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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】付香剤及び付香剤を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/10 20060101AFI20230306BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230306BHJP
   C07D 309/18 20060101ALI20230306BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230306BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230306BHJP
   C07D 309/22 20060101ALI20230306BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20230306BHJP
【FI】
C07D309/10 CSP
C11B9/00 C
C11B9/00 L
C07D309/18
A61K8/49
A61Q13/00 101
C07D309/22
A23L27/20 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543543
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 IB2021050381
(87)【国際公開番号】W WO2021148940
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】202021002355
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】20160453.5
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520045712
【氏名又は名称】エス エイチ ケルカル アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィランカ、アヴドュート ディー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーズ、ケダール ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】シンディ、ポペット ディー
(72)【発明者】
【氏名】クティ、ヴィジェ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴクワッド、ラヴィンドラ ディー
(72)【発明者】
【氏名】シルキ、シュリカント ビー
(72)【発明者】
【氏名】コセ、ゴレクシャ エム
(72)【発明者】
【氏名】マンガワディ、タナジ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビディ、ラシカ エス
【テーマコード(参考)】
4B047
4C083
4H059
【Fターム(参考)】
4B047LB08
4B047LG06
4B047LG20
4C083AC082
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD532
4C083BB41
4C083CC38
4C083DD23
4C083EE06
4C083KK02
4H059BA12
4H059BA19
4H059BA22
4H059BA30
4H059BA35
4H059BA36
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
【課題】芳香剤、調味料材に加えて、新規の香り、味覚等を付与する付香性化合物を得る。
【解決手段】
本発明は、特に香料、アロマ、又は脱臭/マスキング組成物に樟脳様ノート、ウッディノート、アーシーノート、及び/又はパチョリ様ノートを与える際に芳香剤又は調味料材として有用である新しいクラスの式(X)の付香性のテトラヒドロピラン-4-オール誘導体及び/又は式(Y1)及び式(Y2)のそのアルケン誘導体に関する。本発明はまた、上記新しいクラスの付香性のテトラヒドロピラン-4-オール誘導体及び/又はそのアルケン誘導体を含む芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2
【化1】
(式中、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である)の化合物(ただし、式(X)は、3,3,4-トリメチル-2,6-ジフェニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールではあり得ない)。
【請求項2】
1は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基、フェニル基、又は置換フェニル基であり、
2は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基であり、
3は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基、フェニル基、又は置換フェニル基であり、
4は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
・ 2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2,3,3,4,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-イソプロピル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-エチル-2-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-エチル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-エチル-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-エチル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-エチル-6-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-エチル-6-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-エチル-2,2,4,5,5-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2,6-ジエチル-2,4,5,5-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-イソプロピル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 6-エチル-2-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
・ 2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2-エチル-4,5,5,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
から選択される、請求項1又は2に記載の式(X)の化合物。
【請求項4】
・ 2,3,3-トリメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-エチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-エチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 2,3,3,6-テトラメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,3,3,4,6-ペンタメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-イソプロピル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-イソブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-イソブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-ブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-ブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 2-エチル-3,3,6-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2-エチル-3,3,4,6-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 2,6-ジエチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン及び2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-ブチル-2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-ブチル-2-エチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 6-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
・ 2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
から選択される、請求項1又は2に記載の式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物。
【請求項5】
1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である、請求項1~4の何れか1項に記載の化合物。
【請求項6】
1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1項に記載の式(X)の化合物と、請求項1、2、4の何れか1項に記載の式(Y1)の化合物との混合物。
【請求項8】
請求項1~3の何れか1項に記載の式(X)の化合物と、請求項1、2、4の何れか1項に記載の式(Y2)の化合物との混合物。
【請求項9】
請求項1、2、4の何れか1項に記載の式(Y1)及び式(Y2)の化合物の混合物。
【請求項10】
請求項1~3の何れか1項に記載の式(X)の化合物と、請求項1、2、4の何れか1項に記載の式(Y1)及び式(Y2)の化合物との混合物。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の化合物又は混合物を含む芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物。
【請求項12】
式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物の含有量は、0.00001重量%~99.9重量%の間、例えば0.0001重量%~95重量%の間に含まれる、請求項11に記載の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物。
【請求項13】
