IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェッター ゲーエムベーハ―の特許一覧

<>
  • 特表-移動式安全装置 図1
  • 特表-移動式安全装置 図2
  • 特表-移動式安全装置 図3
  • 特表-移動式安全装置 図4
  • 特表-移動式安全装置 図5
  • 特表-移動式安全装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】移動式安全装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 1/02 20060101AFI20230306BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230306BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230306BHJP
   B64C 19/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A62B1/02
B64C39/02
B64C27/08
B64C19/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543507
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2020050882
(87)【国際公開番号】W WO2021144016
(87)【国際公開日】2021-07-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186915
【氏名又は名称】フェッター ゲーエムベーハ―
【氏名又は名称原語表記】VETTER GMBH
【住所又は居所原語表記】Blatzheimer Str.10-12,53909 Zulpich(DE)
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ザオアービーア、カーステン
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184AA01
2E184BB06
2E184CC23
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、落下の危険がある1またはそれ以上の人を救助するための移動式安全装置(1)であって、落下の危険がある人を受け止めて搬送するための、好ましくはジャンピングクッション、ジャンピングシート、プラットフォーム、ベースプレート、またはストレッチャーの形状の支持装置(2)と、前記支持装置(2)を前記落下の危険がある人の場所に局所的に配置するための位置調整装置(3)とを備え、前記位置調整装置(3)として、少なくとも一つの遠隔操作型無人ドローン(4a、4b、4c、4d)が設けられていることを特徴とする移動式安全装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下の危険がある1またはそれ以上の人を救助するための移動式安全装置であって、
前記落下の危険がある人を受け止めて搬送するための、ジャンピングクッション、ジャンピングシート、プラットフォーム、ベースプレート、またはストレッチャーの形状の支持装置と、
前記支持装置を前記落下の危険がある人の場所に局所的に配置するための位置調整装置とを備え、
前記位置調整装置として、少なくとも一つの遠隔操作型無人ドローンが設けられていることを特徴とする移動式安全装置。
【請求項2】
複数のドローンが設けられている、請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記ドローンは、前記支持装置のエッジ領域、および/または、コーナー領域にそれぞれ接続されている、請求項1または2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのドローンは、前記支持装置の上方に配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の安全装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのドローンは、前記支持装置の下方に配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の安全装置。
