IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブ ソシエテ アノニムの特許一覧

特表2023-510160誘導加熱コーティング金属調理支持体
<>
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図1
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図2
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図3
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図4
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図5
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図6
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図7
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図8
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図9
  • 特表-誘導加熱コーティング金属調理支持体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】誘導加熱コーティング金属調理支持体
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230306BHJP
   A47J 36/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A47J27/00 107
A47J36/02 A
A47J36/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539164
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2020087711
(87)【国際公開番号】W WO2021130277
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】1915686
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ルビオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ ブラッセ
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA09
4B055BA35
4B055CA02
4B055CB02
4B055DB14
4B055FA02
4B055FB02
4B055FB04
4B055FB05
4B055FB32
4B055FB36
(57)【要約】
本発明は、保護コーティングが施された加熱面と、接着防止コーティングが施され、調理表面を形成する調理面とを備える、誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体に関する。本発明によれば、金属本体は低炭素強磁性鋼基材を含む両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼シートから形成され、前記低炭素強磁性鋼基材は、その2つの面のそれぞれにアルミニウム系マトリックスを含む外層を有し、鉄/アルミニウム金属間化合物を含む中間層が前記強磁性低炭素鋼基板と前記外層との間に配置され、少なくとも加熱面の底部において、前記外層が27μm未満、好ましくは20μm未満、及びさらに好ましくは18μm未満の厚さを有する。また、本発明は台所物品、電気調理器具、および誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体を得る方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)であって、加熱面(10)及び調理面(130)を含む金属本体(110)を含み、前記加熱面(120)は誘導加熱装置上に静止するように構成された底部(122)を有し、前記加熱面(120)は保護コーティング(121)を担持し、前記調理面(130)は調理表面(132)を形成する接着防止コーティング(131)を担持し、前記金属本体(110)は低炭素強磁性鋼基材(111)を含む両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼シート(101)から形成され、前記低炭素強磁性鋼基材(111)は、その2つの面のそれぞれにアルミニウム系マトリックスを含む外層(112)を有し、鉄/アルミニウム金属間化合物を含む中間層(113)が前記低炭素強磁性鋼基材(111)と前記外層(112)との間に配置され、少なくとも加熱面(120)の底部(122)において、前記外層(112)が27μm未満、好ましくは20μm未満、及びさらに好ましくは18μm未満の厚さを有する、誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項2】
前記外層(112)はアルミニウム-シリコンマトリックス中にAl-Fe-Si針を含むことを特徴とする、請求項1に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項3】
前記低炭素強磁性鋼基材(111)は、0.7~3mmの厚さ、好ましくは1~2mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項4】
