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特表2023-510312毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置
(51)【国際特許分類】
   B81B 1/00 20060101AFI20230306BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230306BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20230306BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20230306BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B81B1/00
G01N37/00 101
B01J19/00 321
B81C1/00
G01N35/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542186
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050709
(87)【国際公開番号】W WO2021144371
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20151782.8
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519155413
【氏名又は名称】ミダイアグノスティクス・エヌブイ
【氏名又は名称原語表記】miDiagnostics NV
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】デ・グレーブ、クラース
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、マレイ・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スプリンガー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、オリバー
【テーマコード(参考)】
2G058
3C081
4G075
【Fターム(参考)】
2G058DA07
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA11
3C081BA23
3C081CA19
3C081CA31
3C081CA32
3C081DA21
3C081EA39
4G075AA02
4G075AA39
4G075AA56
4G075DA02
4G075EB50
4G075FA01
4G075FA12
4G075FB01
4G075FB06
4G075FB12
4G075FC20
(57)【要約】
本発明の概念は、毛細管流路(8,16)間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置(1)に関する。マイクロ流体装置(1)は、第1の表面(5)と第1の毛細管流路(8)とを備える第1のマイクロ流体システム(4)であって、第1の毛細管流路(8)は、第1の平面に延長部を有し、第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部(9)を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリア(35)を画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口(12)を形成する、第1のマイクロ流体システム(4)と、第2の表面(7)と第2の毛細管流路(16)とを備える第2のマイクロ流体システム(6)であって、第2の毛細管流路(16)は、第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、第2の表面(7)の一部分は、第2の平面とは異なる平面に入口開口部(13)を備え、入口開口部は、第2の表面に入口エリア(33)を画定し、第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第2の毛細管流路の流入口(20)を形成する、第2のマイクロ流体システム(6)とを備え、第1のマイクロ流体システム(4)及び第2のマイクロ流体システム(6)は、流出口(12)及び流入口(20)が結合されるように、第1の表面及び第2の表面が接触して配置され、それによって、第1の毛細管流路(8)と第2の毛細管流路(16)との間の毛細管駆動流体接続を可能にし、出口エリア(35)は、入口エリア(33)の少なくとも一部分と重なり合い、出口エリア(35)を重ね合わせられた入口エリア(33)の少なくとも一部分は、出口エリア(35)よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛細管流路(8,16)間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置(1)であって、前記マイクロ流体装置(1)は、
第1の表面(5)と第1の毛細管流路(8)とを備える第1のマイクロ流体システム(4)であって、
前記第1の毛細管流路(8)は、第1の平面に延長部を有し、
前記第1の表面は、前記第1の平面とは異なる平面に出口開口部(9)を備え、前記出口開口部は、前記第1の表面に出口エリア(35)を画定し、前記第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、前記第1の毛細管流路の流出口(12)を形成する、第1のマイクロ流体システム(4)と、
第2の表面(7)と第2の毛細管流路(16)とを備える第2のマイクロ流体システム(6)であって、
前記第2の毛細管流路(16)は、前記第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、
前記第2の表面(7)の一部分は、前記第2の平面とは異なる平面に入口開口部(13)を備え、前記入口開口部は、前記第2の表面に入口エリア(33)を画定し、前記第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、前記第2の毛細管流路の流入口(20)を形成する、第2のマイクロ流体システム(6)と
を備え、前記第1のマイクロ流体システム(4)及び前記第2のマイクロ流体システム(6)は、前記流出口(12)及び前記流入口(20)が結合されるように、前記第1の表面及び前記第2の表面が接触して配置され、それによって、前記第1の毛細管流路(8)と前記第2の毛細管流路(16)との間の毛細管駆動流体接続を可能にし、
前記出口エリア(35)は、前記入口エリア(33)の少なくとも一部分と重なり合い、前記出口エリア(35)が重ね合わせられた前記入口エリア(33)の前記少なくとも一部分は、前記出口エリア(35)よりも小さい、マイクロ流体装置(1)。
【請求項2】
前記入口エリア(33)は、前記出口エリア(35)よりも小さい断面積を有する、請求項1に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項3】
前記出口開口部は、出口路を介して前記第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、好ましくは、前記第1の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有し、
前記入口開口部は、入口路(29)を介して前記第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、好ましくは、前記第2の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有する、
請求項1又は2に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項4】
前記出口開口部は、前記第1の毛細管流路の出口領域に対応する断面積を有し、
前記入口開口部は、前記第2の毛細管流路の入口領域に対応する断面積を有する、
請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項5】
前記第2のマイクロ流体システム(6)は、第1の層(104)及び第2の層(106)、並びに前記第1の層(104)と前記第2の層(106)との間のスペーサ層(108)を備える層のスタックを備え、
前記第2の層(106)は、前記第2の表面(7)と、前記入口開口部(13)を備える貫通孔(110)とを備え、前記入口開口部(13)と前記第2の毛細管流路(16)との間の流体連通を提供するように配置され、
前記スペーサ層は、前記第2の平面に延在し、前記スペーサ層に対して平行な細長い切り欠きを有し、その細長い切り欠きは、前記層のスタックの隣接層と共に、前記第2の毛細管流路(16)を画定するように配置される、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項6】
