(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】架橋ポリオレフィン発泡体及びそれを製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C08J 9/12 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
C08J9/12 CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538355
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 US2020062831
(87)【国際公開番号】W WO2021133522
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バーラト アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チエン
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA17
4F074AA20
4F074AA98
4F074AB03
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4F074DA42
4F074DA57
4F074DA59
(57)【要約】
開示されるプロセスは、50℃~250℃の温度での押出条件下で押出機、及びポリマー組成物を含む。ポリマー組成物は、(A)5重量%以上の、第1の溶融温度、Tm1を有するシラン官能化オレフィン系ポリマーと、(B)任意選択で、第2の溶融温度、Tm2を有する非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)高効率シラノール縮合触媒(HEC)と、(D)透過性改質剤と、(E)任意選択で、スコーチ抑制剤と、を含む。このプロセスは、物理的発泡剤をポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することを含む。発泡性組成物は、Tm1の10℃未満~10℃超の発泡温度に冷却される。発泡体組成物を形成するための押出機出口ダイからの発泡性組成物。発泡体組成物は湿気硬化させて、0.010g/cc~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50℃~250℃の温度での押出条件下で、押出機、及び(A)5重量%以上の第1の溶融温度、Tm1を有するシラン官能化オレフィン系ポリマーと、(B)任意選択で、第2の溶融温度、Tm2を有する非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)芳香族スルホン酸触媒である高効率シラノール縮合触媒(HEC)と、(D)透過性改質剤と、(E)任意選択で、スコーチ抑制剤と、を含むポリマー組成物を提供することと、前記押出条件下で、物理的発泡剤を前記ポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することと、前記発泡性組成物を、Tm1の10℃未満~10℃超である発泡温度に冷却することと、前記押出機の出口ダイから前記発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成することと、前記発泡体組成物を湿気硬化させて、0.010グラム/立方センチメートル(g/cc)~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記非シラン官能化ポリオレフィン(B)が存在し、前記プロセスが、Tm2の10℃未満~10℃超である発泡温度で発泡することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記非シラン官能化ポリオレフィン(B)が存在し、Tm1がTm2を超え、前記プロセスが、Tm1の10℃未満~10℃超である発泡温度で発泡することを含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記非シラン官能化ポリオレフィン(B)が存在し、Tm2がTm1を超え、前記プロセスが、Tm2の10℃未満~10℃超である発泡温度で発泡することを含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
105℃~118℃の発泡温度で発泡すること含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記導入することの前に、スコーチ抑制剤を前記ポリマー組成物に添加することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
5分(min)~80minの滞留時間で押出することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
連続気泡を含む発泡体組成物を形成することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
独立気泡を含む発泡体組成物を形成することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
0.1ミリメートル(mm)~5.0mmの気泡径を有する発泡体気泡を含む発泡体組成物を形成することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
12.7mm当たり5個の気泡~12.7mm当たり40個の気泡の気泡数を有する発泡体組成物を形成することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
(A)60.0~99.5重量%のエチレン/シランコポリマーと、(C)0.03~12.0重量%のHECと、(D)0.1~2重量%の透過性改質剤と、を含むポリマー組成物を押し出すことと、前記押出条件下で、物理的発泡剤を前記ポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することと、前記出口ダイから前記発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成することと、前記発泡体組成物を湿気硬化させて、0.015g/cc~0.100g/ccの密度、及び10%~95%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
(A)5重量%~10重量%のTm1を有するエチレン/シランコポリマーと、(B)80重量%~90重量%のTm2を有するLDPEである非シラン官能化ポリオレフィンであって、Tm2が、Tm1よりも大きい、非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)0.03~12.0重量%のHECであって、重量%が、前記ポリマー組成物の総重量に基づく、HECと、(D)0.1~2重量%の透過性改質剤と、を含むポリマー組成物を押し出すことと、前記押出条件下で、物理的発泡剤を前記ポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することと、Tm2の10℃未満~10℃超の発泡温度で、前記出口ダイから前記発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成することと、前記発泡体組成物を湿気硬化させて、0.015g/cc~0.100g/cの密度、及び10%~95%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスから作製された、架橋発泡体組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
低密度ポリオレフィン発泡体は、約200キログラム/立方メートル(0.200g/cc未満)未満の発泡体密度を有し、架橋又は非架橋であり得る。架橋発泡体は、一般に、非架橋発泡体と比較して、優れた物理的特性(例えば、より高い圧縮永久歪み及び耐熱性)を有する。架橋発泡体はまた、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体のいずれかとしてバッチプロセスで製造され得る。しかしながら、架橋発泡体を製造するために使用されるバッチプロセスは、経済的に好ましくなく、高価である化学的発泡剤を必要とすることが多い。
【0002】
非架橋ポリオレフィン発泡体は、典型的には、(i)連続的である押出プロセスで製造され、(ii)より高い製造速度を有し、(iii)バッチプロセスよりも経済的である。押出は、化学的発泡剤よりも安価である物理的発泡剤を用いる。しかしながら、その溶融温度の周辺で生じる半結晶性ポリオレフィンの溶融粘度の急激な変化は、押出において用いられ得る狭い発泡温度範囲をもたらし、それによってポリオレフィン発泡体の製造のための押出プロセスの使用を制限する。
【0003】
フリーラジカル発生剤(例えば、過酸化物、放射線)は、典型的には、ポリオレフィンの架橋を達成するために使用される。しかしながら、過酸化物含有ポリマー組成物の押出が、押出機内で時期尚早に発生する架橋を回避するために低い溶融温度で実行されなければならず、(ii)押出後の高温での追加の加硫工程が、過酸化物を分解し、ポリマーを架橋するのに必要とされるために、過酸化物は押出発泡プロセスと不適合である。放射線は、ダイを出た後に押出発泡体を架橋するために使用することができるが、放射線架橋プロセスは高価であり、限られた浸透深さのために比較的小さい厚さの発泡体のみで有用である。
【0004】
また、アルコキシシラン官能化ポリオレフィンで作製された押出発泡体の水分誘導性架橋も知られている。先行技術で教示されたアルコキシシラン官能化ポリオレフィン押出発泡体の水分誘導性架橋は、シラノール縮合触媒の低い有効性及びサウナ又は熱水浴中の高温及び湿度での必須の押出後水分処理工程のために、不利である。
【0005】
当該技術分野は、広い発泡温度範囲を可能にし、効率的で費用効果が高く、連続気泡及び/又は独立気泡を形成することを可能にする架橋発泡体の製造のための押出プロセスの必要性を認識し、この製造プロセスは、サウナでの硬化及び/又は熱水浴中での硬化などの、高温及び高湿度での押出後処理工程を必要としない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、架橋発泡体の製造のためのプロセスに関し、このプロセスは、発泡温度に広い(±10℃)範囲を提供する。このプロセスは、フリーラジカル架橋(過酸化物なし)を回避し、アルコキシシラン官能化ポリオレフィンを利用し、このプロセスはまた、サウナでの湿気硬化及び/又は熱水浴中での硬化を回避する。
