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特表2023-510280三次元構造物を製造するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】三次元構造物を製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20230306BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230306BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230306BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230306BHJP
   B29C 64/182 20170101ALI20230306BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230306BHJP
   B22F 10/18 20210101ALI20230306BHJP
   B22F 12/80 20210101ALI20230306BHJP
   B22F 12/55 20210101ALI20230306BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20230306BHJP
   B22F 12/30 20210101ALI20230306BHJP
   B29C 64/25 20170101ALI20230306BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20230306BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/182
B29C64/321
B22F10/18
B22F12/80
B22F12/55
B22F12/90
B22F12/30
B29C64/25
B29C64/255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542032
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021051195
(87)【国際公開番号】W WO2021148463
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】20152648.0
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511051982
【氏名又は名称】ヴィト ナムローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】VITO NV
【住所又は居所原語表記】Boerentang 200,B-2400 Mol,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ベルヘイド, ベルト
(72)【発明者】
【氏名】レフェブリー, ヤスパー
(72)【発明者】
【氏名】ミシェルセン, ベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンゲノイデン, ダーク
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AR14
4F213AR15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4K018AA02
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA14
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA08
4K018CA33
4K018DA31
4K018KA22
(57)【要約】
三次元構造物を製造するためのシステムおよび方法を提供する。このシステムは、ハウジングで囲まれた閉鎖空間内で並行印刷を実行するための複数の印刷ステーションを備え、各印刷ステーションはキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記キャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記着脱可能なキャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、前記堆積ユニットは前記造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニットに結合され、前記リザーバユニットは前記閉鎖空間の外に配置された少なくとも1つのリザーバを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元構造物を製造するためのシステムであって、閉鎖空間内で並行印刷を実行するための複数の印刷ステーションを備え、各印刷ステーションはキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記キャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記キャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、前記堆積ユニットは前記造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニットに結合され、前記リザーバユニットは前記閉鎖空間の外に配置された少なくとも1つのリザーバを含む、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリザーバは、前記閉鎖空間を囲むハウジングの外側に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリザーバは、取付装置によって前記ハウジングに着脱自在に接続される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングは前記少なくとも1つのリザーバのためのホルダを含み、前記ホルダは前記少なくとも1つのリザーバを前記印刷ステーションのハウジングに取り外し可能に結合するための結合インターフェースを含み、前記ホルダは、前記少なくとも1つのリザーバと前記堆積ユニットとの間に造形材料ペーストのための流体連通を提供する第1のインターフェースと、前記少なくとも1つのリザーバに流体圧力を提供する第2のインターフェースとを含む、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリザーバは交換可能であり、および/または、入れ替え可能である、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記ホルダは、異なる種類のリザーバを前記ハウジングに取り付けることを可能にするユニバーサルカップリングを提供するように配置される、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのリザーバは、前記システムの1つまたは複数のコントローラとの通信結合を可能にするように構成された通信ユニットを含み、前記通信ユニットは前記リザーバ内の造形材料ペーストの量を示すデータを通信するように構成される、請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのリザーバは、前記リザーバ内の造形材料ペーストの量を示すデータを提供するための少なくとも1つのセンサを含む、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのノズルの各々は、造形材料ペーストを供給するための少なくとも1つのリザーバに結合される、請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのノズルの各々は、造形材料ペーストを供給するための少なくとも2つのリザーバに結合される、請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記堆積ユニットは少なくとも第1のノズルと第2のノズルとを含み、前記第1のノズルは1番目に造形材料ペーストを供給するための第1のリザーバに結合され、前記第2のノズルは2番目に造形材料ペーストを供給するための第2のリザーバに結合される、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のノズルはさらに前記第2のリザーバに結合され、前記第2のノズルはさらに前記第1のリザーバに結合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリザーバは再充填可能である、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
三次元構造物を製造するための方法であって、閉鎖空間内で並行印刷を実行するための複数の印刷ステーションを提供する工程を備え、各印刷ステーションはキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記キャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記キャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、前記堆積ユニットは前記造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニットに結合され、前記リザーバユニットは前記閉鎖空間の外に配置された少なくとも1つのリザーバを含む、方法。
【請求項15】
