(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】反射性涙液分泌物を生成するための手順およびデバイス、ならびに引き起こされた涙液流量の大きさを測定するためのキット
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A61B3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540851
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2020088057
(87)【国際公開番号】W WO2021136820
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522262854
【氏名又は名称】ウニベルシダッド ミゲル ヘルナンデス デ エルチェ(ウエメアチェ)
(71)【出願人】
【識別番号】593005895
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオル・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス(セエセイセ)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS(CSIC)
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンテ マルティネス カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ガリャル マルティネス ファナ
(72)【発明者】
【氏名】アコスタ ボイ マリア カルメン
(72)【発明者】
【氏名】メリノ スアレス マリア ルイザ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA02
4C316FC04
4C316FC07
4C316FC14
(57)【要約】
反射性涙液分泌物を生成するため手順であって、少なくとも80%がCO2である高いCO2含有量を有するガスの制御された噴射を適用することによって被験者の眼の角膜を化学的に刺激することを含む。反射性涙液分泌物を生成するための小型のデバイス(1,1’)であって、組成の少なくとも80%がCO2である加圧ガスが入っている使い捨てタイプのカートリッジ形態のガス源(7)と、上記ガス源(7)の出口をデバイス(1,1’)のガス出口ノズル(3)に接続している空気圧回路と、を備え、空気圧回路は、ガスの吹き付けを出口ノズル(3)を通して所定圧力および所定流量で吐出するのに適している圧力調整手段(8)および流量(17)調整手段を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射性涙液分泌物を生成する方法であって、
被験者の眼の角膜に、少なくとも80%がCO
2である高いCO
2含有量を有するガス混合物の制御された噴射を適用することによって、前記角膜を化学的に刺激することを含み、
これは、CO
2と涙液中のH
2Oとの前記涙液における相互作用の結果として炭酸が即座に形成されることにより、前記角膜を覆っている涙液膜のpHの一時的な低下が生じ、角膜表面のポリモーダル侵害受容器の神経終末を刺激するプロトンの放出を引き起こすために行われ、
前記化学的に刺激することが、ガス噴射によって引き起こされる機械的刺激および低温刺激と組み合わされて、最大の反射性涙液分泌物をもたらし、
前記反射性涙液分泌物の大きさが、涙液分泌障害、特にドライアイの診断のために眼科および検眼において使用される涙液流量測定のための従来の技術によって測定されることができる、方法。
【請求項2】
前記角膜表面に向かって適用される前記ガス噴射の出口圧力が、大気圧よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用されるガスの内容が、CO
2を約99%含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス噴射が、150ml/分以上、好ましくは200ml/分以上の流量で前記角膜表面に向かって適用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス噴射が、前記角膜表面の方向に、2秒~6秒、好ましくは4秒である事前設定された時間にわたって適用される短時間の一吹きである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスの噴射または一吹きが、1mm以上、好ましくは10mmの離間距離を維持しながら前記角膜表面に適用される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反射性涙液分泌物を生成するための小型のデバイス(1,1’)であって、
組成の少なくとも80%がCO
2である加圧ガスが入っている使い捨てタイプのカートリッジ形態のガス源(7)と、
前記ガス源(7)の出口を前記デバイス(1,1’)のガス出口ノズル(3)に接続している空気圧回路と、を備え、
前記空気圧回路が、圧力調整手段(8)および流量(17)調整手段を備え、
前記圧力調整手段(8)および前記流量(17)調整手段が、前記ガスの吹き付けを前記出口ノズル(3)を通して、1~1.5バールの所定圧力および少なくとも150ml/分の所定流量で吐出するのに適しており、
前記ガス源(7)および前記空気圧回路が、片手でつかむことができるか、または一般的な眼科検査台の器具保持バーに取り付けることができる筐体(2)内に組み込まれており、
前記デバイス(1,1’)が、
ユーザが操作可能なガス吹き付けトリガー(4)と、
スペーサブラケット(5)と、をさらに備え、
前記スペーサブラケット(5)が、
前記出口ノズル(3)の周りで前記筐体(2)に結合された近位端と、
前記デバイス(1,1')を発射している間、被験者の標的眼窩上に支持され、前記ガス出口ノズル(3)と前記被験者の角膜表面との間に離間距離をもたらす、人間工学的に構成された周縁部を備える遠位端と、を有する、デバイス(1,1’)。
【請求項8】
前記圧力調整手段(8)が、
前記ガス源(7)の前記出口にしっかりと接続されており、
前記ガス源(7)の前記出口におけるガス流の圧力を、事前に確立された設定値である、1.2~1.6バール(120kPa~160kPa)に調整して、前記ノズル(3)の出口において約1.0~1.5バール(100kPa~150kPa)、好ましくは1.25バール(125kPa)の所定圧力をもたらすように構成される、請求項7に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項9】
前記空気圧回路が、前記圧力調整手段(8)の下流に配置され、前記出口ノズル(3)に向かう前記ガス流の通過を制御するように構成された電磁弁手段(13)をさらに備え、
前記流量(17)調整手段が、前記電磁弁手段(13)の下流に配置され、前記出口ノズル(3)に接続されている、請求項7または8に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項10】
前記空気圧回路が、ガス流路に沿った1つまたは複数の中間点で圧力(P1,P2)を測定するように構成された圧力センサ手段(25,26)をさらに備える、請求項7~9のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項11】
前記ガス流の前記圧力センサ手段が、
前記圧力調整手段(8)の出口に存在する中間圧力(P1)を測定するように設計された第1の圧力センサ(25)と、
前記流量(17)調整手段の入口に存在する中間圧力(P2)を測定するように設計された第2の圧力センサ(26)と、を備える、請求項10に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項12】
前記空気圧回路が、前記圧力センサ手段(25,26)によって検出された前記圧力(P1,P2)が前記中間測定点それぞれにおける設定圧力値よりも高いときに前記ガス流を確実に排出するように構成された安全弁手段(9,16)をさらに備える、請求項10または11に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項13】
前記空気圧回路が、前記ガス流路に沿った1つまたは複数の中間点に配置された、固体粒子の濾過手段(10,14)をさらに備える、請求項7~12のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項14】
電力供給手段(14)を備える、請求項7~13のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項15】
前記電力供給手段が、電力供給ネットワークに接続された外部充電器(31)を使用して再充電可能な電池(24)によって構成される、請求項14に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項16】
ライト(21,22,23)および/または音響インジケータ手段をさらに備え、前記ライト(21,22,23)および/または前記音響インジケータ手段が、前記デバイス(1,11’)の、オンまたはオフ状態、トリガーフェーズのアクティブ化、圧力状態警報、電力供給手段の負荷レベルなど、様々に異なる状態および警報状況に連係している、請求項7~15のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項17】
適切なソフトウェアを備えたマイクロプロセッサ(27)によって管理される制御手段を備え、