前記第2の層は、前記出口開口部中に延在し、且つそれを占有するように、及び前記スペーサ層の前記切り欠きの少なくとも一部分中に延在し、且つそれを占有するように配置された孔部材を更に備え、前記孔部材は、前記入口開口部を備える前記貫通孔を備える、請求項5に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項7】
前記第2の層と前記スペーサ層との間に配置された前記層のスタック(102)の第3の層(109)を更に備え、前記第3の層は、前記第2の層と前記スペーサ層との間の流体連通を可能にするように配置された貫通孔を備える、請求項5又は6に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項8】
前記第1のマイクロ流体システム(4)は、第1の層及び第2の層、並びに前記第1の層と前記第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを備え、
前記第2の層は、前記第1の表面と、前記出口開口部を備える貫通孔とを備え、前記出口開口部と前記第1の毛細管流路との間の流体連通を提供するように配置され、
前記スペーサ層は、前記第1の平面に延在し、前記スペーサ層に対して平行な細長い切り欠きを有し、その細長い切り欠きは、前記層のスタックの隣接層と共に、前記第1の毛細管流路(8)を画定するように配置される、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項9】
前記出口路の壁部(24)及び/又は前記入口路(29)の壁部は、親水性を提供され、それによって、前記流出口(12)及び/又は前記流入口の濡れ性に対する効果を提供する、請求項3~8のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項10】
前記第1のマイクロ流体システム(4)及び/又は前記第2のマイクロ流体システム(6)は、前記親水性を提供する又は提供するように改質可能な材料から製造される、請求項9に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項11】
前記出口路の前記壁部(24)及び/又は前記入口路(29)の前記壁部は、親水性強化剤(38)で少なくとも部分的にコーティング又は接触される、請求項10に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項12】
前記親水性強化剤は、SiO2、界面活性剤、PEG、及びPMOXAから成る基から選択される、請求項11に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項13】
前記第1のマイクロ流体システム(4)及び/又は前記第2のマイクロ流体システム(6)は、ケイ素、ガラス、若しくは重合体、又はそれらの組み合わせから製造される、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項14】
前記複数の層のスタックの層のうちの少なくとも1つの層は、前記第2の毛細管流路中に毛細管力強化特性を有する材料を備え、特に、前記材料は、SiO2を備えるか、又はそれでコーティングされる、請求項5~13のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置(1)。
【請求項15】
第1の表面(5)と第1の毛細管流路(8)とを備える第1のマイクロ流体システム(4)と結合するための第2のマイクロ流体システムを製造するための方法(200)であって、前記第1の毛細管流路(8)は、第1の平面に延長部を有し、前記第1の表面は、前記第1の平面とは異なる平面に出口開口部(9)を備え、前記出口開口部は、前記第1の表面に出口エリア(35)を画定し、前記第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、前記第1の毛細管流路の流出口(12)を形成し、前記第2のマイクロ流体システムは、入口開口部を有する第2の表面と、前記入口開口部と連通する第2の毛細管流路とを備え、前記第2のマイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに前記第1の層と前記第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを更に備え、前記方法は、
スペーサ材料中に細長い切り欠きをレーザ切断することによって前記スペーサ層を製造する(202)ことと、ここで、前記細長い切り欠きは、前記マイクロ流体システムの前記毛細管流路を画定するものであり、
前記スペーサ層を前記第2の層に、任意選択で前記スペーサ層と前記第2の層との間の1つ以上の追加の層に積み重ねる(204)ことと、
短パルスレーザで前記第2の層を通って、及び任意選択で前記1つ以上の追加の層を通って前記スペーサ層の前記細長い切り欠きに至る孔を切断し(206)、それによって、前記入口開口部を前記毛細管流路と連通させることと、
前記スペーサ層の上に第1の層を配置する(208)ことと
を備える、方法。
【請求項16】
医療又は診断用途用の、請求項1~14のうちのいずれか一項に記載のマイクロ流体装置を備えるデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概念は、毛細管流路間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる毛細管駆動流体構成要素間の接続は問題があり、毛細管駆動流の望ましくない停止をもたらすことが多い。特に、流体流は、2つの毛細管駆動流体構成要素間の境界面で停止するリスクがある。
【0003】
例えば、ケイ素マイクロ流体チップとチップを保持するカートリッジとの間の毛細管流の望ましくない停止を伴わない信頼性の高い接続が問題である。
【0004】
このことから、先行技術に関連する問題に悩まされない、毛細管駆動マイクロ流体システム間の信頼性の高い接続又は境界面を提供する装置が必要とされている。特に、ケイ素マイクロ流体チップとカートリッジとの間の信頼性の高い接続又は境界面を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概念の1つの目的は、従来技術に伴う少なくとも1つの問題を解決することである。本発明の概念の特定の目的は、異なるマイクロ流体システムの毛細管流路間の流体接続を有する装置を提供することに伴う問題を解決することである。
【0006】
本発明の概念の第1の態様によると、毛細管流路間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置が提供され、マイクロ流体装置は、
第1の表面と第1の毛細管流路とを備える第1のマイクロ流体システムであって、
第1の毛細管流路は、第1の平面に延長部を有し、
第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリアを画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口を形成する、第1のマイクロ流体システムと、
第2の表面と第2の毛細管流路とを備える第2のマイクロ流体システムであって、
第2の毛細管流路は、第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、
第2の表面の一部分は、第2の平面とは異なる平面に入口開口部を備え、入口開口部は、第2の表面に入口エリアを画定し、第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第2の毛細管流路の流入口を形成する、第2のマイクロ流体システムと
を備え、第1のマイクロ流体システム及び第2のマイクロ流体システム(6)は、流出口及び流入口が結合されるように、第1の表面及び第2の表面が接触して配置され、それによって、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間の毛細管駆動流体接続を可能にし、
出口エリアは、入口エリアの少なくとも一部分と重なり合い、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分は、出口エリアよりも小さい。
【0007】
本発明の概念の第2の態様によると、第1の表面(5)と第1の毛細管流路(8)とを備える第1のマイクロ流体システム(4)と結合するための第2のマイクロ流体システムを製造するための方法が提供され、第1の毛細管流路(8)は、第1の平面に延長部を有し、第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部(9)を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリア(35)を画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口(12)を形成し、第2のマイクロ流体システムは、入口開口部を有する第2の表面と、入口開口部と連通する第2の毛細管流路とを備え、第2のマイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを更に備え、方法は、
