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特表2023-510183リードレスペースメーカーシステムのための構成可能な交換機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】リードレスペースメーカーシステムのための構成可能な交換機構
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/362 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61N1/362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540372
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021050605
(87)【国際公開番号】W WO2021144320
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/962,237
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20167078.3
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スウェエンソン、クルト
(72)【発明者】
【氏名】クレッチマー、ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】タフ、ブライアン、エム
(72)【発明者】
【氏名】ミューシング、ダーク
(72)【発明者】
【氏名】シュモリンスキー、クラウス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK05
4C053KK07
4C053KK10
(57)【要約】
本発明は、埋め込まれた医療装置(10;20)を埋め込み可能な医療交換装置(30)に交換するためのシステムおよび方法に関し、プログラミング装置(1)は、医療装置(10;20)にコマンド信号(S1)を送信して、医療装置(10;20)のアドレスを交換装置(30)のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更して、医療装置(10;20)および交換装置(30)の両方とプログラミング装置(1)の独立した通信を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれた医療装置(10;20)と、埋め込み可能な医療交換装置(30)と、プログラミング装置(1)を使用して前記埋め込まれた医療装置(10;20)を前記埋め込み可能な医療交換装置(30)に交換するための前記プログラミング装置(1)と、を含むシステムであって、前記プログラミング装置(1)は、前記医療装置(10;20)および前記交換装置(30)の両方との前記プログラミング装置(1)の独立した通信を可能にするために、コマンド信号(S1)を前記医療装置(10;20)に送信して、前記医療装置(10;20)のアドレスを前記交換装置(30)のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更するように構成される、システム。
【請求項2】
前記プログラミング装置(1)が通信プロトコルを制御し、前記通信プロトコルが、少なくとも前記医療装置(10;20)および前記交換装置(30)が応答することになる、それらの割り当てられたアドレスとは独立な、予め定義されたブロードキャストアドレスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プログラミング装置(1)が、前記交換装置(30)の前記アドレスを前記医療装置(10,20)の前記アドレスとは異なるアドレスに変更するためにコマンド信号(S1)を前記交換装置(30)に送信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記医療装置(10;20)が、患者の心臓(2)に埋め込み可能である第1の埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、前記交換装置(30)が第2の埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、前記交換ペースメーカー(30)が、前記交換ペースメーカー(30)が心臓事象を検出するように構成されるが、前記心臓(2)にペーシングパルスを印加することが防止されるアイドル状態で動作するように構成される、請求項1、2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プログラミング装置(1)が、コマンド信号(S2)を前記交換装置(30)に送信して、前記交換装置(30)をアイドル状態に構成するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プログラミング装置が、さらなるコマンド信号(S3)を前記交換装置(30)に送信するように構成され、前記さらなるコマンド信号(S3)が、前記交換装置(30)に所定数の心周期の間、前記患者の前記心臓(2)にペーシングパルスを印加させるように構成される、請求項5に記載のプログラミング装置。
【請求項7】
前記プログラミング装置(1)が、前記コマンド信号(S2)を送信した後に、前記埋め込まれた医療装置(10;20)の前記新しいアドレスにコマンド信号(S4)を送信するように構成される、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プログラミング装置(1)が、前記交換装置(30)を作動させるために前記医療交換装置(30)にコマンド信号(S6)を送信するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プログラミング装置(1)が、患者の心臓(2)の捕捉が前記交換装置(30)によって承認または確認された場合に、永久停止コマンド信号(S5)を前記埋め込まれた医療装置(10,20)の前記新しいアドレスに送信するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記埋め込まれた医療装置(10;20)が、前記医療装置(10;20)が前記システム(2)の唯一の埋め込み可能な医療装置(10;20)である、単一のインプラントシステムの一部を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記医療装置(10)が2インプラントシステムの一部を形成し、前記2インプラントシステムがさらなる医療装置(20)を含み、前記医療装置(10)がマスター装置を形成し、前記さらなる医療装置(20)がスレーブ装置を形成し、前記プログラミング装置(1)が、前記マスター装置(10)を介して前記スレーブ装置(20)にコマンド信号を送信するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記医療装置(20)が2インプラントシステムの一部を形成し、前記2インプラントシステムがさらなる医療装置(10)を含み、前記医療装置(20)がスレーブ装置(20)を形成し、前記さらなる医療装置(10)がマスター装置(10)を形成し、前記プログラミング装置(1)が、前記マスター装置(10)を介して前記スレーブ装置(20)に前記それぞれのコマンド信号(S1~S6)を送信するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のプログラミング装置。