三次元構造物を製造するための、請求項1から13のいずれかに記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形材料ペーストをフィラメント堆積して三次元構造物を製造するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、積層造形法は広く利用されており、様々な技術が存在する。積層造形法は、構造物を層ごとに構築するのに適した技術であり、製造された構造物は様々な用途に使用することができる。
【0003】
三次元構造物の製造には、押出成形による積層造形法が採用されている。造形材料(粘性ペースト、溶融性ポリマー、ハイドロゲルなど)は、フィラメントの形でノズルから押し出される。造形材料の押し出しによる堆積中に、プリントベッドに対してノズルを相対的に移動させることで、フィラメントの一定の配列を得ることができる。材料堆積の間、造形材料のフィラメントはノズルから押し出され、所望の三次元構造物を提供するために、所定のパターンに従って互いに相対的に配置される。配設パターンは印刷経路によって決定され、印刷構造物の形状や特性に大きな影響を与える。押出成形による技術は、三次元構造物の印刷に使用することができる。このようにして、非多孔質であっても、多孔質であっても、外部からアクセス可能な内部孔の相互接続ネットワークからなる、複雑な形状や三次元構造物を得ることができ、これが用途によっては必要とされる場合もある。
【0004】
既存のシステムと方法では、多孔質構造物のような三次元物体を大量に生産するためには、むしろ時間がかかり、効率が悪くなる可能性がある。押出成形による印刷プロセスで製造される三次元構造物の印刷プロセスを改善する必要がある。また、この印刷プロセスは時間がかかることが多く、高出力を必要とする様々な物体の印刷に、高いコストをかけずに採用することは難しい。印刷される三次元構造物の出力を効率的に向上させることができるシステムの実現が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点の少なくとも1つを回避する方法およびシステムを提供することである。
【0006】
これに加えて、または、これに代えて、本発明の目的は、三次元構造物の積層造形プロセスを改善することにある。
【0007】
これに加えて、または、これに代えて、本発明の目的は、三次元構造物を作製するための押出成形による積層造形プロセスの効率を向上させることである。
【0008】
そのために、本発明によって提供されるものは、三次元構造物を製造するためのシステムであって、閉鎖空間内で並行印刷を実行するための複数の印刷ステーションを備え、各印刷ステーションはキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記キャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記着脱可能なキャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、前記堆積ユニットは前記造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニットに結合され、前記リザーバユニットは前記閉鎖空間の外に配置された少なくとも1つのリザーバを含む、システムである。
【0009】
ペーストリザーバは、印刷ステーションの作業空間または閉鎖空間の外部に配置することができる。この空間では、造形材料をフィラメント状に押し出し、このフィラメントをキャリア上に堆積させて三次元構造物を印刷する。これにより、印刷ステーションの作業空間内での操作を必要とせずに、ペーストリザーバの取り外しなどの操作を行うことができる。より効率的、連続的、安全な印刷プロセスを得ることができる。リザーバは、堆積ヘッドにアクセスすることなく簡単に交換することができ、キャリア上にある三次元構造物との相互作用のリスクを最小限に抑えることができる。これは、リザーバを印刷ステーションの堆積ヘッド上に、またはそれに隣接して配置する場合と比較して、重要な利点をもたらす。リザーバは、堆積ヘッドに対して離れた場所に取り付けることができる。造形材料ペースト(例えば粘性ペースト)は、リザーバと堆積ヘッドとの間に流体連通をもたらすチューブ等によって堆積ヘッドに供給することができる。
【0010】
システムは、閉鎖環境の外(例えば、ハウジングの外)にある交換可能な印刷リザーバを備えた複数の印刷ステーションを閉鎖環境内に有することができる。閉鎖環境の外に配置されたリザーバは容易に交換することができ、例えば、リザーバの交換時に印刷プロセスを停止させる必要がない。
【0011】
オプションとして、キャリアは、印刷ステーションに取り外し可能に配置される着脱式キャリアである。
【0012】
オプションとして、閉鎖空間は、ハウジングによって囲まれている。
【0013】
オプションとして、少なくとも1つのリザーバは、閉鎖空間を囲むハウジングの外側に配置される。
【0014】
リザーバを印刷ステーションのハウジングおよび/またはシステムのハウジングの外側に配置することで、重要な利点が得られる。
【0015】
リザーバを外部に取り付けることによって、この少なくとも1つのリザーバの交換を容易にすることができる。リザーバは、印刷ステーションによる印刷動作中であっても、交換のために、よりアクセスしやすくなる。可動部(例えば、印刷ステーションの堆積ユニットとキャリアの少なくとも一方)から保護しながら、交換作業を行うことができる。
【0016】
システムは、1つ以上のハウジングを有してもよい。いくつかの例では、システムは、複数の印刷ステーションを囲むシステムハウジングを有する。いくつかの例では、各印刷ステーションは、少なくともキャリアと堆積ユニットとを囲む、それ自体のハウジングを有している。いくつかの例では、複数の印刷ステーションは、印刷ステーションのグループに細分化されてもよく、印刷ステーションの各グループは、この印刷ステーションのグループの少なくともキャリア及び堆積ユニットを囲む共通のハウジングを有する。ハウジングは流体密閉されており、例えばガス抽出が必要な有毒または危険な化学物質を扱うことができる。
【0017】
オプションとして、システムは、各印刷ユニットが開口部(例えば、パネル、ハッチ、ドア、または窓)によって個別にアクセス可能となるように配置される。このようにして、他のステーションで行われている印刷動作に影響を与えることなく、例えばオペレータによって印刷ステーションの内部装置にアクセスすることができる(例えば、印刷ノズル交換、ノズル詰まりの解消、印刷中に異状を生じた部品の除去、など)。さらに、こうしたアクセスは、他の印刷ステーションへのキャリア(トレイなど)の供給や取り出しに影響を与えることなく行うことができる。
【0018】
オプションとして、少なくとも1つのリザーバは、取付装置によってハウジングに着脱自在に接続される。
【0019】
様々な種類の取付装置を採用できることが理解されよう。取付装置は、クイックアタッチメントまたはクイックカップリングを提供してもよい。こうすることで、システムにおけるリザーバの取り付けが容易になる。
【0020】
オプションとして、ハウジングは少なくとも1つのリザーバのためのホルダを含み、当該ホルダは少なくとも1つのリザーバを印刷ステーションのハウジングに取り外し可能に結合するための結合インターフェースを含み、ホルダは、少なくとも1つのリザーバと堆積ユニットとの間に造形材料ペーストのための流体連通を提供する第1のインターフェースと、少なくとも1つのリザーバに流体圧力を提供する第2のインターフェースとを含む。
【0021】
造形材料ペーストを保持するためのリザーバは、造形材料ペーストの押し出しによって印刷が行われる閉鎖環境の外に配置することができる。リザーバは、堆積ユニットのノズルとペーストリザーバとの間の(造形材料ペーストを輸送するための)流体接続を提供するチューブ(例えば、ホース)を有することができる。第2のインターフェースは、少なくとも1つのリザーバ、特に少なくとも1つのリザーバの内部容積に圧力を与え、キャリアに向かって造形材料ペーストを押し出すために配置される。
【0022】
オプションとして、この少なくとも1つのリザーバは、交換可能であり、および/または、入れ替え可能である。
【0023】
ペーストリザーバは、交換、再充填等のために容易にアクセスすることができる。このようにして、印刷プロセスを大幅に改善することができる。リザーバは、同じリザーバ(例えば、再充填されたもの)または別のリザーバに交換することができる。
【0024】
オプションとして、ホルダは、異なる種類のリザーバをハウジングに取り付けることを可能にするユニバーサルカップリングを提供するように配置される。
【0025】
結合装置は、速着手段(fast attachment means)、速着装置(quick fastening device)、速結装置(quick-connect device)、速結ユニット(rapid connection unit)、結合アセンブリ(coupling assembly)等によって提供されてもよい。
【0026】
オプションとして、少なくとも1つのリザーバは、システムの1つまたは複数のコントローラとの通信結合を可能にするように構成された通信ユニットを含み、当該通信ユニットはリザーバ内の造形材料ペーストの量を示すデータを通信するように構成される。
【0027】
オプションとして、少なくとも1つのリザーバには1つ以上の窓があり、リザーバ内の造形材料ペーストの量を視覚的に表示することができる。少なくとも1つのリザーバ内の造形材料ペーストの量は、センサによって評価することもできる。このセンサは、リザーバ内に収容されていても、リザーバの外側に配置されていてもよい。
【0028】
オプションとして、少なくとも1つのリザーバは、リザーバ内の造形材料ペーストの量を示すデータを提供するための少なくとも1つのセンサを含む。オプションとして、少なくとも1つのセンサは内部センサである。
【0029】
オプションとして、少なくとも1つのノズルの各々は、造形材料ペーストを供給するための少なくとも1つのリザーバに結合される。
