼ9ポリペプチドは、配列番号118と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。
【0262】
ポリペプチドが切断型カスパーゼ9ポリペプチドを含む場合の特定の態様において、誘導性アポトーシス促進ポリペプチドは、配列番号119と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができ、又は誘導性アポトーシス促進ポリペプチドは、配列番号120と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。
【0263】
ポリペプチドが切断型カスパーゼ9ポリペプチドを含む場合の特定の態様において、誘導性アポトーシス促進ポリペプチドは、配列番号172と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができ、又は誘導性アポトーシス促進ポリペプチドは、配列番号173と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一である核酸配列を含む又はそれからなるポリヌクレオチドによりコード化することができる。
【0264】
誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドは、その細胞において誘導性アポトーシス誘発性ポリペプチドの発現を開始及び/又は調節することができる当該技術分野で公知の任意のプロモーターの転写調節下で、細胞内で発現され得る。
【0265】
誘導性プロアポトーシスポリペプチドの活性化は、例えば、誘導剤によって媒介される化学的に誘導された二量化(CID)を介して、条件的に制御されたタンパク質又はポリペプチドを生成することによって達成することができる。アポトーシス促進性ポリペプチドは、誘導可能であるだけでなく、不安定な二量化剤の分解又は単量体競合阻害剤の投与のために、これらのポリペプチドの誘導も可逆的である。
【0266】
特定の態様では、リガンド結合領域が、36位のフェニルアラニン(F)をバリン(V)に置換したFKBP12ポリペプチド(F36V)を含む場合、誘導剤は、AP1903、合成薬物(CASインデックス名:2-ピペリジンカルボン酸、1-[(2S)-1-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]-、1,2-エタンジイルビス[イミノ(2-オキソ-2,1-エタンジイル)オキシ-3,1-フェニレン[(1R)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピリデン]]エステル、[2S-[1(R*),2R*[S*[S*[1(R*),2R*]]]]]-(9Cl)CAS登録番号:195514-63-7;分子式:C78H98N4O20;分子量:1411.65));AP20187(CAS登録番号:195514-80-8及び分子式:C82H107N5O20)又はAP20187類似体、例えばAP1510を含むことができる。本明細書中で使用されるように、誘導剤AP20187、AP1903及びAP1510は、互換的に使用することができる。
【0267】
誘導性アポトーシス誘発ペプチド及びこれらのペプチドを誘導する方法は、米国特許公開WO2019/0225667及びPCT公開番号WO2018/068022に詳細に記載されている。
【0268】
キメラ刺激受容体と組換えHLA-Eポリペプチド
任意の患者に投与するために「普遍的に」安全である養子細胞組成物は、同種反応性の有意な減少又は除去を必要とする。この目的のために、開示の細胞(例えば、同種異系細胞)を修飾して、T細胞受容体(TCR)及び/又はクラスの主要組織適合性複合体(MHC)の発現又は機能を中断することができる。TCRは移植片対宿主(GvH)反応を媒介するが、MHCは宿主対移植片(HvG)反応を媒介する。好ましい態様において、TCRの任意の発現及び/又は機能は、対象に死を引き起こし得るT細胞媒介GvHを防止するために除去される。従って、好ましい態様において、本開示は、純粋なTCR陰性同種T細胞組成物(例えば、組成物の各細胞は、検出不能又は存在しないような低レベルで発現する)を提供する。
【0269】
MHCクラスI(MHC-I、具体的には、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C)の発現及び/又は機能は、HvGを防止し、結果的に対象における細胞の生着を改善するために減少又は排除される。改良された生着は、細胞のより長い持続性をもたらし、従って、対象に対するより大きな治療ウインドウをもたらす。具体的には、MHC-I、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)の構造要素の発現及び/又は機能は、減少又は排除される。
【0270】
上記の戦略は、さらなる挑戦を誘発する。T細胞におけるT細胞受容体(TCR)ノックアウト(KO)は、TCR複合体の一部であるCD3-ゼータ(CD3z又はCD3ζ)の発現の喪失をもたらす。TCR-KO T-細胞におけるCD3ζの喪失は、アゴニスト抗CD3 mAbを含むが、これらに限定されない標準的な刺激/活性化試薬を用いて、これらの細胞を最適に活性化及び拡大する能力を劇的に低下させる。TCR複合体のいずれかの成分の発現又は機能が中断されると、複合体のすべての成分が失われ、TCR-アルファ(TCRα)、TCR-ベータ(TCRβ)、CD3-ガンマ(CD3γ)、CD3-イプシロン(CD3ε)、CD3-デルタ(CD3δ)、及びCD3-ゼータ(CD3ζ)が含まれる。T細胞の活性化と増殖には、CD3εとCD3ζが必要である。アゴニスト抗CD3 mAbは、典型的には、CD3ε及びおそらく複合体内の別のタンパク質を認識し、次に、それは、CD3ζにシグナルを送る。CD3ζは、T細胞の活性化と増殖を最適にするための(二次共刺激シグナルとともに)一次刺激となる。正常な条件下では、完全なT細胞活性化は、免疫応答を促進する1つ以上の補助刺激受容体(例えば、CD28、CD2、4-1BBL)によって媒介される第2のシグナルとTCRの結合に依存する。しかし、TCRが存在しない場合、アゴニスト抗CD3 mAbを含む標準的な活性化/刺激試薬を用いて刺激すると、T細胞増殖が著しく低下する。実際、T細胞増殖は、アゴニスト抗CD3 mAbを含む標準的な活性化/刺激試薬を用いて刺激すると、正常な拡大レベルのわずか20~40%にまで低下する。
【0271】
従って、本開示は、(a)活性化成分を含むエクトドメインであって、活性化成分が単離されるか、第1のタンパク質から誘導されるエクトドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含むエンドドメインであって、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが単離されるか、又は第2のタンパク質から誘導される、エンドドメインとを含む、非天然に存在するキメラ刺激受容体(CSR)を提供し、ここで、第1のタンパク質及び第2のタンパク質は同一ではない。
【0272】
活性化成分は、T細胞受容体(TCR)の成分、TCR複合体の成分、TCR共受容体の成分、TCR共刺激タンパク質の成分、TCR阻害タンパク質の成分、サイトカイン受容体、及び活性化成分のアゴニストが結合するケモカイン受容体の1つ以上の一部を含み得る。活性化成分は、アゴニストが結合するCD2細胞外ドメイン又はその一部を含むことができる。
【0273】
シグナル伝達ドメインは、ヒトシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)、TCR複合体の成分、TCR補助受容体の成分、TCR補助刺激タンパク質の成分、TCR抑制タンパク質の成分、サイトカイン受容体、及びケモカイン受容体の1つ以上を含み得る。シグナル伝達ドメインは、CD3タンパク質又はその一部を含むことができる。CD3タンパク質は、CD3ζタンパク質又はその一部を含むことができる。
【0274】
エンドドメインは、さらに、細胞質ドメインを含み得る。細胞質ドメインは、単離され得るか、又は第三のタンパク質から誘導され得る。最初のタンパク質と3番目のタンパク質は同じである。エクトドメインは、シグナルペプチドをさらに含むことができる。シグナルペプチドは、4番目のタンパク質から誘導することができる。最初のタンパク質と4番目のタンパク質は同じである。膜貫通ドメインは、単離され得るか、又は5番目のタンパク質から誘導され得る。最初のタンパク質と5番目のタンパク質は同一である。
【0275】
いくつかの態様において、活性化成分は、天然に存在する分子に結合しない。いくつかの態様において、活性化成分は、天然に存在する分子に結合するが、CSRは、活性化成分の天然に存在する分子への結合時にシグナルを変換しない。いくつかの態様において、活性化成分は、非天然分子に結合する。いくつかの態様において、活性化成分は、天然に存在する分子に結合しないが、非天然に存在する分子に結合する。CSRは、活性化成分の非天然分子への結合時にシグナルを選択的に変換することができる。
【0276】
好ましい態様において、本開示は、(a)シグナルペプチド及び活性化成分を含むエクトドメインであって、シグナルペプチド又はその一部を含み、活性化成分がCD2細胞外ドメイン又はアゴニストが結合するその一部を含むエクトドメイン;(b)膜貫通ドメインがCD2膜貫通ドメイン又はその一部を含む膜貫通ドメイン;及び(c)細胞質ドメイン及び少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含むエンドドメインであって、細胞質ドメインがCD2細胞質ドメイン又はその一部を含み、かつ少なくとも1つのシグナル伝達ドメインがCD2細胞質ドメイン又はその一部を含み、かつ少なくとも1つのシグナル伝達ドメインがCD3ζタンパク質又はその一部を含む、非天然キメラ刺激受容体(CSR)を提供する。いくつかの態様において、非天然CSRは、配列番号121と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、非天然CSRは、配列番号121のアミノ酸配列を含む。
【0277】
本開示はまた、エクトドメインが修飾を含む、非天然のキメラ刺激受容体(CSR)を提供する。修飾は、活性化成分又は第1のタンパク質の野生型配列と比較した場合、活性化成分又は第1のタンパク質のアミノ酸配列の突然変異又は切断を含むことができる。活性化成分のアミノ酸配列の突然変異又は切断は、アゴニストが結合するCD2細胞外ドメイン又はその一部の突然変異又は切断を含むことができる。CD2細胞外ドメインの突然変異又は切断は、天然に存在するCD58との結合を減少又は排除することができる。いくつかの態様において、突然変異又は切断を含むCD2細胞外ドメインは、配列番号122と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、突然変異又は切断を含むCD2細胞外ドメインは、配列番号122のアミノ酸配列を含む。
【0278】
好ましい態様では、本開示は、(a)シグナルペプチド及び活性化成分を含むエクトドメインであって、シグナルペプチド又はその一部を含み、活性化成分がCD2細胞外ドメイン又はアゴニストが結合するその一部を含み、かつCD2細胞外ドメイン又はアゴニストが結合するその一部を含むエクトドメイン;(b)膜貫通ドメインがCD2膜貫通ドメイン又はその一部を含み、膜貫通ドメインがCD2膜貫通ドメイン又はその一部を含む膜貫通ドメイン;及び(c)細胞質ドメイン及び少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含み、細胞質ドメインがCD2細胞質ドメイン又はその一部を含み、かつ少なくとも1つのシグナル伝達ドメインがCD2細胞質ドメイン又はその一部を含み、かつ少なくとも1つのシグナル伝達ドメインがCD3ζタンパク質又はその一部を含む、非天然キメラ刺激受容体(CSR)を提供する。いくつかの態様において、非天然CSRは、配列番号123と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(又はその間の任意のパーセンテージ)同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、非天然CSRは、配列番号123のアミノ酸配列を含む。
【0279】
本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含むトランスポゾン又はベクターを提供する。
【0280】
本開示は、本明細書中に開示された任意のCSRを含む細胞を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含む細胞を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含むベクターを含む細胞を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含むトランスポゾンを含む細胞を提供する。
【0281】
本明細書に開示される修飾された細胞は、同種細胞又は自家細胞であり得る。いくつかの好ましい態様において、修飾された細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、修飾された細胞は、自己T細胞又は修飾された自己CAR T細胞である。いくつかの好ましい態様において、修飾された細胞は、同種T細胞又は修飾された同種CAR T細胞である。
【0282】
本開示は、本明細書において開示される任意のCSRを含む組成物を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含む組成物を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含むベクターを含む組成物を提供する。本開示は、本明細書中に開示されたいずれかのCSRをコードする核酸配列を含むトランスポゾンを含む組成物を提供する。本開示は、本明細書中に開示された修飾された細胞、又は本明細書中に開示された複数の修飾された細胞を含む組成物を含む組成物を提供する。
【0283】
本開示は、(a)T細胞受容体(TCR)をコードする内因性配列の修飾であって、該修飾はTCRの発現レベル又は活性レベルを低下又は排除する、修飾されたT細胞受容体(TCR)、ならびに(b)キメラ刺激受容体(CSR)であって、(i)活性化成分を含むエクトドメインであって、該活性化成分が第1のタンパク質から単離又は由来するもの、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含むエンドドメインであって、該少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが第2のタンパク質から単離又は由来するものを含むキメラ刺激受容体(CSR)を含み、該第1のタンパク質及び該第2のタンパク質は同一ではない、修飾されたTリンパ球(T細胞)を提供する。
【0284】
修飾されたT細胞は、誘導性のアポトーシス促進性ポリペプチドをさらに含むことができる。修飾されたT細胞は、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)をコードする内因性配列の修飾をさらに含むことができ、この修飾は、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI(MHC-I)の発現レベル又は活性レベルを低下させるか又は除去する。
【0285】
修飾されたT細胞は、HLAクラスI組織適合性抗原、アルファ鎖E(HLA-E)ポリペプチドを含む非天然ポリペプチドをさらに含むことができる。HLA-Eポリペプチドを含む非天然ポリペプチドは、B2Mシグナルペプチドをさらに含むことができる。HLA-Eポリペプチドを含む非天然ポリペプチドは、B2Mポリペプチドをさらに含むことができる。HLA-Eポリペプチドを含む非天然ポリペプチドは、リンカーをさらに含み得、ここで、リンカーは、B2MポリペプチドとHLA-Eポリペプチドとの間に位置する。HLA-Eポリペプチドを含む非天然ポリペプチドは、ペプチド及びB2Mポリペプチドをさらに含むことができる。HLA-Eを含む非天然ポリペプチドは、B2Mシグナルペプチドとペプチドとの間に位置する第一のリンカー、及びB2MポリペプチドとHLA-Eをコードするペプチドとの間に位置する第二のリンカーをさらに含むことができる。
【0286】