スペーサ材料中に細長い切り欠きをレーザ切断することによってスペーサ層を製造することであって、細長い切り欠きは、マイクロ流体システムの毛細管流路を画定する、製造することと、
スペーサ層を第2の層に、任意選択でスペーサ層と第2の層との間の1つ以上の追加の層に積み重ねることと、
短パルスレーザで第2の層を通って、及び任意選択で1つ以上の追加の層を通ってスペーサ層の細長い切り欠きに至る孔を切断し、それによって、入口開口部を毛細管流路と連通させることと、
スペーサ層の上に第1の層を配置することと
を備える。
【0008】
本発明の概念の第3の態様によると、医療又は診断用途用の、第1の態様に記載のマイクロ流体装置を備えるデバイスが提供される。
【0009】
本発明の概念の上記、並びに追加の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的且つ非限定的な発明を実施するための形態を通してより良く理解されるであろう。図面では、別途明記されない限り、同様の参照番号が同様の要素のために使用されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】マイクロ流体装置の断面図の概略図である。
図2】マイクロ流体装置の断面図の概略図である。
図3】(a)~(h)は入口エリア及び出口エリア並びに重なり合うエリアの概略図である。
図4(a)】重なり合う入口エリア及び出口エリアを例示する。
図4(b)】重なり合う入口エリア及び出口エリアを例示する。
図4(c)】重なり合う入口エリア及び出口エリアを例示する。
図5】重なり合う入口エリア及び出口エリアの概略図である。
図6】マイクロ流体装置の断面図の概略図である。
図7】(a)及び(b)は層のスタックを備えるマイクロ流体装置の概略図である。
図8】孔部材を備えるマイクロ流体装置の断面図の概略図である。
図9】(a)及び(b)は層のスタックを備えるマイクロ流体装置の概略図である。
図10】本発明の概念による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記を考慮して、先行技術に関連する問題によって損なわれない、第1のマイクロ流体システムと第2のマイクロ流体システムとの間の毛細管駆動流体接続用の装置を提供することが望ましいであろう。本発明の概念の1つの目的は、この問題に対処し、先行技術に関連する少なくとも1つの問題又は必要性に対する解決策を提供することである。更なる及び代替的な目的は、以下から理解され得る。
【0012】
本発明の概念の1つの発明の態様に関連する本明細書の開示は、一般に、本発明の概念の他の態様(複数可)のうちの1つ以上に更に関し得る。
【0013】
本発明の概念は、少なくとも部分的に、出口エリアが入口エリアの少なくとも一部分と重なり合い、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分が出口エリアよりも小さい境界面を介して2つのマイクロ流体システムを結合することによって、接続に関する問題が解決又は低減され得るという予期せぬ発見に基づくことが認識されるであろう。更なる予期せぬ発見は、これが、出口が入口よりも大きいことによって実現することができることを含み、その場合、出口は、入口と完全に重なり合い得るか、又は出口及び入口が同じサイズであり得るか、又は入口が出口よりも大きくさえあり得、その場合、重なり合いは、重ね合わせられたエリアが出口エリアよりも小さくなるように配置される。予期せぬことに、そのような重なり合いは、例えば、マイクロ流体システム間の毛細管流を遮断することなく、改善された流体特性を含む利益をもたらすことが見出された。
【0014】
本発明の概念の第1の態様によると、
毛細管流路間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置が提供され、マイクロ流体装置は、
第1の表面と第1の毛細管流路とを備える第1のマイクロ流体システムであって、
第1の毛細管流路は、第1の平面に延長部を有し、
第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリアを画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口を形成する、第1のマイクロ流体システムと、
第2の表面と第2の毛細管流路とを備える第2のマイクロ流体システムであって、
第2の毛細管流路は、第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、
第2の表面の一部分は、第2の平面とは異なる平面に入口開口部を備え、入口開口部は、第2の表面に入口エリアを画定し、第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第2の毛細管流路の流入口を形成する、第2のマイクロ流体システムと
を備え、第1のマイクロ流体システム及び第2のマイクロ流体システム(6)は、流出口及び流入口が結合されるように、第1の表面及び第2の表面が接触して配置され、それによって、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間の毛細管駆動流体接続を可能にし、
出口エリアは、入口エリアの少なくとも一部分と重なり合い、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分は、出口エリアよりも小さい。
【0015】
第1の表面と第1の毛細管流路とを備える第1のマイクロ流体システムを備える装置であって、第1の毛細管流路は、第1の平面に延長部を有し、第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリアを画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口を形成する、装置は、第1のマイクロ流体システムを通る及びそれから出る液体の毛細管駆動流を可能にする。
【0016】
第2の表面と第2の毛細管流路とを備える第2のマイクロ流体システムを備える装置であって、第2の毛細管流路は、第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、第2の表面の一部分は、第2の平面とは異なる平面に入口開口部を備え、入口開口部は、第2の表面に入口エリアを画定し、第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第2の毛細管流路の流入口を形成する、装置は、第2のマイクロ流体システムへの液体の毛細管駆動流を可能にする。
【0017】
流出口及び流入口が結合されるように、第1の表面及び第2の表面が接触して配置される第1のマイクロ流体システム及び第2のマイクロ流体システムは、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間の毛細管駆動流体接続の提供を可能にし、それによって、マイクロ流体システム間の液体の流れを可能にする。
【0018】
第1の表面及び第2の表面をそれぞれ備える第1のマイクロ流体システム及び第2のマイクロ流体システムは、例えば、第1の表面の少なくとも一部分を第2の表面の少なくとも一部分と接触させることによって、マイクロ流体システムの効率的な結合を可能にする。
【0019】
入口エリアの少なくとも一部分と重なり合う出口エリアは、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間の流体連通を提供する。出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分が出口エリアよりも小さいことは、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間に毛細管駆動流を提供する。予期せぬことに、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの画定を含む本発明の概念は、例えば、重ね合わせられたエリアがより大きい場合と比較して、第1の流路と第2の流路との間で効率的な乱れのない流れを、毛細管駆動流さえも可能にすることが見出された。
【0020】
第2の毛細管流路は、第2の毛細管流路から液体を放出するように配置された第2の流出口を更に備え得る。それによって、第2のマイクロ流体システムから出る液体の流れが可能され得る。
【0021】
流出口及び流入口が結合されるように第1の表面及び第2の表面を接触させて配置することは、複数の適切な方法で実現され得る。表面は、出口開口部及び入口開口部が適切に位置合わせ又は位置付けられて、互いに面する第1の表面及び第2の表面と共に第1のマイクロ流体システム及び第2のマイクロ流体システムをクランプすることなどによって、共にしっかりと押し付けられ得る。密封特性を有する層、例えば、可撓性又は圧縮可能な材料の層が、第1のマイクロ流体システムと第2のマイクロ流体システムとの間に位置付けられ得る。第1の表面と第2の表面との間に、層、又は接着剤若しくは密封液などの別の材料が使用され得る。このことから、例えば、接着剤が第1の表面と第2の表面との間に提供され得るとしても、第1の表面及び第2の表面は、本明細書の開示によると、接触していると見なされ得る。接触は、直接的又は間接的であり得る。
