(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】サーマル粘土を有するボックスインボックス構造、その用途及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/02 20160101AFI20230306BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20230306BHJP
【FI】
H01M8/02
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543516
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 US2020049792
(87)【国際公開番号】W WO2021145926
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522284018
【氏名又は名称】チェン,ロン-ジエ
【氏名又は名称原語表記】CHEN, Rong-Jie
(71)【出願人】
【識別番号】522284029
【氏名又は名称】リン,チー フン
【氏名又は名称原語表記】LIN, Chih Hung
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロン-ジエ
(72)【発明者】
【氏名】リン,チー フン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126BB06
5H126GG02
5H126GG18
5H126HH01
5H126HH04
5H126JJ08
5H126JJ09
(57)【要約】
ボックスインボックス構造は、サーマル粘土、プレート、及びフィルムを含む。サーマル粘土は、ポリアリールスルホン材料を含む。サーマル粘土は第1ボックスの形態であって、少なくとも1つの側面を有するフィルムは第2ボックスの形態である。第1ボックスが第2ボックスを収容してボックスインボックス構造を形成するように、第2ボックスは、プレートの存在下において、第1ボックスに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボックスの形態であって、ポリアリールスルホン材料を有するサーマル粘土と、
プレートと、
前記第1ボックスが第2ボックスを収容し、ボックスインボックス構造を形成するように、少なくとも1つの側面を有し、前記サーマル粘土の存在下で前記第1ボックスに取り付けられる前記第2ボックスの形態であるフィルムと、を備える、ボックスインボックス構造。
【請求項2】
前記ポリアリールスルホン材料は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリフェニルスルホンからなるグループから選択される、請求項1に記載のボックスインボックス構造。
【請求項3】
前記プレートは、金属材料、フィラーおよび触媒材料を含む、請求項1に記載のボックスインボックス構造。
【請求項4】
前記フィルムは、ペルフルオロポリマー有機フィルムである、請求項1に記載のボックスインボックス構造。
【請求項5】
前記サーマル粘土は、前記第1ボックスと前記第2ボックスとの間の結合強度を、IEC68-2-21 Test Ua1に準拠して15kgf以上に維持するように、前記フィルムと前記プレートとに直接接触している、請求項1に記載のボックスインボックス構造。
【請求項6】
第1ボックスの形態であるサーマル粘土を提供することと、
少なくとも1つの側面を有し、第2ボックスの形態であるフィルムを提供することと、
前記第1ボックスが第2ボックスを収容し、第1ボックスインボックス構造を形成するように、前記第1ボックスに、プレートと前記第2ボックスとを取り付けるように、ポリアリールスルホン材料を含むサーマル粘土を塗布することと、を含む、ボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項7】
前記サーマル粘土は、熱溶解積層プリンタによって塗布される、請求項6に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項8】
前記サーマル粘土は、300℃から400℃の温度を有し、印刷されるように軟化される、請求項7に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項9】
前記サーマル粘土を別のサーマル粘土に塗布して積層し、サーマル粘土オンサーマル粘土構造を形成する、請求項7に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項10】
前記第1ボックスと前記第2ボックスとの間の界面温度は100℃から150℃である、請求項6に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項11】
第2ボックスインボックス構造を提供することと、
セルを形成するように、前記第2ボックスインボックス構造を第1ボックスインボックス構造と組み合わせることと、をさらに含む、請求項6に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項12】
前記セルは、少なくとも2つのボックスインボックス構造を有する、請求項11に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項13】
前記第1ボックスインボックス構造を形成するように、発熱溶接が実行される、請求項6に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項14】
前記セルを形成するように、インサート成形方法が使用される、請求項11に記載のボックスインボックス構造を形成する方法。
