(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】BTK阻害薬
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230306BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230306BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20230306BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61K31/4985
A61K31/53
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540849
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 CN2020140517
(87)【国際公開番号】W WO2021136219
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/070034
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/134601
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518099859
【氏名又は名称】ディザル(ジァンスー)ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,クァン
(72)【発明者】
【氏名】シェン,チャンマオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンゲン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルミン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,チンベイ
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ホンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チェンファン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオリン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC07
4C050CC08
4C050EE03
4C050EE04
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
BTK阻害活性を有し、したがって、療法においておよびヒトまたは動物の身体の治療の方法において有用である、式(I)の化学物質または薬学的に許容されるそれらの塩。前記化学物質の製造のための方法、それらを含有する医薬組成物、および温血動物、例えばヒトにおける治療効果における使用のための医薬品の製造におけるそれらの使用もまた提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
R
1は、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、N-C
1~6アルキルアミノ、N,N-(C
1~6アルキル)
2アミノ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、R
1は、1つまたは複数のR
5により任意選択で置換することができ、
R
2は、ハロ、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、または同じ原子上のまたは隣接する原子上の2つのR
2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成することができ、
kは、0~4であり、
R
3は、ハロ、C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシから選択され、
nは、0~4であり、
R
4は、ハロ、C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシから選択され、
mは、0~5であり、
Aは、=N-または=C(R
6)-であり、
R
5は、ハロ、ヒドロキシ、C
1~6アルコキシ、アミノ、N-C
1~6アルキルアミノ、N,N-(C
1~6アルキル)
2アミノ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、R
5は、独立に、任意選択で、1つまたは複数のR
7により置換されることができ、
R
6は、水素およびハロから選択され、
R
7は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシから選択される]
または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
R
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、N,N-ジメチルアミノメチルおよびアゼチジン-1-イルメチルから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
kが0である、請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
R
3がフルオロである、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
nが0~2である、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
R
4がフルオロである、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
mが0~2である、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
Aが、=N-または=C(H)-である、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
(5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-(6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン
から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物。
【請求項11】
温血動物、例えばヒトにおけるBTK阻害効果をもたらすことにおける使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物。
【請求項12】
医薬品としての使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
温血動物、例えばヒトにおいて癌を治療する方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を前記動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項14】
小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療のための医薬品の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項15】
脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫の治療における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)と関連する疾患または障害の治療に有用な、オキサン置換イミダゾピラジンおよびイミダゾトリアジンである、変異BTKを含めたBTKキナーゼの阻害薬を対象とする。これらの化合物は、免疫障害、癌、心疾患、ウイルス感染症、炎症、代謝/内分泌機能障害、および神経障害の治療において潜在的な有用性を有する。
【0002】
詳細には、本出願は、BTKを阻害する化合物およびそれらの組成物、BTKと関連する疾患または障害を治療する方法、ならびにこれらの化合物の合成の方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
チロシン-タンパク質キナーゼBTKとしても公知の、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)は、チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーであり、早期のB細胞発生の制御および成熟B細胞の活性化および生存において重要な役割を果たす(Hunter、Cell、87、50、823~829)。BTK酵素は、BTK遺伝子によりコード化され、細胞増殖、生存、分化、運動性、血管新生、サイトカイン産生、および抗原提示を含む、多くの細胞プロセスを開始することが示されている。
【0004】
BTK欠損マウスモデルによって、BTKが、アレルギー障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患においてある役割を果たし、BTK阻害が、全身性エリテマトーデス(SLE)、じんま疹/シェーグレン症候群、関節リウマチ、血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症、アレルギー性鼻炎、および喘息などの疾患の治療において潜在的な有用性を有することが示されている。
【0005】
アポトーシスにおけるBTKの役割はまた、癌、例えば、B細胞リンパ腫、白血病、および他の血液学的悪性疾患の治療のためのBTK活性の阻害の有用性を実証している。さらに、BTKは、破骨細胞機能において、役割があるため、BTK活性の阻害が、骨疾患、例えば、骨粗鬆症などの治療において潜在的な有用性を有する。
【0006】
BTKを阻害する承認された化合物には、イブルチニブ(B細胞悪性腫瘍、例えば、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(waldenstrom’s macroglobulinemia))、アカラブルチニブ(マントル細胞リンパ腫およびCLL)、ならびにザヌブルチニブ(zanubrutinib)(マントル細胞リンパ腫)が含まれる。さらに、エボブルチニブ(evobrutinib)(多発性硬化症)、ABBV-105(全身性エリテマトーデス(SLE))、ONO-4059/GS-4059(非ホジキンリンパ腫およびCLL)、スペブルチニブ(再発または治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫、CLLおよびワルデンシュトレームマクログロブリン血症)、およびHM71224(自己免疫疾患)を含む、臨床治験中のいくつかのBTK阻害薬がある。
【0007】
BTK阻害薬を用いた、B細胞悪性腫瘍の治療における主な治療法の進歩にもかかわらず、一次および二次抵抗性の症例は、予後不良および限定された治療選択を伴って現れている。
【0008】
共有結合性の(不可逆的な)BTK阻害薬、例えば、イブルチニブおよびアカラブルチニブは、BTKのC481部位に、それをキナーゼ不活性にしながら結合する。BTKタンパク質が分解するまで、この結合は永続的である。これらの不可逆的な阻害薬の利点は、これらが強力であり、通常、短期間の曝露でも、効果的であることである。しかしながら、これらの臨床的利益は、的外れの毒性により限定され、中止率が高くなり、BTKへの共有結合を乱すBTK C481突然変異による耐性を獲得させ、化合物の結合親和性を低下させ、BTK酵素活性を阻害するそれらの能力を減弱する(Leukaemia 2015年、4月;29巻(4号):895~900頁)。共有結合性のBTK阻害薬療法を進めるCLL患者の大部分(>50%)は、C481S突然変異の発生により治療に抵抗性を持つようになる(N.Engl.J.Med.370;24、2014年;JAMA Oncol.2015年;1巻(1号):80~87頁;およびJ.Clin.Oncol.35巻:1437~1443、2017年)。
【0009】
原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)は、悪性(癌)細胞が、脳および/または脊髄のリンパ組織中に形成する疾患であり、これは、すべてのリンパ腫のおよそ1%およびすべての原発性脳腫瘍の2%~5%を占める。PCNSLの大半(およそ95%)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。CD79BおよびMYD88遺伝子中の突然変異は、頻繁に(およそ30~80%)PCNSLと同時に起こる(Neuropathol.Appl.Neurobiol.2016年4月;42巻(3号):279~90)。現在、BTK阻害薬は、DLBCLの治療用に承認されていないが、データから、CD79BおよびMYD88突然変異を有するDLBCLは、BTK阻害により感受性があることが示唆されている(Nat.Med.2015年8月;21巻(8号):922-6)。
【0010】
二次性CNSリンパ腫(SCNSL)は、(原発性CNSリンパ腫と対照的に)他で生じたリンパ腫の中枢神経系への伝播を意味する。それは、通常、非ホジキンリンパ腫であり、単一の再発であり得、または発症時に全身性疾患の一部であり得る。原発性CNSリンパ腫と異なり、これは、より一般的に、軟髄膜が関与する。
【0011】
血液脳関門(BBB)透過共有結合性BTK阻害薬である、PRN2246(SAR442168)は、多発性硬化症(MS)についての第I相試験において耐薬能があった。さらに、いくつかの試験(Grommes Cら、Cancer Discov.2017年9月;7巻(9号):1018~1029;Grommes Cら、Blood.2019年;133巻(5号):436~445;Lionakisら、2017年、Cancer Cell 31巻、833~843およびSoussain Cら、Eur J Cancer.2019年8月;117巻:121~130頁)では、高用量のイブルチニブ(840mg)が、CNSリンパ腫(PCNSLおよび二次性神経系リンパ腫(SCNSL)のいずれも)において有効性を有するはずであるが、現在、BTK-C481突然変異を標的とする、またはPCNSLにおいて活性を有するBTK阻害薬は、承認されていないということを示唆している。これらはいずれも、依然として医療ニーズを満たしていない。
【0012】
WO2009/143051は、活性p21cdc42Hs関連キナーゼ(ACK1)阻害薬として、いくつかのヘキサン置換イミダゾピラジンおよびイミダゾトリアジンを含む、いくつかの置換イミダゾピラジンおよびイミダゾトリアジンを開示している。しかしながら、WO2009/143051の化合物は、化合物が、潜在的に(化合物を無効にする)最大吸収用量でも十分な持続性の薬物適用範囲に達することができないことを意味する、高ヒト肝細胞クリアランスを示し、かつ/または非常に高い用量によって、標的を阻害することが必要となり、最大薬物濃度が高くなる(二次性薬理学的(すなわち、有害)作用および毒性問題を潜在的にもたらす)。
【0013】
WO2017111787A1は、BTKの活性を調節するテトラヒドロピラニルアミノ-ピロロピリミジノンを開示し、WO2018039310A1は、アミノ-ピロロピリミジノン化合物およびその使用の方法を開示し、WO2017103611A1は、BTKの阻害薬として有用な化合物を開示し、WO2011152351は、BTK選択的阻害活性を有するプリノン誘導体を開示している。しかしながら、これらの化合物はいずれも、本発明の化合物が有する所望の特性の組合せを有していない。
【0014】
本明細書中に開示されるのは、野生型BTKとC481突然変異(例えば、C481S、C481Y、C481RまたはC481F突然変異)を有するBTK、両方のBTKの強力な選択的阻害薬、いくつかの新規なオキサン置換イミダゾピラジンおよびイミダゾトリアジンである。これらの化合物は、非共有結合性の可逆的な阻害薬であり、低ヒト肝細胞クリアランスを示し、血液脳関門(BBB)透過特性を有する。
【発明の概要】
【0015】
本明細書中に開示されるのは、式(I)の化合物
【0016】
【0017】
および薬学的に許容されるその塩、ならびに、特に療法においての、BTK阻害薬としてのそれらの使用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の多くの実施形態が、本明細書全体を通して詳述され、当技術分野の読者に明らかとなる。本発明は、列挙した実施形態のいずれかに制限されるものと解釈されるものでなく、請求項は実施形態である。明確にするために、別々の実施形態の文脈中に記載されている本開示のいくつかの特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできるということが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈中に記載されている、開示の様々な特徴は、別々にまたは任意の適当なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0019】
