(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】網膜撮像システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61B3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540836
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 IL2021050021
(87)【国際公開番号】W WO2021140511
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521552246
【氏名又は名称】スプリング ヴィジョン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SPRING VISION LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ガムリエル,アヴィフ メイア
(72)【発明者】
【氏名】アロン,ノアム
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA06
4C316AA07
4C316AA09
4C316AA11
4C316AA21
4C316AB16
4C316FA06
4C316FA08
4C316FA14
4C316FA19
(57)【要約】
網膜撮像システムが提供される。このシステムは、焦点調節機構を有する眼底カメラと、ユーザの顔と眼を撮像し、眼底カメラの光軸とユーザの眼の目標位置におけるユーザの眼の視線との間の相対的な向きを示す撮像データを提供するように構成された撮像モジュールと、眼底カメラの焦点を網膜合わせることを可能にするために、光軸がユーザの眼の視線と実質的に一致するような動作位置に眼底カメラを配置するために、前記相対的な向きを示す撮像データを利用するように構成され且つ動作可能な位置決め及びアライメントシステムと、所定の登録位置に対するユーザの顔の位置をモニタリングし、対応する検出データを生成するように構成且つ動作可能な、1つまたは複数のセンサを含む検出システムと、検出データに応答するように構成され且つ動作可能であり、所定の登録位置に対するユーザの顔の位置が所定のリスク条件に対応することを識別すると、位置決めおよびアライメントシステムに制御信号を生成して眼底カメラの動きを停止させる安全コントローラと、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜撮像システムであって、
焦点調節機構を有する眼底カメラと、
ユーザの顔と眼を撮像し、ユーザの眼のターゲット位置での前記眼底カメラの光軸とユーザの眼の視線との間の相対的な方向を示す画像の日付を提供するように構成された撮像モジュールと、
前記光軸がユーザの眼の前記視線と実質的に一致するように前記眼底カメラを動作位置に配置して、前記眼底カメラの焦点を網膜に合わせられるようにするために、前記相対的な方向を示す画像データを利用するように構成され且つ動作可能な位置決め及びアライメントシステムと、
所定の登録位置に対するユーザの顔の位置をモニタリングし、対応する検出データを生成するように構成され且つ動作可能な1または複数のセンサを含む検出システムと、
前記検出データに応答するように構成され且つ動作可能な安全コントローラであって、前記所定の登録位置に対するユーザの顔の位置が所定のリスク状態に対応することを識別すると、前記眼底カメラの動きを停止するための前記位置決め及びアライメントシステムへの制御信号を生成する、安全コントローラと、
を含むことを特徴とする網膜撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記画像データおよび前記検出データに応答して、前記位置決め及びアライメントシステムに対して位置決め及びアライメントデータを生成し、前記眼底カメラの制御可能な動きを実行して前記眼底カメラを動作位置にするように構成され且つ動作可能な位置コントローラと、
前記検出データおよび前記安全コントローラからの前記制御信号に応答して、前記位置決め及びアライメントシステムを動作させて、前記眼底カメラの動きを停止するように構成され且つおよび動作可能な移動コントローラと、
を含む制御システムを含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記安全コントローラは、ユーザの顔と前記眼底カメラとの間の距離を示す前記検出システムの1つまたは複数のセンサからの検出データを分析して、前記リスク状態に対応する前記距離の変化を識別したときに前記制御信号の生成を可能にするように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記距離のデータを提供する前記1つまたは複数のセンサは、少なくとも1つの超音波センサを備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記位置決め及びアライメントシステムが、
ユーザの瞳孔との垂直方向のアライメントに対応する前記光軸の垂直方向のアライメントされた位置に前記眼底カメラを移動させるためのアライメントデータに従って動作可能な第1の駆動機構と、
前記光軸と視線との実質的な一致に対応する前記光軸の横方向のアライメントされた位置に前記眼底カメラを移動させるためのアライメントデータに従って動作可能な第2の駆動機構と、
前記検出データと前記眼底カメラの焦点データに従って動作可能な第3の駆動機構であって、前記眼底カメラを前記光軸に沿って移動させて、前記合焦機構の焦点面をユーザの眼の網膜に配置するための第3の駆動機構と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、さらに、
前記位置決め及びアライメントシステムは、さらに、少なくとも1つの軸に対して前記眼底カメラを回転させるための回転機構をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
ユーザの顔の位置を登録するための登録アセンブリを備え、前記登録アセンブリは、撮像中に登録された位置にユーザの顔を固定するためのフェイスクレードルを備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記検出システムは、前記フェイスクレードルへのユーザの顔の接触の程度をモニタリングするために、前記フェイスクレードルに1または複数のセンサを備えることを特徴とするシステム。。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記フェイスクレードルの前記1または複数のセンサが、少なくとも1つの圧力センサ、または少なくとも1つのIRセンサのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記フェイスクレードルの前記1または複数のセンサが、前記フェイスクレードルとの少なくとも3つの接触点のそれぞれの接触の程度をモニタリングするために、3つの離間した位置に配置された少なくとも3つの検出要素を含む少なくとも1つの圧力センサを含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記ターゲット位置は、ユーザに露出された少なくとも1つの所定の固定ターゲットに対するユーザの眼の視線の所定の向きに対応することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記ターゲット位置は、前記眼底カメラによって提示される所定のターゲットとユーザの眼の視線との交点に対応することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
さらに、前記システムの自己較正を実行するように構成され且つ動作可能である較正機構を備え、前記較正機構は、
少なくとも1つの撮像装置と、
前記少なくとも1つの撮像装置の視野内に配置された1または複数の較正ターゲットと、
