(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】薄膜及び種子コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/00 20060101AFI20230306BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20230306BHJP
A01N 43/54 20060101ALI20230306BHJP
A01N 43/36 20060101ALI20230306BHJP
A01N 37/46 20060101ALI20230306BHJP
A01N 43/78 20060101ALI20230306BHJP
A01N 51/00 20060101ALI20230306BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230306BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20230306BHJP
A01C 1/06 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A01N25/00 102
A01N25/04 103
A01N43/54 A
A01N43/36 A
A01N37/46
A01N43/78 A
A01N51/00
A01P3/00
A01P7/04
A01C1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543184
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050822
(87)【国際公開番号】W WO2021144430
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ディルク クロンプ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム シルバイン ガルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ウィルヘルムス ジョハンネス サミュエルズ
【テーマコード(参考)】
2B051
4H011
【Fターム(参考)】
2B051AB01
2B051AB07
2B051BA15
2B051BA20
2B051BB14
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB10
4H011BC06
4H011BC19
4H011DA04
4H011DH10
4H011DH13
4H011DH15
(57)【要約】
【課題】薄膜コーティング組成物、形成された種子コーティング組成物は薄膜形成組成物を含む。
【解決手段】薄膜コーティング組成物は、ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体及びワックス分散体を含む。薄膜コーティング組成物中のロジン/デンプン及びワックスの合計は、2~60重量%の範囲である。種子コーティング製剤は、必要に応じて、農薬活性及び/又は栄養素を含み、湿式及び環式流動性、耐摩耗性、ダストオフ、発芽、植付け適性並びに保色性のために、種子又は鱗茎に塗布する。特に、種子コーティング組成物は、前記特性を提供する一方で本質的又は完全にマイクロプラスチックを含まない。該製剤の作製方法、及び種子コーティング製剤で種子又は鱗茎を処理する方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜コーティング組成物であって、
i)ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体;及び
ii)ワックス分散体を配合することを含み;
前記ロジン樹脂及び/又は前記デンプン誘導体及び前記ワックス分散体の総量は、前記組成物の総重量に対して、2重量%~60重量%の範囲である、
薄膜コーティング組成物。
【請求項2】
前記ロジン樹脂は、10℃~150℃の環球式軟化点、及び300~10,000g/molの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記製剤は、20~80%ロジン樹脂を含む樹脂分散体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ロジンは、樹脂酸のグリセロールエステル、ペンタエリスリトールエステル又はトリエチレングリコールエステルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記デンプン誘導体は、トウモロコシ、エンドウマメ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、イネ、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ、モロコシ、及びこれらのワックス状又は高アミロース品種由来である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ワックスは、生分解性又は非高分子であると示される場合、天然ワックス、又はミネラル若しくは合成ワックスから成る群から選択され得る、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ワックスは、カルナウバロウ、ミツロウ、ヒマワリワックス、ダイズ油ワックス、米ぬかワックス、ラノリンワックス、サトウキビロウ、ヤシロウ、又は他の植物ロウ、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレラート)(PHBV)ワックス、ステアリン酸カルシウム、又はポリ乳酸(PLA)ワックスから成る群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ロジン樹脂は、前記薄膜コーティング組成物の総重量に対して、2重量%~30重量%の範囲の濃度における前記薄膜コーティング組成物中に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記薄膜コーティング組成物は、前記薄膜コーティング組成物の総重量に対して、1~40重量%の量で前記デンプン誘導体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ワックスは、前記コーティング組成物の総重量に対して、0.5重量%~30重量%の範囲の濃度における前記薄膜コーティング組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記薄膜コーティング組成物は、前記組成物の総重量に対して、5重量%未満のマイクロプラスチック及び/又はマイクロプラスチック粒子を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
薄膜コーティング組成物の形成方法であって、前記方法は、
i)ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体;並びに
ii)ワックス分散体を配合することを含み;
前記ロジン樹脂及び/又は前記デンプン誘導体及び前記ワックス分散体の総量は、前記組成物の総重量に対して、2重量%~60重量%の範囲である、
方法。
【請求項13】
種子コーティングを有する種子又は鱗茎であって、前記種子コーティング組成物は、請求項1~11のいずれか一項に記載の薄膜コーティング組成物を含む、種子又は鱗茎。
【請求項14】