少なくとも1つのエステル及び/又は存在するのであれば式(X)の化合物以外の1つの他のアルコール、好ましくは少なくとも、エステル及び存在するのであれば式(X)の化合物以外の他のアルコールの混合物を更に含む、請求項11又は12に記載の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物。
【請求項14】
式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物と一緒の前記エステル及び/又はアルコールの含有量は、25重量%を上回り、好ましくは50重量%を上回り、例えば75重量%を上回り、又は90重量%を上回る、請求項13に記載の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物。
【請求項15】
請求項1~10の何れか1項に記載の式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物及び/又はそれらの混合物を調製する方法であって、式(I)の化合物と、式(II)(ここで、基R1、基R2、基R3、及び基R4は、請求項1~10の何れか1項に規定されている)の化合物とを、
【化2】
リン酸、好ましくはリン酸水溶液、より好ましくは10重量%~85重量%のリン酸の含有量を有するリン酸水溶液、又はプロトン酸、の何れかの存在下で反応させて、請求項1~10の何れか1項に記載の式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物及び/又はそれらの混合物を得る(ここで、式(I)の化合物及び式(II)の化合物の基R1、基R2、基R3、及び基R4は、式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物及び/又はそれらの混合物の基R1、基R2、基R3、及び基R4と同一である)、方法。
【請求項16】
前記反応は、30重量%~60重量%のリン酸の含有量を有するリン酸水溶液の存在下で行われる、請求項15に記載の式(X)の化合物を調製する方法。
【請求項17】
前記反応は、プロトン酸としてのp-トルエンスルホン酸の存在下で、かつ有機溶剤、好ましくはジクロロエタン中において行われる、請求項15に記載の式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に香料、アロマ、又は脱臭/マスキング組成物に樟脳様ノート、ウッディノート、アーシーノート、及び/又はパチョリ様ノートを与える際に芳香剤又は調味料材として有用である新しいクラスの付香性のテトラヒドロピラン-4-オール誘導体及び/又はそのアルケン誘導体に関する。本発明はまた、上記の新しいクラスの付香性のテトラヒドロピラン-4-オール誘導体及び/又はそのアルケン誘導体を含む芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物に関する。本発明は更に、本発明の新規の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物において使用され得る上記付香剤について言及している。本発明はまた、上記付香剤/化合物、及び上記付香剤/化合物を含む対応する芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物の製造方法について言及している。
【0002】
より詳細には、本発明は、特に香料、アロマ、又は脱臭/マスキング組成物に樟脳様ノート、ウッディノート、アーシーノート、及び/又はパチョリ様ノートを与える際に芳香剤又は調味料材として有用である式(X)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体及び/又は式(Y1)の2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体及び/又は式(Y2)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体(付香剤)に関する。
【背景技術】
【0003】
天然芳香剤成分の供給に対する制限の高まりは、合成芳香剤成分の分野に大変革をもたらした。今日、新規の付香剤/化合物及び/又は上記付香剤/化合物を含む新規の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物に対する需要が高まっている。
【0004】
パチョリ油は、芳香剤の作成に広く使用されている非常に重要な天然油である。パチョリ油は、パチョリ低木の乾燥葉及び発酵葉の水蒸気蒸留によって生成される。パチョリ油はウッディ-バルサミックな香りを呈し、この匂いプロファイルは樟脳様ノート、ウッディノート、及びアーシーノートの洗練された配合を有する。パチョリ油中に約35%~40%存在する(-)-パチョロールがその主な匂いの元として説明されているが、その合成は極めて困難である。ウッディノート、樟脳様ノート、及びアーシーノートの配合を有し、かつ組成物にパチョリ様の匂いプロファイルを付与する容易に合成可能な新規化合物に対する需要がますます高まっている。
【0005】
【化1】
【化2】
【化3】
特許文献1には、式(A)の化合物を調製する方法であって、式(B)の化合物とイソプレノールとを酸の存在下で反応させる方法を含み、該反応が、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンを含む群から選択される有機溶剤中で、約70℃以上、好ましくは80℃~90℃の温度にて、更により好ましくは約80℃にて行われる方法が、特許請求の範囲に記載されている。酸は、好ましくは、パラトルエンスルホン酸(PTSA)、硫酸、及び他の担持された酸から成る群から選択される。
【0006】
M.マーケルト(M.Markert)、I.ブッヘム(I.Buchem)、H.クリューガー(H.Krueger)、及びR.マールヴァルト(R.Mahrwald)は、非特許文献1においてアルデヒドのLiClO4で活性化された立体選択的及び位置選択的なアルキル化についての論文を発表した。
【0007】
【化4】
【0008】
例えば、彼らは、アルデヒド(ベンズアルデヒド又は脂肪族アルデヒド)とアルコール又は対応するチタン(IV)アルコキシドとをLiClO4/p-トルエンスルホン酸エチルの存在下で反応させて、第三級ピラノールを得るスキームを開示している。この方法論によっては、2位及び6位に同じ置換を有するピラノールしか合成することができない。更に、この論文で述べられるように、ベンズアルデヒドを使用した場合の収率は、典型的には、脂肪族アルデヒドを使用した場合(収率26%~36%)よりも高い(収率46%~77%)。
【0009】
2-アルキル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体は、フローラルなミュゲのアスペクトを有することが知られている。フロローザ、即ち2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールは、ロージー及びミュゲの匂いを有する。フロローザの構造の5位に2つのメチル基を導入(即ちジメチル化)すると、ミュゲの性質が破壊されることが、ロシター,K.(Rossiter, K.)によって非特許文献2において報告された。実際、得られた化合物4,5,5-トリメチル-2-(2-メチルプロピル)テトラヒドロピラン-4-オールのシス異性体は、硫黄臭、ゴム臭、及び油臭を有するのに対して、トランス異性体は無臭である。
【0010】
驚くべきことに、テトラヒドロピラン-4-オール部分の5位に2つのメチル基を導入(即ちジメチル化)すると共に、アルキル基を酸素原子の隣の位置であるが、当初のアルキル基とは異なる位置に導入した場合に、得られた2,6-ジアルキル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体は、樟脳様の特徴、ウッディな特徴、アーシーな特徴、パチョリ様の特徴を有することが判明した。
【0011】
そのような2,6-二置換の3,3,4-トリメチル置換テトラヒドロピラノールは1つだけ報告されている。例えば、3,3,4-トリメチル-2,6-ジフェニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールは、マーケルト,M.ら(Markert, M. et al.)によって非特許文献3において報告され、その際、この化合物は、ベンズアルデヒドとテトラキス((2,3-ジメチルブタン-2-イル)オキシ)チタンとの間の過塩素酸リチウムの存在下での反応によって、ジアステレオマーの混合物(83:17)として調製された。しかしながら、この論文には、芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は開示されておらず、3,3,4-トリメチル-2,6-ジフェニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールに関連する嗅覚特性が存在することの証拠も示唆も全く見られない。
【0012】
式(Y1)の2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体に類似した物質は報告されていない。式(Y1)の2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体に関連する何れかの嗅覚特性が存在することについての証拠又は示唆を示す報告は存在しない。
【0013】
同様に、式(Y2)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体に類似した物質は報告されていない。式(Y2)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体に関連する何れかの嗅覚特性が存在することについての証拠又は示唆を示す報告は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/263336号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】テトラヘドロン(Tetrahedron)[第60巻,第4号,2004年1月19日,第993頁~第999頁]
【非特許文献2】キミア(Chimia)の第55巻(2001年)第388頁~第396頁
【非特許文献3】テトラヘドロン(Tetrahedron)の第60巻,2004年,第993頁~第999頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、式(X)の化合物から選択される2,6-二置換の3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体、及び/又は式(Y1)の化合物から選択される2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体、及び/又は式(Y2)の化合物から選択される2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体を含み、式(X)、式(Y1)、及び式(Y2)が、
【化5】
(式中、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である)であるが、ただし、式(X)は、3,3,4-トリメチル-2,6-ジフェニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールではあり得ない新規の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物を開示している。
【0017】
従って、本発明によれば、式(X)は、3,3,4-トリメチル-2,6-ジフェニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールではあり得ない。
【0018】