前記制御手段が、トリガーフェーズがアクティブになっている間に前記圧力センサ(25、26)によって検出された信号および前記電力供給手段(24)の充電状態についての信号を処理するように構成され、これは、前記電磁弁手段(13)に作動信号を送信して、前記ノズル(3)を通じて、制御された、すなわち、事前に確立された出口圧力および流量の条件で所定の時間にわたって被験者の角膜の方向に適用される、ガスの一吹きを発射することを目的としている、請求項14~16のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項18】
前記マイクロプロセッサ(27)が、パーソナルエリア通信(PAN)を備えており、前記パーソナルエリア通信(PAN)は、前記マイクロプロセッサ(27)が、インターフェース/アプリケーションを通して読み取り/書き込みアクションを実行することができる外部デバイスと接続して、NFC技術を使用してカートリッジの識別に関連する情報を取得することを可能にする、請求項17に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項19】
前記スペーサブラケット(5)が、
非対称であり、
前記出口ノズル(3)の周りで回転可能であり、前記被験者の一方の眼または他方の眼で交換可能に使用することができる、請求項7~18のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項20】
前記眼窩と接触するように意図される前記スペーサブラケット(5)の前記周縁部が、より衛生的かつ快適であるように、抗菌性および低アレルギー性を備えた、シリコーンなどの生体適合性材料で作製された保護要素(6)で覆われている、請求項7~19のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項21】
前記保護要素(6)が、前記保護要素(6)の配置および除去を容易にするために、前記スペーサブラケット(5)との接触面に接着剤などの除去可能な固定手段を備えており、前記保護要素(6)は、使い捨て可能であり、被験者ごとの単回使用である、請求項20に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項22】
前記デバイスが、ピストルなどの形態の、持ち運び可能で片手で握れるような寸法の形状をしており、
前記筐体(2)が、ハンドル状部分(2a)および本体(2b)を備えており、前記本体(2b)の前端部には、CO
2吹き付けの前記出口ノズル(3)があり、前記トリガー(4)が、前記筐体(2)の領域に一体化されている、請求項7~21のいずれか1項に記載のデバイス(1,1’)。
【請求項23】
前記トリガーが、前記ハンドル(2a)から人間工学的距離に配置され、前記グリップ部(2a)を保持した同じ手の少なくとも1本の指で作動させることができるトリガー(4)で構成される、請求項22に記載のデバイス(1)。
【請求項24】
前記筐体(2)が、前記ハンドル(2a)の領域内に配置された取り外し可能な部分であって、CO
2カートリッジ(7)を配置するための内部空洞が設けられた取り外し可能な部分を備える、請求項22または23に記載のデバイス(1)。
【請求項25】
前記デバイスが、一般的な眼科検査台の器具保持バーに結合されるような形状をしており、
前記トリガーが、前記筐体(2)とは別のリモート作動手段を備える、請求項7~24のいずれか1項に記載のデバイス(1’)。
【請求項26】
涙液流量の大きさの測定分析を実施するためのキットであって、
請求項7~25のいずれか1項に記載の小型のデバイス(1,1’)と、
眼科疾患、特にドライアイ疾患の診断を目的とした、シルマー試験を実施するための一組の測定ストリップ(40)と、を備え、
前記測定ストリップ(40)が、前記デバイス(1,1’)によって生成される最大反射性涙液分泌物の大きさを測定するために使用されるのに特に適しており、
前記測定ストリップが、長さが30mmを超えるミリメートル濾紙ストリップ(40)で構成され、前記濾紙ストリップ(40)の近位端が、鋭角を排除することにより刺激を回避するために丸みを帯びた縁部を有するタブ(41)として、眼球結膜と眼瞼との間の空間に挿入されるように意図され、
前記濾紙ストリップ(40)が、滅菌されており、前記タブ(41)が、眼麻酔薬の乾燥溶液を含有している、キット。
【請求項27】
前記濾紙ストリップ(40)が、幅が約5~10mmであり、全長が約50mmである、請求項26に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物の角膜表面に化学的刺激を加えることによって、最大の反射性涙液分泌を引き起こすための手順およびデバイスに関する。刺激に反応して分泌される涙液量の測定は、眼疾患および自己免疫疾患、特にドライアイ疾患の診断に使用することができる。
【0002】
本発明はまた、上記デバイスによって生成される涙液流量の大きさを測定するためのキットに関し、このキットは、そのデバイスに加えて、シルマー試験を実施するための、高い分泌量をカバーする改変された一組の測定ストリップを含む。
【背景技術】
【0003】
乾性角結膜炎またはドライアイ疾患(頭字語DEDとしても知られる)は、現在、眼病理学の分野で最大の研究努力が集中している病態の1つである。一般に、DEDの根本的な原因が、涙液生成の減少か、または涙液膜の組成の変化の結果としての涙液膜の過剰な蒸発のいずれかであること、および眼表面の恒常性の維持を担当する複雑な調整機構があり、その変化がこの病気の病理において決定的な役割を果たしているということが、十分に確立されている。しかしながら、その眼表面水分調整システムの機能的特徴および病理学的状況におけるその不調の多くは、まだ分かっていない。
【0004】
眼表面は、眼表面を覆っている、上皮と接触した粘膜水層と外側脂質層とによって形成される涙液膜により適切な湿度を維持している。涙は、特定の腺によって継続的に分泌され、眼瞼が定期的に閉じられるせいで、眼表面全体に均一に供給される。一方、蒸発は、主に環境要因に依存しており、涙液膜の水性成分を継続的に減少させる傾向がある。涙液膜を変化させがちな変わりやすい内因性(涙の組成および体積における変化)要因または環境性(湿度、風、温度)要因にもかかわらず、涙液膜は、通常の条件下では、複雑な神経調節機構のせいで一定の組成および体積を維持しており、この神経調節機構は、陸上哺乳類の眼が絶えずさらされている変化する環境条件に合わせて、涙液の流れおよび瞬きのリズムを調節している。
【0005】
角膜には、眼表面に作用する化学的、機械的、および熱的刺激に反応する多数の敏感な神経終末がある。ポリモーダル侵害受容器、機械的侵害受容器、および冷温受容器感覚ニューロンタイプに属するこれらの末端を刺激することは、反射弓を活性化させ、これは、眼表面の恒常性バランスを再確立するとともに、涙液分泌の反射性増加により、乾燥、外部からの攻撃、または異物から眼表面を保護することを目的とし、涙液分泌の反射性増加は、刺激が全ての角膜ポリモーダル侵害受容器神経線維を活性化したときに最大になる。これらの発見は、眼表面の感覚神経終末の活動についての直接的な生体内および生体外の電気生理学的記録によって確認されている。人間の場合、涙腺に反射的に作用して涙液分泌量を調節する神経活動を直接記録することはできない。涙腺の最大分泌反応を知るには、これを間接的な手法を使用して測定する必要がある。DED患者が分泌可能な最大涙液量を判断することは、眼表面の乾燥を抑える涙腺の実際の能力を評価するために重要である。DEDを診断するために最もよく使用される手法の1つは、基礎涙液分泌を測定するシルマー試験である。臨床的観点から、基礎涙液分泌は、単位時間中に生成される涙の量として定義される。
【0006】
シルマー試験は、眼の下部外側3分の1のところに、35mmの長さの吸収紙のストリップを挿入することで構成され、このストリップを、眼を閉じたまま指定された時間(通常は5分間)維持する。紙ストリップの上部と接触している眼球結膜を覆っている涙液膜は、涙液で濡れており、涙液は紙ストリップの長さに沿って徐々に進行する。試験時間が経過したら、紙ストリップを取り外し、涙液で湿ったストリップの長さを測定し、基礎涙液分泌の流れをミリメートルで表す。健康な患者の通常の測定値は、5分間で紙の目盛りで10mmを超えた濡れた長さに相当する。医療関係者は、DED患者を、基礎涙液分泌値に応じて様々に異なるカテゴリおよび重症度レベルに分類する。
【0007】
紙ストリップと結膜表面との接触が引き起こし得る刺激による患者への不快感を最小限に抑えるために、麻酔を用いたシルマー試験では、麻酔薬の眼科点滴薬が、試験を実行する数分前に、両眼に適用される。局所麻酔下のシルマー試験では、眼の表面から発生する神経反射成分を排除しつつ、基礎涙液流量を測定する。しかしながら、より自然に基礎涙液分泌を測定するためには、基礎涙液分泌の活性化反射性緊張成分で基礎涙液分泌流量を測定する、麻酔なしのシルマー試験が好ましい。しかし、刺激性反射成分を定量化することができないため、麻酔なしのシルマー試験では、涙液分泌に対する眼の表面の神経の神経興奮の寄与、またはそのような刺激が引き起こす可能性のある最大値が、正確に測定されない。
【0008】
したがって、現在のところ、制御された神経刺激に反応して、健康な眼および疾患のある眼の涙腺の最大分泌能力を効率的に評価することを可能にし、眼の表面の基礎涙液不足が、涙腺による分泌能力の病理学的低下か、または他のプロセス(涙液、脂質膜の組成の不調による蒸発の増加、または眼表面の他の病理学的プロセス)によるものであるかを定義することができる方法はない。同様に、前眼部の手術(フォトリフラクティブ手術、白内障、緑内障など)を受けた患者では、眼表面の神経が必然的に様々な程度で損傷しており、これが、基礎涙液分泌を刺激するこれらの神経の能力を低下させ、DEDおよび眼の表面不調につながる。手術に先だって、これらの患者の涙腺の最大分泌能力についての知識は、眼の乾燥の症状が生じるというこの手術の潜在的なリスクを防ぐために重要となる。コンタクトレンズ装用者にも同様のことが起こり、角膜病変の出現を回避するために、装用者に十分な涙液分泌能力があるかどうかを知る必要がある(TFOS DEWS II(登録商標)レポート、http://www.tfosdewsreport.org/を参照)。