【請求項6】
前記ドローンは、飛行位置、および/または、飛行動作において互いに同期している、請求項2~5のいずれかに記載の安全装置。
【請求項7】
前記安全装置は、一つまたは複数のカメラを有するカメラシステムを備える、請求項1~6のいずれかに記載の安全装置。
【請求項8】
前記カメラシステムのデータは、リアルタイムで、レシーバー、または基地局に送信される、請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記安全装置は、一つまたは複数のセンサーを有する環境検出センサーシステムを一つ以上備える、請求項1~8のいずれかに記載の安全装置。
【請求項10】
前記安全装置の前記環境検出センサーシステムは、一つまたは複数の距離センサーである、請求項9に記載の安全装置。
【請求項11】
前記環境検出センサーシステムは、一つまたは複数の要救助者動作センサーである、請求項9に記載の安全装置。
【請求項12】
前記安全装置の位置は、決定された前記要救助者のジャンプ経路または落下軌道と一致する、請求項11に記載の安全装置。
【請求項13】
前記センサーシステムは、一つまたは複数の支持装置傾きセンサーである、請求項9に記載の安全装置。
【請求項14】
前記支持装置と少なくとも一つの遠隔操作型無人ドローンとの前記位置調整装置による接続は剛性である、請求項1~13のいずれかに記載の安全装置。
【請求項15】
前記支持装置と少なくとも一つの遠隔操作型無人ドローンとの前記位置調整装置による接続は柔性である、請求項1~4、および、請求項6~13のいずれかに記載の安全装置。
【請求項16】
前記支持装置は少なくとも部分的に気流を通過させる、請求項1~15のいずれかに記載の安全装置。
【請求項17】
前記支持装置にジャンピングクッションが配置されている、請求項1~16のいずれかに記載の安全装置。
【請求項18】
前記支持装置は剛性である、請求項1~16のいずれかに記載の安全装置。
【請求項19】
前記安全装置は、アプリを介して、コンピューター、または、タブレット型コンピューターにより制御可能である、請求項1~18のいずれかに記載の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、落下の危険がある人々を救助するための、請求項1のプリアンブルに記載の移動式安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
落下の危険がある人々を救助するための救助作業に、ジャンピングクッションが用いられている。特に、要救助者の救助高さが回転はしご車の最大救助高さを上回る時や、はしご車が救助現場に辿り着けない等の理由で回転はしご車を利用できない場合に、ジャンピングクッションの使用が適切である。ジャンピングクッションは、圧縮空気ボトルまたは圧縮機を用いて、例えば超過圧力が約0.3に達するまで膨らまされる。ジャンピングクッションを設置して要救助者がジャンピングクッションにジャンプすると、ジャンピングクッションは、要救助者が飛び込むにつれて、急速に環境と均圧になり、要救助者は緩やかに失速する。一方で、要救助者の救助高さは、ジャンピングクッションの制限要因になる。飛び降りる高さが高ければ高いほど、ジャンピングクッションはより大きな運動エネルギーを吸収するため、より大きな寸法が必要になる。ジャンピングクッションの現在の最大許容救助高さは、60mである。
【0003】
救助高さが高くなるほど、要救助者から見てジャンピングクッションは非常に小さく映り、要救助者がジャンプしたときに、ジャンピングクッションに適切に着地できなかったり、全く着地できなかったりする危険性が増す。要救助者が重症を負ったり衝撃で致命傷を負ったりする致命的な結果を招き得る。また、要救助者がジャンピングクッションから投げ出されると、救助隊員の安全性リスクも非常に高くなる。したがって、ジャンピングクッションを適切な位置に配置することが特に重要であるが、これは救助高さが高くなるほど困難である。加えて、重量の大きさから、膨らんだ状態のジャンピングクッションの位置変えには困難が付きまとい、素早い反応の妨げになっている。さらに、救助クッションの設置及び撤去には、数名が必要である。
【0004】
