(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】センサーに導入されるガスの流れを安定させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230306BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543504
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 KR2021000582
(87)【国際公開番号】W WO2021145716
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0006792
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0137988
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522283790
【氏名又は名称】エーティーアイケイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ATIK CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1010ho, 5, Digital-ro 26-gil, Guro-gu, Seoul 08389, KR
(71)【出願人】
【識別番号】509339821
【氏名又は名称】アトナープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】ホン ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒョンシク
(72)【発明者】
【氏名】ホン ギウ
(72)【発明者】
【氏名】長尾 博文
(72)【発明者】
【氏名】三木 伸一
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004BC02
5F045EB05
5F045EG01
5F045EG07
5F045GB04
5F045GB05
5F045GB06
(57)【要約】
センサーに導入されるガスの流れを安定化するためのシステムが開示されており、このシステムは、プロセスチャンバーと、このプロセスチャンバーの内部ガスを排気するために設置されたプロセスチャンバー用の真空ポンプと、プロセスチャンバーの内部ガスをセンサー接続パイプを介して受け取り、その成分を検出できるように構成されたセンサー装置とを備えた製造装置に関連しており、このシステムは、センサー接続管と、センサー接続管から分岐して、ガスの一部をセンサーに導くことなく直接外部に排出できるようにしたバイパス管とを備え、このシステムは、さらに、この構成により、プロセスチャンバーの圧力状態の変化に関わらず、時間当たり所定範囲内でセンサー装置に内部ガスの一部を安定的に供給するように構成されている。本発明によれば、半導体デバイス製造装置等の真空が適用されるプロセスチャンバーに接続されるセンサー装置に関し、ガス流の安定化システムを、プロセスチャンバーの圧力変動によりMSの内圧が急変した場合にセンサー装置の分析値が大きく変化することによる分析値データの信頼性の低下を防止するために用いられてもよく、MSセンサー装置の耐久/寿命を向上でき、その修理/メンテナンスの必要性を低減でき、管理負担を軽くすることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置におけるセンサーガス流の安定化システムであって、
前記製造装置は、プロセスチャンバーと、前記プロセスチャンバーの内部ガスを排気するために設けられたプロセスチャンバー用の真空ポンプと、前記プロセスチャンバーの前記内部ガスを、センサー接続管を介して受け取り、要素を検出するセンサー装置とを含み、
当該センサーガス流の安定化システムは、
前記センサー接続管と、
前記プロセスチャンバーの圧力が変化しても、前記プロセスチャンバーの内部ガスの一部を前記センサー接続管を通じて、単位時間当たり所定範囲内で前記センサー装置に安定的に供給できるように、前記センサー接続管のガスの一部を前記センサー装置に入れずに外部に排出するバイパス管とを有する、システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサー接続管と前記センサー装置とはオリフィスを介して接続され、前記センサー接続管と前記センサー装置とを接続する前記オリフィスが取り付けられた部分に、前記バイパス管が接続され、前記バイパス管に前記安定化システム用の真空ポンプが取り付けられている、システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記センサー接続管内のガス圧力を測定する前記安定化システム用の真空圧力計をさらに有し、