【0007】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、50℃~250℃の温度での押出条件下で押出機、及びポリマー組成物を提供することを含む。ポリマー組成物は、(A)5重量%以上の、第1の溶融温度、Tm1を有するシラン官能化オレフィン系ポリマーと、(B)任意選択で、第2の溶融温度、Tm2を有する非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)高効率シラノール縮合触媒(highly effective silanol condensation catalyst、HEC)と、(D)透過性改質剤と、(E)任意選択で、スコーチ抑制剤と、を含む。このプロセスは、押出条件下で、物理的発泡剤をポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することを含む。このプロセスは、発泡性組成物を、Tm1の10℃未満~10℃超である発泡温度に冷却し、押出機の出口ダイから発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成することを含む。このプロセスは、発泡体組成物を湿気硬化させて、0.010グラム/立方センチメートル(grams per cubic centimeter、g/cc)~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することを含む。
定義
【0008】
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版及び著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの参照も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用してその元素周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。反対のことが記載されないか、文脈から示唆されないか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づく。米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、又は刊行物の内容は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる(又は、それらの同等な米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0009】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値~上限値の全ての値(境界値も含む)を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、又は2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などが含まれる)。
【0010】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0011】
本明細書で使用される場合、「周囲条件」という用語は、10℃~35℃(室温)、0.95~1.05気圧、又は1気圧の圧力を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、その組成物を含む材料の混合物、並びにその組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かに関わらず、任意の追加の構成要素、工程、又は手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかに関わらず、いかなる追加の添加剤、アジュバント、又は化合物も含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の構成要素、工程、又は手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写又は列記されていないいずれの構成要素、工程、又は手順も除外する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「気泡密度」という用語は、発泡体組成物の単位体積中の発泡体気泡の数である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「気泡核形成剤」という用語は、発泡体気泡の成長のための部位を提供する化合物又は組成物である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「独立気泡発泡体」という用語は、発泡体気泡が開口部を有さないポリマー材料の膜壁によって分離される発泡体である。独立気泡容積は、連続気泡発泡体としてのその外部雰囲気と容易に流体連通していない。本明細書で使用される場合、「連続気泡発泡体」という用語は、(i)発泡体気泡を分離するポリマー材料の膜壁が存在しないか、又は(ii)ポリマー材料の膜壁に開口部が存在するものである。連続気泡容積は、その外部雰囲気と流体連通している。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エチレン系(ethylene-based)ポリマー」、又は「エチレン性(ethylenic)ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセントを超える重合エチレンモノマーを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0018】
本明細書で使用される場合、「発泡体」又は「発泡体組成物」という用語は、ポリマーから構成された構造であり、構造は、構造の表面から構造中に、及びそれを通って延在する複数のチャネルを含む。チャネルは、構造の長手方向延長部に対して方向性がない。チャネルは、外部雰囲気と流体連通している複数の発泡体気泡を含む。本明細書で使用される場合、「発泡体気泡」又は「気泡」という用語は、発泡体組成物内の別個の空間である。発泡体気泡は、発泡体組成物のポリマーを含む膜壁によって分離されるか、又は別様に定義される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「発泡体潰れ」という用語は、用いられる発泡温度でダイを通過する際に十分に膨張することができない発泡性組成物である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「フリーズオフ(freeze off)」という用語は、発泡性組成物を冷却するために使用される押出発泡プロセスのセクションで凝固する半結晶性ポリオレフィンを指し、それにより、熱伝達が損なわれ、ダイの増加が開始する(及び/又は「発泡体潰れ」を開始する)際又はその直前での溶融温度を指す。
【0021】
「発泡温度」という用語は、発泡体押出機又は他の好適な熱交換器、冷却セクション、又は出口ダイのすぐ上流に位置する他の好適な熱交換器の冷却セクションにおける最終設定温度を指す。例えば、発泡温度は、発泡性組成物を冷却するために使用される押出機の最後のゾーンの設定温度であり得る。設定温度は、出口ダイで測定される押出物(発泡性組成物)溶融温度とは異なっていても、又は異なっていなくてもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」、又は「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマー(エチレン性ポリマー)及びプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0023】
「ポリマー」は、同一のタイプ又は異なるタイプであるかに関わらず、モノマーを重合することによって調製された化合物であり、重合形態で、ポリマーを組成する複数及び/若しくは反復「単位」又は「構造単位」を提供する化合物である。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語を包含し、通常、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すのに用いられ、コポリマーという用語は、通常、少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる。また、例えば、ランダム、ブロックなどの全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレン又はプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマー及び1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定されたモノマー又はモノマーの種類に「基づいて」、特定されたモノマー含有量を「含有している」など、1つ以上の特定されたモノマー「から作製される」ものとして言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定されたモノマーの重合残留物を指し、非重合種には言及していないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
試験方法
【0024】
本明細書で使用される場合、「気泡数」又は「平均気泡数」という用語は、指定された長さにわたる気泡壁の交差の数である。発泡体組成物の気泡数は、発泡体試料ごとに最大10回の測定を行い、指定された長さ当たり平均(すなわち、「平均気泡数」)を計算することによって、指定された長さにわたって測定される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「気泡径」又は「平均気泡径」という用語は、発泡体気泡の寸法の尺度である。気泡径は、平均気泡数を指定された長さで割り、結果に1.62を乗算することによって決定され、これは、Cellular Polymers,Vol,21,No.3,165-194(2002)に開示される、この目的の確立された幾何学的因子である。気泡径(すなわち、平均気泡径)は、ASTM D3576-77に従って測定され、ミリメートル(millimeter、mm)で報告される。
【0026】
発泡体組成物の密度は、ASTM D-1622-88に従って測定され、結果は、25℃で1立方メートル当たりのキログラム(kilograms per cubic meter、kg/m3)又は1立方センチメートル当たりのグラム数(g/cc)で報告される。
【0027】
ポリマーの密度は、ASTM D792に従って測定され、結果は25℃でg/ccで報告される。
【0028】
発泡体組成物のゲル含有量は、ASTM D2765-16方法Cに従ってデカヒドロナフタレン(デカリン)で抽出することによって測定され、結果は重量パーセントとして報告される。この試験がポリマー上で実施されるときに通常使用される粉末試験片の代わりに、発泡体試験片の薄いスライスをこの試験に供する。
【0029】
メルトインデックス(Melt index、MI又はI2)は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定され、結果は10分当たりのグラム数(g/10分)で報告される。
【0030】
溶融温度、又はTmは、DSC(示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry))技術によって測定され、米国特許第5,783,638号に記載されているように測定された半結晶ポリオレフィンのピーク融点を指す。2つ以上のポリオレフィンを含む多くのブレンドは、1つを超える溶融温度を有し、多くの個々のポリオレフィンは、1つのみの溶融温度を含むことに留意されたい。
【0031】