CN205814896号は、落下の危険がある人々を救助するための自動無人移動式安全装置を開示している。この安全装置は、位置調整装置に装着されたジャンピングクッションを備えている。安全装置の移動は、地面全方向の自由な移動を可能にする、特別に設計された車輪を用いて実現される。さらに前記安全装置には、落下する人の軌道を決定するドップラーレーダーユニットが設けられている。安全装置を要救助者の軌道上に操縦すべく、決定されたデータを用いて安全装置を正確かつ迅速に位置調整し、要救助者をジャンピングクッションで安全に受け止める。
【0005】
ジャンピングクッションが自動無人移動式シャーシに装着されている別の安全装置がCN107346141号から公知である。この自動安全装置は双眼システムを用いて要救助者の軌道を認識し、特別に設計された車輪で軌道上に移動する。同時に、送風器が作動して、ジャンピングクッションが膨らむ。これにより、要救助者を安全装置によって安全に受け止めることができる。
【0006】
双方の文献において、移動式安全装置の移動は地上でのみ可能であるため、システムの有用性は大きく制限されている。加えて、前記移動式安全装置は、起伏の多い地形、例えば森林または亀裂の入った地域では使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】CN205814896号
【特許文献2】CN107346141号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、非常に高い救助高さから落下する危険がある人々の救助を可能にする安全装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、請求項1の特徴により達成される。従属クレームに好適な実施形態が記載されている。
【0010】
本発明によると、少なくとも一つのドローンが、移動式安全装置の位置調整装置として設けられている。前記ドローンは、落下の危険がある人を受け止めるための支持装置に接続されている。支持装置は、好ましくは一辺が開放された柵で囲まれていることが好ましい。したがって、支持装置は、特に一辺が横方向に開放されたバスケット形、または、上側が開放されたコンテナ形に設計することができる。これは、要救助者が移動式安全装置に容易にアクセスできるという利点がある。特に、移動式安全装置を要救助者のすぐ傍まで操縦できない環境の場合、要救助者は一定の距離、および/または、高さから安全装置にジャンプできる可能性もある。安全装置は、3次元空間において、自由に配置することができる。したがって、安全装置は、より高いところ、特に、ジャンピングクッションの許容ジャンプ高さを超える高さからから落下する危険がある人々を救助することもできる。安全装置は、基地局から制御可能であり、必要に応じて一人で操作することもできる。その結果、従来のジャンピングクッションと比較して必要となる人員を削減できるため、救助活動の間、救助隊員は別の作業を行うことができる。さらに、安全装置は、特に起伏の多い地形においても使用することができる。
【0011】
複数のドローンを用いて安全装置を配置できると便利である。その結果、特に困難な状況下での乱気流の場合、例えば局所熱(例えばビル火災)によって発達した非対称な気流が増加している場合、および/または、偏荷重(例えば片側に飛び乗ることによる偏荷重)の場合、および/または、不均一な荷重分布の場合であっても、非常に高い飛行安定性、および/または、反応性を達成することもできる。この場合、4つ以上、特に好ましくは6つ以上のドローンを設けることが好ましい。
【0012】
ドローンは、支持装置のエッジ領域、および/または、コーナー領域に接続できることが好ましい。
【0013】
少なくとも一つまたは複数のドローンは、支持装置の上方に配置されていると特に便利である。
【0014】
本発明の別の実施形態において、少なくとも一つまたは複数のドローンは、支持装置の下方に配置されている。
【0015】
これらのドローンは、安全装置の軌道を水平にし、かつ、素早く応答できるように飛行位置および飛行動作において互いに同期できることが有利である。これにより、特に、正確な制御が可能になり、安全装置の位置調整が容易になる。
【0016】
本発明の便利な一実施形態において、安全装置は、少なくとも一つのカメラを有するカメラシステムを備える。これにより、作業に関する画像を送信することができる。更に、基地局のオペレータは、必要に応じて、直接目視せずとも安全装置を制御することもできる。本実施形態の別の利点は、救助高さが非常に高い場合であっても、安全装置はカメラシステムを介して正確に制御且つ配置されることである。不正確な位置調整やその結果起こり得る深刻な事故を最小限にすることができる。