本発明による実施形態においては、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である。
【0019】
本発明によれば、基R1及び基R2は個別の基である。即ち、これらの基は一緒になって環を形成しない。本発明によれば、基R3及び基R4は個別の基である。即ち、これらの基は一緒になって環を形成しない。
【0020】
本発明による実施形態においては、R1は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基、フェニル基、又は置換フェニル基である。
【0021】
本発明による実施形態においては、R2は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基である。
【0022】
本発明による実施形態においては、R3は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基、フェニル基、又は置換フェニル基である。
【0023】
本発明による実施形態においては、R4は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、ビニル基、1-プロペニル基、プロパ-1-エン-2-イル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ブタ-3-エン-2-イル基、1-ペンテニル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-1-エン-2-イル基、2-ペンテニル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、ペンタ-2-エン-3-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、1-ヘキセニル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-1-エン-2-イル基、2-ヘキセニル基、ヘキサ-3-エン-2-イル基、ヘキサ-4-エン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、3-ヘキセニル基、ヘキサ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-2-エン-3-イル基、ヘキサ-3-エン-3-イル基、ヘキサ-4-エン-3-イル基、又はヘキサ-5-エン-3-イル基である。
【0024】
別の実施形態においては、本発明の式(X)の化合物はキラルであり得る。例えば、これらの化合物を、立体異性(エナンチオマー又はジアステレオマー)混合物として、より具体的にはエナンチオマーの混合物として使用することができる。RRR異性体、SSS異性体、RSR異性体、SRS異性体、SSR異性体、RRS異性体、SRR異性体、RSS異性体、ラセミ混合物、及び/又はRRR異性体、SSS異性体、RSR異性体、SRS異性体、SSR異性体、RRS異性体、RSS異性体、SRR異性体の非ラセミ混合物も有利に使用することができる。別の実施形態においては、本発明の式(Y1)又は式(Y2)の化合物はキラルであり得る。例えば、これらの化合物を、立体異性(エナンチオマー又はジアステレオマー)混合物として、より具体的にはエナンチオマーの混合物として使用することができる。RR異性体、SS異性体、RS異性体、SR異性体、ラセミ混合物、及び/又はRR異性体、SS異性体、RS異性体、SR異性体の非ラセミ混合物も有利に使用することができる。別の実施形態においては、式(X)のアルコール化合物、及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンを有利に純粋形で使用することもできる。
【0025】
式(Y1)の化合物2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体及び式(Y2)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体の両方の型を示すために、短縮構造式(Y)を有利に使用することができる。
【化6】
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明による化合物を特徴付ける「付香剤」という用語は、ヒトにおいて、それが好ましくは心地良い匂い感覚を惹起することを意味する。従って、付香剤は、慣例的に、工業製品及び衛生用品、洗浄剤、清浄剤、個人用衛生製品、化粧品などの着香に使用されている。本発明及び添付の特許請求の範囲の目的のために、「付香剤」という用語には「アロマ物質」が含まれる。アロマ物質は、食品に匂い及び/又は調味料を与える物質を指すのに通常使用される用語である。
【0027】
式(X)のアルコール化合物及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンは、単独で、それらの混合物として、又は基礎材料と組み合わせて使用され得る。
【0028】
本明細書において使用される場合に、「基礎材料」としては、精油、抽出物、レジノイド、又は単離物のような広範囲の天然産物、並びに炭化水素、アルコール、アルデヒド及びケトン、エーテル及びアセタール、エステル及びラクトン、ニトリル、オキシム、又は複素環式化合物などの現在入手可能な合成材料から選択される全ゆる既知の芳香剤/調味料材、及び/又は芳香剤及び/又は調味料組成物において、付香剤と組み合わせて慣例的に使用される1つ以上の成分又は賦形剤/補助剤、例えば溶剤/希釈剤、安定剤、担体材料、及び当該技術分野で通常使用される他の補助剤との混合物が挙げられる。
【0029】
式(X)のアルコール化合物及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンは、広範囲の芳香剤用途において、例えば香料、エアケア製品、家庭用品、洗濯製品、ボディケア製品、及び化粧品などの精製香料(fine perfumery)及び機能性香料の全ゆる分野において使用され得る。化合物は、特定の用途、並びに他の付香剤成分の特質及び量に応じて、多種多様な量で使用され得る。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は、上記の少なくとも1つの式(X)によるアルコール化合物及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンを、それぞれの場合に組成物全体に対して、0.00001重量%~99.9重量%の間、例えば0.0001重量%~95重量%の間、例えば0.001重量%~25重量%の間、好ましくは0.01重量%~15重量%の間、より有利には0.1重量%~10重量%の間の量で含む。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明による式(X)によるアルコール化合物及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンに加えて、本発明による芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は、追加の付香剤を、例えば芳香剤及び/又は調味料組成物全体に対して、0.1重量%~99.9重量%、好ましくは5重量%~90重量%、特に15重量%~70重量%の量で含む。
【0032】
上記の式(X)のアルコール及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)のアルケンは、単に式(X)の少なくとも1つの化合物及び/又は式(Y1)の少なくとも1つの化合物及び/又は式(Y2)の少なくとも1つの化合物、もしくは式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の上記1つ以上の化合物を含む芳香剤組成物と消費者製品基材とを単純に直接混合することによって、消費者製品基材において使用され得るか、又はこれらは、早期段階で、取り込み材料(entrapment material)、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセル、及び/又はナノカプセル、リポソーム、被膜形成剤、活性炭又はゼオライトなどの吸収剤、環状オリゴ糖、環状グリコウリル、及びそれらの2つ以上の混合物により取り込まれ得るか、又はこれらは、光、酵素、空気、水などのような外部刺激の適用時に芳香剤分子を放出するように適合された基質に化学的に結合された後に、消費者製品基材と混合され得る。
【0033】
従って、本発明は、式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の1つ以上の化合物を消費者製品基材に直接混加することによるか、又は式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の上記1つ以上の化合物を含む芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物を混合した後に、これを慣例的な技術及び方法を使用して消費者製品基材と混合し得ることによって、該化合物を芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物として導入することを含む、芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物の既存の製造方法に有用であり得る。嗅覚許容量の上記の本発明の式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の少なくとも1つの化合物を添加することによって、消費者製品基材の匂いノートが改善され、強化され、及び/又は改変され得る。
【0034】
本発明は、上記で定義される2,6-二置換の3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体及び/又は上記で定義される2,6-二置換の3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン誘導体及び/又は上記で定義される2,6-二置換の3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン誘導体を含む新規の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物を開示している。
【0035】
本発明による特定の実施形態においては、上記で定義される式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の化合物は特許請求の範囲に記載されており、上記化合物は、本発明の香料、アロマ、及び/又は脱臭/マスキング組成物において有用である。
【0036】
一実施形態においては、芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物において有用な式(X)の化合物は、以下の化合物から選択される:
1)2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
2)2,3,3,4,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
3)2-イソプロピル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
4)6-エチル-2-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
5)6-エチル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
6)2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
7)6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