【請求項13】
埋め込まれた医療装置(10;20)を埋め込み可能な医療交換装置(30)に交換するための方法であって、前記医療装置(10;20)および前記交換装置(30)の両方とのプログラミング装置(1)の独立した通信を可能にするために、前記医療装置(10;20)のアドレスを前記交換装置(30)のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更するように、前記プログラミング装置(1)を用いて前記埋め込まれた医療装置(10;20)にコマンド信号(S1)が送信され、前記交換装置(30)を起動して、前記交換装置(30)が患者の心臓(2)の心臓事象を検出するように構成されているが、前記心臓(2)にペーシングパルスを印加することが防止されている受動状態をとるように、前記プログラム装置(1)を用いて前記交換装置(30)に起動コマンド信号(S2)が送信され、前記受動状態をとるように前記交換装置(30)を起動させた後に、前記埋め込まれた交換装置(30)に所定数の心周期の間、前記心臓(2)にペーシングパルスを印加させるように、前記プログラミング装置(1)を用いて前記交換装置(30)にさらなるコマンド信号(S3)が送信され、所定数の心周期の間、前記埋め込まれた医療装置(10;20)のペーシングパルスの前記心臓(2)への印加を中断させるように、前記プログラミング装置(1)を用いて前記埋め込まれた医療装置(10;20)の前記新しいアドレスに中断コマンド信号(S4)が送信され、前記交換装置(30)によって印加された前記ペーシングパルスに関して、前記心臓(2)の捕捉が前記埋め込まれた交換装置(30)によって検出された場合に、前記医療装置(10;20)が停止されるように、前記プログラミング装置(1)を用いて前記医療装置(10;20)の前記新しいアドレスに停止コマンド信号(S5)が送信され、前記交換装置(30)を起動させて前記心臓(2)にペーシングパルスを印加し始めるように、前記プログラミング装置(1)を用いて前記埋め込まれた交換装置(30)に起動コマンド信号(S6)が送信される、方法。
【請求項14】
プログラミング装置(1)が、前記交換装置(30)の前記アドレスを前記医療装置(10,20)の前記アドレスとは異なるアドレスに変更するためにコマンド信号(S1)を前記交換装置(30)に送信する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラミング装置、医療システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードレス心臓ペースメーカーなどの心臓インプラントのERIが宣言されると(ここで、ERIは、選択的交換間隔、すなわち、インプラントのバッテリが消耗状態に近づいていることを表す)、心臓インプラントは直ちに交換されるべきである。
【0003】
特に、ペースメーカーに依存する患者では、既存の装置(例えば、埋め込み可能なリードレスペースメーカー)は、交換装置が作動するまで作動し続けなければならない。
【0004】
周知のリード付きペースメーカーでは、ペースメーカーが位置するポケットを開き、リードを既存のインプラントから新しいインプラントに迅速に移動させ、次いで古いインプラントを取り外した後にポケットを閉じることによって、交換が行われる。リードの心内膜端は不変のままであるので、新しいインプラントが古いインプラントと同じようにプログラムされた場合には、治療は中断することなく継続すべきであると仮定することができる。
【0005】
リードレスインプラントでは、一方のインプラントから他方のインプラントに移動するリードはない。新しいインプラントは、古い装置と競合しないように、不活性状態で心臓に埋め込まれる必要がある。変更されないリードとは異なり、新しいリードレスインプラントに関連する電極組織界面は、この時点では試験されておらず、治療を提供するには不十分であることが判明し得る。新しい電極配置の試験は、配置が不十分である場合に治療が最小限の時間中断されるように、古いインプラントと調整される必要がある。新しい配置がパスすると、新しいインプラントの起動と同期して古いインプラントを停止する必要がある。
【0006】
特に、欧州特許出願公開第3082953号は、電源の寿命末期状態を検出し、寿命末期状態の検出に応答して、停止要素に埋め込み可能な医療装置の動作回路を少なくとも部分的に無効にさせるように構成された電力マネージャを含む埋め込み可能な医療装置を開示している。
【0007】
さらに、米国特許出願公開第2012/0197332号は、第1の複数の電極に結合された第1の埋め込み可能な医療装置であって、第1の複数の電極を介して患者に治療用電気刺激を送達するように構成された第1の埋め込み可能な医療装置と、第2の複数の電極に結合された第2の医療装置であって、第2の複数の電極を介して患者に治療用電気刺激を送達して、第1の埋め込み可能な医療装置による治療用電気刺激の送達を抑制し、第2の埋め込み可能な医療装置によって送達される治療用電気刺激を所定のパターンに従って調整して、無効化コマンドを第1の埋め込み可能な医療装置に提供するように構成され、第1の埋め込み可能な医療装置が無効化コマンドの受信に応答して無効化される、第2の医療装置と、を含むシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3082953号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0197332号明細書
【発明の概要】
【0009】
上記に基づいて、本発明の目的は、埋め込み可能な医療装置、特に埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーの安全で系統的な交換を可能にするプログラミング装置、医療システム、および方法を提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有するシステムおよび請求項13の特徴を有する方法によって解決される。本発明のそれぞれの態様の好ましい実施形態は、対応する従属請求項に記載され、以下に記載される。
【0011】
請求項1によれば、埋め込まれた医療装置を埋め込み可能な医療交換装置に交換するためのプログラミング装置が開示され、プログラミング装置は、医療装置のアドレスを交換装置のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更して、医療装置と交換装置の両方とのプログラミング装置の独立した通信を可能にするために、埋め込まれた医療装置に無線方式でコマンド信号を送信するように構成される。特に、プログラミング装置は、ポータブル装置(例えば手持ち式装置)、例えば、スマートフォンまたは専用リモコンとすることができる。
【0012】
一実施形態によれば、プログラミング装置は、交換装置のアドレスを医療装置に関連するものとは異なるものに変更するためにコマンド信号を交換装置に逆に送信し、追加されたブロードキャストコマンドまたは一連のブロードキャストおよび装置固有のコマンドは、コマンド信号の中継を進めて、プログラミング装置によって(直接的または間接的に)アクセス可能なすべての医療装置(交換またはその他)からアドレス指定情報を取得することができる。