修飾されたT細胞は、さらに、非天然抗原受容体、治療用ポリペプチドをコードする配列、又はそれらの組み合わせを含むことができる。非天然抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)を含むことができる。
【0287】
CSRは修飾されたT細胞内で一時的に発現することができる。このCSRは修飾されたT細胞内で安定に発現することができる。HLA-Eポリペプチドを含むポリペプチドは、修飾されたT細胞において一時的に発現され得る。HLA-Eポリペプチドを含むポリペプチドは、修飾されたT細胞において安定に発現され得る。誘導性プロアポトーシスポリペプチドは、修飾されたT細胞において一時的に発現され得る。誘導性プロアポトーシスポリペプチドは、修飾されたT細胞において安定に発現され得る。非天然抗原受容体又は治療用タンパク質をコードする配列は、修飾されたT細胞中で一時的に発現され得る。非天然抗原受容体又は治療用タンパク質をコードする配列は、修飾されたT細胞中で安定に発現され得る。
【0288】
本明細書に詳細に記載されるように、dCas9-Clo051を含むRNA誘導融合タンパク質を含むが、これらに限定されない遺伝子編集組成物を用いて、内因性T細胞受容体の発現を標的化し、減少させ、又は排除することができる。好ましい態様において、遺伝子編集組成物は、内因性T細胞受容体をコードする遺伝子、遺伝子の一部、又は遺伝子の調節エレメント(例えば、プロモーター)を標的とし、削除する。TCR-アルファ(TCR-α)を標的化及び欠失させ、TCR-ベータ(TCR-β)を標的化及び欠失させ、ベータ-2-ミクログロブリン(β2M)を標的化及び欠失させるためのガイドRNA(gRNA)鋳型の生成のためのプライマー(T7プロモーター、ゲノム標的配列、及びgRNA足場を含む)の非限定的な例は、PCT出願PCT/US2019/049816に開示されている。
【0289】
限定されるものではないが、dCas9-Clo051を含むRNA誘導融合タンパク質を含む遺伝子編集組成物を用いて、内因性MHCI、MHCII、又はMHCアクチベーターの発現を標的化し、減少させ、又は排除することができる。好ましい態様において、遺伝子編集組成物は、内因性MHCI、MHCII、又はMHCアクチベーターの1つ以上の成分をコードする遺伝子、遺伝子の一部、又は遺伝子の調節エレメント(例えば、プロモーター)を標的にし、欠失させる。MHCアクチベーターを標的とし、欠失させるためのガイドRNA(gRNA)の非限定的な例は、PCT出願PCT/US2019/049816に開示されている。
【0290】
非天然のキメラ刺激受容体、TCR-アルファ(TCR-α)、TCR-ベータ(TCR-β)、及び/又はベータ-2-ミクログロブリン(β2M)をコードする内因性配列の遺伝子修飾、及びHLAクラスI組織適合性抗原、アルファ鎖E(HLA-E)ポリペプチドを含む非天然ポリペプチドの詳細な説明は、PCT出願PCT/US2019/049816に開示されている。
【0291】
製剤、用法・用量及び投与方法
本開示は、本明細書に記載される組成物の投与のための製剤、投与量及び方法を提供する。
【0292】
開示された組成物及び医薬組成物は、限定されないが、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバントなどの任意の適切な助剤の少なくとも1つをさらに含むことができる。薬学的に許容される助剤が好ましい。このような無菌溶液の非限定的な例、及びその調製方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro編、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.(Easton,Pa.)1990、及び“Physician’s Desk Reference”、第25版、Medical Economics(Montvale,N.J.)1998に記載されている。薬学的に許容される担体は、当該技術分野において周知であるか、又は本明細書に記載されるようなタンパク質足場、断片又はバリアント組成物の投与モード、溶解度及び/又は安定性に適したルーチン的に選択することができる。
【0293】
使用に適した薬学的賦形剤及び添加剤の非限定的な例には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、及び炭水化物(例えば、糖、例えば単糖、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖;誘導体化された糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;及び多糖類又は糖ポリマー)であり、これらは、単独又は組み合わせで存在することができ、単独又は組み合わせで、重量又は体積比で1~99.99%を構成する。タンパク質賦形剤の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどの血清アルブミンが挙げられる。緩衝能力でも機能する代表的なアミノ酸/タンパク質成分には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが含まれる。1つの好ましいアミノ酸はグリシンである。
【0294】
使用に適した炭水化物賦形剤の非限定的な例には、単糖、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなど;二糖、例えば、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなど;多糖、例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン;アルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどが挙げられる。好ましくは、炭水化物賦形剤はマンニトール、トレハロース、及び/又はラフィノースである。
【0295】
組成物はまた、緩衝液又はpH調整剤を含むことができ、典型的には、緩衝液は、有機酸又は塩基から調製された塩である。代表的な緩衝液には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩;トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝液が含まれる。好ましい緩衝液は、クエン酸塩のような有機酸塩である。
【0296】
さらに、開示された組成物は、高分子賦形剤/添加剤、例えば、ポリビニルピロリドン、フィコール(高分子糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香味剤、抗菌剤、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)を含むことができる。
【0297】
本明細書中に開示された組成物又は医薬組成物の治療上有効な量を投与するために、多くの公知及び開発されたモードを使用することができる。投与様式の非限定的な例としては、ボーラス、口腔内、注入、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、腔内、細胞内、小脳内、脳室内、結腸内、頸部内、胃内、肝内、病巣内、筋肉内、心筋内、鼻腔内、眼内、骨内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、滑液包内、胸腔内、子宮内、腫瘍内、静脈内、膀胱内、経口、非経口、直腸、舌下、皮下、経皮又は膣手段が挙げられる。
【0298】
本開示の組成物は、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与)又は他の任意の投与で使用するためには、特に溶液又は懸濁液の形態で調製することができ;膣又は直腸への投与で使用するためには特に半固体の形態(非限定的な例としてクリーム、座薬など)で調製することができ;口腔又は舌下に投与するためには、非限定的な例として錠剤又はカプセルの形態で調製することができ;鼻腔内投与するためには、非限定的な例として粉末、点鼻薬、エアロゾールのいずれか、又はいくつかの薬剤の形態で調製することができ;経皮投与するためには、非限定的な例としてゲル、軟膏、ローション、懸濁液、パッチ送達システムのいずれかの形態で調製することができ、パッチ送達システムでは、皮膚構造を変えるか、経皮パッチ内の薬の濃度を大きくするための化学的エンハンサー(ジメチルスルホキシドなど)(『Drug Permeation Enhancement』、Hsieh,D.S.編の中のJunginger他、59~90ページ(Marcel Dekker,Inc.社、ニューヨーク1994年;その全体が参照によって本明細書に組み込まれている)を用いるか、タンパク質とペプチドを含む製剤を皮膚に適用することを可能にする酸化剤(WO98/53847)を用いるか、一過性の輸送経路を作り出すため(電気穿孔など)、又は皮膚を通過する帯電した薬の移動度を大きくするため電場を印加する(イオン導入など)か超音波を適用する(超音波導入など)(アメリカ合衆国特許第4,309,989号と第4,767,402号)(上記の刊行物と特許は、全体が参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0299】
非経口投与のために、本明細書に開示される任意の組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、粒子、粉末、又は凍結乾燥粉末として、関連して製剤化することができ、又は別々に、薬学的に許容される非経口ベヒクルを提供することができる。非経口投与のための製剤は、一般的な賦形剤として、殺菌した水又は生理食塩水、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)、植物起源の油、水素化ナフタレンなどを含むことができる。注射用の水性又は油性の懸濁液は、公知の方法に従って適切な乳化剤又は湿潤剤と懸濁剤を用いることによって調製できる。注射用の薬剤として、非毒性で非経口投与可能な希釈剤(水溶液、溶媒中の殺菌注射溶液又は懸濁液など)が可能である。使用可能なビヒクル又は溶媒として、水、リンゲル溶液、等張生理食塩水などが許容される。通常の溶媒又は懸濁溶媒として、殺菌不揮発性油を使用できる。これらの目的のため、任意の種類の不揮発性油と脂肪酸を使用することができ、その中には天然又は合成又は半合成の脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成又は半合成のモノグリセリド、又はジグリセリド、又はトリグリセリドが含まれる。非経口投与は当該技術分野で知られており、その非限定的な例に含まれるのは、通常の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているガス圧針なし注射装置、米国特許第5,839,446号に記載されているレーザー穿孔装置である(全体が参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0300】
経口投与のための製剤は、腸壁の透過性を人為的に増加させるためのアジュバント(例えば、レゾルシノール及びポリオキシエチレンオレイルエーテル及びn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルのような非イオン界面活性剤)の同時投与、ならびに酵素分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば、膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFF)及びトラシロール)の同時投与に依存する。タンパク質及びタンパク質足場を含む親水性物質の送達のための製剤、ならびに口腔、口腔、口腔、粘膜、鼻腔、肺、膣経膜、又は直腸投与のための少なくとも2つの界面活性剤の組み合わせが、米国特許第6,309,663号に記載されている。経口投与用の固形剤形の有効成分化合物は、スクロース、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギン酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、トラガントガム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成又は半合成ポリマー、及びグリセリドを含む少なくとも1つの添加剤と混合することができる。これらの剤形はまた、他のタイプの添加剤、例えば、不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、パラベン、ソルビン酸、アスコルビン酸、α-トコフェロールなどの保存剤、システインなどの酸化防止剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、着香剤、着香剤などを含むことができる。
【0301】
錠剤及び丸剤は、さらに腸溶コーティング製剤に加工することができる。経口投与用の液体製剤には、医学的使用が許容される乳濁液、シロップ、エリキシル、懸濁液及び溶液製剤が含まれる。これらの製剤は、当該技術分野で通常使用される不活性希釈剤、例えば水を含有することができる。リポソームはまた、インシュリン及びヘパリンのためのドラッグデリバリーシステムとして記載されている(米国特許第4,239,754号)。より最近では、混合アミノ酸(プロテイノイド)の人工ポリマーのミクロスフェアが、医薬を送達するために使用されている(米国特許第4,925,673)。さらに、米国特許第5,879,681号及び米国特許第5,871,753号に記載され、経口的に生物学的活性剤を送達するために使用される担体化合物は、当該技術分野で公知である。
【0302】
肺投与のためには、好ましくは、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、肺又は副鼻腔の下気道に到達するのに有効な粒子サイズで送達される。組成物又は医薬組成物は、吸入による治療剤の投与のために当該技術分野で公知の種々の吸入装置又は鼻装置のいずれかによって送達することができる。患者の副鼻腔又は肺胞にエアロゾール化製剤を沈着させることができるこれらの装置は、計量投与吸入器、ネブライザー(例えば、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー)、乾燥粉末発生器、スプレーヤーなどを含む。全てのこのようなデバイスは、エアロゾール中に本明細書中に記載される組成物又は医薬組成物の分配のための投与に適した製剤を使用することができる。このようなエーロゾルは、溶液(水性及び非水性の両方)又は固体粒子のいずれかで構成することができる。さらに、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物を含むスプレーは、圧力下でノズルを通して少なくとも1つのタンパク質足場の懸濁液又は溶液を強制的に生成することによって製造することができる。定量噴霧吸入器、噴射剤、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物、及び任意の賦形剤又は他の添加剤は、液化圧縮ガスを含む混合物としてキャニスターに含まれる。計量弁の作動により、好ましくは約10μm未満、好ましくは約1μm~約5μm、最も好ましくは約2μm~約3μmのサイズ範囲の粒子を含むエアロゾールとして混合物を放出する。肺投与、製剤及び関連装置のより詳細な説明は、PCT公開第2019/049816に開示されている。
【0303】
粘膜表面を介して吸収するために、組成物は、複数のサブミクロン粒子、粘膜接着性高分子、生物活性ペプチド、及びエマルジョン粒子の粘膜接着を達成することによって粘膜表面を介して吸収を促進する水性連続相を含むエマルジョンを含む(米国特許第5,514,670号)。本開示のエマルジョンの適用に適した粘液表面には、角膜、結膜、口腔、舌下、鼻、膣、肺、胃、腸及び直腸投与経路が含まれ得る。膣又は直腸投与のための製剤、例えば坐薬は、賦形剤として、例えば、ポリアルキレングリコール、バセリン、カカオバターなどを含有することができる。鼻腔内投与のための製剤は固体であり、賦形剤として、例えばラクトースを含有することができ、又は点鼻薬の水溶液又は油溶液であってもよい。口腔内投与のためには、賦形剤には、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、プレゲリネチン化デンプンなどが含まれる(米国特許第5,849,695号)。粘膜投与及び製剤のより詳細な説明は、PCT公開WO2019/049816に開示されている。
