(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】耳鼻咽喉ツールの非円形作業チャネル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20230306BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540361
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2020061566
(87)【国際公開番号】W WO2021137060
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】シットニツキー・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】アティアス・ギリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF56
4C160MM06
4C160NN12
(57)【要約】
医療ツールは、回転可能な中空管及び1本以上の電線を含む。回転可能な中空管は、患者の身体の腔内に医療器具を挿入するために、中に作業チャネルを画定している。1本以上の電線は、回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、作業チャネルを通り抜ける。作業チャネルは、医療器具と1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ、1本以上の電線の存在下で作業チャネル内に位置する医療器具に対する回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療ツールであって、
患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定する回転可能な中空管と、
前記回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、前記作業チャネルを通り抜ける1本以上の電線と、を備え、
前記作業チャネルが、前記医療器具と前記1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ、前記1本以上の電線の存在下で、前記作業チャネル内に位置する前記医療器具に対する前記回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する、医療ツール。
【請求項2】
前記腔が、前記患者の頭部にある鼻腔を含み、前記医療器具が、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせ、からなるリストから選択される、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項3】
回転機構を使用して、前記回転可能な中空管及び前記医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるように構成されている回転可能なノブを備える、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項4】
前記回転可能なノブが、時計回り及び反時計回りの回転方向のうちの少なくとも1つで、0°~180°の間の回転角の範囲にわたって回転するように構成されている、請求項3に記載の医療ツール。
【請求項5】
前記遠位端に連結された第1の端部と、偏向機構に連結された第2の端部と、を各々が有する、1本以上のプルワイヤを備え、前記偏向機構が、前記1本以上のプルワイヤを引っ張ることによって、前記遠位端を偏向させるためのものであり、前記回転可能な中空管が、前記医療ツールの構成要素の周りでの前記1本以上のプルワイヤのねじれを防止するために、前記中空管と前記偏向機構との間を連結するように構成されているリテーナを備える、請求項3に記載の医療ツール。
【請求項6】
前記1本以上の電線が、前記電線の編組を含む、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項7】
医療ツールを製造するための方法であって、
患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定している回転可能な中空管を提供することと、
前記回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、1本以上の電線を前記作業チャネルに通すことと、
を含み、
前記作業チャネルが、前記医療器具と前記1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ前記1本以上の電線の存在下で、前記作業チャネルの内側に位置する前記医療器具に対する前記回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する、方法。
【請求項8】
前記腔が、前記患者の頭部にある鼻腔を含み、前記作業チャネルが、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせからなるリストから選択される前記医療器具を挿入するためのものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
回転機構を使用して、前記回転可能な中空管及び前記医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるため、回転可能なノブを連結することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記回転可能なノブを連結することが、時計回り及び反時計回りの回転方向のうちの少なくとも1つで、0°~180°の回転角の範囲にわたって回転するように前記回転可能なノブを連結することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1本以上のプルワイヤを連結し、その結果、各プルワイヤについて、前記遠位端に第1の端部を連結することと、前記1本以上のプルワイヤを引っ張ることによって、前記遠位端を偏向させるための偏向機構に、第2の端部を連結することと、を含み、前記回転可能な中空管が、前記医療ツールの構成要素の周りでの前記1本以上のプルワイヤのねじれを防止するために、前記中空管と前記偏向機構との間を連結するリテーナを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1本以上の電線を通過させることが、前記電線の編組を通過させることを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「Deflection mechanism of an ear-nose-throat tool」と題する米国特許出願、代理人整理番号第ID-1773/BIO6272USNP1/1002-2127号に関連する。本出願はまた、「Preventing twisting of pull wires when deflecting an ear-nose-throat tool」と対する米国特許出願、代理人整理番号第ID-1776/BIO6273USNP1/1002-2129号にも関する。これらの関連出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、医療デバイスに関し、特に、耳鼻咽喉(ENT)ツールの回転を改善するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