【請求項15】
燃料電池用の請求項1に記載のボックスインボックス構造。
【請求項16】
ボックスインボックス構造を形成するための熱溶解積層プリンタ用のポリアリールスルホン材料を有するサーマル粘土とフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年1月14日に出願された仮出願第62/961,152号に基づく優先権を主張する。その内容は参照によって、本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、一般的に、サーマル粘土(thermal clay)を含むボックスインボックス構造、サーマル粘土の使用、ボックスインボックス構造の使用、及びボックスインボックス構造を形成する方法に関する。特に、本発明は、燃料電池またはセルアセンブリにおける使用のために、第1ボックスに第2ボックスを取り付けるようにサーマル粘土を含むボックスインボックス構造に関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、燃料の分子に蓄えられた化学的位置エネルギを、制御された化学反応によって電流という形態で電気エネルギに変換する電子デバイスである。酸素ガスは大気中で簡単に入手できるため、燃料電池に必要なのは燃料の供給のみである。
【0004】
燃料電池には、通常、アノードと、カソードと、アノードとカソードとを隔てる膜と、酸素分子が通過するためのフィルムとが含まれる。耐薬品性や安定性に優れたペルフルオロポリマーをフィルムとして使用することもあるが、ペルフルオロポリマー固有の非粘着性質(anti-stick property)によって、金属材料との密着性が弱く、不十分な場合が多い。これは、有機ポリマーと金属材料との界面における機械的強度が不十分になることをもたらし、さらに、これは、燃料電池へのペルフルオロポリマーの適用を不利にするため、将来、より多くの及びより幅広い産業用途のために、新しい解決策を提案するとともに、優れたまたはより安定した機械的特性を有する新しい燃料電池または新しいセルアセンブリを提供することが、産業界で緊急に求められている。
【発明の概要】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、サーマル粘土を含む新規なボックスインボックス構造、有機ポリマーまたは金属材料の界面間の機械的強度を大幅に向上させるためのサーマル粘土の使用、燃料電池またはセルアセンブリにおけるボックスインボックス構造の使用、及びボックスインボックス構造を形成するための方法を提案する。ある実施の形態において、本発明は、優れたまたはより安定した機械的特性を有し、燃料電池またはセルアセンブリにおいて使用するための新規なボックスインボックス構造を提案する。
【0006】
本発明は、第1の態様において、ボックスインボックス構造を提案する。ボックスインボックス構造は、サーマル粘土と、プレートと、フィルムとを含む。サーマル粘土は、ポリアリールスルホン材料(polyarysulfone)を含む。サーマル粘土は、第1ボックスの形態であってもよい。フィルムは、少なくとも1つの側面を有していてもよい。フィルムは、ボックスインボックス構造を形成するように第1ボックスが第2ボックスを収容できるように、プレートの存在下で第1ボックスに取り付けられる第2ボックスの形態であってもよい。
【0007】
本発明の1つの実施の形態では、ポリアリールスルホン材料は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリフェニルスルホンからなるグループから選択されてもよい。
【0008】
本発明の別の実施の形態では、プレートは、ステンレス鋼、Ni、Fe、真鍮及びアルミニウム合金からなる金属グループから選択されてもよい。
【0009】
本発明の別の実施の形態では、フィルムは、ペルフルオロポリマー有機フィルムであってもよい。
【0010】
本発明の別の実施の形態では、フィルムは、第1ボックスに直接接触していてもよい。サーマル粘土は、第1ボックスと第2ボックスとの間の結合強度を、IEC68-2-21 Test Ua1に準拠して15kgf(147ニュートン)以上に維持してもよい。
【0011】
本発明は、第2の態様において、ボックスインボックス構造を形成する方法を提案する。本方法は、少なくとも以下のステップを含んでもよい。第1ボックスの形態であるサーマル粘土が提供されてもよい。少なくとも1つの側面を有し、第2ボックスの形態であるフィルムが提供されてもよい。ポリアリールスホン材料を含むサーマル粘土は、第1ボックスインボックス構造を形成するように第2ボックスが第1ボックスに収容されるように、第2ボックスを第1ボックスに取り付けるために適用されてもよい。
【0012】
本発明の1つの実施の形態では、サーマル粘土は、熱溶解積層プリンタ(fused deposition modelling printer)によって適用されてもよい。
【0013】
本発明の別の実施の形態では、サーマル粘土は、300℃から400℃の温度を有し、印刷されるように軟化されてもよい。
【0014】
本発明の別の実施の形態では、サーマル粘土を別のサーマル粘土に塗布して積層し、サーマル粘土オンサーマル粘土構造を形成してもよい。
【0015】
本発明の別の実施の形態では、第1ボックスと第2ボックスとの間の界面温度は100℃から150℃であってもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、ボックスインボックス構造を形成する方法は、以下のステップをさらに含んでもよい。フィルムで覆われる電極が提供されてもよい。プレートに電気的に接続される電気伝導性シートが提供されてもよい。プレートに接続される隔離フィルムが提供されてもよい。
【0017】