本明細書中に開示されるのは、式(I)の化合物
【0020】
【0021】
[式中、
R1は、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、N-C1~6アルキルアミノ、N,N-(C1~6アルキル)2アミノ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、R1は、1つまたは複数のR5により任意選択で置換することができ、
R2は、ハロ、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、または同じ原子上のまたは隣接する原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成することができ、
kは、0~4であり、
R3は、ハロ、C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシから選択され、
nは、0~4であり、
R4は、ハロ、C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシから選択され、
mは、0~5であり、
Aは、=N-または=C(R6)-であり、
R5は、ハロ、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、アミノ、N-C1~6アルキルアミノ、N,N-(C1~6アルキル)2アミノ、カルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され、R5は、独立に、任意選択で、1つまたは複数のR7により置換されることができ、
R6は、水素およびハロから選択され、
R7は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシから選択される]
または薬学的に許容されるその塩である。
【0022】
一実施形態では、R1は、水素およびC1~6アルキルから選択され、R1は、1つのR5により任意選択で置換されることができ、R5は、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、N,N-(C1~6アルキル)2アミノおよびヘテロシクリルから選択される。
【0023】
一実施形態では、R1は、水素およびC1~3アルキルから選択され、R1は、1つのR5により任意選択で置換されることができ、R5は、ヒドロキシ、C1~3アルコキシ、N,N-(C1~2アルキル)2アミノおよびアゼチジニルから選択される。
【0024】
一実施形態では、R1は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、N,N-ジメチルアミノメチルおよびアゼチジン-1-イルメチルから選択される。
一実施形態では、R1は、ヒドロキシメチルである。
【0025】
一実施形態では、R2は、ハロまたはC1~3アルコキシから選択される。
一実施形態では、R2は、フルオロまたはメトキシから選択される。
一実施形態では、同じ原子上のまたは隣接する原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成することができる。
【0026】
一実施形態では、同じ原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成することができる。
一実施形態では、隣接する原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成することができる。
【0027】
一実施形態では、kは、0である。
一実施形態では、kは、1である。
一実施形態では、kは、2である。
【0028】
一実施形態では、kは、3である。
一実施形態では、kは、4である。
一実施形態では、R3は、ハロである。
【0029】
一実施形態では、R3は、フルオロである。
一実施形態では、nは、0~2である。
一実施形態では、nは、0である。
【0030】
一実施形態では、nは、1である。
一実施形態では、nは、2である。
一実施形態では、nは、3である。
【0031】
一実施形態では、nは、4である。
一実施形態では、R4は、ハロである。
一実施形態では、R4は、フルオロである。
【0032】
一実施形態では、mは、0~2である。
一実施形態では、mは、0である。
一実施形態では、mは、1である。
【0033】
一実施形態では、mは、2である。
一実施形態では、mは、3である。
一実施形態では、mは、4である。
【0034】
一実施形態では、mは、5である。
一実施形態では、Aは、=N-または=C(H)-である。
一実施形態では、Aは、=N-である。
【0035】
一実施形態では、Aは、=C(R6)-である。
一実施形態では、Aは、=C(H)-である。
式(I)の化合物(R1≠水素の場合)は、2つのキラル中心(「*」で印を付けた)を含有する。
【0036】
【0037】
これらのキラル中心は、「トランス」配置(オキサン環の反対の面に向くオキサン環上の2つの置換基を意味する)、および「シス」配置(オキサン環の同じ面に向くオキサン環上の2つの置換基を意味する)に存在し得る。以下の構造(IA)および(IB)は、式(I)の化合物のシス異性体を示し、以下の構造(IC)および(ID)は、式(I)の化合物のトランス異性体を示す。
【0038】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(I)のトランス化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(I)のシス化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(IA)
【0039】
【0040】
の化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(IB)
【0041】
【0042】
の化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(IC)
【0043】
【0044】
の化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、式(ID)
【0045】
【0046】
の化合物である。
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
(5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-(6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン
から選択される。
【0047】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
(5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
(5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-(6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-(6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0048】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
((2R,5R)-5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5R)-5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-((3R,6R)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-((3R,6R)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-((3R,6R)-6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3R,6R)-6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
(R)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3R,6R)-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0049】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
((2S,5S)-5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5S)-5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-((3S,6S)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-((3S,6S)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-((3S,6S)-6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3S,6S)-6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
(S)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3S,6S)-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0050】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
((2S,5R)-5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2S,5R)-5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-((3S,6R)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-((3S,6R)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-((3S,6R)-6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3S,6R)-6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3S,6R)-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0051】
本発明の一態様では、式(I)の化合物は、
((2R,5S)-5-(8-アミノ-1-(4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(8-アミノ-1-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(8-アミノ-1-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(4-アミノ-5-(2,3-ジフルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
((2R,5S)-5-(4-アミノ-5-(4-(2,3-ジフルオロフェノキシ)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール;
3-((3R,6S)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-8-アミン;
7-((3R,6S)-6-((ジメチルアミノ)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
7-((3R,6S)-6-(アゼチジン-1-イルメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3R,6S)-6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;および
5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-7-((3R,6S)-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0052】
本発明の一態様では、本明細書中に開示される任意の式(I)の化合物が提供される。
本発明の一態様では、本明細書中に開示される任意の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0053】
本発明の一態様では、本明細書中に開示される式(I)の化合物を調製するために用いられる合成中間体が提供される。
本発明の一態様では、本明細書中に開示される式(I)の化合物を調製するために用いられる合成中間体、または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0054】
本開示中の様々な箇所で、連結置換基が記載される。構造が明らかに連結基を要する場合、その基について列挙されるマーカッシュ可変要素は、連結基であることが理解される。例えば、その構造が連結基を要し、その可変要素についてのマーカッシュ群の定義が「アルキル」を挙げている場合、「アルキル」は、連結アルキレン基を表すことが理解される。
【0055】
本発明で使用される場合、用語「置換される」とは、化学基に関する場合、化学基が除去され置換基により置き換えられる1個または複数の水素原子を有することを意味する。本発明で使用される場合、用語「置換基」は、当技術分野で公知の通常の意味を有し、親基に共有結合する、または必要に応じ、親基に縮合される化学部分を意味する。本発明で使用される場合、用語「任意選択で置換される」または、「任意選択で…置換される」とは、化学基が、置換基を有さなくてもよく(すなわち、置換されていない)、1つまたは複数の置換基を有していてもよい(すなわち、置換されている)ことを意味する。所与の原子での置換は、原子価により限定されることが理解されるものとする。
【0056】
本発明で使用される場合、用語「Ci~j」は、炭素原子数の範囲を示し、iおよびjは、整数であり、炭素原子数の範囲には、その端点(すなわち、iおよびj)ならびに中間にある各整数点が含まれ、jは、iより大きい。例えば、C1~6は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子および6個の炭素原子を含む、1~6個の炭素原子の範囲を示す。いくつかの実施形態では、用語「C1~6」は、1~6個、特に、1~5個、特に、1~4個、特に、1~3個、または特に、1~2個の炭素原子を示す。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、別の用語の一部の場合または独立に用いられる場合を問わず、飽和炭化水素鎖を意味する。先に述べた炭化水素鎖は、直鎖でも分枝鎖でもよい。用語「Ci~jアルキル」とは、iからj個の炭素原子を有するアルキルを意味する。C1~6アルキルの例には、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、より高い相同体、例えば、2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピルなどが含まれる。「C1~3アルキル」の例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。
【0058】
本発明で使用される場合、用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を意味する。
本発明で使用される場合、用語「アルコキシ」とは、別の用語の一部の場合または独立に用いられる場合を問わず、式-O-アルキルの基を意味する。用語「Ci~jアルコキシ」とは、アルコキシ基のアルキル部分が、i~j個の炭素原子を有することを意味する。アルコキシ基の例には、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、t-ブトキシなどが含まれる。「C1~6アルコキシル」の例は、メトキシ、エトキシおよびプロポキシである。「C1~3アルコキシル」の例は、メトキシ、エトキシおよびプロポキシである。
【0059】
「N-(C1~6アルキル)アミノ」の例は、メチルアミノおよびエチルアミノである。「N,N-(C1~6アルキル)2アミノ」の例は、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノおよびN-エチル-N-メチルアミノである。
【0060】