【0030】
オプションとして、少なくとも1つのノズルの各々は、造形材料ペーストを供給するための少なくとも2つのリザーバに結合される。このようにして、印刷プロセスの連続性を向上させることができる点で有利である。
【0031】
オプションとして、少なくとも1つのノズルのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのリザーバのための取付装置に接続されており、この取付装置は、印刷プロセスを中断することなく第1のリザーバから別のリザーバに切り替えることができる。ほぼ空になったリザーバは、印刷プロセスを中断することなく交換することができる。また、印刷プロセスを中断することなく、ある造形材料ペーストから別の造形材料ペーストに切り替えることも可能である。
【0032】
オプションとして、堆積ユニットは少なくとも第1のノズルと第2のノズルとを含み、第1のノズルは1番目に造形材料ペーストを供給するための第1のリザーバに結合され、第2のノズルは2番目に造形材料ペーストを供給するための第2のリザーバに結合される。いくつかの例では、1番目および2番目の造形材料ペーストは同じものである。また、1番目の造形材料ペーストと2番目の造形材料ペーストが異なることも可能である。
【0033】
オプションとして、第1のノズルはさらに第2のリザーバに結合され、第2のノズルはさらに第1のリザーバに結合される。
【0034】
オプションとして、この少なくとも1つのリザーバは、再充填が可能である。
【0035】
オプションとして、システムは、印刷ステーション内でキャリアを位置決めするために配置された位置決め構造を含む。
【0036】
いくつかの例では、キャリアは、キャリアが印刷ステーション内で正しく位置決めされることを保証するためのロックユニットを含む。ロックユニットは、例えば、1つまたは複数のロックピンを含んでもよい。
【0037】
オプションとして、システムは、キャリアが印刷ステーション内に配置されているか否かを確認するように構成された光学ユニットを含む。ただし、位置決めは機械的な手段で行うことができる。印刷ステーションは、例えば、キネマティックカップリングを有していてもよい。オプションとして、印刷ステーションにおけるキャリアの位置は固定されている。
【0038】
オプションとして、システムは、複数の統合された印刷ステーションを含む。
【0039】
オプションとして、システムは、2つ以上の個別の印刷ステーションを統合するように配置される。
【0040】
オプションとして、システムは、三次元構造物が印刷される閉鎖環境を含む。
【0041】
オプションとして、システムはいくつかの個別の印刷ステーションを含み、これらの印刷ステーションの少なくとも部分集合はマイクロ押出技術を使用する。
【0042】
オプションとして、システムは、例えばロボットシステムなど、印刷物を載せるキャリアを提供する手段を含む。いくつかの例では、ロボットユニットは、印刷ステーションにおけるキャリアの供給および取り外しを可能にするために配置される。ロボットユニットは、システムの複数の印刷ステーションと相互作用するように構成され得る。
【0043】
オプションとして、システムは、システムによって形成される閉鎖環境内に自動ハンドリングシステムを含み、当該自動ハンドリングシステムは、印刷ステーションの各々にキャリアを提供し、例えば印刷した三次元構造物を載せた状態で、印刷ステーションからキャリアを取り外すように構成されている。
【0044】
オプションとして、システムは、印刷された三次元構造物(例えば、物体)を載せたキャリアを回収して搬送する手段を含む。
【0045】
オプションとして、システムは、統合された印刷ステーションの出力を最適化することを可能にするように構成されたソフトウェアプログラム製品を含む。
【0046】
オプションとして、システムは、例えばハウジングによって囲まれた閉鎖環境を含む。
【0047】
オプションとして、この閉鎖環境は、物理的な遮蔽物を含む。これにより、オペレータの安全性を確保することができる。
【0048】
オプションとして、システムは、閉鎖環境からガスを換気/抽出するように構成された換気ユニットを含む。
【0049】
オプションとして、システムは、閉鎖環境内の媒体(例えば、空気)を調整するように構成された調整ユニットを含む。いくつかの例では、温度および/または湿度を制御することができる。
【0050】
オプションとして、システムは、印刷ステーションでの印刷中に放出される可能性のあるガス、揮発性物質および/またはエアロゾルを換気/抽出するための手段を含む。
【0051】
オプションとして、システムは、閉鎖環境の少なくとも一部の領域において、置換されたガス雰囲気を提供するように構成される。このようにして、印刷ステーションのうちの1つ以上は、置換されたガス雰囲気(例えば、不活性ガス)下で動作することができる。
【0052】
オプションとして、システムは、閉鎖環境において制御された光条件を提供するように構成される。したがって、印刷ステーションのうちの1つ以上は、制御された光条件下で動作するように構成されてもよい。印刷ステーションは、制御された波長の光、例えば紫外線や赤外線、または他の所望の波長の照射の下で動作するように構成されてもよい。印刷ステーションのうちの1つ以上は、所望の期間、制御された光条件の下で動作するように構成されてもよい。
【0053】
オプションとして、個々の印刷ステーションは、システムの閉鎖環境の外側からアクセス可能である。
【0054】
オプションとして、システムは、特定の印刷ステーションにおける印刷処理の停止、または特定の印刷ステーションにおけるキャリアのハンドリング処理の少なくとも一方が、他の印刷ステーションにおける印刷処理または他の印刷ステーションのためのロボットユニットによる自動キャリアハンドリングを中断することを必要とせずに実施されるように構成されている。
【0055】
オプションとして、システムの印刷ステーションは、その上に三次元構造物を3D印刷するためのキャリアを受け取るように構成されている。印刷ステーションは、キャリアの位置決めを自動で行うことができる手段を含んでいてもよい。
【0056】
オプションとして、システムの印刷ステーションは、三次元構造物が印刷されたキャリアを自動で取り外すように構成されている。これにより、システムは1種類のキャリアを採用してもよく、または異なる種類のキャリアを採用してもよい。キャリアは、例えば、サイズ、幾何学的形状、高さなどが異なる場合がある。
【0057】
オプションとして、システムの複数の印刷ステーションは、互いに対して同一または異なっている。
【0058】
オプションとして、印刷ステーションは、1つ以上の印刷ヘッドを有していてもよい。
【0059】
オプションとして、印刷用の造形材料ペーストを供給する少なくとも1つのリザーバが、閉鎖環境の外側に配置される。
【0060】
オプションとして、印刷用の造形材料ペーストを供給する少なくとも1つのリザーバは、速結機構(fast connection arrangement)によって交換可能である。
【0061】
オプションとして、造形材料ペーストを保持するリザーバは、ペーストカートリッジである。カートリッジは、印刷ステーションまたはシステムに迅速かつ容易に取り付けることができる接続手段を有していてもよい。
【0062】
オプションとして、ロボットユニットは、印刷ステーションにキャリアを提供するように構成されてもよい。ロボットユニットは、積み重ねられたキャリアをキャリアホルダに配置するために、印刷ステーションと相互作用するように構成されてもよい。これに加えて、または、これに代えて、ラックやカートに空のキャリアを設置することも可能である。これに加えて、または、これに代えて、印刷された三次元構造物を載せたキャリアを配置可能なラックやカートを提供することも可能である。これに加えて、または、これに代えて、ロボットユニットに向けてキャリアを供給するため、および/またはロボットユニットから離れる方向に三次元印刷構造物を載せたキャリアを搬送するために、ベルトコンベアが採用されてもよい。ベルトコンベアによって供給されるキャリアは、例えば空のキャリアであってもよく、よって印刷ステーションに置くことができる。
【0063】
オプションとして、ロボットユニットは、自動キャリアハンドリングシステムであってもよい。
【0064】
オプションとして、ロボットユニットは、ロボット、ソリ、ベルトコンベア、プランジャ、回転円盤などの自動(コンピュータ制御)並進システムおよび/または回転システムのうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
オプションとして、ロボットユニットは、自動ハンドリング中に、例えばクランプまたはピンロックによってキャリアを固定するように構成されてもよい。
【0066】
オプションとして、自動ハンドリング中にキャリアの固定を監視することができる。
【0067】
オプションとして、キャリアは、三次元構造物の印刷が実行されるプレート、トレイ、または他の物体であり得る。
【0068】
オプションとして、キャリアの搬送時に発生する加速度や振動を制御することができる。例えば、三次元構造物が印刷されたキャリアの取り外しは、ロボットユニットの加速度や振動を制御しながら行うことができる。これにより、物理的・振動的な安定性が低い部品の輸送が可能になり得る。
【0069】
オプションとして、ロボットユニットは、三次元構造物の回収を可能にするように構成される。オプションとして、ロボットユニットは、回収システムの一部である。
【0070】
オプションとして、ロボットユニットは閉鎖環境の中に配置される。
【0071】
オプションとして、回収システムは、複数のキャリア(例えば、トレイ、プレート、基板)を回収可能なカートまたはラックを含む。
【0072】
オプションとして、回収システムは、三次元印刷構造物を回収可能な箱または容器を含む。
【0073】
オプションとして、回収システムは、システムに向かって及び/又はシステムから離れるようにキャリアを搬送するためのベルトコンベヤを含む。
