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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】細胞送達物品および投与の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20230306BHJP
   A61K 35/39 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 35/26 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 35/32 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 35/33 20150101ALI20230306BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 38/29 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 38/27 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230306BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230306BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230306BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230306BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230306BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61K35/12
A61K35/39
A61K35/17 Z
A61K35/26
A61K35/28
A61K35/32
A61K35/33
A61K38/26
A61K38/28
A61K38/29
A61K38/27
A61K38/22
A61P1/18
A61P3/00
A61P3/10
A61P35/00
A61P5/14
A61P25/00
A61P17/02
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70 401
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541813
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021013210
(87)【国際公開番号】W WO2021146265
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/960,536
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/017,519
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511227440
【氏名又は名称】インキューブ ラブズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イムラン, ミル エー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076BB11
4C076BB21
4C076CC01
4C076CC16
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC27
4C076EE05H
4C076EE13
4C076EE17H
4C076EE23
4C076EE25H
4C076EE26
4C076EE30
4C076EE31H
4C076EE36
4C076EE41H
4C076EE43
4C076EE43H
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DB22
4C084DB30
4C084DB32
4C084DB34
4C084DB35
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA55
4C084MA65
4C084MA66
4C084MA67
4C084NA10
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA89
4C084ZB26
4C084ZC06
4C084ZC21
4C084ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB43
4C087BB44
4C087BB46
4C087BB51
4C087BB63
4C087CA04
4C087MA05
4C087MA17
4C087MA28
4C087MA32
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA55
4C087MA65
4C087MA66
4C087MA67
4C087NA10
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA89
4C087ZB26
4C087ZC06
4C087ZC21
4C087ZC35
(57)【要約】
本出願は、細胞を周りの組織に取り込み、細胞産物を発現するのを可能にする様式で、細胞を身体に送達するための細胞送達物品および方法に関する。細胞送達物品は、一般に、そのような取り込みが起こるのを可能にする期間、細胞の生存能力を維持することができる。加えて、細胞送達物品は、細胞送達物品が免疫系に認識されるのを防止するか、および/または細胞送達物品に入り、細胞に達する栄養素および酸素を妨げ得る線維性組織の発生を最小化もしくは防止する、バイオゴーストコーティングを含んでいてもよい。細胞送達物品は、さまざまな投与の経路による送達のために製剤化されていてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバー外壁を含むリザーバー;
前記リザーバーと化学的に連結している少なくとも1つのプラグであって、酸素供給構成要素を含む、プラグ;および
前記リザーバー内に配置された複数の細胞
を含む、細胞送達物品。
【請求項2】
前記リザーバー外壁が、酸素および栄養素の通過を可能にし、免疫系細胞およびタンパク質の通過を防止するようなサイズの複数の細孔を規定する、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項3】
前記細孔のそれぞれが、0.2マイクロメートル~7マイクロメートルの範囲内の直径を有する、請求項2に記載の細胞送達物品。
【請求項4】
前記リザーバー外壁の少なくとも一部を被覆するバイオゴーストコーティングをさらに含み、前記バイオゴーストコーティングが、免疫応答を誘発するのを防止するように構築される、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項5】
前記バイオゴーストコーティングが生体模倣ペプチドを含む、請求項4に記載の細胞送達物品。
【請求項6】
前記生体模倣ペプチドがマルチアームペプチドを含む、請求項5に記載の細胞送達物品。
【請求項7】
前記マルチアームペプチドがコラーゲンの細胞結合ドメインの類似体である、請求項5に記載の細胞送達物品。
【請求項8】
前記リザーバー外壁が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、多孔質ポリイミド、ポリスルホンまたはセルロースを含む、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項9】
前記リザーバー内に配置された媒体をさらに含み、前記媒体が、前記細胞を支持するように構築され、前記媒体が、アルギン酸塩、アルギン酸ゲル、ポリリシン、ポリ-L-オルニチン、アガロース、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項10】
前記細胞が、膵島、膵島アルファ細胞、膵島ベータ細胞、膵島デルタ細胞、インクレチン細胞、免疫細胞または幹細胞を含む、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項11】
前記細胞が、インスリン、グルカゴン、胃抑制ペプチド、グルカゴン様ペプチド、副甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、成長ホルモン、または前述の2つもしくはそれよりも多くの組合せを産生する、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項12】
前記細胞が、軟骨細胞、線維芽細胞、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプラグのうちの1つが、シリコーンを含み、前記酸素供給構成要素が、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウムおよび酸化マグネシウムを含む群から選択される1つまたは複数の製剤を含む、請求項1に記載の細胞送達物品。
【請求項14】
細胞送達物品を対象の身体に導入するステップ;
酸素供給源から酸素を発生させて、複数の細胞の支持を支援するステップ;ならびに
バイオゴーストコーティングを使用して、前記細胞送達物品が対象の免疫系に認識されるのを防止するステップ
を含み、
前記細胞送達物品が、
多孔質外壁を含むリザーバー内の複数の細胞;
前記複数の細胞を支持するように構築された、前記リザーバー内に配置された媒体;
酸素供給源;および
リザーバー外壁を被覆する、生体模倣材料を含むバイオゴーストコーティング
を含む、
細胞を組織部位に送達する方法。
【請求項15】
前記バイオゴーストコーティングが、コラーゲンの細胞結合ドメインの類似体であるマルチアームペプチドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組織部位が、小腸、大腸、結腸、肝臓、網、腹膜、卵巣、子宮、甲状腺、脳、髄腔内空間、皮膚、筋肉、血管または眼である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記組織部位への前記細胞の取り込みを可能にするのに十分な期間、前記細胞送達物品を前記組織部位で維持するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
投薬スケジュールを含む状態に対する処置レジメンを提供するステップ;および
前記投薬スケジュールに従って、剤形中に1つまたは複数の細胞送達物品を含む用量を投与するステップ
を含み、
前記1つまたは複数の細胞送達物品が、複数の細胞、ならびに前記細胞を支持するための媒体および酸素供給源を含む、
細胞を対象に投与する方法。
【請求項19】
前記投薬スケジュールが、前記用量を定期的に投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記投薬スケジュールが、所定の日数の間1日1回、所定の週数の間1週間に1回、または所定の月数の間1か月に1回、複数回用量を投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記剤形が、液剤、丸剤、錠剤、カプセル、軟質ゲル、フィルム、パッチ、クリーム、ゲルまたは軟膏である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の細胞が、膵島細胞、幹細胞、インクレチン細胞、免疫細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、またはそれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記状態が、糖尿病、膵炎、がん、甲状腺疾患、発育不全および神経疾患からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記状態が、熱傷または創傷である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、膵島細胞を含み、前記処置レジメンが、
前記対象の膵臓の健康の1つまたは複数の指標を評価すること;および
前記評価が膵臓の健康を指し示さない場合に前記処置レジメンを持続すること、または前記評価が膵臓の健康を指し示す場合に前記処置レジメンを改訂することのいずれか
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年1月13日に出願された米国特許出願第62/960,536号および2020年4月29日に出願された米国特許出願第63/017,519号に基づく優先権を主張し、それらのそれぞれは、この参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本出願は、細胞を周りの組織に取り込ませ、細胞産物を組織に発現させるのを可能にする様式で、細胞を対象の身体に送達するための細胞送達物品および方法に関する。細胞送達物品は、そのような取り込みが起こるのを可能にする期間、細胞の生存能力を維持する。加えて、細胞送達物品は、細胞送達物品が免疫系に認識されるのを防止するバイオゴーストコーティングを含んでいてもよく、そのようにして、細胞送達物品を、線維化発生を誘発する細胞から実質的に隠蔽し続ける。
【背景技術】
【0003】
背景
細胞の対象の身体への送達は、各種の状態の処置のために有用であり得る。糖尿病および膵炎は、よく見られる状態であり、例として本明細書に記載される。多くの対象は、糖尿病および/または膵炎を管理するため、その生涯を通じての処置を必要とし、厳格な食事レジメン、グルコースモニタリング、インスリン注射および透析を受けている。状態の進行につれて、腎臓および/または膵臓移植が必要になることがある。例えば、腎臓は単独で移植されてもよく、膵臓は単独で移植されてもよく、膵臓は腎臓と一緒に移植されてもよく、または膵臓は腎臓移植後のある時に別々の手順で移植されてもよい。
【0004】
ドナーの腎臓および/または膵臓は、骨盤領域に移植されてもよく、肝臓を迂回するような方法で移植されてもよい。対象自身の腎臓および/または膵臓は、必要に応じて除去されてもよい。対象および移植された臓器の両方についての高い生存率がある。同時膵臓/腎臓移植、および腎臓移植後の膵臓移植が、腎臓移植単独を上回る移植された腎臓の健康の改善をもたらすことが見出されている。膵臓移植が成功すると、グルコースレベルは、移植後数年間制御され得る。
【0005】
しかしながら、臓器移植の1つの欠点は、移植された臓器の拒絶を阻止または低減するための免疫抑制薬の使用である。免疫抑制療法は、移植手順の前に開始され得、一般に、対象の残りの生涯の間継続される。免疫抑制薬の体系的使用は、臓器移植の成功のために必要であり得るが、これらの薬物は、疾患および感染症に対する身体の抵抗性を弱め、骨粗しょう症および骨髄抑制などの長期の副作用に関連する。さらにまた、臓器移植が侵襲的手順であることを考えると、それらは本質的に外科手術のリスクに関連する。
【0006】
全体もしくは部分的な膵臓の臓器移植の代わりにまたはそれに加えて、膵島細胞が、例えば肝門脈を通した注入によって、肝臓に提供されている。肝臓への島細胞注入は、膵切除術ありまたはなしで行われ得る。島細胞は、アルファ細胞、ベータ細胞およびデルタ細胞を含む。アルファ細胞は、肝臓からグルコースおよび脂肪組織から脂肪酸を放出するホルモンのグルカゴンを産生し、ベータ細胞は、インスリンを産生し、デルタ細胞は、内分泌系を調節し、神経伝達および細胞増殖に影響を与えるソマトスタチンを産生する。肝臓への島細胞注入は対象の転帰を改善するが、島細胞の肝臓注入後にインスリンによって処置された糖尿病は、インスリン処置から低血糖症になることがあり、これは、対象をインスリン処置に対して不耐性にすることがある。肝臓への島細胞注入は、侵襲的手順(例えば、トロカール設置、トロカールを通したカテーテルの位置決め、およびカテーテルを通した膵島の点滴)も必要とする。
【0007】
膵島細胞はまた、アルギン酸塩マイクロビーズ内に配置されており、島細胞の層は、アルギン酸ゲルシートに取り込まれており、次いで、マイクロビーズまたはシートは、肝臓に埋め込まれた。しかしながら、一部の場合では、この処置は血栓症をもたらした。さらに、免疫応答がさまざまな場合で起こり、その結果、免疫細胞(例えば、マクロファージ)が、アルギン酸塩マイクロビーズまたはシートおよびそれらの内部の細胞を攻撃および破壊した。
【0008】
膵島細胞はまた、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のパウチ中に設置され、皮下に埋め込まれている。しかしながら、一般に、パウチの縁に近い細胞のみが、身体から十分な酸素および栄養素を受け取り、パウチのより内部の細胞は、死滅してしまう。また、パウチは、線維化発生(例えば、関節の上の線維性被膜形成、または身体の他の線維芽細胞の免疫応答または炎症応答に類似する様式で被覆されるようになる)を被る。次いで、島細胞は、身体から情報を受け取ることができず、したがって、どのようなグルコースのレベルが身体中で利用可能であったかを知ることができなかった。そのような知識なしで、細胞は、インスリンを産生することを開始し、身体内で深刻な問題を引き起こしていた。
【0009】
