(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】電池用の高グリーン密度セラミック
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20230306BHJP
C04B 35/50 20060101ALI20230306BHJP
C04B 35/634 20060101ALI20230306BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20230306BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230306BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20230306BHJP
H01B 1/08 20060101ALI20230306BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20230306BHJP
H01M 8/124 20160101ALN20230306BHJP
【FI】
H01B13/00 Z
C04B35/50
C04B35/634
B28B1/30 101
H01M10/0562
H01B1/06 A
H01B1/08
H01M10/052
H01M8/124
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539121
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 US2021013742
(87)【国際公開番号】W WO2021146633
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520474211
【氏名又は名称】クアンタムスケープ バッテリー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バン ベルケル,キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリーズ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4G052
5G301
5H029
5H126
【Fターム(参考)】
4G052DA02
4G052DA04
4G052DA05
4G052DA08
4G052DB14
4G052DC06
5G301CA02
5G301CA12
5G301CA16
5G301CA18
5G301CA20
5G301CA22
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5G301CE02
5H029AJ02
5H029AJ12
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5H029CJ28
5H029HJ01
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5H029HJ05
5H029HJ08
5H029HJ14
5H126AA06
5H126FF04
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5H126HH01
5H126HH03
5H126HH04
5H126HH06
5H126HH08
5H126JJ01
5H126JJ05
5H126JJ08
(57)【要約】
非反応性環境において、セラミック原料粉末及び前駆体反応物、バインダー、並びに機能性添加剤を薄い非焼結グリーンテープにキャスティングすることにより、薄いセラミックグリーンテープを製造するためのプロセス及び材料が本明細書に示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度グリーンテープを製造するためのプロセスであって、
(a)原料粉末を含むスラリーを提供するステップと、
(b)前記スラリーを非反応性環境でバインダー溶液と混合するステップと、
(c)前記スラリーを非反応性環境でキャスティングしてグリーンテープを形成するステップと、
(d)前記グリーンテープを非反応性環境で乾燥させて、2.9g/mlよりも大きい幾何学的密度を達成するステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
前記原料粉末が非反応性環境でか焼されて、4.7g/mlよりも大きい幾何学的密度を達成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記グリーンテープ中の前記原料粉末の量が、少なくとも50重量%、55重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも1つの前記原料粉末が、リチウム充填ガーネット、リチウム充填ガーネットの化学前駆体、及び酸化アルミニウムドーパントを含むリチウム充填ガーネットからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記リチウム充填ガーネットが、Li
ALa
BM’
CM”
DZr
EO
F(式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2;0≦E<2.5、10<F≦13.5であり、且つM’及びM”はそれぞれ、各場合において独立して、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、Ga、及びTaから選択される)からなる群から選択される材料である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
少なくとも1つの前記原料が、約100nm~約200nm、約200nm~約300nm、約300nm~約400nm、約400nm~約500nm、約500nm~約600nm、約600nm~約700nm、約700nm~約800nm、約800nm~約900nm、約900nm~約1μm、約1μm~約2μm、又は約2μm~約3μmの粒径分布d
50を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセスがさらに、無水非プロトン性溶媒中の非反応性環境で、少なくとも1つの原料粉末を粉砕することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記非反応性環境が、窒素ガス若しくはアルゴンガス、又はこれらの組合せと、約-10℃~-20℃、約-20℃~-30℃、約-30℃~-40℃、約-40℃~-50℃、又は約-50℃~-60℃の露点における湿度とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記非プロトン性溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び1,2-ジメトキシエタンからなる群から選択される、請求項7又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記粉砕が、乾式粉砕、摩擦粉砕、超音波粉砕、高エネルギー粉砕、湿式粉砕、ジェット粉砕、及び低温粉砕からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記原料粉末が約100nm~200nm、約200nm~300nm、約300nm~400nm、約400nm~500nm、約500nm~600nm、約600nm~700nm、又は約700nm~750nmの粒径分布d
50を有するまで、前記原料粉末を粉砕することをさらに含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップ(c)又はステップ(d)の前に、非反応性環境で修飾された前記原料粉末のスラリーと、ポリプロピレン(PP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ(エチレン-co-1-オクテン)(PE-co-PO)、ポリ(エチレン-co-メチレンシクロペンテン)(PE-co-PMCP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテン、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンポリマー及びコポリマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)、アクリルポリマー、Paraloid樹脂類からのバインダー、Butvar樹脂類からのバインダー、Mowital樹脂類からのバインダー、並びにこれらの組合せからなる群から選択されるバインダーとを混合することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップ(b)において、魚油、C
8~C
20程度の脂肪酸、C
8~C
20程度のアルコール、C
8~C
20程度のアルキルアミン、リン酸エステル、リン脂質、高分子分散剤、例えば、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンオキシド)及びそのエーテル、ポリ(エチレングリコール)及びそのエーテル、ポリアルキレンアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルブチラール、無水マレイン酸コポリマー、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシラートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、Brij界面活性剤類、Triton界面活性剤類、Solsperse分散剤類、SMA分散剤類、Tween界面活性剤類、及びSpan界面活性剤類からの界面活性剤及び分散剤からなる群から選択される分散剤と共に、修飾された前記原料粉末のスラリーを粉砕することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記C
8~C
20程度の脂肪酸が、ドデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、及び/又はリノール酸から選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記C
8~C
20程度のアルコールが、ドデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの組合せから選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記C
8~C
20程度のアルキルアミンが、ドデシルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、及びこれらの組合せから選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、レシチン、及びこれらの組合せから選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
ステップ(c)又はステップ(d)の前に、非反応性環境において、前記原料粉末のスラリーと、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、及びフタル酸ベンジルブチルから選択される可塑剤とを混合することをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
ろ過技術が、ふるい分け、遠心分離、及び異なるサイズ又は異なる質量の粒子の分離からなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記スラリーが1wt%~99wt%の固体積載量を有し、前記固体積載量が前記原料粉末の量を指す、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記スラリーが乾燥されたときに80%wt/wtの前記原料粉末を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記スラリーが乾燥されたときに約10~25%wt/wtの有機含有量を含み、前記有機含有量が、前記原料粉末以外のスラリー成分を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記グリーンテープが、リチウム充填ガーネットの粒子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記グリーンテープが、幾何学的密度で測定したときに2.9g/cm
3よりも大きい密度を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記グリーンテープを焼結させることをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記非反応性環境が、約-10℃~-20℃、約-20℃~-30℃、約-30℃~-40℃、約-40℃~-50℃、又は約-50℃~-60℃の露点における湿度の大気を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記非反応性環境が、各ステップにおいて同一の非反応性環境である、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記非反応性環境が、少なくとも1つのステップにおいて異なる非反応性環境である、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/961,611号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、その内容全体は、全ての目的のために参照によってその全体が本明細書中に援用される。
【0002】
分野