発泡体組成物の連続気泡含有量は、ASTM D2856-94に従って測定され、0%~100%の割合として報告される。連続気泡含有量はまた、発泡体試験片を赤色の水を含有するビーカーに浸漬するとき、赤色の水の浸透高さから測定される。工程は、以下の通りである:(a)発泡体試料を100mm長の試料に切断し、(b)各試験片の一端から50mmの距離で線をマークし、(c)発泡体試料を赤色の水のビーカーに浸漬して、水面下で50mmの一定の長さを、1分間の一定時間維持し、(d)水から発泡体試験片を取り出し、表面状の液体を拭き取り、(e)ブレードを使用して、その長さに沿って発泡体を半分にスライスし、(f)スライスすることによって明らかにされた発泡体試験片の内面を検査し、水がどれほど上に浸透したかを決定する。着色された水の浸透の高さが大きいほど、連続気泡含有量が大きくなる(定性的測定として)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、50℃~250℃の温度にて押出条件下で、押出機、及びポリマー組成物を提供することを含む。ポリマー組成物は、(A)5重量%以上の第1の溶融温度、Tm1を有するシラン官能化オレフィン系ポリマーと、(B)任意選択で、第2の溶融温度、Tm2を有する非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)高効率シラノール縮合触媒(HEC)と、(D)透過性改質剤と、(E)任意選択で、スコーチ抑制剤と、を含む。このプロセスは、押出条件下で、物理的発泡剤をポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することを含む。このプロセスは、発泡性組成物を、Tm1の10℃未満~10℃超である発泡温度に冷却することを含む。このプロセスは、押出機の出口ダイから発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成することと、発泡体組成物を湿気硬化させて、0.010グラム/立方センチメートル(g/cc)~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む。
A.シラン官能化オレフィン系ポリマー
【0033】
このプロセスは、シラン官能化オレフィン系ポリマー(又はsilane functionalized olefin-based polymer、「Si-f-PO」)を提供することを含む。Si-f-POは、シラン官能化プロピレン系ポリマー(Si-f-PP)又はシラン官能化エチレン系ポリマー(Si-f-PE)であり得る。Si-f-POは、溶融温度、又は第1の溶融温度、Tm1を有する。
【0034】
実施形態では、Si-f-POは、反応器エチレン/シランコポリマーであるシラン官能化エチレン系ポリマー(Si-f-PE)である。エチレン/シランコポリマーは、エチレンモノマー及びアルコキシシランコモノマー、並びに任意選択で、重合反応器内で共重合された1つ以上の他の共重合性モノマー(酢酸ビニル、エチルアクリレートなど)から作製される。反応器エチレン/シランコポリマーを製造するために使用される重合反応器は、(限定されないが)高圧反応器であり得る。本明細書で使用される場合、「高圧反応器」という用語は、少なくとも34.47メガパスカル(megaPascal、mPa)(5000ポンド/平方インチ(per square inch、psi))の圧力で作動される重合反応器である。
【0035】
一実施形態では、シラン官能化エチレン系ポリマーは、シラングラフト化エチレン性ポリマーである。本明細書で使用される場合、「シラングラフト化エチレン性ポリマー」という用語は、アルコキシシランのエチレン性ポリマーへの反応器後グラフト化によって作製されたアルキルシロキシエチレン性ポリマーである。一実施形態では、アルコキシシランは、フリーラジカル開始剤の存在下でエチレン性ポリマーにグラフト化される。
【0036】
エチレン性ポリマーは、従来のポリエチレン重合技術、例えば、高圧、チーグラー・ナッタ、メタロセン又は幾何拘束型触媒を使用して製造される。一実施形態では、ポリエチレンは高圧反応器において作製される。更なる実施形態では、ポリエチレンは、モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル、インデニル、又はフルオレニル遷移金属触媒又は幾何拘束型触媒を活性化剤と組み合わせて使用して、溶液、スラリー、又は気相重合プロセスで作製される。米国特許第5,064,802号、国際公開第93/19104号及び同第95/00526号は、幾何拘束型金属錯体及びそれらの調製方法を開示している。国際公開第95/14024号及び同第98/49212号は、幾何拘束型金属錯体を含有する置換インデニル及びそれらの調製方法を開示している。
【0037】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、グラフトコポリマーを作製するための反応性押出などの反応器後修飾の生成物である。
【0038】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、分岐状、直鎖状、又は実質的に直鎖状であり得る。本明細書で使用される場合、「分岐状エチレン性ポリマー」という用語は、高度に分岐したポリマー構造を有する高圧反応器内で調製されたエチレン性ポリマーであり、分岐は、ポリマー骨格上及び分岐自体の両方に見られる。本明細書で使用される場合、「実質的に直鎖状エチレン性ポリマー」という用語は、1,000個の炭素原子当たり0.01~3個の長鎖分岐で置換された骨格を有するエチレン性ポリマーである。一実施形態では、エチレン性ポリマーは、1,000個の炭素原子当たり0.01~1個の長鎖分岐、又は1,000個の炭素原子当たり0.05~1個の長鎖分岐で置換される骨格を有することができる。
【0039】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、ホモポリマー、インターポリマー、ランダム若しくはブロック状コポリマー、官能化ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレートなど)又は非官能化ポリマーである。更なる実施形態では、エチレン性インターポリマーは、エラストマー、フレキソマー、又はプラストマーである。
【0040】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。α-オレフィンとしては、C3~C20直鎖状、分岐状若しくは環状α-オレフィン、又はC4~C8直鎖状α-オレフィンが挙げられる。C3~C20α-オレフィンの非限定的な例としては、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンは、シクロヘキサン又はシクロペンタン等の環状構造を有し、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサン等のα-オレフィンをもたらし得る。C4~C8直鎖状α-オレフィンの非限定的な例としては、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンが挙げられる。
【0041】
エチレン性ポリマーの非限定的な例としては、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、均一に分岐した、直鎖状エチレン/a-オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(商標)及びDEX PlastomersによるEXACT(商標))、均一に分岐した、実質的に直鎖状のエチレン/a-オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマー及びENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー)、並びにエチレンブロックコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なINFUSE(商標))が挙げられる。実質的に直鎖状のエチレンコポリマーは、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、及び同第5,986,028号に記載され、エチレンブロックコポリマーは、米国特許第7,579,408号、同第7,355,089号、同第7,524,911号、同第7,514,517号、同第7,582,716号、及び同第7,504,347号に記載されている。
【0042】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、50、又は60、又は80、又は85から90、又は95、又は97、又は99、又は99.5、又は100重量パーセント(重量%)の量でエチレンから誘導される単位を含む。更なる実施形態では、エチレン性ポリマーは、50~100重量%、又は60~99.5重量%、又は80~95重量%の量でエチレンから誘導される単位を含む。
【0043】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、15、又は20、又は25から40、又は45、又は50重量%のα-オレフィン含有量を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマーである。更なる実施形態では、エチレン性ポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、15~50重量%、又は20~45重量%、又は25~40重量%のα-オレフィン含有量を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーである。α-オレフィン含有量は、Randall(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3))に記載されている手順を使用して13C核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法によって測定され得る。
【0044】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、0.1、又は0.5、又は1~2、又は5、又は10、又は20、又は30、又は50g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。更なる実施形態では、エチレン性ポリマーは、0.1~50g/10分、又は0.5~30g/10分、又は1~5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0045】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、スチレン系ポリマー(例えば、スチレン、メチルスチレン)を含まないか、又は別の方法で除外する。
【0046】
エチレン性ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アルコキシシラン」又は「アルコキシシランモノマー」という用語は、エチレン性ポリマーにグラフトするか、又はエチレンモノマーと共重合するアルコキシシランである。アルコキシシラン又はアルコキシシランモノマーは、以下の式によって記載される構造を有し、
【化1】
式中、R
1は、水素原子又はメチル基であり、