上記に記載される腎臓および膵臓の状態についての技術および処置には、述べたように、多くの欠点がある。糖尿病および膵炎に加えて、細胞療法を用いる他の状態は、困難に遭遇しており、それらが広く使用されるようになるのを防止している。例えば、がん、自己免疫疾患および神経障害などの状態は、処置計画の一部として細胞療法を含むことがある。しかしながら、細胞の生存能力を保つ環境を維持する能力には課題がある。さらには、多くの処置では、細胞は静脈内投与され、病院または診療所を訪れる必要性があり、これは、特に数回の用量を投与することが必要な場合は不便である。
【0010】
現在の細胞送達処置および技法が直面する課題を考えると、最小限の侵襲性でまたは侵襲的手順なしで、体系的な免疫抑制処置を使用することなく、細胞がそれらの標的部位に達するまでおよびその後に細胞の生存能力を維持する様式で、より好都合な方法で細胞を送達する方法を有することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
要旨
さまざまな種類の細胞を身体に送達するための細胞送達物品を本明細書に記載する。細胞送達物品は、細胞を周りの組織に取り込ませ、細胞産物を発現するのを可能にする様式で、送達され得る。加えて、細胞送達物品は、そのような取り込みが起こるのを可能にする期間、栄養素および酸素を提供することによって、細胞を支持することができる。細胞送達物品は、細胞送達物品が免疫系に認識されるのを防止するか、および/または細胞送達物品に入り、細胞に達する栄養素および酸素を妨げることから、線維性組織の発生を最小化もしくは防止する、バイオゴーストコーティングをさらに含んでいてもよい。細胞送達物品を組織部位に送達するための方法および細胞送達物品を投与する方法も本明細書に記載される。
【0012】
細胞を組織部位に送達する方法も本明細書に記載され、これは、一般に、1)細胞送達物品を対象の身体に導入するステップであって、細胞送達物品がリザーバー内に細胞を含むステップ;2)リザーバー内に配置された媒体中で、細胞送達物品中で発生した酸素により、細胞を維持または支持するステップ;および3)バイオゴーストコーティングを使用して、細胞送達物品の少なくとも一部が対象の免疫系に認識されるのを防止するステップを含む。方法は、送達支援機構を使用して、組織部位で、細胞送達物品を埋め込むステップ、それを取り付けるステップ、またはそれを保持するステップをさらに含んでいてもよい。取り込みの後またはそれと同時に、方法は、細胞による細胞産物の発現を含んでいてもよい。
【0013】
細胞送達物品の対象の身体への導入は、経口的にまたは非経口的に達成され得る。非経口送達としては、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内、眼内および関節内の経路が挙げられ得る。細胞送達物品はまた、皮膚、粘膜表面、または熱傷もしくは創傷の表面への局所的適用によって導入されてもよい。
【0014】
細胞を対象に投与する方法も本明細書にさらに記載される。方法は、一般に、1)状態に対する処置レジメンを提供するステップであって、処置レジメンが投薬スケジュールを含むステップ;および2)用量を投与するステップであって、用量が、投薬スケジュールに従って、剤形中に1つまたは複数の細胞送達物品を含むステップを含む。ここで、1つまたは複数の細胞送達物品は、細胞、ならびに媒体、および細胞を支持するための酸素供給源を含む。細胞送達物品は、意図される送達の経路に好適な剤形で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1A図1B図1Cおよび図1Dは、細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0016】
図2図2は、細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0017】
図3図3は、細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0018】
図4図4A図4B図4Cおよび図4Dは、細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0019】
図5図5は、細胞送達物品および製造の方法の実施形態を図示する。
【0020】
図6図6は、細胞送達物品および製造の方法の実施形態を図示する。
【0021】
図7図7Aおよび図7Bは、送達支援機構を含む細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0022】
図8図8Aおよび図8Bは、細胞送達物品上に配置された送達支援機構の実施形態を図示する。
【0023】
図9図9Aおよび図9Bは、細胞送達物品上に配置された送達支援機構の実施形態を図示する。
【0024】
図10図10は、細胞送達物品上に配置されたバイオゴーストコーティングの実施形態を図示する。
【0025】
図11図11は、細胞送達物品のリザーバーの外壁上に配置されたバイオゴーストコーティングの実施形態を図示する。
【0026】
図12図12は、細胞送達物品中に位置するリザーバー上に配置されたバイオゴーストコーティングの実施形態を図示する。
【0027】
図13図13は、細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0028】
図14図14は、コラーゲン線維上のP-15細胞結合ドメインを図示する。
【0029】
図15図15Aおよび図15Bは、生体模倣コーティングありおよびなしのメンブレン上の細胞の遊走を比較する走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0030】
図16図16は、シェルの実施形態を図示する。
【0031】
図17図17Aは、シェル中に配置されたプラグの実施形態を図示する。
【0032】
図17Bは、シェル中に配置されたプラグの実施形態を図示する。
【0033】
図18図18は、バイオゴースト材料でコーティングされるようなメンブレン管の実施形態を図示する。
【0034】
図19図19は、シェル中に配置されたメンブレン管の実施形態を図示する。
【0035】
図20図20Aは、メンブレン管中に配置されたゲル媒体の実施形態を図示する。
【0036】
図20Bは、メンブレン管中で混合されたゲル媒体の実施形態を図示する。
【0037】
図21図21は、シェル中の2つのプラグおよびメンブレン管の実施形態を図示する。
【0038】
図22図22は、密閉された細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0039】
図23図23は、密閉されたチャンバー中に配置された密閉された細胞送達物品の実施形態を図示する。
【0040】
図24図24Aおよび図24Bは、細胞送達物品のためのトランスポーターの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
本開示で使用される場合、「例えば(e.g.)」、「など(such as)」、「例えば(for example)」、「一例について(for an example)」、「別の例について(for another example)」、「の例(examples of)」、「例として(by way of example)」および「など(etc.)」という用語は、1つまたは複数の非限定的な例のリストが先行するかまたは続くことを指し示し、列挙されていない他の例も本開示の範囲内であることが理解されるべきである。
【0042】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」という単数形の用語は、文脈上が明らかに別のことを指示しない限り、複数の指示対象を含み得る。単数形の目的物に対する参照は、明示的にそう述べない限り、「唯一の」を意味することを意図するのではなく、むしろ「1つまたは複数の」を意味することを意図する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つまたは複数の目的物の集合を指す。そのため、例えば、目的物のセットは、単一の目的物または複数の目的物を含むことができる。
【0044】
「実施形態では」という用語またはその変形(例えば、「別の実施形態では」または「一実施形態では」)は、本明細書では、少なくとも1つの実施形態における使用を指し、いかなる場合でも、本開示の範囲は、記載される実施形態のみに限定されない。したがって、別々の実施形態にそれぞれ記載される構成要素は、一緒に使用されるとして明示されていなくても単一の実施形態において一緒に使用することができ、一実施形態に記載される構成要素は、一緒に使用されるとして明示されていなくても別の実施形態に組み込まれ得る。
【0045】
「構成要素」という用語は、本明細書では、議論下のデバイスまたは製剤を一緒に構成する1つまたは複数の品目のセットの1つの品目を指す。構成要素は、固体、粉末、ゲル、血漿、流体、ガス、または他の形態であり得る。例えば、デバイスは、デバイスを構築するように一緒に組み立てられる複数の固体構成要素を含んでいてもよく、デバイス中に配置されるゲル構成要素をさらに含んでいてもよい。別の例について、製剤は、製剤を作製するために一緒に混合される2つまたはそれよりも多くの粉末構成要素および/または液体構成要素を含んでいてもよい。「骨組み部分」という用語は、本明細書では、細胞送達物品の形状またはプラグの形状などのデバイスの形状を規定する1つまたは複数の構成要素を指す。骨組み部分は、製造後に構造が変化してもよく、その結果、デバイスの形状が変化する。
【0046】
「設計する」という用語またはその文法的変形(例えば、「設計すること」および「設計された」)は、本明細書では、設計に関する公差(例えば、構成要素公差および/または製造公差)の推定、および設計によって遭遇することが予想される環境条件(例えば、温度、湿度、外部もしくは内部の周囲圧力、外部もしくは内部の機械的圧力または機械的応力、産物の老化、生理機能、生体の化学反応、体液および組織の生物学的組成および/または化学的組成、pH、種、食事、健康、性別、年齢、家系、疾患、組織損傷、有効期間、あるいはそれらの組合せ)の推定に基づいて設計に意図的に組み込まれる特性を指し、送達の前および/または後の実際の公差ならびに環境条件が、同じ設計を有する異なる構成要素またはデバイスが設計された特性のものに関して異なる実際の値を有し得るように、そのように設計された特性に影響を与え得ることが理解されるべきである。設計は、設計に対する変形または改変、設計に従って構築された構成要素またはデバイス、およびそれが製造された後に構成要素またはデバイスにおいて実行される設計の改変も包含する。
【0047】
構成要素またはデバイスに関する「製造する」という用語またはその文法的変形(例えば、「製造すること」および「製造された」)は、本明細書では、全体的もしくは部分的に手動で作製されたか、または全体的もしくは部分的に自動化された方法で作製されたかにかかわらず、構成要素またはデバイスを作製することを指す。
【0048】
「構築された」という用語またはその文法的変形(例えば、「構築する」または「構築すること」)は、本明細書では、概念もしくは設計、またはその変形もしくはそれらに対する改変に従って、(そのような変形または改変が製造の前、その間またはその後に起こるかにかかわらず)そのような概念または設計が書面で記録されるか否かにかかわらず、製造される構成要素またはデバイスを指す。
【0049】
「身体」という用語は、本明細書では、任意の生命体ドメインまたは非生命体ドメインのメンバーを指す。本明細書における一部の例は、本開示による細胞送達物品が適用可能であり得る対象の範囲に限定されずに、便宜上の動物の生体構造および状態を指す。
【0050】
「対象」という用語は、本明細書では、細胞送達物品が設置されているか、またはそれが設置されることが意図される身体を指す。いくつかの例として、ヒトに関して、対象はヘルスケアの専門家の処置下の患者であり得、フローラに関して、対象は植物であり得、細菌に関して、対象は細菌コロニーであり得、非生命体に関して、対象は石油流出または廃棄物処理スラッジであり得る。他の例は、本開示の範囲内である。
【0051】
「組織部位」という用語は、本明細書では、細胞送達物品が設置されている、またはそれが設置されることが意図される部位における身体内の任意の場所を指す(例えば、腹膜、心臓、肝臓、胃腸(GI)管、眼、脳、皮膚、別の臓器、皮下組織、間質組織、結合組織、または動物の身体の他の部分)。細胞送達物品は、特定の組織部位での位置決めのために構築されてもよく、それが構築された組織部位に送達されてもよく、それが構築されなかった組織部位に送達されてもよく、または意図されない組織部位に不注意で送達されてもよい。組織部位は、位置決め前の設計されたまたは意図される組織部位、ならびに位置決め後の現在の組織部位を指し、細胞送達物品が最初の組織部位から移動する場合、移動経路に沿ったその現在の場所の組織も、組織部位と称される。細胞送達物品は、それが分解および/または身体から排出されるまで、組織部位にとどまる。
【0052】
「生体物質」という用語は、本明細書では、血液、組織、体液、酵素、および身体の他の分泌物を指す。「消化物質」という用語は、本明細書では、動物の体内におけるGI管に沿った生体物質、およびGI管を通過する他の物質(例えば、非消化型または消化型の食品)を指す。
【0053】
「摂取する」という用語またはその文法的変形(例えば、「摂取すること」および「摂取された」)は、本明細書では、嚥下によるか、または胃への沈着の他の手段による(例えば、内視鏡による胃への沈着、またはポートを介した胃への沈着による)かに関わらず、胃に取り込むことを指す。
【0054】
「流体」という用語は、本明細書では、液体を指し、水分および湿気を包含する。「流体環境」という用語は、本明細書では、1つまたは複数の流体が存在する環境を指す。実施形態では、本開示による細胞送達物品は、身体内に配置されるように構築され、したがって、生体物質または消化物質は流体環境をもたらす。
【0055】
「分解する」という用語またはその文法的変形(例えば、「分解すること」、「分解された」および「分解」)は、本明細書では、溶解、化学分解(生分解を含む)、解体、化学修飾、機械的分解、または崩壊などによって、弱化すること、部分的に分解すること、または完全に分解することを指し、これは、限定されないが、溶解すること、崩壊すること、変形すること、縮むこと、または縮小することを包含する。「分解不能」という用語は、分解が、予想される環境において少なくとも予想される期間、最小限であるか、またはある特定の許容される設計パーセンテージ内であるという予想を指す。
【0056】
「分解速度」という用語またはその文法的変形(例えば、「分解の速度」)は、本明細書では、材料が分解する速度を指す。特定の実行における材料の設計された分解速度は、材料が、標的組織部位で、予想される条件下(例えば、生理学的条件において)、分解すると予想される速度によって規定され得る。特定の実行のための設計された分解時間は、完全な分解までの設計された時間、または設計目的(例えば、破る)を達成するのに十分な部分的分解までの設計された時間を指し得る。したがって、設計された分解時間は、細胞送達物品に特異的、および/または標的組織部位での予想される条件に特異的であり得る。設計された分解時間は、短くまたは長くあり得、適切な時間、最大時間または最小時間に関して規定することができる。例えば、構成要素について設計された分解時間は、分に関して、約1分、1分未満、1分超、約5分、5分未満、5分超、約30分、30分未満、30分超など;または時間に関して、約1時間、1時間未満、1時間超、約2時間、2時間未満、2時間超など;または日に関して、約1日、1日未満、1日超、約1.5日、1.5日未満、1.5日超、約2日、2日未満、2日超など;または週に関して、約1週間、1週間未満、1週間超、約2週間、2週間未満、2週間超、約3週間、3週間未満、3週間超など;または月に関して、約1か月、1か月未満、1か月超、約2か月、2か月未満、2か月超、約6か月、6か月未満、6か月超など;または年に関して、約1年、1年未満、1年超、約2年、2年未満、2年超、約5年、5年未満、5年超、約10年、10年未満、10年超など;または他の設計された分解の適切な時間、最小時間もしくは最大時間であり得る。設計された分解時間は、限定的な範囲に関して規定され得る。例えば、設計された分解時間は、約12~24時間、約1~6か月、約1~2年または他の範囲の範囲に関してであり得る。
【0057】
「実質的に」および「約」という用語は、本明細書では、小さな変動を記載および説明するために使用される。例えば、数値と併せて使用される場合、その用語は、±10%未満もしくはそれに等しい、例えば、±5%もしくはそれ未満、±4%もしくはそれ未満、±3%もしくはそれ未満、±2%もしくはそれ未満、±1%もしくはそれ未満、±0.5%もしくはそれ未満、±0.1%もしくはそれ未満、または±0.05%もしくはそれ未満の値の変動を指すことができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、数の範囲は、範囲内の任意の数、または部分範囲中の最小および最大の数が範囲内である場合には、任意の部分範囲を含む。したがって、例えば、「<9」は、9未満の任意の数、または部分範囲の最小がゼロよりも大きいかもしくにゼロに等しく、かつ部分範囲の最大が9未満である数の任意の部分範囲を指すことができる。
【0059】
量、比および他の数値は、本明細書では、範囲の形式で提示される場合があり得る。そのような範囲の形式が、便宜上および簡潔さのために使用されること、ならびに範囲の限定として明示的に特定された数値を含むように柔軟に理解されるべきであるだけでなく、それぞれの数値および部分範囲が明示的に特定されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も含むことが理解されるべきである。例えば、約1~約200の範囲の比は、明示的に列挙された約1および約200の限定を含むが、約2、約3および約4などの個々の比、ならびに約10~約50、約20~約100などのような部分範囲も含むことが理解されるべきである。