8)2-エチル-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
9)2-エチル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
10)2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
11)2-エチル-6-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
12)2-エチル-6-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
13)6-エチル-2,2,4,5,5-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
14)2,6-ジエチル-2,4,5,5-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
15)6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
16)6-イソプロピル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
17)6-エチル-2-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
18)2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
19)2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2-エチル-4,5,5,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール。
【0037】
一実施形態においては、芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物において有用な式(Y)の化合物は、以下の化合物から選択される:
20)2,3,3-トリメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
21)6-エチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-エチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
22)2,3,3,6-テトラメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,3,3,4,6-ペンタメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
23)6-イソプロピル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
24)6-イソブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-イソブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
25)6-ブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-ブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
26)2-エチル-3,3,6-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2-エチル-3,3,4,6-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
27)2,6-ジエチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
28)2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
29)6-ブチル-2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-ブチル-2-エチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
30)6-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピランもしくは6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物、
31)2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピランもしくは2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン、又は好ましくはそれらの混合物。
【0038】
本発明による実施形態においては、芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は、何れかの化合物及び/又は上記に示される上記化合物の2つ以上の混合物から選択される式(X)又は式(Y)の化合物を含む。
【0039】
出願人らは、驚くべきことに、嗅覚の観点から、式(X)及び式(Y)の化合物がパチョリ様の匂いを有することを発見した。実際、式(X)及び式(Y)の化合物は、調和のとれた配合の新鮮な樟脳様ノートと、アーシーノート及びウッディノートとを呈する。式(X)及び式(Y)の化合物は、ブロッター上で非常に保持力があり、非常に高い拡散性がある。確かに、式(X)及び式(Y)の化合物は、ウッディ、フゼア、及びフローラルな芳香剤において極めて適切に機能する。これらの化合物は、他のウッディノート及びムスキーノートと非常に適切に調和する。
【0040】
本発明の実施形態においては、特許請求の範囲に記載される芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は香料組成物として有利に使用される。本発明による香料組成物としては、一般に、香料、コロン、オードトワレ、及び/又はオードパルファムが挙げられる。本発明の実施形態においては、特許請求の範囲に記載される芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は、化粧品製剤、パーソナルケア製品、クレンジング製品、柔軟仕上げ剤、及び/又はエアーフレッシュナーなどにおいて有利に使用される。更に、本明細書に記載される新規の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物(複数を含む)及び/又は新規の式(X)又は式(Y)の化合物(複数を含む)が、建築材料、壁装材及び床装材、車両部品などに組み込まれ得ることは、本発明の実施形態の範囲内である。
【0041】
一般に、本明細書に記載される新規の付香剤及び/又は芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物に加えて、適切な芳香剤、調味料、又は脱臭組成物としては、有利には、例えば、溶剤、担体、安定剤、乳化剤、保湿剤、分散剤、希釈剤、増粘剤、減粘剤、他の付香剤、及び/又は補助剤などのような慣例的な成分が挙げられ得る。
【0042】
式(X)又は式(Y)の化合物を、多くの既知の天然又は合成の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング材料と組み合わせることにより、天然成分の範囲は、易揮発性成分だけでなく、半揮発性成分及び難揮発性成分も取り入れることができ、合成成分の範囲は、ステッフェン・アークタンダー(Steffen Arctander)著のパフューム・アンド・フレーバー・ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals),第1巻及び第2巻,ニュージャージー州モントクレア,1969年、ステッフェン・アークタンダー著のパフューム・アンド・フレーバー・マテリアルズ・オブ・ナチュラル・オリジン(Perfume and Flavor Materials of Natural Origin),ニュージャージー州エリザベス,1960年、又はホースト・スルブルク(Horst Surburg)、ヨハネス・パンテン(Johannes Panten)著のコモン・フレグランス・アンド・フレーバー・マテリアルズ(Common Fragrance and Flavor Materials),Wiley-VCH,ヴァインハイム,2016年に記載されるような、以下の非限定的な収集物から明らかな多くのクラスの物質の代表物を取り入れることができる:
【0043】
天然産物、例えば:
アジョワン油、アミリス油、アルモワーズ油、アルテミシア油、バジル油、ビーズワックスアブソリュート、ベルガモット油、バーチタール油、ブラックペッパー油、ブラックペッパーオレオレジン、樟脳油、カナンガ油、キャラウェイ油、カルダモン油、ニンジン種子油、カストリウムアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、セロリ種子油、カモミール油、シナモンバーク油、シナモンリーフ油、シスタスアブソリュート、シスタス油、シトロネラ油、シトロネラテルペン、クラリセージ油、精留クローブ油、ホワイトコニャック油、コリアンダー種子油、クミン種子油、サイプレス油、ダバナ油、ディル種子油、エレミ油、エレミレジノイド、ユーカリ油、ファーニードル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、インディアンジンジャーオイル、グレープフルーツ油、ガイアックウッド油、グルユンバルサム、ジャスミンアブソリュート、ジャタマンシ油、ジュニパーベリー油、ジュニパーリーフ油、カチュール油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナムレジノイド、ラベンダー油、レモン油、レモン油テルペン、レモングラス油、ライム油、リツエアクベバ油、リツエアクベバテルペン、チョーヤロバン(Lobhan choya)レジノイド、マンダリン油、ヨウシュハッカ(Mentha arvenis)油、ベルガモットミント油、ミモザアブソリュート、ミルラレジノイド、ナガルモタ油、ナツメグ油、オークモスアブソリュート、オークモスレジノイド、オリバナム油、オリバナムレジノイド、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パチョリ油、ペパーミント油、ペルーバルサムレジノイド、プチグレン油、パインニードル油、ピンクペッパー油、ローズアブソリュート、ローズ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、シーウィードアブソリュート、スペアミント油、スガンダコキラ油、スガンダマントリ油、タジェット油、トルーバルサムレジノイド、チューベローズアブソリュート、ターメリック油、テレビン油、バレリアン油、ベチバー油、ベチバーテルペン。
【0044】
合成原材料、例えば:
エステル、例えば:アルデヒドC16、アミルグリコール酸アリル、カプロン酸アリル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、ヘプタン酸アリル、フェノキシ酢酸アリル、酢酸イソアミル、安息香酸アミル、酪酸アミル、カプロン酸アミル、ケイ皮酸アミル、イソ吉草酸アミル、フェニル酢酸アミル、プロピオン酸アミル、サリチル酸イソアミル、アミリスアセテート、酢酸アニシル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、酪酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、ギ酸ベンジル、イソ酪酸ベンジル、ベンジルイソオイゲノール、プロピオン酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、チグリン酸ベンジル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、ブチリル乳酸ブチル、酢酸カリオフィレン、酢酸セドリル、酢酸シンナミル、酪酸シンナミル、酢酸シス-3-ヘキセニル、安息香酸シス-3-ヘキセニル、カプロン酸シス-3-ヘキセニル、ギ酸シス-3-ヘキセニル、イソ酪酸シス-3-ヘキセニル、酪酸シス-3-ヘキセニル-2-メチル、プロピオン酸シス-3-ヘキセニル、サリチル酸シス-3-ヘキセニル、チグリン酸シス-3-ヘキセニル、酢酸シトロネリル、酪酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、プロピオン酸シトロネリル、チグリン酸シトロネリル、シクラビュート、シクロガルバネート、酢酸シクロヘキシルエチル、酢酸デシル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、酢酸ジヒドロミルセニル、オクタニル酢酸ジメチル、酢酸ジメチルフェニルエチルカルビニル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジオクチル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酪酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸エチルリナリル、2-メチル酪酸エチル、3-フェニルプロピオン酸エチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、酪酸エチル、カプリン酸エチル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、ケイ皮酸エチル、ヘプタン酸エチル、酢酸エチルヘキシル、イソ酪酸エチル、ラウリン酸エチル、ペラルゴン酸エチル、フェノキシ酢酸エチル、フェニル酢酸エチル、フェニルグリシド酸エチル、プロピオン酸エチル、サフラン酸エチル、サリチル酸エチル、吉草酸エチル、酢酸オイゲニル、エベルニル、酢酸フェンキル、フローラマット、フレスコラートML、フラクトン、フルイテート、酢酸ゲラニル、酪酸ゲラニル、ギ酸ゲラニル、プロピオン酸ゲラニル、チグリン酸ゲラニル、ジベスコン、酢酸グアイオール、ヘディオネート(Hedionate)、ヘディオン、ヘルベトリド、ハーバネート(Herbanate)、酢酸ヘキシル、安息香酸ヘキシル、酪酸n-ヘキシル、カプロン酸ヘキシル、イソ酪酸ヘキシル、プロピオン酸ヘキシル、サリチル酸ヘキシル、酢酸イソボルニル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、サリチル酸イソブチル、酢酸イソオイゲニル、酢酸イソノニル、イソペンチレート、2-メチル酪酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ジャスモニル、リファローム、酢酸リナリル、マハゴネート、マンザネート、酢酸メンタニル、酢酸メンチル、安息香酸メチル、酢酸2-メチルブチル、メチルカモミール、ケイ皮酸メチル、シクロゲラン酸メチル、炭酸メチルヘプチン、ラウリン酸メチル、炭酸メチルオクチン、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、2-メチル酪酸メチル、ネオホリン、酢酸ノピル、酢酸オクテニル、酢酸オクチル、イソ酪酸オクチル、酢酸パラクレシル、イソ酪酸パラクレシル、フェニル酢酸パラクレシル、ペアーエステル、ペラナット、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸フェニルエチル、酪酸フェニルエチル、ギ酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルエチル、フェニル酢酸フェニルエチル、プロピオン酸フェニルエチル、サリチル酸フェニルエチル、チグリン酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルプロピル、酢酸プレニル、ロマンドリド、セージセート(Sagecete)、酢酸スチラリル、プロピオン酸スチラリル、タンジェリノール(Tangerinol)、酢酸テルピニル、テサロン、酢酸トランス-2-ヘキセニル、トロピカート(Tropicate)、ヴェルドックス、酢酸ベルジル、プロピオン酸ベルジル、ヴェルテネックス、ベチコールアセテート、酢酸ベチベリル、ヤスモリス(Yasmolys)。
【0045】
ラクトン、例えば:アンブレットリド、アローバ(Arova)N、セレリアックス(Celeriax)、デルタデカラクトン、ガンマデカラクトン、デルタドデカラクトン、ガンマドデカラクトン、エチレンブラシレート、エグザルトリド、ガンマヘプタラクトン、デルタヘキサラクトン、ガンマヘキサラクトン、メチルライトン(Methyl Laitone)、メチルオクタラクトン、デルタノナラクトン、ガンマノナラクトン、オクタヒドロクマリン、デルタオクタラクトン、ガンマオクタラクトン、ルーティロン(Rootylone)、シルバノンスープラ(Silvanone Supra)、デルタウンデカラクトン、ガンマウンデカラクトン、ガンマバレロラクトン、10-オキサヘキサデカノリド(OHDムスク)、クマリン、ハバノライド、ジャスモラクトン。
【0046】
アルデヒド、例えば:アセトアルデヒド、アドキサール(Adoxal)、アルデヒドC10、アルデヒドC11 iso、アルデヒドC11 moa、ウンデシレンアルデヒドC11、ウンデシルアルデヒドC11、ラウリルアルデヒドC12、アルデヒドC12 MNA、アニスアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、ブルゲオナール、カンフォレンアルデヒド、カントナール(Cantonal)、セトナール、ケイ皮アルデヒド、シス-4-デセナール、シス-6-ノネナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、コカール(Cocal)、クミンアルデヒド、カーギックス(Curgix)、シクラールC、シクラメンアルデヒド、シクロミラール(Cyclomyral)、シクロベルタール、デセナール9、デュピカール、エンペタール、エチルバニリン、フロラロゾン、フロルヒドラール、ゲラルデヒド(Geraldehyde)、ヘリオナール、ヘリオトロピン、ヘプタナール、ヘキサナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ヒベルナールネオ、ヒドラトロプアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、イントレレベンアルデヒド、イソブタバン、イソシクロシトラール、イソバレルアルデヒド、リリアール、リモネナール(Limonenal)、マセアル、メフラナール(Mefranal)、メロナール、メチルシンナムアルデヒド、トランス,シス-2,6ノナジエナール、ノナナール、オクタナール、オンシダール、パラトリルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、プレシクレモンB、サフラナール、サリチルアルデヒド、センテナール、シリンガアルデヒド、トランス-4-デセナール、トランス-2-ドデセナール、トランス-2-ヘキセナール、トランス-2-ノネナール、トリフェルナール、バニリン、ベラトルアルデヒド、ベルンアルデヒド。
【0047】
ケトン、例えば:アセトアニソール、アセトイン、アセトフェノン、アルドロン、アリルイオノン、ベンゾフェノン、ベンジルアセトン、カロン、樟脳、d-カルボン、l-カルボン、カシュメラン、セドリルメチルケトン、セピオネート、クラリトン(Claritone)、コスモン、クリソリド、シクロテン、ダマセノン、ダマスコンアルファ、ダマスコンベータ、ダマスコンデルタ、ダマスコンガンマ、ジアセチル、ジヒドロベータイオノン、ジヒドロイソジャスモネート、ジメチルオクテノン、ダイナスコン、エチルアミルケトン、エチルマルトール、フェンコン、フィルベルトン、ゲラニルアセトン、グロバノン、ヘプチルシクロペンタノン、アルファイオノン、ベータイオノン、ピュアイオノン、アイリスウッド、アルファイロン、イソEスーパー、イソフェンチョン、イソジャスモンT、イソロン(Isolone)K、イソメントン、イソホロン、シス-ジャスモン、カンバーノワール(Kambernoir)、ケファリス、コアヴォン、ラベンジナール(Lavendinal)、マルトール、メントン、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、メチルヘプテノン、メチルヘキシルケトン、ガンマメチルイオノン、メチルナフチルケトンベータ、メチルノニルケトン、ムセノン、ムスコン、ネクタリル、オリノックス、OTBCケトン、パラtertブチルシクロヘキサノン、パッチウッド(Patchwood)、ファントリド、ファラオン、ピペリトン、プリカトン、ラズベリーケトン、ラズベリーケトンメチルエーテル、サフラレイン、ピュアスピロガルバノン、トナリド、トリモフィックスO、ヴェロートン、ベチコン(Vetikon)。
【0048】
アルコール、例えば:オキソアルコールC13、アンバーコア、アンバーマックス、アンブリノール、アミルビニルカルビノール、アニスアルコール、バクダノール、ベンジルアルコール、ブタノール、セドロール結晶、ケイ皮アルコール、シトロネロール、コラノール、デカノール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルオクタノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、ジメトール、フェンコール、ヘキサノール、イソボルネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジャバノール、ケフロロール(Keflorol)、コヒノール(Kohinool)、ラウリルアルコール、リリフロア(Lilyflore)、リナロールオキシド、マヨール、メントール、ノルリンバノール(Norlimbanol)、オクタノール、オシロール、パラtertブチルシクロヘキサノール、フェノキサノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、プロピレングリコール、ロザフェン、ローズグリコール、スチラリルアルコール、トリシクロデカンジメタノール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、ティンベロール、ウンデカベルトール、シス-3-ヘキセノール、レボシトロネロール、シクロフロラノール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジミルセトール(Dimyrcetol)、エバノール、ゲラニオール、イソプレゴール、リナロール、ネロール、ネロリドール、トランス,シス-2,6ノナジエノール、ポリサントール、ロザルヴァ、サンダルマイソールコア、サンダロア、テルピネン-4-オール、テルピネオール、トランス-2-ヘキセノール。
【0049】
フェノール、例えば:ブチルヒドロキシアニソール、ジヒドロオイゲノール、ジメチルヒドロキノン、ジメチルレゾルシノール、ピュアオイゲノール、グアイアコール、イソオイゲノール、メタクレゾール、メチルジアンティリス、パラクレゾール、プロペニルグアエトール、チモール、ウルトラバニル。
【0050】