x及びyは、0又は1であるが、但し、xが1であるとき、yが1であることを条件とし、
nは、1~12の整数であり、
各R’’は、独立して、加水分解性有機基である。
【0048】
一実施形態では、各R’’は、独立して、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1~12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノ若しくは置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ)、又は1~6個の炭素原子を有する低級アルキル基であり、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルである。
【0049】
一実施形態では、アルコキシシランは、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、又はガンマ-(メタ)アクリルオキシアリル基)、及び加水分解性基(例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、又はヒドロカルビルアミノ基)を有する不飽和シランである。加水分解性基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、アルキル及びアリールアミノ基が挙げられる。更なる実施形態では、アルコキシシラン及びその調製方法は、米国特許第5,266,627号(Meverdenら)に記載されている。
【0050】
一実施形態では、アルコキシシランは、ビニルトリメトキシシラン(vinyl trimethoxy silane、VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(vinyl triethoxy silane、VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0051】
一実施形態では、アルコキシシランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)及び/又はビニルトリエトキシシラン(VTES)である。
【0052】
アルコキシシランは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
【0053】
一実施形態では、シラン官能化エチレン系ポリマー(Si-f-PE)は、エチレンモノマー及びアルコキシシランモノマーから誘導された単位を含む反応器エチレン/シランコポリマーである。反応器エチレン/シランコポリマーは、唯一のモノマーとしてエチレンモノマー及びアルコキシシランモノマーから誘導された単位からなる。代替的には、エチレン/シランコポリマーは、エチレンモノマー及びアルコキシシランモノマー以外の1つ以上のモノマーから誘導された単位を更に含む。一実施形態では、エチレン/シランコポリマーは、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、メチルスチレン)から誘導された単位を含まないか、又は別の方法で除外する。
【0054】
一実施形態では、Si-f-PEは、VTMS及び/又はVTESコモノマーを含み、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する:
(i)50℃、若しくは60℃、若しくは70℃、若しくは80℃、若しくは90℃、若しくは100℃、若しくは103℃、若しくは105℃、若しくは108℃から110℃、若しくは111℃、若しくは112℃、若しくは113℃、若しくは114℃、若しくは115℃、若しくは116℃、若しくは120℃、若しくは130℃、若しくは140℃までの溶融温度、Tm1、及び/又は
(ii)0.3、若しくは0.5、若しくは1.0、若しくは1.3から1.7、若しくは2.0、若しくは3.0、若しくは10g/10分までのメルトインデックス(I2)、及び/又は
(iii)0.860、若しくは0.880、若しくは0.900、若しくは0.910、若しくは0.913、若しくは0.916、若しくは0.920から0.925、若しくは0.930、若しくは0.950、若しくは0.980、若しくは1.0、若しくは1.3、若しくは1.4g/ccまでの密度、及び/又は
(iv)Si-f-PEの総重量に基づいて、0.1、若しくは0.3、若しくは0.5、若しくは0.8、若しくは1.0、若しくは1.3から1.7、若しくは1.9、若しくは2.3、若しくは3.0、若しくは5、若しくは10重量%までのVTMS含有量、及び/又は
(v)1.7、若しくは2.0、3.0、若しくは3.5、若しくは4.0、若しくは4.5、若しくは5.0、若しくは5.3から5.7、若しくは6、若しくは8、若しくは10、若しくは20までの多分散指数(polydispersity index、PDI又はMw/Mn)。
【0055】
一実施形態では、Si-f-PEは、反応器エチレン/シランコポリマーであり、エチレンモノマー及びVTMSコモノマーから誘導された単位のみからなり、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する:
(i)95℃~140℃、若しくは100℃~130℃、若しくは105℃~115℃、若しくは106℃~112℃、若しくは108℃~110℃の溶融温度、Tm1、及び/又は
(ii)0.5~3g/10分、若しくは1~2g/10分、若しくは1.3~1.7g/10分のメルトインデックス(I2)、及び/又は
(iii)0.900~0.970g/cc、若しくは0.910~0.940g/cc、若しくは0.913~0.930g/cc、若しくは0.915~0.925g/ccの密度、及び/又は
(iv)エチレン/シランコポリマーの総重量に基づいて、0.3~5重量%、若しくは1.0~2.0重量%、若しくは1.3~1.7重量%のVTMS含有量、及び/又は
(v)1.7~20.0、若しくは2.0~10.0、若しくは3.0~8.0、若しくは4.0~6.0、若しくは5.3~5.7の多分散指数(PDI又はMw/Mn)。
【0056】
一実施形態では、Si-f-POは、Si-g-PEであり、ポリマー組成物の総重量に基づいて50重量%を超える量で存在する。
【0057】
一実施形態では、Si-f-POは、Si-g-PEであり、ポリマー組成物の総重量に基づいて、1、又は3、又は5、又は7、又は9、又は11、又は20、又は30、又は40、又は50、又は60、又は70、又は80から85、又は90、又は93、又は95、又は97、又は99、又は99.9重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、Si-f-PEは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、1~99.9重量%、又は5~99重量%、又は9~95重量%、又は30~93重量%、又は50~99重量%、又は70~95重量%、又は80~93重量%、又は89~95重量%、又は5~50重量%、又は5~30重量%、又は5~20重量%、又は5~15重量%、又は5~11重量%の量で存在する。
【0058】
シラン官能化オレフィン系ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
B.非シラン官能化ポリオレフィン
【0059】
プロセスは、任意選択の非シラン官能化ポリオレフィン、成分(B)を提供することを含む。存在する場合、非シラン官能化ポリオレフィンは、本明細書に前述したように、シラン官能基を含まないエチレン系ポリマー又はプロピレン系ポリマーである。言い換えれば、非シラン官能化ポリオレフィンは、アルコキシシランを含まず、アルコキシシランモノマーを含まない。非シラン官能化ポリオレフィンは、溶融温度、第2の溶融温度Tm2を有する。言い換えれば、成分(A)及び成分(B)の溶融温度を区別するために、シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)は、第1の溶融温度、又はTm1として示される溶融温度を有し、非シラン官能化ポリオレフィン(B)は、第2の溶融温度、又はTm2として表される溶融温度を有する。
【0060】
一実施形態では、非シラン官能化ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(LDPE)である。LDPEは、0.900、又は0.910、又は0.920から0.930、又は0.940g/ccまでの密度を有する。更なる実施形態では、LDPEは、0.910~0.930g/cc、又は0.913~0.928g/cc、又は0.915~0.925g/ccの密度を有する。
【0061】
一実施形態では、LDPEは、0.1、又は0.5から1.0、又は2.0、又は3.0、又は5.0、又は10、又は20、又は30、又は50g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。更なる実施形態では、LDPEは、0.1~10.0g/10分、又は0.5~5.0g/10分、又は1.0~3.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0062】
一実施形態では、LDPEは、100℃、又は103℃、又は106℃、又は108℃から110℃、又は111℃、又は112℃、又は114℃、又は116℃、又は118℃、又は120℃までの溶融温度(Tm2)を有する。更なる実施形態では、LDPE、106℃~114℃、又は108℃~112℃の溶融温度(Tm2)を有する。
【0063】
一実施形態では、LDPEは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0、又は0超、又は1、又は3、又は5、又は7、又は9、又は11、又は20、又は30、又は40、又は50、又は80から90、又は93、又は95、又は99重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、LDPEは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、1~99重量%、又は1~95重量%、又は5~93重量%、又は10~90重量%、又は20~80重量%、又は50~95重量%、又は80~90重量%、又は89~95重量%の量で存在する。
【0064】
一実施形態では、LDPEは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する:
(i)105℃~120℃、若しくは107℃~115℃、若しくは108℃~112℃の溶融温度、Tm2、及び/又は
(ii)0.5~5.0g/10分、若しくは1.0~3.0g/10分のメルトインデックス(I2)、及び/又は
(iii)0.910~0.930g/cc若しくは0.915~0.925g/ccの密度。
【0065】
LDPE(非シラン官能化ポリオレフィン)は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
【0066】
一実施形態では、ポリマー組成物は、非シラン官能化ポリオレフィンのいずれも含まない。
C.高効率シラノール縮合触媒
【0067】