耳鼻咽喉(ENT)ツールなどのいくつかの医療ツールは、様々なタイプの作業チャネルを有し得る。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第2013/0104884号は、気管内チューブ連結アダプタを記載しており、この気管内チューブ連結アダプタは、気管内チューブからのバイオフィルム又は任意の破片を収集及び除去し、処分又は臨床試験に供することを容易にするものである。気管内チューブ連結アダプタは、閉鎖吸引システムでの使用に適合させることができる。気管内チューブ連結アダプタは、挿管時から取り外し時まで、気管内チューブに連結されたままであり、かつ気管内チューブから取り外されることなく、視覚化、洗浄、及び/又はバイオフィルム収集デバイス又は部材を受容するように構成され得る。
【0005】
米国特許第5,556,390号は、中に1つ以上の非円形、楕円形、小判形又は長楕円形の形状の管腔を有する、単一又は複数の管腔カテーテルを記載し、複数の管腔カテーテル内の複数の管腔の断面形状は互いに対して対向し、管腔内の鋭角又は流れ制限領域の存在を最小限に抑え、カテーテルの管腔の断面積を最大化しながら隔壁又はカテーテル壁の偏向の発生を最小限に抑える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された本発明の一実施形態は、回転可能な中空管と、1本以上の電線とを含む医療ツールを提供する。回転可能な中空管は、中に作業チャネルを画定し、この作業チャネルは、患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するためのものである。1本以上の電線は、回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、作業チャネルを通り抜ける。作業チャネルは、医療器具と1本以上の電線の両方を通過させるため、かつ、1本以上の電線の存在下で、作業チャネル内に位置する医療器具に対する回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する。
【0007】
一部の実施形態では、腔は、患者の頭部にある鼻腔を含み、医療器具は、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせ、からなるリストから選択される。他の実施形態では、医療ツールは、回転機構を使用して、回転可能な中空管及び医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるように構成されている回転可能なノブを含む。更に他の実施形態では、回転可能なノブは、時計回り及び反時計回りの回転方向のうちの少なくとも1つで、0°~180°の間の回転角度の範囲にわたって回転するように構成されている。
【0008】
一実施形態では、医療ツールは、遠位端に連結された第1の端部と、偏向機構に連結された第2の端部と、を各々が有する、1本以上のプルワイヤを含み、偏向機構は、1本以上のプルワイヤを引っ張ることによって、遠位端を偏向させるためのものである。回転可能な中空管は、医療ツールの構成要素の周りでの1本以上のプルワイヤのねじれを防止するために、中空管と偏向機構との間を連結するように構成されているリテーナを含む。別の実施形態では、1本以上の電線は、電線の編組を含む。
【0009】
本発明の一実施形態による、医療ツールを製造するための方法であって、患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定している、回転可能な中空管を提供することを含む方法が更に提示される。1本以上の電線は、回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、作業チャネルに通される。作業チャネルは、医療器具と1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ1本以上の電線の存在下で、作業チャネルの内側に位置する医療器具に対する回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、偏向可能な遠位端と、少なくとも1本のプルワイヤと、偏向アセンブリと、を含む、医療ツールを提供する。少なくとも1本のプルワイヤは、医療ツールの遠位端に連結された第1の端部を有し、遠位端を偏向させるために移動されるように構成されている。偏向アセンブリは、少なくとも1本のプルワイヤの第2の端部に連結され、遠位端の偏向を制御するように構成されている。偏向アセンブリは、第1の回転軸を有する第1のギアと、第2の回転軸を有し、第1のギアと結合させるためのぎざぎざの表面を含む第2のギアと、を含む。ぎざぎざの表面は、第2の回転軸に対して傾斜され、第1のギアが回転すると、第2のギアが、第1のギアによって回転されて第2の回転軸に沿って移動し、かつプルワイヤを動かすことによって遠位端を偏向させるように構成されている。
【0011】
一部の実施形態では、第2のギアは、円周部を有し、円周部は、(i)第1の区分であって、(a)第2の回転軸に沿った第1の厚さと、(b)第1の区分から延在している、ぎざぎざの表面の第1のぎざぎざの区分と、を有する第1の区分、及び(ii)第2の区分であって、(a)第1の厚さよりも小さく、第2の回転軸に沿った第2の厚さと、(b)第2の区分から延在している、ぎざぎざの表面の第2のぎざぎざの区分と、を有する。第2のギアが回転すると、第1のぎざぎざの区分が第1のギアと接触しているとき、遠位端は第1の量だけ偏向され、第2のぎざぎざの区分が第1のギアと接触しているとき、遠位端は第1の量よりも小さい第2の量だけ偏向されている。他の実施形態では、医療ツールは、第1のギアに連結され、第1のギアを回転させることによって偏向を制御するように構成されている、回転可能なノブを含む。更に他の実施形態では、医療ツールは、少なくとも1本のプルワイヤの第2の端部に連結され、第2の回転軸に沿って第2のギアによって移動されるように構成されている連結要素を含む。
【0012】
一実施形態では、第2のギアは中空であり、医療ツールは、第2の回転軸に平行である1本以上のロッドを含み、その1本以上のロッドが、第2のギアを通り抜け、結果、第2のギアが、第2の回転軸に沿って1本以上のロッドによって移動されるようになっている。別の実施形態では、医療ツールは、遠位端と偏向アセンブリとの間に配設された中空管を含み、中空管は、遠位端を通って患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定する。更に別の実施形態では、腔は、患者の頭部にある鼻腔を含み、作業チャネルは、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせ、からなるリストから選択される、医療器具を挿入するためのものである。
【0013】
本発明の一実施形態によると、医療ツールを製造する方法が追加的に提供され、この方法は、偏向可能な遠位端を提供することを含む。医療ツールの遠位端は、遠位端を偏向させるために移動される、少なくとも1本のプルワイヤの第1の端部に連結されている。遠位端の偏向を制御するために、少なくとも1本のプルワイヤの第2の端部は、偏向アセンブリに連結されている。偏向アセンブリは、第1の回転軸を有する第1のギアと、第2の回転軸を有する第2のギアであって、第1のギアと結合させるためのぎざぎざの表面を含む第2のギアと、を含む。ぎざぎざの表面は、第2の回転軸に対して傾斜され、第1のギアが回転すると、第2のギアが、第1のギアによって回転されて第2の回転軸に沿って移動し、かつプルワイヤを動かすことによって遠位端を偏向させるように構成されている。
【0014】
本発明の別の実施形態は、偏向可能な遠位端と、少なくとも1本のプルワイヤと、連結要素と、を含む、医療ツールを提供する。少なくとも1本のプルワイヤは、医療ツールの遠位端に連結された第1の端部を有し、遠位端を偏向させるために移動されるように構成されている。連結要素は、プルワイヤの第2の端部に連結され、かつ少なくとも2つのボアホールを有する連結要素であって、少なくとも2つのボアホールは、それらを通り抜ける少なくとも2本のそれぞれのロッドを受容するように構成されている。連結要素は、連結された回転可能要素の回転軸に沿って移動されるように構成され、ボアホール及びそれぞれのロッドは、連結要素の回転を防止するように構成されている。