【0304】
経皮投与のために、本明細書に開示される組成物又は医薬組成物は、リポソーム又はポリマーナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロカプセル、又はマイクロスフェア(特に断らない限り、集合的にマイクロ粒子と称する)のような送達装置中に封入される。ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びそれらの共重合体などのポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、及びポリホスファゼンなどの合成ポリマー、ならびにコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミン、及び他のタンパク質、アルギネート及び他の多糖類、ならびにそれらの組み合わせなどの天然ポリマーでできた微粒子を含む、多くの適切なデバイスが知られている(米国特許第5,814,599号)。経皮投与、製剤及び適切なデバイスのより詳細な説明は、PCT公開2019/049816に開示されている。
【0305】
開示された化合物を、長期間、例えば、単回投与から1週間から1年間、対象に送達することが望ましい。種々の徐放性剤形、デポ剤形又はインプラント剤形を用いることができる。例えば、剤形は、体液への溶解度が低い化合物の薬学的に許容される非毒性の塩、例えば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノ又はジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などの多塩基酸との酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属カチオンとの塩、又は例えばN,N’-ジベンジルエチレンジアミン又はエチレンジアミンから形成される有機カチオンとの塩;又は(c)(a)及び(b)の組合せ、例えば、タンニン酸亜鉛塩を含有することができる。さらに、開示された化合物、又は好ましくは、今説明したもののような比較的不溶性の塩は、注射に適したゲル、例えばゴマ油を含むモノステアリン酸アルミニウムゲルに製剤化することができる。特に好ましい塩は、亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモ酸塩などである。注射用の別のタイプの徐放性デポ製剤は、例えば米国特許第3,773,919号に記載されているようなポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのような、ゆっくり分解する非毒性の非抗原性ポリマー中にカプセル化するために分散された化合物又は塩を含有するであろう。化合物又は好ましくは比較的不溶性の塩、例えば上述のものもまた、特に動物での使用のために、コレステロールマトリックスシラスティックペレットに製剤化することができる。追加の徐放性製剤、デポ製剤又はインプラント製剤、例えばガス又は液体リポソームは、文献(米国特許第5,770,222号、及び「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems」、J.R.Robinson ed.、Marcel Dekker,Inc.、N.Y.、1978)に公知である。
【0306】
適切な投与量は、当該技術分野で周知である。例えば、Wellsら、編集、Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000);Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,Pa.,2001;Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,N.J.を参照されたい。好ましい用量は、約0.1~99及び/又は100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分数を任意に含み得るか、又は単回若しくは複数回投与当たり約0.1~5000μg/mlの血清濃度、又はその任意の範囲、値若しくは割合を達成する。本明細書に開示される組成物又は医薬組成物の好ましい投与量範囲は、被験者の約1mg/kg、最大約3、約6又は約12mg/kg体重である。
【0307】
あるいは、投与される投与量は、既知の因子、例えば、特定の薬剤の薬力学的特性、その投与のモード及び経路;レシピエントの年齢、健康、及び体重;症状の性質及び程度、同時治療の種類、治療の頻度、及び所望の効果に依存して変化し得る。通常、活性成分の投与量は、体重1kg当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。所望の結果を得るためには、通常、投与当たり0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/kg、又は持続放出形態で効果的である。
【0308】
非限定的な例として、ヒト又は動物の治療は、本明細書に開示される組成物又は薬学的組成物の1回又は定期的な投与量として、1~40日において、1日あたり少なくとも1日約0.1~100mg/kg又はその任意の範囲、値又は割合として提供され得る。又は代替的又は追加的に、1~52週の少なくとも1回、又は代替的又は追加的に1~20年の少なくとも1回、又はそれらの任意の組み合わせで、単一、注入又は反復投与で提供され得る。
【0309】
内服に適した投与形態は、一般に、単位又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含有する。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の全重量に基づいて約0.5~99.999重量%の量で存在するであろう。
【0310】
有効量は、単回(例えば、ボーラス)、複数回又は連続投与当たり約0.001~約500mg/kgの量を含み得るか、又は、本明細書に記載されているか、又は関連技術において公知の方法を用いて行われ、決定されるように、単回、複数回又は連続投与当たり0.01~5000μg/mlの血清濃度、又はその中の任意の有効範囲又は値を達成することができる。
【0311】
本明細書に開示されているように、対象に投与される組成物が修飾された細胞である態様において、細胞は、約1×103及び1×1015細胞;約1×104及び1×1012細胞;約1×105及び1×1010細胞;約1×106及び1×109細胞;約1×106及び1×106細胞;約1×106及び1×107細胞;又は約1×106及び25×106細胞の間で投与することができる。一態様では、細胞は、約5×106~25×106細胞の間で投与される。
【0312】
開示された組成物及び医薬組成物の医薬上許容される賦形剤、製剤、投与量及び投与方法のより詳細な説明は、PCT公開2019/049816に開示されている。
【0313】
開示の組成物の使用方法
本開示は、当該技術分野で知られているように、又は本明細書に記載されているように、開示された組成物及び薬学的組成物を使用して、例えば、細胞、組織、臓器、動物、又は対象に治療有効量の組成物又は薬学的組成物を投与又は接触させることを含む、細胞、組織、臓器、動物、又は対象における疾患又は障害を治療するための、開示された組成物又は医薬組成物の使用を提供する。1つの態様において、対象は哺乳動物である。好ましくは、対象はヒトである。用語「対象」及び「患者」は、本明細書において互換的に使用される。
【0314】
本開示は、細胞、組織、臓器、動物又は対象における少なくとも1つの悪性疾患又は障害を調節又は治療するための方法を提供する好ましくは、悪性疾患はがんである。悪性疾患又は障害の非限定的な例には、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、B細胞、T細胞又はFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、膵臓癌、鼻咽頭癌、悪性組織球症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、固形腫瘍、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、頭部がん、頸部がん、遺伝性非ポリポーシスがん、ホジキンリンパ腫、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞がん、精巣がん、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛などが含まれる。
【0315】
好ましい態様において、悪性疾患又は障害の治療は、養子細胞療法を含む。例えば、1つの態様において、本開示は、それを必要とする対象への投与のために選択及び/又は拡大された抗体(例えば、scFv)を含む少なくとも1つの開示された抗体(例えば、scFv)及び/又はCARを発現する修飾された細胞を提供する。修飾された細胞は、室温及び体温を含む任意の温度で貯蔵するために処方することができる。修飾された細胞は、凍結保存及びその後の解凍のために処方することができる。修飾された細胞は、無菌パッケージングから対象に直接投与するために、薬学的に許容される担体中に処方することができる。修飾された細胞は、最小レベルの細胞機能及びCAR発現を確実にするために、細胞生存率及び/又はCAR発現レベルのインジケーターを用いて、薬学的に許容される担体中に処方することができる。修飾された細胞は、さらなる拡大を阻害し、及び/又は細胞死を防止するために、1つ以上の試薬とともに、所定の密度で、薬学的に許容される担体中に処方することができる。
【0316】
任意のものは、本明細書中に開示される任意の組成物又は医薬組成物の有効量を、そのような調節、治療又は治療を必要とする細胞、組織、臓器、動物又は対象に投与することを含むことができる。このような方法は、任意に、そのような疾患又は障害を治療するための同時投与又は併用療法をさらに含むことができ、ここに、本明細書に開示される任意の組成物又は医薬組成物の投与は、少なくとも1つの化学療法剤(例えば、アルキル化剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品)を同時投与する前に及び/又は後に投与することをさらに含む。
【0317】
いくつかの態様において、対象は、投与後に移植片対宿主(GvH)及び/又は宿主対移植片(HvG)を発現しない。1つの態様において、投与は全身性である。全身投与は、当該技術分野で公知であり、本明細書に詳細に記載される任意の手段であり得る。好ましくは、全身投与は、静脈内注射又は静脈内注入によって行われる。一態様では、投与は局所的である。局所投与は、当該技術分野で公知であり、本明細書に詳細に記載される任意の手段であり得る。好ましくは、局所投与は、腫瘍内注射若しくは点滴、髄腔内注射若しくは点滴、脳室内注射若しくは点滴、眼内注射若しくは点滴、又は骨内注射若しくは点滴による。
【0318】
いくつかの態様において、治療上有効な用量は、単回用量である。いくつかの態様において、単回用量は、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、又は同時に製造されるその間の任意の数の用量のうちの1つである。組成物が自家細胞又は同種細胞であるいくつかの態様において、投与量は、細胞が疾患又は障害を治療するのに十分な時間移植及び/又は持続するのに十分な量である。
【0319】
1つの例において、本開示は、抗体(例えば、scFv)又は抗体(例えば、scFv)を含むCARを、抗体又はCARが腫瘍細胞上の抗原に特異的に結合する組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるがんを治療する方法を提供する。組成物が修飾された細胞又は細胞集団を含む態様において、細胞又は細胞集団は、自家性又は同種性であり得る。
【0320】
本明細書に記載される治療方法のいくつかの態様において、治療は、修飾され得るか、又は終了され得る。具体的には、治療に使用される組成物が誘導性アポトーシス誘導性ポリペプチドを含む態様において、細胞を誘導剤と接触させることによって、アポトーシスを細胞内で選択的に誘導することができる。治療は、例えば、回復の徴候、又は疾患の重症度/進行の低下の徴候、疾患の寛解/停止の徴候、及び/又は有害事象の発生に応答して、修正又は終了され得る。いくつかの態様において、本方法は、細胞療法の修飾を阻害するために誘導剤の阻害剤を投与する工程を含み、それによって、細胞療法の機能及び/又は効力を回復させる工程(例えば、疾患の徴候又は症状が再び現れるか、又は重症度が増加し、及び/又は有害事象が消失した場合)を含む。
【0321】
抗体/scFv産生、スクリーニング及び精製
本開示の少なくとも1つの抗体(例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、VHH、VH、単鎖可変断片(scFv)、抗原結合断片(Fab)又はFab断片)は、細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって、当技術分野でよく知られているように、必要に応じて産生することができる。例えば、Ausubelら、編集、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、Inc.,NY、N.Y.(1987-2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Harlow and Lane,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,N.Y.(1997-2001)を参照されたい。
【0322】
scFvからのアミノ酸は、免疫原性を低減させるか、又は結合、親和性、オンレート、オフレート、アビディティ、特異性、半減期、安定性、溶解性又は当該技術分野で知られている他の適切な特性を低減、増強若しくは修飾するために変更、付加及び/又は欠失され得る。。
【0323】
所望により、scFvは、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性の保持で操作することができる。この目的を達成するために、足場タンパク質は、親配列及び操作された配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念的に操作された生成物の分析プロセスによって、任意に調製され得る。三次元モデルは一般に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補配列の可能性のある三次元立体配座構造を例示し、表示し、可能性のある免疫原性を測定するコンピュータプログラム(例えば、Xencor社のImmunofilterプログラム、カリフォルニア州モンロビア)が利用可能である。これらのディスプレイを検査することにより、候補配列の機能における残基の可能性のある役割、すなわち候補scFvがその抗原に結合する能力に影響する残基の分析を分析することができる。このようにして、残基は、標的抗原に対する親和性のような所望の特徴が達成されるように、親配列及び参照配列から選択及び組み合わせることができる。あるいは、又は上記の手順に加えて、他の適切な工学的方法を使用することもできる。
【0324】
類似のタンパク質又は断片に特異的に結合するscFvのスクリーニングは、ヌクレオチド(DNA又はRNAディスプレイ)又はペプチドディスプレイライブラリー、例えばインビトロディスプレイを用いて都合よく達成することができる。この方法は、所望の機能又は構造を有する個々のメンバーのためのペプチドの大きなコレクションのスクリーニングを含む。表示されるヌクレオチド又はペプチド配列は、3~5000個又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の長さ、しばしば5~100個のアミノ酸の長さ、しばしば約8~25個のアミノ酸の長さであり得る。ペプチドライブラリーを生成するための直接化学合成方法に加えて、いくつかの組換えDNA方法が記載されている。1つのタイプは、バクテリオファージ又は細胞の表面上にペプチド配列を表示することである。各バクテリオファージ又は細胞は、特定の表示されたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む。そのような方法は、PCT特許公開WO91/17271、WO91/18980、WO91/19818、及びWO93/08278に記載されている。