このプロセスは、高効率シラノール縮合触媒(HEC)を提供することを含む。「高効率シラノール縮合触媒」又は「HEC」という用語は、ジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate、DBTDL)以外の触媒(又はそうでなければDBTDLではない触媒)であり、100%の高温クリープ又は80%の高温クリープ(150℃又は200℃、0.2MPa)までの日数で測定されるとき、23℃及び50%相対湿度にて、(発泡されていないSi-f-POから作製された、1.3~1.8mmの範囲の所与の厚さの押出テープの)同じ充填量でDBTDLよりも1.5倍以上速い架橋(湿気硬化)をもたらす触媒である。
【0068】
高温クリープ(ホットセット伸び、又はHSEとしても知られている)を測定して、硬化(架橋)の程度を決定する。試験は、電力ケーブル絶縁材料に関するInsulated Cable Engineers Association ICEA-T-28-562-2003規格に基づいている。試験片を、0.8mm~2.0mmの範囲の厚さ値のテープから押出方向に沿って取り出す。各試料の3つの試験片を、ASTM D412タイプD引張バー(ダンベル)を使用して切断する。試験片の底部に適用した0.2MPaの応力で、150℃又は200℃に設定されたガラスドアを有するオーブンにおいて、(測定された厚さ値の)試験片に関して高温クリープ試験を行う。試験片はオーブンの上端から垂直に固定され、各試験片の下端に荷重がかかる。試験片を150℃又は200℃のいずれかで15分間高温クリープ試験に供し、その時間間隔で長さの増加率を測定する。3つの測定値の平均値(長さの増加割合)は、「高温クリープ」又はHSEとして報告される。
【0069】
「同じ充填量でDBTDLよりも1.5倍以上速い架橋(湿気硬化)」という用語は、例えば、固定Si-f-PO(又はSi-f-PE)から作製された所与の厚さ(発泡していない)の押出テープ試験片中のDBTDL単独の固定充填量が、100%の高温クリープを達成するために18日間を必要とするか、又は80%の高温クリープを達成するために24日を必要とする(23℃及び50%の相対湿度で硬化されるとき)場合、DBTDL単独の代わりにHECの同じ充填量を使用することが、同じ硬化条件で、12日間以下で100%の高温クリープが達成されるか、又は16日以下で80%の高温クリープが達成されることを可能にすることを意味する。
【0070】
SI-LINK(商標)AC DFDB-5451NTポリエチレン(Si-f-PO;Si-f-PE)から作製された1.5mmの厚さ(発泡されていない)の押出テープ試験片を用いた代表的な硬化データは、以下の通りである。0.14重量%のアルキル置換アリールスルホン酸(HEC)を使用すると、100%の高温クリープ(150℃、0.2MPa)が5日間で達成され、80%の高温クリープ(150℃、0.2MPa)が6日間で達成される。比較すると、0.14重量%のDBTDL単独では、100%の高温クリープ(150℃、0.2MPa)は13日間で、80%の高温クリープ(150℃、0.2MPa)は18日間で達成される。
【0071】
HECは、(i)~(iv)のうちのいずれか1つから選択される:(i)ブレンステッド酸、(ii)ブレンステッド塩基、(iii)DBTDLを除くルイス酸、及び(iv)ルイス塩基。HECは、(i)又は(iii)のいずれかであり得るか、代替的には(ii)又は(iv)のいずれかであり得る。
【0072】
一実施形態では、HECは、ブレンステッド酸であり、これは、式RSO3Hのスルホン酸であり得、式中、Rは、(C1~C10)アルキル、(C6~C10)アリール、(C1~C10)アルキル置換(C6~C10)アリール、若しくは(C6~C10)アリール置換(C1-C10)アルキル、又はブロックされたスルホン酸であり、これはスルホン酸をインサイチュで作製する。
【0073】
スルホン酸は、疎水性スルホン酸であり、24時間後、23℃で0~0.1g/ mL未満のpH7.0蒸留水への溶解度を有するスルホン酸であり得る。スルホン酸は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキル置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、4-メチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、又はジアルキルベンゼンスルホン酸)、ナフタレンスルホン酸、又はアルキルナフタレンスルホン酸であり得る。
【0074】
一実施形態では、高効率シラノール縮合触媒は、芳香族スルホン酸触媒である。芳香族スルホン酸触媒の非限定的な例は、多置換芳香族スルホン酸(polysubstituted aromatic sulfonic acid、PASA)触媒である。PASA触媒は、式HSO3Ar-R3(R4)mによって記載される構造を有し、式中、
mは、1~3であり、
R3は、(CH2)zCH3であり、zは、0~3であり、
各R4は、独立して、R3と同じであるか、又は異なり、
Arは、芳香族部分である。
【0075】
更なる実施形態では、PASA触媒は、式HSO3Ar-R3(R4)mによって記載される構造を有し、式中、
mは、0~3であり、
R3は、(CH2)zCH3であり、zは、20より大きく、
各R4は、独立して、R3と同じであるか、又は異なり、
Arは、芳香族部分である。
【0076】
一実施形態では、芳香族部分は、複素環(例えば、ピリジン、キノロン)又は非複素環(例えば、ベンゼン又はナフタレン)である。
【0077】
一実施形態では、zの値は、15、又は30、又は45から55、又は65、又は80までである。更なる実施形態では、この値は、15~80、又は30~65、又は45~55である。zの値が20より大きい場合、PASAは、α-オレフィンスルホネート、アルカンスルホネート、イセチオネート(例えば、イセチオン酸としても知られる2-ヒドロキシエチルスルホン酸のエーテル若しくはエステル)、及びプロパンスルホン誘導体(例えば、アクリルアミドプロパンスルホン酸のオリゴマー若しくはコポリマー)を含む。
【0078】
一実施形態では、HECは、マスターバッチの成分である。HECは、0.5、又は1、又は1.5、又は2から2.5、又は3.5、又は5、又は10、又は20、又は30、又は40、又は50重量%までの量でマスターバッチ中に存在する。更なる実施形態では、HECは、0.5~50重量%、又は1~30重量%、又は2~10重量%、又は1.5~3.5重量%の量でマスターバッチ中に存在する。HECマスターバッチの非限定的な例は、SI-LINK(商標)AC DFDA-5488 NTポリエチレン及びSI-LINK(商標)AC DFDB-5418 BK EXP1であり、これらの各々は、ブレンステッド酸から構成される。
【0079】
一実施形態では、HECは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.03、又は0.05、又は0.07、又は0.1、又は0.13、又は0.15、又は0.2、又は0.5、又は1、又は2、又は3、又は4、又は4.5から6~7、又は8、又は10、又は12重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、HECは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.03~12重量%、又は0.05~8重量%、又は0.10~6重量%、又は0.03~0.20重量%、又は0.05~0.15重量%の量で存在する。
【0080】
一実施形態では、HECマスターバッチは、1つ以上の添加剤を含む。HECマスターバッチに好適な添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤(例えば、ビス(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル)アミン;2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール;2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール;トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン;ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;ジステアリルチオジプロピオネート(distearyl thiodipropionate、「DSTDP」);ジラウリルチオジプロピオネート;又は2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド)、着色剤(例えば、カーボンブラック)、UV安定剤(例えば、N,N’-ビスホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン)、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び金属不活性化剤(例えば、オキサリルビス(ベンジリデン)ヒドラジド(OABH))が挙げられる。
【0081】
HECは、発泡体組成物の架橋及び湿気硬化を促進する。
【0082】
一実施形態では、HECはDBTDLとブレンドされる。
【0083】
HECは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
D.透過性改質剤
【0084】
プロセスは、透過性改質剤を提供することを含む。本明細書で使用される場合、「透過性改質剤」という用語は、発泡剤が、そのポリオレフィンで作製された発泡体を、空気が拡散するほぼ同じ速度で透過するように、所与のポリオレフィン中の発泡剤の透過性を減少させる化合物、又は組成物である。これにより、望ましくは(必要な)寸法安定性の発泡体が得られる。透過性改質剤なしでは、イソブタンなどの発泡剤は、空気が透過するよりも速くポリオレフィン発泡体を透過する。これにより、特に低い発泡体密度で、発泡体の寸法不安定性がもたらされ得るため、実質的な発泡体収縮が発生する(発泡体特性の劣化につながる)。好適な透過性改質剤の非限定的な例としては、C10~C24脂肪酸のアミド及びエステルが挙げられる。そのような透過性改質剤は、米国特許第3,644,230号及び同第4,214,054号に見られる。エステルはまた、発泡体製造中及び発泡体製造後に静電気を低減することができ、これは別の望ましい属性である(特にイソブタンなどの可燃性ガスが物理的発泡剤として使用される場合)。最も好ましい透過性改質剤としては、ステアリルステアラミド、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノベヘネート、及びソルビトールモノステアレートが挙げられる。使用される場合、そのような透過性改質剤は、典型的には、ポリマー組成物の0超~10重量%の範囲の量で用いられる。
【0085】
一実施形態では、透過性改質剤は脂肪酸エステルである。脂肪酸エステルは、30~99%、又は40~95%、又は50~90%の範囲のアルファ-モノエステル(又はモノグリセリド)含有量を有する。更なる実施形態では、透過性改質剤は、グリセロールモノステアレートである。
【0086】