本発明で使用される場合、用語「カルボシクリル」とは、別の用語の一部の場合または独立に用いられる場合を問わず、すべての環原子が炭素であり、環を形成する少なくとも3個の炭素原子を含有する、飽和の単環式環を意味する。いくつかの実施形態では、カルボシクリルは、環を形成する3~7個の炭素原子または環を形成する3~6個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、-CH2-環基は、-C(O)-環基により置き換えられてもよい。カルボシクリル基の例には、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクリル」とは、単環式の飽和のカルボシクリル基を意味し、1個または複数(例えば、1、2または3個)の環原子が、これらに限定されるものではないが、酸素、硫黄、窒素、リンなどを含む、ヘテロ原子により置き換えられる。いくつかの実施形態では、-CH2-環基は、-C(O)-環基により置き換えられてもよい。いくつかの実施形態では、硫酸環原子は、任意選択で酸化されて、S-オキシドを形成することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルは、炭素で連結される。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルは、窒素で連結される。代表的なヘテロシクリル基には、これらに限定されるものではないが、アゼチジニル、ピペリジル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどが含まれる。
【0062】
一実施形態では、同じ原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に、3~7員環を形成する。得られた「スピロ環」は、単一の共通の原子によって接続された2つの環(そのうち1つは、式(I)のオキサンである)を有する。非オキサン環は、3~7員のカルボシクリル環でも3~7員の複素環でもよい。同じ原子上の、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成する2つのR2の例(式(I)のオキサンと共に示す)には、
【0063】
【0064】
(式中、
【0065】
【0066】
は、分子の残りへの結合を示す)
が含まれる。
一実施形態では、隣接する原子上の2つのR2は、それらが結合する原子と共に3~7員環を形成する。得られた「縮合環」は、2個の隣接する原子を共有する2つの環(そのうち1つは、式(I)のオキサンである)を有する。非オキサン環は、3~7員のカルボシクリル環でも3~7員の複素環でもよい。3~7員環を共に形成する隣接する原子上の2つのR2の例(式(I)のオキサンと共に示す)には、
【0067】
【0068】
(式中、
【0069】
【0070】
は、分子の残りへの結合を示す)
が含まれる。
本開示の「化合物」は、別段規定がない限り、示された構造のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体を包含することを意図している。
【0071】
用語「立体異性体」とは、非対称性化合物(例えば、1個もしくは複数の非対称的に置換される炭素原子または「不斉中心」を有するもの)の様々な立体異性体配置(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体)のうちのいずれかを意味する。不斉中心を含む本開示の化合物は、光学活性(鏡像異性体もしくはジアステレオマー)または光学不活性(ラセミ)形態で単離することができる。用語「鏡像異性体」には、互いに重ね合わすことのできない鏡像である立体異性体の対が含まれる。一対の鏡像異性体の1:1混合物は、「ラセミ混合物」である。用語「ジアステレオマー」または「ジアステレオ異性体」には、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像でない立体異性体が含まれる。1つまたは複数の不斉中心を含むいくつかの化合物は、カーン・インゴルド・プレローグのR-Sシステムに従って、各不斉中心で(R)-または(S)-として絶対配置に関して定義することができる、鏡像異性体、ジアステレオマーまたは他の立体異性体の形態を生じさせることができる。絶対配置が未知である、分解された化合物は、不斉中心で用語「または」を用いて指定することができる。ラセミ混合物から光学活性形態をどのように調製するかに関する方法は、例えば、HPLCによる分離または立体選択的合成など、当技術分野で公知である。
【0072】
用語「幾何異性体」または「シスおよびトランス異性体」とは、同じ式を有する化合物を意味するが、それらの官能基は、三次元空間で異なる方向に回転される。
用語「互変異性体」には、同じ式および全電荷を有する化合物の異性体のプロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体が含まれる。プロトトロピー互変異性体の例には、これらに限定されるものではないが、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、および環状の形態が含まれ、プロトンは、複素環式系の2カ所以上の位置、例えば、1H-および3H-イミダゾール、1H-、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドール、ならびに1H-および2H-ピラゾールを占有することができる。互変異性体は、平衡状態にあることができ、または適切な置換により1つの形態に立体的に固定されることができる。ある一方の特定の互変異性体の形態として名称または構造により同定された本開示の化合物は、別段規定がない限り、もう一方の互変異性体の形態を含むことが意図される。
【0073】
本開示の「化合物」は、化合物中で原子のすべての同位体を包含することがやはり意図される。原子の同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なる原子を含む。例えば、別段規定がない限り、本開示の「化合物」中の水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素は、これらに限定されるものではないが、1H、2H、3H、11C、12C、13C、14C、14N、15N、16O、17O、18O、31P、32P、32S、33S、34S、36S、17F、19F、35Cl、37Cl、79Br、81Br、127Iおよび131Iなどのこれらの同位体をも含むことを意味する。いくつかの実施形態では、水素は、プロチウム、重水素およびトリチウムを含む。いくつかの実施形態では、水素は、プロチウムを意味する。いくつかの実施形態では、水素は、重水素を意味する。いくつかの実施形態では、水素は、トリチウムを意味する。いくつかの実施形態では、用語「重水素により置換される」または「重水素置換」とは、化学基中で水素(例えば、プロチウム)の他のアイソフォームを重水素と置き換えることである。いくつかの実施形態では、炭素は、12Cおよび13Cを含む。
【0074】
本開示の「化合物」は、溶媒和ならびに非溶媒和の形態、例えば、水和した形態、固体の形態などで存在することができ、本開示は、すべてのかかる溶媒和および非溶媒和の形態を包含することが意図されていることがやはり理解されるものとする。
【0075】
本開示の「化合物」は、薬学的に許容される塩の形態で存在することができるということがさらに理解されるものとする。
本明細書では、用語「薬学的に許容される」とは、過度の毒性、刺激性、アレルギー性反応または他の問題もしくは合併症がなく、妥当な利益/危険比に見合った、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適している、化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される化合物、材料、組成物、および/または剤形は、規制当局(例えば、米国食品医薬品局、中国国家食品薬品監督管理局もしくは欧州医薬品庁など)により承認されたもの、または動物、さらに詳細にはヒトにおける使用のための一般に認められる薬局方(例えば、米国薬局方、中国薬局方または欧州薬局方)に列挙されたものを意味する。
【0076】
本発明で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、本開示の化合物の誘導体を意味し、親化合物は、存在する酸性部分(例えば、カルボキシルなど)または塩基部分(例えば、アミン、アルカリなど)をその塩の形態に転換することにより改変される。多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれと同様の基の存在により、酸および/または塩基の塩を形成することができる。また、薬学的に許容される塩は、通常、生物学的にまたはその他の点で望ましくないわけではない、親化合物の生物学的有効性および特性を保持する、酸および/または塩基の塩である。本開示の化合物の適当な薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩を含み、酸付加塩は、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)または有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、トリメシン酸、クエン酸、乳酸、フェニル酢酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナパジシル酸(napadisylic acid)、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、サリチル酸、スルホサリチル酸など)に由来し得る。
【0077】
本開示の化合物の適当な薬学的に許容される塩は、例えば塩基付加塩も含み、塩基付加塩は、例えば、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、および、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、銅などの元素周期表のI~XII列からの金属の水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩)、または有機塩基(例えば、第1級、第2級および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など)に由来し得る。いくつかの有機アミンは、これらに限定されるものではないが、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンを含む。当業者は、これらの例において示されるもの以外の酸/塩基付加塩を形成するための酸または塩基を加えることはまた可能であり得ることを理解するはずである。追加の適当な塩のリストは、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1985年)ならびにStahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use」(Wiley-VCH、Weinheim、Germany、2002年)において見出すことができる。
【0078】
本発明者らは、本発明中で定義された化合物、または薬学的に許容されるその塩が、有効なBTK阻害薬であり、かかる治療を必要とする温血動物において、BTK阻害効果をもたらすために用いることができるということを見出した。したがって、本発明の化合物は、BTKにより単独でもしくは部分的に媒介される疾患または医学上の状態の治療において有用であることが予想される。
【0079】
したがって、本発明の化合物は、じんま疹/シェーグレン症候群、関節リウマチ、骨粗鬆症、血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症、アレルギー性鼻炎、喘息、多発性硬化症および全身性エリテマトーデスを含む、免疫障害、癌、心疾患、ウイルス感染症、代謝/内分泌機能障害、および神経障害、アレルギー障害、自己免疫疾患、および炎症性疾患の治療において有用であることが予想される。
【0080】
それらのBTK阻害薬特性の結果として、本発明の化合物は、広範囲の抗癌特性を有することが予想される。BTKによって媒介される増殖は、限定されるものではないがB細胞悪性腫瘍を含む、ヒトの癌において観察されている。特に、本発明のかかる化合物は、リンパ腫および白血病の治療において有用であることが予想される。さらに詳細には、本発明のかかる化合物、または薬学的に許容されるその塩は、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換(Richter’s transformation)、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療において有用であることが予想される。特に、本発明の化合物は、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫の治療において有用である。特に、本発明の化合物は、慢性リンパ性白血病の治療において有用である。特に、本発明の化合物は、慢性リンパ性白血病の二次治療において有用である。特に、本発明の化合物は、慢性リンパ性白血病の一次治療において有用である。特に、本発明の化合物は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療において有用である。特に、本発明の化合物は、原発性中枢神経系リンパ腫の治療において有用である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩は、早期の、活発に進行する、転移性および/または薬剤抵抗性癌において抗癌活性を有する。癌が関連するいくつかの実施形態では、その癌は局所進行性癌である。癌が関連するいくつかの実施形態では、その癌は局所進行性および/または転移性癌である。癌が関連するいくつかの実施形態では、その癌は転移性癌である。癌が関連するいくつかの実施形態では、その癌は浸潤癌である。癌が関連するいくつかの実施形態では、その癌はイブルチニブ抵抗性癌である。
【0082】
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、野生型BTK、およびC481突然変異(例えば、C481S、C481Y、C481RまたはC481F突然変異)を有するBTKの両方を意味する。
【0083】
本発明の一実施形態では、BTK阻害がについて述べられる場合、これは、野生型BTKを意味する。
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、C481突然変異を有するBTKを意味する。
【0084】
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、C481S突然変異を有するBTKを意味する。
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、C481Y突然変異を有するBTKを意味する。
【0085】
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、C481R突然変異を有するBTKを意味する。
本発明の一実施形態では、BTK阻害について述べられる場合、これは、C481F突然変異を有するBTKを意味する。
医薬組成物、用量および投与
本開示は、本開示の少なくとも1種の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示の2種以上の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示の1種もしくは複数種の化合物、または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体を含む。
【0086】
一般には、薬学的に許容される担体は、当技術分野における従来の医薬担体であり、これは、医薬分野で周知の方式で調製することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、医薬組成物の調製のための薬学的に許容される担体と混合することができる。
【0087】
医薬組成物の形態は、これらに限定されるものではないが、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含む、多くの基準に依存する。医薬組成物は、経口、経鼻、直腸内、経皮、静脈内、または筋肉内投与用に配合されることができる。所望の投与経路に従って、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、小袋、カシェ剤、口中錠、懸濁液、乳剤、溶液、シロップ剤、(固体としてまたは液体媒体の形態の)エアゾール剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、パッチ、吸入剤、または坐剤の形態で配合されることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示の化合物、または薬学的に許容されるその塩約1mg~約500mg、特に、1mg~約200mgを含む。医薬組成物はまた、1日1回、2回、3回、4回までも投与されてもよい。しかしながら、日用量は、治療される主体、投与の詳細な経路、および治療される病気の重症度に応じて、必然的に変わる。したがって、最適な投与量は、任意の特定の患者を治療している医師により決定することができる。
【0089】