【0060】
使用されるある特定の測定単位は、本明細書では、以下の通り略され得る:ナノメートル(「nm」)、マイクロメートル(「μm」)、ミリメートル(「mm」)およびセンチメートル(「cm」)。
【0061】
本明細書に記載される細胞送達物品は、さまざまな種類の細胞を身体に送達するためのプラットフォームとして機能し得る。細胞送達物品は、細胞を周りの組織に取り込み、細胞産物を発現するのを可能にする様式で、送達され得る。細胞および/またはそれらの細胞産物を使用して、状態または疾患を処置し得る。加えて、細胞送達物品は、一般に、ある期間、細胞の生存能力を維持することができる。細胞送達物品は、細胞送達物品が免疫系に認識されるのを防止するか、および/または線維化発生が、栄養素および酸素が細胞送達物品に入り、細胞に達するのを妨害するのを最小化もしくは防止する、コーティングをさらに含んでいてもよい。細胞送達物品を組織部位に送達するための方法および細胞送達物品を投与する方法も本明細書に記載される。
【0062】
本開示の図および議論から明らかであろう他の利点および利益の中でも、本開示に包含される細胞送達物品の実施形態は、以下の利点および利益のうちの1つまたは複数を提供する。
・細胞送達物品は、細胞送達物品の製造後、および少なくとも細胞の組織部位への取り込みまで、細胞送達物品内の細胞の生存能力を維持する酸素供給源を含有する。
・免疫抑制療法は、細胞送達物品の送達の前、その間またはその後に必要ではない。したがって、細胞送達物品は、広範囲の状態のための処置において、および免疫抑制療法を回避することが望ましい広範囲の対象において使用され得る。
・細胞送達物品は、細胞送達物品のコーティングされた部分を免疫系から効率的に見えなくする、生体活性、生体非活性、生体不活性または生体応答性のコーティングを含む(それぞれ、および任意のそのようなコーティングは、本明細書では、「バイオゴースト」コーティングと称され、バイオゴーストコーティングを使用して細胞送達物品の一部を隠蔽する作用は、本明細書では、「バイオゴースト化」と称する)。例えば、バイオゴーストコーティングは、生きている組織、生物体もしくは細胞から応答を誘発する生体活性材料、生物システムにおいて応答を誘導する生体誘導性材料、生物システムと相互作用する生体材料、または身体の天然構造を模倣する生体模倣材料を含むことができる。
・細胞送達物品は、細胞送達物品を被覆し、かつ細胞送達物品中の細胞が酸素および栄養素の供給を身体から受け取るのをブロックし得る線維症の発生を回避する。実施形態では、バイオゴーストコーティングは、線維化応答を回避するために細胞送達物品上に配置される。
・細胞送達物品は、身体の細胞を身体の組織部位から引きつけて、バイオゴーストコーティングに結合させており、その結果、細胞送達物品は、身体の一部であるように身体の免疫系には見える。次いで、身体の細胞は、酸素および栄養素を、細胞送達物品中に含有される細胞に提供することができる。
・細胞送達物品は、細胞送達物品内に含有される細胞に対して身体によって免疫応答が誘発されるのを回避する。
・間質液は、細胞送達物品内の細胞に達することが可能である。例えば、細胞送達物品が島細胞を含む実施形態では、島細胞は、身体中のグルコースレベルを決定し、適切に応答することができる。
・酸素および栄養素は、(例えば、パウチの場合におけるように、縁の細胞に達することに限定されるよりもむしろ)細胞送達物品内の大部分の細胞に達する。
・埋め込まれた細胞は、十分な酸素および栄養素とともに灌流され、その結果、それらは、細胞がドナーから分離される時から細胞が対象体内に設置される時間までの間、生存し続ける。
細胞送達物品
【0063】
本明細書に記載される細胞送達物品は、空洞を規定するように構築される。リザーバーは、空洞内に配置されるか、または規定され、細胞は、リザーバー内に配置される。プラグは、空洞内に配置され、リザーバーと化学的に連結している。プラグは、細胞送達物品が身体中の組織部位に位置する前の時間、一部の実施形態では、細胞送達物品が組織部位に位置した後の時間、細胞を支持するのに役立つように構築される酸素供給源を含み得る。媒体は、リザーバー内に配置され得る。媒体は、移動によって引き起こされる損傷から細胞を保護するクッション環境を提供することなどによって、ならびに/または細胞を生存状態で維持するための栄養素および/もしくは他の物質を提供することなどによって、細胞を物理的に支持するのに役立つように構築され得、媒体は、追加でまたは代わりに、身体による細胞に対する免疫応答を最小化または防止する物質を含んでいてもよい。組織部位で、細胞送達物品を埋め込む、それを取り付ける、および/またはそれを保持するのを助けるように構築される送達支援機構が提供され得る。バイオゴーストコーティングは、細胞送達物品を全体的または部分的に被覆し得、バイオゴーストコーティングは、身体による細胞送達物品もしくはその部分に対する免疫応答を最小化または防止するように構築されている。
【0064】
細胞送達物品は、任意の好適なサイズおよび形状を有し得る。これらの特性は、送達のために意図される組織部位、細胞送達物品あたりの送達される細胞の用量(例えば、細胞の数、重量または体積)、および投与の経路などの因子に依存し得る。細胞送達物品の断面寸法は約1μm~約1000μmの範囲であり得、細胞送達物品の長さは約2μm~約50cmの範囲であり得る。実施形態では、細胞送達物品の直径は約1.7μmであり、細胞送達物品の長手方向の測定値は約5.5μmである。細胞送達物品の断面形状は、実質的に円形もしくは他の楕円形の形状、または実質的に長方形もしくは三角形もしくは他の多角形の形状であり得るか、あるいは断面形状は不規則であり得る。断面形状および外周は、細胞送達物品の長さに沿って変わり得る。
リザーバー
【0065】
細胞送達物品に含まれるリザーバーは、リザーバー外壁を含む。実施形態では、細胞送達物品の壁はリザーバー外壁を構成し、その結果、細胞送達物品の壁はリザーバーの外側の寸法を規定する。実施形態では、リザーバー外壁は、細胞送達物品の他の壁から分離している。
【0066】
リザーバー外壁は、細胞送達物品の残りの壁と類似の断面形状および外周を有していてもよく、または断面形状および/もしくは外周において細胞送達物品の残りの壁と異なっていてもよい。実施形態では、リザーバー外壁の外周は、細胞送達物品の残りの壁の外周より短く、その結果、コーティング(例えば、バイオゴーストコーティング)がリザーバー外壁の上に配置される場合、リザーバー外壁の外周は、細胞送達物品の残りの壁の外周とほぼ同じである。
【0067】
リザーバー外壁は、剛性、半剛性、柔軟性、または前述の組合せであり得る。例えば、細胞送達物品がそれに対する力に遭遇し得る処置の場所において、リザーバー外壁は半剛性から剛性に構築され得、その結果、リザーバー外壁はリザーバー中の細胞を損傷から保護する。別の例について、細胞送達物品に対する著しい力を発揮すると予想されない大部分の流体環境のためのリザーバー外壁は、可撓性の壁を有していてもよい。
【0068】
実施形態では、細胞送達物品は、リザーバーの周囲に剛性または半剛性の骨組み部分と、骨組み部分の上、骨組み部分の下、または骨組み部分内に散りばめられた可撓性の被覆とを有するリザーバー外壁を含む。
【0069】
一般に、骨組み部分の設計、ならびに細胞送達物品およびそのリザーバーのための材料の選択は、リザーバー外壁の剛性を規定する。加えて、製造プロセスの能力は、より剛性が高いか、またはより剛性が低いリザーバー外壁をもたらす材料の選択につながり得る。
【0070】
リザーバー外壁は多孔質である。例えば、リザーバー外壁中の細孔は、免疫細胞のリザーバーへの通過をブロックしながら、水(例えば、組織部位での生体物質または消化物質中に存在する水)、酸素、栄養素および他の細胞生存因子のリザーバーへの通過を可能にするサイズであり得る。実施形態では、リザーバー外壁中の細孔は、細胞生存因子が身体からリザーバーへ通過するのを可能にする約0.1nm超の直径を有する。実施形態では、リザーバー外壁中の細孔は、好中球、好酸球、好塩基球、大リンパ球および単球が身体からリザーバーに入るのをブロックする約10μm未満の直径、または小リンパ球を追加でブロックする約7μm未満の直径を有する。
【0071】
実施形態では、リザーバー外壁中の細孔は、細胞によって発現される細胞産物が、リザーバーから身体へ通過するのを可能にするサイズである。膵島がリザーバー中に含有される実施形態では、リザーバー外壁中の細孔は、膵島によって産生されるグルカゴン、インスリンおよびソマトスタチンが、リザーバーから身体へ通過するのを可能にする約0.2μm超の直径を有し得る。
【0072】
実施形態では、リザーバー外壁は、メンブレンであるか、またはそれを含む。実施形態では、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムの浸出可能なナノ粒子がメンブレンに添加され、次いで、メンブレンは、水に浸漬されて、塩が除去され、メンブレン中に細孔が残される。実施形態では、メンブレンは、管状構造に形成される。
【0073】
実施形態では、細孔サイズにかかわらず、リザーバー外壁は、リザーバー内の望ましくない物質(例えば、免疫細胞、ウイルス、細菌など)の一方向流動を可能にし、その結果、望ましくない物質は、存在する場合、リザーバーから流出し得るが、リザーバーには流入し得ない。実施形態では、リザーバー外壁は、抗微生物性、抗ウイルス性および/もしくは抗免疫抑制性のメンブレンまたはコーティングを含む。
【0074】
細孔は、リザーバー外壁上で任意の好適な方法で配列され得る。実施形態では、細孔は、リザーバー外壁全体を通して均一に間隔があけられている。実施形態では、細孔は、リザーバー外壁上でパターン状に配列される。パターンは、リザーバー外壁に沿って対称的または非対称的に間隔があけられた細孔の群を含み得る。パターンは、例えば、リザーバー外壁の特定の部分により大きな分子の流れを制限するように、リザーバー外壁の1つまたは複数の領域において第1の寸法(例えば、直径)を有する細孔、およびリザーバー外壁の他の領域において第2のより小さい寸法(例えば、直径)を有する細孔を含んでいてもよい。
【0075】
リザーバー外壁は、全体または部分的に、生体適合性材料、例えば、生体適合性ポリマーまたは生体適合性金属から形成されていてもよい。
【0076】
実施形態では、リザーバー外壁を形成するために使用される材料は、一般に、分解可能であり、細胞送達物品が組織部位に位置した後の時まで、リザーバー外壁を提供する速度で分解するように構築される。実施形態では、細胞送達物品は、実用的には、自家移植片であり、細胞送達物品は、自己細胞(対象自身の身体、または対象自身の身体由来の細胞からクローニングまたはコピーされた細胞由来)を含有し、細胞が組織部位に取り込まれた後、細胞送達物品(リザーバー外壁を含む)の骨組み部分は、免疫抑制応答から自己細胞を保護することが必要ではなくてもよく、骨組み部分は、組織部位に達した後、迅速に分解するように構築され得る(例えば、数秒、数分、数時間、数日または数週間以内)。
【0077】
実施形態では、リザーバー外壁を形成するために使用される材料は、一般に、分解可能ではない。実施形態では、細胞送達物品は、実用的には、同種移植片であり、細胞送達物品は、同種異系細胞(ドナーの身体由来)を含有し、細胞が組織部位に取り込まれた後、細胞送達物品(リザーバー外壁を含む)の骨組み部分は、免疫抑制応答から同種異系細胞を保護することが必要であり得、その結果、骨組み部分は、組織部位に達した後、長時間分解しないように構築され得る(例えば、数週間、数か月または数年後)。
【0078】
実施形態では、リザーバー外壁は、分解可能材料および分解不能材料の両方から形成され、リザーバー外壁は、リザーバー外壁の部分が迅速に分解し、部分がよりゆっくりと分解するか、または著しく分解しないように、構築される。実施形態では、リザーバー外壁は、組織部位における配備後数秒または数分以内に分解する1つまたは複数の分解可能材料の外層、および分解に抵抗する1つまたは複数の分解不能材料の内層を伴って形成され、そのようにして、長時間リザーバー外壁が維持される。
【0079】
複数の療法の種類のために使用されることが意図される規格化された細胞送達物品は、療法のいずれかのために必要な最長期間である期間の後に分解するように構築されるなど、複数の療法の種類のすべてについて好適なタイムフレーム内で分解するように構築され得る。例えば、規格化された細胞送達物品は、同種移植のために好適な期間後に分解するように構築されていてもよく、また、自己細胞を送達するために使用されてもよい。
【0080】
リザーバー外壁を形成するために使用され得る材料の一部の例としては、限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ePTFE、ポリイミド、ポリスルホン、セルロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはPLAおよびPGAの組合せ(例えば、PLGAまたはPGLA)が挙げられる。実施形態では、リザーバー外壁は、多孔質ポリイミドであるか、または多孔質ポリイミドを含む。
コーティング
【0081】
リザーバー外壁は、バイオゴーストコーティングまたはバイオゴースト処理を含んでいてもよく、そのいずれかは、本明細書では、便宜上、限定されずに、バイオゴーストコーティングと称される。バイオゴーストコーティングは、細胞送達物品を受け取る対象において免疫応答を誘発するのを防止するように構築される。実施形態では、バイオゴーストコーティングはポリ-l-アルギニン系生体材料を含む。実施形態では、バイオゴーストコーティングは生体模倣ペプチドを含む。生体模倣ペプチドは、コラーゲンの細胞結合ドメインの類似体であるマルチアームペプチドであり得る。実施形態では、生体模倣ペプチドはP-15ペプチドである。実施形態では、バイオゴーストコーティングは、生体模倣リン酸カルシウム(Ca-P)、ヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム(HAp)、結晶性HApのナノ粒子ネットワーク、ガスプラズマ、他のバイオゴーストコーティング、または前述の組合せを含む。
【0082】
バイオゴーストコーティングは、細胞療法を身体に依然として送達しながら、免疫抑制剤で対象を先立って処置する能力を提供する。免疫抑制剤は、多くの場合、それらが疾患に対する増加した易罹患性を有する対象にし得るので、望ましくない。したがって、細胞療法は、免疫抑制剤が必要とされる他の療法(臓器移植を含む)の場合よりも、本開示による細胞送達物品を使用して、広範囲の状態のために、かつ非常に広い対象のセットに提供され得る。
媒体
【0083】
リザーバー内の媒体は、細胞送達物品が対象に投与され、その意図される組織部位に達するまで、細胞を支持するように構築され、細胞送達物品のリザーバー中に含有される細胞は、部分的または全体的に、組織部位に取り込まれる。本文書で使用される場合、「細胞を支持する」という用語またはその文法的変形(例えば、「細胞が支持される」、「細胞を支持すること」または「細胞が支持された」)は、以下のサービスのうちの1つまたは複数を提供するために物理的媒体を提供することを指す:損傷から細胞を保護する(例えば、物品の製造、輸送、取り扱いまたは送達の間);免疫学的攻撃から細胞を保護する;栄養素、酸素または他の細胞生存因子を細胞に提供する;細胞送達物品のプラグ中で酸素供給構成要素と組み合わせるために、媒体から水を提供する;細胞送達物品のプラグ中で酸素供給構成要素と組み合わせるための媒体中の水の貯蔵を補給するために、組織部位から水を受け取る;組織部位から酸素および栄養素を受け取って、酸素および栄養素を細胞に提供する;細胞から細胞産物を受け取って、組織部位に提供する;または適用可能の他のサービス。
【0084】
「組織部位に取り込まれる」という語句またはその文法的変形は、本明細書では、細胞送達物品中の少なくとも一部の細胞が、組織部位で身体からの酸素、栄養素および/または他の細胞生存因子によって維持されている状態を指す。
【0085】
実施形態では、細胞が組織部位に取り込まれると、細胞は、細胞送達物品の分解または細胞送達物品のリザーバー外壁の少なくとも一部の分解などによって組織部位で細胞送達物品から身体に放出され、細胞は、少なくとも部分的に、組織部位に分散され、組織部位によって生存状態で維持される。例えば、自己細胞は、細胞送達物品から放出され得る。実施形態では、同種異系細胞は、免疫応答が同種異系細胞の放出によって誘発されることが望ましい場合、または細胞が免疫細胞である場合などに、細胞送達物品から放出され得る。
【0086】
実施形態では、細胞が組織部位に取り込まれると、細胞は、細胞送達物品内で保持され、リザーバー外壁の細孔を通して組織部位から細胞送達物品に入る酸素および栄養素によって維持される。
【0087】
媒体は、細胞が組織部位に取り込まれた後、細胞送達物品のプラグ中の酸素供給構成要素と反応し続けてもよいし、ならびに/または細胞送達物品中で栄養素および/もしくは他の細胞因子を細胞に提供し続けてもよい。
【0088】
媒体による細胞の支持、および/または細胞送達物品のプラグ中の酸素供給構成要素に呼応して酸素を細胞に提供するための期間は、約24時間~約24週間(約6か月)の範囲、またはそれよりも長くあり得る。例えば、媒体は、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間などの間、細胞を支持することを少なくとも部分的に継続するように構築され得る。実施形態では、細胞送達物品(媒体および酸素供給構成要素を含む)は、組織部位への取り込み後、1年間またはそれよりも長い間、細胞を少なくとも部分的に支持するように構築される。