前記低炭素強磁性鋼基材(111)は、最大0.3質量%の炭素、好ましくは0.1~0.2質量%の炭素を有する鋼グレードで作製されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項5】
前記保護コーティング(121)は、前記金属本体(110)の加熱面(120)上に直接形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項6】
前記保護コーティング(121)は、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項7】
前記保護コーティング(121)は、PTFE型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであり、前記金属本体(110)は、少なくとも前記加熱面(120)の底部(122)において、30μm未満の厚さ、好ましくは20μm未満の厚さを有するアルミニウム系堆積物(115)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項8】
前記保護コーティング(121)は、エナメル型コーティングであり、前記金属本体(110)は、少なくとも前記加熱面(120)の底部(122)に40μm未満の厚さ、好ましくは30μm未満の厚さを有するアルミニウム系堆積物(115)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項9】
前記接着防止コーティング(131)は、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項10】
側壁(123)が、調理容器(124)を形成するように、前記加熱面(120)の底部(122)の周りに立ち上がっていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項11】
挟みこまれた縁部(125)、またはロール状縁部(126)、または開放されたロール状縁部(127)を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)。
【請求項12】
コーティングされた金属調理支持体(100)と、前記コーティングされた金属調理支持体(100)上に取り付けられた把持具(155)とを含む調理物品(140)であって、前記コーティングされた金属調理支持体(100)は請求項1~11のいずれか一項に記載されたコーティングされた金属調理支持体(100)であることを特徴とする調理物品(140)。
【請求項13】
誘導加熱器(170)に関連するコーティングされた金属調理支持体(100)を有する電気調理器具(160)であって、前記コーティングされた金属調理支持体(100)は請求項1~11のいずれか一項に記載されたコーティングされた金属調理支持体(100)であることを特徴とする電気調理器具(160)。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載された誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法であって、
-両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-前記加熱面(120)および前記調理面(130)を含む前記金属本体(110)を形成するための形状にスタンピングするステップと、
-前記加熱面(120)に保護コーティング(121)を施すステップと、
-前記調理面(130)に接着防止コーティング(131)を施し、調理表面(132)を形成するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記形状を描画した後、および前記保護コーティング(121)および前記接着防止コーティング(131)が施される前に、前記工程は、前記形状の周辺部分を処理して、挟み込まれた縁部(125)またはロール状縁部(126)または開放されたロール状縁部(127)を得るステップを含む、請求項14に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項16】
前記保護コーティング(121)は、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項17】
前記接着防止コーティング(131)は、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであることを特徴とする請求項14~16のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか一項に記載された誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法であって、
-第1の側面及び第2の側面を含む両側アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-前記第1の側面に保護コーティング(121)を、前記第2の側面に接着防止コーティング(131)を施し、コーティングされた形状とするステップと、
-前記コーティングされた形状をスタンピングして、前記保護コーティング(121)を行う加熱面(120)と、前記接着防止コーティング(131)を行って調理表面(132)を形成する調理面(130)とを含むコーティングされた金属本体(110)を形成するステップと、を含む方法。
【請求項19】
前記保護コーティング(121)および前記接着防止コーティング(131)が塗布された後、及び前記コーティングされた形状が描画された後、前記方法は、挟まれた縁部(125)、またはロール状縁部(126)、または開放されたロール状縁部(127)を得るために、前記コーティングされた形状の周辺部分を処理するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項20】