【0009】
したがって、涙腺の最大分泌能力、および涙腺の不十分な機能によって引き起こされる涙液流量の減少の程度を知ることは、眼表面の病気の診断および予防のために重要である。この最大分泌能力を知る最も直接的な方法は、これらの腺の分泌を反射的に活性化する、眼表面の感覚神経の活動の過最大刺激による。
【0010】
反射性涙液分泌の流れを判定するために使用される最も伝統的な定性的方法は、綿棒を使用した鼻刺激である。デバイス(長さ8cm、上部の厚さ3.5mm)を鼻腔に挿入し、少し上向きに、側壁と平行に配置する。次に、綿棒を鼻腔内に保持しながら、シルマー試験ストリップを下眼瞼の外側3分の1のところに5分間置く。10mm未満の値は、反射性分泌流量が低いことを示していると見なされる。また、基礎涙液分泌流量を反射的に活性化しようとする鼻刺激デバイスもあり、これは、端部に電極を備えた1つまたは2つのロッドによって構成され、流涙を引き起こすために鼻腔内で放電を生成するものである。ただし、実際には、このデバイスには、電気刺激に次ぐ鼻腔の損傷、鼻血、眼窩周囲の不快感など、一連の悪影響がある。したがって、鼻刺激の両システムは、強度が制御されない間接的な刺激を生成するものであり、非眼組織に刺激性の影響を与える可能性がある。
【0011】
角膜の感度を評価するために使用される眼球空気知覚計は、眼表面との直接接触を確立するのではなく、ガス流を使用して、距離を隔てて眼球神経を刺激する(Acosta MC、Tan ME、Belmonte C、Gallar J.、「結膜および角膜の選択的な機械的、化学的、および熱的刺激によって引き起こされる感覚(Sensations evoked by selective mechanical, chemical, and thermal stimulation of the conjunctiva and cornea)」、Invest Ophthalmol Vis Sci.2001;42、2063-7; Murphy PJ、Patel S、Marshall JA、新しい非接触角膜知覚計(NCCA)、Ophthalmic Physiol Opt 1996 16:101-7)。例として、特許文書である国際特許出願第9412104号は、感度判定の対象である眼の角膜または結膜に、様々な濃度のCO2と空気との混合物を含有したガス流を適用して、定量的知覚測定を実行することを含む手順を記載しており、定量的知覚測定は、口頭での応答または論理的尺度の使用を通じて、機械的、熱的および化学的刺激に対する閾値、および刺激によって引き起こされる不快感の強度を判定するのに役立つ。この特許はまた、空気とCO2との混合物の連続的な流れを提供し、その流れを、三方弁を通じて患者の眼に向けられた吐出カニューレに向かって引き出す手順を実施するための装置についても説明している。適切な流量は、三方弁より上流に配置された流量調整器によって達成され、流量調整器は、実験データに基づいて、または圧力変換器をこの装置に組み込むことにより、ガス混合物によって及ぼされる圧力を推定する(Belmonte C、Acosta MC、Schmelz M、Gallar J.、「CO2知覚計を用いた機械的および化学的刺激に対する角膜感度の測定(Measurement of corneal sensitivity to mechanical and chemical stimulation with a CO2 esthesiometer)」、Invest Ophthalmol Vis Sci.1999 40:513-9)。
【0012】
記載されているような知覚計は、ガスの混合物のパルス発射によって及ぼされる眼の表面への制御された加圧によって、眼の表面の閾値感度を測定するように設計されており、患者の角膜の感受性の程度を判定することが目的であることに留意されたい(Acosta MC、Tan ME、Belmonte C、Gallar J.、「結膜および角膜の選択的な機械的、化学的、および熱的刺激によって引き起こされる感覚」、Invest Ophthalmol Vis Sci.2001;42、2063-7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ジェニファー ピー.クレイグ(Jennifer P. Craig)他、“TFOS DEWS II 報告書の執行部による概説”、[online]、涙膜及び角結膜ソサエティ(Tear Film & Ocular Surface Society, TFOS)、インターネット<http://www.tfosdewsreport.org/>
【非特許文献2】アコスタ エムシー(Acosta MC)、タン エムイー(Tan ME)、ベルモンテ シー(Belmonte C)、ガラー ジェイ(Gallar J.)、“結膜および角膜の選択的な機械的、化学的、および熱的刺激によって引き起こされる感覚(Sensations evoked by selective mechanical, chemical, and thermal stimulation of the conjunctiva and cornea)”、眼科調査及び視覚科学(Invest Ophthalmol Vis Sci.)、2001年、第42巻、第2063頁-第2067頁
【非特許文献3】マーフィ ピージェイ(Murphy PJ)、ペイテル エス(Patel S)、マーシャル ジェイエー(Marshall JA)、“新しい非接触角膜知覚計(NCCA)”、眼科及び生理光学(Ophthalmic Physiol Opt)、1996年 第16巻、第101頁-107頁
【非特許文献4】ベルモンテ シー(Belmonte C)、アコスタ エムシー(Acosta MC)、シュメルツ エム(Schmelz M)、ガラー ジェイ(Gallar J.)、“CO2知覚計を用いた機械的および化学的刺激に対する角膜感度の測定(Measurement of corneal sensitivity to mechanical and chemical stimulation with a CO2 esthesiometer)”、眼科調査及び視覚科学(Invest Ophthalmol Vis Sci.)、1999年 第40巻、第513頁-第519頁
【非特許文献5】アコスタ エムシー(Acosta MC)、ペラル エー(Peral A)、ルナ シー(Luna C)、ピントル ジェイ(Pintor J)、ベルモンテ シー(Belmonte C)、 ガラー ジェイ(Gallar J.)、“角膜および結膜の感覚神経線維の選択的刺激によって誘発される涙液分泌(Tear secretion induced by selective stimulation of corneal and conjunctival sensory nerve fibers)”、眼科調査及び視覚科学(Invest Ophthalmol Vis Sci.)、2004年、第45巻、第2333頁-第2336頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、この技術は、反射性涙液分泌の最大の流量(その測定により、DED、全身性自己免疫疾患などの病理学上の望ましくない結果の診断および予測、手術後の望ましくない眼表面の乾燥のリスクの予測、またはコンタクトレンズの使用などが可能になる)を生成するために、角膜のポリモーダル侵害受容器の制御された持続的な化学的刺激を生成するように指示されることもないし、それに適切でもない。
【0016】
したがって、角膜侵害受容器の選択的かつ制御された刺激によって得られる、反射性涙液分泌の流量の最大の増加を生み出すために特に適切かつ単純な解決策を有することが望ましく、その結果、得られた涙液分泌量の値(シルマー試験技術によって測定される)により、健康な眼と疾患のある眼の涙腺の分泌能力を客観的に、再現可能に、かつ最適に定量化することが可能になり、したがって、これにより、眼科疾患の正しい診断が保証され、無症候性ドライアイ患者対シェーグレン症候群を患っている患者など、涙液分泌能力の程度が異なる患者の中から健康な被験者をより信頼できる方法で区別することが可能になる。
【0017】
また、ポリモーダル角膜侵害受容器の化学的刺激によって最大反射性涙液分泌を生成するデバイスが、刺激および不快感の感覚を回避しつつ、患者に対する侵襲性が最小限であれば利益がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
提起された問題の解決策を提供するために、反射性涙液分泌物の生成のための手順が開示される。この手順は、被験者の眼の角膜に、少なくとも80%がCO2である高いCO2含有量を有するガス混合物の制御された噴射を適用することによって、角膜を化学的に刺激することを含む。これは、CO2と涙液中のH2Oとの涙液における相互作用の結果として炭酸が即座に形成されることにより、角膜を覆っている涙液膜のpHの一時的な低下がもたらされ、角膜表面のポリモーダル侵害受容器の神経終末を刺激するプロトンH+の放出を引き起こすために行われる。この化学的に刺激することが、最大の反射性涙液分泌物を生じさせ、その反射性涙液分泌物の大きさは、眼科疾患、特にドライアイ疾患(DED)の診断のための従来の技術によって測定することができる。
【0019】