【0325】
ペプチドのライブラリーを生成するための他のシステムは、インビトロ化学合成及び組換え方法の両方の側面を有する。PCT特許公開WO92/05258、WO92/14843、及びWO96/19256を参照されたい。さらに米国特許第5,658,754号、及び同第5,643,768号を参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリー、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(カリフォルニア州Carlsbad)及びCambridge Antibody Technologies(英国ケンブリッジシャー)のようなサプライヤーから市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4,704,692号、同第4,939,666号、同第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号、同第5,518,889号、同第5,534,621号、同第5,656,730号、同第5,763,733号、同第5,767,260号、同第5856456号;Dyaxに譲渡された米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,837,500号;Affymaxに譲渡された米国特許第5,427,908号、同第5,580,717号;Cambridge Antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5,885,793号;Genentechに譲渡された米国特許第5,750,373号;Xomaに譲渡された米国特許第5,618,920号、同第5,595,898号、同第5,576,195号、同第5,698,435号、同第5,693,493号、同第5,698,417号、Colligan,前掲;Ausubel,前掲;又はSambrook前掲を参照されたい。
【0326】
本開示のscFvは、広範囲の親和性(KD)でヒト又は他の哺乳動物タンパク質と結合することができる。好ましい態様では、本開示の少なくとも1つのscFvは、所望により、当業者によって実施されるよう、表面プラズモン共鳴又はKinexa法によって決定した場合、高親和性で、例えば、約10-7M以下のKDで、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲又は値)×10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、10-15又はその中の任意の範囲又は値で標的タンパク質に結合することができる。
【0327】
抗原に対するscFvの親和性又は結合活性は、任意の適切な方法を用いて実験的に決定することができる(例えば、Berzofskyら,“Antibody-Antigen Interactions,”In Fundamental Immunology,Paul,W.E.編集,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);及びそこに記載される方法を参照されたい)。特定のscFv-抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に変化し得る。従って、親和性及び他の抗原結合パラメーター(例えば、KD、Kon、Koff)の測定は、好ましくは、タンパク質足場及び抗原の標準溶液、ならびに本明細書に記載される緩衝液のような標準化緩衝液を用いて行う。
【0328】
どのタンパク質、抗体、及び他のアンタゴニストが、本開示のscFvと標的タンパク質への結合に関して競合するか、及び/又はエピトープ領域を共有するかを決定するために、本開示のscFvを用いて競合アッセイを実施することができる。これらのアッセイは、当業者に容易に知られているように、タンパク質上の限られた数の結合部位に対するアンタゴニスト又はリガンド間の競合を評価する。タンパク質及び/又は抗体は、競合の前又は後に固定化又は不溶化され、標的タンパク質に結合した試料は、例えば、デカンティング(タンパク質/抗体が事前に不溶化された場合)又は遠心分離(競合反応後にタンパク質/抗体が沈降した場合)によって、非結合試料から分離される。また、競合結合は、機能が標的タンパク質へのscFvの結合又は結合の欠如によって変化するかどうか、例えば、scFv分子が、例えば、標識の酵素活性を阻害又は増強するかどうかによって決定され得る。当該技術分野で周知のように、ELISA及び他の機能的アッセイを使用することができる。
【0329】
核酸分子
scFvをコードする開示の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA又は他の任意の形態のようなRNAの形態であってもよく、又はDNAの形態であってもよく、これには、クローニング又は合成的に生産されたcDNA及びゲノムDNA、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。DNAは、三本鎖、二本鎖又は一本鎖、又はそれらの任意の組合せであり得る。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよく、又はアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であってもよい。
【0330】
本開示の単離された核酸分子は、場合により、1つ以上のイントロン、例えば、少なくとも1つのscFvの少なくとも1つの特定部分とともに、オープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子;標的タンパク質に結合するタンパク質骨格又はループ領域のコード配列を含む核酸分子;及び上述のものとは実質的に異なるヌクレオチド配列を含むが、遺伝コードの縮重のために、本明細書に記載され、及び/又は当該技術分野で公知のように、依然としてタンパク質骨格をコードする核酸分子を含むことができる。もちろん、遺伝暗号は当該技術分野で周知である。従って、本開示の特異的scFvをコードするそのような縮重核酸変異体を生成することは、当業者にとって日常的であろう。例えば、Ausubelら、上記を参照され、そのような核酸変異体は、本開示に含まれる。
【0331】
本明細書に示されるように、scFvをコードする核酸を含む本開示の核酸分子には、限定されないが、scFv断片のアミノ酸配列を単独でコードするもの;タンパク質足場全体又はその一部のコード配列;scFv、断片又は部分のコード配列、ならびに少なくとも1つのイントロンなどの前述の追加のコード配列を伴う又は伴わない、少なくとも1つのシグナルリーダー又は融合ペプチドのコード配列などの追加の配列、さらに、転写、スプライシング及びポリアデニル化シグナルを含むmRNAプロセシングで役割(例えば、リボソーム結合とmRNAの安定性)を果たす転写された非翻訳配列などの非コード5’及び3’配列を含むがこれらに限定されない追加の非コード配列;追加の機能を提供するものなどの追加のアミノ酸をコードする追加のコード配列が含まれ得る。このようにして、タンパク質足場をコードする配列は、タンパク質足場断片又は部分を含む融合タンパク質足場の精製を容易にするペプチドをコードする配列などのマーカー配列に融合され得る。
【0332】
本明細書に記載のポリヌクレオチドへ選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本開示は、選択的ハイブリダイゼーション条件下で本明細書に開示されたポリヌクレオチドにハイブリダイズする単離された核酸を提供する。従って、ポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本開示のポリヌクレオチドを用いて、寄託ライブラリー中の部分的又は全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。ポリヌクレオチドは、ヒト又は哺乳動物核酸ライブラリーから単離されたゲノム又はcDNA配列であってもよく、又はヒト又は哺乳動物核酸ライブラリーからのcDNAに相補的であってもよい。
【0333】
好ましくは、cDNAライブラリーは、少なくとも80%の全長配列、好ましくは少なくとも85%又は90%の全長配列、より好ましくは少なくとも95%の全長配列を含む。cDNAライブラリーは、希少配列の表現を増加させるために正規化することができる。低又は中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、相補的配列に対して減少した配列同一性を有する配列とともに典型的に使用されるが、それだけではない。中等度及び高度のストリンジェンシー条件を、より大きな同一性の配列のために任意に使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性を有する配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オルソロガス配列又はパラロガス配列を同定するために使用することができる。
【0334】
任意に、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質骨格の少なくとも一部をコードするであろう。ポリヌクレオチドは、本開示のタンパク質足場をコードするポリヌクレオチドへの選択的ハイブリダイゼーションのために用いることができる核酸配列を包含する。例えば、上記のAusubel;上記のColliganを参照されたい。
【0335】
核酸の構築
本開示の単離された核酸は、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)それらの組み合わせを用いて、当該技術分野で周知であるように製造することができる。
【0336】
核酸は、都合よく、本開示のポリヌクレオチドに加えてヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニング部位を核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離を助けることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本開示の翻訳されたポリヌクレオチドの単離を助けることができる。例えば、ヘキサ-ヒスチジンマーカー配列は、本開示のタンパク質を精製するための便利な手段を提供する。コード配列を除いた本開示の核酸は、任意に、本開示のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0337】
さらなる配列を、そのようなクローニング及び/又は発現配列に加えて、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化し、ポリヌクレオチドの単離を助け、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改良することができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野で周知である(例えば、Ausubel、前出;又はSambrook、前出を参照されたい)。
【0338】
核酸構築のための組換え法
本開示の単離された核酸組成物、例えばRNA、cDNA、ゲノムDNA、又はそれらの任意の組合せは、当業者に公知の任意の数のクローニング方法を用いて生物学的供給源から得ることができる。いくつかの態様において、本開示のポリヌクレオチドに厳密な条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを用いて、cDNA又はゲノムDNAライブラリー中の所望の配列を同定する。RNAの単離、及びcDNA及びゲノムライブラリーの構築は、当業者に周知である(例えば、Ausubel、前出;又はSambrook、前出を参照されたい)。
【0339】
核酸のスクリーニング及び単離方法
cDNA又はゲノムライブラリーは、本開示のポリヌクレオチドの配列に基づいてプローブを用いてスクリーニングすることができる。プローブを用いてゲノムDNA又はcDNA配列とハイブリダイズさせて、同じ生物又は異なる生物において相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、種々の程度のハイブリダイゼーションのストリンジェンシーをアッセイに用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒体のいずれかをストリンジェントにすることができることを理解するであろう。ハイブリダイゼーションの条件がより厳しくなるにつれて、二本鎖形成が起こるためには、プローブと標的との間に、より高い程度の相補性がなければならない。ストリンジェンシーの程度は、1つ以上の温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような部分変性溶媒の存在によって制御することができる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内のホルムアミドの濃度の操作を通して、反応体溶液の極性を変化させることによって都合よく変化させる。検出可能な結合に必要な相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒体及び/又は洗浄媒体のストリンジェンシーに従って変化する。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲又は値である。しかしながら、プローブ及びプライマーにおけるわずかな配列変異は、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒体のストリンジェンシーを減少させることによって補償することができることを理解すべきである。
【0340】
RNA又はDNAの増幅方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書に提示された教示及びガイダンスに基づいて、過度の実験を行うことなく開示に従って使用することができる。
【0341】
DNA又はRNA増幅の公知の方法には、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び関連増幅プロセス(例えば、Mullisらによる米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188;Taborらによる米国特許第4,795,699号及び同第4,921,794号;Innisによる米国特許第5,142,033号;Wilsonらによる米国特許第5,122,464号;Innisによる米国特許第5,091,310号;Gyllenstenらによる米国特許第5,066,584号;Gelfandらによる米国特許第4,889,818号;Silverらによる米国特許第4,994,370号;Biswasによる米国特許第4,766,067号;Ringoldによる米国特許第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成の鋳型として標的配列に対するアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらによる米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が含まれ、参考文献の全内容は参照により本明細書に援用される(Ausubel,前掲;又はSambrook前掲を参照されたい)。