前記安定化システム用の前記真空ポンプは、前記安定化システム用の前記真空圧力計を手動で制御できるように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記センサー接続管内のガス圧を測定する前記安定化システム用の真空圧力計と、
前記センサー接続管内の前記プロセスチャンバーの内部ガスを受け入れるための入口部に取り付けられた自動弁と、
前記安定化システム用の前記真空圧力計が検知した圧力情報を受信し、前記自動弁を介してガス流入量を調整し、さらに、前記安定化システム用の前記真空ポンプの動作を制御する制御装置とを有する、システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記自動弁は、前記安定化システム用の前記制御装置により、比例制御方式またはパルス幅制御(PWM)方式で制御される。システム。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記センサー接続管または前記自動弁には、ヒーターおよび温度センサーが設けられ、前記安定化システム用の制御装置は、前記温度センサーの温度情報を受信して前記ヒーターの動作を制御する、システム。
【請求項7】
請求項3において、
前記センサー接続管内に前記プロセスチャンバーの前記内部ガスを受け入れるための入口部に取り付けられた自動弁と、
前記安定化システム用の前記真空圧力計が感知した圧力情報を受信し、前記自動弁を介してガス流入量を調整する制御装置とを、さらに有する、システム。
【請求項8】
請求項2ないし5および7のいずれかにおいて、
前記センサー接続管、前記バイパス管、および前記センサー装置は、1つの分岐アダプタの3つの分岐にそれぞれ接続されており、
前記オリフィスは、前記分岐アダプタと前記センサー装置とを接続する分岐に取り付けられている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造に関連する装置に関し、より具体的には、プロセス状態を検知するセンサー装置に付加して、プロセスチャンバーからセンサー装置に流すガス量(ガス流量)を適正な値に安定させるセンサーガス流の安定化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や表示装置などの製造装置は、様々な製造工程に対応するために、様々な条件に適合するように構成されている。このようなプロセスでは、PVDやCVDなどのディポジション(成膜)工程、ドライエッチング工程などのエッチング工程などが、低圧の真空環境下で行われる。
【0003】
このような環境では、成膜やエッチングの程度が、半導体デバイスが完成した後の性能に直結する。このため、非常に精密に制御する必要があり、時間、温度、供給するソースガスの量など、ほぼすべての要素が精密に制御される。
【0004】
また、プロセスの完了時間を感知したり、他のプロセスの重要な状態や時間的なポイントを検出するために、プロセスごとに様々な種類のセンサーが使用される。
【0005】
センサーの中には、プロセスチャンバー自体に設けられるものもあれば、プロセスチャンバー以外の空間に設けられるものもある。この場合、プロセスチャンバーで行われるプロセスの状態を感知するために検出すべき対象要素をセンサーに転送する必要がある。
【0006】
図1は、従来の半導体デバイス製造装置において、プロセスチャンバーと、プロセスチャンバーをセンシングするセンサー装置との組み合わせを示す概念的な構成図である。
【0007】
ここでは、プロセスチャンバー(process chamber)10と、プロセスチャンバを真空にするためのターボポンプ13と、ドライポンプ14と、真空ポンプに接続され、プロセスチャンバー10の内部ガスを外部に排出するポンプ接続管15とが開示されている。なお、ドライポンプとターボポンプとの組み合わせは、真空ポンプの一例であり、他の種類や構成の真空ポンプも可能である。
【0008】
参照数字11は残留ガス分析器(residual gas analyzer)11を示し、P1はプロセスチャンバーの真空圧力計を示す。上記各構成機器で感知された情報がプロセスガス制御システム(Process gas control system)40に入力されると、プロセスガス制御システムは、3つのガス供給源A、B、Cからの配管に取り付けられたマスフローコントローラ(MFC)50が取り付けられている配管の制御弁に制御信号を与え、プロセスチャンバーに導入するガス比率と流量を制御する。
【0009】
プロセスチャンバー10には、内部ガスを排出して内部空間を高真空に維持するためのターボ分子ポンプ(TMP:turbo molecular pump)13とドライポンプ14が接続され、ポンプ接続管15から接続口(port)31を介してセンサー接続管30が分岐し、内部ガスの一部がセンサー装置20に導入されるように構成されている。
【0010】