前記少なくとも1つの撮像装置からの撮像データを受信して分析し、関心領域に対する前記眼底カメラの光学ヘッドの相対位置を決定するように構成され且つ動作可能な較正コントローラと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの較正ターゲットは、二次元要素、カラーパターン、およびQRコード(登録商標)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記撮像モジュールが少なくとも1つの撮像装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの撮像装置が、3D撮像装置として構成されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のシステムにおいて、
前記撮像モジュールが、交差する視野を有する2つの撮像装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
位置および固定ターゲットの指示をユーザに提供するように構成され且つ動作可能であるユーザインタフェースユーティリティを備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記位置および固定ターゲットの指示は、それぞれ、ユーザの顔の位置および眼の視線の方向の登録に対応することを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のシステムにおいて、
前記位置および固視ターゲットの指示は、音声指示および視覚指示のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項7~20のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記撮像モジュールは、さらに、ユーザの1つまたは複数のパラメータを示す撮像データを提供するようにさらに構成され且つ動作可能であり、
前記システムは、さらに、ユーザの1つまたは複数のパラメータを示す撮像データに対して構成および動作可能であり、前記クレードルの移動機構に動作データを生成して、前記ユーザの1つまたは複数のパラメータに基づいて、前記眼底カメラに対する前記フェイスクレードルの位置を自動的に調整するフェイスクレードル位置コントローラを備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項7~21のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記登録アセンブリは、前記眼底カメラに対するユーザの顔の位置を登録するように構成され且つ動作可能であり、前記登録アセンブリは、撮像時に登録位置でユーザの顔を支えるための、フェイスサポート面を規定する前記フェイスクレードルを担持するサポートプラットフォームを備え、前記フェイスサポート面は、ユーザの眼が前記眼底カメラに向かって全体的に前方および下方に見えるように、垂直面に対して傾斜していることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、
前記眼底カメラおよび前記フェイスクレードルが前記サポートプラットフォームに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項22または23に記載のシステムであって、前記フェイスクレードルは、前記フェイスサポート面から突出するフェイス接触フレームを備えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記フェイス接触フレームは、弾性および可撓性の材料組成物から作られることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項24または25に記載のシステムにおいて、前記フェイス接触フレームは、前記フェイスクレードルに取り外し可能に取り付け可能であり、前記フェイス接触フレームを使い捨て可能または交換可能にすることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項1~26のいずれかに記載のシステムにおいて、さらに、前記眼底カメラによる撮像中にユーザの顔が位置する関心領域内に照射を提供するように構成され且つ動作可能な照射システムを備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記照射システムは、拡散(ソフト)光を生成するように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記照射システムは、IR照射を生成するように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のシステムにおいて、位置およびアライメントデータならびに距離データに応答して、前記位置およびアライメントデータならびに距離データが動作条件を満たすことが特定されると、前記眼底カメラへのトリガ信号を生成するように構成され且つ動作可能なトリガユーティリティを備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記撮像モジュールは、IR照射を使用してユーザの眼を撮像して瞳孔を検出するように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記眼底カメラからの網膜の撮像データに応答して、網膜の状態および患者の健康状態を示すデータを生成するように構成され且つ動作可能なデータプロセッサを備えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、前記データプロセッサは、前記網膜の撮像データにAIおよび深層学習処理を適用するように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項32または33に記載のシステムにおいて、リモートステーションと通信して、前記網膜の撮像データを示すデータを前記リモートステーションに送信するように構成され且つ動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項35】
フェイスクレードルと眼底カメラとを備える網膜撮像システムであって、
前記眼底カメラは、その光軸が水平面に対して傾斜するように構成されており、
前記フェイスクレードルは、ユーザの眼は前記眼底カメラの視野に向かって前方および下方を向き、ユーザの顔を自由に置かれた状態で支持するための傾斜したフェイスサポート面を規定することを特徴とするシステム。
【請求項36】
前記フェイスクレードルが、前記フェイスサポート面から突出するフェイスコンタクトフレームを備えることを特徴とする請求項35に記載のサポートプラットフォーム。
【請求項37】
前記フェイスコンタクトフレームは、弾性および可撓性の材料組成物から作られることを特徴とする請求項36に記載のサポートプラットフォーム。
【請求項38】
前記フェイスコンタクトフレームは、前記フェイスクレードルに取り外し可能に取り付け可能であり、前記フェイスコンタクトフレームを使い捨てまたは交換可能にすることを特徴とする請求項35または36に記載のサポートプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用途の分野にあり、網膜撮像システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
網膜イメージングシステムは、通常、眼底カメラを利用し、眼底カメラは、瞳孔を通して眼の後部を撮像し、通常、共通の光路を持つ照射および撮像光学系を使用する。撮像処理間、眼底カメラは、場合によっては技術者または医師であるオペレータ(専門家)によって操作される。オペレータは、眼底カメラを患者の瞳孔に適切に位置合わせして焦点を合わせる必要がある。この目的のために、患者の頭は眼底カメラのあご台とヘッドレストで安定した状態に保たれ、オペレータは最初に「眼球の視野」を評価し、次にカメラを左右に動かして、瞳孔の幅と特定の角膜およびレンズの焦点合わせの特性を確認する。オペレータは、カメラのレンズを通して眼を検査し、カメラを前後に動かし、眼底の詳細(網膜血管など)を探してから、網膜の画像を取得するための一つの最適な位置を決定する。カメラの光軸に沿った瞳孔と眼底カメラの間の距離である作動距離も適切に調整する必要がある。眼に近づきすぎると、表示画面の端に明るい三日月形の光反射が現れたり、中央に明るいスポットが現れ、カメラが遠すぎると、ぼやけた、コントラストの低い画像になる。