[0002] 本開示は、高密度を有する無機グリーンテープの前駆体と、これらの前駆体を使用して、高密度を有するグリーンテープを製造するためのプロセスと、高密度を有するグリーンテープを使用して、焼結された薄いフィルムを製造するためのプロセスとに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] リチウム充填ガーネット(lithium-stuffed garnet)材料並びに水素化ホウ素リチウム、酸化リチウム、硫化リチウム、オキシハロゲン化リチウム、及びハロゲン化リチウムなどの固体状態のセラミックは、燃料電池及び充電式電池を含む様々な電気化学的デバイスにおけるイオン伝導性電解質膜及びセパレータの材料としていくつかの利点を有する。その液体ベースの対応物と比較した場合、上述の固体セラミックは、安全性及び経済的利点と、これらの材料が電解質セパレータとして電気化学的デバイスに組み込まれたときにそれに応じて高い体積及び重量エネルギー密度を可能にする、材料の固体状態及び密度に関連する利点とを有する。固体状態のイオン伝導性セラミックは、固体状態でのその高イオン伝導特性、その電気絶縁特性、及びリチウム金属などの様々な電極材料とのその化学的適合性、並びに広い電圧ウィンドウに対するその安定性のために、固体状態の電気化学的デバイスによく適している。
【0004】
[0004] 固体状態のイオン伝導性セラミックは一連の有利で有益な特性を有するが、これらの材料は、高密度グリーンフィルム(すなわち、グリーンテープ)の形成と、その後のこれらのグリーンテープの焼結とに関連する様々な問題を抱えている。固体状態のイオン伝導性セラミックが通常薄いフィルムとして配合されて、焼結される場合、これらのフィルムは、これらが調製される基板に粘着し易く、加工条件のために割れたり反ったりするか、或いは焼結後に脆すぎて取扱い及び操作ができない。薄いフィルムの焼結の間に、これらのフィルムは割れるか、反るか、又は他に表面劣化を有する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] したがって、限定はされないがガーネットなどのセラミックのグリーンテープをキャスティングすること、及びこれらのグリーンテープを焼結させて薄い高密度ガーネットフィルムを調製することに関連する関連分野において一連の問題が存在する。関連分野で必要とされるのは、例えば、高密度を有するグリーンテープをキャスティングするための改善された材料及びプロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 本開示は、このような材料及びプロセスを、その製造及び使用に加えて示すと共に、関連分野における問題に対する他の解決策を示す。
【0007】
[0007] 一実施形態では、高密度グリーンテープを製造するためのプロセスが記載されており、本プロセスは、
(a)少なくとも1つの原料粉末を含むスラリーを提供するステップと、
(b)上記スラリーを非反応性環境でバインダー溶液と混合するステップと、
(c)上記スラリーを非反応性環境でキャスティングしてグリーンテープを形成するステップと、
(d)上記グリーンテープを非反応性環境で乾燥させて、2.9g/mlよりも大きい密度を達成するステップと
を含む。
特定の実施形態では、各非反応性環境は、温度、圧力、又は大気組成に関して特有である。特定の実施形態では、各非反応性環境は同一の非反応性環境である。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、少なくとも1つの原料粉末は非反応性環境でか焼されて、幾何学的密度で測定したときに4.7g/mlよりも大きい密度を達成する。いくつかの実施形態において、グリーンテープ中の少なくとも1つの原料粉末の量は、少なくとも50重量%、55重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの原料粉末は、リチウム充填ガーネット、リチウム充填ガーネットの化学前駆体、及び酸化アルミニウムドーパントを含むリチウム充填ガーネットからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、リチウム充填ガーネットは、LiALaBM’CM”DZrEOF(式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2;0≦E<2.5、10<F≦13.5であり、且つM’及びM”はそれぞれ、各場合において独立して、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、Ga、及びTaから選択される)からなる群から選択される材料である。いくつかの実施形態において、粒径d50は、約100nm~200nm、約200nm~300nm、約300nm~400nm、約400nm~500nm、約500nm~600nm、約600nm~700nm、約700nm~800nm、約800nm~900nm、約900nm~1μm、約1μm~2μm、又は約2μm~3μmである。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態において、本プロセスはさらに、無水非プロトン性溶媒中の非反応性環境で、少なくとも1つの原料粉末を粉砕することを含む。いくつかの実施形態において、非反応性環境は、窒素ガスと、約-10℃~-20℃、約-20℃~-30℃、約-30℃~-40℃、約-40℃~-50℃、又は約-50℃~-60℃の露点における湿度とを含む。いくつかの実施形態において、非反応性環境は、アルゴンガスと、約-10℃~-20℃、約-20℃~-30℃、約-30℃~-40℃、約-40℃~-50℃、又は約-50℃~-60℃の露点における湿度とを含む。いくつかの実施形態において、非プロトン性溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び1,2-ジメトキシエタンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、粉砕は、乾式粉砕、摩擦粉砕、超音波粉砕、高エネルギー粉砕、湿式粉砕、ジェット粉砕、及び低温粉砕からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、原料粉末は、約100nm~200nm、約200nm~300nm、約300nm~400nm、約400nm~500nm、約500nm~600nm、約600nm~700nm、又は約700nm~750nmである粒径d50を有するまで粉砕される。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態において、ステップ(c)又はステップ(d)の前に、プロセスは、非反応性環境で修飾された原料粉末のスラリーと、ポリプロピレン(PP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、他のポリオレフィン、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ(エチレン-co-1-オクテン)(PE-co-PO)、ポリ(エチレン-co-メチレンシクロペンテン)(PE-co-PMCP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテン、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンポリマー及びコポリマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)、アクリルポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びこれらのコポリマー)、Paraloid樹脂類からのバインダー、Butvar樹脂類からのバインダー、Mowital樹脂類からのバインダー、並びにこれらの組合せからなる群から選択されるバインダーとを混合することを含む。いくつかの実施形態において、本プロセスは、魚油、C8~C20程度の脂肪酸、C8~C20程度のアルコール、C8~C20程度のアルキルアミン、リン酸エステル、リン脂質、高分子分散剤、例えば、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンオキシド)及びそのエーテル、ポリ(エチレングリコール)及びそのエーテル、ポリアルキレンアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルブチラール、無水マレイン酸コポリマー、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシラートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、Brij界面活性剤類、Triton界面活性剤類、Solsperse分散剤類、SMA分散剤類、Tween界面活性剤類、及びSpan界面活性剤類からの界面活性剤及び分散剤からなる群から選択される分散剤と共に、修飾された原料粉末のスラリーを粉砕することを含む。いくつかの実施形態において、C8~C20程度の脂肪酸は、ドデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、及び/又はリノール酸のうちの少なくとも1つである。本明細書で使用される場合、C8~C20程度は、記載される有機基が8~20個の炭素原子を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、C8~C20程度のアルコールは、ドデカノール、オレイルアルコール、及び/又はステアリルアルコールのうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、C8~C20程度のアルキルアミンは、ドデシルアミン、オレイルアミン、及び/又はステアリルアミンのうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、リン脂質は、ホスファチジルコリン及び/又はレシチンである。いくつかの実施形態において、本プロセスは、ステップ(c)又はステップ(d)の前に、非反応性環境において、料粉末のスラリーと、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、及びフタル酸ベンジルブチルから選択される可塑剤とを混合することをさらに含む。いくつかの実施形態において、ろ過技術は、ふるい分け、遠心分離、及び異なるサイズ又は異なる質量の粒子の分離からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、スラリーは1wt%~99wt%の固体積載量を有し、固体積載量は原料粉末の量を指す。いくつかの実施形態において、スラリーは乾燥されたときに80%wt/wtの原料粉末を含む。いくつかの実施形態において、スラリーは乾燥されたときに約10~25%wt/wtの有機含有量を含み、有機含有量は、原料粉末以外のスラリー成分を含む。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、幾何学的密度で測定したときに2.9g/cm3よりも大きい密度を有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは焼結される。
【0011】
[0011] 上記のいずれかを含むいくつかの例では、ろ過技術は、非反応性環境において起こる。上記のろ過のいずれかを含むいくつかの例では、本プロセスは、スラリーを非反応性環境でろ過することを含む。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態は、
a.リチウム充填ガーネット粒子又はリチウム充填ガーネットの前駆体の粒子と、
b.バインダー、可塑剤、分散剤、及び界面活性剤から選択される少なくとも1つの要素と
を含む自立型グリーンテープを提供する。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態において、自立型グリーンテープは、2.9~5.0g/cm3の密度、0.5~100μmの厚さ、及び0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、約0.1~0.2μm、約0.2~0.3μm、約0.3~0.4μm、約0.4~0.5μm、約0.5~0.6μm、約0.6~0.7μm、約0.7~0.8μm、約0.8~0.9μm、約0.9~1.0μm、約1.0~1.1μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、自立型グリーンテープは、約500nm~約100μmの間の厚さを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープの面積は、少なくとも0.5cm2である。いくつかの実施形態において、グリーンテープの厚さは、10cm2の面積に関する変化が5%未満である。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約50~80vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約55~80vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさ、約55~75vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさ、約50~75vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさ、約55~70vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさ、約50~65vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさ、又は約55~65vol%のセラミック負荷、約0.5~100μmの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。
【0014】