センサー装置の入口にはニードル弁(needle valve:図示せず)が取り付けられてもよく、約10-6Torrの高真空状態を維持するためにターボ分子ポンプとドライポンプを組み合わせて構成した真空ポンプと、内部の真空度または大気圧を正確に測定するための真空圧計(P2)22とがセンサー装置内に設置される。
【0011】
ここでは、センサー装置20として質量分析計(MS:mass spectrometer)が用いられる。MSには、TOF(Time of Flight、飛行時間)型、QMS(Quadrupole、四重極)型等、様々なタイプが知られている。例えば、イオン化質量分析装置(Mass Analyzer)は、試料を分けて、その試料の構成要素の情報および分子の構造の情報を取得し、分析対象物の定量分析、定性分析を行うものである。
【0012】
図2は、MSの構成を示すボックス型の概念図である。
【0013】
図2において、センサー装置20は、オリフィスやバルブ(弁)など、またはクロマトグラフィーなどの分析装置のガス流入装置(inlet system)23、イオン化装置(ion source)24、質量分析器(mass analyzer)25、検出器(detector)26を一つの包囲体(envelop)21に含んでいる。外部から試料が導入(sample in)されると、電子衝撃やレーザーの照射により試料がイオン化される。質量分析器と検出器を通して、1秒間に通過するイオン化された試料の数を測定し、検出結果データをデータシステム(data system)に転送することができる。
【0014】
以上の構成は周知であるため、センサー装置に関するこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0015】
上記構成において、センサー装置とプロセスチャンバーとが空間的に接続され、センサー装置でプロセスチャンバー内のガス分析を行うことで、プロセスの進行状況の確認、プロセスの終了時点測定(EPD:end point detection)、副産物発生の監視などを行い、プロセスの分析により、注入する原料ガスの量、比率、時間などを制御し、プロセス改善や時間短縮などの効果を得ることができる。
【0016】
しかしながら、このような構成では、プロセスの状況に応じてプロセスチャンバー内が急変すると、センサー装置であるMSの入口に導入される対象試料の流入速度が大きく変化する可能性がある。
【0017】
すなわち、一般的にプロセスチャンバーのプロセス中の圧力は10-5Torrまたはそれ以上であり、MS内部の真空度または圧力は5×10-5~5×10-6Torr程度に変化する。プロセスチャンバーがMSよりも低真空になり圧力が高くなると、センサー装置の入口への試料(プロセスチャンバーの内部ガス)の流入量がセンサーの分析量の上昇を上回り、パイプライン(プロセスチャンバーとセンサー装置との接続管)に滞留現象が発生する可能性がある。一方、プロセスチャンバーがMSより高真空になり圧力が低下すると、試料の流入量が低下し、センサーの分析量も低下する。このため、プロセスチャンバー内で逆流現象を起こし、プロセスチャンバーに対して粒子源(particle source)として作用する可能性がある。そのため、対策が必要である。
【0018】
したがって、プロセスチャンバーの圧力とセンサー装置の内圧は同程度に保たれて、プロセスチャンバーの圧力がセンサー装置の内圧より若干高いことが好ましい。しかしながら、プロセスチャンバーの圧力は、ガス等の流入量により急激に変化する。
【0019】
MSセンサー装置の測定値や測定データの信頼性を高めるために、センサー装置と、センサー装置の入口に接続されたプロセスチャンバーとの間の、配管空間の圧力を一定に維持することが望ましい。
【発明の概要】
【技術的課題】
【0020】
そこで、本発明は、関連技術で生じる上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の製造装置に付加されるセンサー装置の内圧がプロセスチャンバーの圧力変化に応じて急激に変化しても、センサーの分析値が大きく変化したり、分析値のデータの信頼性が低下することを防止できるガス流の安定化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明によれば、センサーガス流の安定化システムが提供される。
【0022】
製造装置におけるセンサーガス流の安定化システムであって、製造装置は、プロセスチャンバーと、プロセスチャンバーの内部ガスを排気するために設けられたプロセスチャンバー用の真空ポンプと、プロセスチャンバーの内部ガスを、センサー接続管(センサー接続パイプ)を介して受け取り、要素を検出するセンサー装置とを含み、当該センサーガス流の安定化システムは、センサー接続管と、センサー接続管に配置される部品、例えば、センサー接続管からセンサー装置に導入せずに、そのガスの一部を外部に排出するバイパス管とを有し、プロセスチャンバーの圧力が変化しても、プロセスチャンバーの内部ガスの一部を、単位時間当たり所定範囲内でセンサー装置に安定的に供給できるようにする、システムである。