本発明の1つの実施の形態では、ボックスインボックス構造を形成する方法は、以下のステップをさらに含んでもよい。第2ボックスインボックス構造が提供されてもよい。第2ボックスインボックス構造は、セルを形成するように第1ボックスインボックス構造に接続されてもよい。
【0018】
本発明の1つの実施の形態では、セルは、少なくとも2つのボックスインボックス構造を含んでもよい。
【0019】
本発明は、第3の態様において、燃料電池に使用されるボックスインボックス構造を提案する。ボックスインボックス構造は、サーマル粘土と、フィルムと、プレートとを含み、さらに、燃料電池を形成するように隔離フィルムをさらに含む。
【0020】
本発明は、第4の態様において、ボックスインボックス構造を形成するための熱溶解積層プリンタの使用のためのポリアリールスルホン材料を含むサーマル粘土とフィルムとを提案する。
【0021】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示される好ましい実施の形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者には間違いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のボックスインボックス構造の実施の形態の上面図である。
【
図2】本発明のボックスインボックス構造の第1実施の形態の側面図である。
【
図3】本発明のサーマル粘土として使用されるポリアリールスルホン材料を示す。
【
図4】サーマル粘土オンサーマル粘土構造を形成するように、本発明のボックスインボックス構造の形成のためのサーマル粘土の適用のためにプリンタを使用する実施の形態を示す。
【
図5】本発明のボックスインボックス構造を形成する方法の実施の形態を示す。
【
図6】本発明のボックスインボックス構造を含むセル構造の分解図の実施の形態を示す。
【
図7】本発明の方法による中央モジュール構造の形成の実施の形態を示す。
【
図8】本発明の方法による第1モジュールまたは第2モジュールの形成の実施の形態を示す。
【
図9】本発明のボックスインボックス構造を含むセルのアセンブリの実施の形態を示す。
【
図10】本発明のボックスインボックス構造を含む複数のセルのセルアセンブリの実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者であれば理解できるように、電子機器メーカーは、ある部品を異なる名称で呼ぶことがある。本明細書は、名称は異なるが機能は同じである部品を区別することを意図していない。以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む」、「備える」及び「有する」という用語は、オープンエンド形式で使用され、したがって、「含むが、これに限定されない」という意味すると解釈されるべきである。ある要素又は層が他の要素又は層「の上にある」又は「接続されている」と言及される場合、他の要素又は層の直ぐ上にあってもよく又は直接接続されていてもよく、介在する要素又は層が提示されてもよい。多様な構成要素を説明するために、第1、第2、第3などの用語を使用する場合があるが、そのような構成要素は、これらの用語によって制限されない。用語は、本明細書において、構成要素と他の構成要素とを区別するためにのみ使用される。特許請求の範囲では、同じ用語が使用されない場合があり、請求項における要素の記載順序に応じて、第1、第2、第3などの用語を使用される場合がある。したがって、以下の説明における第1の構成要素は、請求項における第2の構成要素である場合がある。
【0024】
最大値および最小値内、または本発明の明細書に開示されたパラメータの組み合わせ比関係からさらに得られた数値範囲は、すべて適宜実施されてもよい。
【0025】
第1の態様における本発明は、優れたまたはより安定した機械的特性を有するボックスインボックス構造を提供する。
図1は、本発明のボックスインボックス構造の第1実施の形態の上面図を示す。
図2は、本発明のボックスインボックス構造の第1実施の形態の側面図を示す。
図1または
図2を参照して、ボックスインボックス構造100は、サーマル粘土110と、フィルム120と、一組のプレート130とを含んでもよい。ボックスインボックス構造100は、隔離フィルム140及び一組の導電シート150をさらに含んでもよい。
【0026】
サーマル粘土110は、ボックスインボックス構造100の外側ボックス、またはボックスインボックス構造100の枠として機能する第1ボックスの形態であってもよい。サーマル粘土110は、有機ポリマーの界面と金属材料の界面との間の機械的強度を向上させるために、ポリアリールスルホン材料を含んでもよい。ポリアリールスルホン材料は、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。本発明の1つの実施の形態において、ポリアリールスルホン材料は、ポリスルホン(PSF,PSU)、ポリエーテルスルホン(PES,PESU)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)及びポリフェニレンスルホン(PPSU,PPSF)からなるグループから選択されてもよい。
図3は、本発明のサーマル粘土として使用するいくつかのポリアリールスルホン材料を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0027】
フィルム120は、少なくとも1つの側面、例えば長方形状となるように4つの側面を有してもよい(
図6参照)。フィルム120は、有機ポリマー材料、例えば、ペルフルオロポリマー有機フィルムであってもよい。フィルム120は、第1ボックスが第2ボックスを収容してボックスインボックス構造100を形成するように、ボックスインボックス構造100の内側ボックスとして機能するように、長方形状において第2ボックスの形態であってもよい。フィルム120は、1つまたは複数のガスが膜を透過できるように、良好なガス透過性を有していてもよい。特に、フィルム120は、膜を通じた酸素ガスの透過を可能にしてもよい。表1は、フィルム120のいくつかの物理的特性を示す。