【0013】
特に、埋め込まれた医療装置は、特定のしきい値未満で放電されるバッテリを含み、したがって、患者への治療の適切な送達を確実にするために交換装置によって置換される必要がある。
【0014】
特に、プログラミング装置の一実施形態によれば、埋め込まれた医療装置のアドレスを構成することを可能にする通信プロトコルがプログラミング装置に実装される。特に、コマンド信号は、それぞれのコマンド信号がそれぞれの医療装置(すなわち、それぞれのアドレス)を明示的にターゲットとする場合にのみ、医療装置(またはシステムの交換装置もしくは他の医療装置)によって応答される。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態によれば、アドレスは、医療装置に格納された整数値である。メッセージを受信すると、医療装置は、格納された整数値を受信したメッセージのアドレスフィールド内の値と比較して、アドレスが分かっているかどうかを判定する。その結果、医療装置は、メッセージに応答するか否かを判定することができる。
【0016】
一実施形態では、このアドレスに対して一般的に使用されるアドレス値(工場によって配給され、慣例によって能動装置によって使用される)は、プログラミング装置に知られている。プログラミング装置は、通信セッション内の複数の医療装置がそれぞれセッション固有のアドレスを有することができるように、このアドレスを使用してそのアドレスを変更するように医療装置に通知するコマンドを送信することができる。この方式における能動インプラントは、その装置アドレスとして記憶された一般的に使用されるアドレスを用いてセッションを終了すべきである。
【0017】
好ましい実施形態では、プログラミング装置は、各装置の固有の工場割り当てアドレス(装置のシリアル番号であり得る)を見つけるために、その通信近接にある装置をポーリングする。プログラミング装置は、ブロードキャストアドレスを使用してすべての装置をポーリングし、タイムスロットまたはランダム遅延などの何らかの機構を使用して、各装置がそれらの固有の識別子をプログラミング装置に返すことを可能にする。次いで、プログラミング装置は、その固有の識別子に基づいて各医療装置をターゲットとするコマンドを使用して、各医療装置に固有のセッションアドレスを割り当てることができる。次いで、このセッションアドレスは、プログラミング装置が、メッセージが意図されている装置に関連付けられたセッションアドレスを識別するコマンドを送信することを可能にする。
【0018】
さらに、プログラミング装置の一実施形態によれば、プログラミング装置は、プログラミング装置に実装された通信プロトコルを含み、通信プロトコルは、少なくとも医療装置および交換装置が応答することになる、それらの割り当てられたアドレスとは独立な、予め定義されたブロードキャストアドレスを含む。特に、考慮されるシステム(例えば、埋め込まれた医療装置、交換装置、特にさらなる埋め込まれた医療装置)のすべての装置は、プログラミング装置によってブロードキャストアドレスに送信されたコマンド信号に応答する。
【0019】
特に、そのようなブロードキャストコマンドを使用して、複数の装置の一部で同時アクションをトリガすることができる。特に、埋め込まれた医療装置は、少なくとも1つのさらなる埋め込まれた医療装置を含む医療システムの一部を形成することができる。
【0020】
特に、医療装置およびさらなる医療装置はそれぞれ、埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーによって形成することができ、一方のペースメーカーは患者の心臓の心室に埋め込むことができ、他方のペースメーカーは心臓の心房に埋め込むことができる(下記参照)。特に、それぞれの埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーは、ペースメーカーのハウジングに配置されたペーシング電極を含む心臓ペースメーカーであると理解され、ハウジングは心臓壁(例えば、心房または心室内)に固定されるように構成される。特に、ハウジングは、リードレス心臓ペースメーカーの電池を囲む。したがって、特に、リードレス心臓ペースメーカーは、細長い電極リードを含まない。
【0021】
特に、それぞれのリードレス心臓ペースメーカーは、それぞれのリードレス心臓ペースメーカーが心臓事象を検出するように構成されるが、心臓にペーシングパルスを印加することが防止されるアイドル状態で動作するように構成することができる。
【0022】
さらに、一実施形態では、プログラミング装置は、起動コマンド信号を交換装置に送信して、前記アイドル状態をとるように交換装置を起動させるように構成される。特に、追加のコマンドを使用して、検出が適切に機能していることを確認することができる。追加のコマンドは、プログラミング装置によって送信することができる。一実施形態によれば、プログラミング装置は、交換装置をアイドル状態に構成するために交換装置にコマンド信号を送信するように構成される。
【0023】
さらに、プログラミング装置の一実施形態によれば、前記アイドル状態をとるように交換装置を起動させた後に、プログラミング装置は、1.)所定数の心周期(ペーシング捕捉試験ルーチンをサポートする)または、2.)能動通信リンク障害またはシステム構成可能なタイムアウトが発生するまで治療を送達する固定されたオン状態として、(交換装置の永続的なプログラミングを妨げる)のいずれかの間、埋め込まれた交換装置に患者の心臓に特定のレートのペーシングパルスを印加させるために、交換装置にさらなるコマンド信号を送信するように構成される。これらの構成の意図は、交換装置に関連する装置/患者の電気的相互作用を評価することであるが、そのような係合が安定して信頼できることが分かるまで、一時的な形態でのみ交換装置からの出力を安定させることである。そのような状態が知られるまで、交換装置からのペーシング出力の満了は、交換装置からの永続的な治療の投与を回避し、徐脈改善のための手段として(少なくとも治療形態で)置換されることを意図した装置からの出力に依存するフェイルセーフを提供する。
【0024】
さらに、一実施形態では、前記さらなるコマンド信号を交換装置に送信した後に、プログラミング装置は、交換されることを意図した装置(すなわち、新たに割り当てられたアドレスを有するもの)にコマンドを送信し、これにより、これをアウトオブザウェイ状態に効果的にプログラムする。このアウトオブザウェイ状態は、基本的なペーシング支援を提供するために低減された治療ペーシングレート度(エスケープリズム条件、すなわち40ppmとほとんど変わらない)を使用し、交換装置からのペーシング出力活動を検出したときに交換の対象となる装置からの出力を停止する抑制能力で増強される。能動的な通信中(例えば、プログラミング事象)、そうでない場合に行う明示的なコマンド入力(プログラム装置からの)の受信を除いて、(または任意の関連するシステムレベルのタイムアウトの満了前に)、交換の対象となるインプラントは、治療的な徐脈管理サポートを提供するために、このアウトオブザウェイ状態のままである。交換装置によって投与される一時的な出力と対になって、交換の対象となる装置は、単にバックアップとしてのみ患者の心臓が血液を圧送し続け、交換装置からの出力の存在下では出力を提供しない。前述のフェイルセーフ手法に対応して、交換の対象となる装置は、リンク障害または関連するシステムレベルのタイムアウトを受けてその恒久的なプログラム治療出力を回復させ、システムの復帰を実質的に害のない、汚染のない、最後の既知の良好な交換前サポート状態に強制する。