【0023】
本発明の実施形態に係るセンサーガス流の安定化システムは、センサー接続管と、センサー装置とセンサー接続管とを接続するオリフィスと、オリフィスとセンサー接続管とが接続される部分においてセンサー接続管と接続されるバイパス管(バイパスパイプ)とを含む。
【0024】
この例では、センサー接続管、バイパス管、およびセンサー装置は、スプリッタアダプタ(分岐アダプタ、分配アダプタ)の3つの分岐とそれぞれ接続されてもよい。この例では、3つの分岐のうち、センサー装置とスプリッタアダプタとを接続する分岐に、オリフィスが固定または交換可能に取り付けられてもよい。
【0025】
この例では、センサー接続管に真空圧力計を設けてもよく、バイパス管に安定化システム用の真空ポンプとして手動操作の真空ポンプが含まれていてもよい。
【0026】
この例において、本発明の実施形態によるセンサーガス流の安定化システムは、ガス流を制御または抑制するための弁(バルブ)をさらに含み、この弁は、センサー接続管上のバイパス管に取り付けられた安定化システム用の真空ポンプの前側、またはオリフィスの前側に配置される。ここで、「前側」とは、ガス流の前部が管内を通過する部分を意味する。
【0027】
本発明の一実施形態によるセンサーガス流の安定化システムは、分割構造(分離された構造)を含む。分割構造は、センサー接続管に装着されて圧力を測定する真空圧力計と、バイパス管と、パイプに装着された真空ポンプと、バイパス管に装着された制御弁と、真空圧力計の圧力を感知して制御弁を制御するコントローラとを含んでもよい。
【0028】
このとき、制御弁は、コントローラによって比例制御方式やPWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)制御方式で制御することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるセンサーガス流の安定化システムは、例えば、真空が印加されたプロセスチャンバーと接続されたセンサー装置であるMSの内圧がプロセスチャンバーの圧力変化に応じて急激に変化する間にセンサーの分析値が大きく変化したり、センサー装置がプロセスチャンバーの現在の状態を感知するのが遅れることによる分析値データの信頼性の低下といった問題状況を防止することが可能である。
【0030】
本発明に係るセンサーガス流の安定化システムは、MSセンサー装置の寿命を延ばし、メンテナンスの必要性を低減することでメンテナンス(管理)の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、従来の半導体デバイス製造装置における、プロセスチャンバーとプロセスチャンバーをセンシングするセンサー装置との組み合わせを示す概念図である。
【0032】
【
図2】
図2は、センサー装置としてのMSを説明するための概念図である。
【0033】
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るガス流安定化システムおよびその周辺の構成を示す概念図である。
【0034】
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態に係るガス流安定化システムおよびその周辺の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に係る半導体デバイス製造装置のセンサーガス流(ガス流量)の安定化システムおよびその周辺部品を示す概念図である。
【0037】
従来の半導体デバイス製造装置の安定化システムと比較して、本発明の実施形態による安定化システムは、プロセスチャンバー100とセンサー装置200とをポートを介して連結するセンサー接続管300の端部に形成されたオリフィス230と、オリフィスが形成された部分に取り付けられたバイパス管315と、バイパス管に取り付けられた手動操作可能なドライポンプ330とをさらに含む。操作者は、それぞれの位置に取り付けられた真空圧力計を監視しながら、ドライポンプ330とそれに取り付けられた弁を介してガスの流れや流量を制御することができる。本発明の実施形態による安定化システムは、安定化システム用のドライポンプ330の前側に装着された制御弁320と、センサー接続管のオリフィスに近い部分に装着された制御弁325とをさらに含んでもよい。
【0038】
ここで、安定化システム(装置)用のドライポンプ330の入口は、オリフィス230が取り付けられたパイプの部分を介してセンサー接続管(パイプ)300に接続され、ドライポンプの出口は、センサー装置の出口とともにプロセスチャンバー100に結合されたプロセスチャンバー用の真空ポンプ140の排気側のプロセスチャンバー真空ライン150に接続されて、装置の真空ライン160にガスを排出させることができる。