前記種子は、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、イネ、及びホウレンソウから成る群から選択される作物種子から選択される植物種子である、請求項13に記載の種子。
【請求項15】
種子コーティング組成物を前記種子又は鱗茎に塗布することを含む種子又は鱗茎のコーティング方法であって、
前記種子コーティング組成物は、請求項1~11のいずれか一項に記載の薄膜コーティング組成物を含む、
方法。
【請求項16】
前記種子コーティング組成物中の水の量は、前記組成物の総重量に対して、85重量%未満、好ましくは80重量%未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記種子組成物は、前記組成物の総重量に対して、5重量%未満のマイクロプラスチック及び/又はマイクロプラスチック粒子を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記種子コーティング組成物は、1つ以上の生物活性成分を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜及び種子コーティング組成物、薄膜及び種子コーティング組成物の形成並びに種子又は鱗茎上へのコーティング方法、並びに種子又は鱗茎のコーティングにおいて使用するための被覆種子又は鱗茎に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、種子が取扱い中に損傷しないように保護及び/又は取扱適性を改良するように、播種前に植物種子を被覆することが多い。種子及び発芽時の実生に有用な物質(活性成分)、例えば、植物養分、成長刺激薬、及び植物保護製品を提供するように種子を被覆することが多い。多くの現存の種子コーティングは、望ましくない成分、例えば、マイクロプラスチックを含むことのデメリットも有する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、薄膜及び種子コーティング組成物を提供しようとし、前記組成物は、望ましい湿式流動性、耐摩耗性、ダストオフ、発芽、並びに前記製剤で被覆された種子及び被覆種子から生成された植物に対する植付け適性(plantability)を提供する。好ましくは、必要な物理的特性を提供する一方で本質的又は完全にマイクロプラスチックを含まない。
【0004】
本発明の第一態様によれば、
i)ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体;及び
ii)ワックス分散体を含み;
前記ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体及びワックス分散体の総量は、組成物の総重量に対して、2重量%~60重量%の範囲である、
薄膜コーティング組成物を提供する。
【0005】
本発明の第二態様によれば、
i)ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体;及び
ii)ワックス分散体を配合することを含み;
前記ロジン樹脂及び/又はデンプン誘導体及びワックス分散体の総量は、組成物の総重量に対して、2重量%~60重量%の範囲である、
薄膜コーティング組成物の形成方法を提供する。
【0006】
本発明の第三態様によれば、前記種子又は鱗茎への第一態様による薄膜コーティング組成物を含む種子コーティング組成物の塗布を含む種子又は鱗茎のコーティング方法を提供する。
【0007】
本発明の第四態様によれば、種子コーティングを含む種子又は鱗茎を提供し、前記種子コーティング組成物は、第一態様による薄膜コーティング組成物を含む。
【0008】
本発明の薄膜コーティング組成物を使用して、種子又は鱗茎物理的品質、特に、湿式及び環式流動性、耐摩耗性、ダストオフ、発芽、植付け適性並びに保色性を改良し得る。特に、種子コーティング組成物は、必要な物理特性を提供することができるが、一方で本質的又は完全にマイクロプラスチックを含まない種子コーティングを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用されるとき、用語「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、又は「含む(including)」は、より多くの一般的主題を更に明白にする例を紹介することを意図される。特に指定されない限り、これらの例は、本開示において例証される応用を理解する助けとしてのみ提供され、どんなことであれ限定されることを意図されていない。
【0010】
本願で使用されるとき、用語「種子」は、特に、裸子植物及び保護カバーに囲まれている胚を含む被子植物の熟した胚珠を表すことを意図される。保護カバーは、種子コート(種皮)を含むことができる。いくつかの種子は、種子コートの周りに果皮又は果実コートを含む。特に、この層が、穀物粒におけるとき、種子に密着する場合、場合によっては、穎花又は痩果と呼ばれる。本願で使用されるとき、用語「種子コート」は、穎花又は痩果を含むことを意図される。用語「種子」は、農業において植えて、ペレット状種子、真正種子、植物実生、台木、再生及び植物形成組織、並びに塊茎又は鱗茎を含む植物を産生することができるどんなものも含む。
【0011】
本願で使用されるとき、用語「コーティング」は、例えば、種子の周りの物質層として種子表面に物質を塗布することを表すことを意図される。コーティングとしては、薄膜コーティング、ペレット成形、及びエンクラステーション又は当技術分野において公知のこれらの技術の組合せが挙げられる。用語「薄膜コーティング」は、希釈して、次いで、種子又は鱗茎に塗布される「種子コーティング」を行うため、農薬活性などの添加される他の成分を含むスラリーに形成することができる濃縮組成物を表すと理解されるだろう。本願で使用されるとき、用語「種子コーティング組成物」は、種子をコーティングするために使用される組成物を表すことを意図される。
【0012】
コーティングを、好ましくは、種子の表面積の90%以上など、種子の実質的に全面積に塗布して、層を形成する。しかしながら、コーティングは、種子の表面積の完全又は部分的、例えば、20%以上、又は50%以上であってよい。
【0013】
種子は、植物種子、例えば、農業作物若しくは農作物の種子、野菜種子、ハーブ種子、野草種子、観賞植物種子、牧草種子、樹木種子、又は低木種子である。
【0014】
好ましくは、植物種子は、農業作物の種子である。種子は、単子葉植物目又は双子葉植物目であってよい。適切な種子としては、ダイズ、ワタ、トウモロコシなどの農作物種子、これに限定されないが、コムギ、オオムギ、カラスムギ及びライムギを含む穀物、アブラナ(又はキャノーラ)、ヒマワリ、サトウダイコン、アマ、ナタネ、タバコ、麻の実、アルファルファ、シグナルグラス、モロコシ、ヒヨコマメ、マメ、エンドウマメ、イネ、及びサトウキビが挙げられる。適切な野菜種子の例としては、アスパラガス、チャイブ、セロリ、ニラ、ニンニク、ビートの根、ホウレンソウ、テンサイ、カブ、エンダイブ、チコリ、パセリ、フェンネル、ダイコン、ブラックサルシファイ、ナス、ニンジン、タマネギ、トマト、コショウ、レタス、サヤマメ、エシャロット、ベニバナ、チコリ、及びアブラナ科又はウリ科ファミリーの作物が挙げられる。
【0015】
好ましくは、種子は、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、イネ、及びホウレンソウから成る群から選択される作物種子から選択される。
【0016】
好ましくは、植物種子は、発芽することができる。必要に応じて、種子を、外被を取り除かれていてもよい(いわゆる、剥皮種子又は脱皮種子)。