【0025】
信頼性のある実行可能なペーシング捕捉しきい値が交換装置について決定されると、システムは、交換装置からの永続的な治療出力の停止を容易にすると同時に、交換の対象となる装置の永続的な停止も調整する。そのような変更のための推奨シーケンスは、(臨床医がインプラントに治療を送信する前に意図された治療を調整する機会を有する場合)交換装置への恒久的なプログラム書き込みの使用に傾き、その後に、交換の対象となる装置へのその後の別個の恒久的なプログラム書き込みがそれを恒久的に停止させる(装置をそれ以上通信できなくする)。システムは、不可逆的なプロセスを表すため、この永続的な停止ステップの前に適切な臨床医の警告を提供する。上記で概説した手順の正味の結果は、交換装置からの永続的なプログラム治療出力と、新しい交換装置の治療出力に電気的に干渉する任意の意味のある手段から妨げられるように交換のために元々交換の対象である装置の「ブリッキング」と、をもたらす。(注:この説明では、実行可能な検出およびインピーダンス条件も優先され、交換装置について決定されていると仮定する。本発明の重要な利点を明確にするための意図的な手段として説明に明記されていない。)
【0026】
提案されるシステムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、コマンド信号を送信した後に、埋め込み可能な医療装置の新しいアドレスにコマンド信号を送信するように構成される。コマンド信号は、埋め込み可能な医療装置を、低下した治療ペーシングレートと、交換装置からのペーシング出力活動を検出したときに交換の対象となる装置からの出力を停止する抑制能力とを使用する状態に構成することができる。埋め込み可能な医療装置は、能動通信中(または任意の関連するシステムレベルのタイムアウトの満了前)に前記状態を維持し、そうでない場合(救済的な一時的徐脈管理支援の提供)に行う(プログラム装置からの)明示的なコマンド入力の受信を回避することができる。
【0027】
例えば、埋め込み可能な心臓ペースメーカーは、各心臓周期において、ペースメーカーがある期間にわたって固有の検出信号を監視するようにプログラムすることができる。感知が検出されない場合、ペースメーカーはペーシング刺激を適用する。古い埋め込み可能な装置が存在する場合、それは、新しい埋め込み可能な装置が検出するよりも長く(ペーシング刺激が適用される前に)感知を検出するのを待つようにプログラムされる。古い埋め込み可能な装置が感知を検出した場合には、ペーシングは抑制される。
【0028】
好ましくは、一実施形態によれば、治療は交換装置によって適用され、一方、治療は、能動通信中には前の埋め込み可能な装置では無効にされる。
【0029】
埋め込まれた医療装置は、交換の対象となる装置から交換装置への単一チャンバ治療システムの一部を形成することができ、最終的な結果は、交換前に単一の心腔が刺激され、その後同じ心腔が刺激されるが、単に交換装置を使用する。
【0030】
特に、プログラミング装置は、誘導結合テレメトリ経路を使用して交換の対象となる(単一インプラント)医療装置と通信するように構成される。さらに、医療装置は、コマンド信号(またはメッセージ)内の宛先アドレスを内部に格納されたアドレスと比較することによって、コマンド信号が指示されたときを検出するように構成され、プログラミング装置は、アドレスを新しいアドレスに変更するために医療装置によって解釈される前記コマンド信号を医療装置に送信するように構成される。特に、交換装置(例えば、埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカー)は、患者の心臓に埋め込まれる。特に、プログラミング装置は、宛先アドレスを使用して、宛先アドレスがどちらにアドレス指定されているかを区別して、両方のインプラントと通信するように構成される。交換装置(新しいインプラント)は、工場出荷時のアドレスを有する。
【0031】
特に、単一インプラントシステムでは、医療装置は、埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカー、例えば心室に埋め込み可能なVDDペースメーカーであり得る。これは、プログラミング装置によってプログラムすることができる。
【0032】
さらに、代替的な実施形態によれば、医療装置は、2インプラントデュアルチャンバ治療システムの一部を形成し、2インプラントシステムはさらなる医療装置を含み、医療装置はマスター装置を形成し、さらなる医療装置はスレーブ装置を形成し、プログラミング装置は、マスター装置を介してスレーブ装置にコマンド信号を送信するように構成される(例えば、マスター装置は、プログラミング装置からスレーブ装置へコマンド信号を渡すように構成される)。
【0033】
あるいは、医療装置は、2インプラントデュアルチャンバ治療システムの一部を形成することができ、2インプラントデュアルチャンバ治療システムはさらなる医療装置を含み、ここで、医療装置はスレーブ装置を形成し、さらなる医療装置はマスター装置を形成し、プログラミング装置は、マスター装置を介してスレーブ装置にそれぞれのコマンド信号を送信するように構成される(例えば、マスター装置は、プログラミング装置からスレーブ装置へコマンド信号を渡すように構成される)。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるプログラミング装置を含む医療システムが開示され、システムは、交換される埋め込み可能な医療装置および/または医療装置を交換するための埋め込み可能な医療交換装置をさらに含む。
【0035】
特に、システムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、プログラミング装置に実装された通信プロトコルを含み、通信プロトコルは、少なくとも医療装置および交換装置が応答することになる、それらの割り当てられたアドレスとは独立な、予め定義されたブロードキャストアドレスを含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、通信プロトコルは、少なくとも1つの他の装置と通信するように構成されたシステム内のすべての装置で実施される。
【0037】
特に、考慮されるシステム(例えば、埋め込まれた医療装置、交換装置、特にさらなる埋め込まれた医療装置、以下を参照されたい)のすべての装置は、プログラミング装置によってブロードキャストアドレスに送信されたコマンド信号に応答するように構成される。
【0038】
本システムの一実施形態によれば、医療装置は、患者の心臓に埋め込み可能である埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、交換装置も埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、交換装置は、心臓事象を検出するように構成されているが心臓にペーシングパルスを印加することが防止されているアイドル状態で動作するように構成されている。
【0039】