【0342】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて、ゲノムDNA又はcDNAライブラリーから直接開示のポリヌクレオチド及び関連遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法は、例えば、発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするため、試料中の所望のmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用するための核酸を作製するため、核酸配列決定のため、又は他の目的のために有用であり得る。インビトロ増幅法により当業者を指揮するのに十分な技術の例は、Berger、前掲、Sambrook、前掲、Ausubel、前掲、Mullisら、米国特許第4,683,202号(1987年);Innisら、PCR Protocols A Guide to Methods and Applications編集、Academic Press Inc.,San Diego,Calif.(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅のための市販のキットは、当該技術分野で公知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。さらに、例えば、T4遺伝子32タンパク質(ベーリンガーマンハイム)を使用して、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0343】
核酸の合成法
本開示の単離された核酸は、公知の方法(例えば、Ausubelら、前述参照)による直接化学合成によって調製することもできる。化学合成は、一般に、一本鎖オリゴヌクレオチドを生成し、これは、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は鋳型として一本鎖を使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、二本鎖DNAに変換され得る。当業者は、DNAの化学合成が約100又はそれ以上の塩基の配列に限定され得るが、より短い配列の連結によってより長い配列を得ることができることを認識するであろう。
【0344】
組換え発現カセット
本開示はさらに、本開示の核酸を含む組換え発現カセットを提供する。本開示の核酸配列、例えば、本開示のタンパク質足場をコードするcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図された宿主細胞におけるポリヌクレオチドの転写を指令する転写開始調節配列に機能し得るように連結された本開示のポリヌクレオチドを含む。異種性及び非異種性(すなわち、内因性)プロモーターの両方を用いて、本開示の核酸の発現を指示することができる。
【0345】
いくつかの態様において、プロモーター、エンハンサー、又は他のエレメントとして機能する単離された核酸を、開示のポリヌクレオチドの非異種形態の適切な位置(上流、下流又はイントロン)に導入して、開示のポリヌクレオチドの発現を上方又は下方制御することができる。例えば、内因性プロモーターは、突然変異、欠失及び/又は置換によってインビボ又はインビトロで修飾することができる。
【0346】
発現ベクター及び宿主細胞
本開示はまた、本開示の単離された核酸分子、組換えベクターで遺伝的に操作された宿主細胞、及び組換え技術による少なくとも1つのタンパク質骨格の産生を含むベクターに関する。例えば、Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照されたい。
【0347】
ポリヌクレオチドは、場合により、宿主中で増殖するための選択マーカーを含むベクターに結合させることができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物中、又は荷電脂質との複合体中に導入される。ベクターがウイルスである場合には、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでパッケージングし、次に宿主細胞に形質導入することができる。
【0348】
DNA挿入物は、適切なプロモーターに機能的に連結されていなければならない。発現構築物は、転写開始部位、終結部位、及び転写領域において翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含むであろう。構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、好ましくは、開始時に開始する翻訳及び翻訳されるmRNAの末端に適切に位置する終止コドン(例えば、UAA、UGA又はUAG)を含み、哺乳動物又は真核細胞の発現に好ましいUAA及びUAGを含む。
【0349】
発現ベクターは、好ましくは、しかし任意に少なくとも1つの選択マーカーを含むであろう。このようなマーカーには、例えば、限定されないが、アンピシリン、ゼオシン(Sh bla遺伝子)、ピューロマイシン(pac遺伝子)、ハイグロマイシンB(hygB遺伝子)、G418/ジェネティシン(neo遺伝子)、DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードし、メトトレキサートに耐性を付与する)、ミコフェノール酸、又はグルタミン合成酵素(GS、米国特許第5,122,464号;同第5,770,359号;同第5,827,739号)、ブラストサイジン(bsd遺伝子)、真核細胞培養の耐性遺伝子、及びアンピシリン、ゼオシン(Sh bla遺伝子)、ピューロマイシン(pac遺伝子)、ハイグロマイシンB(hygB遺伝子)、G418/ジェネティシン(neo遺伝子)、カナマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、カルベニシリン、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシンB、又は大腸菌及び他の細菌又は原核生物で培養するためのテトラサイクリン耐性遺伝子(上記の特許は、参照により完全に本明細書に組み込まれる)が挙げられる。上記宿主細胞のための適切な培養培地及び条件は、当該技術分野で公知である。適切なベクターは、当業者には容易に明らかであろう。宿主細胞へのベクター構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、感染又は他の公知の方法によって行うことができる。このような方法は、当該技術分野、例えば、Sambrook、前掲、1-4及び16-18章;Ausubel、前掲、1、9、13、15、16章に記載されている。
【0350】
発現ベクターは、好ましくは、しかし必要に応じて、本開示の組成物及び方法によって修飾された細胞の単離のための少なくとも1つの選択可能な細胞表面マーカーを含むであろう。本開示の選択可能な細胞表面マーカーは、細胞又は細胞のサブセットを別の定義された細胞のサブセットから区別する表面タンパク質、糖タンパク質、又はタンパク質のグループを含む。好ましくは、選択可能な細胞表面マーカーは、本開示の組成物又は方法によって修飾されたそれらの細胞を、本開示の組成物又は方法によって修飾されないそれらの細胞から区別する。このような細胞表面マーカーには、例えば、限定されないが、CD19、CD271、CD34、CD22、CD20、CD33、CD52、又はそれらの任意の組み合わせの短縮形又は完全長形態などの「指定のクラスター」又は「分類決定因子」タンパク質(しばしば「CD」と略される)が含まれる。細胞表面マーカーはさらに、自殺遺伝子マーカーRQR8(Philip Bら、Blood.2014 Aug 21;124(8):1277-87)を含む。
【0351】
発現ベクターは、好ましくは、しかし必要に応じて、本開示の組成物及び方法によって修飾された細胞の単離のための少なくとも1つの選択可能な薬物耐性マーカーを含むであろう。本開示の選択可能な薬剤耐性マーカーは、野生型又は突然変異体Neo、DHFR、TYMS、FRANCF、RAD51C、GCS、MDR1、ALDH1、NKX2.2、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0352】
開示の少なくとも1つのタンパク質骨格は、融合タンパク質のような修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、さらなる異種機能領域も含むことができる。例えば、さらなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、宿主細胞中、精製中、又はその後の取扱い及び貯蔵中の安定性及び持続性を改善するために、タンパク質足場のN末端に加えることができる。また、ペプチド部分は、精製を容易にするために、開示のタンパク質骨格に加えることができる。このような領域は、タンパク質骨格又はその少なくとも1つの断片の最終調製の前に除去することができる。このような方法は、多くの標準的な実験室マニュアル、例えば、前出のSambrook,前掲,Chapters 17.29-17.42及び18.1-18.74;Ausubel,前掲,Chapters 16,17及び18に記載されている。
【0353】
当業者は、本開示のタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系に精通している。あるいは、本開示の核酸は、本開示のタンパク質足場をコードする内因性DNAを含む宿主細胞においてオン(操作によって)にすることによって、宿主細胞中で発現され得る。このような方法は、例えば、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野で周知である。
【0354】
タンパク質足場、その特定の部分又は変異体の製造に有用な細胞培養物の例は、当該技術分野で公知の細菌、酵母、及び哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば、細胞の単層の形態であるが、哺乳動物細胞懸濁液又はバイオリアクターも使用することができる。無傷のグリコシル化タンパク質を発現することができる多くの適切な宿主細胞株が当技術分野で開発されており、COS-1(例えば、ATCC CRL 1650)、COS-7(例えば、ATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えば、ATCC CRL-10)、CHO(例えば、ATCC CRL 1610)及びBSC-1(例えば、ATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などであり、これらは、例えば、American Type Culture Collection、Manassas、VA(www.atcc.org)から容易に入手可能である。好ましい宿主細胞は、骨髄腫及びリンパ腫細胞のようなリンパ系由来の細胞を含む。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC受入番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC受入番号CRL-1851)である。好ましい態様において、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0355】
これらの細胞の発現ベクターは、限定されるものではないが、以下の発現制御配列、例えば、複製起点;プロモーター(例えば、後期又は初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号;同第5,385,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、EF-1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒトプロモーター;エンハンサー、及び/又はプロセッシング情報部位、例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT抗原ポリA付加部位)、及び転写ターミネーター配列のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、Ausubelら、前出;Sambrookら、前出を参照されたい。本開示の核酸又はタンパク質の生産に有用な他の細胞は、例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines及びHybridomas(www.atcc.org)又は他の公知又は商業的供給源から公知及び/又は入手可能である。
【0356】
真核生物宿主細胞を用いる場合、ポリアデニル化又は転写ターミネーター配列は、典型的には、ベクターに組み込まれる。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル化配列である。転写産物の正確なスプライシングのための配列も含めることができる。スプライシング配列の例は、SV40(Spragueら、J.Virol.45:773-781(1983))由来のVP1イントロンである。さらに、宿主細胞における複製を制御する遺伝子配列を、当該技術分野で公知のように、ベクターに組み込むことができる。
【0357】
scFv精製
scFvは、タンパク質A精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない、周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収及び精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も精製に用いることができる。例えば、各々が全体として参照により本明細書に援用されるColligan, Current Protocols in Immunology,or Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,N.Y.,(1997-2001)、例えば、1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0358】
本開示のscFvには、精製された生成物、化学合成方法の生成物、及び、例えば、大腸菌、酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞を含む、原核生物又は真核生物宿主からの組換え技術により製造された生成物が含まれる。組換え生産手順で使用される宿主に依存して、開示のタンパク質骨格はグリコシル化され得るか又は非グリコシル化され得る。このような方法は、多数の標準的な実験室マニュアルに記載され、例えば、全体として本明細書に援用されるSambrook,前掲,Sections 17.37-17.42;Ausubel,前掲,Chapters 10,12,13,16,18及び20、Colligan,Protein Science,前掲,Chapters 12-14を参照されたい。
【0359】
アミノ酸コード
本開示のタンパク質骨格を構成するアミノ酸は、しばしば省略される。アミノ酸の指定は、当該技術分野においてよく理解されているように、その一文字コード、その三文字コード、名前、又は3つのヌクレオチドコドンによってアミノ酸を指定することによって示すことができる(Alberts,B.,et al.,Molecular Biology of The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,1994を参照されたい)。本開示のタンパク質骨格は、本明細書中に明記されるように、自然発生的又は突然変異及び/又はヒト操作からの1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を含むことができる。機能に必須である本開示のタンパク質骨格中のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニン走査突然変異誘発のような当該技術分野で公知の方法によって同定することができる(例えば、Ausubel,前掲,Chapters 8,15;Cunningham and Wells,Science 244:1081-1085(1989)を参照されたい)。後者の方法は、分子中のすべての残基に単一のアラニン突然変異を導入する。次に、得られた突然変異体分子を、限定されるものではないが、少なくとも1つの中和活性などの生物学的活性について試験する。タンパク質骨格結合に重要な部位は、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識のような構造分析によって同定することもできる(Smithら,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vosら,Science 255:306-312(1992))。