【0003】
カメラの位置調整の手順は時間がかかり、熟練したオペレータの関与が必要であり、また、眼底カメラのあご台およびヘッドレストで頭を安定させたまま患者の忍耐力が必要である。
【0004】
眼底カメラの半自動または自動アライメント/位置決めおよび/または眼底カメラの自動焦点調整のために様々な技術が開発されており、例えば、特開2010-35728、米国特許出願公開2008089480号明細書、中国特許出願公開110215186号明細書といった特許刊行物に記載されている。
【発明の概要】
【0005】
効率的な網膜の撮像を実行するために自動アライメント、位置決め、および焦点合わせを安全制御機能と組み合わせた、自己操作または少なくとも半自律撮像システムの使用を可能にする専門的な網膜の撮像における新しいアプローチが当技術分野で必要である。また、このようなシステムは、好ましくは自己較正用に構成されるべきである。
【0006】
このような自己操作型で完全または部分的に自律的な網膜の撮像システムは、通常は注意深い多くの人々の眼のチェックに特に役立つ。このシステムは、ほぼ自動的に眼の検査の結果を提供する。これらの結果(撮像データ)は、処理への人間(医師)の関与を減らすために、AIとディープラーニングの方法論を使用してさらに処理/分析できる。このような自律システムは、大量の集団をスクリーニングすることを目的としており、画像データの自動処理を可能にして、様々な網膜および全身性疾患を持つ人々を識別することに留意されたい。
【0007】
上記のように、網膜撮像システムは、典型的には、少なくとも垂直軸および2つの水平軸に沿って移動可能なカメラ支持アセンブリに取り付けられた眼底カメラを含む。以下でさらに説明するように、システムは、1つまたは複数の軸の周りの眼底カメラ(または少なくともその中の光学系)の回転を利用することができる。また、眼底カメラモジュールは通常、フェイスクレードルユニットを含む。指定された種類の従来のシステムでは、眼底カメラサポートおよびフェイスクレードルユニットが取り付けられるサポート面は水平面であり、フェイスクレードルユニットは、撮像セッションの間に患者の頭を安定に保つためのあご台およびヘッドレスト要素を含む。
【0008】
本発明者らは、そのような従来の構成は、患者/ユーザが網膜撮像中に顔を適切に配置し、それを目標位置(固定位置)に維持するのにあまり快適ではなく、さらに、このような構成は、自律型または半自律型システムの実装には実際には適していないことを発見した。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、眼底カメラアセンブリは、眼底カメラの光軸(視野の中心軸)が水平面に対して傾斜し、フェイスクレードルの顔面支持面が適切に傾斜する(例えば、眼底カメラの光軸に対して略垂直である)ように構成され、眼底カメラの視野に向かってユーザの眼がほぼ前方および下方を向いた状態で、ユーザがフェイスクレードルの顔面支持面に自由に置くように(あご当て要素を避けて)自分の顔を配置できるようにする。
【0009】
本発明はまた、好ましくは、顔面支持面から突出するフェイスコンタクトフレームの使用を提供し、それによりフェイスコンタクトフレームを適切に弾性および可撓性の材料組成物(例えば、ゴム、シリコーンなど)から作ることができ、ユーザにとって処置全体をより快適にする。フェイスコンタクトフレームは(伸縮性/柔軟性があるかどうかに関係なく)、フェイスクレードルに取り外し可能に実装/取り付け可能であり、これにより使い捨てまたは交換可能で、簡単に消毒できる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、眼底カメラに対するフェイスクレードルユニットの位置を自動的に調整することを提供する。このような調整は、特定のユーザ/患者に合わせて手順を調整するために必要になる。典型的な例は、身長の異なるユーザがフェイスクレードルの位置を調整する必要がある場合である。
【0011】
この目的のために、システムはフェイスクレードルユニット位置コントローラを含み、フェイスクレードルユニットは、例えば、ユーザの身長などの推定されるユーザデータに基づいてフェイスクレードルの位置を自動的に調整するために、コントローラによって提供されるデータ動作データによって制御可能に動作可能な位置決め機構(移動機構)と関連付けられている/位置決め機構(移動機構)が備わっている。
【0012】
より具体的には、フェイスクレードル位置コントローラは、画像内のユーザの顔を検出し、それぞれのパラメータ/条件の標準的な平均期待値(例えば、身長)と比較して、1つまたは複数のユーザのパラメータ/条件(例えば、身長)を推定するために、撮像モジュールによって取得された関心領域を含むシーンの撮像データを分析し、フェイスクレードルユニットの移動機構に対する位置調整データを(必要に応じて)生成するように構成され且つ動作可能となっている。後者の場合はこのデータを利用して、フェイスクレードルの位置、すなわちカメラの視野に対する高さを自動的に調整する。
【0013】
(例えば、フェイスクレードルに自由に置かれ、いわゆる「固視標」を見ている)顔が登録された位置にある間、様々な機械部品、または少なくとも眼底カメラ自体が、ユーザの顔に対して自動的に動く自己操作可能な網膜撮像システムの場合、システムの高度な安全機能と高度な自己較正機能を提供することが重要であることに留意されたい。したがって、本発明によれば、網膜撮像システムは、ユーザの眼のターゲット位置、すなわち、眼底カメラをユーザの視線とのアライメント位置に持ってくることを可能にする固定位置または登録位置でのユーザの眼の視線(LOS)の登録を可能にする撮像データを生成するように構成され且つ動作可能な撮像モジュールと、専用クレードル内のユーザの顔の位置をモニタリングし(場合によっては、フェイスコンタクトフレームに対する所定の登録位置に関しても)、眼底カメラとユーザの顔の間の距離もモニタリングするように構成され且つ動作可能な検出システムとを含む。検出システムは、検出データに応答して、ユーザの顔と眼底カメラの間の相対位置の安全度をモニタリングする安全コントローラに関連付けられている(接続されている)。
【0014】
撮像モジュールによって生成された撮像データと検出システムによって生成された検出データ、および安全コントローラによって提供された検出データ分析は、適切に使用されて、眼底カメラの位置決めおよびアライメントシステムを操作し、眼底カメラの光軸がユーザの眼の視線と実質的に一致し、ユーザの顔までの作動距離が維持されるように、眼底カメラを動作位置に持ってきて維持する。データ分析結果が、光軸のアライメントおよび/または作動距離条件が違反しているように見えることを示している場合(それらのいずれかが所定の要件を満たさない場合)、システムは、網膜撮像処理を停止し、システム内での動きを回避するように動作する。
【0015】
自己較正の要件に関して、自己較正は、検出システムからの検出データの読み取りを必要とするプロセスであり、このような検出データは、距離、モータのステップサイズから直線寸法(例えばミリメートル)への変換、ピクセルからミリメートルへの変換などの物理的尺度に関連することに留意されたい。本発明の自己操作可能なシステムには可動部分があるので、しばらくすると位置決め誤差が増大するのを避けるために、自己較正がより重要になる。
【0016】
ユーザの眼のターゲット位置を達成するために、撮像システムは、ユーザの顔が顔面クレードルに適切に配置されているときにユーザにさらされる、特別に設計された固視ターゲット(画像、パターンなど)を含む。実際には、システムはユーザに指示(聴覚的および/または視覚的指示)を提供する。本発明の自律的または半自律的システムは、通常注意深い人々による使用に適していることに留意されたい。
【0017】