エーテル、例えば:アンブロキサン、アネトール、アンテール、ベンジルイソアミルエーテル、ベンジルイソプロピルエーテル、イソ吉草酸ベンジル、ボワイリス、セドランバー、セタロックス、デシルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジヒドロローズオキシド、ジフェニルオキシド、ドレモックス、エストラゴール、エチルリナロール、ユーカリプトール、ガラクソリド、ギラン(Gyrane)、ヘルバベール(Herbavert)、ライムオキシド、マドロックス、メチルイソオイゲノール、ナフチルイソブチルエーテルベータ、ネロールオキシド、ネロリンブロメリア、パラクレシルブチルエーテル、パラクレシルメチルエーテル、ペティオール(Petiole)、フェニルエチルメチルエーテル、ルバフラン、ローズオキシド、ロシラン、トリサンバー(Trisamber)、ベチルボワ(Vetylbois)K、ヤラヤラ。
【0051】
アセタール、例えば:アセタールCD、アセタールR、アンバーケタール(Amberketal)、ボイサンブレンフォルテ、シトラサール(Citrathal)、1,1-ジエトキシエタン、エメラルジン(Emeraldine)、フレッシュオパール(Freshopal)、ハルボキサン、インドフロール(Indoflor)、ジャシンタフロール(Jacinthaflor)、マグノラン、スピランブレン(Spirambrene)、ビリジン(Viridine)、エリンタール、グリコリエラール、から成る、メチルパンプルムース。
【0052】
炭化水素、例えば:ビサボレン、カンフェン、デルタ3カレン、カリオフィレン、セドレン、パラシメン、ジペンテン、ジフェニルメタン、イソロンギホレン、d-リモネン、ロンギホレン、ミルセン、ナフタレン、オシメン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、スチレン、ガンマ-テルピネン、テルピノレン、1,3,5-ウンデカトリエン、ベルドラシン。
【0053】
硫黄化合物、例えば:コールカシス(Corps cassis)、ジブチルスルフィド、ジメチルスルフィド、エキソバート(Exovert)、グレープフルーツチオール、オキサン、スグリメルカプタン(Ribes mercaptan)、スルフロール、チオシネオール。
【0054】
ニトリル、例えば:シンナミルニトリル、シトロネリルニトリル、シトロニトリル、クロナール、クミンニトリル、ヘキシルシクロペンタノン、アイリスニトリル、レモニール、ピオニール、トリデシルニトリル、アグルメンニトリル(Agrumen nitrile)、n-デシルニトリル。
【0055】
オキシム、例えば:ブッコキシム、ラビエノキシム、ステモン。
【0056】
窒素複素環、例えば:2-アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、sec-ブチルキノリン、コールラシーヌ(Corps Racine)、2-エチル-3,5(又は6)-ジメチルピラジン、フルフリルピロール、インドール、イソブチルキノリン、2-イソブチル-3(又は6)-メトキシピラジン、イソプロピルキノリン、マリティマ、p-メチルキノリン、スカトール、2,3,5-トリメチルピラジン。
【0057】
ニトロ化合物、例えば:ムスクケトン。
【0058】
シッフ塩基、例えば:オーランチオール、ヘリアントラール(Helianthral)、リガントラール、ベルダンチオール(Verdantiol)。
【0059】
他の材料、例えば:アセトアニリド、ガルダミド(Gardamide)、パラディサミド、アントラニル酸ジメチル、アントラニル酸メチル、n-酪酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、フェニル酢酸、カリオフィレンオキシド、セドロキシド(Cedroxyde)、トバカロール。
【0060】
従って、式(X)又は式(Y)の化合物は、組成物、並びに上述の編集物から明らかなように、幅広い範囲の既知の付香剤/芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング材料の製造に使用され得る。そのような組成物の製造においては、先に言及された既知の芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング材料は、調香師に知られる方法に従って、例えばW.A.パウチャー(Poucher)著のパフュームズ,コスメティックス・アンド・ソープス2(Perfumes, Cosmetics and Soaps 2),第7版,チャップマン・アンド・ホール(Chapman and Hall),ロンドン,1974年に従って使用され得る。
【0061】
本発明の実施形態においては、特許請求の範囲に記載される芳香剤、調味料、及び/又は脱臭/マスキング組成物は、式(X)又は式(Y)の化合物(複数を含む)に加えて、少なくとも1つのエステル及び/又は1つのアルコール(存在するのであれば式(X)の化合物以外)、好ましくは少なくともエステル及びアルコールの混合物を含み、上記エステル及び/又はアルコールは、好ましくは上記で本明細書に定義されている列記から選択される。本発明の実施形態においては、特許請求の範囲に記載される付香剤組成物は、式(X)又は式(Y)の化合物(複数を含む)と一緒のエステル(複数を含む)及び/又はアルコール(複数を含む)の総含有量が、25重量%を上回り、好ましくは50重量%を上回り、例えば75重量%を上回り、又は更に90重量%を上回ることを特徴とする。
【0062】
調製
4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びプロパナールを反応させることによる、2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(X)の選択的形成について様々な酸をスクリーニングした。全ての反応は、室温(25℃)でトルエン中において0.5当量の対応する酸を用いて行った。
【0063】
【化7】
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、明らかに、リン酸、トリフルオロ酢酸、及び塩化第二鉄は、所望の式(X)の第三級アルコールの選択的形成においてはるかに良好に機能したが、異性体の式(Y1)+式(Y2)のアルケンは極めて少ない程度で形成された。他方で、他の全ての酸の何れも、所望の式(X)のアルコールを低収率でもたらし、及び/又は殆どの場合に、異性体のアルケンが主として形成された。
【0066】
トリフルオロ酢酸は高価な腐食性の酸であるが、塩化第二鉄は有害で腐食性があり、潜在的に非常に危険である。リン酸(H3PO4)は、トリフルオロ酢酸及び塩化第二鉄よりも比較的弱い酸である。また、リン酸はトリフルオロ酢酸及び塩化第二鉄よりも腐食性がはるかに低い。
【0067】
トルエンの使用を避ける目的で、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オールとプロパナールとの間の反応に、水中の様々な濃度のリン酸を使用した。驚くべきことに、反応は非常に適切に機能し、所望の生成物である2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールが良好な収率で形成されることが判明した。リン酸水溶液は適切に機能し、式(X)により表される化合物を良好な収率で形成することが判明した。
【0068】
本発明による好ましい実施形態においては、一般式(X)により表される化合物は、式(I)の対応するアルコール及び式(II)のカルボニル化合物(アルデヒド又はケトン)からリン酸、好ましくは(好ましくは10重量%~85重量%)のリン酸水溶液、より具体的には30重量%~60重量%のリン酸水溶液、より具体的には55重量%~60重量%のリン酸水溶液(0.1当量~1.0当量)の存在下で、かつ0℃~45℃の間の温度にて1工程で有利に合成され得る。この場合に、少量の対応する式(Y)の化合物も有利に形成され得る。本明細書において、各式(Y)の化合物は、好ましくは、式(Y1)のエキソ異性体Y1及び式(Y2)のエンド異性体の混合物である。
【0069】
【化8】
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、上記で定義されている)。
【0070】
例えば、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である。
【0071】
【化9】
【0072】
文献において、イソプレノールなどのホモアリルアルコールとアルデヒド又はケトンなどのカルボニル化合物とをプリンス環化することにより、2,4-二置換のテトラヒドロピラン-4-オールが得られることが知られている。しかしながら、式(I)により表されるホモアリルアルコールとカルボニル化合物とのプリンス反応の例は存在しない。実際、酸性条件下では、式(I)により表される対応する第二級アルコール又は第三級アルコールは、脱水又は転位に続く脱水を受ける可能性があると予想され得る。
【0073】
本発明の実施形態においては、驚くべきことに、適切な濃度(例えば、55重量%~60重量%)のリン酸水溶液(0.1当量~1.0当量)下で、式(I)のアルコールは、0℃~45℃でカルボニル化合物とのプリンス環化を受けて、式(X)の2,6-二置換の3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール誘導体が得られることが判明した。
【0074】
【化10】
(式中、R1、R2、R3、及びR4は上記のように定義される)。
【0075】
例えば、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R2は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R3は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R4は、H、又は最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基である。
【0076】
式(I)の化合物及び式(II)の化合物の基R1、基R2、基R3、及び基R4は、式(X)及び/又は式(Y1)及び/又は式(Y2)の対応する合成された化合物(複数を含む)及び/又はそれらの混合物の基R1、基R2、基R3、及び基R4と同一である。
【0077】
本発明によれば、基R1及び基R2は個別の基である。即ち、これらの基は一緒になって環を形成しない。本発明によれば、基R3及び基R4は個別の基である。即ち、これらの基は一緒になって環を形成しない。
【0078】
一般式(Y)により表される化合物は、式(I)の対応するアルコール及び式(II)のカルボニル化合物(アルデヒド又はケトン)から、p-トルエンスルホン酸などのプロトン酸(0.1当量~1.0当量)の存在下で25℃~45℃にてジクロロエタン(EDC)などの有機溶剤中において1工程で有利に合成され得る。実際、典型的な式(Y)の化合物は、好ましくは、式(Y1)のエキソ異性体及び式(Y2)のエンド異性体の混合物である。この場合に、少量の対応する式(X)の化合物(式中、R1、R2、R3、及びR4は上記のように定義される)も形成され得る。
【0079】
【化11】
【0080】
一般式(I)の化合物は、国際公開第2019/228903号パンフレットでのように合成され得るか、又は、
一般式(I)の化合物は、ホウ水素化ナトリウムを介した式(III)の対応するカルボニル化合物の還元によって、又は適切なグリニャール試薬R2MgXを式(III)に添加することによって調製され得る。
【0081】
【化12】
(式中、R1は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基、又は最大6個の炭素原子を有するアルケニル基、又はフェニル基、又は置換フェニル基であり、R2は、最大6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基である)。
【0082】
一般式(III)の化合物は、2,3-ジメチルブタ-1-エン又は2,3-ジメチルブタ-2-エン及びカルボン酸R1COOHの対応する無水物又は酸塩化物から、AlCl3もしくはZnCl2などの任意のルイス酸又はメタンスルホン酸などのプロトン酸の何れかの存在下で調製され得る。