【0015】
一部の実施形態では、連結要素は、少なくとも1つの追加のボアホールを有し、プルワイヤは、追加のボアホールを通り抜ける。他の実施形態では、回転可能要素は、連結要素の少なくとも一部を取り囲む中空ギアを含み、中空ギアが回転するとき、連結要素は回転軸に沿って移動し、ロッドは、中空ギアとともに連結要素が回転するのを防止する。更に他の実施形態では、連結要素は、プルワイヤの第2の端部に連結され、回転軸に沿って移動されるように回転可能要素と物理的に接触している、パネルを有する。
【0016】
一実施形態では、連結要素は、患者の身体の腔に医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定する更なるボアホールを有する。別の実施形態では、腔は、患者の頭部にある鼻腔を含み、医療器具は、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせ、からなるリストから選択される。
【0017】
本発明の一実施形態によると、医療ツールを製造する方法が追加的に提供され、この方法は、偏向可能な遠位端を提供することを含む。遠位端を偏向させるために移動される、少なくとも1本のプルワイヤの第1の端部は、医療ツールの遠位端に連結されている。少なくとも2つのボアホールを有する連結要素は、プルワイヤの第2の端部に連結され、少なくとも2本のそれぞれ対応するロッドは、少なくとも2つのボアホールを通り抜けるように挿入される。回転可能要素の回転軸に沿って連結要素を移動させるための回転可能要素は、連結要素に連結され、その結果、ボアホール及びそれぞれ対応するロッドは、連結要素の回転を防止する。
【0018】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による、耳鼻咽喉ENTシステムを用いたENT処置を絵で示した概略図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、回転可能な中空管を絵で示した概略図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、ENTツールの回転機構を絵で示した概略図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による、遠位端アセンブリの偏向機構を絵で示した概略図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による、ワイヤホルダを絵で示した概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、ENTツールの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概論
一部の医療処置は、患者の枝分かれした器官内への、医療ツールの挿入を必要とする。例えば、バルーン副鼻腔形成処置は、患者の耳鼻咽頭(ENT)の洞へのガイドワイヤの挿入、小孔の障害物を開放するためにガイドワイヤ上のバルーンを洞の小孔内に移動させることを含む。他の処置では、医師は、副鼻腔から粘液を引き出すためのポンピングチューブ、又は患者のENT器官の組織(例えば、軟骨、骨、又はポリープ)を切断するための外科用ツールを挿入することができる。
【0021】
本明細書のこれ以降に記載された本発明の実施形態は、ENTツールの機能性及びハンドリングを改善するための方法及び装置を提供する。一部の実施形態では、ENTシステムは、ENTツール及び制御コンソールを備える。ENTツールは、患者の副鼻腔などの枝分かれした器官に、医師によって挿入される遠位端を備える。ENTツールは、医療器具、例えば、前述のガイドワイヤ、バルーン、ポンピングチューブ、外科用ツール、又はそれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない医療器具を副鼻腔に挿入するための作業チャネルを画定する回転可能な中空管を備える。
【0022】
一部の実施形態では、ENTツールは、回転機構及び偏向機構を備え、これらの機構は、遠位端の操縦性を改善し、前述の器具を副鼻腔に挿入するためのものである。ENTツールは、遠位端に連結され、かつ対象の組織の画像を取得するように構成された、カメラ及び発光ダイオード(LED)などの電子デバイスを備える。一部の実施形態では、ENTシステムは、1本以上の電線を備え、これらの電線は典型的には、作業チャネルを通過する編組に組み込まれ、かつコンソールと遠位端の電子デバイスとの間で、電力及び撮像信号を交換するように構成されている。
【0023】
ENT処置中、医師は、作業チャネル内に、医療器具及び電線の編組のうちの1つ以上を有するENTツールの遠位端で、回転及び/又は偏向させる。場合によっては、編組は、医療器具の周りで巻き取られてもよく、医療器具の動きにより引き裂かれ、及び/又はその動きを妨害し得る。
【0024】
一部の実施形態では、作業チャネルは、医療器具及び電線の編組の両方を通過させるための非円形断面を有し、電線の編組の存在下で、中空管に対する医療器具の回転を可能にする。
【0025】
一部の実施形態では、ENTツールは、回転可能な中空管及び医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるように構成された回転可能なノブを備える。回転可能なノブは、0°~180°の間の回転角度の範囲にわたって時計回り及び反時計回りに回転するように構成されている。
【0026】
一部の実施形態では、ENTツールは、1本以上のプルワイヤを備え、そのプルワイヤは、(a)ENTツールの遠位端に連結された遠位端と、(b)本明細書では、ENTツールの偏向アセンブリとも呼ばれる偏向機構に連結された近位端と、を備える。一部の実施形態では、偏向アセンブリは、(i)第1の回転軸を中心に回転するように構成され、医師によって操作される偏向ノブによって制御される、第1のギア、及び(ii)第2の回転軸を中心に回転し、第1のギアと結合するためのぎざぎざの表面を含む第2のギアを備える。ぎざぎざの表面は、第2の回転軸に対して傾斜され、医師が偏向ノブを回転させるとき、第2のギアは、第1のギアによって回転されて第2の回転軸に沿って移動し、かつプルワイヤを動かすことによって遠位端を偏向させる。
【0027】
一部の実施形態では、ENTツールは、本明細書では連結要素とも呼ばれるワイヤホルダを備える。これは、第2のギアと物理的に接触し、1本以上のプルワイヤの近位端に連結される。そのような実施形態では、ワイヤホルダは、第2のギアによって第2の回転軸に沿って移動させられるように構成される。
【0028】
ワイヤホルダと第2のギアとの間の物理的接触は、ワイヤホルダを第2のギアと一緒に回転させることができ、その結果、プルワイヤが互いに、かつ/又はENTツールの他の要素の周りにねじれ得る。一部の実施形態では、ワイヤホルダは、少なくとも2つのボアホールを有し、それらを通り抜ける少なくとも2つのそれぞれのロッドを受容するように構成されている。そのような実施形態では、ボアホール及びロッドは、連結要素の回転を防止するように構成され、したがって、プルワイヤのねじれを防止する。
【0029】
一部の実施形態では、プルワイヤは、追加のボアホールを有し得るが、これらは、1つ以上の医療器具、及び前述のプルワイヤなどであるがこれらに限定されない、ENTツールの様々な構成要素を通過させる。
【0030】
開示された技術は、単一の医師による複数の診断及び/又は治療デバイスの同時動作を可能にすることによって、医療ツールの機能性を改善する。更に、開示された技術は、ENT、気管支鏡検査、又は神経学的手術などの様々な枝分かれした器官におけるそのような多機能医療ツールの操縦性を改善するが、特定の用途のためには、構成の調整を必要とし得る。