撮像モジュールは、たとえば、IR照射を使用して眼の瞳孔を検出し、ユーザの顔、眼、および虹彩の画像を取得し、眼底カメラの光軸に対する(ユーザの眼のターゲット位置にある間の)ユーザの眼の視線の相対的な向きを示す対応する画像データを生成し、眼底カメラの光軸がユーザの眼の視線と実質的に一致する整列位置に眼底カメラを移動できるようにする。
【0018】
瞳孔の検出は、通常、ビデオベースのアイトラッカーによって実行される。カメラは片方または両方の眼に焦点を合わせ、カメラを視る者がある種の刺激を見たときの眼の動きを記録する。既知のアイトラッカーのいくつかは、瞳孔の中心の検出を利用し、赤外線/近赤外線の非コリメート光を利用して角膜反射を作成し、瞳孔中心と角膜反射の間のベクトルを使用して、表面または視線方向の基準点を決定できるようにする。この目的のために、通常、アイトラッカーを使用する前に、ユーザの簡単な較正手順が必要となる。赤外線/近赤外線照明に基づく適切な視線追跡技術は、明瞳孔および暗瞳孔技術として知られる技術であり、光誘導光学系に対する照明源の位置が互いに異なり、照明源が光路と同軸であるため、眼は逆反射体として機能し、明るい瞳孔効果(赤眼と同様)を生み出し、また、光源が光路からずれているため、瞳孔は暗く見える。明るい瞳孔追跡により、虹彩/瞳孔のコントラストが大きくなり、すべての虹彩の色素沈着でより堅牢な視線追跡が可能になり、まつげやその他の不明瞭な機能によって引き起こされる干渉が大幅に減少し、また、完全な暗闇から非常に明るい照明条件での追跡も可能である。視線追跡技術は一般に知られており、本発明のシステムは既知の適切な視線追跡技術のいずれかを利用することができるが、これは本発明の一部を形成するものではなく、したがって、これ以上詳細に説明する必要はない。
【0019】
したがって、本発明の1つの広い態様によれば、自己操作可能な網膜撮像システムが提供され、この網膜撮像システムは、
合焦機構を有する眼底カメラと、
ユーザの顔と眼を撮像し、ユーザの眼のターゲット位置での前記眼底カメラの光軸とユーザの眼の視線との間の相対的な方向を示す画像の日付を提供するように構成された撮像モジュールと、
前記光軸がユーザの眼の前記視線と実質的に一致するように前記眼底カメラを動作位置に配置して、前記眼底カメラの焦点を網膜に合わせられるようにするために、前記相対的な方向を示す画像データを利用するように構成され且つ動作可能な位置決め及びアライメントシステムと、
所定の登録位置に対するユーザの顔の位置をモニタリングし、対応する検出データを生成するように構成され且つ動作可能な1または複数のセンサを含む検出システムと、
前記検出データに応答するように構成され且つ動作可能な安全コントローラであって、前記所定の登録位置に対するユーザの顔の位置が所定のリスク状態に対応することを識別すると、前記眼底カメラの動きを停止するための前記位置決め及びアライメントシステムへの制御信号を生成する、安全コントローラと、
を含む。
【0020】
ユーザの眼は、ユーザに露出された少なくとも1つの所定のターゲットに対するユーザの眼の視線の所定の向きに対応する固視ターゲット位置にもたらされることに留意されたい。特に、そのようなターゲット位置は、眼底カメラによって提示された所定のターゲット(例えば、パターン)とユーザの眼の視線との交差箇所に対応する。
【0021】
システムは、システムの自己較正を実行するように構成され、動作可能な較正機構を含む。自己較正は、眼底カメラの光学ヘッドとユーザの眼との間の相対的調節を検出し、光学ヘッドが移動する距離(通常はミリメートルスケール)とそのような移動の方向を決定することを目的としている。この目的のために、2次元要素および/またはカラーパターンおよび/またはQRコードなどの内部システムターゲットである較正ターゲットが使用され、関心領域の近くでシーンの分析に使用される。
【0022】
このように、システムは、(ユーザの網膜の別の部分をキャプチャするため)ユーザが特定の方向を注視する視線方向を変更する(要求された位置に眼を動かす)ために、ユーザに提示される固定ターゲットを利用する。このシステムは、シーン分析、すなわち、光学ヘッドの位置をユーザの眼の位置に対して調整するかどうか、および調整する方法を決定するために、異なるタイプの較正ターゲットをさらに使用することができる。
【0023】
このような自己較正は、定期的に、または各検査段階の前に、しばらくすると発生する可能性のある位置決め誤差の増加を回避するために必要になる場合があることに留意されたい。較正コントローラは、距離、モータのステップサイズから直線寸法(例えば、ミリメートル)への変換、ピクセルからミリメートルへの変換など、物理的尺度を示す検出データを受け取り、分析し、眼底カメラの適切な位置決めのためにこの変更を考慮するために、目標位置が公称位置から変更されたかどうかを識別する。このような自己較正は、可動部品を使用する自己操作可能なシステムではより重要となっている。
【0024】
例えば、本システムは、共通するまたは異なるターゲットを使用して実装され得る、異なる目的を目的とした2つのターゲティング段階を利用する。最初のターゲティング段階は、画像処理によるシステムの自己較正を目的としており、2番目のターゲティング段階は、さまざまな網膜エリア/領域をキャプチャできるようにするために、ユーザの眼を追跡することを目的としている。
【0025】
自己較正は、画像処理によって実行され、例えば、較正要素として機能するターゲットまたは物理的要素を使用して実施することができる。このような要素には、QRコード、カラーパターン、物理的な2Dまたは3D形状等のうちの、1つまたは複数が含まれる。較正要素は、システム内のフェイスクレードルの横または眼底カメラ上、またはリア(arear)パネル上またはシステムパッケージ内の任意の場所に配置される。
【0026】
一般的に言えば、(眼底カメラによる)撮像セッション中に、ユーザは、異なる網膜領域をキャプチャするために、眼底カメラによって提示された小さなターゲットを見るように求められたり、指示されたりする。ターゲットを追跡する自然な眼球運動により、目的の網膜領域への視線が可能になる。
【0027】
網膜撮像システムは、特に、画像データおよび検出データに応答して、位置決め及びアライメントシステムに対して位置決め及びアライメントデータを生成し、眼底カメラの制御可能な動きを実行して眼底カメラを動作位置にするように構成され且つ動作可能な位置コントローラと、検出データおよび安全コントローラからの制御信号に応答して、位置決め及びアライメントシステムを動作させて、前記カメラの動きを停止するように構成され且つおよび動作可能な移動コントローラとを含む制御システムに関連付けられる(すなわち、含む、または接続可能である)。
【0028】
安全コントローラは、ユーザの顔と眼底カメラとの間の距離を示す検出システムの1つまたは複数のセンサからの検出データを分析して、リスク状態に対応する距離の変化を識別したときに制御信号の生成を可能にするように構成され且つ動作可能である。好ましくは、距離のデータを提供するこのような1つまたは複数のセンサは、少なくとも1つの超音波センサを備える。
【0029】
位置決め及びアライメントシステムは、ユーザの瞳孔との垂直方向のアライメントに対応する光軸の垂直方向のアライメントされた位置に眼底カメラを移動させるためのアライメントデータに従って動作可能な第1の駆動機構と、光軸と視線との実質的な一致に対応する前記光軸の横方向のアライメントされた位置に眼底カメラを移動させるためのアライメントデータに従って動作可能な第2の駆動機構と、検出データと前記眼底カメラの焦点データに従って動作可能な第3の駆動機構であって、眼底カメラを光軸に沿って移動させて、合焦機構の焦点面をユーザの眼の網膜に配置するための第3の駆動機構とを具える。いくつかの実施形態では、位置決めシステムは、さらに、眼底カメラを少なくとも1つの平面で回転させるように構成される。
【0030】
このシステムは、眼底カメラに対するユーザの顔の位置を登録するための登録アセンブリを備える。登録アセンブリは、水平面に対して傾斜した一般支持面を規定し、撮像中に登録位置でユーザの顔を支持するためのフェイスサポート面を画定するフェイスクレードルを担持する支持プラットフォームを備え、網膜撮像中にユーザの眼が眼底カメラに向かって全体的に前方および下方に向くようにする。フェイスクレードルは、好ましくは、前記フェイスサポート面から突出するフェイス接触フレームを備える。フェイス接触フレームは、弾性および可撓性の材料組成物から作製され得る。代替的または追加的に、フェイス接触フレームは、使い捨てまたは交換可能であるように前記フェイスサポート面に取り外し可能に取り付け可能である。