【0074】
オプションとして、各コンテナは、特定の場所(回収物ドッキングステーション等)のロックを解除することにより、閉鎖環境から取り外し可能である。
【0075】
オプションとして、各回収ユニットは、手動または自動の取り外し機構を有する。
【0076】
オプションとして、本システムは、本システムの1つ以上のコントローラ上で実行されるように構成されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0077】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、空のキャリアの供給を制御および監視するように構成される。
【0078】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、個々のプリンタのそれぞれにおける印刷プロセスの進捗を制御および監視するように構成される。
【0079】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、特定のキャリアに対応する印刷ステーションでの印刷ジョブの終了後に、印刷ステーションから当該特定のキャリアを取り外すように、ロボットユニットを動作させるように構成される。
【0080】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、キャリア及び/又は印刷された三次元構造物を回収システムに配置するように、ロボットユニットを操作するように構成される。
【0081】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、複数の印刷ステーション及び複数のキャリアに関連する印刷ジョブの全体的な状態を追跡するように構成される。
【0082】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、印刷ジョブを終了させる時間を推定するように構成される。
【0083】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、材料リザーバを交換する時間を推定するように構成される。
【0084】
オプションとして、このコンピュータプログラム製品は、キャリアの回収ユニットが満たされたときにそれを示すように構成される。
【0085】
オプションとして、三次元構造物を製造するためのシステムが配置されている。
【0086】
オプションとして、システムは、互いに近接した複数の印刷ステーションを含む。いくつかの例では、複数の印刷ステーションは互いに隣り合って配置されている。印刷ステーションは、例えば、互いに隣接して配置されてもよい。
【0087】
オプションとして、システムはいくつかの個別の印刷ステーションを含み、これらの印刷ステーションの少なくとも部分集合はマイクロ押出技術を使用する。マイクロ押出とは、造形材料を押出ノズルからフィラメントの形状で押し出すことを意味する。造形材料は、室温でペースト状であってもよい。オプションとして、造形材料の粘度は、温度制御によって3D印刷用に調整される(例えば、粘度を下げるために温度を上昇させる場合がある)。
【0088】
一態様によれば、本発明は、三次元構造物を製造するための方法であって、閉鎖空間内で並行印刷を実行するための複数の印刷ステーションを提供する工程を備え、各印刷ステーションはキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記キャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記着脱可能なキャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、前記堆積ユニットは前記造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニットに結合され、前記リザーバユニットは前記閉鎖空間の外に配置された少なくとも1つのリザーバを含む、方法を提供する。
【0089】
少なくとも1つのリザーバは、印刷ステーションに共通の閉鎖されたハウジングの外部に配置されてもよい。
【0090】
オプションとして、システムは複数の印刷ステーションを有し、各ステーションはペーストフィラメント堆積のための1つまたは複数の印刷ヘッドを有する。システムは、1つまたは複数のハウジングを含み、これによってハウジング内に配置された印刷ステーションの周囲の状態または環境を制御することを可能にしてもよい。システムは、複数の印刷ステーションの1つまたは複数の印刷領域にアクセスするように配置されてもよい。
【0091】
オプションとして、各印刷ステーションは、少なくとも1つのアクセスパネル、ハッチ、ドアまたは窓などを介してアクセス可能である。オプションとして、システムは、1つ以上の印刷ステーションを収容したハウジングに連結されたドアが開放されると、当該ハウジングに収容された1つ以上の印刷ステーションによる印刷が自動的に停止するように構成される。
【0092】
オプションとして、各印刷ステーションを個別に制御することも可能である。例えば、従うべき印刷パターン、印刷速度、使用する造形材料ペースト、フィラメント径、フィラメント堆積パターンなどは、印刷ステーションごとに、例えば互いに独立して調整することが可能である。
【0093】
オプションとして、1つ以上の造形材料ペーストリザーバ(例えば容器)が、ハウジング(印刷ステーションのハウジング、またはシステムのハウジング)の外側に配置される。オプションとして、リザーバは速着装置(quick fits)によってハウジングの外側に取り付けられる。リザーバは、印刷ステーションの印刷ヘッドにペーストを供給するように配置することができる。このような速着装置は、リザーバが空になるとすぐに交換できるように、接続を容易にすることができる。
【0094】
オプションとして、印刷は取り外し可能なキャリア上で行われる。キャリアは、三次元構造物を印刷するための取り外し可能な基板を形成することができる。
【0095】
オプションとして、各印刷ステーションは、印刷ステーションにおけるキャリアの位置決めのために配置された位置決め構造体を含む。こうすることで、キャリアを常に同じように印刷ステーション内に配置することができる。ロボットユニットは、キャリアが満たされるか、所望の数の三次元構造物がその上に印刷されるとすぐに、キャリアを貯蔵システムおよび/または搬送システムに移動させることができる。オプションとして、ロボットユニットは、常に同じ位置からキャリアを取り出し、貯蔵システムおよび/または搬送システムに移動させるように構成される。ロボットユニットによってキャリアがより正確に扱われると、キャリアは、貯蔵システム及び/又は搬送システムに、より正確に配置され得る。
【0096】
一態様によれば、本発明は、三次元構造物を製造するための、本発明に係るシステムの使用を提供する。
【0097】
このシステムは、閉鎖空間の中に複数の印刷ステーションを備えるとともに、閉鎖空間の外に交換可能な造形材料ペーストリザーバを有することができる。別の態様によれば、システムは、閉鎖環境(例えば、ハウジング)内に複数の印刷ステーションを備えるとともに、ハウジングの外側に交換可能な造形材料ペーストリザーバを有することができる。閉鎖空間、有利には閉鎖環境の外に配置されたリザーバは容易に交換することができ、例えば、リザーバの交換時に印刷プロセスを停止させる必要がない。
【0098】
リザーバを交換または再充填する必要があるときに、それを検出するように構成された検出システムを設定することができる。様々な種類の検出が可能である(光学的検出、視覚的検出など)。
【0099】
このシステムは、複数の印刷ステーションの印刷動作の連続性を向上させることを保証し得る。印刷ステーションは、例えば、造形材料ペーストリザーバの交換または再充填、印刷ステーションの制御パラメータの調整など、1つまたは複数の印刷ステーションに対して調整が行われる間、動作を継続することができる。これに加えて、または、これに代えて、他の印刷ステーションが活動的に印刷を続けている間、個々の印刷ステーションの動作を停止させることができる。
【0100】
ある印刷ステーションを操作しても、他の印刷ステーションに影響を与えない。したがって、1つの印刷ステーションで調整を行う一方で、システムは他の印刷ステーションで出力を継続することが可能である。例えば、あるステーションで三次元構造物が印刷されたキャリアが取り外された場合、及び/又はあるステーションで造形材料ペーストリザーバが交換された場合、その印刷ステーションのみが一時的に動作を中断又は停止し、他の印刷ステーションは印刷動作を続行することができる。
【0101】
いくつかの例では、システムの1つの印刷ステーションの印刷パラメータは、他の印刷ステーションの動作に影響を与えることなく変更(例えば、流量の調整)することができる。
【0102】
キャリアは様々な方法で具体化できることが理解されよう。キャリアは、例えば、プレート、トレイ、印刷面、支持体、基板、ホルダ等として具体化することができる。いくつかの例では、キャリアは、三次元構造物を印刷可能な平坦な表面を提供する。ただし、キャリアは平坦である必要はない。その他の形状も想定される。
【0103】