【0017】
用語「球根」は、球根植物に成長する鱗茎を含み、アリウム属(Allium)、アネモネ属(Anemone)、クロッカス属(Crocus)、ラッパズイセン(Daffodil)、セツブンソウ属(Eranthis)、ガランツス属(Galanthus)、ヒヤシンス(Hyacinth)、アヤメ属(Iris)、ユリ(Lilies)、ムスカリ(Muscari)、ツルボ属(Scilla)、及びチューリップ(Tulip)を挙げることができる。
【0018】
本発明を、種子又は球根のために使用してよいが、種子を用いた使用に特に適している可能性があると想定される。
【0019】
本発明による「ロジン樹脂」又は「ロジンエステル」は、少なくとも2つの樹脂酸又は樹脂酸誘導体単位が少なくとも2つのエステル結合によって連結されているいずれもの分子である。少なくとも2つのヒドロキシル基を有するいずれもの分子を使用して、少なくとも2つの樹脂酸単位間のエステル結合を提供することができる。通常の例としては、グリセロールエステル、ペンタエリスリトールエステル及び(トリエチレン)グリコールエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明による「樹脂酸」は、様々な樹脂酸分子の混合物を含むと理解される。容易に入手可能であり、天然に存在するこの種類の混合物としては、タル油ロジン、ガムロジン又はウッドロジンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの天然混合物は、他の中でもアビエチン酸、パルストリン酸、ネオアビエチン酸、レボピマール酸、ピマル酸、イソピマル酸又はデヒドロアビエチン酸などのアビエチン型及び/又はピマル型の樹脂酸を様々な量で含み得る。1つのカルボン酸官能基を有する樹脂酸に加えて、2つ以上のカルボン酸官能基を有する樹脂酸も、本発明の意味において樹脂酸として見做される。
【0021】
本発明による「樹脂酸誘導体」は、分子樹脂酸骨格を有するが、以下のうち少なくとも1つで修飾されているいずれもの分子である。1つの実施形態では、少なくとも1つの結合は、水素化されている(水素付加)。別の実施形態では、ロジンの環及び骨格の少なくとも1つは、芳香環を生成するように脱水素化されている(脱水素)。さらに別の実施形態では、樹脂酸骨格の共役二重結合への付加物が含まれ、特に、ディールス・アルダー反応におけるマレイン酸無水物の付加である。得られた付加物は、本発明による樹脂酸誘導体の一種と見做される。
【0022】
本発明による「樹脂分散体」は、溶媒が概して水又は水溶液であるロジン樹脂実体の分散体である。しかしながら、発泡性又は他の分散性が悪影響しない限り、非水性溶媒、特に、有機溶媒と水の混合物も適しているはずである。他の水可溶性溶媒と水の混合物を、同様に使用することもできるだろう。
【0023】
適切に、樹脂分散体において従来使用されるいずれものロジン樹脂又はいずれものロジン樹脂系物質は、本発明による使用に適している。例えば、樹脂の適した分類としては、ロジンエステル、ロジン樹脂、ロジンのペンタエリスリトール、グリセロール、トリエチレングリコールエステル、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
適したロジン樹脂としては、天然及び修飾ロジンのエステル並びにこれらの水素化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。適切に、上記樹脂の2つ以上の混合物を、いくつかの実施形態で使用してよい。
【0025】
適切に、他の実施形態では、ロジンは非修飾又は修飾ロジンであり得る。ロジンを修飾する多くの異なる方法がある。例えば、ロジンをエステル化することができる。いくつかの実施形態では、ロジンは、樹脂酸のグリセロール、ペンタエリスリトール又はトリエチレングリコールエステルである。適切に、他の実施形態では、複数のヒドロキシル基を含むいずれもの低分子量化合物を使用して、ロジンエステルを生成することができるだろう。
【0026】
本発明の水性樹脂分散体に適したロジン樹脂としては、樹脂酸及びロジン誘導体が挙げられる。樹脂酸は、樹木、ゴム又はタル油ロジンから生産される。ウッドロジンは、樹木の切り株から収穫される。ガムロジンは、中国及びブラジルなどの領域において樹木の樹液から収集される。タル油ロジンは、クラフト紙プロセスの副産物である。樹脂酸異性体の分布は、これらの供給源の各々の中で異なる。樹脂酸は、部分的又は完全水素化又は不均化されていてよい。
【0027】
ロジン誘導体を、樹脂酸から二量体化又は重合してよい。ロジン誘導体としては、樹脂酸と単一又は多官能性アルコールとの反応生成物であるロジンエステルも挙げられる。ロジンエステルの合成に適した芳香族及び脂肪族アルコールとしては、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリエチレングリコール及びメタノールが挙げられるが、これらに限定されない。ロジン誘導体を、フェノール、マレイン酸、フマル酸又は他の適切な極性化合物を用いて修飾してよい。樹脂酸は、部分的又は完全水素化又は不均化されていてよい。
【0028】
ロジン樹脂は、約10℃~約150℃の範囲の環球式軟化点を特徴とし、300~10,000g/molの分子量を有し得る。より詳細には、樹脂は、約10℃~約100℃の軟化点の範囲にあり、300~3,000g/molの分子量を有する。
【0029】
本発明に適したロジン樹脂分散体は、20~80%の樹脂、好ましくは30~70%の樹脂、より好ましくは40~60%の樹脂を含むロジン樹脂の水性分散体から成る。
【0030】
組成物は、ロジンの代替物として又はロジンに加えてデンプン誘導体を含んでよい。本発明のデンプン誘導体は、特に、デンプン及び関連高分子炭水化物を表す。
【0031】
その例としては、デンプン、及びデキストリン(シクロデキストリンを含む)、及びマルトデキストリンが挙げられる。
【0032】
デンプンは、トウモロコシ(corn)/トウモロコシ(maize)、イネ、タピオカ、及びジャガイモを含む植物源由来であってよい。これに限定されないが、加水分解、エステル化、エーテル化、架橋、グラフト化、酸化及びアセチル化又はこれらの組合せを含む化学的/物理的方法により修飾されたこれらの植物源から得られたデンプンの誘導体も本明細書において考慮される。ワックス状トウモロコシデンプン、レジスタントスターチ及び他のデンプンなど、育種及び遺伝学により修飾されたデンプンも含まれる。
【0033】
本発明の基礎として使用されるデンプンは、いずれかの天然源由来であってよい。天然デンプンは、自然に見られるようなものである。交雑育種、転座、転化、形質転換又は遺伝子若しくは染色体工学の他の方法を含む標準的育種技術により得られた植物由来のデンプンも適している。加えて、人為突然変異から生育された植物及び変異育種の公知標準的方法により産生され得る上記一般的組成物の変化形由来のデンプンも適切である。
【0034】
デンプン及び小麦粉のための典型的な供給源は、穀物、塊茎、豆果及び果実である。天然源は、トウモロコシ、エンドウマメ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、イネ、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ、モロコシ、及びこれらのワックス状又は高アミロース品種であり得る。
【0035】
