(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】高速且つ高効率のドリルビット
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20230306BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20230306BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20230306BHJP
C03B 33/10 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B28D1/14
B28D7/02
B23B51/04 Z
C03B33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538692
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020137269
(87)【国際公開番号】W WO2021129512
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911348484.8
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201922348398.9
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520348761
【氏名又は名称】桂林創源金剛石有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUILIN CHAMPION UNION DIAMOND CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 8 Chuangxin Road, Qixing District Guilin, Guangxi 541004, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋京新
(72)【発明者】
【氏名】▲龍▼慧玲
(72)【発明者】
【氏名】梁安▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】郭新玲
(72)【発明者】
【氏名】叶勇
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼人杰
(72)【発明者】
【氏名】王志勇
【テーマコード(参考)】
3C037
3C069
4G015
【Fターム(参考)】
3C037AA05
3C037DD01
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069CA11
3C069DA06
3C069DA07
3C069EA01
4G015FA09
4G015FC07
(57)【要約】
本発明は、作業リング1及び排出口2を含む高速且つ高効率のドリルビットに関する。前記作業リング1は円筒構造であり、作業リングを回転させて加工する際に、作業リングの側壁下部に複数の排出口2が環状に配置され、スクラップを排出する。前記排出口2の底部の両側辺の対称的な中心線または前記排出口2の底部の両側辺の夾角の中心線は、前記作業リング1の底面の円心を通過しない。本発明は以下の有益な効果を有する。排出口内の作業リングとともに回転している間、スクラップは、排出口から作業リング外側への機械的な押し付け力を受けることができ、該機械的な押し付け力の作用下で、スクラップは排出口からより容易に排出され、ドリルビットの高速且つ高効率の作業を確保する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業リング(1)および排出口(2)を含み、前記作業リング(1)は円筒構造であり、前記作業リング(1)を回転させて加工する際に、前記作業リング(1)の側壁下部に複数の排出口(2)が環状に配置され、スクラップを排出するドリルビットであって、
前記排出口(2)の底部の両側辺の対称的な中心線または前記排出口(2)の底部の両側辺の夾角の中心線は、前記作業リング(1)の底面の円心を通過しない、ことを特徴とする高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項2】
前記排出口(2)の底部の両側辺が平行に設置され、その対称的な中心線が前記作業リング(1)底面の円心を通過せず、且つ前記排出口(2)の底部の両側辺が前記作業リング(1)底面の円心に対してらせん状に配置され、らせん方向が前記作業リング(1)の回転方向と一致している、ことを特徴とする請求項1に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項3】
前記排出口(2)の底部の両側辺が、前記作業リング(1)の回転方向上に沿って前後にそれぞれ第1の側辺(3)および第2の側辺(4)であり、
前記第1の側辺(3)と前記第2の側辺(4)の夾角の中心線が前記作業リング(1)底面の円心を通過せず、
前記第1の側辺(3)の一端が前記作業リング(1)の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング(1)の外側であって前記作業リング(1)の回転方向の反対方向に角度αだけ偏向し、