【0089】
上記で述べたように、媒体は、担体物質中に栄養素および他の細胞生存因子を含んでいてもよく、および/または媒体は、リザーバー中の細胞に対する身体による免疫抑制攻撃に対する抵抗性を提供し得る。媒体としては、数ある中でも、例えば、コリン、葉酸、ニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキサール、リボフラビン、チアミンおよびイノシトールなどの栄養素が挙げられ得る。栄養素は、アルギン酸塩、アルギン酸ゲル、ポリリジン、PLL/ポリ-L-オルニチン、アガロース、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、コラーゲン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、別の物質、または前述の組合せなどの担体物質中に提供されていてもよい。
【0090】
実施形態では、細胞送達物品のリザーバーは、最大で1000個の細胞を含有するように構築される。
【0091】
細胞送達物品中の細胞の投薬数は、処置計画に従って選択され得る;例えば、細胞送達物品の構造に好適な任意の数または任意の範囲で、200個超、100~300個、500個未満など。
プラグ
【0092】
本明細書に記載される細胞送達物品は、一般に、細胞送達物品によって規定される空洞中に配置された少なくとも1つのプラグを含む。細胞送達物品は、少なくとも1つのプラグ、少なくとも2つのプラグ、少なくとも3つのプラグ、少なくとも4つのプラグ、少なくとも5つのプラグなどを含み得る。含まれるプラグの数は、例えば、細胞送達物品のサイズおよび/もしくは形状、細胞送達物品によって規定される空洞のサイズおよび/もしく形状、プラグのサイズおよび/もしく形状、細胞送達物品中に配置されたリザーバー内の細胞の数、ならびに/または細胞送達物品中の細胞がそれらの生存能力を維持するための支持を要すると推定される期間に依存し得る。実施形態では、細胞送達物品は2つのプラグを含む。実施形態では、細胞送達物品は1つのプラグを含む。
【0093】
実施形態では、1つまたは複数のプラグおよびリザーバーが、細胞送達物品の空洞中に含有される。
【0094】
実施形態では、1つまたは複数のプラグを有する細胞送達物品は、空洞の体積を一緒に規定し、その体積はリザーバーである。
【0095】
実施形態では、細胞送達物品は複数の空洞を規定し、1つまたは複数のプラグは空洞の1つまたは複数中に配置される。実施形態では、細胞送達物品は、複数のリザーバーおよび1つまたは複数のプラグを含み、それぞれのリザーバーは少なくとも1つのプラグと化学的に連結している。
【0096】
それぞれのプラグは、プラグの骨組み部分を形成する材料および酸素供給構成要素を含む。実施形態では、プラグは生体適合性材料を含む。
【0097】
実施形態では、プラグの骨組み部分を形成する材料は、任意の好適なポリマーを含む。例えば、ポリマーおよび酸素供給構成要素を含むプラグ中のポリマーの重量によるパーセンテージは、約20%~約80%であり得る。他のパーセンテージを、細胞送達物品が組織部位に達する推定期間、細胞が組織部位に取り込まれる推定期間、送達される細胞の種類、細胞送達物品内に配置される細胞の数、送達の前の細胞送達物品の貯蔵温度、および/または他の考慮事項に応じて用いてもよい。加えて、プラグ中のポリマーの酸素供給構成要素に対する重量パーセントは、少なくとも一部分では、ポリマーへのおよびポリマーを通る水の透過速度、ならびに/またはポリマーからの酸素の透過速度に基づき得る。
【0098】
実施形態では、プラグは、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリスルホン、ポリウレタン、ナイロン、別のポリマー、または前述の組合せで作製されている。プラグの材料は、選択された媒体からプラグへのおよびプラグを通る水の所望の透過速度、ならびにプラグを通っておよびプラグから、ならびに媒体への酸素の所望の透過速度について選択される。例えば、身体への送達前に低温で維持されるように構築された細胞送達物品のプラグの材料は、リザーバー中の細胞がより低い温度でより少ない酸素を要求し得るので、より高い温度で維持される細胞送達物品のプラグ中で使用される材料と比較して、より低い透過速度について選択され得る。実施形態では、ポリマーは、架橋されて、水および/または酸素の透過の速度を増加または減少するプラグの材料の性質を獲得する。
【0099】
実施形態では、酸素供給構成要素は、媒体からの水と反応することによって、活性化されて、酸素を発生する。例えば、酸素供給構成要素は、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウムもしくは過酸化マグネシウム、他の酸化物の構成要素、または前述の2つもしくはそれよりも多くの組合せであり得るか、あるいはそれらを含み得る。媒体中の水分子は、酸素供給構成要素と組み合わせて、酸素を形成し、これは、媒体中の細胞に酸素を送り込むように媒体を横切る。組織部位での細胞送達物品の配備後、リザーバー外壁は、例えば、酸素供給構成要素が枯渇するまで、細胞のための酸素への変換のために酸素供給構成要素を水と組み合わせることを継続して、組織部位で生体物質からリザーバーに水を通過させ得る。組織部位への取り込み後、細胞は、酸素供給構成要素から酸素を受け取ることに加えてまたはその代わりに、リザーバー外壁および媒体を通して組織部位から酸素を受け取ってもよい。
【0100】
実施形態では、プラグ中の酸素供給構成要素は、プラグの枠組み部分であるシリコーンの塊全体を通して浸透した過酸化カルシウムである。
送達支援機構
【0101】
本明細書に記載される細胞送達物品は、送達支援機構を含むように構築されてもよい。送達支援機構は、組織へのおよび/もしくは組織を通した細胞送達物品の移動を促進するように、ならびに/または意図される組織部位での細胞送達物品の保持に役立つように構築され得る。実施形態では、送達支援機構は、細胞送達物品の組織部位への送達後、または細胞が細胞送達物品を組織部位に取り込むのを可能にするのに十分な期間後などの選択された期間後、分解するように構築される。
【0102】
実施形態では、細胞送達物品は、組織を通して送達されるように構築され、送達支援機構は、細胞送達物品が少なくとも送達されるまで、分解に耐えるように構築される。例えば、排除力を用いて、細胞送達物品を剤形から排出させてもよく、その結果、細胞送達物品は、組織を通過し、身体内に配備され、送達支援機構は、組織を通過するのに少なくとも十分な期間の間(例えば、数マイクロ秒、数ミリ秒、数秒、数分またはそれよりも長い期間中)著しい分解に耐えながら、細胞送達物品が剤形から排出される瞬間から始まる分解を開始するように構築され得る。別の例について、細胞送達物品は、トロカール、カテーテル、ニードル、鉗子または細胞送達物品を位置させるためおよび放出するための他の設置ツールを使用するなどによって、身体に手動で設置されてもよく、送達支援機構は、配備に達するのに十分な期間の間(例えば、数ミリ秒、数秒、数分またはそれよりも長い期間中)著しい分解に耐えながら、細胞送達物品が設置へのその経路を開始する瞬間から始まる分解を開始するように構築され得る。さらなる例について、剤形は、身体に手動で(例えば、トロカール、カテーテル、ニードル、鉗子または他の設置機構によって)設置されてもよく、剤形は、手動で活性化されるか、または自己活性化されて、細胞送達物品を組織に排出し、送達支援機構は、休止位置に達するのに十分な期間の間(例えば、数マイクロ秒、数ミリ秒、数秒、数分またはそれよりも長い期間中)著しい分解に耐えながら、細胞送達物品が剤形から排出される瞬間から始まる分解を開始するように構築され得る。
【0103】
送達支援機構は、細胞送達物品の組織へのおよび/または組織を通した移動を促進するためのテーパー状の末端を含んでいてもよい。テーパーは、テーパー状の末端の軸について対称であってもよく、または軸に沿って非対称であってもよい。実施形態では、送達支援機構は円錐状である。送達支援機構は、鋭い先端部を伴って構築されていてもよく、実施形態では、これは、製造の間に送達支援機構に追加される別々の構成要素である。
【0104】
送達支援機構(適用可能な場合、先端部を含む)は、任意の好適な材料から作製されていてもよい。実施形態では、送達支援機構は生体適合性材料を含む。実施形態では、送達支援機構はポリエチレンオキシドから形成される。実施形態では、送達支援機構は、マグネシウムから形成された(例えば、マグネシウムのシートから型打ちもしくはエッチングされた、またはマグネシウムから所望の形状に成型された)先端部を含む。
【0105】
細胞送達物品の組織へのおよび/もしくは組織を通した移動を促進することに加えてまたはその代わりに、送達支援機構は、処置において組織内で細胞送達物品の保持を促進するように構築され得、ここで、細胞送達物品は、最初の組織部位で、またはそれに近接近して維持されるように構築される。実施形態では、細胞送達物品は、一度配備された細胞送達物品の移動に抵抗する(例えば、制限する、最小化する、防止する、ブロックするなど)働きをする1つまたは複数の突出部を含む。そのような突出部は、移動に対する短期間の抵抗または長期間の抵抗のために構築され得る。実施形態では、細胞送達物品は、鱗を思い起こさせる1つまたは複数の突出部を伴って構築され、ここで、それぞれの突出部は、一方向の移動に抵抗し、複数のそのような突出部は、複数の方向の移動に合わせて抵抗するように異なる方向に面していてもよい。実施形態では、細胞送達物品は、かぎ状またはとげ状の部分を有する1つまたは複数の突出部を伴って構築され、ここで、それぞれの突出部は、一般に、かぎ状またはとげ状の部分が関わる組織から離れた移動に抵抗する。実施形態では、細胞送達物品は、突出部の周囲の組織成長を促進するように成形された1つまたは複数の突出部を伴って構築され、例えば、突出部は、組織がフラップ中およびフラップの周囲で成長し得るように、孔を有するフラップであり得るか、または突出部は、組織がらせんの周囲で成長し得るように、らせん形状を有していてもよい。移動に抵抗する突出部の他の形状も本開示に包含される。突出部は、短期間、長期間または短期間および長期間の両方の移動に抵抗し得る。例えば、前述で記載した突出部のそれぞれは、短期間の効果および長期間の効果を有し得る。細胞送達物品は、移動に対する十分な短期間および長期間の抵抗性を提供するように、変わる設計の複数の突出部を伴って構築されてもよい。実施形態では、細胞送達物品は、短期間の抵抗性のために構築され、分解可能である(例えば、数日、数週間または数か月にわたって)突出部を含み、細胞送達物品は、長期間の抵抗性のために構築され、分解可能ではない突出部も含み、短期間の突出部が組織部位で分解され、身体から排出されたら、身体に残ったままの少ない外来材料、および細胞送達物品を所定の位置に保つのに十分な長期間の突出物が存在する。
【0106】
組織中での細胞送達物品の保持を促進するための1つまたは複数の送達支援機構を含むように構築された細胞送達物品の実施形態では、送達支援機構は、細胞送達物品の主要部分に対して保たれて、送達支援機構が組織部位への移動の間に組織に対して作用する抵抗の量を最小化する。実施形態では、送達支援機構は、機械的に所定の位置で保たれ、組織部位での配備後に放出される。実施形態では、分解可能コーティングは送達支援機構を被覆し、分解可能コーティングは、組織部位での配備後に送達支援機構を放出するように構築される。
【0107】
実施形態では、複数の異なる処置レジメンにおける使用のために規格化された細胞送達物品は、処置レジメンのうちの1つまたは複数のために取り込まれる少なくとも1つの送達支援機構を含み、他の処置レジメンは、送達支援機構が含まれるか否かにかかわらず、不可知論である。この様式では、製造するコストは、潜在的に、スケールの量に起因して低減され得る。
【0108】
送達支援機構が組織部位で細胞送達物品を保持するための期間は、約24時間~約1年の範囲、またはそれよりも長くあり得る。例えば、送達支援機構は、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間などの間、組織部位で細胞送達物品を保持するように構築され得る。実施形態では、送達支援機構は、1年間またはそれよりも長い間、組織部位で細胞送達物品を保持するように構築され得る。
細胞型
【0109】
本明細書に記載される細胞送達物品内に含有され、さまざまな組織部位に送達される細胞は、さまざまな細胞型を含み得る。細胞は、同じ細胞型または異なる細胞型を含み得る。細胞は、自家もしくは同種異系、または自家および同種異系の組合せであり得る。送達される細胞は、治療的に有益な薬剤である細胞産物を発現してもよい。例えば、インスリン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン、下垂体ホルモン、成長ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、またはそれらの組合せなどのホルモンは、ホルモン療法における使用のために産生されてもよい。胃抑制ペプチドもしくはグルカゴン様ペプチド、または胃抑制ペプチドおよびグルカゴン様ペプチドの組合せなどのインクレチンが産生されてもよい。実施形態では、送達される細胞は、サイトカインおよび免疫細胞のシグナル伝達と関与する他の因子などの因子を産生してもよい。一部の例では、細胞は、さまざまな物質を産生するように遺伝子改変されている細胞を含む。例えば、幹細胞は、ホルモン、成長因子、抗腫瘍剤、または他の活性薬剤を産生するように遺伝子改変されていてもよい。
【0110】
実施形態では、細胞(それらの発現産物の代わりに)は、細胞送達物品から放出されて、治療利益を提供し得る。例えば、細胞は、がん細胞上の特異的分子を認識するように遺伝子改変されている細胞(例えば、CAR-T細胞)を含んでいてもよく、これらのT細胞は、がん細胞を攻撃する。実施形態では、幹細胞(改変または未改変)を使用して、損傷もしくは罹患した組織または臓器を置き換える。
【0111】
実施形態では、細胞送達物品に含まれる細胞は、膵島細胞を含んでいてもよく、これは、アルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、前述のいずれかの遺伝子改変されたバリアント、またはそれらの組合せであり得る。膵島細胞は、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、またはそれらの組合せを産生し得る。膵島は、膵臓の外分泌断片から膵島を分離することによって、対象の膵臓またはドナーの膵臓から得られ得る。そのような分離された膵島は、バルクで供給業者から入手し得る。
【0112】
実施形態では、細胞は、インクレチン細胞を含んでいてもよく、これは、K細胞、L細胞、I細胞、N細胞、S細胞、前述のいずれかの遺伝子改変されたバリアント、またはそれらの組合せであり得る。インクレチン細胞は、胃抑制ペプチド、グルカゴン様ペプチド、またはそれらの組合せを産生し得る。
【0113】
実施形態では、細胞は、免疫細胞を含んでいてもよく、これは、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、前述のいずれかの遺伝子改変されたバリアント、またはそれらの組合せであり得る。免疫細胞がマクロファージである場合、マクロファージは、TNF-アルファを産生し得る。
【0114】
実施形態では、細胞は、胚性幹細胞、内皮前駆細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、ケラチノサイト幹細胞、他の幹細胞、前述のいずれかの遺伝子改変されたバリアント、またはそれらの組合せなどの幹細胞を含んでいてもよい。
【0115】
実施形態では、送達され得る細胞は、例えば、火傷または他の開放創、ならびに関節が関与する状態および疾患を処置するために、軟骨細胞、線維芽細胞、またはそれらの組合せを含む。
【0116】
送達される細胞は、例えば、抗がん療法(例えば、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫)において使用されてもよく、損傷した細胞を置き換えるために使用されてもよく、因子もしくは抗体を産生させるために使用されてもよく、または(例えば、熱傷を処置するために、または組織の成長を促進して大きな創傷を閉じるために)組織の治癒において有用な物質を産生させるために使用されてもよい。
【0117】
実施形態では、送達される細胞は、HB-EGF;FGF 1、2および4;PDGF;IGF-1;TGF-β1およびβ2;TGF-β3;IL-1αおよび-β;IL-10;IL-4;IL-2、IL-12;IL-6、IL-8、IL-17a;LEPおよびLEPR;エンドグリン;Adipoq;IGFBP1、IGFPB3;CSF1、CSF3および受容体CSFR1;PPBP/NAP-2;HGF;NGRF;EGF;TNF-αのうちの1つまたは複数を産生する。
【0118】