ワックスは、生分解性又は非高分子であると示される場合、天然ワックス、又はミネラル若しくは合成ワックスから成る群から選択され得る。好ましくは、ワックスは、カルナウバロウ、ミツロウ、ヒマワリワックス、ダイズ油ワックス、米ぬかワックス、ラノリンワックス、サトウキビロウ、ヤシロウ、又は他の植物ロウ、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレラート)(PHBV)ワックス、ステアリン酸カルシウム、又はポリ乳酸(PLA)ワックスから成る群から選択される。
【0036】
2つ以上のワックスの混合物は、本発明の薄膜コーティング組成物中に存在することも可能である。好ましい実施形態では、ワックスは、植物ロウから成る群から選択される。ワックスを、アニオン性分散体/エマルジョン、非イオン性ワックス分散体/エマルジョン又はカチオン性ワックス分散体/エマルジョンであり得るワックスの分散体又はエマルジョン生成物として使用する。最も好ましくは、ワックスは、アニオン性又は非イオン性分散体/エマルジョン体であり得る。カチオン性ワックスの分散体/エマルジョンは、薄膜コーティング組成物をアニオンで安定化された活性成分と配合する場合、凝結問題を生じる可能性がある。
【0037】
薄膜コーティング組成物及び/又は種子コーティング組成物は、必要に応じて他の成分も含んでよい。これらの他の成分は:
・カーボンブラック;タルク;珪藻土;カオリン;ステアリン酸アルミニウム、カルシウム又はマグネシウム;トリポリリン酸ナトリウム;四ホウ酸ナトリウム;硫酸ナトリウム;ケイ酸ナトリウム、アルミニウム及び混合ナトリウム-アルミニウム;並びに安息香酸ナトリウムなどの希釈剤、吸収剤又は担体、
・界面活性剤、水に膨潤する物質、例えば、カルボキシメチルセルロース、コロジオン、ポリビニルピロリドン及び結晶セルロース膨潤剤;酢酸ナトリウム又はカリウム、炭酸、重炭酸又はセスキ炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム及びリン酸水素二カリウムなどの塩などの崩壊剤;
・アルコールエトキシ化物及びアルコールエトキシ化物/プロポキシ化物湿潤剤などの湿潤剤;
・スルホン酸化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物及びポリアクリル骨格上にキャッピングされたポリエチレングリコール側鎖を有する櫛形共重合体などのアクリル共重合体などの分散剤;
・消泡剤、例えば、ポリシロキサン消泡剤、通常、製剤の0.005重量%~10重量%;
・市販水可溶性若しくは混和性ゴム、例えば、キサンタンガム、及び/若しくはセルロース性物質、例えば、カルボキシ-メチル、エチル若しくはプロピルセルロースなどの粘度調整剤;並びに/又は
・アスコルビン酸、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ソルビン酸、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸、例えば、安息香酸及び4-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、プロピオン酸、例えば、プロピオン酸ナトリウム、フェノール、例えば、ナトリウム2-フェニルフェナートなどの有機酸、若しくはそのエステル若しくは塩;又はホルムアルデヒドそれ自体若しくはパラホルムアルデヒドとして;又は硫酸及びその塩などの無機物質、通常、製剤の0.01重量%~1重量%の量、
・顔料濃縮物、エフェクト顔料及び真珠箔顔料
を含むものから選択され得る。
【0038】
種子コーティング組成物中の水の量は、組成物の総重量に対して、適切に85重量%未満、好ましくは80重量%未満、より好ましくは75重量%未満、特に35~70重量%の範囲、特に45~65重量%である。
【0039】
本発明の薄膜及び/又は種子コーティング組成物は、種子上に被覆された場合に審美的影響を提供するように機能する1つ以上の必要に応じて使用される顔料を含んでもよい。顔料は、好ましくは無機物質であり、例えば、当技術分野において公知のエフェクト顔料及び/又は着色顔料であってよい。
【0040】
適切なエフェクト顔料の例としては、異なる粒径の真珠箔顔料が挙げられる。60μm以下の粒径、又は15μm以下の粒径を有するエフェクト顔料を使用してよい。エフェクト顔料の粒径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。通常、エフェクト顔料の粒径は、1μm以上である。別のエフェクト顔料は、アルミニウムであり得る。エフェクト顔料を使用して、種子に魅力的な装飾外観を作ることができる。
【0041】
着色顔料の例としては、顔料赤112(CAS番号6535-46-2)、顔料赤2(CAS番号6041-94-7)、顔料赤48:2(CAS番号7023-61-2)、顔料青15:3(CAS番号147-14-8)、顔料緑36(CAS番号14302-13-7)、顔料緑7(CAS番号1328-53-6)、顔料黄74(CAS番号6358-31-2)、顔料橙5(CAS番号3468-63-1)、顔料紫23(CAS番号6358-30-1)、顔料黒7(CAS番号97793 37 8)、及び顔料白6(CAS番号98084-96-9)が挙げられる。着色顔料の粒径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。通常、着色顔料の粒径は、25μm以上である。
【0042】
アントラキノン、トリフェニルメタン、フタロシアニン、その誘導体、及びジアゾニウム塩などの染料を、着色顔料に加えて、又は着色顔料の代替物として使用してよい。
【0043】
薄膜及び/又は種子コーティング組成物中の顔料の量は、存在する場合、組成物の総重量に対して、適切に0.1~15重量%、好ましくは1.0~8.0重量%、より好ましくは2.0~5.0重量%、特に2.5~3.5重量%、特に2.8~3.2重量%の範囲である。
【0044】
本発明の種子コーティング組成物は、湿潤剤、分散剤及び/又は乳化剤などの表面活性剤を含んでもよい。表面活性剤は、プレブレンド及び種子コーティング組成物中にワックス及び/又は顔料粒子の混合/乳化/分散の助けとなり得る。
【0045】
本発明の種子コーティング組成物は、溶媒、増粘剤、消泡剤、防腐剤、及びスリップ添加剤から選択される1つ以上など、更なる成分を含んでよい。
【0046】
適切な増粘剤としては、寒天、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、キチン、フコイダン、ガッチ(ghatti)、アラビアゴム、カラヤ、ラミナラン、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギニン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、ジウタン(diutan)ゴム、及びトラガント、ベントナイト粘土、HEUR(疎水的に修飾されたエトキシ化ウレタン)増粘剤、HASE(疎水的に修飾されたアルカリ膨潤性エマルジョン)増粘剤及びポリアクリレートが挙げられる。ゴムは、概して、その低コスト、入手可能なこと及び得られた被覆薄膜の物理特性を増強する優れた能力が理由で好ましい。
【0047】
適切な消泡剤の例としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、鉱油脱泡剤、シリコーン脱泡剤、及び非シリコーン脱泡剤(ポリエーテル、ポリアクリレートなど)、ジメチルポリシロキサン(シリコーン油)、アリールアルキル修飾ポリシロキサン、ヒュームドシリカを含むポリエーテルシロキサン共重合体が挙げられる。消泡剤は、種子コーティング組成物の総重量に対して、重量基準で少なくとも1ppm、又は0.1~0.3重量%の量で種子コーティング組成物のいくつかの実施形態において存在してよい。