前記保護コーティング(121)は、PTFE型コーティングまたはラッカー型コーティングであることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項21】
前記接着防止コーティング(131)は、PTFE型コーティングであることを特徴とする請求項18~20のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【請求項22】
前記形状は円盤状であることを特徴とする、請求項14~21のいずれか一項に記載の誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体(100)を得る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調理または再加熱するための、誘導加熱と互換性のある金属調理ラックの技術分野に関する。そのような金属調理ラックは、ワークトップに設置または組み込まれた誘導ホブ、または電気調理器具に組み込まれた誘導ヒーターなどの誘導加熱装置と共に使用することができる。
【0002】
本発明は、より具体的には、誘導加熱と互換性のあるコーティングされた金属調理支持体に関する。
【0003】
本発明は、特に、限定するものではないが、調理容器を形成するコーティングされた金属調理支持体に関する。
【0004】
本発明はまた、少なくとも1つの把持要素と関連付けられたコーティングされた金属調理支持体を含む調理器具に関する。必要に応じて、把持具(複数可)は、コーティングされた金属火入れ支持体から取り外しまたは分解することができる。
【0005】
本発明はまた、誘導加熱器に関連するコーティングされた金属調理支持体を有する電気調理器具に関する。
【背景技術】
【0006】
誘導加熱と互換性のあるコーティングされた調理器具を作製することが特許文献1から知られており、調理表面を形成する金属プレートは、介在するアルミニウムプレートを使用してフェライト系ステンレス鋼プレートと接合され、異なるプレートの冶金接合を得る。
【0007】
この型設計の欠点は、そのようなコーティングされた金属調理容器が、特に様々なプレートの冶金アセンブリを得るためのスタンピング動作の存在に起因して、比較的高いコスト価格を有することである。
【0008】
この設計の別の欠点は、そのようなコーティングされた金属調理容器が、介在されたアルミニウムプレート及びフェライト系ステンレス鋼プレートの存在により、比較的重いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2554080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の様々な態様は、誘導加熱と互換性があり、限られたコストを有するコーティングされた金属調理表面を提供することによって、従来技術の欠点を克服することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、誘導加熱に適合するコーティングされた金属調理支持体であって、加熱面及び調理面を含む金属本体を含み、加熱面は誘導加熱装置上に静止するように構成された底部を有し、加熱面は保護コーティングを担持し、調理面は調理表面を形成する接着防止コーティングを担持し、金属本体は低炭素庁磁性鋼基材を含む両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼シートから形成され、低炭素強磁性鋼基材はその2つの面のそれぞれにアルミニウム系マトリックスを含む外層を有し、鉄/アルミニウム金属間化合物を含む中間層が強磁性低炭素鋼基材と外層との間に配置され、少なくとも加熱面の底部において、外層が27μm未満、好ましくは20μm未満、及びさらに好ましくは18μm未満の厚さを有するコーティングされた金属調理支持体に関する。強磁性基板に使用される低炭素鋼は、磁場に敏感であり、誘導により加熱することができる。一方、アルミニウムは、誘導加熱に用いる磁場の妨害材料である。しかしながら、鋼板のアルミニウム被覆の間、鋼とアルミニウムとの間の界面に金属間反応層が形成される。中間層の金属間化合物は、誘導加熱に使用される磁場に対するアルミニウムの破壊的性質を有しない。したがって、アルミニウム被覆に使用されるアルミニウム系コーティングでは、アルミニウム系マトリックスを含む外層の厚さは、誘導板との適合性を得るための主要な関連パラメータであるように見える。このようなコーティングされた金属本体の使用は、誘導加熱と互換性があり、強磁性鋼要素と組み合わされたアルミニウム本体を含むコーティングされた金属クックトップよりも、生産することがより経済的であるコーティングされた金属クックトップを提供する。このようなコーティングされた金属本体の使用は、鋳鋼から作製されたコーティングされた金属クックトップよりも軽い誘導加熱に適合するコーティングされた金属クックトップを提供する。
【0012】
外層は、アルミニウム-シリコンマトリックス中にAl-Fe-Si針を含んでよい。アルミニウムおよびシリコンを含むアルミニウム被覆浴の使用は、鋼板のアルミニウム被覆中の外層の生成を促進する。シリコンは、誘導加熱に使用される磁場に対するアルミニウムの破壊的性質を有さない。
【0013】
低炭素強磁性鋼基材は、0.7~3mmの厚さ、好ましくは1~2mmの厚さを有することができる。
【0014】
低炭素強磁性鋼基材は、最大0.3質量%の炭素、好ましくは0.1~0.2質量%の炭素を有する鋼グレードで作製することができる。
【0015】
保護コーティングは、金属本体の加熱面に直接塗布することができる。保護コーティングは、1つ以上の層からなってもよい。
【0016】