前記第2の側辺(4)の一端が前記作業リング(1)の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング(1)の外側であって前記作業リング(1)の回転方向に角度θだけ偏向し、且つ、
α>θである、ことを特徴とする請求項1に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項4】
前記排出口(2)の両側面が平行に設置され、その底部の両側辺の対称的な中心線が前記作業リング(1)底面の円心を通過せず、前記排出口(2)の両側面が前記作業リング(1)の底面に対して前記作業リング(1)の回転方向に傾斜して設置され、
前記排出口(2)の両側面の一端が前記作業リング(1)の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング(1)の外側であって前記作業リング(1)の回転方向に予設の角度だけ偏向する、ことを特徴とする請求項1に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項5】
前記作業リング(1)の側壁に、前記排出口(2)に対応するスタンバイ排出口(5)が設けられ、前記スタンバイ排出口(5)が前記排出口(2)上方に配置され、前記作業リング(1)の軸方向摩耗が前記排出口(2)を超えた後にスクラップを排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項6】
前記排出口(2)の頂部が丸み構造であり、前記スタンバイ排出口(5)の底部と頂部がいずれも丸み構造である、ことを特徴とする請求項5に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項7】
前記作業リング(1)の外側壁に周方向に沿って複数の排出スロット(6)が均一に設けられ、前記排出スロット(6)の下端が前記作業リング(1)の底部まで延伸し、その上端が斜め上向きに延伸する、ことを特徴とする請求項6に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項8】
前記排出スロット(6)はらせん状であり、らせん方向が前記作業リング(1)の回転方向と一致している、ことを特徴とする請求項7に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項9】
前記排出口(2)と前記スタンバイ排出口(5)は、前記排出スロット(6)内の対応の位置に配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【請求項10】
前記排出口(2)と前記スタンバイ排出口(5)の両側面は、前記作業リング(1)の回転方向に前後にそれぞれ第1の側面(9)と第2の側面(10)であり、
前記排出スロット(6)の両側面は前記作業リング(1)の回転方向に前後にそれぞれ第3の側面(11)と第4の側面(12)であり、且つ、
前記第1の側面(9)と前記第3の側面(11)が重なり合い、前記第2の側面(10)と前記第4の側面(12)が間隔を空けて配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の高速且つ高効率のドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ツールの分野に関し、具体的には、高速且つ高効率のドリルビットに関する。
【背景技術】
【0002】
図1~3に示すように、既存のドリルビットは、作業リング1および排出口2を含む。作業リング1はベース7の下端に固定され、その表面にダイヤモンド粒子などの研磨材層が設けられ、作業リング1の肉厚がベース7の肉厚よりも厚い。加工中、冷却水がベース7内部に注入され作業リング1内壁とガラス8間(ダイヤモンド粒子間で形成された冷却水の流動隙間)を下向きに流動した後、作業リング1下端から外側へ流出し、最後に作業リング1外壁とガラス8間を上向きに排出される(
図3の矢印で示される)。上記の冷却水流動中、冷却水は、研削によって生成されたスクラップを運び、排出口2を通過させた後、排出スロット6および作業リング1外壁とガラス8間の隙間を介してスクラップを排出する。排出口2は、作業リング1の回転加工中スクラップ(冷却水と研削スクラップの混合物)を排出し、正常な加工を確保する。
【0003】
水が作業リング1上のダイヤモンド粒子とガラス間の空隙Wに注入されるため、Wが狭く、加工によって生成されたスクラップを排出して正常な加工を確保するために、一般に、水注入量または水圧を増加することによって実現する。水注入量を増加すると、水資源の浪費や製造コストの増加を招く可能性があり、環境保護に優しくなく、水圧を増加すると、ガラスの穴が開けられた瞬間に、特に薄いガラスを加工する場合にガラスが簡単に欠ける可能性がある。
【0004】
既存のドリルビットの排出口2の底部の両側辺が平行に設置され、排出口2の底部の両側辺の対称的な中心線が作業リング1底面の円心を通過している。上記の設置により、作業リング1の高速回転加工のとき、スクラップが排出口2内で作業リング1とともに同期回転し、作業リング1の回転遠心力の作用下で作業リング1の外側に容易に排出できず、ドリルビットが高速かつ高効率的に作業することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