【0360】
当業者が理解するように、本開示は、本開示の少なくとも1つの生物学的に活性なタンパク質骨格を含む。生物学的に活性なタンパク質足場は、天然(非合成)、内因性又は関連する既知のタンパク質足場の比活性の少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~99%以上の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性の測定値をアッセイ及び定量する方法は、当業者に周知である。
【0361】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるように、有機部分の共有結合付着によって修飾されるタンパク質足場及び断片に関する。このような修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、インビボ血清半減期の増加)を有するタンパク質足場断片を生成することができる。有機部分は、直鎖状又は分枝鎖状の親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。特に、親水性ポリマー基は、約800~約120,000ダルトンの分子量を有することができ、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸又は脂肪酸エステル基は、約8~約40個の炭素原子を含むことができる。
【0362】
本開示の修飾されたタンパク質足場及び断片は、抗体に直接的又は間接的に共有結合された1つ以上の有機部分を含むことができる。本開示のタンパク質骨格又は断片に結合される各有機部分は、独立して親水性ポリマー基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「脂肪酸」は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を包含する。「親水性ポリマー基」という用語は、本明細書中で使用される場合、オクタンよりも水に溶解性が高い有機ポリマーを指す。例えば、ポリリジンはオクタンよりも水に溶けやすい。したがって、ポリリジンの共有結合により修飾されたタンパク質足場は、本開示に包含される。本開示のタンパク質足場を修飾するのに適した親水性ポリマーは、直鎖状又は分枝状であり得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンが含まれる。好ましくは、本開示のタンパク質骨格を修飾する親水性ポリマーは、別個の分子実体として約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、下付き文字がダルトンにおけるポリマーの平均分子量であるPEG5000及びPEG20,000を使用することができる。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル、脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換された親水性ポリマーは、適切な方法を用いることによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボキシレートにカップリングさせることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボキシレート(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化)をポリマー上のヒドロキシル基にカップリングさせることができる。
【0363】
本開示のタンパク質足場を修飾するのに適した脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和であってもよく、又は1つ以上の不飽和ユニットを含んでもよい。本開示のタンパク質足場を修飾するのに適した脂肪酸には、例えば、n-ドデカノエート(C12、ラウレート)、n-テトラデカノエート(C14、ミリステート)、n-オクタデカノエート(C18、ステアレート)、n-エイコサノエート(C20、アラキデート)、n-ドコサノエート(C22、ベヘネート)、n-トリアコンタノエート(C30)、n-テトラコンタノエート(C40)、cis-Δ9-オクタデカノエート(C18、オレエート)、全cis-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエノエート(C20、アラキドン酸)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれる。適切な脂肪酸エステルには、直鎖又は分枝鎖状の低級アルキル基を含むジカルボン酸のモノエステルが含まれる。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むことができる。
【0364】
修飾されたタンパク質足場及び断片は、1種以上の修飾剤との反応などの適切な方法を用いて調製することができる。本明細書において用語として使用される「修飾剤」とは、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、それによって修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することができる化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基には、求電子基、例えば、トシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などが含まれる。チオールと反応し得る活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオールなどが挙げられる。アルデヒド官能基はアミナーヒドラジド含有分子にカップリングされ得、アジド基は三価リン酸基と反応してホスホラミデート又はホスホリミド結合を形成し得る。活性化基を分子に導入するための適切な方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,Calif.(1996)参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接結合することができ、又はリンカー部分、例えば、1つ以上の炭素原子が酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子で置換され得る二価C1~C12基を介して結合することができる。適切なリンカー部分としては、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が含まれる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキサン)を、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボン酸との間にアミド結合を形成することによって製造することができる。Boc保護基は、トリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによって生成物から除去することができ、これにより、第一級アミンを、に記載のように、別のカルボキシレートとカップリングさせることができ、又は無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化して、脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成させることができる(例えば、全技術が参照により本明細書に援用されるThompsonら、WO92/16221を参照されたい)。
【0365】
本開示の修飾されたタンパク質足場は、タンパク質足場又は断片を修飾剤と反応させることによって製造することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを用いることによって、非部位特異的な様式でタンパク質骨格に結合することができる。本開示のタンパク質足場の特定の部位に結合された有機部分を含む修飾されたタンパク質足場及び断片は、適切な方法、例えば、逆タンパク質分解(Fischら,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992);Werlenら,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994);Kumaranら,Protein Sci.6(10):2233-2241(1997);Itohら,Bioorg.Chem.,24(1):59-68(1996);Capellasら,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,Calif.(1996)に記載される方法を用いて調製することができる。
【0366】
定義
開示全体を通じて使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明白に他のことを指示しない限り、複数の基準を含む。従って、例えば、「方法」への言及は、複数のそのような方法を含み、「用量」への言及は、当業者に公知の1つ以上の用量及びその等価物への言及を含む。
【0367】
用語「約」又は「ほぼ」は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるか、例えば、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、1つ以上の標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、又は最大10%、又は最大5%、又は最大1%の範囲を意味し得る。別法として、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が出願及びクレームに記載されている場合、別段の記載がない限り、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内の「約」意味の用語が仮定されるべきである。
【0368】
本開示は、単離又は実質的に精製されたポリヌクレオチド又はタンパク質組成物を提供する。「単離された」若しくは「精製された」ポリヌクレオチド若しくはタンパク質、又はそれらの生物学的に活性な部分は、その天然に存在する環境において見出されるように、ポリヌクレオチド若しくはタンパク質に通常付随又は相互作用する成分を実質的に又は本質的に含まない。従って、単離された又は精製されたポリヌクレオチド又はタンパク質は、組換え技術によって生産される場合には他の細胞材料又は培地を実質的に含まず、化学的に合成される場合には化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。最適には、「単離された」ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが由来する生物のゲノムDNA中のポリヌクレオチド(すなわち、ポリヌクレオチドの5’及び3’末端に位置する配列)に天然に隣接する配列(最適にはタンパク質をコードする配列)を含まない。例えば、種々の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが由来する細胞のゲノムDNA中のポリヌクレオチドに天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、又は0.1kb未満のヌクレオチド配列を含むことができる。細胞物質を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、5%、又は1%(乾燥重量)未満の汚染タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。開示のタンパク質又はその生物学的に活性な部分が組換え的に産生される場合、最適な培養培地は、化学的前駆体又は目的の非タンパク質化学物質の約30%、20%、10%、5%又は1%(乾燥重量)未満を表す。
【0369】
本開示は、開示されたDNA配列及びこれらのDNA配列によりコードされるタンパク質の断片及びバリアントを提供する。開示全体を通じて使用される場合、用語「断片」は、DNA配列の一部又はアミノ酸配列の一部、ひいてはそれによってコードされるタンパク質を指す。コード配列を含むDNA配列の断片は、天然タンパク質の生物学的活性を保持し、従って本明細書に記載されているように、DNA認識又は標的DNA配列への結合活性を保持するタンパク質断片をコードすることができる。あるいは、ハイブリダイゼーションプローブとして有用なDNA配列の断片は、一般に、生物学的活性を保持するか、又はプロモーター活性を保持しないタンパク質をコードしない。従って、DNA配列の断片は、少なくとも約20ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、及び本開示の全長ポリヌクレオチドまでの範囲であり得る。
【0370】
本開示の核酸又はタンパク質は、最終目的地ベクターに組み立てることができる標的ベクター中のモノマー単位及び/又は反復単位を前もって組み立てることを含むモジュラーアプローチによって構築することができる。本開示のポリペプチドは、本開示の反復モノマーを含んでもよく、標的ベクター中の反復単位を前もって組み立てることによりモジュラーアプローチにより構築することができ、その後最終目的地ベクター中に組み立てることができる。本開示は、本方法により製造されたポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。本開示は、このモジュラーアプローチを生成したポリペプチドをコードする核酸配列を含む宿主生物及び細胞を提供する。
【0371】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、特に、単一モノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)及びポリエピトープ特異性を有する抗体組成物を包含する。本明細書において定義される本明細書中の抗体の天然又は合成類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子、相同体及びオルソログ(本明細書において総称して「類似体」と称する)を使用することも本明細書の範囲内である。従って、本明細書の一態様によれば、その最も広い意味における用語「本明細書の抗体」は、そのような類似体も包含する。一般に、このような類似体では、本明細書に定義される本明細書の抗体と比較して、1つ以上のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は添加されていてもよい。
【0372】
本明細書で使用される「抗体断片」、及びそのすべての文法的変形は、抗原結合部位又は無傷の抗体の可変領域を含む無傷の抗体の一部として定義され、その部分は、無傷の抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体のアイソタイプに応じて、CH2、CH3、及びCH4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;連続アミノ酸残基(本明細書では「一本鎖抗体断片」又は「一本鎖ポリペプチド」と称する)の1つの連続した配列からなる一次構造を有する任意の抗体断片(限定するわけではないが、(1)一本鎖Fv(scFv)分子(2)1つの軽鎖可変ドメインを含む単鎖ポリペプチド、又は軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含み、結合した重鎖部分を含まない断片;及び(3)1つの重鎖可変領域のみを含む単鎖ポリペプチド、又は結合した軽鎖部分を伴わない重鎖可変領域の3つのCDRを含むそれらの断片;ならびに抗体断片から形成される多特異的又は多価構造を含む)が挙げられる。1つ以上の重鎖を含む抗体断片において、重鎖は、インタクト抗体の非Fc領域に見出される任意の定常ドメイン配列(例えば、IgGアイソタイプにおけるCHI)を含み得る、及び/又はインタクト抗体に見出される任意のヒンジ領域配列を含み得る、及び/又はヒンジ領域配列又は重鎖の定常ドメイン配列に融合又は位置するロイシンジッパー配列を含み得る。用語はさらに、一般に単一のモノマー可変抗体ドメイン(例えば、ラクダ由来)を有する抗体断片を指す単一ドメイン抗体(「sdAB」)を含む。このような抗体断片タイプは、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0373】