【0031】
検出システムは、フェイスサポート面に対するユーザの顔の接触の程度をモニタリングするために、フェイスクレードルに1つまたは複数のセンサを備える。フェイスクレードルのこのような1つまたは複数のセンサは、少なくとも1つの圧力センサ、近接センサ、または少なくとも1つのIRセンサのうちの少なくとも1つを含む。一般に、1つまたは複数の圧力センサを使用して、ユーザの顔とフェイスサポート面との接触をモニタリングする。いくつかの例では、フェイスクレードルとのそれぞれの少なくとも3つの接触点における接触の程度をモニタリングするために、3つの離間した位置に配置された少なくとも3つの検出要素が使用される。
【0032】
撮像モジュールは、1つまたは複数のカメラ(ピクセルマトリックス検出器)を備え、関心領域の画像を取得するように構成され且つ動作可能であり、ナイーブアプローチ画像処理またはダイレクト3D画像取得のいずれかを実行できる。したがって、撮像モジュールは、交差する視野を有する少なくとも2つの2D撮像装置(カメラ)、または3D撮像装置を含み、眼底カメラの光軸に対するユーザの視線方向を示す(決定を可能にする)撮像データを生成する。撮像モジュールのカメラは、フェイスクレードルおよび眼底カメラに対して適切に配置された独立型ユニットであってもよく、および/または眼底カメラに取り付けられ/眼底カメラと一体化されていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、単一の2Dカメラを物理的要素(例えば、ターゲットまたは較正要素)と組み合わせて使用することができ、この配置を較正して、光学系およびシーンの3D位置決めデータを抽出する。このような物理的要素は、QRコード、カラーパターン、物理的な2Dまたは3D形状などであり、光学ヘッド上および/またはシステムパッケージ内のさまざまな位置に配置される。この実装では、画像データから明示的に3Dデータを抽出する必要はないが、物理要素のサイズと遠近法分析(要素の位置と隠蔽)を使用して3D位置データを推定できる。
【0034】
網膜撮像システムは、好ましくは、位置決めおよびターゲットの指示をユーザに提供するように構成され且つ動作可能なユーザインタフェースユーティリティも備える。位置決めおよびターゲットの指示は、それぞれ、ユーザの顔の位置および視線の方向の登録に対応し、音声および視覚の指示のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
好ましくは、眼底カメラによる撮像中にユーザの顔が位置する関心領域内に拡散(ソフト)光を提供するように構成され且つ動作可能な照射システムが提供される。また、好ましくは、拡散(ソフト)光は、実質的に4500°Kを超えない温度プロファイルを有する。約780~940nmのNIR照明を使用できることに留意されたい。それは瞳孔検出に使用できる。照度/出力は、2Dの撮像装置の動作に十分なように選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、システムは、位置コントローラおよび移動コントローラからのアライメントデータおよび距離データに応答して、アライメントデータおよび距離データが動作条件を満たしていると識別されるとすぐに眼底カメラへのトリガ信号を生成するように構成され且つ動作可能であるトリガユーティリティを備える。
【0037】
網膜撮像システムは、一般に、特にデータプロセッサおよび分析器を含むコンピュータ化されたシステムである制御システムに関連付けられてもよく、眼底カメラの一部であってもよいし、撮像モジュール、検出システム、位置決め及びアライメントシステム、並びに眼底カメラとのデータ通信(例えば、ワイヤレス通信)用に構成され且つ動作可能な別個のコンピュータシステムの一部であってもよい。
【0038】
制御システムは、眼底カメラによって提供された撮像データにAIおよび深層学習処理を適用して、様々な網膜疾患および全身疾患を持つ人々を識別し、患者の網膜状態および患者の健康状態を示すデータを生成するようにさらに構成することができる。代替的または追加的に、制御システムは、中央ステーションとのデータ通信用に構成され、眼底カメラによって取得された網膜の撮像データを示すデータを中央ステーションに送信し、眼底カメラで得られた画像データに基づいて患者の網膜の状態や患者の健康状態を判断するために、AIおよび深層学習方法論を使用して記録およびさらなる処理を行う。一般に、データ処理ソフトウェアの様々な機能ユーティリティは、眼底カメラに関連付けられた制御システムとリモート(中央)データ処理ステーションとの間で適切に分配される。そのような中央ステーションは、本発明に従って構成された複数の網膜の撮像システムから画像データを受信し、そのような複数の測定データ片を分析して、AIおよび深層学習アルゴリズムを最適化する。典型的には、データプロセッサは、対応する網膜状態および患者の健康状態に関連する様々な網膜の画像データ片を格納するデータベースに関連付けられている(アクセスできる)。
【0039】
本発明の別の広い態様によれば、フェイスクレードルおよび眼底カメラを含む網膜撮像システムが提供され、眼底カメラは、その光軸が水平面に対して傾斜するように構成され、フェイスクレードルは、ユーザの顔を自由に置いた状態で支持するための傾斜したフェイスサポート面を規定し、ユーザの眼は眼底カメラの視野に向かって前方および下方を向いている。
【0040】
眼底カメラは、上記のように構成された位置決めおよびアライメントシステムに関連付けられており、少なくとも3つの軸に沿ってフェイスクレードルに対して眼底カメラを移動させることができる。
【0041】
フェイスクレードルは、好ましくは、前記フェイスサポート面から突出するフェイスコンタクトフレームを備える。フェイスコンタクトフレームは、弾性および可撓性の材料組成物から作製される。代替的または追加的に、フェイスコンタクトフレームは、使い捨てまたは交換可能であるように、前記フェイスサポート面に取り外し可能に取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本明細書に開示される発明をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、以下の添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の網膜撮像システムの構成部分および機能部分の概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の網膜撮像システムの動作方法の流れ図である。
【
図3】
図3は、本発明の網膜撮像システムの構成の例示的な実施形態の概略図である。
【
図4】
図4A-Bは、本発明の網膜撮像システムの構成の例示的な実施形態の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明のシステムでの使用に適したフェイスクレードルの構成を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を参照すると、本発明の網膜撮像システム100の主要な構造的および機能的部分のブロック図が概略的に示されている。網膜撮像システム100は、システムによって提供される指示に従いながら、ユーザが自身の眼の網膜撮像セッションを開始および実行することを可能にする自己操作可能なシステムとして構成される。これにより、技術者や医師の関与を排除するか、少なくとも大幅に減らすことができる。
【0045】
網膜画像を示すデータは適切に保存され、オンラインまたはオフラインの分析のために医師がアクセスできる。例えば、格納されたデータは、中央コンピュータステーションに送信され、任意の既知の適切な通信技術およびプロトコルを使用して、通信ネットワークを介してリモートデバイスからアクセスされ得る。上記のように、画像データはAIとディープラーニングの手法を使用して処理できる。