本明細書中で提供される化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の治療有効量は、当技術分野で公知の様々な因子、例えば、体重、年齢、過去の治療歴、現在の薬剤、対象の健康状態および交差反応についての可能性、アレルギー、感度および有害な副作用、ならびに投与経路および疾患の発症の程度などに依存することになる。投与量は、これらのおよび他の状況または要件により示される通り、当業者(例えば、担当医または獣医師)により比例して減らしても増やしてもよい。
【0090】
本発明のさらなる態様では、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0091】
本発明のさらなる態様では、温血動物、例えばヒトにおけるBTK阻害効果をもたらすことにおける使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0092】
本発明のさらなる態様では、温血動物、例えばヒトにおける抗癌作用をもたらすことにおける使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0093】
本発明のさらなる態様では、温血動物、例えばヒトにおける、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療における使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0094】
本発明のさらなる態様では、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫の治療における使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
組合せ
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、第1の有効成分として、本開示の1種もしくは複数種の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含み、第2の有効成分をさらに含む。第2の有効成分は、当技術分野で公知の任意の抗腫瘍剤、例えば、PI3K阻害薬、抗CD20抗体、抗PD-1/L1抗体、および非ホジキンリンパ腫用の他の承認薬または薬物の組合せであり得る。第2の有効成分である抗腫瘍剤の代表例には、これらに限定されるものではないが、イデラリシブ、デュベリシブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、ブレオマイシン、ブレンツキシマブ、ベドチン、カルムスチン、シクロホスファミド、クロラムブシル、ダカルバジン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ロムスチン、メクロレタミン、プロカルバジン、プレドニゾン、ベンダムスチン、ベネトクラクス、プレドニゾン、CVP(C-シクロホスファミド(化学療法薬)、V-ビンクリスチン(化学療法薬)、およびP-プレドニゾロン(ステロイド)の併用治療)、ミドスタウリンおよびビンブラスチンが含まれる。
【0095】
本明細書中で、用語「組合せ」が用いられる場合、これは、同時の、別々のまたは逐次的な投与を意味することが理解される。本開示の一態様では、「組合せ」とは、同時投与を意味する。本開示の他の態様では、「組合せ」は、別々の投与を意味する。本開示のさらなる態様では、「組合せ」は、逐次的な投与を意味する。投与が、逐次的または別々である場合、第2の構成成分を投与する上での遅延は、例えば、組合せの有益な効果を失うものであるべきではない。
【0096】
したがって、本開示のさらなる態様では、上記に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせて、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0097】
したがって、本開示のさらなる態様では、抗癌作用をもたらす上での使用のための、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0098】
したがって、本開示のさらなる態様では、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する上での使用のための、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0099】
したがって、本開示のさらなる態様では、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫を治療する上での使用のための、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0100】
本開示のこの態様によれば、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、および上記に示される抗腫瘍剤のうちのいずれか1種を含む、癌の治療における使用に適した組合せが提供される。
【0101】
本開示のさらなる態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、上記に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0102】
本開示のさらなる態様によれば、抗癌作用をもたらす上で使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0103】
本発明のさらなる態様では、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する上での使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0104】
本発明のさらなる態様では、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫を治療する上での使用のための、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物が提供される。
【0105】
本発明のさらなる態様では、上記の明細書中に示されるものから選択される抗腫瘍剤と組み合わせた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含むキットが提供される。
【0106】
本開示のさらなる態様によれば、
a)第1の単位剤形での、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、
b)第2の単位剤形での、上記に示されるものから選択される抗腫瘍剤、ならびに
c)前記第1および第2の剤形を含有するための容器手段を含む、キットが提供される。
薬理学的ツール
治療薬におけるそれらの使用の他に、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、新たな治療剤の調査の一部として、実験動物、例えば、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスなどにおいて、BTK阻害の作用の評価のためにin vitroおよびin vivo試験系の開発および標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
治療の方法
本発明のさらなる態様によれば、療法による人体または動物の身体の治療の方法における使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0107】
本発明の本態様のさらなる特徴によれば、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を、温血動物、例えばヒトに投与するステップを含む、前記動物においてBTK阻害効果をもたらす方法が提供される。
【0108】
本発明の本態様のさらなる特徴によれば、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を、温血動物、例えばヒトに投与するステップを含む、前記動物において癌を治療する方法が提供される。
【0109】
本発明の本態様の追加の特徴によれば、温血動物、例えばヒトにおいて、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する方法が提供され、これは、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を前記動物に投与するステップを含む。
【0110】
本発明の本態様の追加の特徴によれば、温血動物、例えばヒトにおいて、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫を治療する方法が提供され、これは、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を前記動物に投与するステップを含む。
【0111】
本発明で使用される場合、用語「治療」および「治療する」とは、本明細書中に記載される通り、疾患もしくは障害、または1種もしくは複数種のそれらの症状の開始を逆転する、緩和する、開始を遅延させる、または進行を抑制することを意味する。いくつかの実施形態では、治療は、1種または複数種の症状が発症した後に行うことができる。他の実施形態では、治療は、症状の非存在下で行うことができる。例えば、治療は、(例えば、症状の病歴を考慮しておよび/または遺伝的もしくは他の感受性因子を考慮して)症状の開始前に感受性の個体に行うことができる。治療は、症状が解消した後に、例えば、これらの再発を防ぐまたは遅延させるために継続されることもできる。
【0112】
本開示はまた、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を用いて治療するのに適した患者をスクリーニングする方法を提供する。本方法は、患者から得られた腫瘍サンプルを配列決定するステップとBTKの蓄積またはBTK突然変異の存在を検出するステップとを含む。
【0113】
本開示のこの態様のさらなる特徴によれば、温血動物、例えばヒトにおいて、癌を治療する方法が提供され、これは、(1)温血動物が、BTK阻害に受容性がある癌を有するか否かを決定するステップと、(2)そのような癌を有する場合、本明細書中に定義される、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を前記動物に投与するステップとを含む。
化合物の使用
いくつかの実施形態では、本開示は、BTK媒介もしくはBTK依存疾患または状態の治療用の医薬品の製造における本開示の化合物、薬学的に許容されるそれらの塩、または医薬組成物の使用を提供する。
【0114】
したがって、本発明の本態様によれば、医薬品としての使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
したがって、本発明の本態様によれば、医薬品としての、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0115】
したがって、本発明の本態様によれば、療法における使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、温血動物、例えばヒトにおけるBTK阻害効果をもたらすための医薬品の製造における、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0116】
本開示の本態様によれば、温血動物、例えばヒトにおける抗癌作用をもたらすための医薬品の製造における、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0117】
本発明のさらなる特徴によれば、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療のための医薬品の製造における、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0118】
本発明のさらなる特徴によれば、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫の治療のための医薬品の製造における、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0119】
本発明のさらなる態様によれば、温血動物、例えばヒトにおけるBTK阻害効果をもたらすことにおける使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0120】
本発明の本態様によれば、温血動物、例えばヒトにおける抗癌作用をもたらすことにおける使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0121】
本発明のさらなる特徴によれば、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、リヒターの形質転換、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、二次性中枢神経系リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療における使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0122】
本発明のさらなる特徴によれば、脳に転移しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫または二次性中枢神経系リンパ腫の治療における使用のための、本明細書中に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0123】
本明細書中に記載される本開示の化合物の代替的なおよび好ましい実施形態は、上記の医薬組成物、方法、使用および医薬品製造の特徴にも適用される。
【実施例】
【0124】
一般的な実験略語
【0125】
【0126】
薬学的に許容されるそれらの塩を含めた、本明細書中で提供される化合物の合成を、これらの実施例において合成スキーム中で例示する。本明細書中で提供される化合物は、任意の公知の有機合成技法を用いて調製することができ、多数のあり得る合成経路のうちいずれかに従って合成することができ、したがって、これらのスキームは、例示的であるに過ぎず、本明細書中で提供される化合物を調製するために用いられることができる他のあり得る方法を限定することを意味しない。さらに、本方法中のステップは、より良い例示のためであり、必要に応じて変更することができる。実施例中の化合物の実施形態は、調査および規制当局への可能性のある申請の目的のために合成した。
【0127】
本開示の化合物を調製するための反応は、適当な溶媒中で行うことができ、これらの溶媒は、有機合成の当業者により容易に選択することができる。適当な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸点までの範囲であり得る温度で、出発原料(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物で行うことができる。ある特定の反応ステップに応じて、ある特定の反応ステップのための適当な溶媒は、当業者により選択され得る。
【0128】
本開示の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を伴い得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley & Sons、Inc.、New York(1999年)において見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
反応は、当技術分野で公知の任意の適当な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、1Hまたは13C)、赤外分光法、分光測定法(例えば、紫外可視の)、質量分析法により、またはクロマトグラフィー法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターすることができる。化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization、Karl F.Blom、Brian Glass、Richard Sparks、Andrew P.Combs、J.Combi.Chem.2004年、6巻(6号)、874~883頁、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、および順相シリカクロマトグラフィーを含む、様々な方法により当業者により精製することができる。
【0130】
これらの例における化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)または/および液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)により特徴付けられる。NMR化学シフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で得られる。1H-NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを用いて、(TopSpinプログラム制御下で)ICON-NMRを用いた、Bruker AVANCE NMR(400MHz)分光計または(VnmrJプログラム制御下で)Varian 400MR NMRもしくはVarian VNMR400 NMR(400MHz)分光計において、ジメチルスルホキシド-d6(DMSO-d6)またはCDCl3またはCD3ODまたはD2Oまたはアセトン-d6またはCD3CN(Aldrich社またはCambridge Isotope Lab.、Inc.製)で記録される。