さらに、システムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、起動コマンド信号を交換装置に送信するように構成され、交換装置は、起動コマンド信号の受信時に前記アイドル状態をとるように起動されるように構成される。前述したように、追加のコマンドを使用して、検出が適切に機能していることを確認することができる。
【0040】
さらに、システムの一実施形態によれば、前記アイドル状態をとるために交換装置を作動させた後に、プログラミング装置は、交換装置にさらなるコマンド信号を送信するように構成され、埋め込まれた交換装置は、前記さらなるコマンド信号を受信したときに所定数の心周期の間、特定のレートのペーシングパルスを患者の心臓に印加するように構成される。
【0041】
さらに、システムの一実施形態によれば、前記さらなるコマンド信号を送信した後に、プログラミング装置は、埋め込まれた医療装置の新しいアドレスにコマンド信号を送信するように構成され、埋め込まれた医療装置は、前記中断コマンド信号を受信したときに所定数の心周期の間、交換装置のレートに対応するレートまたはそれ以上のレートで心臓活動を検出したときに、患者の心臓への埋め込まれた医療装置のペーシングパルスの印加を抑制するように構成される。
【0042】
提案するシステムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、ユーザが交換装置からの患者の心臓の実行可能な捕捉を承認および/または確認した場合に、埋め込まれた医療装置の新しいアドレスに永続的な停止コマンド信号を送信する。一実施形態では、恒久的な停止は、交換装置からの治療出力との電気的干渉を回避するために、もはや検出、通信、またはペース出力を提供しないように、埋め込まれた医療装置に影響を及ぼす。
【0043】
一実施形態によれば、プログラミング装置は、患者の心臓の捕捉が交換装置によって承認または確認された場合に、埋め込まれた医療装置の新しいアドレスに永続的な停止コマンド信号を送信するように構成される。
【0044】
さらに、システムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、交換装置によって印加されたペーシングパルスに関して患者の心臓の捕捉が埋め込まれた交換装置によって検出された場合に、埋め込まれた医療装置の新しいアドレスに停止コマンド信号を送信するように構成され、埋め込まれた医療装置は、特に能動通信が終了したときに、医療装置が前記停止コマンド信号を受信したときに停止されるように構成される。
【0045】
さらに、システムの一実施形態によれば、プログラミング装置は、特に能動通信が終了したときに、埋め込まれた交換装置に起動コマンド信号を送信するように構成され、交換装置は、前記起動コマンド信号を受信したときに起動されるように構成される。特に、いずれかの装置(すなわち、交換される医療装置または交換装置)が停止/起動コマンドを確認できない場合、プログラミング装置は、通信が終了する前にそれぞれのコマンド信号を再送信するように構成することができる。
【0046】
システムの一実施形態によれば、(埋め込まれた)医療装置(例えば、埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカー、上記も参照されたい)は、システムの唯一のインプラントを形成する。特に、システムの一実施形態では、プログラミング装置は、誘導結合テレメトリ経路を使用して(単一の)医療装置と通信するように構成される。さらに、医療装置は、コマンド信号(またはメッセージ)内の宛先アドレスを内部に格納されたアドレスと比較することによって、コマンド信号が指示されたときを検出するように構成され、プログラミング装置は、アドレスを新しいアドレスに変更するために医療装置によって解釈される前記コマンド信号を医療装置に送信するように構成される。
【0047】
さらに、システムの一実施形態によれば、システムは、さらなる埋め込み可能な医療装置を含む。好ましくは、医療装置の各々は、埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーである。特に、一実施形態では、システムは、右心房内のリードレスペースメーカーおよび右心室内のリードレスペースメーカーを含む。これらは一緒になって、DDIまたはDDDペースメーカーシステムを形成することができる。システムが2つ以上の埋め込み可能な医療装置を含む場合、プログラミング装置は、それらのうちの1つのマスター装置とのみ直接通信するように構成される。マスター装置は、それを構成するために、他の埋め込み可能な医療装置、スレーブ装置と通信するように構成される。好ましい実施形態では、プログラミング装置は、誘導通信を使用してマスター装置と通信する。
【0048】
さらに、一実施形態によれば、マスター装置およびスレーブ装置は、インピーダンスベースまたは超音波ベースの物理ネットワーク層などの独立した通信システムを使用して互いに通信するように構成される。特に、システムの一実施形態では、各医療装置は、超音波信号の形態のメッセージを生成するように構成された通信ユニットを含むことができる。これは、プログラミング装置のテレメトリヘッド(例えば、ワンド)が、マスター装置と通信するための最適な位置に配置されるだけでよく、両方の医療装置を同時に範囲内に移動させるのに必要な損なわれた位置には配置されないことを意味する。
【0049】
さらに、システムの一実施形態によれば、医療装置はマスター装置を形成し、別の医療装置はスレーブ装置を形成し、プログラミング装置は、マスター装置を介してスレーブ装置にコマンド信号を送信するように構成され、マスター装置は、プログラミング装置からスレーブ装置にコマンド信号を渡すように構成される。本実施形態では、マスター装置は交換装置に交換される。
【0050】
システムの代替的な実施形態によれば、スレーブ装置は交換装置によって交換されることになり、すなわち、医療装置はスレーブ装置を形成し、さらなる医療装置はマスター装置を形成し、プログラミング装置は、マスター装置を介してスレーブ装置にそれぞれのコマンド信号を送信するように構成され、マスター装置は、プログラミング装置からスレーブ装置にコマンド信号を渡すように構成される。
【0051】
さらに、本発明のさらに別の態様によれば、埋め込まれた医療装置を埋め込み可能な医療交換装置に交換するための方法が開示され、医療装置および交換装置の両方とのプログラミング装置の独立した通信を可能にするために、医療装置のアドレスを交換装置のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更するように、無線方式でプログラミング装置を用いて埋め込まれた医療装置にコマンド信号が送信され、交換装置が心臓事象を検出するように構成されているが心臓にペーシングパルスを印加することが防止されているアイドル状態をとるように交換装置を起動するために、起動コマンド信号がプログラミング装置によって交換装置に送信され、前記アイドル状態をとるように交換装置を起動した後に、1.)所定の数の心周期(ペーシング捕捉試験ルーチンをサポートする)または2.)能動通信リンク障害またはシステム構成可能なタイムアウトが発生するまで治療を提供する固定されたオン状態条件として(交換装置の永続的なプログラミングを妨げる)のいずれかの間に、埋め込まれた交換装置に患者の心臓にペーシングパルスを印加させるために、プログラミング装置によってさらなるコマンド信号が交換装置に送信され、一時的なアウトオブザウェイ状態で駆動するために、プログラミング装置によって埋め込まれた医療装置の新しいアドレスにコマンド信号が送信され、埋め込まれた医療装置は、交換装置に関連するペーシングパルスの検出によって抑制される低レートペーシング(またはより速い固有レート)を実行し、実行可能なペーシング捕捉しきい値が交換装置の埋め込み部位で実現されていることを臨床医が確認した場合に、臨床医が構成された永続的なプログラム治療支援の適用を開始するように交換装置を起動するために、起動コマンド信号がプログラミング装置によって埋め込まれた交換医療装置に送信され、永続的な停止コマンド信号がプログラミング装置によって医療装置の新しいアドレスに送信される。