【0083】
実施例1
2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化13】
【0084】
方法A:水(50g)中の4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール(250g、1.75mmol)及びリン酸(84.1gの85%溶液、71.5g、0.73mmol)の溶液に、25℃でプロピオンアルデヒド(125g、2.15mmol)を4時間かけて徐々に加えた。反応混合物を25℃で2時間撹拌した後に、これを水(500mL)で希釈し、水層を分離した。有機層を10%の重炭酸ナトリウム溶液(300mL)で洗浄し、続いて水(500mL)で洗浄した。有機層を真空中で濃縮し、得られた粗製物を分別蒸留(66℃、3mbar)に供して、2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(220.0g、62%)を2つのジアステレオマーの混合物(92:8、無色の液体)として得た。
【0085】
1H NMR(400MHz,CDCl3),主ジアステレオマー:δ 3.22-3.28(m,1H),3.01(dd,J=2.4Hz,10.0Hz,1H),1.52-1.61(m,1H),1.41-1.61(m,2H),1.30-1.39(m,2H),1.26(s,3H),0.92-1.01(m,10H),0.81(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3):δ 83.6,73.3,43.8,41.2,29.2,23.2,22.7,19.2,15.9,11.8,10.2。
【0086】
匂いプロファイル:パチョリ様、フレッシュ、樟脳様、アーシー、ウッディ。
【0087】
実施例2
2,3,3,4,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化14】
【0088】
方法Aを使用して3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びアセトアルデヒドから得た。
【0089】
1H NMR(400MHz,CDCl3),2つのジアステレオマーの77:23の比率での混合物;主ジアステレオマー δ 3.57-3.49(m,1H),3.37(q,J=6.4Hz,1H),1.61-1.55(m,1H),1.37(dd,J=12.8,2.4Hz,1H),1.21(s,3H),1.13(d,J=4.4Hz,3H),1.03(d,J=6.4Hz,3H),0.90(s,3H),0.75(s,3H)。
【0090】
匂いプロファイル:ドライウッディ、アロマティック。
【0091】
実施例3
2-イソプロピル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化15】
【0092】
方法Aを使用して、2,4,4,5-テトラメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びアセトアルデヒドから得た。
【0093】
匂いプロファイル:樟脳様、パチョリ様。
【0094】
実施例4
6-エチル-2-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化16】
【0095】
方法Aを使用して、2,4,4,5-テトラメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びプロピオンアルデヒドから得た。
【0096】
匂いプロファイル:樟脳様、パチョリ様。
【0097】
実施例5
6-エチル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化17】
【0098】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びプロピオンアルデヒドから得た。
【0099】
匂いプロファイル:強力なウッディ。
【0100】
実施例6
2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化18】
【0101】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びブチルアルデヒドから得た。
【0102】
1H NMR(400MHz,CDCl3),2つのジアステレオマーの55:45の比率の混合物;δ 3.50-3.43(m,1H),3.38-3.31(m,2H),3.09-3.06(m,1H),1.59-1.52(m,5H),1.39-1.33(m,3H),1.32-1.26(m,4H),1.21(s,3H),1.20(s,3H),1.12(d,J=6.4Hz,3H),1.02(d,J=6.4Hz,3H),0.89(s,3H),0.88(s,3H),0.84(t,J=7.2Hz,3H),0.83(t,J=7.2Hz,3H),0.75(s,3H),0.74(s,3H)。
【0103】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0104】
実施例7
6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化19】
【0105】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びイソブチルアルデヒドから得た。
【0106】
1H NMR(400MHz,CDCl3),2つのジアステレオマーの60:40の比率の混合物;主ジアステレオマー δ 3.48-3.38(m,1H),2.89-2.88(m,1H),1.2(s,3H),1.82-1.74(m,1H),1.62-1.52(m,2H),1.09(d,J=6.4Hz,3H),0.88-0.86(重複したピーク,6H),0.8(s,6H)。
【0107】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0108】
実施例8
2-エチル-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化20】
【0109】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及び2-ブタノンから得た。
【0110】
匂いプロファイル:ウッディな樟脳様、アロマティックなパイニー。
【0111】
実施例9
2-エチル-3,3,4,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化21】
【0112】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びアセトアルデヒドから得た。
【0113】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 3.52-3.40(m,1H),3.0-2.91(dd,1H),1.62-1.54(m,1H),1.40-1.35(m,2H),1.32-1.25(m,1H),1.21(s,3H),1.13(d,J=6.0Hz,3H),0.91(t,J=7.2Hz,3H),0.88(s,3H),0.75(s,3H)。
【0114】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0115】
実施例10
2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化22】
【0116】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びブチルアルデヒドから得た。
【0117】
匂いプロファイル:シダーウッディノート、フルーティ。
【0118】
実施例11
2-エチル-6-イソプロピル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化23】
【0119】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びイソブチルアルデヒドから得た。
【0120】
匂いプロファイル:ウッディ、樟脳様。
【0121】
実施例12
2-エチル-6-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化24】
【0122】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びイソバレルアルデヒドから得た。
【0123】
官能プロファイル:グリーン、ウッディ、ヘイ、ユーカリ様。
【0124】
実施例13
6-エチル-2,2,4,5,5-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化25】
【0125】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びアセトンから得た。
【0126】
匂いプロファイル:ウッディ、ややクレゾール様。
【0127】
実施例14
2,6-ジエチル-2,4,5,5-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化26】
【0128】
方法Aを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及び2-ブタノンから得た。
【0129】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.21-3.18(m,1H),3.04-2.95(m,1H),1.59-1.46(m,3H),1.42-1.30(m,3H),1.21(s,3H),0.94-0.87(重複した4つのMeシグナル,12H),0.75(s,3H)。
【0130】
匂いプロファイル:ドライウッディ。
【0131】
実施例15
6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化27】
【0132】
方法Aにより、2,3,3-トリメチルヘプタ-1-エン-4-オール及びプロピオンアルデヒドから立体異性体の混合物として得た。
【0133】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0134】
実施例16
6-イソプロピル-3,3,4-トリメチル-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化28】
【0135】
方法Aから、2,3,3-トリメチルヘプタ-1-エン-4-オール及びイソブチルアルデヒドから立体異性体の混合物として得た。
【0136】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0137】
実施例17
6-エチル-2-イソブチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化29】
【0138】
方法Aから、2,3,3,6-テトラメチルヘプタ-1-エン-4-オール及びプロピオンアルデヒドを使用して得た。
【0139】
1H NMR(400MHz,CDCl3)2つのジアステレオマーの90:10の比率の混合物;主ジアステレオマー δ 3.23-3.16(m,1H),3.13(dd,J=10.4,1.6Hz,1H),2.95(dd,J=10.4,2.4Hz,1H)。
【0140】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0141】
実施例18
2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2,4,5,5,6-ペンタメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化30】