【0017】
好ましくは、データは、カメラシステムからレシーバー、好ましくは基地局にリアルタイムで送信することができる。
【0018】
安全装置は、好ましくは環境検出センサーシステムを備えており、このセンサーシステムは、少なくとも一つ、好ましくは複数のセンサーを含む。
【0019】
センサーシステムに距離センサーが設けられることにより、安全装置の周辺領域における物体、例えば木、および/または、建物に対する望ましい距離が、安全装置によって好ましくは自動的に維持される。これにより、安全装置の操縦性が大幅に簡素化される。加えて、安全装置を好ましくは自動的に、正確に、例えば窓から一定の距離に配置することができるため、要救助者はその距離またはギャップを介して、救助場所に制限されることなく容易に安全装置に到達することができる。
【0020】
動作検出システムは、要救助者のジャンプ経路または落下軌道を自動的に検出して安全装置の位置を継続的に修正または調整するシステムであり、センサーシステムとして特に適している。例えば、LIDAR(ライダー)、レーダー、および/または、超音波システムは、動作検出システムとして適している。その結果、安全装置の位置は、決定された要救助者のジャンプ経路または落下軌道に自動的に調整され、これにより、安全装置にジャンプした要救助者を安全に受け止めて、深刻な事故を防ぐことができる。
【0021】
さらに、センサーシステムには、飛行高度、および/または、要救助者の位置(例えば作業高さ、および/または、距離)を確認するためのセンサーが一つ以上設けられていてもよい。
【0022】
安全装置に傾き検出センサーシステムを設けられることにより、安全装置を常に水平に調整し、例えば偏荷重や熱気流の影響によって生じる傾斜も、標的を定めた単一または複数のドローン操作によって打ち消すことができるという利点がある。
【0023】
本発明のさらなる実施形態において、位置調整装置によるドローンと支持装置との接続を剛性にすることで、支持装置にドローンの動きを直接伝達する。プラスチック、繊維複合体、または金属、特に軽金属で作られた剛性接続要素を用いることが好ましい。
【0024】
本発明の別の実施形態において、位置調整装置によるドローンと支持装置との接続を柔性にすることで、ドローンの支持装置に対する位置調整または動作をある程度自由にすることができる。柔性接続は、例えばケーブルであっても、チェーンであってもよい。
【0025】
安全装置の支持装置は少なくとも部分的に気流を通過させるため、ドローンの空力的揚力をサポートし、ドローンの効率を向上させる。さらに、ビル火災の熱現象によって発生し得る熱気流が、支持装置の位置安定性に及ぼす影響を低減する。
【0026】
従来のジャンピングクッションは支持装置に配置されているため、要救助者のすぐ傍に安全装置を配置できない状況で救助を行う可能性もある。本発明の安全装置は、要救助者の下方の、程よい「中間高さ」に配置することができる。従って、従来のジャンピングクッションとは異なり、要救助者がジャンプする高さを大幅に削減することができる。これにより、救助のジャンプの際に要救助者が負傷する危険性も減少する。ジャンプ高さを低くすることで、要救助者のジャンプに対する抵抗感も弱まる。
【0027】
シート材料および枠材料として、プラスチック(好ましくはPVC)、繊維複合体、または金属、特に軽金属を用いることが好ましい。
【0028】
さらなる実施形態において、支持装置は剛性に設計されていてもよい。その結果、要救助者は非常に簡単に支持装置に「のぼる」ことができる。
【0029】
必要に応じて、支持装置は、ストレッチャーとして設計されてもよい。
【0030】
安全装置は、コンピューター、好ましくはタブレット型コンピューターを用いて、特に地上から制御可能であることが特に有利である。制御は、コンピューターにダウンロードされたダウンロード可能なアプリを介して行われることが好ましい。制御データは、中央、例えばコンピュータークラウドに蓄積することができる。中央に蓄積されたデータは、他のデータベースからの位置データ、および/または、環境データ、および/または、気象データと関連付けることができる。このように、追加的なデータを安全装置の制御に含めることができる。
【0031】