したがって、角膜表面のポリモーダル侵害受容器の神経終末の最大刺激は、少なくとも80%がCO2である高いCO2含有量を有するガス吹き付けの制御された適用によって達成され、これは、最新技術で使用されているシルマー試験を用いて測定された涙液分泌基準値と比較して、反射性涙液分泌流量の大幅な増加をもたらす。同様に、豊富なCO2ガス噴射は、角膜表面と接触すると、機械受容器の終端を刺激し、角膜の温度を一時的に低下させことができ、これはまた、角膜の冷温受容器終端を刺激し、涙液分泌を調節する感覚神経の全体的な完全な刺激を達成する(Acosta MC、Peral A、Luna C、Pintor J、Belmonte C、Gallar J.、「角膜および結膜の感覚神経線維の選択的刺激によって誘発される涙液分泌(Tear secretion induced by selective stimulation of corneal and conjunctival sensory nerve fibers)」、Invest Ophthalmol Vis Sci.2004;45:2333-2336)。
【0020】
結果として、本発明の手順によって生成される反射性涙腺分泌流量の判定は、健康な患者を、DEDに罹患した患者から、この疾患の無症状レベルの疑わしい症例においても明確に区別することを可能にし、より良い診断およびより効果的な治療を可能にするだけでなく、眼表面に対して侵襲性となる可能性のある治療手順(フォトリフラクティブ手術、コンタクトレンズの装着)を適用するとDEDの症状が現れ得るリスクのある患者を特定することが可能になる。
【0021】
同様に、CO2が豊富なガスの噴射の適用は、角膜に限定され、非常に短時間の吹き付けであるため、せいぜい、患者に非常に具合良く許容される、短時間の軽度の不快な感覚を引き起こすだけである。
【0022】
好ましくは、角膜表面に向かって適用されるCO2が豊富なガスの吹き付けの出口圧力は、大気圧よりも高い。後で説明するように、ガスを吐出する出口ノズルの出力において測定される力は、約6mNになり得る。
【0023】
好ましくは、使用されるガスの内容は、CO2を約99%含む。
【0024】
好ましくは、ガス噴射は、150ml/分以上、より好ましくは約200ml/分以上の流量で角膜表面に向かって適用される。
【0025】
また好ましくは、ガス噴射は、角膜表面に垂直に、2秒~6秒、好ましくは4秒である事前設定された時間にわたって適用される短時間の一吹きである。
【0026】
ガスの噴射または一吹きは、1mm以上、好ましくは10mmの離間距離を維持しながら角膜表面に適用される。
【0027】
別の態様によれば、本発明はまた、反射性涙液分泌物を生成するための小型のデバイスに関し、このデバイスは、組成の少なくとも80%がCO2であり、好ましくは、99%がCO2である加圧ガスが入っている使い捨てタイプのカートリッジ形態のガス源と、上記ガス源の出口をデバイスのガス出口ノズルに接続している空気圧回路と、を備える。この回路は、ガスの吹き付けを出口ノズルを通して、1.0~1.5バール(100~150kPa)の所定圧力および少なくとも150ml/分の所定流量で吐出するのに適した、圧力および流量を調整するための手段を備える。ガス源および空気圧回路は、片手でつかむことができるか、または一般的な眼科検査台の器具把持バーに取り付けることができる筐体内に組み込まれており、本デバイスは、ユーザが操作可能なガス吹き付けトリガーと、スペーサブラケットと、をさらに備え、このスペーサブラケットは、出口ノズルの周りで筐体に結合された近位端と、デバイスがガスを発射している間、被験者の標的眼窩上に置かれ、ガス出口ノズルと被験者の角膜表面との間に1cmであり得る離間距離をもたらす、人間工学的に構成された周縁部を備える遠位端と、を有する。
【0028】
本発明の一実施形態では、デバイスの出口ノズルは、直径0.5~0.1mm(好ましい値は、直径0.25mm)である、出力オリフィスを有する。
【0029】
本デバイスの別の特徴によれば、圧力調整手段は、ガス源の出口にしっかりと接続されており、ガス源の出口におけるガス流の圧力を、事前設定値、好ましくは、1.2~1.6バール(120~160kPa)に調整するように構成され、これらの事前設定値は、ノズルの出口において、大気圧から遠くない、約1.0~1.5バール(100~150kPa)、好ましくは1.25バール(125kPa)の所定圧力をもたらすように計算されている。
【0030】
本デバイスの前述の特徴、すなわち、出口ノズルオリフィスの直径、ガス流量、ノズル先端でのガス噴射のCO2濃度、ならびにスペーサブラケットの寸法および形状により決定された、角膜の中心から固定距離にある出力ノズルオリフィスの垂直な位置は、逆円錐形のガス噴射を生成し、ガス噴射の基部は、最大反射性涙液分泌を引き起こすのに十分な角膜神経末端の刺激を得るのに必要なCO2濃度、圧力、および温度のガス噴射で角膜の表面を覆う。
【0031】
本デバイスの別の特徴によれば、空気圧回路はまた、圧力調整手段の下流に配置され、出口ノズルに向かうCO2流の通過を制御するように構成された電磁弁手段を備え、流量調整手段は、電磁弁手段の下流に配置され、上記出口ノズルに接続されている。
【0032】
本デバイスの別の特徴によれば、空気圧回路はまた、ガス流路回路に沿った1つまたは複数の中間点で圧力を測定するように構成された圧力センサ手段を備える。
【0033】
好ましくは、第1のガス流圧力センサは、入口における入口圧力を測定し、機械式流量調節器/減圧装置の出口と遮断電磁弁との間に配置されている。第2のセンサは、出力圧力の測定を担当し、電磁弁の後かつ出口針の前に配置されている。電磁弁の機械的限界は3.1バールであるが、電子的には、入口および出口圧力は、1バール~1.7バール(100~170kPa)に制限されており、好ましい値は、1.5バール(150kPa)である。
【0034】
本デバイスの別の特徴によれば、空気圧回路は、ガス流路回路に沿った1つまたは複数の中間点に配置された固体粒子濾過手段をさらに備える。
【0035】
別の特徴によれば、本デバイスは、電力供給手段を備える。好ましくは、上記電力供給手段は、電力供給ネットワークに接続された外部充電器を用いて再充電可能な電池によって構成される。
【0036】
好都合には、本デバイスはまた、患者に瞳孔をノズル出力と並ばせることを可能にする光源基準、および/またはデバイスの様々に異なる状態および警報状況に連係した音響インジケータ手段を備え、様々に異なる状態および警報状況とは、オンまたはオフ状態、トリガーフェーズのアクティブ化、ガス圧状態アラーム、電力供給手段の負荷レベル、およびシルマーストリップを取り除くタイミングを通知するタイマーなどである。
【0037】
別の特徴によれば、本デバイスは、適切なソフトウェアを用いてマイクロプロセッサによって管理される制御手段と、ガスボトルから得られたパルスの数のカウンタと、を備え、制御手段は、トリガーフェーズがアクティブになっている間に圧力センサによって検出された信号および電力供給源の充電状態についての信号を処理するように構成され、これは、電磁弁手段に作動信号を送信して、ノズルを通じて、制御された、すなわち、事前に確立された出口圧力および流量の条件で所定の時間にわたって角膜に刺激を適用する、CO2の一吹きを発射することを目的としている。本デバイスは、例えば、Bluetoothを介したパーソナルエリア通信(PAN)を利用することでき、本デバイスは、インターフェース/アプリケーションを介して読み取り/書き込みアクションを実行することができる外部デバイスと接続して、NFC技術を使用したカートリッジの識別に関連する情報を取得することが可能になる。
【0038】
好都合には、スペーサブラケットは、非対称であり、右眼または左眼の眼窩に区別なく適用することができるように出口ノズルの周りで回転可能である。
【0039】
加えて、眼窩と接触するように意図されるスペーサブラケットの周縁部は、より衛生的かつ快適であるように、抗菌性および低アレルギー性を備えた、シリコーンなどの生体適合性材料で作製された保護要素で覆われている。
【0040】
好ましくは、上記保護要素は、保護要素の配置および取り外しを容易にするために、スペーサブラケットと接触している面に接着剤などの除去可能な固定手段を備えている。上記保護要素は、使い捨て可能であり、被験者ごとの単回使用である。
【0041】
第1の好適な実施形態によれば、本デバイスは、ピストルなどの形態の、持ち運び可能で片手で握れるような寸法の形状をしており、筐体が、ハンドル状部分および本体を備えており、この本体の前端部には、CO2吹き付けの出口ノズルがあり、トリガーが、筐体の領域に一体化されている。
【0042】
このようにして、自律的で、人間工学的で、軽量で、使いやすく、保守が簡単な、持ち運び可能な手持ち型のデバイスが得られる。
【0043】
好ましくは、トリガーは、グリップ部から人間工学的距離に配置され、グリップ部を保持している同じ手の少なくとも1本の指で作動させることができるトリガーで構成される。
【0044】
加えて、筐体は、ハンドル内に配置された、CO2カートリッジを配置するための内部空洞が設けられた取り外し可能な部分を備える。
【0045】
第2の好適な実施形態によれば、本デバイスは、前額部支持要素および顎のせを備えた細隙灯などの一般的な眼科検査台の器具保持バーに結合されるような形状をしている。このように、そのような台上で利用可能な前額部支持体および顎ガードにより被験者の頭が固定位置に保持されると、この固定された本デバイスによって、被験者の眼にCO2吹き付けを適用することが可能になる。
【0046】
同様に、この固定されたデバイスのトリガーは、ユーザがトリガーを押してCO2吹き付けを生成するときに筐体上での不要な動きを回避するために、赤外線リモコンまたは作動ペダルなど、筐体とは別のリモートコントロール手段を備える。
【0047】