【0031】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、耳鼻咽喉(ENT)システム20を使用したENT処置を絵で示した概略図である。一部の実施形態では、ENT処置は、バルーン副鼻腔形成術であって、バルーンが副鼻腔48の詰まった小孔内に挿入され、膨張されて、小孔を開放させて、患者の患者22の鼻腔26を通る、副鼻腔からの粘液の正常な流れと排出を可能とするものである。他の実施形態では、ENT処置は、患者のENT内で実行される任意の他の診断又は治療処置を含み得る。そのような実施形態では、ENTシステム20は、本例においては、ENTツール28である医療用カテーテルを備える。これは、患者22の1つ以上の副鼻腔48に、1種類以上のENT処置を実行するように構成されている。
【0032】
一部の実施形態では、ENTツール28は、回転可能な中空管を備え(本明細書においては管52と呼ぶ)、この中空管は、医師24によって、患者22の前述の鼻腔26などの腔内に挿入される。ENTツール28は更に、管52の近位端に連結された手持ち式装置30を備え、この手持ち式装置30は、以下で詳細に説明されるように、医師24が、患者22の頭部41で、ENT処置を実行するのを支援するように構成されている。
【0033】
ここで、挿入
図45を参照する。一部の実施形態では、ENTツール28は、管52の遠位端に連結された遠位端アセンブリ77を備える。遠位端アセンブリ77は、ニチノール(商標)などのニッケル-チタン合金、又は他の任意の適切な材料を含み得るが、以下で詳細に説明されるように、偏向及び回転されるように構成されている。
【0034】
一部の実施形態では、手持ち式装置30は、医師24の指によって保持される把持部58を備える。一部の実施形態では、手持ち式装置30は、スライダ70を備え、このスライダ70は、ENTツール28の長手方向軸線に沿って、医師24の親指によって、動かされる。挿入
図45の例では、医師24は、2つの矢がついた矢印72として示す2つの方向に、スライダ70を動かして、バルーン(図示せず)のような医療器具を、患者22の頭部41の中へ挿入し、かつ/又はそこから引き抜く。
【0035】
再度
図1の全体図を参照する。一実施形態では、システム20は、頭部41の1つ以上の位置センサの位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを更に備える。この磁気位置追跡システムは、磁場発生器44と、磁場発生器44によって生成された外部磁場を検知することに応答して位置信号を発生させる位置センサ55と、を備える。これらによって、プロセッサ34(詳しくは後述)は、患者22の頭部41内での位置センサ55の位置の推定が可能となる。
【0036】
この位置検知方法は、種々の医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)によって製造されるCARTO(商標)システムにおいて実施され、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089に、PCT/WO96/05768号に、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
一部の実施形態では、システム20は位置特定パッド40を更に備え、位置特定パッド40は、フレーム46上に固定された磁場発生器44を備える。
図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を備えるが、代替的に、任意の他の好適な数の磁場発生器44を備えてもよい。パッド40は、磁場発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に位置決めされるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に備える。
【0038】
一部の実施形態では、システム20はコンソール33を備え、コンソール33は、メモリ49と、駆動回路42とを備え、駆動回路42は、ケーブル37を介し、好適な信号を用いて磁場発生器44を駆動して、頭部41の周囲の空間内の既定の作業体積内に磁場を発生させるように構成されている。
【0039】
一部の実施形態では、コンソール33はプロセッサ34を備え、プロセッサ34は、典型的には、ケーブル32を介して1つ以上の磁気センサ55が連結されているENTツール28からの信号を受信し、かつ本明細書に記載されたシステム20のその他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインタフェース回路を有する汎用コンピュータである。
【0040】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、各位置センサ55の位置を推定するように構成されている。磁気位置追跡システムの座標系における、それぞれのセンサの推定された位置に基づいて、プロセッサ34は、遠位端アセンブリ77の位置、向き、及び曲率半径を導出するように構成されている。
【0041】
本発明及び特許請求の範囲の文脈において、用語「屈曲」「偏向」は互換的に使用され、ENTツール28の1つ以上の区分の偏向を意味する。
【0042】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、外部のCTシステム(図示せず)を用いて取得した、頭部41の各セグメント化二次元(2D)スライスを描写するコンピュータ断層撮影(CT)画像などの、1つ以上の解剖学的画像を、インタフェース(図示せず)を介して受信するように構成されている。用語「セグメント化」とは、CTシステムでの組織のそれぞれの減衰を測定することによって、各スライス内で識別される種々の種類の組織を表示することを指す。
【0043】
コンソール33は、システム20のオペレーションを制御するための入力デバイス39と、ユーザディスプレイ36と、を更に備え、このユーザディスプレイ36は、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示するように構成され、かつ/又は医師24若しくは入力装置39の他のユーザによって挿入された入力を表示するように構成されている。
【0044】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、CT画像の中から1つ以上のスライスを選択し(例えば解剖学的画像35)、その選択したスライスをユーザディスプレイ36に表示するよう構成されている。
図1の例では、解剖学的画像35は、患者22の1つ以上の副鼻腔48の前方からの断面図を示す。
【0045】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、CTシステムの座標系と磁気位置追跡システムとの間に位置合わせされ、解剖学的画像35に、遠位端アセンブリ77の位置をオーバーレイするように構成されている。
【0046】
ここで再び挿入
図45を参照する。一部の実施形態では、手持ち式装置の装置30は、本明細書では、医師24によって制御されるノブ66と呼ばれる偏向ノブを備え、このノブ66は、両矢印69によって示されるように、その軸線周りで時計回り及び反時計回りに回転させることによって、遠位端アセンブリ77を偏向させるように構成されている。
【0047】
一部の実施形態では、手持ち式装置30は、本明細書ではノブ54と呼ばれる回転ノブを更に備える。このノブ54は、管52、遠位端アセンブリ77、及び管52の内部の医療器具(以下の
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bに図示)のうちの少なくとも1つを、長手方向軸線50の周りで回転させるように、両矢印68に示されるように時計回り及び反時計回りに回転するように構成されている。本例では、ノブ54が、管52と遠位端アセンブリ77との両方を長手方向軸線50の周りに回転させる一方で、医療器具は、回転されない。一部の実施形態では、ノブ54は、以下の
図2A及び