[0014] 上記のいずれかを含むいくつかの実施形態において、グリーンテープは、2.9~5.0g/cm3の密度、0.5~100umの厚さ、及び0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、約0.1~約0.2μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.2~約0.3μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.3~約0.4μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.4~約0.5μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.5~約0.6μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.6~約0.7μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.7~約0.8μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.8~約0.9μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.9~約1.0μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、1.0~約1.1μmのd50を有する。いくつかの実施形態において、自立型グリーンテープは、約500nm~約100μmの間の厚さを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープの面積は、少なくとも0.5cm2である。いくつかの実施形態において、グリーンテープの厚さは、10cm2の面積に関する変化が5%未満である。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約50~約80vol%の原料粉末固体積載量、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約55~約80vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約55~約75vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約50~約75vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約55~約70vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約50~約65vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。いくつかの実施形態において、グリーンテープは、約55~約65vol%のセラミック負荷、約0.5~約100umの厚さ、及び約0.5~400cm2の横方向の大きさを有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面の簡単な説明
【
図1】[0015]本明細書に示されるプロセスの実施形態に従うフローチャート例を示す。
【
図2】[0016]実施例1に示されるキャスティングプロセスによって製造されたグリーンテープの走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。有機部分は201で表示され、リチウム充填ガーネット部分は202で表示される。
【
図3】[0017]実施例1で製造された焼結グリーンテープの走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。有機部分は301で表示され、ガーネット部分は302で表示される。
【
図4】[0018]焼結前の実施例1で製造されたグリーンテープのディスク、及び焼結後に結果として得られたディスクの光学顕微鏡画像を示す。グリーンテープディスクは401で表示され、焼結ディスクは402で表示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019] 図面には、説明だけを目的として本開示の種々の実施形態が示される。当業者は、以下の議論から、本明細書に記載される原理から逸脱することなく本明細書に説明される構造及びプロセスの代替の実施形態が使用され得ることを容易に認識するであろう。
【0017】
詳細な説明
[0020] 以下の記載は、開示される主題を当業者が製造及び使用し、それを本出願の文脈に組み込むことを可能にするために提示される。種々の修正、及び異なる用途における様々な使用は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的原理は、広範囲の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、提示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0018】
[0021] 以下の詳細な説明において、本開示のより完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が示される。しかしながら、本開示が必ずしもこれらの特定の詳細に限定されることなく実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、周知の構造及びデバイスは、本開示を不明瞭にすることを回避するために、詳細ではなくブロック図形態で示される。
【0019】
[0022] 本明細書中の開示は、非反応性環境で調製された高密度のグリーンテープ、これらのグリーンテープを製造するためのプロセス、及びこれらのグリーンテープを焼結させるためのプロセスを示す。本明細書中のプロセスは、従来の既知のプロセスで調製されたグリーンテープと比較して、高密度を有する薄いグリーンテープを生じる。該グリーンテープから製造された焼結フィルムは、研磨又はラップ仕上げなどのさらなる加工なしに、電気化学的デバイスに組み込むのに適した表面を有する。これらのグリーンテープは、従来の既知のプロセスと比較して、焼結されたときの収縮が少ない。これらのグリーンテープは、従来の既知のプロセスと比較して、焼結中に反り又は割れがない。これらのグリーンテープは、電気化学的デバイス用途に適している。
【0020】
A.定義
[0023] 本明細書で使用される場合、「提供すること」は、提供されるものを提供、生成、提示、又は送達することを指す。提供は、何かを利用可能にすることを含む。例えば、粉末の提供は、本明細書に記載されるプロセスにおいて示される通りに粉末が使用され得るように、粉末を利用可能にするか又は粉末を送達するプロセスを指す。本明細書で使用される場合、提供は、測定、秤量、移動、組合せ、又は配合も意味する。
【0021】
[0024] 本明細書で使用される場合、「キャスティング」は、キャスト溶液又はスラリーを基板上に提供、堆積、又は送達することを意味する。キャスティングには、スロットキャスティング、スクリーン印刷、グラビアコーティング、ディップコーティング、及びドクターブレーディングが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
[0025] 本明細書で使用される場合、「スロットキャスティング」という語句は、堆積又はコーティングが生じる基板に隣接して、接触して、又はその上に配置される固定寸法のスロット又はモールドを通して溶液、液体、スラリーなどを流すことにより、基板が溶液、液体、スラリーなどでコーティング又は堆積される堆積プロセスを指す。いくつかの例では、スロットキャスティングは、約1~100μmのスロット開口部を含む。
【0023】
[0026] 本明細書で使用される場合、「ディップキャスティング」又は「ディップコーティング」という語句は、多くの場合垂直に、基板を溶液、液体、スラリーなどに出し入れすることにより、基板が溶液、液体、スラリーなどでコーティング又は堆積される堆積プロセスを指す。
【0024】
[0027] 本明細書で使用される場合、「スラリーのキャスティング」は、スラリーが基板上に堆積されるか、又は基板に接着されるプロセスを指す。キャスティングはスロットキャスティング及びディップキャスティングを含むことができるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、キャスティングは、キャスト溶液又はキャストスラリーを基板上に堆積させる、コーティングする、又は広げることも含む。
【0025】
[0028] 本明細書で使用される場合、「酸化アルミニウムドーパント」は、リチウム充填ガーネットが、例えば、ある量のLi7Zr2La3O12に加えてある量のAl2O3を含むようにリチウム充填ガーネットの実験式(例えば、Li7Zr2La3O12Al2O3)を書くことができるような量のアルミニウム又はアルミナを含むことを意味する。
【0026】
[0029] 本明細書で使用される場合、「フィルムのキャスティング」又は「グリーンテープのキャスティング」という語句は、液体又はスラリーがグリーンテープを形成するか、又はグリーンテープに形成されるように、液体又はスラリーをモールド内へ又は基板上へ送達する又は移動させるプロセスを指す。キャスティングは、ドクターブレード、Meyerロッド、コンマコーター、グラビアコーター、マイクログラビア、リバースコンマコーター、スロットダイ、スリップ及び/又はテープキャスティング、並びに当業者に知られている他のプロセスによって行うことができる。
【0027】
[0030] 本明細書で使用される場合、「積層すること」という用語は、1つの前駆体種、例えばリチウム前駆体種の層を堆積基板上に連続的に堆積させ、続いて第2の前駆体種、例えば遷移金属前駆体種を用いて、付加的な層を既に堆積された層の上に堆積させるプロセスを指す。この積層プロセスを繰り返して、堆積された蒸気相のいくつかの層を構築することができる。本明細書で使用される場合、「積層すること」という用語は、電極を含む層、例えば、正極又はカソード活性材料を含む層が、別の材料、例えばガーネット電解質を含む層と接触されるプロセスも指す。積層プロセスは、積層される層を接着させるか、又は積層される層の間の接触を物理的に維持するバインダーの反応又は使用を含み得る。積層は、非焼結、すなわち「グリーン」セラミックフィルムを潜在的に加圧下で結合し、及び/又はフィルムを加熱して接合するプロセスも指す。
【0028】
[0031] 本明細書で使用される場合、「グリーンテープ」又は「グリーンフィルム」という語句は、ガーネット材料、ガーネット材料の前駆体、バインダー、可塑剤、炭素、分散剤、又はこれらの組合せから選択される少なくとも1つのメンバーを含む、非焼結テープ又はフィルムを指す。
【0029】
[0032] 本明細書で使用される場合、「非反応性環境」という語句は、他に反対であると記載されない限り、30℃未満の温度であり且つ-40℃未満の露点を有する周囲雰囲気(例えば、空気又は乾燥空気)である環境であるか、或いは非反応性環境は、30℃未満の温度であり且つ-40℃未満の露点を有する、アルゴンガスが供給された環境である。他に規定されない限り、「非反応性環境」は、30℃未満の温度であり且つ-10℃未満の露点及び1気圧を有する周囲雰囲気(例えば、空気又は乾燥空気)である。また「非反応性環境」は、周囲雰囲気が100℃未満の温度であり且つ-10℃未満の露点を有する環境;或いは100℃未満の温度であり且つ-10℃未満の露点を有する、アルゴンガス若しくは窒素ガス、又はこれらの組合せを含む環境も含み得る。非反応性環境は、他に反対であると規定されない限り、1気圧の圧力を有する。例としては、乾燥室、例えば、Scientific Climate Systemsによって販売される市販の乾燥室が挙げられる。他の例としては、グローブボックス、例えば、MBraunによって販売されるものが挙げられる。
【0030】
[0033] 本明細書で使用される場合、「厚さ」又は「フィルム厚さ」又は「グリーンテープ厚さ」という語句は、グリーンテープの上面と下面との間の距離、又は測定メジアン距離を指す。本明細書で使用される場合、上面及び下面は、最大表面積を有するグリーンテープの側面を指す。
【0031】
[0034] 本明細書で使用される場合、「薄い」は、グリーンテープや膜などに制限を付ける際に、200μm未満、時には100μm未満、一部の例では0.1~60μmの間の厚さ寸法を意味する。
【0032】
[0035] 本明細書で使用される場合、「ガーネット前駆体化学物質」、「ガーネット型電解質の化学前駆体」又は「ガーネット化学前駆体」という語句は、反応して本明細書に記載されるリチウム充填ガーネット材料を形成する化学物質を指す。これらの化学前駆体には、水酸化リチウム(例えば、LiOH)、酸化リチウム(例えば、Li2O)、炭酸リチウム(例えば、Li2CO3)、酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化ランタン(例えば、La2O3)、酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)、アルミニウム(例えば、Al)、硝酸アルミニウム(例えば、AlNO3)、硝酸アルミニウム九水和物、コランダム、水酸化(オキシ)アルミニウム(ギブサイト及びベーマイト)、酸化ガリウム、酸化ニオブ(例えば、Nb2O5)、及び酸化タンタル(例えば、Ta2O5)が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
[0036] 本明細書で使用される場合、「実験式中の下付き文字及びモル係数は、記載される例を作製するために最初にバッチ処理された原材料の量に基づく」という語句は、下付き文字(例えば、Li7La3Zr2O12における7、3、2、12、及び0.35Al2O3における係数0.35)が、所与の材料(例えば、Li7La3Zr2O12・0.35Al2O3)を調製するために使用される化学前駆体(例えば、LiOH、La2O3、ZrO2、Al2O3)におけるそれぞれの元素比を指すことを意味する。モル比は、反対であると明確に示されない限り、バッチ処理された通りである。
【0034】
[0037] 本明細書で使用される場合、「バッチ処理された」という語句は、合成の開始時に最初に混合又は提供された成分のそれぞれのモル量を指す。例えば、バッチ処理された式Li7La3Zr2O12は、Li7La3Zr2O12を作製するために使用された試薬中のLi対La対Zr対Oの比率が7対3対2対12であったことを意味する。
【0035】
[0038] 本明細書で使用される場合、「式により特徴付けられる」という語句は、その特徴付けられた材料を製造するためのプロセスの間にバッチ処理されるか、又は実験的に決定されるような成分原子のモル比を指す。
【0036】