接着防止コーティングは、金属本体の調理側に直接塗布することができる。接着防止コーティングは、1つ以上の層を有してもよい。所望される場合、中間コーティングは、接着防止コーティングと金属本体との間に配置されて、硬いベースを得ることができる。
【0017】
保護コーティングは、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであり得る。
【0018】
一実施形態によれば、保護コーティングは、PTFE型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであってもよく、金属本体は、少なくとも加熱面の底面において30μm未満の厚さ、好ましくは20μm未満の厚さを有するアルミニウム系堆積物を含む。
【0019】
別の実施形態によれば、保護コーティングは、エナメル型コーティングであってもよく、金属本体は、少なくとも加熱面の底面に40μm未満の厚さ、好ましくは30μm未満の厚さを有するアルミニウム系堆積物を含む。
【0020】
接着防止コーティングは、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであり得る。
【0021】
コーティングされた金属調理支持体は、加熱面の底部の周りに立ち上がって調理容器を形成する側壁を有し得る。
【0022】
特に、コーティングされた金属調理支持体は、挟みこまれた縁部、またはロール状縁部、または開放されたロール状縁部を有し得る。この配置は、金属本体の端部を見えないようにする。
【0023】
本発明の第2の態様は、コーティングされた金属調理支持体と、コーティングされた金属調理支持体上に取り付けられた把持具とを含む台所物品に関し、コーティングされた金属調理支持体は、上記の特徴のうちの少なくとも1つに適合する。
【0024】
本発明の第3の態様は、コーティングされた金属調理支持体が前述の特徴のうちの少なくとも1つに適合するという点で、誘導加熱器に関連するコーティングされた金属調理支持体を有する電気調理器具に関する。
【0025】
本発明の第4の態様は、以下のステップを含む、上記特徴の少なくとも1つによる誘導加熱に適合する被覆金属調理媒体を得る方法に関する。
-両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-加熱面および調理面を含む金属本体を形成するための形態にスタンピングするステップと、
-加熱面に保護コーティングを施すステップと、
-調理面に粘着防止コーティングを施し、調理表面を形成するステップ。
【0026】
形状を描画した後、および保護コーティングおよび接着防止コーティングが施される前に、プロセスは、形状の周辺部分を処理して、挟み込まれた縁部またはロール状縁部または開放されたロール状縁部を得るステップを含み得る。
【0027】
保護コーティングは、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであり得る。
【0028】
接着防止コーティングは、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであり得る。
【0029】
本発明の第5の態様は、以下のステップを含む、上記特徴の少なくとも1つによる誘導加熱に適合する被覆金属調理媒体の取得方法に関する。
-第1の側面及び第2の側面を含む両側アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-第1の側面に保護コーティングを、第2の側面に接着防止コーティングを施し、コーティングされた形状とするステップと、
-コーティングされた形態をスタンプして、保護コーティングを行う加熱面と、接着防止コーティングを行って調理表面を形成する調理面とを含むコーティングされた金属本体を形成するステップ。
【0030】
保護コーティング及び接着防止コーティングが塗布された後、及びコーティングされた形態が描画された後、プロセスは、コーティングされた形態の周辺部分を処理して、挟まれた縁部、またはロール状縁部、または開放されたロール状縁部を得るステップを含み得る。
【0031】
保護コーティングは、PTFE型コーティングまたはラッカー型コーティングであり得る。
【0032】
接着防止コーティングは、PTFE型コーティングとすることができる。
【0033】
一実施形態によれば、形状は円盤状であってもよい。ただし、他の形状も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の他の特徴及び属性は、非限定的に、添付の図面に示される例示的な実施形態及び変形例の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
図1】本発明によるコーティングされた金属調理支持体を作製するために使用される金属本体の一実施形態の例の部分概略図を示す。
図2図1に示す金属本体の拡大概略断面図を示す。
図3図2に示す金属本体の表面部分の拡大断面図を示す。
図4】保護コーティング及び接着防止コーティングが施された後の、図1に示す金属本体の拡大概略断面図を示す 。
図5図1に示す金属本体を含む本発明によるコーティングされた金属調理支持体の実施形態の一例の概略断面図を示す。
図6】本発明のコーティングされた金属調理支持体の周辺部分の第1の実施形態の概略断面図を示す。
図7】ロール状縁部を有する本発明のコーティングされた金属調理支持体の周辺部分の第2の実施形態の概略断面図を示す。
図8】開放されたロール状縁部を有する本発明のコーティングされた金属調理支持体の周辺部分の第3の実施形態の概略断面図を示す。
図9】本発明によるコーティングされた金属調理支持体を有する調理器具物品の例示的な実施形態の概略立面図及び垂直断面図を示す。
図10】本発明によるコーティングされた金属調理支持体を有する電気調理器具の例示的な実施形態の概略立面図及び垂直断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、図5に示される、誘導加熱と互換性のあるコーティングされた金属調理支持体100を作製するために使用される金属本体110の例示的な実施形態を示す。