実施形態では、送達される細胞は、1つまたは複数の成長因子、例えば、限定されるものではないが、bFGF2(塩基性線維芽細胞成長因子2)、bNGF(ベータ-神経成長因子)、FGF4(線維芽細胞成長因子4)、FGF6(線維芽細胞成長因子6)、FGF9(線維芽細胞成長因子9)、Fasリガンド、IGFBP1(インスリン成長因子結合タンパク質1)、IGFBP3(インスリン成長因子結合タンパク質3)、IGFBP6(インスリン成長因子結合タンパク質6)、LAP(トランスフォーミング成長因子様)、IGF-1(インスリン様成長因子1)、IGF-2(インスリン様成長因子2)、PDGF(血小板由来成長因子)、PDGFAA(血小板由来成長因子Aα)、PDGFAB(血小板由来成長因子Aβ)、PDGFBB(血小板由来成長因子Bβ)、TGFB1(トランスフォーミング成長因子β1)、ANG(アンジオゲニン)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、BMP4(骨形態形成タンパク質4)、BMP6(骨形態形成タンパク質6)、bNGF(ベータ-神経成長因子)、BTC(プロベータセルリン)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、EGF(上皮成長因子)、HGF(肝細胞成長因子)、肝細胞様成長因子、NT3(ニューロトロフィン3)、NT4(ニューロトロフィン4)、OPG(オステオプロテジェリン)、Siglec5(シアル酸結合If様レクチン5)、およびTGF A(トランスフォーミング成長因子アルファ)、TGF b1(トランスフォーミング成長因子ベータ 1)、TGF b2(トランスフォーミング成長因子ベータ 3)、VEGF(血管内皮成長因子)、VEGFD(血管内皮成長因子D)、ならびにPLGF(胎盤成長因子)のうちの1つまたは複数を産生する。
【0119】
実施形態では、送達される細胞は、1つまたは複数のケモカイン、例えば、限定されないが、CCL2(ケモカインリガンド2)、CCL3(ケモカインリガンド3)、CCL4(ケモカインリガンド4)、CCL5(ケモカインリガンド5)、CCL7(ケモカインリガンド7)、CCL8(ケモカインリガンド8)、CCL13(ケモカインリガンド13)、CCL15(ケモカインリガンド16)、CCL17(ケモカインリガンド17)、CCL18(ケモカインリガンド18)、CCL19(ケモカインリガンド19)、CCL20(ケモカインリガンド20)、CCL22(ケモカインリガンド22)、CCL23(ケモカインリガンド23)、CCL24(ケモカインリガンド24)、CCL25(ケモカインリガンド25)、CCL26(ケモカインリガンド26)、CCL27(ケモカインリガンド27)、CCL28(ケモカインリガンド28)、CXCL1(ケモカインリガンド1)、CXCL1/2/3(ケモカインリガンド1/2/3)、CXCL5(CXケモカインリガンド5)、CXCL9(CXケモカインリガンド9)、CXCL10(CXケモカインリガンド10)、CXCL13(CXケモカインリガンド13)、およびCXCL16(CXケモカインリガンド16)のうちの1つまたは複数を産生する。
【0120】
本明細書に記載される細胞送達物品が身体への細胞送達のためのプラットフォームであることを考えると、細胞送達物品に含まれる細胞型は上記に言及したものに限定されないこと、および任意の所望の細胞型を使用し得ることが理解される。
【0121】
例として、実施形態では、細胞送達物品は、膵島細胞を含有するリザーバーを含む。リザーバーは、1つまたは複数の細孔を有するリザーバー外壁を含む。シリコーンおよび過酸化カルシウムを含む少なくとも1つのプラグは、リザーバーと化学的に連結している細胞送達物品内に配置される。過酸化カルシウムは、水との接触の際に活性化される酸素供給として機能する。アルギン酸ゲルを含む媒体は、リザーバー内に配置され、膵島細胞を支持するのに適合される。過酸化カルシウムを活性化するために使用される水は、アルギン酸ゲルによって提供されてもよい。
【0122】
任意の好適な数の細胞が細胞送達物品に含まれ得る。含まれる細胞の数は、送達される細胞の種類、処置される状態または疾患、細胞送達物品が製剤化される組成物または剤形、および投与の経路などの因子に依存し得る。一般に、数百~数千個の細胞が、臨床効果を実現するために送達され得る。
【0123】
実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、約100個の細胞~約500個の細胞を含有し得る。例えば、それぞれの細胞送達物品は、約100個の細胞、約150個の細胞、約200個の細胞、約250個の細胞、約300個の細胞、約350個の細胞、約400個の細胞、約450個の細胞、または約500個の細胞を含み得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、100個未満の細胞を含有し得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、500個超の細胞を含み得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、1000個超の細胞を含み得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、10,000個超の細胞を含み得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は、100,000個超の細胞を含み得る。
【0124】
細胞送達物品中に配置される細胞の投薬数は、処置計画に従って選択され得る。例えば、処置レジメンの実施形態では、島細胞を含有する細胞送達物品は、選択された組成物および剤形によって、一連の日(例えば、90日)の間それぞれの日に、または一連の週(例えば、30週)の間それぞれの週に、対象の身体に送達される。対象の健康指標(例えば、血糖または他の指標)を、処置レジメンの間および/または処置レジメン後にモニタリングして、追加の細胞送達が、血糖管理に及ぶのに有益であり得るかどうかを特定することができる。膵臓機能を置き換えるための肝臓への膵島注入の成功のために、体重1キログラムあたり少なくとも5,000の膵島が送達するために必要であると推定されており(例えば、少なくとも300,000の膵島)、理論によって拘束されないが、膵臓機能を置き換えるために腹腔に送達される膵島の数は、同様の数であろうと予想され、細胞が膵臓機能を置き換えるよりもむしろ増大させる場合、より少ない数が必要であり得ると予想される。30%~40%の生存率を有する細胞のある特定の供給業者との比較において、細胞が供給業者から得られるような高い生存パーセンテージを有する場合、より少ない細胞が必要であり得ることがさらに予想される。
【0125】
本開示では、数百個または数千個の細胞が単一用量で送達され得る物品および対応する方法が提示される。用量は、任意の好適な経路によって送達され得る。
【0126】
身体内で維持されて、細胞産物を発現し得る細胞を提供することによって、処置は、身体に自然な機能を回復させる目標などで、個々の必要性に個別化されてもよい。
【0127】
次に図を見ると、図1から図13は、本開示の実施形態のいくつかを図示する。他の実施形態は、本開示の本文および図を検討することによって明らかであろう。
【0128】
図1Aは、本開示による細胞を送達するための細胞送達物品100の実施形態の側面図を図示する。物品100は、外周部101を有し、空洞102を規定する。物品100は、空洞102内に配置されたプラグ110を含む。物品100は、空洞102に配置されたリザーバー120をさらに含むか、またはリザーバー120は、外周部101およびプラグ110によって限定される空洞102の一部である。図1B図1Cおよび図1Dは、切断線A-Aで物品100によって規定され得るさまざまな断面形状を図示し、他の断面形状も本開示に包含され、断面形状は、物品100の長さに沿って(例えば、切断線A-Aと垂直な軸に沿って)変わり得る。図1Bは長方形の断面形状を図示し、図1Cは円形の断面形状を図示し、図1Dは楕円形の断面形状を図示する。より一般には、物品100の長さに沿った位置での断面形状は、1つまたは複数の側面を有していてもよく、側面は、類似の長さまたは異なる長さのものであり得、それぞれの側面は、直線、弓形または不規則な形状を有していてもよい。
【0129】
実施形態では、物品100(または本開示に記載される他の細胞送達物品)の部分は、PLAもしくはPGA、またはPLAおよびPGAの組合せ(例えば、PLGAまたはPGLA)から形成される。実施形態では、物品100の部分は、別のポリマーまたはポリマーの組合せから形成され、そのようなポリマーは天然に存在していてもよく、または合成であってもよい。物品100について使用するための材料の選択は、一部分では、特定の処置のための物品100についての所望の分解プロファイルに基づき得る。例えば、材料は、数時間もしくは数日のうちでの物品100の分解のため、または数週間、数か月もしくは数年のうちでの物品100の分解のために選択され得る。
【0130】
図2は、2つのプラグ210、211が配置される空洞202を規定する細胞送達物品200の実施形態の側面図を図示する。プラグ210、211を有する物品200は、空洞202内に空隙203を規定し、そこには、リザーバーが配置されていてもよく、または空隙203は、その中に細胞が配置され得るリザーバーである。
【0131】
図3は、プラグ310が配置される空洞302を規定する細胞送達物品300の実施形態の側面図を図示する。プラグ310を有する物品300は、空洞302内に空隙303を規定し、そこには、リザーバーが配置されていてもよく、または空隙303は、その中に細胞が配置され得るリザーバーである。
【0132】
図1図2および図3は、それぞれの細胞送達物品の外縁に隣接して位置するプラグ(プラグ110、210、211、310)を図示する。他の実施形態では、プラグは、細胞送達物品内の任意の場所に配置されていてもよい。
【0133】
図4Aは、本開示による細胞を送達するための細胞送達物品400の実施形態の側面図を図示する。物品400は、外周部401を有し、空洞402を規定する。物品400は、空洞402内に配置されたプラグ410を含む。この実施形態では、リザーバーは、プラグ410に隣接するもしくはプラグ410の周りの空洞402中に配置されてもよく、またはリザーバーは、物品400およびプラグ410の縁によって限定される空洞402の一部である。プラグ410は、リザーバー内で浮いていてもよく、あるいは一端にもしくは両端に、または縁に沿って貼り付けられていてもよい。図4B図4Cおよび図4Dは、切断線B-Bで物品400およびプラグ410によって規定され得るさまざまな断面形状を図示し、他の断面形状も本開示に包含され、断面形状は、物品400の長さに沿って(例えば、切断線B-Bと垂直な軸に沿って)変わり得る。図4Bは、プラグ410(プラグ410aとして示される)の長方形の断面形状を有する物品400の長方形の断面形状を図示し、図4Cは、プラグ410(プラグ410bとして示される)の楕円形の断面形状を有する物品400の円形の断面形状を図示し、図4Dは、プラグ410(プラグ410cとして示される)の長方形の断面形状を有する物品400の楕円形の断面形状を図示する。より一般には、物品400の長さに沿った位置での物品400またはプラグ410のいずれかの断面形状は、1つまたは複数の側面を有していてもよく、側面は、類似の長さまたは異なる長さのものであり得、それぞれの側面は、直線、弓形または不規則な形状を有していてもよい。
【0134】
図1A図2図3および図4Aに図示される細胞送達物品の実施形態は、便宜上、平行四辺形である輪郭を有するが、他の形状は、本開示の範囲である。
【0135】
図5は、物品100の組み立て前の図1Aに示される細胞送達物品100の実施形態の側面図を図示する。この実施形態では、プラグ110およびリザーバー120は、少なくとも部分的に、物品100の残りとは別々に製造され、次いで、物品100中に配置され得る。例えば、シリコーンから形成される場合のプラグ110に関して、シリコーンの塊を所望の形状に形成して、プラグ110を形成してもよく、次いで、プラグ110を空洞102中に配置し、酸素供給構成要素を注入するか、またはシリコーンの塊を所望の形状に形成して、プラグ110を形成し、酸素供給構成要素を注入してもよく、次いで、プラグ110を空洞102中に配置するか、またはシリコーンの塊を空洞102中に配置し、物品100の内周に対して所望の形状のプレスし、次いで、酸素供給構成要素を注入するか、またはシリコーンの塊に酸素供給構成要素を注入し、次いで、空洞102中に配置し、物品100の内周に対して所望の形状にプレスする。例えば、リザーバー120に関して、好適な容器を入手または形成してもよく、細胞520の供給を媒体を有する容器に配置してもよく(細胞は、媒体の前、それと同時に、またはその後に配置される)、リザーバー120は、物品100の空洞102中に位置する。
【0136】
図6は、物品100の組み立て前の図1Aに示される細胞送達物品100の実施形態の側面図を図示する。この実施形態では、プラグ110は、少なくとも部分的に、物品100の残りとは別々に製造され、次いで、例えば図5に関して記載されるように、物品100中に配置され得る。プラグ110を有する物品100は、この実施形態では、リザーバー120を規定し、物品100は、リザーバー120へのアクセスを提供するポート610を含む。ここで、細胞620は、容器630(例えば、適用される製造技法に好適なサイズのバイアルまたは他の容器)中に提供され、例えば、ピペットもしくはシリンジで、または漏斗もしくは他の技法を使用して、ポート610を通して物品100の空洞120に設置される。媒体は、細胞620が空洞120に設置される前、それと同時に、またはその後に、空洞120に分注され得る。実施形態では、細胞620は、空洞120に設置される前に、容器630中の媒体に懸濁される。媒体および細胞型は本明細書の他の場所に記載されている。
【0137】
上記で議論されるように、本開示による細胞送達物品は、必要に応じて、組織へのおよび/もしくは組織を通した細胞送達物品の移動を促進するように、ならびに/または意図される組織部位での細胞送達物品の保持に役立つように構築された送達支援機構を含んでいてもよい。
【0138】
図7Aは、主要部分710(例えば、図1A図2図3図4A図5または図6に関して図示および記載される物品100、200、300、400に類似する)、および先端部730を含む送達支援機構720を有する細胞送達物品700の側面図を図示する。実施形態では、送達支援機構720は、物品700と一緒に形成される。実施形態では、送達支援機構720は、物品700とは別々に形成され、例えば、物品700および送達支援機構720を融合させる熱または振動力を適用することによって、または例えば、物品700および送達支援機構720の間に接着物質または両面接着テープを適用することによって、物品700に取り付けられる。実施形態では、送達支援機構720は全体的に固体であり、別の実施形態では、送達支援機構720は空洞を規定する。実施形態では、送達支援機構720は複数の材料から形成される。そのような一実施形態では、コア740はコーティング750によって被覆され、コーティング750は物品700の配備後に分解し、コア740を露出させる。コア740は、最初に組織中で固定され、その後コア740の周囲で組織成長を促進する様式で成形され、このようにして、組織中での物品700の短期間の保持および長期間の保持を提供する。この実施形態では、送達支援機構720は、先端部730に呼応して送達支援機構720の角のある形状を経由して組織へのおよび/または組織を通した細胞送達物品の移動を最初に促進し、次いで、最初に非移動形状、その後、コア740の周囲での組織成長を経由して(コーティング750が分解した後)、組織部位で細胞送達物品の保持に役立つ。
【0139】
図7Bは、物品700の長手方向軸に沿った90度回転後の図7Aの物品700の実施形態を図示する。この実施形態では、先端部730は、送達支援機構720からまたはそれを超えて突出して、物品700および送達部位の組織の間のシャープな界面を提供し、組織部位での組織へのおよび組織を通した物品700の侵入を支援する。
【0140】
図8Aは、送達支援機構が物品800から離れて配備される場合の側面図から見られるように(それぞれの送達支援機構は送達支援機構の区画に沿って物品800に取り付けられたままである間)、細胞送達物品800上で形成されるか、またはそれに取り付けられる送達支援機構の実施形態の例を図示する。送達支援機構810は、三角形の形状であり、これは、その面に垂直な方向での移動、例えば、垂線から-60度~+60度の角度の範囲内の移動に抵抗し得るだけでなく、長期間の保持のために起こる組織成長のための表面を提供する。送達支援機構820は、孔を規定するフラップであり、ここで、フラップは、例えば送達支援機構810に関して記載される移動に抵抗することができ、組織成長は、送達支援機構820の周囲で、その孔を通して起こり得る。送達支援機構830は、かぎ形を有するフラップであり、ここで、フラップは、例えば送達支援機構810に関して記載される移動に抵抗することができ、組織成長は、かぎ形の周囲で起こり得る。送達支援機構840は、不規則な形状を有するフラップであり、ここで、フラップは、例えば送達支援機構810に関して記載される移動に抵抗することができ、組織成長は、不規則な形状の周囲で起こり得る。
【0141】
図8Bは、どのようにして図8Aの送達支援機構810、820、830、840が物品800の表面で材料に切断され得るかの例を図示する。送達支援機構は、物品800が組織部位に送達されるまで位置に保持され得、次いで、表面から離れて配備されて(図8Aに図示される通り)、組織中で物品800を保持し得る。実施形態では、送達支援機構810または類似のものは、物品800(または他の細胞送達物品)の表面において材料を斜めに切断して、鱗に似た突出部を実現し得る。また、図8Bに図示されるのは、物品800上での材料の位置決めの前または後の物品800の表面での材料中に形成される孔およびスリット(領域850として指し示される領域中)である。そのような孔およびスリットは、表面から離れた突出部なしで、表面上での組織成長を促進し得る。組織成長を促進する送達支援機構のいくつかの例は、図8Aおよび図8Bに関して図示および記載され、送達支援機構の多くの他の形状およびサイズは、本開示の範囲内であり、さまざまな形状およびサイズが、単一の細胞送達物品において使用され得る。
【0142】