【0039】
また、図面には明示されていないが、センサー接続管、バイパス管、およびセンサー装置を、スプリッタアダプタ(分配装置)の3つの分岐(branch)にそれぞれ接続してもよく、この例では、3つの分岐のうちスプリッタアダプタとセンサ装置とを接続する1つの分岐にオリフィスを固定または交換可能に装着してもよい。
【0040】
センサー接続パイプ(センサー接続管)300に空間的に接続された安定化システム用のドライポンプ330は、センサー装置(MS)200に流入しなかった残留ガスを、センサー接続管300から除去(排気)する。オリフィス230は、センサー装置200の入口のパイプに取り付けられており、パイプ内のセンサー装置200に導入される気体の流量を均一に制御するようにする。
【0041】
このような構成によれば、本発明は、プロセスチャンバー100の圧力変化に起因するデータの歪みや、センサー接続管300のデッドスペース(dead space (死空間)、dead volume(デッドボリューム、死容積))に起因するデータの遅延を防止することができる。
【0042】
本実施形態は、先行技術に比べ、センサー装置200の安定性を維持することができる。しかしながら、安定化システム用のドライポンプ330をオペレータが手動で制御するため、オリフィスを交換する際に、プロセスチャンバー100の圧力条件に応じてオリフィス230の大きさを調整する必要があり、プロセスチャンバー100の圧力急変に迅速に対処することが困難であった。
【0043】
もちろん、オリフィス230の代わりにセンサー装置200の入口に調整可能なニードル弁(図示せず)を取り付ければ、そのような不都合を軽減できるが、それでも迅速に対応するためには不十分である。
【0044】
図4は、プロセスチャンバー100とセンサー装置200との間のセンサー接続管400に、ガス流(ガス流量)の安定化システムとして分散された構成(分散構造、分割構造)を装着する実施形態を示す図である。
【0045】
ここで、
図3に例示したバイパス管およびドライポンプ330を有するガス流の安定化システムに代えて、自動制御型のガス流の安定化システムが設置される。このガス流の安定化システムは、プロセスチャンバー100のガスがセンサー接続管400に導入されるポートに取り付けられた第1の自動弁451および第2の自動弁452を含み、第1の自動弁451は遮断(shutdown)機能を果たすオン/オフ弁であり、第2の自動弁452は流量制御弁または圧力制御弁である。第1の自動弁および第2の自動弁は、真空圧力計(P2)420の感知信号を受信する安定化システムのコントローラ(制御装置)440によって制御される。
【0046】
このガス流の安定化システムは、オリフィス230の近傍部分でセンサー接続管400から分岐する分岐管またはバイパス管415に装着された安定化システム用のドライポンプ430と、バイパス管415に装着された第3の自動弁453とをさらに含む。安定化システム用のドライポンプ430の出口は、
図3に示すように、センサー装置200の出口とともに、プロセスチャンバー100に結合されたプロセスチャンバー用の真空ポンプ140の排気(背面)側でプロセスチャンバー真空ライン150に接続されており、これにより装置の真空ライン160にガスが排出されるようになっている。第3の自動弁および安定化システム用のドライポンプ430は、安定化システムのコントローラ440が安定化システム用の真空圧力計(P2)420の感知信号を受けることによって制御してもよい。
【0047】
一方、安定化システムのコントローラ(制御装置)440は、
図4に示すように、オペレータインタフェース460に接続され、遠隔地にいるオペレータによって制御されてもよく、遠隔制御(remote control)を可能にすることができる。
【0048】
さらに、安定化システムのコントローラ440は、タイマーと相互作用するスケジューラ(scheduler)機能を有し、予め入力されたプログラムによって動作するようにしてもよい。この例では、安定化システムのコントローラ440は機器を制御し、予め予約した時間に安定化システムの弁(バルブ)や真空ポンプなどの安定化システムの構成要素を動作・停止させることができ、センサー装置MSとの間で信号を送受信してセンサー装置と連動できるため、安定化システムのコントローラ440の動作を所定の時間に開始・停止することが可能である。
【0049】
例えば、安定化システムのコントローラは、オペレータがMSと分散された構成とを同時に遠隔制御することができ、また、スケジューラ機能により所定の時間にオン/オフ弁451および自動弁452を開いてチャンバーガスが供給されるときのみMSに測定を行わせ、さらに、これらの弁を完全に閉じてMSの測定を停止させることが可能である。
【0050】
以上の構成により、本発明によるガス流安定化システムは、プロセスチャンバー内のプロセス圧の変化にかかわらず、試料ガスがMSに均一に導入されるように自動的に制御することができる。