【0028】
【0029】
一組のプレート130は、例えば、プレート131とプレート132の2つのプレートを含んでもよい。それぞれのプレート131およびプレート132は、電気プレートまたは電極として機能するように、金属または合金などの金属材料、フィラーおよび触媒材料を含んでもよい。例えば、金属材料は、ステンレス鋼、Ni、Fe、真鍮、及びアルミニウム合金などを含んでもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。一組のプレート130は、一組のプレート130の孔にフィラーが設けられた多孔質(90~110PPI)の発泡金属電極シートを含んでもよい。フィラーは、導電性カーボンブラックを含んでもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。触媒材料は、例えばコバルトやマンガンなどの触媒金属などの化学的活性を有する金属粉末材料であってもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。一方のプレートが適切な化学的半反応のためにボックスインボックス構造100のアノードとして機能してもよく、他方のプレートが他の適切な化学的半反応のためにボックスインボックス構造100のカソードとして機能してもよい。
【0030】
フィルム120は、サーマル粘土110の存在下で、プレート130に貼り付けられてもよい。即ち、第1ボックスのサーマル粘土110は、第1ボックスと第2ボックスとの間の結合強度を維持するように、フィルム120の第2ボックスとプレート130とに直接接触してもよい。第1ボックスと第2ボックスとの間の接合強度は、IEC68-2-21 Test Ua1に準拠して15kgf以上であってもよい。
【0031】
隔離フィルム140は、隣接する2枚のプレート131/132を電気的に分離するように絶縁材料を含んでもよい。一対の導電シート150は、第1導電シート151及び第2導電シート152を含んでもよい。第1導電シート151及び第2導電シート152は、それぞれ対応するプレート131/132に電気的に接続されてもよい。第1導電シート151は、表面に絶縁処理が施されたニッケルシートであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。同様に、第2導電シート152は、表面に絶縁処理が施されたニッケルシートであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。アノードと電気的に接続される第1導電シート151は、ボックスインボックス構造100のアノード電極として機能してもよい。カソードと電気的に接続される第2導電シート152は、ボックスインボックス構造100のカソード電極として機能してもよい。
【0032】
ボックスインボックス構造のサーマル粘土は、第2ボックスのフィルムを第1ボックスのサーマル粘土に十分な結合応力で貼り付けるための接着剤として機能してもよい。サーマル粘土は、常温ではロバストな固体であり、プレート及びフィルムとの親和性が強い。一方で、サーマル粘土は、高温、例えば300℃から400℃またはそのガラス転移温度(Tg)付近において、十分に柔らかく、粘土状となる。そのため、サーマル粘土上にフィルムをしっかりと貼り付けるように、粘土のように熱(加熱)状態下で、物体の材質にかかわらず、物体の表面に適用または印刷されてもよい。サーマル粘土と印刷用フィルムの界面における操作温度は、100℃から150℃の範囲内であってもよい。
【0033】
例えば、サーマル粘土110は、例えば熱溶解積層プリンタ300によって適用される3Dプリンタなどのプリンタで使用または形成されてもよい。サーマル粘土110は、ポリアリールスルホン材料を含んでもよい。プリンタ300は、例えば、
図1または
図2のボックスインボックス構造100のような燃料電池を形成するように、予め定められた形状または物品における物体の形成において有用であってもよい。
【0034】
本発明の1つの実施の形態において、印刷のために軟化されるように、サーマル粘土は加熱されてもよく、例えば300℃から400℃の温度を有してもよい。本発明の別の実施の形態では、
図4に示すように、サーマル粘土311は、サーマル粘土310の他の層上に塗布及び積層されて、サーマル粘土オンサーマル粘土構造312を形成してもよい。サーマル粘土オンサーマル粘土構造312は、ボックスインボックス構造100として使用するように、長方形の形態またはボックスの形態であってもよい。
【0035】
プリンタ300は、1つまたは複数の支持材料カートリッジ330、駆動輪340、1つまたは複数の液化装置350、1つまたは複数のヒーターブロック360、及び1つまたは複数の先端(tips)370/371を含んでもよい。サーマル粘土ポリマー樹脂320のフィラメントは、
図4に示すように、液体になるように、支持材料カートリッジ330によって供給され、駆動輪340及び液化器350を通過してもよい。その後、300℃から400℃の温度を有する液体は、物体380に塗布され、またはサーマル粘土オンサーマル粘土構造312を形成するように、サーマル粘土310の他の層上に塗布されるように、ヒーターブロック360の先端370によって吐出されてもよい。プリンタ300は、1つの先端370を含んでもよい。例えば、1つの先端370は、液体状態のサーマル粘土ポリマー樹脂320を、物体380上に、またはサーマル粘土オンサーマル粘土構造312を形成するようにサーマル粘土310の他の層上に塗布してもよい。
【0036】