[0039] 本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、本明細書に記載される成分又は材料を溶解又は溶媒和させるのに適した液体を指す。例えば、溶媒には、ガーネット焼結プロセスで使用される成分、例えばバインダーを溶解させるのに適した液体、例えばトルエンが含まれる。
【0037】
[0040] 本明細書で使用される場合、「無水」という用語は、20ppm未満の水を含有する物質を指す。
【0038】
[0041] 本明細書で使用される場合、「非プロトン性溶媒」という用語は、不安定又は解離性のプロトン、ヒドロニウム、又はヒドロキシル種を含まない溶媒分子を含む液体を指す。非プロトン性溶媒分子は、ヒドロキシル基又はアミン基を含まない。
【0039】
[0042] 本明細書で使用される場合、「溶媒の除去」という語句は、本明細書に示される成分又は材料から溶媒が抽出又は分離されるプロセスを指す。溶媒の除去には、溶媒の蒸発が含まれるが、これに限定されない。溶媒の除去には、高温、真空又は減圧を使用して、混合物、例えば非焼結グリーンテープから溶媒を追い出すことが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、溶媒を蒸発させて、溶媒が除去された後に溶媒和されたバインダーを薄いフィルム中に残すために、バインダー及び溶媒を含むフィルムは加熱されるか、又は任意選択的に、真空若しくは減圧雰囲気環境にも置かれる。
【0040】
[0043] 本明細書で使用される場合、「グリーンフィルムテープ」は、キャスティングされた乾燥又は非乾燥テープのロール、連続層、又はこれらのカット部分を指し、これは、焼結させることができる。
【0041】
[0044] 本明細書で使用される場合、「バインダー」は、別の材料の接着を助ける材料を指す。例えば、本明細書で使用される場合、ポリビニルブチラールは、ガーネット材料を接着させるのに有用であるという理由で、バインダーである。他のバインダーは、ポリカーボネートを含み得る。他のバインダーは、ポリアクリレート及びポリメタクリレートを含み得る。これらのバインダーの例は、ここで企図されるバインダーの範囲全体に関して限定するものではなく、単に例としての役割を果たす。本開示において有用なバインダーには、ポリプロピレン(PP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリオレフィン、ポリエチレン-co-ポリ-1-オクテン(PE-co-PO)、ポリエチレン-co-ポリ(メチレンシクロペンタン)(PE-co-PMCP)、ポリ(メチルメタクリレート)(及び他のアクリル系)、アクリル、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、PVB、ポリビニルアセタール樹脂、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
[0045] 本明細書で使用される場合、「リチウム充填ガーネット電解質」という語句は、ガーネット結晶構造に関連する結晶構造により特徴付けられる酸化物を指す。リチウム充填ガーネットは、式LiALaBM’CM”DZrEOF、LiALaBM’CM”DTaEOF、若しくはLiALaBM’CM”DNbEOF(式中、4<A<8.5、1.5<B<4、0≦C≦2、0≦D≦2;0≦E<2、10<F<13であり、且つM’及びM”はそれぞれ、各場合において独立して、Al、Mo、W、Nb、Sb、Ca、Ba、Sr、Ce、Hf、Rb、又はTaから選択される)、又はLiaLabZrcAldMe”eOf(式中、5<a<7.7;2<b<4;0<c≦2.5;0≦d<2;0≦e<2、10<f<13であり、且つMe”は、Nb、Ta、V、W、Mo、Ga、又はSbから選択され、本明細書に記載されるような金属である)を有する化合物を含む。本明細書で使用されるガーネットには、Al2O3がドープされた上記のガーネットも含まれる。本明細書で使用されるガーネットには、Al3+がLi+の代わりをするようにドープされた上記のガーネットも含まれる。本明細書で使用される場合、リチウム充填ガーネット、及びガーネットには、一般に、Li7.0La3(Zrt1+Nbt2+Tat3)O12+0.35Al2O3が含まれるが、これらに限定されず;ここで、La:(Zr/Nb/Ta)比が3:2であるように、(t1+t2+t3=下付き文字2)である。また、本明細書で使用されるガーネットには、LixLa3Zr2O12+yAl2O3(式中、xは5.5~9の範囲であり、且つyは0~1の範囲である)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、xは6~7であり、且つyは1.0である。いくつかの例では、xは7であり、且つyは0.35である。いくつかの例では、xは6~7であり、且つyは0.7である。いくつかの例では、xは6~7であり、且つyは0.4である。また、本明細書で使用されるガーネットには、LixLa3Zr2O12+yAl2O3が含まれるが、これらに限定されない。リチウム充填ガーネット電解質の非限定的な例は、例えば、2015年7月16日に公開された米国特許出願公開第2015-0200420A1号において見出される。
【0043】
[0046] 本明細書で使用される場合、ガーネットは、YAG-ガーネット(すなわち、イットリウムアルミニウムガーネット、又は、例えばY3Al5O12)を含まない。本明細書で使用される場合、ガーネットは、シリケート系ガーネット、例えば、パイロープ、アルマンディン、スペサルティン、グロッシュラー、ヘッソナイト、又はシナモン-ストーン、ツァボライト、ウバロバイト及びアンドラダイト、並びに固溶体パイロープ-アルマンディン-スペサルタイト)及びウバロバイト-グロッシュラー-アンドラダイトを含まない。本明細書中のガーネットは、一般式X3Y2(SiO4)3(式中、XはCa、Mg、Fe、及び/又はMnであり;且つYはAl、Fe、及び/又はCrである)を有するネソシリケートを含まない。
【0044】
[0047] 本明細書で使用される場合、「ガーネット型電解質」という語句は、イオン伝導体として本明細書に記載されるリチウム充填ガーネット材料を含む電解質を指す。固体状態のLi充填ガーネット電解質の利点は多数あり、充電式リチウム電池で一般的に使用される液体可燃性電解質の代用品としての利点が含まれる。
【0045】
[0048] 本明細書で使用される場合、「d50直径」という語句は、限定はされないが走査電子顕微鏡法又は動的光散乱などの、顕微鏡法技術又は他の粒径分析技術によって測定されるサイズ分布におけるメジアン径を指す。D50には、粒子の50%が記載サイズよりも小さい特徴的な寸法が含まれる。D50はここでは、数に基づくのではなく、体積に基づいて計算される。
【0046】
[0049] 本明細書で使用される場合、粒径分布「PSD」は、例えば、Horiba LA-950V2粒径分析器を用いる光散乱によって測定され、ここで、分析に使用される溶媒はトルエン、IPA、又はアセトニトリルを含み、分析は、測定前に1分間の超音波処理を含む。
【0047】
[0050] 本明細書で使用される場合、「d90直径」という語句は、限定はされないが走査電子顕微鏡法又は動的光散乱などの、顕微鏡法技術又は他の粒径分析技術によって測定されるサイズ分布における90パーセンタイルサイズを指す。D90には、粒子の90%が記載サイズよりも小さい特徴的な寸法が含まれる。D90はここでは、数に基づくのではなく、体積に基づいて計算される。
【0048】
[0051] 本明細書で使用される場合、「か焼させる」という用語は、化学分解反応又は固体間の化学反応を含むプロセスを指す(Ceramic Processing and Sintering, Second Edition, M.N. Rahaman, 2005を参照)。か焼は、本明細書で使用される場合、焼結とは異なるプロセスである。焼結は緻密化を含み、所望の材料相ではなく、むしろ安定した機械的な物体を達成することを目指す。焼結は高い出発密度を必要とし、通常、より高い温度、いわゆる焼成温度で行われる。か焼は化学分解反応又は固体間の化学反応を含み、凝集した粒子の表面自由エネルギーの低下を含まない。
【0049】
[0052] 本明細書で使用される場合、「グリーンテープを焼結させる」、「焼結させる」又は「フィルムを焼結させる」という語句は、加熱焼結又はフィールドアシスト焼結(field assisted sintering)の使用により、本明細書に記載されるような薄いグリーンテープが緻密化される(より高密度にされる、又は多孔度が低減されて作製される)プロセスを指す。焼結は、完全に液化するまでそれを融解させることなく熱及び/又は圧力により材料の固体塊を形成するプロセスを含む。焼結は凝集した粒子の表面自由エネルギーの低下を引き起こすが、これは、物体の緻密化をもたらす原子拡散プロセスによって、内部粒子から細孔内へ物質を輸送することによって、又は微細構造の粗雑化によって、又は実際に細孔体積の減少をもたらさずに細孔表面の異なる部分間の物質の再配列によって、達成され得る(Rahamanの32頁を参照)。
【0050】
[0053] 本明細書で使用される場合、「可塑剤」という用語は、可撓性又は可塑性のいずれかをグリーンテープに付与する添加剤を指す。これは、バインダーの可撓性、加工性、又は膨張性を増大させるために使用される物質又は材料であり得る。可撓性は、破壊されることなく曲がる能力である。可塑性は、永久に変形する能力である。
【0051】
[0054] 本明細書で使用される場合、「応力軽減」という語句は、乾燥中及び関連の収縮中にキャスティングされたグリーンテープ中の残留応力を除去するプロセスを指す。応力軽減の1つのプロセスは、グリーンテープ中の有機成分のガラス転移温度よりも高い温度でグリーンテープを加熱して、キャスティングされたグリーンテープにおける構造及び応力の再配列を可能にして残留応力を除去することを含む。応力軽減の別のプロセスは、キャスティングされたグリーンテープを70℃まで加熱し、その温度で少しの間保持して、キャスティングされたグリーンテープが応力を軽減することを可能にすることを含む。
【0052】
[0055] 本明細書で使用される場合、「幾何学的密度」は、グリーンテープの質量をその体積で割ることにより計算される。グリーンテープの体積は、テープの厚さ及び直径測定;又は厚さ、幅、及び長さ測定から得られる。厚さを測定するためにマイクロメーターが使用され得るが、直径は、光学顕微鏡法を用いて得られる。本明細書における密度は、そうでない又は反対であると明確に記載されない限り、幾何学的密度である。
【0053】
[0056] 本明細書で使用される場合、「ピクノメトリー密度」は、Micromeritics AccuPycII 1340 Calibrate機器を用いて測定される。この機器を用いて、制御された量の粉末サンプルをカップに入れ、その質量を測定する。機器を使用して体積を測定し、質量/体積により密度を計算する。
【0054】
[0057] 本明細書で使用される場合、グリーンテープは、その密度が2.9g/mlよりも高ければ高密度を有すると考えられる。
【0055】
[0058] 本明細書で使用される場合、グリーンテープは、その密度が2.6g/ml以下であれば低密度を有すると考えられる。
【0056】
[0059] 本明細書で使用される場合、ダウンサイズされたガーネット粉末は、その密度が4g/mlよりも高ければ高密度を有すると考えられる。
【0057】
[0060] 本明細書で使用される場合、ダウンサイズされたガーネット粉末は、その密度が3.6g/ml以下であれば低密度を有すると考えられる。
【0058】
[0061] 本明細書で使用される場合、「焼結助剤」という語句は、液相の融点を低下させるために使用されるか、又は焼結助剤なしに他に可能であり得るよりも速い焼結を可能にする添加剤を指す。焼結助剤は、焼結されている原子の拡散/動態を助ける。例えば、Li3BO3は焼結における添加剤として使用されて、焼結中にガーネットのより速い又はより完全な緻密化を提供し得る。
【0059】
[0062] 本明細書で使用される場合、「原料粉末」という語句は、本明細書に示されるスラリーにおいて使用される無機材料を指す。いくつかの例では、原料粉末はリチウム充填ガーネットである。例えば、原料粉末は、Li7La3Zr2O12・0.5Al2O3の粉末を含み得る。
【0060】
[0063] 本明細書で使用される場合、「DBP」という用語は、278.35g/molの分子量を有する、式C16H22O4を有する化学物質のフタル酸ジブチルを指す。
【0061】
[0064] 本明細書で使用される場合、「BBP」という用語は、312.37g/molの分子量を有するフタル酸ベンジルブチルC19H20O4を指す。
【0062】
[0065] 本明細書で使用される場合、「PEG」という用語は、ポリエチレングリコールを指す。他に規定されない限り、PEGの分子量は400~6000g/molである。
【0063】
B.グリーンテープ
[0066] いくつかの実施形態において、本明細書は、焼結ステップの前に、炭酸リチウムなどの低密度相の形成を防止する乾燥環境において、高密度を有するグリーンテープをキャスティングするために改善された材料及びプロセスを提供する。低密度相は、セラミックの低密度、焼結中の粘着及び反り、並びに材料の不十分なリチウムイオン伝導性の原因となり得る。
【0064】
[0067] 一実施形態では、本開示はグリーンテープをキャスティングするためのプロセスを示しており、ここでプロセスは、一般に、少なくとも1つの原料粉末を提供することと、上記粉末を非反応性環境でか焼させることと、非反応性環境において非プロトン性溶媒及び分散剤と共に、少なくとも1つの上記か焼粉末を粉砕してスラリーを調製することと、非反応性環境において上記スラリーをバインダー溶液と混合することと、非反応性環境において上記スラリーをキャスティングしてグリーンテープを形成することと、非反応性環境において上記グリーンテープを乾燥させて高密度グリーンテープを達成することと、上記グリーンテープを焼結させて、薄い焼結フィルムを形成することとを含む。いくつかの実施形態において、本プロセスはさらに、非反応性環境において上記スラリーをろ過することを含む。
【0065】
[0068] 第2の実施形態では、本開示は、グリーンテープをキャスティングするためのスラリーを示しており、ここで上記スラリーは、原料粉末と、任意選択的に原料粉末の前駆体と、バインダー、分散剤、及び溶媒から選択される少なくとも1つの成分とを含む。
【0066】