【0131】
MS測定を、様々な装置からのエレクトロスプレー、化学および電子衝撃イオン化法を用いた、Shimadzu 2010質量分析計またはAgilent 6110A MSDもしくは1969A TOF質量分析計を用いて行う。本発明において用いた詳細な方法には、次が含まれる。
LC-MS法A:10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcm
移動相:水中のTFA1.5mL/4L(溶媒A)およびアセトニトリル中のTFA0.75mL/4L(溶媒B)。6分にわたって溶出グラジエント10%~80%(溶媒B)を用い、流量0.8mL/分で0.5分間にわたり80%で保持する;
カラム:Xtimate C18 2.1*30mm、3μm;
波長:UV220nm、254nm;
カラム温度:50℃;
MSイオン化:ESI
LC-MS法B:10~80AB_4分_220&254_Shimadzu.lcm
移動相:水中のTFA1.5mL/4L(溶媒A)およびアセトニトリル中のTFA0.75mL/4L(溶媒B)。3分にわたって溶出グラジエント10%~80%(溶媒B)を用い、流量0.8mL/分で0.5分間にわたり80%で保持する;
カラム:Xtimate C18 2.1*30mm、3μm;
波長:UV220nm、254nm;
カラム温度:50℃;
MSイオン化:ESI
LC-MS法C:10~80CD_7分_220&254_Agilent.lcm
移動相:水中のNH3.H2O0.2mL/1L(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)。6分にわたって溶出グラジエント10%~80%(溶媒B)を用い、流量0.8mL/分で0.5分間にわたり80%で保持する;
カラム:Xbrige Shield RP-18、5μm、2.1*50mm;
波長:UV220nm&254nm;
カラム温度:30℃;
MSイオン化:ESI
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定を、Ultimate XB-C18カラム(3.0*50mm、3μmまたは3.0*150mm、3μm)、またはXbridge shieldRP18カラム(5μm、50mm*2.1mm)、またはXtimate C18カラム(3μm、2.1*30mm)、またはMERCK RP18 2.5-2mmなどを用いて、Shimadzu LC-20AシステムまたはShimadzu LC-2010HTシリーズ、またはAgilent 1200 LCまたはAgilent 1100シリーズで行う。本発明において用いた詳細な方法には、次が含まれる。
HPLC法A:10~80AB_8分.met
移動相:水中のTFA2.75mL/4L(溶媒A)およびアセトニトリル中のTFA2.5mL/4L(溶媒B)。6分にわたって溶出グラジエント10%~80%(溶媒B)を用い、流量1.2mL/分で2分間にわたり80%で保持する;
カラム:Ultimate C18 3.0*50mm、3μm
波長:UV220nm、215nm、254nm;
カラム温度:40℃;
HPLC法B:10~80CD_8分.met
移動相:水中のNH3H2O2.0mL/4L(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)。4分にわたって溶出グラジエント10%~80%(溶媒B)を用い、流量1.2mL/分で2分間にわたり80%で保持する;
カラム:Xbrige Shield RP-18、2.1*50mm、5μm;
波長:UV220nm、215nm、254nm;
カラム温度:40℃;
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)測定は、ChiralPak AD-3カラム(3μm、150×4.6mm)、またはChiralcel OJ-3カラム(3μm、150×4.6mm)、またはChiralpak IG-3カラム(3μm、50mm*4.6mm)などを用いて、Agilent 1260シリーズ、またはWaters UPCCシリーズ、またはShimadzu LC-20ABシリーズで行う。本発明において用いた詳細な方法には、次が含まれる。
SFC法A:移動相:A:CO2 B:エタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5.5分でBが5%~40%、40%を3分間保持した後、B5%を1.5分間、流量:2.5mL/分;
カラム:ChiralPak AD-3 150×4.6mm I.D.、3μm;
カラム温度:40℃;
背圧:100バール。
SFC法B:移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する、流量:2.5mL/分
カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm;
カラム温度:35℃;
ABPR:1500psi。
SFC法C:移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA)、均一濃度:B40%、流量:4mL/分;
カラム:Chiralpak IG-3 50mm*4.6mm I.D.、3μm;
カラム温度:35℃;
ABPR:1500psi。
【0132】
薄層クロマトグラフィーを、Yantai Huanghai HSGF254シリカゲルまたはAnhui Liang Chen Gui Yuanプレートを用いて行う。薄層クロマトグラフィー(TLC)用に用いられるシリカゲルプレートは、0.15mm~0.2mmである。TLCにより生成物を分離するおよび精製するために用いられるシリカゲルプレートは、0.4mm~0.5mmである。
【0133】
精製クロマトグラフィーカラムは、担体(Yantai Huanghai co.、またはAnhui Liang Chen Gui Yuan co.などにより生成した、100~200、200~300または300~400メッシュ)、またはフラッシュカラム(シリカ-CSフラッシュカラム40~60μm、またはAgela Technologiesなどにより生成された、逆相C18カラム20~35μm)またはTeledyne ISCOコンビフラッシュもしくはBiotageフラッシュシステムにおけるAgela Technologiesによるフラッシュカラムシリカ-CS(40~60μm)またはC18カラム(20~40μm)として、シリカゲルを用いる。カラムのサイズは、化合物の量に従って調整される。
【0134】
本開示の公知の出発原料は、当技術分野における公知の方法を用いるもしくはそれらに従うことにより合成することができ、またはAlfa Aesar社、TCI社、Aldrich社、Bepharm社、およびScochem社(もしくはPharmaBlock社、Bide社、Amatek社、Stru Chem社、Firster Pharmaceutical社、Titan(Adamas)社など)から購入することができる。
【0135】
別段規定がない限り、これらの反応は、アルゴンまたは窒素雰囲気下ですべて行われる。アルゴンまたは窒素雰囲気とは、反応フラスコが、体積が約1Lであるアルゴンまたは窒素バルーンに接続されることを意味する。水素化は、通常、加圧下で行われる。別段規定がない限り、これらの例における反応温度は、周囲温度であり、周囲温度は、10℃~30℃である。
【0136】
反応進行を、TLCまたは/およびLC-MSによりモニターする。反応のために用いられる溶離液系は、ジクロロメタン-メタノール系および石油エーテル-酢酸エチル系を含む。溶媒の容積比は、化合物の異なる極性に従って調整される。
【0137】
化合物を精製するために用いられるカラムクロマトグラフィーの溶出系およびTLCの溶離液系は、ジクロロメタン-メタノール系および石油エーテル-酢酸エチル系を含む。溶媒の容積比は、化合物の異なる極性に従って調整される。少量のアルカリ性または酸性薬剤(0.1%~1%)、例えば、ギ酸、または酢酸、またはTFA、またはアンモニアなどを、調整のために加えることができる。
本発明の化合物
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
合成方法
本発明の化合物は、次の2つの合成方法に従って調製することができる。
方法A
【0146】
【0147】
方法B
【0148】
【0149】
方法A
化合物2A:エチル5-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0150】
【0151】
ジクロロメタン(150mL)中の6-(エトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボン酸(WO2019001420A1を参照のこと)(5.90g、29.17mmol)および化合物1A(5.25g、29.17mmol)の混合物に、HATU(16.64g、43.76mmol)およびDIEA(11.31g、87.51mmol)を加えた。混合物を、室温(18~22℃)で12時間撹拌した。反応物を、濃縮し、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(200mL*3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(200mL*4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(ジクロロメタン中の2.5~3.5%メタノール)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色油状物として化合物2A(9.0g、収率94.0%)を得た。
【0152】
LCMS:tR=0.689分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=328.2[M+H]+
化合物3A:エチル5-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0153】
【0154】
MeCN(150mL)中の化合物2A(9.0g、27.46mmol)およびDMF(600μL)の混合物に、POCl3(21.05g、137.30mmol)を加えた。混合物を、70℃で1時間撹拌した。反応を、濃縮し、水(50mL)および飽和NaHCO3(50mL)で洗浄し、酢酸エチル(100mL*3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル中の52~62%酢酸エチル)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色油状物として化合物3A(3.5g、収率41.2%)を得た。
LCMS:tR=0.742分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=310.2 [M+H]+
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ = 7.80 (d, J = 0.4 Hz, 1H), 7.70-7.64 (m, 1H), 7.37 (d, J = 4.8 Hz, 0.3H), 7.35 (d, J = 4.8 Hz, 0.7H), 4.44 (t, J = 4.4 Hz, 0.7H), 4.30-4.25 (m, 2H), 4.23-4.14 (m, 1H), 4.00 (dd, J = 3.2, 12.0 Hz, 1H), 3.79 (t, J = 11.2 Hz, 0.4H), 3.42-3.19 (m, 1H), 2.47-2.37 (m, 0.8H), 2.29-2.06 (m, 3H), 1.91-1.77 (m, 0.4H), 1.35-1.31 (m, 3H).
化合物4A:(5-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0155】
【0156】
THF(20mL)中のLiAlH4(860mg、22.60mmol)の混合物に、0℃でTHF(20mL)中の化合物3A(3.5g、11.30mmol)を加えた。混合物を、0℃で1時間撹拌した。反応を、水(860μL)、15%NaOH(860μL)、および水(2580μL)でクエンチした。混合物を、無水硫酸ナトリウムで脱水し、室温で0.5時間撹拌し、ろ過し、濃縮して、黄色固形物として化合物4A(2.7g、収率89.4%)を得た。
LCMS:tR=0.635分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=267.8[M+H]+
化合物5A:(5-(1-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0157】
【0158】
MeCN(100mL)中の化合物4A(2.7g、10.11mmol)の混合物に、NBS(2.34g、13.14mmol)を加えた。混合物を、室温(16~20℃)で1時間撹拌した。反応を、濃縮して粗生成物を得、これを、シリカゲル(ジクロロメタン中の2.2%メタノール)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固形物として化合物5A(2.5g、収率71.63%)を得た。
LCMS:tR=0.717分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=347.8 [M+H]+
化合物6A:(5-(8-アミノ-1-ブロモイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0159】
【0160】
IPA(15mL)中の化合物5A(2.5g、7.21mmol)の混合物に、NH3・H2O(15mL)を加えた。混合物を、100mLの封管中で100℃で12時間撹拌した。反応を、濃縮して、黄色油状物として化合物6A(2.4g、純度98.0%)を得た。
LCMS:tR=0.436分(10~80AB_3分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=327.1[M+H]+
化合物7A:(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0161】
【0162】
1,4-ジオキサン(15mL)/H2O(5mL)中の化合物6A(500mg、1.31mmol、純度97.99%)および(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)ボロン酸(450mg、1.95mmol)の混合物に、窒素下でPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(32mg、0.04mmol)およびK2CO3(375mg、2.62mmol)を加えた。混合物を、窒素下、100℃で12時間撹拌した。反応を、水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL*3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(ジクロロメタン中の2.2%メタノール)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固形物として化合物7A(シス/トランスラセミ体の混合物)(150mg、収率26.4%)を得た。
LCMS:tR=0.723分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=435.1[M+H]+
2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)ボロン酸:
【0163】
【0164】
CH2Cl2(480mL)、PhB(OH)2(12.8g、104.71mmol)、Cu(OAc)2(9.5g、52.35mmol)、NEt3(21mL、151.05mmol)および4Å Ms(5g)中の化合物1a(10g、52.35mmol)の混合物を、室温(25~30℃)で加えた。混合物を、大気下、室温(25~30℃)で16時間撹拌した。混合物を、セライトパッドでろ過した。ろ液を、真空中で濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲル(石油エーテル)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の油状物として化合物2a(11.3g、収率80.8%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ = 7.47 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42-7.36 (m, 2H), 7.19 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.78 (dd, J = 10.0, 2.8 Hz, 1H), 6.71 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H).