図9Aは、送達支援機構920、930が、その周囲に巻き付けられるか、または部分910の表面で材料に切断される部分910を有する細胞送達物品900の実施形態を図示する。物品900が組織部位に位置するまで、送達支援機構920、930は、部分910に対して保たれ(例えば、組織と接触する場合、分解するコーティングによって)、組織部位での位置決めの後、円周方向に外側に配備される。実施形態では、送達支援機構920、930は、図9Bに図示される単一の送達支援機構940であり、これは、物品900の部分910の長さの周囲にらせん状に巻きつけられた連続片を形成するように配備される。
【0143】
送達支援機構は、例えば、1つもしくは複数の天然に存在するポリマーまたは合成ポリマーなどの任意の好適な材料から形成され得る。実施形態では、送達支援機構は、ポリエチレンオキシド(PEO)から形成される。先端部(例えば、先端部730)は、鋭い先を保持し得る硬質材料、例えば、金属、セラミックもしくは他の材料、または材料の組合せから形成され得る。実施形態では、先端部はマグネシウムから形成される。
【0144】
図10は、主要部分1001を有し、主要部分1001によって規定される空洞中に配置された2つのプラグ1010、1011およびリザーバー1020を含む細胞送達物品1000の実施形態の断面を図示する。物品1000は、必要に応じて、主要部分1001と一体化されたか、またはそれに取り付けられた円錐状の送達支援機構1030を含む。バイオゴーストコーティング1040は、主要部分1001の露出部分を被覆する。必要に応じて送達支援機構1030を含む実施形態では、バイオゴーストコーティング1040は、送達支援機構1030を追加的に被覆していてもよく、実施形態では、送達支援機構1030は、被覆されていないままで、送達支援機構1030の周囲の組織の成長による組織中の物品1000の保持のために提供されるか、または送達支援機構1030の分解を促進する。
【0145】
図11は、バイオゴーストコーティング1140(1140aおよび1140bのラベル付き)がリザーバー1120の外壁を被覆し、細胞送達物品1100の主要部分1101の残りが組織に曝露されたままであることを除いて、図10の細胞送達物品1000に類似する細胞送達物品1100の実施形態の断面を図示する。この様式では、リザーバー1120内の細胞は、組織中での免疫細胞による攻撃から保護され、線維化発生は、リザーバー1120上で最小化または阻止され得、物品1100は、組織成長が起こって、組織中の物品1100の保持に役立ち得る表面領域を提供する。図11にも図示されるように、バイオゴーストコーティング1140、例えば、バイオゴーストコーティング1140aは、主要部分1101から突出していてもよく、または、例えば、バイオゴーストコーティング1140bは、主要部分1101の表面と実質的に同一線上であってもよく、または主要部分1101の表面より凹面に設けられてもよい(示さない)。
【0146】
図12は、リザーバー1210が物品1200の主要部分1201によって規定される空洞1202中に配置される前に、バイオゴーストコーティング1240がリザーバー1210に付与されることを除いて、図11の細胞送達物品1100に類似する細胞送達物品1200の実施形態の断面を図示する。物品1200の外側に露出したリザーバー1210の外周部の一部を被覆するように示されているが、バイオゴーストコーティング1240は、リザーバー1210の追加の表面またはすべてを被覆していてもよい。
【0147】
図10図11もしくは図12の実施形態、または本開示の任意の他の実施形態のいずれかでは、細胞送達物品は、細胞送達物品の作用を設計された時間遅らせるために、細胞送達物品のすべての上またはその一部の上に、分解可能コーティングを含んでいてもよい(図示には示さない)。
【0148】
図13は、本開示による細胞送達物品1300の実施形態の設計の断面を図示する。細胞送達物品1300は、2つのプラグ1310、1311が配置され(例えば、空洞中に形成されるか、またはそこに追加される)、リザーバー1320が配置される(例えば、空洞に追加されるか、または空洞およびプラグ1310、1311によって規定される)空洞を規定する主要部分1301を有する。実施形態では、プラグ1310、1311は、シリコーンから形成されるか、またはシリコーンを含み、酸素供給構成要素(例えば、過酸化カルシウム)は、シリコーン内に配置される。物品1300は、主要部分1301に組み込まれたか、またはそれに取り付けられた送達支援機構1330をさらに含む。この実施形態では、送達支援機構1330は鋭い先端部1340を含む。実施形態では、送達支援機構1330はPEOから形成され、先端部1340はマグネシウムから形成される。細胞1350は、媒体1360を有するリザーバー1320中に配置される。実施形態では、媒体1360はアルギン酸ゲルである。実施形態では、細胞は島細胞を含む。多孔質の外壁は、少なくともリザーバー1320を越えて広がっており、リザーバー外壁1370を形成し、ここで、細孔は、水および栄養素がリザーバー1320に入ることを可能にし、間質液(例えば、インスリン、グルコースなどを含有する)がリザーバー1320に入ることを可能にし、かつ細胞産物がリザーバー1320から出ていくことを可能にしながら、免疫系細胞(例えば、リンパ球、好中球、単球、マクロファージなど)およびタンパク質(例えば、サイトカイン、抗体など)をリザーバー1320に入ることからブロックするようなサイズである。コーティング1380は、少なくともリザーバー外壁1370を被覆し、物品1300の主要部分1301の他の部分を被覆していてもよい。実施形態では、コーティング1380は、免疫抑制応答および線維化発生を回避するためのバイオゴーストコーティングである。実施形態では、コーティング1380は、コラーゲンの細胞結合ドメインの類似体である生体模倣合成ペプチド(例えば、マルチアームペプチドまたはMAP)を含む。生体模倣合成ペプチドは、物品1300の部分に共有結合により結合している。実施形態では、コーティング1380は分解可能コーティング層を含む。酸素供給構成要素が枯渇するまで、媒体1360からプラグ1310、1311に入る水分子(例えば、媒体1360が起源であるか、または組織からリザーバー外壁1370を通ってリザーバー1320に受け入れられるかのいずれか)は、酸素供給構成要素と組み合わされ、酸素1390を放出し、これは、媒体1360に戻って提供され、細胞1350に達して、細胞1350を持続させる。この方法では、物品1300は、一時の間、例えば、細胞1350が組織部位に取り込まれるまで、細胞1350の生存能力を維持することができる。
【0149】
実施形態では、物品1300を、低温で貯蔵して、物品1300が対象の身体に放出されるまで、プラグ1310、1311中の酸素供給構成要素からの酸素の放出を遅くさせてもよい。
【0150】
実施形態では、過酸化カルシウム粉末は、シリコーンと混合され、押出成形されて、プラグ1310、1311を形成し、押出成形は、物品1300への移送のための成形型であってもよく、または押出成形は、物品1300に直接であってもよい。
【0151】
実施形態では、リザーバー外壁1370は、メンブレンである。メンブレンは、例えば、ePTFE、多孔質ポリイミド、ポリスルホン、セルロース、または前述の2つもしくはそれよりも多くの組合せであり得るか、またはそれらを含み得る。実施形態では、メンブレンは、メンブレン上でMAPの結合のために表面を官能化するようにプラズマ処理された多孔質ポリイミドである。
【0152】
バイオゴーストコーティングに関する例として、図14は、指し示されたコラーゲンのP-15ペプチド結合ドメインの例とともに、コラーゲン線維の伸展を図示する。これらのP-15細胞結合の突起は、およそ74ナノメートルごとにコラーゲン線維上でリングを形成する。P-15ペプチドは、P-15類似体のバイオゴーストコーティングを製剤化するために合成することができる。
【0153】
バイオゴーストコーティングに結合する身体の細胞の引きつけにおけるバイオゴーストコーティングの有効性の例は、図15AのSEM画像に図示され、図15BのSEM画像に示されるコーティングされていないメンブレン上の細胞遊走の欠如と比較して、培養容器中に垂直に設置されたePTFE毛細管の管腔表面上で培養容器から遊走した細胞を示す。
物品組成物および剤形
【0154】
本明細書に記載される細胞送達物品は、任意の好適な組成物に製剤化されてもよく、組成物は、任意の好適な剤形で提供されてもよい。好適な担体および/または賦形剤を、所望の組成物および剤形のために用いてもよい。組成物は、1つまたは複数の細胞送達物品を含んでいてもよく、特定の適応症または使用に合わせてもよい。例えば、組成物は、経口送達、局所送達、注射による送達、または静脈内送達のために合わせてもよい。
【0155】
経口送達剤形としては、限定されるものではないが、液剤、懸濁剤、カプセル、錠剤、および可溶性フィルムが挙げられる。
【0156】
局所送達剤形としては、限定されるものではないが、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、セラム、ローション、エマルジョン、スプレー、液剤、エアロゾル、フィルム、パッチ、包帯、点眼剤、点耳剤、および塗布可能なフィルム形成組成物が挙げられる。
【0157】
注射可能な送達剤形としては、限定されるものではないが、シリンジ、画像誘導ニードルもしくは他のニードルツールを介して送達され得る液剤または懸濁剤が挙げられる。
【0158】
静脈内送達剤形としては、限定されるものではないが、液剤または懸濁剤が挙げられる。
【0159】
組成物は、追加の構成要素なし(例えば、担体または賦形剤なし)の1つまたは複数の細胞送達物品であってもよい。そのような組成物は、任意の好適な剤形によって送達されてもよい。
【0160】
組成物および/または剤形は、細胞送達物品、そこに含有される細胞もしくは発現した細胞産物の即時放出、持続放出または制御放出のために製剤化されてもよい。放出時間は、例えば、剤形もしくは細胞送達物品を作製するために使用される材料の操作、材料の厚さを変えることによって、細胞送達物品もしくは剤形上にコーティングを含ませることによって、または他の遅延放出機構のいずれかを介して、剤形または細胞送達物品の分解速度を調整することによって、設計され得る。
【0161】
実施形態では、剤形は、トランスポーターを含み、これは、対象の身体中に位置し、次いで、活性化されて、組成物を組織に曝露し、この方法では、組成物中の1つまたは複数の細胞送達物品は、細胞送達物品中の細胞が組織部位に取り込まれ得るように置くことができる。トランスポーターは、自己活性化して、組成物を組織に曝露してもよい。
【0162】
経口送達のための自己活性化トランスポーターの実施形態では、カプセルはバルーンを含有し、カプセルが、特定の範囲(例えば、5.5を上回る、7.0を下回る、5~7の間など)のpH値で組織に曝露されると、カプセルの外部部分が、分解を開始し、生体物質(または消化物質)は、最終的に、カプセルの外側部分を破り、バルーンに達し、バルーンは、膨張によって生体物質(または消化物質)に応答し、膨張は、トランスポーターから組成物を排出する機構を誘発する。そのような自己活性化トランスポーターの実施形態では、カプセルは、小腸中で存在するpH値で分解を開始し、組成物は、小腸の壁に排出され、例えば印加される排除力に応じて、組成物は、腸壁の粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜もしくは他の層に、または腹膜もしくは腹腔に、または腹腔中の臓器に排出され得る。例えば、組成物は、細胞送達物品のリザーバー中の島細胞を運ぶ細胞送達物品を含むことができ、細胞送達物品は、細胞送達物品の腸壁への、または腹腔への腸壁を通した侵入に役立つ送達支援機構を含むことができ、島細胞が組織部位に取り込まれると、それらは、膵臓様機能性を対象の身体に提供することができる。
【0163】
実施形態では、トランスポーターは、対象が絶食状態または非絶食状態にあるかにかかわらず、GI管の壁に(またはそれを通して)細胞送達物品を送達する十分な力で細胞送達物品を排出し、言い換えれば、トランスポーターは、GI管中に存在する場合、消化物質により細胞送達物品を送達するように構築される。
【0164】
実施形態では、トランスポーターは、例えば、トランスポーターの位置または移動の軌跡を検出するため、細胞送達物品が組織部位に曝露されたときを検出するため、トランスポーターが細胞送達物品を排出するように作動したときを検出するため、環境条件(例えば、温度、圧力、湿度またはpHレベル)を検出するため、トランスポーターの外部のデバイス(対象の身体の外部を含む)と通信するため、または他の機能のために、電子機器が組み込まれていてもよい。電子機器は、情報を保存する記憶デバイスを含んでいてもよい。記憶デバイスに保存された情報は、電子機器中に含まれる通信インターフェースを経由して、トランスポーターの外部のデバイスに中継されてもよい。
【0165】
実施形態では、細胞送達物品は、例えば、細胞送達物品の位置または移動の軌跡を検出するため、細胞送達物品が組織部位に曝露されたときを検出するため、細胞送達物品がトランスポーターから排出されたときを検出するため、環境条件(例えば、温度、圧力、湿度またはpHレベル)を検出するため、細胞送達物品の外部のデバイス(対象の身体の外部を含む)と通信するため、または他の機能のために、電子機器が組み込まれていてもよい。電子機器は、情報を保存する記憶デバイスを含んでいてもよい。記憶デバイスに保存された情報は、電子機器中に含まれる通信インターフェースを経由して、細胞送達物品の外部のデバイスに中継されてもよい。
方法
【0166】
本明細書に記載される方法の一部は、細胞が細胞産物を発現し、組織部位に取り込まれるのを可能にする期間、細胞の生存能力を維持することができる細胞送達物品を使用して、細胞を組織部位に送達することに関する。実施形態では、そのような物品は、さらに、バイオゴースト化により免疫系から隠蔽することができる。他の方法は、投薬スケジュールに従って、細胞を対象に投与するステップを含み得る。細胞は、任意の好適な経路、例えば、経口または非経口の経路によって投与されてもよい。1つまたは複数の細胞送達物品を含む剤形は、一般に、意図される投与の経路または所望の投薬スケジュールに基づいて製剤化されてもよい。
送達の方法
【0167】
細胞送達物品の対象への導入は、さまざまな方法で達成され得る。例えば、細胞送達物品は、経口、直腸、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、髄腔内、関節内、眼内または局所的に、組織部位に導入されてもよい。注射は、一般に、細胞送達物品を、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、髄腔内、関節内および眼内に導入するために使用される。しかしながら、局所的付与はまた、細胞送達物品を眼、皮下組織または皮膚組織に導入するために用いられてもよい。実施形態では、細胞送達物品は、目的の病状、例えば、がんもしくは感染領域の近くまたはそれに隣接した直接注射を介して、対象に導入される。
【0168】
本明細書に記載される細胞送達物品は、任意の好適な経路によって送達されてもよい。経口経路は、典型的には、口による送達を含む。ここで、細胞送達物品は、トランスポーター内に含有されていてもよく、これは、GI管に入り、GI管内で物品を放出するであろう。物品は、例えば送達支援機構の助力により、腸中で組織部位に侵入してもよく、またはそこに付着するようになってもよい。腸中での通行の間、細胞送達物品内の細胞は、一般に、それらが分散された栄養素含有媒体によって、および細胞送達物品のプラグ中の媒体とび酸素供給構成要素の間の化学反応によって与えられる酸素の供給によって、生存能力が保たれる。細胞送達物品のための送達の経口経路は、例えば、意図される組織部位がGI管内であるか、またはGI管内の送達によって到達可能であり(例えば、GI管の壁を通して腹膜に)、投与の便利なモードが望ましい場合に、選択され得る。
【0169】
実施形態では、送達の経口経路を使用して、細胞をGI管の壁(例えば、食道、胃、小腸、大腸、結腸などの壁)に送達し、実施形態では、GI管の壁への送達のためにトランスポーターによって使用される力は、GI管の壁、腹膜、またはそれらの中の腹腔もしくは臓器への送達をもたらす。
【0170】
送達の非経口経路は、一般に、すべての非経口経路を含む。非経口経路としては、例えば、筋肉内投与、局所投与、皮下投与、皮内投与、直腸投与、静脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、関節内投与および眼内投与が挙げられ得る。送達の非経口経路は、例えば、対象が経口送達を許容できない場合、肝初回通過代謝が回避されるべきである場合、および/または細胞送達物品の局所送達が望ましい場合に、選択され得る。送達の非経口経路は、細胞送達物品を含有するトランスポーターの使用を含んでいてもよい。
【0171】
細胞を組織部位に送達するための方法は、細胞送達物品を対象の身体に導入するステップを含み得、ここで、細胞送達物品は、リザーバー内の細胞を含む。リザーバーは、1つまたは複数の細孔を有するリザーバー外壁を含んでいてもよい。リザーバー内に配置された媒体は、細胞を支持するように適合される。細胞送達物品は、細胞送達物品中に配置された1つまたは複数のプラグ中の酸素供給構成要素を含む。リザーバー外壁を被覆するバイオゴーストコーティングが提供されてもよく、これは、対象の免疫系による細胞送達物品の認識を防止し得、線維化発生を最小化または防止し得る。バイオゴーストコーティングは、生体模倣ペプチド、例えば、マルチアームペプチドP-15を含んでいてもよい。このマルチアームペプチドは、コラーゲンの細胞結合ドメインの類似体であり得る。