【0022】
入口エリア及び出口エリアをそれぞれ画定する入口開口部及び出口開口部は、入口開口部又は出口開口部の円周によってそれぞれ画定される第1の表面又は第2の表面のエリアと見なされ得ると理解されるものとする。
【0023】
第2の毛細管流路は、第2の毛細管流路から液体を放出するように配置された第2の流出口を更に備え得る。それによって、第2のマイクロ流体システムから出る液体の流れがそれに応じて可能にされ得る。
【0024】
出口エリアを重ね合わせられた入口エリアが出口エリアよりも小さいことは、例えば、入口エリアが出口エリアよりも小さいことによって実現され得、その場合、入口エリア全体が出口エリアを重ね合わせられ得る。入口エリアは、例えば、出口エリアよりも大きくあり得るか、又は同じエリアであり得、その例では、出口及び入口は、出口が入口エリアの一部分のみと重なり合い、その重ね合わせられたエリアが出口エリアよりも小さくなるように、互いに対して配置され得る。
【0025】
このことから、入口エリアは、出口エリアよりも小さい断面積を有し得る。それによって、出口エリアが入口エリアの少なくとも一部分と重なり合うことを可能にする方法であって、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分が出口エリアよりも小さい、方法が、効率的に実現され得る。
【0026】
入口エリアは、出口エリア以上の断面積を有し、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分が出口エリアよりも小さくなるように配置され得る。それによって、第1の毛細管流路と第2の毛細管流路との間の効率的な毛細管駆動流体接続が実現され得るだけでなく、例えば、そのような配置は、出口から入口及び前方に流れる液体中に存在し得る粒子又は沈殿物などの汚染物質による毛細管駆動流の遮断のリスクの低減から利益を享受し得る。
【0027】
出口開口部は、出口路を介して第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され得、好ましくは、第1の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有し得る。それによって、第1の毛細管流路と出口開口部との間、更に第2の毛細管流路への効率的な流体連通が実現され得る。
【0028】
入口開口部は、入口路を介して第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され得、好ましくは、第2の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有し得る。それによって、第2の毛細管流路と入口開口部との間、更に第1の毛細管流路への効率的な流体連通が実現され得る。
【0029】
出口路は、出口エリアと同じ又は同様のサイズである出口路の主流方向に対して垂直な断面積を有し得る。出口エリアは、第1の表面における出口路の口によって画定され得る。
【0030】
入口路は、入口エリアと同じ又は同様のサイズである入口路の主流方向に対して垂直な断面積を有し得る。入口エリアは、第2の表面における入口路の口によって画定され得る。
【0031】
出口開口部は、第1の毛細管流路の出口領域に対応する断面積を有し得、入口開口部は、第2の毛細管流路の入口領域に対応する断面積を有し得る。それによって、毛細管流路と入口/出口との間の受動的な流体流が、流体中断のリスクを低減して実現され得る。
【0032】
このことから、第1の毛細管流路は出口領域を有し得、及び/又は第2の毛細管流路は入口領域を有し得る。出口開口部によって画定される出口エリアは、第1の毛細管流路の出口領域に対応し得る。入口開口部によって画定される入口エリアは、第1の毛細管流路の入口領域に対応し得る。
【0033】
出口路は、第1の毛細管流路の出口領域に対応する断面積を有し得、及び/又は入口路は、第2の毛細管流路の入口領域に対応する断面積を有し得る。
【0034】
第1/第2の毛細管流路の出口/入口領域に対応する断面積を有する出口/入口開口部又は路は、出口/入口領域と同様又は対応する形状及び/又はサイズを有する第1/第2の毛細管流路の壁上への開口部又は断面の突出として説明され得る。更に、実施形態によると、出口/入口開口部の幅は、第1/第2の毛細管路の対応する又は平行な幅と同様であり得るか、同一であり得るか、又はより小さくあり得る。言い換えれば、実施形態による入口又は出口開口部は、対応する毛細管流路の入口/出口領域の外側に本質的に延在しないことによって説明され得る。本発明の態様の実施形態では、比較的大きい入口/出口が使用され得、議論した重なり合いを含む理由で毛細管駆動流体接続が途切れない。入口及び出口が完全には位置合わせ又はセンタリングされていない場合であっても、入口及び出口の効率的な嵌合と共に途切れのない毛細管駆動流体接続を提供することが更に可能にされる。加えて、比較的大きい入口/出口を用いて、比較的低い抵抗を有する流体接続が実現され得る。
【0035】
このことから、第1の毛細管流路は出口領域を有し得、及び/又は第2の毛細管流路は入口領域を有し得る。出口領域とは、第1の毛細管流路の他の部分と比較して、出口開口部に隣接するか又は最も近接する第1の毛細管流路の一部分を意味する。入口領域とは、第2の毛細管流路の他の部分と比較して、入口開口部に隣接するか又は最も近接する第2の毛細管流路の一部分を意味する。
【0036】
第1の毛細管流路は、第1の毛細管流路の主要部分と比較して異なる幅を有する出口領域を有し得る。例えば、第1の毛細管流路は、出口に近づくにつれて広くなる又は先細りになる幅を有し得る。別の例によると、第1の毛細管流路は、例えば図4(a)に例示するように、第1の毛細管流路の主要部分の幅よりも大きくあり得る直径を有する円形形状の出口領域を有し得る。同様に、第2の毛細管流路は、例えば図4(a)に例示するように、第2の毛細管流路の主要部分と比較して異なる幅を有する入口領域を有し得る。
【0037】
マイクロ流体装置は、受動的なマイクロ流体装置であり得る。受動的なマイクロ流体装置とは、第1の態様に従って説明され、装置内の全ての流体連通及び流れが、例えば加圧ポンピング若しくは動電ポンピング、又はそれらの補助を必要とせずに、受動的な毛細管力又は毛細管圧力によって作動されることを可能にするように構成された装置を意図する。受動的なマイクロ流体システム中の流れは、毛細管力のみによって作動され得る。
【0038】
第2のマイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを備え得、第2の層は、第2の表面と、入口開口部を備える貫通孔とを備え、入口開口部と第2の毛細管流路との間の流体連通を提供するように配置され、スペーサ層は、第2の平面に延在し、スペーサ層に対して平行な細長い切り欠きを有し、その細長い切り欠きは、層のスタックの隣接層と共に、第2の毛細管流路を画定するように配置される。
【0039】
そのような層のスタックにより、マイクロ流体システムは効率的に製造され得る。
【0040】
隣接層は、例えば、第1及び第2の層、又は例えば、第1、第2、第3、第4、若しくは第5の層、又は他の層から選択される2つの層であり得る。
【0041】
第1の層及び/又は第2の層であり得る隣接層のうちの1つ以上は、PET、好ましくは親水性を有するPETを備え得るか又はそれから製造され得、ホイル又はフィルムの形態であり得る。親水性により、毛細管駆動流は、親水性又は水性液体で実現され得る。隣接層は、DS PSAから、例えばフィルム又はホイルの形態で製造され得る。毛細管流路の高さ又は寸法は、フィルム又はホイルの厚さを選択することによって効率的に選択又は事前決定され得る。
【0042】
第2のマイクロ流体システムは、層のスタックから成り得る。
【0043】
層のスタックを備えるマイクロ流体装置の場合、第2の層は、出口開口部中に延在し、且つそれを占有するように、及びスペーサ層の切り欠きの少なくとも一部分中に延在し、且つそれを占有するように配置された孔部材を更に備え得、孔部材は、入口開口部を備える貫通孔を備える。
【0044】
出口開口部中に延在し、且つそれを占有するように、及びスペーサ層の切り欠きの少なくとも一部分中に延在し、且つそれを占有するように配置される孔部材は、装置の製造中の貫通孔の効率的な位置付けを可能にする。
【0045】
貫通孔は、入口開口部と第2の毛細管流路との間の流体連通を可能にする入口路であり得る。
【0046】
第2の層は、成型によって製造された層であり得る。それによって、貫通孔又は入口路の寸法が、成型の過程で規定され得る。
【0047】
マイクロ流体装置は、層のスタックを備えるとき、第2の層とスペーサ層との間に配置された層のスタックの第3の層を更に備え得、第3の層は、第2の層とスペーサ層との間の流体連通を可能にするように配置された貫通孔を備える。
【0048】