[0069] 第3の実施形態では、本開示は、グリーンテープを調製するためのスラリーを示しており、ここで上記スラリーは、溶媒と、原料粉末と、
少なくとも:ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び1,2-ジメトキシエタンからなる群から選択される非プロトン性無水溶媒と、
ポリプロピレン(PP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、他のポリオレフィン、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ(エチレン-co-1-オクテン)(PE-co-PO)、ポリ(エチレン-co-メチレンシクロペンテン)(PE-co-PMCP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテン、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンポリマー及びコポリマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)、アクリルポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びこれらのコポリマー)、Paraloid樹脂類からのバインダー、Butvar樹脂類からのバインダー、Mowital樹脂類からのバインダーからなる群から選択されるバインダー;魚油、C8~C20程度の脂肪酸(例えば、例えば、ドデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、リノール酸)、C8~C20程度のアルコール(例えば、ドデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール)、C8~C20程度のアルキルアミン(例えば、ドデシルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン)、リン酸エステル、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン)、高分子分散剤、例えば、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンオキシド)及びそのエーテル、ポリ(エチレングリコール)及びそのエーテル、ポリアルキレンアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルブチラール、無水マレイン酸コポリマー、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシラートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、Brij界面活性剤類、Triton界面活性剤類、Solsperse分散剤類、SMA分散剤類、Tween界面活性剤類、Span界面活性剤類からの界面活性剤及び分散剤からなる群から選択される分散剤;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、又はフタル酸ベンジルブチルからなる群から選択される可塑剤;リチウム充填ガーネットから選択される原料粉末;又はこれらの組合せと
を含む。
【0067】
[0070] 第4の実施形態では、本開示は、原料ガーネット粉末;可塑剤;バインダー;及び分散剤を含むグリーンテープを示しており、ここで上記グリーンテープは、2.9g/mlよりも大きい幾何学的密度を有する。
【0068】
[0071] 本明細書に示されるいくつかの実施例において、本明細書に示されるプロセスによりキャスティングされるグリーンテープは、密度が高い。これらのグリーンテープは、ダウンサイズされたセラミック材料で製造されたスラリーからキャスティングされる。これらは、バインダーと密接に混合されたセラミック粒子として配合される耐火物及び/又はセラミック材料を含有し得る。このバインダーの目的は、1つには、セラミック粒子の焼結を支援して、焼結後に耐火物又はセラミックの均一で薄いフィルム又は層をもたらすことである。焼結プロセスの間に、バインダー除去ステップにより、グリーンテープからバインダーが除去される。いくつかの例では、このバインダー除去は、700℃未満、450℃未満、400℃未満、350℃未満、300℃未満、250℃未満、又はいくつかの例では200℃未満、又はいくつかの例では150℃未満、又はいくつかの例では100℃未満の温度で起こる。バインダー除去プロセスの間、酸素及び水の分圧は制御され得る。バインダー除去プロセスは、多数の段階を含み得る。
【0069】
C.グリーンテープの製造プロセス
[0072] 本明細書に示されるグリーンテープは、様々なプロセスによって製造することができる。いくつかのプロセスにおいて、か焼原料粉末を含有するスラリーは、無水非プロトン性溶媒を用いて非反応性環境で調製される;このスラリーは基板又はセッタープレート上にキャスティングされ、次にこのスラリーは乾燥及び焼結されて、乾燥及び焼結固体イオン伝導性セラミックが調製される。特定の例では、基板は、例えば、Mylar、シリコーン被覆Mylar、ポリマーで被覆された表面、表面修飾ポリマー、又は表面に接着、付着、若しくは結合された表面組織化単層を含み得る。
【0070】
[0073] 一例において、本明細書に示されるプロセスは、実質的に
図1に示される通りである。このプロセスにおいて、第1のステップ100は、ガーネット前駆体の混合、粉砕、乾燥及びか焼を含む。次のステップ101は、溶媒、分散剤、及びガーネットなどの原料粉末を非反応性環境において容器内へ入れることを伴う。粉砕媒体も添加される。ステップ102において、合わせた内容物は1時間~3日間粉砕される。第4のステップ103において、粉砕された混合物に非反応性環境でバインダー溶液が添加されて混合され、得られたスラリーは次に非反応性環境で脱気プロセスにより脱気されて、ガスが除去される。第5のステップ104において、ドクターブレードキャスティングプロセスにより、スラリーが基板(例えば、シリコーン被覆Mylar)上にキャスティングされ、非反応性環境で乾燥される。第6のステップ105において、キャスティングされたグリーンテープが焼結される。このプロセスの変形も考えられる。一例において、スラリーは、キャスティングの前にろ過される。一例において、キャスティングは、スロットダイ、スクリーン印刷、グラビア印刷、又は他のキャスティングプロセスによって行われる。
【0071】
[0074] いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.5g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.6g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.7g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.8g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.9g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、3.0g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、3.1g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、幾何学的プロセスで測定したときのグリーン密度は、2.5g/cm3よりも大きい。
【0072】
[0075] いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.3g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.4g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.5g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.6g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.7g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は2.8g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、幾何学的プロセスで測定したときのグリーンテープの密度は2.9g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は3.0g/cm3よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は3.1g/cm3よりも大きい。
【0073】
[0076] いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.5g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.6g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.7g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.8g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、2.9g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、3.0g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、アルキメデス法で測定したときのグリーンテープ密度は、3.1g/cm3~3.2g/cm3の間である。
【0074】
[0077] いくつかの例では、幾何学的プロセスで測定したときのグリーン密度は、2.5g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は、2.6g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は、2.7g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は、2.8g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、幾何学的プロセスで測定したときのグリーンテープ密度は、2.9g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は、3.0g/cm3~3.2g/cm3の間である。いくつかの例では、グリーンテープの幾何学的密度は、3.1g/cm3~3.2g/cm3の間である。
【0075】
[0078] いくつかの実施形態において、グリーンテープのセラミック負荷(すなわち、グリーンテープ中に存在する固体セラミック又は原料粉末の量)は、乾燥後に特定の体積百分率よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、40vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、50vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、55vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、60vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、61vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、62vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、63vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、64vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、65vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、66vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、67vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、68vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、69vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、70vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、71vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、72vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、73vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、74vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、75vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、76vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、77vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、78vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、79vol%よりも大きい。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、80vol%よりも大きい。
【0076】