【0052】
この方法の意図は、交換装置に関連する装置/患者の電気的相互作用を評価することであるが、そのような係合が安定して信頼できることが分かるまで、一時的な形態でのみ交換装置からの出力を安定させることである。そのような状態が知られるまで、交換装置からのペーシング出力の満了は、交換装置からの永続的な治療の投与を回避し、徐脈改善のための手段として(少なくとも治療形態で)置換されることを意図した装置からの出力に依存するフェイルセーフを提供する。交換装置埋め込み部位で堅牢な捕捉が確認されると、本方法は、交換装置から永続的な治療を停止し、元々交換の対象となる装置を永続的に無効にする。したがって、この方法は、実行可能なサポートのための手段を提供することが知られると、治療出力を交換装置に移行させ、その後に、新しい装置からの治療出力に電気的に干渉する可能性を排除する元々交換の対象となる装置を「ブリック」する。
【0053】
本方法の一実施形態によれば、医療装置は、患者の心臓に埋め込み可能である埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、交換装置も埋め込み可能なリードレス心臓ペースメーカーであり、交換装置は、心臓事象を検出するように構成されているが心臓にペーシングパルスを印加することが防止されているアイドル状態で動作するように構成されている。
【0054】
本方法のさらなる実施形態によれば、埋め込まれた医療装置は、本発明内で詳述されている概念を活用して治療を交換の対象となる装置から交換装置に移行させる際に、単一インプラント治療システムの一部を形成することができ、最終的な結果は、交換前に単一の心腔が刺激され、その後同じ心腔が刺激されるが、単に交換装置を使用する。好ましくは、インプラントは、患者、心室、心房、または潜在的に他の場所に存在してもよい。
【0055】
本発明の一態様によれば、埋め込まれた医療装置から埋め込み可能な医療交換装置への刺激機能の自動移送のためのシステムおよび方法が提案され、移送はプログラム装置で支援される。本発明は、埋め込まれた医療装置の交換装置への交換が必要な場合に関する。提案されたシステムおよび方法は、ペースメーカーに依存する患者に特に有用である。
【0056】
提案されるシステムおよび方法は、埋め込まれた医療装置および交換装置をプログラムすることを含み、刺激機能は、埋め込まれた医療装置から埋め込み可能な医療交換装置に自動的に切り替えられる。
【0057】
一例によれば、埋め込まれた医療装置および埋め込み可能な医療交換装置は、両方とも埋め込み可能なリードレスペースメーカー(以下では「埋め込まれたリードレスペースメーカー」および「交換リードレスペースメーカー」)である。
【0058】
古いリードレスペースメーカーを新しいものに交換する手順は、従来のリードを有するペースメーカーを交換する手順とは全く異なる。従来のペースメーカーの場合、心臓内リードは患者内に留まり、装置ハウジングのみが交換され、それによって古いリードは新しい装置ハウジングと再接続される。一旦リードレスペースメーカーが交換される必要があると、古い装置が患者の体内に留まっている間に、完全に新しいリードレスペースメーカーが埋め込まれる。特に、ペースメーカーに依存する患者の場合、治療機能が置換処置中に保証される必要がある。
【0059】
この問題に対する解決策は、埋め込まれた医療装置(「埋め込まれた装置」)および埋め込み可能な医療交換装置(「交換装置」)のためのプログラム装置に制御された適切なプログラミングシーケンスの形態で提案される。
【0060】
本発明の一実施形態は、交換装置の埋め込み後に、埋め込まれた装置が依然として能動的である間に、プログラム装置が埋め込まれた装置および交換装置に問い合わせるように開発される。交換装置は、最初に、患者に適した一時的な構成にプログラムされる。次いで、埋め込まれた装置のプログラミング構成は、移送手順において交換装置によって適合される。移送手順の場合、交換装置は、最初に組織へのオーバードライブペーシングを実行するようにトリガされ(例えば、交換装置の刺激レートは、埋め込まれた装置によって決定される基本レートよりも5~10bpm速い)、埋め込まれた装置は刺激を抑制するように切り替えられる。
【0061】
成功の場合、すなわち移送手順を実行した後に、交換装置は組織を効果的に刺激し、交換装置の一時的構成は恒久的に設定され、交換装置は基本間隔で刺激するように構成され、埋め込まれた装置の刺激はオフに切り替えられる。
【0062】
一実施形態によれば、刺激構成がプログラム装置によって行われる前の交換装置の埋め込みのために、交換装置は特別なモードに設定され、このモードでは装置は使用する準備ができているが、刺激機能および自動埋め込み検出は無効にされる。
【0063】
好ましくは、本発明の態様によれば、プログラム装置は、この手順で2つの有効なセッション鍵(埋め込まれた装置からの1つ、同時に交換装置からの1つ)を処理できなければならない。
【0064】
実施形態によれば、手順は以下の通りであり得る。
プログラム装置は、両方のインプラントに無中断シーケンスで連続的に問い合わせる。
1.埋め込まれた装置に対する問い合わせコマンド
a.交換装置が特殊モードでこのコマンドに応答しない
b.プログラム装置は、埋め込まれた装置から完全なプログラムを保存する
2.埋め込まれた装置によって無視される交換装置についての特別な問い合わせコマンドが続く。
【0065】
プログラム装置は、2つのインプラントへの通信接続を維持する。
【0066】
一実施形態によれば、埋め込まれた装置の刺激機能が抑制される場合には、プログラム装置は、埋め込まれた装置を一時的なプログラムに構成する。一時的なプログラムでは、埋め込まれた装置は、安全なペーシングが達成されるまで、基本間隔よりも5~10bpm速いレートで刺激ペースを適用する。短縮された間隔に対応する周波数は、交換装置がその後にプログラムされることを可能にする適切なオーバードライブペーシング間隔(ODSI)である。
【0067】
プログラム装置は、埋め込まれた装置が再び安全に抑制されるまでベースライン間隔を増分的に延長することによって、埋め込まれた装置のための一時的オーバードライブペーシングを終了する。
【0068】
埋め込まれた装置が抑制されない場合、ODSIが以下のように計算される。埋め込まれた装置のプログラムされた基本レート+10bpm。
【0069】
次いで、プログラム装置は、埋め込まれた装置のすべてのプログラムパラメータを使用して、交換装置内の(埋め込まれた装置に対する)R波同期一時プログラムを開始するが、以下の例外がある。基本レートは(埋め込まれた装置の基本間隔と比較して)ODSIだけ増加し、したがって安全なオーバードライブ刺激として機能する。
【0070】