【0036】
金属本体110は、両面アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼板101で作られている。低炭素強磁性鋼板の両面アルミニウム被覆は、アルミニウム系アルミニウム被覆浴に浸漬することによって達成され、アルミニウム系堆積物115を達成する。アルミニウム系浴は、鋼上への堆積を促進するために、シリコンを含んでもよく、特に8質量%~13重量%のシリコンを含み得る。特に、AS型アルミニウム-シリコン合金を使用することができ、例えば、8~13質量%のシリコンを有するAS合金を使用することができる。しかしながら、シリコンの割合が低いアルミ化浴、またはシリコンを含まないアルミ化浴の使用が考えられる。低炭素強磁性鋼板に堆積した材料の量は、計量により評価することができる。このようにして得られた追加の質量により、鋼板上のアルミニウム系堆積物115の厚さを定義することが可能となる。通常、そのようなアルミニウム系堆積物115は、数十μmに達することができる。
【0037】
図2に示すように、誘導加熱対応コーティング金属調理支持体100を作製するために使用される両面アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼シート101は、その2つの側面のそれぞれにアルミニウムベースの外層112を有する低炭素強磁性鋼基材111を含む。
【0038】
低炭素強磁性鋼基材111は、0.7~3mmの厚さ、特に1~2mmの厚さを有し得る。低炭素強磁性鋼基材111の材料は、誘導加熱に適合するように選択される。低炭素強磁性鋼基材111は、最大0.3質量%の炭素、好ましくは0.1~0.2質量%の炭素を有する鋼グレードで作製することができる。低炭素鋼で作製された強磁性基材111は、特に、炭素0.12質量%~0.18質量%、及び最大0.5質量%のシリコンを含むグレードDX51~DX56で作製することができる。
【0039】
図3に最もよく見られるように、中間層113は、低炭素強磁性鋼基材111と外層112との間に配置される。中間層113は、鉄/アルミニウム金属間化合物、特にFeAl3及びFe2Al5を含む金属間反応層である。したがって、シート鋼上で作製されたアルミニウム系堆積物115の全ては、外層112内に見出されない。アルミニウム系堆積物115の一部は、中間層113内にある。
【0040】
この中間層113の厚さは、通常3~5μmである。しかしながら、500℃を超える熱処理は、この中間層113の厚さを増大させ、外層112の厚さを損なうことに寄与することができ、この中間層113は次いで、異なるアルミニウム/鉄比を有するいくつかのサブ層に細分化することができ、これらの比は、低炭素鋼で作製された強磁性基材111から外層112に向かって増加する。
【0041】
アルミニウム系外層112は、アルミニウム被覆浴がシリコン、特に8質量%~13質量%のシリコンを含む場合、シリコンを含み得る。次いで、図4に示される例示的な実施形態に見られるように、外層112は、アルミニウム-シリコンマトリックス116内にAl-Fe-Si針114を含み得る。図5に示されるように、金属本体110は、加熱面120および調理面130を含む。加熱側120は、誘導板または誘導加熱器を含む誘導加熱装置上に載置するように構成された底部122を有する。図4に示されるように、加熱面120は保護コーティング121を有し、調理面130は調理表面132を形成する接着防止コーティング131を有する。
【0042】
図4に示される本発明による誘導加熱と適合するコーティングされた金属調理支持体100は、金属本体110、保護コーティング121、及び接着防止コーティング131を含む。金属本体110は、保護コーティング121及び接着防止コーティング131を有する 。
【0043】
加熱側120及び調理面130は、両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼板101によって形成される。所望により、保護コーティング121は、金属本体110の加熱面120、特に底部122上の外層112に直接塗布することができる。必要に応じて、保護コーティング121が行われる前に、加熱面120上で表面処理を行うことができる。特に、保護コーティング121は、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであってもよい。
【0044】
所望により、接着防止コーティング131を、金属本体110の調理面130上、特に底部122に対向する外層112上で直接作製することができる。必要に応じて、保護コーティング121が作られる前に、調理面130上で表面準備を行うことができる。特に、接着防止コーティング131は、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであってもよい。図5に示すように、コーティングされた金属調理支持体100は、調理容器124を形成するために加熱面120の底部122の周りに立ち上がる側壁123を含んでよい。変形例として、コーティングされた金属調理支持体100は、必ずしも調理容器124を形成しない。特に、コーティングされた金属調理支持体100は、調理プレートを形成することができる。
【0045】
いくつかの誘導板を用いた試験は、異なる誘導加熱装置上の誘導加熱との適合性を達成するための関連パラメータが、加熱面120の底部122上の外層112の厚さであり、加熱面120の底部122上のアルミニウム系堆積物115の厚さではないことを示している。使用した誘導プレートを表1に記載する。
【0046】
【表1】

【0047】