-65℃でTHF(150mL)中の化合物2a(11.3g、42.30mmol)溶液に、n-BuLi(19mL、46.53mmol、n-ヘキサン中の2.5N)を、-65℃で加えた。混合物を、-65℃で0.5時間撹拌した。次いで、B(Oi-Pr)3(9.5g、50.76mmol)を、-65℃で加えた。混合物を、-65℃で2時間撹拌した。混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL*3)で抽出し、ブライン(100mL*2)で洗浄した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を生成し、これを、石油エーテル(100mL)から摩砕し、ろ過し、ろ過したケークを、濃縮して、黄色油状物として2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)ボロン酸(4.3g)を得た。ろ液を濃縮し、シリカゲル(石油エーテル中の0~20%酢酸エチル)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色油状物として2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)ボロン酸(3g)を生成した。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.10 (s, 2H), 7.58 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.22 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 6.78-6.68 (m, 2H).
トランス異性体1、化合物2:トランス-(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
トランス異性体2、化合物3:トランス-(5-(8-アミノ-1-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0165】
【0166】
混合物7A(150mg、0.35mmol)を、キラルSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD-H)(250mm*30mm、10μm)、条件:EtOH中の0.1%NH3.H2O、40%、流量80mL/分)により精製した。所望の化合物を含有する画分を、濃縮し、H2O(10mL)およびCH3CN(10mL)で希釈し、凍結乾燥して、白色固形物として化合物2(34.8mg、収率23.2%)および白色固形物として化合物3(29.4mg、19.6%)を得た。2つのシス鏡像異性体は、収集しなかった。
化合物2のスペクトル:
LCMS tR=2.037分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=435.3[M+H]+。
HPLC tR=3.03分(10~80AB_8分.met(HPLC-BJ Ultimate 3.0*50mm 3μm))。
SFC tR=6.119分、光学純度:96.3%。方法の解説:カラム:ChiralPak AD-3 150×4.6mm I.D.、3μm、移動相:A:CO2 B:エタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5.5分でBが5%~40%、40%を3分間保持した後、B5%を1.5分間、流量:2.5mL/分、カラム温度:40℃、背圧:100バール。
1HNMR (400MHz, CD3OD) δ = 7.63 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.54-7.36 (m, 3H), 7.27-7.18 (m, 1H), 7.14 (dd, J = 8.8, 0.8 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.98-6.82 (m, 2H), 4.23-4.07 (m, 1H), 3.75 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 3.62-3.51 (m, 3H), 3.46-3.36 (m, 1H), 2.25-2.15 (m, 1H), 2.13-1.96 (m, 1H), 1.79 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 1.66-1.49 (m, 1H).
19FNMR (CD3OD) δ = -112.240
化合物3のスペクトル:
LCMS tR=2.030分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=435.3[M+H]+。
HPLC tR=3.02分(10~80AB_8分.met(HPLC-BJ Ultimate 3.0*50mm 3μm))。
SFC tR=7.334、光学純度:92.7%。方法の解説:カラム:ChiralPak AD-3 150×4.6mm I.D.、3μm、移動相:A:CO2 B:エタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5.5分でBが5%~40%、40%を3分間保持した後、B5%を1.5分間、流量:2.5mL/分、カラム温度:40℃、背圧:100バール。
1H NMR (400MHz, CD3OD) δ =7.65 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.52-7.37 (m, 3H), 7.29-7.21 (m, 1H), 7.20-7.11 (m, 2H), 7.04 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.99-6.84 (m, 2H), 4.24-4.13 (m, 1H), 3.77 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 3.62-3.51 (m, 3H), 3.48-3.77 (m, 1H), 2.31-2.17 (m, 1H), 2.15-2.01 (m, 1H), 1.91-1.74 (m, 1H), 1.69-1.51 (m, 1H).
19F NMR (400MHz, CD3OD) δ = -112.258.
次の化合物を、方法Aに従って合成した。
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
方法B
化合物2B:エチル5-(((3-アミノ-5-ヒドロキシ-1,2,4-トリアジン-6-イル)メチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0171】
【0172】
アセトニトリル(30mL)中の5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)2-エチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,5-ジカルボキシレート(粗生成物20g、60.88mmol)の混合物に、化合物1B(13g、60.88mmol)およびトリエチルアミン(25mL、182.6mmol)を加えた。混合物を、50℃で16時間撹拌した。混合物を、濃縮して、褐色固形物として化合物2B(粗生成物35g)を生成した。
LCMS:tR=0.582分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Merck RP18 25-3mm))、MS(ESI)m/z=325.9 [M+H]+
5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)2-エチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,5-ジカルボキシレート:
【0173】
【0174】
CH2Cl2(30mL)中の6-(エトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボン酸(1.4g、6.92mmol)溶液に、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(877mg、7.61mmol)およびEDCl(1.6g、8.30mmol)を加えた。混合物を、22~26℃で1.5時間撹拌した。混合物を、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、ブライン(50mL×3)で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、無色の油状物として5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)2-エチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,5-ジカルボキシレートを生成し、これを直接用いる。
化合物3B:エチル5-(2-アミノ-4-ヒドロキシイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0175】
【0176】
アセトニトリル(300mL)中の化合物2B(粗生成物35g、60.88mmol)溶液に、オキシ塩化リン(23mL、243.52mmol)を加えた。次いで、混合物を、70℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を、ジクロロメタン(150mL)で希釈し、pH=8まで炭酸水素ナトリウム(300mL)の冷却飽和溶液に注ぎ、ジクロロメタン/メタノール(10:1、200mL*4)で抽出し、その後、IPA/CHCl3(150mL*4)を抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、黒色の油状物として化合物3B(粗生成物45g)を生成した。
LCMS:tR=0.13分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Merck RP18 25-3mm))、MS(ESI)m/z=308.0[M+H]+
化合物4B:エチル5-(2-アミノ-5-ブロモ-4-ヒドロキシイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0177】
【0178】
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中の化合物3B(粗生成物45g、60.88mmol)溶液に、NBS(11.8g、66.96mmol)を加えた。混合物を、室温(16~21℃)で0.5時間撹拌した。混合物を、水(300mL)に注ぎ、酢酸エチル(300mL*4)で抽出し、ブライン(500mL*4)で洗浄した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、黒色の油状物として化合物4B(粗生成物19g)を生成した。
LCMS:tR=0.602分(5~95AB_1分_220&254_Agilentクロマトグラフィー(Agilent Poroshell 120 EC-C18 2.7μm 3.0*30mm))、MS(ESI)m/z=388.0[M+H+2]+(ブロミド同位体)。
化合物5B:エチル5-(5-ブロモ-4-ヒドロキシイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0179】
【0180】
テトラヒドロフラン(300mL)中の化合物4B(不純19g、49.19mmol)溶液に、亜硝酸tert-ブチル(12mL、98.39mmol)を、0~5℃で加え、混合物を、室温(16~21℃)で16時間撹拌した。混合物を、別のバッチ(化合物4Bの粗生成物7.2g)で合わせ、濃縮して、粗物質を生成し、これを、シリカゲル(石油エーテル中の0~60%酢酸エチル)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固形物として化合物5B(14.3g、5ステップの場合の収率44%)を生成した。
LCMS:tR=0.753分(5~95AB_1.5分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Agilent Pursult 5 C18 20*2.0mm))、MS(ESI)m/z=370.9 [M+H]+
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.74 (s, 0.3H), 7.72 (s, 0.5H), 4.37 (t, J = 4.8 Hz, 0.7H), 4.29-4.16 (m, 3H), 4.12 (dd, J = 11.6, 2.0 Hz, 0.3H), 3.92 (dd, J = 11.6, 4.0 Hz, 0.7H), 3.70 (t, J = 11.2 Hz, 0.4H), 3.57-3.45 (m, 1H), 2.35-1.92 (m, 4H), , 1.33-1.27 (m, 3H).
化合物6B:エチル5-(4-アミノ-5-ブロモイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート
【0181】
【0182】
アセトニトリル(200mL)中の1,2,4-トリアゾール(28g、404.1mmol)溶液に、POCl3(12.5mL、134.7mol)を、10℃以下で加え、その後、トリメチルアミン(56mL、404.1mmol)を加えた。混合物を、10℃で20分間撹拌し、化合物5B(5g、13.47mmol)を加え、反応混合物を、90℃で1.5時間撹拌した。混合物を、10℃まで冷却し、アンモニア(30mL、28%)を20℃以下の温度を維持しながら加え、10℃で0.5時間撹拌した。スケールが同じ別のバッチを行った。混合物を、合わせ、水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(500mL*3)で抽出し、ブライン(500mL*3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空中で濃縮し、これを、シリカゲル(ジクロロメタン中の2~4%メタノール)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固形物として化合物6B(9g、収率90%)を生成した。
LCMS:tR=0.614分(\5~95AB_1分_220&254_Agilent クロマトグラフィー(Agilent Poroshell 120 EC-C18 2.7μm 3.0*30mm))、MS(ESI)m/z=372.0[M+H+2]+(ブロミド同位体)。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.81 (s, 0.3H), 7.79 (s, 0.6H), 4.36 (t, J = 5.2 Hz, 0.6H), 4.29-4.19 (m, 3H), 4.12 (dd, J = 11.6, 2.0 Hz, 0.3H), 3.93 (dd, J = 11.6, 4.0 Hz, 0.7H), 3.71 (t, J = 11.2 Hz, 0.3H), 3.63-3.48 (m, 1H), 2.35-2.20 (m, 1H), 2.17-1.94 (m, 2.7H), 1.79-1.68 (m, 0.3H), 1.34-1.26 (m, 3H).