一態様によれば、本発明は、三次元構造物を製造するためのシステムであって、複数の印刷ステーションと、当該複数の印刷ステーションと相互作用するように構成されたロボットユニットを備え、複数の印刷ステーションの各々はロボットユニットによってアクセス可能に配置され、各印刷ステーションは着脱可能なキャリアと、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズルを有する堆積ユニットと、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置で前記着脱可能なキャリア上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく前記堆積ユニットを操作するように構成されたステーションコントローラとを含み、前記少なくとも1つのノズルと前記着脱可能なキャリアは互いに対して相対的に移動可能であり、各印刷ステーションのステーションコントローラは、少なくとも1つの堆積コントロールパラメータを制御するように構成され、ロボットユニットは着脱可能なキャリアをハンドリングするためのハンドリング装置を含み、ロボットユニットは複数の印刷ステーションにおいて着脱可能なキャリアを提供、取り外し、及び/又は交換できるように構成される、システムを提供する。オプションとして、システムは、ロボットユニットを操作するように構成されたシステムコントローラをさらに含み、システムコントローラは、複数の印刷ステーション上で実行されている印刷タスクの少なくとも実行を制御するために、複数の印刷ステーションに通信可能に結合される。
【0104】
複数の印刷ステーションまたはプリンタをシステムに統合することができる。システムは、印刷ステーションにおいてキャリア(例えば、プレート、トレイまたは基板)を適用、取り外しおよび/または交換するための自動ロボットユニットをさらに含む。システムは、複数の印刷ステーションにおける並行印刷を向上させることができる。印刷ステーションの個別制御、および/または造形材料ペーストリザーバの配置によって、印刷動作をより適切に互いに一致させることができる。本システムに配置されたプリンタは、ノズルから造形材料ペーストのフィラメントを押し出すという同じ方法で動作してもよいし、異なる方法で動作することによって、閉鎖空間内で異なる三次元印刷システムを組み合わせてもよい。
【0105】
システムコントローラは、ロボットユニットと、システムの異なる印刷ステーションとの相互作用を制御するように構成することができる。例えば、印刷ステーションが印刷可能な状態になると、ロボットユニットはキャリアおよび/または三次元印刷構造物を取り外すことができる。さらに、システムコントローラは、印刷ステーションが印刷プロセスを開始するタイミングを制御したり、造形材料ペーストリザーバが(ほぼ)空になったときにアクションを実行したりするように配置することができる。ステーションコントローラは、局所的な印刷ステーションを制御するように構成することができる。
【0106】
ロボットユニットは、印刷ステーションから取り外されたキャリアの搬送先を決定するように構成することができる。なお、ロボットユニットは、三次元印刷構造物が印刷されたキャリアを、印刷ステーションに供給される前と同じ場所(例えばラック)に戻す必要はない。これは、例えば、印刷された三次元構造物に対して任意で行われる後処理工程に依存し得る。
【0107】
様々な種類の押し出し積層造形が採用し得る。例えば、粘性ペーストの押し出しによるフィラメント形成、フィラメント供給式押し出し、スクリュー式押し出し、シリンジ式押し出しなどである。これらの技術を組み合わせることも可能である。
【0108】
オプションとして、堆積ユニットは3つ以上のノズルを含む。いくつかの例では、堆積ユニットは、5つ以上のノズル、さらには7つ以上のノズルを含む。ノズルの数を多く(例えば8個)設けることで、印刷される三次元構造物の出力を増加することができる。また、一部のノズルを異なる材料での印刷に使用することもできる。
【0109】
シリンジ式押出機では、材料をシリンジに入れ、プリンタがプランジャを制御された速度で押し下げて、ノズルからフィラメントを押し出すことができる。シリンジには、例えば、粘性材料が充填されてもよい。いくつかの例では、さらに加熱ジャケットを使用してシリンジを加熱または冷却し、造形材料ペーストの粘度を調整したり、印刷前に材料(ポリマーフィラメントまたは顆粒など)をその場で所望の程度に溶かしたりすることができる。様々な種類のシリンジ式押し出しシステムが採用可能である。プランジャに空気圧をかけてもよい。あるいは、プランジャは、例えば電気モータによる機械的な変位によって押し下げることもできる。機械的な変位によって、体積押出速度をより直接的に制御することができるが、空気圧プリンタでは、押出速度はさらに、針の形状、材料の粘度、空気圧、前に押出されたフィラメントによる妨害の相互作用に依存し得る。その他の代替的設計も可能である。
【0110】
スクリュー式押出機では、バレルと呼ばれる密着式スリーブで囲まれたスクリューに材料を供給することができる。スクリューが回転することで、バレルの先端にあるノズルから材料を押し出すことができる。ノズルから材料が押し出される速度は、スクリューの回転速度に依存し得る。スクリュー式押出機では、ペースト状の材料を使用することができるが、例えば、ポリマー顆粒を使用することも可能である。スクリュー式押出機には、造形材料のための加熱または冷却装置が含まれていてもよい。
【0111】
フィラメント供給式押出機では、ノズルに取り付けられた加熱溶融室にフィラメントを供給するリールを使用することができる。ノズルからの材料の押し出し速度は、リールから溶融室にフィラメントを供給する速度に依存し得る。積層造形ソフトウェアでは、押出されるフィラメントの所望の直径とノズルの移動速度に基づいて、押出速度を制御することができる。
【0112】
本発明による押出成形に基づく積層造形方法を実施するために、様々なシステムを使用することができる。
【0113】
プリントヘッドの軌跡、速度および/または加速度も、システム/方法によって制御することができる印刷パラメータとみなされることが理解されるであろう。
【0114】
本発明のシステム及び方法は、三次元多孔質構造物の製造に採用されてもよく、この三次元構造物は、相互に接続された孔を有して形成されている。本システム及び方法は、三次元の緻密構造物又は塊状構造物の製造に採用されてもよく、この場合、フィラメントは隣接して配置され、三次元構造物はフィラメント間にマクロポアを有さない。
【0115】
三次元構造物は、フィラメントが離間していてもよいし、ファイバーが隣接している密な構造物であってもよいことが理解されよう。フィラメントが隣接している場合は、フィラメント自体で多孔性を確保することができる。フィラメントが互いに間隔をあけて配置されている場合、主にフィラメント間に形成される孔によって多孔性が確保され得る。また、フィラメントそのものが、より小さな孔を持つ多孔質であることもある。
【0116】
一態様によれば、本発明は、三次元構造物を印刷するためのコンピュータ実装式の方法に関する。このコンピュータ実装式の方法は、本発明による印刷方法の各工程を実行するために、積層造形システムを動作させるように構成されてもよい。オプションとして、このコンピュータ実装式の方法は、製造される(多孔質)物体のモデルを受け取る工程と、(多孔質)物体を印刷するために複数の印刷ステーションのうちの1つ以上を選択する工程と、製造される物体の受け取ったモデルを用いて、(多孔質)物体の所望の特性に依存して印刷経路を画定する工程と、を含む。受け取ったモデルは、例えば、印刷される物体の3D表現であってもよい。
【0117】
オプションとして、造形材料、あるいは任意に造形材料ペーストが、選択された配置で連続的に堆積される材料押出積層造形プロセスが採用される。
【0118】
押し出されたフィラメントは、ストラット、ファイバー、ロッド、ラスター、押出物、および他の用語として当技術分野で知られ得ることが理解されるであろう。
【0119】
フィラメント径という用語は、堆積しているフィラメントの断面の特徴的な長さとして考え得ることが理解されるであろう。この特徴は、例えば、フィラメント幅、ファイバー径、フィラメントサイズ、ストラット幅などのような他の用語を用いて言及することもある。フィラメントは、様々な断面形状を有し得る。
【0120】
層厚は、層高またはスライス厚として考え得ることが理解されるであろう。層厚は、三次元構造物を3D印刷する際のZインクリメントを表している。
【0121】
造形材料を構成する材料には、様々な特性を有する広範囲の材料を使用することができる。例えば、金属、複合材料、セラミックス、ポリマー、天然素材などである。材料が異なれば、機械的特性も異なる場合がある。したがって、印刷経路は堆積時に使用される特定の材料に依存し得る。
【0122】
押出成形による積層造形プロセスに用いる造形材料を構成する材料の例としては、セラミック材料(例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素など)、複合材料(例えば、ポリマーセラミック複合材料)、金属(RVS、チタン、銅、アルミニウム、銀など)、ゼオライト、金属有機骨格、炭素、グラフェンなど、がある。押出成形による積層造形に適した他の材料も想定され、例えばポリマー系材料などが挙げられる。
【0123】
空隙率は、細孔(体積)率を表し得ることが理解されよう。三次元多孔質構造物における孔幅または孔径は、当該多孔質構造物の任意の位置または領域における空隙率を定義し得る。
【0124】
いくつかの実施形態は、例えば、命令または命令セットを格納することができる機械または有形コンピュータ可読媒体または要素を用いて実装されてもよく、これらの命令または命令セットは、機械によって実行された場合に、当該機械に実施形態に従った方法および/または動作を実行させることができる。
【0125】
システムの観点で説明された態様、特徴、およびオプションは何れも、本発明の方法および説明された装置に等しく適用されることが理解されるであろう。上記の態様、特徴、およびオプションの何れか1つ以上の組み合わせが可能であることも明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0126】
本発明を、図面に示される例示的な各実施形態に基づいて更に説明する。例示的な各実施形態は、非限定的な例示として与えられる。各図面は本発明の実施形態を模式的に示したものに過ぎず、非限定的な例として与えられることに留意すべきである。
【0127】
図1】システムの一実施形態の模式図を示す。
図2】システムの一実施形態の模式図を示す。