【0172】
方法は、酸素供給構成要素から酸素を発生させて、細胞の支持を支援するステップ、および少なくとも細胞が組織部位に取り込まれ、それらの細胞産物が発現することができるまで、送達支援機構を使用して組織部位で細胞送達物品を保持するステップも含み得る。
【0173】
細胞送達物品は、任意の組織部位に送達され得る。例えば、組織部位は、小腸、大腸、結腸、肝臓、門脈内静脈、腎臓被膜、網、腹膜、腹腔、卵巣、子宮、甲状腺、脳、髄腔内空間、皮膚、筋肉、精巣上体脂肪体、皮下組織、血管、動静脈部位、眼または他の組織部位であり得る。
【0174】
方法は、組織部位への細胞の取り込みを可能にするのに十分な期間、細胞送達物品を組織部位で維持するステップをさらに含んでいてもよい。細胞送達物品を維持するステップは、細胞送達物品の分解速度を制御することを含んでいてもよい。細胞送達物品が組織部位で維持される期間は、約1もしくは2日~約6か月の範囲、またはそれよりも長くあり得る。
【0175】
一部の例では、維持するステップは、細胞送達物品を、送達支援機構を使用して組織部位で保持することを含む。
【0176】
細胞送達物品で送達され得る細胞は、さまざまな細胞型を含み得る。実施形態では、細胞は同じ細胞型を含む。実施形態では、細胞は異なる細胞型を含む。細胞は、自家もしくは同種異系、または前述の組合せであり得る。細胞型は、本開示の他の場所で詳細に議論されている。
投与の方法
【0177】
本明細書に記載される細胞送達物品は、任意の好適な投薬スケジュールに従って投与され得る。投薬は、送達の経路、送達される細胞の種類および/もしくは作製される特定の細胞産物、処置される状態もしくは疾患の重症度、投薬スケジュールが細胞産物の維持レベルを提供するためもしくは負荷用量を提供するためであるかどうか、ならびに/または対象のコンプライアンスなどの因子を考慮し得る。
【0178】
一般に、方法は、状態に対する処置レジメンを提供するステップであって、処置レジメンが投薬スケジュールを含む、ステップ、および用量を投与するステップであって、用量が、投薬スケジュールに従って、剤形中に1つまたは複数の細胞送達物品を含む、ステップを含む。1つまたは複数の細胞送達物品は、典型的には、細胞、媒体、および細胞を支持するための酸素供給構成要素を含む。
【0179】
細胞送達物品の投薬は、さまざまな投与の経路に関連するいくつかの一般的な原理によって影響され得る。しかしながら、物質が対象中で有し得る臨床効果を予測することは、多くの場合困難であり、投薬レジメンをそれぞれの対象に合わせることが要求される。したがって、本明細書に記載される細胞送達物品の投薬は、任意の好適な方法で実行され得、観察された臨床効果(例えば、細胞産物の血中濃度、症状の低減、臨床応答の欠如など)に基づいて調整され得る。
【0180】
方法の一部の変形は、用量を定期的に投与する投薬スケジュールを含む。他の変形では、投薬スケジュールは、所定の日数の間1日1回または1日あたり複数回、用量を投与することを含む。さらなる変形では、投薬スケジュールは、所定の週数の間1週間に1回、用量を投与することを含む。別の変形では、投薬スケジュールは、所定の月数の間1か月に1回、用量を投与することを含む。投薬スケジュールは、所望の細胞の数が送達されるまで、および/または臨床効果が実現されるまで、継続されてもよい。実施形態では、負荷用量が送達され、続いて維持用量が送達されてもよい。
【0181】
1つまたは複数の細胞送達物品を含む用量は、さまざまな方法で投与され得る。例えば、前に記載したように、用量は、経口、直腸、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、髄腔内、関節内、眼内または局所的に、投与されてもよい。実施形態では、用量は、目的の病状、例えば、がんもしくは感染領域の近くまたはそれに隣接した直接注射を介して対象に投与される。
【0182】
用量は、任意の好適な剤形に製剤化されてもよい。剤形は、使用の特定の適応症に合わせてもよい。例えば、剤形は、真性糖尿病または膵炎を処置するために使用される場合、経口送達のために合わせ、膵島細胞を含んでいてもよい。経口剤形に加えて、細胞送達物品は、局所組成物、注射可能組成物または静脈内組成物として製剤化されてもよい。好適な担体および/または賦形剤を、作製される剤形に基づいて用いてもよい。1つまたは複数の細胞送達物品は、剤形に含まれていてもよい。剤形は、剤形に含有されるもう1つの細胞送達物品の即時放出、持続放出または制御放出のために構築されてもよい。
【0183】
さまざまな状態または障害が、本明細書に記載される細胞送達物品で処置され得る。そのような状態または障害としては、限定されないが、糖尿病、膵炎、がん、甲状腺疾患、発育不全および神経疾患が挙げられる。一部の例では、状態または障害は熱傷である。他の例では、状態は、創傷または皮膚の欠陥である。
【0184】
細胞が、膵島細胞を含む場合、処置レジメンは、対象の膵臓の健康の1つまたは複数の指標を評価すること、および評価が膵臓の健康を指し示さない場合に処置レジメンを持続すること、または評価が膵臓の健康を指し示す場合に処置レジメンを改訂することのいずれかをさらに含んでいてもよい。異なる細胞型が投与される場合、処置レジメンは、処置レジメンが調整されなければならないかどうかを決定するために、細胞または細胞産物の臨床効果に関する1つまたは複数の指標を評価することを依然として含んでいてもよい。
【0185】
処置レジメンの実施形態では、細胞送達物品(例えば、図1A図13に図示される細胞送達物品のうちの1つ)は、それぞれの日に(または他の定期的または非定期的な間隔で)対象の組織部位に送達される。対象は、時々(例えば、毎日、毎週、毎月)、膵臓の健康の1つまたは複数の指標(例えば、膵酵素、脂肪レベル、炎症、グルカゴンレベル、グルコースクランプとの反応など)について試験される。移植された膵島が十分に機能していることを医師が決定する場合、膵島の投薬は中止される。維持用量または反復処置は、必要な場合に使用されてもよい。
【0186】
細胞送達物品および対応する処置レジメンの実施形態では、細胞送達物品(例えば、図1A図13に図示される細胞送達物品のうちの1つ)は、300~500個の島細胞を含むように作製される。細胞送達物品は、細胞送達物品が対象の身体に埋め込まれるように、GI管の組織に細胞送達物品を排出することができる経口剤形(例えば、カプセル)に組み込まれる。排除力は、細胞送達物品をGI管の壁に排出するように、または細胞送達物品をGI管の壁を通して腹膜または腹腔に排出するように設計されてもよい。経口剤形は、対象によって摂取されて、細胞送達物品の経口剤形からの排除によって、島細胞の用量を送達する。対象は、その後、数か月間それぞれの日に1経口剤形を摂取する。時々、または定期的に(例えば、1か月に1回)、対象は試験され、十分な膵臓機能が実証された後、投薬は中止される。
【0187】
膵島細胞送達に関して記載したが、細胞送達物品は、処置計画に従って、島細胞に加えてまたはその代わりに、他の細胞型を送達するために好適である。
【0188】
実施形態では、処置計画は、もう1つの細胞型を含有する1つまたは複数の細胞送達物品を、最初の期間の間1週間に1回対象の身体に送達すること、および対象の身体の応答に基づいて、1週間に1回の送達を継続すること、1週間に1回の送達を中止すること、細胞送達物品あたりの投薬量を低減すること、それぞれの週に送達される細胞送達物品の数を低減すること、または送達期間を1週間から延長するように、例えば、1か月に2回、1か月に1回、2か月ごと、1年に4回、半年ごと、もしくは1年に1回に延長するように処置計画を改変することのいずれかを含む。他の実施形態では、最初の送達期間は、毎日、1か月に1回、2か月ごと、1年に4回、または他の期間であり得る。
【0189】
実施形態では、細胞送達物品の送達は経口である。実施形態では、細胞送達物品の送達は静脈内である。実施形態では、細胞送達物品の送達は腹腔内である。実施形態では、細胞送達物品の送達は皮膚または皮下である。
【0190】
実施形態では、細胞送達物品はインクレチン細胞を含有する。実施形態では、細胞送達物品は免疫細胞を含有する。実施形態では、細胞送達物品は幹細胞を含有する。
【実施例
【0191】
以下の実施例は、例示に過ぎず、決して本開示に限定して解釈されるべきではない。
(実施例1)
【0192】
図16図24Bは、本開示による細胞送達物品を製造するための方法の実施形態を図示する。
【0193】
図16は、前もって形成され(例えば、射出成型によって形成される)、単一の形態で、またはそのようなシェルの相互接続された並びもしくはマトリックスで提供されるシェル1600の実施形態を、長手方向軸に沿った断面図として示す。シェル1600は、この実施形態では、剛性または半剛性の骨組み部分を有し、その結果、シェル1600は、一般に、形成後にその形状を実質的に保持する。この実施形態では、シェル1600は、PGA、PLA、PLGAまたはPGLAから形成され、他の材料も含まれていてもよい。PGA、PLA、PLGAおよびPGLAの間の選択は、一部分では製造可能性に、および一部分では、どの程度の間シェル1600が標的組織部位に曝露された後に分解に抵抗することが望ましいかに依存する。例えば、PGAは、短時間(例えば、一週間など)で分解され得、PLAは、数年の単位(例えば、1年半)で分解され得、PLGAおよびPGLAは、PGAおよびPLAの間の速度で分解し得る。
【0194】
長手方向軸に垂直な軸に沿ったシェル1600の断面形状は、円形、球形、半球形、正方形、長方形、多角形または不規則であり得、シェル1600の長さに沿って変わり得る。シェル1600は空洞1620を規定する。
【0195】
図16に図示される実施形態では、シェル1600は、シェル1600の残りに不可欠な尖った末端1610を含み、別の実施形態では(示さない)、シェル1600は、尖った末端1610を省略するか、またはシェル1600および尖った末端1610は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。尖った末端1610は、図7Aまたは図7Bに関して記載および図示されるなどの鋭い先端部(示さない)を含んでいてもよい。シェル1600は、図8A図8B図9Aまたは図9Bに関して記載および図示されるなどの1つまたは複数の送達支援機構(示さない)を含んでいてもよく、これは、シェル1600と一体化して形成されるか、シェル1600に取り付けられる。
【0196】
図17Aは、図16のシェル1600の空洞1620中に配置されたプラグ1710の実施形態を図示する。プラグ1710の堅牢性は、それ自身を成形するのに、または成形されるのに十分な展性であり、その結果、プラグ1710は、尖った末端1610の近くの空洞1620の形状をおよそ取る。実施形態では、プラグ1710は、過酸化カルシウムを有するシリコーンであり、シリコーンを形成するために架橋される構成要素は、堅牢性、水の移送速度または酸素の移送速度などのシリコーンの所望の性質のために選択される。実施形態では、プラグ1710は、シリコーンおよび過酸化カルシウム粉末の混合物を押出成形することによって形成される。
【0197】
図17Bは、図16のシェル1600の空洞1620中に配置されたプラグ1720の実施形態を図示する。プラグ1720の堅牢性は、十分に硬く、その結果、プラグ1720は、空洞1620中に配置される場合にその形状をおよそ保持し、これは、プラグ1720およびシェル1600の間の空間1730をもたらしてもよい(またはもたらさなくてもよい)。実施形態では、プラグ1720は、過酸化カルシウムを有するシリコーンであり、シリコーンを形成するために架橋される構成要素は、堅牢性、水の移送速度または酸素の移送速度などのシリコーンの所望の性質のために選択される。図17Aおよび図17Bは、便宜上、プラグ1720を図示し、本開示中の他の例などの追加のプラグまたは他のプラグが含まれていてもよく、またはプラグ1720と置換されてもよいことが理解されるべきである。実施形態では、プラグ1720は、シリコーンおよび過酸化カルシウム粉末の混合物を押出成形することによって形成される。
【0198】
図18はメンブレン管1810を図示する。示される実施形態では、メンブレン管1810は、ノズル1830を通して付与されるバイオゴースト化材料1820を噴霧される。実施形態では、メンブレン管1810は、バイオゴースト化のために、最初にプラズマ処理されて、調製される。メンブレン管1810は、回転してもよく(例えば、矢印1840によって示される方向または逆の方向で)、または転がされてもよく、その結果、バイオゴースト化材料1820は、メンブレン管1810の少なくとも外側表面を被覆する。メンブレン管1810は、一端または両端で(例えば、末端1811でおよび/または末端1812で)閉じていてもよい。末端で閉じている場合、末端中の細孔は、水および酸素が末端を通過することが可能であるようなサイズであり得る。
【0199】
図19は、メンブレン管1810が、プラグ1720に隣接して、図17Bのシェル1600の空洞1620中に設置される実施形態を図示する。
【0200】
図20Aは、細胞が懸濁されるゲル媒体2020を含有する、容器2010が提供される方法の実施形態を図示する。ゲル媒体2020の液滴2021は、図16のシェル1600内のメンブレン管1810に設置される(例えば、注がれる、滴らせる、すくう、またはピペッティングする)。
【0201】
図20Aに関する別の実施形態(示さない)では、細胞はゲル媒体2020に懸濁されず、細胞は、液滴2021がメンブレン管1810中に設置された後(またはそれと同時に)に、ゲル媒体2020の液滴2021に添加される。
【0202】
図20Bは、容器2030が提供され、粉末形態の硬化剤2040を含有する方法の実施形態を図示する(別の実施形態では、硬化剤2040は、液体形態である)。硬化剤2040の粒子2041(または硬化剤2040の液滴)は、シェル1600内のメンブレン管1810に設置される(例えば、注がれる、滴らせる、すくう、またはピペッティングする)。細胞が含まれる液体媒体2060(例えば、アルギン酸塩)を含有する容器2050も提供される。液体媒体2060の液滴2061は、粒子2041の前、それと同時に、またはその後のいずれかで、シェル1600内のメンブレン管1810に設置される(例えば、注がれる、滴らせる、すくう、またはピペッティングする)。粒子2041および液滴2061は、メンブレン管1810内で混合され、架橋されて、ゲルを形成する。
【0203】
図20Bに関する別の実施形態(示さない)では、細胞は液体媒体2060に懸濁されず、細胞は、液滴2061がメンブレン管1810中に設置された後(またはそれと同時に)に、液体媒体2060の液滴2061に添加される。
【0204】
図21は、メンブレン管1810が、一端にプラグ1720、および他端にプラグ2110を有するように、第2のプラグ2110がメンブレン管1810の上に配置される実施形態を図示する。プラグ2110は、プラグ1720と類似の設計のものであってもよく、または異なる設計であってもよい。例えば、プラグ2110中の酸素供給構成要素は、プラグ1720中の酸素供給構成要素と異なっていてもよく、プラグ2110の枠組み部分(例えばシリコーン)を形成するために架橋された構成要素は、プラグ1720の枠組み部分を形成するために架橋された構成要素と異なっていてもよく、または異なる相対重量パーセントを有していてもよい。
【0205】
図22は、プラグ1720、プラグ2110およびメンブレン管1810を完全に封入するために密閉された末端2210を形成するように密閉されたシェル1600を含む細胞送達物品2200の実施形態を図示する。
【0206】
実施形態では、シェル1600は、組織部位に送達された後に一時の間(例えば、数日、数週間、数か月または数年)、分解に耐えるように設計される。この実施形態では、シェル1600は多孔質であり(多孔質であるメンブレン管1810に加えて)、バイオゴースト材料でコーティングされる(バイオゴースト材料でコーティングされているメンブレン管1810に加えて、またはその代わりに)。細孔は、免疫細胞およびタンパク質がシェル1600に入るのをブロックしながら、酸素、栄養素、他の細胞因子、間質液などがシェル1600に通過するのを可能にし、細胞産物がシェル1600から出ていくのを可能にするようなサイズである。バイオゴーストコーティングは、免疫系の攻撃、およびバイオゴーストコーティングが配置されたシェル1600の表面の部分で線維化発生が起こるのを最小化または防止する。
【0207】
図20A図20B図21および図22は、便宜上、プラグ1720を図示し、本開示中の他の例などの追加のプラグが追加されていてもよく、またはプラグ1720と置換されてもよいことが理解されるべきである。実施形態では、プラグ1720は、シリコーンおよび過酸化カルシウム粉末の混合物を押出成形することによって形成される。
【0208】
図23は、図22の細胞送達物品2200が配置されたチャンバー円筒2310を含む密閉されたチャンバー2300の実施形態の透視図を図示する。チャンバー円筒2310は、一端がシール2320(例えば、アルミホイル)で、逆の末端がシール2330(例えば、アルミホイル)で密閉される。チャンバー2300は、細胞送達物品2200が送達されるまで、またはそれが組成物および剤形に製剤化されるまで、細胞送達物品2200を含有するために使用され得る。実施形態では、細胞送達物品2200は、無菌環境で製造され、細胞送達物品2200は、無菌環境中のチャンバー2300に密閉され、その結果、細胞送達物品2200は、チャンバー2300が破られる(例えば、シール2320またはシール2330が穴を開けられるか、または除去される)まで、チャンバー2300中において無菌空間のままである。チャンバー2300は、単一の細胞送達物品2200を含むとして図示されるが、チャンバー2300に類似するチャンバーは、複数の細胞送達物品を含有していてもよい。