一実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、マスターバッチの成分である。一実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、0.5、又は1、又は1.5、又は2から2.5、又は3.5、又は5、又は10、又は20、又は30、又は40、又は50重量%、又は60重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、0.5~60重量%、又は1~50重量%、2~30重量%、又は5~20重量%の量で、マスターバッチ中に存在する。
【0087】
一実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、シラン官能化オレフィン系ポリマーの成分である。一実施形態では、透過性改質剤は、0.01、又は0.05、又は0.1、又は0.2、又は0.5、又は1、又は5、又は10から15、又は25、又は40重量%までの量でシラン官能化オレフィン系ポリマー中に存在する。重量パーセントはシラン官能化オレフィン系ポリマーの総重量に基づく。
【0088】
一実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.01、又は0.1、又は0.2、又は0.3、又は0.5から1.0、又は2.0、又は5.0重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、透過性改質剤(例えば、グリセロールモノステアレート)は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.01~5.0、又は0.1~2.0、又は0.2~2.0重量%の量で存在する。
【0089】
透過性改質剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
【0090】
このプロセスは、(A)シラン官能化オレフィン系ポリマー、(B)任意選択の非シラン官能化ポリオレフィン、(C)高効率シラノール縮合触媒、(D)透過性改質剤を、50℃~250℃の温度での押出条件で提供し、(E)任意選択で、スコーチ抑制剤を提供することを含む。本明細書で使用される場合、「50℃~250℃の温度での押出条件」という用語は、(i)1つ以上の押出機又は他の適切な溶融加工機器で発生するプロセスを含み、(ii)成分を加熱及び同時に均一にブレンドするか、又は別の方法で均質に混合して、ポリマー組成物を50℃~250℃の温度範囲内で加熱することによって、ポリマー組成物を流動可能な状態で提供すること、(iii)発泡剤を均質に溶解及び分散させて、著しい膨張を生じさせることなく発泡性組成物を作製するのに十分な温度及び圧力で、発泡剤をポリマー組成物中に導入することを含む。押出条件は、50℃~250℃の温度、及び0.1~70MPa、又は1~50MPa、又は2~30MPaの圧力を含む。押出機は、1つ以上の押出機を含んでもよく、各押出機は、1つ以上の温度制御ゾーン(すなわち、ゾーン)を有する。
【0091】
成分は、固体又は液体形態で押出機入口に添加される。押出機に添加する前に、任意の液体成分を1つ以上の固体成分に組み込むことができる。代替的には、液体成分(複数可)を押出機に注入することができる。
【0092】
一実施形態では、プロセスは、140℃~250℃、又は150℃~230℃、又は160℃~220℃、又は170℃~200℃、又は160℃~190℃の温度、及び0.1~70、又は0.5~60、又は1~50、又は2~40、又は3~30、又は4~20、又は6~10メガパスカル(MPa)の圧力で、1つ以上の押出機において、成分(A)、任意選択の(B)、(C)、(D)、及び任意選択の(E)を加熱して、同時にブレンドし、ポリマー組成物を形成することを含む。ポリマー組成物は、流動可能な状態にあり、押出物としても知られる。
E.物理的発泡剤
【0093】
このプロセスは、50℃~250℃での押出条件下で押出機に、物理的発泡剤をポリマー組成物に導入して、発泡性組成物を形成することを含む。本明細書で使用される場合、「物理的発泡剤」という用語は、それらの条件でポリマー組成物に十分に可溶性であることにより、押出条件下でポリマー組成物中に溶解され、(ii)発泡性組成物がダイを出るときに発泡体組成物の形成中に遭遇する条件下(温度、圧力)の下で溶液から出てくる化合物、又は組成物である。物理的発泡剤は、押出条件下でポリマー組成物に添加されて、発泡性組成物を形成する。本明細書で使用される場合、「発泡性組成物」という用語は、押出条件下でのポリマー組成物と物理的発泡剤との混合物である。
【0094】
一実施形態では、物理的発泡剤は、押出機入口の下流の位置でポリマー組成物に添加される。
【0095】
50℃~250℃の温度での押出条件は、(i)発泡剤が押出機又は他の好適な溶融加工機器内のポリマー組成物及び/又は発泡性組成物の膨張を防止するために、かつ(ii)ポリマー組成物内の発泡剤の均質な分散を可能にするために、十分に高い圧力を含む。一実施形態では、押出条件は、140℃~200℃の温度と1.40~3.00MPaの圧力、又は150℃~190℃の温度と1.80~2.80MPaの圧力、又は160℃~180℃の温度と2.20~2.60MPaの圧力を含む。
【0096】
好適な物理的発泡剤の非限定的な例としては、C1~6炭化水素、例えば、アセチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、ブタジエン、イソブタン、イソブチレン、シクロブタン、シクロプロパン、エタン、メタン、エテン、ペンタン、ペンテン、シクロペンタン、ペンテン、ペンタジエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキセン、並びにヘキサジエン、C1~5有機ハロゲン、C1~6アルコール、C1~6エーテル、C1~5エステル、C1~5アミン、アルコール、アンモニア、窒素、二酸化炭素、水、ネオン、ヘリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0097】
一実施形態では、物理的発泡剤は、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、二酸化炭素、エタノール、及び1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)のうちの1つ以上である。
【0098】
一実施形態では、物理的発泡剤は、イソブタン又は二酸化炭素である。更なる実施形態では、物理的発泡剤は、イソブタンと二酸化炭素との混合物(組み合わせ)である。
【0099】
一実施形態では、物理的発泡剤はイソブタンである。イソブタンは、発泡性組成物の総重量に基づいて、0.5、又は1、又は2、又は5、又は8、又は9から11、又は12、又は15、又は20、又は25、又は30重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、物理的発泡剤、(例えば、イソブタン)は、発泡性組成物の総重量に基づいて、0.5~30重量%、又は2~25重量%、又は5~20重量%、又は8~15重量%の量で存在する。
【0100】
物理的発泡剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態で構成されてもよい。
【0101】
一実施形態では、化学的発泡剤が使用され、プロセスにおける熱分解によって1つ以上の物理的発泡剤を生成する。化学的発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロ-ニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、及びベンゼンスルホンヒドラジド、4,4-オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、並びにp-トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、及びクエン酸と重炭酸ナトリウムとのものなどの混合物が挙げられる(がこれらに限定されない)。化学的発泡剤の例は、商品名Safoam(商標)で販売されている様々な製品である(Reedy Internationalの製品;Reedy Chemical Foam)。
【0102】
このプロセスは、発泡性組成物を、Tm1(シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)の溶融温度)の10℃未満~10℃超である発泡温度に冷却することを含む。出願人は、5重量%以上のシラン官能化オレフィン系ポリマー、任意選択の非シラン官能化ポリオレフィン(B)、HEC(C)、透過性改質剤(D)、及び任意選択のスコーチ抑制剤(E)の提供が、予期せずに、押出発泡における発泡温度に対して、広い温度範囲-すなわち、最大20度(℃)の温度範囲(Tm1の±10℃)を可能にすることを発見した。
【0103】
一実施形態では、発泡温度は、Tm1の±10℃であるか、又は発泡温度は、Tm1の±8℃であるか、又は発泡温度は、Tm1の±5℃であるか、又は発泡温度は、Tm1の±3℃である。
【0104】
このプロセスは、押出機の出口ダイから発泡性組成物を発泡温度で推し進めて、発泡体組成物を形成することを含む。このプロセスは、周囲条件で、発泡体組成物を湿気硬化させて、架橋発泡体組成物を形成することを更に含む。湿度は、湿気硬化中に0%~100%、又は10%~90%、又は20%~80%、又は30%~70%に調整され得ることが理解される。架橋発泡体組成物は、0.010グラム/立方センチメートル(g/cc)~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する。発泡温度は、発泡体組成物の形成中に、(i)発泡体の潰れも(ii)フリーズオフも発生しない温度範囲内である。発泡温度は、シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)若しくは非シラン官能化ポリオレフィン(B)の溶融温度に等しいか、又はそれを超えるか、又はそれ未満であり得る。
【0105】
一実施形態では、プロセスは、50℃~180℃、又は70℃~160℃、又は90℃~140℃、又は100℃~130℃、又は100℃~120℃、又は100℃~110℃、又は105℃~110℃、又は105℃~118℃の発泡温度で発泡させることを含む。
【0106】
一実施形態では、シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)の溶融温度、Tm1は、102℃~112℃であり、発泡温度は、Tm1の±10℃、又は92℃~122℃である。
【0107】
一実施形態では、シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)の溶融温度、Tm1は、106℃~108℃であり、発泡温度は、Tm1の±10℃、又は96℃~118℃である。
【0108】
一実施形態では、シラン官能化オレフィン系ポリマー(A)の溶融温度、Tm1は、106℃~108℃であり、発泡温度は、Tm1の±5℃、又は101℃~113℃である。
【0109】
このプロセスは、0.010グラム/立方センチメートル(g/cc)~0.200g/ccの密度、及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することを含む。一実施形態では、プロセスは、0.010~0.200g/cc、又は0.015~0.100g/cc、又は0.020~0.080g/cc、又は0.030~0.070g/ccの密度、及び5%~100%、又は10%~95%、又は20%~90%、又は30%~80%、又は40%~70%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することを含む。