図3】システムの一実施形態の模式図を示す。
図4】システムの一実施形態の模式図を示す。
図5A】システムの一実施形態の模式図を示す。
図5B】システムの一実施形態の模式図を示す。
図6】システムの一実施形態の模式図を示す。
図7】システムの一実施形態の模式図を示す。
図8】リザーバユニットの一実施形態の模式図を示す。
図9A】押出成形プロセスの方法の模式図である。
図9B】押出成形プロセスの方法の模式図である。
図9C】押出成形プロセスの方法の模式図である。
図10A】三次元構造物の模式図を示す。
図10B】三次元構造物の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図1は、三次元構造物を製造するためのシステム1の一実施形態の模式図であり、このシステムは、閉鎖空間、例えばハウジング(図示せず)によって囲まれた閉鎖空間で並行印刷を行うための複数の印刷ステーション3から構成されている。各印刷ステーション3は、キャリア7と、開口領域を通して造形材料ペーストのフィラメントを吐出するために配置された少なくとも1つのノズル11を有する堆積ユニット9と、1つまたは複数の三次元構造物を形成するために、複数の積み重ねられた層として相互接続された配置でキャリア7上に造形材料ペーストのフィラメントを堆積するべく堆積ユニット9を操作するように構成されたステーションコントローラとから構成される。少なくとも1つのノズル11と着脱式キャリア7は、互いに対して相対的に移動可能である。堆積ユニット9は、造形材料ペーストを収容するように構成されたリザーバユニット13に結合されており、リザーバユニット13は、閉鎖空間の外側に配置された少なくとも1つのリザーバ15を含む。少なくとも1つのリザーバと堆積ユニットとの間で造形材料ペーストの流体連通を行うために、チューブ17が配置されてもよい。
【0129】
ペーストリザーバ15は、キャリア7へのフィラメント堆積によって三次元構造物が印刷される印刷ステーション3の作業空間の外部に配置することができる。このようにすれば、印刷ステーション3の作業空間での操作を必要とせずに、ペーストリザーバ15を取り外すことができる。より効率的、連続的、安全な印刷プロセスを得ることができる。リザーバ15は、堆積ヘッド9へのアクセスを必要とせず、容易に交換可能である。これは、リザーバ15を印刷ステーション3の堆積ヘッド9上に、またはそれに隣接して配置する場合と比較して、重要な利点をもたらす。リザーバ15は、堆積ヘッド9に対して離れた場所に取り付けることができる。造形材料ペースト(例えば粘性ペースト)は、リザーバ15と堆積ヘッド9との間に流体連通をもたらすチューブ等によって堆積ヘッドに供給することができる。
【0130】
リザーバ15を外部に取り付けることにより、その交換を容易にすることができる。リザーバ15は、印刷ステーション3による印刷動作中であっても、交換のために、よりアクセスしやすくなる。可動部(例えば、印刷ステーションの堆積ユニットとキャリアの少なくとも一方)から保護しながら、交換作業を行うことができる。造形材料ペーストを保持するためのリザーバ15は、ペースト押し出しによって印刷が行われる閉鎖環境の外に配置することができ、この閉鎖領域は、(例えばドアを含む)ハウジングによって少なくとも部分的に画定されてもよい。ペーストリザーバ15は、交換、再充填等のために容易にアクセスすることができる。このようにして、印刷プロセスを大幅に改善することができる。リザーバは、堆積ユニット9のノズルとペーストリザーバ15との間の(造形材料ペーストを輸送するための)流体接続を提供するチューブ(例えば、ホース)を有することができる。
【0131】
リザーバ15を交換または再充填する必要があるときに、それを検出するように構成された検出システムを設定することができる。様々な種類の検出が可能である(光学的検出、視覚的検出など)。
【0132】
各印刷ステーションは、印刷ステーションハウジング(図示せず)を有していてもよい。このハウジングは、壁、フレーム、ケージなどで形成することができる。また、ハウジング要素の組み合わせも可能である。また、各印刷ステーションに個別のハウジングを採用するのではなく、システムハウジング(図示せず)を配置することも可能である。また、ステーションハウジングとシステムハウジングの組み合わせも可能である。ハウジングは、(例えば人間による)アクセスが制限された1つまたは複数の閉鎖領域を画定することができる。
【0133】
図2は、システムの一実施形態の模式図を示す。図示の例では、システム1の印刷ステーション3の堆積ユニット9とリザーバユニット13が示されている。リザーバユニット13は、印刷ステーション3によって形成される閉鎖空間の外側またはシステム1の外側に配置されたリザーバ15を有する。この例では、印刷ステーション3の堆積ヘッド9の各ノズル11は、造形材料ペーストを供給するためのリザーバ15に結合されている。
【0134】
図3は、システムの一実施形態の模式図を示す。図示の例では、システム1の印刷ステーション3の堆積ユニット9とリザーバユニット13が示されている。リザーバユニット13は、印刷ステーション3によって形成される閉鎖空間の外側またはシステム1の外側に配置されたリザーバ15を有する。この閉鎖空間は、例えば、ハウジング等によって形成されてもよい。図示の実施形態では、堆積ヘッド9は、2つのノズル11、すなわち、第1のノズル11aと、第1のノズル11aから距離を置いた第2のノズル11bとを含む。第1のノズル11aには、チューブ17aによって造形材料ペーストが供給される。第2のノズル11bには、チューブ17bによって造形材料ペーストが供給される。第1のノズル11aおよび第2のノズル11bは、いずれも2つのリザーバ15a、15bと流体連通している。このようにして、第1のノズル11aおよび/または第2のノズル11bに造形材料ペーストを供給しながら、第1のリザーバを交換することができる冗長システムを得ることができる。
【0135】
この例では、堆積ユニット9は、少なくとも第1のノズル11a及び第2のノズル11bを含み、第1のノズル11aは、1番目に造形材料ペーストを供給するための第1のリザーバ15aに結合され、第2のノズル11bは、2番目に造形材料ペーストを供給するための第2のリザーバ15bに結合されており、第1のノズル11aはさらに第2のリザーバ15bに結合され、第2のノズル11bはさらに第1のリザーバ15aに結合されている。オプションとして、第1および第2のリザーバ15a、15bからの流体供給を選択的に制御できるように、バルブが配置される。いくつかの例では、第1のノズル11aは、第1のリザーバ15aがまだ十分な造形材料ペーストを保持しているときに、第1のリザーバ15aから造形材料ペーストを受け取る。そして、第1のノズル11aは、第1のリザーバ15bが空になった(再充填又は交換を必要とする)ときに、第2のリザーバ15bから造形材料ペーストを受け取ることができる。堆積ユニット9の第2のノズル11bについても同様である。より多くのノズルおよび/またはリザーバを配置することも可能であることが理解されるであろう。
【0136】
図4は、システムの一実施形態の模式図を示す。図示の例では、システム1の印刷ステーション3の堆積ユニット9とリザーバユニット13が示されている。リザーバユニット13は、閉鎖空間の外側に配置されたリザーバ15を有する。堆積ユニット9のノズル11は、造形材料ペーストを供給するための2つのリザーバ15a、15bに結合されている。有利な点として、第1または第2のリザーバ15a、15bの一方が交換されたとき、他方のリザーバ15b、15aは依然としてノズルに造形材料ペーストを供給でき、印刷プロセスの連続性を向上させることができる。
【0137】
図5A及び図5Bは、それぞれ、システム1の一実施形態を透視図及び上面図で示す模式図である。システム1には、グループ化された複数の印刷ステーション3が含まれる。この例では、12台の印刷ステーションがシステム1内で統合されている。さらに、ハンドリング装置5aを備えたロボットユニット5をオプションで備えている。ロボットユニット5は、システムハウジング10によって画定された閉鎖領域20内で動作可能である。ロボットユニット5は、着脱式キャリア7を回収システム21から、および回収システム21へ搬送するように構成することができる。本実施例では、回収システム21は、キャリア7を保持するために配置された複数のラックを含む。
【0138】
この例では、複数の印刷ステーション3にアクセスするためにハンドリング装置が移動可能なロボットユニットのレールの両側に、6台の印刷機が配置されている。この例では、3台のプリンタが1つのハウジングにまとめられている。各々のハウジングには、2つの抽出チャネルがある。他の配置も想定されることは理解されよう。
【0139】
回収システム21は、印刷ステーション3から取り出されるキャリアを搬送又は保持するために設けられてもよい。いくつかの例では、回収システム21は、ロボットユニット5によってキャリア7を配置することができるスロットを有する1つ以上のラックを含む。ロボットユニット5は、空のキャリアを印刷ステーションに下ろし、印刷された1つ以上の三次元構造物を載せたキャリアを回収システムに(例えば、回収システムのラックに)置くように構成されることが可能である。
【0140】
システムハウジング内に複数の印刷ステーションを配置することが可能である。各印刷ステーションは、1つ以上のノズル11またはプリントヘッドを有する1つ以上の堆積ユニット9を有することができる。造形材料ペースト(例えば粘性ペースト)は、例えばハウジングの外部に配置された1つ以上の取り外し可能な造形材料ペーストリザーバから、印刷ステーションの堆積ユニットの各ノズル11またはプリントヘッドに供給することができる。リザーバは、クイックカップリングによって取り外し可能に配置することができる(これにより、リザーバの迅速かつ容易な設置、取り外し、および/または交換を可能にする)。
【0141】