[0079] いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、50vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、55vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、60vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、61vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、62vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、63vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、64vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、65vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、66vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、67vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、68vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、69vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、70vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、71vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、72vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、73vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、74vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、75vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、76vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、77vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、78vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、79vol%~80vol%の間である。いくつかの例では、グリーンテープのセラミック負荷は、80vol%~81vol%の間である。
【0077】
D.粉砕
[0080] いくつかの実施形態において、本明細書のプロセスは、混合に関連するプロセスステップ、及び/又は粉砕に関連するプロセスステップを含む。粉砕は、ボールミル粉砕を含む。粉砕には、非反応性条件下で無水溶媒、例えば限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び1,2-ジメトキシエタン、又はこれらの組合せなどを使用する粉砕プロセスも含まれる。
【0078】
[0081] いくつかの例では、粉砕はボールミル粉砕である。いくつかの例では、粉砕は水平粉砕である。いくつかの例では、粉砕は摩砕機粉砕である。いくつかの例では、粉砕は浸漬粉砕である。いくつかの例では、粉砕はジェット粉砕である。いくつかの例では、粉砕はスチームジェット粉砕である。いくつかの例では、粉砕は高エネルギー粉砕である。
【0079】
[0082] いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスは、光散乱で測定したときにd50が約100nmである粉砕粒径分布をもたらす。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約750nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約150nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約200nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約250nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約300nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約350nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約400nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約450nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約500nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約550nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約600nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約650nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約700nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約800nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約850nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約900nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約950nmである粒径分布を達成する。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用して、光散乱で測定したときにd50が約1000nmである粒径分布を達成する。
【0080】
[0083] いくつかの例では、非プロトン性溶媒はテトラヒドロフランである。別の例では、非プロトン性溶媒は1,2-ジメトキシエタンである。別の例では、溶媒はトルエンである。別の例では、溶媒はベンゼンである。別の例では、溶媒はキシレンである。別の例では、溶媒はジオキサンである。さらに別の例では、溶媒はジメチルスルホキシドである。別の例では、溶媒は塩化メチレンである。別の例では、溶媒はベンゼンである。別の例では、溶媒はN-メチル-2-ピロリドンである。別の例では、溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0081】
[0084] いくつかの例では、粉砕は、0.3mmのイットリア安定化酸化ジルコニウム粉砕媒体ビーズを用いる高エネルギー湿式粉砕プロセスを含む。いくつかの例では、ボールミル粉砕、水平粉砕、摩砕機粉砕、又は浸漬粉砕を使用することができる。いくつかの例では、高エネルギー粉砕プロセスを使用すると、d50がおよそ約100nm~5000nmの粒径分布が生じる。
【0082】
[0085] いくつかの例では、粉砕は、ふるい分け、遠心分離、又は異なるサイズ及び/又は質量の粒子を分離する他の既知のラボラトリーなどの分類ステップを含み得る。
【0083】
E.スラリー
[0086] いくつかの例では、本明細書に記載されるスラリーと共に使用するための無水非プロトン性溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び1,2-ジメトキシエタン、又はこれらの組合せから選択される1つ又は複数の溶媒を含み、任意選択的に1つ又は複数の分散剤を伴い、任意選択的に1つ又は複数のバインダーを伴い、そして任意選択的に1つ又は複数の可塑剤を伴う。いくつかの例では、溶媒は、約0~35%w/wの無水トルエンを含む。いくつかの例では、溶媒は、約0~35%w/wのベンゼンを含む。いくつかの例では、溶媒は、約0~35%のキシレンを含む。いくつかの例では、溶媒は、約0~35%のジオキサンを含む。いくつかの例では、溶媒は、0~35%w/wのテトラヒドロフランを含む。いくつかの例では、溶媒は、約0~35%w/wの1,2-ジメトキシエタンを含む。いくつかの例では、分散剤は0~5%w/wである。いくつかの例では、バインダーは約0~10%w/wである。いくつかの例では、可塑剤は0~10%w/wである。これらの例では、ガーネット又はか焼前駆体材料は、残りの%w/w(例えば、40、50、60%、70%、又は75%w/w)を表す。
【0084】
[0087] いくつかの例では、粉砕プロセスの間に分散剤が使用される。分散剤の例としては、魚油、C8~C20程度の脂肪酸(例えば、ドデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、リノール酸)、C8~C20程度のアルコール(例えば、ドデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール)、C8~C20程度のアルキルアミン(例えば、ドデシルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン)、リン酸エステル、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン)、高分子分散剤、例えば、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンオキシド)及びそのエーテル、ポリ(エチレングリコール)及びそのエーテル、ポリアルキレンアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルブチラール、無水マレイン酸コポリマー、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシラートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、Brij界面活性剤類、Triton界面活性剤類、及びSolsperse分散剤類、SMA分散剤類、Tween界面活性剤類、及びSpan界面活性剤類からの界面活性剤及び分散剤からなる群から選択される分散剤が挙げられるが、これらに限定されない。分散剤は、組み合わせられてもよい。
【0085】
[0088] いくつかの例では、本明細書に記載されるスラリーと共に使用するのに適したバインダーは、Li充填ガーネット粒子間の接着を容易にするために使用されるバインダーを含み、ポリプロピレン(PP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、他のポリオレフィン、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ(エチレン-co-1-オクテン)(PE-co-PO)、ポリ(エチレン-co-メチレンシクロペンテン)(PE-co-PMCP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテン、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンポリマー及びコポリマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)、アクリルポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びこれらのコポリマー)、Paraloid樹脂類からのバインダー、Butvar樹脂類からのバインダー、Mowital樹脂類からのバインダーが含まれるが、これらに限定されない。バインダーは、組み合わせられてもよい。
【0086】
[0089] いくつかの例では、スラリーは、可塑剤も含み得る。可塑剤の非限定的なリストには、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、及びフタル酸ベンジルブチルが含まれる。可塑剤は、組み合わせられてもよい。
【0087】
F.キャスティング
[0090] 本明細書に示されるいくつかのプロセスにおいて、プロセスは、セラミック原料粉末のテープを基板(例えば、多孔質又は非多孔質アルミナ、ジルコニア、ガーネット、アルミナ-ジルコニア、ランタンアルミナ-ジルコニア)上にキャスティングすることを含む。いくつかの例では、テープは、シリコーン被覆基板(例えば、シリコーン被覆Mylar、又はアルミナ上のシリコーン被覆Mylar)などの基板上で調製される。
【0088】
[0091] いくつかのテープキャスティングプロセスは関連分野において知られており、全ての目的のためにその全内容が参照によって全体として本明細書中に援用されるMistler, R. E. and Twiname, E. R, Tape Casting: Theory and Practice, 1st Edition Wiley-American Ceramic Society; 1 edition (December 1, 2000)に示されるものを含む。他のキャスティングプロセス及び材料は、全ての目的のためにその全内容が参照によって全体として本明細書中に援用される「アタクチックポリプロピレンバインダーを用いるクリーン燃焼グリーンテープキャスティングシステム」という表題の米国特許第5,256,609号(Dolhert, L. E.)に示される通りである。他のキャスティングプロセスには、参照によって本明細書中に援用されるD. J. Shanefield Organic Additives and Ceramic Processing, Springer Science & Business Media, (Mar 9, 2013)に記載されるものが含まれる。
【0089】
G.キャスティング後のテープ乾燥