以上のように、従来技術の欠点を克服するために、本発明が解決しようとする技術的問題は、高速且つ高効率のドリルビットを提供することである。
【0007】
本発明が上記技術的問題を解決する技術的解決策としては、高速且つ高効率のドリルビットを提供し、作業リングおよび排出口を含み、前記作業リングは円筒構造であり、前記作業リングを回転させて加工する際に、前記作業リングの側壁下部に複数の排出口が環状に配置され、スクラップを排出するドリルビットであって、
前記排出口の底部の両側辺の対称的な中心線または前記排出口の底部の両側辺の夾角の中心線は、前記作業リングの底面の円心を通過しない。
【0008】
本発明は以下の有益な効果を有する。排出口内の作業リングとともに回転している間、スクラップは、排出口から作業リング外側への機械的な押し付け力を受ける可能性があり、該機械的な押し付け力の作用下で、スクラップは排出口からより容易に排出され、ドリルビットの高速且つ高効率の作業を確保する。
【0009】
上記の技術的解決策の基に、本発明は以下のように改善され得る。
【0010】
さらに、前記排出口の底部の両側辺が平行に設置され、その対称的な中心線が前記作業リング底面の円心を通過せず、かつ前記排出口の底部の両側辺が前記作業リング底面の円心に対してらせん状に配置され、らせん方向が前記作業リングの回転方向と一致している。
【0011】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。スクラップが作業リングの回転遠心力の作用下で排出口に沿って外部に排出され、スクラップの排出速度が向上する。
【0012】
さらに、前記排出口の底部の両側辺が、前記作業リングの回転方向上に沿って前後にそれぞれ第1の側辺および第2の側辺であり、前記第1の側辺と前記第2の側辺の夾角の中心線が前記作業リング底面の円心を通過しなく、前記第1の側辺の一端が前記作業リングの内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リングの外側であって前記作業リングの回転方向の反対方向に角度αだけ偏向し、前記第2の側辺の一端が前記作業リングの内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リングの外側であって前記作業リングの回転方向に角度θだけ偏向し、かつα>θである。
【0013】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。作業リングが回転すると、排出口の第2の側辺が第1の側辺によって外部へ押し出されたスクラップを邪魔せず、作業リングの径方向にスクラップの排出速度が向上する。
【0014】
さらに、前記排出口の両側面が平行に設置され、その底部の両側辺の対称的な中心線が前記作業リング底面の円心を通過せず、前記排出口の両側面が前記作業リングの底面に対して前記作業リングの回転方向に傾斜して設置され、前記排出口の両側面の一端が前記作業リングの内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リングの外側であって前記作業リングの回転方向に予設の角度だけ偏向する。
【0015】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。作業リングが回転すると、排出口の両側面の一方側がスクラップに対して上向きに外部への押し付け力を印可し、作業リングの軸方向にスクラップの排出速度が向上する。
【0016】
さらに、前記作業リングの側壁に、前記排出口に対応するスタンバイ排出口が設けられ、前記スタンバイ排出口が前記排出口上方に配置され、前記作業リングの軸方向摩耗が前記排出口を超えた後にスクラップを排出する。
【0017】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。作業リングの軸方向が摩耗しても正常に加工することが確保される。
【0018】
さらに、前記排出口の頂部が丸み構造であり、前記スタンバイ排出口の底部と頂部がいずれも丸み構造である。
【0019】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。応力集中を防ぎ、冷却水およびスクラップの流動を促進する。
【0020】
さらに、前記作業リングの外側壁に周方向に沿って複数の排出スロットが均一に設けられ、前記排出スロットの下端が前記作業リングの底部まで延伸し、その上端が斜め上向きに延伸する。
【0021】
さらに、前記排出スロットはらせん状であり、らせん方向が前記作業リングの回転方向と一致している。
【0022】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。スクラップが排出スロットに沿って上向きに排出されるのを容易にする。
【0023】
さらに、前記排出口と前記スタンバイ排出口は、前記排出スロット内の対応の位置に配置される。
【0024】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。排出口から排出されたスクラップが即時に排出スロットを介して上向に排出される。
【0025】