実際、これらの試験は、保護コーティング121がPTFE型コーティング、ラッカー型コーティングまたはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングである場合、誘導板上で結合を得るための加熱面120の底部122上のアルミニウム系堆積物115の厚さの限界値が30μm程度であるが、保護コーティング121がエナメル型コーティングである場合、誘導板上で結合を得るための加熱面120の底部122上のアルミニウム系堆積物115の厚さの限界値が40μm程度であることを示している。これらの試験はまた、保護コーティング121がPTFE型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングである場合、加熱面120の底部122上のアルミニウム系堆積物115の厚さが20μm程度未満で、および保護コーティング121がエナメル型コーティングである場合、加熱面120の底部122上のアルミニウム系堆積物の厚さ115が30μm程度未満で、満足のいくカップリングが得られたことを示した。エナメル型コーティングの使用には、550℃~600℃の範囲の焼成温度が必要である。500℃を超えると、鋼/アルミニウム界面で生じる拡散現象は、中間層113と外層112との間の界面を変位させ、外層112の厚さを減少させる、鉄/アルミニウム金属間化合物の形成を好む。
【0048】
中間層113の厚さは、通常、3~5μm程度であるが、特に、中間層113の厚さの成長を有利にする熱処理の場合、必要に応じて、いくつかの副層の形態で、及び/または外部層112の厚さの低減において、より大きくすることができる。
【0049】
加熱面120の底部122上の外層112の厚さは、コーティングされた金属調理支持体100と誘導加熱との適合性に重要である。加熱面120の底部122上の外層112についての27μm未満の厚さは、誘導板上で結合を達成するための制限値と見なされる。加熱面120の底部122の外層112について、26μm未満の厚さは、27μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、25μm未満の厚さは、26μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、24μm未満の厚さは、25μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、23μm未満の厚さは、24μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、22μm未満の厚さは、23μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、21μm未満の厚さは、22μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、20μm未満の厚さは、21μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、19μm未満の厚さは、20μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、18μm未満の厚さは、19μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらし、17μm未満の厚さは、18μm未満の厚さよりも優れた結果をもたらす。加熱面120の底部122上の外層112についての20μm未満の厚さは、誘導板とのかなり満足のいく結合を可能にする。加熱面120の底部122上の外層112についての18μm未満の厚さは、誘導板との非常に満足のいく結合を可能にする。効率(コーティングされた金属調理支持体100によって吸収される電力/誘導板によって放出される電力)は、100%に近づくことができる。加熱速度は非常に速い。
【0050】
図5に示されるように、誘導加熱互換性コーティング金属調理支持体100は、露出した端部128を有する。端部128は、被覆金属調理支持体100を作製するのに適した形状を作製するために金属本体110を切断することにより、一般に、外層112を有しない。端部128は、保護コーティング121および/または接着防止コーティング131によって少なくとも部分的に覆われてもよい。好ましくは、露出した端部128は、保護コーティング121および/または接着防止コーティング131によって覆われている。
【0051】
図6に示されるように、誘導加熱互換性コーティングされた金属調理支持体100は、挟み込まれた縁部125を有し得る。図7に示されるように、誘導加熱互換性コーティング金属調理支持体100は、ロール状縁部126を有してもよい。図8に示されるように、誘導加熱互換性コーティングされた金属調理支持体100は、開放されたロール状縁部127を有し得る。したがって、端部128は、コーティングされた金属調理支持体100の上側に現れない。
【0052】
図9は、コーティングされた金属調理支持体100と、コーティングされた金属調理支持体100上に取り付けられた把持具150とを有する調理物品140を示す。コーティングされた金属調理支持体100は、図5に示される調理容器124を形成する。図9に示される例示的な実施形態では、把持具150は、少なくとも1つのリベット151によって調理容器124に取り付けられる。この目的のために、リベット151は、側壁123の穴に取り付けられる。所望により、複数のリベット151を使用して、把持具150を調理容器124に固定することができる。好ましくは2つ~4つのリベット151を使用して、把持具150を調理容器124に固定する。あるいは、把持具150を、側壁123に溶接されたスタッドに溶接またはねじ止めすることによって側壁123に取り付けることができる。所望により、さらなる把持具を、少なくとも1つのさらなるリベットによって、溶接によって、または側壁123に溶接されたスタッドにねじ込むことによって、調理容器124の側壁123に取り付けることができる。