図2Bに詳細に説明されるように、時計回りに180°及び反時計回りに180°回転されるように構成されている。
【0048】
一部の実施形態では、遠位端アセンブリ77は、電子デバイス56を備える。この電子デバイス56としては、カメラ及び1つ以上の発光ダイオード(LED)などが挙げられるがこれらに限定されない。エレクトロニクスデバイス56が、遠位端アセンブリ77の遠位端部に連結されており、かつ対象のENT組織を照明し、ENT処置中に、ENT組織の解剖学的画像を取得するように構成されている。
【0049】
再度
図1の全体図を参照する。
図1は、簡略化及び明確にするため、開示技法に関する要素のみを示すことに留意されたい。システム20は、典型的には、開示される技術には直接関連しない追加のモジュール及び要素を備え、これらのモジュール及び要素は、上記の理由で、
図1及びシステム20の説明から意図的に省略されている。
【0050】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行するように、かつソフトウェアによって処理される、又は別様に使用されるデータを、メモリ49に格納するようにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。代替的に、プロセッサ34の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行され得る。
【0051】
ENTツール28のこの特定の構成は、本発明の実施形態が対処する特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を明示するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なENTツールに限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、他の種類の医療診断及び/又は治療ツール及び/又はシステムにも、同様に適用され得る。
【0052】
非円形断面を有する作業チャネルを有する、回転可能な中空管
図2Aは、本発明の実施形態による、回転可能な中空管52を絵で示した概略図である。一部の実施形態では、回転可能な中空管52は、医療器具88を、患者22の副鼻腔48(又は任意の他の腔)内に挿入するために、作業チャネル(WC)62を中に画定する。一部の実施形態では、医療器具の動作部88は、(a)上記
図1に記載されている副鼻腔形成術を実行するために、ガイドワイヤに沿って動かされるバルーン又は別の器具、(b)例えば、詰まった小孔を開放した後で、患者の粘液を引き出すためのポンプに連結されたポンピングチューブ、(c)例えば、ポリープを切断するため、又は患者22の他の組織を切除するための、任意の適切なタイプのENT外科用ツール、(d)耳鼻咽喉診断ツール、(e)耳鼻咽喉治療ツール、(f)任意の他の好適な種類のENT医療器具、又は(g)それらの任意の好適な組み合わせ、を備え得る。
図2Aでは、医療器具88が、断面図で概略的に示されており、任意の好適なサイズ及び形状を有することができることに留意されたい。
【0053】
一部の実施形態では、少なくとも遠位端アセンブリ77が鼻腔26内に挿入されるとき、医師24は、スライダ70を適用して、医療器具88(例えば、前述の鼻腔形成術バルーン)を、副鼻腔48などの標的の組織に挿入する。
【0054】
一部の実施形態では、システム20は、コンソール33と1つ以上の電子デバイス56との間で電気信号を交換するために、作業チャネル(WC)62を通り抜ける1本以上の電線、本例では、電線の編組90を備える。
【0055】
一部の実施形態では、ノブ54による管52の回転は、網組90が医療器具88に巻き付いてしまうのを防止するために、時計回りに180°、反時計回りに180°までに限定される。回転が限定されない場合、巻き付きが起こり、その結果、少なくとも1本の電線の引き裂き又は損傷が発生し、かつ/又は医療器具88を動かすことが困難になってしまう場合があり得る。
【0056】
一部の実施形態では、作業チャネル(WC)62は、(a)1つ以上の医療器具88と、(b)編組90と、を通過させるための非円形の断面を有する。作業チャネル(WC)62の形状が非円形であることで、編組の90の存在下での医療器具88(作業チャネル(WC)62内に位置している)に対する管52の回転が可能になる。一部の実施形態では、医療器具88及び管52のうちの少なくとも1つは、軸50を中心として回転するように構成されている。そのような実施形態では、作業チャネル(WC)62の断面形状が非円形であることで、網組90の1本以上の電線を医療器具88の周囲に巻き付けてしまうことなく、医療器具88と管52との間で相対的に回転させることが可能になる。
【0057】
一部の実施形態では、作業チャネル(WC)62の近位端は、前述の非円形の断面形状を有することができ、作業チャネル(WC)62の遠位端は、例えばそれらに限定するものではないが、円形又は非円形の断面形状などの、任意の他の断面を有し得る。
【0058】
一部の実施形態では、管52は、ハウジング53に連結され、システム20の例では、ハウジング53は、単一の成形ピースとして管52に統合されている。その他の構成では、管52は、任意の好適な技術を使用して、ハウジング53に連結され得る。
【0059】
一部の実施形態では、ハウジング53は、以下に
図2Bに示す回転機構の少なくとも1つに取り付けられたハウジング53を保持するように構成された1つ以上のリテーナ60と、以下の
図3Aに詳細に説明されている偏向機構と、を有する。そのような実施形態では、医師24がノブ54を回転させると、リテーナ60は、プルワイヤを管52と一緒に回転するように保持することによって、プルワイヤのねじれを防止する(以下の
図3A及び
図3Bに示す)。
【0060】
一部の実施形態では、ハウジング53は、1つ以上の開口部73を有する。この開口部73は、ハウジング53を、ノブ54と前述の回転機構とに取り付けられた状態に保持するように構成されている。
【0061】
図2Bは、本発明の一実施形態による、管52の回転機構89と、遠位端アセンブリ77とを、絵で示した概略図である。
図2Bの例では、ENTツール28が組み立てられた際に、視る側には、典型的には隠されてしまう回転機構の要素89を示すため、例えば、ノブ54、ハウジング53、及び管52のようなENTツール28のいくつかの構成要素は、概念を明確にするために図面では省略される。
【0062】
一部の実施形態では、回転機構89は、ハウジング53にぴったりと嵌合するように構成されている。一部の実施形態では、回転機構89は、医療器具88と網組90とを取り囲む非円形の開口部を有するディスク59を備える。一部の実施形態では、非円形開口部の形状は、典型的には、作業チャネル(WC)62の形状と同様のものであるが、他の実施形態では、開口部は、任意の他の好適な形状を有し得る。
【0063】
一部の実施形態では、回転機構89は、1つ以上の開口部61を有し、そのそれぞれは、ハウジング53を回転機構89に取り付け、これとともにハウジング53が回転し、プルワイヤ(以下の
図3A及び
図3Bに示されている)を管52とともに回転する状態に保持するため、対応するリテーナ60(上に
図2Aに示される)の上に嵌合するように構成されている。この構成により、プルワイヤが互いの周りで、及び/又はENTツール28のその他の構成要素(例えば、医療器具88及び/又は編組90)の周りで、ねじれるのを防止する。
【0064】
一部の実施形態では、回転機構89は、1つ以上の突出部75を備え、それらの各々は、ハウジング53と回転機構89との間を連結するため、対応する開口部73に嵌合するように構成されている。そのような実施形態では、ハウジング53と管52は回転機構89の上に嵌合し、その結果、医師24は、管52に画定された作業チャネル(WC)62を通して、患者22の対象の腔(例えば、副鼻腔48)内に医療器具88を挿入することができる。
【0065】