一方で、シルマー試験で使用される従来の濾紙ストリップは、その表面に印刷された目盛りで示された30mmの長さを有することに留意されたい。しかしながら、本特許出願の発明者たちは、CO2を用いた反射性分泌が本発明のデバイスによって引き起こされるとき、涙で湿った範囲がストリップの遠位端に達するために、上記の従来の紙ストリップが短すぎる場合があることが分かった。
【0048】
このため、本発明はまた、眼科疾患、特にドライアイ疾患の診断を目的とした、シルマー試験を実施するための改良された一組の測定ストリップを提供し、上記測定ストリップは、本発明のデバイスによって生成される最大反射性涙液分泌の程度を測定するために使用されるのに特に適している。上記測定ストリップは、長さが30mmを超えるミリメートル濾紙ストリップで構成され、このストリップの、眼球結膜と眼瞼との間の空間に挿入されるように意図される近位端は、鋭角を排除することにより機械的刺激を低減するために、丸みを帯びた縁部を有するタブのような形状になっている。また、濾紙ストリップは、滅菌されており、タブの端部は、涙液膜によって濡らされると局所的に作用する眼麻酔薬の乾燥溶液を含有しており、タブが眼瞼および眼球粘膜の小さな領域に直接接触することによって引き起こされる異物感を軽減するが、刺激時に眼表面の神経終末への麻酔薬の大きな拡散はない。
【0049】
この一組は、デバイスと一緒に、キットとして販売されてもよいし、または本発明のデバイスと組み合わせて使用するのに特に適した消耗品として別個に提供されてもよい。
【0050】
好ましい実施形態によれば、濾紙ストリップは、幅が約5~10mmであり、全長が約50mmである。このようにして、基礎涙液分泌の測定のために市場に出回っている既存のストリップよりも長さが長く幅が狭い紙ストリップが得られ、このストリップは、流涙が非常に豊富にある場合にも飽和を逃れる。
【0051】
添付の図面は、非限定的な例として、本発明の目的である反射性涙液分泌を生成するためのデバイスの2つの好ましい実施形態を示している。これらの図面では、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による、持ち運び可能な手持ち型の小型デバイスの斜視図である。
【
図5】内部の構成要素を示した、
図1のデバイスの長手方向断面図である。
【
図6】CO
2流回路の各チューブの接続を示した、
図5の拡大図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態によるデバイスの主要構成要素のブロック図である。
【
図8】本発明の第2の好ましい実施形態による、従来の眼科検査台の器具保持バーに取り付けられることができる、本質的に水平方向構成のデバイスの斜視図である。
【
図9】本発明の第2の好ましい実施形態による、従来の眼科検査台の器具保持バーに取り付けられることができる、本質的に水平方向構成のデバイスの斜視図である。
【
図10】本発明のデバイスによって分泌される涙液流量を測定するのに特に適したシルマー試験ストリップの概略図である。
【
図11】健康な被験者のグループにおけるCO
2による刺激の前後での涙液分泌値を示すグラフである。
【
図12】健康な被験者のグループにおいて、CO
2に対して正常および強い反応を示す者によって示されるCO
2刺激涙液分泌値の差を示すグラフである。
【
図13】健康な被験者の母集団内のSTRの差を示すグラフである。
【
図14】無症候性患者におけるCO
2刺激デバイスを用いたCO
2刺激の効果を示すグラフである。
【
図15】シェーグレン症候群患者のグループにおけるCO
2刺激に対する反応曲線を示すグラフである。
【
図16】健康な被験者のグループ、無症候性DED患者のグループ、SS患者のグループにおける、BTR(黒色)およびSTR(灰色)の平均値を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
角膜表面の化学的刺激による反射性涙液分泌物の生成のための本発明によるデバイスの第1の好ましい実施形態が、
図1~
図6に示されており、これらの図では、ピストル状に構成された、持ち運び可能な手持ち型のデバイス1が図示されている。
【0054】
デバイス1は、組成の少なくとも99%がCO2である加圧ガスが入っている使い捨てタイプのカートリッジ形態のガス源7と、上記ガス源7の出口をデバイス1のガス出口ノズル3に接続している空気圧回路と、を備える。この回路は、ノズル出口3を通じて、所定の圧力および流量でガス吹き付けを吐出するのに適した圧力調整手段8および流量17調整手段を備える。ガス源7および空気圧回路は、筐体2内に組み込まれている。デバイス1は、ユーザによって操作可能なCO2吹き付けのトリガー4をさらに備える。
【0055】
この第1の実施形態では、デバイス1は、ピストルなどの形態の、持ち運び可能で片手で握れるような寸法の形状をしており、筐体2が、ハンドル状部分2aおよび本体2bを備えており、本体の前端部には、CO2吹き付けための出口ノズル3がある。さらに、この例では、トリガーは、トリガー4によって形成され、このトリガー4は、ハンドル2aを保持している同じ手の少なくとも1本の指で容易に作動されるように、ハンドル2aから人間工学的距離に配置されている。
【0056】
圧力調整手段8は、ガス源7の出口にしっかりと接続されており、ガス源7の出口でのCO2流の圧力を、事前に確立された設定値、好ましくは、1.2バール(120kPa)以上に調整するように構成され、この設定値は、ノズル3の出口においてほぼ大気圧の所定圧力をもたらすように計算されている。
【0057】
空気中に拡散するCO2の量は、各試験でのCO2流量およびガス出口の開放時間によって決定される。CO2流量は固定値に調整されており、ユーザが変更することはできない。CO2出口の開放時間は、デバイスプログラミングで事前設定されており、ユーザが変更することはできない。構成要素の選択およびデバイスの調整次第で、ノズル3の出口でのCO2流量は、周囲条件下(圧力1バール(100kPA)および温度25℃)で50ml/分を超える値に(工場において)調節可能になる。この適用例では、200ml/分の流量を4秒間適用することが予想される。
【0058】
眼の表面上のCO2濃度は、出口ノズル3を通るCO2吹き付けの拡散点と眼の表面との間の距離、ならびに眼までの軌道における大気中へのCO2の薄まり度合いによって決定される。
【0059】
このために、デバイス1は、スペーサブラケット5を備え、このスペーサブラケットは、出口ノズル3の周りで筐体2に結合された近位端と、デバイス1が起動している間、被験者の対象の眼の眼窩上に支持され、ガス出口ノズル3と被験者の角膜表面との間に最適な離間距離をもたらす、人間工学的に構成された周縁部を備えた遠位端と、を有する。この例では、離間距離は10mmであるが、出口ノズル3でのCO2吹き付けの設定された流量および圧力パラメータ次第で、様々に異なり得る。好適な位置決めシステムと組み合わせて適切に使用されている限り、最小距離は、1mmである。
【0060】
この例によれば、上記スペーサブラケット5は、非対称であり、出口ノズル3の周りで回転可能であり、患者の一方の眼または他方の眼で区別することなく試験を実施することができる。眼窩と接触することが意図される周縁部は、快適性を改善するために保護要素6で覆われており、保護要素6は、新しい患者ごとに代替品と容易に交換可能である。この例では、保護要素6は、より衛生的かつ快適であるように、抗菌性および低アレルギー性を備えた生体適合性シリコーンで作製された不織布で作製されている。加えて、保護要素は、保護要素の取り外しを容易にするために、スペーサブラケット5と接触する面に除去可能な接着剤を含んでおり、保護要素は、使い捨て可能であり、患者ごとの単回使用である。
【0061】
この例では、試験中に眼を調べることができるように、壁が開放されたスペーサブラケット5が示されている。しかしながら、透明な材料で作製された、閉鎖された壁体で作られたスペーサブラケットを使用して、眼を見ることをできるようにしながら、CO2の拡散を回避することが可能である。
【0062】
したがって、本発明のデバイス1は、全てのポリモーダル侵害受容器角膜神経を確実に刺激する高いCO2含有量(CO2が80%から開始して、好ましくは、CO2が99%)を有するガスの制御されたパルスまたはブレスを事前設定された時間にわたって一定の流量で、角膜表面からの事前設定された安全距離を維持しながら提供するように構成され、これらは全て、涙液中のCO2とH2Oとの相互作用による炭酸の即時放出の形成により、角膜を覆っている涙液膜のpHを低下させて、それにより、角膜表面のポリモーダル侵害受容器神経終末を刺激するH+プロトンの形成を引き起こすことを目的としている。この刺激は、患者の脳内で中程度の刺激感として知覚されつつ、中脳で反射性涙液分泌を媒介する神経中枢を活性化させ、反射性涙液分泌の量は、眼科疾患、特にドライアイ疾患の診断に使用される従来の技術を用いて測定することができる。
【0063】
このようにして、ユーザは、片目または両目に少なくとも一吹きのCO2吹き付けを適用することからなる各患者に対する試験を実行することになる。
【0064】
本発明のデバイスは、いかなるタイプの試験結果もユーザに提供しないことに留意されたい。試験の結果は、患者が体験する涙液分泌の流量の変化に基づいてユーザによって評価され、好ましくは、さらに後で説明するように、本発明のデバイスと組み合わせて使用するのに特に好適なシルマーストリップを用いて測定されることになる。したがって、デバイス1は、試験評価または診断を行わない。
【0065】
次に、デバイス1の電子部品について、
図5および
図6、ならびに特に、デバイス1の主要部品のブロック図を示す
図7を参照して、説明する。
【0066】
本発明の第1の好ましい実施形態によると、デバイス1は、以下の構成要素を備える。
- ガス源7