さらに、前記排出口と前記スタンバイ排出口の両側面は、前記作業リングの回転方向に前後にそれぞれ第1の側面と第2の側面であり、前記排出スロットの両側面は前記作業リングの回転方向に前後にそれぞれ第3の側面と第4の側面であり、かつ前記第1の側面と前記第3の側面が重なり合い、前記第2の側面と前記第4の側面が間隔を空けて配置される。
【0026】
上記の改善解決策によれば以下の有益な効果を有する。スタンバイ排出口から流出した冷却水は、排出スロット内のスクラップを排出させ、最良のブースト作用を有し、排出効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】ドリルビットがガラスを加工するときの水流れの概略図である。
【
図8】本発明の実施例2のスクラップの径方向排出の概略図である。
【
図9】従来ドリルビットのスクラップの径方向排出の概略図である。
【
図16】本発明の実施例2の作業リングが一定期間作動した後の底部の拡大図である。
【0028】
そのうちに、点線は、排出口の底部の両側辺の対称的な中心線または排出口の底部の両側辺の夾角の中心線を指し、実線の矢印方向は、作業リングの回転方向を示し、破線の矢印はスクラップ排出方向を指す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の原理および特徴を説明するが、挙げられた実施例は本発明を解釈することのみを意図しており、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0030】
[実施例1]
図4および
図5に示すように、高速且つ高効率のドリルビットは、作業リング1および排出口2を含む。前記作業リング1は円筒構造であり、前記作業リング1を回転させて加工する際に、前記作業リング1の側壁下部に複数の排出口2が環状に配置され、スクラップを排出する。前記排出口2の底部の両側辺が平行に設置され、その対称的な中心線が前記作業リング1底面の円心を通過せず、かつ前記排出口2の底部の両側辺が前記作業リング1底面の円心に対してらせん状に配置され、らせん方向が前記作業リング1の回転方向と一致している。この実施例では、スクラップは作業リング1の回転遠心力の作用下で排出口2に沿って外部へ排出され、スクラップの排出速度が向上し、ドリルビットの高速回転下での高効率作業を確保することができる。
【0031】
前記作業リング1の側壁に前記排出口2に対応するスタンバイ排出口5が設けられ、前記スタンバイ排出口5は前記排出口2の上方に配置され、前記作業リング1の軸方向摩耗が前記排出口2を超えた後スクラップを排出する。作業リング1は連続加工では軸方向に摩耗し続け、摩耗がある程度に達した後、つまり排出口2を超えた後、第2層のスタンバイ排出口5は新しい排出口2になり、新しい排出口2と最初の排出口2の構造は同様である。このように、上層のスタンバイ排出口5は、作業リング1が摩耗して作業能力を失うまで、新しい排出口2として連続的に形成することができる。前記作業リング1の外側壁に周方向に沿って複数の排出スロット6が均一に設けられ、前記排出スロット6の下端が前記作業リング1の底部まで延伸し、その上端が斜め上向きに延伸し、前記排出スロット6はらせん状であり、らせん方向は前記作業リング1の回転方向と一致している。排出スロット6は、スクラップが排出スロット6に沿って上向きに容易に排出されるように設計され、排出口2とスタンバイ排出口5は排出スロット6の外または排出スロット6の内に配置され得る。
【0032】
[実施例2]
この実施例は主に排出口2の構造を変えることを除いて、実施例1と同じである。
【0033】
図6および
図7に示すように、前記排出口2の底部の両側辺が前記作業リング1の回転方向に前後にそれぞれ第1の側辺3および第2の側辺4であり、前記第1の側辺3と前記第2の側辺4の夾角の中心線が前記作業リング1底面の円心を通過しない。
図17に示すように、前記第1の側辺3の一端が前記作業リング1の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング1の外側であって前記作業リング1の回転方向の反対の方向に角度αだけ偏向する。前記第2の側辺4の一端が前記作業リング1の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング1の外側であって前記作業リング1の回転方向に角度θだけ偏向し、α>θである。この実施例では、作業リング1が回転すると、排出口2の第1の側辺3が作業リング1の回転下で作業リング1の外側に押し出されたスクラップに対して径方向の機械的な押し付け力を印可する。第1の側辺3の作業リング1の回転方向の後方への偏向角度αが、第2の側辺4の作業リング1の回転方向の前方への偏向角度θよりも大きいため、第2の側辺4が第1の側辺3で外部へ押し出されたスクラップを邪魔せず、
図8に示すように、スクラップが作業リング1の回転に従って第1の側辺3の機械的な押し付け力の作用下で作業リング1の径方向に沿ってスムーズに排出され得る。上記のような設計がないと、つまり排出口2の第1の側辺3と第2の側辺4が偏向しないと、
図9に示すように、作業リング1の回転下で、第2の側辺4は、第1の側辺3で外部へ押し出されたスクラップを邪魔し、ひいてはスクラップの排出速度を低減させる。
【0034】