【0048】
種子コーティング組成物は、水以外の1つ以上の溶媒を更に含んでよい。溶媒は、アルコール、及び炭化水素から成る群から選択され得る。溶媒の混合物を使用することもできる。溶媒は、20℃、1気圧において液体である。適切な溶媒の例としては、グリコール及びそのエステル並びにエーテル、特に、エチレン及びプロピレングリコール並びにそのエステル並びにエーテル、例えば、モノエーテル及びジアルキルエーテルを含むメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル及びフェニルエーテルなどのC1~C6アルキル基及び/又は芳香族基を有するエステル及びエーテル、並びにこれらのエーテルの酢酸エステルなどのエステル、並びに、例えば、脂肪酸のエチレン及びプロピレングリコールエステル;ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール及びそのエステル、特に脂肪酸とのエステル;ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ポリエチレングリコール;N-メチルピロリドン、グリセリン、エタノール、プロパノール及びブタノールなどの10個以下の炭素原子を有するアルキルアルコールが挙げられる。溶媒の他の例としては、ジプロピレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。重要な溶媒は、エチレングリコールである。更なる例としては、プロピレン四量体及び乳酸エステル、特に乳酸エチルなどの合成エステル並びに安息香酸エステル、例えば、安息香酸iso-プロピル又は2-エチルヘキシルが挙げられる。キシレン、脂肪族及びパラフィン系溶媒並びに植物油などの芳香族炭化水素を、溶媒として使用することもできる。芳香族溶媒は、あまり好ましくない。
【0049】
種子コーティング組成物は、界面活性剤又は不凍剤など、可塑化効果を有する成分を含んでもよい。通常の界面活性剤としては、通常、末端として分岐、直鎖又は芳香族炭化水素、フルオロカーボン又はシロキサン鎖及び親水性基を含む両親媒性有機化合物が挙げられる。界面活性剤のいくつかの種類としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両親媒性界面活性剤、並びに有機シリコーン及び有機フッ素界面活性剤が挙げられる。界面活性剤のいくつかの例としては、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシプロピレンエーテル及びエステル、特に、そのアルキル、アリール及びアルキルアリールエーテル、並びにかかるエーテルの硫酸、リン酸及びスルホン酸化合物、グルコシド(アルキル)エーテル、アルキル及び脂肪酸エステルなどのグリセロールエステル、ソルビタン(アルキル)エステル、アセチレン化合物、コカミド化合物、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールのブロック共重合体が挙げられる。界面活性剤の更なる例としては、アルキルアミン塩及びアルキル第四級アンモニウム塩、例えば、ベタイン型界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤;並びに多価(polyhedric)アルコール、脂肪酸エステル、特に、C12~C18脂肪酸、ポリグリセリンの例では、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びショ糖、多価アルコールアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、並びに脂肪アルコールエトキシレート、ポリエトキシ化牛脂アミン及びアルキルフェノールエトキシレートなどのプロポキシ化及びエトキシ化化合物が挙げられる。アニオン性界面活性剤のいくつかの例としては、カルボン酸、カルボン酸、スルホネート、スルホン酸化合物及びホスホネート、例えば、スルホン酸リグニン及び(直鎖)アルキルアリールスルホネートの共重合体が挙げられる。
【0050】
不凍剤としては、例えば:エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、好ましいグリコールは、エチレングリコール及びプロピレングリコールである。
【0051】
殺生物剤は、貯蔵する場合など、種子に塗布する前に種子コーティング組成物の有効期間を延長するため、例えば、防腐剤として種子コーティング組成物のいくつかの実施形態に含むことができる。適切な殺生物剤の例としては、MIT(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン;CAS番号2682 20-4)、BIT(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン;CAS番号2632-33-5)、CIT(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、ブロノポール(2-ブロモ-2-ニトロ-プロパン-1,3-ジオール)及び/又はこれらの組合せが挙げられる。
【0052】
種子コーティング組成物は、1つ以上の生物活性成分(植物増強剤、特に、植物保護製品(PPPとも呼ぶ))を含んでよい。活性成分の適切な例、特に植物増強剤は、殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤、線虫駆除薬、殺軟体動物薬、生物学的製剤、殺ダニ剤(acaricides)又は殺ダニ剤(miticides)、農薬(pesticides)、及び殺生物剤である。更なる可能性ある活性成分としては、消毒薬、微生物、げっ歯類駆除剤、除草剤(weed killers)(除草剤(herbicides))、誘引剤、(鳥)忌避剤、植物成長調節剤(ジベレリン酸、オーキシン又はサイトカイニンなど)、栄養素(硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄キレート剤など)、植物ホルモン、ミネラル、植物抽出物、発芽刺激剤、フェロモン、生物製剤、その他が挙げられる。
【0053】
適用される活性成分量は、活性成分の種類及び使用される種子の種類に、もちろん強力に依存する。しかしながら、通常、1つ以上の活性成分の量は、種子のkg当たり0.001~200gの範囲である。当業者は、活性成分及び使用される種子の種類に応じて活性成分の適切な量を決定することができる。当業者が、使用並びに技術データシート及び/又は以下の推奨基準を用いることによってなど、活性成分供給者(例えば、BASF、Bayer、Syngenta、Corteva、その他)のアドバイスに従うことは慣例である。
【0054】