ガス源は、使い捨て可能なCO2カートリッジ7(非詰め替え式)である。各CO2カートリッジは、複数の患者がいる場合でも、複数の試験に使用することができる。この例では、約50バール(5000kPa)の圧力で貯蔵された約12gのCO2が(満充填で)入っている医療グレードのCO2含有スチールカートリッジが使用される。カートリッジには、許可されていないカートリッジを用いたデバイスの使用を防ぐ識別システムが備えられている。
【0067】
- 圧力調整手段8
この例では、3/8インチ(37.5cm)のネジ付きCO2カートリッジ用の入口ポートを有するガス圧力調整器が使用される。ガス圧力調整器により、カートリッジ7のガス出口圧力をデバイス1の使用圧力(設定圧力)に調整し、その後、その調整設定をブロックすることができる。この使用圧力の調整は製造時に実行されることになるため、ユーザが操作することはできない。
【0068】
- 入口安全弁9
機械的圧力逃し弁。圧力調整器に設定された圧力よりも高い偶発的な圧力から回路を保護する。CO2は、デバイス1の筐体2の開口部を通って外部に放出される。弁9は、適切な圧力に設定されたばねによって調整される。圧力が通常の値に戻ると、弁9は自動的に閉じる。
【0069】
- 入口フィルタ10
金属スクリーン(AISI 316)は、固体粒子が回路に入って、下流に配置された電磁弁13または患者に損傷を与え得ることを防ぐ。スクリーンピッチは、40ミクロンである。
【0070】
- 入口フィルタ筐体11
入口フィルタ10用の筐体。CO2のための入口および出口接続を有する。
【0071】
- マニホールド12
電磁弁13を支持し、その入口ポートと出口ポートとを接続することを可能にする。
【0072】
- 電磁弁13
電磁弁13は、患者の眼内でのCO2拡散回路の開放を制御するために使用される。双安定型の2方向2位置電磁弁である。12アルミニウムマニホールドを組み込んでいる。電磁弁13の作動は、マイクロプロセッサ27によって生成され、続いて電磁弁ドライバ29によって駆動される2つの信号によって制御され、マイクロプロセッサ27および磁弁ドライバ29は両方とも、後述する電子制御ボード18上に配置されている。
【0073】
- 出口フィルタ14
金属スクリーン(AISI 316)は、固体粒子が、回路に入って、下流に配置された流量17調整手段の閉塞を引き起こし得ること、または患者に到達し得ることを防ぐ。スクリーンピッチは、40ミクロンである。
【0074】
- 出口フィルタ筐体15
出口フィルタ14用の筐体である。CO2の入口および出口接続部を有する。
【0075】
- 出口安全弁16
機械的圧力逃し弁。圧力調整手段8(ここでは圧力調整器)に設定された設定圧力よりも高い偶発的な圧力から回路を保護する。CO2は、デバイス1の筐体2の開口部を通って外部に放出される。弁16は、適切な圧力に設定されたばねによって調整される。圧力が通常の値に戻ると、弁16は自動的に閉じる。
【0076】
- 流量調整手段17
この例では、出口流量制限器が使用され、この出口流量制限器は、所与の圧力について、CO2出口流量を事前定義された値に維持することを可能にする、ノズル3または(直径および長さが)較正済みCO2分注針である。
【0077】
- 電子制御ボード18
デバイス1を制御するために必要な全ての構成要素を組み込んだ電子ボード18は、基本的に以下のとおりである。
・デバイス1のオン/オフ押しボタン19
・リチウムイオン電池24およびその充電回路28
・マイクロプロセッサ27
・入力部:デジタルトリガーボタン20、アナログ入力圧力センサ25および出力圧力センサ26
・出力部:電磁弁ドライバ29を介した電磁弁13の作動
・ライトインジケータ21、22、23
【0078】
- オン/オフボタン19
デバイスの電源がオフの場合、このボタンをしばらく押すとデバイスの電源がオンになる。デバイスがオンになっている場合、このボタンをしばらく押すとデバイスの電源がオフになる。このボタンは、ボタンをしばらく押すか、または事前定義された非アクティブ期間の後に押すことで、デバイスを非常に低消費のスタンバイ状態または「スリープ」状態のままにしておくこともできる。
【0079】
- トリップボタン20
ユーザによって(トリガー4を使用して)起動されたときに電子制御ボード18へのデジタル入力信号を生成する押しボタンである。この信号は、全ての必要な条件が満たされた場合に、マイクロプロセッサ27によって試験を開始するために使用され、したがって、後で説明するように、CO2吹き付けを生成する。
【0080】
- 電力インジケータ21
LEDタイプインジケータ(緑色)である。連続モードがオンの場合、デバイス1がオンであることを示す。ゆらぎモードが点灯している場合、バッテリー充電レベル24が低いことを示す。
【0081】
- バッテリー充電状態インジケータ22、24
バッテリー充電プロセス24の様々な状態(充電中および充電済み)を区別できるLEDタイプのインジケータ(青色)である。
【0082】
- トリップ/圧力インジケータ23
2色LEDインジケータ(緑色/赤色)である。
- 緑色は、CO2吹き付け期間中は継続的に点灯する。
- 緑色は、CO2回路内の低圧を示すためにゆらぎモードで点灯する。
- 赤色は、CO2回路内の障害物を示すために連続モードで点灯する。
- 赤色は、CO2回路の過剰圧力を示すためにゆらぎモードで点灯する。
【0083】
- バッテリー24
24充電式リチウムイオン電池であり、公称電圧は3.7V、容量は約165mA/時間である。この例では、バッテリーが一体化されているため、ユーザはバッテリーにアクセスできない。
【0084】
- 入口圧力センサ25
差動式かつアナログ出力の圧力センサ25である。マイクロプロセッサ27が圧力P1が適切であることを確認できるように、圧力調整手段8の出口で圧力P1を測定する。空のカートリッジ7、過剰な調整手段8出口圧力、またはCO2回路の詰まりを検出するために使用される。
【0085】
- 出口圧力センサ26
差動式およびアナログ出力の圧力センサ26である。マイクロプロセッサ27が圧力P2が適切であることを確認できるように、CO2出口流量制限器への入口で圧力P2を測定する。流量制限器内の過剰圧力およびCO2回路の閉塞を検知するために使用される。
【0086】
- マイクロプロセッサ27
デバイスのステータス情報を処理し、入力に基づいて出力のステータスを管理する。入力信号(デジタルおよびアナログ)ならびに出力信号(電磁弁およびLEDインジケータの作動)を管理することになる、操作に必要な制御ソフトウェアプログラムを含む。
【0087】
- バッテリー充電回路28
バッテリー24の充電を監視する。バッテリー充電状態インジケータ22の動作を監視する。
【0088】
- 電磁弁のドライバ29
電磁弁13の開閉信号(マイクロプロセッサ27で生成される)を調整して、それらを電磁弁13の要件に適合させる。
【0089】
- バッテリー充電用USB30入力部
マイクロUSBコネクタであり、標準USB充電器と互換性がある。電源ピンを使用するだけである。データピンは接続されない。代替的に、ジャックコネクタなどの別のタイプのコネクタを使用することもできる。
【0090】
- 外部充電器31
マイクロUSB充電入力部を備えたデバイス、またはジャックコネクタ用の充電入力部を備えたデバイスのための標準充電器。
入力電圧:110/220V;50/60Hz
出力電圧:連続=5V
【0091】
したがって、手持ち型デバイス1は、電池24によって電力供給され、通常、電気ネットワークに接続せずに使用される。バッテリーレベルが低い場合には、デバイス1を、コンセントに接続された状態で使用して、バッテリー24を再充電することもできる。バッテリー24の再充電は、コンセント電源に接続された外部充電器31(低電圧(110/220V;50/60Hz))を使用することによって実行される。
【0092】
同様に、デバイス1の筐体2は、ハンドル2aの領域に位置する取り外し可能な部分を備え、この取り外し可能な部分は、CO2カートリッジを配置するための内部空洞を備え、CO2カートリッジは、その使用位置におけるカートリッジの密封を保証する貫通(threading)手段などの相互結合手段によって圧力調整手段8に結合することができる。
【0093】
次に、
図6および
図7を参照して、本発明のデバイス1の動作について簡単に説明する。
【0094】
CO2カートリッジ7は、圧力調整手段8(ここでは圧力調整器)に、CO2流を高圧(カートリッジが完全にいっぱいの場合の50バール(5000kPa)~空の場合の0バール(0Pa)の間)で供給する。これを行うには、カートリッジ7を圧力調整器のねじ山付き入口ポートにねじ込む必要がある。これは、過度のガス損失を避けるためにできるだけ素早く行う必要がある。
【0095】
圧力調整器は、デバイス1の製造時に設定された設定値に従って出口圧力を調節することになる。この圧力は、1.2バール(17.4psia、120kPa)以上になる。
【0096】
圧力調整器の出力は、次の3つの接続におけるチューブによって引き出される。
・入口安全弁9に対する接続では、入口圧力が、確立された最大安全を超える場合、
ガスは直接外部に逃げることになり、回路、ユーザ、または患者への損傷の可能性を回避する。
・電子制御ボード18上に配置された入口圧力センサ25に対する接続では、マイクロプロセッサ27が、対応するインジケータ23を用いて、ガス回路で起こり得る故障(低圧、過剰な高圧、または回路の閉塞)を信号で伝えることができるようにする。
・CO2回路の入口フィルタ10の筐体11に対する接続。
CO2流が入口フィルタ10の筐体11を通過すると、入口フィルタ10の筐体11の出口は、チューブによって電磁弁13のマニホールド12の入口に接続されている。
【0097】
マニホールド12の出口は、チューブによって出口フィルタ14の筐体15の入口に接続されている。
【0098】
出口フィルタ14の筐体15の出口は、チューブによって3つの接続に引き出される。