このことから、例えば、第2のマイクロ流体システムは、第2の毛細管流路が第3の層によって与えられる特性を提供され、その一方で第2の表面が第2の層によって与えられる他の特性を提供されるように設計され得る。例えば、毛細管流路中の毛細管流に対する効果を有する特性は、第3の層によって制御及び提供され得、第1及び第2のマイクロ流体システム間の境界面に対する効果を有する特性は、第2の層によって制御及び提供され得る。
【0049】
例えば、第1、第2、及び第3の層、並びにスペーサ層から成る層のスタックでは、隣接層は、第3及び第1の層である。
【0050】
第1の層、第2の層、及び第2の層とスペーサ層との間に位置付けられた中間層に対する任意の追加の層、例えば、第3の層などは、第2の層の貫通孔に少なくとも部分的に重なり合うことによって第2の層の貫通孔と一致する貫通孔を有し得、それによって、第1の毛細管路と第2の毛細管路との間の流体連通を可能にすると理解されるものとする。
【0051】
第2の層は、第1のマイクロ流体システムと第2のマイクロ流体システムとの間、及び/又は第1の外面と第2の外面との間の接着を提供する接着層であり得る。
【0052】
層のスタックの層は、第2の外面に対して平行に配置され得る。
【0053】
第1のマイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを備え得、第2の層は、第1の表面と、出口開口部を備える貫通孔とを備え、出口開口部と第1の毛細管流路との間の流体連通を提供するように配置され、スペーサ層は、第1の平面に延在し、スペーサ層に対して平行な細長い切り欠きを有し、その細長い切り欠きは、層のスタックの隣接層と共に、第1の毛細管流路を画定するように配置される。
【0054】
このことから、第1及び第2のマイクロ流体システムのうちの一方又は両方は、層のスタックを備え得るか、又はそれから製造され得る。
【0055】
マイクロ流体装置が出口路及び/又は入口路を備えるとき、出口路の壁部及び/又は入口路の壁部は、親水性を提供され得、それによって、流出口及び/又は流入口の濡れ性に対する効果を提供し得る。
【0056】
第1のマイクロ流体システム及び/又は第2のマイクロ流体システムは、親水性を提供する又は提供するように改質可能な材料から製造され得る。例えば、マイクロ流体システムは、例えば、親水性コーティングを有するPET層などの親水性コーティングを有するPETから製造され得る。マイクロ流体システムはまた、化学基を備える材料から製造され得、化学基は、親水性を有するように化学反応又は吸収などによって材料を改質することを可能にする。
【0057】
液体の毛細管駆動流は、液体が濡らすことができる1つ以上の接触面を必要とする。本明細書で使用される材料又は表面の親水性は、材料又は表面が水性又は親水性液体によって濡らされることを可能にする1つ以上の特性として解釈されることを意図される。このことから、親水性は、表面又は材料と液体との間に引力を提供する。このことから、親水性は、毛細管駆動流を可能にする。例えば、ガラス又はシリカを備えるか又はそれらから成る材料は、水性液体の毛細管駆動流動を有するシステムのための親水性を有するものと理解されるものとする。更に、例えば、重合体に固有であるか、又は例えば化学的改質若しくはコーティングを含む改質によるかのうちのいずれかの親水性を有する適切な重合体は、親水性とみなされ、毛細管駆動流を促進又は強化し得る。
【0058】
出口路の壁部及び/又は入口路の壁部は、親水性強化剤で少なくとも部分的にコーティング又は接触され得る。それによって、壁部は、コーティングされていない壁部と比較して、水溶液に対してより大きい引力を提供し得る。それによって、毛細管駆動流が促進又は強化され得る。
【0059】
親水性強化剤は、本明細書で使用される場合、親水性強化剤が存在しない壁部と比較して、壁部の親水性を増加又は強化する薬剤として理解され得る。
【0060】
親水性強化剤は、SiO2、界面活性剤、重合体、例えばPEG及びPMOXAから成る基から選択され得る。
【0061】
任意の適切な親水性強化剤が使用され得る。親水性の適切な強化を提供するために選択されることに加えて、それは、入口路の材料上にコーティングを提供するための適切な特性を有するために、及びシステム中に存在する化合物又はサンプルに対して負の効果をほとんど又は全く有さないために選択され得る。
【0062】
第1及び/又は第2のマイクロ流体システムは、ケイ素、ガラス、若しくは重合体、又はそれらの組み合わせから製造され得る。それによって、既知の方法によるマイクロ流体システムの微細加工が実現され得る。更に、毛細管駆動流が装置内で実現され得る。
【0063】
層のスタックの層のうちの少なくとも1つは、第2の又は第1の毛細管流路中に毛細管力強化特性又は親水性強化特性を有する材料を備え得、特に、材料は、SiO2を備え得るか、又はそれでコーティングされ得る。
【0064】
第1のマイクロ流体システム及び/又は第2のマイクロ流体システムは、例えば、更なる毛細管流路、反応若しくは試剤コンパートメント、及び/又は他のシステムへの接続のための手段を備える構造であり得る。
【0065】
流出口及び流入口が結合されるように配置される第1の外面及び第2の外面は、例えば、出口開口部及び入口開口部が少なくとも部分的に重なり合うように、第1の外面及び第2の外面を互いに面して位置付けることによるものであり得る。
【0066】
マイクロ流体装置は、例えば医療及び/又は診断デバイスにおいて、医療及び/又は診断目的のために使用され得る。マイクロ流体装置は、複雑なサンプルマトリックス、例えば生物学的マトリックスで使用され得る。装置内で作動又は流れ得る液体の例は、血液サンプル、尿サンプル、生物学的サンプル、又は他の複合及び/若しくは生物学的サンプル若しくは液体であり得る。
【0067】
装置は、複合サンプルマトリックスで特に有用であり得る。
【0068】
本発明の概念の別の態様によると、第1の表面(5)と第1の毛細管流路(8)とを備える第1のマイクロ流体システム(4)と結合するための第2のマイクロ流体システムを製造するための方法が提供され、第1の毛細管流路(8)は、第1の平面に延長部を有し、第1の表面は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部(9)を備え、出口開口部は、第1の表面に出口エリア(35)を画定し、第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路の流出口(12)を形成し、第2のマイクロ流体システムは、入口開口部を有する第2の表面と、入口開口部と連通する第2の毛細管流路とを備え、第2のマイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを更に備え、方法は、
スペーサ材料中に細長い切り欠きをレーザ切断することによってスペーサ層を製造することであって、細長い切り欠きは、マイクロ流体システムの毛細管流路を画定する、製造することと、
スペーサ層を第2の層に、任意選択でスペーサ層と第2の層との間の1つ以上の追加の層に積み重ねることと、
短パルスレーザで第2の層を通って、及び任意選択で1つ以上の追加の層を通ってスペーサ層の細長い切り欠きに至る孔を切断し、それによって、入口開口部を毛細管流路と連通させることと、
スペーサ層の上に第1の層を配置することと
を備える。
【0069】
短パルスレーザは、ピコ秒、フェムト秒、又はアト秒タイプのレーザであり得る。そのようなレーザは、所望の孔、例えば、良好に画定された滑らかな縁部を有する孔を提供する。短パルスレーザは、超短パルスレーザと呼ばれるレーザであり得る。
【0070】
第1及び/又は第2の毛細管流路は、SiO2のコーティングを備え得る。それによって、毛細管駆動流が促進され得る。更に、第1及び/又は第2の毛細管流路の表面及び毛細管現象は、それによって、シリカ構造の表面及び毛細管現象を模倣し得る。
【0071】
そのような第1のマイクロ流体システムは、第3の態様による第2のマイクロ流体システムと適切に接続又は結合され得る。例えば、第1の態様を参照して説明した通りである。
【0072】
第2の層の貫通孔は、入口開口部が有するものと同様又は同一の寸法及び面積を有し得る。
【0073】
本発明の概念の第3の態様によると、医療又は診断用途用の、第1の態様に記載のマイクロ流体装置を備えるデバイスが提供される。
【0074】
ここで、図1を参照して、毛細管流路8と16との間の毛細管駆動流体接続用のマイクロ流体装置1について議論する。マイクロ流体装置1は、第1の表面5と第1の毛細管流路8とを備える第1のマイクロ流体システム4を備え、第1の毛細管流路8は、第1の平面に延長部を有し、第1の表面5は、第1の平面とは異なる平面に出口開口部9を備える。出口開口部9は、第1の表面5に出口エリアを画定し、第1の毛細管流路8との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路8の流出口12を形成し、第2のマイクロ流体システム6は、第2の表面7と第2の毛細管流路16とを備え、第2の毛細管流路16は、第1の平面に対して平行な第2の平面に延長部を有し、第2の表面7の一部分は、第2の平面とは異なる平面に入口開口部13を備え、入口開口部13は、第2の表面7に入口エリアを画定し、第2の毛細管流路16との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第2の毛細管流路16の流入口20を形成し、第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6は、流出口12及び流入口20が結合されるように、第1の表面5及び第2の表面7が接触して配置され、それによって、第1の毛細管流路8と第2の毛細管流路16との間の毛細管駆動流体接続を可能にし、出口エリアは、入口エリアの少なくとも一部分と重なり合い、出口エリアが重ね合わせられた入口エリアの少なくとも一部分は、出口エリアよりも小さい。