典型的な殺真菌剤としては、カプタン((N-トリクロロメチル)チオ-4-シクロヘキサン-1,2-ジカルキシイミド)、チラム テトラメチルチオペルオキシジカルボニックジアミド(Proseed(商標)として市販されている)、メタラキシル(メチル N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(メトキシアセチル)-d,l-アラニネート)、フルジオキソニル(4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル)-1H-ピロール-3-カルボニトリル;Maxim(商標)XLとしてメフェノキサムとの配合物で市販されている)、ジフェノコナゾール(Dividend(商標)3FSとして市販されている)、カルベンダジムイプロジオン(Rovral(商標)として市販されている)、イプコナゾール(ArystaからRanconaとして市販されている)、メフェノキサム(Apron(商標)XLとして市販されている)、テブコナゾール、カルボキシン、チアベンダゾール、アゾキシストロビン、プロクロラズ、プロチオコナゾール(BayerからRedigoとして市販されている)、セダキサン(SyngentaからVibranceとして市販されている)、シモキサニル(1-(2-シアノ-2-メトキシイミノアセチル)-3-エチルウレア)、フルジオキソニル、SyngentaからWakilとして市販されているメタラキシル、シモキサニル及びフルジオキソニルの混合物、並びにオキサジキシル(N-(2,6-ジメチルフェニル)-2-メトキシ-N-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)アセトアミド)が挙げられる。殺真菌剤は、被覆種子の総重量に対して0.0001~10%の量で種子コーティング組成物中に含まれ得る。
【0055】
典型的な殺虫剤としては、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン酸系殺虫剤、カラモイルオキシム系殺虫剤、ピラゾール系殺虫剤、アミジン系殺虫剤、ハロゲン化炭化水素、ネオニコチノイド系殺虫剤、及びカルバメート系殺虫剤並びにこれらの誘導体が挙げられる。殺虫剤の特に適切な分類としては、有機リン酸系殺虫剤、フェニルピラゾール系殺虫剤及びピレスロイド系殺虫剤が挙げられる。好ましい殺虫剤は、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、クロルエトキシホス、テフルトリン、カルボフラン、イミダクロプリド、及びテブピリムホスとして知られているものである。市販殺虫剤としては、イミダクロプリド(Gaucho(商標)として市販されている)、及びクロチアニジン(BASFからPoncho(商標)として市販されている)、チアメトキサム(SyngentaからCruiser(商標)として市販されている)、チアクロプリド(BayerからSonidoとして市販されている)、シペルメトリン(ArystaからLangis(商標)として市販されている)、メチオカルブ(BayerからMesurolとして市販されている)、フィプロニル(BASFからRegent(商標)として市販されている)、クロラントラニリプロール(リナキシピルとしても知られている、5-ブロモ-N-[4-クロロ-2-メチル-6-(メチルカルバモイル)フェニル]-2-(3-クロロピリジン-2-イル)ピラゾール-3-カルボキサミド、CortevaからLumivia(商標)として市販されている)及びシアントラニリプロール(サイアジピルとしても知られている、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジル)-4’-シアノ-2’-メチル-6’-(メチルカルバモイル)ピラゾール-5-カルボキサミド)が挙げられる。
【0056】
市販線虫駆除薬としては、アバメクチン(SyngentaからAvicta(商標)として市販されている)、チオジカルブ(BayerからAeris(商標)として市販されている)が挙げられる。
【0057】
典型的殺軟体動物薬としては、メタアルデヒド(LonzaからMeta(商標)として市販されている)又はニクロサミド(BayerからBayluscide(商標)として市販されている)、サイアジピル及びリナキシピル(Cortevaから市販されている)が挙げられる。
【0058】
適切な生物学的製剤の例としては、桿菌、トリコデルマ、根粒菌(窒素固定のため)及び同様のものが挙げられ、これらは、植物を保護並びに/又はこれらの健康及び/若しくは生産能力を増強するための種子処理物質として特定された。
【0059】
これらのリストは、包括的ではなく、新規活性成分は継続的に開発されており、薄膜及び/又は種子コーティング組成物中に組み込むことができる。
【0060】
栄養素は、農薬活性物質に加えて、又は農薬活性物質の代わりに存在してよい。かかる製剤形態では、栄養素は、通常、乾燥体である。
【0061】
栄養素は、好ましくは、固形栄養素であってよい。本発明では、固形栄養素は、その融点が約20℃(標準圧において)以上である物質を意味すると理解されるものとする。固形栄養素としては、更に、不溶性栄養成分、すなわち、その水不溶性は、かなりの固形分が添加後濃縮物中に存在するほどである栄養成分が挙げられるだろう。
【0062】
栄養素は、植物成長を促進又は改良するために望まれる又は必要である化学元素及び化合物を表す。適切な栄養素は、概して、多量養素又は微量要素として記載される。本発明による濃縮物において使用するための適切な栄養素は、全ての栄養化合物である。
【0063】
微量要素は、通常、微量金属又は微量元素を表し、より低用量で適用されることが多い。適切な微量要素としては、亜鉛、ホウ素、塩素、銅、鉄、モリブデン、及びマンガンから選択される微量元素が挙げられる。微量要素は、可溶性の形態であってもよく、不溶性固体として含まれていてもよく、塩又はキレート化されていてよい。
【0064】
多量養素は、通常、窒素、リン、及びカリウムを含むものを表し、硫酸アンモニウムなどの肥料、及び水質調節剤を含む。適切な多量養素は、肥料及び他の窒素、リン、カリウム、カルシウム、マンガン、硫黄含有化合物、及び水質調節剤を含む。
【0065】
適切な肥料としては、窒素、リン、カリウム又は硫黄などの栄養素を提供する無機肥料が挙げられる。肥料は、比較的低濃度の希釈液剤中又は、非常に高レベルにおいて液剤と同様に固形肥料を含み得るより濃縮された液剤として含まれていてよい。
【0066】
栄養素を含むことは、特定の栄養素に依存することになる、及び微量要素は通常より低濃度で含まれることになるが、多量養素は通常より高濃度で含まれることになると想定される。
【0067】
バイオスティミュラントは、呼吸、光合成、核酸取込み、イオン取込み、栄養素送達、又はこれらの組合せなど代謝過程又は生理的過程を増強し得る。バイオスティミュラントの非限定的例としては、海草抽出物(例えば、アスコフィラム・ノドサム)、フミン酸(例えば、フミン酸カリウム)、フルボ酸、ミオイノシトール、グリシン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0068】
ロジン樹脂は、薄膜コーティング組成物の総重量に対して、2重量%~30重量%、好ましくは、4重量%~25重量%、より好ましくは5重量%~22重量%の範囲の濃度において薄膜コーティング組成物中に適切に存在する。
【0069】
本発明によれば、前記薄膜コーティング組成物は、薄膜コーティング組成物の総重量に対して1~40重量の量で、好ましくは2~30重量%の量で、より好ましくは3~20重量%、更に好ましくは4~15重量%の量で、デンプン誘導体を含むことができる。
【0070】
ワックスは、コーティング組成物の総重量に対して、0.5重量%~30重量%、好ましくは、1.0重量%~25重量%、より好ましくは1.5重量%~22重量%の範囲の濃度において薄膜コーティング組成物中に適切に存在する。
【0071】
薄膜コーティング組成物中のワックスに対するロジン樹脂又はデンプンの重量比は、概して1.5:1~0.5~1、より通常1.3:1~0.7:1、特に1.1:1~0.9:1であってよい。
【0072】
本発明の特定の利点は、薄膜及び得られた種子コーティング組成物は、マイクロプラスチック及び/又はマイクロプラスチック粒子を含まない又は実質的に含まない可能性があることであり得る。
【0073】