【0046】
システム100は、眼底カメラ104、撮像モジュール112、感知システム116、位置決めおよびアライメントシステム120、安全コントローラ144、およびコントロールシステム128などの主要部分を含む。眼底カメラ104は、通常、フェイスクレードルユニット136に関連して配置される。
【0047】
この構成は、フェイスクレードルが、特定のユーザ/患者の要求を満たす(例えば、平均値または公称値とのユーザの高さの差を考慮に入れる)ためにその位置の自動調整を可能にするクレードルユニットを移動するように制御可能に操作可能な移動機構を備えているようになっている。
【0048】
この概略図には示されていないが、眼底カメラとフェイスクレードルは共通の支持プラットフォームに取り付けることができる。以下でさらに説明するように、本発明はまた、支持プラットフォームのための新規の構成を提供する。
【0049】
上記のように、本発明は、ユーザが安全で且つ効果的な網膜撮像を提供する自己操作可能な網膜撮像システムを提供することを目的としている。網膜イメージングセッション中に、ユーザは、顔をフェイスクレードルに配置し、眼底カメラによって提示されたターゲット画像に視線を向けることによって、顔と眼をターゲット位置に移動させるように要求/指示される。
【0050】
イメージングモジュール112は、少なくとも1つのイメージングユニットを含み、これは、(例えば、適切な視線追跡技術または眼および凝視追跡技術を使用して)ユーザの顔、眼、虹彩、および場合によっては瞳孔の画像を取得し、対応する画像データを生成するように動作可能に構成された1つまたは複数の撮像装置を含む。上記のように、撮像モジュール112は、眼底カメラの視野の外側の関心領域を含み、自己較正の目的に使用することができる対応する「外部」画像データを生成するシーンを撮像するように適合された1つまたは複数の追加の撮像ユニットを含み得る。したがって、撮像モジュール112からの画像データIDは、システムの自己較正にも使用され、これは、QRコード(登録商標)、カラーパターン、物理的な2D又は3D形状等の形式の較正ターゲットを使用して実施される。さらに、(上記のように)ユーザの眼の標的位置にある間、ユーザの眼の視線LOSに対する眼底カメラの光軸OAの相対的な向きを示す画像データIDが分析される。上記のように、自己較正と撮像の段階で使用されるターゲットは同じである場合と同じでない場合がある。
【0051】
画像データIDの分析は、前記目標位置にある間、および位置合わせされた位置にある間、眼底カメラ104の光軸OAがユーザの視線LOSと実質的に一致するように眼底カメラ104の光軸OAが適切に位置合わせされた動作位置に眼底カメラ104を配置するための位置決め及びアライメントシステム120を操作するために使用され、眼底カメラ104の焦点調節機構108を作動させて、眼底カメラを網膜上に焦点合わせする。この目的のために、位置決め及びアライメントシステム120は、前記ユーザの眼の標的位置にある間、ユーザの眼に対して3つの軸に沿って眼底カメラ104を動かすように構成され、動作可能である。
【0052】
検出システム116は、ユーザの顔150と眼底カメラ104との間の相対位置をモニタリングし、対応する検出データSDを生成するように構成され、動作可能である。検出データは、制御/警報信号を適切に生成するために、安全コントローラ144によって受信および分析される。また、検出データ(又は検出データの分析の結果)及び画像データの双方が、眼底カメラによる網膜撮像セッションを開始(トリガ)し、撮像セッションの進行をモニタリングするために、制御システム128によって使用される。
【0053】
制御システム128は、特に、データ入力および出力ユーティリティ、メモリ、ならびにデータプロセッサおよびアナライザを含むコンピュータシステムである。データプロセッサおよびアナライザは、画像モジュール112からの画像データIDに応答して位置決め及びアライメントシステム120への位置決め及びアライメントデータPADを生成して、眼底カメラを手術位置に持ってくるための眼底カメラの動きを制御するように構成および動作可能な位置コントローラユーティリティ124(通常はソフトウェア内)を備える。また、位置コントローラ124は、画像データを利用して位置および位置合わせシステムに動作データを生成し、眼底カメラを動作位置に移動するように構成および動作可能な較正ユーティリティ125を含む。
【0054】
上記のように、フェイスクレードルは、その位置の自動調整を可能にする移動機構に関連付けられる。この目的のために、同じ位置コントローラ124、または制御システム128の別個のコントローラは、動作データを生成してフェイスクレードルの移動機構を操作し、フェイスクレードルの制御可能な移動を実装してフェイスクレードルの位置を自動調整するように構成および動作可能である。
【0055】
このようなフェイスクレードル位置コントローラは、関心領域(すなわち、フェイスクレードルの近く)の近くのシーンを撮像するように構成された、撮像モジュール120または別個の撮像装置(1つま又は複数の2Dカメラ)の撮像装置からの画像データIDに応答し、画像内のユーザの顔を識別し、対応する推定ユーザのデータ、例えば、標準平均予想身長に対するユーザの身長を生成する。この推定に基づいて、コントローラは、特定のユーザに関連してフェイスクレードルを適切な位置に自動的に移動させる、すなわちカメラの視野に関してフェイスクレードルの高さを調整するために、フェイスクレードルによって実行される必要がある動きを示す動きデータを含む位置調整データを生成する。
【0056】
また、データプロセッサおよびアナライザは、眼底カメラの動きを適切に制御して必要な且つ安全な作動距離を維持するために、検出システム116からの検出データSDに応答し、安全コントローラ144からの信号に応答するように構成および動作可能な移動コントローラ132(通常はソフトウェア内)を含む。したがって、安全コントローラは、ユーザの顔と眼底カメラとの間の相対位置に所定のリスク状態が存在する/現れることを適切に識別すると、移動コントローラ132に対応する制御信号CSを生成し、眼底カメラの動きを停止するために位置決め及びアライメントシステムを操作する。
【0057】
安全コントローラ144は、別個の処理ユニットであるか、または制御システム128の一部である。安全コントローラは、位置データ、ならびにユーザの顔に対して眼底カメラの位置の予測される変化を示す動きデータが、リスク状態に対応する臨界値に達したか、近づいているかどうかを決定して、制御信号CSを適切に生成するように事前にプログラムされる。安全コントローラは、検出日付を利用して、フェイスクレードルに対するユーザの顔の位置の変化を識別し、対応する制御/警報信号を生成することができ、これは、位置決め及びアラインメントシステムのそれぞれの操作と一緒に、及びそれから独立して、ユーザへの所定の指示の生成を開始することにも留意されたい。
【0058】
図にも例示されるように、制御システム128は、眼底カメラユニット104から網膜画像データRIDを受信し、このデータを処理して、それが特定の異常(疾患)を示すかどうかを決定するように構成および動作可能なデータプロセッサ127を含む。この目的のために、データプロセッサ127は、AIおよび深層学習処理を画像データRIDに適用し、対応する網膜状態(および対応する個人の健康状態)に関連して様々な網膜画像データ断片を格納する所定のデータベースを利用/アクセスするように構成される。代替的に、又は追加的に、制御システム128は、中央ステーション129とのデータ通信のために、眼底カメラによって取得された網膜画像データRIDを含む生データを中央ステーションに送信するか、または中央ステーションに、データプロセッサ127によって実行されるいくつかの前処理の結果として生じる網膜画像データを示すデータを送信し、さらに、AIと深層学習技術を使用して、中央ステーションで処理するように構成される。網膜画像データRIDおよび/またはこのようなデータの処理の結果は、制御システム128および/または中央ステーション129で記録される。上記のように、中央ステーション129は、複数の網膜撮像システムと通信し、これらから受信したデータを分析して、AI及び深層学習アルゴリズムを最適化し、中央データベースを更新するように構成される。