【0075】
第1及び第2の平面は更に、第1及び/又は第2の表面に対して平行であり得る。
【0076】
第1の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合される出口開口部9は、第1の毛細管流路8と連通する路によるものであり得る。第2の毛細管流路16との流体連通を可能にするように適合される入口開口部13は、第2の毛細管流路と連通する路によるものであり得る。
【0077】
図1では、第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6が各々1つの毛細管流路を有する装置1を例示している。他の実施形態によると、複数の流路が、第1のマイクロ流体システム4及び/又は第2のマイクロ流体システム6上に備えられ得る。
【0078】
毛細管流路8、16の寸法は、概略的に例示している。第1の毛細管流路8及び第2の毛細管流路16の寸法は、所望の毛細管力を提供するために選択され得、寸法は、例えば、液体及び/若しくは材料の特性並びに/又は第1の毛細管流路8及び第2の毛細管流路16の壁の特性に応じて、異なって選択され得る。第1の毛細管流路8及び/又は第2の毛細管流路16の断面形状は、例えば、長方形、正方形、又は円形から個々に選択され得る。第1の毛細管流路8及び/又は第2の毛細管流路16の断面形状の1つ以上の寸法、例えば幅又は高さは、1マイクロメートル以上、例えば1~1000マイクロメートルであり得る。それによって、第1及び/又は第2の流路の適切な寸法が提供され得る。1つ以上の寸法に加えて、第1及び/又は第2の流路は、1つ以上の寸法よりも大きい1つ以上の更なる寸法を有し得る。
【0079】
流出口12と流入口20とが結合されていることは、出口開口部9と入口開口部13とが少なくとも部分的に重なり合っていることによって説明され得る。それによって、第1のマイクロ流体システム4と第2のマイクロ流体システム6との間、及び第1の毛細管流路8と第2の毛細管流路16との間の流体接続が可能にされ得る。
【0080】
第1の流出口12及び第2の流入口20は、それぞれ第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6の第1の表面5及び第2の表面7を備える第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6の壁を通る孔又は開口部であり得、開口部は、それぞれ第1の毛細管流路8及び第2の毛細管流路16中に口を有する。それによって、互いに接触される壁と、少なくとも部分的に重なり合う孔又は開口部とを配置することによって、結合が実現され得る。
【0081】
第2の毛細管流路16は、第2の毛細管流路16から液体を放出するように配置された任意選択の第2の流出口22を更に備え得る。第2の流出口22は、それが任意選択であることを例示するために、破線と括弧内の参照番号とで図1に示す。
【0082】
出口エリアを重ね合わせられた入口エリアが出口エリアよりも小さいことが実現され得、重ね合わせられたエリアは、出口エリアの90%以下、75%以下、又は50%以下であり得る。重ね合わせられたエリアは、出口エリアの10%を上回り得る。例えば、重ね合わせられたエリアは、出口エリアの90%~10%、又は90%~25%の範囲内にあり得る。
【0083】
一例によると、この特定の例では、500マイクロメートル及び300マイクロメートルの直径をそれぞれ有する円形形状の出口及び入口が使用された。例では、入口全体が出口を重ね合わせられ、それによって、重ね合わせられたエリアは、出口エリアの36%であった。そのような重なり合いは、毛細管流における望ましくない停止を伴わずに、毛細管流路間の望ましい流体接続をもたらした一例である。
【0084】
第1のマイクロ流体システム4及び/又は第2のマイクロ流体システム6は、毛細管駆動流が望ましいエリア又は表面に親水性を提供する又は提供するように改質可能な材料から製造され得る。例えば、そのようなエリア又は表面は、SiO2基などの親水性基を備えるか、又は備えるように改質可能であり得る。
【0085】
マイクロ流体装置1は、出口開口部及び入口開口部を備える。液体を移動させるためにマイクロ流体装置1を使用するとき、装置は、有益には、液体が第1の毛細管流路8から第2の少なくとも毛細管流路16への毛細管力によって作動されるように使用され得、それによって、出口エリアを重ね合わせられた入口エリアの前記少なくとも一部分が出口エリアよりも小さいことを活用し得る。反対方向に液体を移動させることは可能であり得るが、本発明の概念の欠点に悩まされ、利点を欠き得る。従って、入口及び出口は、本明細書で使用される場合、出口から入口への方向に進む装置の通常の意図された使用中の流れを指すことを意図されるが、流れは、反対方向に作動され得ることが認識されるであろう。
【0086】
マイクロ流体装置1並びに第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6は、流出口12と流入口20との間の境界面に加えて、更なるマイクロ流体接続及び境界面を備え得ることが認識されるであろう。例えば、図2を参照した以下の議論によると、図2は、実施形態によるマイクロ流体装置1を例示する。第1の表面5は、第1の平面とは異なる平面に第2の入口開口部59を更に備え得る。第2の入口開口部59は、第1の表面5に第2の入口エリアを画定し、第1の毛細管流路8との流体連通を可能にするように適合され、それによって、第1の毛細管流路8の第2の流入口62を形成し得る。この第2の流入口62は、第2のマイクロ流体システム6又は別の追加のマイクロ流体システムからの第2の流出口63と接続又は結合され得る。第2の流入口と第2の流出口との間の境界面は、図1を参照して議論した出口エリアと入口エリアとの間の境界面及び重なり合いと同様に特徴付けられ得る。図2には例示していないが、第2の流出口63は、第3のマイクロ流体流路などの流路と流体連通していることがある。
【0087】
第1の平面は、第1の毛細管流路8が延長部を有する平面である。第1の平面は、第1の表面5に対して平行であり得る。第2の平面は、第2の毛細管流路16が延長部を有する平面である。第2の平面は、第1及び/又は第2の表面に対して平行であり得る。
【0088】
ここで、図3(a)~(h)を参照して、流出口12と流入口20との間の境界面について議論する。装置1、例えば図1を参照して議論した装置の一部分のみを、明瞭性を改善するために図3(a)~(h)に例示する。マイクロ流体システム4、6を並んで例示する図3(a)及び(e)を除いて、装置1の一部分は、上面図で例示し、第1のマイクロ流体システム4は、第2のマイクロ流体システム6の上に例示する。第1の毛細管流路8は黒色で例示し、第2の毛細管流路16は白色で例示する。出口開口部9及び入口開口部13は各々、出口エリア35及び入口エリア33にそれぞれ対応する円形の断面形状を有するように例示しているが、これらの形状は例を例示しているに過ぎないことが理解及び認識されるであろう。入口開口部及び出口開口部、並びに入口エリア33及び出口エリア35の断面積は、例えば、正方形、長方形、三角形、多角形、楕円形、又は星形から更に独立して選択され得る。更に、入口及び出口が毛細管流路よりも幅広であることは、例示における例に過ぎず、それらは、代替として且つ独立して、同じ幅又はより小さい幅であり得る。図3(a)~(d)における入口エリア33及び出口エリア35は同一である。図3(e)~(h)では、入口エリア33は出口エリア35よりも大きく、例示する例では約2倍より大きい。図3(b)及び(f)は、重ね合わせられたエリアが出口エリア35の100%であり、このことから、出口エリア35よりも小さくない比較例を例示する。図3(c)は、重ね合わせられたエリアが出口エリア35よりも小さい実施形態による例を例示する。図3(d)はまた、重ね合わせられたエリアが出口エリア35よりも小さく、図3(c)における重ね合わせられたエリアよりも小さい実施形態による例を例示する。このことから、重ね合わせられたエリアが出口エリア35よりも小さいことは、入口エリア33が出口エリア35と同じサイズであることで実現され得る。驚くべきことに、そのような重ね合わせられたエリアは、大きい入口エリア33に対してさえ、毛細管駆動流のための効率的な流体接続を提供することが見出された。
【0089】