一部の実施形態では、回転機構89は、管52、遠位端アセンブリ77、及び医療器具88のうちの少なくとも1つを、ENTツール28の長手方向軸線50の周りに回転させるために、ノブ54に連結されている。本例では、医師24は、管52と遠位端アセンブリ77とを長手方向軸線50の周りに回転させるため、ノブ54を適用する。
【0066】
回転機構89、管52及びハウジング53は、ある特定の課題を示すために例として提供される。この課題とは、医師24が管52、遠位端アセンブリ77、及び医療器具88のうち少なくとも1つの回転の制御を改善可能とするためのものであるが、これは前述のENT処置のうち1つ以上の間に典型的には行われる。そのような問題は、本発明の実施形態によって対処され、上記の構成は、そのようなENTシステムの性能を高める際のこれらの実施形態の適用できることを実証するものである。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムに決して限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、他の種類の回転可能なENT及び医療システムにも同様に適用され得る。
【0067】
ENTツールのための偏向機構
図3Aは、本発明の一実施形態による、遠位端アセンブリ77の偏向機構99を絵で示した概略図である。一部の実施形態では、偏向機構99は、医師24によって操作される、ノブ66によって作動させる。本開示の文脈において、かつ特許請求の範囲において、用語「偏向機構」及び「偏向アセンブリ」は互換的に使用される。
【0068】
ここで、ENTツール28の遠位端からの偏向機構99の斜視図を示す、挿入
図87を参照する。一部の実施形態では、偏向機構99は、ノブ66に連結され、ノブ66によって回転されるギア96を備える。ギア96は、ギア111のぎざぎざの表面112と結合されるぎざぎざの表面を含む。このため、偏向機構99の例示的な構成では、ギア111は中空であり、回転軸122の周りで回転するように構成されている。本例では、回転軸122は、ENTツール28の長手方向軸線50と実質的に平行であり、かつノブ66及びギア96の回転軸と実質的に直交している。他の実施形態では、ギア96及び111の回転軸は、それらの間に、例示的な本構成における直角とは異なる、任意の他の好適な配向角度を有し得る。代替的な実施形態では、回転軸122は、長手方向軸線50に対する任意の好適な配向、例えば、平行ではない配向を有し得る。
【0069】
一部の実施形態では、ENTツール28は、後述するように、遠位端アセンブリ77に連結された第1の端部と、偏向機構99に連結された第2の端部と、を有する1本以上のプルワイヤ92を備える。プルワイヤ92のうちの少なくとも1つは、約0.1~約0.5mmの任意の好適な直径を有し得る。また、プルワイヤ92のうちの少なくとも1つは、ステンレス鋼、クモ糸シルクとも呼ばれるナノシルク、kevlar(商標)のようなアラミド、又は約10kgfより大きな引張強度を有する任意の他の好適な材料を含み得る。プルワイヤの直径92は、遠位端アセンブリ77を偏向させるためにプルワイヤ92に加えられる引張強度及び力の指定された範囲に基づいて選択されるということに留意されたい。一部の実施形態では、プルワイヤは、遠位端アセンブリ77を偏向させるために、偏向機構99を用いて動かすことができるように構成されている。
【0070】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は数値の範囲に関する用語「約」又は「およそ」とは、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されたその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。例えば、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば「約90%」は、72%~100%の値の範囲を指してもよい。
【0071】
一部の実施形態では、偏向機構99は、ギア96とギア111の係合に基づいて、遠位端アセンブリ77の偏向を制御するように構成されている。
【0072】
一部の実施形態では、ギア111は中空であり、その結果、プルワイヤ92及び1本以上のロッドの120(本例では、2本のロッド120)が、これを通過する。一部の実施形態では、ぎざぎざの表面112は、回転軸122に相対的に傾斜されており、ぎざぎざの表面112と回転軸122との間に傾斜角度114を画定する。
【0073】
一部の実施形態では、傾斜角度114は、ギア111の動きを取得するために好適な、約1~12mmの例示的な範囲の、任意の好適な角度を有し得る。
【0074】
一部の実施形態では、ENTツール28は、パネル133を有するワイヤホルダ132と、下記の
図3Bに詳細に記載されている追加の要素とを有する。ギア111は、ワイヤホルダ132の周りで回転すること、及びワイヤホルダ132のパネル133との物理的接触を有することができる。以下に詳細に記載されるように、ロッド120、医療器具88、及びプルワイヤ92はすべて、ワイヤホルダのボアホール132を通過することができる。
【0075】
一部の実施形態では、ギア111は、回転軸122に平行に配置され得る円周部を有し得る。このギア111は、ギア111の外周部の異なる位置に位置する、区分116と区分118とを有する。そのような実施形態では、各区分は、区分116及び118とからのいずれかの区分であって、パネル133との物理的接触を行うように構成され、ぎざぎざの表面の区分112を有する。そのような実施形態では、ぎざぎざの表面112のぎざぎざの区分113は、区分116から延出し、ぎざぎざの表面112のうちのぎざぎざの区分115は、区分118から延出している。ただし、偏向機構99の構成では、パネル133は、下記の
図3Bで説明するように、回転可能ではないということに留意されたい。挿入
図87に示されているように、ギア111の形状により、回転軸122に沿った区分116の厚さは、区分118の厚さよりも大きくなる。
【0076】
一部の実施形態では、医師24が、ノブ66を使用してギア96を回転させる際、ぎざぎざの表面97と112とが互いに結合し、ギア111は、ノブ66に対して回転はするが並進はしないギア96が回転することによって、回転軸122の周りで回転するように構成されている。
【0077】
そのような実施形態では、ぎざぎざの区分113は、ギア96のぎざぎざの表面97に接触している場合、ギア111は、回転軸122に沿って方向117に動くことができるように構成され、かつ以下に記載されるように、プルワイヤ92を移動させることによって遠位端アセンブリ77を最大量だけ偏向させるように構成されている。同様に、ぎざぎざの区分115が、ぎざぎざの表面97に接触している場合には、ギア111は、回転軸122に沿って、方向119に移動し、かつそれにより、遠位端アセンブリ77を真っ直ぐ延ばすことが可能になるように構成されている。更に、医師24は、ノブ66を回転させることにより、遠位端アセンブリ77の偏向の量を制御することができ、ギア111の任意の他のぎざぎざの区分97は、ギア96のぎざぎざの表面に接触させられる。例えば、医師24は、ぎざぎざの表面113と115との間に位置する所与のぎざぎざの表面が、ギア96のぎざぎざの表面97に接触しているようにノブ66を回転させることによって、遠位端アセンブリ77の部分的な偏向を得ることができる。所与のぎざぎざの表面が、ぎざぎざの表面97に接触している場合の偏向の量は、ぎざぎざの部分113がぎざぎざの表面97に接触している場合の偏向の量よりも小さいことに留意されたい。
【0078】
図1に記載されているように、遠位端アセンブリの77は、偏向されたときにばねとして機能するニチノール(商標)を含み得る。言い換えれば、遠位端アセンブリ77が偏向されると、ニッケルチタン合金は、プルワイヤ92に力を加えて、真っ直ぐな(すなわち、偏向されていない)位置に戻るようにする。
【0079】