化合物7B:(5-(4-アミノ-5-ブロモイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0183】
【0184】
化合物6B(6.1g、16.48mmol)の0~5℃で冷却したテトラヒドロフラン(120mL)溶液に、LiAlH4(1.20g、32.95mmol)を、10℃以下の温度を維持しながら加えた。混合物を、0~10℃で1.5時間撹拌した。混合物に、0~5℃でNa2SO4・10H2O25gを加え、2時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケークを、ジクロロメタン/メタノール(10:1混合物100mL)で2回懸濁し、ろ過した。合わせたろ液を、真空中で濃縮し、残留物を、シリカ(ジクロロメタン中の0~10%メタノール)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固形物として化合物7B(3.9g、収率72%)および黄色固形物として脱臭素化副生成物0.6gを生成した。
LCMS:tR=1.958分および2.016分(\0~60AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm、3μm))、MS(ESI)m/z=328.1[M+H]+。
1H NMR (400MHz, メタノール-d4): δ = 7.80 (s, 0.3H), 7.78 (s, 0.6H), 4.47 (dt, J = 10.0, 2.0 Hz, 0.6H), 4.20-4.13 (m, 0.3H), 3.84 (dd, J = 11.6, 3.2 Hz, 0.6H), 3.64 (t, J = 10.8 Hz, 0.4H), 3.60-3.38 (m, 4H), 2.45-2.36 (m, 0.6H), 2.22-2.13 (m, 0.3H), 2.09-1.96 (m, 1H), 1.93-1.73 (m, 1H), 1.62-1.45 (m, 1H).
化合物8B:(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0185】
【0186】
化合物7B(106mg、0.457mmol)、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(25mg、0.0304mmol)および炭酸カリウム(84mg、0.608mmol)を、反応管に入れ、窒素で3回パージし、1,4-ジオキサン(3mL)および水(1mL)中の(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)ボロン酸(100mg、0.304mmol)を加えた。得られた混合物を、窒素下、100℃で2時間撹拌した。混合物を、濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~100%酢酸エチル)により精製して、黄色油状物として化合物8B(不純80mg、トランス/シスラセミ体の混合物)を生成した。
LCMS:tR=2.274分および2.340分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=436.2[M+H]+。
SFC:tR=4.171分、4.286分、4.454分および5.581分。方法:カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm 移動相:A:CO2 B:メタノール グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する 流量:2.5mL/分、カラム温度:35℃ ABPR:1500psi。
シス異性体1、化合物8:シス-(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
シス異性体2、化合物9:シス-(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
トランス異性体1、化合物10:トランス-(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
トランス異性体2、化合物11:トランス-(5-(4-アミノ-5-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタノール
【0187】
【0188】
化合物8B(80mg)を、分取SFC(カラム:DAICEL CHIRALCEL OJ-H(250mm*30mm、5μm)、条件:CO2中の30%MeOH(0.1%NH3H2O)、流量:60mL/分)によりさらに分離して、不純化合物116.8mgを生成し、これを、分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 100*40mm*3μm、条件:25~55%(A:水(0.225%FA)、B:CH3CN)、流量:25mL/分)によりさらに精製して、白色固形物として化合物11(1.7mg、2ステップの場合の収率1%)を生成した。SFCの後、他の3つのピークの混合物(40mg)を、キラルSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK IG(250mm*30mm、10μm)、条件:CO2中の55%MeOH(0.1%NH3H2O)、流量:80mL/分)によりさらに精製して、白色固形物として化合物8(8.6mg、2ステップの場合の収率6.4%)、白色固形物として化合物9(6.7mg、2ステップの場合の収率5%)および白色固形物として化合物10(5.4mg、2ステップの場合の収率4%)を生成した。
化合物8のスペクトル:
LCMS:tR=2.356分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=436.2[M+H]+。
HPLC:tR=3.00分(10~80CD_8分.met.クロマトグラフィー(XBridge Shield RP 18 2.1*50mm 5μm))。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.84 (s, 1H), 7.54 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.26-7.20 (m, 1H), 7.17-7.12 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 10.8, 2.4 Hz, 1H), 4.56-4.51 (m, 1H), 3.89 (dd, J = 11.6, 3.6 Hz, 1H), 3.65-3.48 (m, 4H), 2.51-2.42 (m, 1H), 2.12-2.02 (m, 1H), 1.99-1.85 (m, 1H), 1.64-1.55 (m, 1H).
SFC:tR=4.059分、光学純度99.94%。
方法:カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm 移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する、流量:2.5mL/分 カラム温度:35℃ ABPR:1500psi。
化合物9のスペクトル:
LCMS:tR=2.340分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=436.3[M+H]+。
HPLC:tR=2.99分(10~80CD_8分.met.クロマトグラフィー(XBridge Shield RP 18 2.1*50mm 5μm))。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.84 (s, 1H), 7.53 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.25-7.19 (m, 1H), 7.17-7.12 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 8.4, 2.0 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 11.2, 2.4 Hz, 1H), 4.56-4.50 (m, 1H), 3.88 (dd, J = 12.0, 3.6 Hz, 1H), 3.65-3.48 (m, 4H), 2.50-2.41 (m, 1H), 2.12-2.02 (m, 1H), 1.97-1.86 (m, 1H), 1.64-1.55 (m, 1H).
SFC:tR=4.161分、光学純度100%。
方法:カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm 移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA) グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する、流量:2.5mL/分、カラム温度:35℃ ABPR:1500psi。
化合物10のスペクトル:
LCMS:tR=2.410分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=436.3[M+H]+。
HPLC:tR=2.98分(10~80CD_8分.met.クロマトグラフィー(XBridge Shield RP 18 2.1*50mm 5μm))。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.86 (s, 1H), 7.50 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.26-7.20 (m, 1H), 7.17-7.12 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 10.8, 2.4 Hz, 1H), 4.24-4.18 (m, 1H), 3.75 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 3.68-3.48 (m, 4H), 2.27-2.19 (m, 1H), 2.16-2.04 (m, 1H), 1.84-1.76 (m, 1H), 1.59-1.47 (m, 1H).
SFC:tR=4.405分、光学純度99.83%。
方法:カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm 移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する、流量:2.5mL/分、カラム温度:35℃ ABPR:1500psi。
化合物11のスペクトル:
LCMS:tR=2.365分(10~80AB_7分_220&254_Shimadzu.lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1*30mm))、MS(ESI)m/z=436.2[M+H]+。
HPLC:tR=3.05分(10~80CD_8分.met.クロマトグラフィー(XBridge Shield RP 18 2.1*50mm 5μm))。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ = 7.86 (s, 1H), 7.50 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.26-7.21 (m, 1H), 7.17-7.12 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 10.8, 2.4 Hz, 1H), 4.24-4.18 (m, 1H), 3.75 (t, J = 10.8 Hz, 1H), 3.68-3.47 (m, 4H), 2.26-2.18 (m, 1H), 2.16-2.04 (m, 1H), 1.84-1.76 (m, 1H), 1.59-1.47 (m, 1H).
SFC:tR=5.802分、光学純度100%。
方法:カラム:Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.、3μm 移動相:A:CO2 B:メタノール(0.05%DEA)、グラジエント:5分でBが5%~40%、0.5分でBが40%~5%、B5%を1.5分間保持する、流量:2.5mL/分、カラム温度:35℃、ABPR:1500psi。
次の化合物を、方法Bに従って合成した。
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
生物学データ:
BTK WTおよびBTK C481S HTRFキナーゼアッセイ
組換えBTK野生型(BTK WT)を、Thermo fisher社から購入した。組換えBTK(C481S)を、SignalChem社から購入した。BTKおよびBTK(C481S)に対する化合物の阻害効力は、Homogenous Time Resolved Fluorescenceアプローチを用いて評価した。
【0193】