【0142】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及び3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オンから得た。
【0143】
官能プロファイル:樟脳様、アロマティック。
【0144】
実施例19
2-(2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル)-2-エチル-4,5,5,6-テトラメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールの合成
【化31】
【0145】
方法Aを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及び4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オンから得た。
【0146】
官能プロファイル:ウッディ、アロマティック。
【0147】
実施例20
2,3,3-トリメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,3,3,4-テトラメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化32】
【0148】
方法B:1,2-ジクロロエタン(100mL)中の3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール(10g、38mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(2.97g、15.60mmol)の溶液に、ブチルアルデヒド(6.75g、94mmol)を1時間かけて滴加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した後に、これを水で希釈し、飽和NaHCO3の添加により中和し、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4を介して乾燥させ、濾過した。有機溶剤を減圧下で除去して粗製化合物を得て、これを0%~20%の酢酸エチル/ヘキサンを使用したカラムクロマトグラフィー(230メッシュ~400メッシュのシリカゲル)により精製して、4.2gのアルケン(実施例29)及び4.8gのアルコール(実施例4)を得た。両方の生成物をクーゲルロール装置を使用して蒸留して、それぞれの試料を得て、嗅覚評価を行った(合わせた収率63%)。
【0149】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0150】
実施例21
6-エチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-エチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
方法Bを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びプロピオンアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0151】
【化33】
【0152】
匂いプロファイル:ウッディ、樟脳様。
【0153】
実施例22
2,3,3,6-テトラメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,3,3,4,6-ペンタメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化34】
【0154】
方法Bを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びアセトアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0155】
1H NMR(400MHz,CDCl3)。
【0156】
匂いプロファイル:モッシー、ウッディ、スイートピーノート。
【0157】
実施例23
6-イソプロピル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-イソプロピル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
方法Bを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びイソブチルアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0158】
【化35】
【0159】
匂いプロファイル:ウッディな樟脳様。
【0160】
実施例24
6-イソブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-イソブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
方法Bを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びイソバレルアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0161】
【化36】
【0162】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0163】
実施例25
6-ブチル-2,3,3-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-ブチル-2,3,3,4-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
方法Bを使用して、3,3,4-トリメチルペンタ-4-エン-2-オール及びブチルアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0164】
【化37】
【0165】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0166】
実施例26
2-エチル3,3,6-トリメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2-エチル-3,3,4,6-テトラメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化38】
【0167】
方法Bを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びアセトアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0168】
匂いプロファイル:樟脳様、ウッディ。
【0169】
実施例27
2,6-ジエチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化39】
【0170】
方法Bを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びプロピオンアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0171】
匂いプロファイル:ウッディ、樟脳様。
【0172】
実施例28
2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-6-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン及び2-エチル-3,3,4-トリメチル-6-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化40】
【0173】
方法Bを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びブチルアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0174】
匂いプロファイル:ウッディパウダリー、グルマン、キャラメル、リコリス、エストラゴン、ジャスモン様。
【0175】
実施例29
6-ブチル-2-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-ブチル-2-エチル-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
方法Bを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及びバレルアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0176】
【化41】
【0177】
匂いプロファイル:ウッディ、アルデヒド、グリーン、生サトウキビ様(like raw sugar cane)、フローラル、ティー、タバコ、フェヌグリーク。
【0178】
実施例30
6-エチル-3,3-ジメチル-4-メチレン-2-プロピルテトラヒドロ-2H-ピラン及び6-エチル-3,3,4-トリメチル-2-プロピル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化42】
【0179】
方法Bを使用して、2,3,3-トリメチルヘプタ-1-エン-4-オール及びプロピオンアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0180】
匂いプロファイル:ウッディ。
【0181】
実施例31
2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3-ジメチル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン及び2-エチル-6-(4-メトキシフェニル)-3,3,4-トリメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランの合成
【化43】
【0182】
方法Bを使用して、4,4,5-トリメチルヘキサ-5-エン-3-オール及び4-メトキシベンズアルデヒドからジアステレオマー及びエキソ/エンド異性体の混合物として得た。
【0183】
匂いプロファイル:ウッディ、パウダリー、フローラル、アニス様。
【0184】
組成物の評価例
以下の発明において、表2に示すように、種々の指標化合物を含む様々なウッディな組成物のアコードを評価し、実施例1以下の化合物を含む組成物のアコードと比較した。組成物Aは、実施例1からの化合物、即ち2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールをIPM(ミリスチン酸イソプロピル)中の10%(重量/重量)溶液として含む。組成物Bは市販の化合物のクリアウッドを含み、組成物Cは市販の化合物のPTBCケトンを含み、組成物Dは市販の化合物のOTBCケトンを含み、最後に、組成物EはIPMのみを含み、ブランクとしての役割を果たす。
【0185】
上記の全ての組成物を、シャンプーだけでなく、柔軟仕上げ剤においても使用した。
【0186】
【表2】
【0187】
明らかに、5.5重量%の2,6-ジエチル-3,3,4-トリメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールをIPM中の10%(重量/重量)溶液として導入すると、強力なウッディなパチョリ様の効果がもたらされる。シャンプーに使用するとより丸みを帯びた感覚がもたらされ、配合に重さが与えられる。一方、IPM中の1重量%のクリアウッドを上記アコードにおいて使用した場合に、柔らかいウッディな効果のみが観察される。PTBCケトンを使用すると、樟脳様でウッディな効果が示される一方で、OTBCケトン組成物により配合にミント様でウッディな性質が付与される。
【国際調査報告】