安全装置は、閉鎖された筐体またはシャーシを有さないことが好ましい。これにより、妨げがなく、支持装置に自由にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1(a)は、本発明の第1の実施形態にかかる安全装置の模式的斜視図である。図1(b)は、別の支持装置を示す模式的斜視図である。図1(c)は、更に別の支持装置を示す模式的斜視図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態にかかる安全装置の模式的斜視図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態にかかる安全装置の模式的斜視図である。
図4図4は、本発明の第4の実施形態にかかる安全装置の模式的斜視図である。
図5図5(a)は、安全装置のドローンの機能要素及び安全装置を制御するための基地局の機能要素を示す例示図である。図5(b)は、タブレット型コンピューター形状の基地局の模式図である。
図6図6は、図1の実施形態の安全装置を用いた場合の、本発明にかかる安全装置の使用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の有利な実施形態をより詳しく説明する。明確性の観点から、繰り返しの特徴には一つの参照符号が付されている。
【0034】
図1の参照符号1は、本発明の一実施形態にかかる移動式安全装置全体を示す。移動式安全装置1は、平らな、例えば正方形の、ベースプレート形状の支持装置2を備える。矩形の代わりに、支持装置2は別の幾何学的形状を有していてもよく、例えば、円形、長円形、又は多角形であってもよい。
【0035】
支持装置2は、例えば4つの位置調整装置3によって支持されており、各位置調整装置3は、一つの無人ドローン4a~dと、それに付随する一つの接続要素20とを備える。接続要素20は、対応するドローン4a~dを支持装置2に好ましくは支持装置2のエッジ領域、および/または、コーナー領域で接続する。
【0036】
図1に示されたタイプでは、ドローン4a~dは支持装置2の上方に配置されている。ドローン4a~dは、飛行において安全装置1が1またはそれ以上の人を搬送できるように設計されている。ドローン4a~dは、動作において互いに同期していることが有利である。安全装置1は、安全装置として、周囲に柵21が設けられていてもよい。支持装置2にアクセスできるように、安全装置1の一辺の全体または少なくとも一部に柵21を設けない構造としてもよい。柵21は、建造物における窓柵または扉柵と同様に、支持装置2から特定の高さで上方に向かって延びている。柵21は、例えば格子構造として形成されてもよい。
【0037】
安全装置1には、カメラシステムが設けられていてもよい。カメラシステムは、データを好ましくはリアルタイムで基地局8a(図6参照)に送信するカメラ18を一つ以上備える。カメラシステムは、基地局8aエリアにおける安全装置1の実際の操作環境を好ましくはリアルタイムでマッピングすることを可能にする。
【0038】
更に、安全装置1には、安全装置1の位置調整を可能にするセンサーシステムが設けられていてもよい。図1(a)に示されたセンサーシステムは、さまざまなセンサーを備える。
【0039】
これらのセンサーとしては、例えば、安全装置1の周囲(例えば家壁)からの距離を計測できる距離センサー19aがある(図6を参照)。その結果、例えば、自動維持すべき最小距離を設定することができる。生成された距離データは、例えば、基地局8aに送信され、コントローラーをサポートする。
【0040】
さらに、センサーシステムには、動作センサー19bを一つ以上備えた動作検出システムが設けられていてもよい。動作検出システムは、要救助者(図6を参照)が安全装置に飛び乗る際に、安全装置1の位置を調整するのに特に適している。その結果、要救助者5を安全に受け止めることができる。
【0041】
さらに、支持装置2の傾きを確認するために、センサーシステムには、傾きセンサー19cを一つ以上備えた傾き検出システムが設けられていてもよい。その結果、特に、偏荷重の状態であっても、支持装置2を確実に水平位置に調整することができる。上記センサーシステムのセンサーは、支持装置2の上、および/もしくは、内部並びに/または、ドローン4a~dの上に配置され得る。
【0042】
さらに、センサーシステムには、飛行高度、および/または、要救助者の位置(例えば作業高さ、および/または、距離)を確認するためのセンサーが一つ以上設けられていてもよい。
【0043】