一部の実施形態では、ぎざぎざの区分113が、ギア96のぎざぎざの表面97と結合されている場合、プルワイヤ92は、ギア111とともに方向117に移動し、遠位端アセンブリ77を、偏向位置に保持する。(区分118の)ぎざぎざの区分115が、ぎざぎざの表面97と結合されている場合、プルワイヤ92は、ギア111とともに方向119に動かされ、緩みが生じ得るが、そのためニチノールの内力が、遠位端アセンブリ77を真っ直ぐに、非偏向位置にする。ロッド120は、方向117及び119に向けられたギア111の動きのためのレールとして機能することに留意されたい。
【0080】
ここで、ENTツール28の近位端から見た、偏向機構99の斜視図を示す挿入図の
図91を参照する。上記の挿入
図87に記載されているように、ぎざぎざの表面112は、傾斜角度114によって示されているように、回転軸122に対して傾斜している。
【0081】
上記の挿入
図87に記載されているように、ロッド120、医療器具88、及びプルワイヤ92はすべて、ワイヤホルダ132のボアホールを通過する。挿入
図91に示されるように、ロッド120、医療器具88、及びプルワイヤ92は、パネル133を通って突出し、1本以上のプルワイヤ92は、ボアホール94を通って、パネル133の外側表面に連結されている。
【0082】
一部の実施形態では、ロッド120は、回転軸122に沿った、ワイヤホルダ132及びギア111の動きのためのレールとして機能する。これにより、医師24がノブ66を回転させると、ロッド120は、ワイヤホルダ132のパネル133がギア111とともに回転するのを防ぎつつ、それでもなお、上述のように、プルワイヤ92が、回転軸線122に沿って移動し、遠位端アセンブリ77の偏向を抑制できるように構成されている。
【0083】
偏向機構99の構成は、あくまでも例として示されており、ロッド120と、医療器具88と、及びプルワイヤ92とのインタフェースを組み込むことで、遠位端アセンブリの77の偏向を可能にする。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的な構成に決して限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、他のタイプの医療ツール及び/又はシステム、又は他のタイプの偏向デバイスに使用される他の種類の偏向機構にも同様に適用することができる。
【0084】
遠位端アセンブリを偏向させる際のプルワイヤのねじれ防止
図3Bは、本発明の一実施形態による、ワイヤホルダ132を絵で示した概略図である。一部の実施形態では、本明細書において連結要素とも呼ばれるワイヤホルダ132は、本明細書では、ロッド120を通過させるためのボアホール134を有する。
図3A及び
図3Bの例示的な構成では、ENTツール28は、2本のロッド120を備えることができ、したがって、ワイヤホルダ132は、2つのボアホール134を有する。他の実施形態では、ENTツール28は、任意の他の好適な数の1本以上のロッド120と、それぞれ対応する1つ以上のボアホール134とを有し得る。
【0085】
一部の実施形態では、ワイヤホルダ132は、医療器具88を通過させるための、作業チャネル(WC)62のような作業チャネルを画定する1つのボアホール136を有する。他の実施形態では、ワイヤホルダ132は、複数の医療器具88を、それぞれ通過させるための複数のボアホール136を備え得る。追加的又は代替的に、ボアホールは、サイズ、形状、又はそれらの任意の他のパラメータにおいて変化し得る、任意の好適な断面を有し得る。
【0086】
図3Aの挿入
図91で示されて説明されているように、ワイヤホルダ132は、ボアホール94(
図3Bには示されていない)を有し、ボアホール94を通してプルワイヤ92を通すものである。一部の実施形態では、ワイヤホルダ132は、プルワイヤ92の近位端に連結された前述の連結要素として機能することができ、その連結要素は、上述のように、回転軸122に沿って、ギア111によって動かされるように構成されている。既に説明された一部の実施形態では、ボアホールの134とそれぞれ対応するロッド120は、ギア111が回転軸122を中心として回転する場合に、連結要素(本例のワイヤホルダ132)の回転を防止するように構成されている。そのような実施形態では、ボアホール134及びそれぞれ対応するロッド120は、遠位端アセンブリ77が偏向させられる(及び真っ直ぐにされる)場合に、プルワイヤ92のねじれを引き起こすことを防止するように構成されている。
【0087】
ここで、
図2A及び
図2Bを参照する。リテーナ60がそれぞれ対応する開口部61に挿入される場合、プルワイヤ92は、回転機構89及び管52とともに一緒に回転し、したがって、互いに、又はENTツール28の他の任意の構成要素の周りでねじれないということに留意されたい。一部の実施形態では、リテーナ60がそれぞれ対応する開口部61に挿入される場合、医師24がノブ54を回転させると、(ボアホール134を通過する)ロッド120とパネル133とは、回転機構89とともに回転する。そのような実施形態では、医師24がノブ54を回転する場合、ワイヤホルダ132の構造体の全体が回転機構89とともに回転する。
【0088】
一部の実施形態では、医師24がノブ66を回転させて、遠位端アセンブリ77を偏向させる場合、ギア111は、回転軸122を中心として回転するが、ボアホール134とそれらにそれぞれ対応するロッド120は、ワイヤホルダ132の回転を防止して、前述のようなプルワイヤ92のねじれを防止するように構成されている。
【0089】
ここで、再び
図3Bを参照する。一部の実施形態では、ワイヤホルダ132は、典型的には円形である表面131を備え、その結果、医師24がノブ66を回転する場合、中空であるギア111の内面(図示せず)は、表面131の上に嵌合し、表面131を中心として回転するようになっている。
【0090】
一部の実施形態では、ワイヤホルダ132は、パネルの内面133である表面135を備え、かつ表面135は、ギア111に接触するように構成されている。そのような実施形態では、(上に示す
図3Aの挿入
図87に示されているように)ぎざぎざの区分113がぎざぎざの表面97に接触すると、ギア111は、方向117に移動し、表面135に力を加えてワイヤホルダ132を方向117に移動させ、遠位端アセンブリ77を偏向させることができる。医師24が、ギア111を制御して方向119へとこれを移動させると、ニチノール(商標)の内部の力が、プルワイヤ92を方向119に移動させるばねとして機能し、遠位端アセンブリ77を真っ直ぐにし、非偏向位置にする。
【0091】
ワイヤホルダ132の構成は、あくまでも例として提供され、概念を明確にするために簡略化され得る。他の実施形態では、ワイヤホルダ132は、追加のボアホールを備えてもよく、及び/又は
図3Bに示されるボアホールのうちのいくつかを組み合わせて1個のボアホールを形成させてもよい。
【0092】
図4は、本発明の一実施形態による、ENTツール28の製造方法を概略的に示すフローチャートである。この方法は、手持ち式装置を提供する工程200で始まり、ENTツール28の手持ち式装置30が提供される。偏向機構連結工程202では、ノブ66で制御される偏向機構99は、手持ち式装置30に連結される。上記
図3Aに記載されているように、偏向機構の99は、ギア111を備える。ギア111は、中空であり、回転軸122を中心として回転し、回転軸122に沿って移動する。
【0093】
ワイヤホルダ連結工程204では、ワイヤホルダ132がギア111に連結され、例えば、上記
図3Aの挿入
図87で説明されているように、ワイヤホルダ132を中空ギア111の開口部内に嵌め込む。一部の実施形態では、ワイヤホルダ132は、回転軸122に沿って動き、かつ回転軸122を中心とする回転を防止するための機構を有する。本例において、上記の