または、代わって、プリンタ300は、先端370と先端371とを含んでもよい。先端371は、液体状態のサーマル粘土311を、物体380上に塗布し、またはサーマル粘土オンサーマル粘土構造312を形成するように、他の先端370によって提供される他のサーマル粘土310の層上に塗布してもよい。
図4は、先端370及び先端371を含むプリンタ300の1つの実施の形態を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
高温のサーマル粘土ポリマー樹脂を適用するための熱溶解積層FDM(fused deposition modeling)は、最も広く使用されている3D印刷技術である。FDMの3D印刷技術では、物体を印刷するように、ポリスルホン樹脂の固体熱可塑性のフィラメントを使用してもよい。ポリスルホン樹脂は、加熱されたノズルを通過すると溶融し、その後、プリンタは、規定の経路によって、正確な位置に溶融した材料を吐出するように、ノズルを連続的に駆動する。ポリマー樹脂が印刷されると、ポリマー樹脂の相対的な熱溶解(thermal fusion)によって融合し、よって、材料は、通常の3D FDM印刷材料では実現できない緻密な溶融溶解を実現し得る。ポリマー樹脂は、高温用途で極めて高い成形性を示す。したがって、ポリマー樹脂が印刷され、冷却された後、材料は、結果として溶解され、従来の3D FDMで一般的であるように、視覚的および/または物理的に継ぎ目のないように目に見える隙間のない固体形態で緊密に一体化される。この一体化溶解は、コーキング型溶解(caulking-type fusion)であってもよく、即ち一体化溶解の結果として気泡が存在しない、またはミニ隙間(mini-gaps)が存在する偽溶解でない。従って、FDM 3D印刷法による材料の固化積層体の強度は、3D FDM印刷で使用される他の材料の強度よりも大幅に大きい。ポリスルホン系サーマル粘土の特性は、FDM 3Dプリンタ用として極めて優れていることは間違いない。
【0038】
第3の態様における本発明は、ボックスインボックス構造を形成する方法を提供する。
図5は、ボックスインボックス構造を形成する方法の実施の形態を示す。
図5に示すように、サーマル粘土110、フィルム120、プレート131、プレート132及び隔離フィルム140は、ホットプレス機100に設けられている。
【0039】
サーマル粘土110は、第1ボックスとして機能するように、長方形の形状、または、例えば、側面111、側面112、側面113、側面114の4つの側面を有するボックスの形状であってもよい。FDM 3D印刷法は、予め定められた形状のサーマル粘土110を形成するように使用されてもよく、ボックスの形状のサーマル粘土110は、サーマル粘土オンサーマル粘土構造312を含んでもよい。サーマル粘土110は、ポリアリールスルホン材料を含んでもよい。サーマル粘土110の詳細については、上記の記載を参照されよう。
【0040】
フィルム120は、第2ボックスとして機能するように、少なくとも1つの側面、例えば、長方形状となるように4つの側面、例えば、側面121、側面122、側面123、側面124を有していてもよい。フィルム120は、有機ポリマー材料、例えば、ペルフルオロポリマー有機フィルムであってもよい。フィルム120の形状及び大きさは、サーマル粘土110の形状及び大きさに対応してもよい。フィルム120の詳細については、上記の記載を参照されよう。
【0041】
一組のプレート130は、プレート131とプレート132とを含んでもよい。それぞれプレート131及びプレート132は、電気プレート又は化学的半反応、例えば空気電池又は燃料電池の化学的半反応のための電極であってもよい。プレート131およびプレート132の一方がカソードとして機能し、他方がアノードとして機能してもよい。プレート131およびプレート132の説明については、上記を参照し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、隔離フィルム140と導電シートとがさらに設けられてもよい。導電シートは、プレートと電気的に接続されてもよく、例えば、第1導電シート151は、プレート132と電気的に接続されてもよく、第2導電シート152は、プレート131と電気的に接続されてもよい。隔離フィルム140は、電池のアノードとカソードとを分離するように、プレート131とプレート132との間に配置されていてもよい。隔離フィルム140、プレート131及びプレート132の形状及び大きさは、サーマル粘土110の形状及び大きさに対応してもよい。隔離フィルム140、プレート131及びプレート132の説明については、上記を参照し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
印刷されたサーマル粘土110、フィルム120、プレート131、隔離フィルム140及びプレート132は、ボックスインボックス構造100の形成のために、例えば、熱間溶接方法などの発熱溶接アプローチ、超音波溶接法、または順不同でこれらの組み合わせを行うなどの様々なアプローチによって永久的に組み合わせられてもよく、本発明は、これらに限定されるものではない。さらに、ボックスインボックス構造の形成のための発熱溶接は、単セル構造200、または(
図9に示す)単電池構造の形成のために、インサート成形方法と任意に組み合わせられてもよい。例えば、1つまたは複数の溶接方法は、視覚的および/または物理的に継ぎ目のないように目に見えて重なる隙間のない一体化された製品を取得するように、インサート成形方法と任意に組み合わせられてもよい。
【0044】