図1(b)に別の実施形態にかかる支持装置2を示す。この場合、支持装置2は、気流を部分的に通過させる。このタイプでは、支持装置2のコーナーに気流流路30が設けられている。ドローン4a~dによって発生した気流は、これらの流路を通過することができる。その結果、ドローン4a~dの空力的特性が向上し、ドローンはより効率的に動作する。気流流路30は、例えばグリッド又はネットであってもよい。接続要素20は、グリット、または、例えば支柱若しくはロッド(図1(b)に図示なし)によって支持装置2に接続されることが好ましい。これにより、ドローン4a~dは気流流路30の上方に配置される。
【0044】
図1(c)に、更に別の実施形態にかかる支持装置2を示す。ここで、支持装置2は気流を完全に通過させる。気流を完全に通過させる支持装置2を用いた場合、ドローン4a~dによって発生した気流は、より一層効率的に支持装置2を通過する。特に、気流を完全に通過させる支持装置2を用いた場合、ドローン4a~dは、支持装置2に対してより自由に配置される。
【0045】
図2は、別の実施形態にかかる支持装置1を示す。ここでは、支持装置2の上方に配置された単一のドローン4aが使用されている。その他については、安全装置1は、他の実施形態と同様である。ドローン4aは、数個の接続要素20を介して支持装置2に接続されている。例えば、支持装置2の柵21の各コーナーから、接続要素20をドローン4aに通す構造としてもよい。この場合、接続要素20は、剛性と柔性を兼ね備えたものであってもよい。
【0046】
図3に示された別のタイプの移動式安全装置1では、単一のドローン4aが支持装置2の下方に配置されている。その他については、安全装置1は、他の実施形態と同様である。本実施形態において、接続要素20は剛性であり、ドローン4aを支持装置2に好ましくは四隅を介して接続している。
【0047】
図4は、別のタイプの安全装置1を示す。支持装置2上に、ジャンピングクッション23が設けられている。本実施形態は、特に、安全装置を要救助者のすぐ傍に配置することができず、要救助者がジャンピングクッション23に飛び込まなければならない場合に使用することができる。例えば、要救助者5がバルコニー突出部の真下にいる場合、安全装置1は要救助者5まで辿り着くことができない。支持装置2は、ジャンピングクッション23が取り付けられる外枠22、好ましくは管状の枠、を備える。ジャンプする要救助者がドローン4a~dにぶつからないように、ドローンは、例えば別の枠要素22aを用いて、支持装置2表面よりもさらに外側に配置される。接続要素20はドローン4a~dを枠要素22aに接続する。その他については、安全装置1は他の実施形態と同様である。
【0048】
本発明にかかる安全装置1は、基地局8aを介して地上からオペレータ32によって制御される。基地局8aは、無線データ接続(無線接続)で少なくとも一つのドローン4a~dに接続されている。
【0049】
図5(a)は、オペレータ32が本発明にかかる安全装置1を制御するための、基地局8aの機能要素の設計の一例とドローン4aの一例を示す。基地局8aは、制御要素10、制御表示器12、制御装置25、および双方向データ送信を好ましくはリアルタイムで行うためのアンテナ付きトランシーバー9を備える。基地局8aの機能要素には、エネルギー源11(例えば電池または蓄電池)により、電気エネルギーが供給される。制御装置25は、基地局8aの制御機能及び計算機能を実行するプロセッサを備える。制御表示器12は、例えば図表により、安全装置1、および/または、基地局8aのさまざまなカメラデータ、および/または、センサーデータ、および/または、状況データを表示する。基地局8aは、制御要素10を活用して、安全装置1の容易な制御を可能にする。制御要素10は、ジョイスティックの形をとることが好ましい。制御コマンドは、基地局8aのトランシーバー9を介して、ドローン4aのアンテナ付きトランシーバー15に伝送される。
【0050】
ドローン4aの機能要素は、ドローンの筐体13に収容されて湿気、および/または、ほこり等の外的影響から守られていることが有利である。ドローン4aの機能要素は、電源17(例えば電池または蓄電池)、制御装置16、データインターフェース24、およびアンテナ付きトランシーバー15を含む。トランシーバー15は、ドローン4aと基地局8aとの双方向データ送信、並びに、ドローン4aと安全装置1の他のドローンとの双方向データ送信に適している。データインターフェース24は、安全装置1が含み得る種々のセンサーシステム、および/または、カメラシステムからのデータの取り込みを調整する。ドローン4aの制御装置16は、ドローン4aのローター14を制御する。ドローン4aの個々のローター14の揚力を標的制御することで、それぞれのドローンの動作を制御することができる。これにより、3次元空間における安全装置1の意図的動作が可能になる。制御装置16は、ドローンの制御コマンドを基地局8aから受信し、必要に応じてセンサーからデータインターフェース24を介して追加的に受信することが好ましい。