図3(e)~(h)は、入口エリア33が出口エリア35よりも大きい装置1を例示する。毛細管流路をそのような入口エリア33及び出口エリア35と結合することは問題であり、例えば、毛細管駆動流の遮断をもたらし得る。重ね合わせられたエリアが出口エリアの100%である、図3(f)に例示する比較例は、流れに伴う問題に悩まされ得る。図3(g)及び(h)は、重ね合わせられたエリアが出口エリア35よりも小さく、それが予期せぬことに、入口エリア33が出口エリア35よりも大きいとしても、維持された毛細管駆動流を有する効率的な流体接続を提供し得る実施形態を例示する。入口エリアが出口エリアよりも大きいそのような実施形態は、より容易な製造から利益を享受し得、その一方で、依然として効率的な毛細管接続を達成することができる。
【0090】
ここで、図4(a)~(c)を参照して、出口エリア35を重ね合わせられた入口エリア33の少なくとも一部分が出口エリア35よりも小さいことによる利点を例示する行われた実験を参照して、実施形態について議論する。第1の流出口12と第2の流入口20との間の境界面を有する装置1の一部分100を、実験の設定を例示する図4(a)~(c)に図示する。出口エリア35を画定する出口開口部9を有する第1の毛細管流路8を備える第1のマイクロ流体システム4の一部分は、図4(a)に見ることができる。図4(a)には、出口エリア35を強調するために白い点線の円190が描かれている。入口エリア33を画定する入口開口部13を有する第2の毛細管流路16を備える第2のマイクロ流体システム6の一部分が、図4(a)~(c)に更に見られる。図4(b)には、入口エリア33を強調するために白い点線の円192が描かれている。実験が行われ、ここにおいて、出口エリア35は、入口エリア33の一部分と重なり合っている。出口エリア35を重ね合わせられた近接した入口エリア33は、白い線の寄せ集め194によって囲まれたエリアとして図4(c)において強調されている。
【0091】
第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6を互いに対して調整することによって、異なる重なり合いが得られ、流体接続について試験された。実験では、表1においてシステム1、システム2、及びシステム3と呼ばれる、3つの並列の第1及び第2のマイクロ流体システムが、生成される実験データの数を増加させるために使用された。実験は、成功した流体接続、即ち、第1の毛細管流路8から出口開口部9を介して入口開口部13へ、第2の毛細管流路16への視覚的に確認された流体移動に基づいて判断された。受動的な液体流動のみが用いられ、即ち毛細管力によって駆動された。水性緩衝液が使用され、実験では溶解緩衝液と呼ばれた。
【0092】
特に図4(a)~(c)から、入口開口部13は出口開口部よりも大きく、それは受動的な流体接続を困難にすると予期され得、最初の実験は、重ね合わせられたエリアが出口エリアの100%である完全に位置合わせされた出口及び入口が成功しなかったか、又は問題なく行うことができなかったことを示した。
【0093】
実験データに基づく計算では、白い点線の円又は線190、192、若しくは194がおおよそ示すエリアは、ソフトウェアを使用して計算され、出口エリアのパーセントとして重なり合いを計算するために使用された。実験及び計算の結果が表1に提供される。
【0094】
【表1】
【0095】
特に、全ての実験は、位置ずれが生じ、その位置ずれが0%の重なり合いと見なされ得る場合を除いて、及び更に、重なり合いが出口エリアの100%であった場合を除いて、成功し、所望の流体接続を提供すると見なされた。それによって、入口エリアの重なり合いが存在する限り、及び重なり合いが最大で出口エリアの100%までである限り、流体接続が成功したと結論付けられ得る。本発明は、このことから、より小さい出口からより大きい入口に進むときでさえ、信頼性が高く効率的な受動的な毛細管駆動流体接続を提供する。より小さい出口からより大きい入口に進むとき、流体接続に伴う問題が予期される。本発明の実施形態による予期せぬ発見は、少なくとも部分的に、入口/出口又は入口路/出口路の縁部に基づきことができ、入口/出口又は入口路/出口路は、毛細管力を促進し、あたかも入口が出口と同様のサイズであるかのように少なくとも部分的に挙動する入口の効果を作成し、しかも、従って、少なくともより少ない程度の流れの前部は、より幅広の路に入るように挙動しないか又はそのように見えない環境中にある。
【0096】
図4(a)~(c)に図示するマイクロ流体装置の例では、出口路は、第1の毛細管流路の出口領域に対応する断面積を有し、入口路は、第2の毛細管流路の入口領域に対応する断面積を有する。更に、この例では、入口エリアが入口領域に対応し、出口エリアが出口領域に対応する。図4(a)~図4(c)では、白い点線の円190はまた、出口領域を示すものとして見られ得、白い点線の円190はまた、例示する装置の入口領域を示すものとして見られ得る。
【0097】
試験間の単一の出口のエリアの変動は、入口又は出口の実際の変動からではなく、各試験についてのエリアの計算から生じる。
【0098】
図5は、破線の長方形及び実線の長方形としてそれぞれ描かれた装置1の入口エリア33及び出口エリア35を例示し、第1のマイクロ流体システム4は、第2のマイクロ流体システム6の上に例示する。毛細管流路8、16などの装置1の他の部分は、例示していない。図5に例示する実施形態は、入口エリア33の少なくとも一部分と重なり合う出口エリア35を有し、出口エリア35を重ね合わせられた入口エリア33の少なくとも一部分は、出口エリア35よりも小さい。出口エリア35を重ね合わせられた入口エリア33は、斜線で例示する。このことから、出口エリア35を重ね合わせられた入口エリア33が出口エリア35よりも小さいことを達成する1つの方法は、入口エリア33を出口エリア35よりも小さくすることによる。
【0099】
例えば、図5に例示するように、入口エリア33の前記少なくとも一部分は、入口エリア33の100%であり得る。
【0100】
図3(c)及び(d)に例示するように、入口エリア33及び出口エリア35は、同一のサイズを有し得、加えて、図3(g)及び(h)に例示するように、出口エリアは、入口エリアよりも小さくあり得、それによって、出口エリア35が重ね合わせられた入口エリア33の少なくとも一部分が出口エリア35よりも小さくなるように、入口エリアの一部分が重ね合わせられる。このことから、入口エリア33及び出口エリア35は、互いに対して異なるサイズであり得、一方が他方よりも大きくあり得、且つ逆もまた同様であり得るか、又は同じサイズであり得、出口エリア35が重ね合わせられた入口エリア33の少なくとも一部分が出口エリア35よりも小さいという条件が実現される限り、入口エリア33の全体又は一部分は、出口エリア35を重ね合わせられ得ると認識されるよう。
【0101】
ここで、図6を参照して、装置1の異なる実施形態によるマイクロ流体装置1について説明し、断面図で例示する。図6では、第1の流出口12と第2の流入口20との間の境界面を有する装置1の一部分100のみを例示する。図6では、流入口20は、入口エリア33を有し、それは、例示する例では、第2の流入口20における流れ方向26に対して垂直な流入口20の断面積に対応し、出口エリア35が重ね合わせられる。出口エリア35が重ね合わせられた入口エリア33は、出口エリア35よりも小さく、それによって、液体を第2の毛細管流路16中に作動させる毛細管力が強化され得る。図6では、出口路19及び出口領域10の壁部24は、親水性強化剤38で少なくとも部分的にコーティングされ、それによって、第1の流出口12の濡れ性に対する効果を提供する。毛細管現象によって第1の毛細管流路8を通ってより効率的に作動される液体は、親水性強化剤38と接触することによって出口領域10及び第1の流出口12を濡らし且つ満たし得、それによって、液体は、第2の毛細管流路16の第2の流入口20と接触させられると認識されるものとする。例示する例では、流出口12から流入口20への毛細管現象による液体の更なる作動は、出口エリア35が入口エリア33の少なくとも一部分と重なり合うことによって更に促進又は強化され、出口エリア35が重ね合わせられた入口エリア33の少なくとも一部分は、出口エリア35よりも小さい。流出口12又は流入口20のうちの一方の断面積が他方と比較してより大きいことにより、第1の流出口12と第2の流入口20との効率的な重なり合い及び結合を提供し得る。入口エリア33が出口エリア35よりも小さいことは、重ね合わせられたエリアを出口エリア35よりも小さくすることを達成する1つの効率的な方法である。それによって、液体を第2の毛細管流路16中に作動させる毛細管力は、境界面におけるより狭い流路の提供及び増加した壁表面積によって強化され得る。
【0102】
出口開口部9は、例示するように、出口路19を介して第1の毛細管流路8との流体連通を可能にするように適合され得、入口開口部13は、例示するように、入口路29を介して第2の毛細管流路との流体連通を可能にするように適合され得る。入口路29は、例示するように、好ましくは、第2の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有し得る。そして、出口路は、例示するように、好ましくは、第1の毛細管流路の延長部に対して垂直な延長部を有し得る。