【0110】
一実施形態では、プロセスは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する架橋発泡体組成物を形成することを含む:
(i)0.010~0.200g/cc、若しくは0.015~0.100g/cc、若しくは0.020~0.080g/cc、若しくは0.030~0.070g/ccの密度、及び/又は
(ii)5%~100%、若しくは10%~95%、若しくは20%~90%、若しくは30%~80%、若しくは40%~70%のゲル含有量、及び/又は
(iii)12.7mm当たり4個の気泡~12.7mm当たり60個の気泡、若しくは12.7mm当たり5個の気泡~12.7mm当たり40個の気泡、若しくは12.7mm当たり7個の気泡~12.7mm当たり20個の気泡、若しくは12.7mm当たり5個の気泡~12.7mm当たり7個の気泡の気泡数、及び/又は
(iv)0.05ミリメートル(mm)~15mm、若しくは0.07~10mm、若しくは0.1mm~5.0mm、若しくは0.5mm~4.0mm、若しくは0.3mm~3.0mm、若しくは0.5mm~2.0mm、若しくは1.0mm~3.0mmの気泡径、及び/又は
(v)連続気泡、及び/又は
(vi)独立気泡。
【0111】
発泡性組成物が押出機のダイを通ってより低い圧力及び周囲条件の領域に出るときに、発泡が達成される。一実施形態では、プロセスは、冷却押出機又は他の好適な溶融加工機器の後の出口ダイを通して発泡性組成物を推し進めるか、又は別の方法で搬送することと、ダイを出る際に発泡性組成物を形成して、発泡体組成物を形成することと、発泡体組成物を湿気硬化させて、架橋発泡体組成物を形成することと、を含む。出口ダイの外側の圧力は、押出機の圧力よりも低いため、発泡性組成物が出口ダイを通して外側に推し進められるにつれて、発泡性組成物が圧力降下を経験する。圧力降下により、物理的発泡剤が発泡性組成物を膨張させ、出口ダイを通して推し進められ、発泡体の形成がもたらされる。言い換えれば、出口ダイの外側の圧力は、出口ダイを通して推し進められる前に、押出プロセスにおいて発泡性組成物が維持される圧力よりも低い。出口ダイの外側の圧力は、大気圧、超大気圧又は低大気圧(真空)であり得る。
【0112】
一実施形態では、発泡性組成物が出口ダイを出る直前の押出機の圧力は、0.1、又は0.5、又は1、又は2、又は3から4、又は6、又は8、又は1、又は20、又は30、又は40、又は50、又は60、又は70MPaまでである。更なる実施形態では、発泡性組成物が出口ダイを出る直前の押出機の圧力は、0.1~70MPa、又は0.5~50MPa、又は1~30MPa、又は2~10MPa、又は3~6MPaである。
【0113】
一実施形態では、プロセスは、米国特許第4,323,528号及び同第5,817,705号に見出されるような、蓄積押出プロセス及び装置である。この装置は、一般に「押出機-アキュムレータシステム」として知られているが、連続的な基準ではなく、断続的にプロセスを作動させることができる。
【0114】
一実施形態では、発泡体組成物は、マルチオリフィスダイを通して押出することによって、合体された鎖形態で形成される。オリフィスは、発泡プロセスの間に溶融押出物の隣接する流れ間の接触が生じ、接触面が十分な接着力で互いに接着して単一発泡構造をもたらすように配置される。ダイを出る溶融押出物の流れは、望ましくは泡立ち、合体して互いに付着して、一体構造を形成するストランド又はプロファイルの形態を取る。望ましくは、合体した個々のストランド又はプロファイルは、発泡体の調製、成形、及び使用においてかかる応力下でのストランドの層間剥離を防ぐために、一体構造で接着したままであるべきである。合体したストランド形態の発泡構造を製造するための装置及び方法は、米国特許第3,573,152号及び同第4,824,720号に見出される。
【0115】
一実施形態では、発泡体組成物は、物品に成形するのに適した発泡体ビーズに形成される。ビーズ発泡体を作製するための教示は、米国特許第6,800,669(B2)号に見出される。
【0116】
このプロセスは、架橋発泡体組成物を形成することを含む。光架橋(ポリマー鎖のカップリング)は、「50℃~250℃の温度での押出条件」中に生じ得るか、又は生じない場合がある。しかしながら、架橋は、発泡性組成物が出口ダイを出る後、周囲条件で主に発生し、形成された発泡体組成物は固体状態にある。出口ダイから出ると、発泡体組成物が周囲条件で硬化して、0.010g/cc~0.200g/ccの密度及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成するため、架橋が生じる。架橋は、Si-f-PO中のアルコキシシラン基の加水分解が、縮合してシロキサン結合を形成するシラノール部分を生成するときに生じる。HECは、アルコキシシラン基の加水分解及び得られたシラノール基の縮合を触媒し、したがって発泡体組成物の架橋を促進して、架橋発泡体組成物を形成する。
【0117】
発泡体組成物の湿気硬化は、周囲条件以外の条件下で実施され得る。一実施形態では、湿気硬化は、36℃~95℃、又は51℃~95℃の温度、5%RH~100%RHの相対湿度、及び0.5気圧~1.5気圧の圧力で行われ、架橋発泡体組成物を形成する。
【0118】
一実施形態では、プロセスは、発泡体組成物中に複数のチャネル(又は穿孔)を形成することを含む。チャネルは、表面から発泡体に延在し、発泡体の長手方向の延長部に対して方向性がない。チャネルは、(i)空気と物理的発泡剤との気相交換速度を増加させ、(ii)発泡体組成物を硬化又は架橋するのに必要な時間を減少させることができる。穿孔は、完全な架橋をもたらすために、水分のより急速な拡散を促進する。発泡体組成物は、周囲条件で、0.2、又は0.5、又は1、又は2、又は3、又は5から7、又は10、又は15、又は21、又は30、又は45、又は60、又は90、又は120、又は150、又は180日までの持続時間にわたって硬化され、0.010~0.200g/ccの密度及び5%~100%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成する。
【0119】
一実施形態では、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)は、架橋を促進する手段として、及び湿潤又は水環境における発泡体の硬化の必要性に依存しない手段として、配合物に組み込まれ得る。
【0120】
一実施形態では、発泡性組成物が出口ダイから又は出口ダイを通して推し進められる間、架橋が起こる。
【0121】
一実施形態では、架橋は、発泡性組成物が出口ダイから推し進められた後に生じる。
【0122】
一実施形態では、架橋は、発泡組成物の冷却中、発泡体組成物の冷却中、及びそれらの組み合わせ中に生じる。
【0123】
架橋発泡体組成物中に存在する架橋の程度又は量は、Si-f-POの量及びポリマー組成物中に存在するHECの量、並びにSi-f-PO中の共重合又はグラフト化アルコキシシランの量に依存する。より高い架橋度(50%~100%のゲル含有量)は、架橋発泡体組成物の上限使用温度及び圧縮永久歪みなどの特性を改善する。より低い架橋度(ゲル含有量5%~49%)は、発泡性組成物の溶融強度を増加させ、次いで、望ましくは、様々な連続気泡含有量(0%、又は0%超から100%まで)で発泡体組成物を作製するためのより広い発泡温度範囲を可能にする。
【0124】
一実施形態では、プロセスは、ポリマー組成物にスコーチ抑制剤を添加することを含む。本明細書で使用される場合、「スコーチ抑制剤」という用語は、発泡体組成物の硬化前に、溶融押出又は加工中(加熱及び/又は冷却工程中)の過剰なポリマー結合若しくは架橋を防止する化合物又は組成物である。本開示の目的のために、スコーチ抑制剤はまた、「スコーチ遅延剤」又は「水分捕捉剤」と称され得る。一実施形態では、スコーチ抑制剤は、ポリマー組成物をブレンドする前に、固体成分のうちの1つ以上に添加される。
【0125】
好適なスコーチ抑制剤の非限定的な例としては、アルキルアルコキシシラン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。アルキルアルコキシシランの非限定的な例としては、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、及びヘキサデシルトリメトキシシランが挙げられる。
【0126】
一実施形態では、スコーチ抑制剤は、オクチルトリエトキシシランである。スコーチ抑制剤は、発泡性組成物の総重量に基づいて、0、又は0.01、又は0.03、又は0.05、又は0.1、又は0.5から1.0、又は2.0、又は5.0重量%までの量で存在する。更なる実施形態では、スコーチ抑制剤は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%から、又は0.01~5.0重量%、又は0.1~2.0重量%、又は0.5~2.0重量%の量で存在する。
【0127】
一実施形態では、プロセスは、ポリマー組成物に気泡核形成剤を添加することを含む。気泡核形成剤は、より小さな気泡径及びより高い気泡密度をもたらすより多くの発泡体気泡の形成を促進する。より高い気泡密度は、より小さいサイズの発泡体気泡と相関している。一実施形態では、気泡核形成剤は、ポリマー組成物を形成する前に固体成分に添加される。
【0128】
一実施形態では、気泡核形成剤は、タルク又は炭酸カルシウム又は化学的発泡剤である。更なる実施形態では、気泡核形成剤は、タルクである。
【0129】
このプロセスは、滞留時間を含む。本明細書で使用される場合、「滞留時間」という用語は、(i)固体成分の押出機入口への添加から(ii)出口ダイを通しての発泡性組成物の推し進めまでの間を通過する時間である。滞留時間は、加熱の様々な溶融加工工程、発泡剤添加、冷却、ダイの前の任意選択の保持ゾーン(蓄積押出プロセスのように)、及び出口ダイを通しての推し進めの組み合わせに適用される。滞留時間は、出口ダイまでの固体成分の押出機入口への添加から測定され、発泡性組成物が出口ダイから出始めるのに要する時間である。一実施形態では、滞留時間は、5分(min)~80分、又は6分~70分、又は8分~60分、又は10分~40分、又は12分~30分である。一実施形態では、1つの発泡性組成物からの完全な変化には、最大1滞留時間、又は2滞留時間、又は3滞留時間、又は4滞留時間、又は5滞留時間、又は6滞留時間、又は7滞留時間、又は8滞留時間、又は9滞留時間、又は10滞留時間を要する。
【0130】
一実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、連続プロセスである。連続プロセスは、(i)固体成分を押出機入口に添加する工程と、(ii)押出条件下でポリマー組成物を形成する工程と、(iii)溶融加工条件下で物理的発泡剤を導入する工程と、(iv)発泡性組成物を冷却する工程と、(v)出口ダイを通して発泡性組成物を推し進めて、発泡体組成物を形成する工程と、を含むが、これらに限定されない。
【0131】
プロセスは、連続気泡又は独立気泡、又はそれらの組み合わせを含む架橋発泡体組成物を形成することを含む。
【0132】