【0051】
安全装置1の制御中、センサーデータはリアルタイムで取り込まれ、送信されることが好ましい。ドローン4a~dと基地局8aとの双方向データ送信により、制御を即座に実行することができる。これにより、例えば、傾き検出システムがセットポイントを介して調整している安全装置1の傾きを検知した場合に安全装置1の自動飛行調整を可能にしたり、安全装置1を要救助者5の軌道上に自動操縦したりすることもできる。
【0052】
ドローン4a~dは、アプリを介して制御されることが好ましい。カメラシステムのライブ画像、および/または、種々のセンサーシステムのリアルタイムデータ、および/または、状況データ(例えば安全装置1の充電電圧や現在必要な電力)は、単一のウィンドウまたは別個のウィンドウに表示することができる。
【0053】
制御は、コンピューターにダウンロードされたダウンロード可能なアプリを介して行われることが好ましい。制御データは、中央、例えばコンピュータークラウドに蓄積することができる。中央に蓄積されたデータは、他のデータベースからの位置データ、および/または、環境データ、および/または、気象データと関連付けることができる。このように、追加的なデータを、安全装置の制御に含めることができる。
【0054】
別の実施形態において、安全装置1の中央に、ドローン4a~4dの制御装置が設けられている。
【0055】
したがって、ドローン4a~dは、推進システムのみを含むドローン4a~dであってもよい。これにより、全ての推進システムに、一つ(図示せず)の共通する制御装置、および/または、エネルギー源が供給される。
【0056】
特殊な実施形態にかかる基地局8aにおいて、図5(b)に示すように、基地局8aはコンピューター8b、好ましくはタブレット型コンピューターである。タブレット型コンピューターには、従来の多機能ディスプレイ26が搭載されており、カメラシステムのライブ画像を表示するウィンドウ29、種々のセンサーシステムのリアルタイムデータを表示するウィンドウ27、およびドローン4a~4dの状況ディスプレイ28が、少なくとも一つの指操作タッチセンサー式制御要素31によって生成されている。必要に応じて、タブレット型コンピューターは、安全装置を制御するための上述したタイプの制御要素10と連結されていてもよい。
【0057】
図1(a)の実施形態の安全装置1を用いた場合の、本発明にかかる安全装置1の適用例を図6に示す。これは、例えば、要救助者5を窓6経由でのみ救助できるビル火災の例であり得る。安全装置1は、窓6の高さに非常に近接して配置されるため、窓6と支持装置2との隙間は狭い。距離センサー19は、安全装置1が家壁7に衝突するのを防ぐ。要救助者5は安全装置に直接乗り込むことができるため、要救助者5の恐怖を緩和できるという利点がある。傾きセンサー19cは、要救助者が支持装置2に居る間、支持装置2を水平に保つ。支持装置2が気流を少なくとも部分的に通過させる限り、火災で生じた熱は、支持装置を通過することができる。
【0058】
個々の特徴および副次的な特徴の組合せもまた、本発明に必須であると見なされるべきであり、本願の開示内容に包括されるべきであることを明示する。
【符号の説明】
【0059】
1 安全装置
2 支持装置
3 位置調整装置
4a ドローン
4b ドローン
4c ドローン
4d ドローン
5 要救助者
6 窓
7 家壁
8a 基地局
8b コンピューター
9 アンテナ
10 制御要素
11 電源
12 制御表示器
13 基体
14 ローター
15 アンテナ
16 制御装置
17 電源
18 カメラシステム
19a 距離センサー
19b 動作センサー
19c 傾きセンサー
20 接続要素
21 柵
22 枠
22a 枠要素
23 ジャンピングクッション
24 データインターフェース
25 制御装置
26 ディスプレイ
27 センサーデータ
28 状況データ
29 ライブ画像
30 気流流路
31 タッチセンサー式制御要素
32 オペレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】