これにより、埋め込まれた装置が(まだ内在していない場合)直ちに抑制され、交換装置が刺激を引き継ぐ。プログラム装置は、交換装置を介して自動しきい値試験を開始し、刺激しきい値を設定し、埋め込み検出を完了することができる。
【0071】
有効なしきい値が見つからない場合、プログラム装置は探索を繰り返す。しきい値テストが依然として失敗した場合、プログラム装置は、交換装置内の一時プログラムを終了し、交換装置を特殊モードに戻す。埋め込まれた装置は、刺激を再開されるか、または抑制される。
【0072】
対応するユーザメッセージが画面に表示され、オペレータに、例えば交換装置の再配置を促す。
【0073】
有効なしきい値が見つかった場合、プログラム装置は、最初はオーバードライブペーシングで、一時的なプログラムを交換装置への永続的なプログラムとして定義する。これにより、埋め込まれた装置は依然として抑制されたままである。
【0074】
その後(および、交換装置が恒久的なプログラムを確認した後にのみ)、埋め込まれた装置は、特別なコマンドを用いてプログラム装置によって恒久的に停止される。
【0075】
記載されたシステムおよび方法では、埋め込まれた装置の刺激構成を交換装置に伝達することができる。プログラム装置と交換装置および/または埋め込まれた装置との間の通信の中断は、交換装置内の一時的なプログラムの終了(特殊モードへの復帰)につながり、埋め込まれた装置は、基本周波数で再び調整または抑制される。
【0076】
プログラム装置から交換装置への別のコマンドシーケンスは、レートを基本レートに徐々に戻すことによって、交換装置におけるオーバードライブペーシングを停止する。次いで、交換装置は、基礎レートで刺激するか、または抑制される。
【0077】
すべてのプログラミングには、干渉に対して十分にロバストであるように適切な反復が提供される。
【0078】
本方法のさらなる代替実施形態によれば、医療装置は、2インプラントデュアルチャンバ治療システムの一部を形成し、2インプラントシステムはさらなる医療装置を含み、医療装置はスレーブ装置を形成し、さらなる医療装置はマスター装置を形成する。特に、それぞれのマスター装置は、プログラミング装置からスレーブ装置にそれぞれのコマンド信号を渡す。
【0079】
以下の実施形態では、本発明の特徴および利点を図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明によるプログラミング装置および医療システムの一実施形態の概略図であり、医療装置が単一インプラントシステム内の交換装置によって交換される。
図2】本発明のさらなる実施形態を示す図であり、2インプラントシステムのマスター装置が交換される。
図3】本発明のさらなる実施形態を示す図であり、2インプラントシステムのスレーブ装置が交換される。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、埋め込まれた医療装置10を埋め込み可能な医療交換装置30に交換するための本発明によるプログラミング装置1の実施形態を示しており、プログラミング装置1は、交換される医療装置10にコマンド信号S1を送信して、医療装置10のアドレスを交換装置30のアドレスとは異なる新しいアドレスに変更して、交換される医療装置10および交換装置30の両方とプログラミング装置1の独立した通信を可能にするように構成される。
【0082】
図1に示すように、本発明は、単一インプラントシステムを構成することができる医療装置10、例えば患者の心臓2の心室2bに埋め込まれたリードレスペースメーカー10を置き換えるために使用することができる。あるいは、図2および図3に示すように、本発明はまた、例えば、2インプラントシステムの2つの医療装置10、20のうちの一方を置き換えるために使用されてもよい。ここで、医療装置10,20の一方は、心室2bに埋め込まれたリードレスペースメーカー10とすることができ、他方の医療装置20は、心房2aに埋め込まれたリードレスペースメーカー20とすることができる。特に、心室2bに埋め込まれたペースメーカー10はマスター装置を構成し、他方のペースメーカー20はスレーブ装置を構成する。
【0083】
特に、一実施形態によれば、本発明は、構成可能な受信機アドレスを含む論理ベースの通信プロトコルおよびコマンドプロセッサを使用するという考えに基づく。特に、コマンド信号は、コマンド信号がその装置10、20、30を明示的にターゲットとする場合にのみ応答される。好ましくは、特定の心腔2a、2b用のすべてのインプラント10、20、30は、工場出荷時のデフォルトアドレスで配送され、変更されるまで自動的に使用される。(例えば、問題の装置10または20のバッテリ12、22の消耗時)交換されるべき装置10または20のアドレスを、新しいアドレスとして示される代替アドレスに変更するコマンド信号S1がサポートされる。交換装置30が埋め込まれる場合、消耗済装置10、20のアドレスは、最初に新しいアドレスに変更される。次いで、プログラミング装置1は、消耗済装置10または20および交換装置30の両方と独立して通信することができる。これにより、動作におけるその装置の役割をサポートするために、コマンド信号が装置10または20、30の各々に向けられることが可能になる。通信プロトコルは、すべての装置10、20、30が応答することになる1つまたは複数の予め定義された、それらの割り当てられたアドレスとは独立な、ブロードキャストアドレスを含む。そのようなブロードキャストコマンドを使用して、複数の装置の一部で同時アクションをトリガすることができる。
【0084】
一実施形態によれば、プログラミング装置1は、医療装置10、20に関連するものとは異なるものに交換装置のアドレスを変更するためにコマンド信号S1を交換装置30に逆に送信し、追加されたブロードキャストコマンドまたは一連のブロードキャストおよび装置固有のコマンド(S0、図のいずれにも明示的に示されていない)は、S1の中継を進めて、プログラミング装置1によって(直接的または間接的に)アクセス可能なすべての医療装置(交換またはその他)からアドレス指定情報を取得することができる。
【0085】
工場出荷時の新鮮な装置は、好ましくは常に停止モードで配送される。図1に示すように、交換装置30は、治療が中断されているが検出が能動的であるアイドル状態で、プログラミング装置1のコマンド信号S2によって最初に起動される。追加のコマンド信号を使用して、検出が適切に機能していることを確認することができる。次に、コマンド信号S4が埋め込まれた装置10に発行されて、それを低い基本レートで治療を送達し、心臓または交換装置からの検出された活動によって抑制される、アウトオブザウェイ状態に構成する。次に、コマンド信号S3が交換装置に発行され、所定数の心周期のペーシングを開始させる(キャプチャしきい値試験モード)か、または能動通信条件および/または関連するタイムアウトのいずれかに従って能動的なままであるオン状態のペーシング出力に切り替える。交換装置30がペーシングするときにキャプチャが検出された場合、臨床医は、プログラム装置を使用して交換装置の適切な恒久的なペーシング療法を構成し、続いて交換装置30に新しい設定でペーシングするように指示するコマンド信号S6を発行する。次いで、臨床医は、元々交換の対象となったインプラントを恒久的に停止させる機会を与えられ、そのためにコマンドS5を使用する。
【0086】