本願で使用されるとき、用語「マイクロプラスチック」及び「マイクロプラスチック粒子」は、添加剤若しくは他の物質を添加した可能性があり、粒子の1%(重量/重量)超が、1nm~5nmの径、又は繊維について、3nm~15nmの長さ及び3より大きい径に対する長さの比を有する固体高分子含有粒子から成る物質を特に表すことを意図される。前記高分子は、天然であり、化学修飾(加水分解以外)されていないものは含まれず、生分解性である高分子を含まないこととなる。
【0074】
好ましくは、薄膜及び得られた種子コーティング組成物は、組成物の総重量に対して、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、更に好ましくは2重量%未満、なお更に好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満のマイクロプラスチック及び/又はマイクロプラスチック粒子を含む。特に好ましい実施形態では、薄膜及び得られた種子コーティング組成物は、いずれのマイクロプラスチック粒子も含まない可能性がある。
【0075】
コーティングとしては、当技術分野において公知のコーティング技術が挙げられる。本発明は、前記コーティング形式の全てに適用すると想定される。
【0076】
本発明の薄膜コーティング組成物を、次に種子又は鱗茎に塗布される種子コーティング組成物を作製するために他の成分と共に希釈してスラリーに形成することができる。
【0077】
本発明の種子コーティング組成物を、従来の方法で種子に塗布してよい。
【0078】
種子を下塗りしてもよく、下塗りしなくてもよい(発芽率を改良するための処理、例えば、オスモプライミング処理、ハイドロプライミング処理、マトリックスプライミング処理に付す)。
【0079】
好ましくは、種子コーティング組成物を、液体組成物及び/又はエマルジョン及び/又は分散液及び/又はラテックス組成物として塗布し、その後、固化(硬化及び/又は乾燥を含む)して種子コーティングを形成する。本願で使用されるとき、用語「液体コーティング組成物」は、懸濁液、エマルジョン、及び/又は分散液、好ましくは分散液の形態でコーティング組成物を含むことを意図される。
【0080】
コーティングの従来手段を、種子のコーティングのために使用してよい。様々なコーティング機は、当業者に利用可能である。いくつかの周知の技術としては、ドラムコーターの使用、流動床技術、ロータリーコーター(統合乾燥を備える及び備えない)、及び噴流層が挙げられる。適切に、種子コーティング組成物を、ロータリーコーター、ロータリードライコーター、パンコーター又は連続式処理装置によって種子に塗布する。
【0081】
典型的には、種子に塗布される種子コーティング組成物の量は、種子1kg当たり乾燥重量0.1~200g、好ましくは種子1kg当たり乾燥重量0.15~150g、より好ましくは種子1kg当たり乾燥重量0.25~100gの範囲であり得る。
【0082】
種子コーティング組成物を、例えば、種子コーティング組成物を薄膜塗布、噴霧塗布、浸漬塗布、又はブラシ塗布することによって塗布することができる。必要に応じて、25℃~50℃、例えば、5℃~35℃、より頻繁には15℃~30℃の温度、例えば、18℃~25℃など、室温において塗布する。好ましくは、種子コーティング組成物を、薄膜塗布によって種子に塗布する。薄膜コーティングは、種子上に液体コーティング組成物の噴霧によって適切に塗布してよいが、典型的には、種子は塗布装置に落下させるか又は塗布装置内に流す。好ましくは、方法は、薄膜コーティング組成物の形態で種子コーティング組成物を塗布するための種子の薄膜塗布を含む。
【0083】
好ましくは、方法は、種子コーティング組成物を塗布して薄膜又は種子コーティング層を形成することを含む。
【0084】
種子コーティング組成物を、種子に対する乾燥コーティング層の比が、適切に重量基準で0.001~20:1、好ましくは0.05~10:1、より好ましくは0.01~1.0:1、特に0.05~0.5:1、特に0.1~0.2:1の範囲であるように、種子に適切に塗布する。
【0085】
種子コーティングは、通常、種子表面に固着した透湿性コーティングを形成することを含む。プロセスは、通常、定植前に種子に液体種子コーティング組成物を塗布することを含む。
【0086】
追加の薄膜コート層を、必要に応じて、本発明のコーティング層の上部にわたって塗布して、これに限定されないが、装飾、被覆、活性、栄養素、及び迅速乾燥、種子流動性、耐久性及び同様のものなど加工改良を含む追加の利点を提供してよい。
【0087】
コーティングは、良好なダストオフ及び耐摩耗性を提供し、それにより、種子の移動中に生成されるダストを低減し、コーティングロスの低減により組み込もうとする活性物質の量を減らすことを可能とする。
【0088】
種子コーティング組成物は、種子の全域でより均一であるコーティング、及び良好な薄膜形成性を提供し、添加された薄膜形成剤を必要としない。コーティングは、良好な接着性を有する強靱で柔軟なコーティングであることも分かっている。
【0089】
コーティングは、更に、被覆種子に対し良好な湿式及び乾式流動性を提供する。この結果、種子を袋詰にして、後で使用又は直ぐに使用するように販売することができ、貯蔵中に種子がくっつくことになるほど種子が湿っていない。
【0090】
本発明の形成されたコーティングは、取扱いの容易性及び被覆しようとするいずれの種子にも塗布することを可能とする所望の粘度も提供する。
【0091】
コーティングは、良好なダストオフ及び耐摩耗性を提供し、それにより、種子の移動中に生成されるダストを低減し、コーティングロスの低減により組み込もうとする活性物質の量を減らすことも提供する。
【0092】
コーティングは、良好な保色性、それにより、種子のコーティング及び加工中の顔料ロスの低減を提供する。
【0093】
本明細書に記載されている特徴の全てを、いずれの組合せでも、上記態様のいずれとも組み合わせてよい。
【実施例】
【0094】
本発明をより容易に理解し得るために、実施例によって以下の説明を参照する。
【0095】
本明細書において別段に指定されない限り、又は参照される試験方法及び手順において別段に指定されない限り、列挙された全ての試験及び物理的特性を、大気圧及び室温(すなわち、25℃)において決定した。
【0096】
ロジンをベースとする製剤
バインダー及びワックス添加剤を取り除いた市販薄膜外皮製剤Disco AG Red L-350を基礎として、薄膜コート製剤A~Cを、表1及び2に従って調製した。10.5重量%の殺真菌剤(SyngentaからMaxim Quattro(商標))及び89.5重量%の殺虫剤(SyngentaからCruiser(商標)350FS)から成るPPP(植物保護製品)カクテルを使用した。420gのTSW(千粒重)を有するトウモロコシ種子を、42.5重量%PPPカクテル、17.7重量%薄膜コート製剤及び39.8重量%水のスラリーで被覆し;塗布速度は、10.3g/種子kgであり、その結果、種子1kg当たり1.83g薄膜コート製剤を塗布した。参照サンプルを、種子1kg当たり1.83g薄膜コートの同じ投与量において塗布された市販薄膜コート製剤Disco AG Red L-350を基礎として同じスラリーでトウモロコシ種子を被覆することによって調製した。
【0097】
【0098】
【0099】
ダストオフ及び摩耗結果
注意深く処理されない場合、活性物質及び他の増強剤で被覆された種子は、大量の種子の取扱い及び加工中有害レベルのダストをもたらす。薄膜コーティングの主要な目的の1つは、種子上に活性物質を保持し、操作中のダストを低減することである。
【0100】