【0051】
センサー装置の入口には、オリフィスまたは定量弁が設けられており、センサー装置に流入するガスの量を均一に制御する。さらに、本発明によるガス流の安定化システムは、サンプルライン(配管)から、その配管に接続された分岐管と、分岐管に取り付けられたドライポンプとを用いて、センサー装置に導入されない残留ガスを排気し、データの遅れを防止することができる。
【0052】
また、接続配管に取り付けられた安定化システムの真空圧力計は、圧力値を常にコントローラに伝え、コントローラは、プロセスチャンバーの圧力に関わらず、接続配管内の圧力が一定に維持されるように各自動弁を制御する。
【0053】
自動制御される弁(バルブ)について、さらに詳細に説明する。自動制御弁は、従来から用いられているALDバルブ(atomic layer deposition valve、原子層蒸着弁)であってもよく、微小流量を制御可能な比例制御弁であってもよい。
【0054】
ALDバルブは従来から使用されているため、既製品の採用が容易であり、システム構築が比較的容易である。このような自動弁は、パルス幅制御(PWM:Pulse Width Modulation)回路を含むことができる。このようなPWM制御の場合、コントローラは、配管のドライポンプの前側の圧力(配管内圧力)を受け、フィードバックにより自動弁の開閉周期を決定する。
【0055】
しかしながら、ALDバルブは10ヘルツ以下での圧力減衰が激しく、バルブの寿命が著しく短く、構成が大きく複雑であるという欠点がある。
【0056】
一方、比例制御弁は、流量制御弁としての定量弁(metering valve)と、定量弁の流量を自動制御するためのサーバーアクチュエータを含んでもよい。また、比例制御弁は、ALDバルブと同様に真空度を測定するための真空圧力計を含んでもよい。
【0057】
この比例制御弁は、開閉動作によって開閉量をリニア(線形)に制御するため、圧力ダンピング現象が発生せず、実績のある定量弁を用いて安定した制御ができ、弁本体と同じ寿命であるため寿命が短くならず、取り付けのために加熱してもよい。しかしながら、この新しい比例制御弁を構成するためには、比例制御弁に適したコントローラの組み合わせを開発する必要がある。
【0058】
さらに、本発明の実施形態に係るガス流の安定化システムは、これらの実施形態における構成に加えて、接続管または弁に取り付けられたヒートジャケット(heat jacket)または他の種類のヒーターを含んでもよく、接続管および分散した構成の温度を制御することにより、プロセスの副産物が管内に堆積することを防ぎ、空間の温度変化による圧力変化によってセンサー装置の分析値(測定値または感知値)が変化することを防止できるようにしてもよい。
【0059】
この例では、コントローラは、このヒーターを介してパイプの温度を制御することもできる。この場合、温度センサーがオリフィス、接続管(パイプ)の入口の弁、またはセンサー装置に取り付けられ、接続管内、接続管に接続された部品内、または接続管内のガスの温度をコントローラで転送する。
【0060】
次に、自動制御に必要な安定化システムの制御装置(コントローラ)について、さらに詳細に説明する。制御装置は、ガス流安定化システムの全ての構成要素を自動制御するように構成されているか、または、一部の限定された構成要素を自動制御し、一部の構成要素を手動制御するように構成されている。制御装置は、センサー接続管からの圧力情報を受けて、プロセスチャンバーからのガス導入量を制御するための自動弁を自動制御してもよく、バイパス管に取り付けられた真空ポンプまたは真空ポンプに取り付けられた弁を手動で制御するようにしてもよい。
【0061】
制御装置は、自動弁制御機能とヒーター制御機能とを有していてもよく、ヒーター制御は温度制御機能として認識されてもよい。さらに、制御装置は、配管と組み合わせた真空ポンプであるドライポンプをオン/オフ方式で制御することも可能である。
【0062】
制御装置は、上記各構成要素を直接制御するためのコンピュータであってもよく、既存のコンピュータと組み合わせて、コンピュータを介して制御信号を伝達することにより上記各構成要素を制御するようにしてもよい。もちろん、この場合、コンピュータには、制御装置からの信号を受信して、各構成要素を制御する信号を生成・送信するためのソフトウェアであるプログラムが含まれていることが必要である。
【0063】
限定された実施形態を通じて本発明を説明したが、これは本開示の全体的な理解を助けるためにのみ提供され、本開示は例示的な実施形態に限定されるものではない。本開示が属する技術分野の当業者には、本説明から様々な修正および変更がなされ得ることが理解されよう。
【0064】
したがって、本発明の技術的思想および範囲から逸脱することなく、そこに様々な変更、修正および等価物を作成することができ、そのような変更、修正および等価物は本発明の請求の範囲に属することが当業者には理解されよう。
【国際調査報告】