以下に熱間溶接方法を例として挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。ボックスインボックス構造の形成のために、ホットプレス機100が提供される。ホットプレス機100は、例えば、第1ホットプレスプレート101と第2ホットプレスプレート102の2つのホットプレスプレートを含んでもよい。各ホットプレスプレートは、全ての構成要素を一緒にプレスするためにサーマル粘土110を溶かし、サーマル粘土110の助けを借りて全ての構成要素がばらばらにならないように強固に結合させるための熱エネルギ、例えば高温を供給してもよい。言い換えれば、サーマル粘土110は、セル内または電池内で使用するためのボックスインボックス構造100における外側ボックス、外枠、外側支持体および接着剤として機能してもよい。少なくとも1つのホットプレスプレート、例えば第1ホットプレスプレート101は、サーマル粘土110を収容するための凹部103を有してもよい。
【0045】
ボックスインボックス構造の形成のために、
図5に示すように、印刷されたサーマル粘土110、フィルム120、プレート131、隔離フィルム140及びプレート132を積層して順番にホットプレス機100に個別に設けてもよい。第1ホットプレスプレート101の凹部103にサーマル粘土110を収容してもよい。次に、第1ホットプレスプレート101及び第2ホットプレスプレート102は、印刷されたサーマル粘土110、フィルム120、プレート131、プレート132及び隔離フィルム140を一緒にプレスする。第1ホットプレスプレート101及び第2ホットプレスプレート102は、印刷されたサーマル粘土110を溶かすために十分な熱エネルギ、例えば高温を供給してもよい。そして、溶融された印刷サーマル粘土110は、その後、ボックスインボックス構造を形成するように、例えば約300℃から320℃の温度範囲で、フィルム120、プレート131、プレート132及び隔離フィルム140を一緒に固定してしてもよい。本発明のある実施の形態において、第1ボックス(サーマル粘土110)と第2ボックス(フィルム120)との界面129周辺の温度は、100℃から150℃であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
フィルム120は、サーマル粘土を塗布する前に、任意の前処理手順を受けてもよい。前処理手順は、サーマル粘土110に対するフィルム120の接着性を向上させてもよい。例えば、前処理手順は、表面粗さ処理またはプライマ処理手順の少なくとも一方を含んでもよい。従来の表面粗さ処理が好適であってもよい。表面粗さ処理を受け得るフィルム120は、50mN/m(ダイン)以上の表面エネルギを有してもよい。例えば、ダインペンテストが、表面粗さ処理後のフィルム120の表面エネルギの特定のために用いられてもよい。プライマ処理工程を行うために、フィルム120には、プライマを塗布してもよい。例えば、ロックタイト770、ロックタイト7701、ポリオレフィンのためのWeicon Contact-Primer、Radiant 3770 Primer等のプライマを用いてもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
次に、ポリアリールスルホン材料を含むサーマル粘土110は、
図1または
図2に示すように、ボックスインボックス構造100を形成するのを助けることができる。サーマル粘土は、第2ボックスが第1ボックスにしっかりと収容されて第1ボックスインボックス構造100を形成するように、フィルムがサーマル粘土にしっかりと付着するのを助ける。サーマル粘土110のポリアリールスルホン材料については、
図3を参照するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0048】
したがって、第4の態様における本発明は、例えば、燃料電池のようなセル構造におけるボックスインボックス構造の使用を提供する。
図6は、セル構造におけるボックスインボックス構造の使用のある実施の形態を示す図である。
【0049】
図6は、セル構造で使用するための本発明のボックスインボックス構造を含むセル構造の分解図の実施の形態を示す。例えば、セル構造200は、第1モジュール210、第2モジュール220及び中央モジュール230を含んでもよい。
【0050】
第1モジュール210及び第2モジュール220の少なくとも一方は、本発明のボックスインボックス構造に対応してもよい。すなわち、セル構造200は、少なくとも2つのボックスインボックス構造を含んでもよい。例えば、第1モジュール210は、第1外側ボックス211、第1モジュールフィルム212、第1外側プレート213、第1隔離フィルム214、第1内側プレート215、第1外側導電シート216及び第1内側導電シート217を含んでもよい。第1外側ボックス211は、サーマル粘土110に対応するように、ポリアリールスルホン材料を含んでもよい。第1モジュールフィルム212は、フィルム120に対応するように、ペルフルオロポリマー有機フィルムを含んでもよい。第1外側プレート213または第1内側プレート215は、プレート131/132に対応するように、金属材料を含んでもよい。第1隔離フィルム214は、隔離フィルム140に対応するように、絶縁材料を含んでもよい。第1外側導電シート216または第1内側導電シート217は、一対の導電シート150における1つの導電シートに対応するように、絶縁処理が施されたニッケルシートであってもよい。第1外側導電シート216は、第1外側プレート213に電気的に接続されてもよい。第1内側導電シート217は、第1内側プレート215に電気的に接続されてもよい。
【0051】