さらに、第1の側辺3と第2の側辺4の上記設計により、両者が作業リング1内側に近接する両端部の距離が狭くなり、作業リング1外側に近い端部間の距離が広くなり、つまり作業リング1内側の加工材料(ダイヤモンド粒子)が多くなり、外側の加工材料が少なくなり、ひいては作業リング1内側の摩耗速度が外側の摩耗速度よりも遅い。したがって、一定時間作業した後、
図16に示すように、作業リング1の作業端(底面)が対応の円錐になる。ある材料、例えばガラスを加工するとき、作業リング1の作業端の内側がまずガラスの表面内側に接触し、ガラスの欠けを効果的に回避することができる。
【0035】
[実施例3]
この実施例は主に排出口2の構造を変えることを除いて、実施例1と同じである。
【0036】
図10~
図13に示すように、前記排出口2の両側面が平行に設置され、その底部の両側辺の対称的な中心線が前記作業リング1底面の円心を通過しない。前記排出口2の両側面が前記作業リング1の底面に対して前記作業リング1の回転方向に傾斜して設置され、前記排出口2の両側面の一端が前記作業リング1の内側壁の対応の位置に配置され、他端が前記作業リング1の外側であって前記作業リング1の回転方向に予設の角度だけ偏向する。前記排出口2の頂部は丸み構造であり、前記スタンバイ排出口5の底部と頂部はいずれも丸み構造である。丸み構造により、応力集中を防ぎ、スクラップの流動を促進することができる。この実施例では、作業リング1が回転すると、排出口2の両側面が作業リング1に従って回転し、一方の側面が上向き(軸方向に上向き)に外部(作業リング1の外側)にスクラップを押し出し、両側面が平行に設置され、他方の側面は、一方の側面によるスクラップの押し出を邪魔せず、つまりスクラップを排出するための軸方向の機械的な押し付け力を形成する。スクラップは作業リング1の回転に従って、排出口2の両側面で押し出されて作業リング1の軸方向に沿ってスムーズに排出される(
図13の破線の矢印で示される)。
【0037】
[実施例4]
この実施例は主に排出口2の位置を変えることを除いて、排出口2の構造は実施例1、実施例2または実施例3と同じであり、他の部分は実施例1と同じである。
【0038】
図14および
図15に示すように、前記作業リング1の側壁にスタンバイ排出口5が設けられ、前記スタンバイ排出口5は前記排出口2の上方に配置され、前記作業リング1の軸方向摩耗が前記排出口2を超えた後スクラップを排出する。前記スタンバイ排出口5の底部と頂部はいずれも丸み構造であり、丸み構造により、応力集中を防ぎ、スクラップの流動および排出を促進することができる。前記作業リング1の外側壁にいくつかの排出スロット6が環状に配置され、前記排出スロット6はらせん状であり、らせん方向は前記作業リング1の回転方向と一致している。排出スロット6は、スクラップが排出スロット6に沿って上向き排出されるように設計される。前記排出口2と前記スタンバイ排出口5は前記排出スロット6内に配置される。この実施例では、排出口2から排出されたスクラップは即時に排出スロット6を介して上向きに排出され、スクラップの排出速度が向上する。
【0039】
好ましくは、前記排出口2と前記スタンバイ排出口5の両側面は前記作業リング1の回転方向に前後にそれぞれ第1の側面9および第2の側面10であり、前記排出スロット6の両側面は前記作業リング1の回転方向に前後にそれぞれ第3の側面11および第4の側面12であり、前記第1の側面9と前記第3の側面11は重なり合い、前記第2の側面10と前記第4の側面12は間隔を空けて配置される。排出口2の第1の側面9と排出スロット6の第3の側面11が重なり合うように設計することにより、作業リング1の回転下で、排出口2から排出されたスクラップが後向き、つまり排出スロット6の第4の側面12に向かって移動し、排出口2の第2の側面10と第4の側面12は間隔を空けて配置されてスクラップの最大排出空間を形成し、スクラップがより早く排出スロット6内に排出され、排出効率が向上する。スタンバイ排出口5の第1の側面9と排出スロット6の第3の側面11が重なり合うように設計することにより、スタンバイ排出口5の第2の側面10と第4の側面12が間隔を空けて配置され、同様に冷却水の最大排出空間を形成し、スタンバイ排出口5から冷却水が流出し(作業リング1は摩耗し、スタンバイ排出口5が排出口2にならないとき、スタンバイ排出口5から作業リング1の外側へ冷却水が流出して排出を補助する)、排出スロット6内のスクラップを排出させ、最良のブースト作用を有し、同様に排出効率が向上する。排出口2/スタンバイ排出口5が排出スロット6の一側と重なり合うと、例えば排出口2/スタンバイ排出口5が排出スロット6内の中央に設置され(第1の側面9および第2の側面10は第3の側面11および第4の側面12といずれも重なり合わない)、または第2の側面10が第4の側面12と重なり合うと、排出口2/スタンバイ排出口5の第2の側面10と排出スロット6の第4の側面12間に形成されたスクラップ、冷却水の排出空間が小さく、スクラップを迅速に排出することができない。
【0040】
上記の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神および原則を逸脱せずに加えられた修正、同等置換や改善などは、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 作業リング
2 排出口
3 第1の側辺
4 第2の側辺
5 スタンバイ排出口
6 排出スロット
7 ベース
8 ガラス
9 第1の側面
10 第2の側面
11 第3の側面
12 第4の側面
【国際調査報告】