【0103】
ここで、図7(a)及び(b)を参照して、第2のマイクロ流体システム6が層のスタック102を備えるマイクロ流体装置1について議論する。マイクロ流体装置1の1つの意図された又は典型的な使用中のマイクロ流体装置1中の毛細管流は、毛細管流路16、8内の矢印によって概略的に例示する。図7(a)は、互いに分離され、上面図で例示するマイクロ流体装置の部品及び詳細を例示し、その一方で、図7(b)は、図7(a)に例示する部品及び詳細を備えるマイクロ流体装置1の側面図を例示する。層のスタック102は、第1の層104及び第2の層106、並びに第1の層104と第2の層106との間のスペーサ層108を備える。第2の層106は、第2の表面7と、入口開口部13を備える貫通孔110とを備え、入口開口部13と第2の毛細管流路16との間の流体連通を提供するように配置される。スペーサ層108は、第2の平面に延在し、スペーサ層に対して平行な細長い切り欠き112を有し、その細長い切り欠き112は、層のスタック102の隣接層と共に、第2の毛細管流路16を画定するように配置される。例示する実施形態における隣接層は、第1の層104及び第2の層106に対応する。第2の毛細管流路の寸法は、第2の毛細管流路の幅を画定する細長い切り欠き112の幅w及び第2の毛細管流路16の高さhを画定する中間層108の厚さを含む、細長い切り欠き112及び中間層108の厚さによって決定又は画定されることが、図7(a)及び(b)から明らかであるものとする。例示する例では、wは、300マイクロメートルであり、hは、40マイクロメートルである。第1の毛細管流路8を備える第1のマイクロ流体システム4を、図7(b)に更に例示するが、図7(a)には例示しない。例示する例では、入口エリア33と同じサイズであるが、出口エリア35よりも小さい入口エリア33の一部分のみと重なり合う出口エリア35を有する流出口を備える第1のマイクロ流体システム4を例証する。第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6は、第1の表面5及び第2の表面7が接触して配置される。適切には(例示せず)、第1の表面5及び第2の表面7、並びにそれによって、第1のマイクロ流体システム4及び第2のマイクロ流体システム6は、例えば糊付け又は接着によって接触され得る。例えば、第2の層106は、接着基材テープから製造されることなどによって、接着性を有し得る。そのようなテープは、例えば、DS PSA基材テープであり得、適切には、10~100マイクロメートル、例えば40マイクロメートルの厚さを有する。
【0104】
第1のマイクロ流体システム4は、図7(b)において層のスタックを備えるように例示していないが、第1のマイクロ流体システム4は、第2のマイクロ流体システム6が層のスタック102を備えるか否かとは無関係に、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを備え得、第2の層は、第1の表面と、出口開口部を備える貫通孔とを備え、出口開口部と第1の毛細管流路8との間の流体連通を提供するように配置される。第1のマイクロ流体システム4の層のスタックのスペーサ層は、第1の平面に延在し、スペーサ層に対して平行な細長い切り欠きを有し得、その細長い切り欠きは、層のスタックの隣接層と共に、第1の毛細管流路8を画定するように配置される。
【0105】
ここで、第2の層106が孔部材120を更に備える層のスタック102を備えるマイクロ流体装置1について、図8を参照して議論する。図8に例示するのは、第2のマイクロ流体システム6及び第1のマイクロ流体システム4と、第1の層104及び第2の層106、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層108を備える層のスタック102とである。第1の毛細管流路8及び第2の毛細管流路16は、図7に例示する配置と同様に配置されるが、例えば、異なる方向に配置され得ることが認識されるであろう。第2の層106は、出口開口部9中に延在し、且つそれを占有するように、及びスペーサ層108の切り欠き112の少なくとも一部分中に延在し、且つそれを占有するように配置された孔部材120を更に備え、孔部材120は、入口開口部13を備える貫通孔110を備える。貫通孔は、白い点線を使用して例示する。図8に見られ得るように、貫通孔110は、孔部材120の切り取り部分122によって促進される第2の毛細管流路16へのマウス122によって、第1の毛細管流路8と第2の毛細管流路16との間の流体連通又は路を提供し、そのマウス又は切り取り部分122は、貫通孔110と第2の毛細管流路16との間の流通路を提供する。切り取り部分122は、灰色の点線で例示する。切り取り122に加えて、例えば流路又は孔など、マウス122及び貫通孔110と第2の毛細管流路16との間の流体連通を提供する異なる適切な方法が使用され得ることが実現される。例示する孔部材120は、この例では形状が円形である出口開口部9中に延在し、且つそれを占有し、更にスペーサ層108の切り欠き112の少なくとも一部分中に延在し、且つそれを占有するように配置されることを適切に可能にするように円筒形状である。例えば、出口開口部9が長方形である場合、孔部材120は、出口開口部9中に延在する長方形形状の断面を有する一部分を有し得る。
【0106】
孔部材120が入口開口部13を備える貫通孔110を備えることにより、出口エリア35が、入口エリア33と効率的に重なり合い、出口エリア35を重ね合わせられた入口エリア33は、出口エリア35よりも小さくなる。
【0107】
第1及び第2のマイクロ流体システムを結合することは、出口開口部9中に延在する孔部材120を用いて容易である。
【0108】
第2の層106は、孔部材120を更に備え、適切には一体に、好ましくは成形プロセスによって製造され得る。孔部材を更に備える第2の層106は、代替として、貫通孔110内の表面改質などによって親水性又は毛細管駆動流促進特性を提供され得る材料から製造され得る。図8に見られるように、第2の表面は、本質的に平面であり得るが、孔部材は、第2の表面7から突出している。
【0109】
ここで、図9(a)及び(b)を参照して、図9(a)及び(b)を参照して議論したマイクロ流体装置1と同様であるが、第2のマイクロ流体システム6の層のスタック102中に追加の第3の層109を備える点で異なるマイクロ流体装置1について議論する。層のスタック102は、第2の層106とスペーサ層109との間に配置された層のスタック102のうちの第3の層109を更に備え、第3の層109は、第2の層106とスペーサ層108との間の流体連通を可能にするように配置された貫通孔111を備える。そのような構成では、第2の層106は、接着テープから作られるような結合層であり得る。例示する例では、第1の層104、第2の層106、及び第3の層109、並びにスペーサ層108から成る層のスタック102では、隣接層は、第3の層109及び第1の層104である。
【0110】
適切には、本発明の概念の実施形態では、第1のマイクロ流体システム4及び/又は第2のマイクロ流体システム6は、ケイ素、ガラス、若しくは重合体、又はそれらの組み合わせから製造され得る。
【0111】
層のスタック102を備える実施形態の場合、層のスタック102の層のうちの少なくとも1つは、第2の毛細管流路中に毛細管力強化特性を有する材料を備え得、特に、材料は、SiO2を備え得るか、又はそれでコーティングされ得る。
【0112】
ここで、図10を参照して、例えば、第1のマイクロ流体システム4又は第2のマイクロ流体システム6であり得るマイクロ流体システムを製造するための方法200について議論する。マイクロ流体システムは、入口開口部を有する表面と、入口開口部と連通する毛細管流路とを備え、マイクロ流体システムは、第1の層及び第2の層、並びに第1の層と第2の層との間のスペーサ層を備える層のスタックを備え、方法は、
スペーサ材料中に細長い切り欠きをレーザ切断することによってスペーサ層を製造する202ことであって、細長い切り欠きは、マイクロ流体システムの毛細管流路を画定する、製造することと、
スペーサ層を第2の層に、任意選択でスペーサ層と第2の層との間の1つ以上の追加の層に積み重ねる204ことと、
短パルスレーザで第2の層を通って、及び任意選択で1つ以上の追加の層を通ってスペーサ層の細長い切り欠きに至る孔を切断し206、それによって、入口開口部を毛細管流路と連通させることと、
スペーサ層の上に第1の層を配置する208ことと
を備える。
【0113】
短パルスレーザの使用は、滑らかな縁部を含む孔の改善された特性を提供する。
【0114】
短パルスレーザは、例えば、ピコ秒、フェムト秒、又はアト秒タイプのレーザであり得る。
【0115】
上記では、本発明の概念は、限られた数の例を参照して主に説明されてきた。しかしながら、当業者によって容易に認識されるように、上記で開示したもの以外の例が、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図3(g)】
図3(h)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
【国際調査報告】