【0059】
図2を参照すると、フロー
図200を用いて、本発明の網膜撮像システムの動作方法が概略的に示されている。この方法によれば、ユーザへの指示は、好ましくは音声または視覚形式の形式で提供される(ステップ202)。より具体的には、ユーザは、登録のために自分の顔をフェイスクレードルに配置し、眼底カメラに提示されたターゲットを見るように指示される。このようなターゲットは、画像または光パターンなどの視覚的マークの形態である。さらに、撮像モジュールおよび検出システムは同時に動作し(ステップ204および206)、画像データ(ステップ)220及び眼底カメラに対するユーザの顔と眼の位置(視線の相対的な向きを含む)の登録、および顔面クレードルでのユーザの顔の位置の安全度と、ユーザの顔に対する眼底カメラの相対位置をそれぞれ示す(決定を可能にする)検出データ(ステップ224)をそれぞれ提供する。撮像モジュールおよび検出システムの動作は、制御ユニットによって開始され、制御ユニットは、例えば、制御ボタンを押すことによって、ユーザの起動に応答して実行される。代替的に、又は追加的に、これは、例えば、ユーザの顔がフェイスクレードルと接触したことを識別したときに、検出システムの検出要素によって自動的に開始することができる。
【0060】
次のステップでは、画像データおよび検出データは、継続的に提供されている間、データプロセッサおよび制御システムの分析ユーティリティによって継続的に分析される(ステップ208)。画像データは、最初は、フェイスクレードルおよび眼底カメラ(すなわち、ターゲットを指している間のユーザの眼の視線の相対的な向き)および光軸に対するユーザの顔の位置、及び、眼底カメラの光軸(すなわち、x軸とy軸に沿った)を示しており、さらには、ユーザの顔と眼底カメラの間の距離を示している可能性もある。検出データは、ユーザの顔とフェイスクレードルとの間の適切な接触、およびユーザの顔と眼底カメラとの間の距離を示している。距離の決定は、撮像モジュールの画像データと検出システムの検出データの双方を使用して、ダブルチェックモードで実行できることに留意されたい。
【0061】
画像データ分析は、フェイスクレードルユニットの移動機構を操作して、眼底カメラに対するフェイスクレードルユニットの位置を自動的に調整するために、特定のユーザ/患者に関連するフェイスクレードルユニットの位置調整データの生成を含む(ステップ225)。
【0062】
画像および検出データ分析は、位置決め及びアライメントシステムへのナビゲーション/ガイダンスデータ生成、ならびに位置決めおよび移動ステップを制御しながら、そのようなナビゲーションがリスク状態に近づくかどうかを識別するためのリスク状態分析/予測を含む(ステップ210)。ナビゲーション手順に関して、位置決め及びアライメントデータ分析は、眼底カメラを適切な操作位置、すなわち、眼底カメラの光軸とユーザの視線との位置合わせの位置にもたらし、このように位置合わせされた眼底カメラを、ユーザの眼に必要な作動距離に配置することを提供することに留意されたい。制御システムが眼底カメラのこのような適切な動作位置を識別すると、トリガ信号が生成され、これは、例えば、眼底カメラを含む撮像システムで通常使用される任意の適切なオートフォーカス技術を使用して、眼底カメラによって管理されるオートフォーカスおよび自動照明を作動させる。しかしながら、オートフォーカスおよび自動照明のこれらのプロセスは、ナビゲートされている間、眼底カメラが眼底カメラの作動距離に近づくことを識別すると、制御システムによってトリガされる(キャプチャトリガされる)ことに留意されたい。システムが眼底カメラをトリガした時点から、そのすべての操作(焦点合わせ、照射、画像処理など)は完全に自動化されている。
【0063】
ナビゲーション中またはその後の眼底カメラ操作(イメージングセッション)中にリスク状態が識別されると、制御/警報信号が生成され(ステップ212)、眼底カメラの動き(および場合によっては操作も)が停止される(ステップ250)。このようなリスク状態は、眼底カメラがユーザの眼に過度に近接していること、および/または登録位置からのユーザの顔の動き、および/またはフェイスクレードルと眼底カメラの間に手または他のものを挿入することに関連している。このようなすべての危険な状況は、眼底カメラとフェイスクレードルの間の距離を決定し、作動距離より下の距離にある障害物を検出する検出システム(超音波センサなど)によって適切に検出できる。また、撮像モジュール、すなわちカメラは、リスク状態への変化を検出できるため、検出システムと一緒にダブルチェックを実行して、システムの安全動作を維持できることに留意されたい。
【0064】
安全性が維持されている限り、すなわちリスク状態が特定されていない限り、プロセスは、操作データの生成(ステップ216)および網膜撮像プロセスの実行(ステップ240)を継続する。網膜撮像セッションが進行するにつれて、眼底カメラの視野に向けて(例えば、ターゲットに向けて)ユーザの視線を向け、(例えば、ユーザに眼を開けたままにするように指示することによって)ユーザの顔の位置および視線を維持するために、それぞれの指示がユーザに提供される。この方法は、網膜撮像プロセスが2つの眼に対して連続して完了するまで、上記の手順を繰り返し実行する。
【0065】
図3および
図4A~4Bを参照すると、これらの図は、本発明の網膜撮像システム300の構成および動作の特定の例ではあるが、限定されない例を示す。理解を容易にするために、同じ参照番号を使用して、
図1のブロック図によって示される例示的なシステム300および上記のシステム100の機能的に類似した要素を特定する。
【0066】
図3に示すように、網膜撮像システムは、以下でさらに説明されるように、眼底カメラと共通の支持プラットフォームに取り付けられ得る、フェイスクレードルユニット(ここには示されない)に関連する眼底カメラ104を含む。システム300はさらに、ユーザの顔、眼、および虹彩/瞳孔の画像を取得し、ユーザの眼の視線(LOS)の相対的な向きを示す画像データを生成するように上記のように動作可能に構成された撮像モジュール112を含む。図に示すように、撮像モジュール112は、(撮像装置112Aによって例示される)眼底カメラモジュールによって担持される1つまたは複数の撮像装置(カメラ)、および/または別個の(独立型の)撮像装置112Bを含む。撮像モジュールは、好ましくは、撮像されている関心領域に関する3D情報を提供する必要があることに留意されたい。これは、既知の適切な撮像装置の構成を使用して実現できる。例えば、視野が交差する2台のカメラを使用できる。または、予め規定された測定値を持つ既知の物理ターゲットを備えた単一のカメラを使用できる。例えば、構造化された光照明を使用して、シーンの3Dパラメータを抽出できる。
【0067】
したがって、画像データを使用して、ユーザの顔が適切に配置されているかどうかを識別し、そうでない場合は、ユーザへの指示の作成が可能である。そして、ユーザがターゲットを見ているかどうかを識別し、そうでない場合は、ユーザへの指示の生成が可能である。また、画像データをフェイスクレードル位置コントローラ133が使用して、移動機構137を介してフェイスクレードル136の位置を調整して、移動機構137を介してフェイスクレードル136の位置を調整するかどうか、およびどのように調整するかを決定し、カメラの視野および/または登録ターゲットに対してユーザの顔を適切な位置に移動させる。
【0068】
さらに、画像データを使用して、眼底カメラの光軸に垂直な平面内のx軸およびy軸に沿った(場合によっては光軸またはz軸に沿った)眼底カメラの必要な動きを決定し、眼底カメラをユーザの眼に対して操作可能な位置に配置する。
【0069】
システム300は、安全コントローラ144に関連する検出システム116をさらに含み、
図1を参照して上記のように構成および動作可能である。検出システム116の構成および動作は、システム300操作の安全機能を提供する(又は、画像データと一緒に使用する場合は、システム300の動作に対する安全機能を強化する)ことを目的とする。検出システム116は、距離検出センサを含み、これは、好ましくは、超音波センサ、光学センサ、および/または近接センサを含み、2つの距離検出センサ116Aおよび116Bを本実施例として示す。