【0053】
図10は、誘導加熱器170と関連付けられたコーティングされた金属調理支持体100を有する電気調理器具160を示す。コーティングされた金属調理支持体100は、図5に示される調理容器124を形成する。調理容器124は、誘導加熱器170を備える加熱ベース175に配置される。底部122は、誘導加熱器170上にある。所望により、調理容器124は、少なくとも1つの把持具155を含み得る。図10に示される例示的な実施形態では、調理容器124は、2つの対向する把持具155を有する。1つまたは各把持具155は、少なくとも1つのリベット156によって調理容器124に取り付けられる。この目的のために、リベット156は、側壁123の穴に取り付けられる。所望により、複数のリベット156を使用して、把持具155を調理容器124に固定することができる。好ましくは、2つ~4つのリベット151が、把持具155または各把持具155を調理容器124に固定するために使用される。あるいは、把持具155の1つまたは少なくとも1つは、側壁123に溶接されたスタッドに溶接またはねじ止めすることによって側壁123に取り付けることができる。
【0054】
本発明による誘導加熱に適合する被覆金属調理支持体100は、様々な方法によって得ることができる。
【0055】
誘導加熱と互換性のあるコーティングされた金属調理支持体100を得る第1の方法は、以下のステップを含みうる。
-両面アルミニウム被覆された低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-加熱面120および調理面130を含む金属本体110を形成するための形状にスタンピングするステップと、
-加熱面120上の保護コーティング121を形成するステップと、
-接着防止コーティング131を調理面130に塗布し、調理表面132を形成する。
【0056】
形状は特に円盤状とすることができる。フォームを描画した後、および保護コーティング121および接着防止コーティング131を作製する前に所望される場合、第1の工程は、フォームの周辺部分を処理して、挟み込まれた縁部125またはロール状縁部126または開放されたロール状縁部127を得るステップ。
【0057】
この第1の工程では、成形操作後に保護コーティング121及び接着防止コーティング131が形成される。使用できるコーティングの範囲は広い。特に、保護コーティング121は、PTFE型コーティング、またはエナメル型コーティング、またはラッカー型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであってもよい。特に、接着防止コーティング131は、PTFE型コーティング、またはセラミック型コーティング、またはゾルゲル型コーティングであってもよい。
【0058】
誘導加熱と互換性のあるコーティングされた金属調理支持体100を得る第2の方法は、以下のステップを含む。
-第1の側面及び第2の側面を含む両側アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼板から形状を切断または供給するステップと、
-第1の側面に保護コーティング121、第2の側面に接着防止コーティング131を施し、コーティングされた形状とするステップと、
-保護コーティング121を有する加熱面120と、接着防止コーティング131を有する調理面130とを備え、調理表面132を形成する、コーティングされた金属本体110を形成するようにコーティングされた形状をスタンピングするステップ。
【0059】
形状は特に円盤状とすることができる。保護コーティング121及び接着防止コーティング131が塗布された後、及びコーティングされた形状が描画された後、第2の工程は、コーティングされた形状の周辺部分を処理して、挟まれた縁部125、またはロール状縁部126、または開放されたロール状縁部127を得るステップを含み得る。
【0060】
この第2の工程では、成形操作の前に保護コーティング121及び接着防止コーティング131が行われる。その結果、使用可能なコーティングの範囲がより制限される。保護コーティング121および接着防止コーティング131は、形状をスタンピングで形成することを可能にするものとする。保護コーティング121は、PTFE型コーティングまたはラッカー型コーティングであってもよい。接着防止コーティング131は、特にPTFE型コーティングであってもよい。
【0061】
コーティングされた金属調理支持体100を作製するための両面アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼シート101の使用は、通常のアルミニウムおよびステンレス鋼製品よりも安価な原料の使用を可能にする。コーティングされた金属調理支持体100を作製するための両面アルミニウム被覆低炭素強磁性鋼シート101の使用もまた、従来の製造プロセスを使用することを可能にし、必要な投資を制限する。
【0062】
コーティングされた金属調理支持体100は、軽量であり、機械的に非常に強力である。バイメタル効果がないため、アルミニウムやステンレス鋼の調理器具に比べて使用中の変形がはるかに少ない。特にアルミニウム系堆積物115の厚さが20μm未満の場合、効率(誘導ヒータの電源入力/電源出力)が非常に高い。加熱速度は高い。誘導加熱との互換性のためにステンレス鋼インサートが付いた同じ直径の標準アルミパンでは約1分30秒であるのに対し、28cmの直径のパンで15秒である。
【0063】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者にとって明らかな様々な修正及び/または改善を、本説明に記載される本発明の例示的な実施形態に行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】