・出口安全弁16に対する接続では、入口圧力が、出口に対して確立された最大安全を超えた場合、ガスは直接外部に逃げることになり、回路、ユーザ、または患者への損傷の可能性を回避する。
・電子制御ボード18上に位置する出口圧力センサ26に対する接続。目的は、出口圧力が所望のCO2流量を達成するのに適切か、およびマイクロプロセッサ27が、対応するインジケータ23を用いてガス回路で起こり得る故障(低圧、過剰な高圧、または回路の閉塞)を信号で伝えることができるか、を確認することである。
・出口流量17調整手段(ここでは流量制限器)は、事前に確立された流量で外部にCO2を排出する。
【0099】
説明した例では、デバイス1は、3つの通常状態(スタンバイ、オン、発射)、2つの警告状態(低圧オン、障害物オン)、並びに警告およびブロッキング状態(過剰圧力)になることができる。これらの状態のそれぞれについて、以下に簡単に説明する。
- スタンバイ状態:LED21、22、23がオフで、非必須の周辺電源装置が無効になっている。マイクロプロセッサ27への電源のみがアクティブであるが、それは「スリープ」状態のままであり、そのクロックおよび周辺機器は非アクティブ化されている。オン/オフボタン19を十分な時間(約2秒)押すことにより、この状態を終了する(「オン」状態になる)ことができる。
- オン状態:システム電源装置は完全に作動しており、マイクロプロセッサ27とその内部発振器が動作している。
- 発射状態:この状態にアクセスするには、適切な動作条件(正しく動作するための適切なバッテリーレベル、および設定値の所定の上限と下限との間にある入力圧力P1)下でトリガー4をアクティブにする。
- 低圧力オン状態(警告):この状態は、CO2回路内で低い入口圧力P1の問題を検出したときにアクセスされる。
- 障害物オン状態(警告):この状態は、CO2回路内で障害物の問題を検出したときにアクセスされる(発射状態時に検出される)。
- 過剰圧力状態(警告およびブロッキング)この状態は、許容される最大値よりも高いCO2流の入口圧力P1を検出したときにアクセスされる。この問題は、デバイスがスリープ状態ではないときに、いつでも検出することができる。
【0100】
本発明の第2の好ましい実施形態は、
図8および
図9に示されており、例えば細隙灯のような従来の眼科検査台(図示せず)の器具保持バーに固定的に取り付け可能な、本質的に水平方向構成の固定デバイス1’を示す。このようにして、そのような検査台によって設けられた前額部支持要素および顎のせにより患者の頭が固定位置に保持されると、この固定されたデバイス1’により、患者の眼にCO
2吹き付けを適用することが可能になる。第1の実施形態の手持ち型の持ち運び可能なデバイス1と共通する要素を識別するのに同じ参照番号を使用した。
【0101】
同様に、この固定されたデバイス1’のトリガーは、ユーザがトリガーを押してCO2吹き付けを生成するときに筐体2上での不要な動きを回避するために、赤外線リモコンまたは作動ペダルなど、筐体2とは別のリモート作動手段(図示せず)を備える。
【0102】
上述したように、シルマー試験で使用される従来の濾紙ストリップは、その表面に印刷された目盛りで示された30mmの長さを有する。本特許出願の発明者たちは、CO2を用いた反射分泌が本発明のデバイスを使用することによって引き起こされるとき、涙で湿った範囲がストリップの遠位端に達するために、上記の従来の紙ストリップが短すぎる場合があることが分かった。
【0103】
このために、本発明はまた、シルマー試験の実行、特に、本発明のデバイス1、1’によって生成された最大反射性涙液生成の測定を実施するのに適したシルマー試験の実行のための改良された一組の測定ストリップ40を提供する。この目的のために、涙液が非常に豊富にある場合の飽和を逃れるために、基礎涙液分泌の測定のために市場に存在しているものよりも長さが長く幅が狭い、いくつかの吸収紙ストリップ40が利用可能である。
【0104】
図10には、本発明による改良されたストリップ40が例として示され、このストリップ40は、幅が約5~10mmであり、全長が約50mmである、濾紙(例えば、Whatman(登録商標)No.41)からなるストリップ40によって形成され、眼球結膜と眼瞼との間の空間に挿入されるように意図されるその近位端は、鋭角を排除することにより刺激を回避するために、丸みを帯びた縁部を有する舌状の形状41を有する。さらに、上記ストリップ40は、エチレンオキシドで滅菌されており、タブ41の端部は、眼麻酔薬の乾燥溶液を含有している。
【0105】
図11は、健康な被験者の涙液量に関する、本デバイスを用いたCO
2刺激の効果を示す。各患者のBTR(黒い点)およびSTR(白い点)の個々の値は矢印で結ばれ、BTRの大きさの順で並んでいる。予備涙液(Tearing reserve)(Tr)の正の値および負の値は、それぞれ赤色および青色で囲まれており、BTR値が高い被験者の間での予備涙液の負の値の発生率の増加を強調している。
【0106】
図12。健康な被験者が、正の予備涙液(Tr)の大きさに従って順に並んでいる。BTRが18mm未満(赤色の矢印)または18mm以上(緑色の矢印)の被験者が、別々にプロットされている。Tr値がゼロまたは負の被験者は除外されている。
【0107】
図13は、健康な被験者からなる母集団内のSTRの差を示している。基礎涙液のシルマー値が10mm以下の健康な被験者は、最大反射性刺激に対して正の反応を維持している(薄い赤色のボックス)。10mmを超えるBTR値を有する健康な被験者は、刺激が涙液を増加も減少もしない(青色ボックス)か、大きな予備涙液を維持している(赤色ボックス)という2つの異なるグループに分けられる。BTRが10mm(+)より大きい被験者のSTR値は、BTRが10mmより小さい被験者のSTR値とは異なっていた(クラスカル・ウォリス、ダン法(Kruskal Wallis, Dunn’s method)、p<0.05)。
【0108】
図14は、無症候性患者におけるCO
2刺激デバイスを用いたCO
2刺激の効果を示す。
図11のように、各患者のBTR(黒色の丸)およびSTR(白色の丸)の個々の値は矢印で結ばれ、BTRの大きさの順で並んでいる。予備涙液の正の値および負の値は、それぞれ赤色および青色で囲まれている。
【0109】
図15は、シェーグレン症候群患者のグループにおけるCO
2刺激に対する反応曲線を示す。データは
図11として表した。各患者のBTR(黒色の四角)およびSTR(白色の四角)の個々の値は矢印で結ばれ、BTRの大きさの順で並んでいる。予備涙液の正の値および負の値は、それぞれ赤色および青色で囲まれている。
図16は、健康な被験者のグループ、無症候性DED患者のグループ、SS患者のグループにおける、BTR(黒色)およびSTR(灰色)のマン・ホイットニー検定*p<0.05の平均値の比較である。
【0110】
実施例
本発明者らは、涙液分泌を刺激するための本デバイスの有効性および再現性を評価し、人間の男女の被験者において、角膜侵害受容器および眼表面の冷温受容器の刺激によって得られた涙腺の最大反射性刺激によって引き起こされた涙液分泌量を、男女の、健康である被験者および眼の乾燥を2つの重症度レベルで有する被験者において、本発明に記載されるデバイスを用いて測定した。無症候性およびシェーグレン症候群(SS)を、基礎シルマー試験値、涙液メニスカスサイズ;涙液膜破壊時間(TBUT)、オックスフォードスケールおよびマクモニー質問票で等級分けされた角膜汚染レベルを使用して診断した。2つの患者グループの患者を使用した。グループ1(対照)は、20~69歳(n=53)の健康で無症候性の男女のボランティアで構成され、シルマー試験は、3分で8mmより大きく、TBUTは、7秒より大きく、表在性点状角膜炎(SPK)は、0度であった。グループ2(眼科患者)には、20歳~69歳までの男女46名の被験者が含まれ、これらの被験者を次のように分けた。
【0111】
A.無症候性DED患者であって、シルマー試験が、3分で10mm未満、TBUTが、7秒未満(n=13)。
【0112】
B.シェーグレン症候群(SS)患者であって、この病状を特定するために確立された標準的な基準に従って、一次性SSまたは二次性SSに関連するドライアイと診断された患者(n=30)。
【0113】
シルマー試験値を、対照被験者、無症候性の無症状低BTR患者、および重度のドライアイ(SS)患者において、片方の眼において基礎条件下で(基礎涙液量(basal tear rate、BTR))、および10分後に反対側の眼において本発明のデバイスを用いて4秒間のCO2パルスを適用した直後に(刺激後涙液量(stimulated tear rate、STR))得た。
【0114】
シルマー紙ストリップを適用する直前に、3μlの2%リドカインをマイクロピペットを用いて結膜と接触しているストリップのフラップに注入し、この領域の眼瞼粘膜のみを局所的に麻酔して、結膜の機械的刺激を回避した。BTRを安静条件下で3分間測定した。
【0115】
CO2刺激によって引き起こされる反射性涙液分泌は、対照測定の眼とは反対側の眼で10分後に行った。このために、軌道に眼窩を当てて、患者に流出オリフィスを直接見るように求めた。次いで、99%がCO2であるパルスを適用した。その後すぐに、タブに2%リドカインを3μl含浸させたシルマーストリップを、刺激した眼の下眼瞼に置き、3分間維持してSTRを得た。麻酔下でのシルマー試験の通常の実行では、0.4%オキシブプロカイン10μlを結膜嚢に注入して、5分間待ってからシルマー試験を実行することは、注目すべきである。
【0116】
CO2刺激は、涙液流量の大幅な増加を引き起こした。正の反応をした者の平均STRは、20.8±1.3mmであり、これは平均BTR値(14.2±1.1mm)の46.5%増加を表す(p<0.001、ウィルコクソン検定)。男性および女性の健康な被験者の間でBTR値とSTR値との統計的差異は見出されなかった(それぞれ、p=0.981およびp=0.306、マン・ホイットニー検定)。