図1に関連して上述したように、本発明は、単一インプラントシステム(これは図1の心室に示されているが、他の可能な実施形態では心房に存在してもよい)の単一の医療装置10を置き換えるために使用することができる。あるいは、マスター装置10(図2および図3では心室に示されているが、他の可能な実施形態では心房または他の場所に存在してもよい)または提携スレーブ装置20(図2および図3では心房に配置されているが、他の可能な実施形態では心室または他の場所に存在してもよい)の交換は、図2および図3を参照して以下で説明する本発明を使用する2インプラントシステムで達成することができる。
【0087】
特に、図1に示す単一インプラントシステムは、単一の心腔2bにリードレスインプラント10、例えば心室2bに入るVDDインプラントを有する(これは、単一インプラントシステムを使用して実施されるデュアルチャンバ治療であることに留意されたい)。これは、外部プログラミング装置1によってプログラムされる。図2および図3に示すような典型的な2つのインプラントシステムは、右心房2a内のリードレスペースメーカー20および右心室2b内のリードレスペースメーカー(10)を有してもよい。これらは一緒になって、DDIまたはDDDペースメーカーシステムを構成することができる。システム2内に2つ以上のインプラント10、20がある場合、プログラミング装置1は、好ましくは、それらのうちの1つ、マスター装置10とのみ直接通信する。マスター10は、それを構成するために、他のインプラント20、すなわちスレーブ装置20と通信する。好ましい実施態様では、プログラミング装置1は、例えば誘導通信を使用してマスター10と通信し、マスターおよびスレーブ装置10、20は、インピーダンスベースまたは超音波ベースの物理ネットワーク層などの独立した通信システムを使用して互いに通信する。このために、両方の装置10、20は、対応する通信ユニット11、21を含んでもよい。これは、プログラミング装置1のテレメトリヘッド(ワンド)が、マスター10と通信するための最適な位置に配置されるだけでよく、両方のインプラント10、20を同時に範囲内に同時に持ってくるのに必要な損なわれた位置には配置されないことを意味する。
【0088】
図1に示すような単一インプラントシステムの場合、プログラミング装置1は、例えば誘導結合テレメトリ経路を使用して単一の医療装置10と通信する。医療装置10内のロジックは、メッセージ内の宛先アドレスをその内部に格納されたアドレスと比較することによって、メッセージ(例えば、コマンド信号)がいつ宛先に向けられたかを検出する。コマンド信号S1が送信され、これはインプラント10のハードウェアコマンドプロセッサによって解釈され、そのアドレスを新しいアドレスに変更する。図1に矢印で示すように、交換装置30は心臓2内に位置している。プログラミング装置1は、宛先アドレスを使用して両方の装置10、30と通信して、どちらをアドレス指定しているかを区別する。交換装置30は、工場出荷時のアドレスを有する。
【0089】
図2に示すような2インプラントシステムにおけるマスター装置10の交換については、単一インプラントシステムについて上述したのと同じ手順に従うことができる。プログラミング装置1からの通信を渡す目的のための特定の装置におけるマスターおよびスレーブ状態は、工場で予め構成され得るか、または装置10のセットアップの一部として構成可能であり得る。マスター10は、プログラミング装置1を交換アルゴリズムの大部分を含む装置にすることになる別の装置20にコマンドを渡す能力を単に表すことができ、またはマスター10は、そのコマンドプロセッサが処理方法を知っているコマンドに組み込まれた交換アルゴリズムの詳細を有することができる。スレーブ装置20は、誘導テレメトリシステムを用いていないため、処理の影響を受けない。
【0090】
図3に示すようなスレーブ装置20の交換の場合、プログラミング装置1は、誘導テレメトリシステムを使用してマスター装置10にコマンド(例えば、S1~S6)を送信して交換を開始する。マスター10は、心臓内コマンドを(例えば、インピーダンス、超音波、または他の非誘導物理層テレメトリシステム11、21を使用して)スレーブ20に送信させる誘導コマンドに応答することによって、プログラミング装置1とスレーブ装置20との間の中継装置として機能する。マスター10は、新しいアドレスに変更するように指示するコマンドS1をスレーブ装置20に送信する。新しいスレーブ(交換装置30)は、心房2a(矢印を参照)に埋め込まれ、プログラミング装置1のコマンド信号S2によってアイドル状態で起動される。これは工場出荷時のデフォルトアドレスを有する。インピーダンス、超音波、または他の非誘導物理層メッセージは、両方のスレーブ装置20、30によって受信されるが、各々は、そのアドレスと一致するコマンドに応答するだけである。古いスレーブ20は、プログラム装置1からマスター10へのS4送信を使用して是正バックアップペーシングのみを提供する一時的な「アウトオブザウェイ」状態に設定され、前記メッセージングをスレーブ20に中継する。新しい交換スレーブ30は、古いスレーブ30が30からのより高いレートの出力の存在によってペーシングを抑制されている間に、コマンド信号S3を新しいスレーブ20に(再びマスター10を通過させることによって)送信してそれをペースに合わせることによってテストされる。新しいスレーブ30が実行可能な組織係合およびペーシング捕捉状態を示す場合、新しいスレーブは、S6を使用して30から治療を送達する新しい永続的なプログラム状態に構成される(再び、マスター10を介してプログラム装置から渡される)。最後に、適切な臨床警告と連携して、古いスレーブ20は(マスター10を介してプログラミング装置からコマンド信号S5を受信することによって)恒久的に停止される。理想的には、30内の新しい恒久的なプログラムの管理および20の恒久的な停止は、円滑な調整されたプロセスとして行われる。
【0091】
特に、本発明は、複数の埋め込まれた装置からの情報を単一のGUIに組み合わせるプログラミングシステムを提供し、その結果、ユーザは、交換装置および交換の対象となる装置にわたってパラメータを調整して検討することができる。そのようなサポートは、2つの装置に関連するプログラムパラメータ設定を並べて表示して、違いを容易に強調し、移送を容易にし、ユーザ調整を可能にする形態をとることができ、臨床医に各装置との間で(GUIの外部の)設定を記憶または文書化して他方の適切な状態を確実にする必要がある各装置との間で近視眼的に順次通信することを強制する実施形態にとって非常に好ましい手法である。(注:そのようなユーザ制御構成は、プログラム装置が2つのインプラントに同時にメッセージングを送信することを強制されることを意味しない。同じ機構は、複数の相互作用する埋め込み可能な医療装置(IMD)を有する他のシステムに適用することができる。
【0092】
したがって、本発明は、新しい装置の起動および古い装置の停止の前に試験を伴う安全な交換手順を可能にする。特に、心臓内通信を介してスレーブ装置をプログラムするためにマスター装置を使用することにより、プログラム装置棒をマスター10とのみ通信するのに最良の場所に配置することができる。
【0093】
同時接続およびアドレス指定可能なコマンドにより、プログラミング装置1は、通信がシステム内の意図しない装置によって受信および作動されるのを防止する必要なく、複数の装置10、20、30の構成および動作を調整することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】