例えば、第2モジュール220は、第2外側ボックス221、第2モジュールフィルム222、第2外側プレート223、第2隔離フィルム224、第2内側プレート225、第2外側導電シート226及び第2内側導電シート227を含んでもよい。第2外側ボックス221は、サーマル粘土110に対応するようにポリアリールスルホン材料を含んでもよい。第2モジュールフィルム222は、フィルム120に対応するように、ペルフルオロポリエーテル有機フィルムを含んでもよい。第2外側プレート223又は第2内側プレート225は、プレート131/132に対応するように、金属材料を含んでもよい。第2隔離フィルム224は、隔離フィルム140に対応するように、絶縁材料を含んでもよい。第2外側導電シート226又は第2内側導電シート227は、一対の導電シート150における1つの導電シートに対応するように、絶縁処理が施されたニッケルシートであってもよい。第2外側導電シート226は、第2外側プレート223に電気的に接続されていてもよい。第2内側導電シート227は、第2内側プレート225と電気的に接続されていてもよい。本発明のボックスインボックス構造の詳細については、上記の記載を参照されたい。
【0052】
中央モジュール230は、任意のケース231、キャリア232、第1中央隔離フィルム233、中央電極234、第2中央隔離フィルム235及び中央導電シート236を含んでもよい。例えば、任意のケース231は、サーマル粘土に対応するようにポリアリールスルホン材料を含んでもよい。任意のケース231は、キャリア232、第1中央隔離フィルム233、中央電極234、第2中央隔離フィルム235、及び中央導電シート226を収容するために用いられてもよい。さらに、任意のケース231は、第1モジュール210、第2モジュール220及びキャリア232を収容するために用いられてもよい。キャリア232は、サーマル粘土に対応するようにポリアリールスルホン材料を含んでもよい。キャリア232は、第1中央隔離フィルム233、中央電極234及び第2中央隔離フィルム235を収容するために用いられてもよい。第1中央隔離フィルム233又は第2中央隔離フィルム235は、隔離フィルム140に対応するように絶縁材料を含んでもよい。中央電極234は、プレートに対応するように、金属材料を含んでもよい。中央導電シート226は、中央電極234に電気的に接続されてもよい。中央導電シート226は、一対の導電シートのうちの1つの導電シートに対応するように絶縁処理が施されたニッケルシートであってもよい。詳細については、上記の記載を参照されたい。
【0053】
図7は、本発明の方法による中央モジュール構造の形成の実施の形態を示す。
図7に示すように、キャリア232、第1中央隔離フィルム233、中央電極234、第2中央隔離フィルム235及び中央導電シート226は、ホットプレス機(図示せず)に個別に設けられてもよい。次に、第1ホットプレスプレート(図示せず)及び第2ホットプレスプレート(図示せず)は、十分な熱エネルギ、例えば高温の存在下で、キャリア232、第1中央隔離フィルム233、中央電極234、第2中央隔離フィルム235及び中央導電シート226を一緒にプレスし、キャリア232を溶融させてもよい。そして、溶融したキャリア232は、その後、
図10に示すように、ロバストな中央モジュール230構造を形成するように、第1中央隔離フィルム233、中央電極234、第2中央隔離フィルム235及び中央導電シート226を一緒に固定してもよい。
【0054】
図8は、本発明の方法による第1モジュール210または第2モジュール220の形成の一実施形態を示す。
図8に示すように、第1モジュール210または第2モジュール220は、例えば、ホットプレス機(図示せず)に個別に設けられてもよい。例えば、第1モジュール210は、第1外側ボックス211、第1モジュールフィルム212、第1外側プレート213、第1隔離フィルム214、第1内側プレート215、第1外側導電シート216及び第1内側導電シート217などの個別の要素を含んでもよい。第2モジュール220は、第2外側ボックス221、第2モジュールフィルム222、第2外側プレート223、第2隔離フィルム224、第2内側プレート225、第2外側導電シート226及び第2内側導電シート227などの個別の要素を含んでもよい。
【0055】
次に、第1ホットプレスプレート(図示せず)及び第2ホットプレスプレート(図示せず)は、十分な熱エネルギ、例えば高温の存在下で、第1モジュール210又は第2モジュール220の個別の要素を一緒にプレスし、第1外側ボックス211を溶融させてもよく、又は第2外側ボックス221を溶融させてもよい。その後、溶融した外側ボックスは、ロバストな第1モジュール210の構造又はロバストな第2モジュール220の構造を形成するように、他の要素を一緒に強固に固定してもよい。
【0056】
第1モジュール構造、第2モジュール構造及び中央モジュール構造がそれぞれ得られた後、セル構造又は電池構造が得られるように、3つの個別モジュールは、一緒に組み立てられてもよい。
図9は、本発明の方法によるセル構造または電池構造のコア構造の形成の実施の形態を示す。
図9に示すように、組み立てられた第1モジュール210、組み立てられた第2モジュール220及び中央モジュール230は、個別に提供されてもよい。次に、組み立てられた第1モジュール210、組み立てられた第2モジュール220または中央モジュール230は、一緒に係合されてもよい。モジュールの係合は、異なる実施の形態を有してもよい。例えば、第1実施の形態において、中央モジュール230は、組み立てられた第1モジュール210及び組み立てられた第2モジュール220のうちの1つと係合してもよく、後に、中央モジュール230は、他の組み立てられたモジュールと係合してもよい。第2実施の形態において、中央モジュール230は、優先順位を付けずに、組み立てられた第1モジュール210及び組み立てられた第2モジュール220と係合してもよい。各モジュールは、コア構造200Cを得るように、相互の係合を容易にするように、相補的な構造を有していてもよい。コア構造200Cは、コア構造200Cの気密性を促進するように、例えばホットプレス機での熱プレスが施されてもよい。
【0057】
相互係合及び熱プレスの後、組み立てられた第1モジュール210、組み立てられた第2モジュール220及び中央モジュール230は、一緒に組み合わせてられてもよい。例えば、単セル構造200または単電池構造を取得するように、コア構造200Cを従来のインサート成形方法を用いてケース231にさらに接合してもよい。セル構造200または電池構造は、空気電池または燃料電池への適用に適していてもよい。インサート成形方法は、セル構造200、すなわち空気電池または燃料電池に適用するセルの気密性を容易にする。