【0117】
図12では、健康な被験者のグループ(n=46)の全てのメンバーのBTRおよびSTRの個々の値が、BTR値に従って並んでいる。この表現は、刺激に対する正の反応(赤色の矢印)の発生率が高い(全体の72.4%)こと、およびCO
2によって引き起こされたSTR値がBTRを超えない被験者の数が少なかったことを示している。STR値の幅には、かなりばらつきがあり、5mmから最高ピーク値40mm付近まであった。
図12はまた、刺激前のBTR値が10mm未満の健康な被験者では、刺激に対するゼロまたは負の反応は全く観察されなかったが、刺激前のBTRレベルが高い被験者の間では、頻度が高くなり、また負の値が大きくなる傾向があることを示している。
【0118】
健康な被験者ごとに、BTRとSTRとの差を測定したが、これが、予備涙液(Tr)と名付けられ、通常、健康な被験者では正である(赤色の矢印、
図12)であるパラメータである。刺激前のBTR値が低く、7~10mm(n=16)であった全ての被験者は、刺激に対して正の反応を示し、平均Trは、+6.8±0.9mmであった。10mmを超えるBTRレベルを示した被験者(n=30)のうち、3分の2が、依然として、CO
2刺激で涙液を増加させることができ、同様の平均Tr=+7.1±0.8mmを有し、残りの被験者は、負のTrを示した(青色の矢印、
図12)。BTRが18mm以上を示した14人の被験者のグループ内で、11人がCO
2刺激に反応して依然として盛んに涙液を生成し、平均Tr値+6.6±1.0mm(n=11)に達した(
図13、緑色の矢印)ことは、注目すべきである。
図13は、この被験者のサブグループの大量の総涙液量を生成する驚くべき能力を強調したものである。そこでは、正の反応を示した健康な被験者のBTR値およびSTR値が、Tr値の大きさに従って並んでいるが、BTR値が18mm未満である被験者(赤色)、または18mmを超える被験者(緑色)が、別にプロットされている。このグラフは、高いBTRを示す被験者のサブグループが、涙液分泌を著しく増加させて反応する能力を依然として維持しており(つまり、通常の予備涙液値を維持している)、したがって、BTRが低い被験者と比較して、より高い最終STR値を引き起こすことができることを示している。したがって、すでに高いBTR(18mm以上)を有する強く反応する被験者のこのサブグループのSTRの平均値(30.0±2.0mm)は、BTRが18mm未満のCO
2刺激に積極的に反応する被験者(17.0±0.9mm;p<0.001、マン・ホイットニー検定)よりも大幅に高くなる。
【0119】
図14において、全ての健康な被験者の平均STRを表した。BTRが10mm以下(全体の34.8%、明るい赤色のボックス)の被験者は、CO
2刺激に積極的に反応した。BTR値が高い被験者を、刺激を受けたときに流涙をさらに増やすことができない被験者または流涙量が低くなりさえする被験者(全体の17.4%、青色のボックス)と、刺激下で流涙を増加する能力を維持しているグループ(全体の47.8%、赤色のボックス)と、に細分することができた。
【0120】
全体として、我々のデータは、健康な被験者における総涙液分泌能力の個人差が十分にあり、BTR値によって正常と見なされる被験者は、実際に最大流涙能力に近くなっている可能性があることを示している。
【0121】
無症候性DEP患者である個人からなるグループは、BTRが7mm未満および/またはTBUTが7秒未満、低い涙液メニスカス高さ、および中等度のDEDを臨床的に示唆する中程度のレベルの角膜結膜上皮症によって特徴付けられるが、マクモニー質問票のスコアによると、病気の自覚症状はなかった。
【0122】
この無症候性グループに属する12人の患者のCO
2刺激によって引き起こされた流涙量の変化を
図14に示す。彼らの反応曲線のプロファイルは、健康な被験者で得られたものと質的に非常に似ている(
図11と比較されたい)。ただし、健康な被験者とは対照的に、無症候性DED患者では、CO
2刺激に対する負の反応または無反応の発生率が高く、BTR値が低い被験者にすでに現れている。さらに、無症候性患者のうち2人だけは、ピークSTRの値が16mmを超えている。それでもやはり、BTRが7mm未満の患者における基礎条件下での低涙液分泌は、侵害受容刺激下での分泌を増加させる涙腺の能力を完全に損なうものではないようである。実際、グループの平均予備涙液(Tr)値は+6.1±1mm、n=7であり、BTRが10mm未満の健康な被験者の同等物のTr値よりわずかに低いだけであった(
図11と
図14を比較されたい)。ただし、無症候性DED患者の半数以上は、CO
2刺激下で10mmのピーク涙液量に達することができなかった。統計分析では、無症候性DED被験者のBTRとSTRとの間の有意な相関は示されなかった(p=0.6、ピアソン相関係数=-0.168)が、BTRとTrとの間の負の相関が示された(p=0.024、ピアソン相関係数=-0.642)。
【0123】
SS-DED患者のグループは、リウマチ科サービス(the Service of Rheumatology)によって眼科へ抽出された、一次性SS(9人の患者)または二次性SS(21人の患者)と診断された30人の患者で構成された。
【0124】
SSグループの全てのメンバーのCO
2に対する個々の反応を
図15に示す。そこでは、患者は、対照グループおよび無症候性グループと同様に、BTR値に応じて順に並んでいる。7mm以下のBTR値までは、ほとんどの患者(17/21)は、CO
2刺激に対して、正だが中程度の涙液反応を示した(平均上昇:+3.1±0.6mm、n=17)。BTRが7mmより大きい場合、9人の患者のうち3人だけが1~3mmだけシルマー試験スコアが増加したが、残りの患者では、変化しないかまたは減少した。まとめると、これらのデータは、SS患者のTrが概して非常に低く、BTRが、それらの患者の約50%においてすでに基礎条件下で最大レベルまたはその付近にあるように見えることを示している。
【0125】
図16は、健康な被験者、無症候性のDED被験者、およびSS-DED患者で得られたBTRおよびSTRの平均値をまとめたものであり、SS-DED患者が基礎条件下で著しく低い涙液分泌を示すことが確認されるが、これらの患者では、涙腺の機能不全にもかかわらず、最大反射性刺激下で涙液流量を増加させる能力が依然として残っていることが示されている。同様の分泌パターンは無症候性の患者でも観察され、無症候性の患者では、わずかに高くなっているBTRおよびSTRの値が、率直なDED症状の出現を妨げているようである。
【0126】
本明細書では、新しい眼科器具を用いて得られた結果を報告し、この眼科器具は、角膜表面を神経支配する感覚神経末端の、CO2によって引き起こされる最大刺激を生成し、それによって涙腺分泌の強力な反射活性化および水性涙液流量の増加を引き起こすものである。涙液量のこの突然の増加は、腺の最大の急性分泌能力を表している可能性がある。健康な被験者とDEDと診断された患者との間でこの手順で得られた結果を比較したところ、CO2刺激によって引き起こされた基礎レベルを超える涙液流量の上昇が、定義されたDEDの眼の兆候および症状を示すシェーグレン症候群患者だけでなく、涙液膜の安定性および体積の異常ならびに不連続の角膜上皮損傷など、DEDの中程度の兆候を示しているが、DEDの自覚症状を訴えることのない患者においても、非常に低かったことが証明された。このように、この簡単な手順で最大反射性涙腺分泌を測定することで、患者の涙腺の機能状態と、眼表面の乾燥の進行を防ぐそれらの涙腺の能力に関する有用な情報がもたらされ得る。BTRは低いが疾患の症状がない被験者がDEDに進行することを追跡および予測するのにも有用であり得る。それらの被験者のほとんど全員は、刺激下で基礎流涙量を上げることができず、正の反応をした人のSTRは、健康な被験者によって示されたBTRの平均値を決して超えることがなかった。反応曲線は、SS患者の反応曲線に非常に似ているため、これらが、潜在的な、初期段階の涙腺機能不全の患者である可能性があるという見解を補強する。臨床的には、SS患者の基礎流涙レベルは、自己免疫異常によって生じる涙腺損傷の大きさの重要な機能的兆候として一般的に使用される。我々のデータは、健康な被験者とは対照的に、ほとんどのSS患者が、BTRから離れて狭い範囲内で変化する、12mmを超えることはめったにない最大分泌能力を有することを示している。この観察結果の当然の結論は、SS患者の予備涙液を増加させて彼らの低い基礎流涙を高めることを目的とした治療手順は、これらの患者がまだ利用できる潜在的な涙液量の増加の実際の範囲を考慮に入れるべきであるということになる。
【0127】
要するに、我々の観察は、角膜神経の反射性化学刺激によって引き起こされた最大涙液流量値は、涙液分泌腺の機能的状態を合理的な忠実度で反映している、という見解を裏付けている。さらに、最大分泌能力値および予備涙液値は、涙腺の機能的能力を予測して、環境上の負荷に反応する、および不十分な涙液流量が眼表面の変化した状態を悪化させる一因となる、眼表面の感染および/または炎症を伴う様々な全身性の不調または眼の不調に抵抗するのに役立ち得る。角膜上皮およびその神経の損傷、ならびにそれに伴う炎症および不快な乾燥および痛みの感覚を防ぐために、手術後または長期のコンタクトレンズ装用下での眼表面ストレスに反応する反射性補償流涙が重要であることはよく知られている。眼表面の制御された反射刺激を使用して、フォトリフラクティブ手術を予定している患者またはコンタクトレンズ使用者の涙腺分泌状態について知ることは、眼科専門家が、一部の患者に対して眼の屈折状態を改善するためにこれらの手順を適用する前に、それらの患者におけるこれらの手順の利便性および潜在的なリスクについて情報に基づいた決定を行うのに役立ち得る。
【国際調査報告】