[0092] いくつかの例では、本明細書に示されるプロセスは乾燥を含む。いくつかのプロセスでは、乾燥は、例えば、キャスティングされたフィルムを配置又は堆積させるための加熱床、キャスティングされたテープの赤外線(IR)加熱、又は対流加熱を用いることにより、グリーンテープの温度を制御することを含む。いくつかのプロセスにおいて、乾燥は、限定はされないが、停滞及び/又は流動する環境(例えば、大気、乾燥空気、不活性ガス、窒素ガス、アルゴンガス)などの環境制御を使用して、乾燥雰囲気中の溶媒の量を管理又は制御することを含み得る。これらのプロセスにおいて、乾燥は、溶媒の除去速度を制御するため、そしてキャストフィルムが表面から基板へではなく基板から表面へ乾くことを保証するために使用される。
【0090】
H.セッタープレート
[0093] いくつかの例では、本明細書中のプロセス及び参照によって援用されるプロセスにより調製されるグリーンテープは、セッタープレートの間で焼結される。いくつかの例では、本明細書中のプロセス及び参照によって援用されるプロセスにより調製されるグリーンテープは、少なくとも1つのセッタープレート上で焼結される。いくつかの例では、これらのセッタープレートは、金属、酸化物、窒化物、又は有機若しくはシリコーンラミネート層をその上に有する金属、酸化物、若しくは窒化物で構成される。特定の例では、セッタープレートは、白金(Pt)セッタープレート、パラジウム(Pd)セッタープレート、金(Au)セッタープレート、銅(Cu)セッタープレート、ニッケルセッタープレート、アルミニウム(Al)セッタープレート、アルミナセッタープレート、多孔質アルミナセッタープレート、鋼セッタープレート、ジルコニウム(Zr)セッタープレート、ジルコニアセッタープレート、多孔質ジルコニアセッタープレート、酸化リチウムセッタープレート、多孔質酸化リチウムセッタープレート、酸化ランタンセッタープレート、多孔質酸化ランタンセッタープレート、ガーネットセッタープレート、多孔質ガーネットセッタープレート、リチウム充填ガーネットセッタープレート、多孔質リチウム充填ガーネットセッタープレート、及びこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの例では、セッタープレートは、ガーネットセッタープレート又は多孔質ガーネットセッタープレートである。いくつかの例では、セッタープレートは、5mmol/cm3を超えるリチウム濃度を有する酸化物材料を含む。
【0091】
[0094] 本明細書に記載されるプロセスのいくつかの例において、「固体電解質の製造のためのリチウム充填ガーネットセッタープレート」という表題の米国特許出願公開第20170062873A1号、並びに「固体電解質の製造のためのセッタープレート、及び高密度固体電解質を調製するためのその使用プロセス」という表題の2016年10月20日に出願されたPCT特許出願国際公開第2016168723A1号に示されるセッタープレート及び焼結プロセスは、参照によってその全体が本明細書中に援用される。
【0092】
[0095] いくつかの例では、本明細書中のプロセス、並びに国際公開第2016/168691号;国際公開第2016/168723号;米国特許出願公開第2017/0062873号;米国特許出願公開第2017/0153060号;及び米国特許出願公開第2018-0045465A1号(これらのそれぞれは、参照によってその全体が援用される)に示されるプロセスによって調製されるグリーンテープは、金属粉末がセッタープレートとグリーンテープとの間に配置されて、セッタープレート間で焼結される。特定の例では、セッタープレートは、白金(Pt)セッタープレート、パラジウム(Pd)セッタープレート、金(Au)セッタープレート、銅(Cu)セッタープレート、ニッケルセッタープレート、アルミニウム(Al)セッタープレート、アルミナセッタープレート、多孔質アルミナセッタープレート、鋼セッタープレート、ジルコニウム(Zr)セッター、ジルコニアセッタープレート、多孔質ジルコニアセッタープレート、酸化リチウムセッタープレート、多孔質酸化リチウムセッタープレート、酸化ランタンセッタープレート、酸化ジルコニウムリチウム(Li2ZrO3)セッタープレート、酸化アルミニウムリチウム(LiAlO2)セッタープレート、多孔質酸化ランタンセッタープレート、酸化ジルコニウムリチウム(Li2ZrO3)セッタープレート、酸化アルミニウムリチウム(LiAlO2)セッタープレート、ガーネットセッタープレート、多孔質ガーネットセッタープレート、リチウム充填ガーネットセッタープレート、及び多孔質リチウム充填ガーネットセッタープレート、並びに上述のものの組合せからなる群から選択される。いくつかの例では、セッタープレートは、5mmol/cm3を超えるリチウム濃度を有する酸化物材料を含む。これらの特定の例では、金属粉末は、Ni粉末、Cu粉末、Au粉末、Fe粉末、又はこれらの組合せから選択される。金属粉末は付加的に、セラミック材料を含み得る。
【0093】
[0096] いくつかの例では、本明細書中のプロセス及び参照によって援用されるプロセスによって調製されるグリーンテープは、金属層又はフィルムがセッタープレートとグリーンテープとの間に配置されて、セッタープレート間で焼結される。いくつかの例では、これらのセッタープレートは、金属、酸化物、窒化物、又は有機若しくはシリコーンラミネート層をその上に有する金属、酸化物若しくは窒化物で構成される。特定の例では、セッタープレートは、白金(Pt)セッタープレート、パラジウム(Pd)セッタープレート、金(Au)セッタープレート、銅(Cu)セッタープレート、ニッケルセッタープレート、アルミニウム(Al)セッタープレート、アルミナセッタープレート、多孔質アルミナセッタープレート、鋼セッタープレート、ジルコニウム(Zr)、ジルコニアセッタープレート、多孔質ジルコニアセッタープレート、酸化リチウムセッタープレート、多孔質酸化リチウムセッタープレート、酸化ランタンセッタープレート、多孔質酸化ランタンセッタープレート、ガーネットセッタープレート、多孔質ガーネットセッタープレート、リチウム充填ガーネットセッタープレート、多孔質リチウム充填ガーネットセッタープレート、マグネシアセッタープレート、多孔質マグネシアセッタープレートからなる群から選択される。いくつかの例では、セッタープレートは、5mmol/cm3を超えるリチウム濃度を有する酸化物材料を含む。これらの特定の例では、金属粉末は、Ni粉末、Cu粉末、Mg粉末、Mn粉末、Au粉末、Fe粉末、又はこれらの組合せから選択される。金属粉末は付加的に、セラミック材料を含み得る。
【0094】
[0097] 特定の焼結条件の間に、粒子の層(例えば、セッターシート)又は粉末がグリーンテープとセッタープレートとの間に配置されて、グリーンテープの焼結を支援してもよい。グリーンテープは、その一部が焼結するにつれて収縮及び緻密化する傾向があり、制御されなければ、フィルムに亀裂又は他の機械的欠陥をもたらし得る。これらの例のいくつかにおいて、粒子の層は、均一な粒子層を形成する。これらの例の他のいくつかにおいて、粒子の層は、不活性であるか又はグリーンテープと非反応性である均一な粒子層を含む。いくつかの焼結条件において、粒子の層は、粒子のシートとして提供される。いくつかの例では、シート又は層又は粒子の厚さは、シート又は層内の粒子のサイズとほぼ等しい。他の例では、グリーンテープとセッタープレートとの間の不活性粒子の位置は、グリーンテープの接触表面と、グリーンテープの焼結されている部分との間に配置される。いくつかの連続焼結プロセスでは、セッタープレート、及び/又はセッタープレートとグリーンテープとの間に配置される粒子、層、若しくはシートは、焼結フィルムの連続ロールが連続プロセスで調製されるように、焼結プロセスの間に移動又は再配置され得る。これらの連続プロセスでは、セッタープレート及び粒子、層、又はシートは、焼結されているグリーンテープの一部が、セッタープレートとも接触する粒子、層、又はシートと接触するように、グリーンテープの移動と連動する。いくつかの例では、テープの反り及び表面劣化を防止するために、層又はシートは特定の重量を有して調製される。
【0095】
[0098] 本明細書に記載される例のいくつかにおいて、不活性及び/又は均一な粒子(又は粉末)の層又はシートは、グリーンテープが焼結し、体積が減少し、密度が増大するにつれて歪まないように、グリーンテープとセッタープレートとの間に最少量の摩擦を提供することによって焼結プロセスを支援する。摩擦力を低下させることにより、グリーンテープは、焼結プロセス中に最小限の応力を伴って収縮し得る。これにより、セッタープレートに粘着せず、焼結プロセス中に変形せず、そして焼結プロセス中又はその後に亀裂を起こさない、改善された焼結フィルムが提供される。
【0096】
[0099] 本明細書に記載されるいくつかの例では、他のセッタープレートが高融点、高リチウム活性、及び還元環境における安定性を有する限り、例えば、本明細書に記載されるリチウム充填ガーネットセッタープレートと組み合わせて、他のセッタープレートが使用され得る。これらの他の材料のいくつかの例としては、Li2ZrO3、xLi2O-(1-x)SiO2(式中、x=0.01~0.99)、aLi2O-bB2O3-cSiO2(式中、a+b+C=1)、LiLaO2、LiAlO2、Li2O、Li3PO4、Li充填ガーネット、又はこれらの組合せから選択されるものが挙げられる。さらに、これらの他のセッタープレートは、焼結フィルムからセッタープレートへのLi拡散をもたらす、焼結フィルム内の化学ポテンシャルを誘導してはならない。付加的な材料には、酸化アルミニウムランタン、パイロクロア、及び0.01mol/cm3を超えるリチウム濃度を有する材料が含まれる。いくつかの例では、セッタープレートは、0.02mol/cm3を超えるリチウム濃度を有する材料を含み得る。いくつかの例では、セッタープレートは、0.03mol/cm3を超えるリチウム濃度を有する材料を含み得る。いくつかの例では、セッタープレートは、0.04mol/cm3を超えるリチウム濃度を有する材料を含み得る。いくつかの例では、セッタープレートは、5mmol/cm3を超えるリチウム濃度を有する材料を含み得る。いくつかの例では、セッタープレートは、10~15mmol/cm3の間のリチウム濃度を有する材料を含み得る。いくつかの例では、セッター材料は、粉末として、又は非平面形状で提供され得る。
【0097】
I.焼結
[0100] 本明細書に示されるグリーンテープは、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書中に援用される「Li二次電池用のガーネット材料並びにガーネット材料の製造及び使用方法」という表題の2014年10月7日に出願された国際特許出願第PCT/US2014/059578号の公開版である国際特許出願公開第2015/076944号に示される焼結プロセスによって焼結され得る。
【0098】
[0101] 本明細書に示されるグリーンテープは、非反応性環境にさらされたオーブン内で焼結され得る。いくつかの例では、グリーンテープは、-40℃未満の露点のO2に富んだ雰囲気中で焼結される。他の例では、グリーンテープは、-40℃未満の露点のアルゴンに富んだ雰囲気中で焼結される。さらに他の例では、グリーンテープは、-40℃未満の露点のAr/H2雰囲気中で焼結される。他の例では、グリーンテープは、-40℃未満の露点の窒素に富んだ雰囲気中で焼結される。さらに他の例では、グリーンテープは、-40℃未満の露点のN2/H2雰囲気中で焼結される。他の例では、グリーンテープは、アルゴン/H2O雰囲気中で焼結される。いくつかの例では、グリーンテープを焼結させるために使用される雰囲気は、それらが焼結された後にフィルムを冷却するために使用される雰囲気と同じではない。
【0099】
[0102] いくつかの例では、プロセスはグリーンテープの焼結を含み、ここで焼結は、加熱焼結を含む。これらの例のいくつかにおいて、加熱焼結は、1e-1気圧~1e-15気圧の範囲の酸素分圧を有する雰囲気中で、グリーンテープを約700℃~約1200℃の範囲で約1~約600分間加熱することを含む。
【0100】
[0103] 本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを約700℃~約1250℃;又は約800℃~約1200℃;又は約900℃~約1200℃;又は約1000℃~約1200℃;又は約1100℃~約1200℃の範囲で加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを約700℃~約1100℃;又は約700℃~約1000℃;又は約700℃~約900℃;又は約700℃~約800℃の範囲で加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを約700℃、約750℃、約850℃、約800℃、約900℃、約950℃、約1000℃、約1050℃、約1100℃、約1150℃、又は約1200℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを700℃、750℃、850℃、800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、又は1200℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを700℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを750℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを850℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを900℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを950℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1000℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1050℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1100℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1125℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1150℃に加熱することを含むことができる。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、加熱焼結は、グリーンテープを1200℃に加熱することを含むことができる。