一実施形態では、プロセスは、連続気泡を含む架橋発泡体組成物を形成することを含む。
【0133】
一実施形態では、プロセスは、独立気泡を含む架橋発泡体組成物を形成することを含む。
【0134】
一実施形態では、プロセスは、連続気泡及び独立気泡の両方を含む架橋発泡体組成物を形成することを含む。架橋発泡体組成物は、0%~30%の連続気泡及び逆の量の独立気泡、又は100%~70%の独立気泡を有する。別の実施形態では、プロセスは、30%~80%の連続気泡及び逆の量の、又は70%~20%の独立気泡を有する架橋発泡体組成物を形成することを含む。
【0135】
一実施形態では、シラン官能化オレフィン系ポリマーは、106℃~110℃のTm1を有するエチレン/シランコポリマーであり、プロセスは、106℃~118℃の発泡温度で発泡させて、発泡体組成物を形成することと、周囲条件で湿気硬化させて、組成物の重量に基づいて、5~99重量%、又は9~95重量%、又は30~93重量%、又は60~99.5重量%、又は80~99重量%、又は92~97重量%の量で存在するエチレン/シランコポリマーを有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む。架橋発泡体組成物は、以下の特性のうちの一方又は両方を有し:
(i)0.010g/cc~0.200g/cc、若しくは0.015g/cc~0.100g/ccの密度、及び/又は
(ii)5%~100%、若しくは10%~95%のゲル含有量、組成物は、非シラン官能化ポリオレフィン(B)を含まない。
【0136】
一実施形態では、ポリマー組成物は、(A)5重量%~10重量%の106℃~110℃のTm1を有するエチレン/シランコポリマーと、(B)80重量%~90重量%のTm2を有するLDPEである非シラン官能化ポリオレフィンであって、Tm2がTm1より大きい、非シラン官能化ポリオレフィンと、(C)0.03~12.0重量%のHECと、を含む。このプロセスは、Tm2の10℃未満~10℃超の発泡温度で発泡して、発泡体組成物を形成することと、0.015g/cc~0.100g/cの密度及び10%~95%のゲル含有量を有する架橋発泡体組成物を形成することと、を含む。更なる実施形態では、LDPEについてのTm2は、111℃~116℃であり、プロセスは、111℃~121℃の発泡温度で発泡することを含む。
【0137】
一実施形態では、プロセスは、1つ以上の添加剤を、ポリマー組成物、発泡性組成物、又はそれらの組み合わせに添加することを含む。好適な添加剤の非限定的な例としては、無機充填剤、顔料、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加工助剤、押出助剤、帯電防止剤、他の熱可塑性ポリマー、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
発泡性組成物は、押出熱可塑性ポリマー発泡体、又は膨張熱可塑性発泡体、膨張可能な熱可塑性発泡ビーズ、並びに発泡体及び/若しくはビーズの膨張、合体、及び/又は溶接によって形成された成形物品を形成するために使用することができる。
【0139】
架橋発泡体組成物は、押出シート、ロッド、プランク、フィルム、及びプロファイルなどの任意の既知の物理的構成を取ることができる。架橋発泡体組成物はまた、膨張可能なビーズを前述の構成又は任意の他の構成のいずれかに成形することによって形成され得る。
【0140】
架橋発泡体組成物は、米国特許第6,800,669(B2)号に列挙されているものを含む用途に使用することができる。用途の非限定的な例としては、クッションパッケージング、運動及びレクリエーション製品、卵カートン、肉トレイ、建築構造、音響絶縁ライナー、パイプ断熱材、ガスケット、振動パッド、ラゲッジライナー、デスクパッドシューソール、体操用マット、温室用断熱ブランケット、ケースインサート、吸収性発泡体(例えば、健康及び衛生用途などのための浄化するための)及びディスプレイ発泡体が挙げられる。建築構造用途の非限定的な例としては、外壁被覆(ホーム断熱材)、屋根、基礎断熱材、及び居住用下敷きが挙げられる。発泡体組成物の更なる用途は、冷蔵、浮力用途(例えば、ボディボード、浮きドック及びラフト)、並びに様々なフローラル及びクラフト用途のための断熱材を含む。
【0141】
一実施形態では、架橋発泡体組成物は、0.5mm~5000mm、又は1.0mm~3000mm、又は5mm~2000mm、又は10~1000mm、又は25mm~500mmの厚さ若しくは直径を有する。架橋発泡体組成物は、2つ以上の発泡体層又は少なくとも1つの発泡体層と、少なくとも1つのポリマー層とを積層することによって形成され得る。
【0142】
限定するものではなく例として、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳述する。
【実施例】
【0143】
発明実施例(Inventive Example、「IE」)及び比較試料(Comparative Sample、「CS」)で使用する原材料は、以下の表1に詳述される。
【0144】
高効率縮合触媒(HEC)マスターバッチを、カムロータを備えた420mLのBRABENDER混合ボウルで調製する。原材料は、混合ボウルを70パーセント容量に充填するのに十分な量で使用する。混合ボウルを160℃加熱し、ロータ速度を毎分25回転(rotations per minute、rpm)に設定する。担体樹脂は、非シラン官能化ポリオレフィンである。担体樹脂の半分を、予熱したボウルに添加し、完全な溶融物が形成されるまで流動(flux)させる。シラノール縮合触媒(例えば、スルホン酸)をゆっくりと添加し、担体樹脂溶融物に組み込む。次いで、酸化防止剤及び他の添加剤を添加する。ロータ速度を40rpmまで増加させ、混合物を5分間流動化させる。混合物を混合ボウルから取り外し、0.689~1.38MPa(100~200ポンド/平方インチ(psi))の負荷で5分間コールドプレスする。プラークをいくつかの片に切断し、それらを24:1L/D押出機を備えたBRABENDERモデルPrep Mixer/測定ヘッド実験室用電気バッチミキサーに供給し、20/40/20/40/20メッシュスクリーンパック及びゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、並びにダイにわたって160℃の平坦な設定温度プロファイルを使用して、40rpmのスクリュー速度で押し出す。得られたストランド押出物をWileyミルで粉砕して、HECマスターバッチをペレットとして製造する。
【表1】
【0145】
発泡体組成物を、混合押出機及び混合押出機によって供給される冷却押出機を有するタンデム押出システムで調製する。混合押出機は、発泡性組成物を形成しながらポリマー組成物と発泡剤との良好な混合を確実にするように特別に構成された直径34mmのスクリューを有する共回転二軸スクリュー押出機である。混合押出機を、全てのゾーンにわたって180℃の設定温度、及び55rpmのスクリュー速度にて、10アンペア(ampere、amp)で作動させる。
【0146】
冷却押出機は、直径40mmのスクリューを備えた単軸スクリュー押出機である。冷却押出機のバレル及びダイ温度を、別個の油加熱器を使用して4つのゾーンの間で制御する。ゾーン1及びゾーン2を、それぞれ129℃及び116℃の設定温度で作動させる。ゾーン3の設定温度は、発泡性組成物の発泡温度である。冷却押出機を、22rpmのスクリュー速度で7アンペアで作動させる。直径3mmのロッドダイを冷却押出機の端部に取り付けた。ダイの温度を、Tm1又はTm2の高い方よりも20℃未満から20℃より高くに維持した。
【0147】
ポリマー組成物の成分を乾式ブレンドし、次いで、固体計量フィーダーを通して混合押出機の入口に供給する。ポリマー成分の完全な溶融を達成したら、発泡剤(イソブタン)を、容積式ポンプ(デュアルピストンHPLCポンプ)を使用して押出機の20L/Dで混合押出機に注入する。ポリマーの流量を、毎分36グラム(g/min)に維持する。出口ダイまでの押出機入口への固体成分の添加からのプロセスの滞留時間は、12分である。
【0148】
得られた発泡体組成物を、23℃及び湿度50%で150日間湿気硬化させる。
【0149】
比較試料CS1~CS3の発泡体組成物を、表1に列挙された原料を用いて以下の表2に列挙された配合に従って調製する。
【0150】
CS1は、113℃の発泡温度でLDPE 450Eから形成され、2.9mmの気泡径及び0%のゲル含有量を有する独立気泡発泡体を作製する。CS2~CS3は、Agility(商標)1021 LDPEから形成される。CS2及びCS3は、110℃の発泡温度で独立気泡発泡体を作製した。表2を参照されたい。CS1では113℃を超える発泡温度で、CS2~CS3では110℃を超える発泡温度で(表2には示されず)、気泡の潰れが明らかであった。CS1では112℃未満の発泡温度で、CS2~CS3では109℃未満の発泡温度で(表2には示されず)、ダイでの溶融温度が増加し始め、これはフリーズオフが発生し始めたことを示している。これらの観察結果は、イソブタンを用いたLDPEの押出発泡について以前に報告された1℃の狭い発泡温度範囲と一致している(Journal of Cellular Plastics,Vol.35,531-549(1999)及びJournal of Cellular Plastics,Vol.36,397-421(2000))。
【表2】
【0151】
発明実施例IE1~IE15の発泡体組成物を、表1に列挙された原料を用いて以下の表3に列挙された配合に従って調製する。
【0152】
IE1~IE10を、反応器エチレン/シランコポリマーから形成する。107.8℃~111.7℃の発泡温度で製造されたIE1~IE8は、連続気泡発泡体又は部分的連続気泡発泡体を作製した。107.2℃の発泡温度で製造されたIE9は、0.058g/ccの密度を有する連続気泡発泡体を作製した。106.1℃の発泡温度で形成されたIE10は、0.044g/ccの密度を有する独立気泡発泡体を作製した。
【0153】
IE1~IE10は、106.1℃~111.7℃の発泡温度範囲を有する。
【0154】
111.7℃~116.1℃の発泡温度範囲での反応器エチレン/シランコポリマーと非シラン官能化ポリオレフィンとのブレンドから形成されたIE11~IE15は、独立気泡発泡体を作製した。
【0155】
架橋発泡体組成物IE9及びIE10の気泡径は、それぞれ3.9mm及び3.1mmである。
【0156】
架橋発泡体組成物IE9、IE10、及びIE15を形成するための発泡体組成物の水分硬化後のゲル含有量は、それぞれ74.3重量%、73.3重量%、及び10.8重量%である。
【表3】
【0157】
驚くべきことに、IE1は、111.7℃の発泡温度(Tm1よりもほぼ6℃高い)まで冷却された場合だけ、潰れた気泡をもたらさなかった。同様に、IE15は、116.1℃の発泡温度(Tm2よりも約5℃高い)まで冷却された場合だけ、潰れた気泡をもたらさなかった。更に、発明実施例IE1~IE10及びIE11~IE15は、広い発泡温度範囲を示し、連続気泡、部分的連続気泡、又は独立気泡であった発泡体組成物をもたらした。IE1~IE10及びIE11~IE15の特性は、狭い発泡温度範囲でのみ発泡することができ、独立気泡発泡体のみをもたらしたCS1~CS3とは際立って対照的であった。
【0158】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。
【国際調査報告】