薄膜コートで処理されたトウモロコシ種子に関するダストデータを、以下の工業規格によって得た。100グラムの種子を、二通り繰り返して2分ヒューバッハ試験を行い、結果を平均して、100,000種子当たりのダストオフの総量を得た。トウモロコシ種子の摩耗を、25rpmの速度においてPharmaTest PTF20E脆弱性ドラム回転で10分の摩耗試験後に目視観察した。摩耗スコアは、業界における取扱い条件を密接にシミュレートするこの摩耗試験を行った後、種子品質の可視的定量化である。
【0101】
摩耗スコアを、0(高耐摩耗性/高品質種子)から5(低耐摩耗性/低品質種子)まで割り当てた。湿式摩耗スコアを決定するための新たに被覆された種子及び乾式摩耗スコアを決定するための1週間乾燥後の被覆種子に対して試験を行う。
【0102】
表3は、トウモロコシで試験された異なる薄膜コート製剤についてのダスト(単位 g/100,000種子)、並びに10分の摩耗試験後に決定された摩耗スコア(0:高耐摩耗性;5:低耐摩耗性)を示す。これらの結果は、新規組成物はトウモロコシのダスト及び摩耗値両方の優れた低減を可能とすることを示す。
【0103】
【0104】
湿式及び乾式流動性
処理/被覆種子の流動性は、農場において種蒔機を通過させるのと同様に種子処理施設においても重要である。種子間の摩擦が低いほど、様々な段階における効率は良くなる。典型的には、PPP及び従来の薄膜コートの種子への添加は、種子の流動性をかなり低下させ、これは、所望の特性ではない。フロー剤又はスリップ剤を薄膜コート製剤に組み込むことによって、これを改良することができる。フロー剤は、通常、摩擦を低下させ、種子の外観を改善するワックス系添加剤である。
【0105】
処理された種子の流動性を試験するため、1kgの種子を、40mm径の栓を装備した漏斗に入れる。栓を開き、同時にタイマーを開始する。種子の湿式及び乾式流動性を、湿式流動性のため塗布直後に行った10回測定の平均及び乾式流動性のため塗布後24時間における種子に行った5回測定の平均をとることによって、漏斗中を全部の種子が流れるのにかかる時間に対して測定した。
【0106】
g/秒で表される流動性を、次式によって算出する:流動性(単位 g/秒)=種子重量(単位 g)/平均時間(秒)。種子が漏斗内で詰まった場合、ハンマーで装置を打ち、湿式及び乾式流動性測定両方について詰まりの平均回数を算出した。結果を表4に示し、本発明による被覆種子の流動性を示す。
【0107】
【0108】
植付け適性
種子の植付け適性を、トウモロコシディスク、8km/時の速度及び18インチ真空を使用して、Meter Max Ultraユニットを用いて測定した。シンギュレーション(%で表される)は、規則的間隔で正確に植え付けられる種子のパーセンテージに対応する。スキップ事象は、植付けスポットがない回数(1,000種子当たり)に対応し、重複事象は、いくつかの種子は同じスポットに植え付けられる回数(1,000種子当たり)に対応する。表5に収集した結果は、市販製品Disco AG Red L-350に対して新規薄膜コート組成物の優れた植付け適性を実証する。
【0109】
【0110】
デンプンをベースとする製剤
バインダー及びワックス添加剤を取り除いた市販薄膜外皮製剤Disco AG Blue L-570を基礎として、薄膜コート製剤D~Fを、表6及び7に従って調製した。38.2重量%の殺真菌剤Apron XL(商標)(Syngentaから)及び61.8重量%の殺真菌剤Maxim XL(商標)(Syngentaから)から成るPPPカクテルをしようした。62.5gのTSWを有するヒマワリ種子を、37.4重量%PPPカクテル、40.4重量%薄膜コート製剤及び22.2重量%水のスラリーで被覆し;塗布速度は、22.5g/種子kgであり、その結果、種子1kg当たり9.10g薄膜コート製剤を塗布した。参照サンプルを、種子1kg当たり9.10g薄膜コートの同じ投与量において塗布された市販薄膜コート製剤Disco AG Blue L-570を基礎として同じスラリーでヒマワリ種子を被覆することによって調製した。
【0111】
【0112】
【0113】
ダストオフ及び摩耗結果
薄膜コートで処理されたヒマワリ種子に関するダストデータを、以下の工業規格によって得た。100グラムの種子を、二通り繰り返して2分ヒューバッハ試験を行い、結果を平均して、75,000種子当たりのダストオフの総量を得た。表8に示されている結果は、新規薄膜コートの優れたダスト制御を実証する。
【0114】
【0115】
湿式及び乾式流動性
実施例1に記載されている被覆ヒマワリ種子の湿式及び乾式流動性を測定するために、500gまで減少した試験において使用される種子の量を除いて同様なプロトコールに従った。栓の径も35mmに変更した。表9に示されている結果は、本発明によって被覆された種子の優れた流動性を例証する。
【0116】
【0117】
植付け適性
ヒマワリディスク、8km/時の速度及び12インチ真空を用いて、ヒマワリ種子の植付け適性を前述の同じ方法で測定した。これらの試験結果を含む表10は、新規薄膜コート組成物で被覆されたヒマワリ種子の植付け適性が、市販製品Disco AG Blue L-570と同じ範囲になることを示す。
【0118】
【0119】
ホウレンソウ種子コーティング
前述実施例に記載されている薄膜コート製剤B、C及びDを、ホウレンソウ種子に塗布した。10.4gのTSWを有するホウレンソウ種子を、5.6重量%殺真菌剤Maxim(商標)480FS(Syngentaから)、70.8重量%薄膜コート製剤及び23.6重量%水のスラリーで被覆し;塗布速度は、21.2g/種子kgであり、その結果、種子1kg当たり15.0g薄膜コート製剤を塗布した。参照サンプルを、種子1kg当たり15.0g薄膜コートの同じ投与量において塗布された市販薄膜コート製剤Disco Advanced Red L-773を基礎として同じスラリーでホウレンソウ種子を被覆することによって調製した。薄膜コート製剤を含まないPPPスラリーで被覆された種子の特別な試料を、発芽試験の参照として使用した。
【0120】
発芽結果
ISTA発芽試験基準に従って被覆ホウレンソウ種子に対して発芽試験を行った。表11に示されている結果は、未加工種子及び薄膜コートのない参照処理と比較して、新規コーティング組成物が種子発芽に対して悪影響を示さないことを示した。
【0121】
【0122】
イネ種子コーティング
前述実施例に記載されている薄膜コート製剤B及びCを、イネ種子に塗布した。35.1gのTSWを有するイネ種子を、27.7重量%殺虫剤Cruiser(商標)350FS(Syngentaから)、32.3重量%薄膜コート製剤及び40.0重量%水のスラリーで被覆し;塗布速度は、13.0g/種子kgであり、その結果、種子1kg当たり4.20g薄膜コート製剤を塗布した。参照サンプルを、種子1kg当たり4.20g薄膜コートの同じ投与量において塗布された市販薄膜コート製剤Disco AG Red L-529を基礎として同じスラリーでイネ種子を被覆することによって調製した。
【0123】
保色性結果
イネ種子を、通常、播種前に農地において24~48時間の期間浸漬する。この浸漬ステップの間に、種子処理ステップ中に薄膜コート又は最適以下の薄膜コートを塗布していない場合に、種子上に存在する活性成分及び/又は着色料は水に放出する可能性がある。Disco AG Red L-529の主要セールスポイントの1つは、浸漬中のイネ種子への活性成分及び着色料の優れた保持である。
【0124】
Disco AG Red L-529及び薄膜コート製剤B及びCで被覆されたイネ種子間において、ずっと優れた保色性が48時間浸漬後に観察された。薄膜コーティング製剤B及びCは、イネ種子に対して優れた保色性を可能とする。
【0125】
本発明は、上記実施形態の詳細に限定されず、ほんの一例として記載されている。多くの変化形が可能である。
【国際調査報告】