【0209】
実施形態では、密閉されたチャンバー(例えば、チャンバー2300)は、組成物および剤形を調製するための細胞送達物品(例えば、細胞送達物品2200)が欠けている。例えば、複数の細胞送達物品は、1つまたは複数のチャンバーから、液体、懸濁液、またはペーストに取り出して、組成物を形成してもよく、これは、次いで、好適な剤形に調製される。組成物および剤形は、本開示の他の場所で議論されている。
【0210】
実施形態では、密閉されたチャンバー(例えば、チャンバー2300)は、細胞送達物品が密閉されたチャンバーから対象の身体に出されるまで、密閉されたチャンバー内の無菌空間に細胞送達物品(例えば、細胞送達物品2200)を保持する。例えば、ツールを使用して、チャンバー2300のシール2330に穴を開けてもよく、細胞送達物品2200の密閉された末端2210に対して押出してもよく、それによって、細胞送達物品2200の尖った末端1610がチャンバー2300のシール2320に穴を開け、対象の身体に入らせる。そのようなツールは、ハンドヘルドであり得るか(例えば、非経口的送達の一部の実施形態のため)、または自己作動型であり得る(例えば、経口送達または時限送達のため)。
【0211】
図24Aは、カプセル2400の実施形態の構成要素の透視図を図示する。この実施形態では、カプセル2400は、円筒状の区域2410および2つの端キャップ2420から組み立てられる。チャンバー2430(例えば、チャンバー2300に類似する)は、円筒状の区域2410内に配置され、端キャップ2420は、円筒状の区域2410上に設置され、そこに貼り付けられる(例えば、接着、摩擦または圧縮によって)。カプセル2400の少なくとも一部は、標的組織部位に近い条件下で分解するように構築される。例えば、円筒状の区域2410は、標的組織部位でカプセル2400の内容物を生体材料に曝露するために、標的組織部位に近い条件下への曝露の際に迅速に(例えば、数秒または数分以内)分解されるように構築されていてもよく、端キャップ2420も、迅速に分解するように構築されていてもよく、または円筒状の区域2410よりも遅く分解するように、もしくは身体からの除去または消去された後まで実質的に分解しないように構築されていてもよい。別の例について、端キャップ2420は、円筒状の区域2410の前に、実質的にその前に、またはおよそ同じタイムフレームで分解するように構築されていてもよい。
【0212】
図24Bは、チャンバー2430を含有し、自己作動ツール2440および/または自己作動ツール2450も含有する組み立てられたカプセル2400の実施形態の側面図を図示する。
【0213】
実施形態では、カプセル2400は、自己作動ツール2440を含有し、自己作動ツール2450を省略する。この実施形態では、チャンバー2430は、自己作動ツール2440内に含有され、カプセル2400の少なくとも一部が分解した後、自己作動ツール2440が作動して、チャンバー2430からおよび自己作動ツール2440から細胞送達物品を強制的に排出する。強制的な排除は、例えば、スプリング力によって、爆発力によって、または圧力の集結によって、引き起こされ得る。
【0214】
実施形態では、カプセル2400は、自己作動ツール2450を含有し、自己作動ツール2440を省略する。この実施形態では、チャンバー2430は、自己作動ツール2450に隣接しており、カプセル2400の少なくとも一部が分解した後、自己作動ツール2450が作動して、チャンバー2430から細胞送達物品を強制的に排出する。強制的な排除は、例えば、スプリング力によって、爆発力によって、または圧力の集結によって、引き起こされ得る。
【0215】
実施形態では、カプセル2400は、自己作動ツール2440および自己作動ツール2450を含む。チャンバー2430は、自己作動ツール2440内に含有され、自己作動ツール2440は、自己作動ツール2450に隣接している。カプセル2400の少なくとも一部が分解した後、自己作動ツール2440および自己作動ツール2450は、一斉にまたは順に作動して、チャンバー2430から細胞送達物品を強制的に排除する。強制的な押出は、例えば、スプリング力によって、爆発力によって、または圧力の集結によって、引き起こされ得る。
【0216】
実施形態では、カプセル2400は、自己作動ツール2440および自己作動ツール2450を含まない。カプセル2400の少なくとも一部が分解した後、チャンバー2430は、少なくとも部分的に分解して、細胞送達物品2430を組織部位に曝露する。
(実施例2)
【0217】
真性糖尿病を有する対象は、細胞送達物品(例えば、カプセル2400中の細胞送達物品2430)を経口投与することによって処置され得る。対象の処置計画は、約200,000個の膵島の送達を含み得、必要により、より多くの膵島が送達され得る。実施形態では、それぞれの細胞送達物品は約300個の膵島を含有し、それぞれのカプセルは2つの細胞送達物品を含有し、投薬スケジュールは、投薬スケジュールが延長または改変されるべきかを決定するために処置期間の間、膵臓の健康の指標のモニタリング(例えば、血糖管理)を伴って、1カプセルを4か月間1日当たり2回、口から取ることを含む。
【0218】
この例では、細胞送達物品は、小さな膵臓を表し、その結果、それぞれの日に有効なミニ臓器移植がある。細胞送達物品を組織部位に取り込み、細胞送達物品中の細胞は、長期間(例えば、数か月または数年)、細胞産物を対象の身体に発現する。そのため、それぞれの毎日の経口投与は、対象の身体の膵臓の能力を増大させ(依然として機能している場合)、ミニ臓器移植のすべてが、前に投与されており、かつ依然として機能して、細胞産物を発現して、血糖管理を維持する。例えば、経時的に、数ダースまたは数百または数千のミニ臓器が、臓器全体にわたって、または対象の身体全体にわたって広げられ得る。
【0219】
他の状態の処置のためのこの例および他の例では、ミニ臓器のさまざまなものが、複数の状態の処置または複数の方法での状態の処置のために、異なる細胞型を含有し得る。
(実施例3)
【0220】
実施形態では、液体注射に好適な組成物および剤形について、細胞送達物品の上のコーティングは、意図される組織部位で溶解し、液体剤形内で溶解しないように設計される。
(実施例4)
【0221】
実施形態では、スラリーを使用する組成物および剤形について、細胞送達物品の上のコーティングは、意図される組織部位で溶解し、スラリー内で溶解しないように設計される。
(実施例5)
【0222】
実施形態では、脳への処置のために、複数の細胞送達物品が、カテーテルを通して脳に(例えば、脳脊髄液に、または腫瘍にもしくはそれに隣接して)送達される。
(実施例6)
【0223】
実施形態では、剤形は、バルーンの形態のトランスポーターを含む。複数の細胞送達物品が、それが液体と接触した時に迅速に溶解する糖などの材料でバルーンに取り付けられる。次いで、バルーンが空間に拡張され、その結果、バルーンは、空間内の組織を押し、細胞送達物品が組織に押し進められる。例えば、バルーンは、食道、胃、静脈、動脈、肺、心臓、腸、脳および他の空間で使用され得る。
(実施例7)
【0224】
実施形態では、1つまたは複数の細胞送達物品は、眼に埋め込まれる。
(実施例8)
【0225】
実施形態では、細胞送達物品は、細胞送達物品中のリザーバーに含有されるすべての細胞が細胞送達物品中のプラグから約100μmより短い距離であるように、構築される。実施形態では、細胞送達物品は、リザーバー中の最長の軸に沿って長手方向に位置するプラグを含む(例えば、それぞれ、図4A図4Dのプラグ410、410a、410b、410cを参照されたい)。プラグは、プラグからリザーバーの外壁(例えば、図4A~4Dにおいて外周部401によって規定され得るリザーバー外壁など)までの距離が約100μmを超えないように、構築される。実施形態では、細胞送達物品は、最長で約25cmの長さ、および最長で約1000μmの断面寸法を有する。
【0226】
例えば、細胞送達物品は、およそ15cmの長さおよび約1000μmの直径を有する円筒状であり、約800μmの直径を有するプラグは、細胞送達物品によって規定される空洞の長さに沿って広がっている。
【0227】
実施例8の細胞送達物品は、対象の腹腔または対象の他の空洞内に位置し得る。
(実施例9)
【0228】
実施形態では、細胞送達物品は、細胞送達物品中のリザーバーに含有されるすべての細胞が、細胞送達物品中のプラグから約500μm以下、例えば約100μm以下、約200μm以下、約300μm以下、約400μm以下、または約500μm以下の距離であるように、構築される。
(実施例10)
【0229】
実施形態では、細胞送達物品は、細胞送達物品のリザーバー中に配置されたらせん状の方法で形成されるプラグを伴って構築される。
(実施例11)
【0230】
実施形態では、細胞送達物品は、長さおよび断面寸法(例えば、直径または幅)を有するリザーバーを含む。長さの断面寸法に対する比は、2:1より大きい。
結論
【0231】
実施形態は、限定されないが、以下を含む。
・態様では、細胞送達物品は、リザーバー、リザーバーと化学的に連結している少なくとも1つのプラグ、およびリザーバー内に配置された細胞を含む。リザーバーはリザーバー外壁を含み、プラグは酸素供給構成要素を含む。
・態様では、細胞送達物品は、リザーバー、1つまたは複数のプラグ、リザーバー内に配置され、細胞を支持するように構築された媒体、およびリザーバーの外壁の少なくとも一部を被覆するバイオゴーストコーティングを含む。それぞれのプラグは、リザーバーと化学的に連結しており、酸素供給構成要素を含む。
・態様では、細胞を組織部位に送達する方法は、細胞送達物品を対象の身体に導入するステップを含む。細胞送達物品は、リザーバー内の細胞、リザーバー内に配置され、細胞を支持するように構築された媒体、および酸素供給源を含む。リザーバーは多孔質の外壁を含む。細胞送達物品は、リザーバー外壁の少なくとも一部を被覆するバイオゴーストコーティングをさらに含む。バイオゴーストコーティングは生体模倣ペプチドを含んでいてもよい。方法は、酸素供給源から酸素を発生させて、細胞の支持を支援するステップ、およびバイオゴーストコーティングを使用して、細胞送達物品が対象の免疫系に認識されるのを防止するステップをさらに含む。
・態様では、細胞を対象に投与する方法は、状態に対する処置レジメンを提供するステップであって、処置レジメンが投薬スケジュールを含む、ステップ、および投薬スケジュールに従って、剤形中に1つまたは複数の細胞送達物品を含む用量を投与するステップを含む。それぞれの細胞送達物品は、複数の細胞、媒体、および細胞を支持するための酸素供給源を含む。
【0232】
前述の態様のいずれかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはその組合せを含み得る。
・プラグはシリコーンを含む。
・酸素供給構成要素は、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウムおよび酸化マグネシウムを含む群から選択される1つまたは複数の製剤を含む。
・細胞送達物品は、組織への物品の送達または組織中での物品の保持を支援するように構築された細胞支援機構を含む。
・リザーバー外壁は、酸素および栄養素の通過を可能にし、免疫系細胞およびタンパク質の通過を防止するサイズの複数の細孔を規定する。
・リザーバー外壁の細孔のそれぞれは、0.2μm~7μmの範囲内の直径を有する。
・細胞送達物品は、リザーバー外壁の少なくとも一部を被覆するバイオゴーストコーティングを含み、バイオゴーストコーティングは、免疫応答を誘発するのを防止するように構築される。
・バイオゴーストコーティングは生体模倣ペプチドを含む。例は、コラーゲンの細胞結合ドメインの類似体であり得るマルチアームペプチドである。
・リザーバー外壁は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、多孔質ポリイミド、ポリスルホンおよび/またはセルロースを含む。
・リザーバー外壁は、多孔質ポリイミドのメンブレンを含む。
・細胞送達物品は、細胞を支持するように構築された媒体を含む。媒体は、アルギン酸塩、アルギン酸ゲル、ポリリシン、ポリ-L-オルニチン、アガロース、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、またはそれらの組合せを含む。
・細胞は、膵島、またはアルファ、ベータもしくはデルタ島細胞、またはアルファ、ベータおよび/もしくはデルタ島細胞の組合せを含む。
・細胞は、インスリン、グルカゴン、またはそれらの組合せを産生する。
・細胞はインクレチン細胞を含む。インクレチン細胞は、K細胞、L細胞、またはそれらの組合せであってもよい。
・細胞は、胃抑制ペプチド、グルカゴン様ペプチド、またはそれらの組合せを産生する。
・細胞は免疫細胞を含む。免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、または前述のうちの1つの遺伝子改変されたバリアントであってもよい。マクロファージはTNF-アルファを産生し得る。
・細胞は幹細胞を含む。幹細胞は、胚性幹細胞、内皮前駆細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、ケラチノサイト幹細胞、または前述のうちの1つの遺伝子改変されたバリアントであってもよい。
・細胞は、軟骨細胞および/または線維芽細胞を含む。
・細胞は、副甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモンを産生する。
・細胞は、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、またはそれらの組合せを産生する。
・細胞は成長ホルモンを産生する。
・細胞送達物品は、経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所、腹腔内、または送達の任意の他のモードで送達され得る。
・細胞送達物品は、小腸、大腸、結腸、肝臓、網、腹膜、卵巣、子宮、甲状腺、脳、髄腔内空間、皮膚、筋肉、血管、眼、または身体中の任意の他の臓器もしくは組織部位における組織部位に送達され得る。
・細胞送達物品は、組織部位への細胞の取り込みを可能にするのに十分な期間、組織部位で維持され得る。例えば、細胞送達物品は、細胞送達物品の分解速度を制御することによって組織部位で維持され得る。細胞送達物品を組織部位で維持するための期間は、約2日~約3か月、約1か月~約6か月、約3か月~約1年、約6か月~約2年、または任意の他の範囲の範囲であり得る。
・投薬スケジュールは、用量を定期的に投与することを含む。投薬スケジュールは、対象の個別化された必要性に基づいて決定され得る。投薬スケジュールは、例えば、所定の日数の間1日1回、所定の週数の間1週間に1回、所定の月数の間1か月に1回、1日に複数用量などであり得る。投薬スケジュールは、用量を投与することを含む。
・剤形は、液剤、丸剤、錠剤、軟質ゲル、フィルム、パッチ、クリーム、ゲル、軟膏、または任意の他の適用可能な剤形であり得る。剤形はトランスポーターを含んでいてもよい。例えば、剤形はカプセルを含んでいてもよい。
・処置される状態は、例えば、糖尿病、膵炎、がん、甲状腺疾患、発育不全、神経疾患、熱傷または創傷であり得る。
・細胞送達物品に含まれる細胞は、膵島細胞であり、処置レジメンは、対象の膵臓の健康の1つまたは複数の指標を評価すること、および評価が膵臓の健康を指し示さない場合に処置レジメンを持続すること、または評価が膵臓の健康を指し示す場合に処置レジメンを改訂することのいずれかを含む。
・本開示に記載される他の特徴。
【0233】
本開示を、その具体的な実施形態を参照して記載および図示してきたが、これらの記載および図示は、本開示を限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができること、および等価な構成要素を実施形態内で置換し得ることが明確に理解され得る。また、1つの実施形態由来の構成要素、特性または作用は、他の実施形態由来の1つまたは複数の構成要素、特性または作用と容易に組み換えて、またはそれと置換して、本発明の範囲内の多数の追加の実施形態を形成することができる。また、他の構成要素と組み合わされるとして示されるか、または記載される構成要素は、さまざまな実施形態では、独立した構成要素として存在し得る。さらに、構成要素、特性、構成物質、特徴、ステップなどの任意の肯定的な列挙について、本発明の実施形態は、その構成要素、値、特性、構成物質、特徴、ステップなどの排除を特に考慮する。図示は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことがある。製造プロセスなどにおける変数に起因して、本開示中の芸術的表現および実際の装置の間に差異が存在し得る。具体的に図示されていない本開示の他の実施形態が存在し得る。本明細書および図面は、制限よりもむしろ例示として見なされるべきである。改変を行って、特定の状況、材料、物質の組成、方法または目的物へのプロセス、本開示の精神および範囲に適合させることができる。そのようなすべての改変は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本明細書に開示される方法は、特定の順序で行われる特定の操作を参照して記載されているが、これらの操作を、組み合わせ、細分化し、または整理し直して、本開示の教示から逸脱することなく、等価な方法を形成することができることが理解され得る。したがって、本明細書に具体的に指し示されない限り、操作の順序およびグループ化は、本開示の限定ではない。
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【国際調査報告】