オプションとして、システムハウジング内の雰囲気を保つことができる。このような制御された雰囲気は、オプションで印刷ステーションの個々のハウジング内でも得ることができる。いくつかの代替例では、開放型システムが提供される。このような開放型システムは、例えば、作業領域を囲むケージを持つことができる(例えば、セキュリティのため)。雰囲気は、全体で(例えば、システムハウジング内で)、または印刷ステーションごとに(例えば、各印刷ステーション内で個別に)管理することができる。
【0142】
各印刷ステーションには、当該ステーションにアクセスするための1つ以上のドア、窓パネル、またはハッチを設けることができる。システムは、個々の印刷ステーションのドアが開かれたとき、個々の印刷ステーションの動作が一時的に休止、中止、または停止されるように構成されてもよい。ドアが開くとロボットユニットが自動的に停止してもよい。
【0143】
印刷版や印刷台で形成されたキャリア上に、フィラメントの印刷を行うことができる。印刷版は、位置決め構造を使って、印刷ステーションに設置または配置できる。
【0144】
いくつかの例では、すべての印刷ステーション3は、ロボットユニット5によってアクセス可能である。この目的のために、ロボットユニット5は、印刷ステーション3によって少なくとも部分的に囲まれ得る(例えば、中央に配置される)。ロボットユニット3は、空のキャリアを設置および配置し、また、三次元構造物が印刷されたキャリアを取り外すことができるように配置され得る。三次元構造物が印刷されたキャリアは、印刷ステーションから取り出してカートに載せて移動することができる。
【0145】
いくつかの例では、システム1は、印刷ステーション3内でキャリアを位置決めするために配置された位置決め構造をさらに含む。位置決め構造は、キャリアをカート内で正しく位置決めできるようにするために重要であり得る。ロボットユニットによる操作が正しく行われない場合、例えば位置決めが不正確であるために台車の端が意図せずにぶつかり、それまで配置されていたキャリアが乱れ、その上に印刷されている三次元構造物が損傷する可能性がある。
【0146】
この位置決め構造により、キャリアが印刷ステーション内で正しく位置決めされることを効果的に保証することができる。その結果、ロボットユニットは正しくキャリアを運ぶことができる。
【0147】
位置決め構造は、印刷ステーション3におけるキャリア7の正しい位置決めを確実にするために配置することができる。例えば、印刷ジョブの準備ができたとき、ロボットユニット5は、キャリア7を印刷ステーションから(例えば、回収システムへ)搬送することができる。位置決め構造により、印刷ステーション内におけるキャリアの位置決めをより正確に行うことができるため、ロボットユニット5はより正確にキャリアを操作し、搬送することができる。いくつかの例では、キャリア7が印刷ステーション内でどのように、どこに置かれたかを検出するためのセンサが提供される。キャリアが様々な形で引っ掛けられることをよりよく防ぐことが可能である。そのため、高度なセンシングシステムを必要とせず、(例えば、カートを有する)回収システムとの衝突をよりよく防止することができる。よって、センシングデータだけを用いるのではなく、機械的な位置決め手段を用いることで、システムの印刷ステーションにおけるキャリアの位置決め精度を向上させることができる。しかし、これに加えて、または、これに代えて、キャリアの操作と位置決めのためのセンシングシステムも提供することができる。いくつかの例では、キャリアの正確な位置決めを可能にするために、一定数のセンサと1つ以上の機械的な位置決め構造の組み合わせが提供される。
【0148】
図6は、システム1の一実施形態の模式図を示す。図5に示すシステム1の一部が透視図で示されている。本実施例では、着脱式キャリア7は、ロボットユニット5のハンドリング装置5aで操作することができるトレイによって形成されている。回収システム21は、キャリア7を配置可能な複数のスロット23を含む。この例では、各印刷ステーションは、2つのノズル11を有する堆積ユニット9を有する。ただし、異なる数のノズルを採用することも可能である。また、堆積ユニット9は、中に複数のノズル口が配置された堆積ヘッドを含むことも可能である。また、複数の印刷ステーション3が、例えば異なる数のノズル11を有する異なる堆積ユニット9を有することが想定される。
【0149】
図7は、システム1の一実施形態を示す側面視の模式図である。この例では、ペーストリザーバ15は、キャリア7へのフィラメント堆積によって三次元構造物が印刷される印刷ステーション3の作業空間の外部に配置される。このようにすれば、印刷ステーション3の作業空間での操作を必要とせずに、ペーストリザーバ15を取り外すことができる。より効率的、連続的、安全な印刷プロセスを得ることができる。リザーバ15は、堆積ヘッド9へのアクセスを必要とせず、容易に交換可能である。これは、リザーバ25を印刷ステーション3の堆積ヘッド9上に、またはそれに隣接して配置する場合と比較して、重要な利点をもたらす。リザーバ25は、堆積ヘッド9に対して離れた場所に取り付けることができる。造形材料ペースト(例えば粘性ペースト)は、リザーバ15と堆積ヘッド9との間に流体連通をもたらすチューブ等によって堆積ヘッドに供給することができる。
【0150】
リザーバ15を外部に取り付けることにより、その交換を容易にすることができる。リザーバ15は、印刷ステーション3による印刷動作中であっても、交換のために、よりアクセスしやすくなる。可動部(例えば、印刷ステーションの堆積ユニットとキャリアの少なくとも一方)から保護しながら、交換作業を行うことができる。造形材料ペーストを保持するためのリザーバ15は、ペースト押し出しによって印刷が行われる閉鎖環境の外に配置することができ、この閉鎖領域は、ハウジング10とドア27によって少なくとも部分的に画定される。ペーストリザーバ15は、交換、再充填等のために容易にアクセスすることができる。このようにして、印刷プロセスを大幅に改善することができる。リザーバは、堆積ユニット9のノズルとペーストリザーバ15との間の(造形材料ペーストを輸送するための)流体接続を提供するチューブ(例えば、ホース)を有することができる。
【0151】
リザーバ15を交換または再充填する必要があるときに、それを検出するように構成された検出システムを設定することができる。様々な種類の検出が可能である(光学的検出、視覚的検出など)。
【0152】
図8はリザーバユニット13の一実施形態の模式図を示す。リザーバ15は、印刷ユニット3又はシステム1のハウジングの外側に配置されている。リザーバ15は、取付装置50によってハウジングに着脱自在に接続される。この例では、ハウジングは、リザーバ15を所定位置に保持するために配置されたホルダ51を含む。ホルダ51は、少なくとも1つのリザーバを印刷ステーション3のハウジングまたはシステム1のハウジングに取り外し可能に結合するための結合インターフェースを含む。ホルダ51は、少なくとも1つのリザーバと堆積ユニットとの間に造形材料ペーストのための流体連通を提供するための第1のインターフェース53と、上記少なくとも1つのリザーバに流体圧力を提供するための第2のインターフェース(図示せず)とから構成されている。有利な点として、この少なくとも1つのリザーバは、交換可能であり、および/または、入れ替え可能である。ホルダ51は、異なる種類のリザーバ15(例えば、他の体積、形状または寸法を有するリザーバ)をハウジングに取り付けることを可能にするユニバーサルカップリングを提供するように配置されてもよい。
【0153】
図9A図9Cは、三次元多孔質構造物1を製造するための押出成形プロセスにおける印刷経路を示す模式図である。印刷経路は、多孔質構造物のフィラメントが複数の層上に堆積する様子を示している。このシステムは、相互に接続されたフィラメントを複数の積み重ねられた層として所定の配列で堆積させるように構成されている。連続する層のフィラメントを互いに連結することで、孔が連通した多孔質構造物を得ることができる。さらに、連続する層のフィラメントは、互いに対して角度をつけることができる。
【0154】
押出成形プロセスでは、ノズル101がプリントベッド103に沿って走査され、図示の印刷経路105に従ってフィラメントを堆積させる。ノズル101の代わりにプリントベッド103を移動させること(機構の交替)も想定されることが理解されよう。組み合わせも可能である。代替例では、堆積プロセスの少なくとも一部の間に、ノズル101とプリントベッド103の両方を移動させることができる。
【0155】
図9Aでは、プリントベッド103上の第1層のための印刷経路105が示されている。図9Bでは、2層の印刷経路105が示されている。図9Cでは、印刷経路105において、第4層が堆積している。多孔質構造物の相互接続されたフィラメントの配置を得るために、多種多様な印刷経路の配置が可能であることが理解されよう。
【0156】
堆積パターンを変えることで、三次元構造物の局所的な機械的特性を局所的に変化させることができるため、乾燥や焼成のための熱処理を変える必要がある場合もある。この例では、印刷される多孔質構造物は、フィラメント間距離(間隔)が不均一である。間隔を均一にすることも可能である。
【0157】
この例は、多孔質構造物を形成するためのペーストの押出成形印刷を例示しているが、このシステムを用いて、非多孔質三次元構造物、すなわち、フィラメント間に孔がないものを堆積することもできることが想定される。
【0158】
図10A図10Bは、気孔が相互に連通した多孔質構造物110を形成するために、複数の積み重ねられた層111として所定の相互接続配置でフィラメント102を堆積させて得られる多孔質構造物110の一実施形態の模式図である。図10Aにおいて、多孔質構造物110の断面側面図が示されている。図10Bにおいて、多孔質構造物110の断面上面図が示されている。
【0159】