【0101】
[0104] 本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約20~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約30~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約40~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約50~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約60~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約70~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約80~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約90~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約100~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約120~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約140~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約160~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約180~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約200~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約300~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約350~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約400~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約450~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約500~約600分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約500分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約400分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約300分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約200分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約100分間加熱することを含み得る。本明細書に示されるプロセスのいずれかにおいて、プロセスは、グリーンテープを約1~約50分間加熱することを含み得る。
【0102】
[0105] いくつかの例では、焼結プロセスは、閉鎖されているが密封されていない炉(すなわち、オーブン、加熱チャンバ)内での焼結を含み得る。これらの例のいくつかにおいて、グリーンテープはセッタープレート間に配置され、任意選択的に、その間にセッターシート又は層を有し、焼結のためのグリーンテープは、犠牲Li源に隣接して、又は極めて接近して配置される。この犠牲Li源は、焼結ガーネットからの蒸発によるLi損失を防止するのに役立つ。いくつかの例において、閉鎖系は、アルゴンガス、アルゴンガスと水素ガス若しくは水のいずれかとの混合物、空気、精製空気、又は窒素を含む。これらの例のいくつかにおいて、犠牲Li源は、焼結されるグリーンテープの表面積よりも大きい表面積を有する。いくつかの例では、Li源及び焼結グリーンテープは、同じタイプのリチウム充填ガーネットを有する。
【0103】
[0106] いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は10体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は9体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は8体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は7体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は6体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は5体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は4体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は3体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は2体積%未満である。いくつかの例では、焼成後のグリーンテープの多孔度は1体積%未満である。いくつかの例では、グリーンテープの多孔度は、断面FIB画像の画像分析によって決定される。
【0104】
[0107] いくつかの実施形態において、使用される焼結機器には、特注の温度及びガス流量制御システムを備えた、1e-1~1e-20気圧の酸素分圧範囲の制御された雰囲気を有する3インチ実験室用管状炉が含まれた。
【0105】
J.他のデバイス構成要素を伴う焼結
[0108] 特定の例では、グリーンテープは、電気化学的デバイスにおいて使用される場合に焼結後のグリーンテープが組み合わせられ得る他の構成要素と接触している間に焼結される。例えば、いくつかの例では、グリーンテープは、グリーンテープの焼結後に焼結グリーンテープが正極に接着するように、正極組成物に成層又は積層される。別の例では、グリーンテープは、金属粉末(例えば、ニッケル(Ni)粉末)と接触している間に焼結される。グリーンテープが焼結し、金属粉末が緻密化して固体金属箔になると、焼結グリーンテープは金属箔に結合する。これらの焼結条件の利点は、電気化学的デバイスの2つ以上の構成要素が一段階で調製され、したがって製造時間及び資源が節約され得ることである。
【0106】
K.測定
[0109] いくつかの実施形態において、測定のために、Helios 600i又はFEI QuantaにおいてSEM電子顕微鏡法を実施した。いくつかの実施形態において、表面粗さは、高さを測定して粗さの値を計算し得るKeyence VRなどの光学顕微鏡により測定した。いくつかの実施形態において、粉末密度は、ピクノメーターを用いて測定した。いくつかの実施形態において、グリーンテープ密度は、幾何学的プロセスを用いて、又はアルキメデス法の使用により測定した。いくつかの実施形態において、グリーンテープの厚さの変化は、ベータ-ゲージ、マイクロメーター、又は断面画像を用いて測定した。
【実施例】
【0107】
L.実施例
実施例1-か焼リチウム充填ガーネット粉末の製造プロセス
[0110] か焼リチウム充填ガーネット粉末を以下の一連のステップで作製した。最初に、水酸化リチウム(LiOH)、硝酸アルミニウム[Al(NO3)39H2O]、ジルコニア(ZrO2)、及び酸化ランタン(La2O3)を測り(すなわち、秤量し)、構成元素のモル比がLi7.1Zr2La3O12+0.5Al2O3である組合せに混合した。湿式粉砕技術及びZrO2粉砕媒体を用いて、組合せが100nm~5μmのd50粒径を有するまでこの組合せを混合及び粉砕した。また、粉砕媒体と共に分散剤も含有させた。いくつかの例では、溶媒も含有させた。d50粒径まで粉砕した後、粉砕した反応物の組合せを粉砕媒体から分離した。次に、分離した粉砕反応物をアルミナるつぼに入れ、オーブン内でセ氏約800~900度(900℃)の非反応性環境において約2~6時間か焼させ、制御された酸化性雰囲気をか焼反応物と接触させた。か焼プロセスは、残留溶媒及び分散剤、並びに界面活性剤を焼却及び/又は燃焼させた。か焼により、無機反応物が反応されて、リチウム充填ガーネットが形成される。非反応性環境において室温まで冷却させた後、か焼生成物をアルミナるつぼから取り出した。X線粉末回折(XRD)及び走査電子顕微鏡法を含む様々な分析技術により、生成物を徴付けた。この生成物は、か焼リチウム充填ガーネットと呼ばれ、およそLi7.1Zr2La3O12+0.5Al2O3である実験式を有する。
【0108】
実施例2-高密度グリーンテープの製造及び乾燥プロセス
[0111] アルゴングローブボックス内の粉砕容器中で、実施例1からの1000~1500gのか焼リチウム充填ガーネット粉末を、20~45gのオレイン酸と共に、ヘキサン、THF、又は塩化メチレンなどの400~700gの無水非プロトン性溶媒に添加した。酸化ジルコニウム媒体を含むHockmeyerミルにおいて、2.13の屈折率でHoribaモデルLA-950V2を用いて750nm未満のメジアン粒径が測定されるまで、混合物を2~6時間粉砕した。
【0109】
[0112] 上記ステップからの200~600gの粉砕ガーネットスラリーを非反応性環境において混合した。非反応性環境は、1大気圧の乾燥室であった。周囲雰囲気は乾燥空気であった。乾燥空気は、10℃未満の露点を有した。粉砕に使用したのと同じ溶媒中に溶解させた20~45gのParaloid B-72樹脂及び10~30gのフタル酸ベンジルブチルの混合物を、非反応性環境において粉砕ガーネットスラリーに添加して、約45~60%w/wの最終スラリー固形分を得た。非反応性環境においてスラリーをFlackTek SpeedMixer中で10~30分間混合した。次に、混合したスラリーを、非反応性環境でドクターブレードにより基板上にキャスティングすることによってグリーンテープを調製した。キャスティングした混合スラリーを非反応性環境において室温で2~6時間乾燥させてグリーンテープを形成した。続いて、乾燥グリーンテープの幾何学的密度は、2.9g/cm3を超えることが測定された。
【0110】
[0113] 同じ作業を周囲空気中で完了させた;乾燥グリーンテープの幾何学的密度は、2.5g/cm3であると測定された。
【0111】
実施例3-別の高密度グリーンテープの調製
[0114] この実施例は、異なる分散剤を用いて製造される別の高密度グリーンテープの製造プロセスを示す。アルゴングローブボックス内の粉砕容器中で、実施例1からの1000~1500gのか焼リチウム充填ガーネット粉末を、ヘキサン、THF、又は塩化メチレンなどの400~700gの無水非プロトン性溶媒及び20~35gのSolsperse M387分散剤に添加した。酸化ジルコニウム媒体を含むHockmeyerミルにおいて、2.13の屈折率でHoribaモデルLA-950V2を用いて750nm未満のメジアン粒径が測定されるまで混合物を2~6時間粉砕した。
【0112】
[0115] 上記ステップからの200~600gの粉砕ガーネットスラリーを非反応性環境において混合した。粉砕に使用したのと同じ溶媒中に溶解させた20~45gのParaloid B-72樹脂及び10~30gのフタル酸ベンジルブチルの混合物を、非反応性環境において粉砕ガーネットスラリーに添加して、約45~60%w/wの最終スラリー固形分を得た。非反応性環境においてスラリーをFlackTek SpeedMixer中で10~30分間混合した。次に、混合したスラリーを、非反応性環境でドクターブレードにより基板上にキャスティングすることによってグリーンテープを調製した。キャスティングした混合スラリーを非反応性環境において室温で2~6時間乾燥させてグリーンテープを形成した。
【0113】
[0116] 同じ作業を周囲空気中で完了させた;乾燥グリーンテープの幾何学的密度は、2.5g/cm3であると測定された。
【0114】
[0117]
図2は、この実施例3に示されるキャスティングプロセスによって製造されたグリーンテープの走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。テープは81wt%のガーネット、19wt%の有機含有量を含み、3.0g/cm
3の幾何学的密度を有した。
【0115】
[0118]
図3は、実施例2で製造されたグリーンテープを焼結させることによって製造された焼結テープの走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。焼結グリーンテープの密度は、アルキメデス法により4.7g/cm
3を超えることが測定された。
【0116】
[0119]
図4は、焼結前の実施例1で製造されたグリーンテープのディスク、及び焼結後に結果として得られたディスクの光学顕微鏡画像を示す。焼結中の収縮は、ディスク直径の減少に基づいて20%と測定された。周囲空気中で調製されたグリーンテープの収縮は26%であった。
【0117】
実施例4:グリーンテープの焼結
[0120] この実施例では、実施例1又は2のようにグリーンテープを調製した。一例では、複数のグリーンテープをスタックして、一緒に積層した。2つの多孔質ガーネットセッタープレート間にそれを配置することによって積層グリーンテープを焼結させ、次にセッタープレートから取り出した。一例では、グリーンテープを1100℃で1~5時間焼結させた。別の例では、テープを1125℃で1~5時間焼結させた。別の例では、テープを1150℃で1~5時間焼結させた。焼結の前に、Arガス中でバインダー除去を実施した。一例では、バインダー除去のためにArガス及び水の混合物を使用した。別の例では、バインダー除去のためにArガス及び精製空気の混合物を使用した。焼結の間、焼結グリーンテープの周囲の雰囲気は、0.5~10-20atmの範囲のPO2を有した。
【0118】
[0121] 本開示の実施形態の前述の記載は実例のために提示されている;包括的であること、又は特許請求の範囲を開示された正確な形態に限定することは意図されない。関連技術分野の当業者は、上記の開示を踏まえて、日常的な実験だけを用いて多数の等価物、修正及び変形が可能であることを認識することができる。
【国際調査報告】