「結合」とは、巨大分子間(例えば、タンパク質と核酸の間)の配列特異的で非共有結合的な相互作用をいう。結合相互作用のすべての構成要素が配列特異的である必要はない(例えば、DNA骨格中のリン酸残基の接触)。ただし、相互作用全体が配列特異的であることを条件とする。
【0374】
用語「含む」は、組成物及び方法が、列挙された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することを意図する。組成物及び方法を定義するために使用される場合、「本質的にからなる」とは、意図された目的のために使用される場合、組合せにとって本質的に重要な他の要素を排除することを意味するものとする。従って、本明細書に定義される元素から本質的に構成される組成物は、微量の汚染物質又は不活性担体を排除しないであろう。「からなる」とは、他の成分の微量元素を超えるもの及び実質的な方法工程を排除することをいう。これらの移行用語の各々によって定義される側面は、本開示の範囲内である。
【0375】
用語「エピトープ」は、ポリペプチドの抗原決定基を指す。エピトープは、エピトープに特有の空間的立体配座を有する3つのアミノ酸を含み得る。一般に、エピトープは、少なくとも4個、5個、6個、又は7個のそのようなアミノ酸からなり、より一般的には、少なくとも8個、9個、又は10個のそのようなアミノ酸からなる。アミノ酸の空間的立体配座を決定する方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、X線結晶解析及び二次元核磁気共鳴を含む。
【0376】
本明細書中で使用される「発現」とは、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、及び/又は転写されたmRNAがその後ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
【0377】
「遺伝子発現」とは、遺伝子に含まれる情報を遺伝子産物に変換することをいう。遺伝子産物は、遺伝子(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、shRNA、マイクロRNA、構造RNA、又は任意の他のタイプのRNA)又はmRNAの翻訳によって生成されるタンパク質の直接転写産物であり得る。遺伝子産物には、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、及び編集などのプロセスによって修飾されたRNA、並びに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP-リボシル化、ミリスチル化、及びグリコシル化によって修飾されたタンパク質も含まれる。
【0378】
遺伝子発現の「調節」又は「制御」とは、遺伝子の活性の変化を指す。発現の調節には、遺伝子活性化及び遺伝子抑制が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0379】
用語「操作可能に連結された」又はその同等物(例えば、「操作可能的に連結された」)は、2つ以上の分子が、1つ若しくは両方の分子又はそれらの組み合わせに起因する機能に影響を与えるように相互作用することができるように、互いに対して配置されることを意味する。
【0380】
非共有結合的に連結された成分、及び非共有結合的に連結された成分を製造及び使用する方法が開示されている。種々の構成要素は、本明細書に記載されるように、種々の異なる形態をとることができる。例えば、非共有結合(すなわち、機能的に連結された)タンパク質を使用して、当該技術分野における1つ以上の問題を回避する一時的な相互作用を可能にすることができる。タンパク質のような非共有結合成分が会合及び解離する能力は、所望の活性のためにそのような会合が必要とされる場合にのみ、又は主にそのような会合が必要とされる状況下でのみ、機能的会合を可能にする。結合は、所望の効果を可能にするのに十分な持続時間であってもよい。
【0381】
生物のゲノム中の特定の遺伝子座にタンパク質を導く方法が開示されている。本方法は、DNA局在化成分を提供し、エフェクター分子を提供する工程を含んでもよく、ここで、DNA局在化成分及びエフェクター分子は、非共有結合を介して作動可能に連結することができる。
【0382】
用語「scFv」は、一本鎖可変断片を指す。scFvは、リンカーペプチドと結合した免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーペプチドは、約5~40個のアミノ酸、又は約10~30個のアミノ酸、又は長さ約5、10、15、20、25、30、35、又は40個のアミノ酸であり得る。一本鎖可変断片は、完全な抗体分子に見出される定常Fc領域、従って、抗体を精製するために使用される共通の結合部位(例えば、プロテインG)を欠いている。該用語はさらに、体内であるscFv、細胞の細胞質内で安定であり、細胞内タンパク質に結合し得る抗体を含む。
【0383】
用語「単一ドメイン抗体」は、特異的抗原に選択的に結合することができる単一のモノマー可変抗体ドメインを有する抗体断片を意味する。単一ドメイン抗体は、一般に、長さ約110アミノ酸のペプチド鎖であり、重鎖抗体の1つの可変ドメイン(VH)又は共通IgGを含み、これらは、一般に、抗体全体として抗原に対して類似の親和性を有するが、界面活性剤及び高濃度の尿素に対してより耐熱性で安定である。実施例は、ラクダ又は魚の抗体に由来するものである。あるいは、単一ドメイン抗体は、4つの鎖を有する共通のマウス又はヒトIgGから作製することができる。
【0384】
本明細書中で使用される用語「特異的に結合する」及び「特異的結合」は、異なる抗原の均一な混合物中に存在する特定の抗原に優先的に結合する抗体、抗体断片又はナノボディの能力を指す。いくつかの態様において、特異的結合相互作用は、試料中の望ましい抗原と望ましくない抗原とを区別するであろう。ある態様では、約100倍以上(例えば、約1000倍以上又は10,000倍以上)である。「特異性」とは、免疫グロブリン又はナノボディなどの免疫グロブリン断片が、異なる抗原標的に対して選択的に1つの抗原標的に結合する能力を指し、必ずしも高い親和性を意味しない。
【0385】
「標的部位」又は「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在する場合、結合分子が結合する核酸の一部を規定する核酸配列である。
【0386】
用語「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを指す。一本鎖の描写も相補鎖の配列を規定する。従って、核酸はまた、示された一本鎖の相補鎖を包含し得る。本開示の核酸は、同じ構造を保持するか、又は同じタンパク質をコードする実質的に同一の核酸及びその相補物も含む。
【0387】
本開示のプローブは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得る一本鎖核酸を含み得る。従って、本開示の核酸は、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを指すことができる。
【0388】
本開示の核酸は一本鎖又は二本鎖であり得る。本開示の核酸は、分子の大部分が一本鎖であっても、二本鎖配列を含み得る。本開示の核酸は、分子の大部分が二本鎖であっても、一本鎖配列を含み得る。本開示の核酸には、ゲノムDNA、cDNA、RNA、又はそれらのハイブリッドが含まれ得る。本開示の核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組み合わせを含み得る。本開示の核酸は、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含み得る。本開示の核酸は、非天然アミノ酸修飾を含むように合成することができる。本開示の核酸は、化学合成方法又は組換え方法によって得ることができる。
【0389】
本開示の核酸、その全配列、又はその任意の部分は、天然に存在しないものであってもよい。本開示の核酸は、天然に存在しない1つ以上の突然変異、置換、欠失、又は挿入を含み、全核酸配列を非天然に存在させることができる。本開示の核酸は、1つ以上の重複、逆転又は反復配列を含み得、その結果として生じる配列は天然に存在せず、全核酸配列を非天然に存在させる。本開示の核酸は、天然に存在しない修飾ヌクレオチド、人工ヌクレオチド、又は合成ヌクレオチドを含み、全核酸配列を非天然に存在させることができる。
【0390】
遺伝暗号の重複性を考慮すると、複数のヌクレオチド配列は、任意の特定のタンパク質をコードし得る。そのようなヌクレオチド配列はすべて、本明細書において意図される。
【0391】
本開示全体を通じて使用される場合、用語「機能的に連結された」は、それが空間的に連結されているプロモーターの制御下にある遺伝子の発現を指す。プロモーターは、制御下にある遺伝子の5’(上流)又は3’(下流)に位置することができる。プロモーターと遺伝子との距離は、プロモーターが由来する遺伝子の中で、そのプロモーターとそれが制御する遺伝子との距離とほぼ同じである。プロモーターと遺伝子との距離の変化は、プロモーターの機能を失うことなく対応できる。
【0392】
本開示全体を通じて使用される場合、用語「プロモーター」は、細胞中の核酸の発現を付与、活性化又は増強することができる合成又は天然由来の分子を指す。プロモーターは、発現をさらに増強し、及び/又は同じものの空間的発現及び/又は時間的発現を変化させるために、1つ以上の特異的転写調節配列を含むことができる。プロモーターはまた、転写開始部位から数千塩基対ほど離れた位置に位置する遠位のエンハンサー又はリプレッサーエレメントを含むことができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫及び動物を含む供給源から誘導することができる。プロモーターは、細胞、発現が起こる組織若しくは器官、又は発現が起こる発生段階に関して、又は生理学的ストレス、病原体、金属イオン、又は誘導剤などの外部刺激に応答して、遺伝子成分の発現を構成的又は差次的に調節することができる。プロモーターの代表的な例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、EF-1アルファプロモーター、CAGプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター及びCMV IEプロモーターが含まれる。
【0393】
本開示を通じて使用される「実質的に相補的な」という用語は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540又はそれ以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸の領域全体で第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一である第1の配列を指すか、あるいは2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを指す。
【0394】
本開示を通じて使用される「実質的に同一の」という用語は、第1の配列が第2の配列の相補体に実質的に相補的である場合、第1及び第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540又はそれ以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸の領域全体で、又は核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一であることを指す。
【0395】
開示全体を通じて使用される場合、用語「変異体」は、核酸を記述するために使用される場合、(i)参照されたヌクレオチド配列の一部又は断片;(ii)参照されたヌクレオチド配列又はその一部の相補物;(iii)参照された核酸又はその相補物と実質的に同一である核酸;又は(iv)厳密な条件下で参照された核酸、その相補物、又はそれと実質的に同一である配列とハイブリダイズする核酸を指す。
【0396】
開示全体を通じて使用される場合、用語「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を指す。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体又は酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNA又はRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製性の染色体外ベクターであり得、好ましくは、DNAプラスミドである。ベクターは、DNA配列、RNA配列、又はDNAとRNA配列の両方を有するアミノ酸の組み合わせを含み得る。
【0397】
開示全体を通じて使用される場合、用語「変異体」は、ペプチド又はポリペプチドを記載するために使用される場合、アミノ酸の挿入、欠失、又は保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチド又はポリペプチドを指す。変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照されたタンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質を意味することができる。
【0398】
アミノ酸の保存的置換、すなわち、類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度及び分布)を有する異なるアミノ酸でアミノ酸を置換することは、当該技術分野において、通常、軽微な変化を伴うものとして認識される。これらの小さな変化は、部分的には、当該技術分野で理解されているように、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮することによって同定することができる。Kyteら、J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性指数は、その疎水性と電荷の考察に基づいている。同様のヒドロパシー指数をもつアミノ酸を置き換えても、タンパク質の機能を保持することができる。一態様では、±2のヒドロパシー指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性は、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらす置換を明らかにするためにも用いることができる。ペプチドの文脈におけるアミノ酸の親水性の考察は、そのペプチドの最大局所平均親水性の計算を可能にし、これは、抗原性及び免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な尺度である。米国特許番号4,554,101は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0399】
類似の親水性値を有するアミノ酸の置換は、生物学的活性を保持するペプチド、例えば、免疫原性をもたらすことができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数と親水性は、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。この観察と一致して、生物学的機能に適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、及び他の特性によって明らかにされるように、アミノ酸、特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存すると理解される。
【0400】