【0070】
上記のように、
図3には具体的に示されていないが、検出システムは、好ましくは、ユーザのフェイスクレードルとの接触を検出するための1つまたは複数の検出要素も含む。これは、3つの検出要素を使用して3つの離れた点での接触を制御することによって達成できる。
【0071】
網膜撮像システム300においてさらに提供されるのは、フェイスクレードルに対して眼底カメラの変位を実行する適切な駆動機構を含む位置決め及びアライメントシステム120である。一般に、駆動機構は、カメラの光軸に垂直な平面内の2つの軸、x軸およびy軸、および眼底カメラの光軸であるz軸を含む3つの垂直軸に沿った眼底カメラの動きを提供する。眼底カメラまたは少なくともその光軸の回転または枢動運動のために、追加の駆動機構が提供され得ることに留意されたい。
【0072】
本明細書において、x軸およびy軸は、それぞれ、水平軸および垂直軸と称されることがあることに留意されたい。しかしながら、上記のように、また具体的に以下で説明するように、眼底カメラおよびフェイスクレードルを支持する支持面は、水平面に対して傾斜していてもよい。この場合、x軸とy軸はそれぞれ支持面に平行および垂直であり、これらの用語はそれに応じて解釈および理解する必要がある。一般に、この構成は、眼底カメラの光軸、すなわちその視野が、ほぼ前方および上方に「見ている」水平面に対して特定の角度(傾斜)に向けられるようになっており、フェイスクレードルは、ユーザの顔がフェイスクレードルに固定されたときに、ユーザの視野が眼底カメラの視野に向かって一般に前方および下方に向けられるように構成される。
【0073】
位置決め及びおよびアライメントシステム120は、(撮像及び検出データの分析に基づくその動きのナビゲーションを介して)眼底カメラを動作位置にもたらすための制御システムによって提供される動作データによって動作し、眼底カメラの光軸は、安全レベルを維持し、眼底カメラの焦点を網膜に合わせることを可能にするために、前記目標位置および眼底カメラからの必要な作動距離にある間、ユーザの眼の視線と実質的に一致する。図に示すように、制御システム128は、撮像モジュール112や安全コントローラ144と、場合によっては直接的に検出システム116とデータ通信し、位置決め及びアライメントシステム120とデータ通信するように提供される。制御システム128は、
図1および
図2を参照して上述したように構成され、動作可能である。
【0074】
図には特に示されていないが、網膜撮像システム300は、ユーザの顔が眼底カメラによる撮像中に配置される関心領域内で拡散(ソフト)光および/またはNIR照射を提供するように構成および動作可能な照明システムを含むか、またはこれと共に使用され得ることに留意されたい。拡散された(ソフトな)光は、好ましくは、例えば4500°Kを超えない適切な温度プロファイルを有し、適切な照明強度を有する。
【0075】
図4Aおよび4Bは、より具体的には、本発明による支持プラットフォーム400の構成の例を示している。支持プラットフォーム400は、眼底カメラの光軸が水平面に対して傾斜するように、眼底カメラ104およびフェイスクレードル136のための一般的な支持面410を規定するように構成される。
【0076】
一般に、眼底カメラとフェイスクレードルは、同じ物理的表面に取り付けられてもされなくてもよいが、ユーザの視線の方向および眼底の光軸は、眼底の光軸は、所定の一般平面に関して考慮されるべきであることに留意されたい。したがって、共通支持面410は、物理的表面によって構成されてもされなくてもよい。この限定されない例では、これは、眼底カメラ104およびフェイスクレードル136をウェッジ要素414の(一般的な支持面を規定する)傾斜面410上に配置することによって達成される。この構成により、フェイスクレードル136は、垂直面に対して適切に傾斜した顔面支持面136Aを規定することができ、ユーザの顔は、ユーザの眼が(ターゲットを見ながら)眼底カメラの光軸に向かってほぼ前方および下方に向いた状態で、顔面支持面上に自由に置かれて前記表面136A上に配置することができる。
【0077】
図4Bの例にも概略的に示されているように、フェイスクレードル136は、好ましくは、検出システムのn個(n≧1)の検出要素を備えている。これらは、(例えば、圧電要素または静電容量センサを利用する)接触検出要素または近接センサである。好ましくは、これらは、フェイスサポート面上のユーザの顔の位置を一貫して検出することを確実にする、少なくとも3つの検出要素S1~S3である。
【0078】
図4Aおよび4Bに示されるように、特定の限定的ではない例ではあるが、フェイスクレードル136は、チンレスト要素136Cを備えたフェイスフレーム136Bを含み、傾斜構成は、実際には、チンレスト要素を必要とせず、必要を回避することを可能にする。これは特に
図5に例示されている。
【0079】
図4Aに概略的に示されるように、フェイスクレードルユニット136は、上記のように、カメラユニット(撮像モジュール112)に関連付けられた制御システムで生成された移動データに応答する移動機構137に関連付けられる。さらに、フェイスクレードルおよびその移動機構は、支持面に対してフェイスクレードルユニットの往復運動を実施することによって、ならびにフェイスクレードルの角度方向を変化させることによって、フェイスクレードルの位置を自動的に調整するように構成され得ることを留意されたい
【0080】
図5は、網膜撮像システム、特に指定された種類の自己操作可能システムでの使用に有利に適した本発明のフェイスクレードル500の構成を例示している。上述したように、フェイスクレードルは、眼底カメラと共通の支持台に取り付けられていても取り付けられていなくてもよいことに留意されたい。
図5に示すように、フェイスクレードル500は、好ましくは(人間工学的/安定性の観点から)平面ではなく凹面であり、光軸が水平面から適切に傾斜している眼底カメラ104に対して適切に位置決め/取り付けられるように垂直面に対して傾斜しているフェイスサポート面502を有する。この例では、フェイスクレードル500と眼底カメラ104は一体型ユニットを形成する。
【0081】
フェイスサポート面は、光学窓を介してユーザの眼の撮像を可能にする適切な光学窓504(例えば、開口部)を有する。図にも示されているように、フェイスクレードル500は、例えば、フェイスサポート面502上に配置され、フェイスサポート面502から突出するフェイスコンタクトフレーム506を含む。フェイスコンタクトフレーム506は、フェイスクレードル500に取り外し可能に取り付け可能/取り付け可能である。また、フェイスコンタクト506は、適切に弾性および可撓性の材料組成物(例えば、ゴム、シリコーンなど)から作製され、撮像セッション中の人間工学的でより安定した位置を提供するユーザにとって手順全体をより快適にする。フェイスクレードルは、1つまたは複数の検出要素を装備するが、3つのそのような検出要素S1、S2およびS3が、この特定の限定されない例に示されている。特に示されていないが、撮像モジュールは、眼底カメラハウジングと一体であるか、または眼底カメラハウジングに取り付けられ得るか、またはユーザの顔、眼、虹彩、瞳孔の画像を取得するために適切に配置された別個のユニットであることに留意れたい。また、安全コントローラ、ならびに制御システムは、眼底カメラハウジングと一体であり得るか、または上記のようにシステムのそれぞれの装置/ユニットに接続可能な独立型装置である。
【0082】
したがって、本発明は、自己操作可能な網膜撮像システムの新規構成を提供し、システムの高度な安全機能により、ユーザが高度な技能を有する操作者を必要とせず、および実際には操作者の支援なしで網膜撮像を実行できるようにする。網膜画像は、分析のために当業者によってアクセスされるように、制御システムのメモリに格納され、および/または外部の制御ステーションに通信することができる。本発明はまた、新しいフェイスクレードル構成、ならびに一体型の網膜撮像システムの新しい構成を提供する。
【国際調査報告】