【0058】
上記のステップの後、単セル構造200または単電池構造が得られてもよい。単セル構造200または単電池構造は、第1モジュール210、第2モジュール220及び中央モジュール230を含んでもよい。第1モジュール210及び第2モジュール220の少なくとも一方は、少なくともサーマル粘土、フィルム、2枚のプレート、2枚の導電シート、及びプレートを電気的に分離する隔離フィルムを有するボックスインボックス構造を含んでもよい。フィルムは、第1ボックスの形態におけるサーマル粘土にしっかり取り付ける第2ボックスとして機能してもよい。ある実施の形態において、第1ボックスインボックス構造は、第2ボックスインボックス構造と電気的に接続されてもよい。
【0059】
さらに、1つまたは複数のセル構造200又は電池構造は、セルアセンブリを形成するように、物理的にまたは電気的に互いに接続されてもよい。例えば、第1ボックスインボックス構造を含むセルは、セルアセンブリを形成するように、第2ボックスインボックス構造を含む別のセルに電気的に接続してもよく、または第3ボックスインボックス構造を含む別のセルにさらに電気的にさらに接続してもよく、よって、セルアセンブリが1つまたは複数のボックスインボックス構造を含んでもよい。
【0060】
図10は、本発明のボックスインボックス構造を少なくとも一つ含む複数のセルで構成されたセルアセンブリの実施の形態を示す。
図10は、セル構造200がセル構造201とともにセルアセンブリ200Aを形成する実施の形態を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、セルアセンブリ200Aは、2つ以上のセル構造を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。セル構造200は、第1ボックスインボックス構造を含んでもよい。セル構造201は、第2ボックスインボックス構造を含んでもよい。ボックスインボックス構造は、
図1または
図2のボックスインボックス構造100のいずれかと同様であってもよい。
【0061】
図10に示すように、セル構造200及びセル構造201が提供されてもよい。セル構造200は、セルアセンブリ200Aを形成するように、セル構造201に物理的に接続されてもよい。セル構造200またはセル構造201は、独立して、例えば空気電池又は燃料電池のようなセルまたは電池であってもよい。セル構造200は、第1モジュール、第2モジュール及び中央モジュール、例えば、ケース231、中央導電シート236、第1外側導電シート216、第1内側導電シート217、第2外側導電シート226及び第2内側導電シート227を含んでもよい。第1外側導電シート216、第1内側導電シート217、中央導電シート236、第2外側導電シート226および第2内側導電シート227は、それぞれ、他のセルへの外部電気接続のために使用されてもよい。
【0062】
セル構造201は、第1モジュール、第2モジュール及び中央モジュール、例えば、ケース231’、中央導電シート236’、第2モジュールフィルム222’、第1外側導電シート216’、第1内側導電シート217’、第2外側導電シート226’及び第2内側導電シート227’を含んでもよい。第1外側導電シート216’、第1内側導電シート217’、中央導電シート236’、第2外側導電シート226’、及び第2内側導電シート227’は、それぞれ他のセルとの外部電気接続のために使用されてもよい。
【0063】
セル構造200は、セルアセンブリ200Aを形成するように、セル構造201と電気的に接続されてもよい。例えば、セル構造200の導電シートは、セル構造201の導電シートに電気的に接続されてもよい。
【0064】
本発明のある実施の形態において、セル構造200は、セル構造201に並列に電気的に接続されてもよい。本発明の別の実施の形態において、セル構造200は、セル構造201と直列に電気的に接続されてもよい。
【0065】
[性能試験]
[結合強度試験]
試験では、IEC68-2-21 Test Ualによって、フィルムが、第1ボックスと第2ボックスとの間で、15kg以上の結合強度または接着を維持できることを確認した。試験結果は、表2に示されている。
【0066】
サーマル粘土の試験条件:25mm*25mm*4mm=2.5cm3(0.0025リットル)
【0067】
試験に使用されたサーマル粘土:0.0025(PESまたはPPSU)-0.000313(材料)=0.002187リットル(要素の位置範囲を維持するように2つの材料が使用される)
サーマル粘土:PESまたはPPSU
【0068】
金属ストリップの寸法:25mm*25mm*0.5mm=0.313cm3(0.000313リットル)(IEC68-2-21 Test Ual)
【0069】
【0070】
合格:結合強度が15Kgf(147nt)以上
【0071】
本発明は、有機ポリマーと金属材料との界面間の機械的強度を大幅に向上させるようにサーマル粘土の使用、さらに、燃料電池またはセルアセンブリにおけるボックスインボックス構造の使用、およびボックスインボックス構造を形成する方法を提供する。ある実施の形態において、本発明は、試験で示された優れたまたは安定した機械的特性を有し、燃料電池またはセルアセンブリにおいて使用するための新規なボックスインボックス構造を提案する。
【0072】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法に対して多数の修正および変更を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【国際調査報告】