多孔度は、剛性または弾性率(ヤング率参照)に影響する。弾性率は、ひずみに対する応力の変化率を示す指標であり、所与の力に対して材料がどれだけ変形するかを定義するものである。フィラメント102が整列しているか、互い違いに配置されているかということも、三次元構造物の機械的特性に影響を与える。例えば、互い違いのフィラメント102を有する三次元構造物110は、整列したフィラメント102を有する三次元構造物110よりも低い弾性率を有し得る。例えば、(この例で示すような)整列したフィラメント配列の場合、三次元構造物の頂部から底部まで中実の柱が存在し得るが、これはフィラメント102が同様の位置で交差しているために存在するものである。この中実の柱は、圧縮に強く抵抗することができる。一方、互い違いの配列の場合、フィラメント2がわずかに撓み、ヒンジ部に応力が集中することがある。
【0160】
さらに、フィラメントの配向も三次元構造物の機械的特性に影響を与え得る。例えば、フィラメントの配向が0/90、0/60/120、0/45/90/135の三次元構造物は、それぞれ異なる弾性率を有し得る。他の配設パターン、例えば三角形、長方形、六角形、曲線、ジグザグパターンも想定されることが理解されよう。このような配設パターンは、孔径にも影響を与え得る。
【0161】
三次元(多孔質)構造物は、様々な方法で層ごとに製造することができる。図の実施形態では、平坦な層を示す。この場合、(ノズルがプリントベッドの上方の一定の高さにある状態で)すべてのフィラメントが押し出されて単一の層を形成した後、ノズルが層厚分だけ上に移動して次の層の印刷を開始する。ただし、単一のフィラメントの堆積中にノズルとプリントベッドの間の距離を変えることによって曲線層を印刷することも想定される。上記堆積時にノズルをプリントベッドに対して離したり近づけたりすることで、曲線的な形状を得ることができる。
【0162】
キャリア上の三次元構造物の印刷が完了した場合(例えば、印刷ジョブが完了したか、キャリア/プレートが満たされた場合)、ロボットユニットを操作して、印刷された三次元構造物を載せたキャリアを自動的に取り出し、例えば搬送用のカートまたはホルダなどの受取ユニットに配置することができる。各印刷ステーションは個別に制御することができる。いくつかの例では、印刷ステーションごとに異なる材料を印刷することができる。さらに、印刷ステーションごとに異なる形状を印刷することも可能である。また、印刷ステーションごとに異なる数量を印刷することも可能である。正しい数の三次元構造物がキャリア上に印刷されているかどうかを判断するように、システムを構成することが可能である。そうして印刷ジョブが完了したとき、印刷された三次元構造物(例えば、物体、部品、ピースなど)を載せたキャリアをロボットユニットによって取り出すことができる。
【0163】
前記複数の印刷ステーションにおける印刷動作を考慮して、前記ロボットユニットを制御するように構成することができる。三次元構造物を印刷するための(サブ)タスクは、当該三次元構造物の印刷を実行するために選択された印刷ステーションに個別にまたは直接送信することができる。印刷ステーションごとに個別制御ができるようにシステムを構成することができる。これは、必要に応じて、オペレータが端末などで個別に調整することができる。印刷ステーションの個別制御機構は、例えば、印刷ステーションまたはシステムの外側部分に配置することができる。いくつかの例では、各印刷ステーションは、印刷ステーションに対する個別制御を可能にするための外部端末またはインターフェースを有している。そのため、印刷プロセスを印刷ステーションごとに簡単に調整することができる。
【0164】
いくつかの例では、システムは、複数の印刷ステーションのキャリアの操作を制御し、印刷ジョブを開始するために印刷ステーションに開始信号を提供するためのグローバルプロセス制御機構を含む。印刷ステーションは、キャリアが満たされたとき、または印刷(サブ)タスクが完了したときに、それを表示することができる。そして、ロボットユニットを操作して、三次元構造物が印刷されたキャリアを取り出すことができる。いくつかの例では、ロボットユニットは、新しいキャリアを印刷ステーションに配置するように構成することができる。その後、ロボットユニットは印刷ステーションに開始信号を送り、印刷ステーションは次の印刷(サブ)タスクで再び印刷を開始するように操作することができる。
【0165】
また、各印刷ステーションを個別に制御することで、例えばオペレータによって印刷の微妙なズレを調整することも可能になる。複数の印刷ステーションの印刷状態を、より細かく相対的に設定することが可能である。
【0166】
例えば、このシステムの異なる印刷ステーションで採用されるペーストは、わずかに異なる粘度を有することができる。このような偏差は、このシステムの印刷ステーションを個別に制御することで補償することが可能である。いくつかの例では、各印刷ステーションは、システムまたは印刷ステーションの閉鎖環境(例えば、ハウジング)の外部からも、個別に制御することができる。いくつかの例では、すべての個々の印刷ステーションは、システムの閉鎖環境(システムハウジング)内に配置することができる。これにより、安全な環境で有害物質を扱うことが可能になる。
【0167】
いくつかの例では、ロボットユニットは、印刷された三次元構造物又は印刷された三次元構造物を載せたキャリアを搬送手段(この場合、カート)上に載置して、次の処理工程(例えば、触媒用三次元多孔質構造物に必要となり得る包装及び出荷又は後処理)に誘導できるように構成されている。
【0168】
キャリアまたは印刷された三次元構造物を保持または搬送するために、様々な搬送システムを用いることができることは理解されよう。搬送システムの例としては、ラック、カート、ベルトコンベアなどがある。ただし、それ以外の構成も用い得る。
【0169】
本方法は、コンピュータで実装される工程を含み得ることが理解されるであろう。上述したすべての工程は、コンピュータで実装される工程とすることができる。実施形態は、プロセスを実行するコンピュータ装置を含んでもよい。また、本発明は、本発明を実施するために適合化されたコンピュータプログラム、特にキャリア上またはキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソースコードまたはオブジェクトコードの形態であっても、あるいは本発明によるプロセスの実装に使用するのに適した他の形態であってもよい。キャリアは、プログラムを運搬することができる任意の実体または装置であってよい。例えば、キャリアは例えば半導体ROMなどのROMまたはハードディスクのような記憶媒体であってもよい。さらに、キャリアは電気信号や光信号などの伝送可能なキャリアであってもよく、電気ケーブルや光ケーブル、無線などの手段、例えばインターネットやクラウドを介して伝達されてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態は、例えば、命令または命令セットを格納することができる機械または有形コンピュータ可読媒体または要素を用いて実装されてもよく、これらの命令または命令セットは、機械によって実行された場合に、当該機械に実施形態に従った方法および/または動作を実行させることができる。
【0171】
様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、またはその両方の組み合わせを用いて実装することができる。ハードウェア要素の例としては、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、マイクロチップ、チップセットなどがある。ソフトウェアの例としては、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、モバイルアプリ、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、コンピュータで実装された方法、プロシージャ、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、メソッド、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコードなどを挙げることができる。
【0172】
本明細書では、本発明の各実施形態の具体的な例を参照して本発明が説明されている。ただし、本発明において、本発明の本質から逸脱することなく、様々な変更、変形、代替、および改変を行うことができることは明白であろう。明確化および簡潔な説明のために、本明細書では同じまたは別々の実施形態の一部として特徴が説明されているが、これらの別々の実施形態において説明される特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する代替的な実施形態も、特許請求の範囲によって概説される本発明の枠組み内にあると想定および理解される。従って、各仕様、図面、および例は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で解釈されるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある全ての代替、変更、および変形を包含することを意図している。また、説明される要素の多くは、個別の、もしくは分散された構成要素として、または他の構成要素と併用して、任意の好適な組み合わせおよび位置で実装され得る機能的エンティティである。特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も、請求項を限定するものとは解釈されないものとする。「含む(comprising)」という単語は、請求項に列挙されたもの以外の特徴または工程の存在を排除するものではない。また、単語「a」および「an」は、「1つだけ」に限定されると解釈されるべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するために用いられ、複数を排除しない。単に特定の複数の手段が相互に異なる請求項に記載されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
【国際調査報告】