簡単に述べると、組換えキナーゼを、化合物の存在下または非存在下、室温で30分間プレインキュベートした。反応を、反応においてキナーゼによりリン酸化され得るATPおよび基質ペプチドを加えることにより開始した。120分のインキュベーション後、反応を、EDTAを含有する検出試薬混合を加えることにより停止した。蛍光を、320nmの励起波長で、それぞれ615nmおよび665nmで測定した。算出したシグナル比665nm/615nmは、キナーゼ活性と比例する。それぞれのキナーゼの50%阻害をもたらす化合物の濃度(IC50)を、XLフィットによる4パラメーターロジスティックフィット(four-parameter logistic fit)を用いて算出した。
【0194】
【0195】
TMD8細胞株p-BTK Elisaアッセイ
TMD-8細胞を、1.5%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地により密度が30000細胞/ウェルの96穴プレート中に入れた。試験化合物を、細胞に加え、細胞を、CO25%、37℃で0.5時間インキュベートした。次いで、過バナジン酸溶液を、細胞に加えて、最終濃度100μMを作製し、細胞を、CO25%、37℃でさらに1時間インキュベートした。化合物の処理後、細胞を溶解し、p-BTKシグナルを、PathScan(登録商標)Phospho-Btk(Tyr223)Sandwich ELISAキット(#23843)を正確に用いる手順に従って検出した。プレートを、波長450nmに設定したMultiscan Spectrumリーダーで読み取った。本データを、GraphPad Prismソフトウェアで処理した。
【0196】
【0197】
HEK293-BTK(WT)およびHEK293-BTK(C481S)
C481S突然変異を含むBTKの完全長cDNAを、QuikChange II XL Site-Directed Mutagenesis Kitを用いて変異原性により生成した。突然変異したBTK cDNAを、配列決定により確認した。次いで、BTK(WT)のcDNAである、BTK-C481Sを、PLVX-Puroレンチウイルスベクターにクローン化した。レンチウイルスを、レンチウイルスベクターおよびパッケージ混合でトランスフェクトされることにより、293T細胞にパッケージした。BTK(WT)、BTK-C481Sレンチウイルスを、HEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、ピューロマイシン2μg/mL中で選択した。安定したポリクローナル細胞株を、WBにより確認し、さらなる試験のために用いた。HEK293-BTK(WT)、HEK293-BTK(C481S)細胞を、ピューロマイシン1μg/mLを含む10%FBS(Gibco;10099)を含む、DMEM(Gibco;12430)中で培養した。すべての細胞を、CO25%により37℃で加湿されたインキュベーターで維持した。
【0198】
HEK293-BTK(WT)およびHEK293-BTK(C481S)細胞を、1.5%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地により密度が5000細胞/ウェルの96穴プレート中に入れた。試験化合物を、細胞に加え、細胞を、CO25%、37℃で1.5時間インキュベートした。化合物の処理後、細胞を溶解し、p-BTKシグナルを、PathScan(登録商標)Phospho-Btk(Tyr223)Sandwich ELISAキット(#23843)を正確に用いる手順に従って検出した。プレートを、波長450nmに設定したMultiscan Spectrumリーダーで読み取った。本データを、GraphPad Prismソフトウェアで処理した。
【0199】
【0200】
TMD-8抗増殖アッセイ
TMD-8細胞を、10%ウシ胎児を含有するRPMI1640培地中で調製し、ウェル当たり1500細胞で、384穴プレートに入れた。細胞を、37℃、CO25%で終夜インキュベートした。インキュベーション後、濃度が異なる化合物を、アッセイプレートに加え、CO25%、37℃でさらに72時間細胞をインキュベートした。インキュベーションの72時間後、CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Reagent15μLを、各ウェルに加え、プレートを、室温で30分間インキュベートした。細胞生存率を、CellTiter-Glo(Promega社、USA)を用いて決定した。CellTiter-Gloアッセイを、製造業者の指示に従って行い、発光を、マルチラベルリーダー(Envision、PerkinElmer社、USA)において決定した。本データを、XLfitソフトウェアで処理した。
【0201】
【0202】
In Vitroラット/ヒト肝細胞クリアランスアッセイ
雄のラット肝細胞および男女混合のヒト肝細胞を、民間の供給業者(例えば、BioreclamationIVT社)から取得し、使用前に-150℃で保管した。被験化合物の10mM原液を、DMSO中で調製した。解凍培地および補充インキュベーション培地(無血清)を、使用前に37℃の水浴に少なくとも15分間入れた。原液を、アセトニトリル198μLおよび10mM原液2μLを合わせることにより、100μMまで希釈した。
【0203】
凍結保存した肝細胞のバイアルを保管から取り出し、確実にバイアルを低温に保った。バイアルを、穏やかに振り混ぜながら、37℃の水浴中で解凍した。すべての氷晶が溶解し、可視できなくなるまで、バイアルを、水浴中で維持した。バイアルを、バイオセーフティキャビネットに移動させる前に、70%エタノールで噴霧した。次いで、内容物を、50mLの解凍培地円錐管に注いだ。バイアルを、室温にて10分間100gで遠心した。解凍培地を吸引し、肝細胞を無血清インキュベーション培地で再懸濁して、およそ1.5×106細胞/mLとした。
【0204】
細胞生存率および密度を、トリパンブルー色素排除法を用いてカウントし、次いで、細胞を、ワーキング細胞密度1×106生存細胞/mLまで、無血清インキュベーション培地で希釈した。1×106生存細胞/mLの肝細胞の一部は、陰性対照としてプレートに加える前に10分間煮沸して、酵素活性を除去した。ほとんどまたはまったく基質代謝ターンオーバーが観察されるべきではないためである。不活化肝細胞を用いて、陰性サンプルを調製し、これらを用いて、化学薬品自体の不安定性がもたらす、誤解を招きやすい因子を排除した。
【0205】
247.5μLの肝細胞のアリコートを、96穴のコーティングされないプレートの各ウェルに分配した。プレートを、およそ10分間オービタルシェーカーにおけるインキュベーターに入れた。100μM試験化合物2.5μLのアリコートを、コーティングされない96穴プレートのそれぞれのウェルに加えて、反応を開始した。本アッセイを2回行った。プレートを、デザインされた時点の間、オービタルシェーカーにおけるインキュベーターに入れた。内容物20μLを移動し、内部標準を有する冷アセトニトリル6体積(120μL)で混合して、5、15、30,45、60、80および100分の時点で、反応を終了した。サンプルを、4000gで20分間遠心し、上澄み100μLのアリコートを、試験化合物の測定のためのLC-MS/MS分析用に用いた。
【0206】
In vitro肝細胞クリアランスを、それらの初濃度からの化合物の消失の排出半減期(T1/2)の決定に基づいて推定した。各化合物(試験または対照)対ISのピーク領域比を算出した。Ln(対照%)対インキュベーション時間(分)曲線をプロットし、直線のフィッティングラインの傾きを算出した。薬物排出速度定数k(分-1)、T1/2(分)、およびin vitro固有クリアランスCLint(μL/分/E6)を、次の等式に従って算出した。
k=-傾き
T1/2=0.693/k
CLint=k/Chep
[式中、Chep(細胞×μL-1)は、インキュベーション系における細胞濃度である]。
Log D決定のための手順
各カセットの標準溶液10μLを、各96穴のラック位置(Log Dプレート)に順番に入れる。飽和オクタノール500μLを、上記の蓋なしLog Dプレートの各バイアルに加え、その後、飽和リン酸緩衝液500μLを加える。成形したPTFE/SIL 96穴プレートカバーで密封する。
【0207】
Log Dプレートを、Eppendorf Thermomixer Comfortプレートシェーカーに移動し、2,000rpm、25℃で2時間振り混ぜる。
サンプルを、25℃にて4,000rpmで30分間遠心して、これらの相を分離する。ピペットおよびシリンジを用いて、オクタノール相および緩衝相から約100μLを、新たな96穴プレートにそれぞれ移す。
【0208】
オクタノールサンプル5μLを、新たな96穴プレートに移動し、その後、100倍オクタノールサンプルとして、内部標準を含有する、H2Oおよびアセトニトリルの混合物(1:1)495μLを加える。1,000rpmで5分間ボルテックスする。
【0209】
100倍サンプル50μLを、新たな96穴プレートに移動し、その後、1,000倍オクタノールサンプルとして、内部標準を含有する、H2Oおよびアセトニトリルの混合物(1:1)450μLを加える。1,000rpmで5分間ボルテックスする。
【0210】
1,000倍オクタノールサンプルを、内部標準を含有する、H2Oおよびアセトニトリルの混合物(1:1)で10,000、100,000および1,000,000倍に連続希釈する。
【0211】
緩衝液サンプル50μLを、新たな96穴プレートに移動し、その後、10倍緩衝液サンプルとして、内部標準を含有する、H2Oおよびアセトニトリルの混合物(1:1)450μLを加える。1,000rpmで5分間ボルテックスする。
【0212】
10倍緩衝液サンプルを、内部標準を含有するH2Oおよびアセトニトリルの混合物(1:1)で100、1,000および10,000倍に連続希釈する。サンプルを、LC/MS/MS分析により評価する。すべての化合物を1回試験する。
【0213】
すべての計算を、マイクロソフトエクセルを用いて行う。オクタノール/緩衝液中の試験化合物の濃度を、LC/MS/MSにより評価する。試験化合物のLog D値を、次の通り算出する。
【0214】
【0215】
DFは、希釈因子を意味する。
平衡透析を用いることによりヒト血漿中のタンパク質結合を測定する手順
各カセットの標準溶液3μLを加えることにより、新しいプラスチックプレートまたは別々のプラスチック管の各バイアルにブランク血漿597μLを加え、1,000rpmで5分間ボルテックスする。有機溶媒の最終体積パーセントは、0.5%であり、試験化合物についての最終濃度は、5μMである。添加された血漿懸濁液50μLを96穴プレートに直ちに移動して、T=0対照サンプルとして作用させる。サンプルを、インキュベーション後のサンプルと同じように処理する。試験期間中、インキュベーターに、すべての残存する添加された血漿を入れる。
【0216】
底板のウェルに挿入物の開口端を上にして置く。リン酸緩衝液(pH7.4)500μLを、緩衝チャンバー(buffer chamber)に加え、これは、白い環により示される。添加された血漿サンプル300μLをサンプルチャンバーに加え、これは赤い環により示される。そのユニットに、ガス透過性蓋を被せ、CO2インキュベーター内のオービタルシェーカーにおいてCO25%、300rpm、37℃で18時間インキュベートする。インキュベーションの終了時に、蓋を取り外し、分析用の分離した96穴プレートに、緩衝チャンバーおよび血漿チャンバーそれぞれから得られた透析後のサンプル50μLをピペットで取る。
【0217】
同時に、プラスチックプレートまたは別々のプラスチック管中の残存する添加された血漿サンプルを、CO2インキュベーター中で、CO25%、37℃で18時間インキュベートする。T=18時間で、元の添加された血漿懸濁液50μLを、分析用の96穴プレートに移す。
【0218】
ヒト血漿50μLを緩衝液サンプルに加え、等量のPBSを収集した血漿サンプルに加える。プレートを、1,000rpmで2分間ボルテックスし、適切な内部標準(IS)を含有するアセトニトリル400μLを加えて、タンパク質を沈殿させ、化合物を放出する。1,000rpmで10分間ボルテックスする。4,000rpmで30分間遠心する。上澄み250μLを、新しい96穴プレートに移し、再度遠心する(4,000rpm、30分)。次いで、上澄み100μLを、分析用の新しい96穴プレートに移す。蒸留水100μLを各サンプルに加え、LC-MS/MSによる分析用に1,000rpmで5分間ボルテックスする。すべての化合物を、ヒト血漿中の5μMで1回試験する。
【0219】
すべての計算を、マイクロソフトエクセルを用いて行う。
試験化合物の非結合パーセント、結合パーセントおよび回収率を、次の通り算出する。
【0220】
【0221】
結果
【0222】
【0223】
【0224】
ラットにおける短期経口吸収(SOA)アッセイ
短期経口吸収(SOA)モデルは、化合物の脳透過性を同定するin-vivoスクリーニングモデルである。ラットにおいて化合物が血液脳関門を通過する可能性を評価するために、全脳対血漿比(Kp,brain)を、AUCbrain/AUCplasmaにより測定した。CSF対血漿比(Kp,CSF)を、それぞれ経口投与後の利用可能な時点でのAUCCSF/AUCplasmaまたはCSF対血漿比の平均のいずれかにより決定した。生体マトリックスにおける遊離画分を、別々の試験におけるin vitro血漿および脳結合アッセイにより決定した。Kp,uu,brainおよびKp,uu,CSFを、次の等式により算出した。(1)Kp,uu,brain=Kp,brain×fu,brain/fu,plasma、(2)Kp,uu,CSF=Kp,CSF/fu,plasma。
【0225】
【国際調査報告】