本明細書中で使用する場合、「保存的」アミノ酸置換は、下記の表A、B又はCに示すように定義することができる。いくつかの態様において、融合ポリペプチド及び/又はそのような融合ポリペプチドをコードする核酸は、本開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾によって保存的置換を含む。アミノ酸は、物理的性質及び二次及び三次タンパク質構造への寄与によって分類することができる。保存的置換とは、類似の性質を有する別のアミノ酸に対する1つのアミノ酸の置換である。例示的な保存的置換を表Aに示す。
【0401】
【0402】
あるいは、保存アミノ酸は、Lehninger(Biochemistry,Second Edition;Worth Publishers,Inc.NY,N.Y.(1975),pp.71-77)に記載されているようにグループ化することができる(表Bに記載される)。
【0403】
【0404】
あるいは、例示的な保存的置換を表Cに示す。
【0405】
【0406】
本開示のポリペプチドは、アミノ酸残基の1つ以上の挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの任意の組合せ、ならびにアミノ酸残基の挿入、欠失、若しくは置換以外の修飾を有するポリペプチドを含むことが意図されていることが理解されるべきである。本開示のポリペプチド又は核酸は、1つ以上の保存的置換を含み得る。
【0407】
本開示を通じて使用される場合、前述のアミノ酸置換の「1を超える」という用語は、列挙されたアミノ酸置換の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20、又はそれ以上を指す。用語「1を超える」は、列挙されたアミノ酸置換の2、3、4、又は5を指すことができる。
【0408】
本開示のポリペプチド及びタンパク質、それらの全配列又はそれらの任意の部分は、天然に存在しないものであってもよい。本開示のポリペプチド及びタンパク質は、天然に存在しない1つ以上の突然変異、置換、欠失、又は挿入を含み、全アミノ酸配列を非天然に存在させることができる。本開示のポリペプチド及びタンパク質は、1つ以上の重複、逆転又は反復配列を含んでもよく、その結果生じる配列は天然に存在せず、全アミノ酸配列を非天然に存在させる。本開示のポリペプチド及びタンパク質は、天然に存在しない修飾アミノ酸、人工アミノ酸、又は合成アミノ酸を含み、全アミノ酸配列を非天然に存在させることができる。
【0409】
開示全体を通じて使用されるように、「配列同一性」は、デフォルトパラメータ(Tatusova及びMadden、FEMS Microbiol Lett.、1999、174、247-250;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して、National Center for Biotechnology Information(NCBI)ftpサイトから検索することができる2つの配列(bl2seq)をブラストするためのスタンドアロン実行可能BLASTエンジンプログラムを使用することによって決定することができる。用語「同一の」又は「同一性」は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈で使用される場合、各配列の特定の領域にわたって同一である特定のパーセンテージの残基を指す。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列させ、2つの配列を指定された領域にわたって比較し、両方の配列において同一の残基が生じる位置の数を決定し、整合された位置の数を生じさせ、整合された位置の数を指定された領域における位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを生じることによって計算することができる。2つの配列が異なる長さの場合、又はアラインメントが1つ以上のねじれ末端を生じ、比較の指定された領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は分母に含まれるが、計算の分子には含まれない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は同等とみなすことができる。識別は、手動で、又はBLAST又はBLAST2.0のようなコンピュータシーケンスアルゴリズムを使用して行うことができる。
【0410】
本開示全体を通じて使用される場合、用語「内因性」は、標的遺伝子又はそれが導入される宿主細胞に天然に関連する核酸又はタンパク質配列を指す。
【0411】
開示全体を通じて使用される場合、用語「外因性」は、天然に存在する核酸、例えばDNA配列、又は非天然に存在するゲノム位置に位置する天然に存在する核酸配列の非天然に存在する複数コピーを含む、標的遺伝子又はそれが導入される宿主細胞と天然に関連しない核酸又はタンパク質配列を指す。
【0412】
本開示は、DNA配列を含むポリヌクレオチド構築物を宿主細胞に導入する方法を提供する。「導入する」こととは、構築物が宿主細胞の内部へのアクセスを得るような方法で、ポリヌクレオチド構築物を細胞に提示することが意図される。本開示の方法は、ポリヌクレオチド構築物が宿主の1つの細胞の内部へのアクセスを得ることのみによって、宿主細胞にポリヌクレオチド構築物を導入するための特定の方法に依存しない。細菌、植物、真菌及び動物にポリヌクレオチド構築物を導入する方法は、限定されるものではないが、安定な形質転換方法、一過性形質転換方法、及びウイルス媒介方法を含む当該技術分野において公知である。
【実施例】
【0413】
実施例1:ヒト化MUC1-C scFv抗体及びキメラ抗原受容体(CAR)の作製
MUC1-Cのエピトープに特異的に結合する一本鎖抗体を含む抗原認識領域を有するキメラ抗原受容体(CAR)を生成した(
図1A及び1B)。
【0414】
最初の研究として、K562細胞(不死化ヒト慢性骨髄性白血病細胞)、Raji細胞(がんモデルとして使用されるヒト造血細胞株)、MUC1-Cを発現するように修飾されたRaji細胞、活性化T細胞及びRPMI8226細胞(ヒト末梢血B細胞形質細胞腫/骨髄腫細胞株)を含む、MUC1発現を異なる細胞型で評価した(
図2A及び2B)。これらの細胞の各々におけるMUC1発現を、抗MUC1-N抗体で染色することにより評価した。K562細胞については、染色対照ピークは、抗MUC1-N Abピークの左側に見える。Raji細胞では、染色対照ピークは抗MUC1-N Abピークとオーバーラップするが、抗MUC1-N Abピークはより高い。MUC1-Cを発現するように修飾されたRaji細胞では、染色対照ピークは抗MUC1-N Abピークとオーバーラップするが、抗MUC1-N Abピークはより高い。活性化T細胞では、染色対照ピークは抗MUC1-N Abピークの左側に見える。RPMI8226細胞については、染色対照ピークは、抗MUC1-N Abピークの左側に見える。MUC-1Cはまた、乳がん又は乳腺がん(MDA-MB 468、子宮頸がん、膵がん、肺がん、白血病及び多発性骨髄腫)を含む種々のがん細胞株のパネル上に発現される(
図3)。
【0415】
ヒト化MUC1-C scFv CARを作製するために、MUC1-Cを認識するマウスモノクローナル抗体の可変領域のインシリコ相補性決定領域(CDR)移植ヒト化を行った。可変領域(可変重(VH)及び可変軽(VL)の両方)の計算モデル化を行い、CDR領域を変化させることなく、最も適切なヒトVH/VLフレームワーク受容体を同定した;最も適切なヒトVH及びVLフレームワーク受容体は、それぞれ、IVGV1-69 08及びIVGKV6-21 02である。ヒト化プロセスの間、マウスCDRをヒトフレームワーク受容体に移植した。マウスの枠組みとは異なるヒトの枠組み中の残留物が研究された。アクセプターフレームワーク内のヒト残基からマウス残基への逆突然変異は、新しい接触が生じた場合、古い接触が失われた場合、標準的なマウス残基が作られた場合、又は抗原結合領域内で不安定性が予測された場合に設計された。得られたすべての重鎖(4+2変異体(H1B及びH2B))及び軽鎖(3)配列をそれらのアラインメントとともに表示する(
図5A及び5B)。
【0416】
ヒト化MUC1-C scFv CARを生成するために使用される例示的なマウスCDR領域は、以下のアミノ酸配列を含む:CDRH1-NFWMN(配列番号69);CDRH2-QIYPGDGDTNYNGKFKG(配列番号70);CDRH3-SYYRSAWFAY(配列番号71);CDRL1-RASQSIGTSIH(配列番号72);CDRL2-YASESIS(配列番号73);CDRL3-QQSNNWPLT(配列番号74)。いくつかの場合において、CDRH2領域は、ヒト化MUC1-C scFv CARを生成するように突然変異された。これは、QIYPGDGDTNYNAKFKG(配列番号75)のアミノ酸配列を含むCDRH2を含む。
【0417】
例示的なヒト化MUC1-C-scFv CARのダイアグラムを
図4に示す。以下のヒト化MUC1-C CAR構造を用いた:シグナルペプチド(CD8α)-軽鎖-リンカー-重鎖-ヒンジ(CD8α)-膜貫通型(CD8α)-細胞内シグナル伝達(4-1BB)-細胞内シグナル伝達(CD3ζ)。
【0418】
実施例2:ヒト化MUC1-C scFv CAR-T細胞の機能解析
MUC1-C候補CARは、トリシストロン性piggyBacトランスポゾン(EF1αプロモーター-iC9安全スイッチ-T2A-MUC1-C-CAR-T2A-DHFR選択遺伝子)中にサブクローン化され、CAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、正常なヒト血液ドナー由来の汎T細胞を用いて作製された(
図6)。piggyBac修飾細胞の表面上での各候補CARの発現は、Hisタグ付きp62/p58 MUC1タンパク質、次に抗His二次抗体を用いて、トランスポゾンデリバリーから19日後にFACS染色することによって確認された(
図6)。具体的には、CARをコードするトランスポゾンを受け取った模擬(青色)又は抗CD3/CD28ビーズ再活性化(赤色)細胞(48時間の活性化)のいずれかにおけるCARの表面発現について、フローサイトメトリーにより細胞を調べ、データをオーバーレイヒストグラムとして示す;数は、細胞表面上でCARを発現する細胞のパーセンテージを表す。全ての候補MUC1-C CARは、piggyBacク産生CAR-T細胞の表面上で発現され、検出された(
図7)。表2は、非活性化及び活性化T細胞の表面におけるCAR発現の平均蛍光強度(MFI)を示す。
【0419】
【0420】
候補MUC1-C CAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、正常なヒト血液ドナー由来の汎T細胞を用いて作製された。CAR+ T細胞は、表面CD45RA、CD45RO、及びCD62Lの発現のためにトランスポゾンデリバリーから19日後にFACS染色され、TSCM、TCM、TEM、及びTEFF細胞;TSCM(CD45RA+/CD45RO-/CD62L+)、TCM(CD45RA-/CD45RO+/CD62L+)、TEM(CD45RA-/CD45RO+/CD62L-)、TEFF(CD45RA+/CD45RO-/CD62L-)を定義した。結果を表3に示す。全てのpiggyBac産生候補MUC1-C CAR-T細胞集団は、優勢に高レベルの良好なTOA及びTOB細胞を含んでいた。
【0421】
【0422】
全てのpiggyBac産生候補MUC1-C CAR-T細胞集団は、主に高レベルのTSCM及びTOB細胞を含んでいた。
【0423】
候補MUC1-C CAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、正常なヒト血液ドナー由来の汎T細胞を用いて作製された。CAR-T細胞を、種々のE:T比(40:1、20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1、0.625:1、0.313:1)で24時間、トリプルネガティブ乳がん細胞株MDA-MB-468.lucGFP(ルシフェラーゼ(luc)及び緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するMDA-MB-468)と共培養した(
図8)。細胞毒性を測定するためにレポーターシグナルを測定した。MDA-MB-468の死滅は、ライングラフの各CARについて示されている。すべてのCAR+T細胞は、MUC1+ MDA-MB-468の特異的死滅を発現した。模擬T細胞は標的細胞(灰色の点線)を特異的に死滅しなかった。E:Tsの範囲でMDA-MB-468を死滅するためのSEM(試料の平均測定値の標準誤差、3連)を有する曲線下面積を、各CARについて表4に示す。すべてのCAR+ T細胞は、MUC1+ MDA-MB-468の特異的死滅を発現した。
【0424】
【0425】
候補MUC1-C CAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、正常なヒト血液ドナー由来の汎T細胞を用いて作製された。CAR-T細胞を、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するヒトMUC1アイソフォーム10 GenBank NP
001191215.1(MUC1+;赤い棒)を発現するように操作されたRaji細胞株(MUC1-;青い棒)又はRaji細胞株とともに、10:1のE:T比で24時間共培養した(
図9)。細胞毒性を測定するためにレポーターシグナルを測定した。各セルラインの死滅は、棒グラフの各CARについて示され、誤差バーは、三連で実行された試料の標準偏差を表す。すべてのCAR+ T細胞は、MUC1+遺伝子操作されたRaji細胞株の特異的死滅を発現したが、MUC1- Raji細胞に対しては発現しなかった。模擬トランスポゾンT細胞は、Raji標的細胞株も遺伝子操作したRaji標的細胞株も死滅しなかった。
【0426】
実施例3:マウス異種移植モデルを用いたストレス用量での候補ヒト化MUC1-C CAR-T細胞の前臨床評価
マウス異種移植モデルを用いた「ストレス」用量での候補ヒト化MUC1-C CAR-T細胞の前臨床評価のための試験デザインの概略図を
図10に示す。雌NSGマウスに皮下(SC)注射した5×10
6細胞の用量でルシフェラーゼ発現MDA-MB-468.lucGFP(MDA-MB-468)細胞株を用いたマウス異種移植モデルを用いて、「ストレス」用量(4×10
6)での候補MUC1-C CAR-T細胞のインビボ抗腫瘍効果を評価した。本研究では、全候補CAR-T細胞のパネルを選択した。全てのCAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、候補P-MUC1-C-101トランスポゾンのpiggyBac(PB)デリバリーを用いて産生された。マウスにMDA-MB-468を腋窩に注射し、腫瘍が確立された場合に治療した(キャリパー計測により100~200mm
3)。表5は、マウス異種移植モデルを用いた「ストレス」用量での候補ヒト化MUC1-C CAR-T細胞の前臨床評価を示す。全ての処置動物について、キャリパー測定による腫瘍体積評価を、未処置群からの測定値に正規化した。表5は、ビヒクル群及び治療群における腫瘍体積をキャリパー別に示したものである。
【0427】
【0428】
マウスを、異なるCAR候補間の潜在的な有効性の機能的差異を検出する上でより大きな分解能を得るために、P-MUC1-C-101 CAR-Ts候補の「ストレス」用量(4×106)で静注投与した。溶媒及び処置マウスの血液中の全T細胞を、TruCount染色により測定した。賦形剤及び処置マウスの血液中のT細胞の曲線下面積(AUC)を採血から測定し、その結果を表6に示す。
【0429】
【0430】
溶媒及び処置マウスのCD8+ T細胞表現型を決定した。血液中のCD8+ T細胞の表現型を、全動物についてFACS染色により測定し、パーセンテージを、エラーバーをSEMとして、群平均として列挙した。細胞を表面CD45RA、CD45RO、及びCD62Lの発現について染色し、TSCM、TCM、TEM、及びTEFF細胞;TSCM(CD45RA+/CD45RO-/CD62L+)、TCM(CD45RA-/CD45RO+/CD62L+)、TEM(CD45RA-/CD45RO+/CD62L-)、TEFF(CD45RA+CD45RO-/CD62L-)を定義した。試験したすべてのMUC-1C CAR-T細胞について、TSCM及びTCM表現型は、点滴前日、12日目及び19日目に、TEM及びTEFF表現型よりも豊富である。
【配列表】
【国際調査報告】