図3Bで説明されているように、ワイヤホルダ132は、そこを通してロッド120を通過させるためのボアホール134を有し、これにより、ワイヤホルダ132の動きを回転軸122に沿って動かすことができるようにする一方、回転軸122を中心とするワイヤホルダ132の回転を防止することができるようにする。一部の実施形態では、ENTツール28を製造するための方法は、ギア111の中空部分内にワイヤホルダ132を嵌め込み、ロッド120を、ボアホール134に挿入することを含む。
【0094】
回転機構連結工程206では、ノブ54によって制御される回転機構89は、手持ち式装置30に連結される。回転可能な中空管の連結工程208では、回転可能な中空管52が、回転機構89に連結される。一部の実施形態では、管52に連結されたハウジング53は、管52と回転機構89との間の連結のために使用されてもよい。そのような実施形態では、回転機構89は、1つ以上の突出部75を備え、それらの各々は、ハウジングの53の対応する開口部73に適合し、これにより、管52と(ハウジング53を使用して)回転機構89との間を連結するように構成されている。一部の実施形態では、管52内の中空区分52は、上記
図2Aに記載されているように、非円形断面を有する作業チャネル62を画定する。
【0095】
偏向可能な遠位端連結工程210では、遠位端アセンブリ77は、管52の遠位端に連結されている。電子デバイス嵌合工程212では、位置センサ55、及び1つ以上の電子デバイス56が、遠位端アセンブリ77に取り付けられる。電線連結工程214では、本例の電線の編組90における1本以上の電線が、作業チャネル62を通過して位置センサ55、及び1つ以上の電子デバイス56に連結される。処置中に、システム20のユーザ、例えば、医師24は、編組90の近位端をコンソール33に連結して、編組90の電線を介して、コンソール33と、位置センサ55と、電子デバイス56との間での電力及び電気信号の交換を可能にし得る。
【0096】
プルワイヤ連結工程216では、1本以上のプルワイヤ92が、遠位端アセンブリ77とワイヤホルダ132との間に連結される。このシステム20の例では、1本以上のプルワイヤ92は、上記
図3A及び
図3Bに記載されているように、ワイヤホルダ132のボアホール94を通過してパネル133の外面に連結されている。
【0097】
一部の実施形態では、プルワイヤ連結工程216をもって、
図4の方法が終了となる。他の実施形態では、工程202~216の順序は、
図4に示される順序とは異なり得る。例えば、(i)電線連結工程214は、電子デバイス嵌合工程212の前に行うことができ、又は(ii)電子デバイス嵌合工程212は、遠位端連結工程210の前に実行されてもよい。
【0098】
更に、
図4の方法工程は、概念を明確にするために簡略化されており、ENTツール28の完全な製造プロセスは、例えばこれらに限定されないが、ボアホール136と作業チャネル62との間の位置合わせなどの追加の工程を含み得る。この位置合わせを実行し、試験することができ、(i)医師24は、患者22の体内の関心のある腔内に、1つ以上の医療器具88を容易に挿入することができ、(ii)編組90をENTツール28内に配置し、その電線を、位置センサ55及び電子デバイス56に連結することができる。
【0099】
本明細書に記載されている実施形態は、主にENTツールに対処しているが、本明細書に記載されている方法及びシステムはまた、他の用途に使用することができる。
【0100】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれた文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0101】
〔実施の態様〕
(1) 医療ツールであって、
患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定する回転可能な中空管と、
前記回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、前記作業チャネルを通り抜ける1本以上の電線と、を備え、
前記作業チャネルが、前記医療器具と前記1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ、前記1本以上の電線の存在下で、前記作業チャネル内に位置する前記医療器具に対する前記回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する、医療ツール。
(2) 前記腔が、前記患者の頭部にある鼻腔を含み、前記医療器具が、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせ、からなるリストから選択される、実施態様1に記載の医療ツール。
(3) 回転機構を使用して、前記回転可能な中空管及び前記医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるように構成されている回転可能なノブを備える、実施態様1に記載の医療ツール。
(4) 前記回転可能なノブが、時計回り及び反時計回りの回転方向のうちの少なくとも1つで、0°~180°の間の回転角の範囲にわたって回転するように構成されている、実施態様3に記載の医療ツール。
(5) 前記遠位端に連結された第1の端部と、偏向機構に連結された第2の端部と、を各々が有する、1本以上のプルワイヤを備え、前記偏向機構が、前記1本以上のプルワイヤを引っ張ることによって、前記遠位端を偏向させるためのものであり、前記回転可能な中空管が、前記医療ツールの構成要素の周りでの前記1本以上のプルワイヤのねじれを防止するために、前記中空管と前記偏向機構との間を連結するように構成されているリテーナを備える、実施態様3に記載の医療ツール。
【0102】
(6) 前記1本以上の電線が、前記電線の編組を含む、実施態様1に記載の医療ツール。
(7) 医療ツールを製造するための方法であって、
患者の身体の腔内へと医療器具を挿入するため、中に作業チャネルを画定している回転可能な中空管を提供することと、
前記回転可能な中空管の遠位端に位置する1つ以上の電子デバイスと電気信号を交換するために、1本以上の電線を前記作業チャネルに通すことと、
を含み、
前記作業チャネルが、前記医療器具と前記1本以上の電線との両方を通過させるため、かつ前記1本以上の電線の存在下で、前記作業チャネルの内側に位置する前記医療器具に対する前記回転可能な中空管の回転を可能にするため、非円形の断面を有する、方法。
(8) 前記腔が、前記患者の頭部にある鼻腔を含み、前記作業チャネルが、(a)バルーン、(b)ガイドワイヤ、(c)ポンピングチューブ、(d)外科用ツール、(e)耳鼻咽喉診断ツール、(f)耳鼻咽喉治療ツール、及び(g)それらの任意の組み合わせからなるリストから選択される前記医療器具を挿入するためのものである、実施態様7に記載の方法。
(9) 回転機構を使用して、前記回転可能な中空管及び前記医療器具のうちの少なくとも1つを回転させるため、回転可能なノブを連結することを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記回転可能なノブを連結することが、時計回り及び反時計回りの回転方向のうちの少なくとも1つで、0°~180°の回転角の範囲にわたって回転するように前記回転可能なノブを連結することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0103】
(11) 1本以上のプルワイヤを連結し、その結果、各プルワイヤについて、前記遠位端に第1の端部を連結することと、前記1本以上のプルワイヤを引っ張ることによって、前記遠位端を偏向させるための偏向機構に、第2の端部を連結することと、を含み、前記回転可能な中空管が、前記医療ツールの構成要素の周りでの前記1本以上のプルワイヤのねじれを防止するために、前記中空管と前記偏向機構との間を連結するリテーナを備える、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記1本以上の電線を通過させることが、前記電線の編組を通過させることを含む、実施態様7に記載の方法。
【国際調査報告】